説明

性的障害の治療におけるフリバンセリンの使用

【課題】性欲強化特性を示す性欲障害治療用薬剤の提供。
【解決手段】本発明は、性欲障害治療剤を製造するためのフリバンセリンの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、性欲障害治療用薬剤を製造するためのフリバンセリンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の記載
1-[2-(4-(3-トリフルオロメチル-フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-2-オン(フリバンセリン)は、その塩酸塩形態で、欧州特許出願EP-A-526434に開示されており、以下の化学構造を有する:
【0003】
【化1】

【0004】
フリバンセリンは、5−HT1A及び5−HT2−レセプターに対する結合性を示す。従って、それは、種々の疾患、例えば、うつ病、精神分裂症及び不安などの治療に対して、将来有望な治療剤である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
性的不全に悩む男性及び女性の患者の研究において、場合により薬理学的に許容可能な酸付加塩の形態にあってもよいフリバンセリンが、性欲強化特性を示すことが分かった。従って、本発明は、場合により薬理学的に酸付加塩の形態にあってもよいフリバンセリンの、性欲障害治療用薬剤を製造するための使用に関する。
好ましい実施態様においては、本発明は、場合により薬理学的に許容可能な酸付加塩形態にあってもよいフリバンセリンの、性的欲求低下障害(Hypoactive Sexual Desire Disorder)、性欲の喪失(loss)、性欲の不足(lack)、性欲の低下(decrease)、性欲の抑制(inhibit)、リビドーの喪失、リビドーの混乱(disturbance)及び不感症(frigidity)からなる群より選ばれる疾患治療用薬剤を製造するための使用に関する。
より好ましい本発明は、場合により薬理学的に許容可能な酸付加塩形態にあってもよいフリバンセリンの、性的欲求低下障害、性欲の喪失、性欲の不足、性欲の低下及び性欲の抑制からなる群より選ばれる疾患治療用薬剤を製造するための使用に関する。
特に好ましくは本発明は、場合により薬理学的に許容可能な酸付加塩形態にあってもよいフリバンセリンの、性的欲求低下障害及び性欲の喪失からなる群より選ばれる疾患治療用薬剤を製造するための使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
フリバンセリンの観察される効果は、男性及び女性において達成され得る。しかしながら、本発明の更なる態様によれば、場合により薬理学的に許容可能な酸付加塩形態にあってもよいフリバンセリンの、女性の性的不全治療用薬剤を製造するための使用が好ましい。
フリバンセリンの有益な効果は、混乱(disturbance)が一生存続するか又は獲得されたか否かにかかわらず、また、病因(有機的-両方の、物理的及び薬剤誘導-、精神病原(psychogen)、有機的-両方の、物理的及び薬剤誘導-と精神病原との組み合せ、又は未知のもの)から独立して観察され得る。
フリバンセリンは、場合によりその薬理学的に許容可能な酸付加塩の形態で使用することができる。適切な酸付加塩としては、例えば、コハク酸、臭化水素酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸、酒石酸及びクエン酸からなる群より選ばれる酸のものが挙げられる。上記酸付加塩の混合物もまた使用することができる。上記酸付加塩から、塩酸塩及び臭化水素酸塩、特に塩酸塩が好ましい。
【0007】
場合により薬理学的に許容可能な酸付加塩の形態で使用することができるフリバンセリンは、固体、液体又はスプレー形態の従来の医薬製品に導入することができる。その組成物は、例えば、経口投与、直腸投与、非経口投与又は点鼻に適する形態であってもよく:好ましい形態としては、例えば、カプセル、タブレット、被覆タブレット、アンプル、坐薬及び鼻スプレーが挙げられる。
活性成分は、医薬組成物中に従来から使用されている賦形剤又はキャリヤー、例えば、タルク、アラビアゴム、ラクトース、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、コーンスターチ、水性又は非水性ビヒクル、ポリビニルピロリドン、脂肪酸の半合成グリセリド、塩化ベンザルコニウム、リン酸ナトリウム、EDTA、ポリソルベート80中に導入することができる。組成物は、有利には、投与単位中に配合され、各投与単位は、活性成分の単回投与量を供給するように適合化される。1日あたりに適切な投与量範囲は、好ましくは、1.0〜300mgであり、より好ましくは2〜200mgである。各投与単位は、便宜的に、0.01〜100mg、好ましくは、0.1〜50mgを含んでいてもよい。
【0008】
適切なタブレットは、例えば、活性物質を、既知の賦形剤、例えば、不活性稀釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はラクトース)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ又はアルギン酸)、バインダー(例えば、スターチ又はゼラチン)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム又はタルク)及び/又は遅延放出剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース又はポリ酢酸ビニル)と混合することにより得ることができる。タブレットは、また、幾つかの層を含んでいてもよい。
被覆タブレットは、タブレットと同様に製造したコアを、タブレットの被覆に通常使用される物質、例えば、コリドン(collidone)又はセラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は砂糖で被覆することにより製造することができる。遅延放出を達成するため又は不和合性を防止するため、コアは、また、多数の層からなっていてもよい。同様に、タブレットのコーティングは、おそらくは、タブレットについて上述した賦形剤を用いて、遅延放出を達成するために多くの層又は複数の層からなっていてもよい。
【0009】
本発明によれば、活性物質を含むシロップ又はエリキシル又はそれらの組み合せが、更に、甘味料、例えば、サッカリン、シクラメート、グリセロール又は砂糖、及びフレーバー強化剤、例えば、バニリン又はオレンジ抽出物を含んでいてもよい。それらは、また、サスペンションアジュバント又は増粘剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、湿潤剤、例えば、脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、又は防腐剤、例えば、p−ヒドロキシベンゾエートを含んでいてもよい。
注入溶液は、通常の方法で、例えば、防腐剤、例えば、p−ヒドロキシベンゾエート、又は安定化剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩の添加により製造することができ、また、注入バイアル又はアンプル中に移送することができる。
1又はそれより多くの活性物質又は活性物質の組み合せを含むカプセルは、例えば、活性物質を、不活性キャリヤー、例えば、ラクトース又はソルビトールと混合すること、及び、それらをゼラチンカプセルにパックすることにより製造することができる。
適切な坐薬は、例えば、この目的のために用意するキャリヤー、例えば、中性脂肪又はポリエチレングリコール又はそれらの誘導体との混合により製造することができる。
以下の実施例により、本発明を説明するが、これらは本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0010】
医薬配合物の実施例

