微細針の成形鋳型の製造方法
【課題】 本発明の1つの態様は、シリコン基板のエッチングプロセスを正確に制御して、所望の形状を有する微細針の成形鋳型を製造することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係る1つの態様による微細針の成形鋳型の製造方法は、(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上にシリコン酸化膜を形成するステップと、所定の間隔を隔てて直線上に配置された複数の離散領域でシリコン半導体基板を露出させたシリコン酸化膜によるマスクを形成するステップと、シリコン酸化膜によるマスクを用い、水酸化カリウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、シリコン半導体基板をエッチングすることにより形成された複数の凹部が互いに連通したときに、水酸化カリウム水溶液に代わって、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、を有することを特徴とする。
【解決手段】 本発明に係る1つの態様による微細針の成形鋳型の製造方法は、(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上にシリコン酸化膜を形成するステップと、所定の間隔を隔てて直線上に配置された複数の離散領域でシリコン半導体基板を露出させたシリコン酸化膜によるマスクを形成するステップと、シリコン酸化膜によるマスクを用い、水酸化カリウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、シリコン半導体基板をエッチングすることにより形成された複数の凹部が互いに連通したときに、水酸化カリウム水溶液に代わって、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用針などの微細針の成形鋳型を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、治療などの目的で皮下注射を行うとき、患者の適当な皮膚または筋肉に微細針(注射針)を突き刺して、薬剤が微細針を介して体内に注入される。同様に、例えば、糖尿病患者の血糖値を定期的に測定するとき、別の微細針(ランセット)を指先などの適当な身体部分に穿刺して、微量の血液が採取される。このように、微細針を体内に突き刺すとき、患者は、相当の痛みまたは不快感を感じ、穿刺された部位における細胞が広範な領域に亙って損傷を受けることがある。したがって、患者に与える痛み(不快感)をできるだけ抑え、侵襲性のより低い微細針が強く要望されている。
【0003】
同様に、血液または体液の流れが速い体内部位に留置して、薬剤を長期間安定して徐放できる低侵襲性の薬物配送システム(微細針)に対する要請も高い。
【0004】
こうした低侵襲性の微細針がこれまで数多く提案されている。例えば、特許文献1に開示された微細針は、遠位端にアンカ部、および近位端にタンク部を有し、アンカ部がピラミッド状の外形形状(ギザギザ形状)を有する複数の突起部を有するように構成されている。
【0005】
このアンカ部は、シリコン基板上に形成された互いに連通する複数の四角錐形状の凹部上にポリ乳酸を充填・形成することにより構成される。また、四角錐形状の凹部(すなわち、アンカ部を形成するための鋳型)は、(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上に形成された離散的に配置された複数の円形領域を含む所定のマスクを介し、水酸化カリウム水溶液(KOH)を用いてウェットエッチングすることにより(シリコン結晶の(111)面に沿ってエッチングすることにより)形成される。
【特許文献1】特開2003−275327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シリコン基板上の離散的に配置された複数の円形領域でエッチングが進むにつれ、図11に示すように、円形領域を中心としてエッチングされる領域30が拡張し、隣接する領域30と連通すると、その連結部31におけるシリコン基板のエッチングが急速に進み、(一部破線で示すように)均一なギザギザ形状が形成されることなく、(実線で示すように)歪な形状にエッチングされた凹部(鋳型)32が形成され得る。
【0007】
このように、水酸化カリウム水溶液を用いてシリコン基板をウェットエッチングすることにより、微細針の成形鋳型を形成することは大量生産に適している反面、鋳型の適正なギザギザ形状が形成されるように、シリコン基板のエッチングプロセスを正確に制御することは困難であった。
【0008】
そこで本発明の1つの態様は、このような問題を解決しようとするためになされたもので、シリコン基板のエッチングプロセスを正確に制御できる微細針の成形鋳型の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る1つの態様による微細針を成形するための鋳型の製造方法は、(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上にシリコン酸化膜を形成するステップと、所定の間隔を隔てて直線上に配置された複数の離散領域でシリコン半導体基板を露出させたシリコン酸化膜によるマスクを形成するステップと、シリコン酸化膜によるマスクを用い、水酸化カリウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、シリコン半導体基板をエッチングすることにより形成された複数の凹部が互いに連通したときに、水酸化カリウム水溶液に代わって、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップとを有することを特徴とする。
【0010】
また、約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングすることが好ましい。
【0011】
さらに、約22重量%で約80℃の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングすることが好ましい。
【0012】
好適には、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、約40分間以上シリコン半導体基板をウェットエッチングする。これにより、所望のギザギザ形状を有する微細針を実現することができる。
【0013】
本発明の別の態様によれば、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、約2時間以上シリコン半導体基板をウェットエッチングする。これにより、所望のストレート形状を有する微細針を得ることができる。
【0014】
好適には、複数の離散領域のそれぞれは、円形形状を有し、各円形領域の中心は、隣接する中心間距離が一定となるように直線上に配置されている。
【0015】
