説明

微多孔性フィルム及びその製造方法

【課題】破膜温度が高く、且つ、透過性、突刺強度、膜の電気抵抗、熱収縮率のバランスが良好な微多孔性フィルムを提供する。
【解決手段】(a)ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂5〜90質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物にて形成され、前記ポリプロピレン樹脂を主成分とする海部と、前記ポリフェニレンエーテル樹脂を主成分とする島部とからなる海島構造を有する微多孔性フィルムであって、前記海部と前記島部との界面、及び、前記海部中、に孔部が形成された微多孔性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
微多孔性フィルム、特にポリオレフィン系微多孔性フィルムは、精密濾過膜、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料等に使用されており、特にリチウムイオン電池用セパレータとして好適に使用されている。近年、リチウムイオン電池は、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ等の小型電子機器用途として使用されている一方、ハイブリッド電気自動車等への応用も図られている。
【0003】
ここで、ハイブリッド電気自動車用のリチウムイオン電池には、短時間に多くのエネルギーを取り出すための、より高い出力特性が要求される。また、ハイブリッド電気自動車用のリチウムイオン電池は、一般に大型でかつ高エネルギー容量を必要とするため、より高い安全性の確保が要求される。ここで述べられる安全性とは、特に電池使用時に起こる高温状態において、セパレータに用いられる樹脂の溶融に伴う電池短絡(ショート)を防止するような安全性である。ここで、電池内部でショートが起こる時の温度をセパレータの破膜温度と呼ぶこともあるが、この破膜温度を高くすることが、電池の安全性向上を実現するための手段の1つである。
【0004】
このような事情に対応可能なセパレータとなる微多孔性フィルムを提供することを目的として、例えば、特許文献1には、従来のポリエチレン微多孔性フィルムにポリプロピレン微多孔性フィルムを積層した積層構造を有する複合微多孔性フィルム(電池用セパレータ)が開示されている。
また、特許文献2には、ポリエチレン製の合成樹脂微多孔性フィルムに特定の樹脂多孔性粉末重合体を被覆する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−251069号公報
【特許文献2】特開平03−291848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1の複合微多孔性フィルムにポリプロピレンが使用されているのは、ショート温度を高めるためである。即ち、セパレータには、高温状態においてもフィルム形状を維持し、電極間の絶縁を保持することが要求される。しかしながら、耐熱層として使用されるポリプロピレン樹脂では、破膜温度が低く、近年実施されている電池オーブン試験等の過酷な条件下においては耐熱性が不十分である(破膜温度の観点からなお改良の余地がある)。
また、特許文献2の微多孔性フィルムは、高温時における安定性が改良されているものの、破膜温度が低く、上記の電池オーブン試験等の過酷な条件下においてはやはり耐熱性が不十分である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、破膜温度が高く、且つ、透過性、突刺強度、膜の電気抵抗、熱収縮率のバランスが良好な微多孔性フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂5〜90質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物にて形成され、前記ポリプロピレン樹脂を主成分として含む海部と、前記ポリフェニレンエーテル樹脂を主成分として含む島部とからなる海島構造を有する微多孔性フィルムであって、前記海部と前記島部との界面、及び、前記海部中、に孔部が形成された微多孔性フィルムが、高い破膜温度を有し、且つ、電池用セパレータとして利用した場合に、その透過性、突刺強度、膜の電気抵抗、熱収縮率のバランスが良好となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]
微多孔性フィルムの製造方法であって、以下の(A)〜(D)の各工程、
(A)(a)ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂5〜90質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物を、溶融状態で、ドロー比10〜300で引き取りフィルムを得る工程、
(B)前記工程(A)で得たフィルムを100℃以上160℃以下の温度で熱処理する工程、
(C)前記工程(B)で得たフィルムを−20℃以上100℃未満の温度で延伸する冷延伸工程、
(D)前記工程(C)で得たフィルムを100℃以上170℃未満の温度で延伸する熱延伸工程、
を含む、微多孔性フィルムの製造方法。
[2]
(E)前記工程(D)で得たフィルムを100℃以上170℃未満の温度で熱緩和する熱緩和工程をさらに含む、上記[1]記載の微多孔性フィルムの製造方法。
[3]
前記工程(D)の延伸における歪み速度が0.10〜1.00/秒である、上記[1]又は[2]記載の微多孔性フィルムの製造方法。
[4]
前記工程(D)において、前記工程(C)で得られたフィルムに対して2段階以上の異なる温度で延伸を施す、上記[1]〜[3]のいずれか記載の微多孔性フィルムの製造方法。
[5]
前記2段階以上の異なる温度が、前記工程(D)の延伸の最初段階の温度と、それよりも高い前記工程(D)の延伸の最終段階の温度とを含み、前記最初段階の温度から前記最終段階の温度にかけて段階的に又は次第に高くなる、上記[4]記載の微多孔性フィルムの製造方法。
[6]
前記工程(D)の延伸温度が前記工程(B)の熱処理温度よりも低い、上記[1]〜[5]のいずれか記載の微多孔性フィルムの製造方法。
[7]
前記工程(D)の最終段階の温度で前記工程(E)の熱緩和を施す、上記[2]〜[6]のいずれか記載の微多孔性フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、破膜温度が高く、且つ、透過性、突刺強度、膜の電気抵抗、膜の熱収縮率のバランスに優れた微多孔性フィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】膜の電気抵抗測定用セルの概略図。
【図2】(A)破膜温度の測定装置の概略図。 (B)破膜温度の測定装置のサンプル部分を示す平面図。 (C)破膜温度の測定装置のサンプル部分を示す平面図。
【図3】実施例4の微多孔性フィルムのSEM画像。
【図4】比較例1の微多孔性フィルムのSEM画像。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
本実施の形態の微多孔性フィルムは、
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂5〜90質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物にて形成され、前記ポリプロピレン樹脂を主成分とする海部と、前記ポリフェニレンエーテル樹脂を主成分とする島部とからなる海島構造を有する微多孔性フィルムであって、前記海部と前記島部との界面、及び、前記海部中に孔部が形成された微多孔性フィルムである。
【0014】
[熱可塑性樹脂組成物]
[ポリプロピレン樹脂]
本実施の形態における(a)ポリプロピレン樹脂(以下、「PP」と略す場合がある。)としては、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーが挙げられるが、得られる微多孔性フィルムの物性や用途の観点から、ホモポリマーであることが好ましい。
【0015】
また、ポリプロピレン樹脂を得る際に用いられる重合触媒も特に制限はなく、例えば、チーグラー・ナッタ系の触媒やメタロセン系の触媒等が挙げられる。また、ポリプロピレン樹脂の立体規則性も特に制限はなく、アイソタクチック又はシンジオタクチックのポリプロピレン樹脂が用いられる。
【0016】
ポリプロピレン樹脂は、1種類を単独で又は2種類以上を混合して用いられる。ポリプロピレン樹脂は、いかなる結晶性や融点を有するものであってもよく、得られる微多孔性フィルムの物性や用途に応じて、異なる性質を有する2種のポリプロピレン樹脂を任意の配合比率で配合したものであってもよい。
【0017】
本実施の形態で用いるポリプロピレン樹脂は、通常、メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kgの荷重下で測定。以下同様。)が好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.1〜80g/10分の範囲のものから選択できる。ポリプロピレン樹脂のMFRは、ポリフェニレンエーテル樹脂の分散性が良好となり、また微多孔性フィルムに加工する際にフィルムが破断し難くなる等の成型性の観点から、上記範囲であることが好ましい。
【0018】
本実施の形態におけるポリプロピレン樹脂は、上述のポリプロピレン樹脂の他に、特開昭44−15422号公報、特開昭52−30545号公報、特開平6−313078号公報、特開2006−83294号公報に記載されているような公知の変性ポリプロピレン樹脂であってもよい。さらに、本実施の形態におけるポリプロピレン樹脂は、上述のポリプロピレン樹脂と該変性ポリプロピレン樹脂との任意の割合の混合物であってもよい。
