説明

微粒子として変性層状ケイ酸塩を使用する製紙

【課題】特に比較的低いpHで濾水性の向上及び歩留まりの改善のために使用した場合に先行技術を向上させる製紙用の微粒子としての層状ケイ酸塩を提供する。
【解決手段】置換ヒドロキシアルキルシランで変性された層状ケイ酸塩を製紙に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製紙のための変性層状ケイ酸塩の使用、変性層状ケイ酸塩それ自体及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙において、微粒子系は歩留り、濾水挙動及び地合い(これは、紙の“均一性”又は“凝集度”を意味すると解される)の改善のために使用される。これらの系は、有機的性質と無機的性質の両者であってよい。これらは、有利にはカチオン系ポリマーと組み合わせて使用される。
【0003】
有利に使用される無機の微粒子は層状ケイ酸塩及びシリカゾルである。
【0004】
酸性媒体中でも完全な効果を表す有機の微粒子に対して、層状ケイ酸塩又はシリカゾルを基礎とする無機の微粒子系は、これらがその最適効果を中性媒体又はアルカリ性媒体中でしか達成しないという欠点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特に比較的低いpHで濾水性の向上及び歩留まりの改善のために使用した場合に先行技術を向上させる製紙用の微粒子としての層状ケイ酸塩を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、置換ヒドロキシアルキルシランで変性された層状ケイ酸塩が前記課題を解決することが判明した。
【0007】
従って本発明は、アミノ基、スルホン酸基及び/又はメルカプト基を有する微粒子としての層状ケイ酸塩を製紙において、特に紙の歩留まり及び/又は濾水性のために使用することに関する。
【0008】
本願に関しては、“酸基”はまたその塩、特にアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩及びカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩及びカルシウム塩又はアンモニウム塩を意味すると解される。
【0009】
有利な層状ケイ酸塩は、ケイ素原子に結合されて、式I及び/又はII及び/又はIII
−B−(SOM)− (I)、
−B−(SH)− (II)、
−B−(NH− (III)
[式中、
Bは(p+1)価の架橋員を示し、
pは1〜3の数であり、かつ
Mは、水素、アルカリ金属、特にNa、Li又はK、アルカリ土類金属、特にMg又はCa又はアンモニウムを表す]の基を有するシランで変性された層状ケイ酸塩である。
【0010】
Bは特に有利には二価である、すなわちpは1を表す。Bは有利には直鎖状又は分枝鎖状の、1個又は複数個の酸素原子によって中断されているか又は中断されていない1〜15個のC原子を有するアルキレン基、5〜8個の炭素原子を有するシクロアルキレン基又は式
【0011】
【化1】

の単位を表す。
【0012】
Bは特に有利には−(CH−[式中、n=1〜6、特に3]を表す。
【0013】
スルホン酸基、特に式Iのスルホン酸基、特に有利には式Ia
−(CH−SOM (Ia)
のスルホン酸基を有する層状ケイ酸塩を使用することが好ましく、その際、Mは前記の意味を有する。
【0014】
本発明による層状ケイ酸塩は、有利にはカチオン系ポリマー、特にポリエチレンイミン、ポリアミドアミン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、デンプン又はグァーフラワーからなる群からのカチオン系ポリマーと組み合わせて使用され、これらのポリマーは場合により更に変性されていてよく、かつ別個に又は任意の互いの所望の混合物で使用することができる。
【0015】
