説明

患者に対して取り付けられた外科手術ナビゲーションセンサを提供するための方法およびシステムおよび装置

本発明は、コンピュータ支援外科手術において使用されるような、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ(100)を提供するための方法および装置を開示するものである。本発明の実施形態によるナビゲーションセンサは、外科手術参照物を検出し得る少なくとも2つの光学的追跡カメラと、患者の骨に対して取り付けられ得るよう構成された取付部材と、を備えている。センサが、装置の外部ではなく、骨に対して取り付けられていることにより、このため、追跡対象をなす外科手術参照物に対してより近接していることにより、外科手術参照物がなす平面とセンサとの間に形成された鋭角に基づくような、また、医療従事者が参照物の信号経路を遮蔽することに基づくような、視野方向問題の発生を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、特許文献1の優先権を主張するものであり、この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、コンピュータ支援外科手術に関するものであり、より詳細には、コンピュータ支援外科手術において使用し得るよう、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサを提供するための方法およびシステムおよび装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
多くの外科手術手法においては、様々な器具や他の外科手術アイテムを必要とする。必要なアイテムには、限定するものではないけれども、導入ツールや動作チャネルやドリルガイドや組織プロテクターとして機能するスリーブ;メス;導入用千枚通し;ガイドピン;リーマー;レデューサ;ディストラクタ;ガイドロッド;内視鏡;関節鏡;のこぎり;ドリル;ネジ回し;千枚通し;タップ;切骨刀;スパナ;がある。整形外科的操作も含めた多くの外科手術操作においては、これらのアイテムのいくつかまたはすべてを、外科手術参照物を有したガイドおよび/またはハンドルに対して関連づけることが好ましい。これにより、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムを使用して、器具を使用することができる。
【0004】
いくつかの製造業者が、現在のところ、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムを製造している。 Medtronic Surgical Navigation Technologies, Inc. 社によって製造される、FLUORONAV(登録商標)ソフトウェアを備えたTREON(登録商標)システムおよびION(登録商標)システムは、そのようなシステムの例である。BrainLAB VECTORVISION(登録商標)システムは、そのような外科手術ナビゲーションシステムの他の例である。画像によって案内されつつ外科手術を実施するためのシステムおよびプロセスは、特許文献2〜11にも記載されている。これら文献の記載内容は、参考のため、ここに組み込まれる。
【0005】
これらのシステムおよびプロセスにおいては、例えば赤外線センサといったような立体的等のように機能している位置および/または向き追跡センサを使用する、あるいは、参照物送信器も含めて参照構造に関連しつつ機能している他のセンサを使用する。これにより、生体部位や、器具等の手術関連アイテムや、器具や、試験的プロテーゼや、プロテーゼ構成部材や、仮想構成物や、例えば骨目標物の指定に基づいて計算され保存された回転軸線といったような参照物、の位置を追跡することができる。例えばカメラや検出器や他の類似デバイスといったようなセンサは、典型的には、生体部位および外科手術関連アイテムの上方に取り付けられ、これにより、生体部位および外科手術関連アイテムの位置および/または向きを受領したり検出したり他の測定を行ったりする。自立型のものであるかあるいはネットワーク化されたものであるかあるいは他のものであるかに関係なく、例えばコンピュータ機能に関する任意の所望の態様のものといったような処理機能においては、例えば基準点や参照物送信器といったような関連する基準点が検出された位置および向きに基づき、あるいは、格納された位置および/または向きに関する情報に基づき、位置検出フィールド(この位置検出フィールドは、一般にあるいは特定的に、全部または一部に対して、外科手術フィールドのすべてよりも多くのものに対して、対応することができる)内における様々なアイテムに関しての位置および向き情報を考慮する。処理機能は、各対象物に関するこのような位置および向き情報を、アイテムに関して格納された情報と相関させる。例えば、コンピュータ化された蛍光透視画像ファイルや、器具構成部材や試験的関節プロテーゼや実際の関節プロテーゼを表現しているワイヤフレームデータファイルや、回転軸線や他の仮想構成物や参照物に関してコンピュータが生成したファイル、といったような、情報と相関させる。その後、処理機能は、対象物の位置および向きを、スクリーンやモニタやヘッドアップディスプレイ等に、参照物や機械的軸線や回転軸線や他の仮想構成物や参照物といったような画像情報またはナビゲーション情報と組み合わせて、表示する。よって、これらのシステムおよびプロセスは、参照構造または送信器の位置を検出することによって、生体部位や外科手術関連アイテムや器具やインプラントや
