説明

微生物の採取方法、微生物疑似培地および微生物回収具

【課題】空気中の微生物エアロゾルを回収液中に採取する微生物採取方法において、高濃度の微生物を少ない量の回収液中に短い時間で取り込むことが可能なものを提供する。
【解決手段】空気中の微生物エアロゾルを、樹脂、ゴム、スポンジマットの少なくともいずれかで構成された疑似培地によって捕集する捕集段階と、前記捕集段階で捕集された微生物を、回収液で回収する回収段階とを有す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物の採取方法、微生物疑似培地および微生物回収具に係り、特に、空気中に存在する微生物エアロゾル(AEROSOL)を採取するものに関する。
【背景技術】
【0002】
微生物エアロゾルを水中に採取することができると、フローサイトメトリーなどの計測機器による自動測定や長時間のサンプリング測定が可能になる。微生物エアロゾルを水中に採取(取り込む)方式としてインピンジャ方式が知られている。
【0003】
インピンジャ方式は、微生物エアロゾルを直接水中に取り込む方式であるので、採取に要する時間が短くてすみ、しかも、採取の作業も容易である。したがって、インピンジャ方式は広く採用されている。
【0004】
なお、従来のインピンジャ方式に関連する文献として、たとえば、特許文献1、特許文献2を掲げることができる。
【特許文献1】特開平7−294398号公報
【特許文献2】特開平11−90161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インピンジャ方式は、使用する回収液(採取液)の量が多いので、回収液中の微生物の濃度を高くしようとする場合には、採取時間(回収液内への空気の吐出時間)を延ばすか、または、回収液の量を減らす必要がある。
【0006】
ところで、採取時間は、濃度倍率(回収液中の微生物の濃度)に比例する。すなわち、微生物の濃度が100倍である回収液を得るためには、100倍の採取時間が必要になり、現実的に高濃度の微生物の採取は困難である。また、回収液の量を少なくすると、回収液が気流によって吹き飛ばされてしまい、現実的に高濃度の微生物の採取は困難である。
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、空気中の微生物エアロゾルを回収液中に採取する微生物採取方法において、高濃度の微生物を少ない量の回収液中に短い時間で取り込むことが可能なものを提供することを目的とする。また、上記微生物採取方法に使用する微生物疑似培地、微生物回収具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、空気中の微生物エアロゾルを、樹脂、ゴム、スポンジマットの少なくともいずれかで構成された疑似培地によって捕集する捕集段階と、前記捕集段階で捕集された微生物を、回収液で回収する回収段階とを有する微生物の採取方法である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の微生物の採取方法において、前記疑似培地は、シリコーンゴムで構成されている微生物の採取方法である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の微生物の採取方法において、前記回収段階で使用する回収液は、水に所定量の界面活性剤が添加された回収液である微生物の採取方法である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の微生物の採取方法において、前記回収段階は、微生物が捕集されている前記疑似培地の部位を前記回収液で浸すと共に、回収具を用いて前記疑似培地の部位を擦ることによって、前記回収を行う段階である微生物の採取方法である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、内部空間と入口側開口部と出口側開口部とを備えた筐体の前記入口側開口部を塞ぐように、厚さ方向に貫通している複数のノズルを備えた板状のノズル板を設置し、容器とこの容器の底部に設けられ上面が平面状に形成されたシリコーンゴムとを備えて構成された捕集具を、前記シリコーンゴムが前記ノズル板から所定の距離だけ離れ前記シリコーンゴムの上面が前記ノズル板の下面と平行になるように前記内部空間に設置した後、前記出口側開口部から空気を所定時間にわたって吸引することにより、前記ノズルから前記捕集具のシリコーンゴムに向かって空気を噴出させて、空気中の微生物エアロゾルを前記シリコーンゴムで捕集する捕集段階と、前記捕集段階で空気を噴出した後、前記シリコーンゴムが浸る程