説明

微生物の濃縮、および検出のための方法、組成物、ならびにキット

本発明は、微生物の検出のために有用な方法、キット、および組成物を含む。これらの薬剤および方法は主に、結合剤の使用により微生物を濃縮または単離する段階、およびそれに続いて微生物ポリヌクレオチドの核酸増幅を実施する段階を含む、試料中の微生物の存在を検出する方法に向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は試料中の微生物の存在を検出するために有用な方法、組成物、およびキットに関する。さらに本発明は、微生物の存在についての分析のための試料の調製に有用な方法、組成物、およびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような核酸増幅方法は、時間を削減し、および微生物学的アッセイの検出限界を低下させる可能性を有する。しかしながら、その可能性は、試料調製段階が、増幅および検出される精製された標的核酸の充分量を産生する場合のみ、達成され得る。食品試料は、酵素、脂肪、およびタンパク質のような内在する阻害剤の存在のため、核酸増幅テストにとって最も複雑なマトリックスの一つである。環境試料もまた、溶解性の問題および潜在的な毒性残留物のため重要な課題となっている。多くの化粧品、および薬学的製品は微生物検出を阻害し得る成分(例えば抗菌性薬剤)を含む。さらに、細菌標的は通常、非常に低レベルで生じる。例えば、加工食品においては細菌はストレスを受けている可能性があり、検出可能なレベルまで蘇生させることを必要とする。結果として、食品試料には多くの場合濃縮段階が必要である。濃縮の後、次いで試料は核酸増幅段階のために調製され得る。簡単、迅速、かつ信頼性が高い試料調製方法は、依然として診断研究室の目的である。
【0003】
多くの試料調製方法が、増幅の前の別々の段階としての試料核酸の抽出および精製に関連して記載されてきた。例えば、米国特許第4,900,677号は、カオトロープ、および透析されたDNAを用いた核酸精製手順を開示している。米国特許第4,923,978号は、タンパク質およびDNAの溶液をヒドロキシル化した支持体に通過させ、タンパク質を結合させ、DNAを溶出させる、核酸を精製するための方法を開示している。米国特許第4,935,342号は、陰イオン交換体へのDNAの選択的結合および引き続く溶出による核酸精製を開示している。米国特許第4,946,952号は、水溶性ケトンとの沈降によるDNA単離を開示している。他の刊行物(例えばHolland et al)は、煮沸または溶解緩衝液の添加によって、PCRのために糞便標本から直接細菌DNAを抽出する企業内(in-house)方法、および3つの異なる市販DNA抽出法を記載している。遠心分離を含む複数の段階、多くの時間が必要とされる。
【0004】
磁性粒子の使用は、核酸の精製のための他の技術である。米国特許第6,534,262号(McKernan, et al)は、磁性粒子のコーティング表面への特定の核酸分子種の吸着を選択的に容易にすることによって、異なるサイズの核酸分子の混合物中に存在する標的核酸分子種を選択的に単離する方法を記載している。米国特許第6,433,160号(Collis et al)は、陰イオン界面活性剤を必要とすることなく核酸分子を可逆的に結合させるために、酸性溶液中で常磁性粒子を用いることによる、核酸を精製する方法を記載している。DynalのDNA Direct法は、細胞溶解、およびその後の短時間のインキュベーションの間での放出DNAのDynabeads表面への吸着、その後の完全なDNA/Dynabeads複合体の磁気分離、あらゆる残留夾雑物および潜在的PCR阻害因子を取り除くための上清の除去およびその後の洗浄、次いで最後に下流のPCR反応における直接の使用のための複合体の再懸濁に依存する、DNAの単離方法を記載している。
【0005】
磁性粒子は、さらなる検出のために対象の微生物の細胞を捕獲するためも用いられている。米国特許第5491068号および米国特許第5,695,946号(Benjamin et al.)は、磁気ビーズを用いた方法であって:
1)磁気ビーズに結合した抗体の使用によって、対象の細菌細胞を選択的に捕獲し、かつ試料から除去し;
2)捕獲した細菌細胞を培地に広げ、コロニーを形成させ、
3)コロニー材料を膜に接着させるために、細菌のコロニーをコロニーリフト膜と接触させ;かつ、
4)対象の細菌のコロニー由来のコロニー材料の存在を、核酸増幅を含む様々な手順を用いて検出する、方法を記載している。
他の方法(Dynal刊行物)において、捕獲された細胞/粒子複合体は、再懸濁され、適当な培地に移動かつプレートされ、インキュベートされ、次いで計数される。さらに他の方法(Dynal刊行物)において、被覆ビーズは、標的分子を含む細胞溶解物または他の懸濁液に添加される。捕獲後、結合した標的分子を有する粒子は、下流のバイオアッセイに直接使用するか、またはアプリケーション緩衝液中で煮沸しかつSDS-PAGEで分析することができる。または、標的分子は、従来の溶出方法を用いて粒子から溶出してもよい。
【0006】
上記の方法は典型的に、核酸増幅の前に、微生物細胞の溶解および/または核酸の単離もしくは精製を含む複数の試料調製段階を必要とする。明らかに、別個の核酸抽出、単離、および精製段階を必要としない、核酸増幅のための試料を調製する方法を含む、微生物の存在に関して試料を調製および分析する、迅速かつ信頼性が高い方法が当技術分野において必要とされている。さらに、その後の核酸増幅のための複合試料を調製する迅速かつ簡単な方法が当技術分野において必要とされている。
【発明の開示】
【0007】
発明の簡単な概要
本発明は、核酸増幅のための試料を調製するために用いることができ、かつ試料中の微生物の存在を検出するために用いることができる方法、組成物、ならびにキットに向けられる。
【0008】
一つの態様において、本発明は、試料中の微生物の存在を検出する方法を提供する。本方法は、薬剤を微生物に結合させるのに十分な時間、微生物またはその成分に結合する薬剤と試料を接触させる段階、薬剤および微生物を含む複合体を濃縮または単離する段階、複合体の存在下で微生物のポリヌクレオチドに特異的な1つまたは複数のプライマーを用いて核酸増幅を実施する段階、ならびに増幅された核酸の存在を判定し、それによって試料中の微生物の存在を検出する段階を含む。様々な態様において、本発明の方法は、核酸増幅を実施する前に、微生物DNAを抽出して、または抽出せずに、微生物/濃縮薬剤複合体を反応容器へ移動する段階をさらに含む。
【0009】
他の態様において、本発明は、核酸増幅によって試料中の微生物の存在を検出するのに適した試料を調製する方法を含む。本方法は、薬剤を微生物に結合させるのに十分な時間、微生物またはその成分に結合する薬剤と試料を接触させる段階、ならびに薬剤および微生物を含む複合体を濃縮または単離する段階を含む。
【0010】
さらに他の関連がある態様において、本発明は、核酸増幅のための対象の微生物を含む担体マトリックスの試料調製のための方法であって、抗体被覆粒子に担体マトリックスを接触させ、対象の微生物を捕獲し、細胞/粒子複合体を作製する段階、物理的手段によって細胞/粒子複合体を濃縮する段階、反応容器中への配置の前に核酸の抽出をせずに、核酸増幅のための密封反応容器に細胞/粒子複合体を配置する段階を含む方法を含む。
【0011】
本発明の方法の特定の態様において、薬剤は担体に結合している。特定の態様において、担体は、ビーズ、粒子、微小粒子、不溶性微小粒子、磁気ビーズ、不溶性ビーズ、ラテックスビーズ、プラスチックビーズ、アガロースヒドラジドビーズ、アガロースビーズ、セファロースまたはセファデックスである。
【0012】
本発明の方法の関連した態様において、試料は、食品、環境試料、水、または飲料である。
【0013】
本発明の方法の一つの態様において、微生物は、細菌または酵母である。
【0014】
本発明の他の態様において、薬剤は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または抗体断片である。
【0015】
本発明の方法の特定の態様において、濃縮または単離は、遠心分離または磁石の使用によって実施される。
【0016】
本発明の方法の関連した態様において、核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)またはリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(リアルタイムPCR)によって実施される。
【0017】
一つの態様において、核酸増幅は、微生物が前記増幅の前または間に溶解される条件下で実施される。
