説明

微細気泡発生装置

【課題】 従来の微細気泡発生装置は、供給圧力を高くしないと、多量の微細気泡が発生しなかった。その為に、騒音も高くなり、ポンプの動力が大きく、システム全体が大きく、高価となっていた。
【解決手段】旋回室での摩擦抵抗の低減と旋回流速に余分な加速度が生じない形状と、旋回室外周にベーン状ノズルと、予旋回室と、さらに、導入口からの液体の流れ方向を滑らかに変更する案内ベーンを設け、旋回室での流体が滑らかに旋回運動する様にし、旋回角速度の高速化をおこなう。また、旋回室の導出口の直後に循環用筒状蓋を付け、大径の気泡を選択的に、再度、せん断させる構造とする。さらに、液中に溶解され、未発泡のものを、減圧発泡を促進させる流路を通過させる。これに依り、低消費エネルギーでも、多量の微細気泡を発生させる事が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に、水槽や浴槽、養殖池等の水中又は気液反応槽の液中に微細な気泡を多量に発生させる微細気泡発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細な気泡を水中に発生させる事により、水の浄化、浄化の補助、水中への溶存酸素増加手段、又は、気液反応槽の反応速度、反応効率を向上させたり、ペットや人の浴槽に微細な気泡を発生させマッサージ効果や温熱効果や洗浄効果を得たり、部品等の汚れを取り除く等の研究、開発、商品化が行われているが、多量に微細な気泡を発生させるには、高い供給圧力が必要であった。
【0003】
従来の微細気泡発生装置の旋回室の形状として例えば、特開2000−000447号公報には、「円錐形、円錐台形、徳利形状又はワインボトル形状のスペースを有する容器本体と、同スペースの内壁円周面の一部にその接線方向に開設された加圧液体導入口と」が開示されている。
【0004】
特許3682286号公報には「略回転対称に形成され回転対称軸の軸方向の一方又は双方に向かって縮径した中空部を有する器体と、前記器体の周壁部に接線方向に開口された気液導入孔と」が開示されている。
【0005】
特開2004−195393号公報には「内部に円形の液室を形成した短い筒体の一端を端壁で閉じ、他端は液室に連通する所定径の開口を設け、断面を略鈎形コ字状とした混合筒から成り、この混合筒には液室の外周の接線方向に液室と連通するように設けた外部から水を導入するための導水管と」が開示されている。
【0006】
特開2006−142300号公報には「円筒状のケーシング内部に形成された気液の旋回可能な空間である気液旋回室と(途中省略)液体導入口は、この二重円筒構造部分の液体供給円筒の周壁面の上方に設けられ、前記二重円筒構造部分のケーシングと液体供給円筒との間に形成される空間が、前記液体導入口から導入された液体によって発生する旋回流を整流する予備旋回部を構成し」が開示されている。
【0007】
特開2006−015312号公報には「液体の流入のための第1の入口と、気体の流入のための第2の入口と、気体を混合させた液体を旋回せしめるハウジング(ハウジングの内周はインボリュート様曲線に沿った形状をなしている)と」が開示されている。
【0008】
特開2007−237155号公報には「円筒型の胴に円形凹レンズ様の内室を有し、内壁円周部の接線方向に乱れなく沿って、旋回流が形成するよう内室円周部に、胴と平行に、細隙を開け、加圧した液体の導入口とし」が開示されている。
【0009】
特開2007−111616号公報には「旋回流が生じ得る空間(空間は、円柱または円錐状)を有する容器と、前記空間内に旋回流を生じさせる加圧液体を前記容器内へ導くように前記容器の側面に設けられた加圧液体導入口と」が開示されている。
【特許文献1】特開2000−000447号公報
【特許文献2】特許3682286号公報
【特許文献3】特開2004−195393号公報
【特許文献4】特開2006−142300号公報
【特許文献5】特開2006−015312号公報
【特許文献6】特開2007−237155号公報
【特許文献7】特開2007−111616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来技術は以下の課題を有している。
