説明

復調装置および無線通信システム

【課題】復調を適正に維持しながら復調装置の消費電力を低減する。
【解決手段】復調装置101は、アンプ3、ミキサ4、フィルタ5、アンプ6、整流器7およびコンパレータ8に電力供給およびその停止をするスイッチ21a〜21f,22a〜22fを備えている。同期部11は、受信データからシンボル期間を抽出する。タイミングコントローラ12は、パケットにおけるデータの復調時に、抽出された上記のシンボル期間の一部の期間のみをアクティブ期間として設定し、当該アクティブ期間にスイッチ21a〜21f,22a〜22fをONさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ASK(Amplitude Shift Keying)変調の一種であるOOK(On/Off Keying)変調方式による無線通信の復調装置、特に、消費電力を効果的に低減して適正に復調を行うことのできる復調装置およびその復調装置を備える無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信機能を持った無線センサノードを多数配置し、これらの無線センサノードの間でネットワークを構成することにより情報を収集する無線ネットワークを、無線センサネットワークと呼ぶ。超多数個の無線センサノードが屋内や屋外に分散して配置されることにより、環境モニタリング、自動検針、構造物モニタリング、ホームセキュリティなどにおいて、安心、安全かつ快適な人間生活に貢献することが期待されている。
【0003】
無線センサネットワークは、超多数個の無線センサノードで構成されるため、無線センサネットワークの本体コストやランニングコストの低減を図ることが要求される。この要求を満たすには、無線センサノードそのものが低コストであることや、電池交換などのメンテナンスが低頻度であることが必要となる。メンテナンスの低頻度化を図るには、無線センサノード自体の消費電力を低減することが必須となる。
【0004】
この様な無線センサネットーワーク向けの、デジタル変調方式の一つとして、OOK変調方式がある。図14は、OOK変調方式によるデータの伝送方法を示す図である。
【0005】
図14で示す様に、OOK変調方式は、電波の有無で、“0”,“1”によって表される1ビットのデータを伝送する、最も基本的なデジタル無線変調方式である。OOK変調方式は、このような特徴により、デジタル変調方式の中では、周波数帯域幅当たりで伝送可能なデータ量が最も少ないという短所を持つが、雑音やフェージング等に対する耐性が最も高いという長所を持つ変調方式である。また、OOK変調方式は、電波の有無だけで通信を行うことから、振幅や位相の絶対値の検出を必要としないので、送受信システムが簡素になり、低消費電力化に適しているという利点を有する。
【0006】
無線センサノードにおける電力は、大部分が無線デバイスを駆動させるために消費されている。そこで、実際の通信が行われない待機時における消費電力を削減する手法として、無線デバイスのスリープ機能や間欠受信が挙げられる。
【0007】
例えば、特許文献1には、このような手法を採用する小電力無線通信システムが開示されている。この小電力無線通信システムは、制御局として機能する親局と非制御局として機能する子局とからなる。親局は、既定時刻において、すべての子局から、子局通信予定格納テーブルに格納された当該子局の通信予定情報を収集する。また、親局は、収集された子局の全ての通信予定に相対する親局の通信予定テーブルを作成し、自身の配下の子局に親局通信予定情報を通達する。その後、親局および子局の双方は、各々当該局の通信予定時刻になるまでの間に、通信タイマ部および通信制御部の必要最小限の回路のみ動作させ、通信予定テーブルに記載された必要な通信時刻にのみ通信に必要な回路を動作させて通信を行う。この様に、通信予定時刻以外では、無線デバイスをスリープ状態にすることで、消費電力の削減を図ることができる。
【0008】
上記の小電力無線通信システムは、待機時間中の消費電力を削減するが、通信期間における消費電力を全く削減しない。したがって、このような小電力無線通信システムで行われる電力制御は、定期的に少ない頻度で通信する場合には有効である。
【0009】
しかし、通信頻度が何らかの理由で高くなると、通信期間における消費電力削減が重要となる。例えば、無線センサネットワークは、環境モニタリング、自動検針、構造物モニタリング、ホームセキュリティなどが目的であるので、平常時には定期的かつ低頻度の通信を行えば良いが、事故等の非常時後には非定期的かつ高頻度の通信が必要になる。したがって、通信時の消費電力を削減することも、消費電力の低減を図る上で重要である。
【0010】
通信時の消費電力を削減する手法として、非特許文献1に開示された手法が挙げられる。非特許文献1には、受信機側のアナログフロントエンドで最も消費電力が大きいのがアンプであることから、アンプの消費電力を削減する構成が示されている。図15は、非特許文献1に記載されているフロントエンドアンプとして用いられる入力アンプを示す回路図である。
【0011】
図15に示す様に、電源電圧VDD,VSSをそれぞれ印加する電源線1001,1002とアンプ1003との間に、パワーゲーティングを行うスイッチ1004,1005が挿入されている。通信時間の全体でアンプ1003に電力を供給すると、消費電力が大きくなる。しかし、デジタル無線通信の目的を考えると、最終的に受信信号をデジタルの“0”,“1”信号に復調することが出来ればよい。
【0012】
そこで、上記の入力アンプでは、復調期間以外のアンプ1003への電力供給をスイッチ1004,1005を用いてゲーティングすることで停止して、消費電力を削減している。このような構成を採用することにより、通信時の受信機の消費電力についても削減することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−5991号公報(2007年1月11日公開)
【非特許文献1】Atit Tamtrakarn et al.,“A 1-V 299μW Flashing UWB Transceiver Based on Double Thresholding Scheme”, IEEE, 2006 Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図16は、復調装置の内部回路におけるアクティブ期間Tactとシンボル期間Tsym(シンボル長)との関係を示す図である。
【0015】
復調装置の内部回路に対し、上記の様にパワーゲーティングを行う場合、アクティブ期間Tactがシンボル期間から外れると、図16に示す様に、アクティブ期間Tactが2つのシンボル期間Tsymにまたがってしまう。この状態では、変調されたデータを正しく復調することが出来ない。
【0016】
また、シンボル期間を特定する部分や、パワーゲーティングのアクティブ期間を生成する部分は、信号の同期性を判断する必要が有る。このため、これらの部分は、PLL(Phase Locked Loop)や、CDR(Clock Data Recovery)といった回路手法によって構成されることが最も好ましい。しかし、これらの回路手法は、消費電力が大きいことから、復調装置の消費電力を低減するには不向きである。
