説明

弾球遊技機

【課題】遊技球に糸を付けることにより不正行為が行なわれるのを防止する。
【解決手段】 図9(a)、図9(b)の状態から回転部が90°回転すると、遊技球保持部77aに遊技球15が入り込む(図9(c)、図9(d))。遊技球15は回転部43と共に回転される。この状態から回転部43が180°回転すると、遊技球15は球排出口49から発射ユニット94に入って発射台47に載置される。遊技球15に糸がついていると、糸は回転部43に巻き取られ、遊技球15が発射台47に載置されるのを糸が阻害する。仮に遊技球15が発射台47に載置されたとしても、糸は回転部43に巻き取られ続けるので、図示しないハンマーが発射台47の遊技球15を打撃しても、遊技球15が遊技領域3に到達するのは極めて困難である。従って、糸つき球を用いた不正行為を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より弾球遊技機(パチンコ遊技機、パチンコ機または単に遊技機ともいう)においては、発射された遊技球が入賞口に入ると、賞球が払い出される。これを悪用して、糸を付けた遊技球を用いる不正行為(糸付き球ゴトという)が行なわれることがある。これは、糸の一端を遊技球に固定し、他端を左手などに持ち、この遊技球を通常どおりに発射する。そしてこの糸付きの遊技球が入賞口に入って、入賞口内に設けられた球センサに検出される(賞球が払い出される)と、糸の前記他端を引っ張って、球センサに検出されない位置まで遊技球を引っ張り出し、再び糸を緩めてこの遊技球を前記球センサに検出させる(賞球が払い出される)ということを繰り返す。これにより、球センサは複数の遊技球が入賞口に入った、と誤認識をし、この不正行為者に賞球を付与してしまう。
【0003】
こうした不正行為を防止するために特許文献1では、玉通路に段差を設け、遊技球がこの段差を降りる際(遊技球の通常の流れ方向)には遊技球を検出し、遊技球がこの段差を上る際(遊技球の異常な流れ方向。不正の疑いあり)には、その段差を構成する壁部分に突出するレバーに遊技球が突き当たり、前記レバーを変位させたことをセンサで検出することにより、不正を検出する技術が開示されている。なお、特許文献1の装置は遊技機ではなくパチンコ玉計数機であるが、遊技機と同様の不正行為への対策に関する発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−85441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、糸付き球を用いた不正行為には、前記した以外のものも存在する。例えば、糸付き球を遊技領域の所定の場所に位置させることにより、いわゆるワープルートへと他の遊技球を誘導するというものである。ワープルートは通常、液晶表示装置を囲むセンターケースの左側面に入口が形成されており、ここに入った遊技球は、液晶表示装置の下方に形成されたステージと呼ばれる部位に誘導され、このステージの下方に設けられた始動口に高い確率で入球する。遊技球が始動口に入球すると乱数が発生され、この乱数の値に基づいて当否判定が行なわれる。当否判定の結果が当りであれば大当り遊技が発生し、遊技者に大量(例えば1000個以上)の賞球をもたらす。従って、ワープルートへ遊技球を誘導すると、前記乱数が発生し易くなり、これにより大当り遊技も発生し易くなる。「所定の位置」の具体例としては、ワープルートの入口の左方が挙げられ、ここに糸付き球を位置させることにより、糸付き球に衝突した遊技球がワープルートの入口へ向かうようにする。
【0006】
また、これ以外の不正行為として、糸付き球を用いて遊技領域内の遊技球の流下を妨害して、ブドウと呼ばれる遊技球の滞留物を発生させ、この滞留物により、所望の位置(例えば始動口)へそれ以外の遊技球を導くという行為も挙げられる。
これらいずれの不正行為も、糸付き球が玉センサに検出される訳でも、玉センサの前後を往復するわけではないので、特許文献1に記載の技術で、これらの不正を検出することも防止することも困難である。
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、糸付き球を用いた不正行為を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明は、遊技領域に発射するための遊技球を保持する皿部と、遊技領域に遊技球を発射する遊技球発射装置と、前記皿部から前記遊技球発射装置へと遊技球を誘導するための遊技球通路とを備えた弾球遊技機において、前記遊技球通路に設けられ、前記遊技球に糸がついている場合に該糸を巻き取るための糸巻き取り装置を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の弾球遊技機において、前記糸巻き取り装置は、前記遊技球を1個ずつ前記遊技球発射装置へと供給する遊技球供給装置を兼ねていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の弾球遊技機において、前記糸巻き取り装置は、当該糸巻き取り装置に遊技球が流入するための導入口と、当該糸巻き取り装置から前記遊技球発射装置へと遊技球が流出するための球排出口と、前記遊技球の直径に等しい高さ及び該遊技球の直径の2倍を超える直径を有する円柱状部材であって、その軸から偏心した位置に当該円柱状部材を軸方向に貫通する穴である遊技球保持部が形成され、該遊技球保持部内に遊技球を高々1個保持可能な回転部と、該回転部を前記軸周りに回転駆動する回転駆動部と、前記回転部の前記軸周りの回転角度が0°以上360°未満の第1所定角度となった場合に前記遊技球保持部と前記導入口を連通させる球流入通路と、前記回転部の前記軸周りの回転角度が0°以上360°未満の第2所定角度(ただし前記第1所定角度とは異なる角度)となった場合に前記遊技球保持部と前記球排出口を連通させる球排出通路とを有するものであることを特徴とする。