【0019】
[ポリフェニレンエーテル樹脂]
本実施の形態における(b)ポリフェニレンエーテル樹脂(以下、「PPE」と略す場合がある。)としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するものが挙げられる。
【0020】
【化1】

【0021】
ここで、式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7の低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、及び、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基、からなる群より選ばれる基を示す。
【0022】
PPEの具体例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)が挙げられる。さらに、PPEとしては、例えば、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール及び2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。これらの中では特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、及び、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)がより好ましい。
【0023】
PPEの製造方法に関しては、特に限定されるものではなく、公知の製造方法を用いることができる。
【0024】
本実施の形態におけるPPEとしては、上述のPPEとスチレン系モノマー及び/又はα,β−不飽和カルボン酸若しくはその誘導体(例えば、エステル化合物、酸無水物化合物)とを、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で80〜350℃の温度で反応させることによって得られる公知の変性PPEを用いることも可能である。さらに、上述のPPEと該変性PPEとの任意の割合の混合物であってもよい。PPEの還元粘度は、0.15〜2.5が好ましく、0.30〜2.00がより好ましい。
【0025】
本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物は、(a)ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂を5〜90質量部含有し、好ましくは10〜80質量部、より好ましくは20〜65質量部含有する。PPEの含有割合を上記範囲に設定することは、得られる微多孔性フィルムの延伸性の観点から好適である。
【0026】
本実施の形態におけるPPEとしては、上述のPPEの他に、PPEに対してポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン及び/又はゴム補強したシンジオタクチックポリスチレン等を加えたものも好適に用いられる。
【0027】
[混和剤]
本実施の形態における微多孔性フィルムは、モルフォロジーとして、(a)ポリプロピレン樹脂を主成分とする海部と、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂を主成分とする島部からなる海島構造を有するものであり、好ましくは、該島部の粒径が0.01μm〜10μmの範囲にある微多孔性フィルムである。微多孔性フィルムが上記海島構造を有していると、本実施の形態に係る微多孔性フィルムが高い破膜温度を維持しつつ、透過性がより良好となる。
【0028】
これらの条件を満たすために、本実施の形態の熱可塑性樹脂組成物には、ポリプロピレン樹脂と、ポリフェニレンエーテル樹脂に加えて、(c)混和剤をさらに含有することが好ましい。ここで、「主成分とする」とは、特定成分が、当該特定成分を含むマトリックス成分中に占める割合が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよいことを意味する。
【0029】
本実施の形態における混和剤は、上述のポリプロピレン樹脂のマトリックス中にポリフェニレンエーテル樹脂を分散粒子化させるための分散剤として作用する。さらには、混和剤は、本実施の形態に係る微多孔性フィルムに良好な気孔率及び良好な透気度を付与する効果を奏する。
【0030】
本実施の形態における混和剤としては、ポリフェニレンエーテル樹脂の分散性の観点から、水添ブロック共重合体が好ましい。この水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物の構造単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の構造単位を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、からなるブロック共重合体を水素添加反応して得られるブロック共重合体である。
【0031】
重合体ブロックAの構造単位を形成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン及びジフェニルエチレンからなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。
【0032】
ビニル芳香族化合物の構造単位を主体とする重合体ブロックAは、ビニル芳香族化合物のホモ重合体ブロック、又は、ビニル芳香族化合物とそのビニル芳香族化合物と共重合可能なモノマーとの共重合体ブロックを意味し、ビニル芳香族化合物の構造単位を70質量%以上含有する重合体ブロックであることが好ましい。
【0033】
重合体ブロックBの構造単位を形成する共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンからなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、ブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。共役ジエン化合物の構造単位を主体とする重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のホモ重合体ブロック、又は、共役ジエン化合物とその共役ジエン化合物と共重合可能なモノマーとの共重合体ブロックを意味し、共役ジエン化合物の構造単位を少なくとも70質量%以上含有する重合体ブロックであることが好ましい。
【0034】
重合体ブロックBにおけるミクロ構造(共役ジエン化合物の結合形態)については、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計(以下、「ビニル結合量」と略す。)が、好ましくは40〜90%、より好ましくは45〜85%である。ここで、「ビニル結合量」とは、共役ジエン化合物が重合前に有するビニル結合の数に対する、重合後に重合体ブロックB中に残存するビニル結合の数の割合をいう。これらの共役ジエン化合物の結合形態及び「ビニル結合量」は、赤外分光スペクトルから導出される。ただし、NMRスペクトルを用いて導出した「ビニル結合量」の値を、赤外分光スペクトルから導出した値に換算してもよい。その換算は、ビニル結合量が同量の重合体について、それぞれ赤外分光スペクトル及びNMRスペクトルから「ビニル結合量」を導出して、それらの測定法の間の検量線を作成して行うことができる。かかるビニル結合量が40%以上であれば、本実施の形態の微多孔性フィルムは気孔率と透過度とのバランスに一層優れる傾向にある。
【0035】
上記構造を有するブロック共重合体の数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値で、5,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。また、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布は10以下であることが好ましい。さらに、このブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状又はこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。
【0036】
このような構造を有するブロック共重合体は、それに含まれる重合体ブロックBの脂肪族系二重結合(ビニル結合)に水素を添加することにより、水添ブロック共重合体、すなわち、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物となり、混和剤として用いられる。かかる脂肪族系二重結合に対する水素添加率は、水素添加前のブロック共重合体が有する脂肪族系二重結合の全量を基準として、80%以上であることが好ましい。この水素添加率は、上述のビニル結合量と同様に、赤外分光スペクトルにより導出されるが、NMRスペクトルによって導出した水素添加率の値を赤外分光スペクトルから導出した値に換算したものであってもよい。
【0037】
混和剤が、上記熱可塑性樹脂組成物中に占める割合は、その組成物の全量に対して、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。混和剤の割合が上記範囲であると、ポリフェニレンエーテル樹脂の分散性及びこの分散性に起因した微多孔性フィルムの気孔率及び透気度がより良好となる傾向にある。
【0038】
[無機微粒子]