【0017】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、復調を適正に維持しながら復調装置の消費電力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の復調装置は、同期ワードおよびデータから構成されるパケットをOOK(On/Off Keying)変調された無線信号を復調する復調処理部を備えた復調装置において、上記の課題を解決するために、クロックを発生するクロック発生手段と、前記復調処理部によって復調された前記無線信号のシンボル期間を前記クロックを基準にして抽出するシンボル期間抽出手段と、前記復調処理部へ電力供給および電力供給の停止を行う電力供給・供給停止手段と、前記電力供給・供給停止手段による電力供給を有効にするアクティブ期間を設定し、当該アクティブ期間に基づいて、前記電力供給・供給停止手段に電力供給の動作をさせ、前記アクティブ期間以外の期間に前記電力供給・供給停止手段に電力供給の動作を停止させる電力供給制御手段とを備え、前記電力供給制御手段が、前記同期ワードの復調では抽出された前記シンボル期間の全期間を前記アクティブ期間として設定し、前記データの復調では抽出された前記シンボル期間の一部の期間のみを前記アクティブ期間として設定することを特徴としている。
【0019】
上記の構成では、シンボル期間抽出手段により、復調後の無線信号から、クロック発生手段で発生したクロックを基準にしてシンボル期間が抽出される。パケットの先頭に付加された同期ワードを復調するとき、電力供給制御手段により、抽出されたシンボル期間の全期間が前記アクティブ期間として設定される。これにより、電力供給・供給停止手段が動作して、復調処理部へ電力供給されるので、復調処理部による復調処理が行われる。一方、パケットのデータを復調するとき、電力供給制御手段により、抽出されたシンボル期間の一部の期間のみがアクティブ期間として設定される。これにより、復調処理部への電力供給が有効となり、上記の場合と同様に、復調処理部による復調処理が行われる。
【0020】
この様に、アクティブ期間が設定されることにより、アクティブ期間が2つのシンボル期間にまたがることが無くなる。したがって、受信した無線信号を正しく復調することが可能となる。また、アクティブ期間以外に復調処理部への電力供給が停止される。したがって、通信期間中における消費電力を削減することができる。
【0021】
前記復調装置において、前記電力供給制御手段は、前記クロックを基準にして前記アクティブ期間を抽出された前記シンボル期間の中央に設定することが好ましい。
【0022】
上記の構成では、電力供給制御手段により、アクティブ期間がクロックを基準にしてシンボル期間の中央に設定される。これにより、受信側デバイスの動作クロック周波数が送信側デバイスの動作クロック周波数に対して周波数偏差を生じた場合、PLLの様な同期手法を用いないでフリーランで処理を行っても、アクティブ期間が2つのシンボルにまたがることが無い。したがって、無線信号をより正しく復調することが可能となる。
【0023】
復調装置において、前記電力供給制御手段は、前記クロックをカウントするカウンタと、前記データの復調では、前記アクティブ期間の開始時間および終了時間に対応したカウント値に前記カウンタのカウント値が達したタイミングで規定される期間に、前記電力供給・供給停止手段に電力供給の動作をさせる電力供給動作手段とを有していることが好ましい。
【0024】
上記の構成では、電力供給制御手段は、カウンタを有することにより、PLLやCDRの様な電力消費の多い同期手法を用いることなく、電力供給動作手段が電力供給・供給停止手段に電力供給の動作をさせる期間を決定することが出来る。したがって、消費電力を低減することが可能となる。
【0025】
復調装置において、前記シンボル期間抽出手段は、前記クロックをカウントするカウンタと、前記クロックを基準にして前記復調処理部の出力信号の変化点を前記シンボル期間の境界として検出し、かつ当該境界を検出したタイミングの前記カウンタのカウント値を前記シンボル期間の境界として記憶するエッジ検出手段とを有することが好ましい。
【0026】
上記の構成では、シンボル期間抽出手段は、カウンタを有することにより、PLLやCDRの様な電力消費の多い同期手法を用いることなく、エッジ検出手段によりシンボル期間を抽出することが出来る。したがって、消費電力を低減することが可能となる。
【0027】
前記復調装置において、前記シンボル期間抽出手段は、前記クロックでシフトし格納する2段のレジスタから成るシフトレジスタを有し、前記エッジ検出手段は、前記復調処理部の出力信号を初段の前記レジスタに入力し、各レジスタに格納された2系統のデータの相違に基づいて、前記シンボル期間の境界を検出することが好ましい。
【0028】
上記の構成では、シフトレジスタの2段のレジスタに格納された2系統のデータの相違に基づいてシンボル期間の変化点が検出されるので、複雑な回路構成を用いることなくシンボル期間の境界を検出することが可能となる。
【0029】
前記シンボル期間抽出手段は、前記クロックでシフトし格納する少なくとも6段のレジスタから成るシフトレジスタを有し、前記エッジ検出手段は、前記復調処理部の出力信号を初段の前記レジスタに入力し、前記シフトレジスタの前段部の少なくとも3個の各レジスタに格納されたデータと、前記シフトレジスタの後段部の少なくとも3個の各レジスタに格納されたデータとの相違に基づいて、前記シンボル期間の境界を検出することが好ましい。
【0030】
上記の構成では、先の2段のレジスタから成るシフトレジスタを有する復調装置と同様、シフトレジスタの少なくとも6段のレジスタの前段部の各レジスタおよび後段部の各レジスタに格納された2系統のデータの相違に基づいてシンボル期間の境界が検出されるので、複雑な回路構成を用いることなく変化点を検出することが可能となる。また、前段部の各レジスタの少なくとも3系統の出力信号と、後段部のレジスタの少なくとも3系統の出力信号とを境界の検出に用いているので、多数決や平均値に基づいて変化点を判断することが出来る。これにより、フェージングや雑音等の瞬間的な擾乱の影響を抑制して、変化点を正確に判断することが可能となる。
【0031】
本発明の無線通信システムは、前記のいずれかの復調装置を含む複数の通信端末を備え、当該通信端末間で無線通信を行うことを特徴としている。
【0032】
これにより、受信側デバイスにおいて、受信した無線信号を正しく復調するとともに、通信期間中における消費電力を削減することが可能となる。
【0033】
本発明の他の無線通信システムは、前記電力供給制御手段が前記カウントを有する復調装置または前記電力供給制御手段が前記カウンタを有する復調装置を含む複数の通信端末を備え、当該通信端末間で無線通信を行う無線通信システムであって、送信側の前記クロック発生手段と受信側の前記クロック発生手段の周波数許容偏差の上限値を基に、送信側の前記通信端末および受信側の前記通信端末における1周期当たりのクロック周期の差がパケットの最終シンボルにまで累積した累積誤差が所定の範囲内となるように、前記パケットのパケット長が予め決定されていることを特徴としている。
【0034】
上記の構成では、前記の無線通信システムと同様、受信側デバイスにおいて、受信した無線信号を正しく復調するとともに、通信期間中における消費電力を削減することが可能となる。
【0035】
また、電力供給制御手段や電力供給制御手段がカウンタを有することにより、前述の様に、PLLやCDRの様な同期手法を用いる必要はない。しかし、送信側デバイスおよび受信側デバイスの動作の基準となるクロックの周波数許容偏差(PPM)によって、受信側デバイスの復調装置において、アクティブ期間は、送信側デバイスが決めるシンボル期間に対しシフトする。
【0036】
送信側の通信端末および受信側の通信端末における1周期当たりのクロック周期の差がパケットの最終シンボルにまで累積した累積誤差は、上記の差とシンボル数すなわちパケット長との積となる。また、受信側デバイスの周波数許容偏差に応じて累積誤差が異なる(図10参照)。しかも、アクティブ期間のシフト量は、この累積誤差と比例関係にある。
【0037】
そこで、通信端末間の通信を設計・設定する際に、パケット長は、所定の方法で、受信側デバイスで使用されるクロックの周波数許容偏差(PPM)の上限値によって予め決定されている。具体的には、周波数許容偏差(PPM)が大きい場合には累積誤差も大きくなるので、パケット長を短くし、周波数許容偏差(PPM)が小さい場合には累積誤差も小さくなるので、パケット長を小さくする。このため、周波数許容偏差(PPM)の最大値がクロック発生手段の性能によってわかるので、この最大値にマージンを付加した上限値に応じてパケット長が予め決定されている。この様に、周波数許容偏差(PPM)の上限値に応じて、パケット長が決定されるので、累積誤差を所定の範囲内に抑えることが出来る。