【0010】
なお、回転部の高さを「遊技球の直径に等しい」としたが、遊技球の供給動作に支障がない範囲で遊技球の直径とは多少異なる高さとなっていても構わない。要は、1つの遊技球保持部に2個以上の遊技球が入り込むことがなく、また2個目の遊技球が遊技球保持部に入り込もうとすることにより遊技球保持部に引っ掛かって回転部の回転が円滑に行なわれなくなる等の事態が起きない寸法であればよい。また、遊技球保持部の軸断面は、遊技球が入るという要件を満たすために遊技球の直径よりも大きな直径の円形(ただし遊技球が2個入ることはない程度)であることが望ましいが、円形である必要はなく、正方形、正六角形などの断面でも良い。更に、遊技球保持部の軸断面が全て同じ形状・大きさである必要もなく、後述する第1実施例のようにテーパ穴となっていてもよい。
【0011】
また、第1所定角度、第2所定角度とも0°以上360°未満であるが、回転部はその軸周りに360°以上回転されることを想定している(ただし回転は一定速度である必要はない。間欠的に回転されても、所定条件が成立したとき(例えば後述する発射停止スイッチがOFFになったとき)のみ回転させても良い。なお、回転部の軸周りの回転について記すときには以下、「軸周り」を省略する)。例えば第1所定角度を30°とすると、回転部の回転角度が30°のときに遊技球保持部と導入口が球流入通路によって連通されるが、これは回転部の回転角度が390°や750°のときにも、遊技球保持部と導入口が球流入通路によって連通されることを意味する。同様に、第2所定角度が180°であれば、回転部の回転角度が180°のときに遊技球保持部と球排出口が球排出通路によって連通されるが、これは回転部の回転角度が540°や900°のときにも、遊技球保持部と球排出口が球排出通路によって連通されることを意味する。
【0012】
また、遊技球保持部は回転部に複数あっても構わない。その場合には、第1所定角度、第2所定角度を遊技球保持部ごとに持つこととする。そして回転部を一定速度で回転させる場合には、複数の遊技球保持部は回転部の周方向に沿って等間隔に形成するのが望ましい。例えば、遊技球保持部を2個形成する場合には、第1の遊技球保持部と、第2の遊技球保持部とが、回転部の回転軸を挟んで1つの直径上に並ぶように構成するとよい。この場合、第1の遊技球保持部の第1所定角度が30°であれば、第2の遊技球保持部の第1所定角度は210°となる。遊技球保持部を3個形成する場合は、第1の遊技球保持部の第1所定角度が30°であれば、第2の遊技球保持部の第1所定角度は150°となり、第3の遊技球保持部の第1所定角度は270°となる。
【0013】
請求項4に記載の本発明は、請求項1から3の何れか1項に記載の弾球遊技機において、前記糸巻き取り装置は、当該弾球遊技機から着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の本発明は、請求項1から4の何れか1項に記載の弾球遊技機において、前記糸巻き取り装置は、前記遊技球発射装置が遊技球の発射動作を行なっているときのみ駆動されるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の弾球遊技機においては、皿部から遊技球発射装置へと遊技球を誘導する遊技球通路に、糸巻き取り装置を備えている。遊技球通路に沿って誘導される遊技球に糸がついていると、この糸巻き取り装置が糸を巻き取り、この遊技球は遊技球発射装置に到達することができず、発射されることがない。これにより、前述したような糸つき球を用いた不正行為を防止することができる。
【0016】
請求項2に記載の弾球遊技機においては、糸巻き取り装置は、遊技球を1個ずつ遊技球発射装置へと供給する遊技球供給装置を兼ねている。この弾球遊技機によれば、糸巻き取り装置を新設したにも関わらず、遊技球供給装置という弾球遊技機には必要な構成を兼ねているので、糸巻き取り装置を駆動するためのエネルギー消費を抑えることができる。また、遊技球供給装置と糸巻き取り装置を別々に構成した場合に比べ、構成が簡素になることも期待できる。
【0017】
請求項3に記載の弾球遊技機においては、回転部の回転角度が第1所定角度となると、球流入通路を介して導入口から遊技球を遊技球保持部に保持する(正確には、導入口に遊技球が存在しないと、遊技球を遊技球保持部に保持することは当然できないが、ここでは導入口に遊技球が存在するものとする)。そして回転部の回転角度が第2所定角度となると、遊技球保持部に保持された遊技球を、球排出通路を介して球排出口から遊技球発射装置へと流出させる。遊技球保持部には遊技球が高々1個しか保持されないので、この動作により、遊技球は1個ずつ遊技球発射装置へと供給されていく。
【0018】
糸付きの遊技球がこの供給動作を受けると、その糸は上皿、遊技球通路、導入口、球流入通路、遊技球保持部(回転部)、球排出通路を通って、球排出口に達する。従って、回転部が回転駆動部により回転駆動されると、糸は回転部により巻き取られることになる。従って、この遊技球は遊技球発射装置に到達することができず、発射されることがない。これにより、前述したような糸つき球を用いた不正行為を防止することができる。
【0019】
請求項4に記載の弾球遊技機においては、糸巻き取り装置が、当該弾球遊技機から着脱可能にされている。このように構成された遊技機によれば、糸巻き取り装置を遊技機から取り外すことにより、巻き取った糸を容易に除去することができ、速やかに遊技を再開することができる。
