微細気泡分散水の製造装置
【課題】小型で安価な微細気泡分散水の製造装置を提供する。
【解決手段】微細気泡分散水の製造装置は、水平円筒形密閉状ケーシング（1）内の長さ方向に水平円柱状回転体（2）が配置せられ、水平円柱状回転体（2）の周壁に多数の硬質線状突起物（３a）を所定幅でかつ全体として螺旋状に設けてなるキャビテーション発生用硬質線状突起物群（3）が複数群水平円柱状回転体（2）の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング（1）内壁に空気含有被処理水の連れ回り中断用環状隔板（4）が隣り合う硬質線状突起物群（3）の間に設けられ、ケーシング（1）の後壁（1b）に水導入口部（5）と酸素含有ガス導入口部（6）が設けられるとともに、同前壁（1a）に微細気泡分散水排出口（7）が設けられ、ケーシング（1）の外に水平円柱状回転体（2）を高速回転せしめるモータ（8）が配置せられている。
【解決手段】微細気泡分散水の製造装置は、水平円筒形密閉状ケーシング（1）内の長さ方向に水平円柱状回転体（2）が配置せられ、水平円柱状回転体（2）の周壁に多数の硬質線状突起物（３a）を所定幅でかつ全体として螺旋状に設けてなるキャビテーション発生用硬質線状突起物群（3）が複数群水平円柱状回転体（2）の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング（1）内壁に空気含有被処理水の連れ回り中断用環状隔板（4）が隣り合う硬質線状突起物群（3）の間に設けられ、ケーシング（1）の後壁（1b）に水導入口部（5）と酸素含有ガス導入口部（6）が設けられるとともに、同前壁（1a）に微細気泡分散水排出口（7）が設けられ、ケーシング（1）の外に水平円柱状回転体（2）を高速回転せしめるモータ（8）が配置せられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、魚介類の養殖および輸送や植物の栽培に用いられる微細気泡分散水の製造装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一端に吸液口および吸気口を有する固定筒と固定筒内に配置せられた回転筒とよりなり、固定筒の内周面と回転筒の外周面とにそれぞれ永久磁石が具備せしめられ、固定筒内に導入せられた液体が永久磁石により形成せられる磁場を通過せしめられることにより、液体中の気泡を細分化して微細気泡分散液状物となす微細気泡分散液状物の製造装置が、下記文献１に開示せられている。また、球状中空器体と、器体の接線方向にあけられた気液導入口と、気液導入口から器体の中心を通る直線と直交する直径方向の両端部にあけられた気液噴出口とを備え、器体の接線方向にあけられた気液導入口から気液を器体に導入することによりこれを旋回流となし、気液噴出口に近づくにしたがって旋回速度を増し、気液噴出口から多量の微細気泡を含む液体を噴出せしめる微細気泡分散液の製造装置が、下記文献２に開示せられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
特許文献１および特許文献２における装置によれば、液中に微細気泡を発生させることはできるが、これらの装置により得られた微細気泡分散液を上記用途に用いようとした場合、微細気泡の発生量が相対的に少ないため、その製造量に限度がある。この問題をなくするためには、装置を大型化するか、装置台数を増やさざるを得ない。その結果、設備費とともに運転費が嵩むという問題があった。
【０００４】
本発明の目的は、小型で安価な装置により水中に微細気泡を大量に発生させることができる微細気泡分散水の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１の発明による微細気泡分散水の製造装置は、両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に円柱状回転体が配置せられ、円柱状回転体の周壁に多数の硬質線状突起物を所定幅でかつ全体として螺旋状に設けてなる硬質線状突起物群が複数群円柱状回転体の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング内壁に環状隔板が隣り合う硬質線状突起物群の間でかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口部と酸素含有ガス導入口部が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられているものである。
【０００６】
請求項２の発明による微細気泡分散水の製造装置は、両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に円柱状回転体が配置せられ、円柱状回転体の周壁に多数の硬質線状突起物を全体として環状ないし筒状に設けてなる硬質線状突起物群が複数群円柱状回転体の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング内壁に環状隔板が硬質線状突起物群の１または複数群おきにかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口部と酸素含有ガス導入口部が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられているものである。
【０００７】
上記請求項１および2の発明において、硬質線状突起物の材料としては、鋼が一般的であるが、硬質合成樹脂でもよい。
【０００８】
請求項３の発明は、請求項1または2記載の微細気泡分散水の製造装置において、環状隔板には多数の貫通孔があけられているものである。
【０００９】
請求項4の発明による微細気泡分散水の製造装置は、両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に、周壁長さ方向に複数の環状回転板を所定間隔おきに備えた円柱状回転体が配置せられ、他方ケーシング内壁に複数の環状固定板が環状回転板と近接状に交互配置にかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口と酸素含有ガス導入口が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられており、環状回転板および環状固定板にはともに多数の貫通孔があけられているものである。
【００１０】
上記請求項１ないし4の発明において、水導入口からケーシングに導入される水としては、海の魚介類の養殖および輸送用の場合は海水が、川の魚介類の養殖および輸送用の場合および植物の栽培用の場合は淡水が挙げられ、とくに魚介類の人工孵化の初期段階用としては、生存率を高めるミネラル含有水が好ましい。
【００１１】
