説明

微粒子検知システム

【課題】 ガス中の微粒子量を適切に検知できる微粒子検知システムを提供する。
【解決手段】排気ガスEG中の微粒子Sの量を検知する微粒子検知システム1は、検知部10、ケーブル160、駆動処理回路201を備える。検知部10は、第1電極31及び第2電極20を有するイオン源と微粒子帯電部12と内側包囲部13と外側包囲部14とを有する。ケーブル160は、第2電極20に導通する電源配線161と、内側包囲部13に導通し電源配線161を包囲する内側包囲配線165と、外側包囲部14に導通し内側包囲配線165を包囲する外側包囲配線167とを有する。駆動処理回路210は、イオン源電源回路210と信号電流検知回路230とを有し、イオン源電源回路210は、その第1出力端211に導通する電源回路包囲部材250に包囲され、イオン源電源回路210、電源回路包囲部材250、信号電流検知回路230は、接地電位PVEに導通する外側金属ケース260に包囲、電磁遮蔽される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気管内を流通する排気ガス中の微粒子の量を検知する微粒子検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン)では、その排気ガス中にススなどの微粒子を含むことがある。
このような微粒子を含む排気ガスは、フィルタで微粒子を捕集して浄化することが行われている。また、必要に応じてフィルタを高温にすることで、このフィルタに蓄積した微粒子を燃焼させて除去することも行われる。しかるに、フィルタが破損するなどの不具合を生じた場合には、未浄化の排気ガスが直接、フィルタの下流に排出されることとなる。
そこで、(未浄化の)排気ガス中の微粒子の量を直接計測したり、フィルタの不具合を検知すべく、排気ガス中の微粒子の量を検知可能な微粒子検知システムが求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、粒子計測処理方法及び機器が開示されている。この特許文献1では、イオン化された正のイオン粒子を含む気体を、排気管からチャネル内に取り込んだ微粒子を含む排気ガスと混合して微粒子を帯電させ、その後排気管に排出する。そして、排出された帯電微粒子の量に応じて流れる電流(信号電流)を検知して、微粒子の濃度を検知する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2009/109688
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通常運転状態の内燃機関の排気ガスに含まれる微粒子の量を想定した場合、このようにして測定できる信号電流の大きさは、非常に小さい。例えば気体を放電によりイオン化させる際に流す電流をμAオーダとした場合、信号電流の大きさは、その1/1000程度のpAオーダとなる。このため、放電電流や信号電流が流れる配線や部材の各部分において、電磁ノイズが重畳すると、放電電流や信号電流の大きさが変動し、正確に排気ガス中の微粒子の量を検知し難くなる。また、放電を起こさせるために高電圧を掛けると、放電により電流が流れるほか、ケーブル内や各所で漏れ電流が生じる。この漏れ電流の存在は、信号電流の誤差となる虞がある。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、微粒子量に対応する信号電流を適切に検知できる微粒子検知システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、金属製の排気管内を流通する排気ガス中の微粒子の量を検知する微粒子検知システムであって、上記排気管に装着された検知部と、上記検知部から延出したリード線と、上記リード線に接続した駆動処理回路と、を備え、上記検知部は、イオン源と微粒子帯電部と内側包囲部と外側包囲部とを有し、上記イオン源は、第1フローティング電位とされる第1電極、及び、上記第1フローティング電位に比して、正または負電位方向に高電位の第2フローティング電位とされる第2電極を有し、これらの間の気中放電によりイオンを生成するイオン源であり、上記微粒子帯電部は、この微粒子帯電部外部の上記排気ガスを上記微粒子帯電部の内部に取り入れる取入口を含み、自身の内部に、上記取入口から取り入れた取入排気ガスを上記イオン源で生成した上記イオンと混合して、上記取入排気ガス中の上記微粒子に上記イオンを付着させて、帯電微粒子とする混合領域を構成してなり、上記取入排気ガスとともに上記帯電微粒子を排出する排出口を含み、上記第1電極と導通し、上記イオン源で生成された上記イオンのうち、上記微粒子に付着しなかった浮遊イオンを捕集する捕集極をなす、導電性の微粒子帯電部であり、上記内側包囲部は、上記第2電極及び上記排気管とは電気的に絶縁される一方、上記微粒子帯電部及び上記第1電極と導通し、上記微粒子帯電部及び上記イオン源よりも上記リード線側で、上記第2電極の径方向周囲を取り囲んでなり、上記外側包囲部は、上記排気管と導通して接地電位とされる一方、上記第2電極、上記微粒子帯電部及び上記内側包囲部とは電気的に絶縁され、上記微粒子帯電部、上記イオン源及び上記内側包囲部のうち、上記排気管の外部に位置する部位の径方向周囲を取り囲んでこれらを電磁遮蔽してなり、上記リード線は、上記第2電極に導通する電源配線と、上記内側包囲部と導通すると共に、上記電源配線とは絶縁しつつ、この電源配線の径方向周囲を包囲する内側包囲配線と、上記外側包囲部と導通すると共に、上記内側包囲配線とは絶縁しつつ、この内側包囲配線の径方向周囲を包囲して上記内側包囲配線を電磁遮蔽する外側包囲配線と、を有する二重包囲ケーブルであり、上記駆動処理回路は、上記第1フローティング電位とされ、上記内側包囲配線に導通し、上記内側包囲配線を通じて、上記イオン源の上記第1電極に給電する第1出力端と、上記第2フローティング電位とされ、上記電源配線に導通し、上記電源配線を通じて、上記イオン源の上記第2電極に給電する第2出力端と、を含み、上記第2出力端を通じて予め定めた定電流を出力するイオン源電源回路と、上記第1出力端に導通する信号入力端と、上記接地電位に導通する接地入力端と、を含み、上記第1出力端と上記接地電位との間を流れる信号電流を検知する信号電流検知回路と、を有し、上記イオン源電源回路は、上記第1出力端に導通する電源回路包囲部材に包囲されてなり、上記イオン源電源回路及びこれを囲む上記電源回路包囲部材と上記信号電流検知回路とは、いずれも上記接地電位に導通する外側回路包囲部材に包囲されて電磁遮蔽されてなる微粒子検知システムである。
【0007】
この微粒子検知システムでは、イオン源における気中放電によって、イオン源電源回路の第2出力端から電源配線を通じて第2電極に、放電電流が供給される。この放電電流のうち、多くは、放電経路を通じて、第1電極に流れ込む(以下、この電流を、受電電流という。)。また、イオン源から放出されたイオンの多くは、浮遊イオンとして捕集極で捕集されるので、この捕集極には、この浮遊イオンに電荷に対応する電流(捕集電流)が流れる。そして、これら受電電流と捕集電流の和(受電捕集電流)が、第1電極及び捕集極(微粒子帯電部)に導通する内側包囲配線を流れ、イオン源電源回路の第1出力端に戻る。
但し、受電捕集電流は、放電電流に比して僅かに少ない。というのも、イオン源で生成されたイオンのうち、排出口から排出された帯電微粒子に付着して排出された排出イオンの電荷に対応する分の電流は、内側包囲配線を通らないからである。なお、帯電微粒子が流通している排気管は接地電位とされている。
ところでイオン源電源回路から見ると、第2出力端から流出した電流と、第1出力端から流入する電流とにアンバランスが生じることとなる。このため、この不足分(差分=放電電流−受電捕集電流)に相当する信号電流が、接地電位から第1出力端に向けて流れ込んでバランスする。
そこで、本システムでは、第1出力端に導通する信号入力端と、接地電位に導通する接地入力端とを有する信号電流検知回路を設けることで、第1出力端と接地電位との間を流れる信号電流を検知する。
この差分(放電電流−受電捕集電流)に相当する信号電流の大きさは、排出された帯電微粒子に付着して排出された排出イオンの量、したがって、取入排気ガス中の微粒子の量、ひいては、排気管を流れる排気ガス中の微粒子の量に対応して増減する。このため、信号電流の大きさを検知することにより、排気ガス中の微粒子の量を検知することが可能となる。
【0008】
ところで、イオン源において、気中放電を起こさせるには、第2電極と第1電極との間に気中放電が生じる程度の高電圧(例えば1kV程度)を印加する必要がある。即ち、第1フローティング電位に対し、第2フローティング電位を正または負電位方向に高電位とする。すると、高電位とされた第2電極、及び、これに導通している電源配線、イオン源電源回路の第2出力端などから、放電電流の一部が漏れる漏れ電流が発生する場合がある。ところで、もし、この漏れ電流が、第1フローティング電位とされた内側包囲部、内側包囲配線、電源回路包囲部材に流入した場合には、第1出力端に届く受電捕集電流に変化はなく、信号電流の大きさに誤差は生じない。しかし、漏れ電流が、接地電位とされた部材(例えば、外側包囲部、外側包囲配線、外部回路包囲部材など)に流入した場合には、結果として受電捕集電流が小さくなったこととなり、差分が大きく、従って信号電流が大きくなったのと等しくなる。
前述したように、信号電流の大きさは非常に小さい場合が多く、このように接地電位に届く漏れ電流が僅かでも存在すると、信号電流の値に大きな誤差を生じる虞がある。
【0009】
そこで、本システムでは、まず第2電極については、微粒子帯電部及びイオン源よりもリード線側において、第1電極と導通する内側包囲部で、第2電極の径方向周囲を取り囲んでいる。また、この第2電極と導通する電源配線については、第1電極及び内側包囲部と導通する内側包囲配線で、その径方向周囲を包囲している。さらに、駆動処理回路のうち、イオン源電源回路を、その第1出力端に導通する電源回路包囲部材で包囲している。
このため、第2電極、電源配線、あるいはイオン源電源回路の第2出力端など、第2フローティング電位とされた部位から漏れ電流が流出したとしても、この漏れ電流は、これらを包囲している内側包囲部、内部包囲配線、あるいは電源回路包囲部材に流れ込み、受電捕集電流として、イオン源電源回路の第1出力端に流れ込む。つまり、これよりも外側の部材(外側包囲部、外側包囲配線、外側回路包囲部材)にまでは届かない。このため、このシステムでは、漏れ電流による受電捕集電流の変動を、ひいては信号電流の変動を抑制できる。
【0010】
またこれとは別に、放電電流が流れる経路(例えば、電源配線)、あるいは受電捕集電流が流れる経路(例えば、内側包囲配線)に外部から電磁ノイズが重畳すると、放電電流や受電捕集電流の大きさが変動して見える。すると、これらの差分で与えられる信号電流の大きさも変動する。前述したように、差分(信号電流)が小さい場合には、放電電流や受電捕集電流の大きさが変動すると、差分(信号電流)が大きく変動してしまう虞が高い。
【0011】
このため、本システムでは、微粒子帯電部、イオン源(第2電極、第1電極)及び(第2電極を囲む)内側包囲部のうち、排気管の外部に位置する部位の径方向周囲を、排気管と導通して接地電位とされる外側包囲部で取り囲んで、これらを電磁遮蔽している。この結果、本システムでは、第2電極は、内側包囲部と外側包囲部で二重に電磁遮蔽され、内側包囲部のうち上述の排気管の外部に位置する部位は、外側包囲部で一重に電磁遮蔽されている。
また本システムでは、リード線として二重包囲ケーブルを用いており、電源配線、およびこれを囲む内側包囲配線は、この径方向周囲を包囲し、排気管及び外側包囲部と導通して接地電位とされる外側包囲配線で電磁遮蔽されている。この結果、第2電極に導通する電源配線は、内側包囲配線と外側包囲配線とで二重に電磁遮蔽され、第1電極に接続する内側包囲配線は、外側包囲配線で一重に電磁遮蔽されている。
また、駆動処理回路のうち、イオン源電源回路、これを囲む電源回路包囲部材及び信号電流検知回路は、いずれも接地電位に導通する外側回路包囲部材で包囲されて電磁遮蔽されている。この結果、イオン源電源回路は、電源回路包囲部材と外側回路包囲部材とで二重に電磁遮蔽され、信号電流検知回路は、外側回路包囲部材で一重に遮蔽されている。