【0038】
これにより、クロックの周波数許容偏差(PPM)によってアクティブ期間がシフトしても、そのシフト量が小さく抑えられるので、アクティブ期間が2つのシンボルにまたがることが無くなる。したがって、受信した無線信号を正しく復調することが可能となる。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る復調装置は、上記の様に構成されることにより、復調を適正に維持しながら復調装置の消費電力を低減することが出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】上記無線通信システムにおける端末間で通信されるパケットの構成を示す図である。
【図3】上記端末に含まれる受信機の要部の構成を示すブロック図である。
【図4】上記受信機における復調装置の同期部およびタイミングコントローラの構成を示すブロック図である。
【図5】上記無線通信システムにおけるウェイクアップ機能を用いた端末間の通信の状態を示す図である。
【図6】同期ワードおよびデータの受信時におけるそれぞれのアクティブ期間の設定状態を示す図である。
【図7】上記同期部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】上記無線通信システムにおける送信側端末のクロックおよび受信側端末のクロックのタイミングを示す図である。
【図9】シンボル期間が上記送信側端末のクロックで決定されるRF信号と、上記受信側端末のクロックでそれぞれ決定されるパワーゲーティングのアクティブ期間の位置を示す図である。
【図10】Nシンボルで構成されるパケットのパケット長と当該パケットの最終シンボルにおける送信側端末および受信側端末のクロックの蓄積誤差との関係を示すグラフである。
【図11】上記アクティブ期間の中心時間の決定方法を示す図である。
【図12】上記同期部におけるカウンタのカウント値に基づく上記アクティブ期間の生成を示す図である。
【図13】(a)および(b)は上記同期部に含まれるシフトレジスタの構成を示すブロック図である。
【図14】OOK変調方式によるデータの伝送方法を示す図である。
【図15】従来のフロントエンドアンプとして用いられる入力アンプを示す回路図である。
【図16】従来の復調装置の内部回路におけるアクティブ期間とシンボル期間(シンボル長)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明に係る実施形態について、図1〜図13を参照して以下に説明する。
【0042】
[無線通信システム]
図1は、本実施形態に係る無線通信システム10の構成を示すブロック図である。図2は、無線通信システム10における端末1,2間で通信されるパケット200の構成を示す図である。
【0043】
図1に示す様に、無線通信システム10は複数の通信端末として端末1,2を備える。端末1,2は、それぞれ無線通信機能を備える通信装置であり、相互に通信することが可能である。端末1,2間では、図2に示すパケット200により、データの送受信が行われる。
【0044】
図2示す様に、パケット200は、同期ワード201とデータ202とで構成されている。同期ワード201においては、“0”と“1”とが交互に並ぶ。“1”の期間では、図2において拡大して示す様に、シンボル期間Tsymが規定されている。また、データ202においては、“0”と“1”とがデータ値に応じた間隔で配列されている。
【0045】
なお、無線通信システム10は、無線センサネットワークを構成するので、本来、超多数個の通信端末を備えるが、ここでは説明の便宜上、端末1,2についてのみ言及することとする。
【0046】
[受信機]
〔受信機の構成〕
図3は、上記の端末1,2に含まれる受信機100の要部の構成を示すブロック図である。図4は、受信機100における復調装置101の同期部11およびタイミングコントローラ12の構成を示すブロック図である。
【0047】
図3に示す様に、受信機100は、復調装置101と、アンテナ102とを備えている。受信機100は、端末1,2の受信機能部を構成している。
【0048】
《復調装置の構成》
復調装置101は、上記のパケット200がOOK(On/Off Keying)変調された無線信号を復調する。この復調装置101は、アンプ3、ミキサ4、フィルタ5、アンプ6、整流器7、コンパレータ8、同期部11、タイミングコントローラ12、クロック発生器13およびスイッチ21a〜21f,22a〜22fを有している。
【0049】
〈復調処理部〉
上記のアンプ3、ミキサ4、フィルタ5、アンプ6、整流器7およびコンパレータ8は、復調処理を行う復調処理部103を構成している。
【0050】
復調処理部103においては、アンテナ102で受信されたRF信号が、アンプ3、ミキサ4、フィルタ5、アンプ6、整流器7およびコンパレータ8によって順次復調処理されていくことにより、受信データが出力される。
【0051】
復調処理が行われるときには、後述するスイッチ21a〜21f,22a〜22fが閉じることにより、復調処理部103の各部が、電源ラインおよび接地ラインに接続される。これにより、復調処理部103の各部は復調時に電力が供給されて動作する。一方、復調処理が行われないときには、スイッチ21a〜21f,22a〜22fが開くことにより、復調処理部103の各部は、電源ラインおよび接地ラインから遮断されるので、電力が供給されずに動作を停止する。
【0052】
〈スイッチ〉
スイッチ21a〜21f(電力供給・供給停止手段)は、それぞれ電源ラインとアンプ3、ミキサ4、フィルタ5、アンプ6、整流器7およびコンパレータ8とを接続または遮断するための開閉スイッチである。スイッチ22a〜22f(電力供給・供給停止手段)は、それぞれ接地ラインとアンプ3、ミキサ4、フィルタ5、アンプ6、整流器7およびコンパレータ8とを接続または遮断するための開閉スイッチである。
【0053】
スイッチ21a〜21f,22a〜22fは、タイミングコントローラ12によって開閉が制御される。スイッチ21a〜21f,22a〜22fは、前述の様に、復調時に閉じ、非復調時に開くように制御される。
【0054】
なお、以降の説明では、スイッチ21a〜21f,22a〜22fに共通して述べる場合、単にスイッチ21,22と称する。
【0055】
〈同期部〉
同期部11(シンボル期間抽出手段)は、コンパレータ8からの出力信号(受信データ)の変化点を検出することにより、出力信号のシンボル期間を抽出する。コンパレータ8からの出力信号は、OOK変調されたRF信号を復調した結果であるので、“0”,“1”で表される信号となり、その変化点が、立ち上がりエッジもしくは立ち下がりエッジとなる。各エッジタイミングを、クロック発生器13により発生したクロックを基準にして検出する。図4に示す様に、この同期部11は、シフトレジスタ111、カウンタ112およびエッジ検出器113を有している。
【0056】
シフトレジスタ111は、コンパレータ8の出力信号を所定量シフトさせ、異なるシフト量の2系統の信号を出力する。シフトレジスタ111の詳細については、後に説明する。
【0057】
シフトレジスタ111は、コンパレータ8の出力信号を、クロック発生器13により発生したクロックでシフトするとともに格納する。シフトレジスタ111の詳細については、後に説明する。
【0058】
カウンタ112は、クロック発生器13により発生したクロックをカウントする。
【0059】
