説明

微生物検出アセンブリ

【課題】サンプル物質の微生物内容物を検出するための微生物検出アセンブリを提供すること。
【解決手段】長手方向軸を規定し、そして第一の端部および第二の端部を有する、管状本体;該管状本体の該第一の端部を密封するように構成された穿刺可能なセプタム;ならびに該管状本体の該第二の端部を実質的に閉じるように構成されたプランジャーヘッド、 を備え、該プランジャーヘッドと、該穿刺可能なセプタムと、該管状本体とが、培地およびサンプル物質を受容するための寸法にされたレザバを規定し、該プランジャーヘッドは、該管状本体内に配置され、そして該レザバ内の圧力の変化に応答して該管状本体内で移動可能である、細菌検出デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2008年9月30日に出願された米国仮特許出願番号61/101,387の利益および優先権を主張する。この米国仮特許出願は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、医療流体デバイスの分野に関し、特に、サンプル物質の微生物内容物を検出するための微生物検出アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
医療分野において、通常の医療手順は、患者の体液(特に、血液)中の細菌の存在について試験することである。伝統的に、細菌増殖培地(例えば、ダイズブロス)およびヘッドスペース(例えば、窒素または酸素)を有する血液培養バイアルが提供され、そして少量の血液が、穿刺可能なセプタムを通してバイアルに注入される。このバイアルは、特定の温度でインキュベートされ、そして細菌の増殖を監視される。この血液が細菌を含む場合、この細菌の増殖が二酸化炭素を発生させる。二酸化炭素含有量の監視は、当該分野において充分に確立された方法(放射化学的な、二酸化炭素スペクトル線における赤外線吸収、または圧力/減圧測定が挙げられる)により達成され得る。
【0004】
陽性の血液サンプル(すなわち、細菌を含む血液)が検出されると、臨床医は、この陽性血液サンプルを引き抜いてさらなる医療試験を実施する必要があり得る。既知の血液培養バイアルからの陽性血液サンプルの引き抜きおよび移動は、厄介であり得、そして代表的に、引き続いてサンプルを移動注射器内に引き抜いた後にこのサンプルを移動注射器から除去するために、注射器の針を穿刺可能なセプタムに挿入することを必要とする。移動注射器および注射針の使用は、針が臨床医に不慮に刺さる危険性、および血液の潜在的な汚染の危険性を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、サンプル物質の微生物内容物を検出するための微生物検出アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
長手方向軸を規定し、そして第一の端部および第二の端部を有する、管状本体;
該管状本体の該第一の端部を密封するように構成された穿刺可能なセプタム;ならびに
該管状本体の該第二の端部を実質的に閉じるように構成されたプランジャーヘッド、
を備え、該プランジャーヘッドと、該穿刺可能なセプタムと、該管状本体とが、培地およびサンプル物質を受容するための寸法にされたレザバを規定し、該プランジャーヘッドは、該管状本体内に配置され、そして該レザバ内の圧力の変化に応答して該管状本体内で移動可能である、細菌検出デバイス。
【0007】
(項目2)
上記管状本体の上記第一の端部に上記穿刺可能なセプタムを固定するように構成された固定構造体をさらに備える、上記項目に記載の微生物検出デバイス。
【0008】
(項目3)
上記管状本体内に配置された第一の保持構造体および第二の保持構造体をさらに備え、上記プランジャーヘッドが、該第一の保持構造体および該第二の保持構造体により規定された第一の位置と第二の位置との間で、上記長手方向軸に沿って移動可能である、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0009】
(項目4)
上記第一の保持構造体が、上記プランジャーヘッドに所定の力を付与する際に、該第一の保持構造体を越えての該プランジャーヘッドの移動を可能にするように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0010】
(項目5)
上記管状本体が、プラスチックおよびガラスからなる群より選択される材料から構築されている、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0011】
