説明

後処理装置および画像形成装置

【課題】用紙の後端がシフトコロを抜けるまで待つ必要なく、シフトコロをホーム位置に戻せるようにすることで、生産性を上げることが可能な後処理装置およびこれを装着した画像形成装置を提供する。
【解決手段】退避手段は、シフトコロ33を従動ローラ40から退避させるための制御構成を含む手段であり、シフトコロ33を従動ローラ40から離間する方向に変位させるための、軸33aの用紙幅方向Yの両端部に設けられたシフト退避機構75a,75bと、シフトコロ33をシフト先へ移動させた後であって、シフトコロ33における下流側の排紙ローラに用紙先端が到達したときに、シフトコロ33を従動ローラ40から退避させる退避制御、および退避完了後にシフトコロ33を自身のホーム位置へ移動させる制御を行う制御部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置および画像形成装置に関し、詳しくは、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、孔版印刷装置を含む印刷機等またはそれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置から排出される用紙などのシートを受入れて必要な後処理を施す後処理装置およびこれが装着される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、孔版印刷装置を含む印刷機等またはそれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置から排出されたシート(以下、シートの一例としての「用紙」を代表して説明する)を受入れて必要な後処理、例えば穿孔、仕分け(以下、単に「シフト」ともいう)、綴じ、折り等を行う後処理装置がある。「シフト」は、用紙を所定枚数・部ごとに仕分けする機能であり、そのための技術が考えられ既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、生産性を上げるという目的で、シフトコロを2つ設け、さらにその分の搬送路を設けることで、用紙の後端がコロを抜けるまで待つなどの時間を省くようにしている技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術を含め、今までのようにシフトコロ(シフト駆動部材)を従動ローラに当接させたままシート搬送方向と直交する直交方向(以下、「シート幅方向」ともいう)に移動させる方法では、用紙の後端がシフトコロを抜けるまで元の位置(以下、「ホーム位置」ともいう)に戻すことができず、その時間分生産性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、用紙の後端がシフトコロを抜けるまで待つ必要なくシフトコロをホーム位置に戻せるようにすることで、生産性を上げることが可能な後処理装置およびこれを装着する画像形成装置を実現し提供することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、画像形成装置から排出されるシートに対して仕分け、穿孔および綴じのうちの少なくとも仕分けを含む後処理を施す後処理装置において、シート搬送方向と直交する直交方向に移動して前記後処理装置内を搬送中のシートを部ごとに仕分けするシフト駆動部材、および該シフト駆動部材に従動する従動部材とを備えたシフト手段と、前記後処理を施されたシートを排出する排出手段と、前記排出手段により排出される前記後処理を施されたシートを積載する積載手段と、前記シフト駆動部材を前記従動部材から退避させる退避手段とを有し、前記退避手段は、前記シフト駆動部材を前記従動部材から離間する方向に変位させる退避機構と、前記シフト駆動部材をシフト先へ移動させた後であって、前記シフト駆動部材における下流側のシート搬送手段にシートの先端が到達したときに、前記シフト駆動部材を前記従動部材から退避させる退避制御、および退避完了後に前記シフト駆動部材を前記シフト駆動部材のホーム位置へ移動させる制御を行う制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の後処理装置において、前記退避機構は、前記シフト駆動部材を鉛直方向に動作可能とする可動スペース部と、前記鉛直方向に動作させる退避駆動源と、該退避駆動源の駆動力を前記シフト駆動部材に伝達させる連結部とを有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の後処理装置において、前記退避駆動源として、ソレノイドを用いていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の後処理装置において、前記連結部は、前記シフト駆動部材の軸を回転可能に支持し、かつ、前記鉛直方向へ移動可能となるように連結されていることを特徴とする。