また、酸素含有ガス導入口からケーシングに導入されるものとしては、空気が一般的であるが、窒素分の導入を避けたい場合や酸素分を多く必要とする場合は、空気の代わりに酸素ガスが導入せられる。
【００１２】
請求項5の発明は、請求項4記載の微細気泡分散水の製造装置において、円柱状回転体の水導入側一端にケーシングの一端閉鎖壁内面と相対するインペラーが取付けられており、酸素含有ガス導入口部の外端がケーシングに満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられているものである。
【００１３】
請求項6の発明は、請求項4記載の微細気泡分散水の製造装置において、円柱状回転体の水導入側一端にケーシングの一端閉鎖壁内面と相対しかつ水の流れ方向に向かって径が大きくなった多数の貫通孔を有する負圧発生用環状回転板が取付けられており、酸素含有ガス導入口部の外端がケーシングに満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられているものである。
【発明の効果】
【００１４】
請求項１、2および4の発明によれば、ケーシング内に導入せられた水に大量のキャビテーションを発生させることができるので、上記用途に供し得る微細気泡分散水の製造装置を小型化できる。したがつて、設備費および運転費が従来装置に比し安価になる。とくに請求項１および2の発明では、キャビテーションが多数の硬質線状突起物の回転により発生するので、液中を高速回転するさいの抵抗が少なく、消費電力が少なくてすむという利点がある。また、請求項3の発明によれば、環状隔板に多数の貫通孔があけられているので、気泡含有被処理水が多数の貫通孔を通過するさいに気泡を一層水中に分散せしめ得る効果がある。
【００１５】
請求項5の発明によれば、ケーシングの一端閉鎖壁内面と相対して存在するインペラーにより、請求項6の発明によれば、ケーシングの一端閉鎖壁内面と相対して存在する負圧発生用環状回転板により、ケーシング内の酸素含有ガス導入口部のある側を負圧にできるから、外端がケーシングに満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられている酸素含有ガス導入口部から大気中の空気をケーシング内に自然に吸引でき、エアポンプを不必要となし得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の実施形態１を示すもので、ケーシング部分を縦断した側面図である。
【図２】図１のll−ll線にそう断面図である。
【図３】図１のlll−lll線にそう断面図である。
【図４】本発明の実施形態２を示すもので、ケーシング部分を縦断した側面図である。
【図５】本発明の実施形態３を示すもので、ケーシング部分を縦断した側面図である。
【図６】図５のVl−Vl線にそう断面図である。
【図７】図５のVll−Vll線にそう断面図である。
【図８】図５のVlll−Vlll線にそう断面図である。
【図９】本発明の実施形態４を示すもので、ケーシングの後部を縦断した部分側面図である。
【図１０】図９のX−Xにそう断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
〔実施形態１〕
図１ないし図３は、請求項１および3の発明を実施形態１として示すものであり、同図に示す微細気泡分散水の製造装置は、閉鎖前後壁（1a）（1b）を備えた水平円筒形密閉状ケーシング（1）内の長さ方向に水平円柱状回転体（2）が配置せられ、水平円柱状回転体（2）の周壁に多数の硬質線状突起物（３a）を所定幅でかつ全体として螺旋状に設けてなる硬質線状突起物群（3）が複数群水平円柱状回転体（2）の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング（1）内壁に環状隔板（4）が隣り合う硬質線状突起物群（3）の間でかつ水平円柱状回転体（2）と間隙をおいて設けられ、ケーシング（1）の後壁（1b）に水導入口部（5）と酸素含有ガス導入口部（6）が設けられるとともに、同前壁（1a）に微細気泡分散水排出口（7）が設けられ、ケーシング（1）の外に水平円柱状回転体（2）を高速回転せしめるモータ（8）が配置せられており、環状隔板（4）には多数の貫通孔（9）があけられているものである。環状隔板（4）の貫通孔（9）は空気含有被処理水中の空気を被処理水に分散せしめる効果があるのである方が好ましいが、環状隔板（4）は水平円柱状回転体（2）と間隙をおいて設けられており、被処理水はこの間隙を通過するのでなくてもよい。
【００１８】
なお、この明細書において、前とは、図１、図４および図5の右側をいい、後とは、同図の左側をいうものとする。
【００１９】
水平円柱状回転体（2）の回転軸（10）は、ケーシング（1）の閉鎖前後壁（1a）（1b）に設けられた軸受（11）に受けられ、モータ（8）の出力軸（12）の前端が回転軸（10）の後端に連結せられている。ケーシング（1）とモータ（8）は前者を前に、後者を後にして基台（13）上に据付けられている。環状隔板（4）の周縁部には、ケーシング（1）の内面にそう後方折曲部（４a）が設けられており、後方折曲部（４a）と後に存在する環状隔板（4）との間およびケーシング（1）の後壁（1b）との間にケーシング（1）の内面にそう短筒状スペーサ（14）が介在せられている。そして、前端環状隔板（4）とケーシング（1）の前壁（1a）との間のケーシング（1）の胴周内面（1c）の径は、環状隔板（4）の外周径より僅かに小さくなされている。環状隔板（4）の後方折曲部（４a）および短筒状スペーサ（14）の外面とこれらに対応するケーシング（1）内面には対向状に前後方向の溝（15）（16）が設けられ、これらの溝（15）（16）に上下に跨るピン（17）が差込まれている。なお、ケーシング（1）、環状隔板（4）およびスペーサ（14）は合成樹脂製である。
【００２０】
上記において、水導入口部（5）に図示しない水導入管が接続せられてポンフ゜により水が、また酸素含有ガス導入口部（6）に図示しない酸素ガス導入管が接続せられ、エアーポンプにより水の５０〜１５０容量%の空気がそれぞれケーシング（1）内に後から導入せられる。空気が水の５０容量％未満では、被処理水の溶存酸素量が少なくなり、空気が水の1５０容量％を超えると、被処理水の溶存酸素量は増えるが、処理量が少なくなり、処理量を多くしようとすると、装置が大型化する。ケーシング（1）内で水平円柱状回転体（2）が高速回転すると、これに設けられた硬質線状突起物群（3）の回転により空気含有被処理水の水と空気が攪拌され、硬質線状突起物群（3）の各硬質線状突起物（３a）の移動方向反対側に負圧が生じてキャビテーションが発生し、被処理水中に空気を微細化して分散させる。しかしながら、この状態は硬質線状突起物群が連続的に長く水平円柱状回転体（2）の周壁全体に螺旋状に設けられた場合、空気含有被処理水が硬質線状突起物群と連れ回りをし始め、キャビテーションの発生が激減する。この現象をなくすため、螺旋状配置の硬質線状突起物群（3）が複数群水平円柱状回転体（2）の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング（1）内壁に環状隔板（4）が隣り合う硬質線状突起物群（3）の間でかつ水平円柱状回転体（2）と間隙をおいて設けられているのである。硬質線状突起物群（3）と環状隔板（4）との数は、微細気泡分散水製造装置の必要処理量に応じて定められる。以上により、ケーシング（1）の後から前へ流れる空気含有被処理水の硬質線状突起物群と連れ回りしようとする現象が環状隔板（４）によって中断される。その結果、環状隔板（４）の多数の貫通孔（9）を後から前へ通過した被処理水には、新たにその前の硬質線状突起物群（3）の高速回転に伴ない大量のキャビテーションが発生するのである。