(項目6)
上記穿刺可能なセプタムが、ゴム複合材料、シリコーン複合材料、およびゲル複合材料からなる群より選択される複合材料から構築されている、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0012】
(項目7)
上記管状本体が、環状フランジ部分を有するネック部分を規定し、該ネック部分が、該管状本体の上記第一の端部で終わる、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0013】
(項目8)
上記固定構造体が、金属、プラスチック、およびエポキシからなる群より選択される材料から構築されている、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0014】
(項目9)
上記固定構造体が、クリンプ、螺合、プレス、接着、および溶接からなる群より選択される固定技術によって、上記管状本体の上記第一の端部に固定される、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0015】
(項目10)
上記プランジャーヘッドが、該プランジャーヘッドの周りに環状に配置された複数の環状リブを備え、該環状リブが、上記管状本体の内壁にスライド可能かつ密封様式で係合するように配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0016】
(項目11)
上記管状本体および/または上記プランジャーヘッドが潤滑性材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0017】
(項目12)
上記第一の保持構造体および上記第二の保持構造体が、環状リングおよび射出成型されたナブからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0018】
(項目13)
上記管状本体の上記レザバ内の二酸化炭素のレベルを示すように構成されたセンサをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0019】
(項目14)
上記センサが比色センサである、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0020】
(項目15)
上記プランジャーヘッドに取り外し可能に係合するように適合された細長プランジャーシャフトを有するプランジャー棒であって、該プランジャー棒および該プランジャーヘッドは、上記長手方向軸に沿って移動可能であり、上記培地および上記サンプル物質を上記レザバ内から分配する、プランジャー棒;ならびに
上記管状本体の上記第一の端部に設置可能な針アセンブリであって、該針アセンブリは、双頭針を備え、一方の端部が上記セプタムを穿刺するように構成されている、針アセンブリ、
をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の微生物検出デバイス。
【0021】
(項目16)
微生物検出デバイスを提供する工程であって、該微生物検出デバイスは、
長手方向軸を規定し、そして第一の端部および第二の端部を有する、管状本体;
該管状本体の該第一の端部を密封するように構成された穿刺可能なセプタム;ならびに
該管状本体の該第二の端部を実質的に閉じるように構成されたプランジャーヘッド、
を備え、該プランジャーヘッドと、該穿刺可能なセプタムと、該管状本体とが、培地を含むレザバを規定し、該プランジャーヘッドは、該管状本体内に配置され、そして該レザバ内の圧力の変化に応答して、該管状本体内で移動可能である、工程;
サンプル物質を該微生物検出デバイス内に配置する工程;
該プランジャーヘッドの位置を観察して、微生物の増殖が起こったか否かを決定する工程;
プランジャー棒を該プランジャーヘッドに取り付ける工程;
針アセンブリを該セプタムに取り付ける工程;ならびに
該プランジャー棒に少なくとも所定の圧力を付与する工程であって、その結果、該プランジャー棒および該プランジャーヘッドが該長手方向軸に沿って移動し、該培地および該サンプル物質を該レザバ内から該針アセンブリを介して分配する、工程、
を包含する、サンプル物質の微生物内容物を検出するための方法。
【0022】