【0020】
請求項5に記載の本発明においては、糸巻き取り装置は、遊技球発射装置が遊技球の発射動作を行なっているときのみ駆動される。従って、この弾球遊技機によれば、糸巻き取り装置による消費エネルギーを節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例のパチンコ機50の正面図
【図2】パチンコ機50の遊技盤1の正面図
【図3】パチンコ機50の背面図
【図4】パチンコ機50の電気構成図
【図5】上皿55の遊技球15が発射装置19に供給される様子を示す説明図
【図6】発射ハンドル64の説明図
【図7】(a)は発射装置19の外観図、(b)は球送りカセット44の外観図、(c)は発射ユニット94の外観図
【図8】(a)は球送りカセット44の裏面図、(b)は球送りカセット44の裏面図を一部透視した図
【図9】球送りユニット91による球送り動作の説明図
【図10】球送りユニット91を取り外す様子を示す説明図
【図11】(a)は第2実施例の球送りカセット44の外観図、(b)は第2実施例の発射ユニット94の外観図
【図12】第2実施例の球送り動作の説明図
【図13】第3実施例の糸巻き取り装置を示す説明図
【図14】第4実施例の球送り機構および糸巻き取り機構を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例1]
【0023】
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
【0024】
前枠52の上側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(後述)が稼働して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
【0025】
上皿55の上部ほぼ中央には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、この演出ボタン67は、周囲にジョグダイヤル68を備えたものとなっている。遊技者が所定期間中に、演出ボタン67やジョグダイヤル68を操作することで後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には、球貸スイッチ57、精算スイッチ58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
【0026】
図2は、本実施例のパチンコ機の遊技盤1の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
【0027】
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり擬似図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。センターケース5の下には、第1始動口11と第2始動口12とがユニット化された複合入賞装置が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は第2始動口12に入球できない構成となっている。遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、特別図柄保留数表示装置18と、7セグメント表示装置からなる特別図柄表示装置9とが配置されている。なお、前記翼片は、普通図柄表示装置7に特定の普通図柄が表示される(「普通図柄が当る」ともいう)と開放される。普通図柄は、演出図柄表示装置6の左方に設けられたゲート17を遊技球が通過すると変動が開始され、所定時間経過後に停止される。この変動時間および停止される普通図柄は、ゲート通過を契機として抽出された乱数に基づいて決定され、ゲート17を遊技球が通過した際に普通図柄が変動中などの場合により、普通図柄の変動を開始できない場合には、これらの乱数が記憶され、その個数が普通図柄保留数表示装置8に表示される。
【0028】
複合入賞装置の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33及び第4左入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
【0029】
パチンコ遊技機50の裏面は図3に示すとおり、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。また、パチンコ機50の裏側には(図4も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。なお、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83がサブ制御装置に該当する。
【0030】
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図3では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御装置81の下に設けられている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子板78が設けられており、この外部接続端子板78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータに送られる。
【0031】
このパチンコ機50の電気的構成は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0032】
