説明

微粒子

コアおよびコーティングを含む微粒子であって、前記コーティングは有機分子の実質的な単分子層を含む。微粒子の作製は、以下を含むプロセスで行われる:コア物質をプラズマ流中へ導入し、それによって前記コア物質の一部またはすべてを気化させること;前記コア物質が導入された地点から下流側で前記コア物質を冷却し、それによって前記コア物質の粒子を作り出すこと;ならびに、インジェクションゾーンにおいて前記コア物質の粒子を有機分子でコーティングすることであって、前記インジェクションゾーンは、前記コア物質の粒子が形成される領域の下流側にあるコーティングか、または、前記コア物質の冷却された粒子を、液体コーティング物質および/またはコーティング物質の溶液を前記コア物質へ適用することによって、コーティングチャンバー中にて有機分子でコーティングすることであって、前記コーティングチャンバーは、コア物質の粒子が形成される領域の下流側にあるコーティング。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子、本プロセスに用いるための装置、および微粒子を作製するためのプロセス、に関する。特に、本発明は、コアおよびコーティングを含む微粒子、ならびにこれらを作製するためのプロセスおよび装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子を作製する際の一般的な問題は、それらが凝集する傾向を有することであり、これは、一般に、粒子が比較的高い表面エネルギーを有する原因となる高い表面積対体積比の結果であると考えられる。凝集の原因は、粒子間の静電力、冷間焼結、またはファンデルワールス相互作用であり得ると推察されてきた。この凝集の結果、微粒子は、一般的に、分離された微粒子物質ではなく、微粒子のクラスター、プレートレット(platelet)、またはストリング(string)として見出される。
【0003】
凝集によって所定の質量の微粒子の表面積が低下することから、凝集を起こさない微粒子が提供されれば有利であろう。このことにより、表面化学的用途での使用において必要とされる微粒子物質が低減されるか、または用いられる微粒子質量は同じであり得るが、反応もしくは物理的吸着に利用可能である表面積がより大きいことに起因して反応速度の増加が観察されるシステムが提供されるであろう。上記の特性は、微粒子が触媒として用いられる場合に特に重要であり、反応を促進させるのは、粒子の表面化学、従ってその表面エネルギーであることがその理由である。
【0004】
さらに、非凝集微粒子は、液体中でより効率的に分散し、得られたコロイドは、粒子が単に液体中に懸濁しているだけでなく、そこに溶解しているかのような、微粒子の「溶液」の特性を有する。そのようなコロイドを形成する能力は、微粒子を用いた反応の容易性および速度を向上させるが;それは、粒子が溶液中で反応物と密接に混合することができるからである。凝集微粒子の場合、一般には安定なコロイドを作製するために、凝集微粒子の懸濁液を超音波処理し、多くの場合分散剤を添加することが必要である。このことから、微粒子を、それらが相互作用するはずであるいずれの媒体へ提供する場合にも、制限が生ずる。結果として、この方法による懸濁液の形成は、微粒子の表面を変化させ、表面エネルギーを減少させ、意図される用途に対する適切性を低下させることになり得る。上述のように、界面活性剤などの分散剤を用いることで、懸濁液を安定化させるか、または微粒子がコーティングを形成する手助けをすることができる。分散剤の使用は、生成物のコストを上昇させるだけでなく、分散剤が微粒子の表面エネルギーを減少させる作用も持ち、表面化学的用途でのその有用性を減退、低下、または下落させることから、望ましくない。
【0005】
粒子が焼結される場合、超音波処理をもってしても微粒子が分離される可能性は低い。超音波によって提供されるエネルギーは、結合を切断するには不十分であろう。理論に束縛されるものではないが、焼結は、微粒子の形成直後、プラズマ処理で粒子が形成される高い温度の結果として発生すると考えられる。さらに、焼結は、粒子が冷却された状態、周囲温度もしくはそれに近い温度であっても観察される場合があり、これは、微粒子が汚染される(例えば空気によって)前のその高い表面エネルギーに起因する。気体またはプラズマ状態から形成された微粒子は、粒子が作製される際に、結合または連結さえ形成する場合があるという仮説が立てられている。
【0006】
非凝集微粒子を作製する別の利点は、多くの大分子と同様に、それらが微細な膜およびフィルターを透過できることであろう。例えば、微粒子が浸透圧下にて透過膜を透過可能
である微粒子のコロイドを作製することが有用であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、実質的に凝集または焼結を起こさず、その純粋な形態において安定であり、実質的にすべての表面エネルギーが変化していない微粒子を提供することが望ましい。本発明の微粒子、ならびにそれを作製するためのプロセスおよび装置は、上記の問題点の1もしくは2つ以上を改善することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明の第一の局面によると、コアおよびコーティングを含む微粒子が提供され、前記コーティングは有機分子を含む。
【0009】
微粒子とは、ミクロンもしくはそれ未満のサイズを有する粒子を意味し、一般的には、100μmもしくはそれ未満のオーダーである。好ましくは、微粒子はナノ粒子であり、ナノ粒子とは、ナノメートルの寸法を有する粒子を意味し、ナノ粒子は、例えば、数ナノメートルから数百ナノメートルのオーダーの寸法を有していてよい。ナノ粒子は、球状であってもまたは非球状であってもよく、また、ナノパウダーまたはナノメートル物質として知られる場合もある。有利には、微粒子は、1から200nmのサイズ範囲内に存在し、より好ましくは5から100nmの範囲およびより好ましくは10から50nmの範囲、多くの場合10から20nmの範囲である。
【0010】
ある態様では、本発明の微粒子は、硫黄、窒素、塩素、炭素、または水素による内部汚染を含まない。「内部汚染」とは、コアがこの種の汚染物質を含有しないことを意味する。ある態様では、本発明の微粒子のコアは、硫黄、窒素、塩素、炭素、水素、およびこれらの組み合わせから選択される汚染物質を含む基材による汚染を実質的に含まない。他の態様では、汚染物質は、硫黄、窒素、塩素、炭素、水素、フッ素、酸素、アセテート、ホルメート、有機塩、およびこれらの組み合わせから選択される。コアが従来技術の微粒子と比較して純粋であることが、本発明の熱プラズマプロセスの利点である。
【0011】
微粒子の作製のための既知の(湿式化学)技術は、特に、コアが金属を含有し、微粒子を作製する化学的経路が金属塩を用いる場合、低レベルの汚染物質を含有するコアを生じさせる。従って、本発明のプロセスを用いることにより、実質的にそのような内部汚染を含まない微粒子を作製することが可能である。
【0012】
「実質的に含まない」とは、本発明の微粒子が、0から100ppb、多くの場合0から50ppb、多くの例では0から10ppb、多くの場合0から5ppbの範囲の汚染物質を含有することを意味する。通常、汚染物質は、上記で挙げたものから選択される。本発明に従うプロセスで作製された粒子は、沸点の低い元素および化合物が沸点の高い物質の後で凝縮することから、これらによって最後にコーティングされることになるため、一般的に、粒子のコアよりも粒子の表面の方が汚染物質のレベルが高くなる。
【0013】
多くの場合、微粒子は、コアおよび/またはコーティング中に、アルゴンまたはヘリウムである場合が多い残留貴ガスを含んでいる。この残留貴ガスは、コア中で見られることが多く、プラズマ中で用いられるキャリアガスを微粒子サンプルの構造中へ取り込むことに起因する。本発明のプロセスで作製した粒子のサンプルの場合、粒子のおよそ20から50%が残留貴ガスを含有していることが多い。
【0014】
いくつかの例では、微粒子は球状である。本発明の微粒子は、本願で説明するものなどの熱プラズマプロセスを用いて作製された場合、検出限界の範囲内で球状である。例えば