本実施の形態の微多孔性フィルムには、(d)無機微粒子がさらに含まれていてもよい。微多孔性フィルムに含まれる(d)無機微粒子としては、得られる微多孔性フィルムの外観が良好になるという観点から、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の金属酸化物が好ましく、酸化チタンがより好ましい。ここで、無機微粒子として酸化チタンを用いると、(a)ポリプロピレン樹脂の結晶化が促進されて結晶化度が上がり、樹脂組成物の延伸開孔において開孔が促進されるものと推定される。その結果、得られる微多孔性フィルムについて、突刺強度の向上と透気度の低下を両立し得る。
【0039】
無機微粒子の添加量は、(a)ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、0.01〜0.50質量部、より好ましくは0.05〜0.10質量部である。無機微粒子の添加量を0.01質量部以上とすることは、得られる微多孔性フィルムの透過性を向上させる観点から好ましい。一方、添加量を0.50質量部以下とすることは、無機微粒子の熱可塑性樹脂組成物中での凝集を低減し、分散不良を抑制する観点から好ましい。
【0040】
また驚くべきことに、上記熱可塑性樹脂組成物に対して0.01〜0.50質量部と極微量の無機微粒子を添加するだけで、本実施の形態における微多孔性フィルムの透過性が大きく向上することが分かった。特開2001−135295号公報で示されるように、微多孔性フィルム中に無機微粒子を存在させることで、微多孔性フィルムの機械的強度を向上させることは可能であるが、透過性までは改善できない。詳細は詳らかではないが、本実施の形態で得られる微多孔性フィルムの製造工程において、樹脂組成物中に均一に分散した無機微粒子が、ポリプロピレンとポリフェニレンエーテルからなる熱可塑性樹脂組成物に対して、延伸開孔が容易になり透過性を向上させる効果を与えることが明らかになっている。ただし、理由はこれに限定されない。
【0041】
無機微粒子の平均粒径は特に限定されるものではないが、本実施の形態で得られる微多孔性フィルムの膜厚が20μm程度であること、及び熱可塑性樹脂組成物中での無機微粒子の分散性が良好となる傾向にあることから、無機微粒子の平均粒径は0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。無機微粒子の平均粒径が0.1〜10μmの範囲であると、熱可塑性樹脂塑性物中での分散性が良好となり、また得られる微多孔性フィルムにおいて、無機微粒子が凝集することで生成する異物やピンホールの発生が抑制される傾向にある。ここで、無機微粒子の平均粒径とは、走査型電子顕微鏡(HITACHI S−4700)によって無機微粒子を観察し、粒子の長径及び短径の平均値を粒子径とし、サンプリング無機微粒子数を100とした時の平均値をいう。
【0042】
また、本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物は、上記各成分の他に、本発明により奏される効果を損なわない範囲で、必要に応じて付加的成分、例えば、オレフィン系エラストマー、酸化防止剤、金属不活性化剤、熱安定剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、スリップ剤、無機又は有機充填材及び強化材(ポリアクリロニトリル繊維、カーボンブラック、炭酸カルシウム、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等が添加されていてもよい。
【0043】
本実施の形態における微多孔性フィルムは、海部と島部との界面、及び、海部中に孔部が形成された微多孔性フィルムである。ここで、海部にはポリプロピレン樹脂の他、上記混和剤、無機微粒子及び付加的成分が含まれていてもよい。島部としても、ポリフェニレンエーテル樹脂の他、上記混和剤や付加的成分が含まれていてもよい。つまり、海部と島部との界面とは、ポリプロピレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂との界面の他に、混和剤、無機微粒子及び付加的成分を含む場合には、ポリプロピレン樹脂と混和剤、無機微粒子及び付加的成分との界面等も含まれる。海部と島部との界面に形成される孔部は、例えば、後述する微多孔性フィルムの製造方法を適用することにより形成することができ、当該方法により、海部と島部との界面が剥離してフィルム厚み方向に連続した孔が形成される。
【0044】
また、海部中に形成される孔部とは、ポリプロピレン樹脂を主成分とする海部のラメラ結晶間のクレーズの発生及び成長によって形成した微細孔を意味する。海部中に形成される孔部は、例えば、後述する微多孔性フィルムの製造方法を適用することにより形成することができ、当該方法により、上述した海部/島部界面の剥離による微細孔に加え、マトリックス領域である海部中にも微細孔が形成され、フィルム厚み方向に連続した孔が形成される。
【0045】
このように2種類の異なる微細孔が形成する機構について詳細は明らかではないが、海部/島部界面の剥離による微細孔に加えて、海部中にも微細孔が形成された微多孔性フィルムは、海部/島部界面の剥離による微細孔のみが存在する微多孔性フィルムよりも、突刺強度、膜の電気抵抗、熱収縮率のバランスが飛躍的に向上するため、電池用セパレータとしてより一層適している。
【0046】
上述した2種類の微細孔の観察は、透過型電子顕微鏡(SEM)等を用いて容易に測定、観察することが可能である。電子顕微鏡観察の例を挙げると、測定対象となる微多孔性フィルムを試料台に積載後、約3nmのオスミウムコーティングを施し、走査型電子顕微鏡(HITACHI S−4700)を用いて、加速電圧1kVとしてフィルム断面(MD平行方向)のSEM画像から観察することができる。
【0047】
図3は、本実施の形態の微多孔性フィルムのSEM画像(倍率30,000倍)であり、図3からは、本実施の形態の微多孔性フィルムには、海部と島部との界面に形成された孔部と、海部中に形成された孔部の2種類の孔が存在することが分かる。
【0048】
本実施の形態の微多孔性フィルムの平均孔径は、0.01〜0.50μmであり、好ましくは0.05〜0.50μmである。ここで、微多孔性フィルムの平均孔径としては、水銀ポロシメータによる測定で得られるモード径を採用する。平均孔径を上記範囲とすることで、電池セパレータとしての電気抵抗値とフィルム強度のバランスに優れた微多孔性フィルムが得られる傾向にある。なお、本実施の形態の微多孔性フィルムは、上述したように2種類の異なる微細孔を有しており、ここでの平均孔径とは、その2種類の微細孔に関する平均値を意味する。
【0049】
[微多孔性フィルムの物性]
本実施形態における微多孔性フィルムは、下記のような物性を示し、透過性、突刺強度、膜の電気抵抗、熱収縮率のバランスに優れている。
【0050】
本実施形態における微多孔性フィルムの気孔率は、好ましくは20%〜70%、より好ましくは35%〜65%、更に好ましくは45%〜60%である。気孔率を20%以上に設定することにより、微多孔性フィルムを電池用途に用いた場合に十分なイオン透過性を確保し得る。一方、気孔率を70%以下に設定することにより、微多孔性フィルムが十分な機械強度を確保し得る。本実施形態における微多孔性フィルムの膜厚は、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0051】
ここで、本実施形態における微多孔性フィルムの気孔率は、後述の実施例で説明された方法に従って算出される。微多孔性フィルムの気孔率は、熱可塑性樹脂組成物の組成、延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより、上述の範囲内に調整することができる。
【0052】
本実施形態における微多孔性フィルムの透気度は、好ましくは10秒/100cc〜5000秒/100cc、より好ましくは50秒/100cc〜1000秒/100cc、更に好ましくは100秒/100cc〜500秒/100ccである。透気度を5000秒/100cc以下とすることは、微多孔性フィルムの十分なイオン透過性を確保することに寄与し得る。一方、透気度を10秒/100cc以上とすることは、欠陥のないより均質な微多孔性フィルムを得る観点から好適である。
【0053】
ここで、本実施形態における微多孔性フィルムの透気度は、後述の実施例で説明された方法に従って算出される。微多孔性フィルムの透気度は、熱可塑性樹脂組成物の組成、延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより、上述の範囲内に調整することができる。
【0054】
[微多孔性フィルムの製造方法]
本実施の形態の微多孔性フィルムの製造方法は、以下の(A)〜(D)の各工程を含む。
(A)(a)ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂5〜90質量部を含有する溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を、ドロー比10〜300で引き取りフィルムを得る工程、
(B)前記工程(A)で得たフィルムを100℃以上160℃以下の温度で熱処理する工程、
(C)前記工程(B)で得たフィルムを−20℃以上100℃未満の温度で延伸する冷延伸工程、
(D)前記工程(C)で得たフィルムを100℃以上170℃未満の温度で延伸する熱延伸工程。
以下、それぞれ(A)フィルム成形工程、(B)熱処理工程、(C)冷延伸工程、(D)熱延伸工程と言う。
【0055】