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するための第1カウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、及び第4左入賞口34に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力される。
【0033】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている特別図柄表示装置9及び普通図柄表示装置7の表示、特別図柄保留数表示装置18、及び普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
【0034】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図4では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が、裏中継端子板75、払出制御装置81および外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
【0035】
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出センサ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出センサ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0036】
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
【0037】
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してCRユニット56と交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示装置25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸スイッチ57、精算を要求するための精算スイッチ58、残高表示器59(図1参照)が接続されている。
【0038】
また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
【0039】
発射制御装置84は発射ソレノイド30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。また、発射制御装置84は球送りモータ41を回転させて、発射台(後述)に1個ずつ遊技球を供給する。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドル64(図1参照)からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。
【0040】
回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射できないようになっている。
【0041】
サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当し、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。 また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67、ジョグダイヤル68が接続されており、遊技者がこれら67、68を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0042】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。
【0043】
上皿55の遊技球が発射装置に供給される様子を図5に示す。図5(a)は上皿55を上方から見た図である。上皿55にあった遊技球15は、上皿55の底面中ほどから右方手前に流れ、左折して奥方向(本図では上方)に流れ、更に左折して流入口55aから上皿55の底面の下方(本図では奥方向)に誘導される。図5(b)はパチンコ機50を一部断面にして、上皿55の右方から見た図である。図5(a)のように誘導された遊技球15は、上皿55の奥方向(本図では右方)に設けられた発射装置19に入り、発射ハンドル64(図1などを参照)が操作されると、1個ずつ遊技領域3に発射される。
【0044】
発射ハンドル64の説明図を図6に示す。図6(a)は発射レバー37が回動されていない状態、図6(b)は発射レバー37が回動された状態を示す。発射ハンドル64は、パチンコ機50に対して固定されたドーム状のタッチ部38の周りに発射レバー37が回動可能に設けられている。発射レバー37にはリブ39(通常はタッチ部38に覆われていて見えない)が設けられており、図6(a)に示す発射レバー37が回動されていない状態では、リブ39が発射停止ボタン40を押さえている。これにより発射停止スイッチ29がON状態、すなわち遊技球15の発射が行なわれない状態となっている。発射レバー37が回動されると、リブ39が発射停止ボタン40から離れ、発射停止スイッチ29がOFF状態となり、発射ソレノイド30、及び球送りモータ41が作動を開始する。
【0045】
