説明

微小流動環境において細胞および生体分子を単離するための磁気装置

本発明は、細胞、タンパク質、DNAおよび他の分子を単離、濃縮および精製するための新規で有用な磁気装置およびそれを使用する方法を特徴とする。一般に、本発明の装置は、磁区または磁気粒子が結合することができる障壁を含む。次いで、磁気粒子の表面上にある化学基、すなわち捕獲部分を使用して、複雑な試料から粒子、例えば、関心対象の細胞または分子を結合することができ、結合種を下流の回収またはさらなる分析のために選択的に放出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小流動の分野および粒子と分子とを選別する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
血液などの複雑な混合物から均一な細胞集団を分離するように工夫されているいくつかの方法がある。これらの細胞分離技法は、2つの広いカテゴリーに分類することができる:(1)種々の細胞特異的マーカーを使用して固定し、染色された細胞の選択に基づいた侵襲的方法;および(2)関心対象の細胞集団に特異的な生物物理的パラメーターを使用して生細胞を単離する非侵襲的方法。
【0003】
侵襲的技法には、蛍光活性化細胞分類(FACS)、磁気活性化細胞選別(magnetic activated cell sorting)(MACS)および免疫磁気細胞選別が挙げられる。FACSは、通常、特異的な細胞表面マーカーを発現する細胞に結合する蛍光標識マーカーを使用するポジティブセレクション技法である。FACSを使用して、選別の基礎を構成することができる細胞内マーカーのために細胞を透過性にして染色することもできる。それは迅速で、典型的には1,000〜1,500 Hzの速度で動作し、医学的検査において十分に確立されている。高速における極めて短い滞留時間中に得られる光子の数が非常に少ないので、FACSには高い偽陽性率が関連する。複雑なマルチパラメーター分類方法を使用してFACSの特異性を増強することができるが、それに関連する高い費用のために、通常の臨床試験には実用的ではない場合がある。FACSはオペレーターのかなりの専門知識を必要とし、面倒で、多数の操作により細胞が損失され、装置の費用が非常に高いので、FACSの臨床適用はさらに制限されている。
【0004】
MACSは、表面マーカーに対する抗体をコーティングした磁気ビーズを使用して、特異的な表面マーカーを発現する細胞を細胞混合物から単離する細胞分離技法として使用される。MACSは、FACSと比較して実施が安価で、容易で、迅速であるという利点を有する。MACSは、多数の操作および取扱による細胞損失を生じる。
【0005】
磁気コロイドシステムは、血液から細胞を単離する際に使用されている。このコロイドシステムは、細胞表面抗原特異的モノクローナル抗体に容易に結合することができるヤギ抗マウスIgGがコーティングされている強磁気ナノ粒子を使用する。強磁気ナノ粒子を標識した細胞は、光学的に透明な表面にリソグラフ技法で配置された強磁気Niラインに沿って磁場内で整列する。この方法も、細胞と磁気ビーズを混合する段階および表面で分離する段階を含む多数の細胞取扱段階を必要とする。この方法も、さらなる分析のために試料から個々の細胞を選別することができない。
【0006】
非侵襲的技法には、特徴的な表面荷電密度に基づいて細胞を分離するために、電場を妨害する水平の直交流流体勾配を使用する荷電流動分離(charge flow separation)が挙げられる。この方法は、生物物理的な差により細胞を純粋な形で分離することができるが、特異性が十分でない。技法のこの大きな欠点に対処するために、装置の特性(例えば、セパレータースクリーンおよびバッファ対向流(buffer counterflow)条件)を改良する試みが実施されている。異なる試料において予想される個人差を考慮すると、装置特性のこれらの改良はどれも実用的な解決法を提供していない。
【0007】
先行技術の方法は、費用が高く、収率が悪く、特異性に欠けるので、これらの限界を克服する、混合物から特定の種類の細胞を激減させる方法の必要性がある。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明は、細胞、タンパク質、DNAおよび他の分子を単離、濃縮および精製するために使用される新規で、有用な磁気装置およびそれを使用する方法を特徴とする。一般に、本発明の装置は、磁気領域または磁気粒子が結合することができる障壁を含む。次いで、磁気粒子の表面の化学基、すなわち、捕獲部分を使用して粒子、例えば、関心対象の細胞または分子を複雑な試料から結合することができ、次いで結合した種を下流の回収またはさらなる分析のために選択的に放出することができる。
【0009】
一局面において、本発明は、試料から1つ以上の所望の分析物を分離するための装置を特徴とする。本発明の装置は、チャネル、例えば、微小流動チャネルに配置されている第1の領域の磁気障壁および磁気相互作用によって障壁の少なくとも1つに結合している複数の磁気粒子を含む。
【0010】
