説明

微量液体吸入飛滴装置

【課題】液体を吸入する際に、液体に漬けたノズルの先端から液中に空気が漏れることのない微量液体吸入飛滴装置を提供することを目的とする。
【解決手段】共用流路10と、共用流路10の上流側に分岐して配設された第1分岐流路11及び第2分岐流路12と、第1分岐流路11の上流側に配設された正圧発生手段1と、第2分岐流路12の上流側に配設された負圧発生手段2と、共用流路10の下流側に接続された開閉弁3と、開閉弁3の開閉を制御する電気的制御部4と、開閉弁3に付設されると共に液体を吸入・飛滴する極細管5と、を備えている。かつ、開閉弁3の閉状態に於て開閉弁3内を負圧状態から正圧状態へ切り換えると共に正圧状態から一旦大気圧状態にして負圧状態へと切り換える切換手段6を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微量液体吸入飛滴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試薬品・水溶液・溶媒・タンパク質・DNA等の液体を容器(プレート)に分注するための分注装置(微量液体吸入飛滴装置)がある。
従来の分注装置として、パイプ状に形成されたライン内を負圧状態にして液体を吸入し、ライン内を所望の正圧状態にした後、開閉弁を瞬間的に開けて微量の液体を飛滴するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−145720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の分注装置は、飛滴後に再び液体を吸入する場合に、ラインに装着されたノズル(ピペットチップ)の先端を液中に漬け開閉弁を開けると、(飛滴後の)ライン内は正圧状態となっているので、ライン内で圧縮されていた空気の膨張により、図11に示すように、ノズルの先端から空気が漏れ液中に気泡40が発生することがあった。
このようにノズルの先端に気泡が発生すると、気泡が邪魔して液を吸入しにくいことがある。また、液を吸入する際に気泡も一緒に吸入されると、正確な量(所定量)の液を吸入することができなかったり、吸入した液を勢いよく飛滴することができない場合があり、その後の飛滴量が不正確になるといった問題があった。
また、吸入する液体の種類によっては、液中に気泡が生じるのは好ましくないものがある。
そこで、本発明は、液体を吸入する際に、液体に漬けたノズルの先端から液中に空気が漏れることのない微量液体吸入飛滴装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明に係る微量液体吸入飛滴装置は、共用流路と、該共用流路の上流側に分岐して配設された第1分岐流路及び第2分岐流路と、上記第1分岐流路の上流側に配設された正圧発生手段と、上記第2分岐流路の上流側に配設された負圧発生手段と、上記共用流路の下流側に接続された開閉弁と、該開閉弁の開閉を制御する電気的制御部と、上記開閉弁に付設されると共に液体を吸入・飛滴する極細管と、を備え、上記開閉弁の閉状態に於て開閉弁内を負圧状態から正圧状態へ切り換えると共に正圧状態から一旦大気圧状態にして負圧状態へと切り換える切換手段を有するものである。
【0005】
また、上記切換手段は、上記正圧発生手段と大気開放口とを切り換えて上記第1分岐流路に連通連結する第1切換バルブと、上記第1分岐流路と上記第2分岐流路とを切り換えて上記共用流路に連通連結する第2切換バルブと、を有するものである。
【0006】
また、上記切換手段は、上記第1分岐流路と上記第2分岐流路とを切り換えて上記共用流路に連通連結する第1切換バルブと、上記負圧発生手段と大気開放口とを切り換えて上記第2分岐流路に連通連結する第2切換バルブと、を有するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、次のような著大な効果を奏する。
本発明に係る微量液体吸入飛滴装置によれば、液体を吸入する前に、開閉弁を閉じた状態で開閉弁内の正圧状態を解除して一旦大気圧状態にすることができるので、液体を吸入する際に、液体に漬けた極細管の先端から空気が液中に漏れるのを防止することができる。
