説明

微細化装置および方法

【課題】原料微細化をより一層効率良く行える微細化装置を提供する。
【解決手段】微細化装置の型10は、90°間隔をなして交差する4つの成形穴11〜14と、この交差部に形成された交差室19を有している。これら成形穴に挿入された成形ピン22、24を進退動させることにより、マグネシウム合金チップ等の原料の微細化を実行する。この微細化工程では、原料を1つの成形穴11に収容し成形ピンを押し込んで原料を押し固めた後で、成形ピンをさらに加圧しながら前進させるとともに、成形ピン22を背圧をかけた状態で後退させることにより、原料を成形穴11から成形穴12へと送り込む。成形ピンの前端部には一対の突出部26cが形成されており、交差室19内でのデッドスペースを削減している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属のチップまたは粒状体を含む原料を微細化する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、最軽量合金であるマグネシウム合金の利用が注目されている。一般的にマグネシウム合金は溶融または半溶融させる工程を経るため、マグネシウム合金の結晶粒が粗大化し、強度向上に限界があった。
【0003】
そこで、特許文献1に開示されているようなマグネシウム合金の製造装置が開発された。この装置の型は、互いに交差して直線状に延びるとともに90°間隔で所定方向に順に配列された断面円形の第1〜第4の成形穴と、これら成形穴の交差部に形成された交差室とを有している。
【0004】
上記第1〜第4成形穴には、これら成形穴と合致した断面形状を有する第1〜第4押圧部材が進退可能に挿入されている。押圧部材を進退させることにより、金属のチップまたは粒状体を含む原料の微細化工程を多数回繰り返し実行する。
【0005】
より具体的に述べると、上記微細化工程の前段工程では、原料を1つの成形穴に収容し、押圧部材を押し込むことにより原料を押し固める。微細化工程の後段工程では、当該1つの成形穴の押圧部材を押し込むことにより、原料を当該1つの成形穴から隣接する成形穴へと送り込み、この過程で、原料に剪断力,摩擦力を付与して原料を微細化する。
【0006】
なお、上記微細化工程の後段工程において、残りの2つの成形穴は前進位置で固定された押圧部材により塞がれている。
【特許文献1】特開2005−248325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記方法によれば、効率良く原料を微細化することができるが、改良の余地があった。すなわち、上記押圧部材は円柱形状をなし前端面が平坦になっており、押圧部材の前進位置ではその前端が成形穴の奥端に位置し、交差室まで入り込まないので、原料送りの効率が下がり、ひいては微細化の効率が下がる。
【0008】
また、上記のように4つの成形穴を有する型を用いる場合には、上記微細化工程の際に交差室において原料が殆ど流れないデッドスペースが生じる不都合があった。このデッドスペースは微細化効率を低下させる。
【0009】
さらに、1つの成形穴での微細化工程において上記デッドスペースに圧縮されて残された原料が、他の成形穴で微細化工程を行なう際に押圧部材の前進に対する抵抗となり、円滑な微細化の妨げになった。
特に微細化が進んだ状況ではデッドスペースで圧縮成形された原料の硬さが増し、押圧部材の前進を阻止することもあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その第1の態様では、金属のチップまたは粒状体を含む原料を微細化するために、(ア)互いに交差し直線状に延びる断面円形の複数の成形穴と、これら成形穴の交差部に形成され成形穴同士を連通させる交差室とを有し、これら複数の成形穴と交差室を同一の仮想平面上に配置してなる型と、(イ)上記成形穴と合致した断面形状を有し成形穴に挿入されて進退する複数の押圧部材と、を備え、1つの成形穴に収容された原料を、当該成形穴に挿入された押圧部材を前進位置まで押し込むことにより、当該成形穴と交差する他の成形穴へ送り込むようにした微細化装置において、上記押圧部材の前端部には、前方に突出するとともに上記仮想平面を挟んで対峙する一対の突出部が形成され、これら一対の突出部は押圧部材の前進位置では上記交差室に入り込むことを特徴とする。
【0011】
上記第1の態様によれば、1つの成形穴に収容された原料を、当該成形穴に挿入された押圧部材を前進位置まで押し込むことにより、当該成形穴と交差する他の成形穴へ送り込む際に、交差室において原料に剪断力と摩擦力を付与して微細化を行なう。
【0012】