本発明に係るさらに別の態様による微細針の成形鋳型の製造方法は、(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上にシリコン酸化膜を形成するステップと、所定の間隔を隔てて直線上に配置された複数の離散領域でシリコン半導体基板を露出させたシリコン酸化膜によるマスクを形成するステップと、シリコン酸化膜によるマスクを用い、約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1つの態様によれば、シリコン基板を水酸化カリウム水溶液でエッチングした後、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液でエッチングすることにより、シリコン基板のエッチングプロセスを正確に制御して、所望の形状を有する微細針の成形鋳型を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る成形鋳型で製造される微細針1は、概略、図1(a)〜(c)に示すように、ホルダ部2とニードル部3を有する。ニードル部3は、これに限定されないが、例えば、ピラミッド状の外形形状(ギザギザ形状)を有する複数の突起部4を有する。この微細針1は任意の適当な支持装置(図示せず)を用いて、ホルダ部2を支持した上で、ニードル部3を患者の皮膚などに突き刺すことにより、患者の血液を採取する。
【0018】
ここで図2〜図10を参照しながら、本発明に係る実施形態による微細針の成形鋳型の製造方法について以下説明する。
【0019】
まず、図2(a)に示すように、(100)結晶面を主面とするシリコン半導体(Si)基板10の少なくとも一方の主面上に、厚さ1μmのシリコン酸化膜(SiO2)12を形成する。択一的には、両面上にシリコン酸化膜を形成したシリコン基板10が一般に市販されており、これを原材料として用いてもよい。そして、硫酸過水(H2SO4:H2O2=2:1)を用いて、このシリコン基板10を10分間洗浄する。
【0020】
次に、図2(b)に示すように、厚さ1μmのフォトレジスト14(例えば、東京応化工業株式会社から市販されているOFPR-800(登録商標))をシリコン酸化膜12上に塗布する。このとき、例えばスピンコート法(1回目:500rpm,5秒間、2回目:3000rpm,30秒間)を用いて、フォトレジスト14を均一に塗布することが好ましい。フォトレジスト14を塗布した後、90℃で10分間プリベークする。
【0021】
次に、図3および図4に示すように、マスクM1を用いて、フォトレジスト14にパターン形成する。このマスクM1は、概略、図3のハッチングで示す領域において、フォトレジスト14をカバーしない。すなわち、マスクM1は、ホルダ領域16、および直線状に並ぶ離散的に配置された複数の円形領域(離散領域)18をカバーせず、シリコン酸化膜12が露出している。ここで、直線状に並ぶ離散領域18は、円形形状を有するものとして説明するが、矩形、三角形または任意の多角形(128角形)など他の任意の形状を有していてもよい。また、マスクM1は、ここでは図示しないが、ホルダ領域16と、ホルダ領域16より直線的に延びるニードル領域においてシリコン半導体基板を露出させるように設計してもよい。
【0022】
後述するが、ホルダ領域16において微細針1のホルダ部2に相当するホルダ領域での凹部が形成され、ニードル領域(複数の円形領域18)においてニードル部3に対応する凹部が形成される。
【0023】
図3に示すように、ホルダ領域16が例えば約3mm四方の正方形形状(l1=l2=3mm)を有する一方、各円形領域18は、図5に示すように、一定の直径D(例えば、約70μm〜約110μm、好適には90μm)を有し、隣接する円形領域18に外接する正方形19の頂点間距離sが一定(例えば、約1.5μm〜約4.5μm、好適には3.5μm)となるように配列されている。すなわち、円形領域18の中心は、隣接する中心間距離が一定となるように直線上に配置されている。また円形領域18の直径Dは、ニードル部3の長手方向に直交する太さw(図1参照)を決定し、直径Dが90μmであるとき、ニードル部3の太さは約127μmとなる。
なお、マスクM1のニードル領域が複数の離散的な三角形状または多角形形状の領域で構成される場合、個々の三角形状または多角形形状の重心は、隣接する重心間距離が一定となるように直線上に配置される。
【0024】
さらに、フォトレジスト14は、両面マスクアライナを用いて露光され、フォトレジスト現像液(NMD−3(登録商標))を用いて20秒間現像され、120℃で10分間ポストベークされる。
【0025】
続けて、レジスト残渣を除去するためにデスカム処理を行い、酸素(O2)ガス(条件:20sccm,8Pa、20W、2分間)およびフルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、図6のように、シリコン酸化膜12に対して反応性イオンエッチングを行い、図7のように、エタノールおよびアセトンを用いて、フォトレジスト14を除去する。
【0026】
本発明の1つの態様によれば、残存するシリコン酸化膜12をマスクとし、水酸化カリウム水溶液(KOH)をエッチャント(条件:約20重量%,約58℃)として用い、シリコン基板10をウェットエッチング(異方性エッチング)する。すると、シリコン基板10上の円形領域18を中心に凹部20が(111)面方位に沿って徐々に拡張するように形成され、図8および図9に示すように、隣接する凹部20が互いに連通する。
【0027】
図8および図9に示すように、隣接する円形領域18における凹部20が互いに連通したとき(図8、図9および図14参照)、水酸化カリウム水溶液に代えて、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液をエッチャント(条件:約22重量%,約80℃)として用い、シリコン基板10をウェットエッチングする。約22重量%で約80℃水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いた場合、約40分間で所望するニードル部3に相当する凹部20が形成される。
【0028】
次に、BHF(フッ化水素酸:フッ化アンモニウム=1:10)を用いて、シリコン酸化膜12を除去する(図10)。
【0029】
こうして形成された図10に示す微細針のための成形鋳型5の中に、加熱溶融した樹脂などの充填材料Mを流し込むことにより、微細針1を得ることができる。なお、充填材料Mは、任意の樹脂材料または金属材料を用いることができるが、成形された微細針1は、生適合性材料またポリ乳酸などの生分解性材料で構成されることが好ましい。
【実施例1】
【0030】
上記実施形態において、マスクM1の各円形領域18の直径Dおよび円形領域18に外接する正方形19の頂点間距離sをパラメータとして、表1に示すさまざまな組み合わせ(No.1〜No.9)に対して、水酸化カリウム水溶液(条件:約20重量%,約58℃)を用いて、シリコン基板10をウェットエッチングした。
【表1】
【0031】