度の量の回収液を前記容器内に入れ、回収具の円柱側面状の部位で前記シリコーンゴムの平面を擦ることによって、前記シリコーンゴムで捕集した微生物を前記回収液で回収する回収段階と有する微生物の採取方法である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、空気中の微生物エアロゾルを捕集するためにシリコーンゴムで構成された微生物疑似培地である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、空気中の微生物エアロゾルを吸着する平面状の捕集面を備えた捕集体の前記捕集面を擦るための円柱状の部位を備え、前記捕集体よりも弾性係数が大きい材料で構成された微生物回収具である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、空気中の微生物エアロゾルを回収液中に採取する微生物採取方法において、高濃度の微生物を少ない量の回収液中に短い時間で取り込むことが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る微生物採取方法(採集方法)は、疑似培地(微生物疑似培地)Kで微生物を捕集する捕集段階と、微生物を回収液Qで回収する回収段階とを備えてなる。
【0017】
前記捕集段階は、空気中の微生物エアロゾル(空中浮遊微生物)を、樹脂、ゴム、表面が非通気性の膜(水や空気等の流体を通さない膜)で覆われたスポンジ(スポンジマット)の少なくともいずれかで構成された疑似培地Kによって捕集する段階である。すなわち、前記捕集段階では、微生物エアロゾルを含む空気流を、回収液Qには溶けない疑似培地(捕集体)Kに、所定の時間ぶつけることによって、微生物を捕集体Kの表面(捕集面)にくっつけて捕らえるようになっている。なお、前記樹脂や前記ゴムは、内部に気泡等の空間が存在しないものである。すなわち、材質で満たされているものである。
【0018】
前記回収段階は、前記捕集段階で疑似培地Kに捕集された微生物を、回収液Qで回収する段階である。すなわち、前記回収段階では、微生物が捕集されている疑似培地Kの部位を所定量の回収液Qで洗うことによって、疑似培地Kに捕集されている微生物を疑似培地Kから離して回収液Qに取り込むようになっている。
【0019】
なお、1回の微生物採取において、前記捕集段階と前記回収段階とが短い時間間隔で交互になされることはなく、前記捕集段階が終了した後に前記回収段階がなされるようになっている。
【0020】
前記捕集段階は、たとえば、ポータブル型空中浮遊菌サンプラ1を用いて実行されるようになっている。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る微生物採取方法で使用するポータブル型空中浮遊菌サンプラ(ポータブル型サンプラ)1の斜視図であり、図2は、ポータブル型空中浮遊菌サンプラ1の平面図である。
【0022】
ポータブル型サンプラ1は、空中浮遊菌(微生物エアロゾル)の捕集部11と操作部12とから構成されており、操作部12には持ち運び用に取手13が取り付けられている。また、捕集部11には、先端部に空中浮遊菌を捕捉するために空気が流入するノズル板14が嵌合されており、ノズル板14には複数の微細なノズル孔14aが形成されている。
【0023】
図3は、捕集部11の断面図を示す図である。
【0024】
捕集部11の筐体23の上部において、ノズル板14はノズル板保持部材15により保持されている。ノズル板保持部材15は空気の漏洩がないように、例えば螺子構造などにより筐体23に嵌合されている。そして、ノズル板14の直下に疑似培地Kを収納するシャーレSを支持するシャーレ支持部材16が設けられている。シャーレ支持部材16の下側は所定の空間が形成され、その下方にターボファンやボルテックスブロア等の高静圧ファン17、この高静圧ファン17を駆動するファンモータ18が配設されている。
【0025】
また、ノズル板14では、ノズル板14を一定の大きさに区切った単位面積当たりの通過する風量が場所によって異なることがないように、ノズル孔14aが図2においては上下方向及び左右方向の直線上に、即ち格子状に規則正しく等間隔で四角形に整然と配列されている。
【0026】
ノズル孔14aは、図4(ノズル孔14aの拡大図)に示すように、例えば内径0.36mm、長さ0.5mmの直管部と、その上方に圧力損失を減ずるために設けた開き角90度、高さ0.5mmのテーパ部とから成っている。また、ノズル孔14aの開口部分の合計面積が28.3mm以上となるように、ノズル孔14aの数が設定されている。これは、ノズル板14を通過する時の風速を20m/秒以上とするように、単位時間当たりにノズル板14を通過する風量から逆算して、ノズル孔14aの合計面積28.3mmを求めている。
