説明

微粒体型硬化触媒の製造方法

【課題】エポキシ樹脂及び硬化触媒を混合したあとの安定性を高め、かつ流動性を保ち、今日のアンダーフィル剤、シール剤、接着剤、絶縁材料、ソルダーマスク、ドライフィルム等の高機能に対応し得る組成物に使用することのできる微粒体型硬化触媒の製造方法を提供することにある。
【解決手段】エポキシ樹脂の硬化触媒(A)、エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を必須成分とする液状組成物を微小ノズルから気体中に吐出し微粒体を形成させ、微粒体が浮遊している間に高エネルギー線を照射しエチレン性不飽和基を有するモノマー(B)を重合させることを特徴とする微粒体型硬化触媒の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒体型硬化触媒の製造方法に関し、詳細には、半導体の封止材料、アンダーフィル剤、シール剤、接着剤、絶縁材料、ソルダーマスク、ドライフィルム等に利用する事ができる微粒体型硬化触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、芯物質とこれを被覆する高分子材料からなる微粒子(マイクロカプセル)の調製法に関しては数多く報告されており、例えば乳化重合法、懸濁重合法、界面反応法、液中乾燥法等の分散系を利用したものが知られている。これらの方法は、特殊な装置を使用する必要がないこと、微粒子サイズをある程度、調整し易いこと、微粒子膜の性質及び構造を制御できるなどの利点があるため多くの分野で活用されている。例えば感圧型複写紙、圧力測定シート、感圧型接着剤、液晶表示材料等や放出制御型医薬品、放出制御型農薬等としての利用が実用化されている。
【0003】
しかし、上記の従来の製造方法では、より均一なものを製造するためにそれぞれの方法に応じた微粒体の構成材料しか適用できないという傾向があり、構成材料の選択の余地が狭まるという問題がある。また、得られる微粒体の性能は、該粒体の粒径及び膜厚(壁膜の直径及び厚さ)のパラメータによって大きく左右する。従って、微粒体を一定の優れた性能に保つには、これら粒径及び膜厚を適切な範囲に制御することが要求される。しかし、これまでの技術では、液中で分散剤を用いた分散、攪拌により芯物質の塊を作る等により微粒体を製造しており、攪拌速度や分散剤濃度でマイクロカプセルの粒径及び膜厚をコントロールしていたため、これらの何れもバラツキが生じていた。このように、マイクロカプセルの粒径及び膜厚を所望のレベルにし、更に均一化するなど高精度に制御することは困難であった。
【0004】
かかる問題を解決するために、特許文献1にはインクジェット法により、膜を構成する高分子材料と芯物質からなる液状組成物を溶液中に吐出し、マイクロカプセルを製造する方法が提案されている(相分離法、液中乾燥法、界面重合法またはin situ重合法)。この方法は、マイクロカプセルの粒径を高精度に制御でき優れた方法である。
【0005】
しかしながら、この方法の欠点は吐出物を、被吐出液体中に吐出するため、得られたマイクロカプセルを分離する必要があり、例えば、粒径がミリメートル領域〜ナノメートル領域のマイクロカプセルを分離する際の濾過に膨大時間がかかることや、マイクロカプセルを洗浄するための洗浄液が多量に必要など工業的、環境的に多くの課題が残されていた。
【0006】
【特許文献1】特開2001−232178
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、半導体の封止材料、アンダーフィル剤、シール剤、接着剤、絶縁材料、ソルダーマスク、ドライフィルム等は携帯機器の小型軽量化や通信速度の向上をめざし、高精度、高密度化が求められており、それに伴い要求も増々高度となり、より組成物の安定性、流動性、耐熱性等に耐えうる性能が要求されている。しかしながら、現在市販されている材料では、これら要求に十分に対応できていない。本発明の目的は、主剤及び硬化剤を1液化した後も長期間安定であり、かつ流動性を保ち、今日のアンダーフィル剤、シール剤、接着剤、絶縁材料、ソルダーマスク等の高機能に対応し得る組成物に使用することのできる微粒体型硬化触媒の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前述の課題を解決するため、鋭意研究の結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1)エポキシ樹脂の硬化触媒(A)、エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を必須成分とする液状組成物を微小ノズルから気体中に吐出し微粒体を形成させ、微粒体が気体中に浮遊している間にこれに高エネルギー線を照射しエチレン性不飽和基を有するモノマー(B)を重合させることを特徴とする微粒体型硬化触媒の製造方法、
(2)吐出方法が、スプレー法又はインクジェット法である上記(1)に記載の微粒体型硬化触媒の製造方法、
(3)エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)が、分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有する上記(1)ないし(3)のいずれか一項に記載の微粒体型硬化触媒の製造方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、粒径が精度よく制御され且つそれらが均一な微粒体型硬化触媒が製造でき、かつ得られた微粒体型硬化触媒も容易に分離、取り出しができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の微粒体型硬化触媒の製造方法は、エポキシ樹脂の硬化触媒(A)、エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を必須成分とする液状組成物を微小ノズルから気体中に吐出し微粒体を形成させ、微粒体が気体中に浮遊している間に高エネルギー線を照射しエチレン性不飽和基を有するモノマー(B)を重合させ、微粒体型硬化触媒とすることを特徴とするものである。
【0011】
エポキシ樹脂の硬化触媒(A)としては、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、イミダゾール類、酸無水物類、フェノール類、カルボキシ化合物類、フォスフィン類、スルホニウム塩類、ヨードニウム塩類等のエポキシ基を開環反応させうる触媒であれば制限無く使用することができるが、後述するエチレン性不飽和基を有するモノマー(B)と反応せず、かつエチレン性不飽和基を有するモノマー(B)に溶解性を有することが好ましい。
