説明

微粒水滴発生装置

【課題】 簡易な構造でありながら、効果的に、微小かつ無数の空気粒子を水に混合することができる微粒水滴発生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 同一直線L上に対向して配設され、被処理水を噴射し大気中で衝突させて円盤状衝突塊を形成しつつ微細空気を含ませる一対の第1・第2ノズル1,2を、備える。被処理水は、水面よりも所定深さのエア供給域から汲み上げられた水である。第1・第2ノズル1,2は、ポンプ装置に接続された吐出管6を、分岐部16で分岐した一対の分岐管6A,6Bに、夫々接続されると共に、同径のノズル噴射口を、有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に微細空気を混合する微粒水滴発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水に微細空気を供給して微粒水滴を発生する装置として、吐出圧力の高いポンプと、低いポンプの各々の吐出口を、耐圧配管にて接続し、かつ、高吐出圧力のポンプの吸引口に、エアとともに水が供給される供給管を接続し、さらに、低吐出圧力のポンプの吸引口に、流量及び圧力制御を行うバルブを有するノズルを設置して、両ポンプの運転時の圧力差を利用してノズルから微細空気を発生させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
そして、発生した微細空気は、水槽内の水に混合される。
【特許文献1】特開平8−155436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この従来の微細気泡発生装置は、渦巻きポンプを2台と、小型エアーポンプと、大小2台の水槽を用いるものなので、使用する機械,資材の数量が多く、コストが掛かる上に、大きな設置場所を必要とする。しかも、夫々のポンプについても定期的にメンテナンスを行わなければならず、維持管理に、手間が掛かる。
【0004】
そこで、本発明は、簡易な構造でありながら、効果的に、微小かつ無数の空気粒子を水に混合することができる微粒水滴発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る微粒水滴発生装置は、同一直線上に対向して配設され、被処理水を噴射し大気中で衝突させて円盤状衝突塊を形成しつつ微細空気を含ませる一対の第1・第2ノズルを、備えたものである。
【0006】
また、被処理水は、水面よりも所定深さのエア供給域から汲み上げられた水であって、該水を貯めるタンクと、該タンク内に貯まった水を上記第1・第2ノズルに圧送するポンプ装置と、微細空気が含まれた水を上記エア供給域へ導く排出管と、を備えた。
【0007】
また、上記第1・第2ノズルは、上記ポンプ装置に接続された吐出管を、分岐部で分岐した一対の分岐管に、夫々接続されると共に、同径のノズル噴射口を、有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、次のような著大な効果を奏する。
第1・第2ノズルから、同じ水量,同じ圧力の被処理水を、同一直線上で噴射して、衝突させることができるので、効果的に、被処理水に、微細空気を混合させて、微粒水滴を形成することができる。
このように、簡易な構造でありながら、効果的に、微小かつ無数の空気粒子を、被処理水に混合させることができる。
さらに、吸引管の吸引口と、排出管の排出口とを、自在に移動することで、所望のエア供給域の水に、微粒水滴を送り込むことができる。
また、被処理水を、一旦タンク内に貯めて、その後、ポンプ装置で、第1・第2ノズルに圧送するようにすれば、第1・第2ノズルから、安定して噴射させることができ、効果的に、被処理水に、微細空気を混合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