微生物検出アセンブリが開示される。この微生物検出アセンブリは、管状本体、穿刺可能なセプタム、およびプランジャーを備える。この管状本体は、長手方向軸を規定し、そして第一の端部および第二の端部を有する。この穿刺可能なセプタムは、この管状本体の第一の端部を密封するように構成される。プランジャーヘッドは、この管状本体の第二の端部を実質的に閉じるように構成される。このプランジャーヘッドと、この穿刺可能なセプタムと、この管状本体とは、一緒になって、培地およびサンプル物質を受容するための寸法にされたレザバを規定する。さらに、このプランジャーヘッドは、この管状本体内に配置され、そしてこのレザバ内の圧力の変化に応答してこの管状本体内で移動可能である。
【0023】
(要旨)
微生物検出アセンブリが開示される。この微生物検出アセンブリは、管状本体、穿刺可能なセプタム、およびプランジャーを備える。この管状本体は、長手方向軸を規定し、そして第一の端部および第二の端部を有する。この穿刺可能なセプタムは、この管状本体の第一の端部を密封するように構成される。プランジャーヘッドは、この管状本体の第二の端部を実質的に閉じるように構成される。このプランジャーヘッドと、この穿刺可能なセプタムと、この管状本体とは、一緒になって、培地およびサンプル物質を受容するための寸法にされたレザバを規定する。さらに、このプランジャーヘッドは、この管状本体内に配置され、そしてこのレザバ内の圧力の変化に応答してこの管状本体内で移動可能である。
【0024】
ある実施形態において、固定構造体が、この穿刺可能なセプタムをこの管状本体の第一の端部に固定するように構成される。この固定構造体は、金属、プラスチック、またはエポキシから構築され得る。さらに、この固定構造体は、クリンプ、螺合、プレス、接着、または溶接のいずれかによって、この管状本体の端部に固定され得る。
【0025】
ある実施形態において、この微生物検出アセンブリは、第一の保持構造体および第二の保持構造体を備え、これらの保持構造体は、管状本体内に配置される。この構成において、プランジャーヘッドは、微生物検出期間中に、第一の保持構造体および第二の保持構造体により規定される第一の位置と第二の位置との間で、長手方向軸に沿って移動可能である。
【0026】
この管状本体は、プラスチックまたはガラスから構築され得る。この穿刺可能なセプタムは、ゴム複合材料、シリコーン複合材料、またはゲル複合材料から構築され得る。さらに、この管状本体は、環状フランジ部分を有するネック部分を規定し、このネック部分は、管状本体の第一の端部で終わる。
【0027】
プランジャーヘッドは、複数の環状リブを備え、これらの環状リブは、このプランジャーヘッドの周りに環状に配置される。これらの環状リブは、この管状本体の内壁とスライド可能かつ密封様式で係合するように配置される。
【0028】
ある実施形態において、この管状本体およびこのプランジャーヘッドは、潤滑性材料を有する。第一の保持構造体および第二の保持構造体は、環状リングまたは射出成型されたナブであり得る。さらに、このプランジャーヘッドは、長手方向軸に沿って、第一の保持構造体を越えて、この管状本体のネック部分に隣接する第三の位置まで移動可能であり得る。
【0029】
ある実施形態において、この微生物検出アセンブリは、センサを備え、このセンサは、管状本体のレザバ内の二酸化炭素のレベルを示すように構成される。このセンサは、比色センサであり得る。
【0030】
ある実施形態において、この微生物検出アセンブリは、プランジャー棒を備え、このプランジャー棒は、プランジャーヘッドと取り外し可能に係合するように適合された細長プランジャーシャフトを有する。このプランジャー棒およびこのプランジャーヘッドは、長手方向軸に沿って移動可能であり、培地およびサンプル物質をこのレザバ内から分配する。さらに、この微生物検出アセンブリは、針アセンブリをさらに備え得、この針アセンブリは、管状本体の第一の端部に設置される。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、サンプル物質の微生物内容物を検出するための微生物検出アセンブリが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本開示の微生物検出アセンブリの1つの実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示される微生物検出アセンブリの側面立面図である。
【図3】図3は、図1に示される微生物検出アセンブリの分解斜視図である。
【図4】図4は、図1に示される微生物検出アセンブリの側面断面図であり、注射器アセンブリが挿入された第一の位置に配置されたプランジャーヘッドを示す。
【図5】図5は、図1に示される微生物検出アセンブリの側面断面図であり、第二の位置に配置されたプランジャーヘッドを示す。