(A)フィルム成形工程において熱可塑性樹脂組成物をフィルム状に成形する方法としては、Tダイ押出し成形、インフレーション成形、カレンダー成形、スカイフ法等のフィルム成形方法を採用し得る。これらの中でも、本実施の形態で得られる微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、Tダイ押出し成形が好ましい。またフィルム成形工程において、押出し機中に設置したフィルター等を用いて、熱可塑性樹脂組成物を濾過した後にフィルム成形を行なってもよい。
【0056】
一方、(C)冷延伸工程、(D)熱延伸工程においては、ロール、テンター、オートグラフ等により、1段階又は2段階以上で、1軸方向及び/又は2軸方向に延伸する方法を採用し得る。これらの中でも、本実施の形態で得られる微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、ロールによる2段階以上の1軸延伸が好ましい。
【0057】
以下に、本実施の形態の微多孔性フィルムの製造方法について一例を挙げて説明するが、本実施の形態はこの例に限定されるものではない。
【0058】
[(A)フィルム成形工程]
フィルム成形工程では、上述の(a)ポリプロピレン樹脂と(b)ポリフェニレンエーテル樹脂と、必要に応じて(c)混和剤、(d)無機微粒子とを含む熱可塑性樹脂組成物を押出機に供給し、好ましくは200℃〜350℃、より好ましくは260℃〜320℃の温度で溶融混練する。これにより得られた混練物をペレット化することで、ポリプロピレン樹脂中にポリフェニレンエーテル樹脂が分散した熱可塑性樹脂組成物のペレットを得る。次いで、得られたペレットを押出機に供給し、好ましくは200℃〜350℃、より好ましくは260℃〜320℃の温度でT型ダイよりフィルム状に押し出し、得られたフィルムを、好ましくは20〜150℃、より好ましくは50℃〜120℃のロールにキャストして冷却固化する。
【0059】
あるいは、上述の(a)ポリプロピレン樹脂と(b)ポリフェニレンエーテル樹脂と、必要に応じて(c)混和剤、(d)無機微粒子とを含む樹脂組成物を押出機に供給し、好ましくは200℃〜350℃、より好ましくは260℃〜320℃の温度で溶融混練する。これにより、ポリプロピレン樹脂中にポリフェニレンエーテル樹脂が分散した混練物を得る。この混練物を一旦ペレット状に成形することなく、直接T型ダイよりフィルム状に押し出し、得られたフィルムを、好ましくは20〜150℃、より好ましくは50℃〜120℃のロールにキャストして冷却固化する。
【0060】
フィルム成形工程においては、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物をT型ダイより吐出させることによりフィルム状溶融物とし、該フィルム状溶融物をドロー比10〜300、好ましくは50〜250、より好ましくは130〜200で引き取ることによりフィルム状成形体に成形する。ドロー比を上記範囲とすることは、後述する延伸工程において、海部/島部界面の剥離による微細孔とマトリックス領域である海部中に形成される微細孔の異なる2種類の微細孔を形成させる観点から好ましい。ドロー比を10以上にすることで、海部中に微細孔が形成され易くなり、一方、ドロー比を300以下にすることで、安定したフィルム状成形体の成形が可能となる傾向にある。
【0061】
[(B)熱処理工程]
(B)熱処理工程においては、工程(A)で得られたフィルム状成形体を100℃以上160℃以下の温度で一定時間保持する。フィルム状成形体に対する熱処理の方法は特に限定されるものではなく、上記温度に設定した恒温オーブン内にフィルム状成形体を静置する方法等が挙げられる。また熱処理の温度を上記範囲にすることは、後述する延伸工程において、マトリックス領域である海部中に微細孔が形成し易くなることから好ましい。熱処理温度を100℃以上とすることで、ポリプロピレン樹脂のラメラ結晶が成長し易くなり、一方、160℃以下とすることで、ポリプロピレン樹脂のラメラ結晶が溶融せず安定に存在できる。
【0062】
[(C)冷延伸工程]
(C)冷延伸工程においては、上記(B)熱処理工程で得られたフィルムに対して、−20℃以上100℃未満、好ましくは0℃以上50℃未満の温度で、押し出し方向(以下、「MD方向」と表記する。)に好ましくは1.1倍以上2.0倍未満、幅方向(以下、「TD方向」と表記する。)に好ましくは1.0倍〜2.0倍、それぞれ第1の延伸を施す。これにより、第1の延伸フィルムが得られる。この第1の延伸における温度及び延伸倍率は、より好ましくは、0℃以上50℃未満の温度でMD方向に1.1倍〜2.0倍であり、一軸延伸であることが好ましい。冷延伸工程の温度を−20℃以上とすることで、フィルムが破断することなく安定に延伸でき、一方、100℃未満とすることで、気孔率が高く、透気度が低い微多孔性フィルムを得ることができる。
【0063】
[(D)熱延伸工程]
(D)熱延伸工程においては、上記(C)冷延伸工程で得られた第1の延伸フィルムに対して、100℃以上170℃未満、好ましくは110℃以上160℃未満の温度で、MD方向に好ましくは1.1倍以上5.0倍未満、TD方向に好ましくは1.0倍〜5.0倍、それぞれ第2の延伸を施す。これにより、本実施の形態の微多孔性フィルムが得られる。熱延伸工程の温度を100℃以上とすることで、フィルムが破断することなく安定に延伸でき、一方、170℃未満とすることで、気孔率が高く、透気度が低い微多孔性フィルムを得ることができる。
【0064】
本実施の形態の微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点からは、上述したような条件で2段階以上(工程(C)と工程(D))で延伸することが好ましい。
【0065】
また、驚くべきことに、上述したような条件で2段階以上延伸することで、本実施の形態の微多孔性フィルムに良好な透過性を付与できることを見出した。特開平8−34872号公報で示されるように、熱可塑性樹脂組成物のシートを1段階で熱延伸すると、得られたフィルム中に空孔は形成されるものの、膜厚方向への透過性は得ることができない。詳細は詳らかではないが、上述したような条件で2段階以上延伸することで、海部/島部界面の剥離による微細孔と海部中に形成される微細孔が膜厚方向に対して貫通孔となり、膜厚方向への透過性が発現することが分かった。ただし、理由はこれに限定されない。
【0066】
本実施形態の微多孔性フィルムの製造方法は、上記熱延伸工程(D)における延伸による歪速度が0.10〜1.00/秒であることが好ましい。ここで、「歪速度」は下記式で定義される。
歪速度(/秒)=(V2−V1)/L
式中、V1は第2の延伸開始時の延伸速度(m/秒)、V2は第2の延伸終了時の延伸速度(m/秒)、Lは延伸長(m)を示す。ロール式の延伸機の場合、V1、V2はロール周速から導出され、Lはロール間の距離に相当する。
【0067】
歪速度は、0.10/秒以上1.00/秒以下であることが好ましく、より好ましくは0.10/秒以上0.80/秒以下である。歪速度を上記範囲に設定することは、最終的に得られる微多孔性フィルムの透気度と熱収縮率とのバランスの観点から好適である。
【0068】
また、工程(D)においては、本実施形態における微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、前記工程(C)で得られた延伸フィルムに対して2段階以上の異なる温度で延伸を施すことが好ましい。2段階以上の異なる温度で延伸を施すことで、最終的に得られる微多孔性フィルムの透過性と熱収縮とのバランスが更に改善する傾向にある。
【0069】
さらに、透過性や熱収縮の性能バランスをより一層改善する観点から、上述の2段階以上の異なる温度が、前記工程(D)の延伸の最初段階の温度と、それよりも高い前記工程(D)の延伸の最終段階の温度とを含むことが好ましい。つまり、上記最初段階の温度よりも上記最終段階の温度の方が高いことが好ましい。また、上述の性能バランスを更に改善するために、上記2段階以上の異なる温度が、上記最初段階の温度から上記最終段階の温度にかけて段階的に又は次第に高くなることがより好ましい。
【0070】
(D)熱延伸工程において、延伸の温度を2段階以上の異なる温度とするには、例えば、ロール式の多段延伸装置を用いて、その装置における各段階の延伸領域の温度を異なる温度に調整すればよい。
【0071】
また、驚くべきことに前記工程(B)の熱処理温度よりも低い温度で前記工程(D)の延伸を実施することで、得られる微多孔性フィルムの透過性が予想以上に改善することを見出した。詳細は詳らかではないが、上記条件で延伸することで、本実施の形態で用いられる特定の樹脂組成物において、透過性を発現する要因の1つであるポリプロピレン樹脂のラメラ結晶が安定に存在しながら延伸が可能になるためと推定される。ただし理由はこれに限定されない。
【0072】
[(E)熱緩和工程]
本実施形態の微多孔性フィルムの製造方法においては、上記工程(D)で得たフィルムを100℃以上170℃未満の温度で熱緩和する熱緩和工程をさらに含んでいてもよい。熱緩和とは、残留応力によって微多孔性フィルムの延伸方向への収縮を防ぐために、予め前記工程(D)の延伸フィルムの長さを5〜50%程度短くするように熱収縮させる方法である。この熱緩和により、熱収縮率の良好な微多孔性フィルムが得られる傾向にある。この長さを短くする割合(5〜50%)を緩和率といい、ロール式の延伸装置を用いる場合、熱緩和を施すロール間の周速差から算出することができる。
【0073】
熱緩和の温度は100℃以上170℃未満の温度であり、好ましくは120〜160℃である。この温度を100℃以上とすることで熱収縮率を抑制し、一方、170℃未満とすることで透気度を低くすることができる。また、微多孔性フィルムの透過性と熱収縮とのバランスを更に改善する観点から、熱緩和工程においては、上記(D)熱延伸工程における最終段階の温度で熱緩和を施すことが好ましい。