【0008】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の後処理装置において、前記シフト駆動部材と前記シート搬送手段との間の搬送経路に配設され、搬送されてくるシートの先端を検知するシート検知手段と、前記シフト駆動部材をパルス入力で駆動する駆動手段とを有し、前記制御手段は、シート検知手段からの信号および前記駆動手段に付与される駆動パルス数に基づいて、前記シフト駆動部材のシフト先への移動後に、前記シート搬送手段にシートの先端が到達したことを判断することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の後処理装置において、前記制御手段は、前記シフト駆動部材を前記ホーム位置へ移動後に、シートの先端が前記シフト駆動部材に到達する直前に退避させた位置から再び前記従動部材に当接させる復帰制御を行うことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、シートに画像形成を行う画像形成手段を備えた画像形成装置において、請求項1ないし6の何れか一つに記載の後処理装置が、前記画像形成装置に装着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記課題を解決して新規な後処理装置およびこれを装着した画像形成装置を実現し提供することができる。すなわち、本発明によれば、上記構成の退避手段により、シフト駆動部材(例えばシフトコロ)を従動部材(例えば従動ローラ)から退避させている間にシフト駆動部材をホーム位置に戻せるようになることで、シートの後端がシフト駆動部材を抜けるまで待つ必要なく、次の用紙の受け入れを従来より早めることができるので、生産性を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用する用紙後処理装置を装着した画像形成装置に係る画像形成システムおよび本発明の一実施形態を含む主な制御構成を示すブロック図である。
【図2】図1の画像形成システムの主として用紙後処理装置の全体構成の概略を示す正面図である。
【図3】従来のシフトモードの動作順序を示すフローチャートである。
【図4】従来のシフトモードの動作を説明する図であって、(a)はシフトコロのホーム位置動作状態を、(b)はシフトコロのシフト先への移動動作状態を、それぞれ示す図である。
【図5】(c)は従来のシフトモードの動作を説明する図であって、排紙ガイド板閉時の動作状態を示す図である。
【図6】従来のシフトモードの動作を説明する図であって、(d)は用紙後端がシフトコロを抜け・ホーム位置への移動開始状態を、(e)はシフトコロのホーム位置へ→移動完了までの動作状態を、それぞれ示す図である。
【図7】(a)は、シフト機構を水平面から見た一部断面斜視図であり、(b)は、同シフト機構の要部を上面から見た平面図である。
【図8】(a)は本実施形態のシフト機構によるシフトコロ離間時の動作状態を示す一部断面斜視図、(b)は同シフト機構によるシフトコロ離間時の、駆動モータギヤ連結部の動作状態を示す一部断面斜視図である。
【図9】(a)は本実施形態のシフトコロ離間時のソレノイド周りの動作状態を、(b)は同シフトコロ当接時の同ソレノイドの動作状態を、それぞれ示す一部断面側面図である。
【図10】(a)は本実施形態のシフト退避機構によるシフトコロ右シフト時の動作状態を、(b)は同シフト退避機構によるシフトコロ左シフト時の動作状態を、それぞれ示す一部断面斜視図である。
【図11】本実施形態のシフトモードの動作順序を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態のシフトモードの動作を説明する図であって、(a)はシフトコロのホーム位置動作状態を、(b)はシフトコロのシフト先への移動動作状態を、それぞれ示す図である。
【図13】(c)は排紙ガイド板閉時の動作状態を、(d)は用紙先端が排紙ローラに到達した動作状態を、それぞれ示す図である。
【図14】(e)はシフトコロの圧解除動作状態を、(f)はシフトコロのホーム位置へ→移動完了までの動作状態を、それぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0012】
図1〜図7を参照して、本発明を適用する画像形成システムの全体構成および動作を説明する。まず、図1および図2を参照して、本発明を適用する画像形成システムの全体構成および全体動作を説明する。図1は、本発明を適用する用紙後処理装置を装着した画像形成装置に係る画像形成システム、および本発明の一実施形態を含む主な制御構成を示すブロック図であり、図2は、同画像形成システムの主として用紙後処理装置の全体構成の概略を示す図である。両図において、本発明を適用する画像形成システムは、画像形成装置100と、後処理装置としての用紙後処理装置101とを備えている。
【0013】
図2に示すように、用紙後処理装置101は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、孔版印刷装置を含む印刷機等の画像形成装置100のシート排出口である排紙口に、用紙導入口を連通させた状態で画像形成装置100に接続され、画像形成装置100内で画像形成されたシートとしての用紙を1枚ずつ受け入れる。
用紙後処理装置101は、画像形成装置100から受け入れた用紙に対する仕分け(以下、単に「シフト」ともいう)、穿孔、綴じ、折り等の後処理を行ったり、あるいは後処理を行わずに排紙トレイへ搬送し、排出・排紙する構成を備えている。
【0014】
図2に示すように、用紙後処理装置101内の用紙搬送経路として、用紙導入口から装置本体上部に配置されている排紙トレイ上12に直行する搬送経路13と、搬送経路13の途中に配置された分岐爪14の分岐部から下降して後処理部(この例ではシフト部あるいはステープル部)へ搬送するための後処理搬送経路15とを備えている。さらに、後処理部の下流側には、搬送経路17を経由して用紙をシフト部またはステープル部に導くための分岐爪16が配置された分岐部が設けられている。本発明の特徴は、後述するように画像形成装置100から受け入れた用紙に対する仕分け(シフト)動作に係る「シフトモード」、すなわち用紙を排紙する際に所定枚数・部ごとにシート幅方向に用紙の排紙位置をシフト・ずらし、このずれにより用紙を仕分ける公知のモードを実行するときのものであるため、以下シフトモードに密接に関連する構成・動作を中心に説明することとする。
【0015】