発射装置19について図7を用いて説明する。図7(a)は発射装置19をパチンコ機50の正面側から見た図であり、図7(b)は発射装置19から取り外した球送りカセット44の正面図、図7(c)は球送りカセット44を取り外した発射装置19(発射ユニット94)の正面図である。球送りカセット44は、遊技球15を発射するハンマー46、発射台47、発射ソレノイド30などを備えた発射ユニット94に対してヒンジ42により開閉可能に構成されており、発射制御装置84、球送りユニット91等を備えている。球送りユニット91には上皿55から誘導された遊技球15が球送りカセット44に入るための導入口48が形成されている。ハンマー46は位置Qを軸として揺動可能に設けられており、発射ソレノイド30が稼働すると図7(c)において時計回りに揺動されて、発射台47に載置された遊技球15を打撃する。
【0046】
球送りカセット44の詳細を図8に示す。図8(a)は、球送りカセット44を裏側から見た図であり、図8(b)は図8(a)に示した球送りカセット44の裏面を適宜透視した図である。図8(a)に示すように、球送りカセット44の裏面には、球送りカセット44から発射台47に流れ出る遊技球15の出口である球排出口49と、表側からこの裏面に球送りユニット91を固定するための2個の取り付け穴76とが形成されている。球送りユニット91の内部には、球送りモータ41が設けられており、これがギヤ74a、74bを介して回転部43を回転駆動することにより、導入口48から球送りユニット91に流入した遊技球を球排出口49へと1個ずつ供給していく。
【0047】
回転部43の動作について図9に示す。図9(a)は球送りユニット91からその筐体を取り外した様子をパチンコ機50の正面側から見た図であり、図9(b)は図9(a)の状態をA−A断面(図7(a)参照)にて示したものである。回転部43は、図9(b)に示されているように、遊技球15の直径の2倍を超える直径を有する円柱状の部材であり、それを軸方向に貫通する2個の孔(遊技球保持部77a,77bという)が形成されている。遊技球保持部77a,77bはいずれもテーパ穴であり、遊技球保持部77a,77bの各軸は、回転部43の軸から等距離にあり且つ回転部43の同一直径上に位置するように形成されている。回転部43を覆うハウジング92の導入口48側(図9(a)参照)の端面には遊技球が通過可能な貫通孔(図示省略)が形成されているが、図9(a),図9(b)の状態では、遊技球保持部77a,77bは共に導入口48よりも下方に位置しているので、導入口48に遊技球15が上皿55から供給されていても、この遊技球15は遊技球保持部77a,77bに入ることができない。
【0048】
図9(a)、図9(b)の状態から回転部43が90°回転すると、遊技球保持部77a,77bの内の一方(ここでは便宜的に遊技球保持部77aとする)が前記貫通孔の位置と整合して、導入口48から球送りユニット91に流入した遊技球15が遊技球保持部77aに入り込む。この様子を示したのが図9(c)、そのA−A断面を示したのが図9(d)である。なお、遊技球保持部77a,77b共に、前記貫通孔の側が小径(ただし遊技球15の直径よりも大)となっており、また、回転部43の回転軸は水平にされている。この結果、遊技球保持部77a,77bの内面下側は、図9(c)において右下がりの勾配となっている。これにより遊技球15は遊技球保持部77a内の勾配を下ってハウジング92の導入口48とは反対側(図9(c)等を参照)の内面に当接し、遊技球保持部77a内に保持されて、回転部43と共に回転される(遊技球保持部77bに入った場合も同様)。また、回転部43は、遊技球15がやっと1個入る程度の厚さとなっているので、同時に2個以上の遊技球15が一つの遊技球保持部77a(又は遊技球保持部77b)に入ることはできない。
【0049】
図9(c)、図9(d)の状態から回転部43が180°回転すると、それぞれ図9(e)、図9(f)のようになる。遊技球保持部77aは、保持された遊技球15と共に前記貫通穴のほぼ真下に位置する。この位置のハウジング92の導入口48とは反対側(図9(c)等を参照)の端面には、球排出口49に連通する穴(図示省略。連通穴という)が形成されている。この結果、図9(e)、図9(f)の直後に遊技球15は連通穴を通り、球排出口49から発射ユニット94に入って発射台47に載置される。なお、前記連通穴を介してハウジング92から流出した遊技球15は、本図には示されていない斜面に誘導されて球排出口49から排出される。また、図9(e)、図9(f)の状態では、遊技球保持部77bの位置が前記貫通穴と整合しているので、導入口48から球送りユニット91内に流入した遊技球15が遊技球保持部77bに入り込む可能性があるが、本図では省略している。
【0050】
発射停止スイッチ29がOFF状態となると、球送りモータ41は、1分間に50回転させる角速度で回転部43を駆動する。この回転は間欠的なものでなく、一定速度で回転部43が回転される。この結果、遊技球15が上皿55から次々と導入口48から球送りユニット91に流入すれば、遊技球保持部77a,77bの双方に順次、遊技球15が保持され、1分間に100個のペースで発射台47に載置されていく。発射台47に載置された遊技球15はハンマー46(図7(c)参照)によって打撃され、この打撃の周期は1分間に100回、すなわち遊技球15が発射台47に載置されていくペースと同じにされている。打撃のタイミングは、球送りモータ41の回転角度を発射制御装置84が管理し、発射ソレノイド30を制御することにより、球排出口49から排出された遊技球15が発射台に載置されてから、次の遊技球15が球排出口49から排出されるまでの間となっている。
【0051】
図10(a)に、球送りカセット44を図7(b)の左方から見た図を示す。図10(b)は球送りユニット91を球送りカセット44から取り外した様子を示す図である。球送りユニット91の本図において左側の端面には、球送りカセット44に形成された取り付け穴76(図8参照)と係合可能なフック95が2個設けられている。これにより球送りユニット91は球送りカセット44に対して着脱自在となっている。
