微小物品搬送装置
【課題】支持面上に載置された微小物品を正確に搬送することができるようにする。
【解決手段】固定部11と、微小物品を載置するための支持面16を備え、複数の軸方向において振動素子を介して前記固定部11と連結された搬送基板と、前記各振動素子に所定の電圧を印加し、前記微小物品を搬送する搬送処理手段と、前記搬送基板上の微小物品を拡大した状態で監視する監視装置33とを有する。この場合、前記各振動素子に所定の電圧が印加され、前記微小物品が搬送されるので、支持面16上に載置された微小物品を正確に搬送することができる。
【解決手段】固定部11と、微小物品を載置するための支持面16を備え、複数の軸方向において振動素子を介して前記固定部11と連結された搬送基板と、前記各振動素子に所定の電圧を印加し、前記微小物品を搬送する搬送処理手段と、前記搬送基板上の微小物品を拡大した状態で監視する監視装置33とを有する。この場合、前記各振動素子に所定の電圧が印加され、前記微小物品が搬送されるので、支持面16上に載置された微小物品を正確に搬送することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小物品搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被搬送物としての物品を微量だけ搬送するためにピエゾ素子を使用した移動ステージ装置においては、板状の物品が複数のピエゾ素子によって挟まれ、該各ピエゾ素子を駆動することによって、前記物品がx軸方向及びy軸方向に搬送されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−10058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の移動ステージ装置においては、各ピエゾ素子によって挟まれた物品を搬送することができるが、前記支持面上に置かれた、例えば、数十〜数百〔μm〕程度の寸法を有する極めて微小な(極小の)物品、すなわち、微小物品をx軸方向及びy軸方向に正確に搬送することができない。
【0004】
また、仮に微小部品を搬送しようとしても、微小部品を目視するのが困難であるので、微小部品の搬送状態を確認することができない。
【0005】
本発明は、前記従来の移動ステージ装置の問題点を解決して、支持面上に載置された微小物品を正確に搬送することができる微小物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の微小物品搬送装置においては、固定部と、微小物品を載置するための支持面を備え、複数の軸方向において振動素子を介して前記固定部と連結された搬送基板と、前記各振動素子に所定の電圧を印加し、前記微小物品を搬送する搬送処理手段と、前記搬送基板上の微小物品を拡大した状態で監視する監視装置とを有する。
【0007】
本発明の他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記搬送処理手段は、前記各振動素子に交流電圧を印加し、搬送基板に振動を発生させる粗動処理手段を備える。
【0008】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記搬送処理手段は、前記各振動素子に直流電圧を印加し、微小物品の位置決めを行う微動処理手段を備える。
【0009】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記監視装置は、拡大機能付きのカメラである。
【0010】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記各振動素子に前記電圧を印加するための電圧発生部が接続される。
【0011】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記監視装置によって撮影された微小物品の画像が送られ、該画像を表示する表示部を有する。
【0012】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記表示部に表示された画像を見ながら操作するためのジョイスティックを有する。
【0013】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記各振動素子に位相を反転させた交流電圧を印加するための反転部を有する。
【0014】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記支持面上に微小物品を所定の方向に移動させるための支持部が形成される。
【0015】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記支持面上の所定の位置に微小物品の位置決め用の治具が配設される。
【0016】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記搬送基板上に、固定部材によって取付部材が固定され、該取付部材上に微小物品が載置される。
【0017】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記搬送基板上に、微小物品を収容するための治具、及び前記微小物品の位置決めを行うための位置決め用の治具が配設される。
【0018】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記搬送基板は第1、第2のブロックを備える。そして、該第1、第2のブロックの支持面上に微小物品が載置される。
【0019】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、寸法又は形状が異なる複数の微小物品のうちの一つの微小物品だけを搬送する分離搬送処理手段を有する。
【0020】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記交流電圧を発生させる電圧発生部と、前記交流電圧の振幅及び位相を変更する振幅位相制御回路とを有する。
【0021】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記支持面の表面が粗面化される。
【0022】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記固定部は減圧された室内に配設される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、微小物品搬送装置においては、固定部と、微小物品を載置するための支持面を備え、複数の軸方向において振動素子を介して前記固定部と連結された搬送基板と、前記各振動素子に所定の電圧を印加し、前記微小物品を搬送する搬送処理手段と、前記搬送基板上の微小物品を拡大した状態で監視する監視装置とを有する。
【0024】
この場合、前記各振動素子に所定の電圧が印加され、前記微小物品が搬送されるので、支持面上に載置された微小物品を正確に搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の第1の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【0027】
図において、11は剛性の高い材料によって形成された固定部であり、該固定部11は、垂直方向に形成された第1の面12、該第1の面12に対して直角に、かつ、垂直方向に形成された第2の面13、及び前記第1、第2の面12、13に対して直角に、かつ、水平方向に形成された第3の面14を備え、第1〜第3の面12〜14によって直方体状の凹部15が形成される。
【0028】
該凹部15に、搬送基板としての振動ブロック17が、前記第1〜第3の面12〜14から離隔させて配設され、前記振動ブロック17と第1の面12との間に、第1の振動素子としてのピエゾ素子21が、前記振動ブロック17と第2の面13との間に、第2の振動素子としてのピエゾ素子22が、前記振動ブロック17と第3の面14との間に、第3の振動素子としてのピエゾ素子23が配設され、前記各ピエゾ素子21〜23によって振動ブロック17が固定部11に対して微小に移動自在に支持される。
【0029】
前記振動ブロック17は、直方体から成り、上面に水平な支持面16を備え、該支持面16は、被搬送物としての図示されない微小物品を支持し、かつ、第1の軸方向であるx軸方向及び第2の軸方向であるy軸方向に搬送するためのx−yステージを構成する。なお、本実施の形態において、前記微小物品は、数十〔μm〕〜数百〔μm〕程度の寸法を有するものを使用するようになっているが、それ以外の寸法を有するものを使用することもできる。
【0030】
ところで、前記ピエゾ素子21は電圧が印加されるのに伴って駆動され、x軸方向に伸縮し、ピエゾ素子22は電圧が印加されるのに伴って駆動され、y軸方向に伸縮し、ピエゾ素子23は電圧が印加されるのに伴って駆動され、第3の軸方向であるz軸方向に伸縮する。なお、前記第1、第2の軸方向によって水平軸方向が、第3の軸方向によって垂直軸方向が構成される。
【0031】