仮想構成物に関連する予測された位置および向きまたは実際の位置および向きに関して有効なデータを表示したりあるいは、出力したりすることができる。これにより、ナビゲーションや、評価や、外科手術や、他の操作、を行うことができる。
【0006】
これら参照構造または参照物送信器のいくつかは、赤外線を発光したりあるいは反射したりすることができる。この赤外線は、その後、赤外線カメラによって検出される。参照物は、赤外線や視覚や音や磁気や電磁気やX線やあるいは他の任意の所望技術によって、能動的にまたは受動的に、検出する検出することができる。能動的な参照物は、エネルギーを放出し、受動的な参照物は、単に、エネルギーを反射するだけである。いくつかの外科手術的参照物は、マーカーまたは基準点を備えることができる。これらマーカーまたは基準点は、赤外線センサによって追跡され、これにより、参照物の位置および向きが決定される。これにより、関連する器具や、インプラント構成部材や、参照物が付設されている他の対象物、に関する位置および向きが決定される。
【0007】
固定基準点を有した外科手術参照物に加えて、互いに独立に配置し得る複数の基準点とすることができるモジュール的基準点を使用することができ、これにより、座標系内における様々なポイントを参照することができる。モジュール的基準点は、反射部材を備えることができる。反射部材は、2つのあるいは時にはそれ以上の数のセンサによって、追跡することができる。センサからの出力は、関連する処理機能によって処理することができる。これにより、モジュール的基準点が付設されているアイテムの位置および向きを幾何学的に計算することができる。固定された基準点をなす外科手術参照物と同様に、モジュール的基準点およびセンサは、赤外スペクトルに限定される必要はなく、電磁気的技術や静電的技術や光学的技術や音響的技術やラジオ周波数技術やあるいは他の所望の技術を使用することができる。同様に、モジュール的基準点は、赤外線や他の形態のエネルギーを『受動的に』反映させるのではなく、追跡システムに対して参照物情報を『能動的に』送信することができる。
【0008】
上記ナビゲーションシステムと一緒に使用し得る外科手術参照物は、上記の外科手術器具や他のアイテムも含めた任意の所望の構造にに対して固定することができる。外科手術参照物は、参照対象をなす器具またはアイテムに対して直接的に固定することができる。しかしながら、多くの例においては、器具または他のアイテムに対して外科手術参照物を固定することは、実際的でもなく、また、望ましくものでもない。むしろ、多くの状況においては、外科手術参照物を、器具または他のアイテムを受領し得るよう構成されたハンドルおよび/またはガイドに対して固定することが、好ましい。例えば、ドリルビットおよび他の回転器具は、これらに対して直接的に外科手術参照物を固定することによっては、追跡することができない。なぜなら、外科手術参照物が、器具と一緒に回転してしまうからである。むしろ、回転器具を追跡するための好ましい方法は、器具またはアイテムのガイドまたはハンドルに対して、外科手術参照物を関連づけることである。
【0009】
例えばナビゲーションアレイやセンサといったような基準点またはマーカーの様々な構成および組合せが、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムと一緒に使用されてきた。そのようなナビゲーションアレイおよびセンサの使用は、『視野方向(あるいは、ラインオブサイト)』という問題点によって影響を受ける。つまり、アレイおよびセンサがなす平面どうしの間の角度が鋭角になると、マーカーが、同一平面上にある他のマーカーによって遮蔽されてしまう。これにより、アレイの視野が制限されてしまう。同様に、センサが、一般に、動作空間内において、例えば天井といったような、すべての外科手術参照物をセンサの視野内に収め得るような領域に固定されていることにより、参照物信号の伝達経路は、医療従事者によって遮蔽され得る。アレイ内のすべてのマーカーを画像内で見つけられない場合には、患者の身体に対してのマーカーの正確な位置決めを行うことは、困難なものとなる。コンピュータ支援外科手術時に視野方向という問題点が発生した場合には、ナビゲーションアレイに関連づけられた外科手術用器具の位置は、または、ナビゲーションアレイ自体の位置は、再度位置決めされなければならない。このことは、外科手術手技と関連する時間と労力と増大させる。