微粒状活性物質、ラクトース及びいくらかのコーンスターチを一緒に混合した。その混合物をスクリーニングし、次いで水中ポリビニルピロリドン溶液で湿潤し、練り、湿式造粒にかけ、乾燥した。粒状物、残りのコーンスターチ及びステアリン酸マグネシウムをスクリーニングにかけ、一緒に混合した。その混合物を圧縮して、適切な形態及びサイズのタブレットを製造した。
【0011】

微粒状活性物質、いくらかのコーンスターチ、ラクトース、微結晶セルロース及びポリビニルピロリドンを一緒に混合し、その混合物をスクリーニングし、残りのコーンスターチ及び水を添加して、粒状物を得て、それを乾燥し、スクリーニングにかけた。カルボキシメチルスターチナトリウム及びステアリン酸マグネシウムをその中に添加及び混合し、混合物を圧縮して、適切なサイズのタブレットを形成した。
【0012】

活性物質、コーンスターチ、ラクトース及びポリビニルピロリドンを十分に混合し、水で湿潤させた。湿潤した塊を、1mmメッシュサイズのスクリーンから押し出し、45℃で乾燥し、その粒状物を、次いで、同一のスクリーンにかけた。ステアリン酸マグネシウムをその中に混合した後、直径6mmの凸型タブレットコアをタブレット製造機で圧縮した。そのようにして得られたタブレットコアを、既知の手段で、本質的に砂糖及びタルクからなるカバーで覆った。最終的な被覆タブレットをワックスで光沢化(polish)した。
【0013】

活性物質及びコーンスターチを混合し、水で湿潤させた。湿潤した塊をスクリーンにかけ、乾燥させた。乾燥粒状物をスクリーンにかけ、ステアリン酸マグネシウムで混合した。最終的な混合物をサイズ1の硬質ゼラチンカプセルにパックした。
【0014】

活性物質を、水中に、その独自のpH、又は場合によりpH5.5〜6.5で溶解し、塩化ナトリウムを添加して、等張なものとした。得られた溶液を、ピロゲンなしにろ過し、ロ液を、無菌状態でアンプルに移送し、それを、次いで、殺菌し、フュージョンでシールした。
【0015】

固い脂肪を溶かした。40℃で、粒状活性物質を均質に分散させた。それを38℃に冷却し、僅かに冷却した座薬金型に注入した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
場合により薬理学的に許容可能な酸付加塩形態にあってもよいフリバンセリンの、性欲障害治療用薬剤を製造するための使用。
【請求項2】
性欲障害が、性的欲求低下障害、性欲の喪失、性欲の不足、性欲の低下、性欲の抑制、リビドーの喪失、リビドーの混乱及び不感症からなる群より選ばれる請求項1に記載の使用。
【請求項3】
性欲障害が、性的欲求低下障害、性欲の喪失、性欲の不足、性欲の低下及び性欲の抑制からなる群より選ばれる請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
女性の性的不全治療用薬剤を製造するための、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
フリバンセリンが、コハク酸、臭化水素酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸、酒石酸、クエン酸又はこれらの混合物から選ばれる酸により形成される塩から選ばれる薬理学的に許容可能な酸付加塩の形態で適用される請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
フリバンセリンが、0.1〜400mg/日の投与量で適用される請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。

【公開番号】特開2012−67134(P2012−67134A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−343(P2012−343)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2007−124(P2007−124)の分割
【原出願日】平成14年10月4日(2002.10.4)
【出願人】(503137975)ベーリンガー インゲルハイム ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (129)
【Fターム(参考)】