【0018】
他の態様において、核酸増幅は、微生物が前記増幅の前に溶解されない条件下で実施される。
【0019】
様々な態様において、核酸増幅は、前記増幅が実施される前に微生物が生存しているかまたは死んでいる条件下で実施される。
【0020】
関連した態様において、核酸増幅は、特定の態様において、チューブ、スライド、プレート、マイクロタイタープレート、アレイ、またはマイクロアレイである、反応容器中で実施される。
【0021】
特定の態様において、微生物は、細菌生細胞である。
【0022】
他の特定の態様において、担体マトリックスは食品である。一つの態様において、食品は牛挽肉である。
【0023】
さらに他の態様において、本発明は、核酸増幅のための試料を調製するためのキットを提供する。一つの態様において、キットは、微生物に特異的に結合する薬剤、およびキットの取扱説明書を含む。
【0024】
他の態様において、本発明は、微生物に特異的に結合する薬剤および微生物に特異的な1つまたは複数のプライマーを含む、核酸増幅のための試料の調製のためのキットを提供する。
【0025】
キットの特定の態様において、薬剤は抗体である。
【0026】
キットの他の態様において、薬剤は担体に結合している。特定の態様において、担体は、ビーズ、粒子、微小粒子、不溶性微小粒子、磁気ビーズ、不溶性ビーズ、ラテックスビーズ、プラスチックビーズ、アガロースヒドラジドビーズ、アガロースビーズ、セファロースまたはセファデックスである。
【0027】
他の関連した態様において、キットはまた、1つまたは複数のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を含む。特定の態様において、PCR試薬は、ヌクレオチド、緩衝液、またはポリメラーゼである。
【0028】
他の態様において、本発明は、以下の段階を含む、試料中の微生物の存在を検出する方法を含む:微生物の成長を支持する液体培地中に試料を希釈する段階;微生物を成長させるのに十分な時間および条件下で、液体培地中の試料をインキュベートする段階;段階後の液体培地中の試料またはそのアリコートを、薬剤を微生物に結合させるのに十分な時間、微生物またはその成分に結合する薬剤に接触させる段階;薬剤および微生物を含む複合体を単離する段階;複合体の存在下で、微生物のポリヌクレオチドに特異的な1つまたは複数のプライマーを用いた核酸増幅;ならびに、増幅された核酸の存在を判定し、それによって試料中の微生物の存在を検出する段階。本方法の様々な態様において、液体培地は、mEHEC培地を含み、結合剤は大腸菌O157に特異的な抗体であり、および/または微生物は大腸菌(E. coli)0157である。
【0029】
本発明の特定の態様において、結合剤は磁気ビーズに結合しており、かつ単離は磁石を用いて実施される。
【0030】
本発明の検出方法の特定の態様において、液体培地中の試料の2つまたはそれ以上のアリコートは、それぞれ異なる結合剤と共にインキュベートする。特定の態様において、異なる結合剤は、異なる微生物に特異的である。
【0031】
他の特定の態様において、核酸増幅は、微生物のポリヌクレオチドを増幅することができる2つまたはそれ以上のプライマーセットを用いて実施する。各プライマーセットは異なる微生物のポリヌクレオチドを増幅することができるか、または各プライマーセットは同じ微生物のポリヌクレオチドを増幅することができる。
【0032】
発明の詳細な説明
本発明は、核酸増幅のための試料の調製において有用な新規の方法、組成物、およびキットを提供する。本発明の方法、組成物、およびキットは、様々な方法で用いることができ、かつ特に核酸増幅による試料中の1つまたは複数の微生物の存在の検出における使用に有用である。ある態様において、本発明の方法は、本明細書に記載のように、例えばマトリックスのような試料からの微生物の濃縮または単離を提供し、それによって核酸増幅による微生物の検出を容易にする。本発明の方法およびキットは現在の技術に勝る有意な利点を提供し、ある態様において、核酸増幅の前に細胞を溶解または細胞から核酸を精製する必要なく、試料中の微生物を検出する迅速でかつ信頼性の高い手段を提供することを含む。
【0033】
当業者は、本発明が任意の多数の試料より多種多様な微生物を検出するために用いられ得ることを認識すると考えられる。従って、本発明は本明細書に記載の微生物、試料、および結合剤等の特定の成分に限定されない。
【0034】
試料調製および増幅方法
本発明の方法は、核酸増幅手順のための試料を調製するために用いられ得る。本発明の方法はまた、試料中の微生物の存在を検出するためにも用いられ得る。従って、本発明の方法は、以下を含む多様な関連用途を有する:特定の微生物に関係した疾患もしくは感染の検出または診断;特に定量的またはリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応等の定量的核酸増幅手順を用いる場合の、試料中に存在する微生物の量の測定;および、閾値の微生物が試料中に存在するかどうかの判定。
【0035】
閾値は、主に、被験試料、試料に存在すると推測される微生物の種類、および最大微生物濃度に関連する任意の産業または政府設定標準に依存する。特定の被験試料のための適当な閾値の決定は、適切な適用のために定められるこれらおよび他の任意の標準に基づき、当業者によって容易になされ得る。一つの態様において、閾値は、政府または産業規制基準により許容可能であるとみなされる最大レベルである。ある態様において、閾値は、1×102生物/ml、5×102生物/ml、1×103生物/ml、5×103生物/ml、1×104生物/ml、5×104生物/ml、1×105生物/ml、もしくは5×105生物/ml、またはその間に収まる任意の整数値である。
【0036】
微生物の検出はまた、対照試料と比較して増加した試料中の微生物量の存在に基づいて決定され得る。ある態様において、試料が対照試料より少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍の微生物を含む場合、微生物の存在が検出される。ある態様において、実施される検出の性質によって、対照試料は、検出される微生物を含まないことが分かっている試料(例えば緩衝液)であってよく、または所定量もしくは許容可能量の微生物を含む試料であってよい。さらに、疾患の検出または診断は、疾患を有さない患者由来の対照試料と比較した場合の、試料中の1つもしくは複数の微生物の増加または減少レベルに関連し得る。従って、疾患は、任意の関連する微生物数の増加もしくは減少に基づいて、検出または診断され得る。例えば疾患は、疾患がないことが分かっている対照試料より、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍もしくは少なくとも10倍の微生物を含む場合に、検出または診断され得る。
【0037】
試料中の微生物の検出に関する本発明の一つの態様において、試料は、1つまたは複数の微生物もしくはその成分に結合する薬剤と、一般に微生物に薬剤が結合するのに十分な時間、接触またはインキュベートされる。そのような時間は、用いられる結合剤の特定の種類に応じて、当業者によって容易に決定され得る。ある態様において、薬剤は、後述するように、担体と接合または結合される。他の態様において、薬剤は担体と結合されない。
【0038】
結合剤および微生物の複合体は次いで、結合剤もしくは結合された担体を介して単離、浄化、または濃縮され得る。典型的に、濃縮または精製は、遠心分離または磁石のような物理的手段を使用する。例えば、担体が磁気ビーズである場合、複合体は次いで、磁石を使用した標準的方法の使用により、単離または濃縮してもよい。他の態様において、担体および結合した複合体は、遠心分離を経て単離または濃縮する。結合剤が抗体である他の例においては、ビーズに接合した二次抗体の使用、もしくは抗体に結合するプロテインAセファロースビーズもしくはプロテインGセファロースビーズのような薬剤の使用によって、精製または濃縮が達成される。様々な精製および濃縮方法は当技術分野で公知であり、全てが本発明による実施に適している。特定の態様において、抗体被覆不溶性ビーズまたは抗体被覆磁気ビーズが、精製または濃縮のために用いられる。精製または濃縮された複合体は、例えばその後の核酸増幅に干渉するかもしくは緩衝液を変化させ得る夾雑物を取り除くために洗浄してもよい。
【0039】