【0027】
使用に際しては、疑似培地Kを所定の厚さに収納したシャーレSを、ノズル板14と培地K間の間隔が所定値L(例えば本実施例の形態では0.5〜1.5mm)となるように、シャーレSを筐体23のシャーレ支持部材16に支持した後に、ノズル板保持部材15を筐体23の上部に嵌合する。ファンモータ18を駆動して高静圧ファン17を回転すると、空気はノズル板14の孔14aから流入して、図4に示すようにノズル板14と培地Kの間隔Lを通過して流れるようになっている。
【0028】
ノズル板14には開口部分の面積が28.3mm以上となるように、ノズル孔14aが設けられているので、ノズル板14を通過する風速は20m/秒以上となり、疑似培地Kが捕集板として作用し、空中を浮遊する例えば細菌・真菌などは疑似培地Kの表面に慣性衝突して効率良く培地Kに付着して捕集される。その後に、空気流は図3の矢印のように周辺部の隙間を通ってファン17によって吸引され、排出口から外部へ排気されるようになっている。
【0029】
ところで、疑似培地Kは、たとえば、シリコーンゴムで構成されており、回収液Qは、水(たとえば、純水)に所定量の界面活性剤(たとえば、Tween80)を添加したもので構成されている。界面活性剤の所定量は、微生物の種類や界面活性剤の種類によって決められるものである。所定量の界面活性剤が添加され一定の濃度(界面活性剤の濃度)になった回収液Qを用いることにより、微生物を生かしたままで疑似培地Kからの微生物の剥がれを促進することができるようになっている。
【0030】
前記回収段階は、前述したように、微生物が捕集されている疑似培地Kの部位(平面等の面)を回収液Qで浸すと共に、回収具(回収冶具)21を用いて疑似培地Kの部位を擦ることにより、回収を行う段階である。擦る場合、回収具21の円柱側面形状の直線状の部位を疑似培地Kに小さな力(疑似培地Kがほとんど変形しないかごく僅かに変形する程度の力)で押し付けて擦るものである。
【0031】
前記捕集段階と前記回収段階とについてさらに詳しく説明する。
【0032】
前記捕集段階に使用するポータブル型空中浮遊菌サンプラ1の捕集部11は、筐体23を備えて構成されている。筐体23は、内部空間25と、この内部空間25と内部空間25の外部とをお互いにつないでいる入口側開口部27と、内部空間25と内部空間25の外部とをお互いにつないでいる出口側開口部29とを備えて構成されている。
【0033】
ノズル板14は、筐体23の入口側開口部27を塞ぐように設けられている。ノズル板14は、この厚さ方向(図3や図4の上下方向)に貫通している複数のノズル(お互いが所定の間隔をもって離れている複数の貫通孔で形成されているノズル;ノズル孔)14aを備えた板状(たとえば、円板状)に形成された部位を具備して構成されている。また、ノズル板14は、この厚さ方向が上下方向になるようにして、筐体23の上側に設置されている。
【0034】
ポータブル型空中浮遊菌サンプラ1に設置されている捕集具31は、容器(たとえば、シャーレS)と、この容器の底部に設けられ上面が平面状に形成されたシリコーンゴム(疑似培地K)とを備えて構成されている。捕集具31は、シリコーンゴムKがノズル板14から所定の距離Lだけ離れシリコーンゴムKの上面がノズル板14の下面と平行になるようにして、内部空間25に設置されるようになっている。
【0035】
前述したように、容器として円形状のシャーレSを採用しており、シリコーンゴムKは、外径がシャーレSの内径とほぼ等しい円板状に形成されている。また、シャーレSの側壁(側壁部材)の高さは、シリコーンゴムKの厚さよりも高くなっている。シリコーンゴムKの厚さ方向の一方の面のほぼ全面がシャーレS内部の底面のほぼ全面に接触するようにして、シリコーンゴムKがシャーレSの内部に一体的に設けられている。また、上述したように筐体23にノズル板14と捕集具31とを設置した状態では、平面視において、シリコーンゴムKの上面の内側に、各ノズル孔14aが存在している。
【0036】
このように、捕集具31を設置した状態で、出口側開口部29から空気を吐出して入口側開口部27から空気を所定時間にわたって吸引することにより、ノズル孔14aから捕集具31のシリコーンゴムKに向かって空気を噴出(吐出)させて、空気中の微生物エアロゾルをシリコーンゴムKで捕集する。
【0037】
