説明

循環型換気システム

【課題】循環型換気システムのシステム資源を有効に利用して、その機能を維持しながら吸着フィルターの再生を行えるようにすることが課題である。
【解決手段】本発明では給気ファン1から室内に至る給気経路2と、屋外から給気ファンに至る外気取入経路3と、室内から給気ファンに至る循環経路4と、室内から排気ファン5を経て屋外に至る排気経路6を構成した循環型換気システムにおいて、循環経路に吸着フィルター7を装着した空気浄化部8を設け、空気浄化部の下流側から排気経路の排気ファンの上流側に至る再生排気経路9を構成して、この再生排気経路と、上記循環経路の空気浄化部よりも下流側に経路開閉手段10a,10bを設け、空気浄化部内には吸着フィルターの加熱手段11を設けることにより上記課題を解決している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等における循環型換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、住宅においては、建築基準法の改正により換気設備が義務付けられている。この換気設備の換気方式としては、給排気とも換気設備で行う第1種換気設備、給気を換気設備で行い排気は自然排気口または隙間から行う第2種換気設備、排気を換気設備で行い給気は自然給気口又は隙間から行う第3種換気設備の3種類に分類される。尚、給排気とも換気設備で行う第1種換気設備の場合でも給排気量のバランスによっては第3種換気設備として分類することもある。
【0003】
上記換気設備の一つのシステムとして、例えば特許文献1に示されるように、給気ファンから室内に至る給気経路と、屋外から給気ファンに至る外気取入経路と、室内から給気ファンに至る循環経路と、室内から排気ファンを経て屋外に至る排気経路を構成した循環型換気システムがある。特許文献1の換気システムにおいては、給気経路と循環経路と合流して給気ファンに至る合流経路に、フィルターを設けた空気清浄機が設けられており、この空気清浄機により、外気や循環する室内空気中の粉塵、花粉、臭気、VOC等が除去される構成である。
【0004】
このようなシステムにおいて、有害物質等を除去して空気を浄化するためのフィルターとしては、例えば特許文献2に示されるように、活性炭やゼオライト、あるいは金属酸化物をセラミックハニカムにコーティングしたフィルター等の吸着フィルターが用いられている。
【特許文献1】特開平10−220838号公報
【特許文献1】特開2002−276999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空気を浄化するためのフィルターとして例えば活性炭等の吸着フィルターを用いた場合、当初は揮発性有機化合物等の有害物質の除去率が高いのであるが、時間の経過と共に除去性能が劣化して除去率が低下してしまう。
【0006】
従来は活性炭等の吸着フィルターが劣化した場合には、それを交換することで対応していたため、利用者の金銭的負担が大きく、また資源の有効利用が図られず、良好な地球環境を維持していく上でも問題である。
【0007】
本発明は、以上の問題点に鑑みて創案されたもので、即ち、循環型換気システムのシステム資源を有効に利用して、吸着フィルターの再生を行えるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明では、給気ファンから室内に至る給気経路と、屋外から給気ファンに至る外気取入経路と、室内から給気ファンに至る循環経路と、室内から排気ファンを経て屋外に至る排気経路を構成した循環型換気システムにおいて、循環経路に吸着フィルターを装着した空気浄化部を設け、空気浄化部の下流側から排気経路の排気ファンの上流側に至る再生排気経路を構成して、この再生排気経路と、上記循環経路の空気浄化部よりも下流側に経路開閉手段を設け、空気浄化部内には吸着フィルターの加熱手段を設けた循環型換気システムを提案する。
【0009】
また本発明では、給気ファンから室内に至る給気経路と、屋外から給気ファンに至る外気取入経路と、室内から給気ファンに至る循環経路と、室内から排気ファンを経て屋外に至る排気経路を構成した循環型換気システムにおいて、循環経路に吸着フィルターを装着した空気浄化部を設けると共に、排気ファンの上流側の排気経路に、吸着フィルターを装着可能な再生部を接続し、再生部に経路開閉手段を設けた空気取入経路を構成すると共に、再生部内に加熱手段を設けた循環型換気システムを提案する。
