説明

微生物培養デバイス及びその動作方法

【課題】 例えばマイクロフルイディクス細胞培養デバイスのような微生物培養デバイス(100)を提供する。
【解決手段】 デバイスは、開放チャンバ(10)を有し、ここで微生物は、研究のために液体内に入れられる。開放チャンバは、微生物を入れることを簡単にする。更にチャンバは、保持構造(11)を備えており、これにより微生物はこの中に保持されることができる。更にデバイスは、オーバーフロー領域(20)を備えており、ここで毛管構造(22)は、例えばデバイスがカバーで封鎖されるときに、開放チャンバからあふれ出た過剰の液体を保持するように構成されている。この結果、微生物をチャンバ内に閉じこめ、一方過剰流体はこのデバイスをカバーで封止するためにこの室の外部で捕捉される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、微生物培養デバイスの分野に関し、更に具体的にいうならば、細胞培養のためのマイクロフルイディクス(マイクロ流体)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
微生物の培養は、生物化学、臨床化学及びバイオテクノロジーにおいて使用される。これは微生物培養デバイスを使用する。
【0003】
生細胞は、生物学において広く使用されている微生物の例である。第1に、最も一般的な培養方法は、ペトリ皿若しくはT型培養瓶の底部での培養を含む。このようなデバイスの場合、液体及び平らでない空気−液体/細胞界面の存在は、例えば正立顕微鏡を使用する場合に細胞の結像度を減少する。細胞は又、培養皿の底部が良好に規定された界面を生じるので、倒立顕微鏡を使用して観察されることができる。しかしながら、高倍率においては(>40倍)、焦点深度が問題になる。しばしば薄いカバー・ガラスが細胞の上に(正立顕微鏡の場合)に置かれ、若しくは細胞の下に(倒立顕微鏡の場合)置かれる。カバー・ガラスを位置決めすることは、例えば細胞を押さないように、液体の厚い層を封じ込めないように、若しくはカバー・ガラス及び培養皿の間に漏洩を生じさせないようにするためには、経験的な技術を必要とする。更に、カバー・ガラスに附いた試料は再使用できない。従って、最も一般的な培養方法で細胞を観察することは困難である。
【0004】
第2に、この分野で周知のマイクロフルイディクス(微少流体を扱う最先端技術)で細胞を培養及び研究することは、有益である。その理由は、(i)これが、培養することが困難な生細胞若しくは細胞に対するコストを低下するからであり、(ii)これが更に良好な細胞増殖の研究を可能にするからであり、(iii)細胞が細胞/周囲媒体の良好な(小さな)比を有するからであり、そして(iv)栄養及び刺激要因の更に早い交換が達成されうるからであるからである。これらの利点の幾つかは、例えばA.Persidisによる、Nature Biotechnol., 1998, 16, pp.488−489の文献において説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
米国特許出願公開第2007/0090166号
米国特許出願公開第2004/0265172号
米国特許第7,138,270号
米国特許第7,351,575号
【非特許文献】
【0006】
A.Persidisによる、Nature Biotechnol, 1998, 16, pp.488−489の論文
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに関連して、多くのマイクロフルイディクス・システムは、良好な機械的特性、光学的透明性及び生体適合性に基づいて、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で形成される。例えば、複雑なマイクロフルイディクス細胞培養デバイスが、例えば真核細胞、肺細胞、胚性幹細胞及び哺乳類胚のような種々な細胞の型のために開発されてきた。特に、マイクロフルイディクスは、細胞を捕捉しそして培養するために使用され、細胞は、測定に適する特定な領域に保持されねばならず、更にこれらは、媒体、制御温度及びCoを定期的に交換することを必要とする。更に、幾つかのクリチカル細胞(例えば神経細胞)は、これらがフェノタイプ(表現型)を付着しそして成長するために数日必要とするので、このようなシステムで培養することは困難である。
【0008】
説明を簡潔にするために、米国特許出願公開第2007/0090166号について述べると、これは、基板及び膜を含むマイクロフルイディクス・デバイスを開示している。基板は、通路と流体連絡している貯水槽を含む。生体適合性流体が貯水槽及び通路に加えられることができる。貯水槽は、細胞量の少なくとも一部を受け取りそして保持するように構成される。膜は、通路からの生体適合性流体の蒸発に対するバリアとして働く。カバーが、生体適合性流体の蒸発を防止するように生体適合性流体を覆うために付け加えられる。
【0009】
次に、米国特許出願公開第2004/0265172号は、生体サンプルを分析するマイクロフルイディクス・デバイスに関する。このデバイスには、試料入口セクションが設けられ、そしてこのセクションは、入口ポート並びにこの入口ポート及び入口室と連絡する毛管通路を含む。入口室は、サンプル液体を入口室に亘って一様に分布させそして最初この場所に含まれていた空気を追い出すための手段を含む。
【0010】