図1,図2,図3及び図4に示すように、本発明に係る微粒水滴発生装置は、水面8よりも所定深さのエア供給域Zに吸引口4aを開口する吸引管4と、水面8の上側に設置されエア供給域Zの水(被処理水)を吸引管4を通して吸引するポンプ装置Pと、ポンプ装置Pの近傍に設置されポンプ装置Pから圧送された被処理水に微細空気を混合させる(含ませる)微粒水滴発生体(溶存水供給体)3と、微細空気が混合された被処理水をエア供給域Zに導く排出管5と、を備える。被処理水は、水面8よりも所定深さのエア供給域Zから汲み上げられた水である。
微粒水滴発生体3と、ポンプ装置Pの吐出口とは、吐出管6で連結される。
この微粒水滴発生装置は、例えば、飲食店の食堂の排水路や、団地の排水溝の水中に、溶存酸素を多く含む微細空気を混合するためのものである。また、エア供給域Zとは、水中の、微細空気を混合したい場所である。
【0010】
具体的には、微粒水滴発生体3は、箱型のケーシング30と、ケーシング30に差し込まれた吐出管6をケーシング30内で2方へ分岐するチーズ継手等の分岐部16と、分岐部16に接続された一対の分岐管6A,6Bと、分岐管6A,6Bの先端に夫々接続され同一直線L上に対向して配設され被処理水を噴射し大気中で衝突させて円盤状衝突塊を形成しつつ微細空気を含ませる一対の第1・第2ノズル1,2と、を有する。
ケーシング30は、側面下部あるいは底面に、第1・第2ノズル1,2によって形成された微粒水滴をエア供給域Zに循環するための排出接続部31を、有し、接続部31に、排出管5が接続される。
さらに、ケーシング30は、その上壁に、ケーシング30内に外部のエアを導入するためのボール弁等のバルブ33が、ネジソケット32を介して、取り付けられる。また、分岐管6A,6Bのどちらか一方は、分岐部36で分岐して、ケーシング30の外部で、プラグ34で栓封される。
ケーシング30内の継手,管、及びケーシング30は、ステンレス等の耐蝕性を有する材質から成り、ケーシング30は、外面に、酸洗処理が施される。
【0011】
また、第1・第2ノズル1,2は、夫々のノズル噴射口11,12のノズル径φが同径であり、ノズル径φが3mm,4mm,5mmのものを、用意する。そして、所望の噴射圧力に応じて、所望の同じノズル径φを有するノズル1,2を選択し、分岐管6A,6Bの先端に、着脱自在として接続する。
第1・第2ノズル1,2は、同一直線L上で対向するように芯合わせしつつ、分岐管6A,6Bの先端に、螺着等により、接続される。ノズル噴射口11,12の離間距離Xは、約30mmに、設定される。第1・第2ノズル1,2は、例えば、夫々、外径が約10mmで、長さが約50mmである。
【0012】
また、吸引管4は、10〜15mm程度(より好ましくは12mm)の内径を有するフレキシブルホース等であり、その基端がポンプ装置Pの吸込口に接続されると共に、吸引口4aに、エア供給域Zの水中のゴミ等を吸引管4内に吸引させないためのストレーナ14が、取付けられる。排出管5の内径は、25mm程度である。
また、ポンプ装置Pの一例として、出力40W,60Hz(30W,50Hz)のマグネット駆動式自吸ポンプを、適用する。
【0013】
次に、図5に示す微粒水滴発生装置は、エア供給域Zの被処理水を(一旦)貯めるタンク7と、タンク7内に貯まった被処理水を第1・第2ノズル1,2に圧送するポンプ装置Pと、微細空気が含まれた水をエア供給域Zへ導く排出管5と、を備える。
タンク7内には、エア供給域Zの水が、自然流入する構成となっている。
具体的には、タンク7は、水面8よりも低位置に取水口7aを有しており、取水口7aに、(図1で既述したと同様の)吸引管4の上端が、接続され、エア供給域Zの水を、位置エネルギーに変換された高圧力により、吸引管4内を上昇させて、タンク7内に自然流入させている。
タンク7は、図5のように地面に埋設されたり、あるいは、図示省略するが、(ブイ,木材,浮力材等の)フロートを備え、水面8に浮上するものであってもよい。
ポンプ装置Pは、タンク7内に配設され、微粒水滴発生体3は、タンク7の近傍に設けられており、ポンプ装置Pと、微粒水滴発生体3とは、吐出管6で連結される。
ポンプ装置P,吐出管6,微粒水滴発生体3及び排出管5の構成は、図1〜図4で既述したものと、同様である。
図示省略するが、ポンプ装置Pを、タンク7の外部に配設し、タンク7内に貯まった水を汲み上げる吸引管を、ポンプ装置Pの吸込口に、接続してもよい。
