説明

循環型飲食容器搬送装置

【課題】 飲食容器を搬送する搬送部材における飲食容器載置面を、飲食容器を載置して飲食物を循環搬送している状態においても簡便に清掃できる循環型飲食容器搬送装置を提供すること。
【解決手段】 搬送部材5が走行する走行経路上の飲食容器43を、該走行経路の一部の特定エリアEをバイパスして循環搬送させるためのバイパス手段と、特定エリアEに設置され、前記走行経路における特定エリアEを走行する搬送部材5の飲食容器載置面を清掃する清掃装置6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物が載置される飲食容器を載置する飲食容器載置面を有する無端状の搬送部材を走行させることで、前記飲食物を循環搬送する循環型飲食容器搬送装置に関わり、特には搬送部材を清掃することができる循環型飲食容器搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の無端状の循環型飲食容器搬送装置にあっては、寿司などの飲食物を載置した容器を、循環走行自在に配設された搬送部材上に載置することにより搬送していることから、塵や埃あるいは食材である飯粒やネタ、しょう油、タレ等の調味料などの塵芥が落下して搬送部材が汚れることがあった。
【0003】
搬送部材が汚れている状況は衛生上好ましくなく、また、客の目に付きやすいことから、一般的には、例えば営業時間外や営業時間中における閑散時等において人手により清掃するようにしていたが、循環型搬送装置が大型で搬送経路が長いもの等にあっては、人手による清掃は手間であるばかりか、特に飯粒等は搬送部材にこびりついていることがあるため、これを除去することは大変な作業であった。
【0004】
このような循環型搬送装置を清掃する清掃装置としては、例えば搬送部材のうち一部に清掃体を収納した清掃装置を設置し、搬送部材とともに走行させ、搬送部材の両端を下方から支持するための搬送用レール上面を清掃するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−79188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の清掃装置にあっては、搬送用レール上面を清掃する清掃装置であり、飲食物の塵芥が付着して汚れやすく、かつ、人目に付きやすい搬送部材の上面を清掃するものではなかった。
【0007】
また、前述したように搬送部材の上面は汚れやすいため、営業時間外だけでなく、営業時間中においてもこまめに清掃することが好ましいが、特に営業時間中は飲食物を客に提供するために搬送部材の上面に飲食容器を載置して飲食物を循環搬送しているため、飲食容器が清掃の妨げになるという問題を有していた。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、飲食容器を搬送する搬送部材における飲食容器載置面を、飲食容器を載置して飲食物を循環搬送している状態においても簡便に清掃できる循環型飲食容器搬送装置を適用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の無端状の飲食容器搬送装置は、
飲食物が載置される飲食容器を載置する飲食容器載置面を有する無端状の搬送部材を走行させることで、前記飲食物を循環搬送する循環型飲食容器搬送装置であって、
前記搬送部材が走行する走行経路上の飲食容器を、該走行経路の一部の特定エリアをバイパスして循環搬送させるためのバイパス手段と、
前記特定エリアに設置され、前記走行経路における特定エリアを走行する前記搬送部材の飲食容器載置面を清掃する清掃装置と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、搬送部材の飲食容器載置面上に載置された飲食容器を、清掃装置が設置される特定エリアを通過させることなく、バイパス手段によりバイパスさせて循環搬送させることができるため、飲食容器を循環搬送しているときでも、該飲食容器に阻害されることなく清掃装置により飲食容器載置面を清掃することができる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の循環型飲食容器搬送装置は、請求項1に記載の循環型飲食容器搬送装置であって、
前記バイパス手段は、