【特許文献1】“Patient Mounted Navigational Camera System”と題して2004年1月22日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第60/538,448号明細書
【特許文献2】“Total Knee Arthroplasty Systems and Processes”と題して2002年2月27日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第10/084,012号明細書
【特許文献3】“Surgical Navigation Systems and Processes forUnicompartmental Knee Arthroplasty”と題して2002年2月27日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第10/084,278号明細書
【特許文献4】“Surgical Navigation Systems and Processes for High TibialOsteotomy”と題して2002年2月27日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第10/084,291号明細書
【特許文献5】“Total Knee Arthroplasty Systems and Processes”と題して2002年2月27日付けで出願された国際特許出願第US02/05955号明細書
【特許文献6】“Surgical Navigation Systems and Processes forUnicompartmental Knee Arthroplasty”と題して2002年2月27日付けで出願された国際特許出願第US02/05956号明細書
【特許文献7】“Surgical Navigation Systems and Processes for High Tibial Osteotomy”と題して出願された国際特許出願第US02/05783号明細書
【特許文献8】“Image Guided Fracture Reduction”と題して2002年2月11日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第60/355,886号明細書
【特許文献9】特許文献8の優先権を主張しつつ、“Image Guided FractureReduction”と題して2003年2月11日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第10/364,859号明細書
【特許文献10】“Image Guided System for Arthroplasty”と題して2001年2月27日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第60/271,818号明細書
【特許文献11】“Image Computer Assisted Knee Arthroplasty”と題して2002年8月27日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第10/229,372号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の様々な見地および実施形態は、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサを使用したような、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムに関するものである。そのような外科手術ナビゲーションシステムは、とりわけ、コンピュータ支援外科手術において共通であるような『視野方向』という問題点が発生する傾向を低減させることができる。
【0011】
本発明のコンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムは、
(a)患者の生体部位の位置および向きに関するナビゲーション参照情報を生成し得るコンピュータプログラムと;
(b)患者に対して取り付けられたセンサであるとともに、少なくとも1つの外科手術参照物に関連する位置を検出し得るものとされ、さらに、少なくとも1つの外科手術参照物の位置を追跡し得るものとされた、センサと;
(c)センサによって追跡される少なくとも1つの外科手術参照物と;
(d)ナビゲーション参照情報のいくつかを格納し得るとともに、センサから情報を受領し得るものとされこれにより生体部位に対しての少なくとも1つの外科手術参照物の位置および向きを追跡し得るものとされた、コンピュータと;
(e)コンピュータから情報を受領し得るものとされ、これにより、ナビゲーション参照情報のいくつかと、少なくとも1つの外科手術参照物と、を表示し得るものとされた、モニタと;
を具備することができる。
【0012】