シリコン酸化膜12をマスクとし、水酸化カリウム水溶液(条件:約20重量%,約58℃)を用いて、シリコン基板10をウェットエッチングするとき、頂点間距離sが短い場合、図12に示すように、ピラミッド状の凹部が形成される前に(ピラミッド状の凹部の底部が頂点を有さず、平面状態のまま)、凹部20が連通してしまい(60分後)、さらに続けてエッチングすると、90分後、図13に示すように、各凹部20の間の連結部がさらに太くなり、所望のピラミッド形状は得られなかった。
一方、頂点間距離sが長い場合、ピラミッド状の凹部20を連通させるために要するエッチング時間が長くなり、プロセス上好ましくないことが分かった。そして、表1のパラメータの組み合わせでは、直径Dが90μmで、頂点間距離sが3.5μmであるマスクM1を用いたとき、図14のように最適なピラミッド状の凹部20が最短の時間(165分間)で形成されることが分かった。
【0032】
図14に示す状態になった後においても、水酸化カリウム水溶液を用いてさらにエッチングし続けると、図15に示すように、隣接する凹部20の間で歪な形状にエッチングされ、均一なギザギザ形状を得ることができなかった。これは、水酸化カリウムの(111)面に対するエッチング速度が(100)面に比べて極めて遅いため、マスクMの寸法に微小な誤差やエッチングムラがあった場合、凹部20の連結部分で急激にエッチングが進むためであると考えられている。しかし、本発明によれば、図16に示すように、隣接する凹部20が連通したときに、水酸化カリウム水溶液に代わって、(111)面に対する他の面(例えば(110)面)のエッチング選択比がより大きい水酸化テトラメチルアンモニウム(約22重量%,約80℃,40分間)を用いることにより、マスクM1の寸法誤差やエッチングムラを吸収して、安定して所望のギザギザ形状を有する凹部20を形成することができた。
【実施例2】
【0033】
実施例2では、シリコン基板10の表面をより滑らかにエッチングするためにイソプロピルアルコール(IPA)を添加した水酸化カリウム水溶液(条件:約20重量%,約58℃)を用いて、シリコン基板10をウェットエッチングした後に、水酸化テトラメチルアンモニウム(約22重量%,約80℃)を用いて、2時間(実施例1では40分間)シリコン基板10をウェットエッチングした。すると、図17および図18に示すように、ギザギザ形状ではなく、ストレート形状の微細針1を得ることができた。
【0034】
なお、ニードル部3とホルダ部2の間の連結部において、応力が集中しやすく、屈曲または破断することがある。これに対処するために、マスクM1のホルダ領域16に近い円形領域18の直径Dを大きくし(例えば、約140μm)、頂点間距離sを1.5μmにすることにより、図19および図20に示すように、連結部が太く形成されたストレート形状の微細針1を実現することができた。
【実施例3】
【0035】
上記実施形態と同様のエッチングプロセス・条件を用い、さまざまなマスクパターンを適用して、任意の形状の微細針1を形成できることを確認した。
【0036】
具体的には、図21〜図25に示すように、マスクM2〜M6は、先端角度がそれぞれ30度,45度,60度,75度,90度で、図示の寸法a〜d(共通)がそれぞれ約100μm、約100μm、約1000μm、約200μmとなるように設計した。こうして、それぞれ図26〜図30に示すストレート形状の微細針1を得ることができた。
【0037】
また、図31および図32に示すように、マスクM7およびM8の先端角度が15度および30度で、図示の寸法a〜d(共通)がそれぞれ約300μm、約100μm、約1000μm、約200μmである。こうして、図33および図34に示すストレート形状の微細針1を得ることができた。
【0038】
さらに、図35に示すマスクM9(a=100,b=100,c=200,d=100,e=200,f=1000μm)、および図36に示すマスクM10(a=100,b=100,c=200,d=100,e=200,f=1000μm)を用いて、図37および図38に示すように、任意の形状を有する微細針1を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)は微細針の概略形状を示す斜視図で、(b)はその平面図、そして(c)はその側面図である。
【図2】本発明に係る微細針の成形鋳型を製造するための半導体基板を示す断面図であり、シリコン酸化膜が形成されている。
【図3】本発明のマスクによりカバーされない領域を示す平面図である。
【図4】図2と同様の断面図であって、シリコン酸化膜上のフォトレジストを示す。
【図5】本発明のマスクの隣接する円形領域の拡大図を示す。
【図6】図2と同様の断面図であって、エッチングされたシリコン酸化膜を示す。
【図7】図2と同様の断面図であって、フォトレジストが除去された様子を示す。
【図8】図3と同様の平面図であって、互いに連通した隣接する凹部を示す。
【図9】図2と同様の断面図であって、残存するシリコン酸化膜をマスクとしてエッチングされたシリコン基板を示す。
【図10】図2と同様の断面図であって、残存するシリコン酸化膜が取り除かれた様子を示す。
【図11】従来技術により凹部が形成されたシリコン基板の平面図である。
【図12】水酸化カリウム水溶液を用いてエッチングするとき、頂点間距離が短い場合の凹部の拡大写真である。
【図13】図12に示す状態からさらにエッチングし続けた場合の凹部の拡大写真である。
【図14】水酸化カリウム水溶液を用いてエッチングするとき、頂点間距離およびエッチング時間が最適である場合の凹部の拡大写真である。
【図15】図14に示す状態からさらにエッチングし続けた場合の凹部の拡大写真である。
【図16】図15に示す状態から、水酸化テトラメチルアンモニウムを用いてエッチングした場合の凹部の拡大写真である。
【図17】図16に示す状態からさらにエッチングし続けた場合の凹部の拡大写真である。
【図18】図17のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図19】図17と同様の写真であって、ニードル部とホルダ部の間の連結部が太く形成された微細針の成形鋳型を示す。
【図20】図19の拡大写真である。
【図21】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図22】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図23】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図24】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図25】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図26(a)】図21のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図26(b)】図26(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図27(a)】図22のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図27(b)】図27(