また、前記ピエゾ素子21は、増幅器25を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ26に、前記ピエゾ素子22は、増幅器27を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ28に、前記ピエゾ素子23は、増幅器29を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ30に接続され、ファンクションジェネレータ26、28、30は図示されない制御部に接続される。
【0032】
該制御部の搬送処理手段は、搬送処理を行い、ピエゾ素子21〜23に所定の電圧を印加することによって前記微小物品を搬送する。そのために、前記搬送処理手段の粗動処理手段は、粗動処理を行い、ファンクションジェネレータ26、28、30によって所定の振幅、周波数及び位相の正弦波の電圧、すなわち、交流電圧を発生させ、ピエゾ素子21〜23に印加すると、該ピエゾ素子21〜23はx軸方向、y軸方向及びz軸方向に伸縮し、振動ブロック17に数百〔nm〕〜数〔μm〕の振幅の、数百〔Hz〕〜数〔kHz〕の周波数の振動を発生させる。なお、前記ファンクションジェネレータ26、28、30は、各電圧を同期させて発生させることができるように設定されるか、又は一つの信号源を分岐したものを同期信号として使用して各電圧を同期させて発生させることができるように設定される。
【0033】
そして、x軸方向及びy軸方向の振動と、z軸方向の振動とで位相差を形成するとともに、x軸方向及びy軸方向の振動の振幅を適宜設定することによって、支持面16上に置かれた微小物品を、任意の方向に、かつ、所定の速度で搬送し、その結果、所定の位置に置くことができる。
【0034】
この場合、z軸方向の振動がピーク値に達するタイミングで微小物品が支持面16から浮くので、そのタイミングに合わせてx軸方向及びy軸方向に微小物品が大きく移動するように位相差が設定される。また、位相差を180〔°〕異ならせ、逆位相にすることによって、微小物品を前進させたり、後退させたりすることができる。
【0035】
前記支持面16の上方には、顕微鏡、カメラ等の監視装置33が配設され、該監視装置33によって微小物品の搬送を監視することができる。なお、前記監視装置33を構成するカメラとしては拡大機能付きのカメラが使用される。
【0036】
また、前記搬送処理手段の微動処理手段は、微動処理を行い、ファンクションジェネレータ26、28によって所定の値の電圧、すなわち、直流電圧を発生させ、ピエゾ素子21、22に印加すると、該ピエゾ素子21、22はx軸方向及びy軸方向に伸縮し、振動ブロック17は数十〔μm〕程度の観察域において、数百〔nm〕の分解能で移動し、その結果、例えば、前記粗動処理によって搬送された微小物品を任意の位置に位置決めしたり、微小物品の位置を変更したりすることができる。
【0037】
このように、ピエゾ素子21〜23を駆動することによって、支持面16上に置かれた微小物品を、任意の方向に、かつ、所定の速度で正確に搬送することができるだけでなく、任意の位置に位置決めしたり、微小物品の位置を変更したりすることができる。
【0038】
また、ピエゾ素子21〜23によって微小物品を直接搬送するのではなく、振動ブロック17を介して間接的に搬送するようになっているので、静電力等によって微小物品の挙動が不安定になることがない。したがって、微小物品を、精度良く搬送することができるだけでなく、精度良く位置決めしたり、微小物品の位置を精度良く変更したりすることができる。
【0039】
そして、振動ブロック17を絶対的に移動させる必要がないので、監視装置33の寸法に対する支持面16の寸法、微小物品の搬送範囲を大きくすることができる。
【0040】
さらに、粗動処理及び微動処理を、ファンクションジェネレータ26、28、30に印加する電圧を変更するだけで切り替えて行うことができるので、微小物品搬送装置を小型化することができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0042】
図2は本発明の第2の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【0043】
図において、35は制御部(パソコン)、36はディスプレイ等によって構成される表示部、37は操作部としてのジョイスティックである。
【0044】
この場合、監視装置33によって撮影された被搬送物としての微小物品の画像が表示部36に送られ、操作者は、表示部36に表示された画像を見ながらジョイスティック37を操作し、微小物品を搬送したり、位置決めしたり、微小物品の位置を変更したりすることができる。
【0045】
この場合、前記粗動処理手段は、ジョイスティック37を傾けた方向、すなわち、傾斜方向及び傾斜角を読み込み、傾斜方向に基づいて位相差を変更し、傾斜角に基づいて振幅を変化させる。なお、前記傾斜方向に基づいて、x軸方向及びy軸方向の振動の振幅比を変化させることもできる。また、前記微動処理手段は、傾斜角を読み込み、傾斜角に基づいて直流電圧の値を変化させる。
【0046】
このように、本実施の形態においては、表示部36に表示された画像を見ながらジョイスティック37を操作することができるので、微小物品搬送装置の操作性を向上させることができる。
【0047】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0048】
図3は本発明の第3の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【0049】
この場合、第1の振動素子としてのピエゾ素子21a、21bは電圧が印加されるのに伴って駆動され、x軸方向に伸縮し、第2の振動素子としてのピエゾ素子22a、22bは電圧が印加されるのに伴って駆動され、y軸方向に伸縮し、第3の振動素子としてのピエゾ素子23は電圧が印加されるのに伴って駆動され、z軸方向に伸縮する。また、前記ピエゾ素子21aは、増幅器25aを介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ26に、前記ピエゾ素子21bは、増幅器25b及び反転部38を介してファンクションジェネレータ26に、前記ピエゾ素子22aは、増幅器27aを介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ28に、前記ピエゾ素子22bは、増幅器27b及び反転部39を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ28に、前記ピエゾ素子23は、増幅器29を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ30に接続され、ファンクションジェネレータ26、28、30は制御部35(図2)に接続される。
【0050】
前記反転部38は、スイッチSw1及び位相反転回路41を備え、スイッチSw1を第1の切替位置に置くことによって、増幅器25bとファンクションジェネレータ26とを直接接続し、スイッチSw1を第2の切替位置に置くことによって、増幅器25bとファンクションジェネレータ26とを、位相反転回路41を介して接続する。また、前記反転部39は、スイッチSw2及び位相反転回路42を備え、スイッチSw2を第1の切替位置に置くことによって、増幅器27bと増幅器28とを直接接続し、スイッチSw2を第2の切替位置に置くことによって、増幅器27bと増幅器28とを、位相反転回路42を介して接続する。
【0051】
前記粗動処理手段の直進搬送処理手段は、直進搬送処理を行い、スイッチSw1を第1の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ26によってピエゾ素子21a、21bに交流電圧を印加すると、微小物品をx軸方向に搬送することができ、スイッチSw2を第1の切替位置に置き、増幅器28によってピエゾ素子22a、22bに交流電圧を印加すると、微小物品をy軸方向に搬送することができる。また、前記粗動処理手段の回転搬送処理手段は、回転搬送処理を行い、スイッチSw1を第2の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ26によってピエゾ素子21a、21bに、互いに位相を反転させた交流電圧を印加すると、微小物品をz軸を中心にして回転させることができる。同様に、前記回転搬送処理手段は、スイッチSw2を第2の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ28によってピエゾ素子22a、22bに、互いに位相を反転させた交流電圧を印加すると、微小物品をz軸を中心にして回転させることができる。
【0052】
さらに、前記粗動処理手段の直進回転搬送処理手段は、直進回転搬送処理を行い、スイッチSw1を第1の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ26によってピエゾ素子21a、21bに交流電圧を印加し、スイッチSw2を第2の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ28によってピエゾ素子22a、22bに、互いに位相を反転させた交流電圧を印加すると、微小物品をz軸を中心にして回転させながら、x軸方向に搬送することができる。
【0053】