前記飲食容器をバイパス搬送させるためのバイパス路と、前記走行経路を走行してきた前記飲食容器の進路が、前記走行経路から前記バイパス路に向けて変更されるように案内する案内部材と、から構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、搬送部材の飲食容器載置面上に載置された飲食容器の進路を変更してバイパス路を搬送させるだけで、特定エリアをバイパスさせることができるため、簡単な機構で飲食容器をスムーズにバイパスして循環搬送できる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の循環型飲食容器搬送装置は、請求項1または2に記載の循環型飲食容器搬送装置であって、
前記特定エリアは、前記搬送部材の走行方向が変換される前記走行経路の方向変換部に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、搬送部材の走行経路における方向変換部の上流側から下流側にバイパスさせる際の移動距離を短く抑えることができることで、容易にバイパスさせることができるばかりか、特定エリアを極力コンパクト化し、搬送部材の走行経路を飲食容器の搬送経路として有効に利用することができる。
【0012】
本発明の請求項4に記載の循環型飲食容器搬送装置は、請求項3に記載の循環型飲食容器搬送装置であって、
前記方向変換部は、前記搬送部材の走行方向がほぼ反対側に向けて折り返される折返し部であることを特徴としている。
この特徴によれば、搬送部材の走行経路における折返し部の上流側と下流側との距離が極めて近いため、バイパスさせる際の移動距離をより短く抑えることができる。
【0013】
本発明の請求項5に記載の循環型飲食容器搬送装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の循環型飲食容器搬送装置であって、
前記清掃装置の本体は、
前記搬送部材上の塵芥を吸引して回収する吸引装置に接続された吸引部と、
前記搬送部材の走行方向に対して前記吸引部よりも上流側に可動自在に配置され、前記搬送部材上の塵芥を前記吸引部に向けて収集するブラシ部と、
前記搬送部材の走行方向に対して前記吸引部よりも下流側に配置され、前記搬送部材を払拭する払拭部と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、ブラシ部により搬送部材に付着した塵芥が効果的に剥離されるため、清掃効果が高まるとともに、ブラシ部により剥離された塵芥は吸引部に向けて収集され、吸引装置による吸引により回収されるため、回収した塵芥を搬送部材の下方に落下させることなく収集して回収することができるばかりか、吸引部から吸引して回収することができていないしょう油やタレなど液体状の塵芥についても払拭部により払拭することができるとともに、払拭部による払拭は塵芥が吸引部から回収された後の塵や埃等がない状態で行われるため、払拭を効果的に行うことができるばかりか、払拭部が汚れにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0015】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例における飲食容器搬送装置の全体像を示す平面図であり、図2は搬送経路における折返し部に清掃装置およびバイパス路が配置された状態を示す平面図であり、図3(a)は清掃装置を示す平面図、(b)は(a)のA−A断面図であり、図4は清掃装置が搬送部材を清掃している状況を示す断面図であり、図5は〜図7は本発明の変形例を示す平面図である。
【0016】
先ず図1には、本発明の実施例としての、無端状の循環型飲食容器搬送装置4が示されており、飲食物を提供する店内は、厨房エリア2と飲食客エリア3とに仕切り用の隔壁1で分別され、基台7上に配置された循環型飲食容器搬送装置4は、厨房エリア2と飲食客エリア3とを循環するように走行する搬送部材5を備えている。飲食客エリア3には、循環型飲食容器搬送装置4の周囲にはテーブル8が配置され、テーブル8の周囲には座席9が配置されている。
【0017】
搬送部材5は、図2及び図4に示されるように、寿司等の飲食物を載置する飲食容器(皿等)が載置される載置面33a(飲食容器載置面)が上面に形成された載置板33の下面に固着された複数のチェーン34を、互いに上下方向を向くピン35で連結することにより無端状に形成された従来公知のチェーンコンベアであり、基台7の上部に凹設された無端状の溝条(図示略)内に配設され、基台7の内部における所定箇所に配設されたチェーン駆動部(図示略)の駆動により前記溝条内を走行するようになっている。すなわち、基台7の上部には搬送部材5の無端状の走行経路が形成されており、該走行経路は、後述する一部の特定エリアEを除いて飲食物が搬送される搬送経路となっている。
【0018】