0.5百万g/モルより大きい分子量、特に500000〜2百万g/モルの分子量、有利には700000〜1.5百万g/モルの分子量を有する直鎖状又は分枝鎖状の化合物を有利なポリエチレンイミンとして挙げることができる。
【0016】
0.5百万g/モルより大きい分子量、特に500000〜2百万g/モルの分子量、有利には700000〜1.5百万g/モルの分子量を有する直鎖状又は分枝鎖状の化合物を有利なポリアミドアミンとして挙げることができる。
【0017】
有利なポリアクリルアミドは直鎖状と分枝鎖状の両者であってよい。それらの分子量は2百万〜30百万ダルトン、有利には2.5百万〜15百万ダルトンであってよい。
【0018】
ジャガイモ、タピオカ、トウモロコシ、コムギ又はコメを基礎とするカチオン系デンプンを有利なデンプン誘導体として挙げることができる。これらは、有利には0.005〜0.15の置換度、特に有利には0.02〜0.08の置換度を有する。これらのデンプンは場合により部分的に分解されていてもよい。
【0019】
更に本発明はスルホン酸基及び/又はメルカプト基を有し、かつ層状ケイ酸塩のSiOに対する硫黄含量0.02ミリモル〜1000ミリモル、有利には0.2ミリモル〜400ミリモルを有する層状ケイ酸塩に関する。1ミリモル〜200ミリモルが特に好ましい。ここで、その量は層状ケイ酸塩100gに対するものである(ミリモル/100g)。
【0020】
それ以外に、前記の有利な範囲を適用できる。本発明による前記の硫黄含量を有する層状ケイ酸塩は、特に式−(CH−SOM[式中、Mは前記の意味を有し、特にH又はNaを表す]の基を有する場合に好ましい。
【0021】
更に本発明は、本発明による層状ケイ酸塩の製造方法であって、SH基とSOM基を有さず、Mが前記の意味を有する層状ケイ酸塩を
a)メルカプト化合物と反応させて、
随意にSH基を導入し、
b)SOM基を有する化合物と反応させるか、又は
b1)官能基を有する化合物と反応させ、その官能基自体をSOM基に変換し、特にa)により得られたメルカプト化合物を酸化させるか、又は
b2)官能基を有する化合物と反応させ、こうして誘導体化された層状ケイ酸塩を更にSOM基を有する化合物と反応させて、
随意にスルホン酸基を導入し、
その際、反応を、工程a)、b)、b1)又はb2)の少なくとも1工程において、それぞれの反応混合物に対して少なくとも75質量%の含水率を有する水性媒体中で実施することを特徴とする方法に関する。
【0022】
変法a)、b)及びb1)が特に好ましい。
【0023】
式III
(CHSi(OR)(OH)−(CH−SOM (III)
[式中、
m及びpはそれぞれ0〜3の数を示し、
qは0又は1であり、
かつqとmとpとの合計は3であり、
nは1〜15、有利には1〜6、特に3であり、
Mは前記の意味を有し、かつ
RはC〜C−アルキル、特にメチル又はエチルを表す]の化合物を、有利にはSOM基を有する化合物として挙げることができる。
【0024】
式IIIa
(CHSi(OH)−(CH−SOM (IIIa)
[式中、
M、p及びqは前記の意味を有し、特にpは3を表し、かつqは0を表す]に相当する式IIIの化合物が特に好ましい。
【0025】

(CHSi(OH)−(CH−NH (IV)
[式中、
p及びqは前記の意味を有し、特にpは3を表し、かつqは0を表す]に相当する式IVの化合物も特に好ましい。
【0026】
未変性形の化合物を本発明により変性される無機層状化合物の基礎として使用し、次いで変性させる。これらの未変性形化合物は合成と天然のどちらから得られた層状化合物であってもよい。これらには、例えば層状ケイ酸塩又は粘土鉱物又は粘土鉱物含有のレクトライト、アメサイト、バイデライト、ベントナイト、フルオロヘクトライト、フルオロバーミキュライト、マイカ、ハロイサイト、ヘクトライト、イライト、モンモリロナイト、ムスコバイト、ノントロナイト、パリゴルスカイト、サポナイト、セピオライト、スメクタイト、スティーブンサイト、タルク、バーミキュライト及び合成タルク型及びアルカリ金属ケイ酸塩のマグへタイト、マガディアイト、ケニヤイト、マカタイト、シラナアイト、グルマンタイト(grumantite)、レブダイト及びそれらの水化物形及び会合した結晶ケイ酸(associated crystalline silicic acid)が含まれる。更に、他の無機層状化合物、例えばハイドロタルサイト、複水酸化物及びヘテロポリ酸を使用してよい。