エッジ検出器113(エッジ検出手段)は、シフトレジスタ111に格納されたコンパレータ8の出力信号に基づいて、立ち上がりおよび立ち下がりのエッジ(変化点)を検出する。具体的には、エッジ検出器113は、シフトレジスタ111を構成する前段部分のレジスタ群と後半部分のレジスタ群に格納された2系統の信号の論理レベルの状態に基づいてエッジを検出する。また、エッジ検出器113は、エッジを検出するタイミングでカウンタ112のカウント値を記憶する。この検出・記憶されたエッジが、同期部11が検出した受信信号のシンボル期間の境界となる。
【0060】
〈タイミングコントローラ〉
タイミングコントローラ12(電力供給制御手段)は、同期部11のエッジ検出器113で抽出されたシンボル期間およびクロック発生器13からのクロックに基づいて、パワーゲーティング用のスイッチ21,22のON/OFFを制御する。図4に示す様に、このタイミングコントローラ12は、カウンタ121およびゲーティング信号生成器122を有している。
【0061】
カウンタ121は、クロック発生器13からのクロックをカウントする。このカウンタ121は、カウンタ112と同時に動作することはないので、カウンタ112と共用しても良い。また、カウンタ121は、復調の基準となるシンボル期間のタイミングを生成するために設けられている。このため、カウンタ121は、同期部11によって検出された立ち上がりおよび立ち下がりのエッジのタイミングでカウンタ値が0にリセットされる。
【0062】
ゲーティング信号生成器122は、同期ワード201の復調では、シンボルの全期間を、スイッチ21,22をONする(電力供給を有効にする)アクティブ期間として設定する。また、ゲーティング信号生成器122は、データ202の復調では、シンボルの一部の期間のみをアクティブ期間として設定する。ゲーティング信号生成器122は、上記のアクティブ期間の設定を、エッジ検出器113によって検出されたエッジに基づいて行う。
【0063】
ゲーティング信号生成器122(電力供給動作手段)は、スイッチ21,22をON/OFFさせるゲーティング信号を発生する。特に、ゲーティング信号生成器122は、カウンタ121のカウント値に基づいて、上記のアクティブ期間に、スイッチ21,22をONさせるゲーティング信号を発生する。
【0064】
〈クロック発生器の構成〉
クロック発生器13(クロック発生手段)は、同期部11、タイミングコントローラ12およびミキサ4に与えるクロックを生成する回路である。このクロック発生器13は、水晶発振回路等の発振回路を含んでいる。
【0065】
〔受信機の動作〕
《通常の受信(復調)動作》
まず、上記の受信機100において、復調時の復調装置101の基本的な動作を説明する。この状態では、スイッチ21,22が閉じており、アンプ3、ミキサ4、フィルタ5、アンプ6、整流器7およびコンパレータ8に電力が供給されている。
【0066】
RF信号は、アンテナ102で受信されると、アンプ3で増幅される。増幅後のRF信号は、ミキサ4でIF信号に変換された後、フィルタ5で所望波のみが抽出される。この抽出波は、アンプ6により増幅されて、さらに整流器7により整流される。さらに、コンパレータ8により、整流器7の出力が基準電圧源23の基準電圧Vref(閾値)より大きいか否かが判定されて、電波の有無が判定される。この結果、RF信号が“0”,“1”からなるデジタルデータに復調されることにより、受信データが出力される。
【0067】
《スリープ機能を用いた通信動作》
次いで、スリープ状態で間欠受信を行う場合の受信動作について説明する。
【0068】
ここで、端末2は、スリープ状態で間欠受信を行う様に動作し、ウェイクアップ機能により、端末1によってウェイクアップされるものとする。これにより、端末1が送信側となり、端末2が受信側となる。
【0069】
図5は、ウェイクアップ機能を用いた端末1,2間の通信の状態を示す図である。図6は、同期ワードおよびデータの受信時におけるそれぞれのアクティブ期間の設定状態を示す図である。図7は、同期部11の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0070】
なお、図7は、電磁波、コンパレータ出力、シフトレジスタ出力、カウント値およびクロックを表している。電磁波は、電磁波として受信されるRF信号である。コンパレータ出力はコンパレータ8の出力であり、シフトレジスタ出力はシフトレジスタ111の出力である。カウント値はカウンタ112がクロックをカウントする数である。このクロックは、クロック発生器13で発生するクロックである。
【0071】
ここでは、図5に示す様に、端末1がスリープ状態の端末2に対してデータ送信を要求する場合を例に挙げて説明する。
【0072】
〈スリープ状態から通信開始までの動作〉
まず、スリープ状態にある端末2において、受信機100のタイミングコントローラ12は、図5に示す様に、スイッチ21,22を、受信期間31a,31b,31c,…(アクティブ期間)でONにし、それ以外の期間でOFFにする。これにより、受信期間31a,31b,31c,…でのみ受信を行う間欠受信が可能となる。これに対し、端末1は、ウェイクアップ信号30を端末2に送信する。スリープ状態にある端末2は、受信期間31cでウェイクアップ信号30を受信すると、ウェイクアップして、ACK信号32を端末1に送信する。これにより、端末1は端末2をウェイクアップさせ、パケット200を端末2に送信することが可能となる。
【0073】
〈同期ワードの受信動作〉
端末2において、復調装置101のタイミングコントローラ12が、ACK信号32を上記の様に端末1に送信する指示を端末2の送信部に与えると、ACK信号32が送信部から送信されるとともに、同期ワード201を受信する期間が開始する。
【0074】
端末2は、ACK信号32を送信すると受信側の端末として機能し、端末1は、ACK信号32を受信すると送信側の端末として機能する。したがって、以下の説明においては、端末1を送信側端末と称し、端末2を受信側端末と称する。
【0075】
上記の様に同期ワード201を受信する期間が開始するのと同時に、タイミングコントローラ12は、図6に示す様に、スイッチ21,22を常にONにするアクティブ期間33bを設定する。これにより、復調装置101は、スイッチ21,22がONするので、アンプ3、ミキサ4、フィルタ5、アンプ6、整流器7およびコンパレータ8が動作し、送信側端末が出力したRF信号(電磁波)を常に受信する。同期ワード201の電磁波がすべて受信されることにより、同期部11は、同期ワード201からシンボル期間Tsymを抽出する。
【0076】
タイミングコントローラ12は、スイッチ21,22がONすると同時にカウンタ112を起動する。同期部11では、カウンタ112が、カウント動作を開始すると、クロック発生器13から出力されるクロックをカウントしていく。また、コンパレータ8の出力信号は、シフトレジスタ111によってクロックに同期してシフトする。
【0077】
図7に示す様に、受信側端末が受信する電磁波が“0”から“1”に変化すると、コンパレータ8の出力信号も“0”から“1”に変化する。すると、同期部11では、エッジ検出器113が、シフトレジスタ111の出力からエッジを検出し、エッジを検出したタイミングでカウンタ112のカウント値Nsを記憶する。電磁波が“1”から“0”に変化した場合も、エッジ検出器113は、シフトレジスタ111の出力からエッジを検出し、エッジを検出したタイミングでカウンタ112のカウント値Neを記憶する。
【0078】
これにより、同期部11は、クロック発生器13が出力するクロックを時間基準として、シンボル期間Tsymのエッジ(境界)のタイミングとしてカウント値Ns,Neを取得する。また、同期部11は、カウント値Ns,Neを用いて(Ns+Ne)÷2を計算することにより、この値をシンボル期間中央のタイミングとして検出する。
【0079】
上記の例では、シンボル“1”のエッジタイミングについて説明したが、シンボル“0”の場合には、上記の場合と異なり、“0”と“1”とが入れ替わる。これにより、エッジ検出器113は、シンボル“1”がシンボル“0”に変わるタイミングのカウント値Nsを記憶し、シンボル“0”がシンボル“1”に変わるタイミングのカウント値Neを記憶する。