図19に示すように、特許文献4を除く従来技術では、加圧流体が旋回流を起こす旋回室に突入する導入口の流速は2m/秒前後であることと、外周の低速域600では摩擦抵抗もあることや、特許文献4では、導入方向と旋回方向に角度があり運動エネルギーの無駄と乱流を起こす、また、殆んどのものが旋回室の径に対して、突入流の径の割合が大のため、旋回角速度が増速される増速域601の実質的な径が少なくなり、旋回流の導出口での旋回速度が低くなっている、これを解消するために、加圧流体の供給圧力を高くする必要があった。
【0011】
また、旋回室の形状も、円柱状、円錐形、円錐台形、徳利形状、ワインボトル形状、球状、砲弾状、半球状、短筒状、外周がインボリュート形状、凹レンズ状と様々あるが、導入口から旋回室に入り旋回運動をする液体は、壁面の不必要な摩擦抵抗以外にも、不必要な減速、加速による加速度が発生する形状となっており、より多くのエネルギーが必要となり、上記と同様に加圧流体の供給圧力を高くする必要があった。
【0012】
さらに、多くのタイプで歪んだ旋回流で不必要な乱流発生と気泡のせん断による振動、騒音が大きいという問題があった。
【0013】
また、一例として、牛乳風呂の様な浴槽用高濃度の発生装置として商品化されている機器の微細気泡発生器への供給圧力は、低圧のものでも0.26MPa程度とエネルギーを多く消費し、ポンプ等の周辺装置が高出力となり、大型、高価となっていた。
【0014】
なお、旋回式の微細気泡発生装置の特性として、液体の導出口での旋回速度を早めると、気泡のサイズが小さくなり、供給気体の量を増やすと、気泡のサイズが大きくなる、という特性がある。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、より少ない動力で、より多くの、より有効な50ミクロン前後の径の、微細気泡を発生させ、かつ、振動、騒音の発生を抑制した、微細気泡発生装置を開発し、微細気泡発生システム全体を、コンパクト化し、低価格で、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の微細気泡発生装置は、単位体積当りの液中に微細気泡を増加させるために考案されたもので、これを達成するには、限られた動力で、旋回した液体の導出口での旋回速度をより高速とし、せん断力を高める必要がある。
【0017】
その為には、液体導入口より供給された液体の運動エネルギー、圧力エネルギーを有効に使う様、液体が高速運動をしている旋回室での摩擦抵抗の削減、減速によるエネルギーロスの削減、旋回流に余分な加速度を発生させない旋回室の形状、流れ方向を滑らかにする事により、可能となる。本発明者は、次の方策を考案した。
【0018】
本発明の請求項1に記載の微細気泡発生装置は、図1、図2に示すように、旋回室外周部に取り付けられたノズル幅と同じ幅W1に周長を乗じた面積と、中間部の幅W2に周長を乗じた面積と、導出部の幅W3に周長を乗じた面積とが同じになる様な曲面をもたせ、ノズルから噴出した速度と1周目、2周目、n周目の流速をほぼ同じにすることで、旋回流に余分な加速度が生じない様、成型され、略、高さの違う富士山の輪郭を二重に重ねて出来る中間の空間様の前壁、後壁を持つ主旋回室を備える。
【0019】
なお、従来技術では様々な旋回室の形状があるが、旋回流速度に加速度が付き、結果的に抵抗となり、供給圧力を高める必要がある。
【0020】
また前壁の頂部に当る位置の中心線上に高速旋回する液体の導出口を穿孔し、旋回室から開放端までの寸法を1mm前後と極力短くし、最高回転となる液体とケースとの間で発生する摩擦抵抗を少なくしている。
【0021】
なお、従来技術ではこれが、数mmから約10mmと長く、放出するまで、旋回角速度が減速されていた。
【0022】
また主旋回室の外周に、その接線方向に向け薄い帯板状の噴流を発生する一定速または、流入部より流出部の面積を序々に減少させ、噴流を増速させる機能を備えた10箇所前後のベーン状ノズルが取り付けられている。これにより、旋回室での旋回が乱れる事無く旋回角速度が増速され高速となる。また導出口における旋回角速度にあわせた、旋回室外周での初期流速を任意に決めることが出来る為、流量に合わせた設計が可能となる。
【0023】
なお、従来技術では、その殆んどが、処理水量に依り決まる導入口のサイズに合わせた内径のまま、旋回室に噴出されており、旋回室の外周部は、広い接触面で発生する摩擦抵抗もあり、流速が一旦、減速され、その後、小径の範囲で、旋回角速度の増速がおこなわれ、結果的に、旋回角速度が、高くなりにくい物であった。
【0024】
