説明

往復運動を一定方向の回転運動に変換するデバイス

【課題】本発明によれば、自由な角度の回転を一定方向の出力軸への回転へ、同じ回転速度で、入力軸の回転が出力軸への変換されることにより、デバイスの動作効率が向上し、かつ、デバイスの機能を拡張することができる。
【解決手段】本発明は、機械工学運動のうち、特に往復運動を一定方向の回転運動に変換する機構に関するものである。本発明は、たとえば、昇降装置、電力発電機、工具、ポンプ、移動機構および内燃エンジンに関する。本デバイスは、筐体、入力軸、出力軸から構成される。本発明の特徴は、中間軸が入力軸と、ほぼ直角に筐体に差し込まれ、少なくとも二つの回転を伝達するカップリング部が、互いに逆方向の回転が可能なようにフリーホイールのクラッチあるいはラチェットクラッチが、出力軸に固定され、少なくとも三つの回転伝達部が、カップリング部の間に、それぞれ接続されるように配置されて、出力軸の回転方向を一つの回転方向にするように、それぞれ三つの回転伝達部が逆方向の回転を行なうことが可能なように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械工学運動のうち、特に往復運動を一定方向の回転運動に変換する機構に関するものである。本発明は、たとえば、昇降装置、電力発電機、工具、ポンプ、移動機構および内燃エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
このような機構で用いられているデバイスで知られている物として、たとえば、昇降装置があり、特にロシア特許公報RU No.
2045469 (1995年10月10日公開)、
SU No.929535 (1982年3月23日公開)で開示されている、巻き上げ機構などがある。
【0003】
また、動作を変換する機構として知られている物として、ロシア特許公報SU No.
812703(1981年3月15日)が、デバイスの構成部材数とサイズを増加させるために、逆巻きの綱に設けられた2つの独立したスプールを含むものとして公開されている。
【0004】
さらに、最も近い公知例として、往復運動を変換する試作品のデバイスで、かつ、筐体と入出力軸をひとつの軸に配置したRU No.
2239739(2004年11月10日公開)がある。
【0005】
このデバイスの不利な点は、入力軸の回転が、軸のある箇所から、限定された角度で硬く固定されている点である。そのため、このデバイスは、入力軸が、ある角度で軸のある箇所から、他の箇所へ亘って回転する場合にのみしか機能しない。もし、このデバイスが、これら2箇所のどこかで止まってしまった場合は、クランクボタンがロックしてしまい、入力軸は回転することができず、このデバイスを動作することはできない。
【0006】
このデバイスを内燃エンジンとして用いる場合、エンジンの振動が少なくともシリンダの一つで欠乏すると、内部の出力軸のフライホイールが、本来必要な反対方向の回転の代わりに、入力軸と同じ方向に回転することとなり、エンジンが正常に動かなくなってしまう。これにより、シリンダのピストンは、燃焼室のヘッドに当たってしまう。
【0007】
入力軸の回転が、一箇所から他の箇所へ移動した際に、出力軸のスピード角は、入力軸のスピードと合わさり、入力軸の反対方向への回転の間、出力軸のスピード角は、非線形となる(つまり、最初に遅く、そしてその後に、入力軸のスピードに応じて加速する。)。
【0008】
これらの公知技術を、内燃エンジンに用いる場合は、内部のフライホイールは出力軸上に滑らかな一定でない動作で組み込み、その角度の不均一さは、入力軸とフライホイールの構成部材の加速に影響を与える。それ故に、その角度の不均一さは、エンジンのバランスを乱し、振動の原因になり、ピストン部の動きを不均一にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明により解決される課題は、出力軸の一定方向の回転のいずれかの方向に、何ら制限されない回転角度を持つ、入力軸の回転を変換することによって、デバイスの効果的な動きを増加させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、以下のように解決される。
【0011】
本発明は、相互に回転する動作をある回転動作に変換する。本発明のデバイスは、入力部と出力部を格納する筐体と、ほぼ直角に筐体に差し込まれた、少なくとも一つの中間部と、少なくとも二つの回転を伝達するカップリング部が、互いに逆方向の回転が可能なようにフリーホイールのクラッチあるいはラチェットクラッチとして、出力部に固定され、少なくとも三つの回転伝達部が、カップリング部の間に、それぞれ接続されるように筐体内部に配置されて、出力部の回転方向を一つの回転方向にするように、それぞれ三つの回転伝達部が逆方向の回転を行なうことが可能なように構成されている。