続いて、所定時間にわたって空気をノズル孔14aから噴出させてシリコーンゴムKに吹き付けた後、シリコーンゴムKが浸る程度の僅かな量の回収液(界面活性剤を僅かに含む回収液)QをシャーレS内に入れて(図5参照)、円柱状の部位を備えた回収具21の円柱側面状の部位でシリコーンゴムKの平面(ノズル14aからの空気で吹かれて微生物が捕集されている面;捕集面)を擦ることによって(図6、図7参照)、シリコーンゴムKに付着して捕集されている微生物を回収液Qで回収する。
【0038】
ここで、回収具21について例を掲げて詳しく説明する。
【0039】
回収具21は、長さがシャーレSの内径よりも僅かに短い円柱状の2本のガラス棒33A、33Bを、「十」字状に組み合わせて形成された本体部33と、円柱状の1本のガラス棒で構成され本体部33の交差部位から一定の方向(各ガラス棒33A、33Bの延伸方向と直交する方向)に延伸している円柱状の1本のガラス棒35とで構成されている。なお、回収具21は、上記のような構成に限られるものではなく、2本のガラス棒33A、35を「T」字状に組み合わせて形成してもよいし、1本のガラス棒33Aだけで形成してもよい。回収具21は、後述するように擬似培地Kの表面を擦るように使用されるため、断面形状が円形もしくは楕円形であるものを適用することが好ましい。
【0040】
そして、本体部33をシリコーンゴムKの平面に軽く押し付けて、ガラス棒35の軸を中心にして回収具21を回転し、本体部33でシリコーンゴムKの平面を擦るようになっている(図6、図7参照)。なお、本体部33を「Y」字状等の他の形状に形成してあってもよい。
【0041】
次に、ポータブル型空中浮遊菌サンプラ1、捕集具31、回収具21等を用いて、微生物の採取を行なった結果について説明する。
【0042】
図8は、インピンジャ方式と、本実施形態に係る疑似培地捕集方式(疑似培地Kを使用した捕集段階)とを比較した表である。本実施形態に係る疑似培地捕集方式のほうが、微生物の捕集率(捕集効率)が良好になっている。
【0043】
図8の水中取り込み率は、次の式f1で示される。式f1;水中取り込み率=(回収液中の微生物数/入り口側開口部27に吸引された微生物数)×100 この場合、空気の温度と圧力は一定であるものとする。
【0044】
図9は、回収液Qを用いた回収段階において、回収具を使用しない場合、回収具として綿棒を使用した場合、本実施形態に係る回収具21を使用した場合を比較した表である。本実施形態に係る回収具21を使用した場合が、微生物の回収液Q中への取り込み率が最も良好になっている。
【0045】
図10は、回収液Q中のTween80の濃度と、微生物の回収液Q中への取り込み率との関係を示すグラフである。Tween80の濃度が高くなると微生物の回収液Q中への取り込み率が向上することがわかる。ただし、Tween80の濃度が高くなりすぎると、微生物が死滅するおそれが出てくるので、たとえば、純水に加えるTween80の濃度を500ppm以下にする必要がある。
【0046】
図11は、疑似培地Kとして、アクリル樹脂、シリコーンマット(シリコーンゴム)、ゴムマット、スポンジマット、シリコーンマットの表面にフッ素コートしたものを使用した場合における微生物の捕集率を比較した表である。
【0047】
なお、捕集率は式f2;(1−擬似培地捕集後の微生物濃度/サンプル空気中の微生物濃度)×100で算出している。シリコーンマットを採用した場合が最も捕集率が良くなっている。なお、シリコーンマットの表面にフッ素コートしたものでは、捕集率が低下している。
【0048】
本実施形態に係る微生物の採取方法によれば、慣性衝突現状を利用して疑似培地で微生物を短い時間で効率良く捕集する捕集段階と、この捕集後に回収液で疑似培地を洗うことにより回収液中に微生物を取り込む回収段階とを分けているので、少ない量の回収液中に高濃度の微生物を短い時間で取り込むことができる。
【0049】
なお、本実施例では、ポータブル型空中浮遊菌サンプラ1を例に説明したが、この形態に限られるものではなく、空気を擬似培地Kに吹き付け、擬似培地Kの表面を回収液Qで濡らし、その回収液Qを回収具21で擦って捕集する方法であれば、他の形態であっても構わない。
【0050】
また、疑似培地Kが適度の弾性と捕集力とを備えたシリコーンゴムで構成されているので、微生物を効率良く捕集することができる。
【0051】
さらに、回収液Qとして水に界面活性剤を添加したものを使用しているので、シリコーンゴムからの微生物の剥離を促進することができ、シリコーンゴムに捕集されている微生物を効率良く回収液に取り込むことができる。
【0052】