【００２１】
被処理水中には、最終的に空気が５〜０．１μｍ径の微細気泡に分散されている。前壁（1a）にある微細気泡分散水排出口（7）には、図示しない微細気泡分散水排出管が接続せられており、得られた微細気泡分散水が所要箇所へ送られる。
〔実施形態２〕
【００２２】
図4は、請求項2および3の発明を実施形態2として示すものであり、同図に示す微細気泡分散水の製造装置は、閉鎖前後壁（1a）（1b）を備えた水平円筒形密閉状ケーシング（1）内の長さ方向に水平円柱状回転体（2）が配置せられ、水平円柱状回転体（2）の周壁に多数の硬質線状突起物（18a）を所定幅でかつ全体として環状に設けてなる硬質線状突起物群（18）が複数群水平円柱状回転体（2）の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング（1）内壁に環状隔板（19）が硬質線状突起物群（18）の１つおきにかつ水平円柱状回転体（2）と間隙をおいて設けられ、ケーシング（1）の後壁（1b）に水導入口部（5）と酸素含有ガス導入口部（6）が設けられるとともに、同前壁（1a）に微細気泡分散水排出口（7）が設けられ、ケーシング（1）の外に円柱状回転体（2）を高速回転せしめるモータ（8）が配置せられており、環状隔板（19）には多数の貫通孔（20）があけられているものである。実施形態1と同様理由により、環状隔板（19）の貫通孔（20）はある方が好ましいが、なくてもよい。
【００２３】
環状隔板（19）の周縁部にはケーシング（1）の内面に沿いかつ後の環状隔板（19）の前面縁部に接する後方折曲部（19a）が設けられており、最後部の環状隔板（19）の後方折曲部（19a）とケーシング（1）の後壁（1b）との間にケーシング（1）の内面にそう短筒状スペーサ（32）が介在せられている。そして、前端環状隔板（4）とケーシング（1）の前壁（1a）との間のケーシング（1）の胴周内面（1c）の径は、環状隔板（4）の外周径より僅かに小さくなされている。なお、環状隔板（19）およびスペーサ（32）は合成樹脂製である。その他は、実施形態１と同様なので、図４に実施形態１と同一符号を付し、その説明を省略する。この実施形態2の作用も実施形態１の作用と実質的に異ならない。実施形態2では、環状隔板（19）が硬質線状突起物群（18）の１つおきに存在するが、複数おきに存在してもよい。ただ、空気含有被処理水が硬質線状突起物群（18）と連れ回りするのを避けるためには、環状隔板（19）が硬質線状突起物（18）の１つおきに存在するのが好ましい。なお、図４に示す硬質線状突起物群（18）における水平円柱状回転体（2）の長さ方向の幅を大きくし、環状というよりは筒状のようにしてもよい。
〔実施形態3〕
【００２４】
図5ないし図8は、請求項4および5の発明を実施形態3として示すものであり、同図に示す微細気泡分散水の製造装置は、閉鎖前後壁（1a）（1b）を備えた水平円筒形密閉状ケーシング（1）内の長さ方向に、周壁に複数の環状回転板（21）を所定間隔おきに備えた水平円柱状回転体（2）が配置せられ、他方ケーシング（1）内壁に複数の環状固定板（22）が環状回転板（21）と近接状に、具体的には2〜3ｍｍの間隔をおいて交互配置になりかつ水平円柱状回転体（2）と間隙をおいて設けられ、ケーシング（1）の後壁（1b）に水導入口部（23）と酸素含有ガス導入口部（24）が設けられるとともに、同前壁（1a）に微細気泡分散水排出口（25）が設けられ、ケーシング（1）の外に水平円柱状回転体（2）を高速回転せしめるモータ（8）が配置せられており、環状回転板（21）および環状固定板（22）には多数の貫通孔（26）（27）があけられているものである。
【００２５】
環状固定板（２２）の周縁部にはケーシング（1）の内面にそう後方折曲部（22a）が設けられており、最後部の環状固定板（22）の後方折曲部（22a）とケーシング（1）の後壁（1b）との間にケーシング（1）の内面にそう短筒状スペーサ（28）が介在せられている。そして、前端環状隔板（4）とケーシング（1）の前壁（1a）との間のケーシング（1）の胴周内面（1c）の径は、環状固定板（22）の外周径より僅かに小さくなされている。多数の貫通孔（26）（27）は円柱状回転体（2）の外周円と同心の複数の仮想円上にあり、環状回転板（21）の仮想円の径と環状固定板（22）の仮想円の径とはほぼ等しい。その結果、環状固定板（22）の貫通孔（27）、その前の環状回転板（21）の貫通孔（26）、さらにその前の環状固定板（22）の貫通孔（27）と順次通過する気泡含有被処理水は、環状回転板（21）が高速回転しているため、強制的に引き千切られるような形になり、気泡がより微細化する。環状回転板（21）の貫通孔（26）の径と環状固定板（22）の貫通孔（27）の径は、ともに５〜１０mmが好ましい。貫通孔（26）（27）の径は小さい程キャビテーションの発生量は大きくなるが、５mm未満では、被処理水が通りにくくなって消費電力の増加を招くとともに、処理量が少なくなる。逆に、貫通孔（26）（27）の径が１０mmを超えると、キャビテーションの発生量が少なくなる。
【００２６】
水平円柱状回転体（2）の後端にケーシング（1）の後壁（1b）内面と相対するインペラー（29）が取付けられており、酸素含有ガス導入口部（23）の外端がケーシング（1）に満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられている。インペラー（29）は、1つの円板（29a）とこれの後にケーシング（1）の後壁（1b）と近接状に設けられた４枚の湾曲状の羽根（29b）よりなる。なお、環状回転板（21）、環状固定板（22）、スペーサ（28）およびインペラー（29）は合成樹脂製である。その他は、実施形態１と同様なので、図5ないし図8に実施形態１と同一符号を付し、その説明を省略する。
【００２７】