上記微細化工程において、押圧部材を前進位置まで押し込むと、この押圧部材の一対の突出部が交差室まで入り込むので、原料を交差室での流れを阻害することなく効率よく押出すことができ、微細化の効率を上げることができる。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、金属のチップまたは粒状体を含む原料を微細化するために、(ア)互いに交差して直線状に延びるとともに90°間隔で所定方向に順に配列された断面円形の第1〜第4の成形穴と、これら成形穴の交差部に形成された交差室とを有し、これら交差室と第1〜第4の成形穴とを同一の仮想平面上に配置してなる型と、(イ)上記第1〜第4成形穴と合致した断面形状を有しこれら成形穴に挿入されて進退する第1〜第4の押圧部材と、を備え、1つの成形穴に収容された原料を、当該成形穴に挿入された押圧部材を前進位置まで押し込むことにより、当該成形穴と交差する他の成形穴へ送り込み、この送り込みの際に残りの2つの成形穴を前進位置にある押圧部材で塞ぐようにした微細化装置において、上記第1〜第4押圧部材は、円柱形状のボデイ部と、このボデイ部の前端から前方に突出するとともに上記仮想平面を挟んで対峙する一対の突出部とを有し、上記第1〜第4押圧部材の前進位置では、上記ボデイ部の前端が対応する成形穴の奥端にほぼ一致し、上記一対の突出部が上記交差室に入り込むことを特徴とする。
【0014】
上記第2の態様によれば、第1の態様と同じ理由で微細化の効率を上げることができる。
また、1つの成形穴から他の1つの成形穴への原料の移動に伴う微細化工程において、残りの2つの成形穴に挿入された押圧部材の一対の突出部は交差室においてデッドスペースを埋める役割を担うので、交差室でのデッドスペースを削減でき、このデッドスペースに原料が残ることによる前述の弊害を抑制ないしは解消でき、微細化効率を上げることができるとともに、押圧部材の前進を円滑に行なうことができる。
【0015】
好ましくは、各押圧部材の一対の突出部の外面は、当該押圧部材のボデイ部の外周面と合致した円筒面をなし、これら一対の突出部の内面は、当該押圧部材と交差する押圧部材のボデイ部の外周面を延長した仮想円筒面と合致した円筒面をなす。
これによれば、押圧部材の進退動作に支障を起こさずに、デッドスペースのより一層の削減を行なうことができる。
【0016】
好ましくは、各突出部の両側縁は、上記仮想平面と直交する方向から見た時、押圧部材の中心軸線に対して45°の傾斜をなしている。
これによれば、隣接する押圧部材が前進位置において互いに干渉することなく、デッドスペースのより一層の削減を行なうことができる。
【0017】
好ましくは、上記交差室が、第1,第3成形穴の内周面を延長した円筒面と第2,第4成形穴の内周面を延長した他の円筒面で型内部をくり貫いた形状を有している。
これによれば、交差室を最小限の広さにすることができ、ひいては交差室でのデッドスペースを削減できる。特に、上述した突出部の好ましい形態と組み合わせれば、デッドスペースを最小限にすることができる。
【0018】
好ましくは、上記型は、型本体とこの型本体に収容された円筒形状の4つのブッシュとを備え、これらブッシュは上記仮想平面上において90°の角度間隔をなして配置されており、各ブッシュは円筒形状のボデイ部と、このボデイ部の前端から前方に突出する一対の凸部とを有し、各凸部の両側面は、上記仮想平面と直交する方向から見た時、押圧部材の中心軸線に対して45°の傾斜をなし、隣接するブッシュの凸部の側面が互いに接しており、上記4つのブッシュのボデイ部の内周面により上記第1〜第4成形穴が画成され、上記4つのブッシュの凸部内面により、上記交差室が画成される。
これによれば、ブッシュで成形穴および交差室を形成するので、成形穴や交差室の摩耗が生じた時には、ブッシュを交換するだけでよいので、ランニングコストを下げることができる。また、ブッシュを押圧部材より耐摩耗性のある材料を用いれば、耐久性も向上する。
【0019】
また、本発明の微細化方法は、上記微細化装置を用い、金属のチップまたは粒状体を含む原料の微細化工程を繰り返し実行し、最終圧縮工程を実行する方法であって、上記微細化工程の前段工程では、原料を1つの成形穴に収容し、他の3つの成形穴に挿入された押圧部材を前進位置で固定して当該他の3つの成形穴を塞いだ状態で、当該1つの成形穴に挿入された押圧部材を奥に向かって押し込むことにより、当該成形穴に収容された原料を押し固め、上記微細化工程の後段工程では、当該1つの成形穴の押圧部材をさらに加圧しながら前進位置まで押し込むとともに、当該1つの成形穴と所定方向に隣接する成形穴に挿入された押圧部材を背圧をかけた状態で後退させることにより、原料を当該1つの成形穴から隣接する成形穴へと送り込み、上記微細化工程を第1〜第4成形穴について順次実行し、最終圧縮工程では、上記微細化工程の前段工程と同様にしていずれかの成形穴で原料を圧縮成形する。
【0020】
上記方法によれば、4つの成形穴について順に成形を行なうので微細化を均一かつ効率良く行うことができる。
【0021】
好ましくは、上記最終圧縮工程前に少なくとも1回原料を撹拌する工程を実行し、上記撹拌工程では、第3押圧部材を前進位置で固定した状態において、第1成形穴に収容された原料を、第1押圧部材を前進させることにより隣接する第2,第4の成形穴に送り込み、次に、第1押圧部材を前進位置で固定し第3押圧部材を後退させた状態で、第2,第4押圧部材を前進させることにより、原料を第3成形穴に送り込む。