つまり、液体を吸入する前に、開閉弁内の空気の圧縮を解除することができるので、従来のように、正圧状態のまま開閉弁を開け、内部の圧縮空気の膨張によって極細管の先端から空気が液中に押し出されて気泡が発生することがない。従って、液体を吸入する際に、その気泡が邪魔して液体を吸入しにくかったり、気泡も一緒に吸入されるといった問題が解消され、正確な量の液体を吸入して勢いよく飛滴することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1〜図3の全体簡略構成説明図に示すように、本装置は、共用流路10を備え、共用流路10の上流側には第1分岐流路11と第2分岐流路12とが分岐して配設されている。第1分岐流路11の上流側の端部には正圧発生手段1が設けられ、第2分岐流路12の上流側の端部には負圧発生手段2が設けられている。
さらに、本装置は、共用流路10の下流側の端部に接続される開閉弁3と、開閉弁3の開閉を制御する電気的制御部4と、開閉弁3に付設されると共に液体を吸入・飛滴する極細管5と、を備えている。
そして、開閉弁3の閉状態に於て、開閉弁3内を負圧状態から正圧状態へ切り換えると共に正圧状態から一旦大気圧状態にして負圧状態へと切り換える切換手段6を有している。
【0009】
なお、正圧状態及び負圧状態とは、大気圧(ゲージ圧力)を基準として、大気圧より高い圧力が作用している状態を正圧状態、大気圧より低い圧力が作用している状態を負圧状態と定義する。
【0010】
具体的には、正圧発生手段1はコンプレッサ8、負圧発生手段2は真空ポンプ9であり、共用流路10、第1分岐流路11、第2分岐流路12は、例えば、可撓性を有する細径のホースから成る。
【0011】
切換手段6は、ソレノイド操作方式の第1切換バルブ21及び第2切換バルブ22とを有し、第1切換バルブ21は、大気側(外部)へ開口する大気開放口7を有している。
コンプレッサ8(正圧発生手段1)は、第1切換バルブ21を介して第1分岐流路11の上流側の端部に連結されている。即ち、第1切換バルブ21によって、コンプレッサ8(正圧発生手段1)と大気開放口7とを切り換えて第1分岐流路11に連通連結可能となっている。
【0012】
また、第1分岐流路11と第2分岐流路12のそれぞれの下流側の端部は、第2切換バルブ22を介して共用流路10の上流側の端部に連結されている。即ち、第2切換バルブ22によって、第1分岐流路11と第2分岐流路12とを切り換えて共用流路10に連通連結可能となっている。
なお、図1は、開閉弁3内が正圧状態の場合、図2は大気圧状態の場合、図3は負圧状態の場合を示している。
【0013】
開閉弁3は、図4に示すように、ブロック状の本体部13と、本体部13の内部空間Sに配設される弁部(プランジャ)14と、弁部14の周囲に配設されるように本体部13に巻設されるコイル15と、本体部13の先端に突出状に内部空間Sに連結される極細管5と、を備えている。
【0014】
本体部13の内部空間Sは、共用流路10が連結される基端側空間16と、極細管5が連結される先端側空間17と、基端側空間16と先端側空間17とを連結する円筒状の連通孔18と、から成っている。ここで、共用流路10が差し込まれる本体部13の開口部を供給ポート19といい、極細管5が差し込まれる本体部13の開口部を排気ポート20という。
【0015】
弁部14は、連通孔18に摺動自在に密嵌されつつ、極細管5の基端開口を施蓋・開蓋するように構成されている。具体的には、弁部14は、極細管5の基端開口を施蓋するように圧縮スプリング23にて常時弾発付勢されており、コイル15に通電することで、圧縮スプリング23に抗して引き上げられて、極細管5の基端開口を開蓋するように構成されている。即ち、開閉弁3への通電のON−OFF切換えにより、弁部14の開閉切換えとなる。
また、弁部14が必要以上に引き上がらないように(開閉弁3の開閉のタイムロスを少なくするために)、弁部14の基端が当接する当り棒24を、連通孔18内に固定状に密嵌している。
【0016】
弁部14は、連通孔18に密嵌されている部分の外周面に複数の軸心方向の溝部14aが形成され、溝部14aと先端側空間17とが常時連通した状態にある。
また、当り棒24は連通孔18に密嵌されている部分の外周面に複数の軸心方向の溝部24aが形成され、溝部24aと基端側空間16とが常時連通している。
【0017】
即ち、基端側空間16と先端側空間17とが、当り棒24の溝部24aと弁部14の溝部14aとを介して常時連通した状態にあり、基端側空間16を負圧状態とすると先端側空間17も負圧状態となり、基端側空間16を正圧状態とすると先端側空間17も正圧状態となる。
【0018】
電気的制御部4は、コイル15に電気的に接続され、一定時間の間、コイル15に通電して開閉弁3を開状態とするように構成されている。つまり、負圧状態に於て開閉弁3の開状態を保持する時間の長さにより、極細管5から液体を吸入する量が決定され、他方、正圧状態に於て開閉弁3の開状態を保持する時間の長さにより、極細管5から液体を吐出する量が決定される。