上記において、水導入口部（23）に図示しない水導入管が接続せられてポンフ゜により水がケーシング（1）内に後から導入せられ、また水平円柱状回転体（2）の高速回転により、環状回転板（21）とともにインペラー（29）が回転し、酸素含有ガス導入口部（24）に大気中の空気が吸込まれてケーシング（２）内に空気が後から導入せせれる。そして、空気含有被処理水は交互に存在する環状回転板（21）と環状固定板（22）の多数の貫通孔（26）（27）を通過してケーシング（1）前部に至るが、環状回転板（21）が高速回転しているため、空気含有被処理水が環状回転板（21）の多数の貫通孔（26）を通過するさい、水と空気が貫通孔（26）の後縁で切断攪拌され、多数の貫通孔（26）の後縁移動方向後側に大量のキャビテーションが発生するのである。そして、環状回転板（21）の直ぐ前には環状固定板（22）が存在するので、今度は環状回転板（21）の多数の貫通孔（26）をこれと共に回転しながら通過した空気含有被処理水が環状固定板（22）の多数の貫通孔（27）を通過するさい、水と空気が貫通孔（27）の前縁で高速切断されて負圧が生じ、これにより環状固定板（22）の多数の貫通孔（27）を後から前へ通過しようとする被処理水には、環状回転板（21）の多数の貫通孔（26）の前縁移動方向反対側において、環状回転板（21）の多数の貫通孔（26）の高速回転に伴ない、大量のキャビテーションが発生するのである。被処理水中には、最終的に空気が０．１μｍ径程度の微細気泡に分散されている。前壁（1a）にある微細気泡分散水排出口（25）には、図示しない微細気泡分散水排出管が接続せられており、得られた微細気泡分散水が所要箇所へ送られる。
〔実施形態4〕
【００２８】
図9および図10は、請求項6の発明を実施形態4として示すものであり、同図に示す微細気泡分散水の製造装置は、実施形態3において、水平円柱状回転体（2）の後端に取付けられインペラー（29）の代わりに、ケーシング（1）の後壁（1b）内面と相対しかつ後から前に向かってすなわち水の流れ方向に向かって径が大きくなった多数の貫通孔（30）を有する負圧発生用環状回転板（31）が取付けられているものである。その他は、実施形態3と同様なので、図9および図10に実施形態3と同一符号を付し、その説明を省略する。
【００２９】
上記において、水導入口部（23）に図示しない水導入管が接続せられてポンフ゜により水がケーシング（1）内に後から導入せられる。また、水平円柱状回転体（2）の高速回転により、多数の貫通孔（30）を有する負圧発生用環状回転板（31）が回転し、ケーシング（1）内に後から導入せられた水が、各貫通孔（30）の狭い後の口から広い前の口に急速に流れることにより、負圧発生用環状回転板（３１）とケーシング（1）の後壁（1b）との間が負圧になる。その結果、酸素含有ガス導入口部（24）に外の空気が吸込まれてケーシング（1）内に空気が後から導入せれる。その他は、実施形態3と同様なのでその説明を省略する。
【００３０】
なお、実施形態3および4では、ケーシング（1）内の後部を負圧にすることにより、エアーポンプなしで大気中の空気をケーシング（1）に導入できるのは、実施形態1および2における硬質線状突起物群（3）（18）に代って被処理水の流通速度が大幅に遅くなる貫通孔（26）付き環状回転板（21）を使用しているからである。もちろん、酸素含有ガス導入口部（24）に酸素ガス導入管を接続し、エアーポンプにより空気をそれぞれケーシング（1）内に後から導入することもできる。
【００３１】
また、実施形態1ないし4はすべて横型であるが、これらを縦型にすることも可能である。
【符号の説明】
【００３２】
(１) ケーシング
（1a） ケーシングの前壁
（1b） ケーシングの後壁
(２) 円柱状回転体
(３) 螺旋状に設けてなる硬質線状突起物群
（３a）硬質線状突起物
(４) （19） 環状隔板
(５) （23） 水導入口部
(６) （24） 酸素含有ガス導入口部
(７) （25） 微細気泡分散水排出口
(８) モータ(回転駆動手段)
(９) （20） 環状隔板の貫通孔
（18） 硬質線状突起物群
（18a）硬質線状突起物
（21） 環状回転板
（22） 環状固定板
（26） 環状回転板の貫通孔
（27） 環状固定板の貫通孔
（29） インペラー
（30） 負圧発生用環状回転板の貫通孔
（31） 負圧発生用環状回転板
【先行技術文献】
【特許文献】
【００３３】
【特許文献１】特開２００３−５３３７３号公報
【特許文献２】特許３６８２２８６号公報
【技術分野】
【０００１】
本発明は、魚介類の養殖および輸送や植物の栽培に用いられる微細気泡分散水の製造装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一端に吸液口および吸気口を有する固定筒と固定筒内に配置せられた回転筒とよりなり、固定筒の内周面と回転筒の外周面とにそれぞれ永久磁石が具備せしめられ、固定筒内に導入せられた液体が永久磁石により形成せられる磁場を通過せしめられることにより、液体中の気泡を細分化して微細気泡分散液状物となす微細気泡分散液状物の製造装置が、下記文献１に開示せられている。また、球状中空器体と、器体の接線方向にあけられた気液導入口と、気液導入口から器体の中心を通る直線と直交する直径方向の両端部にあけられた気液噴出口とを備え、器体の接線方向にあけられた気液導入口から気液を器体に導入することによりこれを旋回流となし、気液噴出口に近づくにしたがって旋回速度を増し、気液噴出口から多量の微細気泡を含む液体を噴出せしめる微細気泡分散液の製造装置が、下記文献２に開示せられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
特許文献１および特許文献２における装置によれば、液中に微細気泡を発生させることはできるが、これらの装置により得られた微細気泡分散液を上記用途に用いようとした場合、微細気泡の発生量が相対的に少ないため、その製造量に限度がある。この問題をなくするためには、装置を大型化するか、装置台数を増やさざるを得ない。その結果、設備費とともに運転費が嵩むという問題があった。
【０００４】
本発明の目的は、小型で安価な装置により水中に微細気泡を大量に発生させることができる微細気泡分散水の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１の発明による微細気泡分散水の製造装置は、両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に円柱状回転体が配置せられ、円柱状回転体の周壁に多数の硬質線状突起物を所定幅でかつ全体として螺旋状に設けてなる硬質線状突起物群が複数群円柱状回転体の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング内壁に環状隔板が隣り合う硬質線状突起物群の間でかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口部と酸素含有ガス導入口部が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられているものである。
【０００６】