また、その外周に液体導入口よりベーン状ノズルへ滑らかに且つ均等に液体が導かれる様成型された予旋回室を備えている。この液体導入口の内径は同一径もしくは、先細りとさせ流速を早くさせる構造としてもよい。
【0025】
また、従来技術では、ノズル周辺の外周との摩擦抵抗で旋回速度が低減されていたが、本発明では、旋回室外周部の厚さW1をベーン状ノズルの幅と同じ寸法にする事で、噴流の速度が有効に旋回運動のために使われる。
【0026】
また、主旋回室の後壁の中心付近に凸部を設け、中心に向かった旋回流を、導出口へ、滑らかに、方向変換させる様にしている。
【0027】
上記、構造とする事で、中心部の旋回角速度が十分に高速度となり、遠心力、向心力が働き、中心線上に、気柱軸が発生する。旋回流が導出口で最高回転となり外部に放出される。この時、粘性で気柱軸の気体を引き千切り、巻き込んで磨り潰し、気泡をせん断し、微細気泡を多量に発生させることができる様にした微細気泡発生装置である。
【0028】
本発明の請求項2に記載の微細気泡発生装置は、図3に示すように、請求項1に記載の微細気泡発生装置において、後壁部を取り去り、その面で対称になる様、背中合わせに設置し、ベーン状ノズルの方向を統一させ、液体導入口を1箇所とし、主旋回室の空間は、両吸込渦巻ポンプの羽根車の輪郭の形状をした、請求項1に記載の前壁部を2個とし、結果、導出口は2箇所となる、予旋回室を備えたベーン状ノズル部1組の少ない部品で2倍の流量の処理が可能となる、微細気泡発生装置である。
【0029】
本発明の請求項3に記載の微細気泡発生装置は、図4に示すように、高速旋回する液体の導出口の直後に、後壁の付いた、周上に複数の穴が穿孔された内径が導出口と同程度の筒状体を持つ蓋、または、その穴より外部側は円錐状に拡大された内径が導出口と同程度の筒状体を持つ蓋を設置し、導出口より放出された微細気泡を含む膜状となった気液が通過出来、かつ中心部が負圧となる、最小な間隔を隔てて設置する。この筒状体を持つ蓋の筒の外周は、微細気泡を含む液体で満たされており、低速になっているが旋回運動をしており、せん断された気泡の大径の物や一時的に多量に混入した気体は穴が穿孔された筒状の外周に、向心力により、選択的に集まる。小径の微細気泡は液体と共に外周部より外部へ放出される。この集まった気体や大径気泡混じりの液体は、筒の周上の穴に向い、この穴より吸込まれ、再度せん断させる様にしている、また、筒の周上の穴より外部側は円錐状に拡大させ、気体や大径気泡を穴に導く様にし、この穴より吸込まれ、再度せん断させる様にしている、循環流路を備えた、さらに、騒音を低減させる機能を備えた、請求項1乃至2に記載の微細気泡発生装置である。
【0030】
本発明の請求項4に記載の微細気泡発生装置は、図5、図6、図7、図8に示すように、液体導入口と予旋回室の間に、液体の流れ方向を変え、予旋回を与える事により、ベーン状ノズルへ液体がより滑らかに且つ均等に液体が導かれる。また、旋回している液体の運動エネルギーが有効に活かされる。この様な、案内ベーンを備えた、請求項1乃至3に記載の微細気泡発生装置である。
【0031】
本発明の請求項5に記載の微細気泡発生装置は、図9、図10に示すように、主旋回室の後壁の頂部の中心線上の位置に、気体導入口を設け、外部より気体を吸入出来る様に流路を備えた、請求項1乃至4に記載の微細気泡発生装置である。
【0032】
なお、従来技術では、液体導入口が直接、接線方向で旋回室に、流入する為、高速旋回する液体の中心軸が、供給圧力によって僅かに変動する。その為に、設計圧力より離れた圧力で供給した場合、旋回中心線上に発生した気柱軸が、気体導入口の位置とずれ、吸気不良や、これによる気柱軸の高真空でキャビテーションが発生し、気体導入口付近が侵食されることがある。
【0033】
本発明の請求項6に記載の微細気泡発生装置は、図11、図12、図13、図14に示すように、液体中に加圧溶解された気体の一部は気泡化されないまま放出されており、この溶解された気体を効率良く気泡化する為に、高速旋回する液体の導出口の直後または、請求項3の循環流路構造の直後に、所定の空間を設け、外部側壁に筒状またはコーン状の減圧発泡を促進させる流路を設け、ここで減圧発泡をさせ、微細気泡をより多く発生することができ、さらに、騒音を低減させる機能を備えた、請求項1乃至5に記載の微細気泡発生装置である。
【0034】