【0019】
なお、電気的制御部4は、(図1〜図3に示す)第1切換バルブ21と第2切換バルブ22と共に、図示省略の中央制御部に電気的に接続されており、この中央制御部は、電気的制御部4及び第1切換バルブ21・第2切換バルブ22のON−OFFの切換えを独立して切り換えるように構成されている。
【0020】
また、本発明の微量液体吸入飛滴装置は、液晶の注入や、試薬品の分注、水溶液・溶媒・アルコール溶液・溶剤(有機溶剤)・インク・オイル等の微量液体を分注(飛滴)することに用いられるものであり、開閉弁3の負圧状態で吸入された液体は、極細管5にのみ(一時的に)保留され、極細管5から飛滴される液量は10nl(ナノリットル)〜 500μl(マイクロリットル)に設定されている。
【0021】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。
図7〜図9の全体簡略構成説明図に於て、共用流路10の上流側には第1分岐流路11と第2分岐流路12とが分岐して配設され、第1分岐流路11の上流側の端部には正圧発生手段1としてコンプレッサ8が設けられ、第2分岐流路12の上流側の端部には負圧発生手段2として真空ポンプ9が設けられている。
また、共用流路10の下流側に開閉弁3が接続され、開閉弁3の閉状態に於て、開閉弁3内を負圧状態から正圧状態へ切り換えると共に正圧状態から一旦大気圧状態にして負圧状態へと切り換える切換手段6を有している。
【0022】
切換手段6は、第1分岐流路11の下流側の端部と第2分岐流路12の下流側の端部とを切り換えて共用流路10の上流側の端部に連通連結する第1切換バルブ21と、大気開放口7を有すると共にその大気開放口7と真空ポンプ9とを切り換えて第2分岐流路12の上流側の端部に連通連結する第2切換バルブ22と、を有している。
また、図7は開閉弁3内が正圧状態の場合、図8は大気圧状態の場合、図9は負圧状態の場合を示している。
なお、図7〜図9に於て、図1〜図3と同一の符号は図1〜図3と同様の構成であるので説明を省略する。
【0023】
また、図10に示す本発明の別の実施の形態に於て、正圧発生手段1としてコンプレッサ8を備え、負圧発生手段2として、コンプレッサ8と、エジェクタ25と、コンプレッサ8からの空気をエジェクタ25へ送る負圧用流路27と、を有している。
具体的には、コンプレッサ8からの空気を、エジェクタ25側へ送る上記負圧用流路27と、第1分岐流路11側へ送る正圧用流路26と、を具備し、正圧用流路26はの下流側の端部は、大気開放口7を有する第1切換バルブ21を介して第1分岐流路11の上流側の端部と連結されている。即ち、第1切換バルブ21は、正圧用流路26と大気開放口7とを切り換えて第1分岐流路11に連通連結可能に構成されている。
【0024】
また、エジェクタ25は第2分岐流路12の上流側の端部に配設され、第1分岐流路11及び第2分岐流路12の下流側の端部は、第2切換バルブ22を介して共用流路10の上流側の端部に連結されている。即ち、第2切換バルブ22は、第1分岐流路11と第2分岐流路12とを切り換えて共用流路10に連通連結可能に構成され、第2分岐流路12と共用流路10が連通した場合は、エジェクタ25がコンプレッサ8からの空気にて共用流路10を真空引きするようになっている(図示省略)。この場合、一台のコンプレッサ8にて開閉弁3を正圧・負圧にすることができるため、装置の小型化を図ることができる。
なお、図10に於て、図1〜図3と同一の符号は、図1〜図3と同様の構成であるので説明を省略する。
【0025】
上述した本発明の微量液体吸入飛滴装置の使用方法(作用)について説明する。
図1〜図3に示す実施形態に於て、まず、開閉弁3は、図4に示すように、閉状態にある。この時、開閉弁3内は大気圧状態になっているとする。
そして、図5(A)に示すように、液体容器28に入れてある(試薬等の)液体に極細管5の先端を漬け、開閉弁3を開けて内部空間Sの空気を吸引して負圧状態にし(図3参照)、極細管5内に所定の量の液体を吸入したら、図5(B)のように、開閉弁3を閉じる。
【0026】
次に、開閉弁3の閉状態に於て、開閉弁3の内部空間Sに空気を送り込んで正圧状態にし(図1参照)、予圧を付与しておく。そして、図5(C)に示すように、分注容器30に形成された多数の窪部29のうちのひとつに極細管5の先端を向けてから、開閉弁3を開けてその窪部29内に液体を勢いよく飛滴する。この時、電気的制御部4にて(図4参照)、所定の時間、開閉弁3を開状態とすることで、所望の量の液体を飛滴できる。