一つの態様において、結合剤(例えば抗体)は磁性粒子または磁気ビーズ(例えばDynabeads(登録商標)M-270 (Dynal;Lake Success, NY))に接着されており、かつこれらの磁気ビーズは米国特許第6,468,810号に記載のように、磁石または装置を使用して単離され得る。一つの特定の態様において、使用される装置はBioControl Systems, Inc. (Bellevue, WA)より入手可能なPickPen(商標)(Bio-Nobile;Turku, Finland)である。
【0040】
精製または濃縮された複合体は、次いで核酸増幅のテンプレートまたは基質として使用してよい。一つの態様において、複合体は、使用される特定の核酸増幅方法に適した反応容器へ移動される。しかしながら、別の態様において、核酸増幅は、精製または濃縮に使用したのと同じ容器中で実施される。適した容器は、使用される方法に応じて、例えば、試験管、微量遠心管チューブ、マイクロタイタープレート、スライド、プレート、アレイ、およびマイクロアレイを含む。アレイ(例えばマイクロアレイ)の使用により、複数の試料を試験してもよく、または単一の試料を、複数の微生物に関して試験してもよい。従って、本発明は、例えば高スループットPCR法を含む本明細書において記載の方法を使用した、高スループット方法を含む。
【0041】
当技術分野で公知の任意の様々な異なる核酸増幅手順が、試料中の微生物の存在を検出または判定するために用いられ得る。核酸増幅方法の例は、例えば逆転写-PCRおよびリアルタイムPCRを含む、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)方法を含む。さらに本発明は、例えば核ランオフ法、プライマー伸長、RNアーゼ保護、およびローリングサークル増幅方法などの他の増幅方法を使用して実施してもよく、これらは全て当技術分野において広く公知でかつ入手可能であり、例えば、Sambrook, et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2nd Edition, 1989)およびManiatis et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual(1982)に記載されている。
【0042】
一つの態様において、PCRは、入手可能で正確なリアルタイムPCRを実施する、Rotorgene(商標)(Corbett Research of Sydney, Australia)を使用して実施される。
【0043】
核酸増幅は、微生物のポリヌクレオチドに特異的に結合することができる、1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドまたはプライマーの存在下で実施される。そのような結合は、高いまたは中程度のストリンジェント条件下であってよい。例示を目的とした、本発明のポリヌクレオチドと他のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを試験するのに適切な中程度のストリンジェント条件は、5×SSC、0.5% SDS、1.0 mM EDTA(pH 8.0)の溶液中で予洗する段階;50℃〜60℃、5×SSCで一晩ハイブリダイズする段階;その後、0.1%のSDSを含む各2×、0.5×、および0.2×SSCで20分間、65℃で二回洗浄する段階、を含む。当業者は、例えばハイブリダイゼーション溶液の塩含有量および/またはハイブリダイゼーションを実施する温度を変えることによって、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを容易に操作することができることを理解すると考えられる。例えば、別の態様において、適切な高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション温度を例えば60〜65℃または65〜70℃に増加させることを除き、上記の条件を含む。PCRに基づく増幅方法は、微生物ポリヌクレオチドの領域を増幅することができる2つのプライマーを使用して実施され得る。ある態様において、ポリヌクレオチドはゲノムDNAである。他の態様において、逆転写PCRを、微生物RNAより生成されるcDNAの増幅において使用してもよい。ある態様において、プライマーは、微生物中のポリヌクレオチドの領域に対応するかもしくは相補的な、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも18、少なくとも21、または少なくとも24個のヌクレオチドを含む。
【0044】
関連した態様において、本発明は以下の段階を含む、細胞中の微生物の存在を検出する方法を提供する:微生物に関して一般に上記したように細胞を単離または濃縮する段階;および次いで、微生物ポリヌクレオチド配列の領域に特異的な、またはその増幅を可能にするプライマーを使用して核酸増幅を実施する段階。
【0045】
PCRサイクル(cycling)方法は、当技術分野において周知であり十分に記載されている。本発明の一つの態様において、試料中に存在する細胞を溶解することが可能である核酸増幅方法が使用される。そのような細胞は、検出される微生物であってもよく、または検出される微生物を含んでもよい。一つの態様において、細胞溶解は、細胞を溶解するのに十分なサーモサイクルの前の、最初の加熱段階を含む。しかしながら、他の態様において、1回または複数回のサイクル中に細胞を溶解するサーモサイクル条件が選択される。そのような方法は当技術分野において公知であり、細菌のPCRに基づく分析に関連する方法(例えばPCRミニプレップ)において既に述べられている。
【0046】
本発明はまた、その後の核酸増幅手順のための試料を調製する方法も含む。
【0047】
特定の態様において、本発明は、不溶性微小粒子を使用して細胞を捕獲し、次いで直接核酸増幅のために細胞/粒子複合体を使用する核酸増幅検出と共に使用するのに適した試料調製方法を提供する。ある態様において、本方法は、別々の洗浄、細胞溶解、核酸抽出、または精製段階を必要とせず、かつ細胞/粒子複合体は、成長用の他の培養培地へ移動させる必要はない。
【0048】
他の特定の態様において、本発明は、抗体被覆不溶性ビーズの使用により、対象の微生物を捕獲し、かつ担体マトリックスからそれらを除去する方法を提供する。一つの好ましい態様において、ビーズは磁性粒子であり、物理的手段によって細胞/粒子複合体を濃縮し、上清を除去し、および細胞/粒子複合体を再懸濁し、密封反応容器(例えばPCRチューブ)に直接細胞/粒子複合体を移動し、ならびに密封反応容器を開くことなく増幅の最初の数サイクルの間に、細胞が溶解され、かつDNAが反応容器中に放出されるような条件下で、核酸増幅検出アッセイを実行する。
【0049】
本発明の方法のある態様において、試料調製は希釈および濃縮段階を含む。希釈および濃縮段階は、一般に溶液、典型的には大腸菌O157および他の近縁のラクトース発酵微生物を選択的に培養する成長支持性培地(例えばmEHEC、LB、Terrific Broth、YT、EHEC8)(Biocontrol; Bellevue, WA)、SOBもしくはSOB、またはそれらの希釈液中に試料を懸濁する段階、ならびに試料中の微生物の成長を促進するのに適した温度(例えば20℃、25℃、30℃、37℃、または42℃)で溶液中の試料をインキュベートする段階を含む。1つの特定の態様において、濃縮は、希釈されたEHEC8培地中に試料を配置し、42℃で6時間それをインキュベートすることによって実施される。一つの態様において、希釈および濃縮段階は、試料中の微生物量の増幅を可能にし、それによって、微生物の検出を容易にする。他の態様において、希釈および濃縮段階は、固体試料またはマトリックス試料に対して有利であり、ここで希釈は微生物の放出およびその後の検出を容易にする。従って、ある態様において、増幅前の試料調製は、試料を希釈する段階および/または試料中の微生物を濃縮する段階を含む。
【0050】
本発明の微生物を検出する方法の一つの特定の態様においては、試料を希釈し、かつ、例えばmEHEC培地のような培地を含む液体に試料を配置し、微生物成長を支持する温度(例えば37℃または42℃)で約2〜24時間、4〜8時間、または6時間希釈試料をインキュベートすることによって、微生物を濃縮する。希釈試料またはその一部を、抗大腸菌O157抗体(Fitzgerald;Concord、MAより入手可能)などの、対象微生物に特異的な接着抗体を有する磁気ビーズと共にインキュベートする。インキュベーションに続いて、ビーズおよび任意の結合した微生物は、磁石または磁気装置(例えばPickPen)を用いて溶液から単離する。ビーズは、結合していない細胞およびその他の材料を除去するために、任意で洗浄してもよい。ビーズまたはビーズに接着した微生物は次いで、対象の微生物に特異的なプライマーを用いて、その後のPCR分析法のための反応チューブに配置される。