本発明の請求項7に記載の微細気泡発生装置は、排水、汚水処理等で使用する場合、ストレーナで完全に捕捉し難い繊維状の異物が、ベーン状ノズルに引っ掛るという問題点を解決するもので、図15に示すように、前壁と後壁の間隔を保ったまま、また図16に示すように、前壁どうしの間隔を保ったまま、ベーン状ノズルの幅を減少させ、前壁側または後壁側あるいは中間に隙間を設け、異物が通過し易くした、請求項1乃至6に記載の微細気泡発生装置である。
【0035】
本発明の請求項8に記載の微細気泡発生装置は、請求項3に記載の微細気泡発生装置において、さらに気泡径選択機能と溶解気体の発泡を促進させる機能を持たせるための構造で、図17に示すように、循環用筒状蓋の循環用筒状部の外周に流体による抵抗が無視できる程度の流路面積をもたせる様に径方向に間隙を設けた筒状体を設置し、ここでの旋回角速度を最大となる様にして大小の気泡の選択機能を最大とする。さらに、前記筒状体の外周に同じ様に2つ目の筒状体を設け、流路をジグザグに通し、渦流を発生させる事により、導入された液体中に溶解された溶存気体を、発泡させる。そのために、その筒状体の一端に複数のスリット状、穴状の流路を設けるか、流路分を短くした、1重または2重の円筒状の筒状体を設ける。このスリット、穴、隙間の位置は1重目は導出口の反対側に、2重目は導出口側に設ける。これにより微細気泡をより多く発生することができる。気泡径選択強化機能と溶解気体の発泡を促進させる機能を持たせた、筒状体を組み込んだ、請求項1乃至7に記載の微細気泡発生装置である。
【0036】
本発明の請求項9に記載の微細気泡発生装置は、図18に示すように、後壁部の形状を富士山様から円錐状とし、ベーン状ノズル流入部の流れを鋭角から鈍角とし、乱流の防止と摩擦抵抗の低減を図るべく主旋回室外周部の流れ方向を斜流とした請求項1および請求項3乃至8に記載の微細気泡発生装置である。
【0037】
本発明の請求項10に記載の微細気泡発生装置は、図19に示すように、請求項3に記載の微細気泡発生装置において、循環用筒状蓋の循環用筒状部を蓋付の筒状体とし、蓋後壁と軸方向に移動可能となる様に分離し、可撓性と弾性を持った連通部がある支持部材により、初期位置は、運転中の導出口より放出された微細気泡を含む膜状となった気液が通過出来、かつ筒の中心部が負圧となる最小な間隔より、より広く、かつ運転開始で中心部の負圧により、自動で導出口側へ引かれ、運転中は先の最小な間隔となる位置になる位置で、これを固定し、蓋付筒状体の内側と外側の圧力差による軸方向の推力で自動的に隙間調整をして、閉塞防止機能を持たせた、請求項1乃至9に記載の微細気泡発生装置である。
【0038】
本発明の請求項11に記載の微細気泡発生装置は、図20に示すように、請求項3に記載の微細気泡発生装置において、循環用筒状蓋と、導出口を備える前壁部分とを磁性体で製作し、外周部等、適切な位置に永久磁石もしくは励磁コイルで磁気回路を構成し、磁気回路の空隙の磁束密度が最大となる導出口部で高速で放出された膜状となった液体中にリング状に発電電流が流れる様にし、活水器機能を持たせた、微細気泡発生を妨害することなく可能となる、請求項1乃至10に記載の微細気泡発生装置である。
【発明の効果】
【0039】
従来技術での高効率な微細気泡発生装置に比べ約半分のエネルギーで同等で良好な微細気泡を多量に発生させる事ができる為、微細気泡発生システム全体のコンパクト化や低コスト化が可能となる。
【0040】
従来技術品に比較し、エネルギー消費が少ないため、ランニングコストも低減される。
【0041】
また、導入された液体の流路での流れが滑らかとなる為、低振動となる。
【0042】
また、供給液体流量に合わせて、高効率な微細気泡発生装置を設計することが、容易に出来る。
【0043】
さらに、蓋等に依る導出口での騒音発生の遮蔽と、ポンプの低圧化に依り低騒音化が可能となり設置場所の制限が少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図1、図2は本発明の請求項1に記載の微細気泡発生装置の一例である。なお、図1は側面の断面図、図2は図1のA−A線断面図である。液体導入口106より加圧された液体、気泡混じりの液体、気体が溶解された液体は、予旋回室105に向けられ導入され、ベーン状ノズル104の外周より滑らかに且つ均等に流れ込む。流れ込んだ液体は薄い帯板状の噴流となり、主旋回室100の外周の接線方向に向け噴出される。噴出された液体は、流速に余分な加速度が発生し難い断面を持った主旋回室100の外周より内周にある導出口103に向かって、旋回が乱れる事無く、旋回角速度を増速させ、導出口103より放出する。また、主旋回室100の中心線上に、気柱軸が発生し、放出時、粘性で気柱軸の気体を引き千切り、巻き込んで磨り潰し、気泡をせん断し、微細気泡を多量に発生させることができる。