請求項２の発明による微細気泡分散水の製造装置は、両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に円柱状回転体が配置せられ、円柱状回転体の周壁に多数の硬質線状突起物を全体として環状ないし筒状に設けてなる硬質線状突起物群が複数群円柱状回転体の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング内壁に環状隔板が硬質線状突起物群の１または複数群おきにかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口部と酸素含有ガス導入口部が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられているものである。
【０００７】
上記請求項１および2の発明において、硬質線状突起物の材料としては、鋼が一般的であるが、硬質合成樹脂でもよい。
【０００８】
請求項３の発明は、請求項1または2記載の微細気泡分散水の製造装置において、環状隔板には多数の貫通孔があけられているものである。
【０００９】
請求項4の発明による微細気泡分散水の製造装置は、両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に、周壁長さ方向に複数の環状回転板を所定間隔おきに備えた円柱状回転体が配置せられ、他方ケーシング内壁に複数の環状固定板が環状回転板と近接状に交互配置にかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口と酸素含有ガス導入口が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられており、環状回転板および環状固定板にはともに多数の貫通孔があけられているものである。
【００１０】
上記請求項１ないし4の発明において、水導入口からケーシングに導入される水としては、海の魚介類の養殖および輸送用の場合は海水が、川の魚介類の養殖および輸送用の場合および植物の栽培用の場合は淡水が挙げられ、とくに魚介類の人工孵化の初期段階用としては、生存率を高めるミネラル含有水が好ましい。
【００１１】
また、酸素含有ガス導入口からケーシングに導入されるものとしては、空気が一般的であるが、窒素分の導入を避けたい場合や酸素分を多く必要とする場合は、空気の代わりに酸素ガスが導入せられる。
【００１２】
請求項5の発明は、請求項4記載の微細気泡分散水の製造装置において、円柱状回転体の水導入側一端にケーシングの一端閉鎖壁内面と相対するインペラーが取付けられており、酸素含有ガス導入口部の外端がケーシングに満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられているものである。
【００１３】
請求項6の発明は、請求項4記載の微細気泡分散水の製造装置において、円柱状回転体の水導入側一端にケーシングの一端閉鎖壁内面と相対しかつ水の流れ方向に向かって径が大きくなった多数の貫通孔を有する負圧発生用環状回転板が取付けられており、酸素含有ガス導入口部の外端がケーシングに満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられているものである。
【発明の効果】
【００１４】
請求項１、2および4の発明によれば、ケーシング内に導入せられた水に大量のキャビテーションを発生させることができるので、上記用途に供し得る微細気泡分散水の製造装置を小型化できる。したがつて、設備費および運転費が従来装置に比し安価になる。とくに請求項１および2の発明では、キャビテーションが多数の硬質線状突起物の回転により発生するので、液中を高速回転するさいの抵抗が少なく、消費電力が少なくてすむという利点がある。また、請求項3の発明によれば、環状隔板に多数の貫通孔があけられているので、気泡含有被処理水が多数の貫通孔を通過するさいに気泡を一層水中に分散せしめ得る効果がある。
【００１５】
請求項5の発明によれば、ケーシングの一端閉鎖壁内面と相対して存在するインペラーにより、請求項6の発明によれば、ケーシングの一端閉鎖壁内面と相対して存在する負圧発生用環状回転板により、ケーシング内の酸素含有ガス導入口部のある側を負圧にできるから、外端がケーシングに満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられている酸素含有ガス導入口部から大気中の空気をケーシング内に自然に吸引でき、エアポンプを不必要となし得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の実施形態１を示すもので、ケーシング部分を縦断した側面図である。
【図２】図１のll−ll線にそう断面図である。
【図３】図１のlll−lll線にそう断面図である。
【図４】本発明の実施形態２を示すもので、ケーシング部分を縦断した側面図である。
【図５】本発明の実施形態３を示すもので、ケーシング部分を縦断した側面図である。
【図６】図５のVl−Vl線にそう断面図である。
【図７】図５のVll−Vll線にそう断面図である。
【図８】図５のVlll−Vlll線にそう断面図である。
【図９】本発明の実施形態４を示すもので、ケーシングの後部を縦断した部分側面図である。
【図１０】図９のX−Xにそう断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
〔実施形態１〕
図１ないし図３は、請求項１および3の発明を実施形態１として示すものであり、同図に示す微細気泡分散水の製造装置は、閉鎖前後壁（1a）（1b）を備えた水平円筒形密閉状ケーシング（1）内の長さ方向に水平円柱状回転体（2）が配置せられ、水平円柱状回転体（2）の周壁に多数の硬質線状突起物（３a）を所定幅でかつ全体として螺旋状に設けてなる硬質線状突起物群（3）が複数群水平円柱状回転体（2）の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング（1）内壁に環状隔板（4）が隣り合う硬質線状突起物群（3）の間でかつ水平円柱状回転体（2）と間隙をおいて設けられ、ケーシング（1）の後壁（1b）に水導入口部（5）と酸素含有ガス導入口部（6）が設けられるとともに、同前壁（1a）に微細気泡分散水排出口（7）が設けられ、ケーシング（1）の外に水平円柱状回転体（2）を高速回転せしめるモータ（8）が配置せられており、環状隔板（4）には多数の貫通孔（9）があけられているものである。環状隔板（4）の貫通孔（9）は空気含有被処理水中の空気を被処理水に分散せしめる効果があるのである方が好ましいが、環状隔板（4）は水平円柱状回転体（2）と間隙をおいて設けられており、被処理水はこの間隙を通過するのでなくてもよい。
【００１８】
なお、この明細書において、前とは、図１、図４および図5の右側をいい、後とは、同図の左側をいうものとする。
【００１９】