また、前記直進回転搬送処理手段は、スイッチSw1を第2の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ26によってピエゾ素子21a、21bに、互いに位相を反転させた交流電圧を印加し、スイッチSw2を第1の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ28によってピエゾ素子22a、22bに交流電圧を印加すると、微小物品をz軸を中心にして回転させながら、y軸方向に搬送することができる。
【0054】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0055】
図4は本発明の第4の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【0056】
図において、支持面16に支持部としてのV溝45が形成され、該V溝45に数十〔μm〕〜数百〔μm〕程度の被搬送物としての、円柱状の微小物品46が載置される。前記V溝45の軸はx軸と平行に設定される。
【0057】
ところで、第1の振動素子としてのピエゾ素子21は電圧が印加されるのに伴って駆動され、x軸方向に伸縮し、第2の振動素子としてのピエゾ素子23a、23bは電圧が印加されるのに伴って駆動され、z軸方向に伸縮する。
【0058】
また、前記ピエゾ素子21は、増幅器25を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ26に、前記ピエゾ素子23aは、増幅器29aを介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ30aに接続され、前記ピエゾ素子23bは、増幅器29bを介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ30bに接続され、ファンクションジェネレータ26、30a、30bは制御部35(図2)に接続される。
【0059】
前記粗動処理手段の直進搬送処理手段は、ファンクションジェネレータ26によってピエゾ素子21に交流電圧を印加すると、微小物品46をV溝45に沿ってx軸方向に搬送することができる。
【0060】
前記粗動処理手段の回転搬送処理手段は、ファンクションジェネレータ30a、30bによってピエゾ素子23a、23bに、互いに位相を反転させた交流電圧を印加すると、微小物品46をx軸を中心にして回転させることができる。
【0061】
このとき、搬送基板としての振動ブロック17に数百〔Hz〕〜数〔kHz〕の周波数、及び数百〔nm〕〜数〔μm〕の振幅で振動が発生させられ、微小物品46を軸周りに任意の角度にわたり、任意の角速度で回転させることができる。
【0062】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0063】
図5は本発明の第5の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【0064】
この場合、支持面16上の所定の位置に位置決め用の治具49、50が取り付けられ、該治具49、50に被搬送物としての微小物品48が押し付けられる。したがって、微小物品48を治具49、50の形状に基づいて、所定の方向に向けて、かつ、所定の位置に位置決めすることができる。
【0065】
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0066】
図6は本発明の第6の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【0067】
この場合、搬送基板としての振動ブロック17上に取付部材としての基板51が、固定部材としてのクリップ52、53によって固定され、基板51上に被搬送物としての微小物品48が載置される。
【0068】
本実施の形態においては、基板51が振動ブロック17に取り付けられるので、基板51に発生させられた振動を振動ブロック17に伝達することができる。
【0069】
したがって、微小物品48を基板51上の所定の位置に搬送し、基板51に組み込むことができる。
【0070】
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0071】
図7は本発明の第7の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【0072】
図において、54は被搬送物としての微小物品48を収容するための治具、55は位置決め用の治具であり、振動ブロック17に振動を発生させることによって、治具54内に収容された微小物品48を一つずつ取り出して、搬送し、治具55に当接させて位置決めを行うことができる。
【0073】
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。
【0074】
図8は本発明の第8の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【0075】
この場合、固定部11は、垂直方向に形成された第1の面12、該第1の面12に対して直角に、かつ、垂直方向に形成された第2の面13、第1、第2の面12、13に対して直角に、かつ、水平方向に形成された第3の面14、及び前記第2の面13に対して直角に、かつ、垂直方向に形成された第4の面18を備え、第1〜第4の面12〜14、18によって直方体状の凹部15が形成される。該凹部15に、第1、第2のブロック17a、17bから成る搬送基板としての振動ブロック17が、前記第1〜第4の面12〜14、18から離隔させて配設され、第1のブロック17aと第1の面12との間に、第1の振動素子としてのピエゾ素子21aが、第2のブロック17bと第4の面18との間に、第1の振動素子としてのピエゾ素子21cが、第1のブロック17aと第2の面13との間に、第2の振動素子としてのピエゾ素子22が、前記第1のブロック17aと第3の面14との間に、第3の振動素子としてのピエゾ素子23aが、前記第2のブロック17bと第3の面14との間に、第3の振動素子としてのピエゾ素子23b、23cが配設され、前記ピエゾ素子21a、21c、22、23a〜23cによって第1、第2のブロック17a、17bが固定部11に対して微小に移動自在に支持される。
【0076】
前記第1、第2のブロック17a、17bは、いずれも、直方体から成り、上面に水平な支持面16a、16bを備え、該支持面16aは、被搬送物としての微小物品56を支持し、支持面16bには、支持部としてのV溝45が形成され、該V溝45に被搬送物としての、円柱状の微小物品46が載置される。前記V溝45の軸はx軸と平行に設定される。
【0077】
この場合、微小物品46、56を相対的に移動させて、微小物品46、56を互いに組み付けたり、微小物品56に形成された穴内に微小物品46を挿入したりすることができる。
【0078】
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0079】
図9は本発明の第9の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【0080】
この場合、61、62は、数十〔μm〕〜数百〔μm〕程度の寸法を有し、互いに寸法又は形状が異なる被搬送物としての微小物品である。
【0081】
ピエゾ素子21a、21b、22a、22b、23等を伸縮させ、搬送基板としての振動ブロック17を振動させたときに、微小物品61、62が移動を開始する最小の振幅は、61、62の寸法又は形状の差によって、すなわち、微小物品61、62と支持面16との接触面積によって異なる。
【0082】
そこで、前記粗動処理手段の分離搬送処理手段は、分離搬送処理を行い、微小物品61、62が移動を開始する最小の振幅がq1、q2 である場合、ピエゾ素子21a、21b、22a、22b、23等に印加される電圧の振幅qaを、
q1<qa<q2
にする。したがって、微小物品61、62のうちの微小物品61だけを搬送することができる。
【0083】
次に、操作部としてのジョイスティック37を操作することによって、振幅及び位相の制御を行うことができるようにした本発明の第10の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0084】
図10は本発明の第10の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図、図11は本発明の第10の実施の形態におけるファンクションジェネレータ及び振幅位相制御回路の要部を示す図である。
【0085】
図において、65は電圧発生部としてのファンクションジェネレータ、66は振幅位相制御回路であり、粗動処理において、ファンクションジェネレータ65によって発生させられた交流電圧は、振幅位相制御回路66において振幅及び位相が変更され、第1、第2の交流電圧となり、第1の交流電圧は増幅器25を介して第1の振動素子としてのピエゾ素子21に、第2の交流電圧は増幅器27を介して第2の振動素子としてのピエゾ素子22に印加される。なお、第3の振動素子としてのピエゾ素子23には、ファンクションジェネレータ65によって発生させられた交流電圧が第3の交流電圧として直接印加される。
【0086】