、SEM/TEM分析下にて、粒子は球状に見える。理論に束縛されるものではないが、これは、関与する寸法が極めて小さいために非常に高い表面対体積比を有する溶融コア物質の表面張力により、巨大な力が発揮されることに起因すると考えられる。従って、湿式化学経路を用いて作製された微粒子と比較して、本発明の微粒子は、より一定の形状を有しており、それは、湿式化学合成経路で行われ、湿式化学を用いて作製される微粒子の表面エネルギーを低下させる化学的湿潤を受けないからである。湿式化学では、化学的湿潤が熱力学的な推進力を低下させ、従って、粒子の形状が決定される際の因子として表面張力が低いために、低エネルギー表面(例えば部分的に平滑な表面)がより容易に形成されることになる。さらに、湿式化学技術で見られる微粒子は、完全に溶融した球状体から冷却された微粒子(熱プラズマ技術の場合のように)ではなく、形成された最初の数個の分子のクラスターとなる傾向にある。
【0015】
ある態様では、本発明の微粒子は、5から100%、多くの場合10から75%、いくつかの例では25から50%の範囲の微粒子が、その内部構造にて「双晶(crystal twinning)」を示す微粒子の集団の1つであることが望ましい。「双晶」とは、微粒子のコア物質の結晶構造中に分割面が存在することを意味し、これは、結晶構造が1つの球状体中で2つの異なる方向へ形成されたために、結晶が背中合わせに形成されるものである。そのような双晶効果は、熱プラズマ系でのコア物質の粒子の形成速度が速いために発生する。そのような構造は、この結晶構造を引き起こす高エネルギーが、熱プラズマ技術が用いられた場合に発生する高速のコア物質粒子の冷却および形成に由来することから、湿式化学による微粒子では観察されない。
【0016】
別の選択肢として、微粒子は、比較的高エネルギーの内部格子欠陥の徴候を示す場合がある。高エネルギー欠陥もまた、湿式化学経路を用いて形成された微粒子には、これらの粒子の形成がより遅いことから、存在しない。格子欠陥を引き起こすのは、本明細書で述べる熱プラズマプロセスを用いて観察される高速凝縮である。これらは、例えば高倍率TEMを用いて観察することができる。
【0017】
いくつかの例では、微粒子のコーティングは、いかなる第三の元素もしくは化合物の存在または干渉もなしに、粒子自体のみに接着されている。従って、本発明の微粒子は、並外れて純粋であり得、これは、本発明のものなどの熱プラズマプロセスを用いて微粒子を作製する場合に生じ得る。これは、化学技術とは対照的に物理技術を用いて粒子が作製されているからであり、従って、系内に存在する汚染物質の数は、大きく低減される。湿式化学技術を用いて作製された微粒子は、多くの場合、その形成に用いられた試薬および溶媒の残留物を含有する。熱プラズマ技術は、溶媒の代わりに気体キャリアを用いる。
【0018】
コーティングによって、各微粒子が他の微粒子と凝集することを防止することが望ましく、本発明の微粒子は、凝集を防止するための、または微粒子を含有するいずれの分散体をも安定化させるための別の安定化を必要としないことが好ましい。コーティングはまた、ガスバリアとしても作用することができ、コアの酸化が遅延または防止される。金属コアなどの元素コアの場合、コーティングの存在により、酸化の速度が、コーティングが存在しない場合に観察される速度の10%未満、可能性として5%未満まで低減されることが見出された。コーティングは、表面が空気などと反応するための推進力を低下させることにより、一時的に表面エネルギーを減少させる場合がある。例えば、極性の酸素イオンまたは酸素は、極性コーティングによって遠ざけることができる。
【0019】
本発明の多くの例において、微粒子は、単一極性の表面を有する。この均一な極性は、静電反発により、およびいくつかの例ではさらに立体障害によっても、微粒子が互いに反発することを引き起こし、結果として凝集が防止される。
【0020】
コアは、高表面エネルギー物質から作製されることが好ましく、これは、元素であってもまたは化合物であってもよい。多くの場合、元素は金属またはメタロイドであり、化合物は金属酸化物である。メタロイドとは、金属と非金属との間の中間的な性質を有する化学元素を意味し、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、およびテルルを含む。コアが金属の場合、それは、遷移金属または遷移金属の合金であることが最も多い。遷移金属は、多くの場合、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウム、銀、カドミウム、金、およびこれらの合金から選択される。ある態様では、遷移金属は銅を含み、多くの場合、遷移金属は銅単独である。アルミニウム、または酸化アルミニウムも用いてよい。
【0021】
歴史的に、「清浄な」微粒子銅を得ることは非常に困難であり、信頼性のある再現可能な形で得ることはほとんど不可能である。本発明は、この問題を克服した可能性がある。微粒子銅は、プリント電子部品産業で利用されており、そこでは、回路の生産を行うために、プリント電子部品産業によって銅の微粒子分散体のインクジェット印刷が用いられている場合がある。本発明の微粒子銅をこの方法で用いることができ、所望される場合は、銅の導電性を調整するために何らかの印刷後処理を行ってもよい。
【0022】
いくつかの先行技術では、本発明とは異なるプロセスにより、導電性回路への使用のために微粒子のインクを用いているが、これは、抵抗が高く、焼結に過度な温度を要する。
【0023】
コーティングは部分的であってもよいが、それが実質的にコアを被覆する場合、コーティングは凝集および/または酸化の防止に最も効果的となる。好ましい例では、コアの表面はコーティングで完全に被覆されている。コーティング物質は、コアと低エネルギーの可逆的な結合のみを形成する物質が望ましい。これにより、微粒子の使用前のコーティングの除去が提供される。有機化合物はこのように作用することが見出されており、従って、本発明では一般にこれらを用いる。
【0024】
多くの例において、有機分子は、極性(またはさらには帯電した)分子を含む。極性有機分子は容易に単分子層を形成することから、これらが用いられることが多い。極性分子が長く(elongate)、極性を付与する官能基が分子の一方の末端に存在する場合、特に有用である(長鎖カルボン酸、または直鎖状チオールなど)。この構造の分子は、効率的な単分子層を形成する。本発明の目的のために、単分子層は均一であることが好ましく、そこでは、すべての分子が、正に帯電する末端全体(これらが完全な電荷を有しているものであっても、または分子内の原子の電子特性の結果として部分的に正もしくは負の電荷を有しているだけのものであっても)が共に微粒子の外部表面上、または内部表面上にある状態で整列される。正または負の電荷が微粒子の外部表面上にあるかどうかは、コア物質の性質に依存する。従って、コーティングは、微粒子の表面上の電荷のような静電反発を介して凝集を防止するように作用する。
【0025】
界面活性剤を含む広範囲にわたる種々の有機分子を用いてよい。界面活性剤を用いる場合、ナノ粒子系において歴史的にそれらの用途であった分散剤としてではなく、コーティングとして用いられることに留意すべきである。当業者であれば分かるように、界面活性剤は、一般的に長い有機分子であり、多くの場合帯電しており、従って、界面活性剤は、上記で概説した理由で本発明のコーティングの形成に用いるのに適している。
【0026】
極性分子は、カルボン酸、サルフェート、アルコール、ナイトレート、ホスフェート、アミン、アミド、チオール、およびこれらの組み合わせであってよい。多くの例において、極性分子は、カルボン酸、アミン、アミド、チオール、またはこれらの組み合わせを含む。カルボン酸が用いられる場合、これらは、多くの場合、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、カプリル酸、リノール酸、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0027】
これらのカルボン酸は、無毒性であること、沸点が低いために熱プラズマ系において容易に蒸発すること、および金属と弱い結合を形成することから、一般に好ましい。この弱い結合のために、酸コーティングが容易に除去されてコアの高表面エネルギー表面が露出されるか、または別のリガンドと容易に置換されてコアを特定の適用に対して有用に官能化することができる。このような適用としては、後処理によって連結させ、導電性を向上させることができるコーティングまたはトラックの堆積;または、排気ガスの熱が作用してコーティングを除去し、その下にある反応性触媒表面を露出させるという自動車の触媒コンバーターの触媒が挙げられる。試験したカルボン酸の中で、オレイン酸が本発明の微粒子に用いるのに特に適していることが見出された。