【0052】
以上のように構成されたパチンコ機50によれば、遊技球15に糸がついていると、回転部43が一定方向に回転しているので、糸は回転部43に巻き取られていき、ハンマー46が遊技球15を打撃しても、遊技領域3に発射されることがない。従って、糸つき球は遊技領域3に到達せず、糸つき球を用いた不正行為を防ぐことができる。なお、糸の弛みが大きい等の場合には、遊技球15が球排出口49から出る前に糸が回転部43に巻きつき、発射台47に遊技球15が到達しないことも考えられる。この場合にも、遊技球15は発射されないことになるので、糸つき球を用いた不正行為を防ぐことができる。
【0053】
こうして糸が回転部43に巻き取られると、球送り動作自体が不能になる可能性もあり、これでは遊技を行なえなくなるが、回転部43に巻き付いた糸は、球送りユニット91を図10に示したように球送りカセット44から取り外すことにより、容易に除去することができる。また、回転部43は糸を巻き取る構成と、遊技球15を1個ずつ発射装置に送る従来より必要な構成を兼ねているので、新たに糸を巻き取る構成を設けた場合に比べ、糸を巻き取るためのエネルギー消費を抑えることができる。
【0054】
ここで本実施例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。上皿55が本発明の「皿部」に相当し、発射ユニット94が本発明の「遊技球発射装置」に相当し、球送りユニット91が本発明の「糸巻き取り装置」に相当し、球送りモータ41が本発明の「回転駆動部」に相当し、導入口48から前記貫通穴に至る経路が本発明の「球流入通路」に相当し、前記連通穴から球排出口49に至る経路が本発明の「球排出通路」に相当する。
[実施例2]
【0055】
本発明の第2実施例について図11を用いて説明する。なお、本実施例は実施例1と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。図11(a)は球送りカセット44の正面図、図11(b)は発射ユニット94の正面図である。第2実施例の発射ユニット94は第1実施例のものと共通で、球送りカセット44は、球送りユニット91が第1実施例のものより上下方向の寸法が大きいものとなっている。
【0056】
球送りカセット44の詳細を図12に示す。図12(a)は、球送りカセット44を裏側から見た図であり、図12(b)は図12(a)の約0.3秒後の様子、図12(c)は図12(a)に示した球送りカセット44の裏面を適宜透視した図である。図12(a)に示すように、第2実施例の球送りカセット44の裏側には十字型の回転部材45が設けられており、その回転軸Rの右方に球排出口49が形成されている。遊技球15は球排出口49を本図の奥方向からほぼ手前方向に向かって流下し、回転部剤45の回転軸Rは本図に垂直となっている。つまり、回転部材45の回転軸Rの方向と遊技球15の流下方向は平行となっている。発射停止スイッチ29がOFF状態となると、回転部材45は図12(c)に示す球送りモータ41により1分間に25回転の速度で本図において一定方向(時計回り)に等速回転される。これにより回転部材45は、図12(a)(または図12(c))の状態では、回転部材45の腕状に伸びた4本の部材の内の1本が球排出口49を遮り、遊技球15が球排出口49から流出するのを防止する。図示はしないが、球排出口49から流出した遊技球15は、発射台47(図11参照)に到達する。
【0057】
図12(a)の状態から約0.3秒経過すると図12(b)のように回転部材45が45°回転し、球排出口49が隣り合う腕状部材の間に位置し、遊技球15が球排出口49から流出可能な状態となる。この状態は0.6秒に1回のペースで発生するので、導入口48から間断なく遊技球15が供給されれば、1分間に100回のペースで遊技球15は発射台に到達する。
【0058】
ハンマー46の打撃の周期は1分間に100回であり、打撃のタイミングは、球送りモータ41の回転角度を発射制御装置84が管理し、発射ソレノイド30を制御することにより、球排出口49から排出された遊技球15が発射台に載置されてから、次の遊技球15が球排出口49から排出されるまでの間となっている。
【0059】
また前記腕状部材の先端には鉤部45aが形成されており、この位置は図12(a)の状態において、ちょうど球排出口49の右縁に位置するように形成されている。いずれの鉤部45aも前記腕状部材の回転方向に突設されている。従って、遊技球15に糸が付いていると、この鉤部45aにて糸を引っ掛けて巻き取ることができる。
【0060】
以上のように構成されたパチンコ機50によれば、遊技球15に糸がついていると、回転部材45が一定方向に回転されているので、回転部材45に糸が巻きつく。従って、糸つき球が遊技領域3に発射されることはなく、糸つき球を用いた不正行為を防ぐことができる。なお、第2実施例の発射装置19においては、球送りユニット91は球送りカセット44に対して着脱自在になっていないので、回転部材45に巻き付いた糸を除去するには、ヒンジ42回りに球送りカセット44を回動させる。こうすると、回転部材45が露出するので、巻き付いた糸を容易に除去することができる。なお、本実施例では、回転部材45および球送りモータ41が本発明の「糸巻き取り装置」に相当する。また、第1実施例および第2実施例は、糸巻き取り装置と遊技球供給装置を兼ねたものとして構成している。
[実施例3]
【0061】