【0051】
本発明の方法は、単一の微生物または複数の異なる微生物を検出するために用いてもよいことが理解される。従って、(希釈および濃縮の前または後の)試料のアリコートを、1つまたは複数の異なる微生物に特異的な、様々な異なる結合剤と共にインキュベートし、次いで、1つまたは複数の異なる生物に特異的なプライマーを用いたPCRを経て処理し、1つまたは複数の微生物の有無または量を判定してもよい。従って、ある態様においては、試料のアリコートを、微生物に特異的な結合剤と共にインキュベートし、その後結合した微生物の存在を、微生物に特異的な様々なプライマーセットを用いて検出する。他の関連した態様においては、試料のアリコートを、異なる微生物に特異的な一連の結合剤と共にインキュベートし、結合した微生物の存在を、結合した微生物のそれぞれに特異的なプライマーセットを用いて検出する。他の関連した態様において、結合剤は例えばグラム陽性またはグラム陰性細菌などの幅広い種類の微生物に結合してもよく、かつ特定の微生物の存在はそのような微生物に特異的なプライマーを用いたPCRを実施することによって判定する。
【0052】
試料
本発明は、様々な試料中の1つまたは複数の微生物の存在を検出するために用いてよい。関連した態様において、本発明は、微生物の存在の分析のための任意の多種多様な試料を調製するために使用してもよい。ある態様において、本発明は、マトリックスである試料中で微生物の存在を調製または検出するために有用である。マトリックスはまた、微生物がマトリックス中に存在することを示す担体マトリックスとも称される。本発明によると、マトリックス試料は、微生物の他に成分を含む試料である。複合マトリックス試料は、微生物の他に複数の成分を含む。ある態様において、マトリックス試料は、固体マトリックス試料であり、および固体成分を含む。特定の態様において、マトリックス試料のさらなる成分は、微生物の核酸の増幅を干渉または阻害し得る。他の態様において、さらなる成分は、核酸の獲得または単離に対して物理的障壁を示し得る。さらなる成分はまた、マトリックス試料中に存在する微生物の核酸増幅が成功する可能性を、試料中に存在する微生物の濃度を効果的に低下させる希釈効果によって低下させる。マトリックス試料の例は、食品、飲料、薬学的組成物、および化粧品を含むが、これらに限定されない。
【0053】
ある態様において、本発明は、液体および/または固体試料の使用を企図する。ある態様において、固体試料は、液体中に懸濁または溶解される。他の態様において、固体試料を液体中に浸漬させ、微生物を試料から液体中に放出してもよく、次いで液体を本発明の方法に従って試験または調製してもよい。
【0054】
ある態様において、本発明は、任意の飲料または食品中で1つまたは複数の微生物の存在を検出するために用いられ得る。飲料の例は、乳製品(例えば牛乳およびクリーム);アルコール飲料(例えばビールおよびワイン);ジュース、ならびに水を含むが、これらに限定されない。水は、飲用または飲料水を含むが、これらに限定されない。食品の例は、乳児食、包装食品、冷凍食品、卵類、乳製品(例えば、ヨーグルトおよびチーズを含む)、ならびに肉および挽き肉(例えば、鶏肉、豚肉、牛肉およびラムを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0055】
他の態様において、試料は、組織(例えばヒト組織)または体液(例えば血液、尿、髄液または他の類似の体液)である。関連した態様において、本発明は、血液製剤および薬学的調製物中の微生物の存在を検出するための試料の検出または調製において用いられ得る。例えば、本発明は、輸血に適した濃縮物を含む、全血、血小板、赤血球および/または白血球を含む調製物中の細菌を検出するために用いられ得る。
【0056】
他の態様において、本発明は、環境試料中の微生物の存在を検出するために用いられ得る。環境試料は、任意の供給源由来であり得る。試料は、野外でまたは屋内で見出され得る。環境試料の例は、ほこり、塵、植物、および水試料を含むが、これらに限定されない。例えば、水泳プール、加熱冷却システム、および自然または屋外の水(例えば湖および川)由来の水を含む、任意の供給源由来の水を本発明に従って試験してもよい。生物戦薬剤の検出に関連し得る一つの態様において、試料は未知の供給源由来であってよく、例えば、粉末または液体または空気微粒子であってよい。
【0057】
ある態様において、試料は、薬学的調製物、化粧品または個人用衛生製品を含む。
【0058】
微生物
本発明の方法、組成物、およびキットは、任意の多数の微生物を含むかまたは含むと推測される試料を調製するために用いられ得る。従って、本発明は、試料中の任意の対象微生物の存在を単離および/または検出するために用いられ得る。ある態様において、本発明は、試料中の病原微生物の存在を検出するための試料を調製するために用いられ得る。
【0059】
微生物の例は、細菌(グラム陽性およびグラム陰性細菌の両方を含む)、細菌胞子、酵母、他の真菌類、ウイルスおよびバクテリオファージを含むが、これらに限定されない。本発明の特定の態様において、微生物は細胞であり、一方で、他の態様において、微生物は細胞中に存在し得る。従って、本発明の1つの特定の態様において、微生物を含む細胞に結合する薬剤が、細胞中に存在する微生物の核酸を増幅するプライマーと組み合わせて用いられる。ある態様において、微生物は生細胞であり、一方で、他の態様において、微生物は死細胞である。生細胞は、完全な細胞膜を有し、実際にまたは潜在的に代謝的活性がある細胞である。本明細書中で用いるように、胞子および嚢胞は、生細胞の例である。他の態様において、微生物は、非生細胞である。
【0060】
ある態様において、本発明は任意の感染因子を検出するために用いられ得る。本明細書中で用いるように、「感染因子」は、宿主に感染することができる任意の生物である。感染因子は、例えば、細菌、ウイルス、真菌類、および原生動物を含む。感染因子は、生物戦薬剤でありえる。生物戦薬剤は、ヒト、動物、または植物に死または疾患をもたらす能力を有するウイルス、細菌、真菌類、および毒素を含む。感染因子の例は、以下を含むが、これらに限定されない:アクチノバチルス種(Actinobacillus spp.)、放線菌種(Actinomyces spp.)、アデノウイルス(1、2、3、4、5、および7型)、アデノウイルス(40および41型)、アエロコッカス種(Aerococcus spp.)、アエロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、十二指腸虫(Ancylostoma duodenale)、広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)、回虫(Ascaris lumbricoides)、カイチュウ属種(Ascaris spp.)、アスペルギルス種(Aspergillus spp.)、バシラス・アンスラシス(Bacillus anthracis)、バシラス・セレウス(Bacillus cereus)、バクテロイデス種(Bacteroides spp.)、大腸バランチジウム(Balantidium coli)、桿菌状バルトネラ(Bartonella bacilliformis)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、ブルータングウイルス、気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・バーグドフェリ(Borrelia burgdorferi)、カタル球菌(Branhamella catarrhalis)、ブルセラ属種(Brucella spp.)(B.アボルタス(abortus)、B.カニス(canis)、B.メリテンシス(melitensis)、B.スイス(suis))、ブルギア種(Brugia spp.)、ブルクホルデリア(Burkholderia)(シュードモナス(Pseudomonas))マレイ、ブルクホルデリア(シュードモナス)シュードマレイ(pseudomallei)、カリフォルニア血清型、カンピロバクター・フィタス亜種フィタス(Campylobacter fetus subsp. Fetus)、カンピロバクター・ジェジュニ(jejuni)、C.コリ(C. coli)、C.フィタス亜種ジェジュニ(C. fetus subsp. Jejuni)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カプノシトファガ属種(Capnocytophaga spp.)