説明

微細多孔質繊維及びその製造方法

【課題】本発明の微細多孔質繊維は、繊維形成性高分子内に超臨界気体が導入されて、10個/cm以上の密度で微細多孔(セル)が形成されており、体積膨脹比率が1.2〜50で、微細多孔(セル)の直径に対する長さの比率が2以上で、且つ単繊維(Monofilament)の直径が5μm以上である。本発明の微細多孔繊維は、セル密度が高くて均一であり、その体積膨脹率とセル長さに対する直径の比率とが良好であるので、軽量性と触感などが非常に優れる。
【解決手段】本発明の微細多孔質繊維は、繊維形成性高分子を押出機で溶融・混練する時、該押出機内に超臨界流体を導入して均一な濃度の単相の高分子溶融液−気体の溶液を製造し、次いで、急激な圧力降下速度を与えながら、上記単相の高分子溶融液−気体の溶液を紡糸口金の吐出孔を通じて吐出(紡糸)して微細多孔質の吐出物(繊維)を製造し、該微細多孔質の吐出物を吐出直後に冷却媒体にて急冷して、紡糸ドラフトが2〜300になるように、10〜6,000m/分の巻き取り速度で巻き取る方法によって製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維内に微細多孔(セル)が形成されていて、軽量感及び触感が非常に優れた微細多孔質繊維及びその製造方法に関するものである。
【0002】
より具体的には、本発明は、繊維形成性高分子を連続的に押し出して紡糸する際に、超臨界流体を押出機内に導入して、濃度の均一な単相の高分子溶融液−気体の溶液を製造し、この単相の溶液を紡糸口金の吐出孔から紡糸して急冷する工程によって製造される、微細多孔(セル)の密度が高くて均一で、且つ、体積膨脹比率とセル直径に対する長さの比率がともに良好な微細多孔質繊維及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
一般的な多孔質の高分子製品は、高分子製品を軽量化し、且つ、高分子の所要量を節約するために、かなり以前から工業的にしばしば利用されてきた。その代表例として、ポリスチレン発泡製品が広範囲な用途に利用されている。
【0004】
しかし、このような一般的な多孔質の高分子製品は、その孔の大きさが100μmの水準であるため、連続的な繊維状に製造することが困難である。また、多孔密度が10個/cmと非常に低いため、触感及び軽量性も低調で、均一な物性を得ることも難しいという問題があった。
【0005】
このような問題点を解決するために、特許文献1及び2などでは、押出機で高分子を溶融・混練する時、COなどの超臨界流体を押出機内に導入して、単相の高分子溶融液−気体の溶液を製造した後、これを高圧下で鋳型(die)を通して押し出す際に、急激な圧力降下速度を与えて多数の微細多孔を形成させながら大気中に押し出し、微細多孔質の高分子押出物を製造する方法が記載されている。
【特許文献1】米国特許5,866,053号
【特許文献2】米国特許6,051,174号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記方法によって製造された微細多孔質の押出物は、孔の大きさが10μm以下の水準であって、高分子の内部に存在する割れ目(flaw)より小さいため、機械的物性が低下することがない。また、多孔密度も10個/cm水準で高く、高分子の使用量も節約できる長所がある。しかし、上記方法は、微細多孔が多数形成された溶融液を大気(室温)中に押出してから徐々に冷却させるため、微細多孔質繊維の製造には不適である。
【0007】
言い換えれば、繊維、特に連続状の繊維であるフィラメントは、紡糸口金から紡糸された押出物が非常に大きな変形を通じて微細化される過程を経なければならない。したがって、多数の微細多孔が形成された溶融液を押し出してから徐冷させる上記のような方法は、繊維化工程、即ち、フィラメントの紡糸工程には不適である。
【0008】
また、上記方法によって製造された溶融物を溶融紡糸して、ポリアミドフィラメントまたはポリエステルフィラメントのような衣類用フィラメントを製造する場合には、紡糸されたフィラメントの溶融強度が低く、紡糸(吐出)直後の微細多孔内の気体(ガス)がポリマーの外に流出するため、微細多孔(セル)の密度の高い衣類用フィラメント(繊維)を製造することが困難であった。
【0009】
このような微細多孔内の気体(ガス)の流出問題を解決するために、ポリマーを化学的に改質することにより、紡糸されたフィラメントの溶融強度を向上させる方法も一部試みられているが、この場合、繊維化工程、特に延伸工程での延伸倍率の低下などのような新たな問題が発生するため、微細多孔質繊維の製造は困難であった。
【0010】