清掃装置6は、厨房エリア2内所定箇所に形成された搬送部材5の走行経路において、搬送部材5の走行方向がほぼ反対側(約180度)に向けて折り返される走行経路の折返し部40に、後述するバイパス手段により形成される特定エリアE(図2中斜線領域)内に固定的に設置されており、搬送部材5を周回させることにより載置板33の載置面33a上に付着した飲食物の塵芥を除去する機能を有している。
【0019】
図2に示されるように、清掃装置6が配置される特定エリアEの近傍には、搬送部材5の走行方向に対して折返し部40よりも上流側の走行経路と、折返し部40よりも下流側の走行経路との間に架設され、前記上流側の走行経路を移動する飲食容器43を前記特定エリアEを通過させることなく、前記下流側の走行経路へバイパス(迂回)搬送させるためのバイパス路41と、飲食容器43の進路が搬送部材5の走行経路からバイパス路41に向けて変更されるように案内する案内部材42と、が設けられている。
【0020】
本実施例におけるバイパス路41は、図示しない駆動源により回転する複数本のコンベアローラ41aからなるローラコンベアにて構成されており、これら各コンベアローラ41aの周面上部にて形成される飲食容器43の搬送面が、載置板33の載置面33aにて形成される、搬送面とほぼ同じ高さになるように配設されている。
【0021】
案内部材42は、一端が基台7における折返し部40の上流側の所定箇所に軸支されるとともに、載置面33a上に載置された飲食容器43の周縁に当接する案内面42aを有する板部材からなり、搬送部材5上を斜め方向に横切るように配置されている。これにより搬送部材5の走行方向に向けて移動する飲食容器43は、折返し部40の手前において案内部材42の案内面42aに周縁が当接することで、バイパス路41に向けて進路変更されることになる。
【0022】
また、基台7における折返し部40の下流側にも、前記上流側の案内部材42と同様の案内面42a’を有する案内部材42’が設けられており、これによりバイパス路41におけるコンベアローラ41aの回転方向に向けて移動する飲食容器42は、案内部材42’の案内面42a’に周縁が当接することで、搬送部材5の走行方向に向けて進路変更されることになる。
【0023】
このように本実施例におけるこれらバイパス路41と案内部材42とは、載置面33a上に載置された飲食容器43を、前記特定エリアEを通過させることなくバイパスして循環搬送させるためのバイパス手段を構成しており、折返し部40に向かって移動する飲食容器43は、折返し部40に形成された特定エリアEの手前側にて、前記案内部材42によりバイパス路41に向けて進路変更され、バイパス路41を通過して折返し部40の下流側の走行経路にパイパス搬送されるようになっている。
【0024】
すなわち、基台7の上部に配設された搬送部材5の走行経路は、飲食物が搬送される搬送経路であるが、その走行経路の一部である折返し部40の近傍に前記バイパス路41及び案内部材42が設けられることにより、飲食物の循環搬送経路の一部がバイパス路41にて構成されるとともに、搬送部材5の走行経路の一部に飲食物が搬送されない特定エリアEが形成される。このように形成された特定エリアEには、以下に説明する清掃装置6が設置される。
【0025】
図3に示されるように、清掃装置6の本体は筐体10からなり、筐体10内には、搬送部材5に付着した飲食物等の塵芥を剥離させるブラシ部11と、剥離させた飲食物を吸引して回収する吸引部15と、ブラシ部11および吸引部15において、吸引して回収ができていないしょう油やタレなど液体状の塵芥について払拭する払拭部20と、それら各部を駆動させる駆動部25とが配設されている。
【0026】
吸引部15は、吸引部15の外部に設置した負圧を発生させて塵芥等を吸引する図示しない吸引装置に接続され、飲食物の塵芥を吸引する吸引口16と、該吸引口16から吸引した吸引した塵芥を回収する集塵ハウジング17と、該集塵ハウジング17内に回収された塵芥を該筐体10の外部に排出するための排出管18とからなる。
【0027】
集塵ハウジング17は、ブラシ部11側に吸引口16としての開口を有する箱体にて形成されており、この下板は、ブラシ部11から払拭部20に向けて上方に傾斜するように配設されているとともに、該下板の下端部には、先細り状に形成される刃部17aが形成されており、清掃位置に設置したときに、載置板33の載置面33aに近接するか、あるいは若干当接し、載置板33の載置面33aに付着した塵芥を剥ぎ取ることができるようになっている。
【0028】