【0027】
また本発明は、変性層状ケイ酸塩の製造方法に関する。本発明によれば、これらのケイ酸塩は水溶液中で製造することが好ましい。
【0028】
本発明による化合物の製造方法は、好ましくは、カチオン交換容量10〜200ミリ当量/100g、有利には50〜150ミリ当量/gを有し、かつアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを対イオンとして含有する無機層状化合物を使用することを特徴とする。これらの層状化合物は、有利には水性分散液又は水と極性の水混和性溶剤との混合物中の分散液において変性される。この変性は、有利にはシラン濃度0.01〜90%、有利には0.1〜40%、殊に有利には0.1〜35%で行われる。変性は温度0℃〜150℃で実施される。変性は大気圧又は高められた圧力下のいずれで実施してもよい。常圧で温度15℃〜80℃での反応が好ましく、15℃〜50℃が殊に好ましい。変性はpH1〜pH11の範囲のpHで実施してよい。pH範囲3〜10.5が好ましい。
【0029】
変性は、好ましくは分散液中の層状ケイ酸塩の固体含有率0.001〜10質量%、有利には0.1〜5質量%、特に有利には0.1〜3質量%で実施される。
【0030】
変性は、別々の工程でも、製紙において使用される直前に実施してもよい。シランと層状化合物との比は、好ましくは使用される層状化合物のカチオン交換容量の0.002〜5倍に相当する。従って本発明による変性層状ケイ酸塩は、有利には、式I〜IVのシラン含量0.02ミリモル〜1000ミリモル、有利には0.2ミリモル〜400ミリモルを特徴とする。特に1ミリモル〜200ミリモルが好ましい。ここで、その量は100gの層状ケイ酸塩に対するものである(ミリモル/100g)。
【0031】
使用されるシランは、アルコキシ基とヒドロキシル基の両方によって置換されていてよい。トリアルコキシシランの加水分解によって製造されたトリヒドロキシシリル化合物の使用が好ましい。加水分解は変性の間にワンポット工程で又は別個の工程で実施してよい。
【0032】
更に本発明は、製紙の方法であって、本発明による層状ケイ酸塩とカチオン系ポリマーを所望の順序で、繊維の水性懸濁液に添加し、次いでシート形成、例えばシートの濾水及び乾燥を実施することを特徴とする方法に関する。かかる方法は、例えばUS−A−5643414号に記載されている。
【0033】
本発明による層状ケイ酸塩は、特に低い電荷密度のカチオン系ポリマーと組み合わせて、濾水速度及び歩留まりの効率の実質的な改善を特徴とする。
【実施例】
【0034】
実施例1
50質量%の式Si(OCH−(CH−SHのシランを含有するエタノール溶液10gを100mlの水に、室温で激しく撹拌しながら滴加する。この手順の間に、pHはNaOHでの滴定によってpH10より高く保持する。室温で1時間撹拌した後に、エタノールを留去する。
【0035】
水素架橋を介して場合により既に凝集されていることもあるSi(OH)−(CH−SHの水溶液80gが得られる。
【0036】
実施例2
実施例1による溶液100gを過酸化水素の滴加により酸化させる。水素架橋を介して場合により既に凝集されていることもある実験式Si(OH)−(CH−SOHのシランの溶液が得られる。
【0037】
実施例3
50質量%の式Si(OCH−(CH−NHのシランを含有するエタノール溶液10gを100mlの水に、室温で激しく撹拌しながら滴加する。20〜40℃で1時間撹拌した後に、エタノールを留去する。
【0038】
水素架橋を介して場合により既に凝集されていることもあるSi(OH)−(CH−NHの水溶液80gが得られる。
【0039】
実施例4