本発明の目的は、微細多孔(セル)などが10個/cm以上の密度で形成されていて、軽量感及び触感の優れた衣類用微細多孔質繊維を提供することである。
【0011】
また、本発明の目的は、微細多孔質繊維の製造時、微細多孔内の気体(ガス)の流出を效果的に防止することである。さらに、本発明の目的は、多数の微細多孔が形成されていて、軽量感及び触感の優れた衣類用微細多孔質繊維を效率的に製造することである。
【0012】
本発明は、微細多孔(セル)が高密度で均一に形成されているので、軽量感及び触感に優れると共に、体積膨脹率とセル直径に対する長さの比率とが良好であるので、強度などの機械的物性にも優れた微細多孔質繊維を提供する。
【0013】
また、本発明は、押出機内に超臨界流体を導入して製造した単相の高分子溶融液−気体の溶液を吐出(紡糸)して、10個/cm以上のセル密度を有する微細多孔質繊維を効果的に製造する。このため、本発明は、単相の高分子溶融液−気体の溶液に急激な圧力降下速度を与えながら、紡糸口金の吐出孔から吐出(紡糸)して微細多孔質の吐出物(繊維)を製造する。また、本発明は、吐出直後の微細多孔質の吐出物(繊維)から気体が流出しないように急冷処理する。さらに、本発明は、微細多孔質繊維の製造時、セルの密度及び物性を適切に維持するために、紡糸ドラフトを適切な範囲内に調節する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を達成するための本発明の微細多孔質繊維は、繊維形成性の高分子内に超臨界流体が導入されて、10個/cm以上の密度で微細多孔(セル)などが形成されており、体積膨脹比率が1.2〜50で、微細多孔(セル)の直径に対する長さの比率が2以上で、単繊維(Monofilament)の直径が5μm以上であることを特徴とする。
【0015】
なお、本発明の微細多孔質繊維の製造方法は、繊維形成性の高分子を押出機で溶融・混練する時、超臨界流体を上記押出機内に導入して、均一な濃度の単相の高分子溶融液−気体の溶液を製造し、次いで、急激な圧力降下速度を与えながら、上記単相の高分子溶融液−気体の溶液を紡糸口金の吐出孔を通して吐出(紡糸)し、微細多孔の吐出物を製造してから、この微細多孔の吐出物を吐出直後に冷却媒体によって急冷し、紡糸ドラフトが2〜300になるように10〜6,000m/分の巻き取り速度で巻き取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の微細多孔質繊維は、高密度の微細多孔(セル)が均一に形成されていて、軽量性と触感に優れると共に、微細多孔(セル)による機械的物性の低下が生じない。また、本発明の微細多孔質繊維は、その体積膨脹率とセル直径に対する長さの比率とが良好であるので、強度などの機械的物性に優れ、且つ、製糸性も向上する。
【0017】
さらに、本発明は、押出機内に超臨界流体を導入して製造した単相の高分子溶融液−気体の溶液を用いて、微細多孔(セル)の密度10個/cm以上の微細多孔質繊維を連続的に製造できる。また、本発明は、吐出物(繊維)内からの気体流出を效果的に防止することができるので、繊維内の微細多孔(セル)の密度を高めることができる。
【0018】
本発明の微細多孔質繊維は、上記の通りに軽量性と触感などが優れるので、衣類用原糸として特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
まず、本発明の微細多孔質繊維を製造する方法を詳しく説明すると、本発明は、繊維形成性の高分子を連続的に押し出して紡糸する通常の合成繊維の紡糸工程において、繊維形成性の高分子を押出機で溶融・混練する際に、超臨界流体(Supercritical fluid)を押出機内に導入して均一な濃度の単相の高分子溶融液−気体の溶液を製造する。
【0021】
繊維形成性の高分子としては、(i)ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、(ii)ポリアミド6、ポリアミド66、及び、第3成分が共重合又はブレンドされたポリアミドなどのポリアミド系樹脂、(iii)ポリエチレンテレフタレート及び第3成分が共重合又はブレンドされたポリエステルなどのポリエステル系樹脂などが用いられる。
【0022】
繊維形成性の高分子としては、相対粘度3.0以上のポリアミド6または固有粘度0.8以上のポリエチレンテレフタレートを使用することが、微細多孔(セル)の大きさ、密度、分布などの立体的構成の側面からは勿論のこと、強度などの機械的物性の側面からも、より望ましい。
【0023】
ポリアミド6の相対粘度が3.0未満であるか、ポリエチレンテレフタレートの固有粘度が0.8未満である場合には、セル密度が10個/cm未満となり、セルの大きさも不均一になってしまう。
【0024】