【0080】
なお、現シンボルのカウント値Neは、次シンボルのカウント値Nsに相当するので、同期ワード201の受信中には、常にシンボル“0”とシンボル“1”とのエッジ(境界)が繰り返し検出されることになる。
【0081】
上記の処理は、予め定められた同期ワード201のパターンが終了するまで繰り返される。
【0082】
〈データの受信動作〉
上記の様にして、同期ワード201の受信が終了すると、受信側端末においては、データ202の受信動作に移行する。
【0083】
同期ワード201は、通信プロトコルとして予め定められている。送信側端末および受信側端末では、それぞれの送信機および受信機100がともに同期ワードパターンを記憶している。受信側端末の受信機100は、記憶している同期ワードパターンと受信信号のパターンとを照合して、両者が一致しないと判定することにより、同期ワード201からデータ202になったことを認識する。あるいは、受信機100は、図6に示す様に、“0”,“1”が交互に配置される同期ワード201の場合、“0”,“1”の数をカウントしたカウント値が予め定められた値に達すると、同期ワード201からデータ202になったことを認識する様にしても良い。
【0084】
図7に示す様に、電磁波において“0”と“1”とが変わる境界のタイミングは、送信側端末のクロック発生器13で発生するクロックのタイミングで決まる。一方、図7に示すクロックは、受信側端末のクロック発生器13で発生するクロックである。送信側端末と受信側端末とで、双方のクロック発生器13を構成する発振回路の発振周波数が微妙に異なると、上記のカウント値Ns,Neのタイミングが、シンボル毎に異なる場合がある。
【0085】
上記の様な場合、同期部11は、シンボル毎に検出したシンボル期間長(Ne−Ns)の平均を計算しておく。これにより、発振周波数の微妙な差の影響を抑制することが可能となる。また、同期部11は、この様にして計算されたシンボル期間長(Ne−Ns)を記憶しておき、データ受信でのアクティブ期間の設定に利用する。
【0086】
データ202の復調時、復調装置101のタイミングコントローラ12は、図6に示す様に、スイッチ21,22をONにするアクティブ期間33aを設定する。これにより、復調装置101は、アクティブ期間33aだけRF信号の復調を行うので、データ202を受信するときにアンプ3、ミキサ4、フィルタ5、アンプ6、整流器7およびコンパレータ8で消費される電力を削減することが可能である。消費電力の削減効果は、シンボル期間Tsymの長さであるシンボル期間長とアクティブ期間33aとの比で決まる。
【0087】
タイミングコントローラ12は、同期ワード201からデータ202に変わると同時にカウンタ121を起動する。カウンタ121は、カウント動作を開始すると、クロック発生器13から出力されるクロックをカウントしていく。カウンタ121の周期は、同期部11が計算して記憶しておいた上記のシンボル期間長(Ne−Ns)に合わせて設定されている。具体的には、カウンタ121は、カウンタ値が(Ne−Ns−1)に達した時点で0にリセットされる。カウンタ121をこの様に動作させると、カウンタ121のカウント値が(Ns+Ne)÷2に達する時点がシンボル期間の中央となる。
【0088】
また、ゲーティング信号生成器122は、カウンタ121の起動と同時に、スイッチ21,22がOFFとなるゲーティング信号を生成して出力する。そして、ゲーティング信号生成器122は、カウンタ121が生成するタイミングを基準にして、図6で示すアクティブ期間33aの間だけ、スイッチ21,22をONさせるゲーティング信号を生成して出力する。具体的には、ゲーティング信号生成器122は、アクティブ期間33aの開始時間および終了時間に対応したカウント値をそれぞれ設定しておき、カウンタ121のカウント値が設定されたカウント値に達したタイミングで規定されるアクティブ期間33aに、上記のゲーティング信号を生成する。
【0089】
〔アクティブ期間の設定〕
続いて、アクティブ期間33aの設定について詳細に説明する。
【0090】
〈クロックの周波数誤差・偏差による影響〉
図8は、送信側端末の送信側クロックCLKaおよび受信側端末の受信側クロックCLKb〜CLKdのタイミングを示す図である。図9は、シンボル期間が送信側端末のクロックCLKaで決定されるRF信号(送信データ)と、受信側端末のクロックCLKb〜CLKdでそれぞれ決定されるアクティブ期間33aの位置(通常、左シフト、右シフト)を示す図である。
【0091】
タイミングコントローラ12は、アクティブ期間33aを通信のシンボル期間の中央に設定する。アクティブ期間33aの設定精度は、送信側端末および受信側端末のクロック発生器13のクロックに生じる周波数許容偏差としての周波数誤差・周波数偏差(PPM)とデータ長とで決まる。
【0092】
送信データのシンボル期間は、送信側端末の送信側クロックCLKaで決まる。受信側クロック周波数が送信側クロック周波数と一致する場合には、図8に示す様に、受信側クロックCLKbのタイミングが送信側クロックCLKaのタイミングと異なっても、両者のクロック周期が完全に一致するので、両者の間隔は一定に保たれる。この場合、図9に示す様に、復調装置101のタイミングコントローラ12のアクティブ期間33aは、送信データのシンボル期間Tsymに対して時間ともにシフトすることはない。
【0093】
次に、受信側クロック周波数が送信側クロック周波数より高い場合には、受信側端末のクロック周期が送信側端末のクロック周期に比べて短くなる。したがって、図8に示す様に、送信側クロックCLKaを基準にすると、受信側クロックCLKcは左側にシフトする。送信側クロックCLKaでシンボル期間Tsymが決定されるOOK変調されたRF信号は、上記の様に左側にシフトした受信側クロックCLKcでアクティブ期間33aが決定されるパワーゲーティングによって復調される。この場合、アクティブ期間33aも、図9に示すRF信号の送信データを基準にすると、図9に示す様に左側にシフトすることになる。
【0094】
逆に、受信側クロック周波数が送信側クロック周波数より低い場合には、受信側端末のクロック周期が送信側端末のクロック周期に比べて長くなる。したがって、図8に示す様に、送信側クロックCLKaを基準にすると、受信側クロックCLKdは右側にシフトする。これに応じて、アクティブ期間33aも、図9に示すRF信号の送信データに対して、図9に示す様に右側にシフトすることになる。
【0095】
送信側端末および受信側端末のクロック周波数誤差・偏差が完全に一致する0PPMの場合には、送信データのシンボル期間Tsymとアクティブ期間33aの関係は常に一定である。したがって、タイミングコントローラ12は、アクティブ期間33aを2つのシンボル期間Tsymにまたがらない範囲で任意に設定することが可能である。
【0096】
送信側端末および受信側端末のクロックの周波数誤差・偏差が完全に一致しない場合には、タイミングコントローラ12は、アクティブ期間33aを通信のシンボル期間Tsymの中央に設定する。その設定の精度は、クロックの周波数誤差・偏差で決まる1シンボル当たりのアクティブ期間33aのシフト量と、パケット200の長さとの積で決まる。
【0097】
ここで、送信側端末のクロックの周波数および周期をそれぞれFsおよびTsとし、受信側端末のクロックの周波数および周期をそれぞれFs’およびTs’とし、周波数Fs’が周波数Fsに対しαの周波数誤差・偏差を持つとする。すると、受信側クロックの周期は、式(1)の様に表される。
【0098】
【数1】

【0099】
送信側端末および受信側端末における1周期当たりのクロック周期の差δTsは、周波数誤差・偏差αがPPMのオーダーであるならば、α≪1であるので、式(2)の様に表される。
【0100】
【数2】

【0101】