【0010】
そして本発明では、以上の構成において、空気浄化部又は再生部に水蒸気を供給する水蒸気供給手段を構成した循環型換気システムを提案する。
【0011】
また本発明では、上記の構成において、水蒸気供給手段は、浴室からの排気経路に設けた経路開閉手段と、その上流側から空気浄化部に至る浴室水蒸気供給経路とから構成し、浴室水蒸気供給経路に経路開閉手段を設けた循環型換気システムを提案する。
【0012】
また本発明では、上記の構成において、水蒸気供給手段は、浴室からの排気経路に設けた水蒸気凝縮部と、凝縮水を清浄化する清浄化手段と、清浄化した凝縮水を加圧して空気浄化部内に設けた噴霧部から噴霧する構成とした循環型換気システムを提案する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、循環経路の経路開閉手段を開とすると共に、再生排気経路の経路開閉手段を閉とした状態において、循環型換気システムの通常動作の運転を行うことができ、循環経路を流れる空気中に含まれるホルムアルデヒド(HCHO)等の揮発性有機化合物(VOC)を空気浄化部において吸着フィルターに吸着して除去することができる。
【0014】
以上の運転において時間が経過した場合には、循環経路の経路開閉手段を閉とすると共に、再生排気経路の経路開閉手段を開とし、そして空気浄化部の加熱手段を動作させて吸着フィルターを再生する運転を行う。
【0015】
この運転では、給気ファンから室内に至る給気経路と、屋外から給気ファンに至る外気取入経路と、室内から排気ファンを経て屋外に至る排気経路により、第1種換気設備又は第3種換気設備としての機能を維持することができる。
【0016】
一方、加熱手段を動作させて吸着フィルターを加熱することにより、吸着フィルターに吸着されている揮発性有機化合物を脱離して再生を行うことができる。例えば、吸着フィルターとして活性炭を用いている場合には、吸着フィルターを、例えば220度〜260度に加熱することによりVOCやホルムアルデヒド等のガス状物質を脱離することができる。
【0017】
空気浄化部において吸着フィルターから脱離された揮発性有機化合物は、再生排気経路を介して排気経路の排気ファンに吸引され、空気浄化部の上流側の循環経路からの室内空気と共に排気経路を経て屋外に排出される。
【0018】
このようにして、換気される室内空気と共に屋外に排出される揮発性有機化合物の量は、屋外環境の下では非常に少ない量であるので、換気される室内空気により希釈された状態で排出することにより環境に対する影響は実質的にない。
【0019】
次に請求項2の発明では、再生部の空気取入経路の経路開閉手段は閉として、再生部を経ての空気の排気は行わない状態において、循環型換気システムの通常動作の運転を行うことができ、循環経路を流れる空気中に含まれるホルムアルデヒド(HCHO)等の揮発性有機化合物(VOC)を空気浄化部において吸着フィルターに吸着して除去することができる。
【0020】
この運転において、時間が経過した場合には、吸着フィルターを空気浄化部内から取り出して再生部に装着し、空気取入経路の経路開閉手段を開とし、再生部の加熱手段を動作させて吸着フィルターを再生する運転を行う。
【0021】
この運転では、給気ファンから室内に至る給気経路と、屋外から給気ファンに至る外気取入経路と、室内から排気ファンを経て屋外に至る排気経路により、第1種換気設備又は第3種換気設備としての機能を維持することができ、また空気浄化部には吸着フィルターを装着していない状態で、又、場合によっては他の交換用の吸着フィルターを装着した状態で室内空気の循環を行うことができる。
【0022】
同時に、再生部においては、加熱手段を動作させて吸着フィルターを加熱することにより、上述と同様に、吸着フィルターに吸着されている揮発性有機化合物を脱離して再生を行うことができる。
【0023】
再生部において吸着フィルターから脱離された揮発性有機化合物は排気経路の排気ファンに吸引され、空気取入経路からの空気と共に排気経路を経て屋外に排出される。尚、空気取入経路から再生部に取り入れる空気は、外気であっても良いし、室内空気であっても良い。
【0024】