関連のあるものとしての米国特許第7,138,270号は、基部及びガラス板の蓋を有する分析デバイスを開示している。基部は、それぞれが平坦なリムを有する浅いマイクロ・ウエルのアレイを有し、そして全てのリムは同一面にある。蓋が基部の上に配置されると、薄い毛細ギャップが各リムの上に形成され、マイクロ・ウエル・チャンバのための液体シールとして働く。液体は過剰なサンプル液体であり、そして更に過剰な分は、マイクロ・ウエル相互間の過剰キャビティ内に収容される。液体のシール及び浅い構成のために、マイクロフルイディクス・デバイスの利点が達成されると共に、取り扱いの利便性及び通常のマイクロプレート・デバイスの通常の検出装置を使用できるという利点を有する。蓋が基部の上に配置されるので、過剰のサンプルは、周囲の過剰領域に移動する。残存するサンプル量が、リム及び蓋の間の毛細ギャップを満たす。従って、所望の量のサンプルが、周囲の空気に触れることなく基部及び蓋により完全に取り囲まれる。過剰のサンプルは、マイクロ・チャンバを形成するリムの上そして過剰キャビティ内にある。蓋及びフレームが接触して第2レベルの囲いを形成し、周囲の空気による接触を制限し、そしてサンプルの蒸発及び汚染を最小にする。過剰キャビティが蓋の配置の間に過剰のサンプルを受けとるので、ベントは、周囲の空気を逃がすことにより蓋の一様な取り付けを確実にする。
【0011】
又、米国特許第7,351,575号は、生物材料に少なくとも1つのバルク・プロセスを行う方法を開示しており、そしてこの方法は、(a)トリ(エチレン・グリコール)末端基のバックグラウンド中に約0.1乃至20%のマレイミド末端基を含む混合された自己組織化単分子膜(SAM)の溶液でキナーゼ基板の固定を増強するようにベース・プレートを化学的に処理するステップと、(b)ベース・プレート上に第1の除去可能な部材の自己封止接触を設立するようにベース・プレート上に第1の除去可能な部材を配置するステップと含み、第1の除去可能な部材はベース・プレート上で反復的な自己封止を行い、第1の除去可能な部材は更に、複数の第1オリフィスをその中に規定し、第1オリフィスのそれぞれは複数の第1オリフィスのそれぞれを境界づける複数の第1壁を有し、第1の除去可能な部材は、ベース・プレートと自己封止接触して配置されたときに、第1の除去可能な部材が複数の第1オリフィスのそれぞれに対応する複数の第1壁を規定するように構成されている。除去可能な部材は、表面と接触するように置かれたとき、表面と液密シールを瞬間的に形成することができる材料で形成される。液密シールが、接着剤、超音波、熱若しくは他の手段を使用することなく達成される。除去可能部材は、表面に封止されることができ、次いで表面を損傷することなく若しくは表面上に残留物を残すことなく(例えば手動的に若しくは機械的に行われる剥がし及び持ち上げのような手段により)除去される。
【0012】
単独の特許文献に加えて、本件に関する多数の刊行物が示されており、そのうちの1つは、Sung Jae Kim等による“高スループットのナノ・フルイディク応用のための自己封止された垂直重合ナノポーラス−接合”、 ACS Publicationである。ここで、著者等は、ナノ・フルイディクの応用のためのポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)ベースのマイクロフルイディクス・チャネル内における重合ナノ構造の一体化方法を開発した。ポリマー接合は、フォトリソグラフィ若しくはエッチング・プロセスなしに、機械的切断により生成された空隙相互間にポリマー溶液を浸透させることにより生成された。PDMSは、このPDMS及びポリマー材料の間にどのような(共有結合性の)結合なしに可撓性を有することに基づいて、PDMS/PDMSギャップ相互間に異種の重合性ナノポーラス材料と自己封止できる。かくして、ナノポーラス−接合を反復性を伴ってそして漏洩がない状態でPDMSマイクロチップに集積することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様に従うと、本発明は、微生物保持構造を有する開放チャンバと、動作中に開放チャンバからあふれ出た過剰液体を保持するように構成されている毛管構造を有するオーバーフロー領域とを備える微生物培養デバイスとして実施される。
【0014】
他の実施例において、上記のデバイスは、次の特徴のうち1つ以上を備えることができる。
−オーバーフロー領域は開放型領域であり、チャンバ及びオーバーフロー領域は、同じ側が開放されており、更にデバイスは、開放側を覆う場合に閉鎖位置に移動可能な望ましくは透明のカバーを備え、そして毛管構造は、この毛管構造内に保持される液体が毛管現象によりカバーを閉鎖位置に保持するように構成されている。
−デバイスは、カバーがデバイス上で自己封止できるように構成されている。
−チャンバは、デバイスの内部で液体の閉鎖循環を可能にする1つ以上の液体通路を有し、そしてカバーは、閉鎖位置にあるとき通路に接続可能な1つ以上のビアを有する。
−毛管構造は、格子状のものであり、そしてこの格子は、この格子が設けられている表面の少なくとも30%望ましくは50%をこの格子内に保持される液体で充満される。
−毛管構造の平均分離距離は、500μmよりも短く、のぞましくは200μmよりも短く、更に望ましくは60μmよりも短い。
−更にチャンバは、液体の流れをチャンバ内に分布させるように構成された1つ以上の分配構造を有する。