【0012】
本システムでは、この様な構成、即ち、駆動処理回路における外側回路包囲部材、二重包囲ケーブルにおける外側包囲配線、及び、検知部における外側包囲部による、各所での電磁遮蔽により、イオン源電源回路の第2出力端と第2電極との間を流れる放電電流が、電磁ノイズの影響を受けにくくされている。また、イオン源電源回路の第1出力端と第1電極あるいは捕集極との間を流れる受電捕集電流についても、電磁ノイズの影響を受けにくくされている。
このため、このシステムでは、放電電流と受電捕集電流との差分で与えられ、信号電流検知回路で検知する信号電流についても、電磁ノイズの影響を受けにくい。
【0013】
かくして、本システムでは、漏れ電流や電磁ノイズの影響を受けず、正確に信号電流の大きさを検知することができ、これにより、排気ガス中の微粒子の量を、適切に検知することができる。
【0014】
なお、イオン源で行わせる気中放電の形式としては、例えば、コロナ放電を採用すると良い。また、放電電極の配置形態としては、第1電極と第2電極とを、互いに対向して配置し、これら間に気中放電を起こさせても、基板上に隣在して配置し、これらの間で(気中の)沿面放電を生じさせてもよい。
【0015】
また、二重包囲ケーブルの形態としては、例えば、電源配線とする銅線など芯線を、PTFE,FEP等からなる筒状の絶縁体(内側絶縁体)で取り囲み、さらに、この絶縁体を銅細線で構成した編組で覆ったり、この絶縁体に銅やアルミニウムからなる金属テープを巻き付けたり、あるいは、絶縁体を覆った編組の上にさらに金属テープを巻き付けたりして、内側包囲配線とする。銅パイプ、アルミニウムパイプなどの金属パイプを、内側包囲配線の全部あるいは部分的に用いても良い。
なお後述するように、電源配線のほかに、補助配線など他の配線や気体を通す樹脂製のチューブなども併せて、内側包囲配線内に配置する場合には、以下のようにすると良い。即ち、銅線などをPTFE等の絶縁体(絶縁被覆)で取り囲んで被覆線とする。この被覆線同士あるいは被覆線とチューブとの間の隙間を埋めるように、ガラス繊維や綿特紡糸など絶縁性の繊維を配置する。そして、これらの外側に内側絶縁体の外皮となるPTFE等のテープを巻き付ける。さらに、この外側を編組で覆ったり金属テープを巻き付ける。このようにして、内部に、電源配線等の芯線やチューブを備え、これらを、絶縁被覆(絶縁体)、絶縁性の繊維、及び外皮の三層構造からなる内側絶縁体で囲み、さらに、この周囲を導電性の内側包囲配線で囲む形態とする。
そして、上述の内側包囲配線を、PTFE,FEP等からなる筒状の絶縁体(外側絶縁体)で取り囲み、さらに、これを編組で覆ったり金属テープを巻き付けたり、あるいは編組で覆った上にさらに金属テープを巻き付けたりして、外側包囲配線を形成したものが挙げられる。金属パイプを、外側包囲配線の全部あるいは部分的に用いることもできる。なお、この外側包囲配線の周囲に、これの保護のために、FEP,PTFE等からなる被覆層を形成しても良い。
【0016】
さらに、イオン源電源回路を囲む電源回路包囲部材としては、導電性を有し、イオン源電源回路を包囲して電流が漏れないよう収容ケースの形態とするのが良く、例えば、銅、アルミニウムなどの金属体を削り出したケースのほか、銅板、アルミニウム板などの金属板、パンチングメタル板、金属線を編んだ金属ネット、プラスチック板の内面や外面にアルミニウム層や銅層などの導電膜を形成した導電膜付きプラスチック板などから構成された収容ケースが挙げられる。
、また、電源回路包囲部材、及び信号電流検知回路を電磁遮蔽する外側回路包囲部材としては、イオン源電源回路あるいは信号電流検知回路に外部からの電磁ノイズが侵入しない材質を用いたものが良い。例えば、銅、アルミニウムなどの金属体から削り出した収容ケースや、銅板、アルミニウム板などの金属板、パンチングメタル板、金属線を編んだ金属ネット、プラスチック板の内面や外面にアルミニウム層や銅層などの導電膜を形成した導電膜付きプラスチック板などから形成された収容ケースが挙げられる。
また、イオン源電源回路は、予め定めた定電流(例えば、数μA程度の定電流)を出力するように制御された定電流回路である。このイオン源電源回路としては、例えば、第1出力端に対して第2出力端が常に正電位とされ、常に一定電流を出力する直流定電流電源を用いても良い。あるいは、第1出力端に対して第2出力端が間欠的に(半波整流状あるいは矩形波状などのパルス状)に正電位とされる、いわゆる片振りで、実効値としての電流値が一定とされた直流定電流電源を用いることもできる。
【0017】
また、上述の微粒子検知システムであって、前記イオン源電源回路は、絶縁トランスを介して、自身の駆動電力を外部から得る構成とされてなり、上記絶縁トランスは、前記外側回路包囲部材に包囲されて電磁遮蔽されてなる微粒子検知システムとすると良い。
【0018】
このシステムでは、イオン源電源回路の駆動電力を、絶縁トランスを介して得ているので、このイオン源電源回路、及びその第1出力端及び第2出力端を、外部の電位(例えば、排気管などの接地電位)から電位が浮いた状態とすることができる。このため、容易に、第1出力端及びこれに導通する第1電極等の各部位を第1フローティング電位とし、第2出力端及びこれに導通する第2電極等の各部位を第2フローティング電位とすることができる。
しかも、この絶縁トランスは、外側回路包囲部材に包囲されて電磁遮蔽されているので、この絶縁トランスを介して、外部の電磁ノイズがイオン源電源回路に侵入することも防止されている。
【0019】
なお、絶縁トランスとしては、公知の形式の絶縁トランスを用いることができる。また、絶縁トランスとして、外部側(一次側)コイルを巻回した一次側鉄心と、イオン源電源回路側のコイルを巻回した二次側鉄心とを分離可能に構成した形態の絶縁トランスも用いうる。なおこの分離タイプの絶縁トランスは、一次側鉄心と二次側鉄心とを、互いに小さな間隙を介して切り離し、互いに絶縁しながらも、一次側鉄心と二次側鉄心とに共通した磁束が通過するように配置することで、変成作用を果たす。また、鉄心のうち、一次側鉄心を接地電位に接続し、二次側鉄心を第1フローティング電位に接続するのが好ましい。
【0020】
さらに、上述のいずれかに記載の微粒子検知システムであって、前記検知部は、前記微粒子帯電部内に配置され、前記捕集極による上記浮遊イオンの捕集を補助する補助電極であって、前記第1フローティング電位及び前記第2フローティングと異なり、かつ、前記浮遊イオンに斥力を及ぼす第3フローティング電位とされ、前記第2電極及び前記第1電極とは電気的に絶縁され、上記微粒子帯電部及び上記イオン源よりも上記リード線側で、前記内側包囲部に自身の径方向周囲を包囲されてなる補助電極を有し、前記二重包囲ケーブルは、前記内部包囲配線内に、上記補助電極に導通する補助配線を有し、前記駆動処理回路は、上記第3フローティング電位とされ、上記補助配線に導通し、上記補助配線を通じて、上記補助電極に導通する補助第2出力端と、上記第1フローティング電位とされ、上記イオン源電源回路の上記第1出力端に導通する補助第1出力端と、を含む補助電極電源回路を有し、上記補助電極電源回路は、前記イオン源電源回路と共に前記電源回路包囲部材に包囲されてなる微粒子検知システムとすると良い。
【0021】
イオン源で生成されたイオンのうち微粒子に付着しなかった浮遊イオンが、捕集極(微粒子帯電部)で捕集されずに、排出口から排出されると、捕集電流(受電捕集電流)が減少し、結果として信号電流が増加する。しかし、この信号電流の増加分は、微粒子の量に依存しない成分によるものであり、逆に、微粒子量の検出精度が低下して、好ましくない。
これに対し、上述のシステムでは、微粒子帯電部内に、捕集極による浮遊イオンの捕集を補助する補助電極を備えている。このため、捕集極でより確実に浮遊イオンを捕集することができ、信号電流を、より正確に微粒子の量に対応したものとすることができ、微粒子の量の検出精度を向上させることができる。
しかも、補助電極のうち微粒子帯電部及びイオン源よりもリード線側の部位、補助配線、補助電極電源回路は、内側包囲部、内側包囲配線、及び電源回路包囲部材に包囲されている。なお、前述したように、内側包囲部、内側包囲配線、及び電源回路包囲部材は、それぞれ外側包囲部、外側包囲配線、及び外側回路包囲部材に包囲されて電磁遮蔽されている。
したがって、上述の補助電極のうち微粒子帯電部及びイオン源よりもリード線側の部位、補助配線、及び補助電極電源回路も、外側包囲部、外側包囲配線、及び外側回路包囲部材にも包囲されて電磁遮蔽されている。
このため、補助電極や補助配線、補助電極電源回路に、外部からのノイズが重畳することが防止されており、また、これにより、補助電極の第3フローティング電位が、ノイズにより変動し、捕集極での浮遊イオンの捕集に影響することも防止されている。
【0022】
加えて、もし、第3フローティング電位とされた補助電極、補助配線、及び補助電極電源の補助第2出力端から、漏れ電流が流れ出て、接地電位の外側包囲部、外側包囲配線、あるいは外側回路包囲部材に届いた場合には、この漏れ電流は、信号電流検知回路を介して、補助電極電源回路の補助第1出力端に戻る経路を通ることとなり、信号電流の検知に影響を及ぼすことになる。
これに対し本システムでは、補助電極、補助配線、及び補助電極電源は、第1フローティング電位とされた内側包囲部、内側包囲配線、及び電源回路包囲部材に、それぞれ囲まれている。このため、漏れ電流が、内側包囲部、内側包囲配線、及び電源回路包囲部材よりも外側に位置する外側包囲部、外側包囲配線、及び外側回路包囲部材にまで届くことがない。かくして、このシステムでは、信号電流が、この補助電極、補助配線、補助電極電源回路からの漏れ電流の影響を受けることも防止されている。
【0023】
また、補助第1出力端を内側包囲配線に導通させて第1フローティング電位とすることで、イオン源電源回路の第1出力端及びこれに導通する第1電極等と共通の電位となるので、第1〜第3フローティング電位の関係を容易に定めることができる。
なお、第3フローティング電位としては、第1フローティング電位と第2フローティング電位との中間の電位とすると良い。
【0024】
さらに、上述の微粒子検知システムであって、前記補助電極電源回路は、補助電極絶縁トランスを介して、自身の駆動電力を外部から得る構成とされてなり、上記補助電極絶縁トランスは、前記外側回路包囲部材に包囲されて電磁遮蔽されてなる微粒子検知システムとすると良い。
【0025】
このシステムでは、補助電極電源回路の駆動電力を、補助電極絶縁トランスを介して得ているので、この補助電極電源回路、及びその補助第2出力端及び補助第1出力端を、外部(例えば、排気管などの接地電位)から電位が浮いた状態とすることができる。このため、容易に、補助第2出力端及びこれに導通する補助電極等を第3フローティング電位とし、補助第1出力端を第1フローティング電位とすることができる。
しかも、この補助電極絶縁トランスは、外側回路包囲部材に包囲されて電磁遮蔽されているので、この補助電極絶縁トランスを介して、外部のノイズが補助電極電源回路に侵入することも防止されている。
【0026】
さらに、上述のいずれか1項に記載の微粒子検知システムであって、前記検知部は、気体を、前記微粒子帯電部の前記混合領域に噴射する気体噴射源を有し、上記微粒子帯電部は、上記気体の噴射によって、上記微粒子帯電部外部の前記排気ガスを前記取入口から上記混合領域に導き入れて、前記取入排気ガスと前記イオンとを混合し、上記気体とともに、前記排出口から前記取入排気ガスを排出する形態に構成されてなる微粒子検知システムとすると良い。
【0027】
一般に、排気ガスは、これを排出する内燃機関等の性質上(例えば、4サイクルエンジンでは、エンジンからの排気は間欠的になる)、排気管内での流速が脈動するほか、内燃機関の駆動条件(エンジン回転数の高低など)によって、排気管内での流速自身も大きく変動する。
このため、微粒子帯電部内への排気ガスの取り入れを、排気ガスの流れに任せる構成とした場合には、微粒子帯電部内に取り入れられる排気ガスの量に変動を生じやすく、これに伴って、微粒子の量を示す信号電流も、この排気ガスの流速の変動の影響を受けやすい。
【0028】