【0028】
チオールも用いてよく、特にC10‐C18チオールなどの直鎖状チオールである。
【0029】
ポリマー化合物も用いてよく、特にPVP(ポリビニルピロリドン)などの極性側鎖を有するポリマーである。PVPコーティングもまた、本発明で用いるのに特に有利であることが見出された。PVPは、窒素および酸素部分の配位によってコア物質に接着する。
【0030】
コーティングは、実質的に単分子層、二分子層および/もしくは三分子層または多層の領域を有する単分子層、であってよい。「層」とは、一分子の厚さであるコーティングの個別の領域を意味し、単分子層では、分子はコアの表面に対して実質的に平行、または垂直、またはその間のある角度に整列されていてよい。多くの場合、層は、コアの表面に対して実質的に垂直に整列された分子で形成され、そのような層は「フォレスト(forest)」構造と称されることが多い。一般に、コーティングは実質的に単分子であり、単分子層コーティングを用いることで、必要なコーティング物質の量が低減され、微粒子のサイズに対する添加量が最少化され、および確実にコーティングが比較的容易に除去される。
【0031】
コーティングの平均厚さは、層あたり100〜200nmの領域である可能性が高く、多くの場合、コーティング層の厚さは、単分子層の場合は125〜175nmの領域、コーティングが二分子層の場合は250〜350nmである。
【0032】
微粒子は、溶液中に分散してよく、従って、本発明の第二の局面は、分散相および連続相を含むコロイド分散体に関し、ここで、分散相は、本発明の第一の局面に従う複数の微粒子を含む。本発明の分散体は、0.001〜20重量%の範囲の濃度、多くの場合0.01〜5重量%の範囲、いくつかの例では0.5〜2.0重量%または0.5〜1.0重量%の範囲の濃度にて、分散剤の非存在下、周囲温度(20〜25℃の範囲)で最長6ヶ月間まで安定であることが見出された。
【0033】
連続相は、微粒子が溶解しないいかなる流体でもよく、この流体は通常、周囲温度で液体であり、液体は通常、無毒性であり、100℃未満の沸点など、低沸点である。流体は、多くの場合、有機溶媒または水である。連続相は、多くの場合、酢酸エチルであるが、イソプロパノールおよびアセトンも時に用いられる。
【0034】
本発明の第三の局面によると、コアおよびコーティングを含む微粒子の形成のためのプロセスが提供され、前記コーティングは有機分子を含み、前記プロセスは、コア物質をプラズマ流中へ導入し、それによって前記コア物質の一部またはすべてを気化させること;前記コア物質が導入された地点から下流側で前記コア物質を冷却し、それによって前記コア物質の粒子を作り出すこと;インジェクションゾーンにおいて前記コア物質の粒子を有機分子でコーティングすることを含み、前記インジェクションゾーンは、前記コア物質の粒子が形成される領域の下流側にある。このプロセスは、各々がコアおよびコーティングを含む微粒子を提供する。
【0035】
本発明の第四の局面によると、コアおよびコーティングを含む微粒子の形成のためのプロセスが提供され、このプロセスは:
コア物質をプラズマ流中へ導入し、それによって前記コア物質の一部またはすべてを気化させること;
前記コア物質が導入された地点から下流側で前記コア物質を冷却し、それによって前記コア物質の粒子を作り出すこと;
前記コア物質の粒子を、液体もしくは気体のコーティング物質、またはコーティング物質の溶液を前記コア物質へ適用することによって、コーティングチャンバー内にて有機分子でコーティングすること;
を含み、
前記コーティングチャンバーは、前記コア物質の粒子が形成される領域の下流側にある。
【0036】
コーティング物質は、液体コーティング物質であってよい。
【0037】
熱プラズマ技術が大量生産のためのスケールアップを容易に行うことができるため、熱プラズマプロセスは、微粒子の作製について、湿式化学技術と比較してさらなる明確な利点を有する。
【0038】
上述のように、微粒子は高い表面エネルギーを有し、従って、凝集を起こす傾向にある。このことは、微粒子が熱プラズマ系で作製された場合に問題であり、それは、得られた粒子の高い純度、従って高い表面エネルギーにより、バルク生成物に対して考え得るよりもはるかに低い温度で凝集を起こし得るからである。これは、クエンチング前に粒子の焼結が発生する可能性さえあり、このことは、粒子のろ過、および装置(例えば、プラズマチャンバーおよび出口配管)への粒子の付着の問題を引き起こす。これは、形成直後(すなわち、空気との接触が酸化プロセスを開始する前)の微粒子の清浄表面が、低い温度であっても結合する傾向を増加させるために、悪化する。このため、熱プラズマプロセスを用いた微粒子の作製は、下流フィルター(通常は生成物回収段階)における生成物収率が歴史的に低かった。
【0039】
理論に束縛されるものではないが、高い表面エネルギーは、微粒子の高い表面対体積比に起因すると考えられ、本発明の微粒子は、この高いエネルギーは維持するが、コーティングによって表面酸化、凝集、および焼結から保護されたコアを有する。当業者であれば、この広く、反応性の高い表面領域の熱力学が、そのような微粒子が凝集または合着する際に大きなエネルギーを放出する巨大な推進力となっていることは明らかであろう。
【0040】
非凝集コーティング粒子を得るために、コア物質が液体コーティング物質を用いてコーティングされる本発明の態様では、液体コーティング物質は、コーティング温度で液体の形態である物質、またはコーティング物質が溶解された溶液であってよい。本明細書で用いる「液体」および「溶液」という用語は、当該技術分野における通常の意味が付与される。一般的な用語で説明される場合、液体コーティング物質およびコーティング物質の溶液は、「液体媒体」と称される。
【0041】
本方法は、コーティングされた粒子がフィルター上に蓄積され得る可能性が排除され;その代わり、これらは、未コーティング粒子の回収地点とは別に、液体媒体から回収されるという利点を有する。加えて、コア物質の溶液コーティングは、コーティング温度およびコーティング媒体の制御を、高温過ぎるプラズマ流線のゾーンへ供給された場合にコーティング物質が分解し得るリスクが存在する「インフライト(in-flight)」法に比べて
、良好に行うことができる。
【0042】
コア物質は、好ましくは、微粒子の形態、さらにはナノ微粒子の形態でプラズマ流へ添加される。プラズマ処理の前のコア物質の粒子が小さいほど、得られる微粒子が小さくなり、粒子サイズ分布が狭くなる。コア物質の粒子は、様々な方法を用いて作製することができる。例としては、ボールミリング、ゾルゲルからの堆積、またはプラズマ堆積である。好ましくは、粒子は、熱プラズマに基づく方法で作製され、より好ましくは、プラズマ溶射法による。プラズマ技術は、所望の物理特性を有するナノ粒子の形成に特に適していることから、好ましい。
【0043】
熱プラズマトーチは、5000°K〜15,000°Kの範囲の温度で作動する。このような温度は、コーティング物質が(分解もしくは燃焼しなかった場合)コア物質と化合物を形成するため、コア物質の微粒子のコーティングには高すぎる。従って、コーティングは、装置の温度が低い領域であるプラズマトーチの下流で行われる必要がある。ある態様では、コーティング物質が装置内へ注入されることから、この領域はインジェクションゾーンとして知られる。インジェクションゾーンは、通常は冷却されており、公知のいかなる冷却手段を用いてもよいが;しかし、本発明では、ウォータージャケットを冷却に用いることが多い。
【0044】