上述と同様に、再生時に生じた揮発性有機化合物は、外気又は換気される室内空気により希釈された状態で排出することにより環境に対する影響は実質的にない。
【0025】
ここで再生時に、空気浄化部又は再生部にヒーターによる加熱に加え、水蒸気を与えることでより効果的な脱離を行うことが出来る。又、上記に加え水蒸気を加熱水蒸気とすることで揮発性有機化合物のガス状物質を効率よくかつ安全に脱離させることが出来る。
【0026】
賦活における水蒸気の供給は、入浴後の浴室から水蒸気供給手段により水蒸気として空気浄化部又は再生部に供給するようにしても良いし、水を空気浄化部又は再生部に供給して、そこで噴霧することにより水蒸気を供給するようにしても良い。
【0027】
このようにして本発明では、吸着フィルターの再生を定期的等、適宜に行うことができ、除去率を常に高く維持することにより、揮発性有機化合物等の有害物質の除去を効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に本発明の最良の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
まず、図1は本発明の循環型換気システムの第1の実施の形態を示すものである。
符号1は給気ファンであり、この給気ファン1から室内に至る給気経路2、屋外から給気ファン1に至る外気取入経路3及び室内から給気ファン1に至る循環経路4を構成している。一方、符号5は排気ファンであり、室内から排気ファン5を経て屋外に至る排気経路6を構成している。符号6a,6b,6cは、浴室、洗面所、便所等の各所からの排気経路を示すものである。
【0029】
そして本発明では、循環経路4に吸着フィルター7を装着した空気浄化部8を設け、空気浄化部8の下流側から排気経路6の排気ファン5の上流側に至る再生排気経路9を構成して、この再生排気経路9と、上記循環経路4の空気浄化部8よりも下流側に経路開閉手段10a,10bを設け、空気浄化部8内には吸着フィルター7の加熱手段11、例えばシーズヒーターを設けている。また空気浄化部8内には温度制御用のサーモスタット12を設けている。また上記経路開閉手段10a,10bとしてはモーターダンパーを用いているが、手動により開閉するものでも良い。
【0030】
吸着フィルター7としては、活性炭を吸着剤として用いたものが代表的であるが、上述したように、ゼオライト、炭素系セラミック、あるいは金属酸化物をセラミックハニカムにコーティングしたフィルター等の、加熱により再生可能な適宜の吸着剤を用いたものを適用することができる。
【0031】
尚、図1において、記号OAは外気(Outside Air)、SAは給気(Supply Air)、RAは循環空気(Return Air)、EAは排気(Exhaust Air)を示すものであり、これらの記号は他の図においても同様である。また、図1において、一方が開の場合には、他方が閉となるように排他的動作を行う経路開閉手段10a,10bは、便宜的に一方の記号に斜線を付した表記としており、この表記は他の図面においても同様である。
【0032】
以上の構成において循環経路4の経路開閉手段10bを開とすると共に、再生排気経路9の経路開閉手段10aを閉とした状態においては、室内の空気は給気ファン1に吸引されて循環経路4を流れ、この際、空気中に含まれるホルムアルデヒド(HCHO)等の揮発性有機化合物(VOC)は空気浄化部8において吸着フィルター7に吸着されて除去される。一方、室内の空気は、排気ファン5に吸引されて、浴室、洗面所、便所等の各所からの排気経路6a,6b,6cから排気経路6を経て屋外に排気される。こうして循環型換気システムの通常動作の運転を行うことができ、
【0033】
以上の運転において所定時間が経過した場合には、上述の運転と逆に循環経路4の経路開閉手段10bを閉とすると共に、再生排気経路9の経路開閉手段10aを開とし、そして空気浄化部8の加熱手段11を動作させて吸着フィルター7を再生する運転を行う。
【0034】
加熱手段11を動作させて吸着フィルター7を加熱することにより、吸着フィルター7に吸着されている揮発性有機化合物を脱離して再生を行うことができる。例えば、吸着フィルター7として活性炭を用いている場合には、吸着フィルター7を、例えば220度〜260度に加熱することによりホルムアルデヒドを脱離することができる。尚、この場合、経路開閉手段10a,10bを閉じ、一時的に空気の流れを止めることで空気浄化部8内の温度を所定の温度まで上げることが出来る。