【図6】図6は、センサを有する本開示の微生物検出アセンブリの別の実施形態の側面断面図であり、注射器アセンブリが挿入された第一の位置に配置されたプランジャーヘッドを示す。
【図7】図7は、センサを有する図6の微生物検出アセンブリの側面断面図であり、第二の位置に配置されたプランジャーヘッドを示す。
【図8A】図8Aは、プランジャーヘッドがプランジャー棒を受容するように構成された、本開示の微生物検出アセンブリの別の実施形態の分解斜視図である。
【図8B】図8Bは、図8Aの微生物検出アセンブリの側面断面図であり、プランジャーヘッドが内部に配置され、そしてプランジャー棒が分離されている、管状本体の底端部の一部を示す。
【図8C】図8Cは、図8Aの微生物検出アセンブリの側面断面図であり、両側針ハブアセンブリが設置された管状本体の頂端部の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の微生物検出アセンブリの種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に開示される。
【0034】
(詳細な説明)
最初に図1〜図5を参照すると、微生物検出アセンブリ(血液培養バイアルともまた称され得る)が、一般に、番号10として示されている。微生物検出アセンブリ10は、一般に、管状本体12、セプタム18およびプランジャーヘッド22を備え、これらは一緒になって、レザバ26を規定する。レザバ26は、細菌増殖培地28およびサンプル物質34(例えば、血液)を収容するように構成され、レザバ26は、窒素および/または酸素を含むヘッドスペース26aを有する。手短に言えば、血液が細菌を含む場合、細菌増殖が起こる。この細菌増殖が二酸化炭素を発生させ、その結果、レザバ26内の圧力が上昇する。その結果として、細菌検出期間中にプランジャーヘッド22が管状本体12内で、管状本体の底端部16の方へと移動し、臨床医に、細菌がこの血液中に存在することを示す。上記配置のより詳細な説明は、以下でさらに議論される。
【0035】
図4および図5は、頂端部14および底端部16を有する管状本体12を図示する。管状本体12は、プラスチック、ガラス、または他の任意の適切なコンテナ材料が挙げられるがこれらに限定されない材料から作製され得る。微生物検出アセンブリ10は、セプタム18をさらに備え、このセプタムは、管状本体12の開いた第一の端部14を閉じるように(すなわち、密封するように)構成される。
【0036】
セプタム18は穿刺可能であり、その結果、鋭利な物体(例えば、(図4に示されるような)注射器アセンブリ30の針32)が、セプタム18の表面を通って管状本体12のレザバ26内へと貫入し得る。この様式で、注射器アセンブリ30は、臨床医がサンプル物質34(例えば、血液)をレザバ26内に配置することを可能にする。(図5に示されるように)注射器アセンブリ30が管状本体12から除去されると、弾性材料から構築されたセプタム18は、レザバ26を密封する。穿刺可能なセプタム18は、適切な穿刺可能な弾性材料(ゴム、シリコーン、ゲルなどが挙げられるが、これらに限定されない)から作製され得る。
【0037】
管状本体12の頂端部14は、ネック部分14aを規定し、このネック部分は、環状フランジ部分14bを備える。セプタム18は、固定構造体20によって、頂端部14を覆って適所にしっかりと保持される。固定構造体20としては、環状アルミニウムクリンプが挙げられ得、これは、頂端部14の周りにクリンプされ、そしてさらに、環状フランジ部分14bの下方に延びる。あるいは、固定構造体20は、任意の適切な固定材料(金属、プラスチック、エポキシなどが挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。固定構造体20は、任意の適切な固定技術(クリンプ、螺合、プレス、接着、溶接などが挙げられるが、これらに限定されない)によって、頂端部14に固定され得ることもまた予測される。
【0038】
上述のように、プランジャーヘッド22は、管状本体12の底開口部16を実質的に閉じるように構成される。プランジャーヘッド22は、プランジャーヘッド22の周りに配置された1つ以上のプランジャーシールまたは環状リブ22a〜22cを備える。各リブ22a〜22cは、隣のリブから間隔を空けており、そして管状本体12の内壁26bとスライド可能かつ密封様式で係合するような寸法にされる。ある実施形態において、レザバ26の内壁26bおよびプランジャーヘッド22は、潤滑性材料(例えば、ポリプロピン、ポリエチレンなど)から作製され得るか、または潤滑性材料を含み得、その結果、プランジャーヘッド22は、内壁26bを、密封を提供するために十分な力で押し得、一方で、管状本体12内でのスライド移動が可能である。