画像形成装置100の排紙口に設けられた排紙コロ対11から排紙・搬送されてきた用紙は用紙後処理装置101の用紙導入口に設けられた入口ガイドを経て搬送経路13の上流側に搬送される。搬送経路13には、上流側から順に、上記入口ガイドで画像形成装置100からの用紙の導入有無を検知する入口センサ32と、用紙を搬送する一対の搬送上ローラ30と、この搬送上ローラ30により搬送されてきた用紙の搬送経路を搬送経路13または搬送経路15へ切り替える分岐爪14とが配設されている。
【0016】
後処理搬送経路15には、上流側から順に、分岐爪14により後処理搬送経路15へ切り替えられた用紙をさらに下流側に搬送する一対の搬送下ローラ31と、この搬送下ローラ31により搬送されてきた用紙の搬送経路を搬送経路17側へのシフト部またはステープル部に導くための分岐爪16とが配設されている。
搬送経路17には、上流側から順に、分岐爪16により搬送経路17に切り替えられ搬送されてくる用紙に対して仕分け・シフトを行うシフトコロ33およびシフトコロ33に従動する従動ローラ40と、少なくとも用紙の先端を検知する排紙センサ34と、用紙を積載手段としての排紙トレイ36上に排出・排紙する排紙ローラ35および排紙ローラ35に従動する従動ローラ38と、従動ローラ38を回転自在に支持し選択的に排紙ローラ35に当接させる揺動自在な排紙ガイド板37とが配設されている。
【0017】
シフトコロ33は、シート搬送方向と直交する直交方向(以下、「シート幅方向」ともいう)に移動して搬送経路17を搬送中の用紙を所定枚数・部ごとに仕分け・シフトするシフト駆動部材として、従動ローラ40は、シフトコロ33に従動する従動部材として、シフトコロ33および従動ローラ40は、シフト手段として、それぞれ機能する。
【0018】
排紙ローラ35および従動ローラ38は、仕分け・シフトされた用紙を排紙トレイ36上に排出する排出手段として機能する他、シフトコロ33の下流側近傍に配設されているシート搬送手段として機能する。排紙ローラ35は、シフトコロ33を回転駆動するシフト駆動手段としての後述する駆動モータとは別に配設された排紙駆動手段としての排紙駆動モータによって回転駆動されるようになっている。
【0019】
排紙センサ34は、シフトコロ33と排紙ローラ35との間の搬送経路17に配設され、シフトコロ33および従動ローラ40によって搬送されてくる用紙の先端を検知するシート検知手段として機能する。
【0020】
図7を参照して、シフトコロ33をシート幅方向Yに移動させる従来のシフト機構70を説明する。図7(a)は、シフト機構70を水平面から見た一部断面斜視図であり、図7(b)は、同シフト機構70の要部を上面から見た平面図である。
【0021】
シフト機構70は、例えば、特許第4383325号公報(もしくは特開2006−137530号公報)の図7に開示されている構成と同様である。すなわち、図7に示すように、一対のシフトコロ33には、それぞれ用紙幅方向Yにスライド可能な一対の従動ローラ40が図示しないバネの付勢力によって圧接している。これら従動ローラ40は、金属製の軸40aに回転可能に支持されていて、各従動ローラ40における外側の軸40aに装着された図示しないスプリング(圧縮コイルバネ)によって軸40aの中央部方向へ移動する向きに常に弾性付勢されており、シフトコロ33がシフト方向・シフト先に移動した後、元の位置へ自己復帰するように構成されている。
シフトコロ33は、両端部が回転可能に支持された金属製の軸33aの略中央部位に固定されており、軸33aの回転により搬送力を得ている。
【0022】
シフト機構70は、モータギヤ51、円盤ギヤ52、リンク53、シフトモータ60、ホーム位置検出用フィラー61、駆動伝達部としての駆動伝達ピン62、透過型のフォトセンサであるセンサ71、水平駆動機構72、駆動伝達円盤73等を備えている。
シフトモータ60は、モータギヤ51と円盤ギヤ52との噛み合い、およびリンク53と駆動伝達ピン62との駆動伝達部の係合を介してシフトコロ33の軸33aの一端部(図において右端部)に連結されている。そして、シフトコロ33の軸33aの一端部(図において右端部)は、水平駆動機構72によって回転可能に、かつ、シート幅方向Yに移動不能に支持されている。シフト機構70は、リンク53の溝53a内に摺動可能に設けられた駆動伝達ピン62を介して、シフトコロ33の軸33aがシート幅方向Yに沿って往復移動するように、シフトモータ60の回転運動をシート幅方向(図において左右の水平方向)Yの往復直線運動に変換する公知の構成である(上記特許第4383325号公報もしくは特開2006−137530号公報の図7参照)。
シフトモータ60が一定量回転することにより、シフトコロ33をシート幅方向Yへ中央位置から片側に例えば15mm、両側で30mm移動させることができるようになっている。シフトモータ60は、シフト駆動手段として機能し、シフト移動量制御を精確に行えるパルス入力で駆動するステッピングモータからなり、駆動パルス数に応じてシフト移動量を任意のシフト量に変更できるようになっている。この移動量は排紙トレイ36に用紙が排紙されてスタックされたときに、排紙束の区別が可能な量に設定される。また、排紙ローラ35は、排紙ガイド板37の自由端側に設けられた従動ローラ38に対して、排紙ガイド板37の上側の開放時に伴いその搬送力を解除できるように構成されており、搬送途中の用紙にダメージを与えることなくシフトコロ33を動作させることができるようになっている。
【0023】