【0035】
空気浄化部8において吸着フィルター7から脱離された揮発性有機化合物は、再生排気経路9を介して排気経路6の排気ファン5に吸引され、空気浄化部8の上流側の循環経路4からの室内空気と共に排気経路6を経て屋外に排出される。
【0036】
このようにして揮発性有機化合物を、換気される室内空気と共に屋外に排出するのであるが、その排出される量は、屋外環境の下では非常に少ない量であるので、換気される室内空気により希釈された状態で排出することにより環境に対する影響は実質的にない。
【0037】
次に、図2は本発明の循環型換気システムの第2の実施の形態を示すものである。この実施の形態では、第1の実施の形態における構成要素に加え、浴室からの排気経路6aに経路開閉手段13aを設けると共に、その上流側から空気浄化部8に至る浴室水蒸気供給経路14を構成し、浴室水蒸気供給経路14に経路開閉手段13bを設けた構成の水蒸気供給手段を付加した構成である。このため、第1の実施の形態と共通する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0038】
以上の構成において、循環経路4の経路開閉手段10bと排気経路6aの経路開閉手段13aを開とし、再生排気経路9の経路開閉手段10aと浴室水蒸気供給経路14の経路開閉手段13bを閉とした状態においては、室内の空気は給気ファン1に吸引されて循環経路4を流れ、この際、空気中に含まれるホルムアルデヒド(HCHO)等の揮発性有機化合物(VOC)は空気浄化部8において吸着フィルター7に吸着されて除去される。一方、室内の空気は、排気ファン5に吸引されて、浴室、洗面所、便所等の各所からの排気経路6a,6b,6cから排気経路6を経て屋外に排気される。こうして循環型換気システムの通常動作の運転を行うことができ、
【0039】
以上の運転において所定時間が経過した場合には、上述の運転と逆に、循環経路4の経路開閉手段10bと排気経路6aの経路開閉手段13aを閉とし、再生排気経路9の経路開閉手段10aと浴室水蒸気供給経路14の経路開閉手段13bを開とし、そして空気浄化部8の加熱手段11を動作させて吸着フィルター7を再生する運転を行う。
【0040】
この再生運転においては、空気浄化部8において吸着フィルター7から脱離された揮発性有機化合物は、再生排気経路9を介して排気経路6の排気ファン5に吸引され、空気浄化部8の上流側の循環経路4と、浴室水蒸気供給経路14からの室内空気と共に排気経路6を経て屋外に排出される。
【0041】
例えば、以上の再生運転を入浴後に行うとすると、浴室水蒸気供給経路14から空気浄化部8に供給される室内空気には水蒸気が多く含まれているため、この水蒸気を利用して吸着フィルター7の賦活を行うことができる。
【0042】
尚、再生運転の初期においては、浴室水蒸気供給経路14の経路開閉手段13bを閉としておけば、空気浄化部8には循環経路4を通しての室内空気のみが供給されるため、加熱のみによる再生動作を行うことができ、その後、経路開閉手段13bを開として、上述したように浴室内の水蒸気を利用して吸着フィルター7の賦活を行うことができる。
【0043】
尚、浴室内の水蒸気を多く含む室内空気を効率的に空気浄化部8に供給するために、空気浄化部8の上流側の循環経路4に経路開閉手段を設けることができる。
【0044】
次に図3は本発明の循環型換気システムの第3の実施の形態を示すものである。この第3の実施の形態は、水蒸気供給手段の他の実施の形態を示すものであり、第1の実施の形態と共通する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
即ち、この第3の実施の形態では、水蒸気供給手段は、浴室からの排気経路6aに設けた水蒸気凝縮部15と、水蒸気凝縮部15の下部の凝縮水溜まり部16に溜まった凝縮水をポンプ17により加圧して供給管18を介して空気清浄部8内に設けた噴霧部19に供給して噴霧する構成としている。そしてポンプ17の上流側にはフィルター20aと純水器20bとから成る凝縮水の清浄化手段20を設けている。尚、図中符号21はボールタップ機能を有する補給水供給部、22はオーバーフロー排出管である。