本発明の他の実施形態は、患者の身体に取り付けられ得る位置決めセンサといったようなデバイスを備えることができる。位置決めセンサは、赤外線と、音と、視覚と、磁気と、電磁気と、X線と、のうちの少なくとも1つを使用することにより、外科手術参照物を検出し得る少なくとも2つのセンサと、患者の骨に対して取り付けられ得るよう構成された取付部材と、を備えている。本発明の1つの特定の実施形態においては、センサは、光学的追跡カメラである。本発明のさらに他の実施形態においては、センサは、例えば大腿骨といったような患者の骨に対して取り付けられた光学的追跡カメラである。
【0013】
本発明のさらに他の実施形態は、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサを使用しているような、コンピュータ支援外科手術の実行方法である。本発明による方法においては、
(a)患者の生体部位に対してナビゲーションセンサを取り付けるとともに、ナビゲーションセンサを、
(i)患者の生体部位に関連する少なくとも1つの外科手術参照物を検出するためのセンサであるとともに、少なくとも1つの外科手術参照物に関連する位置を検出し得るよう構成されたセンサと、
(ii)患者の骨に対して取り付けられ得るよう構成された取付部材と、
を備えたものとし;
(b)対象物に隣接させて外科手術参照物を取り付け;
(c)ナビゲーションセンサによって外科手術参照物を検出し;
(d)外科手術参照物の検出結果に少なくとも部分的に基づいて、対象物に関連する位置を決定し;
(e)コンピュータ内において、患者の生体部位に対してのナビゲーション参照情報を生成するとともに、ナビゲーション参照情報を、少なくとも1つの軸線を備えたものとし;
(f)外科手術参照物の検出結果とナビゲーション参照情報の少なくともいくつかとの組合せに少なくとも部分的に基づいて、対象物に関連する位置を表示する。
【0014】
本発明の少なくとも1つの実施形態においては、センサは、光学的追跡カメラとすることができる。本発明の他の実施形態においては、センサは、少なくとも2つの光学的追跡カメラを備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下においては、本発明のいくつかの好ましい実施形態を示す添付図面を参照することにより、本発明について説明する。しかしながら、本発明は、様々な態様で具現することができ、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、膝の外科手術に関し、この場合には膝関節形成術に関し、本発明に基づき、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサを使用しつつ、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムを使用している状況を、概略的に示している。図1に示すコンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムの実施形態は、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100を備えている。本発明による患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100は、外科手術参照物104を埋設したり付設したり物理的に関連づけたり仮想的に関連づけたりしたような、例えば脛骨101や大腿骨102といったような様々な生体部位に対して関連づけられた様々な特定の場所を追跡することができる。患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100は、センサ機能を有したものとすることができ、外科手術参照物104の位置および向きを検出することができる。一実施形態においては、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100は、一対をなす光学的な追跡カメラまたは赤外線センサ105,107とすることができ、互いに離間させて配置される。それらの出力を、協働的に処理することができ、これにより、例えば図2に示すナビゲーションアレイ204といったような1つまたは複数の外科手術参照物に関する位置情報および向き情報を提供することができる。2つあるいはそれ以上の光学的追跡カメラまたはセンサを使用する場合には、カメラまたはセンサは、外科手術参照物に関しての相対的に近接した複数の視点位置を集合的に提供することができる。
【0017】