【0039】
図4および図5を参照すると、微生物検出アセンブリ10は、保持構造体24aおよび24bをさらに備える。保持構造体24aおよび24bは、微生物検出期間中に、プランジャーヘッド22を管状本体12に沿った所定の領域内に保持するように配置される。保持構造体24aは、管状本体12の底部に対して中央寄りに配置され、そして保持構造体24bは、管状本体12の底端部16寄りに配置される。
【0040】
保持構造体24aおよび24bは、例えば、環状リングであり得、そして次に、取り外し可能かつ/または調節可能であり得る。これらの環状リングは、管状本体12の壁において、円周上の構成で配置される。保持構造体24aおよび24bは、管状本体12内の所定の位置でしっかりと固定され得ることが予測される。しかし、保持構造体24aおよび24bは、所望であれば、任意の位置に調節可能であり得ることを、当業者は理解する。代替の実施形態において、保持構造体24aおよび24bは、管状本体12の壁に一体的に形成された、射出成形されたナブであり得る。
【0041】
微生物検出デバイス10は、いわゆる「目盛付き」微生物検出デバイス10であり得る。この構成において、管状本体12は、プランジャーヘッド22が微生物検出期間中に移動した距離を臨床医に示す印を有し得る。さらに、あるいは代替的に、管状本体12は、レザバ26が収容する体積の量を臨床医に示す印を有し得る。
【0042】
使用において、図4〜図5に示されるように、血液のサンプル34がレザバ26内に、注射器アセンブリ30または他の任意の型の物質移動デバイスによって、配置される。具体的には、注射器アセンブリ30の針32がセプタム18およびレザバ26に導入され、ここで臨床医が、注射器アセンブリ30の内容物のいくらかまたは全てを排出する。次いで、血液サンプル34は、細菌増殖培地28(これは例えば、ダイズブロスであり得る)と混合する。細菌が血液サンプル34中に存在する場合、細菌の増殖がレザバ26内で起こり、その結果、ヘッドスペース26a内で二酸化炭素が発生する。ヘッドスペース26aは、酸素または窒素などの気体を含む。発生した二酸化炭素は、レザバ26内の圧力上昇を生じ、これは次に、プランジャーヘッド22を第一の位置から第二の位置へと下向きの方向に、図5において方向矢印「A」により示されるように強制的に移動させる。これは次に、細菌の増殖が微生物検出アセンブリ10のレザバ26内で起こったことの視覚的指標を臨床医に与え、従って、細菌がその血液サンプル中に存在することを臨床医に確認させる。
【0043】
図6および図7は、一般に110として示される、本開示の微生物検出アセンブリの代替の実施形態を図示する。微生物検出アセンブリ110は、微生物検出アセンブリ10と実質的に類似であるが、センサ140を備える。微生物検出アセンブリ110は、微生物検出アセンブリ10と同様に、管状本体112、セプタム118およびプランジャーヘッド122を備え、これらは一緒になって、レザバ126を規定する。この配置において、レザバ126は、細菌増殖培地128およびサンプル物質134(例えば、血液)を収容するように構成され、レザバ126は、酸素および/または窒素を含むヘッドスペース126aを有する。細菌が物質134中に存在する場合、上で議論されたように、二酸化炭素ガスが発生する。その結果、図7に図示されるように、プランジャーヘッド122が管状本体112内で底部の第二の端部116の方へと移動し、臨床医に細菌が存在することを示す。あるいは、プランジャーヘッド122は必ずしも移動する必要はなく、センサ140が、二酸化炭素が発生したことの指標を提供し得、従って、血液サンプルが細菌を含むことを示す。
【0044】
ある実施形態において、センサ140は、微生物検出アセンブリ110の管状本体112内に配置されて、レザバ126内の二酸化炭素のレベルを臨床医に示す。センサ140は、比色センサであり得、これは次に、色を変化させることによってか、または蛍光強度を変化させることによって、細菌により放出された二酸化炭素の濃度の変化に応答する。ある実施形態において、個々の光源(例えば、比色器具、蛍光器具、および/または発光ダイオード)が、センサ140のためのインジケータとして使用され得る。
【0045】
