後処理された高非線形ファイバを使用する安定化光ファイバ連続スペクトル周波数コム
【課題】信号対雑音比(SNR)が相対的に高いビート・ノートを発生させる構成を提供する。
【解決手段】信号対雑音比(SNR)が相対的に高いビート・ノートを発生させる本発明は、後処理された高非線形光ファイバ(HNLF)のセクションに結合されたパルス・レーザ源を利用して、スペクトル・パワーが増強された1つまたは複数の領域を有する周波数コムを発生させる。第2のレーザ信号源は、周波数コムとオーバーラップされ、第2の源と連続スペクトル・コムとの間で異なる周波数において1つまたは複数の「ビート・ノート」を発生させる。当該後処理によってスペクトル増強領域がコムに沿って形成され、第2のレーザ信号との相互作用により「高パワー」光ビート・ノートを発生させる。第2のレーザ信号を(コム「外部」の信号からビート・ノートを形成する)外部の源からとすることができ、または(コム「内部」の信号からビート・ノートを形成する)発生スーパーコンティニュームの周波数逓倍バージョンとすることもできる。
【解決手段】信号対雑音比(SNR)が相対的に高いビート・ノートを発生させる本発明は、後処理された高非線形光ファイバ(HNLF)のセクションに結合されたパルス・レーザ源を利用して、スペクトル・パワーが増強された1つまたは複数の領域を有する周波数コムを発生させる。第2のレーザ信号源は、周波数コムとオーバーラップされ、第2の源と連続スペクトル・コムとの間で異なる周波数において1つまたは複数の「ビート・ノート」を発生させる。当該後処理によってスペクトル増強領域がコムに沿って形成され、第2のレーザ信号との相互作用により「高パワー」光ビート・ノートを発生させる。第2のレーザ信号を(コム「外部」の信号からビート・ノートを形成する)外部の源からとすることができ、または(コム「内部」の信号からビート・ノートを形成する)発生スーパーコンティニュームの周波数逓倍バージョンとすることもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定化された光ファイバ・ベース周波数コム源(stabilized optical fiber-based frequency comb source)に関し、より詳細には、製造後処理中に高非線形ファイバ(Highly-Non Linear Fiber:HNLF)のセクションを修正して、HNLF内で発生される周波数コム(frequency comb)の信号対雑音比を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
低雑音の広帯域光源(supercontinuum(スーパーコンティニューム))が特別な関心を集める、光ファイバ分野における応用が存在する。例えば、共通の光源を使用して複数の波長分割多重(WDM)信号を発生させる、スペクトル・スライスに対する取り組みが今も行われている。したがって、そのような応用は多くのレーザを単一の光源で置き換える可能性を秘めている。その他の応用には、周波数計測、デバイス特性評価、特殊ファイバ上で行われる分散測定、および回折格子の送信特性の決定などがあるが、これらに限定されない。これら様々な診断ツールはすべて、上記の広帯域源の利用可能性によって大幅に機能強化される場合がある。
【0003】
一般に、スーパーコンティニュームの発生は相対的に高パワーのレーザ光(通常はパルス光)を光ファイバ、導波路、またはその他のマイクロストラクチャ(microstructure)に入射させることを必要とし、レーザ・パルス列はファイバ内における非線形相互作用のためにそのスペクトルが著しく広げられる。数キロメートル長のファイバにおいてピコ秒(10−12秒)のオーダをもつ光パルスを使用して通常は実行されるスーパーコンティニューム発生に対する現在の取り組みは、残念ながら発生プロセスにおいてコヒーレンスの劣化を招いている。特に、プロセスのスペクトル広幅化局面において、システム内に追加的雑音が導入されることが分かっている。
【0004】
近頃、分散スロープが低く有効面積が小さい、比較的新しいタイプのゲルマニウムドープ・シリカ・ファイバ(これ以降「高非線形ファイバ」またはHNLFと称する)が開発された。HNLFの非線形係数は、小コアのマイクロストラクチャ・ファイバを用いて得られる非線形係数よりはかなり小さいが、HNLFの有効面積が小さいため標準的な送信ファイバの非線形係数よりは数倍大きい。HNLFとフェムト秒ファイバ・レーザとを使用するスーパーコンティニュームの発生が様々な筋から報告されている。特に、2004年8月10日にJ.W.Nicholson他に付与された米国特許第6、775、447号は、各部分が光源の波長で異なる分散値を有し、また5から15平方ミクロンの間の有効面積を有する、溶合された複数のHNLFファイバの別個の部分から形成されるHNLFスーパーコンティニューム源を開示している。
【0005】
波長が1オクターブを超える範囲にわたるスーパーコンティニューム光が、フェムト秒(10−15秒)のオーダをもつ光パルスをマイクロストラクチャまたはテーパを有する光ファイバの端部に入射させることによって、当該マイクロストラクチャおよびテーパファイバ内に発生する。そのように発生した極限スペクトル(extreme spectra)は、例えば、高精度光周波数コムにおいてと同様、パルス対パルス搬送波包絡位相(pulse-to-pulse carrier envelope phase)を測定し安定させる際にも有用である。修正された非線形シュレーディンガ方程式に基づいてマイクロストラクチャ・ファイバ内における連続スペクトルをモデル化する取り組みは、スペクトル発生に必要とされる基本プロセスを理解することを目的としており、発射パルスの持続時間がピコ秒からフェムト秒のオーダに短縮されるにつれて、コヒーレンスがより良好に維持されることを示している。
【0006】
スーパーコンティニューム源からの光周波数コムの提供には、コムを構成する個々の周波数成分について高度な安定性を必要とする複数の応用が存在する。例えば、安定なコムは、安定な発振器および周波数比較器として使用することができるばかりでなく、超高精度な光クロックに基礎を提供することもできる。安定化プロセスは、コムにそれ自体の一部および/またはその他の光源との間でうなり(beat)を生じさせることによって、様々なRFビート・ノート(beat note)を発生する必要がある。これらのビート・ノートの信号対雑音比(SNR)は連続スペクトルのパワーおよび雑音属性に依存する。例えば、数キロメートル長のファイバにおいてピコ秒のパルスによって連続スペクトルが発生する場合、非常に短い長さのファイバ(すなわち1メートル未満)においてフェムト秒のパルスによって連続スペクトルが発生される場合に比べて、連続スペクトル内にかなり多くの位相雑音が存在する。かつては、ビート・ノートの雑音は、例えば、レーザ雑音を低減させること、ファイバの分散および非線形性を調整すること、またはビート・ノートの測定および安定化に使用されるRF電子機器を改良することによって改善されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第60/677700号
【特許文献2】米国特許第6775447号
【特許文献3】米国特許出願第11/063406号
【特許文献4】米国特許出願第11/063380号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、コム安定化構成のSNRの改善は、安定化光ファイバ周波数コムの安定性および堅牢性に直接的で即時的な影響を与えるので、重要な探求課題であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来技術に残された必要性が、安定化された光ファイバ・ベース周波数コム源に関し、より詳細には、製造後処理中に高非線形ファイバ(HNLF)のセクション(section)を修正して、HNLF内で生成される周波数コムの信号対雑音比を改善することに関する本発明によって対処される。
【0010】
本発明によれば、HNLFのセクションから形成される光ファイバ連続スペクトル周波数コム(optical fiber continuum frequency comb)内において選択されたスペクトル領域のSNRを改善するために、後処理技法が使用される。光周波数コムのコヒーレンス属性は、後処理から形成される増強されたスーパーコンティニューム発生領域内で維持されることが発見されている。増強内で連続スペクトルのコヒーレンス(位相雑音)を維持することによって、追加の信号源に関連するヘテロダイン・ビート・ノート信号の増幅は、(ファクタが10以上も)著しく改善されたSNRを示す。