試料から1つ以上の分析物を分離するための本発明の別の装置は、複数の磁気障壁およびを有するチャネルを含み、障壁は、例えば、任意の下層支持構造なしに複数の磁気粒子を含み、1つ以上の分析物に結合することができる捕獲部分は粒子に結合している。または、試料から1つ以上の所望の分析物を分離するための装置は、複数の磁気障壁を有するチャネルを含み、障壁は複数の磁気粒子を含み、磁気障壁は、1つ以上の分析物の少なくとも一部が障壁の間を通過することができないように配置されている。これらの態様において、チャネルは、複数の磁気位置領域をさらに含んでもよく、磁気障壁は磁気相互作用によって位置に結合されている。
【0011】
上記の装置のいずれかにおいて、障壁は、典型的には、二次元配列に整列されているが、ランダムに配置されてもよい。本発明の装置は、例えば、複数の磁気粒子から製造されている、または磁気相互作用によって複数の磁気粒子が結合している第2の領域の磁気障壁をさらに含んでもよい。第1および第2の領域は直列、並列に配列されてもまたは散在されてもよい。いくつかの態様において、特異的であるかどうかにかかわらず1つ以上の分析物に結合することができる捕獲部分は磁気粒子に結合されている。例示的な捕獲部分には、ホロ-トランスフェリンおよび抗CD71、抗CD36、抗GPA、または抗CD45抗体、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。2つ以上の領域の障壁を使用する場合には、異なる領域は、2つ以上の異なる分析物に結合するための異なる捕獲部分を含有してもよい。捕獲部分を使用する場合には、障壁は、典型的には、1つ以上の分析物が障壁の間を通過することができるように配置される。捕獲部分を使用しない場合には、障壁は、1つ以上の分析物の少なくとも一部が、例えば、サイズ、形状または変形に基づいて障壁の間を通過することができないように配置されうる。
【0012】
他の化合物、例えば、細胞表面受容体および候補薬化合物も、捕獲部分を用いてまたは用いないで磁気粒子に結合することができる。他の化合物と磁気粒子の結合により、分析物に対するその化合物の影響、例えば、細胞に対する候補薬剤の影響の判定、または細胞表面受容体のリガンドの同定が可能となる。複数の候補薬化合物または受容体の結合により、本発明の装置における高スループットスクリーニングが可能となる。
【0013】
他の態様において、磁気障壁の少なくとも一部は永久磁石または非永久磁石を含む。装置はまた、磁気障壁内に磁場を形成することができる磁力発生装置、例えば、不均一な磁場を有する電磁石または永久磁石も含んでもよい。好ましくは、磁場発生装置は、1つ以上の障壁に磁場を独立に適用することができる。
【0014】
本発明はまた、第1および第2の種類の分析物を少なくとも含む試料ならびに本発明の装置を提供する段階および装置に試料を導入する段階を含む、試料中の第1の種類の分析物を保持する方法であって、第1の種類の分析物は、捕獲部分に結合することによってまたは例えば、サイズ、形状もしくは変形に基づいて保持されることによって装置に保持される方法を特徴とする。好ましくは、試料中の第1の種類の分析物の少なくとも60%が保持され、試料中の第2の種類の分析物の少なくとも70%が保持されない。本発明の方法は、装置に第3の分析物も保持するように変更してもよい。分析物は、一旦保持されたら、標識部分に接触させることができる。保持されている分析物は、装置内で磁気粒子を保持している磁気相互作用を妨害することによって、または分析物と捕獲部分もしくは捕獲部分と磁気粒子との間の相互作用を妨害することによって、例えば、回収、クラスタリングまたは分析のために装置から放出することもできる。候補薬化合物が磁気粒子に結合される場合には、第1の分析物は、典型的には、細胞であり、本発明の方法は、細胞に対する候補薬化合物の影響を判定する段階をさらに含んでもよい。細胞表面受容体が捕獲部分として磁気粒子に結合しており、リガンド、アゴニストまたはアンタゴニストと推定されるものが分析物である場合にも同様の方法を使用することができる。
【0015】
「分析物」とは、分子、他の化学種、例えば、イオンまたは粒子を意味する。例示的な分析物には、細胞、ウイルス、核酸、タンパク質、炭水化物および有機低分子が挙げられる。
【0016】
「捕獲部分」とは、粒子が結合する化学種を意味する。捕獲部分は、表面または表面を形成している材料に結合している化合物であってもよい。例示的な捕獲部分には、抗体、オリゴペプチドまたはポリペプチド、核酸、他のタンパク質、合成ポリマーおよび炭水化物が挙げられる。
【0017】
「希釈剤」とは、試料の流体媒体と混和可能である任意の流体を意味する。典型的には、希釈剤は液体である。希釈剤は、例えば、pHを変更する物質(例えば、酸、塩基または緩衝剤)または試料中の分析物を化学的に修飾する(例えば、分析物を標識する、化学種を分析物に結合する、または分析物の一部を切断する)もしくは生物学的結果に影響する試薬(例えば、細胞応答を誘発する増殖培地もしくは化学物質または細胞溶解を生じる物質)。希釈剤はまた、細胞、ウイルスまたは分子を固定または安定化する際に使用する物質も含んでもよい。希釈剤は化学的または生物学的に不活性であってもよい。
【0018】
「磁気的」とは、硬磁性(永久)または軟磁性(非永久)磁性を有することを意味する。
【0019】
「微小流動」とは、少なくとも1つの寸法が1mmより小さいことを意味する。例えば、微小流動装置は、高さ、幅または長さが1mm未満の微小流動チャネルを含む。