まずは50℃で541.2gの35%濃度の過酸化水素と一緒に583gの水を取る。4時間にわたり、375.9gの97%濃度の3−メルカプトプロピルメトキシシランを計量供給する。次いで撹拌を更に2時間継続する。pHを50質量%のNaOHで2.8に調整する。反応の間に形成するメタノールを50℃及び130ミリバールで留去する。次いで、固体含有率を水を用いて25%に調整する。
【0040】
実施例5
市販の層状ケイ酸塩(ベントナイト)を脱塩水中に分散させた0.5%濃度(質量/質量)の分散液(水199gあたり該ベントナイト1gを秤量し、20℃で12時間振盪することによって製造した)200gを、3−スルホプロピルヒドロキシシランを10%濃度のNaOH中に溶かした20%濃度(質量/質量)の溶液と混合し、そして室温で1週間振盪させる(第1表も参照のこと)。
【0041】
こうして得られた懸濁液を次いで、25nmフィルタを介した200mlの限外濾過セル(Millipore, USWP 09025)中で永続的に撹拌しながら導電率が8μS/cmの値にまで低下するまで脱塩水で洗浄した。濾過圧は4バールである。澄明な濾液において、pHと導電率を洗浄の経過の尺度として測定した。
【0042】
洗浄工程を導電率20〜30μS/cm(>2000μS/cmから始まって)及びpH7〜8(pH>11から始まって)で停止した。このためには15〜20工程の洗浄工程が必要であった。
【0043】
該分散液の固体含量を最後の洗浄工程の後に、乾燥秤(drying balance)によって測定し、そして固体含量を水の添加によって当初の値にまで戻す調整を行った。
【0044】
第1表
市販の4種の異なる層状ケイ酸塩を反応させた:
【0045】
【表1】

【0046】
実施例6
実施例1〜5による化合物の効率を、公知のように、Muetek社製のDFS03型の装置、抄紙網60/017において濾水速度を測定することによって測定した。
【0047】
それぞれの場合において、本発明によるものでない市販の変性層状ケイ酸塩を標準として提供した。その効率を100%で設定した。
【0048】
濾水性試験の実施
個々の試験列の間の最適な区別と適合性を達成するために、自動による配量プロフィールと撹拌プロフィールを維持した。この試験のために、Muetek社製の装置(DFS03)(Dynamic Filtration System)が使用される。この装置を用いれば、とりわけ撹拌プロフィールを時間の関数として特定でき、そして最初に導入される物質を1500rpmまで分配することができる。
【0049】
長繊維パルプと短繊維パルプとを含有し、GCC(粉砕炭酸カルシウム、例えばOmya社製のHydrocarb(R)50)が添加された製紙原料懸濁液をこの試験のためのモデル系として用いた(56%の漂白された短繊維パルプ、24%の漂白された長繊維パルプ及び20%のHYDROCARB(R)50)。パルプ濃度は0.5%であった。参照系として、カチオン性20モル%及びブルックフィールド粘度3.91(1モラーのNaCl中の0.1%濃度の溶液として60rpmで測定された)を有するポリアクリルアミドと微粒子とを合した。市販製品の活性物質含有率は40質量%であった。DFS03を用いて濾水性(及び歩留まり)を測定するために、ポリアクリルアミドを濃度0.075質量%(市販製品として計算した)で、そして微粒子を濃度0.4質量%(活性物質として計算した)で、それぞれ製紙原料に対して使用する。
【0050】
DFS03を用いて濾水性を測定するために、それぞれの場合に、まず1lの原料を撹拌(500rpm)しながら取り、そして以下のように製造した0.1%濃度のポリアクリルアミド溶液を20秒後に計量供給する。次いで更に10秒間にわたり500rpmで撹拌を続け、そして次に撹拌速度を20秒間にわたり1000rpmにまで高める。この段階の後に、撹拌速度を再び500rpmにまで下げ、そして同時に微粒子懸濁液(濃度0.5質量%)を添加する。500rpmで15秒間撹拌した後に、抄紙網下の弁を開き、600gの量の水についての濾水時間を測定する。その零試料の濾水時間は約60秒であった。