この方法によれば、原料の撹拌工程を含むので、圧縮成形体の異方性を解消でき、その割れを回避ないしは抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、原料の微細化を効率良く行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の第1実施形態をなす微細化装置について、図面を参照しながら説明する。最初に、微細化装置の概略的構成について図1〜図5を参照しながら説明する。
図1(A)に示すように、本実施形態で用いられる微細化装置は、正面正方形をなす直方体形状の型10を備えている。この型10には、同一径の断面円形をなす直線状の4つ成形穴11〜14(第1〜第4の成形穴)と交差室19が形成されている。
【0024】
上記成形穴11〜14の中心軸線は同一の垂直の仮想平面上に配置され、型10の中心において放射状をなして交わっている。これら成形穴11〜14の中心軸線は、この順序で時計回り方向(所定方向)に90°の角度間隔をなして配置されている。
【0025】
上記成形穴11〜14の中心軸線の交差点には1つの交差室19が形成されている。この交差室19を介して成形穴11〜14が連なっている。第1成形穴11は交差室19から上方に垂直に延び、第2,第4成形穴12,14は交差室19から左右に水平に延び、第3成形穴13は交差室19から下方に垂直に延びている。
【0026】
上記成形穴11〜14には、それぞれ成形穴11〜14と合致した断面形状の成形ピン21〜24(第1〜第4の押圧部材)がスライド可能に挿入されており、前進,後退するようになっている。なお、本明細書において、成形ピン21〜24の前方とは交差室19に向かう方向であり、後方とは交差室19から離れる方向である。
【0027】
上記成形ピン21〜24の前進,後退は、図4,図5の油圧駆動装置30(駆動装置)により行なわれるようになっている。油圧駆動装置30は、共通のタンク31およびポンプ32を備えるとともに、各成形ピン21〜24毎の油圧回路を備えている。図4は成形ピン21,22,24のための油圧回路を示し、図5は成形ピン23のための油圧回路を示す。
【0028】
成形ピン21〜24の油圧回路はそれぞれ、油圧シリンダ33,ソレノイド弁34〜36,背圧調整弁37,圧力センサ38,逆止弁39を備えている。
【0029】
各油圧シリンダ33は、シリンダ本体33aと、シリンダ本体33a内を摺動するピストン33bと、ピストン33bに固定されてシリンダ本体33aから突出するロッド33cとを有している。
【0030】
上記油圧シリンダ33のロッド33cの先端は、対応する成形ピン21〜24の後端に一直線をなして連結されている。
【0031】
上記油圧シリンダ33において、ピストン33bの後側に位置する室33xは、ソレノイド弁34を介して共通のポンプ32に連なっている。このソレノイド弁34は、2ポート位置切換弁からなり、オフ位置では、内蔵する逆止弁34aがポンプ32から室33xへの加圧油の流通を阻止し、オン位置では加圧油の流通を許容し、油圧シリンダ33に連結された成形ピン21〜24を前進させるようになっている。
【0032】
上記ソレノイド弁34とポンプ32との間には逆止弁39が介在されており、この逆止弁39により、ポンプ32から室33xへの流れを許容し、逆方向の流れを阻止するようになっている。
【0033】
上記室33xは、ソレノイド弁35を介して共通のタンク31に連なっている。このソレノイド弁35は、2ポート位置切換弁からなり、オフ位置では、内蔵する逆止弁35aが室33xからタンク31への油の流通を阻止し、オン位置では油の流通を許容するようになっている。
【0034】
上記ソレノイド弁35とタンク31との間には背圧調整弁37が介在されている。この背圧調整弁37は、成形ピン21〜24の後退時の背圧(室33xの内圧)を調節するものである。
【0035】
上記油圧シリンダ33において、ピストン33bの前側に位置する室33yは、ソレノイド弁36を介して共通のタンク31に連なっている。このソレノイド弁36は、2ポート位置切換弁からなり、オフ位置では、内蔵する逆止弁36aが室33yからタンク31への油の流通を阻止し、オン位置では油の流通を許容するようになっている。
【0036】
第3成形ピン23のための油圧回路は、図5に示すように、さらにソレノイド弁34’,35’,逆止弁39’を備えている。これらソレノイド弁34’,35’はソレノイド弁34,35と同様に油圧ロックのための逆止弁34a’,35a’を有している。
【0037】
ソレノイド弁34’は、油圧シリンダ33の室33yと共通のポンプ32との間に配置されており、オンの時に、加圧油を室33yに導入して第3成形ピン23の後退動作を行なうようになっている。ソレノイド弁35’は、この第3成形ピン23の後退動作の時にオンして、室33xの油を逃がし、油圧抵抗を受けることなく(背圧を受けることなく)第3成形ピン23を後退できるようにしている。
【0038】
上記構成をなす装置を用いて、大気中、常温で以下の加工を実行する。用いられる原料Mは金属の細片状チップまたは粒状体からなる。本実施形態では、マグネシウム合金の切削屑からなるチップを用いる。
【0039】