【0045】
この第3の実施の形態では、浴室からの水蒸気の凝縮水と、上水等からの補給水により、水蒸気凝縮部15の凝縮水溜まり部16に、一定量溜まっている水を清浄化して空気清浄部8内に噴霧するので、賦活に使用する水蒸気を安定して供給可能である。
【0046】
次に図4は本発明の循環型換気システムの第4の実施の形態を示すものである。
この実施の形態の循環型換気システムは、第1の実施の形態と同様に、給気ファン1から室内に至る給気経路2と、屋外から給気ファン1に至る外気取入経路3と、室内から給気ファン1に至る循環経路4と、室内から排気ファン5を経て屋外に至る排気経路6を構成しており、そして循環経路4に吸着フィルター7を装着した空気浄化部8を設けると共に、排気ファン5の上流側の排気経路6に、吸着フィルター7を装着可能な再生部23を接続し、再生部23に経路開閉手段24を設けた空気取入経路25を構成すると共に、再生部23内に加熱手段11を設けた構成である。また再生部23内には上述と同様に温度制御用のサーモスタット12を設けている。
【0047】
以上の構成において、再生部23の空気取入経路25の経路開閉手段24は閉として、再生部23を経ての空気の排気は行わない状態においては、室内の空気は給気ファン1に吸引されて循環経路4を流れ、この際、空気中に含まれるホルムアルデヒド(HCHO)等の揮発性有機化合物(VOC)は空気浄化部8において吸着フィルター7に吸着されて除去される。一方、室内の空気は、排気ファン5に吸引されて、浴室、洗面所、便所等の各所からの排気経路6a,6b,6cから排気経路6を経て屋外に排気される。こうして循環型換気システムの通常動作の運転を行うことができる。
【0048】
この運転において、時間が経過した場合には、空気浄化部8内の吸着フィルター7を取り出して、再生部23に装着し、その空気取入経路25の経路開閉手段24を開とし、再生部23の加熱手段11を動作させて吸着フィルター7を再生する運転を行う。
【0049】
この運転では、給気ファン1から室内に至る給気経路2と、屋外から給気ファン1に至る外気取入経路3と、室内から排気ファン5を経て屋外に至る排気経路6により、第1種換気設備又は第3種換気設備としての機能を維持することができる。この際、空気浄化部8には吸着フィルター7を装着していない状態で、又、場合によっては他の交換用の吸着フィルターを装着した状態で室内空気の循環を行うことができる。
【0050】
同時に、再生部23においては、加熱手段11を動作させて吸着フィルター7を加熱することにより、上述と同様に、吸着フィルター7に吸着されている揮発性有機化合物を脱離して再生を行うことができる。
【0051】
再生部23において吸着フィルター7から脱離された揮発性有機化合物は排気経路5の排気ファン5に吸引され、空気取入経路25からの空気と共に排気経路6を経て屋外に排出される。上述したとおり、空気取入経路25から再生部23に取り入れる空気は、外気であっても良いし、室内空気であっても良い。
【0052】
上述と同様に、再生時に生じた揮発性有機化合物は、外気又は換気される室内空気により希釈された状態で排出することにより環境に対する影響は実質的にない。
【0053】
この第4の実施の形態においても、再生部23に、第2又は第3の実施の形態に示されるような水蒸気供給手段を構成して、賦活による効果的な吸着フィルター7の再生が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は以上のとおりであり、循環型換気システムのシステム資源を有効に利用し、且つ、循環型換気システムとしての機能を維持した状態で、吸着フィルターの再生を行うことができるので、産業上の利用可能性が大であり、以下に示すような利点がある。
【0055】
1.吸着フィルターの再生を定期的に行うようにすることにより、吸着フィルターの吸着性能である除去率を常に高く維持することができ、揮発性有機化合物等の有害物質の除去を効果的に行うことができる。
【0056】
2.活性炭、ゼオライト、炭素系セラミック等の吸着剤を用いた吸着フィルターを使い切りにするのではなく、再利用することで、無駄な廃棄物は出さず、地球環境に優しいシステムを実現することができる。
【0057】