−デバイスは、マイクロフルイディクス培養デバイスである。
−更にデバイスは、動作中に毛管構造から過剰の流体を除去するように構成された排出口を有する。
−オーバーフロー領域は、チャンバの周辺に配置されている。そして、
−更にデバイスは、チャンバ及びオーバーフロー領域の間の非湿潤区域を備え、ここで、毛管圧力は、絶対数で、オーバーフロー領域の毛管圧力よりも低い。
【0015】
本発明は、他の態様において微生物培養デバイスを動作させる方法に関し、この方法は、
本発明に従うカバー及びデバイスと微生物を含む液体とを準備するステップと、
液体の一部分が開放チャンバから突出するように開放チャンバを過剰の液体で充満させるステップと、
過剰の液体がチャンバからオーバーフロー領域へあふれ出てオーバーフロー領域内に保持されるように、液体の突出した部分をカバーで押すことによりデバイスにカバーを被せるステップとを含む。
【0016】
更に他の実施例において、上記方法は、以下のステップの1つ以上を含む。
−カバーを被せるステップは、カバーを閉鎖位置にまで移動することを含み、ここで、オーバーフロー領域に保持されている液体が毛管現象によりカバーを保持する。
−更に上記方法は、カバーを除去するステップ、デバイス内に処置を施すステップ、及びデバイスをカバーで再び覆うステップを含む。
上記準備するステップにおいて、デバイスのチャンバは、デバイスの内部で液体の閉鎖式循環を可能にする1つ以上の通路を有し、そしてカバーは、閉鎖位置にあるとき通路に接続可能な1つ以上のビアを有し、そしてカバーで覆うステップにおいて、ビアが通路に接続される。そして、
−更に上記方法は、少なくとも1つのビアを介してサンプルをチャンバ内に導入するステップ、及びサンプルと反応する液体を監視するステップを含む。
【0017】
本発明を実施するデバイス及び方法について、図面に示されている実施例を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】種々な動作ステージにおける本発明の実施例に従う微生物培養デバイスの概略的な断面図である。
【図2】種々な動作ステージにおける本発明の実施例に従う微生物培養デバイスの概略的な断面図である。
【図3】種々な動作ステージにおける本発明の実施例に従う微生物培養デバイスの概略的な断面図である。
【図4】図1の断面図に対応する微生物培養デバイスの正面図である。
【図5】図2の断面図に対応する微生物培養デバイスの正面図である。
【図6】図3の断面図に対応する微生物培養デバイスの正面図である。
【図7】図1乃至図6のデバイスの一部分を更に詳細に示す図である。
【図8】図7の特定な部分を拡大した図である。
【図9】図7のデバイスの大きな部分を示す図である。
【図10】本発明に従う培養デバイスのフィルムから得られたスナップ写真である。
【図11】本発明に従う培養デバイスのフィルムから得られたスナップ写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
明確化のために、図(特に図1乃至図6)に示されている細部は、誇張され、簡略化され、一部が示されておりそして正確な寸法には示されていない。
【0020】
以下の説明の序文として、まず第1に、本発明の一般的な態様は、微生物培養デバイスに関する。デバイスは開放チャンバを有し、ここで微生物は、後の観察のために液体内に入れられている。開放チャンバは微生物を入れることを容易にし、そして例えば細胞の培養のために使用されている標準の機器の使用を可能にする。更にチャンバには保持構造が設けられており、これにより微生物はこの中に保持される。
【0021】
注目すべきは、デバイスは更に、オーバーフロー領域を備え、ここで毛管構造は、例えばデバイスに蓋をするときに、開放チャンバからあふれ出た液体を保持するように構成されている。かくして、デバイスは別々の領域を呈し、一方の領域は、ここに保持されている微生物の培養に使用され、他方の領域は、過剰の液体を捕捉するように設計されている。従って、これは、試料をチャンバ内に閉じこめ、そして後者はフィルタとして働く。過剰の流体は、他の適用のために外部的に捕捉される。具体的にいうと、捕捉された液体は、デバイスを毛管現象により蓋で閉じるために使用されることができる。以下に説明する実施例は、空気の泡の形成を減少し、そして過剰な液体に基づく不十分な封止を防止することができる。これは、小型化された分析評価のための利点である。
【0022】
説明のために、以下に説明する本発明の実施例は、細胞の培養に関する。しかしながら、他の微生物も又本発明において意図され得ることは当業者において明らかであろう。これらの例は、バクテリア、細胞若しくはウイルスに感染したバクテリア、多能性細胞生物又は例えば線虫類(例えば、シー・エレガンス)のような更に高等な生物及び卵である。
【0023】
図1は、本発明に従うデバイスの断面を示し、そして図4の正面図に対応する。図1の断面は、図4の線4−4で得た断面に対応する。
【0024】
図1及び図4の両方を参照すると、培養デバイス100は開放チャンバ10を有し、ここで保持構造11は、例えば生細胞若しくはここに入れられる他の任意の微生物を保持するために設けられている。保持構造11から離れて、チャンバはこれの境界を定める外壁又は主壁12を有する。
【0025】
更にこのデバイスは、毛管凹部24を規定する毛管構造22を有するオーバーフロー領域20を有する。図3乃至図6を参照して更に明確に説明するように、毛管構造は、開放チャンバ10からあふれ出る過剰の液体19を保持するように構成されている。