【0012】
エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)としては、分子中にエチレン性不飽和結合を有しているものであれば、制限なく使用することができる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル類、スチレン、α−メチルスチレン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応物等の単官能モノマーや、ジビニルベンゼン、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールと(メタ)アクリル酸との反応物、ネオペングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応物、ε−カプロラクトン変性ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールの付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール型ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応物、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールと(メタ)アクリル酸との反応物、ジオキサンジグリコールと(メタ)アクリル酸との反応物(例えば、日本化薬製 KAYARAD R−604)、トリシクロデカンジメタノールと(メタ)アクリル酸との反応物(例えば、日本化薬製 KAYARAD R−684)等の2官能モノマーや、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパンポリトリ(メタ)アクリレート、グリセンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンの反応物のポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー等が挙げられる。これらモノマーは、常温で液状である限り単独または2種以上混合して使用することができるが、微粒体型硬化触媒を製造するためのスプレー法又はインクジェット法に適した粘度を得る必要があることから、単官能および/または2官能モノマーを主体としてこれに多官能モノマーを少量混合することが好ましい。多官能モノマーは、微粒体型硬化触媒の硬さや、前述の硬化触媒(A)の徐放性を調整するために用いられ、この添加量は、エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)成分中、通常1〜20重量%である。
【0013】
光重合開始剤(C)は光を照射することにより分解しエチレン性不飽和基を重合させ得る活性種を生成するものであれば全て用いることができる。この光重合開始剤(C)の具体例としては例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等があげられる。これらは、微粒体型硬化触媒の製造に用いられる光源の照射波長に合わせ、単独または2種以上混合して用いることができる。またさらに、必要に応じてトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等の安息香酸誘導体等の促進剤などと組み合わせて使用することもできる。この使用割合は、光重合開始剤(C)に対して、0〜100重量%である。
【0014】
それぞれの成分の含有割合は、各成分の合計重量を100重量部とした場合、エポキシ樹脂の硬化触媒(A)は、10〜90重量部、エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)は10〜80重量部及び光重合開始剤(C)は、1〜30重量部であることが好ましい。また、これらから得られる液状組成物の粘度は、0.1〜30,000mPa・sの範囲であることが好ましい。この粘度が0.1mPa・s未満の場合、製造された微粒体型硬化触媒の粒径が細かくなりすぎ、これを触媒として用いた組成物の安定性が低くなり好ましくない。また反対に、この粘度が30,000mPa・sを超える場合、製造された微粒体型硬化触媒の粒径が大きくなりすぎ、これを触媒としての用いた組成物を、例えばアンダーフィル等へ適用した場合、半導体チップとギャップに流れ込みにくくなり実質上使用できなくなるので好ましくない。
【0015】
次に本発明の微粒体型硬化触媒の製造方法について説明する。前述の割合にて調整された液状組成物は、好ましくはスプレー法又はインクジェット法により密閉容器中に吐出される。スプレー法としては、液状組成物に直接圧力をかけ噴霧ノズルから吐出させる1流体ノズル吐出法や、液状組成物に高圧の気体を作用させ圧力差により噴霧ノズルから吐出させる2流体ノズル吐出法が適用できる。1流体ノズル吐出法における圧力としては、使用されるノズルの形状や液状組成物の粘度にも影響されるが、1〜30MPa程度の圧力をかけることが望ましい。また、2流体ノズル吐出法において作用させる気体としては、0.1〜10MPaの圧力にて、1〜100L/minの量を作用させることが望ましい。
【0016】
インクジェット法において使用されるインクジェットヘッドは、インクジェット記録方式に採用される通常のものが用いられ、例えば、ピエゾ型、バブル型等のヘッドが挙げられる。特に、ピエゾ型は、吐出物の温度が高くなることがなく、上記液状組成物を構成している各成分の変質が起こらないため特に好ましい。インクジェットヘッドからの吐出量は、1粒子当り0.1〜100nLで、その吐出速度は、3〜10m/sであることが好ましく、またインクジェットヘッドの吐出温度は、−15〜40℃の範囲で前記液状組成物の粘度が一定になるように調整することが特に好ましい。
【0017】