【0020】
「障壁」とは、チャネル内の流動の妨害、例えば、一方の表面からの突起を意味する。
【0021】
「粒子」とは、分析の時間尺度で溶液に溶解しない物体を意味する。
【0022】
分析物の「種類」とは、共通の特性、例えば、特定の表面抗原の存在を有する分析物の集団、例えば、細胞または分子を意味する。1つの分析物が異なる種類の分析物に属する場合もある。
【0023】
ある種類の分析物に「特異的に結合する」とは、明記されている機序、例えば、抗原抗体相互作用、リガンド受容体相互作用、核酸相補性、タンパク質-タンパク質相互作用、荷電-荷電相互作用および疎水性-疎水性または親水性-親水性相互作用によってその種類の分析物に結合することを意味する。結合強度は、一般に、分析物が結合している場合に存在する流体流動による脱離を防止する程度に十分であるが、個々の分析物は、正常な操作条件下において脱離することがある。
【0024】
本発明の利点は、装置に充填する前に環境的に感受性の捕獲部分で官能基化する必要がなく、それによって使用可能な捕獲部分のバンド幅を拡大する選別装置;簡単で、迅速で、信頼できる方法で、エンド-ユーザーが捕獲分子で官能基化することができ、エンド-ユーザー特定の適用のための特注装置を可能にする選別装置;および先行技術の装置より機能が普遍的である選別装置を提供する能力を含む。
【0025】
他の特徴および利点は以下の説明および特許請求の範囲から明らかになると思われる。
【0026】
発明の詳細な説明
装置
本発明は、複数の磁気障壁を含む、典型的には、微小流動装置を特徴とする。最も簡単な態様において、本装置は、磁気粒子が磁気的に結合して、チャネルを通過する分析物が接触することができる型押し面を作製することができる磁気領域を有するチャネルを含む。これらの磁気粒子を適当な捕獲部分でコーティングすることによって、親和性機序によって所望の分析物に結合することができる。磁気粒子はチャネルを織ったように作製する働きをすることができ、チャネルの寸法に対して磁性粒子サイズおよび形状を適当に選択することによって、関心対象の分析物と磁気粒子の相互作用を増強する構成を提供することができる。磁気粒子は、磁場を形成するように作動されるチャネルの硬磁性領域または軟磁性領域に磁気的に結合することができる。また、これらの磁気粒子は、例えば、装置を流動する流体の全体の流速を増加することによって、磁場を低下することによって、または2つの何らかの組み合わせによって、チャネル内の規定された位置から放出することができる。一態様において、空間的に不均一な永久磁石または電磁石を使用して、組織化された、ある場合には、周期的な配列の磁気粒子を未構成の微小流動チャネルに作製することができる(Deng et al., Applied Physics Letters, 78, 1775 (2001))。電磁石を使用して、装置に不均一な磁場を作製することができる。不均一な磁場は、装置内に定期的な配列で磁気粒子を引き付ける高磁場強度または低磁場強度を作製する。他の外部磁場を使用して、磁気粒子が結合する磁気領域を作製することができる。硬磁性材料も装置の製造に使用することができ、それによって電磁石または外部磁場の必要性を除くことができる。一態様において、本発明の装置は、例えば、容量スループットを増加するために、磁気領域を有する複数のチャネルを含む。さらに、これらのチャネルは垂直方向に積層することができる。
【0027】
図1は、例示的な装置構造および複雑な混合物から標的分析物、例えば、細胞または分子を単離し、次いで放出する機能的な工程を例示する。本発明の装置は、一方のチャネル面から対向するチャネル面方向に延在する障壁を含む。障壁は、チャネルの距離全体に延在してもよい。障壁は磁気的であり(例えば、硬磁性もしくは軟磁性材料を含むまたは不均一磁場の高磁場位置である)、典型的には捕獲部分がコーティングされている磁気粒子を引き付け、保持する。装置の構造、ポストの分布、形状、サイズおよび流動パラメーターは、関心対象の分析物と捕獲部分の相互作用の有効性を最適にするように変更することができる(例えば、国際出願PCT/US03/30965号に記載されている)。具体的な一例において、種々の形状(円筒形、矩形、台形または多形)およびサイズ(10〜999ミクロン)の微小構造(microtextured)の磁気障壁を有する陽極ふた付きシリコンウエハーを独自に (間隔および密度は正三角形、対角線およびランダム配列分布により変わる)配列して、連続灌流流動流の範囲内での分析物と障壁の衝突頻度を最大にする。磁気障壁の正確な構造および障壁の分布は、単離、濃縮または精製される分析物の種類に依存してもよい。
【0028】
本発明の装置は微小流動チャネルを含んでもよい、すなわち微小流動装置であってもよい。試料を導入する装置のチャネルの寸法は、使用する試料に依存してもよい。好ましくは、チャネルは10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、6.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5または1mmを超えない少なくとも1つの寸法(例えば、高さ、幅、長さまたは半径)を有する。本明細書に記載する微小流動装置は、好ましくは、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1または場合によっては0.05mmより小さい少なくとも1つの寸法を有するチャネルを有する。チャネルの寸法は、所望の適用に基づいて当業者が決定することができる。