ブラシ部11は、搬送部材5の搬送方向に対して前記吸引部15よりも上流側に配置されている。このブラシ部11は、筐体10内の所定箇所に一端が回転自在に軸支され、搬送部材5の搬送方向に対して直交する方向を向く回転軸13と、該回転軸13の周面に一端が固着された刷毛12と、から構成される回転ブラシにて構成されており、前記清掃位置に設置されたときに、刷毛12の先端と載置板33の載置面33aとが摺接するようになっている。
【0029】
払拭部20は、吸引部15よりも搬送部材5の搬送方向に対して下流側に配置されている。この払拭部20は、無端状のふき取りクロス24と、該ふき取りクロス24を巻張させて所定の形体を維持させる従動ローラ22と、ふき取りクロス24の払拭面を載置板33の載置面33aに対して押圧するための押圧用ゴムローラ23と、ふき取りクロス24を周回させるための駆動ローラ21とからなる。
【0030】
この清掃装置6のうちブラシ部11と払拭部20は、ブラシ部11の回転軸13に連結されたかさ歯車14と、払拭部20の駆動ローラ21に連結されたウォームギア19とが互いに噛合するよう配設され、駆動部25としてのモータ26を回転駆動することにより、同期運転されて清掃運転が実施されるようになっている。
【0031】
ここで、清掃装置6による清掃状況を図4に基づいて説明すると、特定エリアEにおける所定箇所に設置された清掃装置6は、ブラシ部11の刷毛12の先端並びに払拭部20のふき取りクロス24の下面がそれぞれ載置板33の載置面33aに当接しているとともに、集塵ハウジング17の下板の下端に形成された刃部17aが載置板33の載置面33aに近接している。
【0032】
この状態で清掃を開始するには、まずモータ26を駆動させるとともに、搬送部材5を走行させる。モータ26の駆動により、回転軸13並びに駆動ローラ21が回転し、ブラシ部11(回転ブラシ)並びに払拭部20(ふき取りクロス24)が回転することになる。
【0033】
ブラシ部11が搬送部材5の走行方向に向けて回転することにより、走行する載置板33に付着した飲食物の塵芥36が剥離されるとともに、剥離した塵芥36が後方の吸引部15に向けて収集される。収集された塵芥は、吸引装置吸引口16を介して集塵ハウジング17内に収集され、該収集された塵芥は排出菅18を介して筐体10の外部に排出されることにより回収される。また、集塵ハウジング17の刃部17aにより載置板33の載置面33aに付着した一部の塵芥が剥ぎ取られて回収される。
【0034】
このように、ブラシ部11により載置板33に付着した塵芥が効果的に剥離されるため、清掃効果が高まるとともに、ブラシ部11により剥離された塵芥は吸引部15に向けて収集され、図示しない吸引装置による吸引により回収されるため、回収した塵芥を載置板33の下方、すなわち、基台7の内部に落下させることなく収集して回収することができる。
【0035】
次いで、ブラシ部11及び吸引部15の下方を通過した載置板33は、その載置面33aが払拭部20にてふき取りクロス24にてふき取られるため、吸引部15から吸引して回収することができていないしょう油やタレなど液体状の塵芥についても払拭部20により払拭することができるとともに、払拭部20による払拭は塵芥が吸引部15から回収された後の払拭を塵や埃等の塵芥のない状態で行われるため、効果的に払拭できるばかりか、ふき取りクロス24が汚れにくくなる。また、押圧用ゴムローラ23により拭き取りクロス24における払拭面が押圧されるので、拭き取り作業を効果的に行うことができる。
【0036】
なお、本実施例における清掃装置6の本体は、基台7における特定エリアEに固定的に設置されているが、清掃装置6のメンテナンスやふき取りクロス24の交換等のために、基台7から取り外し可能に設置されていることが好ましい。
【0037】
以上説明したように、本実施例としての循環型飲食容器搬送装置4にあっては、載置板33の載置面33a上に載置された飲食容器43を、清掃装置6が設置される特定エリアEを通過させることなく、バイパス手段としてのバイパス路41及び案内部材42、42’によりバイパスさせて循環搬送させることができるため、飲食容器43を循環搬送しているときでも、該飲食容器43に阻害されることなく清掃装置6により載置面33aを容易に清掃することができる。
【0038】
また、載置板33の載置面33a上に載置された飲食容器43の進路を案内部材42により、当該搬送部材5の搬送路面と同高さ位置に搬送路面を形成したバイパス路41に変更することで、飲食容器43を水平方向に進路変更するだけで特定エリアEをバイパスさせることができるため、簡単な機構で飲食容器43をスムーズにバイパスして循環搬送できる。
【0039】