図7(a)において、通常、シフトコロ33は、シート幅方向Yの中央位置で従動ローラ40と圧接している初期位置としてのホーム位置にあり、センサ71がホーム位置検出用フィラー61を検出可能な位置にあるときが、シフトコロ33のホーム位置となる。シフトコロ33をシフト先へ移動させる際は、シフトモータ60をしてシフトコロ33移動距離分のパルス数駆動させることで、シフトモータ60の出力軸に設けられたモータギヤ51と、駆動伝達円盤73に一体的に設けられた円盤ギヤ52との噛み合いを介して、シフトモータ60の回転が駆動伝達円盤73に伝わって駆動伝達円盤73が回転し、それにより駆動伝達円盤73上に取り付け・固定された駆動伝達ピン62が円周方向に回転する。駆動伝達ピン62が円周方向に動作すると、それに伴い水平駆動機構72が作動してシフトコロ33の軸33aの一端部を図において水平方向(用紙幅方向Y)にのみ移動動作させることにより、シフトコロ33がシート幅方向Yのシフト先へ移動することとなる。
【0024】
シフトコロ33の軸33aの他端部(図において左側)は、図示しないギヤ列等の駆動力伝達手段を介して、シフトコロ33を回転駆動する駆動手段としての図示しない駆動モータに連結されていて、同駆動モータによって回転駆動されるようになっている。
【0025】
図1を参照して、本発明を適用する用紙後処理装置を装着した画像形成装置に係る画像形成システムを簡明に説明する。なお、図1において、制御部25Aおよびシフト駆動部26Aは、後述する実施形態に係る制御構成要素である。
同図において、画像形成装置100側には、画像形成装置100を構成する各装置・部や、用紙後処理装置101を構成する一部装置・部に動作指示を与えたり、上記各装置・部の動作状態を確認したりするための操作部21と、画像形成装置100の全体動作および用紙後処理装置101の後処理動作を含むシステム全体を制御するためのシステム制御部22と、用紙後処理装置101側の後処理通信部24とコマンド(指令信号)や各種オン/オフ信号、データ信号等を送受信するための本体通信部23とが配設されている。
【0026】
用紙後処理装置101側には、本体通信部23から後処理通信部24に送信されてきたコマンド、あるいは各種オン/オフ信号、データ信号等に基づいて、用紙後処理装置101内での主としてシフト動作の実行に係るシフト駆動部26を制御するための制御部25とが配設されている。シフト駆動部26には、シフトモータ60およびシフトコロ33を回転駆動する上記図示しない駆動モータが含まれる。
【0027】
システム制御部22、制御部25は、図示しないCPU、ROM、RAM、タイマ、入出力ポート等を備えたマイクロコンピュータを具備している。制御部25の上記ROMには、後述するフローチャートに係る動作を実行するための動作プログラムや、関係データ(各ステッピングモータに付与する駆動パルス数と、用紙搬送距離やシフト搬送量等のデータテーブルなど)が予め記憶されている。制御部25の上記CPUは、本体通信部23から後処理通信部24に送信されてきたコマンド、各種オン/オフ信号、データ信号、あるいは用紙後処理装置101内の各センサからの各種オン/オフ信号、データ信号に基づいて、シフト駆動部26を制御する基本的な機能を有する。
【0028】
図1〜図7を参照して、従来のシフトモードでの用紙後処理装置101の基本動作について説明する。図3は、従来のシフトモードの動作順序を示すフローチャート、図4〜図6は、従来のシフトモードの動作を説明する図であって、図4(a)はシフトコロ33のホーム位置を、図4(b)はシフトコロ33のシフト先への移動を、図5(c)は排紙ガイド板37の閉時の、図6(d)は用紙後端がシフトコロ33を抜け・ホーム位置への移動開始を、図6(e)はシフトコロ33のホーム位置へ→移動完了までの、各動作状態を示す図である。なお、後述する実施形態の各図を含め、図4(a)〜図6(e)の各図において左側に示す英文字に英数字1を付加した図はシフトコロ33周りの用紙の搬送動作を表す正面図であり、図4(a)〜図6(e)の各図において右側に示す英文字に英数字2を付加した図はシフトコロ33のシフト動作、排紙ローラ35および用紙の搬送動作を表す平面(上面)図であり、各従動ローラ40,38は省略している。また、後述する実施形態の各図を含め、図4(a)〜図6(e)では、「ホーム位置」を「HOME位置」と略記している。
【0029】
先ず、図1において、用紙後処理装置101の上流側に接続されている画像形成装置100の操作部21より用紙後処理内容(シフト、ステープル、折り、穿孔など)を選択し、印刷開始指示を入力する。印刷された用紙は図1に示す用紙後処理装置101へ搬送される。
【0030】
シフトモードでは、画像形成装置100の排紙コロ対11から排紙・搬送されてきた用紙は用紙後処理装置101の入口ガイド、入口センサ32を経て一対の搬送上ローラ30、搬送経路15側へ切り替えられた分岐爪14、後処理搬送経路15の一対の搬送下ローラ31、搬送経路17側へ切り替えられた分岐爪16、シフトコロ33、シフトコロ33に従動する従動ローラ40、排紙センサ34、排紙ローラ35、排紙ローラ35に従動する従動ローラ38という経路を通った後、排紙トレイ36上に排紙・スタックされる。
【0031】
用紙のシフトは上述したようにシフトコロ33で行うので、図3のフローチャートおよび図4〜図6の動作図に沿って説明する。先ず、ステップST00では、用紙先端が図2におけるシフトコロ33直前の位置に来たかどうかをチェック・監視する。直前とは例えば、用紙先端がシフトコロ33の上流側10mm手前ほどの距離である。この時点ではシフトコロ33は、図4(a)のホーム位置にある。また、図1の排紙ガイド板37には、従動ローラ38が回転可能に支持されており、閉状態とすることで排紙ローラ35と当接する(閉状態)が、この時点では、後のシフト動作のために排紙ローラ35から離間した開状態にある。
【0032】
次いで、ステップST01では、用紙先端がシフトコロ33直前に来た後、そのまま所定距離搬送させるのを待つ。所定距離とは、用紙Pが搬送上ローラ31を抜けた位置であり、これは用紙サイズによって異なる。
