説明

微細物検出方法及び装置

【課題】 大きさの比較的小さいフーリエ変換レンズとホログラム記録体を用いた微細物検出方法及び装置を提供する。
【解決手段】 基準試料を前記ホログラム記録体が配置されていた検出光路上の位置に配置し、参照光光学系からの参照光を遮光した状態で、光源1より出射した検出光を検出光路上に配置した被検体に照射し、該被検体から出射した物体光を、フーリエ変換レンズLfを介して前記基準試料に入射させ、該基準試料から出射する出力光を該基準試料の後方に配置した逆フーリエ変換レンズLrfを介して参照光の性質を有する相関光のスポットを出力面11上に結像させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス流体(液体)、ラボ用採取液体中に分散した微生物、細菌、微粒子等を超ワイド、超深度で検出し、多形状物体の形状、数及び位置を同時に測定することができる微細物検出方法及び装置に関する。なお、本明細書で微細物とはクリプトスポリジューム、ジアルジア、大腸菌等の微生物・細菌、微細物、結晶等の総称と定義する。
形状の選択性が高い為、上下水道分野では水道水中のクリプトスポリジューム、ジアルジア、大腸菌等の微生物・細菌等の存在を個別検出し、発酵・醸造工業等のバイオ分野では酵母の種類や数を、また、化学分野では結晶の状況を検出するために使用できる。
【背景技術】
【0002】
水道水製造プラントでは、水道水の汚染を引き起こすクリプトスポリジューム、ジアルジア等の病原性原虫や水質汚染上問題になる大腸菌等をインライン検出する装置が必要とされているが、水道水の殺菌剤として通常用いられている塩素或いは次亜塩素酸では殺菌できないクリプトスポリジュームには特に注意を払っている。
これらの微細物を検出するには超ワイド、超深度の機能を有するホログラム法を利用した検出器が適している。ホログラム法を用いた従来からの被識別物体検出技術は特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載された識別装置(微細物検出装置)を用いてクリプトスポリジューム(約5μm)〜大腸菌(約1μm)を検出するには巨大なフーリエ変換レンズLfとホログラム記録体10、強力な光源1が必要になる。
【0003】
光学系が巨大化する為、恒温室内に備えた剛体構造の光学台が必要になる。光学系が巨大化する理由としてはミクロンオーダの粒子からの散乱光が「被識別物体が小さくなれば小さくなる程拡がる性質があるため」である。従って散乱光に参照光を干渉させて作る回折像も大きくなり、当然回折像は暗くなる。従って必要な回折像を得る為強力な光源が必要になる。直径約5μmの 被識別物体(球形と仮定)からのホログラムを作るとすればフーリエ変換レンズLfに入射する有効な散乱光は直径100mmにも及ぶ。特許文献1に記載されている従来の技術を用いて直径約5μmの大きさの被識別物体(球形と仮定)を検出する場合を想定して図3を用いて説明する。
【0004】
図3は被識別物体(球形と仮定)直径約100μm程度以上の検出に用いることができる従来からのホログラム装置の構成を示している。原理は光源1から出射したレーザ光をビームスプリッタ2で検出光路1aと参照光路1bに分割し、検出光路1aを通った光はミラー3で(紙面で示した)水平方向に方向を変えビームエキスパンダ4で大断面積の平行光束に変え、直径約5μmの被識別物体(球形と仮定)を貼り付けたプレパラート5bを空気中に配置し、検出光をプレパラート5b内の被識別物体に当て被識別物体特有の散乱光を発生させフーリエ変換レンズLfでホログラム記録体10上に検出光を結像させる。
【0005】
このとき、ビームエキスパンダ4は細いビーム、例えば、例えば、φ1のレーザビームをミラースキャナーでX(横軸)及びY(縦軸)に振り、該レーザビームを面状に掃引するものである。またフーリエ変換レンズLfの光軸上に集光したスポットは、ホログラム記録体10の直前に配置されたライトエンド(点状の邪魔遮光板)によって除去され、ホログラム記録体10は、光軸上以外の結像を受けられるように配置される。
【0006】
一方、ビームスプリッタ2から分かれた光は参照光路1bを通ってミラー6で、(紙面に示した)垂直方向に方向を変えビームエキスパンダ7で大断面積の平行光束に変え、平行光束の参照光1baを作りビーム合成器9上で検出光と合成するとホログラム記録体10上に基本ホログラムが生成される。ここでのビームエキスパンダ7が前記ビームエキスパンダ4とは異なる。静的光学素子(例えば、レンズ等)を用いることが望ましい。
【特許文献1】特許第2721510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ビーム合成器9を検出光光学系の光軸に対して45゜傾けて配置する為にフーリエ変換レンズLfとホログラム記録体10との間隔を広く設ける必要があった。この為フーリエ変換レンズLfの後焦点距離はフーリエ変換レンズLf とホログラム記録体10との間隔で決まる長焦点にせざるを得ず、フーリエ変換レンズLf の前焦点距離(=後焦点距離)も長くなる。