【0027】
液体を飛滴後、図5(D)に示すように、開閉弁3を閉状態とする。この時、内部空間Sは正圧状態となっているが、開閉弁3を閉状態のまま内部空間Sを一旦大気(外部)と連通して大気圧状態とする(図2参照)。
【0028】
そして、開閉弁3内が大気圧状態のまま、極細管5の先端を再び液体容器28の液へ漬け、図5(E)に示すように、開閉弁3を開いてから負圧状態にして(図3参照)液体を吸入し、その後、分注容器30に飛滴して分注作業を行う。
なお、吸入した液体の全量を一回で飛滴するように設定しても、複数回に分けて飛滴するように設定しても自由である。
【0029】
さらに、図1〜図3に示す実施形態に於て、液体を飛滴してから液体を吸入し再度飛滴するまで{図5に於て(C)→(D)→(E)(A)→(B)→(C)の工程}の開閉弁3・第1切換バルブ21・第2切換バルブ22のON−OFFの制御方法(操作手順)と、その時の開閉弁3内(内部空間S)の圧力P0 の状態について、図6の状態説明図を参照して詳しく説明する。
まず、液体を飛滴後、図1に示すように、第1切換バルブ21はコンプレッサ8と第1分岐流路11とを連通すると共に、第2切換バルブ22は第1分岐流路11と共用流路10とを連通し、開閉弁3は閉じて正圧状態にある。また、この時の第1切換バルブ21と第2切換バルブ22をOFF状態とする。
【0030】
そして、正圧状態で極細管5から液体を飛滴後、図2に示すように、第1切換バルブ21をONにして第1分岐流路11と大気開放口7とを連通させて、開閉弁3を(正圧状態を解除し)大気圧状態にする。なお、この時、開閉弁3の内部空間Sと連通する共用流路10内と第1分岐流路11内も大気圧状態になっている。
【0031】
開閉弁3を大気圧状態にした後、極細管5の先端を液体に漬けて開閉弁3を開け、図3に示すように、第2切換バルブ22をONにして共用流路10と第2分岐流路12とを連通させ開閉弁3を負圧状態にし、所定量の液体を吸入して開閉弁3を閉じる(図6の吸入工程K)。
なお、ON状態の第1切換バルブ21は、第2切換バルブ22をONにした(負圧状態にした)後、次に液体を飛滴するときまでの間にOFF状態に戻しておけばよい。
【0032】
また、開閉弁3を閉じて液体を吸入し終わると、(すでに第1切換バルブ21はOFF状態に戻してあり)第2切換バルブ22をOFFにし、開閉弁3を図1に示す正圧状態にする。そして、開閉弁3を瞬間的に開放して液体を分注容器30に飛滴する(図6の飛滴工程H)。
【0033】
図7〜図9に示す実施の形態に於て、液体を飛滴してから液体を吸入し再度飛滴するまでの開閉弁3・第1切換バルブ21・第2切換バルブ22のON−OFFの制御方法(操作手順)と、その時の開閉弁3内(内部空間S)の圧力状態について説明する。
まず、液体を飛滴後、図7に示すように、第1切換バルブ21と第2切換バルブ22は、共にOFF状態となっている(開閉弁3が)正圧状態にある。即ち、第1切換バルブ21はコンプレッサ8と共用流路10とを連通すると共に、第2切換バルブ22は第2分岐流路12と大気開放口7とを連通している。
【0034】
そして、正圧状態で極細管5から液体を飛滴後、図8に示すように、第1切換バルブ21をONにして、共用流路10に大気側へ開口した第2分岐流路12を連通させて、開閉弁3を(正圧状態を解除し)大気圧状態にする。
【0035】
開閉弁3が大気圧状態にした後、極細管5の先端を液体に漬けて開閉弁3を開け、図9に示すように、第2切換バルブ22をONにして真空ポンプ9と第2分岐流路12とを連通させ開閉弁3を負圧状態にし、所定量の液体を吸入して開閉弁3を閉じる。
また、開閉弁3を閉じて液体を吸入し終わると、(すでに第1切換バルブ21はOFF状態に戻してあり)第2切換バルブ22をOFFにし、開閉弁3を図7に示す正圧状態にする。そして、開閉弁3を瞬間的に開放して液体を分注容器30に飛滴する。
【0036】
以上のように、本発明の微量液体吸入飛滴装置は、共用流路10と、共用流路10の上流側に分岐して配設された第1分岐流路11及び第2分岐流路12と、第1分岐流路11の上流側に配設された正圧発生手段1と、第2分岐流路12の上流側に配設された負圧発生手段2と、共用流路10の下流側に接続された開閉弁3と、開閉弁3の開閉を制御する電気的制御部4と、開閉弁3に付設されると共に液体を吸入・飛滴する極細管5と、を備え、開閉弁3の閉状態に於て開閉弁3内を負圧状態から正圧状態へ切り換えると共に正圧状態から一旦大気圧状態にして負圧状態へと切り換える切換手段6を有するので、液体を吸入する前に、開閉弁3を閉じた状態で開閉弁3内の正圧状態を解除して一旦大気圧状態にすることができ、このことにより、液体を吸入する際に、液体に漬けた極細管5の先端から空気が液中に漏れるのを防止することができる。