、クラミジア・シッタシ(Chlamydia psittaci)、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)、シトロバクター属種(Citrobacter spp.)、肝ジストマ(Clonorchis sinensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、クロストリジウム種(Clostridium spp.)(上記の種以外)、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、コロラドダニ熱ウイルス、コリネバクテリウムジフセリエ(Corynebacterium diphtheriae)、コクシエラ・バーネッティイ(Coxiella burnetii)、コクサキーウイルス、クロイツフェルトヤコブ因子、クールー因子、クリミア−コンゴ出血熱ウイルス、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)、サイトメガロウイルス、デング熱ウイルス(1、2、3、4)、ジフテロイド菌、東部(西部)ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、単包条虫(Echinococcus granulosus)、多包条虫(Echinococcus multilocularis)、エコーウイルス、エドワードシエラ・タルダ(Edwardsiella tarda)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、エンテロバクター属種(Enterobacter spp.)、腸内ウイルス70、有毛表皮糸状菌(Epidermophyton floccosum)、小胞子菌属種(Microsporum spp.)、白せん菌種(Trichophyton spp.)、エプスタイン-バーウイルス、大腸菌、腸管出血性大腸菌、腸管組織侵入性大腸菌、腸管病原性大腸菌、腸毒素原性大腸菌種、大腸菌O157、大腸菌O55:H7、大腸菌O111、および大腸菌O126、肝蛭(Fasciola hepatica)、野兎病菌(Francisella tularensis)、フゾバクテリウム属種(Fusobacterium spp.)、ゲメラ・ヘモリサンス(Gemella haemolysans)、ランブルべん毛虫(Giardia lamblia)、軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)(b群)、ハンタウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヘルペスウイルス・シミエ(Herpesvirus simiae)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、ヒトコロナウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、ヒトロタウイルス、ヒトTリンパ増殖性ウイルス、インフルエンザウイルス、フニンウイルス/マクポウイルス、クレブシエラ種(Klebsiella spp.)、キャサヌール森林病ウイルス、乳酸桿菌属種(Lactobacillus spp.)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、リーシュマニア属種(Leishmania spp.)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、リステリア種(Listeria spp.)、オリオメニンギティス(oriomeningitis)ウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、球菌属種(Micrococcus spp.)、モラクセラ属種(Moraxella spp.)、マイコバクテリア種(Mycobacterium spp.)(ウシ結核菌(M. bovis)、結核菌(M. tuberculosis)、トリ結核菌(M. avium)、らい菌(M. leprae)以外)、結核菌、ウシ結核菌、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、M.オラーレ(orale)、M.サリバリウム(salivarium)、M.ファーメンタンス(fermentans)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、ネグレリア・フォーレリ(Naegleria fowleri)、アメリカ十二指腸虫(Necator americanus)、ナイセリア・ゴノロエエ(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、ナイセリア属種(N. ゴノロエエおよび髄膜炎菌以外)、ノカルジア属種(Nocardia spp.)、ノーウォークウイルス、オムスク出血熱ウイルス、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、オピストルキス種(Opisthorchis spp.)、パルボウイルスB19、パスツレラ属種(Pasteurella spp.)、ペプトコッカス属種(Peptococcus spp.)、ペプトストレプトコッカス属種(Peptostreptococcus spp.)、プレシオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、ポワッサン脳炎ウイルス、プロテウス属種(Proteus spp.)、シュードモナス種(P.マレイ、P.シュードマレイ以外)、狂犬病ウイルス、呼吸系発疹ウイルス、ライノウイルス、痘瘡リケッチア(Rickettsia akari)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カナダリケッチア(R. canada)、斑点熱リケッチア(Rickettsia rickettsii)、ロス川ウイルス/オニョンニョン熱ウイルス、風疹ウイルス、豚コレラ菌(Salmonella choleraesuis)、パラチフス菌(Salmonella paratyphi)、チフス菌(Salmonella typhi)、サルモネラ種(Salmonella spp.)(上記の種以外)、住血吸虫種(Schistosoma spp.)、スクレイピー因子、セラチア属種(Serratia spp.)、赤痢菌種(Shigella spp.)、シンドビスウイルス、スポロスリックス・シェンキー(Sporothrix schenckii)、セントルイス脳炎ウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、大便連鎖球菌(Streptococcus faecalis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、唾液連鎖球菌(Streptococcus salivarius)、カギナシサナダ(Taenia saginata)、カギサナダ(Taenia solium)、イヌ回虫(Toxocara canis)、ネコ回虫(T. cati)、トキソプラズマ・ゴンヂ(Toxoplasma gondii)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、旋毛虫属種(Trichinella spp.)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、鞭虫(Trichuris trichiura) 、トリパノソーマ・ブルーセイ(Trypanosoma brucei)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ベネズエラウマ脳炎、水疱性口内炎ウイルス、コレラ菌(Vibrio cholerae)、血清型01、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、西ナイルウイルス、バンクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti)、黄熱病ウイルス、エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)、偽結核エルシニア菌(Yersinia pseudotuberculosis)、ならびにペスト菌(Yersinia pestis)。
【0061】