【0074】
(E)熱緩和工程においては、ロール、テンター、オートグラフ等により、1段階又は2段階以上で、1軸方向及び/又は2軸方向に緩和する方法を採用し得る。
【0075】
驚くべきことに、本実施形態の微多孔性フィルムの製造方法は、上記熱可塑性樹脂組成物を適用すると、予想以上に透気度と熱収縮率とのバランスに改善が認められた。その理由は定かではないが、PPマトリックス中に高耐熱のPPE樹脂が分散して存在することにより、熱緩和時の収縮応力緩和挙動がより効率的になるためと考えられる。ただし、理由はこれに限定されない。
【0076】
本実施の形態における微多孔性フィルムは、他の樹脂フィルムと積層して、積層フィルムを構成してもよい。そのような他の樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂からなる微多孔性フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の飽和ポリエステル樹脂からなる微多孔性フィルムが挙げられる。好ましくは、得られる積層フィルムに要求される物性や用途の観点から、JIS K−7121に準拠した方法で測定した融点が110℃〜150℃の樹脂を含む微多孔性フィルムと、本実施の形態における微多孔性フィルムとを積層した微多孔性の積層フィルムである。上記融点が110℃〜150℃の樹脂を含む微多孔性フィルムと、本実施の形態における微多孔性フィルムとを積層した微多孔性フィルムは、電池用セパレータとして用いた際、電池の安全性が飛躍的に向上する。上記融点が110℃〜150℃の樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂が挙げられ、より具体的には、例えば、いわゆる高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンが挙げられる。
【0077】
また、上記他の樹脂フィルムは、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、タルク等の充填剤を含んでもよい。さらに、積層フィルムの構造は2層以上のフィルム(層)から構成されていればよく、本実施の形態における微多孔性フィルム及び他の樹脂フィルムのいずれが積層フィルムの表面層として存在してもよい。
【0078】
積層フィルムの製造方法としては、例えば、Tダイやサーキュラーダイを用いた共押出法、各樹脂フィルム(層)を別々に押出成形した後に貼合するラミネート法、別々に多孔化したフィルムを貼合するラミネート法が挙げられる。
【0079】
本実施の形態の微多孔性フィルムは、上述したように、少なくとも(a)ポリプロピレン樹脂と(b)ポリフェニレンエーテル樹脂とを含む特定の熱可塑性樹脂組成物から形成されるフィルムである。本実施の形態の微多孔性フィルムは特定の製造方法を経ることにより好適に製造される。本実施の形態の微多孔性フィルムは、突刺強度、膜の電気抵抗、熱収縮率のバランスが良好であり、且つ、ポリプロピレン樹脂を主成分とする海部を有する熱可塑性樹脂でありながら、200℃というポリプロピレン樹脂の融点を超える温度においてもフィルムとしての形態を維持できる優れた耐熱性を備えた微多孔性フィルムである。本実施の形態の微多孔性フィルムは電池用セパレータ、より具体的にはリチウムイオン電池用セパレータとして好適に利用できる。その他、各種分離膜としても用いられる。
【実施例】
【0080】
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、用いた原材料及び各種特性の評価方法は下記の通りである。
【0081】
[原材料]
(1)(a)成分のポリプロピレン樹脂
JIS K−7120(温度230℃)で測定したメルトフローレートが0.4g/10minのものを用いた。
(2)(b)成分のポリフェニレンエーテル樹脂
2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度0.54のものを用いた。
(3)(c)成分の混和剤
ポリスチレン(i)−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン(ii)の構造を有し、結合スチレン量43%、数平均分子量95,000、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量の合計量80%、ポリスチレン(i)の数平均分子量30,000、ポリスチレン(ii)の数平均分子量10,000、ポリブタジエン部水素添加率99.9%のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物を用いた。
(4)(d)成分の無機微粒子
平均粒径が0.40μmの酸化チタンを用いた。
【0082】
[評価方法]
(1)SEMによる孔構造観察
測定対象となる微多孔性フィルムを試料台に積載後、約3nmのオスミウムコーティングを施し、走査型電子顕微鏡(HITACHI S−4700)を用いて、加速電圧1kVとしてフィルム断面(MD平行方向)のSEM画像から観察した。海部と島部の界面のみに孔形成が観られるものを(1)、海部と島部の界面、及び、海部中に孔形成が観られるものを(2)として表1に示した。
【0083】
(2)平均孔径(μm)
水銀ポロシメータにより測定した。具体的には、島津製作所ポアカイザー9320型を用いて、サンプル重量0.02mg〜0.04mgを前処理として真空脱気を5分間行った後、初期圧2.0psiaより測定した。得られた細孔分布データから、20μm以下で圧入体積の最も大きい点(モード径)を平均孔径とした。
【0084】
(3)膜厚(μm)
ダイヤルゲージ(尾崎製作所:「PEACOCK No.25」(商標))にて測定し た。
【0085】
(4)気孔率(%)
10cm角のサンプルをとり、その体積と質量から次式を用いて計算した。
気孔率(%)=(体積(cm3 )−質量(g)/ポリマー組成物の密度)/体積(cm3 )×100
【0086】
(5)透気度(sec/100cc)
JIS P−8117に準拠したガーレー式透気度計にて測定した。なお、膜厚を20μmに換算した値を示した。
【0087】
(6)突刺強度(N)
カトーテック製「KES−G5ハンディー圧縮試験器」(商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突き刺し速度2mm/secの条件で突き刺し試験を行い、最大突き刺し荷重(N)を測定した。なお、表中には膜厚を20μmに換算した値を示した。
【0088】
(7)熱収縮率(%)
フィルムから12cm×12cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルのMD方向、TD方向にそれぞれ10cm間隔で2つずつ(計4つ)の印を付け、サンプルを紙で挟んだ状態で、100℃のオーブン中に60分間静置した。オーブンからサンプルを取り出し冷却した後、印間の長さ(cm)を測定し、下記式にて熱収縮率を算出した。
熱収縮率(MD方向)(%)=(10−加熱後のMD方向の長さ(cm))/10×100
【0089】
(8)電気抵抗(膜抵抗)(Ω・cm2
円形状に切り出した微多孔性フィルムに電解液を含浸させ、図1のようなセル内に設置して、まず微多孔性フィルム1枚あたりの電気抵抗(Rs1)を測定した。ここで、図1中の1はSUS製セル、2はテフロンシール、3はばね、4は電解液を含浸した微多孔性フィルムを示す。
次いで電解液を含浸させた同微多孔性フィルムをセル内にさらに5枚追加して、微多孔性フィルム計6枚あたりの電気抵抗(Rs6)を測定した。
微多孔性フィルムの電気抵抗は、上記のRs1、Rs6から次式により算出した。
電気抵抗(Ω・cm2)={[Rs6(Ω)−Rs1(Ω)]/5}×2.00(cm2
なお、電解液は富山薬品工業株式会社製LIPASTE−EP2BL/FSI1T(商品名)、を使用し、電気抵抗の測定は日置電機株式会社製HIOKI3532−80ケミカルインピーダンスメータを用いて測定し、100kHzにおけるインピーダンスの実数部分(レジスタンス)を電気抵抗値とした。また図1に示した電極の有効面積は2.00cm2とした。
【0090】
(9)破膜温度
図2(A)に破膜温度の測定装置の概略図を示す。5は微多孔性フィルムであり、6A及び6Bは厚さ10μmのニッケル箔、7A及び7Bはガラス板である。8は電気抵抗測定装置(安藤電気製LCRメーター「AG−4311」(商標))でありニッケル箔6A、6Bと接続されている。9は熱電対であり温度計10と接続されている。11はデーターコレクターであり、電気抵抗測定装置8及び温度計10と接続されている。12はオーブンであり、微多孔性フィルムを加熱する。
さらに詳細に説明すると、図2(B)に示すようにニッケル箔6A上に微多孔性フィルム5を重ねて、縦方向に「テフロン」(商標)テープ(図の斜線部)でニッケル箔6Aに固定する。微多孔性フィルム5には電解液として1mol/リットルのホウフッ化リチウム溶液(溶媒:プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/γ−ブチルラクトン=1/1/2)が含浸されている。ニッケル箔6B上には図2(C)に示すように「テフロン」(商標)テープ(図の斜線部)を貼り合わせ、箔6Bの中央部分に15mm×10mmの窓の部分を残してマスキングしてある。
【0091】
ニッケル箔6Aとニッケル箔6Bを微多孔性フィルム5をはさむような形で重ね合わせ、さらにその両側からガラス板7A、7Bによって2枚のニッケル箔をはさみこむ。このとき、箔6Bの窓の部分と、微多孔性フィルム5が相対する位置に来るようになっている。