前記振幅位相制御回路66は、図11に示されるように、第1、第2の制御回路71、72を備え、各第1、第2の制御回路71、72に、共通のファンクションジェネレータ65が接続されるとともに、第1の制御回路71に増幅器25が、第2の制御回路72に増幅器27が接続される。
【0087】
第1の制御回路71は、ピエゾ素子21に印加される交流電圧の振幅及び位相を制御するためのものであり、操作部としてのジョイスティック37を操作して、所定の傾斜方向及び傾斜角で傾けたときの第1の方向の(x軸方向)の成分によって、振幅及び位相を設定する振幅位相設定部74、該振幅位相設定部74によって設定された電圧を反転端子(−)及び非反転端子(+)に受けて、所定の信号を発生させる差動増幅回路部75、増幅率を変更するための増幅回路部76、及びオフセットを調整するためのオフセット調整回路部77を備える。
【0088】
また、前記第2の制御回路72は、ピエゾ素子22に印加される交流電圧の振幅及び位相を制御するためのものであり、前記ジョイスティック37を操作して、所定の傾斜方向及び傾斜角で傾けたときの第2の方向の(y軸方向)の成分によって、振幅及び位相を設定する振幅位相設定部74、該振幅位相設定部74によって設定された電圧を反転端子(−)及び非反転端子(+)に受けて、所定の信号を発生させる差動増幅回路部75、増幅率を変更するための増幅回路部76、及びオフセットを調整するためのオフセット調整回路部77を備える。
【0089】
前記第1の制御回路71の振幅位相制御部74は、前記傾斜角の第1の方向の成分に応じて抵抗値を変化させる可変抵抗R1、及び前記傾斜方向の第1の方向の成分に応じて抵抗値を変化させる可変抵抗R2を備え、前記第2の制御回路72の振幅位相制御部74は、前記傾斜角の第2の方向の成分に応じて抵抗値を変化させる可変抵抗R1、及び前記傾斜方向の第2の方向の成分に応じて抵抗値を変化させる可変抵抗R2を備える。この場合、可変抵抗R1、R2の抵抗値が変更されると、各抵抗値の差に応じて振幅及び位相が変更される。
【0090】
また、前記各差動増幅回路部75は、オペアンプOP1、該オペアンプOP1の反転端子に接続された抵抗R3、R5、及びオペアンプOP1の非反転端子に接続された抵抗R4、R6を備え、前記可変抵抗R1の端子電圧が抵抗R3で降下させられてオペアンプOP1の反転端子に、前記可変抵抗R2の端子電圧が抵抗R4、R6で分圧されてオペアンプOP1の非反転端子に入力される。
【0091】
そして、前記各増幅回路部76は、オペアンプOP2、及び該オペアンプOP2の反転端子に接続された可変抵抗R7を備え、前記オペアンプOP1の出力電圧がオペアンプOP2の非反転端子に入力される。したがって、可変抵抗R7の端子電圧に応じて増幅率を変更することができる。
【0092】
また、前記各オフセット調整回路部77は、オペアンプOP3、該オペアンプOP3の反転端子に接続された抵抗R8、R10、及びオペアンプOP3の非反転端子に接続された抵抗R9、R12及び可変抵抗R11を備える。したがって、可変抵抗R11の端子電圧に応じてオフセットを調整することができる。
【0093】
このように、本実施の形態においては、ジョイスティック37を操作することによって、ピエゾ素子21〜23に交流電圧が印加され、交流電圧の振幅及び位相を制御することができる。
【0094】
また、本実施の形態においては、一つのファンクションジェネレータ65を配設するだけで、ピエゾ素子21〜23に交流電圧を印加することができるので、微小物品搬送装置を簡素化することができる。
【0095】
ところで、支持面16上に載置された微小物品と支持面16との接触面積が大きいと、雰囲気中の水分の影響を受けやすくなり、微小物品が支持面16に付着する付着力が大きくなって、微小物品を円滑に搬送することができなくなる。
【0096】
そこで、前記各実施の形態において、支持面16の表面がエッチング処理によって粗面化され、微小な凹凸が形成される。したがって、微小部品46、48、56、61、62と支持面16との接触面積が小さくなり、微小物品46、48、56、61、62が支持面16に付着する付着力を小さくすることができ、微小物品46、48、56、61、62を円滑に搬送することができる。そして、支持面16の表面に微小な凹凸が形成されるので、微小物品46、48、56、61、62と支持面16との接触面の側面から大気が内部へ入り込みやすくなり、微小物品46、48、56、61、62の垂直方向における運動を開始しやすくなる。
【0097】
また、固定部11を密閉された室内に配設し、該室内を減圧すると、室内に含まれる水分を少なくすることができる。したがって、微小物品46、48、56、61、62が支持面16に付着する付着力を小さくすることができるので、微小物品46、48、56、61、62を更に円滑に搬送することができる。
【0098】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図7】本発明の第7の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図8】本発明の第8の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図9】本発明の第9の実施の形態における物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図10】本発明の第10の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【図11】本発明の第10の実施の形態におけるファンクションジェネレータ及び振幅位相制御回路の要部を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
11 固定部
16、16a、16b 支持面
17 振動ブロック
21、21a〜21c、22、22a、22b、23、23a〜23c ピエゾ素子
33 監視装置
35 制御部
46、48、56、61、62 微小物品
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小物品搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被搬送物としての物品を微量だけ搬送するためにピエゾ素子を使用した移動ステージ装置においては、板状の物品が複数のピエゾ素子によって挟まれ、該各ピエゾ素子を駆動することによって、前記物品がx軸方向及びy軸方向に搬送されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−10058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の移動ステージ装置においては、各ピエゾ素子によって挟まれた物品を搬送することができるが、前記支持面上に置かれた、例えば、数十〜数百〔μm〕程度の寸法を有する極めて微小な(極小の)物品、すなわち、微小物品をx軸方向及びy軸方向に正確に搬送することができない。
【0004】
また、仮に微小部品を搬送しようとしても、微小部品を目視するのが困難であるので、微小部品の搬送状態を確認することができない。
【0005】
本発明は、前記従来の移動ステージ装置の問題点を解決して、支持面上に載置された微小物品を正確に搬送することができる微小物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の微小物品搬送装置においては、固定部と、微小物品を載置するための支持面を備え、複数の軸方向において振動素子を介して前記固定部と連結された搬送基板と、前記各振動素子に所定の電圧を印加し、前記微小物品を搬送する搬送処理手段と、前記搬送基板上の微小物品を拡大した状態で監視する監視装置とを有する。
【0007】
本発明の他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記搬送処理手段は、前記各振動素子に交流電圧を印加し、搬送基板に振動を発生させる粗動処理手段を備える。
【0008】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記搬送処理手段は、前記各振動素子に直流電圧を印加し、微小物品の位置決めを行う微動処理手段を備える。
【0009】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記監視装置は、拡大機能付きのカメラである。
【0010】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記各振動素子に前記電圧を印加するための電圧発生部が接続される。
【0011】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記監視装置によって撮影された微小物品の画像が送られ、該画像を表示する表示部を有する。
【0012】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記表示部に表示された画像を見ながら操作するためのジョイスティックを有する。
【0013】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記各振動素子に位相を反転させた交流電圧を印加するための反転部を有する。