本方法、キット、および組成物は、血小板のような血液製剤の細菌汚染と関連した微生物の検出のための試料を調製するために用いられ得る。そのような微生物の例は、黄色ブドウ球菌、クレブシエラ肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、およびスタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)を含むが、これらに限定されない。他の単離された生物は、サルモネラ属種、大腸菌、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、およびバシラス・セレウスを含む。
【0062】
ある態様において、微生物は、例えば細菌および真菌類を含む生物戦薬剤である。本発明に従って検出され得る細菌および胞子の例は、以下を含むが、これに限定されない:バシラス・アンスラシス、バシラス・セレウス、ボツリヌス菌、ペスト菌、エンテロコリチカ菌、野兎病菌、ブルセラ属種、ウェルシュ菌、ブルクホルデリア・マレイ、ブルクホルデリア・シュードマレイ、スタフィロコッカス(Staphylococcus)種、結核病種、大腸菌、A群連鎖球菌、B群連鎖球菌、肺炎連鎖球菌、ヘリコバクター・ピロリ、野兎病菌、腸炎菌(Salmonella enteritidis)、マイコプラズマ・ホミニス、マイコプラズマ・オラーレ、マイコプラズマ・サリバリウム、マイコプラズマ・ファーメンタンス、マイコプラズマ・ニューモニエ、ウシ結核菌、結核菌、トリ結核菌、らい菌、斑点熱リケッチア、痘瘡リケッチア、発疹チフスリケッチア、カナダリケッチア、およびコクシエラ・バーネッティイ。
【0063】
酵母および他の真菌類微生物の例は、以下を含むが、これらに限定されない:アスペルギルス(例えば黒色麹菌(Aspergillus niger))、ムコール・プシルス(Mucor pusillus)、クロネ(Rhizopus nigricans)、カンジダ種(例えばカンジダ・アルビカンス、カンジダ・ドゥブリニエンシス(dubliniensis)、C.パラシローシス(parapsilosis)、C.トロピカリス(tropicalis)、およびC.シュードトロピカリス(pseudotropicalis))、トルロプシス・グラブラータ(Torulopsis glabrata)、ブラストミセス・デルマティティディス、コクシジオイデス・イミティス、ヒストプラスマ・カプスラーツム、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、およびスポロスリックス・シェンキー。
【0064】
結合剤
微生物に結合する任意の様々な薬剤は、例えば、ポリペプチド、糖、および核酸を含み、本発明に従って用いられ得る。本発明の好ましい態様において、薬剤は、1つまたは複数の微生物に特異的に結合する。
【0065】
ある態様において、結合剤は、微生物に特異的な抗体である。他の態様において、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはその断片である。本発明の文脈の中で、抗体は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗イディオタイプ抗体、ヒト化抗体、Primatized(商標)抗体、および抗体断片(例えばFab、およびF(ab')2、Fv可変領域または相補性決定領域)を含むことが理解される。抗体は、それらが10-7M以上、好ましくは10-8M以上のKdで結合する場合、特異的であると認められる。モノクローナル抗体または結合パートナーの親和性は当業者によって容易に決定され得る(Scatchard, Ann. N.Y. Acad. Sci. 51: 660-672, 1949を参照されたい)。一旦適した抗体が獲得されると、それらは当業者に周知の多くの技術によって単離または精製され得る。
【0066】
抗体は、当技術分野において利用可能な任意の手段によって生産され得る。例えば、微生物または細胞表面分子に対する抗体は、微生物、ペプチド、ポリペプチド、または細胞(もしくはその膜調製物)を用いたマウス、ラット、ウサギ、または他の動物の免疫化によって産生され得る。様々な免疫化プロトコールは、例えば、Harlow and Lane Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988、および Coligan et al. Current Protocols in Immunology, Greene Publishing, 1995に見出され得る。免疫化の後、ハイブリドーマを生成するために脾臓もしくはリンパ節を収集するか、またはポリクローナル抗体のために血清を収集する。ハイブリドーマは当技術分野において利用可能な任意の方法によって生成され得る(プロトコールについては、米国特許第RE 32,011、4,902,614、4,543,439、および4,411,993号;Harlow and Lane, 上記、およびColigan et al., 上記;を参照されたい)。抗体分泌ハイブリドーマを増殖させ、ELISA、切片染色、フローサイトメトリ、共焦点顕微鏡検査などによって、免疫化する微生物、ペプチド、ポリペプチド、または細胞への結合に関して抗体を試験する。一つの態様において、核酸増幅のために用いられる結合剤またはプライマーは、標識されるかまたは直接もしくは間接的に検出可能である標識を含む。ある態様において、標識は、印加した電磁エネルギー(例えば紫外または可視光)に反応して視覚的または装置を用いて検出され得る放射シグナルを提供することができる、蛍光化合物であってもよい。標識は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)に基づく検出方法(例えばフルオレセインおよびローダミン)に用いられる標識を含む。
【0067】
ある態様において、薬剤は、1つまたは複数のバクテリアに結合する。一つの態様において、結合剤は、細菌の細胞表面またはその成分に特異的に結合する。結合剤は、細菌の1つまたは複数の異なる種類または株に対して特異的であってよい。ある態様において、結合剤は、グラム陽性細菌、もしくはグラム陰性細菌、またはその両方に結合する。ある態様において、結合剤または抗体は、全てまたは多数の異なる細菌を認識する。ある態様において、結合剤は細菌表面の成分に対して向けられる。一つの特定の態様において、結合剤は、大腸菌O157に特異的な抗体である。他の態様において、結合剤は、リステリア種およびリステリア菌を含むリステリア属に特異的な抗体である。他の態様において、結合剤はサルモネラ種に特異的な抗体である。さらに別の態様において、結合剤はカンピロバクター種に特異的な抗体である。そのような抗体は、例えば、Fitzgerald Industries; Concord, MA and East Coast Biologics; North Berwick, MEを含む製造業者および販売業者より市販されている。本発明の一つの態様において、微生物に結合する2つまたはそれ以上の薬剤が用いられる。これらの薬剤は、同じかまたは異なる微生物に結合し得る。例えば、それぞれが異なる病原細菌に特異的に結合するいくつかの薬剤が、試料中で任意のまたは全てのそのような細菌の存在を判定するために、本発明に従って組み合わせて用いられ得る。
【0068】
本発明の好ましい態様において、微生物(または微生物を含む細胞)に結合する薬剤は、微生物もしくは細胞の濃縮、単離または精製を容易にするために用いられ得る担体に結合または接合される。多種多様な適した担体が当技術分野において公知かつ入手可能である。当業者は、特定の結合剤と共に用いるための特定の担体の適否を容易に決定することが可能である。本発明に従って用いられ得る担体の例は、ビーズ、粒子、微小粒子、不溶性微小粒子、磁気ビーズ、不溶性ビーズ、ラテックスビーズ、プラスチックビーズ、アガロースヒドラジドビーズ、アガロースビーズ、セファロース、およびセファデックスを含むが、これらに限定されない。本発明の一つの態様において、担体は不溶性であるが、別の態様において、担体は可溶性である。そのような試薬は、広く市販されている。
【0069】
ある態様において、担体は、物理的支持体、例えばビーズまたは微小粒子であり、結合した微生物もしくは細胞の、例えば遠心分離を介した濃縮または単離を容易にする。他の態様において、担体は、結合した微生物もしくは細胞の、例えば磁石の使用を介した濃縮または単離を容易にする、金属または磁気ビーズである。
【0070】
一つの特定の態様において、担体および結合剤の組み合わせには、微生物または細胞に特異的な抗体(例えばモノクローナル抗体)で被覆したビーズが含まれる。