そうすると、フーリエ変換レンズLf の前焦点距離付近に置くプレパラート5bに貼り付けた被識別物体で発生する散乱光の拡がりがフーリエ変換レンズLfに当たる時はその散乱光の外郭が大きく拡がってしまう為、フーリエ変換レンズLf は大口径を使用せざるを得ず、ビーム合成器も大きいものを使用せざるを得なかった。その上、光源1も強力なものが必要となる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、大きさの比較的小さいフーリエ変換レンズとホログラム記録体を用いた微細物検出方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の微細物検出方法は、液体中に分散して存在する微細物を検出する微細物検出方法であって、光源より出射した検出光を検出光路上に配置した被検体に照射し、該被検体から出射する散乱光を、フーリエ変換レンズを介して該フーリエ変換レンズの後方、かつ、逆フーリエ変換レンズの前方に配置した、予め被検出対象微細物の像を干渉縞として記録したホログラム記録体に入射して干渉させ、該ホログラム記録体から出射する出力光が前記逆フーリエ変換レンズを介して該逆フーリエ変換レンズの後方に配置した出力面上に結像する光点を、被検体中の被検出対象微細物の信号として検出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の微細物検出装置は、液体中に分散して存在する微細物を検出する微細物検出装置であって、光源と、前記光源より出射された検出光が検出光路上に配置された被検体に照射されることにより該被検体から出射する散乱光を、フーリエ変換レンズを介して該フーリエ変換レンズの後方、かつ、逆フーリエ変換レンズの前方に配置された、予め被検出対象微細物の像を干渉縞として記録したホログラム記録体に入射して干渉させる検出光光学系と、該ホログラム記録体から出射する出力光を、前記逆フーリエ変換レンズの後方に配置された出力面上に結像させる逆フーリエ変換レンズと、を有し、該結像を、被検体中の被検出対象微細物の信号として検出することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の微細物検出装置は、請求項2に記載の微細物検出装置であって、前記光源からの出射光を、微細物を検出するための検出光と参照光とに分割するビームスプリッタと、前記参照光を、前記フーリエ変換レンズの後焦点面よりも後方からホログラム記録体に照射する参照光光学系を有し、検出光路上に配置された、被検出対象微細物が収容された基準試料用被検体に前記検出光を照射し、該基準試料用被検体から出射する物体光を、フーリエ変換レンズを介してホログラム記録体の一方の面に入射させ、かつ、前記参照光を前記ホログラム記録体の他方の面から入射させて干渉させることにより該ホログラム記録体上に被検出対象微細物の像を干渉縞として記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、光源より出射した検出光を検出光路上に配置した被検体に照射し、該被検体から出射する散乱光を、フーリエ変換レンズを介して該フーリエ変換レンズの後方、かつ、逆フーリエ変換レンズの前方に配置した、予め被検出対象微細物の像を干渉縞として記録したホログラム記録体に入射して干渉させ、該ホログラム記録体から出射する出力光が、前記逆フーリエ変換レンズを介して該逆フーリエ変換レンズの後方に配置した出力面上に結像する光点を、被検体中の被検出対象微細物の信号として検出するようにしたので、
装置構成として参照光光学系が不要となり、微細物検出装置の小型化が図れる。このため、装置が大型かつ消費電力が大きいためインライン検出装置としての実用化が難しかった従来の微細物検出装置に代え、クリプトスポリジューム等のインライン検出装置として、また、ラボ用の小型装置として実用的な微細物検出装置を提供することができる。
また、光が透過したり反射したりする部品はそれぞれが光の減衰要素である為、除去すれば効率が向上し、信頼性の向上に繋がることは明らかである。
【0013】
また、本発明によれば、参照光を、フーリエ変換レンズの後焦点面よりも後方、すなわちホログラム記録体の検出光が入射される面(以下、「ホログラム記録体の表面」という。)の反対側の面(以下、「ホログラム記録体の裏面」という。)から入射させて検出光と干渉させることにより該ホログラム記録体上に被検出対象微細物の像を干渉縞として記録することとしたので、従来の微細物検出装置において、フーリエ変換レンズとホログラム記録体との間に設けていた物体光と参照光とを合成するビーム合成器が不要となり、フーリエ変換レンズとホログラム記録体との距離を近づけることができるため、焦点距離が短く口径が小さいフーリエ変換レンズを用いることができ、微細物検出装置の小型化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[本発明の原理]