【0045】
(実施の形態2)
図3は本発明の請求項2に記載の微細気泡発生装置の一例である。なお、図3は側面の断面図である。液体導入口106より加圧された気泡混じりの液体、気体が溶解された液体は、予旋回室105に向けられ導入され、適切な幅を持った、ベーン状ノズル104の外周より滑らかに且つ均等に流れ込む。流れ込んだ液体は薄い帯板状の噴流となり、主旋回室100の外周の接線方向に向け噴出される。噴出された液体は、流速に余分な加速度が発生し難い断面を持った主旋回室100の外周より内周の両側にある導出口103に向かって、旋回が乱れる事無く、旋回角速度を増速させ、2箇所の導出口103より放出する。また、主旋回室100の中心線上に、気柱軸が発生し、放出時、粘性で気柱軸の気体を引き千切り、巻き込んで磨り潰し、気泡をせん断し、微細気泡を多量に発生させることができる。
【0046】
(実施の形態3)
図4は本発明の請求項3に記載の微細気泡発生装置の一例である。上記、実施の形態1、実施の形態2の導出口103の直後に付けるものである。なお、図4は側面の断面図である。導出口103より旋回しながら膜状で放出された気泡混じりの液体は、遠心力、向心力にて、小径の微細気泡は外周に寄り、外部へ放出通路より放出され、大径の微細気泡や一時的に多量に混入した気体は内周に寄り、負圧に依り、循環用筒状体200の穴201を通過し矢印の方向に流れ、導出口103側に引き込まれ、再度、高速旋回している液体と合わさり、気泡、気体がせん断され、微細化される。なお、循環用筒状体200の穴201の外部側は円錐状に拡大させ、穴に導く様にしてもよい。
【0047】
(実施の形態4)
図5、図6、図7、図8は本発明の請求項4に記載の微細気泡発生装置の一例である。なお、図5は側面の断面図、図6は図5のB−B線断面図、図7は側面の断面図、図8は図7のC−C線断面図である。図5のように、流入方向と放出方向が直線状の場合や図8のように、流入方向と放出方向が直角で図2の様に偏芯していない場合は、液体導入口106より導入された液体、気泡混じりの液体、気体が溶解された液体を予旋回室105に向け、方向変更や、予旋回を与える、案内ベーン300、301を設け、ベーン状ノズル104へ液体がより滑らかに且つ均等に液体が導かれる様にする。
【0048】
(実施の形態5)
図9、図10は本発明の請求項5に記載の微細気泡発生装置の一例である。なお、図9、図10は側面の断面図である。主旋回室100の後壁102の頂部の中心線上の位置に、気体導入口400を設け、外部より気体を吸入出来る様に気体導入接続口401を備えており、図22で示す微細気泡発生システム等で使用する。
【0049】
(実施の形態6)
図11、図12、図13図14は本発明の請求項6に記載の微細気泡発生装置の一例である。高速旋回する液体の導出口103の直後または、実施の形態3の循環流路構造の直後に、所定の空間502を設け、外部側壁に筒状通路500またはコーン状流路501の減圧発泡を促進させる流路を設け、ここで減圧発泡をさせ、微細気泡をより多く発生させ、さらに、騒音を低減させる機能を備えている。
【0050】
(実施の形態7)
図15、図16は本発明の請求項7に記載の微細気泡発生装置の一例である。ストレーナで捕捉できず通過した繊維状の異物が流入しても、閉塞せずに通過させるもので、性能を低下させる事を抑え、微細気泡を発生できる様にしたものである。導入された液体の流路幅W1を保ったまま、ベーン状ノズル510の幅を減少させ、流入側の形状を先の方を中心側に斜めにし、引っ掛かった異物が移動し、通過する様にしている。また、幅を減少させたベーン状ノズル510は前壁側または後壁側に付けることができる。さらに幅を減少させたベーン状ノズル510を前壁側と後壁側の両方に付け、中央に通過する隙間を設けることができる。この場合、前壁側と後壁側のベーン状ノズル510の回転方向の位置関係を360度/2n(nはベーン状ノズルの数)ずらし、前後が交互とすることが好ましい。
【0051】
(実施の形態8)