【0012】
なお、回転伝達部の一つは、中間部上に固定され、他の二つは、カップリング部と筐体内で接面するように構成されていてもよい。
【0013】
さらに、回転伝達部は、円錐形状であってもよく、入力部、出力部、中間部は、それぞれ入力軸、出力軸、中間軸として構成されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明を用いることによって、技術的に解決できる効果を、以下に示す。
【0015】
本発明のデバイスにより、入力軸の回転方向には限定されない、多様な方向の回転力を、出力軸へ同じ角速度の一定方向の回転力として変換し伝えることができ、デバイスのパフォーマンスおよびデバイスの機能を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されることはない。
【0017】
本デバイスは、固定フレーム1と、入力軸2の組み込みのために用いられる穴から構成される壁面と、同じ軸に配置された出力軸3からなる。このデバイスは、さらに出力軸3に対して垂直に配置されている中間軸4を有する。軸自体は、入力軸、出力軸および中間軸として機能する。
【0018】
本デバイスは、少なくとも一つの入力軸2を有している。加えて、本デバイスは、一つあるいは二つの出力軸3を備えてもよい。入力軸2と出力軸3は、同じ共通した軸上に設けられてもよく、それぞれ垂直に設けられてもよい。
【0019】
出力軸3上には、二つのカップリング部5と6が、出力軸3に一定方向の回転を伝達するため、相互に反対の方向に回転可能なように設置されている。ラチェットあるいはフリーホイールクラッチは、このカップリング部材として用いられる(Applied
mechanics.Study guide for higher education.Ed.by O.E.Oseckiy.ISS.2,「Mashinostrojenije」,1977,458頁.参照)。
【0020】
入力軸2は、カップリング部6を挟持し、カップリング部5は、出力軸3にしっかりと組み込まれている。入力軸2は、固定フレーム1内を自由な方向に回転できるように構成されている。このデバイスは、さらに、回転伝達部7、8、9を有している。
【0021】
回転伝達部7は、カップリング部5を挟持して構成され、中間軸4に固定されている、回転伝達部8と共に回転するペアとして構成されている。回転伝達部8は、同様に、入力軸2に接し、かつ、カップリング部6に相互に連結されている回転伝達部9に、回転動力を伝達する。
【0022】
中間軸4は、円錐形の回転伝達部8に、自由軸として用いられるように設置されている。
本発明では、出力軸3の回転速度は、回転伝達部8の回転係数の大きさとは独立しており、入力軸2の回転速度と等しい。
【0023】
入力軸としての中間軸4の使用頻度は、変化させることができる。本発明では、回転係数に影響を与える回転伝達部8の直径の大きさに基づいて、出力軸3の角速度率は、中間軸4との連結を変化させる。
【0024】
本デバイスの動作を、以下に説明する。
【0025】
入力軸2は、カップリング部6を挟持し、時計回りに回って回転力をカップリング部6を通して、出力軸3へ伝える。その際に、その回転力は、円錐形状の回転伝達部7、8、9を通して、カップリング部5に、入力軸2の回転とは反対の方向に伝えられる。この場合、カップリング部5は、出力軸3との連結において、自由に滑り回るため、出力軸3の回転方向に対して何ら影響を与えない。
【0026】
入力軸2が反対の方向へ回転したとき(時計回りとは逆の方向)、カップリング部6は、出力軸3との連結において、自由に滑り回り始め、その回転運動は、回転伝達部7、8、9のペアを通して、出力軸3と連結されているカップリング部5に伝えられる。つまり、出力軸3は、以前のサイクルと同様の方向への回転である、時計回りの回転を行う。
【0027】
入力軸2と入力軸として機能する中間軸4は、相互に一致する回転力を、出力軸3へ一定方向の回転として与える上で、必要とされる共通な構成を有している。
【0028】
このデバイスを製作するために、出力軸3は、入力軸2と入力軸として機能する中間軸4が、たとえ動作がなかったとしても、その回転方向とは関係なく、自由に回転することが可能なように構成される。部材に蓄積された回転エネルギーを利用する際には、出力軸3上に設置されたフライホイールと、入力軸2および入力軸として機能する中間軸4は、各部材の速度が、出力軸3の回転速度と同等か、あるいは早い場合にのみ、出力軸3に回転力を伝達する。