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図28(a)】図23のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図28(b)】図28(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図29(a)】図24のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図29(b)】図29(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図30(a)】図25のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図30(b)】図30(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図31】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図32】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図33(a)】図31のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図33(b)】図33(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図34(a)】図32のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図34(b)】図34(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図35】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図36】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図37(a)】図35のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図37(b)】図37(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図38(a)】図36のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図38(b)】図38(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【符号の説明】
【0040】
1 微細針、2 ホルダ部、3 ニードル部、4 突起部、10 シリコン半導体基板、12 シリコン酸化膜、14 フォトレジスト、16 ホルダ領域、18 円形領域、20 凹部、M1〜M9 マスク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用針などの微細針の成形鋳型を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、治療などの目的で皮下注射を行うとき、患者の適当な皮膚または筋肉に微細針(注射針)を突き刺して、薬剤が微細針を介して体内に注入される。同様に、例えば、糖尿病患者の血糖値を定期的に測定するとき、別の微細針(ランセット)を指先などの適当な身体部分に穿刺して、微量の血液が採取される。このように、微細針を体内に突き刺すとき、患者は、相当の痛みまたは不快感を感じ、穿刺された部位における細胞が広範な領域に亙って損傷を受けることがある。したがって、患者に与える痛み(不快感)をできるだけ抑え、侵襲性のより低い微細針が強く要望されている。
【0003】
同様に、血液または体液の流れが速い体内部位に留置して、薬剤を長期間安定して徐放できる低侵襲性の薬物配送システム(微細針)に対する要請も高い。
【0004】
こうした低侵襲性の微細針がこれまで数多く提案されている。例えば、特許文献1に開示された微細針は、遠位端にアンカ部、および近位端にタンク部を有し、アンカ部がピラミッド状の外形形状(ギザギザ形状)を有する複数の突起部を有するように構成されている。
【0005】
このアンカ部は、シリコン基板上に形成された互いに連通する複数の四角錐形状の凹部上にポリ乳酸を充填・形成することにより構成される。また、四角錐形状の凹部(すなわち、アンカ部を形成するための鋳型)は、(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上に形成された離散的に配置された複数の円形領域を含む所定のマスクを介し、水酸化カリウム水溶液(KOH)を用いてウェットエッチングすることにより(シリコン結晶の(111)面に沿ってエッチングすることにより)形成される。
【特許文献1】特開2003−275327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シリコン基板上の離散的に配置された複数の円形領域でエッチングが進むにつれ、図11に示すように、円形領域を中心としてエッチングされる領域30が拡張し、隣接する領域30と連通すると、その連結部31におけるシリコン基板のエッチングが急速に進み、(一部破線で示すように)均一なギザギザ形状が形成されることなく、(実線で示すように)歪な形状にエッチングされた凹部(鋳型)32が形成され得る。
【0007】
このように、水酸化カリウム水溶液を用いてシリコン基板をウェットエッチングすることにより、微細針の成形鋳型を形成することは大量生産に適している反面、鋳型の適正なギザギザ形状が形成されるように、シリコン基板のエッチングプロセスを正確に制御することは困難であった。
【0008】
そこで本発明の1つの態様は、このような問題を解決しようとするためになされたもので、シリコン基板のエッチングプロセスを正確に制御できる微細針の成形鋳型の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る1つの態様による微細針を成形するための鋳型の製造方法は、(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上にシリコン酸化膜を形成するステップと、所定の間隔を隔てて直線上に配置された複数の離散領域でシリコン半導体基板を露出させたシリコン酸化膜によるマスクを形成するステップと、シリコン酸化膜によるマスクを用い、水酸化カリウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、シリコン半導体基板をエッチングすることにより形成された複数の凹部が互いに連通したときに、水酸化カリウム水溶液に代わって、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップとを有することを特徴とする。
【0010】
また、約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングすることが好ましい。
【0011】
