説明

微小インピーダンス変動検出装置

【課題】より大きな抵抗値及び大きなサイズのタッチパネルを有するITO電極に適する微小インピーダンス変動検出装置を供すること。
【解決手段】微小インピーダンス変動検出装置は、差動増幅器、第一及び第二のインピーダンス、感知電極、並びに信号源を含む。差動増幅器は第一の入力端、第二の入力端、及び出力端を有する。第一のインピーダンスは第一の入力端に接続される。第二のインピーダンスは第二の入力端に接続される。感知電極は、タッチを感知してタッチ信号を受け取るために、第二の入力端に接続される。信号源は、第一のインピーダンス及び第二のインピーダンスに入力される入力信号を供するために、第一のインピーダンス及び第二のインピーダンスに接続される。第一のインピーダンスは、第二のインピーダンスのそれに近いインピーダンス値を有する。差動増幅器は、タッチ信号を差動的に増幅するための、入力信号及びタッチ信号に基づく。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2011年1月31日に出願された台湾出願特許番号100103659の利益を主張し、その主題が本明細書に引用することにより取り込まれている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、インピーダンス検出装置に関する、特に、微小インピーダンス変動検出装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、既存のタッチパネルは、抵抗型及びと容量型に分類される。抵抗型タッチパネルは他のものよりかなり早くから開発されてきたため、主要な市場を占有しており、一方、容量型タッチパネルも最近、普及している。
【0004】
抵抗型タッチパネルは、上部ITO(インジウム−錫−酸化物)導電層及び下部ITO導電層を積み重ねることによって形成される。実際の操作において、抵抗型タッチパネルの表面にかけられる圧力によって、上部導電層の電極が下部導電層の電極と伝導され、そして接触点の位置を計算し、そのことによって入力として進行するように、タッチパネルの圧力変動を検出するためにコントローラーが用いられる。使用者がタッチパネルの表面上の或る点をタッチするとき、伝導された電流が活性化され、その結果、コントローラーが、活性化された点の位置を計算する。しかしながら、そのような二重層のITO構造を有するタッチパネルに対して、同じ面上のITO電極を接続するための層ギャップは比較的狭く、従って、短絡問題が生じ易く、検出エラーをもたらす。
【0005】
更に、容量型タッチパネルの開発において、自己容量に影響を与える主要因は人体及び接触領域の電場であり、ここで人体の電場は、地面の電場の影響のせいで、典型的には信号を運ぶ。人体の電場の影響を効果的に減らすために、測定回路は容量値を計算するために一般的に平均値を適用する。つまり、複数回に亘って計算された容量値の平均値が、タッチ入力があるか否かを定めるために採用される。従って、もし人体の電場及び地面の電場がノイズとして処理されるならば、容量型タッチパネルの正確性及び安定性が非常に影響を受けることになる。
【0006】
従って、前述のタッチ制御装置の使用において、回路、電場、電源等からのノイズの影響を避けることは困難である。また、正確性及び安定性の考慮に基づき、より小さい抵抗値を有するITO電極が前述のタッチ制御装置において典型的には使用されるため、大型のタッチパネルを製造することは困難であり、その結果タッチパネルの開発が制約される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、より大きな抵抗値及び大きなサイズのタッチパネルを有するITO電極に適する微小インピーダンス変動検出装置を供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、以下を含む微小インピーダンス変動検出装置が供される:第一の入力端、第二の入力端、及び出力端を含む差動増幅器;差動増幅器の第一の入力端に電気的に接続された第一及び第二の端部を有する第一のインピーダンス;差動増幅器の第二の入力端に電気的に接続された第一及び第二の端部を有する第二のインピーダンス;タッチを感知してタッチ信号を受け取るために、差動増幅器の第二の入力端に電気的に接続された感知電極;及び第一のインピーダンス及び第二のインピーダンスに入力される入力信号を供するために、第一のインピーダンスの第一の端部及び第二のインピーダンスの第一の端部に電気的に接続された信号源。第一のインピーダンスは、第二のインピーダンスのそれに近いインピーダンス値を有し、そして、差動増幅器は、タッチ信号を差動的に増幅するための、及び差動的に増幅されたタッチ信号を出力端に出力するための入力信号及びタッチ信号に基づく。