【0029】
出力軸3は、カップリング部5および6が、回転伝達部7と入力部2の回転と連動しているため、与えられている回転方向と反対の方向へは、回転伝達部8を、同時に相反する方向へ回転させることとなり、出力軸3のロックを引き起こしてしまい、回転することができない。
【0030】
この構成は、有利な効果を発揮し、特に、昇降装置にとっては、落下動作を防ぐこととなり有効である。かさ歯車や摩擦力によって作動する連結部材は、回転伝達部7、8、9として、本発明に用いることができる。
【0031】
本発明の相互に回転動作を行なう部材を、一定方向の回転動作に変換するデバイスは、たとえば、昇降装置、電力発電機、工具、ポンプおよび移動機構に利用することができる。
【0032】
このデバイスは、死点を改善し、そして、回転動作よりもむしろクランク軸の回転軸を導く方向に、動力を改善するエンジンとしてクランクとロッドを有する機構に、完全に置換することが可能であり、これにより、クランク機構の効率的な動きを、大幅に変化させることができる。
【0033】
動力の潜在的な可能性を増加させることにより、全体的な特徴として、そして、経済的な効率として、内燃エンジンとして、本発明を用いることができる。本発明の内燃エンジンの例を、図2に示す。
【0034】
本発明の入力軸2に設置されるギア10に、ピストン方向に接面して、相互に作動する力を利用して、内部ガスの圧力をクランク軸の心棒へ初めから伝え、クランク機構の上死点を除くことができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施例に限定されることはなく、変更が可能である。例えば、昇降装置、電力発電機、工具、ポンプ、移動機構および内燃エンジンに利用する際に、本発明をそれぞれの用途に応じて、部材の追加あるいは変更を自由に行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、昇降装置、電力発電機、工具、ポンプ、移動機構および内燃エンジンに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明を縦方向から見た概念図である。
【図2】図2は、内燃エンジンに用いられた本発明の例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動作を変換するデバイスであって、
入力部および出力部を格納する筐体と、
少なくとも一つの中間部をさらに有し、当該中間部は前記入力部と、ほぼ直角に前記筐体に差し込まれ、
少なくとも二つの回転を伝達するカップリング部であって、互いに逆方向の回転が可能なようにフリーホイールのクラッチあるいはラチェットクラッチが、前記出力部に固定され、
少なくとも三つの回転伝達部が、前記カップリング部の間に、それぞれ接続されるように配置され、前記出力部の回転方向を一つの回転方向にするように、それぞれ三つの回転伝達部が逆方向の回転を行なうことが可能なように構成される回転動作変換デバイス。
【請求項2】
前記回転伝達部の一つは、中間部に固定され、他の二つは、前記カップリング部と前記筐体内で接面するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転動作変換デバイス。
【請求項3】
前記回転伝達部は、円錐形状であることを特徴とする請求項1に記載の回転動作変換デバイス。
【請求項4】
前記入力部、出力部、中間部は、それぞれ入力軸、出力軸、中間軸として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転動作変換デバイス。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−503148(P2012−503148A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526831(P2011−526831)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【国際出願番号】PCT/RU2009/000461
【国際公開番号】WO2010/030210
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(511083765)
【Fターム(参考)】