本発明による微細検出方法(または微細物検出装置)は、光の波動の干渉性を利用したホログラムを用いたものである。例えば、「被識別物体」に光波を当て発生する散乱光と、別光路を伝搬して来た参照光との干渉縞をホログラム記録体に記録させ「基準ホログラム」(以下「基準試料」という。)を作製し、この基準試料に被検出対象の微細物から発生する物体光(散乱光)を当てると、出力面に参照光の輝点が現れる。この場合の物体光は「被識別物体」と同一または酷似形状を持つ物体から生じる物体光に限られる。基準試料から出射する参照光を本明細書では「相関光」と称することとする。本発明の微細物検出方法(または微細物検出装置)は、この相関光の輝点(スポット)位置から微細物の同定を行いこの輝点の個数から同定された微細物の数を検出するものである。
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の第1実施形態に係る微細物検出装置の構成を図1に示す。本発明の第1実施形態に係る微細物検出装置は、被検出対象微細物の基準試料を作製する機能と、基準試料を用いて被検出対象微細物の同定と微細物の数を検出する機能とを有している。
【0016】
図1において、本発明の第1実施形態に係る微細物検出装置は、液体中に分散して存在する微細物を検出する微細物検出装置であって、光源1と、該光源1からの出射光を、微細物を検出するための検出光と参照光とに分割するビームスプリッタ2と、検出光をホログラム記録体10の表面から入射させる検出光光学系と、参照光をホログラム記録体10の裏面から入射させる参照光光学系とを有している。
【0017】
検出光光学系は、検出光をホログラム記録体10の方向に導くミラー3と、レンズL1と、ビームエキスパンダ4と、レンズL2と、フーリエ変換レンズLfと、ホログラム記録体10の後方に配置されるビーム合成器9と、逆フーリエ変換レンズLrfと、スクリーン等の出力面11とを有している。
また、レンズL1とフーリエ変換レンズLfとの間の検出光路上の平行光束領域内には基準試料を作製するための被検出対象微細物が収容された基準試料用被検体が入っているセル5が配置され、フーリエ変換レンズLfとビーム合成器9との間にはホログラム記録体10が配置されている。
【0018】
また、参照光光学系は、ミラー6と、レンズL3と、ビームエキスパンダ7と、レンズL4と、ビーム合成器9とを有している。
さらに、本発明の第1実施形態に係る微細物検出装置は、出力面11に出力された映像(相関光のスポット)を撮像するCCDを有する撮像装置12と、撮像装置12の出力から得られる相関光のスポットの位置及び数を示す情報を記憶するフレームメモリ13と、フレームメモリ13に記憶内容に基づいて、検出対象の微細物の位置、数を算出する演算器14とを有している。
【0019】
まず、上記構成において基準試料を作製する機能について説明する。
光源1から出射した光は、ビームスプリッタ2で検出光路1aと参照光路1bに分割され、検出光路1aを通った光はミラー3により(紙面で示した)水平方向に方向を変え、ビームエキスパンダ4で大断面積の平行光束に変えられ、検出光1aaは、検出光路1a上の平行光束領域内に配置された被検出対象微細物を収容した基準試料用被検体を入れたセル5に照射され、被検出対象微細物特有の散乱光を発生させ、フーリエ変換レンズLfによりホログラム記録体10の表面上に検出光を結像させる。
【0020】
このとき、フーリエ変換レンズLfの光軸上に集光したスポットは、ホログラム記録体10の直前に配置されたライトエンド(点状の邪魔遮光板) によって除去され、ホログラム記録体10は、光軸上以外の結像が得られるように検出光路1a上に配置される。
【0021】
一方、ビームスプリッタ2により分割された参照光は参照光路1bを通ってミラー6で(紙面で示した)垂直方向に方向を変え、ビームエキスパンダ7により大断面積の平行光束に変換され、平行光束の参照光1baとなり、ビーム合成器9上で検出光と合成し、参照光1baをホログラム記録体10の裏面から入射させることにより該ホログラム記録体10上に被検出対象微細物の像が干渉縞として記録され、基準試料10aが作製される。複数の被識別物体をホログラム記録体10に記録した基準試料10aを作製する場合はセル5内の被識別物体を別の物に変えて同様の作業を行い重ね焼きする。
【0022】
次に、被検出対象となる微細物を検出する機能について説明する。