図17は本発明の請求項8に記載の微細気泡発生装置の一例である。請求項3に記載の微細気泡発生装置において、さらに気泡径選択機能と溶解気体の発泡を促進させる機能を持たせるための構造で、循環用筒状蓋200の循環用筒の外周に流体による抵抗が無視できる程度の流路面積をもたせる様に径方向に間隙を設けた筒状体520を設置し、導出口よりの旋回余力を、ここでの旋回角速度を最大となる様に小径化して大小の気泡の選択機能を最大とし大径の気泡を循環用穴201に導く。さらに、前記筒状体520の外周に同じ様に2つ目の筒状体を設け、流路をジグザグに通し、渦流を発生させる事により、導入された液体中に溶解された溶存気体を、発泡させる。そのために、その筒状体520の一端に複数のスリット状、穴状の流路を設けるか、流路分を短くした、1重または2重の円筒状の筒状体520を設ける。このスリット、穴、隙間の位置は1重目は導出口103の反対側に、2重目は導出口103側に設ける。これにより微細気泡をより多く発生することができる。
【0052】
(実施の形態9)
図18は本発明の請求項9に記載の微細気泡発生装置の一例である。後壁102部の形状を富士山様から円錐状後壁530とし、ベーン状ノズル流入部の流れを鋭角から鈍角とし、乱流の防止と摩擦抵抗の低減を図るべく主旋回室外周部の流れ方向を斜流とする。
【0053】
(実施の形態10)
図19は本発明の請求項10に記載の微細気泡発生装置の一例である。請求項3に記載の微細気泡発生装置において、循環用筒状蓋200の循環用筒状部を蓋付の筒状体550とし、蓋後壁と軸方向に移動可能となる様に分離し、可撓性と弾性を持った連通部がある支持部材により、初期位置は、運転中の導出口103より放出された微細気泡を含む膜状となった気液が通過出来、かつ筒の中心部が負圧となる最小な間隔より、より広く、かつ運転開始で中心部の負圧により、自動で導出口103側へ引かれ、運転中は先の最小な間隔となる位置となる位置で、これを固定する。通常運転時はP1=P2>P3となり導出口側へ、異物553がからまった時はP1=P2<P3となり導出口とは反対側に推力が働き筒状体550は移動する。この様に、蓋付筒状体550の内側と外側の圧力差による軸方向の推力で自動的に隙間調整をして、閉塞防止機能を持たせるものである。
【0054】
(実施の形態11)
図20は本発明の請求項11に記載の微細気泡発生装置の一例である。請求項3に記載の微細気泡発生装置において、循環用筒状蓋200と、導出口103を備える前壁部分とを磁性体で製作し、外周部等、適切な位置に永久磁石540もしくは励磁コイル541にて磁気回路を構成し、磁気回路の空隙の磁束密度が最大となる導出口103部で高速で放出された膜状となった液体中にリング状に発電電流が流れる様にし、活水器機能を持たせた。また形状は変えることがないので微細気泡発生を妨害することなく可能となる。
【実施例】
【0055】
一例として、市販されている、浴槽用微細気泡発生装置で実験を行った結果は次の通りとなった。システムは図23の通りである。
商品構成は300L浴槽用、消費電力430W、気体溶解装置外径115mm高さ210mm(特許第3929472号)、微細気泡発生装置(特許第3682286号)流入圧力0.26MPa、流量12L/分の装置で300L浴槽で微細気泡を発生させた。
これと同じレベルの微細気泡を本発明の微細気泡発生装置と付替え、ポンプ圧力を変更し、同等となる圧力を調べた。その結果、微細気泡発生装置流入圧力0.20MPa、流量7L/分、給気量700CC/分、消費電力260Wとなった。
ここで、微細気泡発生装置に入力されているエネルギーは、水動力として(L=0.163QH(比重1の場合))で計算すると、前者は約51W、後者は約23Wと半分以下となる。また、騒音も聴感上であるが約半減した。
さらに、気泡径を顕微鏡で測定し、クリアー光学製P−100H型ガラススケールの目盛と比較すると、図24の様にサイズは、殆んどの物が40ミクロンから50ミクロンであり、多量に発生しているのが観察できる、量的には概略50万個/CC(5億個/L)とみられる。
なお、実験で使用した微細気泡発生装置の各部の主要寸法他は、予旋回室外径35mm、ベーン状ノズルの幅2mm、ベーン状ノズルの数9箇所、主旋回室外径20mm、導出口径6mm、本体外径50mm、長さ50mmで形状は図14の方式で筒状通路の物で、比較した従来技術の物は旋回室外形約45mm、本体外径約50mm、長さ約100mmで、本考案品は半分の体積となっている。