これに対し、本システムでは、気体を混合領域に噴射し、これによって微粒子帯電部外部の排気ガスを混合領域に導き入れ、かつ、イオンを取入排気ガスと混合する。このため、排気ガスの流速の変動による、取入排気ガスの量の変動が生じにくくなり、この変動に伴う信号電流の変動の影響を受けにくくなる。このため、より正確に、排気ガス中の微粒子の量を検知することができる。
【0029】
なお、気体噴射源は、イオン源でのイオンの生成とは別に、気体を噴射するものとしても良い。また、イオン源と気体噴射源とを兼ねて、イオンを、気体とともに噴射する構成としても良い。
また、噴射する気体としては、大気を用いることができるほか、窒素、酸素などを用いることもできる。
また、気体噴射源としては、この気体噴射源自身に、噴射する気体(大気等)を圧縮するポンプを備えたものとするほか、別に用意した圧縮した大気や窒素、酸素等をこの気体噴射源まで導いて、この導かれた気体を噴射する構成としても良い。
【0030】
さらに、上述の微粒子検知システムであって、前記イオン源は、前記気体噴射源を兼ねるイオン気体噴射源であり、前記イオンを、前記気体とともに前記混合領域に噴射する構成とされてなる微粒子検知システムとすると良い。
【0031】
このシステムでは、イオン源が気体噴射源を兼ねるイオン気体噴射源となっており、イオンを気体とともに噴射するので、混合領域へのイオン及び気体の供給が容易になる。
【0032】
さらに、前2項のいずれかに記載の微粒子検知システムであって、前記二重包囲ケーブルは、前記気体噴射源に連通し、前記気体噴射源に向けて前記気体を圧送する気体流通路が形成されてなる微粒子検知システムとすると良い。
【0033】
このシステムでは、ケーブル内に電源配線等を設けるのみならず、気体流通路が形成されており、ケーブル内の気体流通路を通じて気体噴射源に気体を圧送できる。このため、検知部付近に気体(大気)を圧縮するポンプを設けたり、あるいは、ケーブルとは別に、気体噴射源に向けて気体を圧送するチューブを用意し、これを引き回す必要が無い。即ち、微粒子検知システムにおける、気体噴射源への気体の供給やそのための引き回しが、簡単にできる。
【0034】
さらに、上述の微粒子検知システムであって、気体流通路は、内側包囲配線内に形成されてなる微粒子検知システムとするのが好ましい。
気体流通路を、二重包囲ケーブルのうち内側包囲配線内に形成することで、検知部あるいはこの付近において、さらに容易に気体流通路を気体噴射源に連通させることができる。
【0035】
加えて、前述のいずれか1項に記載の微粒子検知システムであって、前記第2フローティング電位は、前記第1フローティング電位に対して正電位とされ、前記イオン源のうち、前記第2電極は、針状の針状先端部を有してなり、前記第1電極は、上記第2電極の上記針状先端部の先端側に、この第2電極と離間して対向する対向面を有してなり、上記イオン源は、前記気中放電として、上記第1電極と上記第2電極との間で、上記第2電極の上記針状先端部の周りに、正針コロナが生じるコロナ放電を生じさせてなる微粒子検知システムとすると良い。
【0036】
このシステムでは、イオン源において、第2電極の針状先端部に正針コロナを生じさせるコロナ放電を起こさせる。このため、気体(例えば大気)に起因する正イオンを、持続的かつ効率的に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態にかかる微粒子検知システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】実施形態にかかる微粒子検知システムのうち、処理回路部の機械的構造を示す分解斜視図である。
【図3】処理回路部について、外側金属ケースのうち上蓋(第1外側ケース部材)を除去した状態を示す斜視図である。
【図4】処理回路部について、外側金属ケースのうち上蓋(第1外側ケース部材)を除去した状態を示す平面図である。
【図5】実施形態にかかる微粒子検知システムのうち、検知部の構造を示す縦断面図である。
【図6】実施形態にかかる微粒子検知システムのうち、検知部の構造を示す、図5とは直交する縦断面の縦断面図である。
【図7】ケーブルの構造を示し、図5におけるA−A横断面図である。
【図8】実施形態にかかる微粒子検知システムのうち、検知部の構造を示す分解斜視図である。
【図9】実施形態にかかる微粒子検知システムのうち、微粒子帯電部内での、微粒子の取り入れ、帯電、排出の様子を模式的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本実施形態に係る微粒子検知システムについて、図面を参照して説明する。本実施形態の微粒子検知システム1(図1参照)は、主として、車両(図示しない)に搭載した内燃機関(図示しない)の排気管EPのうち取付開口EPOを含む取付部EPTに装着される検知部10と、この検知部10から延出するケーブル160と、このケーブル160に接続する駆動処理回路201を有する処理回路部200と、圧縮空気AKを圧送する圧送ポンプ300とからなる。処理回路部200の駆動処理回路201は、ケーブル160を介して検知部10を駆動するとともに、後述する信号電流Isを検知する。
【0039】
先ず、処理回路部200に含まれる駆動処理回路201の電気回路上の構成について、説明する。駆動処理回路201は、計測制御回路220と、イオン源電源回路210と、補助電極電源回路240とを有している。なお、計測制御回路220内には、信号電流検知回路230が含まれている。
この駆動処理回路201のうち、イオン源電源回路210は、第1フローティング電位PV1とされる第1出力端211と、第2フローティング電位PV2とされる第2出力端212とを有している。第2フローティング電位PV2は、具体的には、第1フローティング電位PV1に対して、正の高電位とされている。さらに具体的には、第2出力端212からは、第1フローティング電位PV1に対し、100kHz程度の正弦波を半波整流した、1〜2kV0-pの正のパルス電圧が出力される。なお、イオン源電源回路210は、その出力電流についてフィードバック制御され、自律的に、その実効値が予め定めた電流値(例えば、5μA)を保つ定電流電源を構成している。
【0040】
また、駆動処理回路201のうち、補助電極電源回路240は、第1フローティング電位PV1とされる補助第1出力端241と、第3フローティング電位PV3とされる補助第2出力端242とを有している。この第3フローティング電位PV3は、具体的には、第1フローティング電位PV1に対して、正の直流高電位であるが、第2フローティング電位PV2のピーク電位(1〜2kV)よりも低い、例えば、DC100〜200Vの電位にされている。
【0041】
さらに、駆動処理回路201のうち、計測制御回路220の一部をなす信号電流検知回路230は、イオン源電源回路210の第1出力端211に接続する信号入力端231と、接地電位PVEに接続する接地入力端232とを有している。この信号電流検知回路230は、後述する信号電流Isを検知する回路である。
【0042】
加えて、この駆動処理回路201においては、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240は、第1フローティング電位PV1とされる電源回路包囲部材250に包囲され、電磁遮蔽されている。イオン源電源回路210の第1出力端211、補助電極電源回路240の補助第1出力端241、及び、信号電流検知回路230の信号入力端231は、この電源回路包囲部材250に接続している。
なお、本実施形態では、この電源回路包囲部材250は、内側金属ケース251及び絶縁トランス270の二次側鉄心271Bから構成されている。内側金属ケース251は、アルミニウム塊を切削加工(削り出し)して箱状に形成されてなり、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240を収容して包囲すると共に、後述する内側包囲配線165に導通している。
一方、絶縁トランス270は、その鉄心271が、一次側コイル272を捲回した一次側鉄心271Aと、電源回路側コイル273及び補助電極電源側コイル274が捲回された二次側鉄心271Bとに、分離可能に構成されている。但し、絶縁トランス270は、一次側鉄心271Aと二次側鉄心271Bとを、小さな隙間を介して離間させ、電気的に互いに絶縁しながらも、磁気回路的には両者を共通の磁束が通過するように構成することで、絶縁トランス270としての変成作用を果たす。なお、鉄心271のうち、一次側鉄心271Aは、接地電位PVEに導通し、二次側鉄心271Bは、第1フローティング電位PV1(イオン源電源回路210の第1出力端211)に導通している。
【0043】
さらに、イオン源電源回路210、補助電極電源回路240、電源回路包囲部材250(内側金属ケース251)、及び、信号電流検知回路230を含む計測制御回路220は、接地されて接地電位PVEとされる外側金属ケース260(外側回路包囲部材)に包囲され、電磁遮蔽されている。なお、信号電流検知回路230の接地入力端232及び絶縁トランス270の一次側鉄心271Aは、この外側回路包囲部材260に接続している。本実施形態では、この外側金属ケース260(外側回路包囲部材)は、アルミニウム塊を切削加工(削り出し)して箱状に形成してなり、内部にイオン源電源回路210、補助電極電源回路240、電源回路包囲部材250、及び、信号電流検知回路230を含む計測制御回路220を収容している。
【0044】
計測制御回路220は、レギュレータ電源PSを内蔵している。なお、このレギュレータ電源PSは、外部のバッテリBTで駆動される。
また、計測制御回路220は、マイクロプロセッサを含み、コネクタ225に接続された通信ケーブルCCを介して内燃機関を制御する制御ユニットECUと通信可能となっており、前述した信号電流検知回路230の測定結果(信号電流Isの大きさ)、これを微粒子量などに換算した値、あるいは、微粒子量が所定量を超えたか否かなどの信号を、制御ユニットECUに送信可能となっている。これにより、制御ユニットECUで、内燃機関の制御や、フィルタ(図示しない)の不具合警告を発するなどの動作が可能となる。
【0045】
外部からレギュレータ電源PSを通じて計測制御回路220に入力された電力の一部は、絶縁トランス270を介して、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240に分配される。なお、絶縁トランス270においては、計測制御回路220の一部をなす一次側コイル272と、イオン源電源回路210の一部をなす電源回路側コイル273と、補助電極電源回路240の一部をなす補助電極電源側コイル274と、鉄心271(一次側鉄心271A,二次側鉄心271B)とは、互いに絶縁されている。このため、計測制御回路220から、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240に電力を分配できる一方、これら同士間の絶縁を保つことができる。
なお、本実施形態では、前述したように、二次側鉄心271Bは、第1フローティング電位PV1とされ、電源回路包囲部材250の一部として用いている。また、本実施形態では、絶縁トランス270は、補助電極電源回路240に電力を供給する補助電極絶縁トランスをも兼ねている。
【0046】
圧送ポンプ300は、自身の周囲の大気(空気)を取り込んで、先端部分が処理回路部200内に差し込まれた送気パイプ310を通じて、後述するイオン気体噴射源11に向けて、清浄な圧縮空気AKを圧送する。
【0047】
次いで、ケーブル160について説明する(図1,図7参照)。このケーブル160は、二重包囲ケーブルであり、その中心部分には、銅線からなる電源配線161及び補助配線162のほか、PTFEからなる中空のエアパイプ163が配置されている。これらの径方向周囲は、内側絶縁体164で包囲されている。具体的には、まず、電源配線161及び補助配線162のそれぞれを、FEPからなる絶縁性の電源配線被覆層164a及び補助配線被覆層164bで被覆している。さらに、これら被覆層164a,164b及びエアパイプ163の周囲及び相互間を、繊維の延伸方向をケーブル160の長手方向に揃えたガラス繊維からなる絶縁性の内側絶縁繊維部材164cで包囲している。さらに、被覆層164a,164b、エアパイプ163及び内側絶縁繊維部材164cの周りに、PTFEからなる絶縁テープを巻き付けて内側絶縁被覆層164dを形成している。かくして、電源配線161及び補助配線162の周囲は、被覆層164a,164b、内側絶縁繊維部材164c及び内側絶縁被覆層164dの3つからなる内側絶縁体164で包囲されている。