【0011】
好ましい後処理技法は、連続スペクトル発生高非線形ファイバ内におけるブラッグ回折格子の形成であり、この回折格子は回折格子共振付近の狭い帯域幅において強いスペクトル増強を発生させる。その他のタイプの後処理には、ファイバの屈折率分布を変化させる紫外線光((UV light)、またはその他の適切な放射源)を用いたHNLFのコア領域の一様(DC)な、または緩やかに変化する照射、ファイバ・コア付近の「凍結」ひずみ("frozen-in" strain)の解放、強い直流電場の印加、及び/または1またはそれ以上の所定の温度におけるHNLFへの温度処理が含まれるが、これらに限定されない。
【0012】
一実施形態では、外部CWレーザ源を使用して、コム内の周波数からビート・ノートを発生させるために必要とされるレーザ・ライン源を提供してもよい。代替として、発生した周波数コムに関連して周波数逓倍器を使用して、コム「内」から1つまたは複数のうなり周波数(beat frequency)を発生させる信号を提供してもよい。さらに、所望のビート・ノートを、これらの光周波数の間の発生されたビート・ノートのどちらかを通常はRF領域内の1つまたは複数の電気信号と合成することによって、発生させてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態では、改善された信号対雑音比(SNR)を搬送波包絡安定化方式(carrier-envelope stabilization scheme)で提供するために、複数の別個の後処理領域をHNLFの全長に沿って配置することができる。構成をさらに安定化させるために、フィードバック信号パスをビート・ノート出力を提供する検出器の出力とパルス・レーザ源との間に追加することもできる。
【0014】
本発明のその他およびさらなる実施形態は、添付の図面を参照しながら以下の説明を進めて行くうちに明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】高非線形光ファイバ(HNLF)を使用して光周波数コムおよび関連するビート・ノートを発生させるための従来技術による例示的な構成を示す図である。
【図2】図1の構成と同様の構成における「ビート・ノート」の発生を示すグラフである。
【図3】HNLFの後処理部分を使用した、「ピーク」特徴を示す増強連続スペクトルのグラフである。
【図4】HNLFのUV照射による後処理部分についての増強連続スペクトルのグラフである。
【図5】本発明に従って形成された例示的な増強連続スペクトル周波数コム発生器のブロック図である。
【図6】図5の構成に関連するモデル・スペクトルのグラフである。
【図7】図5に示されるように形成された増強連続スペクトル周波数コムから発生された、連続スペクトルと安定化レーザとの間のビート・ノートの実際のグラフである。
【図8】高周波数ビート・ノートを形成するために周波数倍増要素を使用して所望のコム・ラインの位置をシフトさせる、本発明の一代替実施形態を示す図である。
【図9】図8の実施形態に関するビート・ノートのシフトを示すグラフである。
【図10】本発明の自己ヘテロダイン実施形態を示す図である。
【図11】図10の実施形態によって発生された光スペクトルのグラフである。
【図12】発生周波数コムの安定性を制御するために発生ビート・ノートがフィードバック・ループにおいて使用される、本発明の代替構成を示す図である。
【図13】設けられたブラッグ回折格子の出口側に光タップを含む、図12の実施形態の一変形である。
【図14】このケースでは、ブラッグ回折格子の入口側に配置された光タップを含む、図12の実施形態の別の変形である。
【図15】複数の別個の後処理特徴(すなわち複数の別個の回折格子)がHNLFのセクションに沿って配置される、本発明のさらに別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
過去数年、高非線形光ファイバ(HNLF)におけるスーパーコンティニューム発生ばかりでなく、超高速レーザの技術的成熟が光周波数計測に急激な変化をもたらした。標準の分散シフトファイバよりも3倍大きい非線形係数を提供する比較的大きいコアドーパント濃度と全体的に小さいコア直径とで、上述の高非線形光ファイバを定義してもよい。更には、HNLFのセクションからのラマン利得は、従来のファイバで実現可能な利得よりも2倍より大きい利得である(実際には、従来のファイバよりも2.5倍の利得が予定されている。)。光周波数計測学の領域においては、安定化周波数コムは、光基準に基づいた原子クロックの実施を可能にしたばかりでなく、前例のない精度での光周波数の直接的測定をも可能にした。周波数コムの周波数安定化の一態様は、自己参照(self-referencing)であり、連続スペクトルの搬送波包絡オフセット周波数(carrier-envelop offset frequency)f0を検出および安定化するために、HNLFからのオクターブにわたる連続スペクトルを使用することができる。上記のようなコムの周波数安定化の別の態様は、「うなり周波数」、すなわちビート・ノートを生成するために、コムの特定のモードを定められた光基準周波数を用いてヘテロダインすることに関連する。一般に、ビート・ノートは、2つの光場が検波器内に同時発生する時に電気ドメイン(electrical domain)において発生する。パワーが線形(Vout=E×E*)である標準的な2乗検波器の場合、出力ビート・ノートは2つの電界(E field)の積:E1×E2*から生じる。したがって、出力電圧はE1およびE2のすべての周波数成分の和と差の両方を含んでいる。光場(optical field)の場合、和周波数は通常非常に大きいので、従来の検波装置によって検波することはできない。したがって、その後に「検波」される信号は差周波数だけである。これらの「差周波数」は「ビート・ノート」として定義され、検波器は周波数を「混合する」と称し、検波器は普通「混合器」と呼ばれる。ときには、この「差」ビート・ノートの測定はヘテロダイン測定と呼ばれる。尚、用語「ビート・ノート(beat note)」は、2つの信号の和/差周波数を表すべく電気(RF)ドメインにおいて特に用いているが、「光ビート・ノート(optical beat note)」は、ここでは、2つの光周波数の間の干渉(即ち、2つの異なる周波数において発振する電場の間での重なり)を表すものとして考えることができる。
【0017】
ビート・ノートを発生させる際、複数の(名目上)等間隔かつ明瞭な周波数成分を含む電界として連続スペクトル・コムを定義し得ると考えることができる。「ビート・ノート」は、1つまたは複数のこれらの周波数成分が検波器内において明瞭な(1つまたは複数の)周波数の別の電界と合成されるときに発生する。上で述べられたように、ビート・ノートは、検波器で検波可能な1つまたは複数の明瞭な周波数の間の(1つまたは複数の)差周波数として定義される。この構成において使用される電界信号は、コム自体、通常は、例えば倍増または3倍増のように周波数変換されたコムの一部によって提供されることができる(「フロム・コム(from the comb)」タイプのビート・ノート発生と呼ばれる)。代替として、別個の信号源、通常は安定化レーザ発振器から(「アウトサイド・コム(outside the comb)」)、その他の電界を提供することもできる。さらに、2つの光周波数の間の任意のビート・ノートも、通常はRF領域の別の周波数をもったビート・ノートを発生させることができる。
【0018】
生成されたビート・ノートの信号対雑音比(SNR)は連続スペクトルのパワーおよび雑音属性に依存する。非線形ファイバのいくつかの設計要素は、発生連続スペクトルを大まかに選択はするものの、一般的に言えば、出力スペクトルに対して非常にわずかな制御しか行わない。さらに、スペクトルはまれにしか一様とならず、むしろ非常にわずかな光を伴うスペクトル領域を含む。本発明の構成は、SNRが著しく改善されたビート・ノートを発生させる能力を生み出すスペクトル増強連続スペクトル(spectrally enhanced continuum)を提供することによって、これらの難点に対処する。
【0019】