患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100を使用することにより、外科手術参照物104の位置および向きを、したがって外科手術参照物104が関連づけられているアイテムの位置および向きを、検出することができる。外科手術参照物は、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステム内のナビゲーションセンサによって検出され得るような、例えばマーカー部材といったような基準点マーカーを備えることができる。患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100は、外科手術参照物104から、能動的な信号あるいは受動的な信号を検出することができる。信号は、電気的なものや、磁気的なものや、電磁気的なものや、音響的なものや、物理的なものや、ラジオ周波数のものや、光学的なものや、視覚的なものや、他の能動的な技術あるいは受動的な技術を利用したもの、とすることができる。例えば、一実施形態においては、ナビゲーションセンサ100は、受動的なタイプの外科手術参照物の存在を視覚的に検出することができる。他の実施形態の例においては、ナビゲーションセンサは、能動的なタイプの外科手術参照物によって提供された能動的信号を受領することができる。図1に示す例においては、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムは、外科手術参照物104を検出するための、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100を使用する。外科手術ナビゲーションシステムは、外科手術参照物104の位置および向きに関して、したがって外科手術参照物104が付設されているまたは関連づけられているアイテムや例えば101,102といったような生体部位の位置および向きに関して、データを格納したり、あるいは、データを処理したり、あるいは、データを出力したり、することができる。
【0018】
図1に示すように、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100は、患者に対して直接的に取り付けることができる。例えば、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100は、例えば患者の大腿骨102といったような患者の生体部位に対して取り付けることができる。患者に対しての直接的なナビゲーションセンサ100の取付は、従来システムおよび従来プロセスにおける『視野方向』問題を、大いに低減させることができる。患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100は、外科手術参照物104を骨要素または組織要素に対して取り付けるのと同様にして、骨要素または組織要素に対して取り付けることができる。上記のように、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100は、2つまたはそれ以上のカメラ光学的ナビゲーションシステムとすることができる。患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100が、従来のコンピュータ−支援手術プロセスおよびシステムの場合と比較して、追跡対象をなす外科手術参照物104に対してずっと近接していることのために、すべての関連するコンピュータ支援外科カメラどうしの間の離間距離を、大いに低減することができる。
【0019】
図1に示す実施形態においては、1つまたは複数のコンピュータプログラムといったようなコンピュータ機能108は、処理機能と、メモリ機能と、入出力機能と、を備えることができる。コンピュータ機能は、独立型のものともまた分散型のものともすることができ、任意の所望の標準型アーキテクチャーやインターフェースやネットワークトポロジーを介したものとすることができる。一実施形態においては、コンピュータ機能108は、モニタ114に対して接続することができる。モニタ114上には、グラフィックスおよびデータを表示することができ、手術時に外科医に対して見せることができる。モニタ114は、好ましくは、触覚型のインターフェースを備えている。これにより、外科医は、モニタ114上を指し示してクリックすることにより、触覚型スクリーンから入力を行うことができる。このような入力は、必要に応じて、従来的インターフェースであるキーボードやマウスに加えて、あるいは、それらに代えて、行うことができる。その上、フットペダル110または他の便利なインターフェースを、有線型のまたは無線型のインターフェースとして、コンピュータ機能108に対して接続することができる。これにより、外科医や看護士や他の使用者は、コンピュータ機能108を制御することができる。特に、ある構成部材が適切な向きや位置に配置された際に、位置/向きに関する情報を収集することができる。例えば試験的構成部材や器具といったようなアイテム112は、1つまたは複数の外科手術参照物104を使用することにより、生体部位101,102に対しての位置および向きを追跡することができる。
【0020】