最初に、第1成形ピン21を抜いた状態で原料Mを第1成形穴11に装填する。この際、成形ピン22〜24は、前進位置すなわち成形ピン22〜24の前端が交差室19に隣接する成形穴12〜14の奥端と一致する位置にある。各成形ピン22〜24に対応するソレノイド弁34〜36,34’,36’は全てオフであるため油圧シリンダ33は油圧ロック状態にあり、その結果、成形ピン22〜24は後退不能な状態で拘束され実質的な固定状態にある。
【0040】
上記原料Mの装填後に、成形ピン21を成形穴11に挿入し油圧シリンダ33に連結した後、図示しない制御ユニットにより、以下のシーケンス制御を開始する。このシーケンス制御では、微細化工程サイクルと撹拌工程を交互に行なう。微細化工程サイクルでは、成形穴11〜14毎に微細化工程の前段工程と後段工程を順次実行する。
【0041】
最初に、成形穴11について微細化工程の前段工程を実行する。詳述すると、成形ピン21に対応するソレノイド弁34,36だけをオンすることにより、油圧シリンダ33に加圧油を供給し、図1(A)に示すように成形ピン21を押し込む。この際、成形ピン22〜24は固定されているので、原料Mは成形穴12〜14に向かわずに成形穴11および交差室19において押し固められ円柱形状の塊になる。この塊は、所定の強度を持っているが、比較的脆いものである。なお、この押し固めの際に、圧力センサ38からの検出信号に基づき、ポンプ32からの油の圧力が設定圧力になるようにポンプ32の駆動を制御する。この押し固め状態は、短時間例えば2秒程度維持される。
【0042】
次に、成形穴11について後段工程を実行する。詳述すると、ポンプ32からの油の圧力が上記前段工程より高い設定圧力になるようにポンプ32の駆動を制御する。これにより、油圧シリンダ33は成形ピン21をさらに押し込む。この際、成形ピン22に対応するソレノイド35をオンして、対応する油圧シリンダ33の室33xからの油を逃がすようにする。これにより成形ピン22は後退可能になる。その結果、図1(B),図1(C)に示すように成形ピン21は前進位置まで押し込まれ、原料Mは成形穴11から交差室19を経て成形穴12へと流動することを余儀なくされ、この過程で剪断力,摩擦力を付与されて微細化される。
【0043】
上記後段工程において、成形ピン22は流れ込んだ原料Mに押されて(成形ピン21の前進に追随して)後退する。成形ピン22に対応する背圧調整弁37は、上記後段工程の成形ピンの加圧圧力より小さい背圧(1/20〜1/10)を設定している。その結果、成形ピン22は上記原料Mに押されて後退するが、上記背圧に対応する抵抗が働き、原料を流れ込み方向と逆方向に押すことにより、原料に対して剪断力,摩擦力が確実に付与されるようにする。
【0044】
図1(C)に示すように、上記成形ピン21の前端が成形穴11の奥端に達し、これを油圧シリンダ33に付設した位置センサで検出した時に上記後段工程が終了する。すなわち、成形ピン21に対応するソレノイド弁34,36がオフに切り換わり、成形ピン21は油圧ロックの固定状態となる。
【0045】
上記図1(A)〜(C)の前段工程,後段工程は連続して行うのが好ましい。すなわち、成形ピン21を加圧した状態を継続したまま成形ピン22を固定状態から後退可能な状態に切り換えるのである。以下、同様である。
上記図1(A)〜(C)の工程は、図2(A)〜(C)にも示されている。
【0046】
次に、第2成形穴12について第1成形穴11の場合と同様の前段工程を実行する。詳述すると、成形ピン21,23,24を前進位置で油圧ロックして実質的に固定したまま、成形ピン22に対応するソレノイド弁34,36をオンし、対応する油圧シリンダ33により、図2(D)に示すように成形ピン22を加圧して押し込む。これにより、成形穴12内の原料Mが押し固められる。
【0047】
次に、成形穴12について成形穴11の場合と同様の後段工程を実行する。詳述すると、成形ピン23に対応するソレノイド弁35をオンして後退可能な状態にし、成形ピン22への加圧力を高めて成形ピン22を押し込む。成形ピン21,24は固定したまま維持される。これにより、成形ピン22は図2(E),図2(F)に示すように前進位置まで押し込まれ、原料Mは成形穴12から交差室19を経て成形穴13へと移動する過程で微細化される。成形ピン23は背圧を受けながら原料Mに押されて後退する。
【0048】
次に、第3成形穴13について成形穴11、12の場合と同様の前段工程を実行する。詳述すると、図2(G)に示すように、成形ピン21,22,24を固定状態に維持したまま、成形ピン23を加圧して押し込むことにより、成形穴13内の原料Mが押し固められる。
【0049】
次に、成形穴13について成形穴11,12の場合と同様の後段工程を実行する。詳述すると、成形ピン24を後退可能な状態にし、成形ピン23を加圧することより、成形ピン23は図2(H),図2(I)に示すように前進位置まで押し込まれ、原料Mは成形穴13から交差室19を経て成形穴14へと移動する過程で微細化される。成形ピン24は背圧を受けながら原料Mに押されて後退する。
【0050】
次に、成形穴14について成形穴11〜13の場合と同様の前段工程を実行する。詳述すると、図2(J)に示すように、成形ピン21,22,23を固定状態に維持したまま、成形ピン24を加圧して押し込むことにより、原料Mが押し固められる。