図1は、HNLFのセクションを使用して光周波数コムを発生させるための従来技術による例示的な構成を示している。このケースでは、パルス列をHNLFのセクション12に入射させるため、図示されたように、フェムト秒パルス・レーザ源10が使用される。そのようなフェムト秒パルスのHNLFのセクションに沿った伝播は、光連続出力スペクトルを生成することが知られている。発生コムの周波数との間で「うなりを生じさせ(beat)」、「ビート(beat)」ノートを発生させる単一周波数の光信号を生成するために別個のCWレーザ源14が使用される。CW信号は、光ファイバの別個の部分16に沿って(または、代替的に、自由空間光信号として)伝播し、その後、光合成器18において連続スペクトル信号と合成される。その後、CW信号と周波数コムとによって発生されたビート・ノートを測定するために、光検波器20が使用される。
【0020】
この従来技術構成の一例では、1.26μmを中心とする1.2nJ、35fsのパルス源がパルス源10として使用された。パルスが分散フラットHNLF12の2メートルの部分に入射された。657nmの波長で動作するCWレーザが合成信号として使用された。同様の構成(このケースでは、HNLF12沿いに周波数倍増要素を含む)に関する発生ビート・ノートが図2のグラフに示されている。図示されたように、ビート・ノートは30kHzの分解能帯域幅(RBW)で20dBのオーダのSNRを示している。本発明の目的は、このSNR値を改善することである。
【0021】
発明者らが先に行った、米国特許出願第11/063406号及び同第11/063380号(2005年2月22日出願)の先の出願では、HNLFのセクションを「後処理(post processing)」することによって、ファイバ連続スペクトル・コムの帯域幅が増加することを説明した。そこで定義されているように、「後処理」には、以下に限定されるわけではないが、UV暴露、電磁場処理、機械的に導入されたファイバ歪み、温度処理、その他その発生したコンティニュームを強めることになる手法でHNLFの分散特性を変更する全ての手法が含まれる。さらに、回折格子をHNLF構造に追加する形の後処理を使用することによって、ファイバ周波数コム内の周波数の狭い範囲を大幅に増強することができる。図3は、(後処理製造ステップとして)回折格子を周波数コムを形成するのに使用されるHNLFのセクションに書き込むことによって周波数コム・スペクトルに導入された、Gで表される増強「ピーク」特徴を示す増強連続スペクトルのグラフである。上で触れた同時係属中の出願で説明されたように、連続スペクトル内の1つまたは複数のピークの位置を決定するために、回折格子特性(周期、ピッチなど)を制御することができる。一般的に、ブラッグ回折格子(Bragg grating)からの増強が、ブラッグ後方反射(Bragg back reflection)の結果として、回折格子が低伝導(low transmission)を有する帯域幅の比較的小さい倍数に等しい波長帯域幅に限定される。ブラッグ反射が生じるこの帯域幅を「回折格子帯域幅(grating bandwidth)」と定義するが、これは、強いブラッグ後方反射の結果として、回折格子が低伝導を有する帯域幅の比較的小さい倍数に等しい波長帯域幅に制限される。この回折格子が増強された帯域幅を「回折格子帯域幅」または「回折格子光バンドギャップ(grating photonic bandgap)」と定義し、これが、コンティニュームスペクトラム上のブラッグ回折格子の効果を測定するために基本波長スケールを提供する。回折格子増強(grating enhancement)は、コンティニュームスペクトルを所定の距離だけ離して検査し、このスペクトルを回折格子の近くの(1または複数の)スペクトルピークと比較することで認識することができる。典型的な回折格子増強においては、回折格子近くのピークは、波長から所定の数(例えば、5)だけ離れたコンティニュームの少なくとも2倍の大きさである。尚、回折格子増強は、典型的には、最小のコンティニュームの近くのスペクトルを増強させるために印加されたときに関連することになる点に留意されたい。図3は、コンティニュームスペクトル全体と比較して比較的大きい回折格子増強を説明するが、これは、増強されたビートノートを生成する場合には必要ではない。この場合には、ブラッグ共振(Bragg resonances)の近くのスペクトルピークは、ブラッグ波長から数十、数百ナノメータだけ離れて生じるコンティニュームスペクトルの最大値よりも未だに小さいが、周辺のコンティニュームと比較しては大きいものである。回折格子をHNLFのセクションに書き込む代わりに、図4に示されたように、周波数コム・スペクトルの特定の波長範囲の「増強」を生み出すために、追加的なUV照射(または、熱処理、機械的処理等)を後処理技法として使用することができる。
【0022】
本発明の教示によれば、スーパーコンティニュームHNLFのセクションを使用して形成される周波数コム内において発生するビート・ノートは、HNLFの後処理を実行しその分散、非線形性および有効面積特性を修正することによって、そのパワーが増強される。図5に示された一実施形態では、スーパーコンティニュームがfsパルス・レーザ源10を使用して発生され、発生パルスが高非線形光ファイバ12(HNLF)に入射する。本発明によれば、HNLF12は、ブラッグ回折格子40を含むように「後処理」されている(ブラッグ回折格子は、コア屈折率が周期的に変調する共振構造として機能する)。別個のレーザ源14は、光ファイバ部分16に沿って入射され、fbeatで表されるうなり周波数を発生させるためにHNLF12からの周波数コム出力と合成器18内で合成される、単一周波数レーザ・ラインを発生させるために使用される。図6は、周波数コム、回折格子特徴G、源14から出力されるCWレーザ・ライン、およびうなり周波数fbeatが示された、図5の構成に関連するスペクトルのグラフである。そのような安定した(すなわち「増強された」)うなり周波数を発生させる能力は、光通信システムにおけるクロック信号の供給など、周波数安定化が問題となる様々な構成において、本発明の構成が利用されることを可能にする。
【0023】
図7は、HNLF内に回折格子を含む本発明に従って形成された構成に関する発生ビートのグラフである。従来技術による構成のように、このグラフは、NISTのK. Kim、S. A. Diddams及びL. Hollbergによって測定された、1.26μmを中心とする1.2nJ、35fsのパルス源を使用する構成から作成され、パルスは分散フラットHNLF12の2メートルの部分に入射された。657nmの波長で動作するCWレーザを合成信号として使用した。図示するように、ブラッグ回折格子を含む本発明の構成のSNRは約45dBの値に改善され、20dBのオーダの改善をみせた。
【0024】
図8は、本発明の一代替実施形態を示しており、周波数変換要素30(例えば、周波数倍増器(frequency doubler))を使用して、回折格子増強Gの位置がシフトされ、増強の周波数シフトは、関連するうなり周波数の位置のシフトを生じさせる。図9は、図8の構成によるこれらの周波数の移動を示したグラフである。図8を参照すると、周期分極反転ニオブ酸リチウム(Periodically-Poled Lithium Niobate:PPLN)素子などの周波数倍増要素30が、回折格子40を越えたHNLF12沿いに配置され、回折格子増強の付近の発生スーパーコンティニュームのスペクトル成分を周波数倍増するために使用される。図9のグラフは、発生周波数コム・スペクトル内における元の回折格子増強Gの位置ばかりでなく、(波長は周波数に反比例するので)周波数コムより下の波長値において周波数倍増回折格子誘導増強(frequency-doubled grating-induced enhancement)を生み出す「周波数倍増」増強の位置も示している。レーザ源16からのレーザ・ライン出力と合成されるとき、図9に示されるように、今度はうなり周波数fbeatがスペクトルに沿って下方にシフトされる。一代替実施形態では、代わりに、周波数変換要素30は「3倍増」要素を含んで、うなり周波数のさらなる移動を生じさせることもできる。
【0025】