2枚のガラス板は市販のダブルクリップではさむことにより固定する。熱電対9は「テフロン」(商標)テープでガラス板に固定する。
このような装置で連続的に温度と電気抵抗を測定した。なお、温度は25℃から200℃まで2℃/minの速度にて昇温させ、電気抵抗値は1kHzの交流にて測定した。微多孔性フィルムの電気抵抗値が一旦103Ωに達し、その後、電気抵抗値が再び103Ωを下回るときの温度を破膜(ショート)温度とし、ショートしなかったものを○、ショートしたものを×と評価した。
【0092】
[実施例1]
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂67質量部、(c)混和剤17質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(b)成分を、また第二原料供給口から(a)成分と(c)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを、口径20mm、L/D=30、260℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3mmのTダイから押出した後、ただちに溶融した樹脂に25℃の冷風をあて95℃に冷却したキャストロールでドロー比150で引き取り、前駆体フィルムを成形した。
この前駆体フィルムを130℃で3時間熱処理し、25℃の温度で1.2倍に一軸延伸(MD方向、以下同じ)した後、この延伸フィルムをさらに、115℃の温度で2.0倍に一軸延伸(MD方向、以下同じ)して、さらに145℃で熱固定を行い、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムに対して、SEM観察、平均孔径、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、膜抵抗、破膜温度を測定し、その結果を表1に示した。
【0093】
[実施例2]
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂43質量部、(c)混和剤12質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により微多孔性フィルムを作製し、実施例1と同様の方法により評価を行った。その結果を表1に示した。
【0094】
[実施例3]
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂25質量部、(c)混和剤7質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により微多孔性フィルムを作製し、実施例1と同様の方法により評価を行った。その結果を表1に示した。
【0095】
[実施例4]
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂11質量部、(c)混和剤3質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により微多孔性フィルムを作製し、実施例1と同様の方法により評価を行った。その結果を表1に示した。
また、得られた微多孔性フィルムのSEM画像(倍率30,000倍)を図3に示した。図3からは、実施例2で得られた微多孔性フィルムには、海部と島部との界面に形成された孔部と、海部中に形成された孔部の2種類の孔が存在することが分かる。
【0096】
[実施例5]
前駆体フィルムの作製において、ドロー比を40としたこと以外は実施例4と同様の方法により微多孔性フィルムを作製し、実施例1と同様の方法により評価を行った。その結果を表1に示す。水銀ポロシメータによる平均孔径の測定において、細孔分布データが得られなかったため、平均孔径のデータは記載しなかった。
【0097】
[実施例6]
前駆体フィルムの作製において、ドロー比を20としたこと以外は実施例4と同様の方法により微多孔性フィルムを作製し、実施例1と同様の方法により評価を行った。その結果を表1に示す。
【0098】
[実施例7]
前駆体フィルムの熱処理温度を90℃としたこと以外は実施例4と同様の方法により微多孔性フィルムを作製し、実施例1と同様の方法により評価を行った。その結果を表1に示す。
【0099】
[実施例8]
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂11質量部、(d)無機微粒子0.07質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(b)成分を、また第二原料供給口から(a)成分と(d)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを、口径20mm、L/D=30、260℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3mmのTダイから押出した後、ただちに溶融した樹脂に25℃の冷風をあて95℃に冷却したキャストロールでドロー比150で引き取り、前駆体フィルムを成形した。
この前駆体フィルムを130℃で3時間熱処理し、25℃の温度で1.2倍に一軸延伸した後、この延伸フィルムをさらに、130℃の温度で2.0倍に一軸延伸して微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムに対して、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、破膜温度を測定し、その結果を表1に示した。
【0100】
[実施例9]
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂11質量部、(c)混和剤3質量部、(d)無機微粒子0.07質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(b)成分を、また第二原料供給口から(a)成分、(c)成分、及び(d)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを用い、実施例8と同様の方法により微多孔性フィルムを作製した。得られた微多孔性フィルムに対して、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、破膜温度を測定し、その結果を表1に示した。
【0101】
[実施例10]
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂11質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(b)成分を、また第二原料供給口から(a)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを用い、実施例8と同様の方法により微多孔性フィルムを作製した。得られた微多孔性フィルムに対して、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、破膜温度を測定し、その結果を表1に示した。
【0102】
[実施例11]
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂11質量部、(c)混和剤3質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(b)成分を、また第二原料供給口から(a)成分と(c)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを用い、実施例8と同様の方法により微多孔性フィルムを作製した。得られた微多孔性フィルムに対して、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、破膜温度を測定し、その結果を表1に示した。
【0103】
[実施例12]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、延伸温度を4ゾーン(最初段階から最後段階まで、第1、第2、第3及び第4ゾーンの順に区別))で変更できる多段延伸機にて同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、第1ゾーン〜第3ゾーンの温度:115℃、第4ゾーンの温度:130℃)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して、130℃で同一方向に20%の熱緩和を施した。こうして、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表2に示す。
【0104】
[実施例13]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、実施例12と同じ多段延伸機にて同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、第1ゾーン〜第3ゾーンの温度:115℃、第4ゾーンの温度:145℃)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して、145℃で同一方向に20%の熱緩和を施した。こうして微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表2に示す。
【0105】