上記の方法により吐出された前述の液状組成物は、密閉容器中に浮遊している間に可視光線、紫外線、X線等の高エネルギー線を照射し、光重合開始剤(C)から活性ラジカルを発生させ、エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)を光重合させることにより、エポキシ樹脂の硬化触媒(A)を包含または固着させることにより、本発明の微粒体型硬化触媒を製造することができる。吐出させた液状組成物を浮遊させる気体としては、空気でも差し支えないが、ラジカル重合反応を阻害することない、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガスが特に好ましい。また、例えば紫外線を照射する場合には、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、紫外線発光レーザー(エキシマーレーザー等)等の紫外線発生装置を用いればよい。照射量としては、前述の液状組成物に含有する光重合開始剤(C)の種類と量にもよるが、10〜10,000mJ/cmの範囲であることが好ましい。
【0018】
上記のようにして得られた微粒体型硬化触媒は、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物に含有させ、一液型の組成物として使用される。
本発明に使用される。
ここでエポキシ樹脂としては、一般に電気・電子部品に使用される物であれば良い。例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールK、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ジ−ter.ブチルハイドロキノン、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、カテコール、メチルカテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン等のグリシジル化物、フェノール類、もしくはナフトール類とアルデヒド類との縮合物、フェノール類もしくはナフトール類とキシリレングリコールとの縮合物、フェノール類とイソプロペニルアセトフェノンとの縮合物、フェノール類とジシクロペンタジエンの反応物の、グリシジル化物等が挙げられる。これらは、公知の方法により得ることが出来る。
上記の、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、ノニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、ハイドロキノン、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールK、ビスフェノールS、ビフェノール、テトラメチルビフェノール等が例示される。
【0019】
又、ナフトール類としては、1−ナフトール、2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン、トリヒドロキシナフタレン等が例示される。
【0020】
更に、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロルベンズアルデヒド、ブロムベンズアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、ピメリンアルデヒド、セバシンアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、サリチルアルデヒド、フタルアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド等が例示される。本発明に使用されるエポキシ樹脂は、上記に例示されるが、電気・電子部品に使用されるものであれば良く、単独または数種混合して使用される。
【0021】
硬化剤は、電気・電子部品に用いられるものであれば良く、具体的には、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールK、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ジ−ter.ブチルハイドロキノン、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、カテコール、メチルカテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン等、フェノール類、もしくはナフトール類とアルデヒド類との縮合物、フェノール類もしくはナフトール類とキシリレングリコールとの縮合物、フェノール類とイソプロペニルアセトフェノンとの縮合物、フェノール類とジシクロペンタジエンの反応物等が例示され、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する、フェノール系および/またはナフトール系硬化剤が好ましい。又、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ペンタエチレンヘキサミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチル−シクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジドポリアミドポリアミン等のアミン系や無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物等の酸無水物系等の硬化剤も使用できる。これらの硬化剤は、単独または数種混合して使用される。
【0022】
上記の、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、ノニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、ハイドロキノン、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールK、ビスフェノールS、ビフェノール、テトラメチルビフェノール等が例示される。
【0023】
又、ナフトール類としては、1−ナフトール、2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン、トリヒドロキシナフタレン等が例示される。
【0024】
更に、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロルベンズアルデヒド、ブロムベンズアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、ピメリンアルデヒド、セバシンアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、サリチルアルデヒド、フタルアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド等が例示される。