コム「内の」周波数間でビート・ノートを発生させるために、図10に示されるような本発明の自己ヘテロダイン構成を使用することができ、その結果、外部レーザ・ライン源が必要でなくなる。このケースでは、(従来の50:50光ビーム分割器などの)ビーム分割器50が回折格子40の出力側のHNLF12沿いに配置される。回折格子増強コム信号の第1の部分は、HNLFのセクション52に沿って伝播し、その後、図8および図9に関連して上で説明されたような周波数倍増要素30への入力として利用される。ビーム分割器50からの信号の残りの部分を第2のレーザ源として用いて、HNLFの別の部分54に結合され、その後、合成器18において周波数倍増信号と再合成される。尚、ビーム分割器/合成器として光合成器18を用いることは単なる例示であり、好ましいインラインの例においては、f及び2fで伝搬する信号を「時間内(in-time)」でオーバラップすべく、単一モードファイバのセクションを合成器18として用いることも可能である点に留意されたい。図11は、この実施形態によって発生された光スペクトルを示しており、「自己ヘテロダイン」の結果、うなり周波数として使用される周波数倍増回折格子増強が生み出されている。
【0026】
本発明の重要な態様は、うなり周波数を監視し、発生コムを安定化するためにこの情報を使用してパルス源を制御する能力である。図12は、光検波器20とfsパルス源10との間に結合された要素60によって表される一般化されたフィードバック構成を示している。光検波器20においてうなり周波数に所定の望まない「シフト」が測定された場合、フィードバック要素60はこの情報を使用して補正信号をパルス源10に送り、うなり周波数を希望値に戻すようにパルス源10にその出力信号を調整させる。図13は図12の構成の変形を示しており、回折格子40の出力側に光タップ要素70を含むことで、回折格子増強連続スペクトルがその他の用途に使用されることを可能にしている。図14は図12の構成の別の変形を示しており、このケースでは、回折格子40の前方に配置された光タップ要素80を含むことで、元のレーザパルスの一部について、他の用途に利用する増強されたコンティニューム信号と近似(または、同じ)コンティニュームを生成することができる。例示されてはいないが、図13および図14の構成を組み合わせて、両方のタイプの連続スペクトル信号をその他の目的に使用可能にすることもできる。言うまでもなく、これらの実施形態のいずれについても、タップオフされた信号に関するパワーは、うなり周波数を発生させるのに使用される構成の部分でも十分な量のパワーが残っているように制御される必要がある。さらに、図12乃至図14に示された例は、フィードバック信号を再度用いてパルス源10からの出力を安定化する図8で示された手法でも用いることができることを理解されたい。
【0027】
図15は本発明の一代替実施形態を示しており、1組の3つの異なる回折格子要素40−1、40−2、および40−3がHNLF12沿いの離れた位置に配置されている。複数の後処理増強の利用の結果、関連する連続スペクトル(spectral continuum)に沿って複数の増強スペクトル成分が形成され、複数のうなり周波数を発生させることができる。
【0028】
光信号の搬送波包絡線を安定化させるための構成では、例えば、(一方は周波数「f」を中心とし、他方は周波数「2f」を中心とする)1対の回折格子要素が使用される。「f」における周波数コムは倍増され、その後、搬送波オフセット周波数「f0」を発生させるために、「2f」における周波数コムとの間でうなりを生じさせられる。搬送波オフセット周波数は、その後、「f0」値の近くの安定した基準にロックされ、したがって、コム周波数を安定したグリッド上にロックする。fおよび2fにおける回折格子の使用は、f0におけるビート・ノートのSNRを改善する。(その他の所望の中心周波数における)第3の回折格子の追加は、コムの別の任意の部分を増強するように機能し、コムを任意の外部レーザ源と比較するのに使用される。代替的な搬送波包絡安定構成では、ファイバに固有の非線形性は「f」の値を3倍し、fおよび3fでの信号がビート・ノートを発生させることができることが知られているので、周波数fおよび3fにおいて1対の回折格子を使用することもできる。第1の例と同様に、任意の外部レーザ源と合成するために、第3の回折格子を使用することができる。
【0029】
これらの実施例は明示的には複数の別個の物理的回折格子の使用について説明しているが、単一の回折格子を、またはよく知られた製造技法を使用して、複数の回折格子がファイバの単一セクション内に導入(全てまたは一部がオーバラップ)された「上書き」回折格子("overwritten grating")として、またはそれ自体が複数の等間隔の波長において増強を生み出すことができる「サンプル」回折格子("sampled grating")として構成することもできる。さらに、本願発明に従って使用されたファイバ回折格子は任意の屈折率変更プロファイル、回折格子周期、そしてコア屈折率を示してもよい。このような任意の複合回折格子は、ある応用に対して、大きく、そして特別に設計された増強ピークをもたらす。
【0030】
添付の図面を参照しながら上で説明された本発明の実施形態は、例としてのみ提示されたものであり、周波数安定化構成の性能を増強するために修正および追加構成要素を提供することができることを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定化された光ファイバ・ベース周波数コム源(stabilized optical fiber-based frequency comb source)に関し、より詳細には、製造後処理中に高非線形ファイバ(Highly-Non Linear Fiber:HNLF)のセクションを修正して、HNLF内で発生される周波数コム(frequency comb)の信号対雑音比を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
低雑音の広帯域光源(supercontinuum(スーパーコンティニューム))が特別な関心を集める、光ファイバ分野における応用が存在する。例えば、共通の光源を使用して複数の波長分割多重(WDM)信号を発生させる、スペクトル・スライスに対する取り組みが今も行われている。したがって、そのような応用は多くのレーザを単一の光源で置き換える可能性を秘めている。その他の応用には、周波数計測、デバイス特性評価、特殊ファイバ上で行われる分散測定、および回折格子の送信特性の決定などがあるが、これらに限定されない。これら様々な診断ツールはすべて、上記の広帯域源の利用可能性によって大幅に機能強化される場合がある。
【0003】
一般に、スーパーコンティニュームの発生は相対的に高パワーのレーザ光(通常はパルス光)を光ファイバ、導波路、またはその他のマイクロストラクチャ(microstructure)に入射させることを必要とし、レーザ・パルス列はファイバ内における非線形相互作用のためにそのスペクトルが著しく広げられる。数キロメートル長のファイバにおいてピコ秒(10−12秒)のオーダをもつ光パルスを使用して通常は実行されるスーパーコンティニューム発生に対する現在の取り組みは、残念ながら発生プロセスにおいてコヒーレンスの劣化を招いている。特に、プロセスのスペクトル広幅化局面において、システム内に追加的雑音が導入されることが分かっている。
【0004】
近頃、分散スロープが低く有効面積が小さい、比較的新しいタイプのゲルマニウムドープ・シリカ・ファイバ(これ以降「高非線形ファイバ」またはHNLFと称する)が開発された。HNLFの非線形係数は、小コアのマイクロストラクチャ・ファイバを用いて得られる非線形係数よりはかなり小さいが、HNLFの有効面積が小さいため標準的な送信ファイバの非線形係数よりは数倍大きい。HNLFとフェムト秒ファイバ・レーザとを使用するスーパーコンティニュームの発生が様々な筋から報告されている。特に、2004年8月10日にJ.W.Nicholson他に付与された米国特許第6、775、447号は、各部分が光源の波長で異なる分散値を有し、また5から15平方ミクロンの間の有効面積を有する、溶合された複数のHNLFファイバの別個の部分から形成されるHNLFスーパーコンティニューム源を開示している。
【0005】
波長が1オクターブを超える範囲にわたるスーパーコンティニューム光が、フェムト秒(10−15秒)のオーダをもつ光パルスをマイクロストラクチャまたはテーパを有する光ファイバの端部に入射させることによって、当該マイクロストラクチャおよびテーパファイバ内に発生する。そのように発生した極限スペクトル(extreme spectra)は、例えば、高精度光周波数コムにおいてと同様、パルス対パルス搬送波包絡位相(pulse-to-pulse carrier envelope phase)を測定し安定させる際にも有用である。修正された非線形シュレーディンガ方程式に基づいてマイクロストラクチャ・ファイバ内における連続スペクトルをモデル化する取り組みは、スペクトル発生に必要とされる基本プロセスを理解することを目的としており、発射パルスの持続時間がピコ秒からフェムト秒のオーダに短縮されるにつれて、コヒーレンスがより良好に維持されることを示している。