あるいは、図示省略するが、タンク7を、水面8よりも上方に設置し、タンク7内に設置されたポンプ装置Pとは別のポンプを、タンク7の近傍に設け、このポンプに吸引管4を接続して、エア供給域Zの被処理水を、タンク7内に導くように、してもよい。
【0014】
また、図6及び図7は、微粒水滴発生装置の他の例を示し、図1,図2に示す装置とは、次の点で相違する。即ち、吐出管6と、排出管5との間に、微粒水滴発生体3ではなく、タンク7が配設され、連結される。
具体的には、タンク7は、(後述する)所定高さ以上の内部空間17を有し、水面8よりも上方に設置され、上部に、吐出管6が接続される。
そして、タンク7は、内部空間17の下部に、衝突発生空間17aを形成する隔壁18を、有する。
この隔壁18は、底壁19上に立設し対向する一対の縦壁部18A,18Bを有し、この縦壁部18A,18Bは、一対の第1・第2ノズル1,2が、同一直線L上で対向して、衝突発生空間17a内に突出状として、取り付けられる。
そして、排出管5の(排出口5aと逆側の)基端側が、タンク7の底壁19の、衝突発生空間17aの下面側に、接続される。
また、エア導入管25が、一端をタンク7の天板より高位置に開口すると共に、他端を衝突発生空間17a内に開口して、設けられており、微粒水滴発生の際に、外部のエアが、エア導入管25を通って、衝突発生空間17a内に導入される。
タンク7の内部空間17は、貯まった水の位置エネルギーを、第1・第2ノズル1,2から高圧力の噴射エネルギーに変換する高さに、設定される。
なお、図示省略するが、この装置は、設計変更自在であり、一対の縦壁部18A,18Bの間隔を小さく設定すると共に、縦壁部18A,18Bに、直接に、同一直線L上に開口され被処理水を噴射して衝突させる一対の孔を、貫設して、前述の第1・第2ノズル1,2を構成してもよい。
以上のように、図1〜図7の微粒水滴発生装置は、水のばっ気を行う装置である。
【0015】
次に、微粒水滴発生装置の使用方法及び作用について、説明する。
先ず、図1,図2に示す微粒水滴発生装置に於て、飲食店の食堂の排水路や、団地の排水溝等の水中のエア供給域Zに、吸引管4の吸引口4aと、排出管5の排出口5aを、配設する。
ポンプ装置Pを駆動させると、エア供給域Zの被処理水が、吸引管4,ポンプ装置P,吐出管6を介して、微粒水滴発生体3に供給される。
【0016】
微粒水滴発生体3に於て、ポンプ装置Pから圧送されてきた被処理水が、吐出管6内を通って、分岐部16で、分岐管6A,6B内に分岐する。
そして、一対の第1・第2ノズル1,2から、被処理水が、同じ水量・圧力で噴射し衝突して円盤状衝突塊20を形成しつつ、微細空気が被処理水に混合され、空気に被覆された無数の微粒水滴が、形成される。
微細空気が被処理水に混合される最中に、外部のエアが、バルブ33を介して、ケーシング30内に流入し、(ケーシング30内が負圧となるのを防止しつつ、)効率よく微粒水滴が形成される。
そして、微粒水滴が、排出管5に自然流入して、エア供給域Zに送り戻される。
【0017】
次に、図5に示す微粒水滴発生装置に於ては、ポンプ装置Pの停止時には、タンク7内は、水面8と同じ水位aを保っている。
そして、ポンプ装置Pを駆動させると、図1,図2に於て既述したと同様に、微粒水滴発生体3に被処理水が流れて、微粒水滴が形成され、排出管5に自然流入して、エア供給域Zに送り戻される。
ポンプ装置Pを駆動させると、タンク7内の水位は低下するが、低下した分だけ水面8との位置差が生じ、位置エネルギーに変換された高圧力によってエア供給域Zの水が、吸引管4の吸引口4aから吸い込まれて、タンク7内に自然流入する。なお、ポンプ装置Pによる汲上速度と吸引管4からの流入速度とが等しくなることで、タンク7内の水位の変動がなくなり、一定の水位bが保持される。
【0018】
次に、図6,図7に示す微粒水滴発生装置に於て、ポンプ装置Pを駆動させて、エア供給域Zの被処理水を汲み上げ、タンク27内に流入させる。
タンク27の内部空間17に貯まった被処理水は、位置エネルギーから運動エネルギーに変換されて、第1・第2ノズル1,2から噴射し、衝突発生空間17a内に於て衝突して、円盤状衝突塊20を形成しつつ微細空気が混合され、微粒水滴となる。微細空気が被処理水に混合される最中に、外部のエアが、エア導入管25を通って、衝突発生空間17a内に流入し、この空間17a内が負圧となるのを防止しつつ、効率よく微粒水滴が形成される。