水平円柱状回転体（2）の回転軸（10）は、ケーシング（1）の閉鎖前後壁（1a）（1b）に設けられた軸受（11）に受けられ、モータ（8）の出力軸（12）の前端が回転軸（10）の後端に連結せられている。ケーシング（1）とモータ（8）は前者を前に、後者を後にして基台（13）上に据付けられている。環状隔板（4）の周縁部には、ケーシング（1）の内面にそう後方折曲部（４a）が設けられており、後方折曲部（４a）と後に存在する環状隔板（4）との間およびケーシング（1）の後壁（1b）との間にケーシング（1）の内面にそう短筒状スペーサ（14）が介在せられている。そして、前端環状隔板（4）とケーシング（1）の前壁（1a）との間のケーシング（1）の胴周内面（1c）の径は、環状隔板（4）の外周径より僅かに小さくなされている。環状隔板（4）の後方折曲部（４a）および短筒状スペーサ（14）の外面とこれらに対応するケーシング（1）内面には対向状に前後方向の溝（15）（16）が設けられ、これらの溝（15）（16）に上下に跨るピン（17）が差込まれている。なお、ケーシング（1）、環状隔板（4）およびスペーサ（14）は合成樹脂製である。
【００２０】
上記において、水導入口部（5）に図示しない水導入管が接続せられてポンフ゜により水が、また酸素含有ガス導入口部（6）に図示しない酸素ガス導入管が接続せられ、エアーポンプにより水の５０〜１５０容量%の空気がそれぞれケーシング（1）内に後から導入せられる。空気が水の５０容量％未満では、被処理水の溶存酸素量が少なくなり、空気が水の1５０容量％を超えると、被処理水の溶存酸素量は増えるが、処理量が少なくなり、処理量を多くしようとすると、装置が大型化する。ケーシング（1）内で水平円柱状回転体（2）が高速回転すると、これに設けられた硬質線状突起物群（3）の回転により空気含有被処理水の水と空気が攪拌され、硬質線状突起物群（3）の各硬質線状突起物（３a）の移動方向反対側に負圧が生じてキャビテーションが発生し、被処理水中に空気を微細化して分散させる。しかしながら、この状態は硬質線状突起物群が連続的に長く水平円柱状回転体（2）の周壁全体に螺旋状に設けられた場合、空気含有被処理水が硬質線状突起物群と連れ回りをし始め、キャビテーションの発生が激減する。この現象をなくすため、螺旋状配置の硬質線状突起物群（3）が複数群水平円柱状回転体（2）の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング（1）内壁に環状隔板（4）が隣り合う硬質線状突起物群（3）の間でかつ水平円柱状回転体（2）と間隙をおいて設けられているのである。硬質線状突起物群（3）と環状隔板（4）との数は、微細気泡分散水製造装置の必要処理量に応じて定められる。以上により、ケーシング（1）の後から前へ流れる空気含有被処理水の硬質線状突起物群と連れ回りしようとする現象が環状隔板（４）によって中断される。その結果、環状隔板（４）の多数の貫通孔（9）を後から前へ通過した被処理水には、新たにその前の硬質線状突起物群（3）の高速回転に伴ない大量のキャビテーションが発生するのである。
【００２１】
被処理水中には、最終的に空気が５〜０．１μｍ径の微細気泡に分散されている。前壁（1a）にある微細気泡分散水排出口（7）には、図示しない微細気泡分散水排出管が接続せられており、得られた微細気泡分散水が所要箇所へ送られる。
〔実施形態２〕
【００２２】
図4は、請求項2および3の発明を実施形態2として示すものであり、同図に示す微細気泡分散水の製造装置は、閉鎖前後壁（1a）（1b）を備えた水平円筒形密閉状ケーシング（1）内の長さ方向に水平円柱状回転体（2）が配置せられ、水平円柱状回転体（2）の周壁に多数の硬質線状突起物（18a）を所定幅でかつ全体として環状に設けてなる硬質線状突起物群（18）が複数群水平円柱状回転体（2）の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング（1）内壁に環状隔板（19）が硬質線状突起物群（18）の１つおきにかつ水平円柱状回転体（2）と間隙をおいて設けられ、ケーシング（1）の後壁（1b）に水導入口部（5）と酸素含有ガス導入口部（6）が設けられるとともに、同前壁（1a）に微細気泡分散水排出口（7）が設けられ、ケーシング（1）の外に円柱状回転体（2）を高速回転せしめるモータ（8）が配置せられており、環状隔板（19）には多数の貫通孔（20）があけられているものである。実施形態1と同様理由により、環状隔板（19）の貫通孔（20）はある方が好ましいが、なくてもよい。
【００２３】
環状隔板（19）の周縁部にはケーシング（1）の内面に沿いかつ後の環状隔板（19）の前面縁部に接する後方折曲部（19a）が設けられており、最後部の環状隔板（19）の後方折曲部（19a）とケーシング（1）の後壁（1b）との間にケーシング（1）の内面にそう短筒状スペーサ（32）が介在せられている。そして、前端環状隔板（4）とケーシング（1）の前壁（1a）との間のケーシング（1）の胴周内面（1c）の径は、環状隔板（4）の外周径より僅かに小さくなされている。なお、環状隔板（19）およびスペーサ（32）は合成樹脂製である。その他は、実施形態１と同様なので、図４に実施形態１と同一符号を付し、その説明を省略する。この実施形態2の作用も実施形態１の作用と実質的に異ならない。実施形態2では、環状隔板（19）が硬質線状突起物群（18）の１つおきに存在するが、複数おきに存在してもよい。ただ、空気含有被処理水が硬質線状突起物群（18）と連れ回りするのを避けるためには、環状隔板（19）が硬質線状突起物（18）の１つおきに存在するのが好ましい。なお、図４に示す硬質線状突起物群（18）における水平円柱状回転体（2）の長さ方向の幅を大きくし、環状というよりは筒状のようにしてもよい。
〔実施形態3〕
【００２４】
図5ないし図8は、請求項4および5の発明を実施形態3として示すものであり、同図に示す微細気泡分散水の製造装置は、閉鎖前後壁（1a）（1b）を備えた水平円筒形密閉状ケーシング（1）内の長さ方向に、周壁に複数の環状回転板（21）を所定間隔おきに備えた水平円柱状回転体（2）が配置せられ、他方ケーシング（1）内壁に複数の環状固定板（22）が環状回転板（21）と近接状に、具体的には2〜3ｍｍの間隔をおいて交互配置になりかつ水平円柱状回転体（2）と間隙をおいて設けられ、ケーシング（1）の後壁（1b）に水導入口部（23）と酸素含有ガス導入口部（24）が設けられるとともに、同前壁（1a）に微細気泡分散水排出口（25）が設けられ、ケーシング（1）の外に水平円柱状回転体（2）を高速回転せしめるモータ（8）が配置せられており、環状回転板（21）および環状固定板（22）には多数の貫通孔（26）（27）があけられているものである。
【００２５】