コーティング物質が装置へ注入される本発明の態様では、コーティング物質が分解または熱分解する温度よりも僅かに低い温度であるインジェクションゾーンの一部分でコーティング工程が行われることが一般的には好ましい。しかし、コーティング物質は、プラズマ流内の、コア物質の粒子が形成される地点に最も近い地点でインジェクションゾーンへ注入されることが望ましい。ここが、インジェクションゾーンの温度がコーティング物質の分解/熱分解点から僅かに低下した地点であり、これより近いと、その温度によってコーティング物質の分解が引き起こされ、コーティングは行われない。これは、温度が分解/熱分解点よりも10℃低い地点であってよく、多くの場合、分解/熱分解点よりも5℃、4℃、3℃、2℃、1℃、0.5℃低い。温度は可能な限り高いほうが好ましい。なぜなら、これによって、新たに形成されたコア物質の粒子が形成後可能な限り素早くコーティングされることが可能となるからである。コア物質の微粒子のコーティングが素早く行われるほど、粒子が凝集/焼結するための時間が少なくなる。注入の温度は400℃〜700℃の範囲であってよく、この温度範囲では、多くの有機分子が気化するが、適用された温度に対して安定である。注入は、コーティング物質の沸点より高い温度より高い温度で行われることが好ましい。
【0045】
可能な限り、コア物質の粒子は、形成されてほとんどすぐにコーティングされるべきであり、コア物質の粒子の形成後、多くの場合1秒以内、一般的には0.5秒以内、可能であれば0.1秒、50ミリ秒、10ミリ秒、または5ミリ秒以内である。
【0046】
多くの場合、コーティング物質は、ガス流中で装置へと送られ、このガスはコーティング物質に対するキャリアとして作用し、それによってエアロゾルまたは気化した形態でコア物質の粒子との接触が可能となる。コーティング物質のスプレーが微細であるほど、コーティングプロセスがより効率的、および制御可能となり、従って、コーティング物質は、微細エアロゾルとして、または気化した形態で送られることが好ましい。気化した形態は、コーティング物質の異なる分子間の相互作用がこの形態では最小限となるため、好ましい。
【0047】
安全上の理由から、このガスは、貴ガスまたは窒素などの不活性ガスであることが好ましい。容易に入手可能であることから、キャリアガスとしてアルゴンが用いられることが多い。
【0048】
多くの態様では、不活性ガス流は、プラズマトーチへ向けて上向きにスプレーされるが、プラズマトーチに接触はしない。これは、可能な限り高い温度で、およびコア物質の粒子形成後可能な限りすぐにコーティング物質をコア物質の微粒子と接触させるようにガス流の位置合わせを行うことで達成される。
【0049】
いくつかの例では、コーティング物質は、注入の前に加熱される。コーティング物質の加熱によって粘度が低下し、微細スプレーへの変換が促進される。
【0050】
コーティングに続いて、有機溶媒を用いて微粒子が回収され、この溶媒は次に粒子から蒸発させる。得られた生成物は、本発明の微粒子の易流動性粉末である。別の選択肢として、有機溶媒の除去は、ある表面を微粒子で被覆した後に行ってもよく、このような例では、溶媒の除去後、この表面上に微粒子の層が残される。これらは次に、例えば不均一触媒として用いることができる。溶媒の除去は、表面の汚染を防止するために、制御雰囲気下で行われることが多い。
【0051】
本発明の第四の局面では、コーティングは、粒子を液体媒体中でコーティングすることで達成される。液体中でのコーティングは、コーティングを行うことができる実用上の温度限界(媒体の沸点)を提供し、実質的に完全に非凝集である粒子を提供し、および形成後の粒子の回収が容易である。
【0052】
媒体は様々な成分を含んでいてよいが;しかし、1つの態様では、それは、コーティング物質および溶媒を含む溶液である。第二の態様では、媒体は、液体コーティングから成り、固体がまったく溶解していないことが好ましく、それ自体が1つの化学物質であってよく、または、後工程にて空気を含む反応性ガスへの曝露から保護すること、および必要に応じてコーティングの除去を促進すること、を含む最適な性能のための化学物質の混合物であってもよい。従ってこの理由から、液体媒体は、種々の化学物質の混合物を含んでよく、これらは各々、化合物の溶液または液体の形態(多くの場合実質的に純粋な液体の形態)であってよい。多くの場合、液体は、固体がまったく溶解していない有機化学物質を含み、多くの場合、液体は、「純物質」である。
【0053】
いくつかの例では、液体媒体は、溶解した固体は含まず、2つ以上の異なる液体成分を含み、液体または液体の組み合わせは、実質的に溶媒を含んでいなくてよい(これは溶媒が0.1%未満であることを意味する)。いくつかの例では、液体媒体は、1もしくは2つ以上の液体の組み合わせ、および1もしくは2つ以上の有機固体の溶液を含む。
【0054】
液体媒体が溶液の場合、コーティング物質は、多くの場合、0.5〜10重量/重量の範囲で存在し、多くの場合3〜7重量/重量、いくつかの場合では約5重量/重量である。溶液は、溶解度を向上させるために、ナノ粒子の形成とコーティング工程との間に要する遅延時間の短縮、および/またはガス流に対する冷却効果の低減のために、加熱してよい。50〜90℃の範囲の温度を用いてよく、多くの場合、50〜70℃、いくつかの場合では、約60℃(すなわち、55〜65℃の範囲)の温度を用いてよい。
【0055】
多くの例では、溶媒は、水、水混和性溶媒、および有機溶媒から選択される。多くの場合、溶媒は、水、アルコール、芳香族疎水性溶媒、およびこれらの組み合わせから選択され、いくつかの例では、溶媒は、水、エタノール、イソプロパノール、トルエン、およびこれらの組み合わせから選択される。いくつかの例では、溶媒は、水、エタノール、ジクロロメタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0056】
液体媒体は、コーティングチャンバー内に収容される。このチャンバー内では、コア物
質の粒子がガス流中で溶液へと送られ、媒体中へバブリングされる。安全上の理由から、このガスは、貴ガスまたは窒素などの不活性ガスであることが好ましい。容易に入手可能であることから、キャリアガスとしてアルゴンが用いられることが多い。
【0057】
コア物質の粒子を含有するガス流のバブリングは、多くの場合、コーティングチャンバーを当業者に公知であるような「液体トラップ(liquid trap)」として設計することで
促進される。そのようなトラップでは、キャリアガスは、液面下で液体媒体中へ放出され、コーティング溶液または液体コーティング物質中を泡として上昇し、液面から放出される。液体媒体中をキャリアガスが通過する過程で、コア物質の粒子は、ガスから放出され、コーティングされ、液体媒体中に保持されると考えられる。コーティングチャンバーに導入される地点でのガスの圧力を雰囲気圧よりも確実に高くすることが有用であり得、この方法により、バブリングプロセスが促進され得る。所望される場合は、液体媒体の表面上の雰囲気圧を低下させることによって、液体媒体を通過したキャリアガスをコーティングチャンバーから引き出すために、コーティングチャンバーを過ぎた地点にポンプが存在してもよい。
【0058】
多くの態様では、コア物質の粒子は、それらが形成される膨張チャンバー(expansion chamber)からコーティングチャンバーへ直接送られ、そこで、液体コーティング媒体中
の粒子のバブリングプロセスの間にコーティングされる。コーティング後、コーティングされた微粒子は、液体媒体中に保持され、ガス流を形成するガスは、再利用のために回収される。通常、回収されたガスは再利用の前に乾燥される。
【0059】
この方法でコーティングされた粒子は、コア物質の焼結を防止するバリアを提供するコーティングにより、実質的に完全に非凝集である。
【0060】
液体媒体からの粒子の回収は、ろ過、溶媒蒸発、磁気分離、遠心分離など、必要に応じて従来のいずれの手段を用いて行ってもよい。得られた生成物は、微粒子の易流動性粉末である。
【0061】
本発明の第五の局面では、本発明の第三の局面のプロセスが、コアおよびコーティングを含む微粒子の形成のための装置を用いて実施され、前記装置は、プラズマトーチとクエンチングゾーンとの間にインジェクションゾーンを有するプラズマ流を含み;コーティング物質は、前記プラズマトーチから前記クエンチングゾーンへ前記インジェクションゾーンを通って通過する粒子の流れの中へ注入される。
【0062】
本発明の第六の局面では、コアおよびコーティングを含む微粒子の形成のための装置が提供され、前記装置は、プラズマ流を含み、前記プラズマ流の下流にコーティングチャンバーがあり;コーティング物質の液体または気体の媒体は、前記コーティングチャンバー内に収容され、コア物質の粒子を含有するガス流または液体流は、前記コーティングチャンバー中へ供給される。