【0056】
また、図9、図10の方式は図22に示すシステム等で使用し、その他の方式は図21、図23に示すシステム等で使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態1の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図2】図1におけるA−A線断面図
【図3】実施形態2の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図4】実施形態3の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図5】実施形態4の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図6】図5におけるB−B線断面図
【図7】実施形態4の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図8】図7におけるC−C線断面図
【図9】実施形態5の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図10】実施形態5の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図11】実施形態6の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図12】実施形態6の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図13】実施形態6の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図14】実施形態6の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図15】実施形態7の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図16】実施形態7の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図17】実施形態8の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図18】実施形態9の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図19】実施形態10の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図20】実施形態11の微細気泡発生装置の側面の断面図
【図21】ポンプ吸込側より気体を導入する微細気泡発生システム
【図22】微細気泡発生装置より気体を導入する微細気泡発生システム
【図23】気体溶解装置を備えた高濃度微細気泡発生システム
【図24】実施例で実験した微細気泡の顕微鏡写真(1目盛50ミクロン)
【図25】従来技術の微細気泡発生装置の正面の断面図
【符号の説明】
【0058】
100主旋回室
101前壁
102後壁
103導出口
104べーン状ノズル
106導入口
200循環用筒状蓋
201循環用穴
202循環用傾斜部
300案内ベーン
301案内ベーン(破線部)
400気体導入口
401気体導入接続口
500筒状流路
501コーン状流路
502空間
510幅を減少させたベーン状ノズル
520筒状体
530円錐状後壁
540永久磁石
541励磁コイル
550蓋付の筒状体
551支持部
552連通穴
553異物
600低速域
601増速域
700微細気泡発生装置
701吸込管路
702ポンプ
703気体導入調節弁
704気体溶解装置
705吐出配管
710実験用300L浴槽または液体槽