【0051】
秤量:
0.4gのポリアクリルアミドを99.6gの水(水道水)中に撹拌しながら散布し、15分間(磁気撹拌機、300rpm)撹拌し、次いで膨潤のために0.5時間静置する(撹拌機停止)。
【0052】
次いで該溶液を400g(0.1%濃度の溶液)にし、そして500rpmで約2.5時間、全てが完全に溶解されるまで撹拌する。
【0053】
本発明に従って変性されていないベントナイトの濾水時間に対する効率向上を以下のようにして得る:
効率向上=E(mB)0/EmB・100[%]
[式中、
(mb)0は本発明に従って変性されていないベントナイトの濾水時間[秒]であり、
mBは本発明に従って変性されたベントナイトの濾水時間[秒]である]。
【0054】
以下のような効率向上が得られた:
【0055】
【表2】

【0056】
実施例7
実施例6に対して、実施例7では前処理されていない粗製ベントナイトを使用した。
【0057】
それぞれの場合に、1gの粗製ベントナイト1〜4をその都度180mlの水中に分散させ、実施例2による水溶液として、
7aでは、0.1ミリモルのトリヒドロキシシリルプロパンスルホン酸/100gの固体と一緒に、
7bでは、1ミリモルのトリヒドロキシシリルプロパンスルホン酸/100gの固体と一緒に、
7cでは、10ミリモルのトリヒドロキシシリルプロパンスルホン酸/100gの固体と一緒に、
7dでは、100ミリモルのトリヒドロキシシリルプロパンスルホン酸/100gの固体と一緒に
一晩室温でかつpH7で撹拌する。次いで該溶液を水で200mlにする。
【0058】
実施例8
このように変性された粗製ベントナイトの効率を実施例6に記載のように濾水速度の測定によって試験するが、但し、ベントナイトは原料に対して0.26%の濃度で使用する。効率向上は、純粋なポリアクリルアミドからの、本発明に従って変性されたベントナイトの濾水時間の偏差と粗製ベントナイトの濾水時間の偏差の比として計算された。以下の係数を効率向上のために得る。
【0059】
効率向上(ΔEmB/ΔEB)=ΔEmB/ΔE=(E−EmB)/(E−E
:純粋なポリアクリルアミド(ベントナイト含まず)での濾水時間[秒]
mB:本発明に従って変性されたベントナイトでの濾水時間[秒]
:粗製ベントナイトでの濾水時間[秒]
例えば粗製ベントナイト1の場合には、以下の濾水時間が得られた:
ベントナイトを添加していないポリアクリルアミド: 56.6秒
ポリアクリルアミド+Hydrocol O: 42.7秒
ポリアクリルアミド+粗製ベントナイト1: 50.3秒
ポリアクリルアミド+実施例4による0.1ミリモル/100gのトリヒドロキシプロパンスルホン酸で変性された粗製ベントナイト1: 25.8秒
ポリアクリルアミド+実施例4による1ミリモル/100gのトリヒドロキシプロパンスルホン酸で変性された粗製ベントナイト1: 25.2秒
ポリアクリルアミド+実施例4による10ミリモル/100gのトリヒドロキシプロパンスルホン酸で変性された粗製ベントナイト1: 28.9秒
ポリアクリルアミド+実施例4による100ミリモル/100gのトリヒドロキシプロパンスルホン酸で変性された粗製ベントナイト1: 35.1秒
ポリアクリルアミド+実施例4による1000ミリモル/100gのトリヒドロキシプロパンスルホン酸で変性された粗製ベントナイト1: 36.1秒
純粋なポリアクリルアミドでの濾水時間56.6秒と粗製ベントナイトの添加による濾水時間50.3秒との間の差異から、6.3秒の促進が得られる。
【0060】
純粋なポリアクリルアミドでの濾水時間56.6秒と0.1ミリモル/100gのスルホシランで変性された粗製ベントナイトの添加による濾水時間25.8秒との間の差異から、他方では、31秒の促進が得られる。係数4.9だけの濾水の促進がそこから計算された。他のベントナイトの効果を同様に測定した。
【0061】
【表3】

【0062】
実施例9