【0009】
本発明の他の目的、利点及び新規な特徴は、添付図面と関連した以下の詳細な記述からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施態様に従う微小インピーダンス変動検出装置のシステム図であり;
【図2】本発明の第一の実施態様に従う微小インピーダンス変動検出装置のための第一の出力回路を概略的に説明し;
【図3】本発明の第一の実施態様に従う微小インピーダンス変動検出装置のための第二の出力回路を概略的に説明し;
【図4】本発明の第二の実施態様に従う微小インピーダンス変動検出装置のシステム図であり;そして、
【図5】本発明の第三の実施態様に従う微小インピーダンス変動検出装置のシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、本発明の第一の実施態様に従う微小インピーダンス変動検出装置のシステム図が示される。示された通り、本発明の微小インピーダンス変動検出装置1は、以下を含む:差動増幅器11;二つの端部121、122を有する第一のインピーダンス12;二つの端部131、132を有する第二のインピーダンス13;二つの端部141、142を有する第一のコンデンサ14;感知電極15;及び信号源16。差動増幅器11は、第一の入力端111、第二の入力端112及び出力端113を含む。第一のインピーダンス12の端部122及びコンデンサ14の端部142は、差動増幅器11の第一の入力端111に電気的に接続される。コンデンサ14の端部141は地面に接続される。尚、第一のコンデンサ14は、(示されていない)積分回路ピン上に存在する物理的コンデンサ又は寄生コンデンサであってよい。第二のインピーダンス13の端部132及び感知電極15は、差動増幅器11の第二の入力端112に電気的に接続される。信号源は、第一のインピーダンス12の端部121及び第二のインピーダンス13の端部131に電気的に接続される。感知電極15は、タッチ信号を受け取るように、タッチを感知するために供される。この実施態様において、感知電極15は、指、導体又は物体(object)からのタッチが感知されるとき、タッチ信号を受け取る。信号源16は、第一のインピーダンス12及び第二のインピーダンス13に入力されるための入力信号を供する。この実施態様において、信号源16は、第一のインピーダンス12及び第二のインピーダンス13に周期的信号を入力する。
【0012】
この実施態様において、感知電極15は、積分回路ピン9を介して、差動増幅器11の第二の入力端112に電気的に接続される。積分回路ピン9は、第一の寄生容量31有し、そして感知電極15も第二の寄生容量32を有する。
【0013】
本発明の微小インピーダンス変動検出装置において、第一のインピーダンス12のインピーダンス値は、第二のインピーダンス13のインピーダンス値に近いか又は等しくさえある。入力信号及びタッチ信号に基づく差動増幅器11は、タッチ信号を差動的に増幅し、そして差動的に増幅されたタッチ信号を出力端113に出力する。入力信号が、類似のインピーダンス値を有する第一のインピーダンス12と第二のインピーダンス13の間に入力されるので、入力信号は差動増幅器の第一の入力端111及び第二の入力端112に送られる。第一のインピーダンス12のインピーダンス値が、第二のインピーダンス13のインピーダンス値に近いとき、そして第一のコンデンサ14の容量値が、平行に接続された第一の寄生容量31及び第二の寄生容量32の容量値に近いか等しくさえあるとき、差動的に増幅された出力信号(タッチ信号)は、信号源の上下の回路が対称的であるので、ゼロに近い。本発明の信号源16は、第一のインピーダンス12及び第二のインピーダンス13に周期的信号を入力する。周期的信号は、例えば、正弦波、四角波、三角波などであってよい。あるいは、本発明の信号源16は、第一のインピーダンス12及び第二のインピーダンス13に非周期的信号又はノイズ信号さえも入力でき、そして差動的に増幅された出力信号もゼロに近い。