【0071】
組成物およびキット
本発明は、本発明の1つまたは複数の方法に従って用いられ得る組成物およびキットをさらに提供する。例えば、ある態様において、本発明のキットは核酸増幅のための試料を調製するのに適応し、他の態様においては、本発明のキットは試料中の微生物の存在を検出するのに適応する。本発明のキットは、それらの使用に関する説明書を含み得る。下記のように、様々な異なる成分が本発明のキット中に存在し得る。本発明には、以下に記載する具体的な組み合わせおよび態様を含むあらゆる成分の組み合わせを含むキットが含まれる。
【0072】
ある態様において、核酸増幅のための試料の調製のためのキットは、微生物に特異的に結合する1つまたは複数の薬剤を含む。ある態様において、本薬剤は、結合した微生物の単離または濃縮を典型的に容易にする担体に接合されている。特定の態様において、薬剤は、抗体(例えばモノクローナルもしくはポリクローナル抗体またはその断片)である。キットは、選択された微生物の1つまたは複数に特異的に結合する、1つまたは複数の薬剤を含むことによって、1つまたは複数の特定の微生物の検出に適応し得る。キットは、複数の微生物に結合する薬剤を含むことによって、複数の微生物の検出にも適応し得る。
【0073】
他の態様において、微生物の検出のためのキットは、微生物ポリヌクレオチドの核酸増幅に適した1つまたは複数のプライマーを含む。核酸増幅手順(例えばポリメラーゼ連鎖反応)に適したプライマーを選択および調製する方法は、当技術分野において広く公知でありかつ利用可能である。一つの態様において、プライマーは、キットに含まれる薬剤によって特異的に結合している、同じ微生物または選択された一連の1つもしくは複数の微生物のポリヌクレオチドに特異的である。検出される微生物が被験試料中に存在する細胞中に存在し得る場合などの代替の態様において、プライマーは、細胞中に存在するかまたは存在すると推測される、1つもしくは複数の微生物に特異的であってよく、かつ薬剤は細胞に特異的に結合する。
【0074】
本発明のキットはまた、例えば、1つまたは複数のヌクレオチドまたはその類似体のような核酸増幅のための試薬、緩衝液、および熱安定性ポリメラーゼ(例えばTaqポリメラーゼ)のようなポリメラーゼを任意で含んでもよい。
【0075】
本発明の組成物は、例えば担体に接合した結合剤を含む、本発明の方法を実施するために使用される任意の試薬を含む。
【0076】
本発明の実施は、そうでないと具体的に示されない限り、当技術分野の範囲内で、ウイルス学、免疫学、微生物学、分子生物学、および組換えDNA技術の従来の方法を使用すると考えられ、その多くが説明のために以下に記載される。そのような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Sambrook, et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989); Maniatis et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual(1982); DNA Cloning: A Practical Approach, vol. I & II (D. Glover, ed.); Oligonucleotide Synthesis(N. Gait, ed., 1984); Nucleic Acid Hybridization(B. Hames &S. Higgins, eds., 1985);Transcription and Translation(B. Hames &S. Higgins, eds., 1984); Animal Cell Culture(R. Freshney, ed., 1986); Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)を参照されたい。
【0077】
本明細書中に言及され、かつ/または出願データシート(Application Data Sheet)中に記載される、上記の米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物の全て、ならびにそこに引用される参照文献および特許は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0078】
実施例1
試料中の細菌の検出
試料中の細菌の有無は、試料調製、および増幅、および検出の段階を使用する以下の手順に従って判定される。
【0079】
以下の段階に従って、試料希釈・濃縮培地(Sample Dilution and Enrichment Media)に試料を懸濁し、検出する細菌に特異的な抗体を接着したDynal M-270磁気ビーズと共に試料をインキュベートし、接着した抗体に結合した磁気ビーズおよび任意の関連した細菌を単離することによって、その後の増幅および検出のための試料を調製する。
【0080】
試料希釈・濃縮培地は、225mlの予熱した(42℃)滅菌水中に7.1gのmEHEC培地を懸濁することによって調製する。約25gの試料を試料希釈・濃縮培地に添加し、約6時間、42℃でインキュベートし、濃縮試料(Enriched Sample)を生成した。試料試薬(Sample Reagent)は、0.0001〜1%のタンパク質を有するpH6.5〜9.0の緩衝液中に、1:1〜1:50の比率で磁気ビーズに抗体を接着させたものを希釈することによって調製する。
【0081】
20μlの試料試薬を96穴プレート(試料ブロック(Sample Block))のそれぞれのウェルに配置し、1mlの濃縮試料をそれぞれのウェルに添加する。試料ブロックを接着フィルムによって被覆し、および900 rpmで5分間ボルテックスで混合する。
【0082】
50mm濃度以下の任意の非リン酸緩衝液からなる25μlの再懸濁緩衝液(Resuspension Buffer)を、第2の96穴プレート(懸濁プレート(Suspension Plate))の、それぞれのウェルに配置する。PickPen(商標)を磁石を伸ばした状態で試料ブロックの第一列に挿入し、かつ30秒間のらせん状上下運動で撹拌し、それによってPickPen(商標)磁石に磁気ビーズが結合するのを促進する。次にPickPen(商標)を懸濁プレートの第一列に挿入し、かつ磁石を引っ込めて再懸濁緩衝液中にビーズを放出する。本手順を、試料ブロックの全ての列に対して繰り返す。
【0083】
Taq緩衝液(Taq Buffer)は、Tris緩衝液(pH 8.7);10〜100mmの塩化ナトリウム;0.2〜5Mのベタイン;および2〜40%のグリセリンからなるTaq懸濁緩衝液(Taq Dilution Buffer)中に、Taq(登録商標)酵素を適当な単位濃度にまで希釈することによって調製する 。
【0084】
磁気ビーズに結合された細菌中のポリヌクレオチドの増幅は、2〜8℃に冷却した各PCRチューブに5μlのTaq緩衝液を添加することによって行う。懸濁プレートの各ウェルからの液体20μlを、別々に調製したPCRチューブに移動する。PCRチューブをRotorgeneに配置し、増幅を行う。増幅混合物は、検出する細菌に特異的な遺伝子に対するフォワードおよびリバースプライマー;同じ細菌遺伝子標的に特異的な蛍光プローブ;フォワードおよびリバースプライマーならびに増幅対照のための蛍光プローブ;10〜10,000コピーの増幅対照遺伝子;および増幅反応に必要な塩類を、全て凍結乾燥した混合物中に含む。増幅が進行するにつれて、細菌遺伝子標的に結合する蛍光プローブに特異的な波長の蛍光の増加により、細菌特異的遺伝子の存在が判定される。細菌遺伝子標的の非存在下では、この波長のシグナルが無く、かつ増幅対照遺伝子に結合する蛍光プローブの波長のシグナルにより、有効な反応が生じたことが示される。
【0085】
上記のことから、本発明の具体的な態様を説明のために本明細書に記載してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な改変を行ってもよいことが認識されると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、試料中の微生物の存在を検出する方法:
(a)薬剤を微生物に結合させるのに十分な時間、微生物またはその成分に結合する薬剤と試料を接触させる段階;
(b)薬剤および微生物を含む複合体を濃縮または単離する段階;
(c)段階(b)の複合体の存在下で、微生物のポリヌクレオチドに特異的な1つまたは複数のプライマーを用いて、核酸増幅を実施する段階;ならびに、
(d)増幅された核酸の存在を判定し、それによって試料中の微生物の存在を検出する段階。