環状固定板（２２）の周縁部にはケーシング（1）の内面にそう後方折曲部（22a）が設けられており、最後部の環状固定板（22）の後方折曲部（22a）とケーシング（1）の後壁（1b）との間にケーシング（1）の内面にそう短筒状スペーサ（28）が介在せられている。そして、前端環状隔板（4）とケーシング（1）の前壁（1a）との間のケーシング（1）の胴周内面（1c）の径は、環状固定板（22）の外周径より僅かに小さくなされている。多数の貫通孔（26）（27）は円柱状回転体（2）の外周円と同心の複数の仮想円上にあり、環状回転板（21）の仮想円の径と環状固定板（22）の仮想円の径とはほぼ等しい。その結果、環状固定板（22）の貫通孔（27）、その前の環状回転板（21）の貫通孔（26）、さらにその前の環状固定板（22）の貫通孔（27）と順次通過する気泡含有被処理水は、環状回転板（21）が高速回転しているため、強制的に引き千切られるような形になり、気泡がより微細化する。環状回転板（21）の貫通孔（26）の径と環状固定板（22）の貫通孔（27）の径は、ともに５〜１０mmが好ましい。貫通孔（26）（27）の径は小さい程キャビテーションの発生量は大きくなるが、５mm未満では、被処理水が通りにくくなって消費電力の増加を招くとともに、処理量が少なくなる。逆に、貫通孔（26）（27）の径が１０mmを超えると、キャビテーションの発生量が少なくなる。
【００２６】
水平円柱状回転体（2）の後端にケーシング（1）の後壁（1b）内面と相対するインペラー（29）が取付けられており、酸素含有ガス導入口部（23）の外端がケーシング（1）に満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられている。インペラー（29）は、1つの円板（29a）とこれの後にケーシング（1）の後壁（1b）と近接状に設けられた４枚の湾曲状の羽根（29b）よりなる。なお、環状回転板（21）、環状固定板（22）、スペーサ（28）およびインペラー（29）は合成樹脂製である。その他は、実施形態１と同様なので、図5ないし図8に実施形態１と同一符号を付し、その説明を省略する。
【００２７】
上記において、水導入口部（23）に図示しない水導入管が接続せられてポンフ゜により水がケーシング（1）内に後から導入せられ、また水平円柱状回転体（2）の高速回転により、環状回転板（21）とともにインペラー（29）が回転し、酸素含有ガス導入口部（24）に大気中の空気が吸込まれてケーシング（２）内に空気が後から導入せせれる。そして、空気含有被処理水は交互に存在する環状回転板（21）と環状固定板（22）の多数の貫通孔（26）（27）を通過してケーシング（1）前部に至るが、環状回転板（21）が高速回転しているため、空気含有被処理水が環状回転板（21）の多数の貫通孔（26）を通過するさい、水と空気が貫通孔（26）の後縁で切断攪拌され、多数の貫通孔（26）の後縁移動方向後側に大量のキャビテーションが発生するのである。そして、環状回転板（21）の直ぐ前には環状固定板（22）が存在するので、今度は環状回転板（21）の多数の貫通孔（26）をこれと共に回転しながら通過した空気含有被処理水が環状固定板（22）の多数の貫通孔（27）を通過するさい、水と空気が貫通孔（27）の前縁で高速切断されて負圧が生じ、これにより環状固定板（22）の多数の貫通孔（27）を後から前へ通過しようとする被処理水には、環状回転板（21）の多数の貫通孔（26）の前縁移動方向反対側において、環状回転板（21）の多数の貫通孔（26）の高速回転に伴ない、大量のキャビテーションが発生するのである。被処理水中には、最終的に空気が０．１μｍ径程度の微細気泡に分散されている。前壁（1a）にある微細気泡分散水排出口（25）には、図示しない微細気泡分散水排出管が接続せられており、得られた微細気泡分散水が所要箇所へ送られる。
〔実施形態4〕
【００２８】
図9および図10は、請求項6の発明を実施形態4として示すものであり、同図に示す微細気泡分散水の製造装置は、実施形態3において、水平円柱状回転体（2）の後端に取付けられインペラー（29）の代わりに、ケーシング（1）の後壁（1b）内面と相対しかつ後から前に向かってすなわち水の流れ方向に向かって径が大きくなった多数の貫通孔（30）を有する負圧発生用環状回転板（31）が取付けられているものである。その他は、実施形態3と同様なので、図9および図10に実施形態3と同一符号を付し、その説明を省略する。
【００２９】
上記において、水導入口部（23）に図示しない水導入管が接続せられてポンフ゜により水がケーシング（1）内に後から導入せられる。また、水平円柱状回転体（2）の高速回転により、多数の貫通孔（30）を有する負圧発生用環状回転板（31）が回転し、ケーシング（1）内に後から導入せられた水が、各貫通孔（30）の狭い後の口から広い前の口に急速に流れることにより、負圧発生用環状回転板（３１）とケーシング（1）の後壁（1b）との間が負圧になる。その結果、酸素含有ガス導入口部（24）に外の空気が吸込まれてケーシング（1）内に空気が後から導入せれる。その他は、実施形態3と同様なのでその説明を省略する。
【００３０】
なお、実施形態3および4では、ケーシング（1）内の後部を負圧にすることにより、エアーポンプなしで大気中の空気をケーシング（1）に導入できるのは、実施形態1および2における硬質線状突起物群（3）（18）に代って被処理水の流通速度が大幅に遅くなる貫通孔（26）付き環状回転板（21）を使用しているからである。もちろん、酸素含有ガス導入口部（24）に酸素ガス導入管を接続し、エアーポンプにより空気をそれぞれケーシング（1）内に後から導入することもできる。
【００３１】
また、実施形態1ないし4はすべて横型であるが、これらを縦型にすることも可能である。
【符号の説明】
【００３２】
(１) ケーシング
（1a） ケーシングの前壁
（1b） ケーシングの後壁
(２) 円柱状回転体
(３) 螺旋状に設けてなる硬質線状突起物群
（３a）硬質線状突起物
(４) （19） 環状隔板
(５) （23） 水導入口部
(６) （24） 酸素含有ガス導入口部
(７) （25） 微細気泡分散水排出口
(８) モータ(回転駆動手段)
(９) （20） 環状隔板の貫通孔
（18） 硬質線状突起物群
（18a）硬質線状突起物
（21） 環状回転板
（22） 環状固定板
（26） 環状回転板の貫通孔
（27） 環状固定板の貫通孔
（29） インペラー
（30） 負圧発生用環状回転板の貫通孔
（31） 負圧発生用環状回転板
【先行技術文献】
【特許文献】
【００３３】
【特許文献１】特開２００３−５３３７３号公報
【特許文献２】特許３６８２２８６号公報
【特許請求の範囲】
【請求項１】
両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に円柱状回転体が配置せられ、円柱状回転体の周壁に多数の硬質線状突起物を所定幅でかつ全体として螺旋状に設けてなる硬質線状突起物群が複数群円柱状回転体の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング内壁に環状隔板が隣り合う硬質線状突起物群の間でかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口部と酸素含有ガス導入口部が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられている微細気泡分散水の製造装置。