【0048】
さらに、この内側絶縁体164(内側絶縁被覆層164d)の周囲は、銅細線を編んだ編組からなる内側包囲配線165で被覆されている。さらに、この内側包囲配線165の周囲は、FEPからなる絶縁性の内側包囲配線被覆層166で囲まれている。また、この内側包囲配線被覆層166の周囲も、銅細線を編んだ編組からなる外側包囲配線167で被覆されている。さらに、この外側包囲配線167の周囲も、その保護のため、FEPからなる絶縁性の外側包囲配線被覆層168で囲んである。かくして、このケーブル160では、電源配線161及び補助配線162の周囲を、内側絶縁体164及び内側包囲配線被覆層166を介して、内側包囲配線165及び外側包囲配線167で二重に取り囲む形態となっている。
加えて、このケーブル160は、エアパイプ163内の気体流通路163Hを通じて、ケーブル160の長手方向に、気体を流通させることができる。
【0049】
前述したように、処理回路部200は、このケーブル160と接続している(図1参照)。具体的には、イオン源電源回路210の第2出力端212は、電源配線161に接続され、互いに導通している。また、補助電極電源回路240の補助第2出力端242は、補助配線162に接続され、互いに導通している。さらに、イオン源電源回路210の第1出力端211は、補助電極電源回路240の補助第1出力端241、信号電流検知回路230の信号入力端231、電源回路包囲部材250、及び、内側包囲配線165に接続され、互いに導通している。加えて、信号電流検知回路230の接地入力端232は、接地電位PVE及び外側包囲配線167に接続され、互いに導通している。
その他、圧送ポンプ300の送気パイプ310は、後述するように、内側金属ケース251内を通じて、ケーブル160のエアパイプ163に連通されている。
【0050】
次いで、本システム1の処理回路部200の機械的構成、及び、この処理回路部200とケーブル160との接続構造について、図2〜図4を参照して説明する。なおこれらの図においては、回路配線等の記載を省略し、計測制御回路220等についても、簡略化して箱状の形態で示してある。
内側金属ケース251は、概略、直方体形状をなしており、それぞれ、アルミニウムからなり、内側に切削加工によって凹部が形成された第1内側ケース部材252と第2内側ケース部材253の2つを、図2中、上下方向に向き合わせて互いに導通しかつ気密に結合してなる。このケース251の内部には、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240が構成された基板(図示しない)を、包囲するように収容している。
なお、前述した、これらの回路に電力を供給する絶縁トランス270のうち、二次側鉄心271B及びこれに捲回された電源回路側コイル273及び補助電極電源側コイル274も、このケース251内に収容されている。また、図4において破線で示すように、二次側鉄心271Bのうち、一次側鉄心271Aと対向して近接して配置される面271BSが、内側金属ケース251の側面(図4において右側面)から露出して、これより右上側の計測制御回路220の一次側鉄心271Aの面271ASに対向するように配置されている。二次側鉄心271Bは、ケース251に導通している。
【0051】
また、この内側金属ケース251には、ケーブル160の基端部分が挿入されている。具体的には、ケーブル160のうち、内側包囲配線165内の電源配線161,補助配線162,及びエアパイプ163が、図2中、左下側から、内側金属ケース251内に挿入されている。なお、図示しないが、内側金属ケース251内に収容された基板上に構成されたイオン源電源回路210の第2出力端212に、ケーブル160の電源配線161が接続されている。また、同じく基板上に構成された補助電極電源回路240の補助第2出力端242に、ケーブル160の補助配線162が接続されている。さらに、イオン源電源回路210の第1出力端211、及び補助電極電源回路240の補助第1出力端241は、それぞれ、内側金属ケース251(電源回路包囲部材250)に接続されている。また、エアパイプ163は、内側金属ケース251内でその端部が開放されている。さらに、ケーブル160の内側包囲配線165は、その基端部165Tがむき出しにされ、第1内側ケース部材252と第2内側ケース部材253の2つに挟まれて保持されると共に、このケース251(ケース部材252,253)に導通している。
【0052】
この様に、本システム1の処理回路部200では、基板(図示しない)に形成されたイオン源電源回路210及び補助電極電源回路240は、第1フローティング電位PV1とされた内側金属ケース251及び二次側鉄心271Bに囲まれた状態となっている。このため、後述するように、イオン源電源回路210の第2出力端212からの漏れ電流や、補助電極電源回路240の補助第2出力端242からの漏れ電流が生じたとしても、これらは、内側金属ケース251あるいは二次側鉄心271Bに届いて回収され、その外側に漏れ出すことがない構造とされている。このため、これらの漏れ電流の影響によって、信号電流Isが変動することが抑制されている。
【0053】
さらに、送気パイプ用継ぎ手283が、図2中、左上側から内側金属ケース251内に挿入されて、内外を連通している。このため、この送気パイプ用継ぎ手283に、圧送ポンプ300の送気パイプ310を接続することで、圧送ポンプ300で生成した圧縮空気AKを、内側金属ケース251内を経由して、ケーブル160のエアパイプ163に圧送することができる。
【0054】
一方、信号電流検知回路230を含む計測制御回路220も、図示しない基板上に構成され、絶縁トランス270のうち、一次側鉄心271A及びこれに捲回された一次側コイル272も一体に構成される。なお、図2では、計測制御回路220、絶縁トランス270の一次側鉄心271A等は、直方体箱状に省略して記載してある。但し、一次側鉄心271Aは、その面271ASが、二次側鉄心271Bの面271BSと対向するように、配置されている。一次側鉄心271Aと二次側鉄心271Bとは、これらの面271ASと面271BSとが、図4に示すように、離間してはいるが、互いに近接して配置され、共通の磁束が2つの鉄心271A,271Bを貫通する形態とされて、併せて1つの鉄心271をなし、変成作用を奏する絶縁トランス270を構成している。
なお、計測制御回路220には、コネクタ225が形成されており、このコネクタ225を介して、前述したように、バッテリBT及び制御ユニットECUと接続可能になっている。
【0055】
更に本実施形態では、内側金属ケース251、絶縁トランス270、及び計測制御回路220を、概略直方体形状の外側金属ケース260(外側回路包囲部材)内に収容している。この外側金属ケース260は、それぞれ、アルミニウムからなり、内側に切削加工によって凹形状の収容部261S,262Sが形成された第1外側ケース部材261と第2外側ケース部材262の2つを、図2中、上下方向に向き合わせて互いに導通しかつ気密に結合してなる。
【0056】
これらケース部材261,262の形態について、第2外側ケース部材262を例に説明すると、このケース部材262の中央部分には、概略矩形凹形状の収容部262Sが形成されている。また、この収容部262Sに連通するように、この収容部262Sの周囲に、概略半円筒状のケーブル配置溝262C、概略半円筒状の継ぎ手配置溝262D、及び、概略矩形状のコネクタ設置凹部262Eが形成されている。第1外側ケース部材261についても同様に、収容部261S、ケーブル配置溝261C、継ぎ手配置溝261D、及び、コネクタ設置凹部261Eが形成されている。
ケーブル配置溝261C,262C内には、ケーブル160及びこのケーブル160が挿通された防水防塵用のグロメット284が配置されており、これらは外側金属ケース260(ケース部材261とケース部材262)に挟持されている。なお、ケーブル160の外側包囲配線167の基端部167Tがむき出しにされており、第1外側ケース部材261と第2外側ケース部材262の2つに挟まれて保持されると共に、この外側金属ケース260に導通している。また、継ぎ手配置溝261D,262D内には、送気パイプ継ぎ手283及びこれが挿通された防水防塵用のグロメット285が配置されており、これらも外側金属ケース260(ケース部材261,262)に挟持されている。加えて、コネクタ設置凹部261E,262E内には、コネクタ225が配置されており、これも外側金属ケース260に挟持されている。
【0057】
また、絶縁トランス270を構成すべく、一次側鉄心271A及び二次側鉄心271B(これらの面271AS,271BS)を、互いに離間させて絶縁しつつ近接して配置するため、及び、内側金属ケース251を、外側金属ケース260内で浮かせて、この外側金属ケース260から離間させて絶縁するために、絶縁性樹脂からなり矩形枠状の枠状絶縁体281が内側金属ケース251の一方端部に外嵌され(図3、図4参照)ている。また、内側金属ケース251の他方端部にも、ケーブル160が挿通する挿通孔282Hを有し、絶縁性樹脂からなる絶縁スペーサ282が外嵌されて、外側金属ケース260から離間させて絶縁している。
【0058】
なお、外側金属ケース260は、図示しない取り付け具によって、車両のシャーシ(図示しない)に固定、導通されて、接地電位PVEとされている。また、計測制御装置220及び絶縁トランス270の一次側鉄心271Aも、外側金属ケース260を通じて、接地電位PVEとされている。
このように、本システム1の処理回路部200では、外側金属ケース260(ケース部材261,262)の収容部261S,262S内に、内側金属ケース251、計測制御回路220、絶縁トランス270、枠状絶縁体281、及び絶縁スペーサ282が配置されている。そして、内側金属ケース251(これに内蔵されたイオン源電源回路210,補助電極電源回路240)、絶縁トランス270、計測制御回路220(信号電流検知回路230)は、接地電位PVEとされた外側金属ケース260に包囲され、電磁遮蔽されている。このため、外部からの電磁ノイズにより、信号電流Isが変動することが防止されている。
【0059】
次いで、検知部10について、図5〜図7を参照して説明する。前述したように、この検知部10は、内燃機関(図示しない)の排気管EPのうち取付開口EPOを有する取付部EPTに装着される。この検知部10は、ケーブル160の先端部160Sに接続、形成されてなり、その電気的機能において、大別して、イオン源(イオン気体噴射源)11と微粒子帯電部12と内側包囲部13と外側包囲部14とから構成されている。一方、この検知部10の機械的な部品構成との関係では、これらの電気的な機能部が、各部材に跨っている。そこで先ず、検知部の機械的構成(部材構成)について説明し、その後、上述の電気的機能との関係について説明する。
【0060】
検知部10の機械的構成は、図5〜図7のほか、図8に示す分解斜視図を参照することで容易に理解できる。なお、ケーブル160から見て、検知部10側、即ち、図5,図6図8において図中上方を先端側とし、図中下方を基端側とする。
ケーブル160の先端部分、具体的には、電源配線161の先端側には、第2電極をなす針状電極体20が接続されている。この針状電極体20は、タングステン線からなり、概略直棒状の延出部21と、その先端部分(図中上端部)に位置し、針状に尖った形態とされた針状先端部22とからなる。この針状電極体20の延出部21は、その周囲をセラミックからなる円筒状の針状電極絶縁パイプ75で被覆され、後述するパイプホルダ60の保持部61に穿孔した針状電極挿通孔61H内に挿通されて、針状電極絶縁パイプ75と共に保持部61に保持されている。
【0061】
また、ケーブル160の補助配線162の先端側には、補助電極をなす補助電極体50が接続されている。この補助電極体50は、ステンレス線からなり、概略直棒状の延出部51と、その先端側でU字状に曲げ返された曲げ返し部52、及び、補助電極部53とからなる。なお、補助電極部53の先端部分も針状に尖った形状とされ、針状先端部53Sとなっている。この補助電極体50のうち、延出部51は、その周囲をセラミックからなる円筒状の補助電極絶縁パイプ77で被覆され、パイプホルダ60の保持部61に穿孔した補助電極挿通孔61I内に挿通されて、補助電極絶縁パイプ77と共に保持部61に保持されている。