【請求項2】
核酸増幅を実施する前に、微生物DNAを抽出せずに微生物/濃縮薬剤複合体を反応容器に移動する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
薬剤が担体に結合している、請求項1記載の方法。
【請求項4】
担体が、ビーズ、粒子、微小粒子、不溶性微小粒子、磁気ビーズ、不溶性ビーズ、ラテックスビーズ、プラスチックビーズ、アガロースヒドラジドビーズ、アガロースビーズ、セファロース、およびセファデックスからなる群より選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
試料が、食品、環境試料、水、および飲料からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
微生物が、細菌および酵母からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
薬剤が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および抗体断片からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
濃縮または単離が遠心分離または磁石の使用によって実施される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
核酸増幅がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって実施される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
核酸増幅が逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって実施される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
核酸増幅がリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(リアルタイムPCR)によって実施される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
微生物が溶解した条件下で、核酸増幅が実施される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
核酸増幅が反応容器中で実施される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
反応容器が、チューブ、スライド、プレート、マイクロタイタープレート、アレイ、およびマイクロアレイからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
以下の段階を含む、核酸増幅によって試料中の微生物の存在を検出するのに適した試料を調製する方法:
(a)薬剤を微生物に結合させるのに十分な時間、微生物またはその成分に結合する薬剤と試料を接触させる段階;ならびに、
(b)薬剤および微生物を含む複合体を濃縮または単離する段階。
【請求項16】
試料が、食品、環境試料、水、および飲料からなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
微生物が、細菌および酵母からなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
薬剤が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および抗体断片からなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項19】
濃縮または単離が遠心分離または磁石の使用によって実施される、請求項15記載の方法。
【請求項20】
以下の段階を含む、核酸増幅のための対象の微生物を含む担体マトリックスの試料調製のための方法:
(a)抗体被覆粒子と担体マトリックスを接触させ、対象の微生物を捕獲し、細胞/粒子複合体を作製する段階;
(b)物理的手段によって細胞/粒子複合体を濃縮する段階;および
(c)反応容器内への配置の前に核酸を抽出せずに、核酸増幅のための密封反応容器内に細胞/粒子複合体を配置する段階。
【請求項21】
微生物が細菌生細胞である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
担体マトリックスが食品である、請求項20記載の方法。
【請求項23】
食品が牛挽肉である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
以下を含む、核酸増幅のための試料の調製のためのキット:
(a)微生物に特異的に結合する薬剤;および
(b)その取扱説明書。
【請求項25】
以下を含む、核酸増幅のための試料の調製のためのキット:
(a)微生物に特異的に結合する薬剤;および
(b)微生物に特異的な1つまたは複数のプライマー。
【請求項26】
薬剤が抗体である、請求項24または25記載のキット。
【請求項27】
薬剤が担体と結合している、請求項24または25記載のキット。
【請求項28】
担体が、ビーズ、粒子、微小粒子、不溶性微小粒子、磁気ビーズ、不溶性ビーズ、ラテックスビーズ、プラスチックビーズ、アガロースヒドラジドビーズ、アガロースビーズ、セファロース、およびセファデックスからなる群より選択される、請求項27記載のキット。
【請求項29】
ヌクレオチド、緩衝液、およびポリメラーゼからなる群より選択される1つまたは複数のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬をさらに含む、請求項25記載のキット。
【請求項30】
以下の段階を含む、試料中の微生物の存在を検出する方法:
(a)微生物の成長を支持する液体培地に試料を希釈する段階;
(b)微生物を成長させるのに十分な時間および条件下で、液体培地中の試料をインキュベートする段階;
(c)段階(b)の後の液体培地中の試料またはそのアリコートを、薬剤を微生物に結合させるのに十分な時間、微生物またはその成分に結合する薬剤と接触させる段階;
(d)薬剤および微生物を含む複合体を単離する段階;
(e)段階(d)の複合体の存在下で、微生物のポリヌクレオチドに特異的な1つまたは複数のプライマーを用いて核酸増幅を実施する段階;ならびに
(f)増幅された核酸の存在を判定し、それによって試料中の微生物の存在を検出する段階。
【請求項31】
核酸増幅を実施する前に、微生物DNAを抽出せずに反応容器に微生物/濃縮薬剤複合体を移動する段階をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
液体培地がEHEC培地を含み、結合剤が大腸菌(E. coli)O157に特異的な抗体であり、かつ微生物が大腸菌O157である、請求項30記載の方法。
【請求項33】
結合剤が磁気ビーズと結合しており、かつ段階(d)による複合体の単離が磁石を用いて実施される、請求項30記載の方法。
【請求項34】
液体培地中の試料の2つまたはそれ以上のアリコートが、それぞれ異なる結合剤と共にインキュベートされる、請求項30記載の方法。
【請求項35】
異なる結合剤が、異なる微生物に特異的である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
微生物のポリヌクレオチドを増幅することができる2つまたはそれ以上のプライマーセットを用いて、核酸増幅が実施される、請求項30記載の方法。
【請求項37】
各プライマーセットが、異なる微生物のポリヌクレオチドを増幅することができる、請求項36記載の方法。
【請求項38】
各プライマーセットが、同じ微生物のポリヌクレオチドを増幅することができる、請求項36記載の方法。

【公表番号】特表2007−504835(P2007−504835A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526416(P2006−526416)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/030119
【国際公開番号】WO2005/028680
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(501062637)バイオコントロール システムズ,インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】