【0063】
コーティング物質の液体媒体を用いてよい。ガス流は、コア物質の粒子を含んでいてよい。
【0064】
本発明で用いられる装置は、プラズマを用いて物質を溶射する(spraying)ための市販の標準的なシステムと、水冷式の雰囲気制御システムとの組み合わせである。この組み合わせの目的は、低コストのトーチを用いて供給原料をナノサイズの物質へ変換可能とすること、ならびに広く利用可能である高度な動力および制御システムの使用を可能とすることである。
【0065】
この装置には、物質をナノ粒子へ変換する際に使用するプラズマトーチへ取り付けるためのアセンブリであって、このアセンブリは、いくつかの例では:プラズマトーチを含むプラズマトーチセクション;入口部チャネル;供給原料を入口部チャネル中へ誘導し、それによって使用中はプラズマトーチからプラズマ流中へ供給原料を注入するように配置された供給原料インジェクター;膨張チャンバー;膨張チャンバーの下流にある、インジェクションゾーンを規定するさらなるチャンバー、が備えられており、インジェクションゾーンは、所望される場合は、コーティング注入地点を介し、アトマイザーを通して流動化装置と接続されていてよい。粒子を冷却し、回収するためのさらなるチャンバーも存在してよい。
【0066】
コーティング物質は、注入地点では流体であることが多くの場合好ましく、コーティング物質は気化されることが多い。多くの態様では、コーティング物質は、注入地点において、コーティング物質が分解/熱分解する温度より低いがこれに近い温度である。
【0067】
インジェクションゾーンが複数の注入地点を含むことは有用である。これは、プラズマ流の周囲の異なる地点からのコーティング物質の導入を促進する。さらに、異なるコーティング物質は、異なる分解点を持つことから、注入地点がインジェクションゾーンの長さ方向に沿って分布していることは有用である。これにより、異なるコーティング物質を異なる温度で注入することが可能となる。
【0068】
他の例では、この装置には、物質をナノ粒子へ変換する際に使用するプラズマトーチへ取り付けるためのアセンブリであって:プラズマトーチを含むプラズマトーチセクション;入口部チャネル;供給原料を入口部チャネル中へ誘導し、それによって使用中はプラズマトーチからプラズマ流中へ供給原料を注入するように配置された供給原料インジェクター;膨張チャンバー;膨張チャンバーの下流にあるコーティングチャンバー、が備えられている。粒子を冷却し、回収するためのさらなるチャンバー、およびガス流を形成するガスを回収するためのチャンバーも存在してよい。
【0069】
上述のように、コーティング物質の注入は、不活性ガス流中であってよく:その中で運搬されているコーティング物質が分解または燃焼することになるため、不活性ガス流は、プラズマトーチと接触しないことが好ましい。
【0070】
本発明の微粒子は、広範囲の種々の用途を有し、これらに限定されないが、触媒、水ろ過、および殺生物剤での用途が挙げられる。殺生物剤としての用途は、主として本発明の微粒子を抗ウイルス剤として用いるものであり、硬質表面上のコーティングまたはその成分としての使用が考えられる。さらに、本発明の微粒子は、溶液中で十分に安定であるため、インクジェット技術を用いて印刷することができ、プリント電子部品などの分野での用途が提供される。
【0071】
本発明は、本発明に従う粒子を含むインクジェットに使用するための組成物を提供する。本発明に従う微粒子のインクジェット印刷および技術への使用も提供される。
【0072】
当業者であれば、特に断りのない限り、本願に現れるすべてのパラメータが、「約」という語によって修飾されているものとして理解されるべきであることは明らかであろう。加えて、特に断りのない限り、本願で述べられる各特徴は、本願で述べられる他のいずれの特徴とも組み合わせてよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
本発明の態様を、添付の図面を参照して、限定されない単なる例によって詳細に説明する。
【図1】本発明の装置の概略図である。
【図2】公知のプラズマトーチに取り付けられた装置の一態様の側面図である。
【図3】インジェクションゾーンの概略側面図である。
【図4】コーティング物質のための加圧加熱ユニットの側面図である。
【図5】コーティング物質アトマイザーの概略側面図である。
【図6】オレイン酸コーティングを有する微細銅粒子のSEM画像である(180K)。
【図7】オレイン酸コーティングを有する微細銅粒子のSTEM画像である(200K)。
【図8】オレイン酸コーティングを有する微細銅粒子のSTEM画像である(250K)。
【図9】図8の微細銅粒子の後方散乱画像である。
【図10】オレイン酸コーティングを有する微細銅粒子のSTEM画像である(800K)。
【図11】未コーティング微細銅粒子のSEM画像である(200K)。
【図12】未コーティング微細銅粒子のSTEM画像である(200K)。
【図13】未コーティング微細銅粒子のXRD画像である。
【図14】オレイン酸コーティングを有する微細銅粒子の、粒子作製直後、および再度30日後に得たXRDである。
【図15】PVPコーティングを有する微細銅粒子の、粒子作製直後、および再度30日後に得たXRDである。
【図16】本発明の装置の概略図である。
【図17】コーティングチャンバーの概略側面図である。
【図18】本発明のプロセスを用いてオレイン酸中でコーティングされた銅ナノ粒子のXRDである。
【図19】ナノ粒子合成直後にサンプリングされた未コーティング銅ナノ粒子のXRDである。
【図20】ナノ粒子合成後、空気に24時間曝露された後にサンプリングされた未コーティング銅ナノ粒子のXRDである。
【図21】100Kで観察された、図18のコーティングされた銅ナノ粒子のSEM画像である。
【図22】200Kで観察された、図18のコーティングされた銅ナノ粒子のSTEM画像である。
【図23】200Kで観察された、未コーティング銅ナノ粒子のSTEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
装置
改良された熱プラズマ装置100を用いて、本発明に従う微粒子を作製した。装置100を、図1、2、および16に図示する。
【0075】
プラズマトーチ102、202は、入口部チャネル(図示せず)に隣接して配置され、銅粉末は、プラズマトーチ102、202からプラズマ流中へ入口部チャネルを介して注入される。トーチ102、202は、銅の膨張および冷却を可能とする膨張チャンバー104、204と接続される。本例では銅であるコア物質の粒子は、膨張チャンバー104、204中で形成される。第一の例では、粒子は、膨張チャンバー104、204から、注入地点114を含むインジェクションゾーン106へと流動する。本例ではオレイン酸であるコーティング物質は、コーティング物質加圧加熱装置(流動化装置)110からインジェクションゾーン106へ、アトマイザーを介して供給される。本態様では、3つの注入地点114が存在する(2つのみを図示、第三の注入地点は装置の後部側にある)。
微粒子は、次に、インジェクションゾーン106から冷却回収チャンバー112へ送られる。
【0076】
第二の例では、粒子は、膨張チャンバー104、204から、制御バルブ228およびバイパス導管230を含むコーティングチャンバー206へ流動する(図17)。本例ではオレイン酸であるコーティング物質は、コーティングチャンバー206中にて、5重量/重量%の濃度での水溶液として、または未希釈の液体の形態5重量/重量%で供給される。微粒子は次に、回収チャンバー112で回収され、保管される。
【0077】
好ましい態様にて、プラズマトーチ102、202は、公知のDC非移行式アークトーチ(DC non-transferred arc torch)である。その他のプラズマトーチまたはプラズマ溶射トーチも用いてよい。本例ではアルゴンおよびヘリウムの混合物であるガスは、カソード124とアノード126との間を通過し、ここでイオン化され、プラズマに変化する。本態様では、トーチ出力は30kWであり、アルゴン/ヘリウムガス混合物の流速は、アルゴンについては72リットル/分、ヘリウムについては9リットル/分である。さらなる態様では、アルゴンガスは、最大30体積%までのヘリウムを含有し、ならびに/または、水素、および/もしくはメタンなどの炭化水素ガス、もしくはこれらのガスの混合物も用いてよい。