【0062】
一方、ケーブル160のエアパイプ163は、図6,図8に示すように、その先端部163Sが開放されている。
但し、ケーブル160の内側絶縁体164のうち、内側絶縁被覆層164dの先端部164dSの周囲には、金属製の内筒80が外嵌されており、さらに、この内筒80の先端側には、パイプホルダ60が嵌め込まれている。このため、エアパイプ163から放出された圧縮空気AKは、パイプホルダ60の保持部61に穿孔した通気貫通孔61Jを通じて、さらに先端側(図中上方)の放電空間DS(後述する)に圧送される。
なお、内筒80は、内側絶縁体164(内側絶縁被覆層164d)の径方向外側で、これを覆う内側包囲配線165と加締め接続され、この内側包囲配線165と導通している。
【0063】
さて、パイプホルダ60は、ステンレスからなり、図6,図8から理解できるように、中実円柱状の保持部61と、この保持部61の周縁から先端側に延出した円筒状の筒壁部63とを有する。このうち、保持部61は、外周方向に膨出する円環状のホルダフランジ部66を有している。また保持部61には、図中上下方向に延びる、針状電極挿通孔61H、補助電極挿通孔61I、及び、通気貫通孔61Jが穿孔されており、前述したように、針状電極挿通孔61H内に針状電極体20を、補助電極挿通孔61I内に補助電極体50を保持している。一方、筒壁部63の径方向内側には、先端側を向いて保持部61から突出する針状電極体20の針状先端部22が位置している。
このパイプホルダ60は、内筒80に嵌め込まれ固定されると共に、電気的にも導通している。従って、このパイプホルダ60も、内側包囲配線165と導通している。
【0064】
さらに、パイプホルダ60の筒壁部63の先端側(図中上方)には、有底円筒状のノズル部材30が、具体的にはその底部をなすノズル部31が嵌め込まれている。このノズル部材30も、ステンレスからなり、底部に位置するノズル部31と、このノズル部31の周縁から先端側に延出した円筒状の筒壁部33とからなる。このうち、ノズル部31は、中央が先端側に向かう凹形状とされ、その中心には、微細な透孔が形成されて、ノズル31Nとなっている。一方、筒壁部33には、1箇所、取入口33Iが穿孔されている。この取入口33Iは、後述するように、排気ガスEGを、ノズル部材30と混合排出部材40とで形成される混合領域MX(後述する)に取り入れるための開口である。
また、このノズル部材30は、パイプホルダ60に嵌め込まれ固定されると共に、電気的にも導通している。従って、このノズル部材30も、内側包囲配線165と導通している。
【0065】
このようにして、パイプホルダ60の筒壁部63の先端側(図中上方)にノズル部材30のノズル部31が嵌め込まれることで、この間に、放電空間DSが形成される。この放電空間DSでは、パイプホルダ60の保持部61から突出する針状電極体20の針状先端部22と、ノズル部31の凹形状をなす対向面31Tとが向き合っている。従って、針状電極体20の針状先端部22と、ノズル部31(対向面31T)との間に高電圧を印加すると、気中放電が生じ、大気中のN2,O2等が電離し、正イオン(例えば、N3+,O2+。以下、イオンCPともいう)が生成される。また、パイプホルダ60の保持部61の通気貫通孔61Jを通じて、圧縮空気AKもこの放電空間DSに供給される。このため、ノズル部31のノズル31Nから、高速で空気ARが、混合領域MX(後述する)に噴射されると共に、空気ARに混じって、イオンCPも混合領域MXに噴射される。
【0066】
さらに、ノズル部材30の筒壁部33の先端側(図中上方)には、混合排出部材40が嵌め込まれている。この混合排出部材40も、ステンレスからなり、基端側(図中下方)に位置する基端部41と、この基端部41の周縁から先端側に延出した円筒状の先端側筒壁部43とからなる。また、先端側筒壁部43の先端側は、蓋部材48が被せられて閉塞されている。また、先端側筒壁部43には、排出口43Oが穿孔されている。
この混合排出部材40のうち、基端部41は、内側に膨出した捕集極42により、スリット状に内側の空間が狭められた形態とされている。一方、先端側筒壁部43内には、円柱状の空間が形成される。なお、捕集極42には、ノズル部材30の取入口33Iの位置に合わせて、切り欠き部42Kが形成されている。
また、この混合排出部材40は、ノズル部材30に嵌め込まれ固定されると共に、電気的にも導通している。従って、この排出混合部材40も、内側包囲配線165と導通している。
【0067】
かくして、ノズル部材30のうちノズル部31の図中上方を向く先端側面31Sと、筒壁部33と、混合排出部材40の基端部41(捕集極42)とで、概略円柱状の空間が形成される。この空間は、後述する混合領域MXのうち、円柱状混合領域MX1をなす。一方、混合排出部材40の基端部41の捕集極42で構成されるスリット状の内部空間は、スリット状混合領域MX2をなす。また、先端側筒壁部43内の円柱状の空間は、排出口43Oに連通する排出路EXをなす。加えて、捕集極42の切り欠き部42Kによって、取入口33Iから混合領域MX(円柱状混合領域MX1)に連通する引き込み路HKが形成される。
【0068】
なお、後述するように、ノズル31NからイオンCPを含む空気ARが高速で噴射されると、噴射された空気ARは、円柱状混合領域MX1、スリット状混合領域MX2、及び排出路EXを経由して、排出口43Oから排出される。さらに、高速で噴射された空気ARの流れにより、円柱状混合領域MX1の気圧が下がるので、取入口33Iの外部の排気ガスEGが、この取入口33Iから引き込み路HKを通じて、混合領域MX(円柱状混合領域MX1、スリット状混合領域MX2)に取り入れられる。取り入れられた取入排気ガスEGIは、混合空間MXでイオンCPを含む空気ARと混合され、この空気ARと共に、排出路EXを経由して、排出口43Oから排出される。
【0069】
また、先に説明した補助電極体50の延出部51及びこれを囲む補助電極絶縁パイプ77は、パイプホルダ60、ノズル部材30よりも先端側(図中上方)まで延びており、延出部51に連なる曲げ返し部52が、混合排出部材40の先端側筒壁部43内(排出路EX)に位置している。そして、基端側(図中下方)を向く補助電極部53は、混合排出部材40の基端部41がなすスリット状混合領域MX2内に位置している。
【0070】
また、パイプホルダ60のホルダフランジ部66の先端側(図中上方)には、アルミナ等の絶縁セラミックからなる概略円筒状の第1絶縁スペーサ121が配置される。また、ホルダフランジ部66の基端側(図中下方)にも、アルミナ等の絶縁セラミックからなる概略円筒状の第2絶縁スペーサ122が配置される。さらにこれらの径方向周囲(図中左右方向)には、ステンレスからなる主体金具90が配置されている。
【0071】
主体金具90は、図5及び図8を参照すると容易に理解できるように、筒状部91とフランジ部95とからなる。
このうち、筒状部91は、自身の内部にパイプホルダ60、第1絶縁スペーサ121、及び第2絶縁スペーサ122を保持する保持孔91Hを保持している。また、この筒状部91の基端側内壁は雌ネジが形成された雌ネジ部92となっている。
一方、フランジ部95は、筒状部91の先端から径方向外側に張り出した板状で、外形概略長円形状を有している。また、自身の厚み方向に貫通するボルト貫通孔95H,95Hを有している(本実施形態では2箇所)。
【0072】
筒状部91の雌ネジ部92には、図5に示すように、栓金具100が、具体的には、その外周に形成した雄ねじ部102が係合している。この栓金具100は、筒状であり、自身の内部に内筒80を栓金具100と非接触としつつ挿通している。また、雄ねじ部102より先端側(図中上方)には、平坦な先端面101Sを有する先端押圧部101が突出している。また、雄ねじ部102より基端側(図中下方)には、径方向外側に向けてフランジ状に張り出して、外周が六角形状とされた六角部103を有する。
栓金具100の雄ねじ部102を、主体金具90の雌ネジ部92に螺合させると、栓金具100が先端側に進み、その先端押圧部101が、第2絶縁スペーサ122を先端側に当接してこれを押圧する。すると、この第2絶縁スペーサ122は、パイプホルダ60のホルダフランジ部66を先端側に向けて押圧する。さらに、このホルダフランジ部66は、第1絶縁スペーサ121を先端側に向けて押圧する。第1絶縁スペーサ121は、板パッキン124を介して主体金具90の筒状部91の保持孔91Hに係合する。これにより、パイプホルダ60、第1絶縁スペーサ121、第2絶縁スペーサ122、板パッキン124、及び、栓金具100が、主体金具90に保持され、一体化される。
また、パイプホルダ60と主体金具90との間には、第1絶縁スペーサ121及び第2絶縁スペーサ122が介在して、両者を離間、絶縁している。なお、パイプホルダ60のうち張り出したホルダフランジ部66と、主体金具90(筒状部91)との間は、空間を空けて離間して、絶縁が保たれている。
【0073】
検出部10の取付けに当たっては、図6に示すように、排気管EPのうち、取付部EPTの取付開口EPOから、ノズル部材30、混合排出部材40等を排気管EP内に挿入すると共に、取付開口EPOに隣在して設けられているスタッドボルトEPB,EPBを、フランジ部95のボルト貫通孔95Hにそれぞれ挿通し、ナットEPNで締結する。これにより、主体金具90を含め、検知部10が、排気管EPの取付部EPTに固着される。
なお、主体金具90の先端側面90Sのうち、保持孔91Hの周囲には、円環状のガスケット保持溝96が形成されており、排気管EPの取付部EPTと主体金具90とは、このガスケット保持溝96内に配置された銅製のガスケット130を介して結合している。
これにより、ガスケット130、主体金具90、及び、栓金具100は、排気管EPと同じ接地電位PVEとされる。
【0074】
さらに、栓金具100の基端部104には、ステンレスからなる円筒状の外筒110が接続されている。この外筒110は、内筒80及びケーブル160の先端部160Sを径方向外側から囲んでおり、その先端部110Sは、栓金具100の基端部104に、一周にわたり、レーザ溶接されている。
また、外筒110の基端部110Kは、その外形が先端側よりも縮径されて、ケーブル160に加締め固定されている。これと同時に、外筒110の基端部110Kの加締め部110KKは、ケーブル160の最も外周の外側包囲配線被覆層168を貫通して、その内部の外側包囲配線167に導通している。かくして、外筒110及び外側包囲配線167は、いずれも金属からなる主体金具90、栓金具100、及びガスケット130を介して、排気管EPと同じく接地電位PVEとされる。
なお、本実施形態では、ケーブル160の先端部160Sが、外筒110内で揺動するのを防止すべく、ケーブル160の先端部160Sと外筒110との間に、円筒状で絶縁ゴムからなるグロメット125を介在させている。
【0075】
次いで、本実施形態の微粒子検知システム1の各部の電気的機能及び動作について、図9をも参照して説明する。なお、この図9は、本システム1の検知部10の電気的機能及び動作を理解容易のため模式的に示したものであり、他の各図等に記載の形態等と異なる部分が存在する点に留意されたい。
針状電極体20は、ケーブル160の電源配線161を介して、イオン源電源回路210の第2出力端212に接続、導通している。従って、これらは、前述したように、第1フローティング電位PV1に対して、100kHz,1〜2kV0-Pの正の半波整流パルス電圧である、第2フローティング電位PV2とされる。
また、補助電極部53(補助電極体50)は、ケーブル160の補助配線162を介して、補助電極電源回路240の補助第2出力端242に接続、導通している。従って、これらは、前述したように、第1フローティング電位PV1に対して、100〜200Vの正の直流電位である、第3フローティング電位PV3とされる。