図1に示した微細物検出装置における参照光路を光学遮断し、検出を行う。すなわち、前記方法により作製した基準試料10aを前記ホログラム記録体10が配置されていた検出光路1a上の位置に配置し、実際の測定対象である液体(被検体)を入れたセル5を検出光路1a上の平行光束領域内に配置する前記参照光光学系からの参照光を遮光した状態で、光源1より出射された検出光1aaがセル5に照射されることにより前記被検体から出射する散乱光を、フーリエ変換レンズLfを介して前記基準試料10aに入射させ、該基準試料10aから出射する出力光を該基準試料10aの後方に配置された逆フーリエ変換レンズLrfにより相関光に変換し、参照光の性質を有する相関光のスポットを出力面11上に結像させる。
【0023】
出力面11に出力された映像(相関光のスポット)は、CCDを有する撮像装置12により撮像され、撮像装置12の出力から得られる相関光のスポットの位置及び数を示す情報はフレームメモリ13に記憶され、演算器14においてフレームメモリ13の記憶内容に基づいて、被検出対象微細物の位置、数が算出される。
なお、セル5を平行光束領域内に配置することにより、被検出対象微細物が移動しても視野から外れたりピンぼけを起こしたりしないような超ワイド、超深度機能を有する自由移動領域が得られる。
【0024】
また、上記説明はラボ用での使用に好適な (光学)セル5を用いた構成として説明したが、フローセル5aを用いた構成とすることにより、プロセス用として特に必要とされるインラインの連続測定装置として供するのに好適な構成とすることができる。
さらに、基準試料10aの作製時に、被検出対象微細物を収容した基準試料用被検体を入れたセル5に代えて、被検出対象微細物を貼り付けたプレパラート5bを用いることや光学フィルムに焼き付けた被検出対象微細物の像を用いることもできる。
【0025】
なお、基準試料10aの作製時と、被検出対象となる微細物の検出時とで被検体の媒体が異なる場合、例えば、基準試料10aを作製する際には被検出対象微細物が気中におかれ、検出の際には被検出対象微細物が水中に存在するような場合や基準試料10aの、作製時には純水を媒体として用いたが、検出時の媒体は薬品が含まれている液体であるというような場合に、媒体の屈折率の違い等により微細物の検出に影響が及ぶようであれば、図1のセル5あるいはプレパラート5bとフーリエ変換レンズLf との間に演算用レンズ(図示省略)等を配置して基準試料10aを作製し、検出時にはこれを取り払うようにするか、基準試料10aの作成時には演算用レンズを用いず、検出時に演算用レンズを用いて調整すればよい。
【0026】
本発明の第2実施形態に係る微細物検出装置の構成を図2に示す。本発明の2実施形態に係る微細物検出装置は、予め作製した基準試料10aを用いて被検出対象である微細物の同定と数を検出する専用機能を有するものであり、具体的には例えば、プロセス流体をフローセルに流し、流体中から直接検出することができる。
【0027】
本発明の第2実施形態に係る微細物検出装置は、第1実施形態に係る微細物検出装置のうち参照光光学系の構成及び参照光光学系が有ったために必要であった構成要素を除去した構成となっている。すなわち、本実施形態は、被検出対象微細物を検出する機能のみを有するものであるので、光学系を有する装置において問題となりがちな、部品の熱膨張や部品の熱容量に起因する結露、振動による影響を少なくするために、検出機能に無用な部品を排除したものである。図1に示した本発明の第1実施形態に係る微細物検出装置から、本実施形態において無用な部品や光路を系外に排除した微細物検出装置の構成が図2になる。
【0028】
図2において、本発明の第2実施形態に係る微細物検出装置は、光源1と、レンズL1と、ビームエキスパンダ4と、レンズL2と、フーリエ変換レンズLfと、逆フーリエ変換レンズLrfと、出力面11と、撮像装置12と、撮像装置12の出力から得られる相関光のスポットの位置及び数を示す情報を記憶するフレームメモリ13と、フレームメモリ13の記憶内容に基づいて、検出対象の微細物の位置、数を算出する演算器14とを有している。なお、図2では、図1と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
【0029】
上記構成において、光源1より出射された検出光1aaが、検出光路1a上の平行光束領域内に配置されたフローセル5aに照射されることによりフローセル5aを流れる液体中に含有する被測定対象微細物から出射する散乱光を、フーリエ変換レンズLfを介してあらかじめ作製された基準試料10aに入射させ、該基準試料10aから出射する出力光を該基準試料10aの後方に配置された逆フーリエ変換レンズLrfにより相関光に変換させ、参照光の性質を有する相関光のスポットを出力面11上に結像させる。
出力面11に出力された映像(相関光のスポット)は、CCDを有する撮像装置12により撮像され、撮像装置12の出力から得られる相関光のスポットの位置及び数を示す情報はフレームメモリ13に記憶され、演算器14においてフレームメモリ13の記憶内容に基づいて、被検出対象微細物の位置、数が算出される。
【0030】