さらに、約22重量%で約80℃の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングすることが好ましい。
【0012】
好適には、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、約40分間以上シリコン半導体基板をウェットエッチングする。これにより、所望のギザギザ形状を有する微細針を実現することができる。
【0013】
本発明の別の態様によれば、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、約2時間以上シリコン半導体基板をウェットエッチングする。これにより、所望のストレート形状を有する微細針を得ることができる。
【0014】
好適には、複数の離散領域のそれぞれは、円形形状を有し、各円形領域の中心は、隣接する中心間距離が一定となるように直線上に配置されている。
【0015】
本発明に係るさらに別の態様による微細針の成形鋳型の製造方法は、(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上にシリコン酸化膜を形成するステップと、所定の間隔を隔てて直線上に配置された複数の離散領域でシリコン半導体基板を露出させたシリコン酸化膜によるマスクを形成するステップと、シリコン酸化膜によるマスクを用い、約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1つの態様によれば、シリコン基板を水酸化カリウム水溶液でエッチングした後、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液でエッチングすることにより、シリコン基板のエッチングプロセスを正確に制御して、所望の形状を有する微細針の成形鋳型を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る成形鋳型で製造される微細針1は、概略、図1(a)〜(c)に示すように、ホルダ部2とニードル部3を有する。ニードル部3は、これに限定されないが、例えば、ピラミッド状の外形形状(ギザギザ形状)を有する複数の突起部4を有する。この微細針1は任意の適当な支持装置(図示せず)を用いて、ホルダ部2を支持した上で、ニードル部3を患者の皮膚などに突き刺すことにより、患者の血液を採取する。
【0018】
ここで図2〜図10を参照しながら、本発明に係る実施形態による微細針の成形鋳型の製造方法について以下説明する。
【0019】
まず、図2(a)に示すように、(100)結晶面を主面とするシリコン半導体(Si)基板10の少なくとも一方の主面上に、厚さ1μmのシリコン酸化膜(SiO2)12を形成する。択一的には、両面上にシリコン酸化膜を形成したシリコン基板10が一般に市販されており、これを原材料として用いてもよい。そして、硫酸過水(H2SO4:H2O2=2:1)を用いて、このシリコン基板10を10分間洗浄する。
【0020】
次に、図2(b)に示すように、厚さ1μmのフォトレジスト14(例えば、東京応化工業株式会社から市販されているOFPR-800(登録商標))をシリコン酸化膜12上に塗布する。このとき、例えばスピンコート法(1回目:500rpm,5秒間、2回目:3000rpm,30秒間)を用いて、フォトレジスト14を均一に塗布することが好ましい。フォトレジスト14を塗布した後、90℃で10分間プリベークする。
【0021】
次に、図3および図4に示すように、マスクM1を用いて、フォトレジスト14にパターン形成する。このマスクM1は、概略、図3のハッチングで示す領域において、フォトレジスト14をカバーしない。すなわち、マスクM1は、ホルダ領域16、および直線状に並ぶ離散的に配置された複数の円形領域(離散領域)18をカバーせず、シリコン酸化膜12が露出している。ここで、直線状に並ぶ離散領域18は、円形形状を有するものとして説明するが、矩形、三角形または任意の多角形(128角形)など他の任意の形状を有していてもよい。また、マスクM1は、ここでは図示しないが、ホルダ領域16と、ホルダ領域16より直線的に延びるニードル領域においてシリコン半導体基板を露出させるように設計してもよい。
【0022】
後述するが、ホルダ領域16において微細針1のホルダ部2に相当するホルダ領域での凹部が形成され、ニードル領域(複数の円形領域18)においてニードル部3に対応する凹部が形成される。
【0023】
図3に示すように、ホルダ領域16が例えば約3mm四方の正方形形状(l1=l2=3mm)を有する一方、各円形領域18は、図5に示すように、一定の直径D(例えば、約70μm〜約110μm、好適には90μm)を有し、隣接する円形領域18に外接する正方形19の頂点間距離sが一定(例えば、約1.5μm〜約4.5μm、好適には3.5μm)となるように配列されている。すなわち、円形領域18の中心は、隣接する中心間距離が一定となるように直線上に配置されている。また円形領域18の直径Dは、ニードル部3の長手方向に直交する太さw(図1参照)を決定し、直径Dが90μmであるとき、ニードル部3の太さは約127μmとなる。
なお、マスクM1のニードル領域が複数の離散的な三角形状または多角形形状の領域で構成される場合、個々の三角形状または多角形形状の重心は、隣接する重心間距離が一定となるように直線上に配置される。
【0024】
さらに、フォトレジスト14は、両面マスクアライナを用いて露光され、フォトレジスト現像液(NMD−3(登録商標))を用いて20秒間現像され、120℃で10分間ポストベークされる。
【0025】
続けて、レジスト残渣を除去するためにデスカム処理を行い、酸素(O2)ガス(条件:20sccm,8Pa、20W、2分間)およびフルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、図6のように、シリコン酸化膜12に対して反応性イオンエッチングを行い、図7のように、エタノールおよびアセトンを用いて、フォトレジスト14を除去する。
【0026】
本発明の1つの態様によれば、残存するシリコン酸化膜12をマスクとし、水酸化カリウム水溶液(KOH)をエッチャント(条件:約20重量%,約58℃)として用い、シリコン基板10をウェットエッチング(異方性エッチング)する。すると、シリコン基板10上の円形領域18を中心に凹部20が(111)面方位に沿って徐々に拡張するように形成され、図8および図9に示すように、隣接する凹部20が互いに連通する。
【0027】
図8および図9に示すように、隣接する円形領域18における凹部20が互いに連通したとき(図8、図9および図14参照)、水酸化カリウム水溶液に代えて、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液をエッチャント(条件:約22重量%,約80℃)として用い、シリコン基板10をウェットエッチングする。約22重量%で約80℃水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いた場合、約40分間で所望するニードル部3に相当する凹部20が形成される。
【0028】