さらに、内筒80,パイプホルダ60,ノズル部材30,混合排出部材40は、ケーブル160の内側包囲配線165を介して、イオン源電源回路210の第1出力端211、補助電極電源回路240の補助第1出力端241、これらを囲む電源回路包囲部材250、及び信号電流検知回路230の信号入力端231に接続、導通している。これらは、第1フローティング電位PV1とされる。
加えて、外筒110,栓金具100,主体金具90,及びガスケット130は、ケーブル160の外側包囲配線167を介して、信号電流検知回路230の接地入力端232に接続、導通している。これらは、排気管EPと同じ、接地電位PVEとされる。
【0076】
従って、前述したように、第1フローティング電位PV1とされるノズル部31(対向面31T)と、これよりも正の高電位である第2フローティング電位PV2とされる針状電極体20の針状先端部22との間では、気中放電、具体的にはコロナ放電が生じる。さらに具体的には、正極となる針状先端部22の周りにコロナが発生する正針コロナPCを生じる。これにより、その雰囲気をなす大気(空気)のN2,O2等が電離等して、正のイオンCPが発生する。発生したイオンCPの一部は、放電空間DSに供給された圧縮空気AK(空気AR)と共に、ノズル31Nを通って、混合領域MXに向けて噴射される。
なお、本実施形態では、針状電極体20が第2電極に相当し、ノズル部材30のノズル部31が第1電極に相当する。また、放電空間DSを囲む、パイプホルダ60(保持部61,筒壁部63)及びノズル部材30のノズル部31(第1電極)、針状電極体20(第2電極)の針状先端部22が、イオン源11となり、かつ、気体噴射源を兼ねて、イオン気体噴射源11をなしている。
【0077】
空気ARが混合領域MX(円柱状混合領域MX1)に噴射されると、前述したように、この円柱状混合領域MX1の気圧が低下するため、取入口33Iから排気ガスEGが引き込み路HKを通じて、混合領域MX(円柱状混合領域MX1、スリット状混合領域MX2)に取り入れられる。取入排気ガスEGIは、空気ARと混合され、空気ARと共に、排出路EXを経由して、排出口43Oから排出される。
その際、排気ガスEG中に、ススなどの微粒子Sが含まれていた場合、図9に示すように、この微粒子Sも混合領域MX内に取り入れられる。一方、噴射された空気ARには、イオンCPが含まれている。このため、取り入れられたススなどの微粒子Sは、イオンCPが付着して、正に帯電した帯電微粒子SCとなり、この状態で、混合領域MX及び排出路EXを通って、排出口43Oから、空気ARと共に排出される。
一方、混合領域MXに噴射されたイオンCPのうち、微粒子Sに付着しなかった浮遊イオンCPFは、第1フローティング電位PV1とされた捕集極42をなす混合排出部材40(基端部41,先端側筒壁部43)に各部に付着する(捕捉される)。
【0078】
本実施形態では、混合領域MX及び捕集極42をなす、ノズル部材30,混合排出部材40,蓋部材48が、微粒子帯電部12に相当する。
また、パイプホルダ60の保持部61及び内筒80は、針状電極体20及び排気管EPとは絶縁される一方、上述の微粒子帯電部12及びイオン気体噴射源11よりもケーブル160側(基端側、図中下方)で、第2電極である針状電極体20(延出部21)の径方向周囲を取り囲んでいる。
本実施形態では、これらパイプホルダ60の保持部61及び内筒80が、内側包囲部13に相当する。
【0079】
さらに、主体金具90の筒状部91,栓金具100,及び、外筒110は、排気管EPと導通して接地電位PVEとされる一方、上述の微粒子帯電部12及び内側包囲部13とは電気的に絶縁されている。また、これら主体金具90の筒状部91,栓金具100,及び、外筒110は、微粒子帯電部12、イオン気体噴射源11及び内側包囲部13のうち、排気管EPの外部(図5,図6において排気管EPより下方)に位置する部位、具体的には、針状電極体20の延出部21,補助電極体50の延出部51、パイプホルダ60の保持部61,内筒80の径方向周囲を取り囲んで、これらを電磁遮蔽している。
本実施形態では、これら主体金具90の筒状部91,栓金具100,及び、外筒110が、外側包囲部14に相当する。
また、これらイオン気体噴射源11、微粒子帯電部12、内側包囲部13、及び、外側包囲部14で、検知部10をなしており、この検知部10が、排気管EPに装着されている。
【0080】
また、ケーブル160は、検知部10から延出しており、前述したように、二重包囲ケーブルとして構成されている。具体的には、ケーブル160は、針状電極体20に導通する電源配線161と、内側包囲部13(具体的には内筒80)と導通すると共に、電源配線161とは絶縁しつつ、この電源配線161の径方向周囲を包囲する内側包囲配線165と、外側包囲部14(具体的には、外筒110)と導通すると共に、内側包囲配線165とは絶縁しつつ、この内側包囲配線165の径方向周囲を包囲して内側包囲配線165(及びその内部の電源配線161,補助配線162)を電磁遮蔽する外側包囲配線167と、を有している。
本実施形態では、このケーブル160が、リード線に相当している。
【0081】
さらに、ケーブル160に接続した駆動処理回路201は、イオン源電源回路210と、信号電流検知回路230と、を有する。また、イオン源電源回路210は、その第1出力端211に導通する電源回路包囲部材250(内側金属ケース251及び二次側鉄心271B)に包囲されている。
加えて、イオン源電源回路210及びこれを囲む電源回路包囲部材250と信号電流検知回路230とは、いずれも接地電位PVEに導通する外側金属ケース260に包囲されて電磁遮蔽されてなる。
なお、イオン源電源回路210は、第1フローティング電位PV1とされ、内側包囲配線165に導通し、この内側包囲配線165を通じて、イオン気体噴射源11のノズル部31に給電する第1出力端211と、第2フローティング電位PV2とされ、電源配線161に導通し、この電源配線161を通じて、イオン気体噴射源11の針状電極体20に給電する第2出力端212と、を含んでいる。
また、信号電流検知回路230は、イオン源電源210の第1出力端211に導通する信号入力端231と、接地電位PVEに導通する接地入力端232と、を含んでいる。
【0082】
本実施形態のシステム1はこのように構成されているので、図1に示すように、イオン気体噴射源11における気中放電に伴って、イオン源電源回路210の第2出力端212から、電源配線161を通じて針状電極体20(第2電極)に、放電電流Idが供給される。一方、この放電電流Idの多くは、ノズル部31(第1電極)に流れ込む(受電電流Ij)。この受電電流Ijは、内側包囲配線165を流れて、イオン源電源回路210の第1出力端211に流入する。
また、イオン気体噴射源11で生成され、ここから噴射されたイオンCPの多くは捕集極42で捕集される。捕集極42で捕集された浮遊イオンCPFが有していた電荷に起因する捕集電流Ihも、捕集極42(微粒子帯電部12)に導通する内側包囲配線165を通じて、第1出力端211に流れ込む。つまり、内側包囲配線165には、これらの和である受電捕集電流Ijh(=Ij+Ih)が流れる。
【0083】
但し、この受電捕集電流Ijhは、放電電流Idよりも若干小さな値となる。というのも、イオン気体噴射源11で生成されたイオンCPのうち、排出口43Oから排出された帯電微粒子SCに付着して排出イオンCPHも排出されてしまう。この排出された排出イオンCPHの電荷に対応する電流分は、受電捕集電流Ijhとして流れないからである。なお、帯電微粒子SCが流通している排気管EPは接地電位PVEとされている。
【0084】
ところでイオン源電源回路210から見ると、第2出力端212から流出した放電電流Idと、第1出力端211から流入する受電捕集電流Ijhとにアンバランスが生じることとなる。このため、この不足分(差分=放電電流−受電捕集電流)に相当する信号電流Isが、接地電位PVEから第1出力端211に向けて流れ込んでバランスする。
そこで、本システム1では、第1出力端211に導通する信号入力端231と、接地電位PVEに導通する接地入力端232とを有し、これらの間を流れる電流を検知する信号電流検知回路230を設けることで、第1出力端211と接地電位PVEとの間を流れる信号電流Isを検知する。
この差分(放電電流Id−受電捕集電流Ijh)に相当する信号電流Isの大きさは、排出された帯電微粒子SCに付着して排出された排出イオンCPHの量、したがって、取入排気ガスEGI中の微粒子Sの量、ひいては、排気管EPを流れる排気ガスEG中の微粒子Sの量に対応して増減する。このため、信号電流Isの大きさを検知することにより、排気ガスEG中の微粒子Sの量を検知することが可能となる。
【0085】
但し、放電電流Idの大きさをμAオーダとした場合、信号電流Isの大きさは、pAオーダとなる。このため、次述する電源配線161等からの漏れ電流が接地電位PVEにまで届いた場合や、放電電流Idあるいは受電捕集電流Ijhが流れる経路に電磁ノイズが重畳して、放電電流Id、受電捕集電流Ijhが変動した場合には、得られる信号電流Isの大きさが変動する虞が高い。
【0086】
先ず、漏れ電流について考察する。イオン気体噴射源11において、気中放電を起こさせるには、針状先端部22(第2電極)とノズル部31(第1電極)との間に気中放電が生じる高電圧(本例では、1〜2kV0-p)を印加する必要がある。即ち、第1フローティング電位PV1に対し、第2フローティング電位PV2を正電位方向に高電位となっている。すると、高電位(第2フローティング電位PV2)とされた針状電極体20、あるいは、電源配線161、第2出力端212から、漏れ電流が発生する場合がある。ところで、もし、この漏れ電流が、第1フローティング電位PV1とされた、内側包囲部13、内側包囲配線165、電源回路包囲部材250に流入した場合には、結局、この漏れ電流も、イオン源電源回路210の第1出力端211に戻るので、放電電流Idと受電捕集電流Ijhとの差分(信号電流Is)の大きさに影響を生じず、さほど問題とはならない。実際の放電に用いられる電流が減少するだけである。
【0087】
しかしながら、この漏れ電流が、接地電位PVEとされた部材(例えば、外側包囲部14、外側包囲配線167、外部金属ケース260など)に流入した場合には、第1出力端211に戻らず、結果として受電捕集電流Ijhが小さくなったこととなる。つまり、差分が大きく、従って信号電流Isが大きく見えることとなり、信号電流Isの大きさに誤差を生じることとなる。
特に、本実施形態のシステム1では、信号電流Isの値が小さく、pAオーダとなるため、接地電位PVEに届く漏れ電流が僅かに存在するだけ(例えば、pA程度の大きさの漏れ電流)でも、信号電流Is値に大きな誤差を生じる虞がある。
【0088】
次いで、電磁ノイズについて考察する。放電電流Idが流れる経路(例えば、電源配線161)、あるいは、受電捕集電流Ijhが流れる経路(例えば、内側包囲配線165)に、外部から電磁ノイズが重畳すると、放電電流Idや受電捕集電流Ijhの大きさが変動して見える。すると、これらの差分で与えられる信号電流Isの大きさも変動する。
特に、本システム1では、これらの差分で与えられる信号電流Isの値が小さなpAオーダであるので、放電電流Idや受電捕捉電流Ijhの大きさがpAオーダ程度変動するだけで、信号電流Isの値が大きく変動してしまう虞がある。
【0089】
これに対して、本実施形態のシステム1では、まず針状電極体(第2電極)20については、微粒子帯電部12及びイオン気体噴射源11よりもケーブル160線側(図5、図6中、下方)において、ノズル部31(第1電極)と導通する内側包囲部13で、針状電極体20の径方向(図5、図6中、左右方向)において、ノズル部31(第1電極)と導通する内側包囲部13で、針状電極体20の径方向周囲を取り囲んでいる。また、この針状電極体20と導通する電源配線161については、ノズル部31及び内側包囲部13と導通する内側包囲配線165で、その径方向(図1中、上下方向、及び図5、図6中、左右方向)において、ノズル部31(第1電極)と導通する内側包囲部13で、針状電極体20の径方向周囲を包囲している。さらに、駆動処理回路201のうち、イオン源電源回路210を、その第1出力端211に導通する電源回路包囲部材250(内側金属ケース251及び一次側鉄心271A)で包囲している。
【0090】