【0078】
好ましくは、プラズマトーチ102、202は、プラズマ流の経路を定める手助けとするために、ボルテックス流動安定化装置(vortex flow stabiliser)(図示せず)などの流動安定化手段を有する。プラズマトーチ102、202は、ガス流中、またはカソード124とアノード126との間に作り出される電流のアーク中への粉末物質の直接の供給を可能とする、公知の粉末供給システムも含んでいてよい。好ましい態様では、銅コア物質は、100g/時間の速度でプラズマトーチへ供給され、アルゴンガスの流速は、およそ50から80L/分である。
【0079】
本例の膨張チャンバー104、204は、円錐台形状である。膨張チャンバー104、204は、このチャンバー104、204が非常に高温のプラズマに曝露されることから冷却される必要があり、ここから粒子冷却プロセスが開始するものであり、ここで、最高温度の領域が膨張チャンバー104、204、最低温度が冷却チャンバー112である温度勾配が見られ、インジェクションゾーン106が、存在する場合は、その中間に配置される。銅粒子の形成を可能とするのは、この膨張と冷却の組み合わせである。
【0080】
ある態様では、銅粒子は、次に、インジェクションゾーン106へと流動し、そこでコーティングされる(図3)。インジェクションゾーン106は、本例では45リットル/分の流速で水が循環するウォータージャケット(図示せず)を用いて、冷却される。従って、インジェクションゾーン106では温度勾配が作られ、最も温度が高いのは膨張チャンバー104に隣接する領域である。
【0081】
これらの態様では、加圧加熱装置中(図4)のこのゾーン106へ注入するためにオレイン酸を調製する。本態様では、この装置は、73℃に加熱され(オレイン酸の沸点は360℃)、4バール(400kPa)に加圧されるオレイン酸の攪拌貯留部120を含む。別のコーティング物質が用いられる場合、当業者であれば、コーティング物質の粘度を低下させるが、アトマイザーへ移送する前にこれを液体の形態に維持する(本例のような例において)目的で、別の温度および圧力を必要に応じて用いることが分かるであろう。本例では、オレイン酸は不活性アルゴン雰囲気下で保存される。加圧加熱装置110は、従来の加熱攪拌プレート118を用いて攪拌される。貯留部120の温度も、断熱ジャケット116の存在によって制御される。
【0082】
オレイン酸は、加熱加圧装置からアトマイザー108(図5)へ移送される。アトマイザー108は、ガス貯留部136を含み、本態様では、ガスはアルゴンである。加熱されたオレイン酸は、アトマイザー108を通してポンプで送られ、ステンレス製ノズル144から、アルゴンキャリアガスと混合されると同時に噴霧される。本態様におけるオレイン酸の供給速度は605ml/時間である。
【0083】
本態様において、アルゴンは、キャリアガス入口部134を通ってアトマイザーに入り、オレイン酸と混合される前にガス貯留部136に貯留される。オレイン酸は、加圧加熱装置110からコーティング物質入口部140を通ってアトマイザーに入る。この有機流体は、通路142を介してアトマイザーを通過し、ノズル144へ向かう。アルゴンは、ノズル144の異なる出口地点146を通ってガス貯留部から放出され、その時点でオレイン酸を霧化する。
【0084】
オレイン酸/アルゴンの流れは、温度が400℃〜700℃の範囲である注入地点114で注入され、注入は、オレイン酸の分解点よりも約5℃低い温度の地点である。注入は、銅粒子形成の後約5ミリ秒で行われる。オレイン酸/アルゴンの流れは、プラズマトーチ102とは接触しない。
【0085】
オレイン酸でコーティングされた銅の微粒子は、次に、インジェクションゾーン106を通って冷却回収チャンバー112へ送られる。得られた生成物は、非焼結、非凝集粒子の微細粉末である。
【0086】
コーティング物質が液体である態様では、微細銅粒子は次に、コーティングチャンバー206へ流動し、そこで、50リットル/分(主流は通常1500から2000リットル/分)の速度、および100ミリバールゲージ圧(過圧)の圧力にてコーティング溶液中でバブリングされる。流速は制御バルブ228を用いて制御され、過剰のガスおよびコア物質は、バイパス導管230を介してガス回収スタック(gas recovery stack)232へ直接向けられる。バイパス導管230は、コーティングチャンバー206への経路が閉塞した状況にて圧力の開放を可能とするようにも機能する。
【0087】
オレイン酸でコーティングされた銅の微粒子は次に、ろ過を用いて回収され、水での洗浄によりコーティングされた粒子から接着しなかったコーティング物質がすべて確実に除去され、従来の技術を用いて乾燥される。得られた生成物は、非焼結、非凝集粒子の微細粉末である。
【0088】
所望により行われてよい態様では、キャリアガスは回収スタック232を用いて回収、乾燥される。回収されるガスは、回収スタック232へ、バイパス導管230を介して膨張チャンバー204から(この場合、未コーティングの銅微粒子はガスの回収の前にろ取される)、またはコーティングチャンバー206から(この場合、ガスは出口部234を介して回収される)、直接送られてよい。この例では、ポンプ(図示せず)を用いてコーティングチャンバー206から引き出される。ガスは、再利用の前に、例えばモレキュラーシーブ上で乾燥されてよい。
【0089】
ある態様では、バイパス導管230は存在せず、粒子を運搬するガス流全体は、コーティングチャンバー206を介して流動するのみであってよい。
【0090】
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、冷却剤、バブリング、粒子、およびガス流の速度をスケール変更し、得られる収量を増加または減少させることができることは理解されるであろう。さらに、当業者であれば理解されるように、コアおよびコーティング物質が銅およびオレイン酸以外である態様では、上述の種々の流速を、用いられ
る基材に対して適宜変更してよい。
【実施例】
【0091】
分析技術
SEMおよびSTEM(冷陰極電界放射型走査STEM)画像は、示した温度にて、Hitachi S‐4800 Ultra‐high resolution FE‐SEM(分解能0.6nmまで)を用いて得た。画像は、低圧真空下で得た。
【0092】
XRDデータは、Brucker D500回折装置を27℃で用い、ステップ間隔は0.020°、ステップ時間は4秒を用いて得た。各事例について、角度範囲25.0°〜95.0°の走査を行った。
【0093】
実施例1:インジェクション技術を用いた微粒子の合成
粉末銅を、アルミナリングを通して図1の装置へ注入した。
【0094】
オレイン酸を約50℃まで加温し、アルゴン気流中、装置へ注入した。オレイン酸を加熱することによりその粘度が低下した。酸は、クエンチリングのすぐ上の部分で25ml/分の流速にてプラズマ流中へ注入し、そこでの温度は、酸を気化するには十分に高いが、分解が起こらない程度には十分に低かった。
【0095】
微粒子の回収後、反応器を冷却し、検査した。この検査により、コア物質が問題なく気化し、チャンバー壁上へのコア物質の堆積のないことが示された。これは、アルミナリングを通しての粉末注入に帰するものであった。フィルター素子上にはある程度の微粒子の堆積が見られたが、これは、水またはイソプロパノールを用いて除去および回収することができた。凝集または焼結粒子の回収を行うには、溶媒への超音波の適用およびさらには可能性として物理的攪拌、などの追加的な技術が必要であろう。
【0096】
作製された微粒子のサイズは、約10〜50nmの範囲である。微粒子の分散体は、アセトンおよび酢酸エチル中で少なくとも2ヶ月間安定であった。
【0097】
実施例2:図1の微粒子の特徴付け
オレイン酸コーティングの有りおよび無しで図1の装置を用いて作製した銅微粒子のSEMおよびSTEM画像を記録した。
【0098】