【0051】
次に、成形穴14について成形穴11〜13と同様の後段工程を実行する。詳述すると、成形ピン21を後退可能な状態にし、成形ピン24を加圧することより、成形ピン24は図2(K),図2(L)に示すように前進位置まで押し込まれ、原料Mは成形穴14から交差室19を経て成形穴11へと移動する過程で微細化される。成形ピン21は背圧を受けながら原料Mに押されて後退する。
【0052】
上記のように原料Mは一旦押し固められた後、交差室19を通過する過程で(90°方向を変えて流動する過程で)ほぼ全断面領域にわたって大きな剪断力,摩擦力を受けるため、原料Mの微細化を効率良く行うことができる。
【0053】
図2に示す1回の微細化工程サイクルが完了する度に図3の撹拌工程を実行する。この撹拌工程では、最初に図3(A)に示すように、成形ピン23を固定し、成形ピン22,24を後退可能にした状態で成形ピン21を加圧して前進させる。これにより、図3(B)に示すように、原料Mは成形穴11から成形穴12,14へと二手に分かれて送り込まれる。なお、撹拌工程では、微細化工程の前段工程のように原料Mを固めることなく、上記原料Mの移動を行なう。この原料Mの移動過程で成形ピン22,24には背圧が付与されているので、原料Mの流れ込みが抑制され、原料Mが成形ピン22,24の一方に偏って流れ込むのを回避できる。
【0054】
図3(C)に示すように、原料Mの成形穴11から成形穴12,14への送り込みが完了した後で、成形ピン23を下方に後退させる。この成形ピン23の後退は、ソレノイド弁34’,35’のオンにより、成形ピン23に連結した油圧シリンダ33のピストン33bを後退させることにより、行なわれる。この成形ピン23の後退により、成形穴13に空隙が生じる。
【0055】
次に、図3(D)に示すように、成形ピン21,23を固定状態にし、成形ピン22,24を同時に加圧して前進させる。これにより、成形穴12,14に収容された原料Mは、成形穴13の空隙内に散らばるようにして落とし込まれる。そして、図3(E)に示すように、成形穴13への原料Mの落とし込みが終了する。原料Mにおいて微細化された粒は互いに拘束されずに落とし込まれるので、原料間の相互移動すなわち原料撹拌が良好に行なわれる。
【0056】
最後に図3(F)に示すように、成形ピン23を加圧前進させながら成形ピン21を後退させることにより、初期状態に戻る。この後、図2の微細化工程サイクルを再開する。
【0057】
上記図2(A)〜(L)の微細化工程サイクルと図3(A)〜(F)の撹拌工程とを交互に多数回繰り返した後、最終圧縮工程を行なう。最終圧縮工程では、図2(A),(D),(G),(J)に示すように、成形穴11〜14のいずれかで実行される前段工程と同じ工程を実行し、圧縮成形体を得る。例えば図2(A)の段階で完了させる場合には、成形ピン21を抜き、成形ピン23を交差室19を通過するようにして前進させ圧縮成形体を成形穴11から押出す。
【0058】
上記のように撹拌工程を実行することにより、圧縮成形体の異方性が解消されるので圧縮成形体は割れにくくなり、割らずに型10から取出せるとともに、押出成形等の加工ステージへと割らずに搬送することができる。
【0059】
次に、本発明の特徴部をなす上記微細化装置の詳細な構造について図6〜図13を参照しながら説明する。図6,図7に示すように、上記型10は、正面が正方形をなし厚み(奥行き寸法)が薄い直方体形状の型本体15と、円筒形状の4つのブッシュ16とを有している。
【0060】
型本体15には4つの直線状をなす断面円形の収容穴15aが形成されている。これら収容穴15aの中心軸線は、同一の垂直な仮想平面P(図12にのみ示す。成形穴11〜14が配置された仮想平面と同じ)上に配置され、隣接するもの同士が90°をなして交差している。
【0061】
4つの収容穴15aの交差部には交差空間15bが形成されている。この交差空間15bは、4つの収容穴15aの内周面を延長させた円筒面によってくり抜かれた形状をなしている。
【0062】
図6,図8(A)に示すように、上記ブッシュ16は、ボデイ部16aとこのボデイ部16aの前端から前方に突出する一対の凸部16bとを有している。これら一対の凸部16bは上記仮想平面Pを挟んで対峙している。
【0063】
図6に示すように、上記仮想平面Pと直交する方向から見た時、これら凸部16bの両側面16xは中心軸線に対して45°の傾斜をなしている。これにより、凸部16bの頂角は90°をなしている。
【0064】
上記4つのブッシュ16のボデイ部16aは、上記型本体15の収容穴15aと同径をなしてこれら収容穴15a内に収容されており、その内周面により上記成形穴11〜14が画成されている。
【0065】
上記ブッシュ16の凸部16bは上記交差空間15bに入り込んでおり、隣接するブッシュ16の凸部16bの側面16x同士が接している。4つのブッシュ16の凸部16bの内面により、上記交差室19が画成されている。
【0066】