また、特定エリアEは、搬送部材5の走行方向がほぼ反対側に向けて折り返される走行経路の折返し部40に形成されているため、折返し部40に向かう上流側の走行経路と折返し部40にて折り返された下流側の走行経路とが近い箇所にバイパス路41を設けることができ、バイパス路41の距離を極力短く抑えることができるため、バイパス路41を設置するためのコストを抑えることができるばかりか、特定エリアEを極力コンパクト化し、搬送部材5の走行経路を飲食容器43の搬送経路として有効に利用することができる。
【0040】
次に、図5〜図7には本発明の変形例が示されている。前記実施例においては、特定エリアEを、搬送部材5の走行経路において該搬送部材5の走行方向がほぼ反対側(約180度)に向けて折り返される折返し部40付近に形成した例が示されていたが、本発明においては、特定エリアEの形成位置は搬送部材5の走行方向が約180度折り返される折返し部40付近に形成するものに限定されるものではなく、例えば図5に示されるように、搬送部材5の走行方向を左側または右側に向けて約90度の角度で方向変換する方向変換部である角部44付近に形成し、バイパス路51と、前述の案内部材42、42’と同様の機能を有する案内部材52、52’とにより飲食容器43を特定エリアEをバイパスして循環搬送させてもよい。
【0041】
すなわち、このように角部44に特定エリアEを形成する場合にあっても、走行経路における角部44の上流側と下流側との間に架設するバイパス路51の長さを極力短くすることができるため、バイパス路51を設置するためのコストを抑えることができる。
【0042】
また、本発明にあっては、前記折返し部40や角部44等のような搬送部材5の方向変換部に特定エリアEを形成しなくても、図6に示されるような走行経路における直線部45に形成してもよい。なお、この場合のバイパス路は、搬送部材5に並設される直線状のベルトコンベア61aと、該ベルトコンベア61aの両端部に設けられるローラコンベア61bとにより構成され、前述の案内部材42,42’と同様の機能を有する案内部材62、62’により構成される。
【0043】
また、図7に示されるように、搬送部材5の走行経路における迂回部46を搬送部材5の直線状の走行経路の一部に形成し、走行経路の上流側と下流側との間に、飲食容器43の搬送経路が直線状の搬送経路となるようにバイパス路71と、前述の案内部材42,42’と同様の機能を有する案内部材72、72’を設けることで、飲食容器43をスムーズにバイパスして循環搬送させることができる。すなわち、搬送部材5の直線状の走行経路の一部に方向変換部{曲線状部(折返し部)}を形成して該方向変換部を特定エリアEとすることで、飲食容器43を直進させたまま前記特定エリアEをバイパス搬送させるバイパス路を形成することができる。
【0044】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0045】
例えば、搬送部材5が走行する走行経路上の飲食容器43を、走行経路の一部の特定エリアEをバイパスして循環搬送させるためのバイパス手段は、前記実施例のようなバイパス路41と案内部材42とにより構成するものに限定されるものではなく、走行経路内で走行する飲食容器43を特定エリアEをバイパスして循環搬送させることができるものであれば、例えば特に図示はしないが、特定エリアEよりも上流側の走行経路を移動する飲食容器43を保持する保持手段を有するアームを備え、該アームを可動させることで該アームの保持手段にて保持した飲食容器43を下流側の走行経路まで移動してバイパスさせることができるアーム装置等にてバイパス手段を構成してもよい。
【0046】
また例えば、バイパス路を形成するコンベアは、前記実施例や変形例に記載したローラコンベアやベルトコンベア等に限定されるものではなく、飲食容器43を搬送経路の上流側から下流側までバイパスさせることができるものであれば、種々のコンベアを適用してもよい。
【0047】
また、バイパス路は、搬送部材(ベルト、ローラコンベア等)を駆動させることで飲食容器43を搬送するコンベアに限定されるものではなく、例えば案内部材等に飲食容器43を搬送するための搬送機構が備えられていれば、バイパス路自体が駆動手段を有していなくてもよい。
【0048】
また、例えばバイパス路の端部を接続する上流側の走行経路と下流側の走行経路とが近接配置されていれば、特に特定エリアEをバイパスさせるためのバイパス路等を設けることなく、案内部材のみでバイパスさせるようにしてもよい。
【0049】
さらには、バイパス路は、飲食容器43を特定エリアEの側方を通過するようにバイパスさせるものに限定されるものではなく、特定エリアEの上方または下方を通過させるようにバイパスさせるように形成されたものであってもよい。