パケット200のパケット長がNシンボルで構成される場合には、パケット200の最終シンボルにおける送信側端末および受信側端末のクロックの蓄積誤差は、N×δTsになる。図10は、このパケット長と累積誤差との関係を示すグラフである。
【0102】
ここで、一例として、周波数誤差・偏差が100ppmの場合を考える。パケット長が2000シンボルであれば、蓄積誤差は0.2Tsymとなり、パケット長が5000シンボルであれば、累積誤差は0.5Tsymとなる。この状態で、受信機100が2000シンボルのパケット長を有する送信信号を受信すると、復調装置101のタイミングコントローラ12が生成するアクティブ期間33aもパケット200の全体で0.2Tsymシフトすることになる。
【0103】
累積誤差を小さくするには、受信側端末におけるクロックの周波数誤差・偏差の最大値に対して、送信に支障がない範囲でパケット長を極力短くすることが好ましい。それゆえ、端末間の通信を設計・設定する際に、送信側端末および受信側端末で採用しているクロック発生器13が発生するクロックの周波数誤差・偏差の上限値から決まる累積誤差を小さくするようにパケット長を決定すればよい。
【0104】
具体的には、図10に示す様に、周波数誤差・偏差が大きい場合には累積誤差も大きくなるので、パケット長を短くし、周波数誤差・偏差が小さい場合には累積誤差も小さくなるので、パケット長を小さくする。このため、周波数誤差・偏差の最大値がわかれば、この最大値以上の値を上限値として設定し、この上限値に応じて、累積誤差が所定の範囲内に収まる様にパケット長を所望に決定する。
【0105】
例えば、許容偏差が±50ppmの場合、送受信側端末の一方の許容偏差が+50ppmとなり、他方の許容偏差が−50ppmとなるときにワーストケースとなり、送受信側端末間の周波数誤差・偏差の最大値が100ppmとなる。そこで、マージンがmであるとすると、上限値は100+m(ppm)となる。この場合、蓄積誤差を0.2Tsym以下に抑える必要があれば、周波数誤差・偏差が100+m(ppm)であるときの図10に示す様なパケット長と累積誤差との比例関係から、0.2Tsym以下の範囲でパケット長を決定する。図10には、周波数誤差・偏差が100+m(ppm)であるときの上記の関係については示されていないが、周波数誤差・偏差の各値について上記の比例関係は既知であるものとする。
【0106】
ここで、最大値以上の値を上限値とするのは、クロックの周波数誤差・偏差がクロック発生器13の発振回路において振動子として用いられる水晶によって決まるため、水晶のメーカーが保証する周波数誤差・偏差の最大値にマージンを持たせるためである。
【0107】
なお、上記の例では、周波数誤差・偏差の最大値を基に設定した上限値に応じてパケット長を決定するが、パケット長の決定方法はこれには限定されない。例えば、まず所望のパケット長を決定してから、それに応じて上限値を決定しておき、その上限値を満たす水晶を採用する様にしてもよい。
【0108】
この様に、周波数誤差・偏差の上限値に応じてパケット長が決定されるので、送信側端末および受信側端末のクロックの間に周波数誤差・偏差の差が生じても、その差に基づく送信側端末および受信側端末のクロックの蓄積誤差を所定の範囲内に抑えることが出来る。これにより、周波数誤差・偏差によるアクティブ期間33aのシフト量を小さくすることが出来る。それゆえ、アクティブ期間33aが、シンボル期間Tsymの中央に精度良く設定されるので、2つのシンボル期間にまたがることはない。
【0109】
なお、上記のTsymはシンボル長(シンボル期間)を表す。
【0110】
〈アクティブ期間の中心時間の決定〉
図11は、アクティブ期間33aの中心時間t0の決定方法を示す図である。
【0111】
図11に示す様に、ゲーティング信号生成器122は、アクティブ期間33aの中心時間t0をシンボル長内で設定する。したがって、中心時間t0は、0≦t0≦Tsymを満たす。ここで、パケット長がNシンボルであるとき、クロックの周波数誤差・偏差による累積誤差は、図11に示す様に±NδTsとなる。したがって、送信側端末および受信側端末でクロックに周波数誤差・偏差がある状態で、復調装置101が復調処理を行うとき、ゲーティング信号生成器122が生成するアクティブ期間33aの中心時間t0が式(3)を満たせば良い。これにより、クロックの周波数誤差・偏差を全く補正しないフリーラン状態でタイミングコントローラ12を動作させても、パケット期間において、アクティブ期間33aは常に同一シンボル期間内に留まり、2つのシンボル期間にまたがることはない。
【0112】
【数3】

【0113】
したがって、復調装置101は、アクティブ期間33aでパワーゲーティングを行いながら問題無くデータを受信することが可能となる。アクティブ期間33aの中心時間t0の範囲は、データ200のシンボル数N(パケット長)、クロックの周波数誤差・偏差α、アクティブ期間長Taとすると、式(3)により定まる。
【0114】
〈アクティブ期間の開始時間および終了時間の設定〉
ここで、ゲーティング信号生成器122は、カウンタ121のカウント値を基準として、前述の様に、アクティブ期間33aの開始時間をNasと設定し、アクティブ期間33aの終了時間をNaeと設定する。また、前述の受信側端末のクロック周期Ts’、送信側端末および受信側端末における1周期当たりのクロック周期の差(クロック周期差)δTsならびにシンボル数Nを用いる。これにより、式(4)および式(5)の関係が得られる。
【0115】
【数4】

【0116】
【数5】

【0117】
式(4)および式(5)を満たせば、送信側端末および受信側端末のクロックに周波数誤差・偏差αが存在しても、アクティブ期間33aが2つのシンボルにまたがることはない。クロック周期差δTsは、クロック発生器13を構成する発振回路の周波数誤差・偏差αのワースト値の2倍に設定される。ここで、2倍となる理由は、周波数誤差・偏差αが、一般に±50ppm程度に規定されているので、周波数誤差・偏差αが、送信側端末で+50ppmであり、受信側端末で−50ppmである場合、送受信端末での周波数誤差・偏差αが100ppmとなることである。符号が逆向きになる場合を考えて、「周波数偏差のワースト値の2倍」としている。例えば、水晶発振回路の場合には、水晶の許容偏差(PPM)で、発振周波数の許容偏差が決まる。
【0118】
アクティブ期間(Nae−Nas)が短いほど、消費電力が削減されるので、式(4)および式(5)を満たしやすくなるだけでなく、送信側端末および受信側端末の間で生じるクロックの周波数誤差・偏差αによる影響も受けにくくなる。しかし、復調装置101の各部が、所望の処理を行うのに必要な最短の処理時間がある場合には、アクティブ期間33aの長さを最短処理時間よりも長い値に設定する必要がある。例えば、フィルタ5では、入力信号が入力されてから出力が有意な信号を出すまでの時間(遅延時間)が、周波数特性や構成により異なる。したがって、フィルタ5に関しては、フィルタ5の遅延時間が最短処理時間となる。
【0119】
この様に、アクティブ期間33aの開始時間Nasおよび終了時間Naeの設定では、周波数偏差のワースト値、最短処理時間、消費電力等がトレードオフの関係にある。したがって、シミュレーションや試作機による評価によって、これらの値を目的の通信に最適化した値に選択する。
【0120】
ゲーティング信号生成器122は、カウンタ121のカウンタ値を基準として、アクティブ期間33a(Nas〜Nae)のみスイッチ21,22がONとなるパワーゲーティング信号を生成して出力する。また、ゲーティング信号生成器122は、上記のアクティブ期間33a以外ではスイッチ21,22がOFFとなるパワーゲーティング信号を生成して出力する。これにより、データ202の受信中に、アクティブ期間33aを図6に示す様に設定することが可能となる。
【0121】
〈アクティブ期間の調整〉
図12は、カウンタ112のカウント値に基づくアクティブ期間33aの生成を示す図である。