次に、BHF(フッ化水素酸:フッ化アンモニウム=1:10)を用いて、シリコン酸化膜12を除去する(図10)。
【0029】
こうして形成された図10に示す微細針のための成形鋳型5の中に、加熱溶融した樹脂などの充填材料Mを流し込むことにより、微細針1を得ることができる。なお、充填材料Mは、任意の樹脂材料または金属材料を用いることができるが、成形された微細針1は、生適合性材料またポリ乳酸などの生分解性材料で構成されることが好ましい。
【実施例1】
【0030】
上記実施形態において、マスクM1の各円形領域18の直径Dおよび円形領域18に外接する正方形19の頂点間距離sをパラメータとして、表1に示すさまざまな組み合わせ(No.1〜No.9)に対して、水酸化カリウム水溶液(条件:約20重量%,約58℃)を用いて、シリコン基板10をウェットエッチングした。
【表1】
【0031】
シリコン酸化膜12をマスクとし、水酸化カリウム水溶液(条件:約20重量%,約58℃)を用いて、シリコン基板10をウェットエッチングするとき、頂点間距離sが短い場合、図12に示すように、ピラミッド状の凹部が形成される前に(ピラミッド状の凹部の底部が頂点を有さず、平面状態のまま)、凹部20が連通してしまい(60分後)、さらに続けてエッチングすると、90分後、図13に示すように、各凹部20の間の連結部がさらに太くなり、所望のピラミッド形状は得られなかった。
一方、頂点間距離sが長い場合、ピラミッド状の凹部20を連通させるために要するエッチング時間が長くなり、プロセス上好ましくないことが分かった。そして、表1のパラメータの組み合わせでは、直径Dが90μmで、頂点間距離sが3.5μmであるマスクM1を用いたとき、図14のように最適なピラミッド状の凹部20が最短の時間(165分間)で形成されることが分かった。
【0032】
図14に示す状態になった後においても、水酸化カリウム水溶液を用いてさらにエッチングし続けると、図15に示すように、隣接する凹部20の間で歪な形状にエッチングされ、均一なギザギザ形状を得ることができなかった。これは、水酸化カリウムの(111)面に対するエッチング速度が(100)面に比べて極めて遅いため、マスクMの寸法に微小な誤差やエッチングムラがあった場合、凹部20の連結部分で急激にエッチングが進むためであると考えられている。しかし、本発明によれば、図16に示すように、隣接する凹部20が連通したときに、水酸化カリウム水溶液に代わって、(111)面に対する他の面(例えば(110)面)のエッチング選択比がより大きい水酸化テトラメチルアンモニウム(約22重量%,約80℃,40分間)を用いることにより、マスクM1の寸法誤差やエッチングムラを吸収して、安定して所望のギザギザ形状を有する凹部20を形成することができた。
【実施例2】
【0033】
実施例2では、シリコン基板10の表面をより滑らかにエッチングするためにイソプロピルアルコール(IPA)を添加した水酸化カリウム水溶液(条件:約20重量%,約58℃)を用いて、シリコン基板10をウェットエッチングした後に、水酸化テトラメチルアンモニウム(約22重量%,約80℃)を用いて、2時間(実施例1では40分間)シリコン基板10をウェットエッチングした。すると、図17および図18に示すように、ギザギザ形状ではなく、ストレート形状の微細針1を得ることができた。
【0034】
なお、ニードル部3とホルダ部2の間の連結部において、応力が集中しやすく、屈曲または破断することがある。これに対処するために、マスクM1のホルダ領域16に近い円形領域18の直径Dを大きくし(例えば、約140μm)、頂点間距離sを1.5μmにすることにより、図19および図20に示すように、連結部が太く形成されたストレート形状の微細針1を実現することができた。
【実施例3】
【0035】
上記実施形態と同様のエッチングプロセス・条件を用い、さまざまなマスクパターンを適用して、任意の形状の微細針1を形成できることを確認した。
【0036】
具体的には、図21〜図25に示すように、マスクM2〜M6は、先端角度がそれぞれ30度,45度,60度,75度,90度で、図示の寸法a〜d(共通)がそれぞれ約100μm、約100μm、約1000μm、約200μmとなるように設計した。こうして、それぞれ図26〜図30に示すストレート形状の微細針1を得ることができた。
【0037】
また、図31および図32に示すように、マスクM7およびM8の先端角度が15度および30度で、図示の寸法a〜d(共通)がそれぞれ約300μm、約100μm、約1000μm、約200μmである。こうして、図33および図34に示すストレート形状の微細針1を得ることができた。
【0038】
さらに、図35に示すマスクM9(a=100,b=100,c=200,d=100,e=200,f=1000μm)、および図36に示すマスクM10(a=100,b=100,c=200,d=100,e=200,f=1000μm)を用いて、図37および図38に示すように、任意の形状を有する微細針1を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)は微細針の概略形状を示す斜視図で、(b)はその平面図、そして(c)はその側面図である。
【図2】本発明に係る微細針の成形鋳型を製造するための半導体基板を示す断面図であり、シリコン酸化膜が形成されている。
【図3】本発明のマスクによりカバーされない領域を示す平面図である。
【図4】図2と同様の断面図であって、シリコン酸化膜上のフォトレジストを示す。
【図5】本発明のマスクの隣接する円形領域の拡大図を示す。
【図6】図2と同様の断面図であって、エッチングされたシリコン酸化膜を示す。
【図7】図2と同様の断面図であって、フォトレジストが除去された様子を示す。
【図8】図3と同様の平面図であって、互いに連通した隣接する凹部を示す。
【図9】図2と同様の断面図であって、残存するシリコン酸化膜をマスクとしてエッチングされたシリコン基板を示す。
【図10】図2と同様の断面図であって、残存するシリコン酸化膜が取り除かれた様子を示す。
【図11】従来技術により凹部が形成されたシリコン基板の平面図である。
【図12】水酸化カリウム水溶液を用いてエッチングするとき、頂点間距離が短い場合の凹部の拡大写真である。
【図13】図12に示す状態からさらにエッチングし続けた場合の凹部の拡大写真である。
【図14】水酸化カリウム水溶液を用いてエッチングするとき、頂点間距離およびエッチング時間が最適である場合の凹部の拡大写真である。
【図15】図14に示す状態からさらにエッチングし続けた場合の凹部の拡大写真である。
【図16】図15に示す状態から、水酸化テトラメチルアンモニウムを用いてエッチングした場合の凹部の拡大写真である。
【図17】図16に示す状態からさらにエッチングし続けた場合の凹部の拡大写真である。
【図18】図17のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図19】図17と同様の写真であって、ニードル部とホルダ部の間の連結部が太く形成された微細針の成形鋳型を示す。
【図20】図19の拡大写真である。