【0029】
製造
種々の技法を使用して本発明の装置を製造することができ、使用する技法は、一部には、最適な材料に基づいて選択される。本発明の装置を製造するための例示的な材料には、ガラス、シリコン、スチール、ニッケル、他の金属、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、シリコーン(例えば、ポリ(ジメチルシロキサン))、セラミックおよびそれらの組み合わせが挙げられる。他の材料は当技術分野において公知である。これらの材料のチャネルを製造する方法は当技術分野において公知である。これらの方法には、フォトリソグラフィー(例えば、ステレオリソグラフィーまたはx線フォトリソグラフィー)、成形、エンボス加工、シリコンマイクロ加工、湿式または乾式化学エッチング、フライス加工、ダイアモンド加工、リソグラフィー、電鋳および成形(Lithographie Galvanoformung and Abformung)(LIGA)、ならびに電気メッキが挙げられる。例えば、ガラスには、フォトリソグラフィーおよび湿式(KOH)または乾式エッチング(フッ素または他の反応性ガスによる反応性イオンエッチング)を含む従来のシリコン製造技法を使用することができる。レーザーマイクロ加工などの技法を、光子吸収効率の高いプラスチック材料に採用することができる。この技法は、方法の段階的な性質のために低スループット製造に好適である。大量生産されるプラスチック装置には、熱可塑性射出成形および圧縮成形が好適である。コンパクトディスクを大量製造するために使用される従来の熱可塑性射出成形(形状の忠実性をサブミクロンで保持する)を使用しても本発明の装置を製造することができる。例えば、従来のフォトリソグラフィーによって装置の形状をガラスマスターに複製する。ガラスマスターを電鋳して、強靭で、耐熱衝撃性で、熱伝導性のハードモールドを形成する。このモールドは、形状をプラスチック装置に射出成形または圧縮成形するためのマスター鋳型として働く。装置を製造するために使用するプラスチック材料ならびに最終製品の光学的品質およびスループットの要件に応じて、圧縮成形または射出成形を製造方法として選択することができる。圧縮成形(ホットエンボス加工または凸版インプリンティングとも呼ばれる)は、高分子量ポリマーと適合性であるという利点を有し、小型構造物に優れているが、高アスペクト比の構造物を複製する際の使用は困難であり、サイクルタイムが長い。射出成形は高-アスペクト比構造物に効果があるが、低分子量ポリマーに最も好適である。
【0030】
装置は1つ以上のピースで製造し、次いで組み立ててもよい。装置のピースは、クランプ、接着剤、熱、陽極接合または表面の基との反応(例えば、ウエハー結合)によって接着することができる。または、装置は、例えば、ステレオリソグラフィーまたは他の三次元製造技法を使用して一体として製造してもよい。
【0031】
本装置の磁気領域は、希土類材料、ネオジム-鉄-ホウ素、二価鉄-クロム-コバルト、ニッケル-二価鉄、コバルト-白金およびストロンチウムフェライトなどが挙げられるが、これに限定されない硬磁性または軟磁性材料で製造することができる。本発明の装置の一部を磁性材料から直接製造しても、または磁性材料を別の材料に適用してもよい。硬磁性材料は、他の駆動を必要としないで磁場を形成することができるので、硬磁性材料の使用は装置のデザインを簡素化することができる。しかし、軟磁性材料は、単に材料を消磁することによって、結合分析物の放出および下流の処理を可能にする。磁性材料に応じて、適用過程は、陰極スパッタ、焼結、電解析出またはポリマー結合剤-磁性粉の薄膜コーティングを含んでもよい。好ましい実施態様は、ポリイミド-ストロンチウムフェライト(ポリイミドは結合剤として働き、ストロンチウムフェライトは磁性フィラーとして働く)などのポリマーコンポジットとの回転成形によるマイクロ加工障壁(例えば、シリコンポスト)の薄層コーティングである。コーティング後、ポリマー磁性コーティングを硬化して、安定な機械的特性を得る。硬化後、装置の永久磁性の好ましい方向を支配する外部誘導電磁界に装置を短時間暴露する。ポストからの磁場の磁束密度および固有保磁力は磁性フィラーの%容量によって制御されうる。
【0032】
別の態様において、伝導性材料を、閉じた微小流動装置の外側面にマイクロパターン化する。パターンは、約100ミクロンの空間周期性を有する単一の電気回路からなってもよい。この電気回路のレイアウトおよび回路を通過する電流の大きさを制御することによって、閉じた微小流動装置内の高および低磁気強度の周期領域を形成することができる。
【0033】
磁気粒子は装置全体に均一に配置してもまたは空間分解された領域に配置されてもよい。また、磁気粒子は装置内の構造を作製するために使用してもよい。例えば、チャネルの両側の2つの磁気領域を使用して磁気粒子を誘引して、2つの領域を結ぶ「橋」を形成することができる。
【0034】