【0122】
同期部11は、同期ワード201の復調時に、図12に示す様にシンボル期間Tsymの両端をカウンタ112で計測する。この場合には、図12に示す様に、シンボル期間の正確な計測は出来ず、測定誤差はクロック周期Tclkの程度となる。しかし、前述の様に、アクティブ期間33aが式(3)を満たせば、復調装置101はパワーゲーティングを行いながら問題無くデータを受信することが可能となる。
【0123】
そこで、同期部11は、時間の制御単位がカウンタ112のカウント値で決まることを考慮して、アクティブ期間33aが式(3)を満たす様に、パケット長N、クロックの周波数誤差・偏差α、アクティブ期間長Taを調整する。すると、同期部11は、PLLやCDRといった回路を用いることなく、復調装置101が同期ワード201を復調する際に、低消費電力で、本発明に必要な精度でシンボル期間の抽出が可能となる。
【0124】
また、データ202を復調装置101が復調する際に、タイミングコントローラ12は、図12に示す様に、アクティブ期間33aの中心時間t0をカウンタで生成する。この場合には、アクティブ期間33aはクロック周期Tclkの間隔で生成されることになる。この場合も、カウンタで生成されるタイミングで、かつ、アクティブ期間33aが式(3)を満たすならば、復調装置101はパワーゲーティングを行いながら問題無くデータを復調することが可能となる。
【0125】
〔同期部の詳細〕
さらに、同期部11について詳細に説明する。
【0126】
図13(a)および(b)は、シフトレジスタ111a,111bの構成を示すブロック図である。
【0127】
《第1のシフトレジスタ》
図13(a)に示すシフトレジスタ111aは、シフトレジスタとして同期部11に設けられる。このシフトレジスタ111aは、2段のレジスタ114a,114bによって構成されている。
【0128】
〈シフトレジスタの構成〉
レジスタ114aは、クロック発生器13からのクロックで動作する。ここで、クロック発生器13は、シンボル長よりも周期が短いクロックを生成する。
【0129】
初段のレジスタ114aは、コンパレータ8の出力信号をクロックの立ち上がりもしくは立ち下がりエッジで取り込み、次のエッジでの取り込みのタイミングまで、取り込んだデータを格納し、同じ値の出力を維持する。後段のレジスタ114bは、レジスタ114aの出力信号115aをレジスタ114aと同様な動作で取り込んで格納することにより出力信号115bとして出力する。出力信号115a,115bは、エッジ検出器113に与えられる。
【0130】
〈同期部の動作〉
同期ワード201を受信するとき、受信側端末において、復調装置101のタイミングコントローラ12は、スイッチ21,22を常にONにするアクティブ期間33aを図6に示す様に設定する。これにより、当該復調装置101は、送信側端末から出力されたRF信号を常に受信し、コンパレータ8より出力データ(出力信号)として出力する。
【0131】
レジスタ114aは、入力されたコンパレータ8の出力信号をクロックの1周期だけ遅延させた出力信号115aを出力する。また、レジスタ114bは、レジスタ114aの出力信号115aをクロックの1周期だけ遅延させた出力信号115bを出力する。
【0132】
エッジ検出器113は、出力信号115a,115bが同じコンパレータ8の出力信号をクロックの1周期単位でシフトして取り込まれたデータであることを利用して、そのシフトしている期間の出力信号115a,115bの論理レベルの相違に基づいてコンパレータ8の出力信号のエッジのタイミングを検出している。具体的には、エッジ検出器113は、出力信号115aがHighであり、出力信号115bがLoである場合には、立ち上がりエッジを検出する。逆に、エッジ検出器113は、出力信号115aがLoであり,出力信号115bがHighである場合には、立ち下がりエッジを検出する。
【0133】
エッジ検出器113は、カウンタ112のカウント値がNsに達した時点で立ち上がりエッジを検出し、カウンタ112のカウント値がNeに達した時点で立ち下がりエッジを検出し、これらのエッジを記憶しておく。これにより、同期部11は、受信信号の同期ワード201における各シンボルの境界となる立ち上がりエッジおよび立ち下りエッジのタイミングを検出し、タイミングコントローラ12に出力する。
【0134】
《第2のシフトレジスタ》
雑音やフェージング等の擾乱による影響を低減したい場合には、上記の2段構成のシフトレジスタ111aに代えて、例えば図13(b)に示す6段構成のシフトレジスタ111bを用いてもよい。
【0135】
シフトレジスタ111bは、上記のレジスタ114a,114bに、さらにレジスタ114c〜114fが追加された構成となっている。レジスタ114a〜114fは、カスケード接続されており、すべてクロックで動作する。各レジスタ114a〜114cの出力信号は出力信号115aとして出力され、各レジスタ114d〜114fの出力信号は出力信号115bとして出力される。
【0136】
また、これに伴い、エッジ検出器113は、出力信号115a,115bの多数決処理をはじめとする、擾乱の影響を抑制する信号処理および統計処理によりエッジを検出する構成であっても良い。擾乱の影響を抑制する目的が達成するのであれば、シフトレジスタの段数は2段や6段に限定されるものではない。
【0137】
《擾乱による影響》
ここで、擾乱について説明する。
【0138】
実環境で電波を受信すると、フェージングや雑音等の影響により、受信波の段階で、受信データの“0”,“1”が反転するタイミングが生じる場合がある。ここでは、これを擾乱と称する。
【0139】
例えば、図13(a)に示す2段構成のシフトレジスタ111aの場合、エッジ検出器113は、出力信号115aが“1”であり、出力信号115bが“0”である状態や、出力信号115aが“0”であり、出力信号115bが“1”である状態を検出すると、シンボル期間の境界(エッジ)であると判断する。しかし、これが、実際のシンボル期間の境界についての正しい判断であるのか、擾乱による誤った判断であるのかを区別するのは困難である。
【0140】
一方、図13(b)に示す6段構成のシフトレジスタ111bの場合、エッジ検出器113は、レジスタ114a〜114cの出力信号がすべて“1”であり、レジスタ114d〜114fの出力信号がすべて“0”である状態を検出すると、シンボル期間の境界であると判断する。この場合も、擾乱でこの様な状態が発生することがあるが、その発生確率は小さい。また、エッジ検出器113は、レジスタ114a,114cの出力信号が“1”であり、レジスタ114b,114d〜114fの出力信号が“0”である状態を検出すると、レジスタ114bの出力信号が擾乱で“1”から“0”に変化したと判断する。この結果、エッジ検出器113は、シンボル期間の境界を正しく判断することができる。
【0141】
この様に、シフトレジスタを多段構成にすると、出力信号115a,115bにおける、“0”や“1”の多数決および平均値により、瞬間的な擾乱の影響を抑制して“0”と“1”との変化点を正確に判断することが可能になる。この様な判断を行うには、シフトレジスタ111bのように、少なくとも、前段部に少なくとも3個のレジスタ114a〜114cを備え、後段部に少なくとも3個のレジスタ114d〜114fを備えることが好ましい。
【0142】
上記の多数決および平均値に基づく判断は、統計学的には、分散がσ^2である観測量をN回測定して平均をとると、その平均値の分散はσ^2/Nに減少するという効果を利用していることになる。
【0143】
なお、多段構成のシフトレジスタを用いる場合、境界の判断を行うための手法としては、多数決および平均に限定するものではなく、同様の効果が得られるならば、他の統計的・信号処理的な処理を導入しても良い。
【0144】
〔同期部およびタイミングコントローラの実現形態〕