[実施例14]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、実施例12と同じ多段延伸機にて同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、第1ゾーン〜第4ゾーンの温度:115℃)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して、130℃で同一方向に20%の熱緩和を施した。こうして微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表2に示す。
【0106】
[実施例15]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、実施例12と同じ多段延伸機にて同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、第1ゾーンの温度:130℃、第2ゾーン〜第4ゾーンの温度:115℃)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して、130℃で同一方向に20%の熱緩和を施した。こうして微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表2に示す。
【0107】
[実施例16]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、実施例12と同じ多段延伸機にて同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、第1ゾーン〜第3ゾーンの温度:115℃、第4ゾーンの温度:130)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して、130℃で同一方向に10%の熱緩和を施した。こうして微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表2に示す。
【0108】
[実施例17]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、実施例12と同じ多段延伸機にて同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、第1ゾーン〜第3ゾーンの温度:115℃、第4ゾーンの温度:130℃)した。こうして、前記工程(E)を経ていない微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表2に示す。
【0109】
[実施例18]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、実施例12と同じ多段延伸機にて同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、第1ゾーン〜第3ゾーンの温度:115℃、第4ゾーンの温度:130℃)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して、90℃で同一方向に20%の緩和処理を施した。こうして微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表2に示す。
【0110】
[実施例19]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、実施例12と同じ多段延伸機にて同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、第1ゾーン〜第3ゾーンの温度:115℃、第4ゾーンの温度:130℃)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、第2の延伸フィルムに対して、170℃で同一方向に20%の緩和処理を施した。こうして微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表2に示す。
【0111】
[実施例20]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、110℃の温度で同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、歪速度:0.15/秒)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して130℃で熱固定を施して、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表3に示す。
【0112】
[実施例21]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、110℃の温度で同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、歪速度:0.43/秒)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して130℃で熱固定を施して、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表3に示す。
【0113】
[実施例22]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、110℃の温度で同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、歪速度:0.90/秒)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して130℃で熱固定を施して、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表3に示す。
【0114】
[実施例23]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、110℃の温度で同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、歪速度:0.05/秒)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して130℃で熱固定を施して、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表3に示す。
【0115】
[実施例24]
実施例4と同様にして得られた前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、110℃の温度で同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、歪速度:1.40/秒)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して130℃で熱固定を施して、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表3に示す。
【0116】
[実施例25]
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂11質量部、(c)混和剤3質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口からポリフェニレンエーテル樹脂を、また第二原料供給口からポリプロピレン樹脂と混和剤を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを、口径20mm、L/D=30、260℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚5mmのTダイから押出した後、ただちに溶融した樹脂に25℃の冷風をあて95℃に冷却したキャストロールでドロー比200で引き取り、前駆体フィルムを成形した。
この前駆体フィルムを150℃で3時間熱処理し、25℃の温度で1.2倍に一軸延伸した後、この延伸フィルムをさらに、130℃の温度で2.0倍に一軸延伸して、さらに145℃で熱固定を行い、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムに対して、膜厚、気孔率、透気度、破膜温度を測定し、その結果を表4に示した。
【0117】
[実施例26]
実施例25と同様の方法により作製した前駆体フィルムを140℃で3時間熱処理し、25℃の温度で1.2倍に一軸延伸した後、この延伸フィルムをさらに、120℃の温度で2.0倍に一軸延伸して、さらに145℃で熱固定を行い、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムに対して、膜厚、気孔率、透気度、破膜温度を測定し、その結果を表4に示した。
【0118】
[実施例27]
実施例25と同様の方法により作製した前駆体フィルムを130℃で3時間熱処理し、25℃の温度で1.2倍に一軸延伸した後、この延伸フィルムをさらに、115℃の温度で2.0倍に一軸延伸して、さらに145℃で熱固定を行い、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムに対して、膜厚、気孔率、透気度、破膜温度を測定し、その結果を表4に示した。
【0119】
[実施例28]
実施例25と同様の方法により作製した前駆体フィルムを130℃で3時間熱処理し、25℃の温度で1.2倍に一軸延伸した後、この延伸フィルムをさらに、130℃の温度で2.0倍に一軸延伸して、さらに145℃で熱固定を行い、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムに対して、膜厚、気孔率、透気度、破膜温度を測定し、その結果を表4に示した。