【0006】
スーパーコンティニューム源からの光周波数コムの提供には、コムを構成する個々の周波数成分について高度な安定性を必要とする複数の応用が存在する。例えば、安定なコムは、安定な発振器および周波数比較器として使用することができるばかりでなく、超高精度な光クロックに基礎を提供することもできる。安定化プロセスは、コムにそれ自体の一部および/またはその他の光源との間でうなり(beat)を生じさせることによって、様々なRFビート・ノート(beat note)を発生する必要がある。これらのビート・ノートの信号対雑音比(SNR)は連続スペクトルのパワーおよび雑音属性に依存する。例えば、数キロメートル長のファイバにおいてピコ秒のパルスによって連続スペクトルが発生する場合、非常に短い長さのファイバ(すなわち1メートル未満)においてフェムト秒のパルスによって連続スペクトルが発生される場合に比べて、連続スペクトル内にかなり多くの位相雑音が存在する。かつては、ビート・ノートの雑音は、例えば、レーザ雑音を低減させること、ファイバの分散および非線形性を調整すること、またはビート・ノートの測定および安定化に使用されるRF電子機器を改良することによって改善されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第60/677700号
【特許文献2】米国特許第6775447号
【特許文献3】米国特許出願第11/063406号
【特許文献4】米国特許出願第11/063380号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、コム安定化構成のSNRの改善は、安定化光ファイバ周波数コムの安定性および堅牢性に直接的で即時的な影響を与えるので、重要な探求課題であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来技術に残された必要性が、安定化された光ファイバ・ベース周波数コム源に関し、より詳細には、製造後処理中に高非線形ファイバ(HNLF)のセクション(section)を修正して、HNLF内で生成される周波数コムの信号対雑音比を改善することに関する本発明によって対処される。
【0010】
本発明によれば、HNLFのセクションから形成される光ファイバ連続スペクトル周波数コム(optical fiber continuum frequency comb)内において選択されたスペクトル領域のSNRを改善するために、後処理技法が使用される。光周波数コムのコヒーレンス属性は、後処理から形成される増強されたスーパーコンティニューム発生領域内で維持されることが発見されている。増強内で連続スペクトルのコヒーレンス(位相雑音)を維持することによって、追加の信号源に関連するヘテロダイン・ビート・ノート信号の増幅は、(ファクタが10以上も)著しく改善されたSNRを示す。
【0011】
好ましい後処理技法は、連続スペクトル発生高非線形ファイバ内におけるブラッグ回折格子の形成であり、この回折格子は回折格子共振付近の狭い帯域幅において強いスペクトル増強を発生させる。その他のタイプの後処理には、ファイバの屈折率分布を変化させる紫外線光((UV light)、またはその他の適切な放射源)を用いたHNLFのコア領域の一様(DC)な、または緩やかに変化する照射、ファイバ・コア付近の「凍結」ひずみ("frozen-in" strain)の解放、強い直流電場の印加、及び/または1またはそれ以上の所定の温度におけるHNLFへの温度処理が含まれるが、これらに限定されない。
【0012】
一実施形態では、外部CWレーザ源を使用して、コム内の周波数からビート・ノートを発生させるために必要とされるレーザ・ライン源を提供してもよい。代替として、発生した周波数コムに関連して周波数逓倍器を使用して、コム「内」から1つまたは複数のうなり周波数(beat frequency)を発生させる信号を提供してもよい。さらに、所望のビート・ノートを、これらの光周波数の間の発生されたビート・ノートのどちらかを通常はRF領域内の1つまたは複数の電気信号と合成することによって、発生させてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態では、改善された信号対雑音比(SNR)を搬送波包絡安定化方式(carrier-envelope stabilization scheme)で提供するために、複数の別個の後処理領域をHNLFの全長に沿って配置することができる。構成をさらに安定化させるために、フィードバック信号パスをビート・ノート出力を提供する検出器の出力とパルス・レーザ源との間に追加することもできる。
【0014】
本発明のその他およびさらなる実施形態は、添付の図面を参照しながら以下の説明を進めて行くうちに明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】高非線形光ファイバ(HNLF)を使用して光周波数コムおよび関連するビート・ノートを発生させるための従来技術による例示的な構成を示す図である。
【図2】図1の構成と同様の構成における「ビート・ノート」の発生を示すグラフである。
【図3】HNLFの後処理部分を使用した、「ピーク」特徴を示す増強連続スペクトルのグラフである。
【図4】HNLFのUV照射による後処理部分についての増強連続スペクトルのグラフである。
【図5】本発明に従って形成された例示的な増強連続スペクトル周波数コム発生器のブロック図である。
【図6】図5の構成に関連するモデル・スペクトルのグラフである。
【図7】図5に示されるように形成された増強連続スペクトル周波数コムから発生された、連続スペクトルと安定化レーザとの間のビート・ノートの実際のグラフである。
【図8】高周波数ビート・ノートを形成するために周波数倍増要素を使用して所望のコム・ラインの位置をシフトさせる、本発明の一代替実施形態を示す図である。
【図9】図8の実施形態に関するビート・ノートのシフトを示すグラフである。
【図10】本発明の自己ヘテロダイン実施形態を示す図である。
【図11】図10の実施形態によって発生された光スペクトルのグラフである。
【図12】発生周波数コムの安定性を制御するために発生ビート・ノートがフィードバック・ループにおいて使用される、本発明の代替構成を示す図である。
【図13】設けられたブラッグ回折格子の出口側に光タップを含む、図12の実施形態の一変形である。
【図14】このケースでは、ブラッグ回折格子の入口側に配置された光タップを含む、図12の実施形態の別の変形である。
【図15】複数の別個の後処理特徴(すなわち複数の別個の回折格子)がHNLFのセクションに沿って配置される、本発明のさらに別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
過去数年、高非線形光ファイバ(HNLF)におけるスーパーコンティニューム発生ばかりでなく、超高速レーザの技術的成熟が光周波数計測に急激な変化をもたらした。標準の分散シフトファイバよりも3倍大きい非線形係数を提供する比較的大きいコアドーパント濃度と全体的に小さいコア直径とで、上述の高非線形光ファイバを定義してもよい。更には、HNLFのセクションからのラマン利得は、従来のファイバで実現可能な利得よりも2倍より大きい利得である(実際には、従来のファイバよりも2.5倍の利得が予定されている。)。光周波数計測学の領域においては、安定化周波数コムは、光基準に基づいた原子クロックの実施を可能にしたばかりでなく、前例のない精度での光周波数の直接的測定をも可能にした。周波数コムの周波数安定化の一態様は、自己参照(self-referencing)であり、連続スペクトルの搬送波包絡オフセット周波数(carrier-envelop offset frequency)f0を検出および安定化するために、HNLFからのオクターブにわたる連続スペクトルを使用することができる。上記のようなコムの周波数安定化の別の態様は、「うなり周波数」、すなわちビート・ノートを生成するために、コムの特定のモードを定められた光基準周波数を用いてヘテロダインすることに関連する。一般に、ビート・ノートは、2つの光場が検波器内に同時発生する時に電気ドメイン(electrical domain)において発生する。パワーが線形(Vout=E×E*)である標準的な2乗検波器の場合、出力ビート・ノートは2つの電界(E field)の積:E1×E2*から生じる。したがって、出力電圧はE1およびE2のすべての周波数成分の和と差の両方を含んでいる。光場(optical field)の場合、和周波数は通常非常に大きいので、従来の検波装置によって検波することはできない。したがって、その後に「検波」される信号は差周波数だけである。これらの「差周波数」は「ビート・ノート」として定義され、検波器は周波数を「混合する」と称し、検波器は普通「混合器」と呼ばれる。ときには、この「差」ビート・ノートの測定はヘテロダイン測定と呼ばれる。尚、用語「ビート・ノート(beat note)」は、2つの信号の和/差周波数を表すべく電気(RF)ドメインにおいて特に用いているが、「光ビート・ノート(optical beat note)」は、ここでは、2つの光周波数の間の干渉(即ち、2つの異なる周波数において発振する電場の間での重なり)を表すものとして考えることができる。