繊維形成性の高分子として、分岐ポリアミド6及び分岐ポリエステル樹脂なども用いることができる。
【0025】
また、超臨界流体としては、二酸化炭素(CO)または窒素(N)などを使用することができるが、二酸化炭素(CO)を使用することが製造工程の安全性の側面から、より望ましい。
【0026】
超臨界流体の導入量は、繊維形成性高分子に対して10重量%以下の水準とすることが好ましい。繊維形成性高分子内に溶解する超臨界流体の量は、押出機の圧力及び温度により変化する。具体的には、押出機の圧力が高いほど、温度が低いほど、超臨界流体の溶解量は増加する。
【0027】
次に、押出機内で製造された単相の高分子溶融液−気体の溶液を計量ポンプ及び紡糸口金へ移送した後、続いて急激な圧力降下速度を与えながら、紡糸口金の吐出孔を通して吐出(紡糸)して微細多孔質の吐出物を製造する。この時、紡糸口金としては、吐出孔が2個以上穿孔されているものを使用することが、衣類用繊維の製造においてより望ましい。
【0028】
単繊維(モノフィラメント)より多数繊維(マルチフィラメント)が衣類用繊維として、より適合することは既に公知の事実である。
【0029】
紡糸口金の吐出孔での圧力降下速度は、微細多孔、即ち、生成されるセルの密度と密接な関係がある。圧力降下速度が急激であるほど、セルの密度が高まることが知られている。軽量性を特徴とする微細多孔質繊維としての性能を十分に発揮し、且つ、均一の微細多孔が形成されるためには、セルの密度10個/cm以上の繊維状の微細多孔質の吐出物として吐出されることが望ましい。セルの密度が10個/cm未満で吐出される場合には、中空糸等に比べて軽量化効果があまり向上せず、商品的な価値が充分でない。
【0030】
紡糸口金の吐出孔での圧力降下速度は、0.18GPa/s(26,100psi/s)以上の水準であることが望ましい。
【0031】
次いで、連続して上記のように吐出(紡糸)された微細多孔質の吐出物(繊維)を吐出直後に冷却媒体で急冷し、微細多孔(セル)内の気体が外に抜け出ることを防止する。
【0032】
上記のように急冷処理しない場合には、微細多孔(セル)内に含まれている気体が表面へ移動して繊維の外に抜け出易くなる。それによって、セルの合体(coalescence)とセルの崩壊(collapse)という2つの悪い現象が生ずる。
【0033】
最終的に、セルの密度が10個/cm未満の水準に低下するので、中空糸などに比べて軽量化効果が大きくないため、商品的な価値が充分でない。
【0034】
前述した2つの悪い現象をより詳しく説明すると、繊維形成性高分子の大部分は、紡糸温度付近での溶融強度が低いという問題点がある。したがって、吐出直後短時間内に急激に冷却させないと、溶融強度が低くて気体の拡散速度が速くなり、圧力の低い大気中に、即ち、吐出物の表面に、気体が移動して表面の外に抜け出る現象が生ずる。これによって、隣接したセルなどが合体するというセルの合体現象(Cell Coalescence)が生じ、結局はセルの密度が低下する。
【0035】
他のもう一つの現象は、気体の拡散及び流出によってセルの大きさが徐々に小さくなり、セルが消失するというセルの崩壊現象(Cell Collapse)が生じることであり、結局はセルの密度が低下する。
【0036】
このような2つの悪い現象は、セル密度の低下は勿論のこと、セル形態の不均一を誘発して、物性の低下及び不良の原因になり得る致命的なものである。
【0037】
上記冷却媒体としては、使用する繊維形成性高分子の種類によって、冷却空気または水が選択的に用いられる。より高速で冷却する必要がある場合には、冷却空気よりは水を使用することが望ましい。
【0038】
冷却空気を使用する場合には、吐出直後の吐出物に冷却空気を噴射させる。また、水を使用する場合には、吐出直後の吐出物に水を噴霧させるか、吐出物を水中に浸漬させる。冷却空気を冷却媒体として使用することが、紡糸速度を高めるのには望ましい。
【0039】
次いで、連続して急冷処理された吐出物(繊維)を紡糸ドラフトが2〜300になるように10〜6,000m/分の巻き取り速度で巻き取り、微細多孔質繊維を製造する。
【0040】
紡糸ドラフトは、溶融紡糸工程において大変重要な工程制御因子であって、初期紡糸速度に対する巻き取り速度の比を示す。巻き取り速度が速いか、初期紡糸速度が遅い場合は、紡糸ドラフトが大きくなる。また、巻き取り速度が遅いか、初期紡糸速度が速い場合は、紡糸ドラフトが小さくなる。
【0041】
本発明では、紡糸ドラフトを2〜300に調節する。紡糸ドラフトが300を超過する場合には、過度な紡糸ドラフトによる糸切れが多発して作業性が悪化する。また、紡糸ドラフトが2未満である場合には、配向結晶化が十分に行われないので、強度などの物性が低下する。