SEMでは、電子ビームが表面をスキャンし、検出器(表面の化学マッピングを提供することができる後方散乱(弾性)または二次電子、さらにはX線のための)にて測定した画像を同じ方法でスキャンしたスクリーン上で再生し、光の周波数を用いて可能であるものよりも高い倍率で表面画像を提供する。STEMは、SEMを改良したものであり、この装置は、これを用いてサンプルを透過する電子を捕集、検出することもできるように、サンプルステージの下部に第二の検出器が備えられ、それによって、十分に薄いサンプル、または検出器へと透過するいずれの電子に対しても低い抵抗を呈するサンプルに対する透過電子顕微鏡(TEM)となる。
【0099】
コーティングを有する画像(図6から10)は、淡灰色物質(オレイン酸コーティング)の薄層に囲まれた特徴的な黒色ドット(銅コア)の存在から分かるように、銅ナノ粒子は非凝集、非焼結であることを示している。これは、未コーティング粒子では見られない(図11および12)。
【0100】
オレイン酸コーティング有りおよび無しの銅微粒子のXRD画像も示す(図13および14)。XRDでは、X線がある範囲の角度で表面へ指向され、得られた回折X線を検出
してグラフ上に角度に対してプロットすることによってどのような物質が存在するかが示され、表面の化学分析が提供される。図13および14は、Cu(0)がコーティングされた粒子中に残存していることを示している。微粒子の焼結は215℃で発生する。
【0101】
実施例3:コア物質の酸化からの保護
2つのXRDスペクトルを、オレイン酸でコーティングされた銅コアに対して行った。これらを図14に示す(第0日‐黒色、第30日‐灰色)。これから分かるように、Cu(0)のピーク高さが変動しなかったことから、銅の酸化は無視できるほど僅かである。従って、オレイン酸コーティングは、銅コアを酸化から保護した。
【0102】
図15は、PVPでコーティングされた銅コアに対して行われた2つのXRDスペクトルを示す(第0日‐黒色、第30日‐灰色)。上記のオレイン酸によるコアと同様に、Cu(0)のピーク高さは変動せず、従って、銅コアはPVPコーティングによって酸化から保護された。
【0103】
実施例4:微粒子の合成
サイズが1から10マイクロメートルの粉末銅を、アルミナリングを通して図1の装置へ注入した。得られたナノ粒子を次に、アルゴン流上でコーティングチャンバーへ送り、そこで100から500ミリリットル/分の速度にて、液体オレイン酸中にバブリングした(10〜20ミリバールゲージ圧)。次に、コーティングされた微粒子を回収し、水で洗浄していずれの未結合オレイン酸も除去し、乾燥した。
【0104】
コア物質の気化が問題なく行われ、チャンバー壁上のコア物質の堆積がなかったことは注目に値するものであった。これは、アルミナリングを通しての粉末注入に帰するものであった。フィルター素子上にはある程度の微粒子の堆積が見られたが、これは、水またはイソプロパノールを用いて除去および回収することができた。凝集または焼結粒子の回収を行うには、溶媒への超音波の適用およびさらには可能性として物理的攪拌、などの追加的な技術が必要であろう。
【0105】
作製された微粒子のサイズは、約10〜50nmの範囲である。微粒子の分散体は、アセトンおよび酢酸エチル中で少なくとも2ヶ月間安定であった。
【0106】
実施例5:実施例4の微粒子の特徴付け
図18に示すXRD画像は、2つの記録を含んでおり、各々が2シータスケール上にて、43のすぐ上の主ピーク(銅)および50のすぐ上の二次ピーク(銅)を有する。上側のトレースは、形成の30日後のオレイン酸コーティング銅ナノ粒子であり、下側のトレースは、合成直後のナノ粒子である。これらの画像の類似性、特に2シータスケール上で33、36、37、39、42、および49付近に現れる酸化銅ピークがないことから、コーティングされた粒子は少なくとも30日間は酸化物のない状態で維持されていることが示される。
【0107】
この結果は、図19(合成直後に観察された未コーティング銅ナノ粒子)および図20(空気への24時間の曝露後の未コーティング銅ナノ粒子)と比較することができる。図20は、明らかに酸化銅ピークの存在を示しており、コーティングの保護なしでは、銅ナノ粒子の著しい酸化が短時間の間に発生することを示唆している。
【0108】
SEMおよびSTEM画像である図21および22は、本発明のコーティングされたナノ粒子が完全に非凝集であることを明らかに示しており、このことは、明らかに焼結されている図23の未コーティング粒子と対照的である。
【0109】
従って、本発明のプロセスで作製されたナノ粒子は、非凝集であり、経時での酸化に対して安定であることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアおよびコーティングを含む微粒子であって、前記コーティングは有機分子の実質的な単分子層を含む、微粒子。
【請求項2】
前記微粒子が、硫黄、窒素、塩素、炭素、または水素によるいずれの内部汚染も実質的に含まない、請求項1に記載の微粒子。
【請求項3】
前記粒子の表面が、前記粒子の内部組成よりも高いレベルの汚染物質を有する、請求項1または2に記載の微粒子。
【請求項4】
前記微粒子の直径が20ナノメートル未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項5】
前記微粒子が、少なくとも5%がその内部構造にて双晶(crystal twinning)を示す微粒子の集団の1つである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項6】
前記粒子が、比較的高エネルギーの内部格子欠陥を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項7】
前記微粒子が、気体状態から形成された形跡を内部または表面に示す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項8】
前記コーティングが、いかなる第三の元素もしくは化合物の存在または干渉もなしに、前記粒子自体のみに接着している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項9】
前記微粒子が、実質的に球状である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項10】
前記コーティングが、前記微粒子の他の微粒子との凝集および/または空気との酸化などの前記粒子の気体雰囲気との反応を防止する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項11】
単一の極性を有する表面を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項12】
前記コアが高表面エネルギー物質である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項13】
前記コアが元素を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項14】
前記微粒子が、残留のアルゴン、水素、またはヘリウムをさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項15】
前記コアが、金属、メタロイド、金属酸化物、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項14に記載の微粒子。
【請求項16】
前記金属が、遷移金属、または遷移金属の合金を含む、請求項15に記載の微粒子。
【請求項17】
前記遷移金属が、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウム、銀、カドミウム、金、およびこれらの合金から選択される金属を含む、請求項16に記載の微粒子。
【請求項18】
前記遷移金属が銅を含む、請求項17に記載の微粒子。
【請求項19】
前記コーティングが実質的に前記コアを被覆する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項20】
前記コーティングが除去可能である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項21】
前記有機分子が極性分子を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項22】
前記有機分子が界面活性剤を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項23】