【0017】
ビート・ノートを発生させる際、複数の(名目上)等間隔かつ明瞭な周波数成分を含む電界として連続スペクトル・コムを定義し得ると考えることができる。「ビート・ノート」は、1つまたは複数のこれらの周波数成分が検波器内において明瞭な(1つまたは複数の)周波数の別の電界と合成されるときに発生する。上で述べられたように、ビート・ノートは、検波器で検波可能な1つまたは複数の明瞭な周波数の間の(1つまたは複数の)差周波数として定義される。この構成において使用される電界信号は、コム自体、通常は、例えば倍増または3倍増のように周波数変換されたコムの一部によって提供されることができる(「フロム・コム(from the comb)」タイプのビート・ノート発生と呼ばれる)。代替として、別個の信号源、通常は安定化レーザ発振器から(「アウトサイド・コム(outside the comb)」)、その他の電界を提供することもできる。さらに、2つの光周波数の間の任意のビート・ノートも、通常はRF領域の別の周波数をもったビート・ノートを発生させることができる。
【0018】
生成されたビート・ノートの信号対雑音比(SNR)は連続スペクトルのパワーおよび雑音属性に依存する。非線形ファイバのいくつかの設計要素は、発生連続スペクトルを大まかに選択はするものの、一般的に言えば、出力スペクトルに対して非常にわずかな制御しか行わない。さらに、スペクトルはまれにしか一様とならず、むしろ非常にわずかな光を伴うスペクトル領域を含む。本発明の構成は、SNRが著しく改善されたビート・ノートを発生させる能力を生み出すスペクトル増強連続スペクトル(spectrally enhanced continuum)を提供することによって、これらの難点に対処する。
【0019】
図1は、HNLFのセクションを使用して光周波数コムを発生させるための従来技術による例示的な構成を示している。このケースでは、パルス列をHNLFのセクション12に入射させるため、図示されたように、フェムト秒パルス・レーザ源10が使用される。そのようなフェムト秒パルスのHNLFのセクションに沿った伝播は、光連続出力スペクトルを生成することが知られている。発生コムの周波数との間で「うなりを生じさせ(beat)」、「ビート(beat)」ノートを発生させる単一周波数の光信号を生成するために別個のCWレーザ源14が使用される。CW信号は、光ファイバの別個の部分16に沿って(または、代替的に、自由空間光信号として)伝播し、その後、光合成器18において連続スペクトル信号と合成される。その後、CW信号と周波数コムとによって発生されたビート・ノートを測定するために、光検波器20が使用される。
【0020】
この従来技術構成の一例では、1.26μmを中心とする1.2nJ、35fsのパルス源がパルス源10として使用された。パルスが分散フラットHNLF12の2メートルの部分に入射された。657nmの波長で動作するCWレーザが合成信号として使用された。同様の構成(このケースでは、HNLF12沿いに周波数倍増要素を含む)に関する発生ビート・ノートが図2のグラフに示されている。図示されたように、ビート・ノートは30kHzの分解能帯域幅(RBW)で20dBのオーダのSNRを示している。本発明の目的は、このSNR値を改善することである。
【0021】
発明者らが先に行った、米国特許出願第11/063406号及び同第11/063380号(2005年2月22日出願)の先の出願では、HNLFのセクションを「後処理(post processing)」することによって、ファイバ連続スペクトル・コムの帯域幅が増加することを説明した。そこで定義されているように、「後処理」には、以下に限定されるわけではないが、UV暴露、電磁場処理、機械的に導入されたファイバ歪み、温度処理、その他その発生したコンティニュームを強めることになる手法でHNLFの分散特性を変更する全ての手法が含まれる。さらに、回折格子をHNLF構造に追加する形の後処理を使用することによって、ファイバ周波数コム内の周波数の狭い範囲を大幅に増強することができる。図3は、(後処理製造ステップとして)回折格子を周波数コムを形成するのに使用されるHNLFのセクションに書き込むことによって周波数コム・スペクトルに導入された、Gで表される増強「ピーク」特徴を示す増強連続スペクトルのグラフである。上で触れた同時係属中の出願で説明されたように、連続スペクトル内の1つまたは複数のピークの位置を決定するために、回折格子特性(周期、ピッチなど)を制御することができる。一般的に、ブラッグ回折格子(Bragg grating)からの増強が、ブラッグ後方反射(Bragg back reflection)の結果として、回折格子が低伝導(low transmission)を有する帯域幅の比較的小さい倍数に等しい波長帯域幅に限定される。ブラッグ反射が生じるこの帯域幅を「回折格子帯域幅(grating bandwidth)」と定義するが、これは、強いブラッグ後方反射の結果として、回折格子が低伝導を有する帯域幅の比較的小さい倍数に等しい波長帯域幅に制限される。この回折格子が増強された帯域幅を「回折格子帯域幅」または「回折格子光バンドギャップ(grating photonic bandgap)」と定義し、これが、コンティニュームスペクトラム上のブラッグ回折格子の効果を測定するために基本波長スケールを提供する。回折格子増強(grating enhancement)は、コンティニュームスペクトルを所定の距離だけ離して検査し、このスペクトルを回折格子の近くの(1または複数の)スペクトルピークと比較することで認識することができる。典型的な回折格子増強においては、回折格子近くのピークは、波長から所定の数(例えば、5)だけ離れたコンティニュームの少なくとも2倍の大きさである。尚、回折格子増強は、典型的には、最小のコンティニュームの近くのスペクトルを増強させるために印加されたときに関連することになる点に留意されたい。図3は、コンティニュームスペクトル全体と比較して比較的大きい回折格子増強を説明するが、これは、増強されたビートノートを生成する場合には必要ではない。この場合には、ブラッグ共振(Bragg resonances)の近くのスペクトルピークは、ブラッグ波長から数十、数百ナノメータだけ離れて生じるコンティニュームスペクトルの最大値よりも未だに小さいが、周辺のコンティニュームと比較しては大きいものである。回折格子をHNLFのセクションに書き込む代わりに、図4に示されたように、周波数コム・スペクトルの特定の波長範囲の「増強」を生み出すために、追加的なUV照射(または、熱処理、機械的処理等)を後処理技法として使用することができる。
【0022】
本発明の教示によれば、スーパーコンティニュームHNLFのセクションを使用して形成される周波数コム内において発生するビート・ノートは、HNLFの後処理を実行しその分散、非線形性および有効面積特性を修正することによって、そのパワーが増強される。図5に示された一実施形態では、スーパーコンティニュームがfsパルス・レーザ源10を使用して発生され、発生パルスが高非線形光ファイバ12(HNLF)に入射する。本発明によれば、HNLF12は、ブラッグ回折格子40を含むように「後処理」されている(ブラッグ回折格子は、コア屈折率が周期的に変調する共振構造として機能する)。別個のレーザ源14は、光ファイバ部分16に沿って入射され、fbeatで表されるうなり周波数を発生させるためにHNLF12からの周波数コム出力と合成器18内で合成される、単一周波数レーザ・ラインを発生させるために使用される。図6は、周波数コム、回折格子特徴G、源14から出力されるCWレーザ・ライン、およびうなり周波数fbeatが示された、図5の構成に関連するスペクトルのグラフである。そのような安定した(すなわち「増強された」)うなり周波数を発生させる能力は、光通信システムにおけるクロック信号の供給など、周波数安定化が問題となる様々な構成において、本発明の構成が利用されることを可能にする。