3.吸着フィルターを再生して使用することで、交換までの期間を大幅に延長することができ、ユーザーの経済的な負担を低減することができる。例えば上述したように上記第4の実施の形態において、他の交換用の吸着フィルターを用いる場合でも、夫々の吸着フィルターの交換までの期間を大幅に延長することができるので、やはりユーザーの経済的な負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す系統説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す系統説明図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示す要部の系統説明図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態を示す系統説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 給気ファン
2 給気経路
3 外気取入経路
4 循環経路
5 排気ファン
6(6a,6b,6c) 排気経路
7 吸着フィルター
8 空気浄化部
9 再生排気経路
10a,10b 経路開閉手段(モーターダンパー等)
11 加熱手段(シーズヒーター)
12 サーモスタット
13a,13b 経路開閉手段(モーターダンパー等)
14 浴室水蒸気供給経路
15 水蒸気凝縮部
16 凝縮水溜まり部
17 ポンプ
18 供給管
19 噴霧部
20 清浄化手段
20a フィルター
20b 純水器
21 補給水供給部
22 オーバーフロー排出管
23 再生部
24 経路開閉手段(モーターダンパー等)
25 空気取入経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気ファンから室内に至る給気経路と、屋外から給気ファンに至る外気取入経路と、室内から給気ファンに至る循環経路と、室内から排気ファンを経て屋外に至る排気経路を構成した循環型換気システムにおいて、循環経路に吸着フィルターを装着した空気浄化部を設け、空気浄化部の下流側から排気経路の排気ファンの上流側に至る再生排気経路を構成して、この再生排気経路と、上記循環経路の空気浄化部よりも下流側に経路開閉手段を設け、空気浄化部内には吸着フィルターの加熱手段を設けたことを特徴とする循環型換気システム。
【請求項2】
給気ファンから室内に至る給気経路と、屋外から給気ファンに至る外気取入経路と、室内から給気ファンに至る循環経路と、室内から排気ファンを経て屋外に至る排気経路を構成した循環型換気システムにおいて、循環経路に吸着フィルターを装着した空気浄化部を設けると共に、排気ファンの上流側の排気経路に、吸着フィルターを装着可能な再生部を接続し、再生部に経路開閉手段を設けた空気取入経路を構成すると共に、再生部内に加熱手段を設けたことを特徴とする循環型換気システム。
【請求項3】
空気浄化部に水蒸気を供給する水蒸気供給手段を構成したことを特徴とする請求項1に記載の循環型換気システム。
【請求項4】
再生部に水蒸気を供給する水蒸気供給手段を構成したことを特徴とする請求項2に記載の循環型換気システム。
【請求項5】
水蒸気供給手段は、浴室からの排気経路に設けた経路開閉手段と、その上流側から空気浄化部に至る浴室水蒸気供給経路とから構成し、浴室水蒸気供給経路に経路開閉手段を設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載の循環型換気システム。
【請求項6】
水蒸気供給手段は、浴室からの排気経路に設けた水蒸気凝縮部と、凝縮水を清浄化する清浄化手段と、清浄化した凝縮水を加圧して空気浄化部内に設けた噴霧部から噴霧する構成としたことを特徴とする請求項3又は4に記載の循環型換気システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−121762(P2009−121762A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297008(P2007−297008)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(301071022)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】