質量磁化率が0.1〜200×10-6 m3/kgの範囲である超磁性および常磁性粒子に影響するように磁場を調節することができる。有用な常磁性粒子はサイズに基づいて分類することができる:微粒子(セル径のサイズが1〜5μm);コロイド(約100nm);および分子(約2〜10nm)。常磁性実体に作用する基本力は:

(式中、Fbは、容積Vbの常磁性実体に作用する磁力であり、Δχは磁気ビーズχbと周囲の媒体χfの磁化率の差であり、μoは自由空間の透磁率であり、Bは外部磁場であり、∇は勾配演算子である)である。磁場は、典型的には、捕獲部分に結合している広範囲の微粒子、コロイドおよび分子状常磁性実体の誘引および保持を可能にするように制御し、調節することができる。
【0035】
磁気粒子および捕獲部分
磁場に応答する任意の磁気粒子を本発明の装置および方法に使用することができる。望ましい粒子は、例えば、化学反応、物理的吸着、エンタングルメントまたは静電相互作用によって化学的または物理的に改良することができる表面化学を有するものである。
【0036】
捕獲部分は、当技術分野において公知の任意の手段によって磁気粒子に結合することができる。例には、化学反応、物理的吸着、エンタングルメントまたは静電相互作用が挙げられる。磁気粒子に結合される捕獲部分は、標的とする分析物の性質に依存する。捕獲部分の例には、タンパク質(抗体、アビジンおよび細胞表面受容体など)、荷電または非荷電ポリマー(ポリペプチド、核酸および合成ポリマー)、疎水性または親水性ポリマー、低分子(ビオチン、受容体リガンドおよびキレート剤)およびイオンが挙げられるが、それに限定されるわけではない。このような捕獲部分を使用して、細胞(例えば、細菌、病原体、胎児細胞、胎児血液細胞、癌細胞および血液細胞)、細胞小器官(例えば、核)、ウイルス、ペプチド、タンパク質、ポリマー、核酸、超分子複合体、他の生体分子(例えば、有機または無機分子)、低分子、イオンまたはそれらの組み合わせもしくは断片に特異的に結合することができる。捕獲部分の例の具体的な例には、抗CD71、抗CD36、抗GPAおよびホロトランスフェリンが挙げられる。別の態様において、捕獲部分は胎児細胞特異的である。
【0037】
適用
本発明の方法は、例えば、混合物の一部としての分析物と装置の表面を接触させる段階を含み、試料中の所望の分析物(例えば、胎児細胞、病原体細胞、癌細胞または細菌細胞などの稀な細胞)は装置に保持される。次いで、関心対象の分析物を装置の表面に結合することができる。別の態様において、所望の分析物は、サイズ、形状または変形に基づいた分離によって装置に保持される。望ましくは、所望の分析物の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%が装置に保持される。装置の表面は、望ましくは、非標的分析物の非特異的結合を最小にするように設計される。例えば、非標的分析物の少なくとも99%、98%、95%、90%、80%または70%は装置に保持されない。装置の選択的な保持により、混合物、例えば、血液、痰、尿および土壌、大気または水試料から特定の分析物集団を分離することができる。
【0038】
所望の分析物の選択的な保持は、本発明の装置に磁気粒子を導入することによって得られる。捕獲部分は、磁気粒子に結合して、標的分析物の特異的な結合を実施することができる。または、磁気粒子は、選択したサイズ、形状または変形体の分析物だけが装置を通過することができるように配置することができる。これらの態様の組み合わせも考慮される。例えば、装置は、サイズに基づいてある分析物を保持するように構成し、結合に基づいて他の分析物を保持するように構成することができる。また、例えば、本発明の装置の直列、並列もしくは散在された配列の領域にまたは2つ以上の捕獲部分が、例えば、同一障壁もしくは領域に結合されている同一粒子もしくは隣接粒子に配置されている場合に、装置は関心対象の2つ以上の分析物に結合するように設計することができる。さらに、同一分析物(例えば、抗CD71および抗CD36)に特異的である多数の捕獲部分を、本発明の装置の、例えば、同一または異なる障壁または領域に配置されている同一または異なる磁気粒子に使用することができる。
【0039】
磁気粒子は、結合の可能性を増加するために分析物が相互作用する表面積を増加するように、装置に存在する障壁に結合することができる(または障壁を作製するように操作することができる)。流動条件は、典型的には、分析物を損傷しないように装置内で極めてやさしく取り扱われるような条件である。液柱からの陽圧または陰圧ポンプ作用を使用して、本発明の微小流動装置への分析物の流入および流出輸送することができる。本発明の装置は、ゆるやかな処理と同時に、各分析物と1つ以上の磁気粒子の衝突頻度を最大にすることができる。標的分析物は、磁気粒子との衝突時に任意の捕獲部分と相互作用する。捕獲部分は、設計されている装置の磁場誘引の結果として障壁と同時局在化することができる。この相互作用により、規定された位置に標的分析物を捕獲し、保持する。または、分析物は、例えば、サイズ、形状または変形に基づいて装置を通過できないことに基づいて保持される。捕獲された分析物は、磁気粒子を保持している磁気領域を消磁することによって、放出することができる。分析物を領域から選択的に放出するためには、選択された障壁または領域に消磁を限定することができる。