【0023】
図7は、HNLF内に回折格子を含む本発明に従って形成された構成に関する発生ビートのグラフである。従来技術による構成のように、このグラフは、NISTのK. Kim、S. A. Diddams及びL. Hollbergによって測定された、1.26μmを中心とする1.2nJ、35fsのパルス源を使用する構成から作成され、パルスは分散フラットHNLF12の2メートルの部分に入射された。657nmの波長で動作するCWレーザを合成信号として使用した。図示するように、ブラッグ回折格子を含む本発明の構成のSNRは約45dBの値に改善され、20dBのオーダの改善をみせた。
【0024】
図8は、本発明の一代替実施形態を示しており、周波数変換要素30(例えば、周波数倍増器(frequency doubler))を使用して、回折格子増強Gの位置がシフトされ、増強の周波数シフトは、関連するうなり周波数の位置のシフトを生じさせる。図9は、図8の構成によるこれらの周波数の移動を示したグラフである。図8を参照すると、周期分極反転ニオブ酸リチウム(Periodically-Poled Lithium Niobate:PPLN)素子などの周波数倍増要素30が、回折格子40を越えたHNLF12沿いに配置され、回折格子増強の付近の発生スーパーコンティニュームのスペクトル成分を周波数倍増するために使用される。図9のグラフは、発生周波数コム・スペクトル内における元の回折格子増強Gの位置ばかりでなく、(波長は周波数に反比例するので)周波数コムより下の波長値において周波数倍増回折格子誘導増強(frequency-doubled grating-induced enhancement)を生み出す「周波数倍増」増強の位置も示している。レーザ源16からのレーザ・ライン出力と合成されるとき、図9に示されるように、今度はうなり周波数fbeatがスペクトルに沿って下方にシフトされる。一代替実施形態では、代わりに、周波数変換要素30は「3倍増」要素を含んで、うなり周波数のさらなる移動を生じさせることもできる。
【0025】
コム「内の」周波数間でビート・ノートを発生させるために、図10に示されるような本発明の自己ヘテロダイン構成を使用することができ、その結果、外部レーザ・ライン源が必要でなくなる。このケースでは、(従来の50:50光ビーム分割器などの)ビーム分割器50が回折格子40の出力側のHNLF12沿いに配置される。回折格子増強コム信号の第1の部分は、HNLFのセクション52に沿って伝播し、その後、図8および図9に関連して上で説明されたような周波数倍増要素30への入力として利用される。ビーム分割器50からの信号の残りの部分を第2のレーザ源として用いて、HNLFの別の部分54に結合され、その後、合成器18において周波数倍増信号と再合成される。尚、ビーム分割器/合成器として光合成器18を用いることは単なる例示であり、好ましいインラインの例においては、f及び2fで伝搬する信号を「時間内(in-time)」でオーバラップすべく、単一モードファイバのセクションを合成器18として用いることも可能である点に留意されたい。図11は、この実施形態によって発生された光スペクトルを示しており、「自己ヘテロダイン」の結果、うなり周波数として使用される周波数倍増回折格子増強が生み出されている。
【0026】
本発明の重要な態様は、うなり周波数を監視し、発生コムを安定化するためにこの情報を使用してパルス源を制御する能力である。図12は、光検波器20とfsパルス源10との間に結合された要素60によって表される一般化されたフィードバック構成を示している。光検波器20においてうなり周波数に所定の望まない「シフト」が測定された場合、フィードバック要素60はこの情報を使用して補正信号をパルス源10に送り、うなり周波数を希望値に戻すようにパルス源10にその出力信号を調整させる。図13は図12の構成の変形を示しており、回折格子40の出力側に光タップ要素70を含むことで、回折格子増強連続スペクトルがその他の用途に使用されることを可能にしている。図14は図12の構成の別の変形を示しており、このケースでは、回折格子40の前方に配置された光タップ要素80を含むことで、元のレーザパルスの一部について、他の用途に利用する増強されたコンティニューム信号と近似(または、同じ)コンティニュームを生成することができる。例示されてはいないが、図13および図14の構成を組み合わせて、両方のタイプの連続スペクトル信号をその他の目的に使用可能にすることもできる。言うまでもなく、これらの実施形態のいずれについても、タップオフされた信号に関するパワーは、うなり周波数を発生させるのに使用される構成の部分でも十分な量のパワーが残っているように制御される必要がある。さらに、図12乃至図14に示された例は、フィードバック信号を再度用いてパルス源10からの出力を安定化する図8で示された手法でも用いることができることを理解されたい。
【0027】
図15は本発明の一代替実施形態を示しており、1組の3つの異なる回折格子要素40−1、40−2、および40−3がHNLF12沿いの離れた位置に配置されている。複数の後処理増強の利用の結果、関連する連続スペクトル(spectral continuum)に沿って複数の増強スペクトル成分が形成され、複数のうなり周波数を発生させることができる。
【0028】
光信号の搬送波包絡線を安定化させるための構成では、例えば、(一方は周波数「f」を中心とし、他方は周波数「2f」を中心とする)1対の回折格子要素が使用される。「f」における周波数コムは倍増され、その後、搬送波オフセット周波数「f0」を発生させるために、「2f」における周波数コムとの間でうなりを生じさせられる。搬送波オフセット周波数は、その後、「f0」値の近くの安定した基準にロックされ、したがって、コム周波数を安定したグリッド上にロックする。fおよび2fにおける回折格子の使用は、f0におけるビート・ノートのSNRを改善する。(その他の所望の中心周波数における)第3の回折格子の追加は、コムの別の任意の部分を増強するように機能し、コムを任意の外部レーザ源と比較するのに使用される。代替的な搬送波包絡安定構成では、ファイバに固有の非線形性は「f」の値を3倍し、fおよび3fでの信号がビート・ノートを発生させることができることが知られているので、周波数fおよび3fにおいて1対の回折格子を使用することもできる。第1の例と同様に、任意の外部レーザ源と合成するために、第3の回折格子を使用することができる。
【0029】
これらの実施例は明示的には複数の別個の物理的回折格子の使用について説明しているが、単一の回折格子を、またはよく知られた製造技法を使用して、複数の回折格子がファイバの単一セクション内に導入(全てまたは一部がオーバラップ)された「上書き」回折格子("overwritten grating")として、またはそれ自体が複数の等間隔の波長において増強を生み出すことができる「サンプル」回折格子("sampled grating")として構成することもできる。さらに、本願発明に従って使用されたファイバ回折格子は任意の屈折率変更プロファイル、回折格子周期、そしてコア屈折率を示してもよい。このような任意の複合回折格子は、ある応用に対して、大きく、そして特別に設計された増強ピークをもたらす。
【0030】
添付の図面を参照しながら上で説明された本発明の実施形態は、例としてのみ提示されたものであり、周波数安定化構成の性能を増強するために修正および追加構成要素を提供することができることを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパーコンティニュームが発生した光周波数コムから少なくとも1つの光ビート・ノートを生成する装置であって、
パルス・レーザ源と、
スーパーコンティニューム周波数コムを発生させる、前記パルス・レーザ源に結合された高非線形光ファイバの少なくとも1つのセクションとを含み、前記少なくとも1つのセクションが、スペクトル増強光周波数コムを生み出すべく前記発生したスーパーコンティニューム周波数コム内に少なくとも1つのスペクトル増強領域を提供するよう、後処理が施されており、さらに、