図11は、成形穴11〜14および交差室19の形状を示す。図11から理解できるように、交差室19は成形穴11〜14の内周面を延長させた円筒面11a〜14aを互いに交わらせることにより得られる。換言すれば、円筒面11a〜14aで型内部をくり貫いた形状をなしている。
【0067】
上記円筒面11a〜14aの交差線を符号19xで示す。上記交差室19は、交差線19xで凹み、延長した円筒面11a〜14aで膨らんだ形状をなしている。
【0068】
次に、成形ピン21〜24について説明する。成形ピン21〜24は、図9に示す円柱形状のロッド25と、このロッド25の前端に連結される図10に示すヘッド26とを有している。なお、他の図ではこれらロッド25とヘッド26とを一体に示している。
【0069】
上記ロッド25の前端面には連結用の穴25aが形成されており、後端部は前述した油圧シリンダ33のロッド33cへの連結部25bとなっている。
【0070】
上記ヘッド26は、ロッド25の外径と等しい円柱形状のベース部26aと、このベース部26の後端面に形成された小径の連結用突起26bを有している。この突起26bをロッド25の穴25aに挿入してピン(図示しない)で結合することにより、ヘッド26がロッド25と同一軸線をなして固定されている。
【0071】
上記成形ピン21〜24において、上記ロッド25とヘッド26のベース部26aにより、ボデイ部27(図8(B)参照)が構成されている。
【0072】
上記ヘッド26はさらに、ベース部26aから前方に突出する一対の突出部26cを有している。一対の突出部26cは上記仮想平面Pを挟んで対峙している。
【0073】
図6,図10(A)に示すように、上記一対の突出部26cの両側縁26xは上記仮想平面Pと直交する方向から見た時、成形ピン21〜24の中心軸線に対して45°傾斜している。
【0074】
上記一対の突出部26cの外面は、ボデイ部27の外周面と合致し面一をなしている。上記一対の突出部26cの内面26yは連続した円筒面の一部を形成しており、この円筒面は、成形ピン21〜24が前進位置にある時、この突出部26cが属する成形ピンと直交する成形ピンの外周面の延長上の仮想円筒面と合致する。
【0075】
成形ピン21〜24が前進位置にある時、図7,図8(C)に示すように、成形ピン21〜24のボデイ部27の前端(すなわち一対の突出部26cの内面26yにおいて最も凹んだ部位)がブッシュ16のボデイ部16aの前端、すなわち成形穴11〜14の奥端に位置する。
【0076】
また、成形ピン21〜24が前進位置にある時、成形ピン21〜24の突出部26cがブッシュ16の凸部16bに位置し、突出部26cの両側縁26xが凸部16bの両側面16xと一致する。換言すれば、成形ピン21〜24が前進位置にある時、図6,図12,図13に示すように、突出部26cが交差室19に入り込むようになっている。
【0077】
なお、上述したように2つの円筒面により突出部26cを形成すると、図10(A),(C)の想像線で示すように先端が尖ってしまい耐久性を損なうので、この先端部はカットされている。
【0078】
次に、上記構成による作用を、成形穴11での微細化工程を例にとって説明する。上記のように成形ピン21を前進させて原料Mを成形穴11から成形穴12へと移動させる際に、原料Mは、交差室19において成形穴11の奥端と成形穴12の奥端とを連ねる断面円形の仮想通路を主として流れる。
【0079】
従来構造では、図14に示すように成形ピン120が平坦な前端面を有していて、成形ピン120の前端が成形穴13、14の奥端に位置しているので、図11,図15に示すように、交差室19における円筒面13a,14aの近傍部が、上記仮想通路から外れてデッドスペースSとなる。そのため、成形穴11から成形穴12への原料Mの移動の際に、このデッドスペースSに原料Mが残されたままとなり、原料微細化の効率を低下させる。
【0080】
上記デッドスペースSに残された原料Mは、微細化工程の前段において押し固められているので、他の成形穴での微細化工程において原料の流れに対する抵抗となる。例えば、成形穴12から成形穴13へと原料を移動させる際には、円筒面13a近傍のデッドスペースSに残された原料が抵抗となり、成形穴13から成形穴14へと原料を移動させる際には円筒面14a近傍のデッドスペースSに残された原料が抵抗となる。
【0081】
特に微細化が進んだ状況ではそのデッドスペースSに残された原料の硬度が増し、成形ピン21〜24の前進を妨げることもある。
【0082】
しかし、本実施形態では、成形ピン23,24が前進位置にあり固定されている時、それらの突出部26cは交差室19に円筒面13a,14aの近傍部に配置されているため、従来構造のようなデッドスペースSは殆ど生じない。その結果、圧縮された原料Mが残ることがなく、上記不都合を抑制ないしは解消できる。すなわち、微細化を効率良く行なうことができ、成形ピン21〜24の前進を円滑に行なうことができる。
【0083】
また、成形穴11内の原料Mの微細工程の後段工程において、成形ピン21を前進させると、その前端の突出部26cが交差室19に入り込むので、より多くの原料Mを移動させることができ、この点からも微細化の効率を向上させることができる。
【0084】