ステップST02では、所定距離搬送後、用紙を仕分けするためにシフトコロ33をシフト先へ移動させる。シフト先とは、シフトコロ33が図2を正面として紙面奥側、または紙面手前側にシフトするように、図1における画像形成装置100より適当なタイミングで本体通信部23から後処理通信部24に奥側/手前側へのシフト指示コマンドが送られてくる。そうすることでシフト先を制御している。シフト先への移動距離は、一例として15mm程度とする。この時点では、用紙Pは図4(b)に示すように用紙搬送方向Xから見て左側へのシフト先へ移動の位置にある。
【0033】
ステップST03では、ステップST02でのシフト先への移動完了を待つ。ステップST04では、シフト先に移動完了したため排紙ガイド板37を閉状態にし、排紙ローラ35と従動ローラ38を当接させる。このとき、図5(c)に示す状態となり、用紙Pは排紙ローラ35と従動ローラ38で搬送可能な状態となる。
次いで、ステップST05では用紙後端がシフトコロ33を抜けるのを待つ。このとき、図6(d)に示す位置となるのを待つことになる。用紙後端Pbがシフトコロ33を抜ける頃には、用紙先端Paは必ず排紙ローラ35にかかっている位置となる。
【0034】
ステップST06では、用紙後端Pbがシフトコロ33を抜けたため次の用紙(図示せず)を再度シフトさせるために、再びシフトコロ33をホーム位置へ移動させる。次いで、ステップST07では、シフトコロ33のホーム位置への移動を待つ。この間は、図4(e)に示す通り、次の用紙が来てはいけないため、これが生産性の低下につながっている。
【0035】
次いで、ステップST08では排紙トレイ36への用紙の排紙完了を待つ。ステップST09では、排紙トレイ36への排紙が完了したため、排紙ガイド板37を次の用紙を受け入れるために開状態にし、シフトシーケンスを終了する。次用紙がある場合は、再びステップST00に戻り、シフトシーケンスを継続する。以上が基本動作となる。
【0036】
(本発明の一実施形態)
図8〜図14を参照して、本発明の一実施形態を説明する。図8(a)は本実施形態のシフト退避機構75a,75bによるシフトコロ33離間時の動作状態を示す一部断面斜視図、図8(b)は同シフト退避機構75a,75bによるシフトコロ33離間時の、駆動モータギヤ連結部の動作状態を示す一部断面斜視図、図9(a)はソレノイド68aを代表してシフトコロ33離間時のソレノイド68a周りの動作状態を、図9(b)はソレノイド68aを代表してシフトコロ33当接時の同ソレノイド68aの動作状態を、それぞれ示す一部断面側面図である。図10(a)はシフト退避機構75aを代表してシフト退避機構75aによるシフトコロ33の右シフト時の、図10(b)は同シフト退避機構75aによるシフトコロ33左シフト時の、それぞれの動作状態を示す一部断面斜視図である。図11は、本実施形態のシフトモードの動作順序を示すフローチャート、図12〜図14は、本実施形態のシフトモードの動作を説明する図であって、図12(a)はシフトコロ33のホーム位置を、図12(b)はシフトコロ33のシフト先への移動を、図13(c)は排紙ガイド板37の閉時の、図13(d)は用紙先端が排紙ローラに到達した動作を、図14(e)はシフトコロ33の圧解除動作を、図14(f)はシフトコロ33のホーム位置へ→移動完了までの、各動作状態を示す図である。
【0037】
本実施形態は、図1に示した従来のシフト駆動部26および制御部25と比較して、これらに代えて、シフト駆動部26Aおよび制御部25Aを用いる点、図3〜図7に示した従来のシフト機構70に代えて、図8〜図10に示すシフト退避機構75a,75bを用いる点が主に相違する。この相違点以外の本実施形態の構成および動作は、図1〜図7に示した従来構成および動作と同様である。
【0038】
本実施形態の退避手段は、シフトコロ33を従動ローラ40から退避させるための制御構成を含む手段であり、シフトコロ33を従動ローラ40から離間する方向に変位させるための、軸33aの用紙幅方向Yの両端部に設けられたシフト退避機構75a,75bと、シフトコロ33をシフト先へ移動させた後であって、シフトコロ33における下流側のシート搬送手段である図2等に示す排紙ローラ35に用紙先端が到達したときに、シフトコロ33を従動ローラ40から退避させる退避制御、および退避完了後にシフトコロ33を自身のホーム位置へ移動させる制御を行う制御手段としての制御部25Aとを備えている。
ここで、シフト駆動部26Aには、シフトモータ60、左右一対のソレノイド68a,68bおよびシフトコロ33を回転駆動するシフト駆動部材の駆動手段としての駆動モータ78が含まれる。
【0039】
シフト退避機構75a,75bは、図8の左右、すなわち軸33aの用紙幅方向Yの両端部において同じ構成であるため、以下、図の右側のシフト退避機構75aを代表して詳述する。
シフト退避機構75aは、図8〜図10に示すように、水平駆動機構72Aに設けられ、シフトコロ33を鉛直方向Zに動作可能とする可動スペース部としての上下可動スペース63と、シフトコロ33を鉛直下方向Zに動作させる退避駆動源としてのソレノイド68aと、ソレノイド68aの駆動力をシフトコロ33に伝達させるための連結部66aとを有する。
【0040】
ソレノイド68aは、用紙後処理装置101の図示しない装置本体に固定されている。構成としてはソレノイド68aのプッシュあるいはプル動作が最終的にシフトコロ軸33aに伝わるような構成であればよい。本例では、ソレノイド68aのプル動作が最終的にシフトコロ軸33aに伝わる構成例で説明する。
ソレノイド68aは、プル型を用いている。ソレノイド68aの動作部材であるプランジャ67aは、シフト案内部材54aに連結・固定されている。シフト案内部材54aには、プランジャ67aおよび可動部材69aを用紙幅方向Yに移動可能に案内するための長孔状のシフト可動スペース64aが設けられている。図9および図10に示すように、シフト案内部材54aには、一対の段付きネジ77を介して、同段付きネジ77に連結された可動部材69aが用紙幅方向Yに移動可能に支持されている。さらに、シフト案内部材54aは、装置本体側に固着された不動部材である一対のガイド板76aにより、用紙幅方向Yの移動を規制されるとともに鉛直方向Zに移動可能に案内支持されている。