【0014】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記支持面上に微小物品を所定の方向に移動させるための支持部が形成される。
【0015】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記支持面上の所定の位置に微小物品の位置決め用の治具が配設される。
【0016】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記搬送基板上に、固定部材によって取付部材が固定され、該取付部材上に微小物品が載置される。
【0017】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記搬送基板上に、微小物品を収容するための治具、及び前記微小物品の位置決めを行うための位置決め用の治具が配設される。
【0018】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記搬送基板は第1、第2のブロックを備える。そして、該第1、第2のブロックの支持面上に微小物品が載置される。
【0019】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、寸法又は形状が異なる複数の微小物品のうちの一つの微小物品だけを搬送する分離搬送処理手段を有する。
【0020】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記交流電圧を発生させる電圧発生部と、前記交流電圧の振幅及び位相を変更する振幅位相制御回路とを有する。
【0021】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記支持面の表面が粗面化される。
【0022】
本発明の更に他の微小物品搬送装置においては、さらに、前記固定部は減圧された室内に配設される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、微小物品搬送装置においては、固定部と、微小物品を載置するための支持面を備え、複数の軸方向において振動素子を介して前記固定部と連結された搬送基板と、前記各振動素子に所定の電圧を印加し、前記微小物品を搬送する搬送処理手段と、前記搬送基板上の微小物品を拡大した状態で監視する監視装置とを有する。
【0024】
この場合、前記各振動素子に所定の電圧が印加され、前記微小物品が搬送されるので、支持面上に載置された微小物品を正確に搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の第1の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【0027】
図において、11は剛性の高い材料によって形成された固定部であり、該固定部11は、垂直方向に形成された第1の面12、該第1の面12に対して直角に、かつ、垂直方向に形成された第2の面13、及び前記第1、第2の面12、13に対して直角に、かつ、水平方向に形成された第3の面14を備え、第1〜第3の面12〜14によって直方体状の凹部15が形成される。
【0028】
該凹部15に、搬送基板としての振動ブロック17が、前記第1〜第3の面12〜14から離隔させて配設され、前記振動ブロック17と第1の面12との間に、第1の振動素子としてのピエゾ素子21が、前記振動ブロック17と第2の面13との間に、第2の振動素子としてのピエゾ素子22が、前記振動ブロック17と第3の面14との間に、第3の振動素子としてのピエゾ素子23が配設され、前記各ピエゾ素子21〜23によって振動ブロック17が固定部11に対して微小に移動自在に支持される。
【0029】
前記振動ブロック17は、直方体から成り、上面に水平な支持面16を備え、該支持面16は、被搬送物としての図示されない微小物品を支持し、かつ、第1の軸方向であるx軸方向及び第2の軸方向であるy軸方向に搬送するためのx−yステージを構成する。なお、本実施の形態において、前記微小物品は、数十〔μm〕〜数百〔μm〕程度の寸法を有するものを使用するようになっているが、それ以外の寸法を有するものを使用することもできる。
【0030】
ところで、前記ピエゾ素子21は電圧が印加されるのに伴って駆動され、x軸方向に伸縮し、ピエゾ素子22は電圧が印加されるのに伴って駆動され、y軸方向に伸縮し、ピエゾ素子23は電圧が印加されるのに伴って駆動され、第3の軸方向であるz軸方向に伸縮する。なお、前記第1、第2の軸方向によって水平軸方向が、第3の軸方向によって垂直軸方向が構成される。
【0031】
また、前記ピエゾ素子21は、増幅器25を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ26に、前記ピエゾ素子22は、増幅器27を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ28に、前記ピエゾ素子23は、増幅器29を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ30に接続され、ファンクションジェネレータ26、28、30は図示されない制御部に接続される。
【0032】
該制御部の搬送処理手段は、搬送処理を行い、ピエゾ素子21〜23に所定の電圧を印加することによって前記微小物品を搬送する。そのために、前記搬送処理手段の粗動処理手段は、粗動処理を行い、ファンクションジェネレータ26、28、30によって所定の振幅、周波数及び位相の正弦波の電圧、すなわち、交流電圧を発生させ、ピエゾ素子21〜23に印加すると、該ピエゾ素子21〜23はx軸方向、y軸方向及びz軸方向に伸縮し、振動ブロック17に数百〔nm〕〜数〔μm〕の振幅の、数百〔Hz〕〜数〔kHz〕の周波数の振動を発生させる。なお、前記ファンクションジェネレータ26、28、30は、各電圧を同期させて発生させることができるように設定されるか、又は一つの信号源を分岐したものを同期信号として使用して各電圧を同期させて発生させることができるように設定される。
【0033】
そして、x軸方向及びy軸方向の振動と、z軸方向の振動とで位相差を形成するとともに、x軸方向及びy軸方向の振動の振幅を適宜設定することによって、支持面16上に置かれた微小物品を、任意の方向に、かつ、所定の速度で搬送し、その結果、所定の位置に置くことができる。
【0034】
この場合、z軸方向の振動がピーク値に達するタイミングで微小物品が支持面16から浮くので、そのタイミングに合わせてx軸方向及びy軸方向に微小物品が大きく移動するように位相差が設定される。また、位相差を180〔°〕異ならせ、逆位相にすることによって、微小物品を前進させたり、後退させたりすることができる。
【0035】
前記支持面16の上方には、顕微鏡、カメラ等の監視装置33が配設され、該監視装置33によって微小物品の搬送を監視することができる。なお、前記監視装置33を構成するカメラとしては拡大機能付きのカメラが使用される。
【0036】
また、前記搬送処理手段の微動処理手段は、微動処理を行い、ファンクションジェネレータ26、28によって所定の値の電圧、すなわち、直流電圧を発生させ、ピエゾ素子21、22に印加すると、該ピエゾ素子21、22はx軸方向及びy軸方向に伸縮し、振動ブロック17は数十〔μm〕程度の観察域において、数百〔nm〕の分解能で移動し、その結果、例えば、前記粗動処理によって搬送された微小物品を任意の位置に位置決めしたり、微小物品の位置を変更したりすることができる。
【0037】
このように、ピエゾ素子21〜23を駆動することによって、支持面16上に置かれた微小物品を、任意の方向に、かつ、所定の速度で正確に搬送することができるだけでなく、任意の位置に位置決めしたり、微小物品の位置を変更したりすることができる。
【0038】
また、ピエゾ素子21〜23によって微小物品を直接搬送するのではなく、振動ブロック17を介して間接的に搬送するようになっているので、静電力等によって微小物品の挙動が不安定になることがない。したがって、微小物品を、精度良く搬送することができるだけでなく、精度良く位置決めしたり、微小物品の位置を精度良く変更したりすることができる。
【0039】
そして、振動ブロック17を絶対的に移動させる必要がないので、監視装置33の寸法に対する支持面16の寸法、微小物品の搬送範囲を大きくすることができる。
【0040】
さらに、粗動処理及び微動処理を、ファンクションジェネレータ26、28、30に印加する電圧を変更するだけで切り替えて行うことができるので、微小物品搬送装置を小型化することができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0042】
図2は本発明の第2の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【0043】
図において、35は制御部(パソコン)、36はディスプレイ等によって構成される表示部、37は操作部としてのジョイスティックである。
【0044】
この場合、監視装置33によって撮影された被搬送物としての微小物品の画像が表示部36に送られ、操作者は、表示部36に表示された画像を見ながらジョイスティック37を操作し、微小物品を搬送したり、位置決めしたり、微小物品の位置を変更したりすることができる。