コンピュータ機能108は、生体部位200,202およびアイテム112をなす他の構成部材の全部または一部に対応する様々な形態のデータを、処理したり、格納したり、モニタ114上に出力したり、することができる。例えば、生体部位101,102は、断面図でもって、または、例えば骨管といったような少なくとも様々な内面からの様子でもって、表示することができる。表層構造は、蛍光透視画像を使用して表示することができる。これらの画像は、外科手術参照物104に対して取り付けられたC字形状アームを使用して得ることができる。生体部位には、例えば脛骨101および大腿骨102には、外科手術参照物104を取り付けることもできる。外科手術参照物104に関し、C字形状アームを使用して蛍光透視法画像が得られる場合には、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100は、蛍光透視ヘッドの位置と、脛骨101および大腿骨102の位置および向きと、を『見ながら』追跡する。コンピュータは、この位置/向き情報と一緒に蛍光透視画像を格納する。すなわち、蛍光透視画像の位置および向きを、関連する生体部位に対して、相関させる。よって、脛骨101および対応する外科手術参照物104が移動した際には、コンピュータは、自動的に、かつ対応しながら、空間内における脛骨200の新たな位置を検出して、モニタ114上において、脛骨101に対して、道具や器具や参照物や試験的インプラントやインプラントを対応して動かすことができる。同様に、生体部位の画像を動かすことができ、生体部位とそのようなアイテムとの双方を動かすことができ、あるいは、スクリーン上に画像を表示することができる。これにより、外科医または他の操作者の好みに応え得るとともに、所望の撮影を実施することができる。同様に、例えばスタイラスやカッティングブロックやリーマーやドリルやのこぎりや延髄外ロッドや脊髄ロッドや他の任意のタイプのアイテムまたは器具といったようなアイテム112の移動が追跡されたときには、そのアイテムの画像がモニタ114上で移動する。これにより、モニタ114は、大腿骨102に対しての適正な位置および向きでもって、モニタ114上にアイテム112を表示する。よって、外科医が体内画像内へと映り込んだ場合であってさえも、モニタ114上において、アイテム112が、機械的軸線や大
腿骨102の他の特徴物に対して適正に位置合わせされているかあるいは位置ズレしているかどうかを表示することができる。これにより、アイテム112を適切に位置決めして操縦することができる。
【0021】
コンピュータ機能108は、さらに、手術時に使用されるような、例えば関節置換プロテーゼや道具や器具や試験的構成部材やインプラント構成部材や他のアイテムといったようなアイテム112の構成やサイズや他の特性に関するデータを格納することもできる。それらアイテムが位置/向きセンサ100の視野108内に導入された際には、コンピュータ機能108は、生体部位101,102の蛍光透視画像と、関節置換プロテーゼや道具や器具構成部材や試験的構成部材やインプラント構成部材や他のアイテム112に関してコンピュータが生成した画像と、の組合せ画像または重ね合わせ画像を生成して表示することができる。これにより、ナビゲーションや、位置決めや、評価や、他の使用、を行うことができる。
【0022】
生体部位に関しての蛍光透視画像やMRI画像や他の実際の画像の代わりに、コンピュータ機能108は、外科手術的視野内において例えば外科手術用器具といったようなアイテムに関して検出された位置および向きに基づいて、または、生体部位の位置および向きに基づいて、ナビゲーションデータまたは仮想構成物のデータを格納することができ出力することができる。例えば、モニタ114は、外科手術を行うに際して有効であるようなまたは要望されるような、切除平面や機械的軸線や前方/後方方向の参照平面や内向き/外向き方向の参照平面や回転軸線や他の任意のナビゲーション参照物または参照情報を、出力することができる。例えば参照平面の場合には、モニタ114は、位置および向きがセンサ100によって追跡されているカッティングガイドにより規定された切除平面に対応した切除平面を出力することができる。他の実施形態においては、モニタ114は、リーマーに関して検出された位置および向きに基づいて、カッティングトラックを出力することができる。また、他の仮想構成物を、モニタ114上に出力することもでき、外科手術的視野内において任意の外科手術用器具や他のアイテムに関して検出された位置および向きに基づいて、関連した外科手術用器具と一緒にあるいは個別に、表示することができる。これにより、外科医または他の使用者を補助することができて、外科手術のいくつかのステージにおいてあるいはすべてのステージにおいて、計画を立てることができる。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態においては、コンピュータ機能は、モニタ114上に、1つまたは複数の外科手術参照物104と関連づけられた1つまたは複数の外科手術用器具に関して検出された位置および向きに基づいて、インプラント構成部材に関しての投影された位置および向きを出力することができる。例えば、切除対象をなす生体部位の位置に対してカッティングブロックが操縦されている際には、システムは、カッティングブロックの位置および向きを追跡することができる。コンピュータ機能108は、モニタ114上に、カッティングブロックに関して検出された位置および向きに基づいて、例えば大腿骨および/または脚の機械的軸線と組み合わせて、また、前方/後方平面を示す軸線や内向き/外向き方向を示す軸線と一緒に、生体部位に対して投影されるインプラント配置位置を計算して出力することができる。いくつかの実施形態においては、生体部位に関しての蛍光透視画像やMRI画像や他の実際の画像は、一切表示されない。それは、関連する軸線および/または他のナビゲーション情報が表示される場合には、いくつかのそのような画像が、不要であるからであり、また、コンピュータ支援外科手術において逆効果であるからである。外科医または他の使用者が、インプラントに関しての投影された配置位置に不満である場合には、外科医は、カッティングブロックを再位置決めすることができ、これにより、投影されるインプラントの位置および向きに対する影響を評価することができる。