【0041】
可動部材69aの下部に設けられた連結部66aには、軸33aに装着された図中破線で示す一対の止め輪56によって軸33aの用紙幅方向Yへの移動を規制するとともに、軸33aを回転可能に支持する図示しない転がり軸受が装着されている。この構成により、可動部材69aは連結部66aにおいて軸33aを回転可能に支持するとともに、シフトコロ33のシフト動作時に軸33aと一体となって用紙幅方向Yへシフトすることで、段付きネジ77を介してシフト案内部材54aに設けられたシフト可動スペース64a内を用紙幅方向Yへ移動可能となっている。
水平駆動機構72Aは、図7の水平駆動機構72と比較して、上述したようにシフトコロ33を鉛直上方向Zに動作可能とする上下可動スペース63が設けられている点のみ相違し、軸33aの一端部を回転可能に、かつ、図示しない止め輪等の移動規制部材を介して用紙幅方向Yに移動不能に支持され、抜け止めされている。
【0042】
図8(a)は、シフトコロ33が従動ローラ40から離間して退避位置を占めている通常時の初期位置状態を示す。シフトコロ33の通常時は、ソレノイド68aがオフされていて、シフトコロ33、軸33a、プランジャ67a、シフト案内部材54a、段付きネジ77、可動部材69a、連結部66a等の自重によって従動ローラ40から離間・下降して退避位置を占めている。
図8(a)において、符号57は、シフトコロ33が従動ローラ40から離間して退避位置を占めたときに、従動ローラ40の軸40aが上記図示しないスプリングの付勢力によってさらに鉛直下方向Zに変位しないように規制するための、装置本体側の不動部材に配設されたストッパ部材である。
【0043】
図8(b)は、シフト退避機構75a,75bによるシフトコロ33離間時の、駆動モータギヤ連結部の動作状態を示している。装置本体には、シフトコロ33の軸33aを回転駆動する駆動モータ78が取り付け・固定されている。駆動モータ78の出力軸79には、駆動ギヤ80が取り付け・固定されている。一方、シフトコロ33の軸33aの他端部には、駆動ギヤ80と選択的に噛み合う従動ギヤ81が取り付け・固定されている。シフトコロ33が退避位置を占めているときには、図8(b)に示すように、軸33aの他端部に固定された従動ギヤ81は、駆動ギヤ80から離間した状態にあり、駆動モータ78の駆動力がシフトコロ33に伝わらない状態にある。
駆動ギヤ80および従動ギヤ81は、シフトコロ33の用紙幅方向Yへのシフト動作時における駆動モータ78の駆動力を伝達可能とするために、通常のギヤよりも用紙幅方向Yに長い歯幅で形成されている。駆動モータ78としては、用紙搬送距離の精確な制御を図る点および構成の簡素化の点からパルス入力で駆動するモータの一つであるステッピングモータを用いている。
【0044】
図8(a)、図9(a)に示すシフトコロ33の退避位置状態から、図9(b)に示すシフトコロ33の圧接位置状態にするには、シフト退避機構75a,75bにおけるソレノイド68a,68bをオンして、上記した各部材の自重に抗してプル動作させればよい。ソレノイド68a,68bのプル動作により、その力がプランジャ67a,67bを通してシフト案内部材54a,54bに伝わり、さらにその力がシフト案内部材54a,54bのシフト可動スペース64a,64bに挿入・支持される段付きネジ77を介して可動部材69a,69b、連結部66a,66bに伝わることで最終的にシフトコロ33の軸33aに伝わり、軸33aの一端部が水平駆動機構72Aの上下可動スペース63内を上昇すると同時に軸33aの他端部も上昇することで、シフトコロ33が従動ローラ40に接触した圧接位置を占めることとなる。
シフトコロ33が圧接位置を占めているときには、図8(b)に示した軸33aの他端部に固定された従動ギヤ81が、駆動ギヤ80と当接して噛み合う状態にあり、駆動モータ78の駆動力がシフトコロ33に伝わる状態にある。
【0045】
シフトコロ33のシフト先への移動に際しては、従来のシフト機構がそのまま残っているので移動可能であるが、そのままシフト先への水平移動を行うとソレノイド68aまで動いてしまうため、それを防ぐためにソレノイド68aと連結部66aの間にシフト可動スペース64aを設けることで、シフト先への水平移動がソレノイド68aに伝わらないようにしている。
【0046】
主としてシフト退避機構75aについて説明したが、片側だけで左右のシフトコロ33を完全に当接させることができないことが想定されるため、上述したとおり反対側にも同様のシフト退避機構75bを設けている。以上がシフトコロ33の退避機構であり、これによりシフトコロ33の退避動作が実現可能となる。
【0047】
図1、図2、図11、図12〜図14を参照して、シフトコロ33の復帰・退避制御について説明する。なお、図11のフローチャートにおいて、破線で囲んで示すステップ部分(ステップST11、ステップST16〜18)は、図3に示した従来例の動作と比べて相違する動作を表している。
まず、ステップST10で用紙先端Paがシフトコロ33直前の位置にあるかをチェック・監視(以下、単に「監視」という)する。用紙先端Paがシフトコロ33直前であることは、搬送径路17上にあるセンサと、搬送ローラ上30や搬送ローラ下31を回転駆動するステッピングモータからなる駆動モータに付与される駆動パルスなどから算出可能である。例えば、図2の用紙後処理装置101の入口にある入口センサ32を用紙後端Pbが抜けてから、「レイアウト上の入口センサ32からシフトコロ33までの距離」−「用紙長」に相当する距離を駆動パルス数に換算し、そのパルス分駆動させることで可能となる。この際、シフトコロ33は従動ローラ40から離間した退避位置を占めている。