前記極性分子が帯電している、請求項21に記載の微粒子。
【請求項24】
前記極性分子が、カルボン酸、サルフェート、アルコール、ナイトレート、ホスフェート、アミン、アミド、チオール、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項21に記載の微粒子。
【請求項25】
前記極性分子が、カルボン酸、アミン、アミド、チオール、またはこれらの組み合わせを含む、請求項24に記載の微粒子。
【請求項26】
前記カルボン酸が、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、カプリル酸、リノール酸、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項24または25に記載の微粒子。
【請求項27】
前記極性分子が、ピロリドンおよび/または直鎖状チオールを含む、請求項24または25に記載の微粒子。
【請求項28】
前記ピロリドンが、ポリビニルピロリドンを含む、請求項27に記載の微粒子。
【請求項29】
分散相および連続相を含むコロイド分散体であって、前記分散相は、請求項1〜28のいずれか一項に記載の複数の微粒子を含む、コロイド分散体。
【請求項30】
前記連続相が、酢酸エチルを含む、請求項29に記載の分散体。
【請求項31】
コアおよびコーティングを含む微粒子の形成のためのプロセスであって、前記コーティングは有機分子を含み;前記プロセスは:
コア物質をプラズマ流内へ導入し、それによって前記コア物質の一部またはすべてを気化させること;
前記コア物質が導入された地点から下流側で前記コア物質を冷却し、それによって前記コア物質の粒子を作り出すこと;および、
インジェクションゾーンにおいて前記コア物質の粒子を有機分子でコーティングすること;
を含み、
前記インジェクションゾーンは、前記コア物質の粒子が形成される領域の下流側にある、プロセス。
【請求項32】
コーティングが、前記コア物質の粒子が形成された直後に行われる、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記コーティング物質が、液体流またはガス流で運搬される、請求項31または32に
記載のプロセス。
【請求項34】
コーティング物質が注入の前に加熱される、請求項31〜33のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記コーティングが、前記コーティング物質が分解または熱分解する温度よりも僅かに低い温度である前記インジェクションゾーンの一部分で行われる、請求項31〜34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項36】
前記有機分子が、単分子層コーティングを形成する、請求項31〜35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
コアおよびコーティングを含む微粒子の形成のためのプロセスであって、前記プロセスは:
コア物質をプラズマ流内へ導入し、それによって前記コア物質の一部またはすべてを気化させること;
前記コア物質が導入された地点から下流側で前記コア物質を冷却し、それによって前記コア物質の粒子を作り出すこと;
前記コア物質の粒子を、液体もしくは気体のコーティング物質、および/またはコーティング物質の溶液を前記コア物質へ適用することによって、コーティングチャンバー内にて有機分子でコーティングすること;
を含み、
前記コーティングチャンバーは、前記コア物質の粒子が形成される領域の下流側にある、プロセス。
【請求項38】
前記コーティング物質が溶液である、請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記コーティング物質が、溶解した固体をまったく含まない純粋な有機化学物質を含む液体である、請求項37に記載のプロセス。
【請求項40】
前記コーティング物質が、溶解した固体をまったく含まない、いくつかの異なる液体成分を含む液体である、請求項37に記載のプロセス。
【請求項41】
1もしくは2つ以上の液体の組み合わせを含む液体コーティング物質、およびコーティング物質の溶液、の両方が組み合わせて適用される、請求項37に記載のプロセス。
【請求項42】
前記溶液が溶媒を含み、前記溶媒が水、水混和性溶媒、および有機溶媒から選択される、請求項37に記載のプロセス。
【請求項43】
前記溶媒が、水、エタノール、イソプロパノール、トルエン、ジクロロメタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
前記液体コーティング物質および/またはコーティング物質の溶液が、前記コーティングチャンバー内に収容されており、前記コア物質の粒子が、ガス流中で前記コーティング物質へと運搬され、前記液体を通してバブリングされる、請求項37〜43のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項45】
前記ガス流が、雰囲気圧よりも高い圧力で前記コーティングチャンバーへ入る、請求項44に記載のプロセス。
【請求項46】
前記ガス流を形成するガスが回収、再生される、請求項44または45に記載のプロセス。
【請求項47】
コアおよびコーティングを含む微粒子の形成のための装置であって;前記装置は、プラズマトーチとクエンチングゾーンとの間にインジェクションゾーンを有するプラズマ流を含み;コーティング物質は、前記インジェクションゾーンを通って通過する粒子の流れの中へ注入される、装置。
【請求項48】
前記コーティング物質が、注入地点にて流体である、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記コーティング物質が、前記注入地点にて、前記コーティング物質が分解/熱分解する温度よりも低いがこれに近い温度である、請求項47または48に記載の装置。
【請求項50】
前記インジェクションゾーンが、複数の注入地点を含む、請求項47〜49のいずれか一項に記載の装置。
【請求項51】
前記注入地点が、前記インジェクションゾーンの長さ方向に沿って分布する、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記コーティング物質の注入は、不活性ガス流中である、請求項47〜51のいずれか一項に記載の装置。
【請求項53】
前記不活性ガス流が、前記プラズマトーチと接触しない、請求項47〜52のいずれか一項に記載の装置。
【請求項54】
コアおよびコーティングを含む微粒子の形成のための装置であって;前記装置は、プラズマ流を含み、前記プラズマ流の下流にコーティングチャンバーがあり;コーティング物質の液体または気体の媒体は、前記コーティングチャンバー内に収容され、コア物質の粒子を含有するガス流または液体流は、前記コーティングチャンバー中へ供給される、装置。
【請求項55】
実質的に、図面を参照して本明細書で説明される装置。
【請求項56】
実質的に、図面を参照して本明細書で説明されるプロセス。
【請求項57】
実質的に、実施例を参照して本明細書で説明される微粒子。
【請求項58】
実質的に、実施例を参照して本明細書で説明されるコロイド分散体。
【請求項59】
請求項1から29に記載の微粒子または分散体を中に含む、インクジェット。
【請求項60】
インクジェット印刷のための、請求項1から29に記載の微粒子または分散体の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2012−514060(P2012−514060A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542899(P2011−542899)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002971
【国際公開番号】WO2010/073021
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511155497)イントリンジック マテリアルズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】