【0026】
液体19(例えば細胞17の懸濁液)がチャンバ内に丁度充満するまでの当分の間は、オーバーフロー(あふれ出ること)は起こらない。懸濁液は、チャンバの開放側から容易に入れることのできるマイクロピペットにより入れられる。
【0027】
図1に示されているように、液体19及びチャンバ10は、表面張力がチャンバの上側に突き出る凸型のメニスカス、即ち、開放チャンバから液体の一部が盛り上がった状態を生じるように選択されることが望ましい。
【0028】
以下に説明するように、更に、カバー(蓋)30が、設けられている(図1を参照、図4には示されていない)。
【0029】
図2若しくは図5を参照すると、カバー30がデバイスに向かって移動される。基本的に、カバー30は、盛り上がった液体部分を押すように操作され、その結果液体の過剰部分19’は、図5の矢印により示されているように、チャンバの領域10からオーバーフロー領域20へあふれ出る(オーバーフローする)。図2乃至図6において、参照数字の全てが繰り返し示されていないことに注目されたい。これがなくても図から明らかである。
【0030】
図3乃至図6に示されているように、カバーが閉鎖位置に到達すると、過剰の液体19’’は、オーバーフロー領域で安定化し、ここで、これは毛管構造22により空隙を生じることなくスペース即ち毛管凹部24内に保持される。
【0031】
従って、細胞の殆どは、チャンバ内に保持され、一方流体は、後述するように他の目的のためにチャンバから除去される(又は他のものと交換される)。大部分の細胞がチャンバ内に保持され、それにより細胞の消費量の制御を改善する。
【0032】
基本的に、チャンバの容積よりも大きい容積(量)の流体懸濁液が入れられ、過剰の流体は、細胞を殆ど減少することなくオーバーフロー領域に容易にはき出される。追記すると、図1のステップから図3のステップに進む間にチャンバ領域のレベルでの細胞の密度は増大することに注目されたい。細胞の損失の減少は時には重要である。
【0033】
チャンバから過剰の流体を除去することは多くの点で有益である。例えば、オーバーフロー領域20に捕捉されている液体19’’は、図3に概略的に示されているように、毛細現象によりカバー(蓋)を閉鎖位置に維持するために使用される。このために、毛細構造22は、ここに保持される液体19’’自体が上記閉鎖位置にカバーを保持することができるように構成されている。
【0034】
これに関する幾つかのデバイス構成が可能である。例えば、デバイス100は、液体の一定な薄い層がオーバーフロー領域20を濡らすように構成されることができる。特に、毛管構造及び少なくとも室チャンバ構造の幾つかの上面は、図1に示されているように同一平面にある。毛管構造は、図8を参照して後述するように、最適な構造パターンに従った寸法を有しそして分布させることができる。
【0035】
次に、図7は、図1乃至図6のデバイスの内側の部分の概略的な正面図である。図7のデバイスは、図4乃至図6に比べて回転されていることに注目されたい。更に、白く示してある部分はソリッドな(固体の)構造を示し、一方グレイ/黒の部分は空のスペースを示すことに注目されたい。
【0036】
更に、上述したように、図は、チャンバ10の上部が開いており(読者の目に向かって開いている)、そして特に保持構造11及び外壁12により境界を定められている。ここで、チャンバ10の壁12は、このチャンバ10の対向する端部相互間に延びる流体通路34を規定する形にされている。この通路は、後述のように他の用途を有する。更に、デバイスは、毛管構造22を有するオーバーフロー領域20を示している。図7の実施例において、オーバーフロー領域20は、チャンバ10の周りに単にこれを囲んで配置されている。このような構成により、毛管構造22は、チャンバ10からあふれ出た過剰の液体を保持することができる。カバーが示されていないことに注目されたい。
【0037】
更に、先に説明した図に関連して、更なる詳細が明らかである。具体的に説明すると、ここで示されているチャンバ10は、更に分配構造14を有する。この分配構造は、液体の流れをチャンバ内に分配するように構成されている。これに関して、液体の流れは、細胞を保持又は提供するためにチャンバ内に維持されなければならない。チャンバ10が通路34よりも大きいので、このことは、チャンバのどの場所にある細胞も入来する液体に適切に曝されることを確実にする。このことは特に重要であり、その理由は、1ミリメートル及びこれよりも小さいレンジの寸法においては、液体の流れは、層流となる傾向があるからである。層流の場合には、乱流及び強い混合が生じにくい。かくして、チャンバに流体分配構造を設けることは、チャンバ内に制御不能で且つ一様でない流れが生じることを防止する。図7に示されているように、1つ以上のこのような分配構造を設けることができ、望ましくは、入来する液体の方向に対して、流体に近い容積が増大する位置に設ける。
【0038】
更に図7から明らかなように、チャンバの保持構造11は、必ずしもチャンバを取り囲む必要はない。これらは、外側に流れる液体からの細胞を保持するために、前述のように、例えば通路34に垂直になるようにチャンバの境界を規定することができる。
【0039】
更に、チャンバは、カバーがこれの閉鎖位置にあるときこのカバーを支持しそして特にカバーを位置決めするときにカバーの変形を防止するための支持構造13を有することが望ましい。