【0048】
次いで、ステップST11では、シフトコロ33を従動ローラ40に当接させ、シフトコロ33がホーム位置を占める(図12(a))。すなわち、上述したようにシフト退避機構75a,75bにおけるソレノイド68a,68bをオンして、シフトコロ33の退避位置状態からの復帰となる。この際、制御部25Aは、後述する図14(f)に示すように、シフトコロ33をホーム位置へ移動後に、用紙Pの先端がシフトコロ33と従動ローラ40とのニップ部に到達する直前に退避させた位置から再び、シフトコロ33を従動ローラ40に当接させる復帰制御を行う制御手段として機能する。
ステップST12では、シフトコロ33を当接させてから所定距離搬送させる。所定距離とは、用紙後端Pbが搬送下ローラ31を抜けた位置であり、これは用紙サイズによって異なるが、搬送径路17上にあるセンサと、搬送ローラ下31を回転駆動するステッピングモータからなる駆動モータに付与される駆動パルスなどから算出可能である。
次いで、ステップST13では、ステップST12で所定距離搬送した後、シフトコロ33をシフト先へ移動させる(図12(b))。
【0049】
ステップST14ではステップST13のシフト先への移動完了を待つ。次いで、ステップST15では、シフトコロ33がシフト先に移動完了したため、排紙ガイド板37を閉状態にし、排紙ローラ35と従動ローラ40とを当接させる。この際、図13(c)の状態となり、用紙Pが排紙ローラ35と従動ローラ40とで搬送可能な状態となる。
次いで、ステップST16ではステップST15の排紙ガイド板37の閉後、用紙先端Paが図2の排紙ローラ35と従動ローラ40とのニップ部に到達したかどうかを監視する。排紙ローラ35に到達したかどうかは、図2に示す排紙ローラ35手前にある排紙センサ34とそこからの駆動モータ78に付与・供給する駆動パルス数(もしくはステップ数)で制御可能である。この際、制御部25Aは、排紙センサ34からの信号および駆動モータ78に付与される駆動パルス数に基づいて、シフトコロ33のシフト先への移動後に、シート搬送手段としての排紙ローラ35に用紙先端Paが到達したことを判断する制御手段として機能する。
【0050】
次いで、ステップST17ではステップST16での用紙先端Paの排紙ローラ35への到達により、シフトコロ33による搬送は必要がなくなるため、シフト退避機構75a,75bにおけるソレノイド68a,68bをオフして、シフトコロ33の圧を解除するとともに、シフトコロ33を従動ローラ40から退避させる(図13(d)〜図14(e))。
ステップST18では、次の用紙Pを受け入れるため、シフトコロ33をシフト先からホーム位置へ移動させる(図14(f))。これにより、シフトコロ33上に用紙Pがある段階で、シフトコロ33をホーム位置へ移動させることができるため、次の用紙Pとの紙間が詰まっても対応できるとともに、従来のように用紙後端Pbがシフトコロ33を抜けた後にシフトコロ33をホーム位置へ戻す分の時間を削減できることになり、生産性を上げることができる。
次いで、ステップST19では排紙トレイ36への用紙Pの排紙完了を待つ。
【0051】
ステップST20では、排紙トレイ36への排紙が完了したため、排紙ガイド板37を次の用紙Pを受け入れるために開状態にし、シフトシーケンスを終了する。次用紙がある場合は、再びステップST10に戻り、シフトシーケンスを継続する。以上のようにシフトコロ33の退避制御と復帰制御が実行される。
【実施例1】
【0052】
ここで、シフト先からホーム位置への戻り分の時間を省略した時の効果は以下の方法で算出できる。
(従来のシフト動作)
従来のシフト動作において、1分間に通紙可能な用紙枚数を次式(A)で算出して求めることができる。
(A)・・・60/((用紙長さ方向の用紙サイズ+シフト時間中に進む距離)/搬送線速)
上記算出式(A)で、例えば、用紙長さ方向の用紙サイズ=215.6[mm]、搬送線速=230[mm/s]、シフト時間中進む距離466[mm]とした時、1分間に通紙可能な用紙枚数は52枚となる。ここでの「シフト時間中に進む距離」とは、この時間中の次用紙はシフトコロ33への受入不可ということで、紙間を意味している。シフト時間は約0.2[s]であるため、この間に次の用紙が進む距離は、230[mm/s]×0.2[s]=46[mm]となる。
【0053】
(本発明のシフト動作)
本発明のシフト動作において、1分間に通紙可能な用紙枚数を次式(B)で算出して求めることができる。
(B)・・・60/((用紙長さ方向の用紙サイズ)/搬送線速)
上記算出式(B)に従来のシフト動作時と同じ値を当てはめた時、1分間に通紙可能な枚数は64枚となる。
【0054】
以上より、同一の搬送条件である搬送線速230[mm/s]の場合では、本発明の実施例1のシフト動作によれば、従来に比べて12枚多く通紙が可能となる。さらに搬送線速が速くなるほど、従来と比べて1分間の通紙可能枚数が多くなり、生産性がさらに上るという効果を奏する。
【0055】
上述した通り、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
第1に、上記退避手段を有することにより、シフト駆動部材としてのシフトコロ33を従動部材としての従動ローラ40から退避させる退避制御を行うことができ、用紙後端がシフトコロ33と従動ローラ40とのニップ部を抜けるまで待つ必要なくシフトコロ33のホーム位置へ戻ることができるので、次のシート間隔(例えば紙間)が狭くなっても対応でき、生産性を上げることができる(請求項1、2)。
第2に、退避駆動源としてソレノイドを用いていることにより、簡素な構成かつ安価に第1の効果を奏する(請求項3)。
【0056】