711液体槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回室での旋回流速に余分な加速度が生じない様に、ノズルから導出口までの領域に於いて、それぞれの位置で、旋回流1周分の周長と旋回室の幅を乗じた面積が同じになる様に成型された、略、高さの違う富士山の輪郭を二重に重ねて出来る中間の空間様の、前壁、後壁を持ち、その外周は、ノズルの幅に合わせた間隔を隔て設置された主旋回室と、前壁の頂部に当る位置に高速旋回する液体の導出口と、主旋回室の外周に等配に設置された、旋回室外周の接線方向に向け薄い帯板状の噴流を発生する一定速または増速機能を備えた10箇所前後のベーン状ノズルと、さらに、その外周に液体導入口よりベーン状ノズルへ滑らかに且つ均等に液体が導かれる様、円形やボリュート形に成型された予旋回室を備えた、微細気泡発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微細気泡発生装置において、後壁部を取り去り、その面で対称になる様、背中合わせに設置し、結果、導出口は2箇所となり、ベーン状ノズルの方向を統一させ、液体導入口を1箇所とした、主旋回室の空間は、両吸込渦巻ポンプの羽根車の輪郭の形状をした微細気泡発生装置。
【請求項3】
旋回式微細気泡発生装置において、高速旋回する液体の導出口の直後に、せん断された気泡の大径の物を選択的に、再度せん断させる様に、後壁の付いた、周上に複数の穴が穿孔された内径が導出口と同程度の筒状体を持つ蓋、または、その穴より外部側は円錐状に拡大された、上記筒状体を持つ蓋を設置し、導出口より放出された微細気泡を含む膜状となった気液が通過出来、かつ筒の中心部が負圧となる、最小な間隔を隔てて設置した、循環流路を備え、さらに騒音を低減させる機能を備えた、本体付加装置、及びこれを備えた、請求項1乃至2に記載の微細気泡発生装置。
【請求項4】
液体導入口と予旋回室の間に、液体に予旋回を与えるための、案内ベーンを備えた、請求項1乃至3に記載の微細気泡発生装置。
【請求項5】
主旋回室の後壁の頂部の中心線上の位置に、気体導入口を設け、外部より気体を吸入出来る様に流路を備えた、請求項1および請求項3乃至4に記載の微細気泡発生装置。
【請求項6】
高速旋回する液体の導出口の直後または、請求項3の循環流路構造の直後に、所定の空間を設け、外部側壁に筒状またはコーン状の減圧発泡を促進させる流路を設け、さらに、騒音を低減させる機能を備えた、請求項1乃至5に記載の微細気泡発生装置。
【請求項7】
請求項1および請求項2に記載の微細気泡発生装置において、請求項1の場合は前壁と後壁の間隔を保ったまま、請求項2の場合は前壁どうしの間隔を保ったまま、ベーン状ノズルの幅を減少させ、前壁側または後壁側あるいは中間に隙間を設け、異物が通過し易くした、請求項1乃至6に記載の微細気泡発生装置。
【請求項8】
請求項3に記載の微細気泡発生装置において、循環用筒状蓋の循環用筒状部の外周に径方向に所定の隙間を設け、その一端に複数のスリット状、穴状の流路を設けるか、流路分を短くした、1重または2重の円筒状の気泡選択強化機能と溶解気体の発泡を促進させる機能を持たせた、筒状体を組み込んだ、請求項1乃至7に記載の微細気泡発生装置。
【請求項9】
請求項1に記載の微細気泡発生装置において、後壁部の形状を富士山様から円錐状とし、主旋回室外周部の流れ方向を斜流とした請求項1および請求項3乃至8に記載の微細気泡発生装置。
【請求項10】
請求項3に記載の微細気泡発生装置において、循環用筒状蓋の循環用筒状部を蓋付の筒状体とし、後壁と軸方向に移動可能となる様に分離し、可撓性と弾性を持った連通部がある支持部材により、初期位置は、運転中の導出口より放出された微細気泡を含む膜状となった気液が通過出来、かつ筒の中心部が負圧となる最小な間隔より、より広く、かつ運転開始で中心部の負圧により、自動で導出口側へ引かれ、運転中は先の最小な間隔となる位置、となる位置で、これを固定し、蓋付筒状体の内側と外側の圧力差による軸方向の推力で自動的に隙間調整をして、閉塞防止機能を持たせた、請求項1乃至9に記載の微細気泡発生装置
【請求項11】
請求項3に記載の微細気泡発生装置において、循環用筒状蓋と、導出口を備える前壁部分とを磁性体で製作し、外周部等に永久磁石もしくは励磁コイルにて磁気回路を構成し、磁気回路の空隙の磁束密度が最大となる導出口部で高速で放出された膜状となった液体中にリング状に発電電流が流れる様にし、活水器機能を持たせた、請求項1乃至10に記載の微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−160576(P2009−160576A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−336044(P2008−336044)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(508019012)
【Fターム(参考)】