例えば、磁場は、個々の領域または障壁各々の磁場を随意にオンおよびオフすることができる電磁的であるように設計することができる。他の態様において、粒子は、例えば、非共有結合相互作用の化学的切断または妨害によって分析物と捕獲部分の結合を妨害することによって放出することができる。例えば、一部の二価鉄粒子を、DNAリンカーによりモノクローナル抗体に結合する;DNAaseを使用すると、二価鉄粒子から分析物を切断し、放出することができる。または、抗体断片化プロテアーゼ(例えば、パパイン)を使用して、選択的な放出を工作することができる。磁気粒子への剪断(sheer)力の増加を使用しても、磁気領域、特に硬磁性領域から磁気粒子を放出することができる。他の態様において、捕獲された分析物を放出せず、保持しながら分析またはさらに操作してもよい。
【0040】
図2は装置の製造および機能化を例示する。磁化ポストは、本発明の装置のパッケージング後改良を可能にする。これは、既存の技術を上回る非常に重要な改善である。半導体処理パラメーター(高熱またはふたを接着するための溶剤シーラー)と捕獲部分(温度ならびに無機および有機溶剤に感受性)の不適合性により、本発明の装置を、全ての捕獲部分を用いる機能化に普遍的および適合性にしている。磁場を使用することによる障壁(例えば、ポスト)への捕獲部分の保持は、固定のために複雑な表面化学を使用する従来技術を上回る追加の利点である。本発明の装置によって、エンドユーザーは最適の捕獲部分または捕獲部分の混合物を装置に容易且つ迅速に装填することができ、それによって使用の汎用性を増加する。オン-デマンドおよび「ジャスト-イン-タイム」ワンステップ機能化が本発明の装置によって可能になり、それによってそれらが製造時に化学的に架橋される場合の捕獲部分の保存安定性の問題を回避する。ポストに負荷され、保持されうる捕獲部分には、哺乳類細胞の表面抗原分類(CD)受容体の全て、細胞受容体の合成および組換えリガンドならびに任意の磁気粒子に結合することができる関心対象の任意の他の有機、無機分子または化合物が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0041】
図3は、複雑な混合物から、トランスフェリン受容体を発現する細胞を捕獲および単離する装置の態様を例示する。CD71受容体に対するモノクローナル抗体は、二価鉄添加ポリスチレンおよび強磁性粒子またはフェロ-コロイド(例えば、Miltenyi and Dynal社製)などであるが、これに限定されない磁性材料に共有結合している容易に入手可能な既製品である。磁気粒子に結合しているCD71に対するmABを装置に流入させる。抗体コーティングした粒子をポスト(すなわち、障壁)、床および壁にくみ上げて、粒子と磁場の磁場相互作用の強さによって保持する。ポスト間の粒子および局所的な磁場の影響範囲でポストから離れた位置にゆるく保持されている粒子は洗浄(流動は、ポストから離れた位置の粒子に対する流体力学的剪断応力が磁場強度より大きいように調節することができる)によって除去される。
【0042】
図4は、ホロ-トランスフェリンを使用して、複雑な混合物、例えば、血液からCD71+細胞を捕獲し、放出する装置の適用の好ましい態様である。ホロ-トランスフェリンは、鉄含量が豊富で、購入可能であり、対応物モノクローナル抗体よりCD71受容体との相互作用の親和性および特異性が大きい。トランスフェリンリガンドに結合している鉄は、細胞受容体と結合するためのリガンドの立体配座を保持するおよびポストにリガンドを保持するための分離常磁性要素としての二重の目的を果たす。
【0043】
上記態様以外に、本発明の装置は、血液媒介性の病原体、細菌およびウイルス量、水性媒体に溶解される空気媒介性の病原体の単離および検出、食品業界における病原体検出ならびに化学的および生物的危害のための環境サンプリングに使用することができる。また、磁気粒子は、捕獲部分および候補薬化合物と同時局在化することができる。関心対象の捕獲された細胞は、捕獲された細胞と固定されている薬剤化合物の相互作用のために分析することができる。従って、本発明の装置は、複雑な混合物から細胞の亜集団を単離するため、および候補化合物の高スループットで、細胞を使用する二次的なスクリーニングのために、薬剤発見過程に使用する候補薬化合物との反応性を解析するために使用することができる。他の態様において、磁気粒子に捕獲部分、すなわち、受容体を局在化し、候補リガンドの複雑な混合物(またはアゴニストまたはアンタゴニスト)中を流動させることによって、薬剤発見のための受容体-リガンド相互作用試験を実施することができる。関心対象のリガンドが捕獲され、例えば、蛍光プローブによる二次的な染色によって結合事象を検出することができる。この態様は、組織または細胞消化物から抽出された複雑な混合物からの公知のリガンドの有無の迅速な同定または候補薬化合物の同定を可能にする。
【0044】
他の態様
上記の明細書に記載する全ての刊行物、特許および特許出願は参照により本明細書に組み入れられる。本発明の範囲および精神から逸脱する事無く、本発明の記載されている方法およびシステムに種々の改良および変更を加えることができることは当業者に明らかである。本発明は具体的な態様に関連して記載されているが、特許請求されている本発明はこのような具体的な態様に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際、当業者に明らかであり、本発明を実施するための記載されている様式の種々の改良は本発明の範囲内であることが意図されている。