【図21】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図22】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図23】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図24】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図25】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図26(a)】図21のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図26(b)】図26(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図27(a)】図22のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図27(b)】図27(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図28(a)】図23のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図28(b)】図28(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図29(a)】図24のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図29(b)】図29(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図30(a)】図25のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図30(b)】図30(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図31】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図32】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図33(a)】図31のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図33(b)】図33(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図34(a)】図32のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図34(b)】図34(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図35】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図36】別のストレート形状を有する微細針を形成するためのマスクを示す平面図である。
【図37(a)】図35のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図37(b)】図37(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【図38(a)】図36のマスクを用いて製造された微細針の拡大写真である。
【図38(b)】図38(a)のニードル部をさらに拡大した写真である。
【符号の説明】
【0040】
1 微細針、2 ホルダ部、3 ニードル部、4 突起部、10 シリコン半導体基板、12 シリコン酸化膜、14 フォトレジスト、16 ホルダ領域、18 円形領域、20 凹部、M1〜M9 マスク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細針を成形するための鋳型の製造方法であって、
(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上にシリコン酸化膜を形成するステップと、
所定領域でシリコン半導体基板を露出させたシリコン酸化膜によるマスクを形成するステップと、
シリコン酸化膜によるマスクを用い、水酸化カリウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、
シリコン半導体基板をエッチングすることにより形成された複数の凹部が互いに連通したときに、水酸化カリウム水溶液に代わって、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップとを有することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の鋳型の製造方法であって、
約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングすることを特徴とする製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の鋳型の製造方法であって、
約22重量%で約80℃の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングすることを特徴とする製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の鋳型の製造方法であって、
水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、約40分間以上シリコン半導体基板をウェットエッチングすることを特徴とする製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の鋳型の製造方法であって、
水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、約2時間以上シリコン半導体基板をウェットエッチングすることを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の鋳型の製造方法であって、
シリコン酸化膜によるマスクは、所定の間隔を隔てて直線上に配置された複数の離散領域でシリコン半導体基板を露出させることを特徴とする製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の鋳型の製造方法であって、
複数の離散領域のそれぞれは、円形、矩形、三角形、または多角形形状を有することを特徴とする製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載の鋳型の製造方法であって、
各離散領域の重心は、隣接する重心間距離が一定となるように直線上に配置されていることを特徴とする製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の鋳型の製造方法であって、
シリコン酸化膜によるマスクは、ホルダ領域およびこれより直線的に延びるニードル領域においてシリコン半導体基板を露出させることを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の鋳型の製造方法であって、