さらに、前述した拡散工程でも、成形ピン21〜24の突出部26cが交差室19に入り込むので、原料Mが交差室19に留まる量を削減でき、拡散をより効率良く行なうことができる。
【0085】
本実施形態では、成形ピン21〜24が前進位置にある時、突出部26cの外面が交差室19の円筒面11a〜14aに接しているので、両者の間に隙間が形成されない。また、突出部26cの内面は、微細化工程での原料の仮想通路に沿う円筒面となっている。さらに隣接する前進位置の成形ピンの突出部26cは側縁同士がほぼ接している。その結果、上述したデッドスペースを最小限にすることができる。
【0086】
上記実施形態に基づき、以下の条件で実験を行なった。
(1)使用するマグネシウム合金チップはAZ31(Alを3重量%、Znを1重量%含
むマグネシウム基合金)であり、そのサイズは下記のとおりである。
最小0.5mm,最大3mm、平均1.5mm
(2)微細化工程と撹拌工程からなる加工サイクルの回数は40回である。
(3)加工サイクルにおいて、前段工程における油圧は340Kg/cmであり、原料
に付与される押し固め力は4.4トンである。
(4)加工サイクルにおいて、後段工程における油圧は400Kg/cmであり、原料
に付与される押し崩し力は5.2トンである。
(5)後退する成形ピンに付与される背圧は40Kg/cmである。
(6)得られた圧縮成形体は直径35mm,長さ80mmの円柱体である。
(8)上記圧縮成形体を窒素ガス雰囲気中において、300°Cで予備加熱した後、押し出し加工を行なう。
(9)上記押し出し加工は、押出比37で実行する。
【0087】
上記(6)の段階で得られた圧縮成形体は十分な微細化がなされており、上記(8)の段階で得られた押出成形品で引張り試験を行なった結果、満足すべき強度が得られた。また、拡散も効率良く行なわれたので、圧縮成形体は異方性がなくなり割れにくくなった。
【0088】
上記実施形態では、マグネシウム合金だけで圧縮成形体を製造したが、マグネシウム合金を主原料(母材)として添加材を加えてもよいことは勿論である。添加材としては、例えばAl,SiC,MgSi等がある。これら添加材は数10ミクロン以下の粉末とするのが好ましい。
【0089】
また、マグネシウム合金の代わりにアルミニウム合金等の軽金属を用いてもよいし、軽金属以外の金属を用いてもよい。金属材料は、細片状ではなく粒体状であってもよい。
【0090】
本発明は上記実施形態に制約されず種々の形態を採用可能である。例えば、成形穴11〜14は水平面上に配置してもよい。
本発明において、微細化工程の前段工程,後段工程を含むサイクル間に補助的な工程を介在させてもよい。
【0091】
型は、例えば90°で交差させた2つの成形穴を有するものであってもよいし、3つの成形穴を有するものであってもよい。3つの成形穴の場合、120°で交差させてもよいし、T字状に交差するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】(A)〜(C)は、本発明装置の一実施形態をなす微細化装置の拡大縦断面図であり、第1成形穴についての微細化工程を順に示す。
【図2】(A)〜(L)は、同装置の概略縦断面図であり、全ての成形穴についての微細化工程を順に示す。
【図3】(A)〜(F)は、同装置の拡大縦断面図であり、撹拌工程を順に示すである。
【図4】同装置に付属の油圧駆動装置における第1,第2,第4成形ピンのための油圧回路図である。
【図5】同油圧駆動装置における第3成形ピンのための油圧回路図である。
【図6】同装置の型および成形ピンの詳細構造を一部断面にして示す正面図である。
【図7】同装置の型および成形ピンの詳細構造を示す縦断面図である。
【図8】同装置を構成する部材の斜視図であり、(A)はブッシュ,(B)は成形ピン,(C)はブッシュ内に成形ピンが挿入された状態をそれぞれ示す。
【図9】上記成形ピンのロッドを一部断面にして示す正面図である。
【図10】上記成形ピンのヘッドを示し、(A)は正面図,(B)は側面図,(C)は平面図である。
【図11】同装置の型の交差室形状を示す斜視図である。
【図12】図7中XII−XII線に沿う横断面図である。
【図13】図12の要部を更に拡大して微細化工程での原料の流れを説明する断面図である。
【図14】比較例での原料の流れを説明する図13相当図である。
【図15】同比較例でのデッドスペースの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0093】
10 型
11〜14 第1〜第4成形穴
11a〜14a 交差室を画成する円筒面
15 型本体
16 ブッシュ
16a ブッシュのボデイ部
16b ブッシュの凸部
16x 凸部の両側面
19 交差室
21〜24 第1〜第4成形ピン(押圧部材)
26c 成形ピンの突出部
26x 突出部の両側縁
27 成形ピンのボデイ部
M 原料
P 仮想平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属のチップまたは粒状体を含む原料を微細化するために、