同期部11およびタイミングコントローラ12の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成されても良いし、以下の様にCPUを用いてソフトウェア(制御プログラム)によって実現されても良い。
【0145】
上記の各ブロックは、それぞれの機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU(Central Processing Unit)、プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、受信機100に供給し、CPUが記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出して実行することによっても、達成可能である。
【0146】
上記の記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/BD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0147】
また、受信機100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記のプログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0148】
[付記事項]
前述の実施形態は、本発明の一例であり、復調装置101が、同期部11およびタイミングコントローラ12を備えている。また、同期部11がシンボル期間を抽出し、タイミングコントローラ12が生成するアクティブ期間33aでのみ復調装置101の内部回路に電源を供給し、タイミングコントローラ12が所定の方法でアクティブ期間33aを生成する。さらに、同期部11やタイミングコントローラ12がカウンタで構成される。これらの特徴を満たせば、OOK変調されたRF信号からデジタルデータ“0”,“1”に復調する構成において、RF信号の処理は、図3に示すアンプ3、ミキサ4、フィルタ5、アンプ6、整流器7およびコンパレータ8により行われる処理に限定されない。
【0149】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明に係る復調装置は、無線通信機能を持った無線センサノードで構成され、情報を収集する無線センサネットワークに用いられるOOK方式の無線通信の復調を低消費電力で実施することに好適に利用できる。本発明は、特に、無線センサネットワーク、医療、ヘルスケア、スマート・グリッド等のエネルギー監視・制御システム、遠隔処理の監視カメラ等の無線通信に有効であり、これらのシステムのボタン電池や太陽電池等による駆動が可能となる。
【符号の説明】
【0151】
1,2 端末(通信端末)
3 アンプ
4 ミキサ
5 フィルタ
3 アンプ
8 コンパレータ
10 無線通信システム
11 同期部(シンボル抽出手段)
12 タイミングコントローラ(アクティブ期間設定手段)
13 クロック発生器(クロック発生手段)
21a〜21f スイッチ(電力供給・供給停止手段)
22a〜22f スイッチ(電力供給・供給停止手段)
100 受信機
101 復調装置
102 アンテナ
103 復調処理部
111 シフトレジスタ
111a シフトレジスタ
111b シフトレジスタ
112 カウンタ
113 エッジ検出器(エッジ検出手段)
121 カウンタ
122 ゲーティング信号生成器(電力供給動作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期ワードおよびデータから構成されるパケットをOOK(On/Off Keying)変調された無線信号を復調する復調処理部を備えた復調装置において、
クロックを発生するクロック発生手段と、
前記復調処理部によって復調された前記無線信号のシンボル期間を前記クロックを基準にして抽出するシンボル期間抽出手段と、
前記復調処理部へ電力供給および電力供給の停止を行う電力供給・供給停止手段と、
前記電力供給・供給停止手段による電力供給を有効にするアクティブ期間を設定し、当該アクティブ期間に基づいて、前記電力供給・供給停止手段に電力供給の動作をさせ、前記アクティブ期間以外の期間に前記電力供給・供給停止手段に電力供給の動作を停止させる電力供給制御手段とを備え、
前記電力供給制御手段は、前記同期ワードの復調では抽出された前記シンボル期間の全期間を前記アクティブ期間として設定し、前記データの復調では抽出された前記シンボル期間の一部の期間のみを前記アクティブ期間として設定することを特徴とする復調装置。
【請求項2】
前記電力供給制御手段は、前記クロックを基準にして前記アクティブ期間を抽出された前記シンボル期間の中央に設定することを特徴とする請求項1に記載の復調装置。
【請求項3】
前記電力供給制御手段は、
前記クロックをカウントするカウンタと、
前記データの復調では、前記アクティブ期間の開始時間および終了時間に対応したカウント値に前記カウンタのカウント値が達したタイミングで規定される期間に、前記電力供給・供給停止手段に電力供給の動作をさせる電力供給動作手段とを有していることを特徴とする請求項1または2に記載の復調装置。
【請求項4】
前記シンボル期間抽出手段は、
前記クロックをカウントするカウンタと、
前記クロックを基準にして前記復調処理部の出力信号の変化点を前記シンボル期間の境界として検出し、かつ当該境界を検出したタイミングの前記カウンタのカウント値を前記シンボル期間の境界として記憶するエッジ検出手段とを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の復調装置。
【請求項5】
前記シンボル期間抽出手段は、前記クロックでシフトし格納する2段のレジスタから成るシフトレジスタを有し、
前記エッジ検出手段は、前記復調処理部の出力信号を初段の前記レジスタに入力し、各レジスタに格納された2系統のデータの相違に基づいて、前記シンボル期間の境界を検出することを特徴とする請求項4に記載の復調装置。
【請求項6】
前記シンボル期間抽出手段は、前記クロックでシフトし格納する少なくとも6段のレジスタから成るシフトレジスタを有し、
前記エッジ検出手段は、前記復調処理部の出力信号を初段の前記レジスタに入力し、前記シフトレジスタの前段部の少なくとも3個の各レジスタに格納されたデータと、前記シフトレジスタの後段部の少なくとも3個の各レジスタに格納されたデータとの相違に基づいて、前記シンボル期間の境界を検出することを特徴とする請求項4に記載の復調装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の復調装置を含む複数の通信端末を備え、当該通信端末間で無線通信を行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
請求項3または6に記載の復調装置を含む複数の通信端末を備え、当該通信端末間で無線通信を行う無線通信システムであって、
送信側の前記クロック発生手段と受信側の前記クロック発生手段の周波数許容偏差の上限値を基に、送信側の前記通信端末および受信側の前記通信端末における1周期当たりのクロック周期の差がパケットの最終シンボルにまで累積した累積誤差が所定の範囲内となるように、前記パケットのパケット長が予め決定されていることを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−90009(P2013−90009A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226144(P2011−226144)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構「極低電力回路・システム技術開発(グリーンITプロジェクト)」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】