【0040】
注目すべきは、図7に示されているように、非湿潤区域15が設けられていることである。非湿潤区域は、チャンバ10及びオーバーフロー領域20の間に配置され、ここで、非湿潤区域の形状は、壁12の形状とほぼ同じである。非湿潤区域は、図5以下には明確化のために示されていない。このことはそれほど重要でない。しかしながら、このような区域は、チャンバからオーバーフロー領域にあふれ出る液体のための適切な移行媒体を与えるように設計することができる。
【0041】
図7及び図8に示されている例においては、非湿潤区域は、細胞チャンバ10の主壁12を取り囲む区域であり、任意の特定な形状をしても良い。これは、単に平坦である。これの目的は、低い毛管圧力の区域を与えるために、毛管構造22を主壁12から十分に分離することである。具体的に説明すると、これは、これの内部にある液体の毛管圧力が、オーバーフロー領域20の毛管圧力よりも低くなるように構成されることができる(絶対数で)。
【0042】
これにより、非湿潤区域内の液体が、毛管構造に理想的に移動し、そして非湿潤区域の全ての液体が毛管構造に移動する。このようにではなく、もしも非湿潤区域に多くの液体が残ると、カバー及び主壁12の間の残存スペースを介して液体がチャンバ10に逆流する危険性が生じる。このことは、もしもカバーがほぼ親水性であるならば(例えばこれが水に対する<45°の前進接触角を有するならば)、ますます起こる可能性がある。この理由のために、非湿潤区域の最小幅は、2つの隣接する毛管構造を分離する最小距離の少なくとも2倍であることが望ましいとの結論に達した。
【0043】
液体がチャンバ10からあふれ出始めるとき(図2若しくは図5に示されているように)、非湿潤区域は、過剰液体に大きな抵抗を課すことなく過剰液体を受け入れそして蓄えることができる。次に、オーバーフローした(あふれ出た)液体が周囲の毛管構造22に浸透し始めるときに、毛管圧力の差により、液体は、非湿潤区域から毛管構造22に向かって移動し始める。
【0044】
次に、これがどのようになされるかについて、図7の矩形領域を拡大して示す図8を参照して説明する。図4乃至図6と同じ向きに戻すために、図8は図7に対して回転されていることに注目されたい。
【0045】
例えば、チャンバ領域10,支持構造13、細胞保持構造11,分配構造14及び壁12のような上述の構造が図8に示されている。非湿潤区域15の隣にある、オーバーフロー領域20の毛管構造22が更に詳細に示されている。
【0046】
具体的に説明すると、図8の実施例の毛管構造22は、2次元の結晶格子に匹敵するように、互いに間隔を置いて規則正しく配置された毛管構造22である。特に、毛管構造22は、50%の緻密度の格子を規定する。言い換えると、格子は、これの総面積の50%をこの中に保持される液体で充填することができる。この比率は、製造の観点からだけではなく例えば水を湿潤しそして保持する観点からも実用的であることが判った。しかしながら、これよりも低い若しくは高い比率(例えば、30%若しくは70%)が、選択される液体、取り扱う微生物等に依存して適切である。
【0047】
更に図示のように、格子の毛管構造相互間の平均分離距離は、毛管による保持を可能にするために500マイクロメートル(μm)よりも短いことが望ましい。しかしながら、200μmよりも短い距離も又、毛管格子の性能を改善する。更に、約60μm以下の距離も又、このデバイスの製造対性能を最適化する。
【0048】
このような平均分離距離(500,200若しくは60μmよりも短い)を使用しそして、材料が適切に選択されると(例えば表面処理したPDMS)、毛管構造により得られる前進接触角(例えば水との)は、それぞれ90°より小さく、60°より小さく若しくは45°よりも小さい。
【0049】
水との前進接触角が90°よりもわずかに大きいPDMSの場合、親水性にするためにPDMSは、簡単な表面処理をされる。1つの処理は、細胞接着分子をPDMSの表明に付着することである。このことは、細胞を含んでいる溶液をチャンバ10に入れる前に行われる。例えば、PDMS微生物培養デバイス100は、フィブロネクチンを含む水性生物緩衝液中で30分間覆われる。次いで、培養デバイスは、脱イオン水ですすがれそして空気流を使用して乾燥される。これにより、フィブロネクチン分子の層が、PDMSの表面の全てに自然に付着する。結果として、PDMSは、これの表面にフィブロネクチンが存在することにより親水性となる。更に、フィブロネクチンが細胞接着分子であることに基づき、処理されたPDMSの表面は、細胞の接着及び適切な生物の成長を促進する。他の細胞接着分子を使用することもできる。同様に、例えばPDMSの表面に界面活性剤若しくはブロック共重合体を付着するような他の処理も又可能である。
【0050】
毛管構造は、適切な寸法及び形状を有することができ、そして、それ自体周知である例えば、斜方系、六方系若しくは平行四辺形格子に従って分布させることができる。例えば、図8に示されている毛管構造は、六方系格子に一致する。更にこれらは、例えば100μmの長さ及び60μmの幅を有する長方形を有する。ここで、行内の間隔は60μmであり、そして行相互間の間隔(30μm)の2倍である。注目すべきことは、第1番目の行は、主壁12から215μmだけ離れており、従って、この場合非湿潤区域15の幅は215μmである。
【0051】