このため、針状電極体(第2電極)20、電源配線161、あるいはイオン源電源回路210の第2出力端212など、第2フローティング電位PV2とされた部位から、放電電流Idの一部が漏れ電流として流出したとしても、この漏れ電流は、これらを包囲している内側包囲部13、内部包囲配線165、あるいは電源回路包囲部材250に流れ込み、受電捕集電流Ijhとして、イオン源電源回路210の第1出力端211に流れ込む。つまり、これよりも外側の部材(主体金具90等の外側包囲部14、外側包囲配線167、外側金属ケース260)にまでは届かない。このため、このシステム1では、漏れ電流による受電捕集電流Ijhの変動を、ひいては信号電流Isの変動を抑制できる。
【0091】
また別途、本システム1では、微粒子帯電部12、イオン源11(針状電極体20、ノズル部31)、及び針状電極体20を囲む内側包囲部13のうち、排気管EPの外部に位置する部位の径方向周囲を、排気管EPと導通して接地電位PVEとされる外側包囲部14で取り囲んで、これらを電磁遮蔽している。この結果、本システム1では、針状電極体20は、内側包囲部13と外側包囲部14で二重に電磁遮蔽され、内側包囲部13のうち上述の排気管EPの外部に位置する部位は、外側包囲部14で一重に電磁遮蔽している。
また本システム1では、ケーブル160として二重包囲ケーブルを用いており、電源配線161、およびこれを囲む内側包囲配線165は、この径方向周囲を包囲し、排気管EP及び外側包囲部4と導通して接地電位PVEとされる外側包囲配線167で電磁遮蔽されている。この結果、針状電極体20に導通する電源配線161は、内側包囲配線165と外側包囲配線167とで二重に電磁遮蔽され、ノズル部31に接続する内側包囲配線165は、外側包囲配線167で一重に電磁遮蔽されている。
また、駆動処理回路201のうち、イオン源電源回路210、これを囲む電源回路包囲部材250及び信号電流検知回路230は、いずれも接地電位PVEに導通する外側金属ケース(外側回路包囲部材)260で包囲されて電磁遮蔽されている。この結果、イオン源電源回路210は、電源回路包囲部材250と外側金属ケース260とで二重に電磁遮蔽され、信号電流検知回路230は、外側金属ケース260で一重に遮蔽されている。
【0092】
本システム1では、この様な構成、即ち、駆動処理回路201における外側金属ケース260、二重包囲ケーブル160における外側包囲配線167、及び、検知部10における外側包囲部14による、各所での電磁遮蔽により、イオン源電源回路210の第2出力端212と針状電極体20との間を流れる放電電流Idが、電磁ノイズの影響を受けにくされている。また、イオン源電源回路210の第1出力端211とノズル部31あるいは捕集極42との間を流れる受電捕集電流Ijhについても、電磁ノイズの影響を受けにくくされている。
このため、このシステム1では、放電電流Idと受電捕集電流Ijhとの差分で与えられ、信号電流検知回路230で検知する信号電流Isについても、電磁ノイズの影響を受けにくい。
【0093】
かくして、本システム1では、漏れ電流や電磁ノイズの影響を受けず、正確に信号電流Isの大きさを検知することができ、これにより、排気ガスEG中の微粒子Sの量を、適切に検知することができる。
【0094】
ところで、混合領域MXに噴射されたイオンCPのうち、微粒子Sに付着しなかった浮遊イオンCPFが、捕集極42(微粒子帯電部12)で捕集されずに、排出口43Oから排出されると、信号電流Isに、微粒子Sの量に依存しない成分が含まれることとなるため、微粒子Sの量の検出精度が低下する。
これに対し、本実施形態では、第3フローティング電位PV3とされた補助電極部53が、混合排出部材43のスリット状混合領域MX2内に配置されている。なお、前述したように、第3フローティング電位PV3は、第1フローティング電位PV1に対し、100〜200Vの正の直流電位とされている。
このため、正に帯電した浮遊イオンCPFは、補助電極部53から斥力を受けて、捕集極42に近づきやすくなり、より確実に浮遊イオンCPFを捕集することができるようになる。
【0095】
即ち、本実施形態では、微粒子帯電部12内に配置され、捕集極42による浮遊イオンCPFの捕集を補助する補助電極部53を有している。具体的には、検知部10は、第1フローティング電位PV1及び第2フローティング電位PV2と異なり、かつ、浮遊イオンCPFに斥力を及ぼす第3フローティング電位PV3とされ、針状電極体20及びノズル部31とは電気的に絶縁され、微粒子帯電部12及びイオン気体噴射源11よりもケーブル160側で、針状電極体20と共に、内側包囲部13に自身の径方向周囲を包囲されてなる補助電極部53を有している。
しかも、ケーブル160は、内部包囲配線165内に、補助電極体50に導通する補助配線162を有し、駆動処理回路201は、第3フローティング電位PV3とされ、補助配線162を通じて、補助電極体50に導通する補助第2出力端242と、第1フローティング電位PV1とされ、イオン源電源回路210の第1出力端211に導通する補助第1出力端241と、を含む補助電極電源回路240を有している。しかも、この補助電極電源回路240は、イオン源電源回路210と共に電源回路包囲部材250に包囲されてている。
【0096】
このため上述のシステム1では、微粒子帯電部12内に、捕集極42による浮遊イオンCPFの捕集を補助する補助電極部53を備えている。このため、捕集極42でより確実に浮遊イオンCPFを捕集することができ、信号電流Isを、より正確に微粒子Sの量に対応したものとすることができ、微粒子Sの量の検出精度を向上させることができる。
しかも、補助電極部53のうち微粒子帯電部12及びイオン源11よりもケーブル(リード線)160(図1中、左方)側の部位、補助配線162、補助電極電源回路240は、内側包囲部13、内側包囲配線165、及び電源回路包囲部材250に包囲されている。なお、前述したように、内側包囲部13、内側包囲配線165、及び電源回路包囲部材250は、それぞれ外側包囲部14、外側包囲配線167、及び外側金属ケース260に包囲されている。
したがって、上述の補助電極162のうち微粒子帯電部12及びイオン源11よりもケーブル160側の部位、補助配線162、及び補助電極電源回路240は、外側包囲部14、外側包囲配線167、及び外側金属ケース260にも包囲されている。
このため、補助電極部53や補助配線162、補助電極電源回路240に、外部からのノイズが重畳することが防止されており、また、これにより、補助電極部53の第3フローティング電位PV3が、ノイズにより変動し、捕集極42での浮遊イオンCPFの捕集に影響することも防止されている。
【0097】
加えて、もし、第3フローティング電位PVEとされた補助電極体50、補助配線162、及び補助電極電源240の補助第2出力端242から、漏れ電流が流れ出て、接地電位の外側包囲部14、外側包囲配線167、あるいは外側金属ケース260に届いた場合には、この漏れ電流は、信号電流検知回路230を介して、補助電極電源回路240の補助第1出力端241に戻る経路を通ることとなり、信号電流Isの検知に影響を及ぼすことになる。
これに対し本システム1では、補助電極体50、補助配線162、及び補助電極電源240は、第1フローティング電位PV1とされた内側包囲部13、内側包囲配線165、及び電源回路包囲部材250に、それぞれ囲まれている。このため、漏れ電流が、これらよりも外側に位置する外側包囲部14、外側包囲配線167、及び外側金属ケース260にまで届くことがない。従って、漏れ電流の影響は、補助電極電源回路240の補助第2出力端242から流れ出る電流が増加するに止まり、信号電流Isに影響を及ぼさない。かくして、このシステム1では、信号電流Isが、この補助電極体50等からの漏れ電流の影響を受けることも防止されている。
【0098】
また、補助第1出力端241を内側包囲配線165に導通させて第1フローティング電位PV1とすることで、イオン源電源回路210の第1出力端211及びこれに導通するノズル部31等と共通の電位となるので、第1〜第3フローティング電位PV1,PV2,PV3の関係を容易に定めることができる。
なお本システム1では、実効的な電位で見て、PV1<PV3<PV2となっている。
【0099】
なお、イオン源電源回路210は、絶縁トランス270を介して、自身の駆動電力を、計測制御回路220から得る構成とされている。しかも、この絶縁トランス270は、外側金属ケース260(外側回路包囲部材)に包囲されて電磁遮蔽されている。
【0100】
本実施形態のシステム1では、このようにイオン源電源回路210の駆動電力を、絶縁トランス270を介して得ているので、このイオン源電源回路210、及びその第1出力端211及び第2出力端212は、外部の電位(例えば、排気管EPなどの接地電位PVE)から電位が浮いた状態とすることができる。このため、容易に、第1出力端211及びこれに導通するノズル部31(第1電極)等の各部位を第1フローティング電位PV1とし、第2出力端212及びこれに導通する針状電極体20(第2電極)等の各部位を第2フローティング電位PV2とすることができる。
しかも、この絶縁トランス270は、外側金属ケース260に包囲されて電磁遮蔽されているので、この絶縁トランス270を介して、外部のノイズがイオン源電源回路210に侵入することも防止されている。
【0101】
さらに本実施形態では、補助電極電源回路240も、絶縁トランス270を介して、自身の駆動電力を、計測制御回路220から得る構成とされている。しかも、この絶縁トランス270は、前述のように外側金属ケース260(外側回路包囲材)に包囲されて電磁遮蔽されている。
【0102】
本実施形態のシステム1では、補助電極電源回路240の駆動電力を、絶縁トランス270を介して得ているので、この補助電極電源回路240、及びその補助第2出力端242及び補助第1出力端241は、外部(例えば、排気管EPなどの接地電位PVE)から電位が浮いた状態とすることができる。このため、容易に、補助第2出力端242及びこれに導通する補助電極体50等を第3フローティング電位PV3とし、補助第1出力端241を第1フローティング電位PV1とすることができる。
しかも、この絶縁トランス270は、外側金属ケース260に包囲されて電磁遮蔽されているので、この絶縁トランス270を介して、外部のノイズが補助電極電源回路240に侵入することも防止されている。
なお、本システム1では、絶縁トランス270を、補助電極絶縁トランスとしても兼用している。
【0103】
さらに本実施形態では、検知部10は、空気AR(気体)を、微粒子帯電部12の混合領域MXに噴射するイオン気体噴射源11(気体噴射源)を有し、微粒子帯電部12は、空気ARの噴射によって、微粒子帯電部12外部の排気ガスEGを取入口43Oから混合領域MXに導き入れて、取入排気ガスEGIとイオンCPとを混合し、空気ARとともに、排出口43Oから取入排気ガスEGIを排出する形態に構成されている。
【0104】
このため、本実施形態のシステム1では、排気ガスEGの流速の変動による、取入排気ガスEGIの量の変動が生じにくくなり、この変動に伴う信号電流Isの変動の影響を受けにくくなる。このため、より正確に、排気ガスEG中の微粒子Sの量を検知することができる。
【0105】
さらに本実施形態では、イオン気体噴射源11は、気体噴射源とイオン源を兼ね、イオンCPを、空気ARとともに混合領域MXに噴射する構成とされている。
このため、このシステム1では、混合領域へのイオン及び気体の供給が容易になる。
【0106】
さらに、本実施形態のシステム1では、ケーブル160は、エアパイプ163により、イオン気体噴射源11(気体噴射源)に連通し、このイオン気体噴射源11に向けて空気ARを圧送する気体流通路163Hが形成されている。
【0107】
即ち、このシステム1では、ケーブル160内に電源配線161等を設けるのみならず、気体流通路163Hが形成されており、この気体流通路163Hを通じてイオン気体噴射源11(気体噴射源)に空気AR(圧縮空気AK)を圧送できるので、検知部10付近に気体ARを圧縮するポンプを設けたり、あるいは、ケーブル160とは別に、イオン気体噴射源11に向けて空気ARを圧送するチューブを用意し、これを引き回す必要が無い。即ち、微粒子検知システム1における、イオン気体噴射源11への空気AR(気体)の供給やそのための引き回しが、簡単にできる。