図8A〜図8Cは、一般に210として示される、本開示の微生物検出アセンブリの別の実施形態を図示する。微生物検出アセンブリ210は、プランジャー棒230を受容するように構成されたプランジャーヘッド222を備える。プランジャーヘッド222およびプランジャー棒230は、Lloydらに対する米国特許出願公開第2008−0082055号に記載されるようなものであり得、この米国特許出願公開の全内容は、本明細書中に参考として援用される。プランジャー棒230は、細長プランジャーシャフト231を有し、この細長プランジャーシャフト231は、微生物検出アセンブリ210の管状本体212内にスライド可能に配置されるための構成および寸法にされる。管状本体212は、管状本体12と同様に、保持構造体224aおよび224bを備え、これらの保持構造体は、微生物検出期間中に、プランジャーヘッド222を管状本体212に沿った所定の領域内に配置するためのものである。プランジャーシャフト231は、近位端232を備え、この近位端は、微生物検出アセンブリ210の底端部216から延び、そして指係合表面232aを規定する。プランジャーヘッド222が管状本体212の内側壁226bに沿って長手方向軸「X」に沿って配置された状態で、プランジャー棒230の遠位端234は、プランジャーヘッド222の受容チャネル222aに選択的に接続可能である。使用において、臨床医は、上記のようにプランジャー棒230を管状本体212に単に取り付け、そしてプランジャー棒230の指係合表面232aの表面に力を付与して陽性サンプルをレザバ226内から分配することによって、微生物検出アセンブリ210を注射器アセンブリとして使用し得る。
【0046】
図8Cを参照すると、臨床医は、針アセンブリ240を管状本体212に取り付けて、針アセンブリ240を介してレザバ226の内容物を分配し得る。1つの実施形態において、針アセンブリ240の針242の近位端がセプタム218に貫入するように、(図8Cに示されるような)両側針ハブアセンブリ240が、管状本体212の頂端部214に設置される。針アセンブリ240の針242の遠位端は、鋭利でなくてもよい。さらに、臨床医による針アセンブリ240を介してのレザバ226の内容物の分配中に、プランジャーヘッド222は、長手方向軸「X」に沿って、第一の保持構造体224aを越え、管状本体212のネック部分214aに隣接する第三の位置まで移動可能であり得る。図8A〜図8Cに示される構成は、臨床医が、陽性サンプルをレザバ226から所望の位置へと分配することを可能にし、従ってその結果、移動注射器および注射針の使用が排除され、不慮に針が刺さる危険性が低下する。
【0047】
本開示の数個の実施形態が図面に示され、そして/または本明細書中で議論されたが、本開示はこれらに限定されることを意図されない。なぜなら、本開示は、当該分野が可能にすると同程度まで範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定と解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示と解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0048】
10 微生物検出アセンブリ
12 管状本体
14 頂端部
16 底端部
18 セプタム
22 プランジャーヘッド
26 レザバ
26a ヘッドスペース
28 細菌増殖培地
34 サンプル物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸を規定し、そして第一の端部および第二の端部を有する、管状本体;
該管状本体の該第一の端部を密封するように構成された穿刺可能なセプタム;ならびに
該管状本体の該第二の端部を実質的に閉じるように構成されたプランジャーヘッド、
を備え、該プランジャーヘッドと、該穿刺可能なセプタムと、該管状本体とが、培地およびサンプル物質を受容するための寸法にされたレザバを規定し、該プランジャーヘッドは、該管状本体内に配置され、そして該レザバ内の圧力の変化に応答して該管状本体内で移動可能である、細菌検出デバイス。
【請求項2】
前記管状本体の前記第一の端部に前記穿刺可能なセプタムを固定するように構成された固定構造体をさらに備える、請求項1に記載の微生物検出デバイス。
【請求項3】
前記管状本体内に配置された第一の保持構造体および第二の保持構造体をさらに備え、前記プランジャーヘッドが、該第一の保持構造体および該第二の保持構造体により規定された第一の位置と第二の位置との間で、前記長手方向軸に沿って移動可能である、請求項1または2のいずれか1項に記載の微生物検出デバイス。
【請求項4】
前記第一の保持構造体が、前記プランジャーヘッドに所定の力を付与する際に、該第一の保持構造体を越えての該プランジャーヘッドの移動を可能にするように構成されている、請求項3に記載の微生物検出デバイス。