上記の寸法は、説明の便宜上のものであることに注目されたい。この分野の当業者にとって明らかなように、使用される材料及び液体に従って適切な選択が可能である。更に、このデバイスの構造の材料、寸法及び形状は、使用される種々な毛管圧力を最適化するように調整されることができる。
【0052】
これらの形状については、毛管構造は、角部での液体の流れの停止を防止するために、1つ以上の丸みを有する壁を有することが望ましい。更に、前述のように、これらは、主軸ができる限り液体の流れの方向に沿っている長方形を有することが望ましい。ここで、長方形構造の主軸は、主壁12に垂直である。これは、液体の引きずりを壁12から離しそしてこれに対して平行にしないことを最適にする。更に、毛管構造相互間の分離距離及び横方向の寸法は、毛管圧力を最適にするように調整される。
【0053】
更に、図1から明らかなように、毛管構造は、チャンバの構造(壁、保持構造、支持構造等)の全て若しくは幾つかと同じ高さであることが望ましい。高さが同じであるということは、全ての構造が同じステップにおいて同じ深さにまでエッチングされるという理由で製造プロセスを簡単にする。従って、領域20の深さは、チャンバ10における深さと同じにされる。
【0054】
次に、カバーは、前述のように経験から得られた理由で透明であることが望ましい。上述のような毛管構造のために、更にカバーは、デバイス上に自己封止できることが望ましい。更に、カバーは除去可能(取り外し可能)でありそして再位置決めできることが望ましく、これはデバイスの人間工学性を著しく改善する。このために、例えば可撓性のカバーとすることが有利である。動作において、カバーは最初に閉鎖位置に移動される。次に、これは、続いて行われるデバイスに対する処置のために除去されることができる。従って、デバイス中の液体の所定の特性が容易に修正され得る。カバーは、例えばピペットを使用する直接吸引により細胞の幾つかを回収するために除去されることができる。回収された細胞は、細胞チャンバ以外の場所で分析され、培養され若しくは改変されることができる。又は、カバーは、もしもプローブをチャンバ内に挿入することを必要とする特定な測定がなされなければならないときに除去されることができる。例えば、カバーが取り外されることができ、そしてパッチ・クランプ測定のためのピペット若しくはインピーダンス測定のためのマイクロ電極が、対象となる1つの細胞に接触されることができる。最後に、カバーでデバイスを再び閉じることができる。
【0055】
上述のように、例えば図7において、チャンバは、デバイス内部で、チャンバを通って液体を少なくとも閉鎖循環させるために、1つ以上の液体通路34を有することができる。更に、カバーは、このカバーがデバイスを閉じているときに通路へ接続可能な1つ以上のビア32を有することができる。従って、生細胞をチャンバ内に保持したままで、カバーを閉じた後でさえも、ビアは、幾つかのサンプル若しくは追加の流体を補充すること又はデバイス内に既にある流体を調整することを可能にする。実際には、代表的には操作者は、追加のサンプルとの相互作用の前後で細胞を観察する。一端にある1つのビア32はサンプルの挿入のために使用され、そして他端にある他のビア32は、サンプルの取り出しのために使用されることができる。かくして、ビア32は、デバイス内の微生物の維持、調整のために使用される。更に他のビアが設けられているがこれについては後述する。
【0056】
上述のビア32を設けることにより、多くの利点が生じる。特に、これは、製造するのが困難なデバイスのボディ内の丸い形状のトンネル構造を不要にするので、デバイスの製造を著しく簡略化する。更に、これは、必要ならばビアの開口の直径を容易に調整することを可能とする。更に、細胞の幾つかを回収するためにチャンバに対する相当な処置が必要な場合は、これはカバーの取り外しを可能にする。
【0057】
更に、例えばポンプ、ヒーター及びバルブのような外部周囲装置が、ビア32に接続されることができる。このことは、種々な期間に亘り種々な流量で液体を細胞培養デバイス100に流すことを可能とする。液体は、細胞チャンバ10内に傾斜を形成するように流されることができる。細胞培養デバイス100を外部装置に接続することが可能であることは、細胞についての簡単な若しくは複雑な研究を広い範囲で行うことができるので、これの使用及び機能を著しく増大する。これに対して、外部装置を接続できないということは、細胞培養デバイス100に必要な機能を付け足すことが必要となり、このことはデバイスのコストを著しく増大しそして製造及び使用を複雑にする。
【0058】
次に、図9は、図7と同じデバイスの大きな部分を示し、ここで更に他の構造が示されている。前と同様に、チャンバ及びオーバーフロー領域が示されている。明確に示されてはいないが、カバーがデバイスを閉じるようにデバイスの上にセットされているものとする。ビア32は、前述のように通路の端部34に対して垂直に配置されており、そしてこれに接続されている。周知の適切な接続が行われる。例えばUpchurch Scientific (R)社から入手可能なフィッティング及びアダプタ付きの1/32インチ・チューブが、使用されることができる。
【0059】
更に、毛管構造から過剰の流体(空気若しくは液体)を除去するように構成されている通気若しくは排出口40が設けられている。基本的に、空気の泡がこれにより防止される。実際には、デバイスをカバーで閉じると、局部的な圧力増加が生じ、これがカバーの下側に空気の泡を形成する。続いて行われる幾つかの観察を害する空気の泡は、かくして通気若しくは排出口により防止されることができる。