【0045】
この場合、前記粗動処理手段は、ジョイスティック37を傾けた方向、すなわち、傾斜方向及び傾斜角を読み込み、傾斜方向に基づいて位相差を変更し、傾斜角に基づいて振幅を変化させる。なお、前記傾斜方向に基づいて、x軸方向及びy軸方向の振動の振幅比を変化させることもできる。また、前記微動処理手段は、傾斜角を読み込み、傾斜角に基づいて直流電圧の値を変化させる。
【0046】
このように、本実施の形態においては、表示部36に表示された画像を見ながらジョイスティック37を操作することができるので、微小物品搬送装置の操作性を向上させることができる。
【0047】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0048】
図3は本発明の第3の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【0049】
この場合、第1の振動素子としてのピエゾ素子21a、21bは電圧が印加されるのに伴って駆動され、x軸方向に伸縮し、第2の振動素子としてのピエゾ素子22a、22bは電圧が印加されるのに伴って駆動され、y軸方向に伸縮し、第3の振動素子としてのピエゾ素子23は電圧が印加されるのに伴って駆動され、z軸方向に伸縮する。また、前記ピエゾ素子21aは、増幅器25aを介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ26に、前記ピエゾ素子21bは、増幅器25b及び反転部38を介してファンクションジェネレータ26に、前記ピエゾ素子22aは、増幅器27aを介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ28に、前記ピエゾ素子22bは、増幅器27b及び反転部39を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ28に、前記ピエゾ素子23は、増幅器29を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ30に接続され、ファンクションジェネレータ26、28、30は制御部35(図2)に接続される。
【0050】
前記反転部38は、スイッチSw1及び位相反転回路41を備え、スイッチSw1を第1の切替位置に置くことによって、増幅器25bとファンクションジェネレータ26とを直接接続し、スイッチSw1を第2の切替位置に置くことによって、増幅器25bとファンクションジェネレータ26とを、位相反転回路41を介して接続する。また、前記反転部39は、スイッチSw2及び位相反転回路42を備え、スイッチSw2を第1の切替位置に置くことによって、増幅器27bと増幅器28とを直接接続し、スイッチSw2を第2の切替位置に置くことによって、増幅器27bと増幅器28とを、位相反転回路42を介して接続する。
【0051】
前記粗動処理手段の直進搬送処理手段は、直進搬送処理を行い、スイッチSw1を第1の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ26によってピエゾ素子21a、21bに交流電圧を印加すると、微小物品をx軸方向に搬送することができ、スイッチSw2を第1の切替位置に置き、増幅器28によってピエゾ素子22a、22bに交流電圧を印加すると、微小物品をy軸方向に搬送することができる。また、前記粗動処理手段の回転搬送処理手段は、回転搬送処理を行い、スイッチSw1を第2の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ26によってピエゾ素子21a、21bに、互いに位相を反転させた交流電圧を印加すると、微小物品をz軸を中心にして回転させることができる。同様に、前記回転搬送処理手段は、スイッチSw2を第2の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ28によってピエゾ素子22a、22bに、互いに位相を反転させた交流電圧を印加すると、微小物品をz軸を中心にして回転させることができる。
【0052】
さらに、前記粗動処理手段の直進回転搬送処理手段は、直進回転搬送処理を行い、スイッチSw1を第1の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ26によってピエゾ素子21a、21bに交流電圧を印加し、スイッチSw2を第2の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ28によってピエゾ素子22a、22bに、互いに位相を反転させた交流電圧を印加すると、微小物品をz軸を中心にして回転させながら、x軸方向に搬送することができる。
【0053】
また、前記直進回転搬送処理手段は、スイッチSw1を第2の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ26によってピエゾ素子21a、21bに、互いに位相を反転させた交流電圧を印加し、スイッチSw2を第1の切替位置に置き、ファンクションジェネレータ28によってピエゾ素子22a、22bに交流電圧を印加すると、微小物品をz軸を中心にして回転させながら、y軸方向に搬送することができる。
【0054】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0055】
図4は本発明の第4の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【0056】
図において、支持面16に支持部としてのV溝45が形成され、該V溝45に数十〔μm〕〜数百〔μm〕程度の被搬送物としての、円柱状の微小物品46が載置される。前記V溝45の軸はx軸と平行に設定される。
【0057】
ところで、第1の振動素子としてのピエゾ素子21は電圧が印加されるのに伴って駆動され、x軸方向に伸縮し、第2の振動素子としてのピエゾ素子23a、23bは電圧が印加されるのに伴って駆動され、z軸方向に伸縮する。
【0058】
また、前記ピエゾ素子21は、増幅器25を介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ26に、前記ピエゾ素子23aは、増幅器29aを介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ30aに接続され、前記ピエゾ素子23bは、増幅器29bを介して電圧発生部としてのファンクションジェネレータ30bに接続され、ファンクションジェネレータ26、30a、30bは制御部35(図2)に接続される。
【0059】
前記粗動処理手段の直進搬送処理手段は、ファンクションジェネレータ26によってピエゾ素子21に交流電圧を印加すると、微小物品46をV溝45に沿ってx軸方向に搬送することができる。
【0060】
前記粗動処理手段の回転搬送処理手段は、ファンクションジェネレータ30a、30bによってピエゾ素子23a、23bに、互いに位相を反転させた交流電圧を印加すると、微小物品46をx軸を中心にして回転させることができる。
【0061】
このとき、搬送基板としての振動ブロック17に数百〔Hz〕〜数〔kHz〕の周波数、及び数百〔nm〕〜数〔μm〕の振幅で振動が発生させられ、微小物品46を軸周りに任意の角度にわたり、任意の角速度で回転させることができる。
【0062】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0063】
図5は本発明の第5の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【0064】
この場合、支持面16上の所定の位置に位置決め用の治具49、50が取り付けられ、該治具49、50に被搬送物としての微小物品48が押し付けられる。したがって、微小物品48を治具49、50の形状に基づいて、所定の方向に向けて、かつ、所定の位置に位置決めすることができる。
【0065】
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0066】
図6は本発明の第6の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【0067】
この場合、搬送基板としての振動ブロック17上に取付部材としての基板51が、固定部材としてのクリップ52、53によって固定され、基板51上に被搬送物としての微小物品48が載置される。
【0068】
本実施の形態においては、基板51が振動ブロック17に取り付けられるので、基板51に発生させられた振動を振動ブロック17に伝達することができる。
【0069】
したがって、微小物品48を基板51上の所定の位置に搬送し、基板51に組み込むことができる。
【0070】
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0071】
図7は本発明の第7の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【0072】
図において、54は被搬送物としての微小物品48を収容するための治具、55は位置決め用の治具であり、振動ブロック17に振動を発生させることによって、治具54内に収容された微小物品48を一つずつ取り出して、搬送し、治具55に当接させて位置決めを行うことができる。