なお、第2実施形態に係る微細物検出装置で用いる基準試料10aは第1実施形態に係る微細物検出装置により作製されたものに限られず、他の一般的方法やデジタル的方法により作製された基準試料10aを用いることもできる。
また、フローセル5aの代りに、第1実施形態と同様の(光学)セル5を用いることもできる。
さらに、撮像装置12としてCCDを用いる場合、多種類の被検体を同時に検出することができる。多種類の被検出対象微細物をプレパラート上の既知座標の上に配置して基準試料を作製すれば、測定時に関連した位置にそれぞれの多種類の被検出対象微細物に対応した位置にそれぞれの被検出対象微細物に対応した相関光スポットが現れる。
また、単種類例えばクリプトスポリジュームのみを検出する場合、あるいは、クリプトスポリジュームとジアルジア等を区別せず一体検出する場合は、撮像装置12の代わりにフォトン検出器を用い相関光スポットの数を検出する方法を用いることができる。
【0031】
本発明の実施形態では光源からの出射光をビームエキスパンダ4で必要な断面を持つ光束に拡大したが拡大しただけエネルギー密度が小さくなる為、光源の規模を大きくする必要があった。必要な断面を更に大きくするニーズに対してはビームエキスパンダ4の代わりにビームスキャナを用いてレーザビームを例えばXY方向(2次元)に1KHz程度でスキャンして面状に広げれば点の検出光のエネルギーを低下させずに超ワイドの検出ができる等、本発明の応用範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係る微細物検出装置の構成を示す図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る微細物検出装置の構成を示す図。
【図3】従来の微細物検出装置の構成を示す図。
【符号の説明】
【0033】
1…光源、2…ビームスプリッタ、3、6…ミラー、4、7…ビームエキスパンダ、5…セル、5a…フローセル、5b…プレパラート、9…ビーム合成器、10…ホログラム記録体、10a…基準試料、11…出力面、12…撮像装置、13…フレームメモリ、14…演算器、Lf…フーリエ変換レンズ、L1、L2、L3、L4…レンズ、Lrf…逆フーリエ変換レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中に分散して存在する微細物を検出する微細物検出方法であって、
光源より出射した検出光を検出光路上に配置した被検体に照射し、該被検体から出射する散乱光を、フーリエ変換レンズを介して該フーリエ変換レンズの後方、かつ、逆フーリエ変換レンズの前方に配置した、予め被検出対象微細物の像を干渉縞として記録したホログラム記録体に入射して干渉させ、該ホログラム記録体から出射する出力光が前記逆フーリエ変換レンズを介して該逆フーリエ変換レンズの後方に配置した出力面上に結像する光点を、被検体中の被検出対象微細物の信号として検出することを特徴とする微細物検出方法。
【請求項2】
液体中に分散して存在する微細物を検出する微細物検出装置であって、
光源と、
前記光源より出射された検出光が検出光路上に配置された被検体に照射されることにより該被検体から出射する散乱光を、フーリエ変換レンズを介して該フーリエ変換レンズの後方、かつ、逆フーリエ変換レンズの前方に配置された、予め被検出対象微細物の像を干渉縞として記録したホログラム記録体に入射して干渉させる検出光光学系と、
該ホログラム記録体から出射する出力光を、前記逆フーリエ変換レンズの後方に配置された出力面上に結像させる逆フーリエ変換レンズと、を有し、
該結像を、被検体中の被検出対象微細物の信号として検出することを特徴とする微細物検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の微細物検出装置であって、
前記光源からの出射光を、微細物を検出するための検出光と参照光とに分割するビームスプリッタと、
前記参照光を、前記フーリエ変換レンズの後焦点面よりも後方からホログラム記録体に照射する参照光光学系を有し、
検出光路上に配置された、被検出対象微細物が収容された基準試料用被検体に前記検出光を照射し、該基準試料用被検体から出射する物体光を、フーリエ変換レンズを介してホログラム記録体の一方の面に入射させ、かつ、前記参照光を前記ホログラム記録体の他方の面から入射させて干渉させることにより該ホログラム記録体上に被検出対象微細物の像を干渉縞として記録することを特徴とする微細物検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−329722(P2006−329722A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151374(P2005−151374)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】