【0050】
また、清掃装置6は、前記実施例のようにブラシ部と吸引部と払拭部とを備えていなくても、これらのうちいずれかの清掃部を備えたものであってもよいし、あるいは洗剤液等により洗浄する清掃装置等であってもよく、清掃装置の清掃方法は種々に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例における飲食容器搬送装置の全体像を示す平面図である。
【図2】搬送経路における折返し部に清掃装置およびバイパス路が配置された状態を示す平面図である。
【図3】(a)は清掃装置を示す平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図4】掃装置が搬送部材を清掃している状況を示す断面図である。
【図5】本発明の変形例としての循環型飲食容器搬送装置の要部を示す概略平面図である。
【図6】同じく、本発明の変形例としての循環型飲食容器搬送装置の要部を示す概略平面図である。
【図7】同じく、本発明の変形例としての循環型飲食容器搬送装置の要部を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 隔壁
2 厨房エリア
3 飲食客エリア
4 循環型飲食容器搬送装置
5 搬送部材
6 清掃装置
7 基台
8 テーブル
9 座席
10 筐体
11 ブラシ部
12 刷毛
13 回転軸
14 かさ歯車
15 吸引部
16 吸引口
17 集塵ハウジング
17a 刃部
18 排出管
19 ウォームギア
20 払拭部
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
23 押圧用ローラ
24 拭き取りクロス
25 駆動部
26 モータ
33 載置板
33a 載置面(飲食容器載置面)
34 チェーン部
35 ピン
36 塵芥
40 折返し部
41、51、71 バイパス路
41a コンベアローラ
42、42’ 案内部材
52、52’ 案内部材
62、62’ 案内部材
72、72’ 案内部材
42a、42a’ 案内面(案内部材の案内面)
43 飲食容器
44 角部
45 直線部
46 迂回部
61a ベルトコンベア
61b ローラコンベア
E 特定エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物が載置される飲食容器を載置する飲食容器載置面を有する無端状の搬送部材を走行させることで、前記飲食物を循環搬送する循環型飲食容器搬送装置であって、
前記搬送部材が走行する走行経路上の飲食容器を、該走行経路の一部の特定エリアをバイパスして循環搬送させるためのバイパス手段と、
前記特定エリアに設置され、前記走行経路における特定エリアを走行する前記搬送部材の飲食容器載置面を清掃する清掃装置と、
を備えることを特徴とする循環型飲食容器搬送装置。
【請求項2】
前記バイパス手段は、
前記飲食容器をバイパス搬送させるためのバイパス路と、前記走行経路を走行してきた前記飲食容器の進路が、前記走行経路から前記バイパス路に向けて変更されるように案内する案内部材と、から構成されることを特徴とする請求項1に記載の循環型飲食容器搬送装置。
【請求項3】
前記特定エリアは、前記搬送部材の走行方向が変換される前記走行経路の方向変換部に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の循環型飲食容器搬送装置。
【請求項4】
前記方向変換部は、前記搬送部材の走行方向がほぼ反対側に向けて折り返される折返し部であることを特徴とする請求項3に記載の循環型飲食容器搬送装置。
【請求項5】
前記清掃装置の本体は、
前記搬送部材上の塵芥を吸引して回収する吸引装置に接続された吸引部と、
前記搬送部材の走行方向に対して前記吸引部よりも上流側に可動自在に配置され、前記搬送部材上の塵芥を前記吸引部に向けて収集するブラシ部と、
前記搬送部材の走行方向に対して前記吸引部よりも下流側に配置され、前記搬送部材を払拭する払拭部と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の循環型飲食容器搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−14865(P2006−14865A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194528(P2004−194528)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)
【Fターム(参考)】