【0045】
他の態様は特許請求の範囲の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の装置の断面図、ならびに本発明に係る、放出へと続く細胞単離およびオフ-ライン分析のための関連する工程である。
【図2】本発明の装置の製造および機能化の概略図である。磁化ポストは、装置の包装後改良を可能にする。
【図3】トランスフェリン(CD71)受容体に対するモノクローナル抗体を使用して、血液などの複雑な混合物からCD71+細胞を捕獲し放出するための本発明の装置の適用の概略図である。
【図4】ホロ-トランスフェリンを使用して、血液などの複雑な混合物からCD71+細胞を捕獲し放出するための本発明の装置の適用を概略図である。ホロ-トランスフェリンは鉄含有量が豊富で、市販されており、CD71受容体との相互作用の親和性定数および特異性が対応物であるモノクローナル抗体より高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の1つ以上の所望の分析物を保持するための装置であって、チャネルに配置された磁気障壁の第1の領域および磁気相互作用によって該障壁の少なくとも1つに結合されている複数の磁気粒子を含む装置。
【請求項2】
チャネルが微小流動チャネルである、請求項1記載の装置。
【請求項3】
磁気粒子が、1つ以上の分析物に結合することができる捕獲部分を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
捕獲部分が、第1の種類の分析物に特異的に結合する、請求項3記載の装置。
【請求項5】
捕獲部分が、ホロ-トランスフェリンまたは抗CD71、抗CD36、抗GPAもしくは抗CD45抗体、またはそれらの組み合わせを含む、請求項4記載の装置。
【請求項6】
磁気障壁の第2の領域をさらに含み、複数の磁気粒子が、該第2の領域の該障壁の少なくとも1つに磁気相互作用によって結合されている、請求項1記載の装置。
【請求項7】
第1の領域の障壁が第2の領域の障壁に散在している、請求項6記載の装置。
【請求項8】
第1の領域の障壁が第1の種類の分析物に特異的に結合し、第2の領域の障壁が第2の種類の分析物に特異的に結合する、請求項6記載の装置。
【請求項9】
磁気障壁の少なくとも一部が永久磁石を含む、請求項1記載の装置。
【請求項10】
磁気障壁の少なくとも一部が非永久磁石を含む、請求項1記載の装置。
【請求項11】
磁気障壁内で磁場を形成することができる磁力発生装置をさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項12】
磁場発生装置が、1つ以上の障壁に磁場を独立に適用することができる、請求項11記載の装置。
【請求項13】
障壁が二次元配列で整列されている、請求項1記載の装置。
【請求項14】
1つ以上の分析物が障壁間を通過することができるように該障壁が配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項15】
1つ以上の分析物の少なくとも一部が障壁間を通過できないように該障壁が配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項16】
1つ以上の分析物が細胞を含む、請求項1記載の装置。
【請求項17】
1つ以上の分析物が分子を含む、請求項1記載の装置。
【請求項18】
複数の磁気障壁を含むチャネルを含む、試料中の1つ以上の分析物を保持するための装置であって、該障壁は複数の磁気粒子を含み、該磁気粒子は、1つ以上の分析物に結合することができる捕獲部分を含む装置。
【請求項19】
複数の磁気障壁を含むチャネルを含む、試料中の1つ以上の分析物を保持するための装置であって、該障壁は複数の磁気粒子を含み、該1つ以上の分析物の少なくとも一部が該障壁の間を通過することができないように該障壁が配置されている装置。
【請求項20】
チャネルが複数の磁気位置領域をさらに含み、磁気障壁が磁気相互作用によって該位置に固定されている、請求項18または19記載の装置。
【請求項21】
1つ以上の分析物が細胞を含む、請求項18または19記載の装置。
【請求項22】
下記の段階を含む、試料中の第1の種類の分析物を保持するための方法:
(a)第1および第2の種類の分析物を少なくとも含む試料と、
(i)チャネルに配置されている第1の領域の磁気障壁;および
(ii)磁気相互作用によって該障壁の少なくとも1つに固定されている複数の磁気粒子
を含む装置とを提供する段階;
(b)該試料を該装置に導入する段階であって、該第1の種類の分析物が、該障壁の少なくとも1つとの相互作用によって該装置に保持される段階。
【請求項23】
下記の段階を含む、試料中の第1の種類の分析物を保持するための方法:
(a)第1および第2の種類の分析物を少なくとも含む試料と、チャネルに配置されている第1の領域の磁気障壁を含む装置とを提供する段階であって、該障壁は複数の磁気粒子を含む段階;および