シリコン酸化膜によるマスクは、ニードル領域の先端部が約15度〜30度の鋭角を有するように形成されることを特徴とする製造方法。
【請求項11】
微細針を成形するための鋳型の製造方法であって、
(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上にシリコン酸化膜を形成するステップと、
所定の領域でシリコン半導体基板を露出させたシリコン酸化膜によるマスクを形成するステップと、
シリコン酸化膜によるマスクを用い、約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、
約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、を有することを特徴とする製造方法。
【請求項1】
微細針を成形するための鋳型の製造方法であって、
(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上にシリコン酸化膜を形成するステップと、
所定領域でシリコン半導体基板を露出させたシリコン酸化膜によるマスクを形成するステップと、
シリコン酸化膜によるマスクを用い、水酸化カリウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、
シリコン半導体基板をエッチングすることにより形成された複数の凹部が互いに連通したときに、水酸化カリウム水溶液に代わって、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液でシリコン半導体基板をウェットエッチングするステップとを有することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の鋳型の製造方法であって、
約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングすることを特徴とする製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の鋳型の製造方法であって、
約22重量%で約80℃の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングすることを特徴とする製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の鋳型の製造方法であって、
水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、約40分間以上シリコン半導体基板をウェットエッチングすることを特徴とする製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の鋳型の製造方法であって、
水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、約2時間以上シリコン半導体基板をウェットエッチングすることを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の鋳型の製造方法であって、
シリコン酸化膜によるマスクは、所定の間隔を隔てて直線上に配置された複数の離散領域でシリコン半導体基板を露出させることを特徴とする製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の鋳型の製造方法であって、
複数の離散領域のそれぞれは、円形、矩形、三角形、または多角形形状を有することを特徴とする製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載の鋳型の製造方法であって、
各離散領域の重心は、隣接する重心間距離が一定となるように直線上に配置されていることを特徴とする製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の鋳型の製造方法であって、
シリコン酸化膜によるマスクは、ホルダ領域およびこれより直線的に延びるニードル領域においてシリコン半導体基板を露出させることを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の鋳型の製造方法であって、
シリコン酸化膜によるマスクは、ニードル領域の先端部が約15度〜30度の鋭角を有するように形成されることを特徴とする製造方法。
【請求項11】
微細針を成形するための鋳型の製造方法であって、
(100)面方位の主面を有するシリコン半導体基板上にシリコン酸化膜を形成するステップと、
所定の領域でシリコン半導体基板を露出させたシリコン酸化膜によるマスクを形成するステップと、
シリコン酸化膜によるマスクを用い、約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、
約20重量%で約58℃の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン半導体基板をウェットエッチングするステップと、を有することを特徴とする製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26(a)】
【図26(b)】
【図27(a)】
【図27(b)】
【図28(a)】
【図28(b)】
【図29(a)】
【図29(b)】
【図30(a)】
【図30(b)】
【図31】
【図32】
【図33(a)】
【図33(b)】
【図34(a)】
【図34(b)】
【図35】
【図36】
【図37(a)】
【図37(b)】
【図38(a)】
【図38(b)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26(a)】
【図26(b)】
【図27(a)】
【図27(b)】
【図28(a)】
【図28(b)】
【図29(a)】
【図29(b)】
【図30(a)】
【図30(b)】
【図31】
【図32】
【図33(a)】
【図33(b)】
【図34(a)】
【図34(b)】
【図35】
【図36】
【図37(a)】
【図37(b)】
【図38(a)】
【図38(b)】
【公開番号】特開2006−334225(P2006−334225A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164353(P2005−164353)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(399030060)学校法人 関西大学 (208)
【出願人】(503467089)株式会社ライトニックス (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(399030060)学校法人 関西大学 (208)
【出願人】(503467089)株式会社ライトニックス (10)
【Fターム(参考)】
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