【0014】
この実施態様において、第一のコンデンサ14の容量値は、平行に接続された第一の寄生容量31及び第二の寄生容量32の容量値に近いか等しくさえある。指、導体又は物体が、感知電極15に近づくか又は接触するとき、感知電極15の第二の寄生容量32の値は変えられ、そのため差動増幅器の入力端112上に現れる分割された電圧及び相が変えられ、その結果、第一の入力端111上及び第二の入力端112上の電圧は互いに異なる。そのような現象は、重たい端部に向かってバランスが傾くというバランスの不均衡に類似している。従って、差動増幅器11の差動増幅の後、その出力端113は増幅されたタッチ信号を出力する。差動増幅器11の出力変動を測定することによって、感知電極15によって発生した微小寄生容量変動を区別することができる。
【0015】
増幅された出力信号の決定は、出力回路を出力端113に更に接続することによって達成することができる。図2において示される通り、本発明は、出力端113でタッチ信号を処理するための、整流器及びフィルタ回路21、積分回路22並びにA/D変換器回路23を更に含む。整流器及びフィルタ回路21は、差動増幅器11の出力端113に電気的に接続される。積分回路22は、整流器及びフィルタ回路21に電気的に接続される。A/D変換器回路23は、積分回路22に電気的に接続される。あるいは、別の出力回路が同じ目的を達成するために使用することができる。図3において示される通り、この出力回路は、整流器及びフィルタ回路21、ピーク電圧検出器回路24並びにA/D変換器回路23を含む。整流器及びフィルタ回路21は、差動増幅器11の出力端113に電気的に接続される。ピーク電圧検出器回路24は、整流器及びフィルタ回路21に電気的に接続される。A/D変換器回路23は、ピーク電圧検出器回路24に電気的に接続される。
【0016】
次いで、図4を参照すれば、本発明の第二の実施態様に従う微小インピーダンス変動検出装置のシステム図が示される。図4において示される通り、この実施態様の回路図は、第二のコンデンサ17が加えられることを除いて、第一の実施態様のそれと類似している。第二のコンデンサ17は、地面に接続された第一の端部171、及び差動増幅器11の第二の入力端112に電気的に接続された第二の端部172を有する。平行に接続される第二のコンデンサ17、第一の寄生容量31及び第二の寄生容量32の容量値は、第一のコンデンサの容量値に近いか又は等しくさえある。従って、差動増幅器11の第一の入力端111及び第二の入力端112は、類似の容量値を有するコンデンサと接続される。
【0017】
更に、図5を参照すれば、本発明の第三の実施態様に従う微小インピーダンス変動検出装置のシステム図が示される。図5において示される通り、この実施態様の回路図は、第三のインピーダンス18が加えられることを除いて、第一の実施態様のそれと類似している。第三のインピーダンス18は、信号源16に接続されたそれぞれの二つの端部181、182、及び第一及び第二のインピーダンス12、13の端部121及び131を有する。第一のインピーダンス12及び第二のインピーダンス13上に分配された電圧が完全には等しくないとき、第三のインピーダンス18はそのような違いを調節するために使用することができる。好ましくは、第三のインピーダンス18は抵抗器である。
【0018】
従って、本発明の微小インピーダンス変動検出装置1を用いると、回路、電源等からのノイズによって生じる干渉を削除することが可能である。また、本発明は、比較的高い感度を供するように、非常に小さい変動を測定することができる。本発明はまた、より高い抵抗値及び大型のタッチパネルを有するITO電極に対しても適しているため、高い適合性を有する。
【0019】
本発明がその好ましい実施態様に関して説明されてきたが、他の可能な修正及び変更が以下に請求された本発明の精神と範囲を逸脱することなくなされ得ると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小インピーダンス変動検出装置であって:
第一の入力端、第二の入力端、及び出力端を含む差動増幅器;
差動増幅器の第一の入力端に電気的に接続された第一及び第二の端部を有する第一のインピーダンス;
差動増幅器の第二の入力端に電気的に接続された第一及び第二の端部を有する第二のインピーダンス;
タッチを感知してタッチ信号を受け取るために、差動増幅器の第二の入力端に電気的に接続された感知電極;及び