【0025】
硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対し通常0.3〜1.5当量、好ましくは0.5〜1.3当量である。0.3当量未満の場合未反応エポキシ基が多くなり、1.5当量以上の場合、未反応硬化剤の量が多くなり、硬化物の熱的及び機械的物性が低下して好ましくない。
【0026】
また、微粒体型硬化触媒は、芯物質として含まれる硬化触媒の量が、エポキシ樹脂100重量部当り、通常0.2〜7.0重量部、好ましくは、0.2〜6.0重量部となる割合で含有させる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでない。
【0028】
液状組成物の調製−1
2Lのステンレス製ビーカーにエポキシ樹脂の硬化触媒(A)としてトリフェニルフォスフィンを200g、エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)として、メタクリル酸メチル(単官能モノマー)を500g、KAYARAD R−684(商品名:日本化薬製 トリシクロデカンジメタノールジアクリレート:2官能モノマー)を150g及び、KAYARAD DPHA(商品名:日本化薬製 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:多官能モノマー)を50g、光重合開始剤(C)として、イルガキュアー369(商品名:チバスペシャリティーケミカルズ製)を70g、KAYACURE DETX−S(商品名:日本化薬製 ジエチルチオキサントン)を20g、ルシリンTPO(商品名:BASF製)を10gを仕込み、40℃の温度で攪拌混合し固形分を完全に溶解させた。室温に冷却後、孔径1μmのPTFE製フィルターにてろ過を行い、不溶解分を取り除いた。粘度は、50mPa・sであった。この液状組成物をA−1とする。
【0029】
液状組成物の調製−2
2Lのステンレス製ビーカーにエポキシ樹脂の硬化触媒(A)として2E4MZ(商品名:四国化成製 イミダゾール系化合物)を200g、エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)として、スチレン(単官能モノマー)を400g、メタクリル酸(単官能モノマー)を100g、KAYARAD R−604(商品名:日本化薬製 ジオキサングリコールジアクリレート:2官能モノマー)を150g及び、KAYARAD DPCA−60(商品名:日本化薬製 ε―カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:多官能モノマー)を50g、光重合開始剤(C)として、イルガキュアー184(商品名:チバスペシャリティーケミカルズ製)を70g、KAYACURE DETX−S(商品名:日本化薬製 ジエチルチオキサントン)を10g、カンファーキノンを10g、ルシリンTPO(商品名:BASF製)を10gを仕込み、40℃の温度で攪拌混合し固形分を完全に溶解させた。室温に冷却後、孔径1μmのPTFE製フィルターにてろ過を行い、不溶解分を取り除いた。粘度は、40mPa・sであった。この液状組成物をA−2とする。
【0030】
実施例1
周囲から超高圧水銀灯の照射可能であり窒素置換された10Lのガラス容器を用意し、容器底部にアドバンテック製 No.131フィルターをセットした減圧捕集装置を取り付け、前述の液状組成物A−1を株式会社いけうち製2流体ノズル(SETO 0407)を用い、0.5MPaの窒素を毎分20Lの割合で流し、ガラス容器上部から噴霧した。噴霧と同時に超高圧水銀灯の紫外線を周囲から照射し液状組成物A−1を光重合させ、捕集装置フィルター上に固体上の微粒体型硬化触媒を得た。粒径をSEMで観察したところ、最大粒径が30μmであった。
得られた微粒体型硬化触媒5g、エピコート828(商品名:JER製 ビスフェノール−A型エポキシ樹脂)50g、ビスフェノール−F 50gとをビーズミルにて分散し、得られた組成物を80℃の温度に保ったところゲル化に要する時間は200分であった。一方、トリフェニルフォスフィン、エピコート828およびビスフェノール−Fから得た組成物を同条件で保管したところわずか40分でゲル化した。硬化物の機械特性はどちらも良好な特性を示した。
【0031】
実施例2
窒素置換された10Lのガラス容器を用意し、容器底部にアドバンテック製 No.131フィルターをセットした減圧捕集装置を取り付け、前述の液状組成物A−2をピエゾ型インクジェットヘッドを用いガラス容器上部から噴霧した。このときの一回当たりの吐出量は、3pLであった。噴霧と同時に青色半導体レーザーにて照射し液状組成物A−2を光重合させ、捕集装置フィルター上に固体上の微粒体型硬化触媒を得た。粒径をSEMで観察したところ、最大粒径が10μmであった。
得られた微粒体型硬化触媒5g、RE−602(商品名:日本化薬製 ビスフェノール−F型エポキシ樹脂)100gとをビーズミルにて分散した。得られた組成物を60℃の温度に保ったところゲル化に要する時間は180分であった。一方、2E4MZ(商品名:四国化成製イミダゾール化合物)、RE−602から得た組成物を同条件で保管したところわずか30分でゲル化した。硬化物の機械特性はどちらも良好な特性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂の硬化触媒(A)、エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を必須成分とする液状組成物を微小ノズルから気体中に吐出し微粒体を形成させ、微粒体が気体中に浮遊している間にこれに高エネルギー線を照射し、エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)を重合させることを特徴とする微粒体型硬化触媒の製造方法。
【請求項2】
吐出方法が、スプレー法又はインクジェット法である請求項1に記載の微粒体型硬化触媒の製造方法。
【請求項3】
エチレン性不飽和基を有するモノマー(B)が、分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の微粒体型硬化触媒の製造方法。

【公開番号】特開2007−14876(P2007−14876A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198560(P2005−198560)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】