ベントナイトの変性を実施例7のように実施し、濾水速度の試験は実施例8のように実施するが、但し、変性のために実施例3によるトリヒドロキシシリルプロピルアミンを使用する。
【0063】
以下の濾水時間の促進係数が得られる:
【0064】
【表4】

【0065】
実施例10
3−メルカプトトリヒドロキシシランの水溶液の製造:
1lの水をまず40℃で導入する。19.6gの3−メルカプトトリメトキシシランを4時間で滴加する。形成したメタノールを大気圧で留去する。次いで、20mlの50%濃度の水酸化ナトリウム溶液で、pHを12.8に調整する。澄明な水溶液が得られる。
【0066】
実施例11
ベントナイトの変性を実施例7のように実施し、そして濾水速度の試験は実施例8のように実施するが、但し、変性のために実施例10によるトリヒドロキシシリルプロピルメルカプタンを使用する。
【0067】
実施例12
こうして変性された粗製ベントナイトの効率を実施例6に記載されるように濾水速度の測定によって試験するが、但し、ベントナイトは原料に対して0.26%の濃度で使用される。相応の粗製ベントナイトと比較して、以下の係数だけの濾水速度の促進が得られる(粗製ベントナイト=1):
濾水速度は以下の係数だけ増大した:
【0068】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基、スルホン酸基及び/又はメルカプト基を有する微粒子としての層状ケイ酸塩の、製紙における、特に紙の歩留まり及び/又は濾水性についての使用。
【請求項2】
スルホン酸基及び/又はメルカプト基を有し、かつ層状ケイ酸塩のSiOに対して、層状ケイ酸塩100gに対する硫黄含量0.02ミリモル〜1000ミリモル(ミリモル/100g)を有する層状ケイ酸塩。
【請求項3】
特にモンモリロナイト型又はモンモリロナイトを含有する層状ケイ酸塩型の無機層状化合物であって、該化合物が固体モンモリロナイト100gに対して少なくとも0.02ミリモルの一般式
(CHSi(OR)(OH)−(CH−X
[式中、
XはSOM、SH又はNHであり、かつ
m及びpはそれぞれ0〜3の数を示し、
qは0又は1であり、かつ
qとmとpの合計は3であり、
nは1〜15であり、
Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムからなる群からの1つの要素を表し、
RはC〜C−アルキルである]のアルキルシランを含有することを特徴とする無機層状化合物。
【請求項4】
請求項3記載の無機層状化合物の、製紙における、特に紙の歩留まり及び/又は濾水性についての使用。
【請求項5】
請求項3記載の無機層状化合物の製造方法において、カチオン交換容量10〜200ミリ当量/100gを有し、かつアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを対イオンとして有する無機層状化合物を使用し、そしてこれらの層状化合物を材料濃度<30%を有する水性分散液又は水と極性溶剤との混合物中の分散液で使用し、そしてこれらの分散液に材料含有率<20%を有するシラン水溶液(1〜6に相当)を添加し、その際、シランと層状化合物との比が使用される層状化合物のカチオン交換容量の0.02〜5倍に相当し、かつ製造温度が0℃〜100℃であり、かつ分散液のpHが1〜10であることを特徴とする方法。

【公開番号】特開2006−104652(P2006−104652A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291310(P2005−291310)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(504419760)ランクセス ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (58)
【氏名又は名称原語表記】Lanxess Deutschland GmbH
【住所又は居所原語表記】D−51369 Leverkusen、 Germany
【Fターム(参考)】