【0108】
さらに本システム1では、気体流通路163Hは、内側包囲配線165内に形成されてなる。このように、気体流通路163Hを、二重包囲ケーブルとなっているケーブル160のうち内側包囲配線165内に形成することで、検知部10あるいはこの付近において、さらに容易に気体流通路163Hをイオン気体噴射源11に連通させることができる。
【0109】
さらにこのシステム1では、第2フローティング電位PV2は、第1フローティング電位PV1に対して正電位とされ、イオン気体噴射源11のうち、針状電極体20(第2電極)は、針状の針状先端部22を有してなり、ノズル部31(第1電極)は、針状電極体20の針状先端部22の先端側(図中上方)に、この針状電極体20と離間して対向する対向面31Tを有している。そして、イオン気体噴射源11では、気中放電として、針状電極体20の針状先端部22の周りに、正針コロナPCが生じるコロナ放電を生じさせる。
【0110】
このシステム1では、イオン気体噴射源11において、針状電極体20の針状先端部22に正針コロナPCを生じさせるので、気体(例えば大気)に起因する正イオンを、持続的かつ効率的に発生させることができる。
【0111】
以上において、本発明を実施形態のシステム1に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、ケーブル160において、内側包囲配線165及び外側包囲配線167のいずれも、銅細線を編んだ編組を用いた例を示したが、アルミニウム、銅などの金属テープを、内側絶縁被覆層164dあるいは内側包囲配線層被覆層166の周りに捲回して、これらを構成しても良い。あるいは編組で覆った上にさらに金属テープを巻き付けてこれらを構成しても良い。銅パイプ、アルミニウムパイプなどの金属パイプを、全部あるいは部分的に用いることもできる。
また、絶縁トランス270として、鉄心271(及びこれに捲回したコイル)を二つに分離可能に構成したものを例示した。鉄心271自身の電位を、2つの部位271A,271Bでそれぞれ定めることで、さらに、外部からのノイズの影響が、イオン源電源回路210等に及びにくくできるからである。また、一次側コイル272の側で、この一次側コイル272と一次側鉄心271Aとの間の絶縁が簡単にできるからである。しかし、通常の絶縁トランス、即ち、一体(共通)の鉄心に、一次側コイル及び二次側コイル(電源回路側コイル、補助電極電源側コイル)を捲回したものを用いることもできる。なおこの場合には、鉄心を第1フローティング電位PV1とするのが好ましい。
また、本システム1では、絶縁トランス270を補助電極絶縁トランスと兼用した例を示した。しかし、補助電極電源回路240への電力供給を、絶縁トランス270とは別の絶縁トランスを用いて行っても良い。
さらに、イオン源電源回路210として、正弦波を半波整流した、1〜2kV0-pの正のパルス電圧が出力される直流定電流回路を例示した。しかし、第1出力端211に対して第2出力端212が常に正電位とされ、常に一定電流を出力する直流定電流電源を用いても良い。
【符号の説明】
【0112】
EP 排気管
EPO 取付開口
EPT 取付部
EG 排気ガス
EGI 取入排気ガス
S 微粒子
SC 帯電微粒子
CP イオン
CPF 浮遊イオン
CPH 排出イオン
Ijh 受電捕集電流
Is 信号電流
1 微粒子検知システム
10 検知部
11 イオン気体噴射源(イオン源,気体噴射源)
DS 放電空間
12 微粒子帯電部
13 内側包囲部
14 外側包囲部
20 針状電極体(第2電極)
22 針状先端部
30 ノズル部材(第1電極,微粒子帯電部)
31 ノズル部(第1電極,微粒子帯電部)
31N ノズル
PV1 第1フローティング電位
PV2 第2フローティング電位
40 混合排出部材(微粒子帯電部)
MX 混合領域
MX1 円柱状混合領域
MX2 スリット状混合領域
42 捕集極
43O 排出口
50 補助電極体(補助電極)
53 補助電極部(補助電極)
53S (補助電極部の)針状先端部
V3 第3フローティング電位
60 パイプホルダ(内側包囲部)
61 保持部(内側包囲部)
80 内筒(内側包囲部)
90 主体金具(外側包囲部)
90S 先端側面
100 栓金具(外側包囲部)
110 外筒(外側包囲部)
PVE 接地電位
160 ケーブル(二重包囲ケーブル、リード線)
160S 先端部
161 電源配線
162 補助配線
163 エアパイプ
163H 気体流通路
163S (エアパイプの)先端部
AK 圧縮空気(気体)
AR 空気(気体)
164 内側絶縁体
165 内側包囲配線
166 内側包囲配線被覆層
167 外側包囲配線
168 外側包囲配線被覆層
200 処理回路部
201 駆動処理回路
210 イオン源電源回路
211 第1出力端
212 第2出力端
220 計測制御回路
230 信号電流検知回路
231 信号入力端
232 接地入力端
240 補助電極電源回路
241 補助第1出力端
242 補助第2出力端
250 電源回路包囲部材
251 内側金属ケース(電源回路包囲部材)
260 外側金属ケース(外側回路包囲部材)
270 絶縁トランス(補助電極絶縁トランス)
271 (絶縁トランスの)鉄心
271A (絶縁トランスの)一次側鉄心
271B (絶縁トランスの)二次側鉄心(電源回路包囲部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の排気管内を流通する排気ガス中の微粒子の量を検知する微粒子検知システムであって、
上記排気管に装着された検知部と、
上記検知部から延出したリード線と、
上記リード線に接続した駆動処理回路と、を備え、
上記検知部は、
イオン源と微粒子帯電部と内側包囲部と外側包囲部とを有し、
上記イオン源は、
第1フローティング電位とされる第1電極、及び、上記第1フローティング電位に比して、正または負電位方向に高電位の第2フローティング電位とされる第2電極を有し、
これらの間の気中放電によりイオンを生成する
イオン源であり、
上記微粒子帯電部は、
この微粒子帯電部外部の上記排気ガスを上記微粒子帯電部の内部に取り入れる取入口を含み、
自身の内部に、上記取入口から取り入れた取入排気ガスを上記イオン源で生成した上記イオンと混合して、上記取入排気ガス中の上記微粒子に上記イオンを付着させて、帯電微粒子とする混合領域を構成してなり、
上記取入排気ガスとともに上記帯電微粒子を排出する排出口を含み、
上記第1電極と導通し、上記イオン源で生成された上記イオンのうち、上記微粒子に付着しなかった浮遊イオンを捕集する捕集極をなす、
導電性の微粒子帯電部であり、
上記内側包囲部は、
上記第2電極及び上記排気管とは電気的に絶縁される一方、上記微粒子帯電部及び上記第1電極と導通し、上記微粒子帯電部及び上記イオン源よりも上記リード線側で、上記第2電極の径方向周囲を取り囲んでなり、
上記外側包囲部は、
上記排気管と導通して接地電位とされる一方、上記第2電極、上記微粒子帯電部及び上記内側包囲部とは電気的に絶縁され、上記微粒子帯電部、上記イオン源及び上記内側包囲部のうち、上記排気管の外部に位置する部位の径方向周囲を取り囲んでこれらを電磁遮蔽してなり、
上記リード線は、
上記第2電極に導通する電源配線と、
上記内側包囲部と導通すると共に、上記電源配線とは絶縁しつつ、この電源配線の径方向周囲を包囲する内側包囲配線と、
上記外側包囲部と導通すると共に、上記内側包囲配線とは絶縁しつつ、この内側包囲配線の径方向周囲を包囲して上記内側包囲配線を電磁遮蔽する外側包囲配線と、を有する
二重包囲ケーブルであり、
上記駆動処理回路は、
上記第1フローティング電位とされ、上記内側包囲配線に導通し、上記内側包囲配線を通じて、上記イオン源の上記第1電極に給電する第1出力端と、
上記第2フローティング電位とされ、上記電源配線に導通し、上記電源配線を通じて、上記イオン源の上記第2電極に給電する第2出力端と、を含み、
上記第2出力端を通じて予め定めた定電流を出力する
イオン源電源回路と、
上記第1出力端に導通する信号入力端と、
上記接地電位に導通する接地入力端と、を含み、
上記第1出力端と上記接地電位との間を流れる信号電流を検知する
信号電流検知回路と、を有し、
上記イオン源電源回路は、上記第1出力端に導通する電源回路包囲部材に包囲されてなり、
上記イオン源電源回路及びこれを囲む上記電源回路包囲部材と上記信号電流検知回路とは、いずれも上記接地電位に導通する外側回路包囲部材に包囲されて電磁遮蔽されてなる
微粒子検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の微粒子検知システムであって、
前記イオン源電源回路は、
絶縁トランスを介して、自身の駆動電力を外部から得る構成とされてなり、
上記絶縁トランスは、
前記外側回路包囲部材に包囲されて電磁遮蔽されてなる
微粒子検知システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の微粒子検知システムであって、
前記検知部は、
前記微粒子帯電部内に配置され、前記捕集極による上記浮遊イオンの捕集を補助する補助電極であって、
前記第1フローティング電位及び前記第2フローティングと異なり、かつ、前記浮遊イオンに斥力を及ぼす第3フローティング電位とされ、
前記第2電極及び前記第1電極とは電気的に絶縁され、
上記微粒子帯電部及び上記イオン源よりも上記リード線側で、前記内側包囲部に自身の径方向周囲を包囲されてなる
補助電極を有し、
前記二重包囲ケーブルは、
前記内部包囲配線内に、上記補助電極に導通する補助配線を有し、
前記駆動処理回路は、
上記第3フローティング電位とされ、上記補助配線に導通し、上記補助配線を通じて、上記補助電極に導通する補助第2出力端と、
上記第1フローティング電位とされ、上記イオン源電源回路上記第1出力端に導通する補助第1出力端と、を含む
補助電極電源回路を有し、
上記補助電極電源回路は、
前記イオン源電源回路と共に前記電源回路包囲部材に包囲されてなる
微粒子検知システム。
【請求項4】
請求項3に記載の微粒子検知システムであって、
前記補助電極電源回路は、
補助電極絶縁トランスを介して、自身の駆動電力を外部から得る構成とされてなり、
上記補助電極絶縁トランスは、
前記外側回路包囲部材に包囲されて電磁遮蔽されてなる
微粒子検知システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の微粒子検知システムであって、
前記検知部は、
気体を、前記微粒子帯電部の前記混合領域に噴射する気体噴射源を有し、
上記微粒子帯電部は、
上記気体の噴射によって、上記微粒子帯電部外部の前記排気ガスを前記取入口から上記混合領域に導き入れて、前記取入排気ガスと前記イオンとを混合し、
上記気体とともに、前記排出口から前記取入排気ガスを排出する形態に構成されてなる
微粒子検知システム。
【請求項6】
請求項5に記載の微粒子検知システムであって、
前記イオン源は、
前記気体噴射源を兼ねるイオン気体噴射源であり、
前記イオンを、前記気体とともに前記混合領域に噴射する構成とされてなる
微粒子検知システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の微粒子検知システムであって、
前記二重包囲ケーブルは、
前記気体噴射源に連通し、前記気体噴射源に向けて前記気体を圧送する気体流通路が形成されてなる
微粒子検知システム。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の微粒子検知システムであって、
前記第2フローティング電位は、前記第1フローティング電位に対して正電位とされ、
前記イオン源のうち、
前記第2電極は、針状の針状先端部を有してなり、
前記第1電極は、上記第2電極の上記針状先端部の先端側に、この第2電極と離間して対向する対向面を有してなり、
上記イオン源は、
前記気中放電として、上記第1電極と上記第2電極との間で、上記第2電極の上記針状先端部の周りに、正針コロナが生じるコロナ放電を生じさせてなる
微粒子検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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