【0060】
このために、通気若しくは排出口は、図8に示されているように毛管領域のエッジに対して幾つかの箇所で接続されることができる。通気若しくは排出口40は出口44に接続している。デバイスを閉じるときのカバーの調整を助けるために、整列マーク46が、出口44のレベルに設けられることができる。出口44に接続する追加の通気若しくは排出口48がカバーに設けられることができる。これにより、オーバーフロー領域から空気のような過剰の流体を、通気若しくは排出口40,出口44及びビア48を介して外部に移動させることができる。
【0061】
次に、図10及び図11は、動作中のデバイスを示すフィルムから取り出したスナップ写真である。図10は、内側チャンバ10に焦点合わせしており、細胞保持構造及び支持構造13を示す。流れ分配構造は、細胞保持構造の後ろ側に部分的に見ることができる。液体懸濁液19が入れられている。これは、殆ど透明であり従って、かろうじて見ることができる。更に、細胞17がこのスナップ写真中に認識できる。特に、細胞は、チャンバ10内で培養されている、生きているミクログリアである。図10のチャンバはSiチップのカバー(カバーはSiチップ内に形成されている)で既に封止されている。細胞培養デバイスは、PDMS内にモールドされた。像は、光学顕微鏡を使用して得られた(像は、倒立顕微鏡を使用してPDMSを通して観察された)。
【0062】
図11は、低倍率のスナップ写真であり、上述のデバイスの詳細を示す。スナップ写真を撮るとき、カバーはデバイス上を封止している。図2及び図3に従うと、液体は、オーバーフロー領域20に押し出される。このスナップ写真は、オーバーフロー領域のうち液体19’が保持されている区域と、毛管凹部24がまだ液体により湿潤されていない区域とを区別することができる。注目すべきは、あふれ出た液体の進行は、格子の対称性により決定されることである。従って、格子は、あふれ出る液体の進行を最適にするように、デバイスの全体的な基本形状を勘案して選択されることができる。
【0063】
本例の場合、大きな面積が液体19”により湿潤されることができ、これによりカバーによる安全な毛管封止を確実にすることは、当業者にとって明らかであろう。
【0064】
図10及び図11の実施例では、デバイスは、マイクロフルイディクス培養デバイスである。細胞を研究する場合の問題点は、毛管現象によりカバーで封止することができる開放型のマイクロフルイディクス内で細胞を培養することにより解決される。本明細書で開示したデバイスは、生細胞を研究するための良好に規定された光学的界面を形成する問題点を解決する。更に、
−細胞は、細胞チャンバ内に容易に植え付けられ、そして培養皿を使用する方法と同様に培養される(媒体を新たにすること/交換することは同様に簡単であり、温度及びCoは例えば細胞インキュベーターを使用して制御される)。
−観察又は実験のために、封止カバーが追加されている。
−細胞チャンバ及びカバーは、望ましくは空間を封止するように設計されている(空気はトラップされず、過剰の液体/空気は封止領域から通気口を介して移動されることが可能である)。
−細胞チャンバは、オーバーフロー毛管構造に隣接している(具体的には非湿潤区域により分離されている)。
−細胞チャンバは、このチャンバに植え付けられた細胞を保持することを助ける保持構造を有する。
−細胞チャンバは、流れ分配構造及び閉鎖された流体通路を有する。
−封止カバーは、閉ざされたときに、通路の端部及び通気若しくは排出口を例えばポンプのようなシステムに接続するビアを有する。
−細胞チャンバ及び封止カバーは、効率的に組み立てられるように設計されている。
−空気は殆どトラップされない。これに関して、封止カバーのビア及び封止カバーに接続される管は、前もって充満されることができる。そして、
−チャンバ内の過剰の液体は、封止動作の間にオーバーフロー領域に移動される。
【0065】
本発明を特定な実施例について説明したが、本発明の精神から逸脱することなく、種々な変更がなされ得ることそして均等物が置換され得ることは、当業者により理解されるであろう。本発明の精神から逸脱することなく、多くの変更が、本発明の教示に対して特定な状況若しくは材料に適応するようになされ得る。従って、本発明は、開示した特定な実施例に限定されないことは明らかである。
【0066】
液体部分(即ち、凸状のメニスカス)が、付着の後にそしてデバイスを封止する間の押しつけの前にチャンバから突出するものと考えられてきた。修正実施例においては、付着の直後にそしてデバイスを封止する前に、毛管圧力により過剰の液体がチャンバからあふれ出るようにデバイス及び付着された液体を設計することができる。従って、PDMS,Si及び水以外の材料を使用することができる。
【符号の説明】
【0067】
10 開放チャンバ
11 保持構造
12 主壁
13 支持構造
14 分配構造
15 非湿潤区域
17 生細胞
19 過剰液体
19’、19” 液体の過剰部分
20 オーバーフロー領域
22 毛管構造
24 毛管凹部
30 カバー
32 ビア
34 流体通路
40、48 通気若しくは排出口
44 出口
46 整列マーク
100 培養デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物保持構造(11)を有する開放チャンバ(10)と、