【0042】
また、本発明では、巻き取り速度を10〜6,000m/分、より好ましくは50〜6,000m/分に調節する。巻き取り速度は、微細多孔(セル)の密度、大きさ及び分布によって適宜、調節する。微細多孔(セル)の密度が非常に高く、且つ、大きさが比較的大きい場合には、巻き取り速度を速くすることが困難である。しかし、巻き取り速度が10m/分未満である場合には、商業性が乏しい。
【0043】
一方、微細多孔(セル)の密度が非常に低く、且つ、大きさが比較的小さくて均一に分布している場合には、巻き取り速度を6,000m/分まで上昇させることができる。しかし、巻き取り速度が6,000m/分を超える場合には、作業性が低下する問題が発生する。
【0044】
上記のような方法から製造された本発明の微細多孔質繊維は、微細多孔(セル)などが10個/cm以上の密度で均一に形成されている。したがって、軽量性及び触感に優れ、微細多孔による強度などの物性低下の問題もない。
【0045】
また、本発明の微細多孔質繊維は、体積膨脹率が1.2〜50以下で、セル直径に対する長さの比率が2以上で、単繊維(Monofilament)の直径が5μm以上である。
【0046】
体積膨脹率が1.2未満である場合には、20%程度の中空率を有する中空糸水準の軽量性しか確保することができないので、実用性が無い。また、体積膨脹率が50を超える場合には、過度な体積膨脹によって、強度が低下され、作業性も低下して糸を製造することが不可能になる。
【0047】
また、微細多孔(セル)の直径に対する長さの比率が2未満である場合には、衣類用の原糸に要求される最低限の強度を充足することができないという問題が生ずる。
【0048】
上記の直径に対する長さの比率が2以上という意味は、上記繊維が2倍以上延伸されたのと殆ど同じ意味である。
【0049】
すなわち、最初に生成されたセルは、対称性のある球形状或いはハニカム形状を有し、セル直径に対する長さの比率が殆ど1に近いが、巻き取り速度を速くすると、繊維の軸方向に伸びた形状のセルに変形し、後続の延伸工程が行われると、軸方向への変形が非常に大きくなる。
【0050】
その結果として、高分子の配向と、それによる結晶化現象が発生して、強度などの機械的な物性が向上する。したがって、セル直径に対する長さの比率が2以上であることは、最低限の微細多孔質繊維の強度を発現するための条件であり、この条件を充足できない場合には、衣類用をはじめとした最終用途として適用させることができない。
【0051】
また、単繊維の直径が5μm未満である場合には、1μm水準のセルの平均直径に対する単繊維の直径が不充分であるので、安定的に微細多孔質繊維の構造を形成することが困難である。
【0052】
このように、本発明の方法によって製造された微細多孔質繊維は、均一で、且つ、多数の微細多孔(セル)が均一に分布しているので、軽量性と触感が非常に優れる。その結果、インナーウェア及びアウトウェアなどの衣類用繊維として非常に有用である。
【0053】
本発明において、各種物性は下記方法で各々評価する。
【0054】
[体積膨脹比率(Φ)]
ポリマーの体積(V)、ポリマーの重量(m)、ポリマーの比重(P)及び微細多孔質繊維の体積(V)を各々測定してから、測定値を下記式に代入して体積膨脹比率を計算する。
【0055】
【数1】

【0056】
[セルの密度(個/cm)]
走査電子顕微鏡にて微細多孔質繊維の断面を観察し、その結果を下記式に代入して、セルの密度(ρc)を計算する。
【0057】
【数2】

【0058】
上記式において、nlは走査電子顕微鏡の観察結果であって、一辺の長さがlcmである正四角形の内部に存在する微細多孔の個数である。
【0059】
[セル直径に対する長さの比率]
走査電子顕微鏡にて微細多孔質繊維の断面と、断面に対する垂直方向への長さを各々測定し、これらの比率を求める。
【0060】
[軽量感及び触感]
専門家の官能試験によって評価する。具体的には、専門家10人の中で8名以上が優秀だと判定すれば◎、専門家10人の中で7人以下が優秀だと判定すれば△として、各々区分する。
【実施例】
【0061】
以下、実施例及び比較実施例を通して、本発明をより具体的に説明する。しかし、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
【0062】
<実施例1>