第一のインピーダンス及び第二のインピーダンスに入力される入力信号を供するために、第一のインピーダンスの第一の端部及び第二のインピーダンスの第一の端部に電気的に接続された信号源;
を含み、
ここで、第一のインピーダンスが、第二のインピーダンスのそれに近いインピーダンス値、並びに、タッチ信号を差動的に増幅するための、及び差動的に増幅されたタッチ信号を出力端に出力するための入力信号及びタッチ信号に基づく差動増幅器を有する、微小インピーダンス変動検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微小インピーダンス変動検出装置であって、差動増幅器の第一の入力端に電気的に接続された第一のコンデンサを更に含み、ここで第一のコンデンサが、積分回路ピン上に存在する物理的コンデンサ又は寄生コンデンサである、微小インピーダンス変動検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の微小インピーダンス変動検出装置であって、信号源が、第一のインピーダンス及び第二のインピーダンスに入力されるための周期的信号を供する、微小インピーダンス変動検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の微小インピーダンス変動検出装置であって、指、導体又は物体が近づく又は接触するとき、感知電極がタッチ信号を受け取る、微小インピーダンス変動検出装置。
【請求項5】
請求項2に記載の微小インピーダンス変動検出装置であって、感知電極が、第一の寄生コンデンサの容量値を有する積分回路ピンを介して、差動増幅器の第二の入力端に電気的に接続され;感知電極が、第二の寄生コンデンサの容量値を有し;第一のコンデンサが、平行に接続された第一の寄生コンデンサ及び第二の寄生コンデンサのそれに近い容量値を有する、微小インピーダンス変動検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の微小インピーダンス変動検出装置であって、地面に接続された第一の端部、及び差動増幅器の第二の入力端に電気的に接続された第二の端部を有する第二のコンデンサを更に含み、ここで平行に接続されている第二のコンデンサ、第一の寄生コンデンサ及び第二の寄生コンデンサの容量値が、第一のコンデンサの容量値に近い、微小インピーダンス変動検出装置。
【請求項7】
請求項2に記載の微小インピーダンス変動検出装置であって、信号源に接続された第一の端部、並びに第一及び第二のインピーダンスの第一の端部に接続された第二の端部を有する第三のインピーダンスを更に含む、微小インピーダンス変動検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の微小インピーダンス変動検出装置であって、第三のインピーダンスが、好ましくは、抵抗器である、微小インピーダンス変動検出装置。
【請求項9】
請求項2に記載の微小インピーダンス変動検出装置であって、整流器及びフィルタ回路、積分回路並びにA/D変換器回路を更に含み、ここで整流器及びフィルタ回路が差動増幅器の出力端に電気的に接続され、積分回路が整流器及びフィルタ回路に電気的に接続され、そしてA/D変換器回路が積分回路に電気的に接続される、微小インピーダンス変動検出装置。
【請求項10】
請求項2に記載の微小インピーダンス変動検出装置であって、整流器及びフィルタ回路、ピーク電圧検出器回路並びにA/D変換器回路を更に含み、ここで整流器及びフィルタ回路が差動増幅器の出力端に電気的に接続され、ピーク電圧検出器回路が整流器及びフィルタ回路に電気的に接続され、そしてA/D変換器回路がピーク電圧検出器回路に電気的に接続される、微小インピーダンス変動検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−164308(P2012−164308A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−12325(P2012−12325)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(512019538)インベンション エレメント インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】