そして、排出管5に自然流入して、エア供給域Zに送り戻される。
【0019】
以上のように、本発明に係る微粒水滴発生装置は、同一直線L上に対向して配設され、被処理水を噴射し大気中で衝突させて円盤状衝突塊を形成しつつ微細空気を含ませる一対の第1・第2ノズル1,2を、備えたものなので、簡易な構造でありながら、効果的に、微小かつ無数の空気粒子を水に混合、(空気溶存液として)溶融させることができる。
【0020】
また、被処理水は、水面8よりも所定深さのエア供給域Zから汲み上げられた水であって、水を貯めるタンク7と、タンク7内に貯まった水を第1・第2ノズル1,2に圧送するポンプ装置Pと、微細空気が含まれた水をエア供給域Zへ導く排出管5と、を備えているので、エア供給域Zから取り出した水に、微小かつ無数の空気粒子を含んだ微粒水滴を混合することができ、エア供給域Zに、十分な酸素を送り込む送り込むことができる。
また、タンク7内に、エア供給域Zの被処理水を一旦貯めて、その後で、ポンプ装置Pにより、ノズル1,2に圧送するので、第1・第2ノズル1,2から、安定して噴射させることができ、効果的に、被処理水に、微細空気を混合させることができる。
また、吸引管4の吸引口4aと、排出管5の排出口5aとを、移動すれば、所望のエア供給域Zの水に、微粒水滴を送り込むことができる。
【0021】
また、第1・第2ノズル1,2は、ポンプ装置Pに接続された吐出管6を、分岐部16で分岐した一対の分岐管6A,6Bに、夫々接続されると共に、同径のノズル噴射口11,12を、有するので、第1・第2ノズル1,2から、同じ水量,同じ圧力の被処理水を、同一直線上で噴射して、衝突させることができ、効果的に、被処理水に、微細空気を混合させて、微粒水滴を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る微粒水滴発生装置の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】要部一部断面正面図である。
【図3】要部拡大断面正面図である。
【図4】要部拡大断面正面図である。
【図5】本発明に係る微粒水滴発生装置の他の実施の形態を示す一部断面正面図である。
【図6】本発明の微粒水滴発生装置の別の例を示す一部断面正面図である。
【図7】要部一部断面正面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 第1ノズル
2 第2ノズル
5 排出管
6 吐出管
6A,6B 分岐管
7 タンク
8 水面
11,12 ノズル噴射口
16 分岐部
L 直線
P ポンプ装置
Z エア供給域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一直線(L)上に対向して配設され、被処理水を噴射し大気中で衝突させて円盤状衝突塊を形成しつつ微細空気を含ませる一対の第1・第2ノズル(1)(2)を、備えたことを特徴とする微粒水滴発生装置。
【請求項2】
被処理水は、水面(8)よりも所定深さのエア供給域(Z)から汲み上げられた水であって、
該水を貯めるタンク(7)と、該タンク(7)内に貯まった水を上記第1・第2ノズル(1)(2)に圧送するポンプ装置(P)と、微細空気が含まれた水を上記エア供給域(Z)へ導く排出管(5)と、を備えた請求項1記載の微粒水滴発生装置。
【請求項3】
上記第1・第2ノズル(1)(2)は、上記ポンプ装置(P)に接続された吐出管(6)を、分岐部(16)で分岐した一対の分岐管(6A)(6B)に、夫々接続されると共に、同径のノズル噴射口(11)(12)を、有する請求項1又は2記載の微粒水滴発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−95432(P2006−95432A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284699(P2004−284699)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(595004975)
【Fターム(参考)】