相対粘度3.4のポリアミド6樹脂を、温度250℃の押出機でスタティック混練機にて溶融・混練すると同時に、上記押出機に二酸化炭素を3重量%(樹脂重量対比)導入して、均一な濃度の単相の高分子溶液−気体の溶液を製造した。続いて、上記単相の高分子溶液−気体の溶液を直径0.25mm、長さ2.5mmの紡糸口金(吐出孔数:5個)を通じて10g/分の吐出量で吐出し、急激な圧力降下速度を与えることにより繊維状微細多孔質吐出物を製造した。続いて、紡糸口金の底面から1cm程度の下点で上記繊維状微細多孔質吐出物に25℃の水を噴霧して急冷させてから、紡糸ドラフトが12になるように500m/分の巻き取り速度に巻き取り、単繊維の直径15μmの微細多孔質繊維を製造した。製造した微細多孔質繊維の各種物性を評価した結果を表2に示した。
【0063】
<実施例2〜実施例10及び比較実施例1>
冷却媒体の種類、急冷方式、紡糸ドラフト、巻き取り速度、繊維形成性ポリマーの種類、紡糸温度、気体の種類及び気体の導入量を表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の工程及び条件で微細多孔質繊維を製造した。製造した微細多孔質繊維の各種物性を評価した結果を表2に示した。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維形成性高分子内に超臨界流体が導入されて、10個/cm以上の密度で微細多孔(セル)が形成されており、体積膨脹比率が1.2〜50で、前記微細多孔(セル)の直径に対する長さの比率が2以上で、且つ、単繊維の直径が5μm以上であることを特徴とする微細多孔質繊維。
【請求項2】
前記超臨界流体が、二酸化炭素(CO)または窒素(N)であることを特徴とする請求項1記載の微細多孔質繊維。
【請求項3】
前記繊維形成性高分子が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、分岐ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の微細多孔質繊維。
【請求項4】
前記繊維形成性高分子が、相対粘度3.0以上のポリアミド6であることを特徴とする請求項1または3記載の微細多孔質繊維。
【請求項5】
前記繊維形成性高分子が、固有粘度0.8以上のポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1または3記載の微細多孔質繊維。
【請求項6】
前記繊維形成性高分子が、分岐ポリアミド6であることを特徴とする請求項1または3記載の微細多孔質繊維。
【請求項7】
繊維形成性高分子を押出機で溶融・混練する時、前記押出機内に超臨界流体を導入して均一な濃度の単相の高分子溶融液−気体の溶液を製造し、次いで、急激な圧力降下速度を与えて前記単相の高分子溶融液−気体の溶液を紡糸口金の吐出孔を通じて吐出(紡糸)して微細多孔質の吐出物(繊維)を製造し、前記微細多孔質の吐出物を吐出直後に冷却媒体にて急冷して、紡糸ドラフトが2〜300になるように、10〜6,000m/分の巻き取り速度で巻き取ることを特徴とする微細多孔質繊維の製造方法。
【請求項8】
前記紡糸口金に穿孔されている吐出孔が2個以上であることを特徴とする請求項7記載の微細多孔質繊維の製造方法。
【請求項9】
前記微細多孔質の吐出物の微細多孔(セル)の密度が10個/cm以上であることを特徴とする請求項7記載の微細多孔質繊維の製造方法。
【請求項10】
前記巻き取り速度が50〜6,000m/分であることを特徴とする請求項7記載の微細多孔質繊維の製造方法。
【請求項11】
前記超臨界気体が、二酸化炭素または窒素であることを特徴とする請求項7記載の微細多孔質繊維の製造方法。
【請求項12】
前記冷却媒体が、冷却空気または水であることを特徴とする請求項7記載の微細多孔質繊維の製造方法。
【請求項13】
前記微細多孔質の吐出物に水を噴霧して急冷させることを特徴とする請求項7記載の微細多孔質繊維の製造方法。
【請求項14】
前記微細多孔質の吐出物を水中に浸漬して急冷させることを特徴とする請求項7記載の微細多孔質繊維の製造方法。
【請求項15】
前記繊維形成性高分子が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリアミド系樹脂であることを特徴とする請求項7記載の微細多孔質繊維の製造方法。

【公表番号】特表2006−503194(P2006−503194A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545056(P2004−545056)
【出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002170
【国際公開番号】WO2004/035884
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(597114649)コーロン インダストリーズ インク (99)
【Fターム(参考)】