【0120】
[実施例29]
実施例25と同様の方法により作製した前駆体フィルムを120℃で3時間熱処理し、25℃の温度で1.2倍に一軸延伸した後、この延伸フィルムをさらに、130℃の温度で2.0倍に一軸延伸して、さらに145℃で熱固定を行い、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムに対して、膜厚、気孔率、透気度、破膜温度を測定し、その結果を表4に示した。
【0121】
[比較例1]
(a)ポリプロピレン樹脂100質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂67質量部、(c)混和剤17質量部を、温度260〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した、第一原料供給口及び第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)を有する二軸押出機を用い、押出機の第一原料供給口から(b)成分を、また第二原料供給口から(a)成分と(c)成分を押出機に供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物をペレットとして得た。
上記のようにして得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを、口径20mm、L/D=30、260℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3mmのTダイから押出した後、ただちに溶融した樹脂に25℃の冷風をあて95℃に冷却したキャストロールでドロー比20で引き取り、前駆体フィルムを成形した。
この前駆体フィルムを、25℃の温度で1.2倍に一軸延伸(MD方向、以下同じ)した後、この延伸フィルムをさらに、150℃の温度で2.0倍に一軸延伸(MD方向、以下同じ)して、さらに170℃で熱固定を行い、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムに対して、SEM観察、平均孔径、膜厚、気孔率、透気度、突刺強度、膜抵抗、破膜温度を測定し、その結果を表1に示した。
また、得られた微多孔性フィルムのSEM画像(倍率10,000倍)を図4に示した。図4からは、比較例1で得られた微多孔性フィルムには、海部と島部との界面に形成された孔部のみ存在することが分かる。
【0122】
[比較例2]
実施例12において、前駆体フィルムの原料ペレットを(a)ポリプロピレン樹脂100質量部を用いた以外は実施例12と同様にして前駆体フィルムを得た。この前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、実施例12と同じ多段延伸機にて同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、第1ゾーン〜第3ゾーンの温度:115℃、第4ゾーンの温度:130℃)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して、130℃で同一方向に20%の熱緩和を施した。こうして、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度を上述のようにして測定した。その結果を表2に示す。
【0123】
[比較例3]
実施例20において、前駆体フィルムの原料ペレットを(a)ポリプロピレン樹脂100質量部を用いた以外は実施例20と同様にして前駆体フィルムを得た。この前駆体フィルムを130℃で2時間熱処理した。その後、25℃の温度で縦方向に一軸延伸(延伸倍率:1.3倍)して前記工程(C)の延伸フィルムを得た。その後、前記工程(C)の延伸フィルムを更に、110℃の温度で同一方向に一軸延伸(延伸倍率:2.0倍、歪速度:0.43/秒)して、前記工程(D)の延伸フィルムを得た。さらに、前記工程(D)の延伸フィルムに対して130℃で熱固定を施して、微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、熱収縮率、破膜温度(耐破膜性)を上述のようにして測定した。その結果を表3に示す。
【0124】
[比較例4]
実施例25において、前駆体フィルムの原料ペレットを(a)ポリプロピレン樹脂100質量部を用いた以外は実施例25と同様にして微多孔性フィルムを得た。得られた微多孔性フィルムに対して、膜厚、気孔率、透気度、破膜温度を測定し、その結果を表4に示した。
【0125】
【表1】

【0126】
【表2】

【0127】
【表3】

【0128】
【表4】

【0129】
表1〜4の結果から、以下の内容が読み取れる。
本実施の形態の微多孔性フィルムの特徴としては、
(1)電池セパレータとしての透過性(気孔率及び透気度)・強度・電気抵抗・熱収縮率のバランスが優れている。
(2)電池用セパレータとして用いた場合、200℃以上の破膜温度を有し、耐熱性が飛躍的に改善されているので、電池短絡(ショート)に対する安全性を大きく向上させている。
【0130】
本出願は、2008年7月31日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2008−198020)、2008年7月31日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2008−198015)、2008年7月31日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2008−198308)、2009年1月21日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2009−011137)、2009年7月9日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2009−162876)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本実施の形態の微多孔性フィルムは電池用セパレータ、より具体的にはリチウムイオン電池用セパレータとしての産業上利用可能性を有する。その他、各種分離膜としても用いられる。
【符号の説明】
【0132】
1 SUS製セル
2 テフロンシール
3 ばね
4 電解液を含浸した微多孔性フィルム
5 微多孔性フィルム
6A ニッケル箔
6B ニッケル箔
7A ガラス板
7B ガラス板
8 電気抵抗測定装置
9 熱電対
10 温度計
11 データーコレクター
12 オーブン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微多孔性フィルムの製造方法であって、以下の(A)〜(D)の各工程、
(A)(a)ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂5〜90質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物を、溶融状態で、ドロー比10〜300で引き取りフィルムを得る工程、
(B)前記工程(A)で得たフィルムを100℃以上160℃以下の温度で熱処理する工程、
(C)前記工程(B)で得たフィルムを−20℃以上100℃未満の温度で延伸する冷延伸工程、
(D)前記工程(C)で得たフィルムを100℃以上170℃未満の温度で延伸する熱延伸工程、
を含む、微多孔性フィルムの製造方法。
【請求項2】
(E)前記工程(D)で得たフィルムを100℃以上170℃未満の温度で熱緩和する熱緩和工程をさらに含む、請求項1記載の微多孔性フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記工程(D)の延伸における歪み速度が0.10〜1.00/秒である、請求項1又は2記載の微多孔性フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記工程(D)において、前記工程(C)で得られたフィルムに対して2段階以上の異なる温度で延伸を施す、請求項1〜3のいずれか1項記載の微多孔性フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記2段階以上の異なる温度が、前記工程(D)の延伸の最初段階の温度と、それよりも高い前記工程(D)の延伸の最終段階の温度とを含み、前記最初段階の温度から前記最終段階の温度にかけて段階的に又は次第に高くなる、請求項4記載の微多孔性フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記工程(D)の延伸温度が前記工程(B)の熱処理温度よりも低い、請求項1〜5のいずれか1項記載の微多孔性フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記工程(D)の最終段階の温度で前記工程(E)の熱緩和を施す、請求項2〜6のいずれか1項記載の微多孔性フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−137159(P2011−137159A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8156(P2011−8156)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【分割の表示】特願2010−522756(P2010−522756)の分割
【原出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】