第2のレーザ源と、
前記第2のレーザ源からの出力を前記高非線形光ファイバに沿って伝播した前記スペクトル増強光周波数コムとオーバーラップさせて、前記少なくとも1つの光ビート・ノートを発生させる光合成器とを含み、
前記第2のレーザ源は外部レーザ源を含み、前記外部レーザ源の出力は第1の入力として前記光合成器へ印加され、そして前記高非線形光ファイバの一部からの出力は第2の入力として前記光合成器へ印加される、装置。
【請求項2】
前記高非線形光ファイバのセクションは複数の別個の回折格子構造を含み、前記複数の回折格子構造の各々は前記発生したスーパーコンティニューム内で少なくとも1つのスペクトル増強ピークを発生する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の個別の回折格子構造が、高非線形光ファイバの単一のセクションに沿って、少なくとも一部分、上書きされる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の個別の回折格子構造の少なくとも2つの個別の回折格子が、高非線形光ファイバの異なるセクションに形成される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のレーザ源は、所定の波長においてCW信号を発生するCWレーザ源を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第2のレーザ源は、前記高非線形光ファイバの出力と前記光合成器との間に結合された周波数変換要素を含み、周波数変換されたコンティニューム信号が第1の入力として前記光合成器へ印加され、前記高非線形光ファイバからの出力信号の一部が第2の入力として前記光合成器へ印加され、そして前記コンティニュームを前記コンティニュームの変換されたバージョンとオーバラップさせることにより光ビートノートが生成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記周波数変換要素として周波数ダブラーを使用する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記周波数ダブラは周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)要素を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記周波数変換要素は高非線形ファイバ自身のセクションを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記発生された光ビート・ノートの存在を確認する、前記光合成器の出力側に配置された光検波器をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記光ビート・ノートの特性を測定し、そして、希望動作周波数での最小の信号対雑音比および/または周波数安定を少なくとも有するビート・ノートを発生させるべく前記パルス・レーザ源に補正信号を提供する、前記光検波器と前記パルス・レーザ源との間のフィードバック信号パスをさらに含む、請求項10に記載の装置。
【請求項1】
スーパーコンティニュームが発生した光周波数コムから少なくとも1つの光ビート・ノートを生成する装置であって、
パルス・レーザ源と、
スーパーコンティニューム周波数コムを発生させる、前記パルス・レーザ源に結合された高非線形光ファイバの少なくとも1つのセクションとを含み、前記少なくとも1つのセクションが、スペクトル増強光周波数コムを生み出すべく前記発生したスーパーコンティニューム周波数コム内に少なくとも1つのスペクトル増強領域を提供するよう、後処理が施されており、さらに、
第2のレーザ源と、
前記第2のレーザ源からの出力を前記高非線形光ファイバに沿って伝播した前記スペクトル増強光周波数コムとオーバーラップさせて、前記少なくとも1つの光ビート・ノートを発生させる光合成器とを含み、
前記第2のレーザ源は外部レーザ源を含み、前記外部レーザ源の出力は第1の入力として前記光合成器へ印加され、そして前記高非線形光ファイバの一部からの出力は第2の入力として前記光合成器へ印加される、装置。
【請求項2】
前記高非線形光ファイバのセクションは複数の別個の回折格子構造を含み、前記複数の回折格子構造の各々は前記発生したスーパーコンティニューム内で少なくとも1つのスペクトル増強ピークを発生する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の個別の回折格子構造が、高非線形光ファイバの単一のセクションに沿って、少なくとも一部分、上書きされる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の個別の回折格子構造の少なくとも2つの個別の回折格子が、高非線形光ファイバの異なるセクションに形成される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のレーザ源は、所定の波長においてCW信号を発生するCWレーザ源を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第2のレーザ源は、前記高非線形光ファイバの出力と前記光合成器との間に結合された周波数変換要素を含み、周波数変換されたコンティニューム信号が第1の入力として前記光合成器へ印加され、前記高非線形光ファイバからの出力信号の一部が第2の入力として前記光合成器へ印加され、そして前記コンティニュームを前記コンティニュームの変換されたバージョンとオーバラップさせることにより光ビートノートが生成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記周波数変換要素として周波数ダブラーを使用する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記周波数ダブラは周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)要素を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記周波数変換要素は高非線形ファイバ自身のセクションを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記発生された光ビート・ノートの存在を確認する、前記光合成器の出力側に配置された光検波器をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記光ビート・ノートの特性を測定し、そして、希望動作周波数での最小の信号対雑音比および/または周波数安定を少なくとも有するビート・ノートを発生させるべく前記パルス・レーザ源に補正信号を提供する、前記光検波器と前記パルス・レーザ源との間のフィードバック信号パスをさらに含む、請求項10に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−58751(P2012−58751A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251191(P2011−251191)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【分割の表示】特願2006−129104(P2006−129104)の分割
【原出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(302003314)フルカワ エレクトリック ノース アメリカ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【分割の表示】特願2006−129104(P2006−129104)の分割
【原出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(302003314)フルカワ エレクトリック ノース アメリカ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】
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