【請求項5】
前記管状本体が、プラスチックおよびガラスからなる群より選択される材料から構築されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の微生物検出デバイス。
【請求項6】
前記穿刺可能なセプタムが、ゴム複合材料、シリコーン複合材料、およびゲル複合材料からなる群より選択される複合材料から構築されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の微生物検出デバイス。
【請求項7】
前記管状本体が、環状フランジ部分を有するネック部分を規定し、該ネック部分が、該管状本体の前記第一の端部で終わる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の微生物検出デバイス。
【請求項8】
前記固定構造体が、金属、プラスチック、およびエポキシからなる群より選択される材料から構築されている、請求項2に記載の微生物検出デバイス。
【請求項9】
前記固定構造体が、クリンプ、螺合、プレス、接着、および溶接からなる群より選択される固定技術によって、前記管状本体の前記第一の端部に固定される、請求項2に記載の微生物検出デバイス。
【請求項10】
前記プランジャーヘッドが、該プランジャーヘッドの周りに環状に配置された複数の環状リブを備え、該環状リブが、前記管状本体の内壁にスライド可能かつ密封様式で係合するように配置されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の微生物検出デバイス。
【請求項11】
前記管状本体および/または前記プランジャーヘッドが潤滑性材料を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の微生物検出デバイス。
【請求項12】
前記第一の保持構造体および前記第二の保持構造体が、環状リングおよび射出成型されたナブからなる群より選択される、請求項3に記載の微生物検出デバイス。
【請求項13】
前記管状本体の前記レザバ内の二酸化炭素のレベルを示すように構成されたセンサをさらに備える、請求項1〜12のいずれか1項に記載の微生物検出デバイス。
【請求項14】
前記センサが比色センサである、請求項13に記載の微生物検出デバイス。
【請求項15】
前記プランジャーヘッドに取り外し可能に係合するように適合された細長プランジャーシャフトを有するプランジャー棒であって、該プランジャー棒および該プランジャーヘッドは、前記長手方向軸に沿って移動可能であり、前記培地および前記サンプル物質を前記レザバ内から分配する、プランジャー棒;ならびに
前記管状本体の前記第一の端部に設置可能な針アセンブリであって、該針アセンブリは、双頭針を備え、一方の端部が前記セプタムを穿刺するように構成されている、針アセンブリ、
をさらに備える、請求項1〜14のいずれか1項に記載の微生物検出デバイス。
【請求項16】
微生物検出デバイスを提供する工程であって、該微生物検出デバイスは、
長手方向軸を規定し、そして第一の端部および第二の端部を有する、管状本体;
該管状本体の該第一の端部を密封するように構成された穿刺可能なセプタム;ならびに
該管状本体の該第二の端部を実質的に閉じるように構成されたプランジャーヘッド、
を備え、該プランジャーヘッドと、該穿刺可能なセプタムと、該管状本体とが、培地を含むレザバを規定し、該プランジャーヘッドは、該管状本体内に配置され、そして該レザバ内の圧力の変化に応答して、該管状本体内で移動可能である、工程;
サンプル物質を該微生物検出デバイス内に配置する工程;
該プランジャーヘッドの位置を観察して、微生物の増殖が起こったか否かを決定する工程;
プランジャー棒を該プランジャーヘッドに取り付ける工程;
針アセンブリを該セプタムに取り付ける工程;ならびに
該プランジャー棒に少なくとも所定の圧力を付与する工程であって、その結果、該プランジャー棒および該プランジャーヘッドが該長手方向軸に沿って移動し、該培地および該サンプル物質を該レザバ内から該針アセンブリを介して分配する、工程、
を包含する、サンプル物質の微生物内容物を検出するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2010−81938(P2010−81938A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225634(P2009−225634)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】