【請求項２】
両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に円柱状回転体が配置せられ、円柱状回転体の周壁に多数の硬質線状突起物を全体として環状ないし筒状に設けてなる硬質線状突起物群が複数群円柱状回転体の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング内壁に環状隔板が硬質線状突起物群の１または複数群おきにかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口部と酸素含有ガス導入口部が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられている微細気泡分散水の製造装置。
【請求項３】
環状隔板には多数の貫通孔があけられている請求項1または2記載の微細気泡分散水の製造装置。
【請求項４】
両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に、周壁長さ方向に複数の環状回転板を所定間隔おきに備えた円柱状回転体が配置せられ、他方ケーシング内壁に複数の環状固定板が環状回転板と近接状に交互配置にかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口と酸素含有ガス導入口が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられており、環状回転板および環状固定板にはともに多数の貫通孔があけられている微細気泡分散水の製造装置。
【請求項５】
円柱状回転体の水導入側一端にケーシングの一端閉鎖壁内面と相対するインペラーが取付けられており、酸素含有ガス導入口部の外端がケーシングに満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられている請求項4記載の微細気泡分散水の製造装置。
【請求項６】
円柱状回転体の水導入側一端にケーシングの一端閉鎖壁内面と相対しかつ水の流れ方向に向かって径が大きくなった多数の貫通孔を有する負圧発生用環状回転板が取付けられており、酸素含有ガス導入口部の外端がケーシングに満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられている請求項4記載の微細気泡分散水の製造装置。
【請求項１】
両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に円柱状回転体が配置せられ、円柱状回転体の周壁に多数の硬質線状突起物を所定幅でかつ全体として螺旋状に設けてなる硬質線状突起物群が複数群円柱状回転体の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング内壁に環状隔板が隣り合う硬質線状突起物群の間でかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口部と酸素含有ガス導入口部が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられている微細気泡分散水の製造装置。
【請求項２】
両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に円柱状回転体が配置せられ、円柱状回転体の周壁に多数の硬質線状突起物を全体として環状ないし筒状に設けてなる硬質線状突起物群が複数群円柱状回転体の長さ方向に所定間隔おきに配され、他方ケーシング内壁に環状隔板が硬質線状突起物群の１または複数群おきにかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口部と酸素含有ガス導入口部が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられている微細気泡分散水の製造装置。
【請求項３】
環状隔板には多数の貫通孔があけられている請求項1または2記載の微細気泡分散水の製造装置。
【請求項４】
両端に閉鎖壁を備えた円筒形密閉状ケーシング内の長さ方向に、周壁長さ方向に複数の環状回転板を所定間隔おきに備えた円柱状回転体が配置せられ、他方ケーシング内壁に複数の環状固定板が環状回転板と近接状に交互配置にかつ円柱状回転体と間隙をおいて設けられ、ケーシングの一端部に水導入口と酸素含有ガス導入口が設けられるとともに、同他端部に微細気泡分散水排出口が設けられ、ケーシングの外に円柱状回転体を高速回転せしめる回転駆動手段が配置せられており、環状回転板および環状固定板にはともに多数の貫通孔があけられている微細気泡分散水の製造装置。
【請求項５】
円柱状回転体の水導入側一端にケーシングの一端閉鎖壁内面と相対するインペラーが取付けられており、酸素含有ガス導入口部の外端がケーシングに満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられている請求項4記載の微細気泡分散水の製造装置。
【請求項６】
円柱状回転体の水導入側一端にケーシングの一端閉鎖壁内面と相対しかつ水の流れ方向に向かって径が大きくなった多数の貫通孔を有する負圧発生用環状回転板が取付けられており、酸素含有ガス導入口部の外端がケーシングに満たされる水の上面より高い位置に存在せしめられている請求項4記載の微細気泡分散水の製造装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２０１０−２４０５６２（Ｐ２０１０−２４０５６２Ａ）
【公開日】平成２２年１０月２８日（２０１０．１０．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−９１４０５（Ｐ２００９−９１４０５）
【出願日】平成２１年４月３日（２００９．４．３）
【特許番号】特許第４３９２５４０号（Ｐ４３９２５４０）
【特許公報発行日】平成２２年１月６日（２０１０．１．６）
【出願人】（５０７０９２７７９）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１０月２８日（２０１０．１０．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年４月３日（２００９．４．３）
【特許番号】特許第４３９２５４０号（Ｐ４３９２５４０）
【特許公報発行日】平成２２年１月６日（２０１０．１．６）
【出願人】（５０７０９２７７９）
【Ｆターム（参考）】
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