(b)該試料を該装置に導入する段階であって、該第1の種類の分析物が、該障壁の少なくとも1つとの相互作用によって該装置に保持される段階。
【請求項24】
磁気粒子が、第1の種類の分析物に結合することができる捕獲部分でコーティングされる、請求項22または23記載の方法。
【請求項25】
第1の種類の分析物の少なくとも一部が障壁の間を通過することができないように磁気障壁が配置されている、請求項22または23記載の方法。
【請求項26】
第1の種類の分析物が粒子である、請求項22または23記載の方法。
【請求項27】
粒子が細胞である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
細胞が細菌細胞、胎児細胞または血液細胞である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
粒子が細胞小器官である、請求項22または23記載の方法。
【請求項30】
細胞小器官が核である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
粒子がウイルスである。請求項22記載の方法。
【請求項32】
第1の種類の分析物が分子である、請求項22または23記載の方法。
【請求項33】
分子が核酸、タンパク質、または超分子複合体である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
試料中の第1の種類の分析物の少なくとも60%が保持される、請求項22または23記載の方法。
【請求項35】
試料中の第2の種類の分析物の少なくとも70%が保持されない、請求項22または23記載の方法。
【請求項36】
捕獲部分が、ホロ-トランスフェリンまたは抗CD71、抗CD36、抗GPAもしくは抗CD45抗体、またはそれらの組み合わせを含む、請求項22または23記載の方法。
【請求項37】
捕獲部分が抗体、タンパク質、ペプチド、または核酸を含む、請求項24記載の方法。
【請求項38】
磁気相互作用によって磁気粒子が結合されている第2の領域の磁気障壁をさらに含み、第2の領域の該障壁に結合されている磁気粒子が、第3の種類の分析物に選択的に結合する捕獲部分でコーティングされている、請求項22または23記載の方法。
【請求項39】
第1の領域の障壁が、第2の領域の障壁に散在している、請求項38記載の方法。
【請求項40】
磁気障壁が永久磁石を含む、請求項22または23記載の方法。
【請求項41】
磁気障壁が非永久磁石を含む、請求項22または23記載の方法。
【請求項42】
装置が、磁気障壁に磁場を形成することができる磁力発生装置をさらに含む、請求項22または23記載の方法。
【請求項43】
磁場発生装置が、1つ以上の障壁に独立に磁場を適用することができる、請求項42記載の方法。
【請求項44】
障壁が二次元的配列で整列されている、請求項22または23記載の方法。
【請求項45】
標識部分と装置内に保持されている第1の種類の分析物を接触させる段階をさらに含む、請求項22または23記載の方法。
【請求項46】
磁気相互作用を妨害して、それによって障壁から第1の種類の分析物を放出する段階をさらに含む、請求項22または23記載の方法。
【請求項47】
チャネルが微小流動チャネルである、請求項22または23記載の方法。
【請求項48】
第1の種類の分析物が捕獲部分に特異的に結合される、請求項24記載の方法。
【請求項49】
候補薬化合物が磁気粒子に結合される、請求項24記載の方法。
【請求項50】
第1の種類の分析物が細胞であり、捕獲部分に結合している該第1の種類の細胞に対する候補薬化合物の影響を判定する段階をさらに含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
捕獲部分が細胞表面受容体を含む、請求項24記載の方法。
【請求項52】
試料が、細胞表面受容体の候補リガンドを含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
装置が、磁気相互作用によって障壁の少なくとも1つに結合されている第2の複数の磁気粒子をさらに含み、該磁気粒子が、第1の種類の分析物に結合することができる第2の捕獲部分でコーティングされている、請求項24記載の方法。
【請求項54】
段階(a)(ii)の複数の粒子および第2の複数の粒子が同じ障壁に配置されている、請求項53記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−533305(P2007−533305A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502005(P2007−502005)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/007058
【国際公開番号】WO2005/084374
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(501386533)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレーション (9)
【出願人】(506299869)リビング マイクロシステムズ (2)
【Fターム(参考)】