【0024】
加えて、コンピュータ機能108は、例えば指摘部材すなわちプローブ116を使用することにより、位置/向きセンサ100の視野内における任意のポイントを追跡することができる。プローブは、また、ナビゲーションアレイ204に対して保持したりあるいは取り付けたりすることができる。外科医や看護士や他の使用者は、骨構造上の目標物といったようなポイントのところにおいてプローブ116の先端で接触させて、フットペダル110等を起動させ、これにより、コンピュータ108に対して目標物の位置を指示する。患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100は、外科手術参照物104の位置および向きを『見ている』とともに、外科手術参照物104に対してのプローブ116の先端の位置を『知っている』。これにより、所望の時点において、フットペダル110が踏まれた時点でのあるいは他の態様で指示が与えられた時点での、プローブ116が指し示すポイントをあるいは他の位置を、計算して格納し、任意の形態および任意の色でもってモニタ114上に表示することができる。このように、プローブ116を使用することにより、骨構造上における目標物の位置を指し示すことができ、これにより、コンピュータ108は、外科手術参照物104の移動と比較しつつ、例えば機械的軸線118や大腿骨102や脛骨101や他の生体部位の内向き外向き方向の軸線120や前方/後方方向の軸線122や他の任意の仮想的なまたは実際の構成物や参照物といったようなものに関しての仮想的なまたは論理的な情報を、格納して追跡することができる。
【0025】
本発明の実施形態においては、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサは、例えば Medtronic Sofamor Danek Technologies 社によって提供されるいわゆるFLUORONAV(登録商標)システムおよびソフトウェアといったような適切なコンピュータ支援外科手術システムおよびプロセスに対して、通信を行うことができる。このようなシステムまたは見地は、米国特許第5,383,454号明細書、米国特許第5,871,445号明細書、米国特許第6,146,390号明細書、米国特許第6,165,081号明細書、米国特許第6,235,038号明細書、米国特許第6,236,875号明細書、および、関連した特許文献(米国特許法第119条および/または第120条の下で)に記載されている。これら文献の記載内容は、参考のため、ここに組み込まれる。上述したように、撮影や、データの格納や、生体部位およびアイテムの追跡や、他の目的のために、他の任意の望ましいシステムおよびプロセスを使用することができる。
【0026】
FluoroNav(登録商標)システムは、参照フレームタイプの基準点の使用を必要とし得るものである。基準点は、4つの要素を有し、場合によっては5つの要素を有している。基準点の位置および向きは、センサによって追跡される。よって、生体部位や、道具や、器具や、試験的構成部材や、インプラント構成部材や、他のデバイスまたは構造の位置および向きは、センサによって追跡される。そのようなシステムにおいては、少なくとも1つのプローブ116を使用することができる。プローブ116を使用することによって、外科医は、例えばプローブの先端の位置といったような位置をコンピュータに対して適切に知らせるべくプローブを配置することにより、解剖学的要素の位置上のポイントをまたは他の位置上のポイントを、選択したり、指し示したり、登録したり、あるいは、システムに対して知らせたり、することができる。FluoroNav(登録商標)システムは、また、センサ100によって追跡する際に手がかりをなす位置および向き情報と一緒に蛍光透視画像の取得して格納し得るよう、基準点が既に取り付けられた生体部位の蛍光透視画像を得るのに使用されているC字形状アームの位置および向きを追跡することもできる。これにより、モニタ114上に、ナビゲーションや骨切除や評価や他の目的のために外科手術と関連して使用される道具や器具構成部材や試験的構成部材やインプラント構成部材や他のアイテムや仮想的構成物や参照物に関してコンピュータが生成した画像と組み合わせて、骨の蛍光透視画像を表示することができる。
【0027】