(ア)互いに交差し直線状に延びる断面円形の複数の成形穴と、これら成形穴の交差部に形成され成形穴同士を連通させる交差室とを有し、これら複数の成形穴と交差室を同一の仮想平面上に配置してなる型と、
(イ)上記成形穴と合致した断面形状を有し成形穴に挿入されて進退する複数の押圧部材と、
を備え、1つの成形穴に収容された原料を、当該成形穴に挿入された押圧部材を前進位置まで押し込むことにより、当該成形穴と交差する他の成形穴へ送り込むようにした微細化装置において、
上記押圧部材の前端部には、前方に突出するとともに上記仮想平面を挟んで対峙する一対の突出部が形成され、これら一対の突出部が押圧部材の前進位置では上記交差室に入り込むことを特徴とする微細化装置。
【請求項2】
金属のチップまたは粒状体を含む原料を微細化するために、
(ア)互いに交差して直線状に延びるとともに90°間隔で所定方向に順に配列された断面円形の第1〜第4の成形穴と、これら成形穴の交差部に形成された交差室とを有し、これら交差室と第1〜第4の成形穴とを同一の仮想平面上に配置してなる型と、
(イ)上記第1〜第4成形穴と合致した断面形状を有しこれら成形穴に挿入されて進退する第1〜第4の押圧部材と、
を備え、1つの成形穴に収容された原料を、当該成形穴に挿入された押圧部材を前進位置まで押し込むことにより、当該成形穴と交差する他の成形穴へ送り込み、この送り込みの際に残りの2つの成形穴を前進位置にある押圧部材で塞ぐようにした微細化装置において、
上記第1〜第4押圧部材は、円柱形状のボデイ部と、このボデイ部の前端から前方に突出するとともに上記仮想平面を挟んで対峙する一対の突出部とを有し、
上記第1〜第4押圧部材の前進位置では、上記ボデイ部の前端が対応する成形穴の奥端にほぼ一致し、上記一対の突出部が上記交差室に入り込むことを特徴とする微細化装置。
【請求項3】
各押圧部材の一対の突出部の外面は、当該押圧部材のボデイ部の外周面と合致した円筒面をなし、これら一対の突出部の内面は、当該押圧部材と交差する押圧部材のボデイ部の外周面を延長した仮想円筒面と合致した円筒面をなすことを特徴とする請求項2に記載の微細化装置。
【請求項4】
各突出部の両側縁は、上記仮想平面と直交する方向から見た時、押圧部材の中心軸線に対して45°の傾斜をなしていることを特徴とする請求項2または3に記載の微細化装置。
【請求項5】
上記交差室が、第1,第3成形穴の内周面を延長した円筒面と第2,第4成形穴の内周面を延長した他の円筒面で型内部をくり貫いた形状を有していることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の微細化装置。
【請求項6】
上記型は、型本体とこの型本体に収容された円筒形状の4つのブッシュとを備え、これらブッシュは上記仮想平面上において90°の角度間隔をなして配置されており、
各ブッシュは円筒形状のボデイ部と、このボデイ部の前端から前方に突出する一対の凸部とを有し、各凸部の両側面は、上記仮想平面と直交する方向から見た時、押圧部材の中心軸線に対して45°の傾斜をなし、隣接するブッシュの凸部の側面が互いに接しており、
上記4つのブッシュのボデイ部の内周面により上記第1〜第4成形穴が画成され、上記4つのブッシュの凸部内面により、上記交差室が画成されることを特徴とする請求項5に記載の微細化装置。
【請求項7】
請求項2〜6に記載の微細化装置を用い、金属のチップまたは粒状体を含む原料の微細化工程を繰り返し実行し、最終圧縮工程を実行する方法であって、
上記微細化工程の前段工程では、原料を1つの成形穴に収容し、他の3つの成形穴に挿入された押圧部材を前進位置で固定して当該他の3つの成形穴を塞いだ状態で、当該1つの成形穴に挿入された押圧部材を奥に向かって押し込むことにより、当該成形穴に収容された原料を押し固め、
上記微細化工程の後段工程では、当該1つの成形穴の押圧部材をさらに加圧しながら前進位置まで押し込むとともに、当該1つの成形穴と所定方向に隣接する成形穴に挿入された押圧部材を背圧をかけた状態で後退させることにより、原料を当該1つの成形穴から隣接する成形穴へと送り込み、
上記微細化工程を第1〜第4成形穴について順次実行し、
最終圧縮工程では、上記微細化工程の前段工程と同様にしていずれかの成形穴で原料を圧縮成形することを特徴とする微細化方法。
【請求項8】
上記最終圧縮工程前に少なくとも1回原料を撹拌する工程を実行し、上記撹拌工程では、第3押圧部材を前進位置で固定した状態において、第1成形穴に収容された原料を、第1押圧部材を前進させることにより隣接する第2,第4の成形穴に送り込み、次に、第1押圧部材を前進位置で固定し第3押圧部材を後退させた状態で、第2,第4押圧部材を前進させることにより、原料を第3成形穴に送り込むことを特徴とする請求項7に記載の微細化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−197751(P2007−197751A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16262(P2006−16262)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】