動作中に前記開放チャンバからあふれ出た過剰液体(19’、19”)を保持するように構成されている毛管構造(22)を有するオーバーフロー領域(20)とを備える微生物培養デバイス(100)。
【請求項2】
前記オーバーフロー領域は開放型領域であり、前記チャンバ及び前記オーバーフロー領域は、同じ側が開放されており、更に前記デバイスは、開放側を覆う場合に閉鎖位置に移動可能な透明のカバーを備え、そして前記毛管構造(22)は、該毛管構造内に保持される液体(19’、19”)が毛管現象によりカバーを閉鎖位置に保持するように構成されている、請求項1に記載の微生物培養デバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、前記カバーが前記デバイス上で自己封止できるように構成されている、請求項2に記載の微生物培養デバイス。
【請求項4】
前記チャンバは、前記デバイスの内部で液体の閉鎖循環を可能にする1つ以上の液体通路(34)を有し、そして前記カバーは、閉鎖位置にあるとき前記通路に接続可能な1つ以上のビア(32)を有する、請求項2又は請求項3に記載の微生物培養デバイス。
【請求項5】
前記毛管構造は、格子状のものであり、そしてこの格子は、該格子が設けられている表面の少なくとも30%若しくは50%を前記格子内に保持される液体で充満される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の微生物培養デバイス。
【請求項6】
前記毛管構造の平均分離距離は、500μmよりも短く、若しくは200μmよりも短く、若しくは60μmよりも短い、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の微生物培養デバイス。
【請求項7】
前記チャンバは、液体の流れを前記チャンバ内に分布させるように構成された1つ以上の分配構造(14)を有する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の微生物培養デバイス。
【請求項8】
前記デバイスは、マイクロフルイディクス培養デバイスである、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の微生物培養デバイス。
【請求項9】
前記デバイスは、動作中に前記毛管構造から過剰の流体を除去するように構成された排出口を有する、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の微生物培養デバイス。
【請求項10】
前記オーバーフロー領域は、前記チャンバの周辺に配置されている、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の微生物培養デバイス。
【請求項11】
前記デバイスは、前記チャンバ及び前記オーバーフロー領域の間の非湿潤区域(15)を備え、ここで、毛管圧力は、絶対数で、前記オーバーフロー領域の毛管圧力よりも低い、請求項10に記載の微生物培養デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載のカバー及びデバイス(100)と微生物を含む液体とを準備するステップと、
液体の一部分が開放チャンバから突出するように開放チャンバを過剰の液体(19)で充満させるステップと、
前記過剰の液体(19’)が前記チャンバからオーバーフロー領域へあふれ出て前記オーバーフロー領域内に保持されるように、前記液体の突出した部分を前記カバーで押すことにより前記デバイスに前記カバーを被せるステップとを含む微生物培養デバイスの動作方法。
【請求項13】
前記カバーを被せるステップは、カバーを閉鎖位置にまで移動することを含み、ここで、前記オーバーフロー領域に保持されている液体が毛管現象により前記カバーを保持する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記カバーを除去するステップ、前記デバイス内に介入処置を施すステップ、及び前記デバイスを前記カバーで再び覆うステップを含む、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記準備するステップにおいて、前記デバイスの前記チャンバは、前記デバイスの内部で液体の閉鎖循環を可能にする1つ以上の通路を有し、そして前記カバーは、閉鎖位置にあるとき前記通路に接続可能な1つ以上のビアを有し、そして前記カバーで覆うステップにおいて、前記ビアが前記通路に接続される、請求項12、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのビアを介してサンプルを導入するステップ、及び前記サンプルと反応する液体を監視するステップを含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−520669(P2012−520669A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500339(P2012−500339)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050941
【国際公開番号】WO2010/106456
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】