本発明の第3実施例について図13を用いて説明する。なお、本実施例も実施例1と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。図13(a)は上皿55を上方から見た図である。第3実施例においては、上皿の底面の下方(本図では奥方向)に糸巻き取り装置62が設けられている。糸巻き取り装置62及びその周辺を図13(a)の左方から見た図が図13(b)である。糸巻き取り装置62は糸巻きモータ93にてギヤ96a、96bを介してアーム69を位置Sを軸として回転させる構造となっている。アーム69の先端には鉤部69aが形成されており、アーム69の可動域の一部が球通路79(流入口55aを通った遊技球15が流れ込む通路)と重なっている。球通路79を糸付き球が通過すると、鉤部69aにてこの糸を引っ掛け、糸を巻き取っていく。
【0062】
以上のように構成されたパチンコ機50によれば、遊技球15に糸がついていると、アーム69の軸に巻きつき、遊技球15が発射されるのを防止する。従って、糸つき球が遊技領域3に発射されることはなく、糸つき球を用いた不正行為を防ぐことができる。なお、アーム69の回転周期は遊技球15の発射周期とは無関係に設定されている。例えば、遊技球15の発射周期が1分間に100個であれば、アーム69の回転周期は1分間に60回転などとなっている。また、発射停止スイッチ29の状態がON・OFFのいずれかに関わらず、パチンコ機50に電源が投入されている限り、常にアーム69は一定速度で回転される。すなわち第3実施例においては、球送り動作とは無関係に糸の巻き取り動作を行なうが、このような構成によっても、糸つき球を用いた不正行為を防ぐことができる。そして、球送り動作とは無関係に糸の巻き取り動作を行なうので、アーム69の回転角度などを発射制御装置84が把握する必要が無く、糸の巻き取り動作を簡素に実現することができる。なお、第3実施例における球送り動作は、第4実施例に例示する構成等により実現できる。
[実施例4]
【0063】
第4実施例の球送りカセット44の概要を図14に示す。図14(a)は、第4実施例の球送りカセット44を裏側から見た図であり、図14(b)は図14(a)に示した球送りカセット44の裏面を適宜透視した図である。図14(a)に示すように、球送りカセット44の裏面には、第2実施例の球送りカセット44の裏面とほぼ同じ構造をしている。すなわち、球送りカセット44の裏側には十字型の回転部材45が設けられており、その回転軸Rの右方に球排出口49が形成されている。また前記腕状部材の先端には鉤部45aが形成されており、この位置は図14の状態において、ちょうど球排出口49の右縁に位置するように形成されている。そして遊技球15は、球排出口49を本図の奥方向からほぼ手前方向に向かって流下し、回転部剤45の回転軸Rは本図に垂直となっている。つまり、第4実施例においても、回転部材45の回転軸Rの方向と遊技球15の流下方向は平行となっている。
【0064】
発射停止スイッチ29がOFF状態となると、回転部材45は図14(b)に示す球送りモータ41により1分間に25回転の速度で本図において時計回りに等速回転される。この制御は、発射制御装置84により行なわれる。ただし回転部材45の目的は本実施例においては糸を巻き取ることのみであり、遊技球15を発射台47に送る動作は別の構成が行なう。この概略について図14(b)に示す。
【0065】
球送りカセット44の表側(本図においては裏側)には、球送りレバー86が位置Tを軸として揺動可能に設けられており、同じく球送りカセット44の表側に設けられた球送りソレノイド88により駆動される。具体的には、球送りレバー86の上部に鋼板86aが設けられており、球送りソレノイド88が励磁されるとこの鋼板86aを吸着することにより球送りレバー86を上方に(図14(b)においては反時計回りに)揺動させる。球送りソレノイド88の励磁が解かれると、球送りレバー86の重みで球送りレバー86は下方に(図14(b)においては時計回りに)揺動される。
【0066】
図14(b)は球送りソレノイド88が励磁された状態を示しており、この状態では、球送りレバー86は上方に揺動されて、球送りレバー86の備える凹部86bと導入口48の位置が整合する。凹部86bは遊技球15が1個入る程度の大きさとなっており、また、導入口48は図14(b)において左下がりとなるように傾斜されている。従って、遊技球15が導入口48に存在する状態で、凹部86bと導入口48の位置が整合すれば、導入口48に存在した遊技球15は凹部86bに入り込む。なお、この状態においては、凹部86bの位置と球排出口49の位置は整合しておらず、凹部86b内の遊技球15は球排出口49から流出することはない。
【0067】
図14(b)の状態から球送りソレノイド88の励磁が解かれると、球送りレバー86は下方に揺動される。すると、凹部86bの位置と球排出口49の位置が整合し、凹部86b内の遊技球15は球排出口49から流出して図示しない発射台47に載置される。なお、この状態では凹部86bと導入口48の位置が整合しておらず、遊技球15が導入口48に存在しても、空となった凹部86bに新たに遊技球15が流れ込むことはない。発射停止スイッチ29がOFFとなっている状態において、発射制御装置84は球送りソレノイド88の励磁およびその解除を1分間に100回の周期で行なう。この結果、遊技球15は1分間に最高100個のペースで1個ずつ発射台47に供給される。回転部材45の回転角度は、球送りレバー86が上方に揺動された状態で、回転部材45の腕状部材が49を遮るように(すなわち図14(b)の状態となるように)発射制御装置84により制御される。また発射制御装置84は、球排出口49から流出した遊技球15が発射台47に載置されたタイミングでハンマー46がその遊技球15を打撃するように発射ソレノイド30を制御する。
【0068】