第3に、上記構成により、シフトコロ33の用紙搬送機能を失うことなく退避動作を実現でき、生産性を上げることができる(請求項4)。
第4に、上記構成により、シフトコロ33のシフト先への移動後に、排紙ローラ35と従動ローラ38のニップ部に用紙先端が到達したことを確実に判断することができるので、第1の効果を確実に奏する(請求項5)。
第5に、上記構成により、先のシートと次のシートとの間隔を狭めることができ、生産性を上げることができる(請求項6)。
第6に、上記各効果を奏する後処理装置を装着した画像形成装置において、上記各効果を奏する。
【0057】
以上説明した通り、本発明を特定の実施形態や実施例等について説明したが、本発明が開示する技術内容は、上述した実施形態や実施例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
例えば、図8〜図10に示したシフト退避機構75a,75bは、本発明の退避機構としての一例を示したに過ぎず、プルもしくはプッシュ等の動作型式のソレノイドと、付勢手段としてのスプリング(引張バネや圧縮バネ)とを併用して適宜組み合わせることにより、別の退避機構を構成できることは無論である。
シートには、PPCなどの用紙や転写紙あるいはOHPフィルムシートなど画像形成可能な全てのシート状の記録媒体が含まれることは無論である。
【符号の説明】
【0058】
11 排紙コロ
17 搬送経路
21 操作部
22 システム制御部
23 本体通信部
24 後処理通信部
25A 制御部(制御手段)
26A シフト駆動部
33 シフトコロ(シフト駆動部材)
33a シフトコロの軸
34 排紙センサ(シート検知手段)
35 排紙ローラ(排出手段、シート搬送手段)
36 排紙トレイ(積載手段)
40 従動ローラ(従動部材)
60 シフトモータ(シフト駆動手段)
63 上下可動スペース(可動スペース部)
66a,66b 連結部
68a,68b ソレノイド(退避駆動源)
71 センサ(ホーム位置検知手段)
75a,75b シフト退避機構(退避機構、退避手段)
78 駆動モータ(シフト駆動部材の駆動手段)
100 画像形成装置
101 用紙後処理装置(後処理装置)
P 用紙(シート、記録媒体)
Pa 用紙先端(シートの先端)
X シート搬送方向
Y シート幅方向(直交方向)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2009−062133号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置から排出されるシートに対して仕分け、穿孔および綴じのうちの少なくとも仕分けを含む後処理を施す後処理装置において、
シート搬送方向と直交する直交方向に移動して前記後処理装置内を搬送中のシートを部ごとに仕分けするシフト駆動部材、および該シフト駆動部材に従動する従動部材とを備えたシフト手段と、
前記後処理を施されたシートを排出する排出手段と、
前記排出手段により排出される前記後処理を施されたシートを積載する積載手段と、
前記シフト駆動部材を前記従動部材から退避させる退避手段とを有し、
前記退避手段は、前記シフト駆動部材を前記従動部材から離間する方向に変位させる退避機構と、前記シフト駆動部材をシフト先へ移動させた後であって、前記シフト駆動部材における下流側のシート搬送手段にシートの先端が到達したときに、前記シフト駆動部材を前記従動部材から退避させる退避制御、および退避完了後に前記シフト駆動部材を前記シフト駆動部材のホーム位置へ移動させる制御を行う制御手段とを備えていることを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記退避機構は、前記シフト駆動部材を鉛直方向に動作可能とする可動スペース部と、前記鉛直方向に動作させる退避駆動源と、該退避駆動源の駆動力を前記シフト駆動部材に伝達させる連結部とを有することを特徴とする請求項1記載の後処理装置。
【請求項3】
前記退避駆動源として、ソレノイドを用いていることを特徴とする請求項2記載の後処理装置。
【請求項4】
前記連結部は、前記シフト駆動部材の軸を回転可能に支持し、かつ、前記鉛直方向へ移動可能となるように連結されていることを特徴とする請求項2または3記載の後処理装置。
【請求項5】
前記シフト駆動部材と前記シート搬送手段との間の搬送経路に配設され、搬送されてくるシートの先端を検知するシート検知手段と、
前記シフト駆動部材をパルス入力で駆動する駆動手段とを有し、
前記制御手段は、シート検知手段からの信号および前記駆動手段に付与される駆動パルス数に基づいて、前記シフト駆動部材のシフト先への移動後に、前記シート搬送手段にシートの先端が到達したことを判断することを特徴とする請求項1ないし4の何れか一つに記載の後処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記シフト駆動部材を前記ホーム位置へ移動後に、シートの先端が前記シフト駆動部材に到達する直前に退避させた位置から再び前記従動部材に当接させる復帰制御を行うことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一つに記載の後処理装置。
【請求項7】
シートに画像形成を行う画像形成手段を備えた画像形成装置において、
請求項1ないし6の何れか一つに記載の後処理装置が、前記画像形成装置に装着されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−236685(P2012−236685A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106566(P2011−106566)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】