【0073】
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。
【0074】
図8は本発明の第8の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【0075】
この場合、固定部11は、垂直方向に形成された第1の面12、該第1の面12に対して直角に、かつ、垂直方向に形成された第2の面13、第1、第2の面12、13に対して直角に、かつ、水平方向に形成された第3の面14、及び前記第2の面13に対して直角に、かつ、垂直方向に形成された第4の面18を備え、第1〜第4の面12〜14、18によって直方体状の凹部15が形成される。該凹部15に、第1、第2のブロック17a、17bから成る搬送基板としての振動ブロック17が、前記第1〜第4の面12〜14、18から離隔させて配設され、第1のブロック17aと第1の面12との間に、第1の振動素子としてのピエゾ素子21aが、第2のブロック17bと第4の面18との間に、第1の振動素子としてのピエゾ素子21cが、第1のブロック17aと第2の面13との間に、第2の振動素子としてのピエゾ素子22が、前記第1のブロック17aと第3の面14との間に、第3の振動素子としてのピエゾ素子23aが、前記第2のブロック17bと第3の面14との間に、第3の振動素子としてのピエゾ素子23b、23cが配設され、前記ピエゾ素子21a、21c、22、23a〜23cによって第1、第2のブロック17a、17bが固定部11に対して微小に移動自在に支持される。
【0076】
前記第1、第2のブロック17a、17bは、いずれも、直方体から成り、上面に水平な支持面16a、16bを備え、該支持面16aは、被搬送物としての微小物品56を支持し、支持面16bには、支持部としてのV溝45が形成され、該V溝45に被搬送物としての、円柱状の微小物品46が載置される。前記V溝45の軸はx軸と平行に設定される。
【0077】
この場合、微小物品46、56を相対的に移動させて、微小物品46、56を互いに組み付けたり、微小物品56に形成された穴内に微小物品46を挿入したりすることができる。
【0078】
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0079】
図9は本発明の第9の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【0080】
この場合、61、62は、数十〔μm〕〜数百〔μm〕程度の寸法を有し、互いに寸法又は形状が異なる被搬送物としての微小物品である。
【0081】
ピエゾ素子21a、21b、22a、22b、23等を伸縮させ、搬送基板としての振動ブロック17を振動させたときに、微小物品61、62が移動を開始する最小の振幅は、61、62の寸法又は形状の差によって、すなわち、微小物品61、62と支持面16との接触面積によって異なる。
【0082】
そこで、前記粗動処理手段の分離搬送処理手段は、分離搬送処理を行い、微小物品61、62が移動を開始する最小の振幅がq1、q2 である場合、ピエゾ素子21a、21b、22a、22b、23等に印加される電圧の振幅qaを、
q1<qa<q2
にする。したがって、微小物品61、62のうちの微小物品61だけを搬送することができる。
【0083】
次に、操作部としてのジョイスティック37を操作することによって、振幅及び位相の制御を行うことができるようにした本発明の第10の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0084】
図10は本発明の第10の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図、図11は本発明の第10の実施の形態におけるファンクションジェネレータ及び振幅位相制御回路の要部を示す図である。
【0085】
図において、65は電圧発生部としてのファンクションジェネレータ、66は振幅位相制御回路であり、粗動処理において、ファンクションジェネレータ65によって発生させられた交流電圧は、振幅位相制御回路66において振幅及び位相が変更され、第1、第2の交流電圧となり、第1の交流電圧は増幅器25を介して第1の振動素子としてのピエゾ素子21に、第2の交流電圧は増幅器27を介して第2の振動素子としてのピエゾ素子22に印加される。なお、第3の振動素子としてのピエゾ素子23には、ファンクションジェネレータ65によって発生させられた交流電圧が第3の交流電圧として直接印加される。
【0086】
前記振幅位相制御回路66は、図11に示されるように、第1、第2の制御回路71、72を備え、各第1、第2の制御回路71、72に、共通のファンクションジェネレータ65が接続されるとともに、第1の制御回路71に増幅器25が、第2の制御回路72に増幅器27が接続される。
【0087】
第1の制御回路71は、ピエゾ素子21に印加される交流電圧の振幅及び位相を制御するためのものであり、操作部としてのジョイスティック37を操作して、所定の傾斜方向及び傾斜角で傾けたときの第1の方向の(x軸方向)の成分によって、振幅及び位相を設定する振幅位相設定部74、該振幅位相設定部74によって設定された電圧を反転端子(−)及び非反転端子(+)に受けて、所定の信号を発生させる差動増幅回路部75、増幅率を変更するための増幅回路部76、及びオフセットを調整するためのオフセット調整回路部77を備える。
【0088】
また、前記第2の制御回路72は、ピエゾ素子22に印加される交流電圧の振幅及び位相を制御するためのものであり、前記ジョイスティック37を操作して、所定の傾斜方向及び傾斜角で傾けたときの第2の方向の(y軸方向)の成分によって、振幅及び位相を設定する振幅位相設定部74、該振幅位相設定部74によって設定された電圧を反転端子(−)及び非反転端子(+)に受けて、所定の信号を発生させる差動増幅回路部75、増幅率を変更するための増幅回路部76、及びオフセットを調整するためのオフセット調整回路部77を備える。
【0089】
前記第1の制御回路71の振幅位相制御部74は、前記傾斜角の第1の方向の成分に応じて抵抗値を変化させる可変抵抗R1、及び前記傾斜方向の第1の方向の成分に応じて抵抗値を変化させる可変抵抗R2を備え、前記第2の制御回路72の振幅位相制御部74は、前記傾斜角の第2の方向の成分に応じて抵抗値を変化させる可変抵抗R1、及び前記傾斜方向の第2の方向の成分に応じて抵抗値を変化させる可変抵抗R2を備える。この場合、可変抵抗R1、R2の抵抗値が変更されると、各抵抗値の差に応じて振幅及び位相が変更される。
【0090】
また、前記各差動増幅回路部75は、オペアンプOP1、該オペアンプOP1の反転端子に接続された抵抗R3、R5、及びオペアンプOP1の非反転端子に接続された抵抗R4、R6を備え、前記可変抵抗R1の端子電圧が抵抗R3で降下させられてオペアンプOP1の反転端子に、前記可変抵抗R2の端子電圧が抵抗R4、R6で分圧されてオペアンプOP1の非反転端子に入力される。
【0091】
そして、前記各増幅回路部76は、オペアンプOP2、及び該オペアンプOP2の反転端子に接続された可変抵抗R7を備え、前記オペアンプOP1の出力電圧がオペアンプOP2の非反転端子に入力される。したがって、可変抵抗R7の端子電圧に応じて増幅率を変更することができる。
【0092】
また、前記各オフセット調整回路部77は、オペアンプOP3、該オペアンプOP3の反転端子に接続された抵抗R8、R10、及びオペアンプOP3の非反転端子に接続された抵抗R9、R12及び可変抵抗R11を備える。したがって、可変抵抗R11の端子電圧に応じてオフセットを調整することができる。
【0093】
このように、本実施の形態においては、ジョイスティック37を操作することによって、ピエゾ素子21〜23に交流電圧が印加され、交流電圧の振幅及び位相を制御することができる。
【0094】
また、本実施の形態においては、一つのファンクションジェネレータ65を配設するだけで、ピエゾ素子21〜23に交流電圧を印加することができるので、微小物品搬送装置を簡素化することができる。
【0095】
ところで、支持面16上に載置された微小物品と支持面16との接触面積が大きいと、雰囲気中の水分の影響を受けやすくなり、微小物品が支持面16に付着する付着力が大きくなって、微小物品を円滑に搬送することができなくなる。
【0096】
そこで、前記各実施の形態において、支持面16の表面がエッチング処理によって粗面化され、微小な凹凸が形成される。したがって、微小部品46、48、56、61、62と支持面16との接触面積が小さくなり、微小物品46、48、56、61、62が支持面16に付着する付着力を小さくすることができ、微小物品46、48、56、61、62を円滑に搬送することができる。そして、支持面16の表面に微小な凹凸が形成されるので、微小物品46、48、56、61、62と支持面16との接触面の側面から大気が内部へ入り込みやすくなり、微小物品46、48、56、61、62の垂直方向における運動を開始しやすくなる。
【0097】
また、固定部11を密閉された室内に配設し、該室内を減圧すると、室内に含まれる水分を少なくすることができる。したがって、微小物品46、48、56、61、62が支持面16に付着する付着力を小さくすることができるので、微小物品46、48、56、61、62を更に円滑に搬送することができる。