また、微生物が捕集されている疑似培地Kの部位を回収液Qで浸すと共に、回収具21を用いて疑似培地Kの部位を擦るので、短い時間で効率よく微生物の回収液中への取り込みがなされる。また、回収具21の円柱側面形状の直線状の部位を疑似培地Kに小さな力で押し付けて擦るので、シリコーンゴムにキズがつくことを防止することができるので、シリコーンゴムを擬似培地として再利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る微生物採取方法で使用するポータブル型空中浮遊菌サンプラ1の斜視図である。
【図2】ポータブル型空中浮遊菌サンプラ1の平面図である。
【図3】捕集部11の断面図を示す図である。
【図4】ノズル孔14aの拡大図である。
【図5】シャーレSに回収液を入れた状態を示す図である。
【図6】シャーレSに回収液を入れ回収具21で微生物を回収している状態を示す図である。
【図7】シャーレSに回収液を入れ回収具21で微生物を回収している状態を示す図である。
【図8】インピンジャ方式と、本実施形態に係る疑似培地捕集方式(疑似培地Kを使用した捕集段階)とを比較した表である。
【図9】回収液Qを用いた回収段階において、回収具を使用しない場合、回収具として綿棒を使用した場合、本実施形態に係る回収具21を使用した場合を比較した表である。
【図10】回収液Q中のTween80濃度と、微生物の回収液Q中への取り込み率との関係を示すグラフである。
【図11】疑似培地Kとして、アクリル樹脂、シリコーンマット(シリコーンゴム)、ゴムマット、スポンジマット、シリコーンマットの表面にフッ素コートしたものを使用した場合における微生物の捕集率を比較した表である。
【符号の説明】
【0054】
1 ポータブル型空中浮遊菌サンプラ
11 捕集部
14 ノズル板
14a ノズル孔(ノズル)
21 回収具
23 筐体
25 内部空間
27 入口側開口部
29 出口側開口部
31 捕集具
K 疑似培地
Q 回収液
S シャーレ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の微生物エアロゾルを、樹脂、ゴム、スポンジマットの少なくともいずれかで構成された疑似培地によって捕集する捕集段階と;
前記捕集段階で捕集された微生物を、回収液で回収する回収段階と;
を有することを特徴とする微生物の採取方法。
【請求項2】
請求項1に記載の微生物の採取方法において、
前記疑似培地は、シリコーンゴムで構成されていることを特徴とする微生物の採取方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の微生物の採取方法において、
前記回収段階で使用する回収液は、水に所定量の界面活性剤が添加された回収液であることを特徴とする微生物の採取方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の微生物の採取方法において、
前記回収段階は、微生物が捕集されている前記疑似培地の部位を前記回収液で浸すと共に、回収具を用いて前記疑似培地の部位を擦ることによって、前記回収を行う段階であることを特徴とする微生物の採取方法。
【請求項5】
内部空間と入口側開口部と出口側開口部とを備えた筐体の前記入口側開口部を塞ぐように、厚さ方向に貫通している複数のノズルを備えた板状のノズル板を設置し、容器とこの容器の底部に設けられ上面が平面状に形成されたシリコーンゴムとを備えて構成された捕集具を、前記シリコーンゴムが前記ノズル板から所定の距離だけ離れ前記シリコーンゴムの上面が前記ノズル板の下面と平行になるように前記内部空間に設置した後、前記出口側開口部から空気を所定時間にわたって吸引することにより、前記ノズルから前記捕集具のシリコーンゴムに向かって空気を噴出させて、空気中の微生物エアロゾルを前記シリコーンゴムで捕集する捕集段階と;
前記捕集段階で空気を噴出した後、前記シリコーンゴムが浸る程度の量の回収液を前記容器内に入れ、回収具の円柱側面状の部位で前記シリコーンゴムの平面を擦ることによって、前記シリコーンゴムで捕集した微生物を前記回収液で回収する回収段階と;
有することを特徴とする微生物の採取方法。
【請求項6】
空気中の微生物エアロゾルを捕集するためにシリコーンゴムで構成されたことを特徴とする微生物疑似培地。
【請求項7】
空気中の微生物エアロゾルを吸着する平面状の捕集面を備えた捕集体の前記捕集面を擦るための円柱状の部位を備え、前記捕集体よりも弾性係数が大きい材料で構成されたことを特徴とする微生物回収具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−55790(P2009−55790A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223155(P2007−223155)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】