以上のように構成されたパチンコ機50によっても、遊技球15に糸がついていると、糸は一定方向に回転される回転部材45に巻きつき、遊技球15が発射されることはない。従って、糸つき球を用いた不正行為を防ぐことができる。なお、第2実施例の発射装置19と同様、球送りユニット91は球送りカセット44に対して着脱自在になっていないので、回転部材45に巻き付いた糸を除去するには、ヒンジ42回りに球送りカセット44を回動させる。こうすると、回転部材45が露出するので、巻き付いた糸を容易に除去することができる。なお、本実施例では、回転部材45および糸巻きモータ93が本発明の「糸巻き取り装置」に相当する。
[他の実施例]
【0069】
第3実施例において、アーム69は遊技球15の発射周期とは無関係に回転駆動されていたが、遊技球15の発射周期と同期させてもよい。この場合、発射周期と同じ周期で回転させても良いし、発射周期の整数倍(例えば2倍、3倍、・・・)で駆動したり、逆に発射周期がアーム69の回転周期の整数倍(例えば2倍、3倍、・・・)となるように駆動したりしてもよい。また、アーム69は1本のみであったが、2本以上備えていても良い。また、アーム69は発射停止スイッチ29がON状態であっても回転駆動されるものであったが、発射停止スイッチ29がOFF状態においてのみ駆動されるように構成してもよい。こうすると、糸巻きモータ93を常時駆動することによるエネルギー消費を軽減することができる。
【0070】
また、回転部43、回転部材45は、発射停止スイッチ29がOFF状態となると、一定速度で回転されるものであったが、遊技球15の発射周期に同期して間欠的に回転されるものであっても良い。また、回転部43は、遊技球保持部を2個(遊技球保持部77a,77b)備えたものであったが、1個のみまたは3個以上備えたものとしてもよい。仮に遊技球保持部が1個のみの構成とする場合には、例えば第1実施例の態様から遊技球保持部77bのみを廃した形状とし、回転部43を1分間に100回転させれば、発射台47に1分間に100個のペースで遊技球15を供給可能となる。
【0071】
また、遊技球保持部77a、77bはいずれもテーパ穴であり、これにより導入口48側から球排出口49側へと遊技球15を誘導するものであったが、遊技球保持部をテーパのない円筒状の穴としてもよい。この際には、回転部43の回転軸を、球排出口49側が低くなるように傾斜させ、遊技球15を球排出口49側へと誘導するように構成すると良い。
【符号の説明】
【0072】
1:遊技盤 3:遊技領域
19:発射装置 26:ランプ
28:タッチスイッチ 29:発射停止スイッチ
37:発射レバー 38:タッチ部
39:リブ 40:発射停止ボタン
41:球送りモータ 43:回転部
44:球送りカセット 45:回転部材
46:ハンマー 47:発射台
48:導入口 49:球排出口
50:パチンコ機 55:上皿
55a:流入口 62:糸巻き取り装置
63:下皿 64:発射ハンドル
69:アーム 77a,77b:遊技球保持部
79:球通路 84:発射制御装置
86:球送りレバー 88:球送りソレノイド
91:球送りユニット 94:発射ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に発射するための遊技球を保持する皿部と、遊技領域に遊技球を発射する遊技球発射装置と、前記皿部から前記遊技球発射装置へと遊技球を誘導するための遊技球通路とを備えた弾球遊技機において、
前記遊技球通路に設けられ、前記遊技球に糸がついている場合に該糸を巻き取るための糸巻き取り装置
を備えたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記糸巻き取り装置は、前記遊技球を1個ずつ前記遊技球発射装置へと供給する遊技球供給装置を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記糸巻き取り装置は、
当該糸巻き取り装置に遊技球が流入するための導入口と、
当該糸巻き取り装置から前記遊技球発射装置へと遊技球が流出するための球排出口と、
前記遊技球の直径に等しい高さ及び該遊技球の直径の2倍を超える直径を有する円柱状部材であって、その軸から偏心した位置に当該円柱状部材を軸方向に貫通する穴である遊技球保持部が形成され、該遊技球保持部内に遊技球を高々1個保持可能な回転部と、
該回転部を前記軸周りに回転駆動する回転駆動部と、
前記回転部の前記軸周りの回転角度が0°以上360°未満の第1所定角度となった場合に前記遊技球保持部と前記導入口を連通させる球流入通路と、
前記回転部の前記軸周りの回転角度が0°以上360°未満の第2所定角度(ただし前記第1所定角度とは異なる角度)となった場合に前記遊技球保持部と前記球排出口を連通させる球排出通路と、
を有するものであることを特徴とする請求項2に記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記糸巻き取り装置は、当該弾球遊技機から着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の弾球遊技機。
【請求項5】
前記糸巻き取り装置は、前記遊技球発射装置が遊技球の発射動作を行なっているときのみ駆動されるものであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−239741(P2012−239741A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114723(P2011−114723)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】