つまり、液体を吸入する前に、開閉弁3内の空気の圧縮を解除することができるので、従来のように、正圧状態のまま開閉弁3を開け、内部の圧縮空気の膨張によって極細管5の先端から空気が液中に押し出されて気泡が発生することがない。従って、液体を吸入する際に、その気泡が邪魔して液体を吸入しにくかったり、気泡も一緒に吸入されるといった問題が解消され、正確な量の液体を吸入して勢いよく飛滴することができる。
【0037】
また、切換手段6は、正圧発生手段1と大気開放口7とを切り換えて第1分岐流路11に連通連結する第1切換バルブ21と、第1分岐流路11と第2分岐流路12とを切り換えて共用流路10に連通連結する第2切換バルブ22と、を有するので、液体を吸入する際に、液体に漬けた極細管5の先端から空気が液中に漏れることを防止することができ、簡易な構造にて微量の液体を高精度に吸引して飛滴することができる。
【0038】
また、切換手段6は、第1分岐流路11と第2分岐流路12とを切り換えて共用流路10に連通連結する第1切換バルブ21と、負圧発生手段2と大気開放口7とを切り換えて第2分岐流路12に連通連結する第2切換バルブ22と、を有するので、液体を吸入する際に、液体に漬けた極細管5の先端から空気が液中に漏れることを防止することができ、簡易な構造にて微量の液体を高精度に吸引して飛滴することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の一形態を示す正圧状態の全体簡略構成説明図である。
【図2】大気圧状態の全体簡略構成説明図である。
【図3】負圧状態の全体簡略構成説明図である。
【図4】要部縦断面図である。
【図5】要部作用説明図である。
【図6】状態説明図である。
【図7】他の実施の形態を示す正圧状態の全体簡略構成説明図である。
【図8】大気圧状態の全体簡略構成説明図である。
【図9】負圧状態の全体簡略構成説明図である。
【図10】別の実施の形態を示す正圧状態の全体簡略構成説明図である。
【図11】従来例を示す要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 正圧発生手段
2 負圧発生手段
3 開閉弁
4 電気的制御部
5 極細管
6 切換手段
7 大気開放口
10 共用流路
11 第1分岐流路
12 第2分岐流路
21 第1切換バルブ
22 第2切換バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共用流路(10)と、該共用流路(10)の上流側に分岐して配設された第1分岐流路(11)及び第2分岐流路(12)と、上記第1分岐流路(11)の上流側に配設された正圧発生手段(1)と、上記第2分岐流路(12)の上流側に配設された負圧発生手段(2)と、上記共用流路(10)の下流側に接続された開閉弁(3)と、該開閉弁(3)の開閉を制御する電気的制御部(4)と、上記開閉弁(3)に付設されると共に液体を吸入・飛滴する極細管(5)と、を備え、
上記開閉弁(3)の閉状態に於て開閉弁(3)内を負圧状態から正圧状態へ切り換えると共に正圧状態から一旦大気圧状態にして負圧状態へと切り換える切換手段(6)を有することを特徴とする微量液体吸入飛滴装置。
【請求項2】
上記切換手段(6)は、上記正圧発生手段(1)と大気開放口(7)とを切り換えて上記第1分岐流路(11)に連通連結する第1切換バルブ(21)と、上記第1分岐流路(11)と上記第2分岐流路(12)とを切り換えて上記共用流路(10)に連通連結する第2切換バルブ(22)と、を有する請求項1記載の微量液体吸入飛滴装置。
【請求項3】
上記切換手段(6)は、上記第1分岐流路(11)と上記第2分岐流路(12)とを切り換えて上記共用流路(10)に連通連結する第1切換バルブ(21)と、上記負圧発生手段(2)と大気開放口(7)とを切り換えて上記第2分岐流路(12)に連通連結する第2切換バルブ(22)と、を有する請求項1記載の微量液体吸入飛滴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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