【0098】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図7】本発明の第7の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図8】本発明の第8の実施の形態における微小物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図9】本発明の第9の実施の形態における物品搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図10】本発明の第10の実施の形態における微小物品搬送装置の斜視図である。
【図11】本発明の第10の実施の形態におけるファンクションジェネレータ及び振幅位相制御回路の要部を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
11 固定部
16、16a、16b 支持面
17 振動ブロック
21、21a〜21c、22、22a、22b、23、23a〜23c ピエゾ素子
33 監視装置
35 制御部
46、48、56、61、62 微小物品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)固定部と、
(b)微小物品を載置するための支持面を備え、複数の軸方向において振動素子を介して前記固定部と連結された搬送基板と、
(c)前記各振動素子に所定の電圧を印加し、前記微小物品を搬送する搬送処理手段と、(d)前記搬送基板上の微小物品を拡大した状態で監視する監視装置とを有することを特徴とする微小物品搬送装置。
【請求項2】
前記搬送処理手段は、前記各振動素子に交流電圧を印加し、搬送基板に振動を発生させる粗動処理手段を備える請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項3】
前記搬送処理手段は、前記各振動素子に直流電圧を印加し、微小物品の位置決めを行う微動処理手段を備える請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項4】
前記監視装置は、拡大機能付きのカメラである請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項5】
前記各振動素子に前記電圧を印加するための電圧発生部が接続される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項6】
前記監視装置によって撮影された微小物品の画像が送られ、該画像を表示する表示部を有する請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項7】
前記表示部に表示された画像を見ながら操作するためのジョイスティックを有する請求項6に記載の微小物品搬送装置。
【請求項8】
前記各振動素子に位相を反転させた交流電圧を印加するための反転部を有する請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項9】
前記支持面上に微小物品を所定の方向に移動させるための支持部が形成される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項10】
前記支持面上の所定の位置に微小物品の位置決め用の治具が配設される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項11】
(a)前記搬送基板上に、固定部材によって取付部材が固定され、
(b)該取付部材上に微小物品が載置される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項12】
前記搬送基板上に、微小物品を収容するための治具、及び前記微小物品の位置決めを行うための位置決め用の治具が配設される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項13】
(a)前記搬送基板は第1、第2のブロックを備え、
(b)該第1、第2のブロックの支持面上に微小物品が載置される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項14】
寸法又は形状が異なる複数の微小物品のうちの一つの微小物品だけを搬送する分離搬送処理手段を有する請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項15】
(a)前記交流電圧を発生させる電圧発生部と、
(b)前記交流電圧の振幅及び位相を変更する振幅位相制御回路とを有する請求項1〜14のいずれか1項に記載の微小物品搬送装置。
【請求項16】
前記支持面の表面が粗面化される請求項1〜15のいずれか1項に記載の微小物品搬送装置。
【請求項17】
前記固定部は減圧された室内に配設される請求項1〜16いずれか1項に記載の微小物品搬送装置。
【請求項1】
(a)固定部と、
(b)微小物品を載置するための支持面を備え、複数の軸方向において振動素子を介して前記固定部と連結された搬送基板と、
(c)前記各振動素子に所定の電圧を印加し、前記微小物品を搬送する搬送処理手段と、(d)前記搬送基板上の微小物品を拡大した状態で監視する監視装置とを有することを特徴とする微小物品搬送装置。
【請求項2】
前記搬送処理手段は、前記各振動素子に交流電圧を印加し、搬送基板に振動を発生させる粗動処理手段を備える請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項3】
前記搬送処理手段は、前記各振動素子に直流電圧を印加し、微小物品の位置決めを行う微動処理手段を備える請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項4】
前記監視装置は、拡大機能付きのカメラである請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項5】
前記各振動素子に前記電圧を印加するための電圧発生部が接続される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項6】
前記監視装置によって撮影された微小物品の画像が送られ、該画像を表示する表示部を有する請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項7】
前記表示部に表示された画像を見ながら操作するためのジョイスティックを有する請求項6に記載の微小物品搬送装置。
【請求項8】
前記各振動素子に位相を反転させた交流電圧を印加するための反転部を有する請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項9】
前記支持面上に微小物品を所定の方向に移動させるための支持部が形成される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項10】
前記支持面上の所定の位置に微小物品の位置決め用の治具が配設される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項11】
(a)前記搬送基板上に、固定部材によって取付部材が固定され、
(b)該取付部材上に微小物品が載置される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項12】
前記搬送基板上に、微小物品を収容するための治具、及び前記微小物品の位置決めを行うための位置決め用の治具が配設される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項13】
(a)前記搬送基板は第1、第2のブロックを備え、
(b)該第1、第2のブロックの支持面上に微小物品が載置される請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項14】
寸法又は形状が異なる複数の微小物品のうちの一つの微小物品だけを搬送する分離搬送処理手段を有する請求項1に記載の微小物品搬送装置。
【請求項15】
(a)前記交流電圧を発生させる電圧発生部と、
(b)前記交流電圧の振幅及び位相を変更する振幅位相制御回路とを有する請求項1〜14のいずれか1項に記載の微小物品搬送装置。
【請求項16】
前記支持面の表面が粗面化される請求項1〜15のいずれか1項に記載の微小物品搬送装置。
【請求項17】
前記固定部は減圧された室内に配設される請求項1〜16いずれか1項に記載の微小物品搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−55772(P2007−55772A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244483(P2005−244483)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【Fターム(参考)】
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