本発明の様々な実施形態においては、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサは、ポイントオブクラス(point of class)タイプのおよび登録タイプおよび他のタイプの外科手術技術および方法や、外科手術位置決め技術および方法や、外科手術準備技術および方法、と一緒に使用することができる。例えば、ある1つのプロテーゼ配置手順においては、外科医は、プローブ構成部材を最終的に位置決めする際の基準を形成し得るよう、患者の大腿骨に関する機械的軸線や他の関連した構成物を確立する目的で、患者の大腿骨ヘッドの回転中心を指定することができる。そのような回転中心は、位置および向きに関する情報について多数のサンプルを取得し得るよう、およびこれにより、回転中心の平均をコンピュータによって計算し得るよう、寛骨臼内においてまたはプロテーゼ内において大腿骨を関節運動させることにより、確立することができる。回転中心は、ナビゲーションアレイに関連したプローブを使用し、大腿骨ヘッド上の多数のポイントを指し示し、これにより、コンピュータによって回転中心の幾何形状を計算することにより、確立することができる。加えて、例えばモニタに表示されるサイズ制御可能な円といったようなグラフィック表示を、外科医が、そのグラフィック表示の中心を指定するようにしてスクリーン上に触覚型の入力を行うことにより、平面的画像上において、大腿骨ヘッドの形状の上に付設することができる。そのような指定は、例えば、円に関する2つの軸線の交差箇所としてコンピュータによって表示される。本発明においては、骨構造に関連するものであるかどうかは別として、空間内においてポイントまたは構成物を決定したり計算したりあるいは確立したりするための他の技術を、使用することができる。
【0028】
他の例においては、本発明の様々な実施形態においては、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサは、外科手術で使用されるアイテムの指定または登録に際して使用することができる。登録とは、単に、生体部位またはアイテムまたは構成物と、1つまたは複数の基準点と、の対応関係をコンピュータが確実に知っていることを意味し、また、生体部位またはアイテムまたは構成物の位置および向きと、アイテムに対して取り付けられたインパクターまたは他の構成部材に付設された基準点の位置および向きと、の対応関係をコンピュータが確実に知っていることを意味する。そのような登録または指定は、骨または生体部位を登録する前にでもあるいは登録した後にでも、行うことができる。1つの例においては、技術者は、プローブを使用して、ナビゲーションアレイが取り付けられた器具構成部材といったようなアイテムを指定することができる。コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムと関連するセンサは、アイテムに対して取り付けられたナビゲーションアレイの位置および向きを『見る』ことができるとともに、その先端がアイテム上において目標物に対して接触しているプローブに取り付けられたナビゲーションアレイの位置および向きを『見る』ことができる。技術者は、スクリーン上においてアイテムを指定することができる、あるいは、アイテムを識別することができる。その後、フットペダルを起動させる等の方法によって、コンピュータに指示を出すことができ、これにより、例えば特定の膝インプラント製品のための特定のカッティングブロック構成部材を示すために必要なデータといったような、そのような認識に関連したデータを、構成部材に対して取り付けられた特定形状のナビゲーションアレイに対して、相関させることができる。その場合、コンピュータは、アイテムのための構成データおよび形状データといったようなデータと相関している構成部材のためにナビゲーションアレイに関しての認識情報や位置情報や向き情報を既に格納している。これにより、登録時には、センサが赤外線フィールド内でアイテムおよびナビゲーションアレイを追跡し得る場合には、モニタは、移動し回転しているとともに、生体部位や例えば追跡される軸線といったようなナビゲーション情報に対しての位置および向きが適切なものとされたカッティングブロック構成部材
を、示すことができる。
【0029】
同様に、生体部位の機械的軸線や他の軸線やあるいは構成物は、また、システムによる追跡のために『登録される』こともできる。この場合にも、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムは、蛍光透視法を使用することにより、患者の大腿骨ヘッドや膝や足首または他の生体部位の画像を得ることができる。および/または、例えば機械的軸線情報の生成といったように、そのような部位に関するナビゲーション情報を生成することができる。情報は、ナビゲーションアレイに対して連結されているデバイスや構成部材や他の構造物の位置および向きと一緒に表示することができる。画像を得るに際しては、上述したように、画像撮影前に生体部位上に配置されかつ外科手術時には所定位置に保持されるような1つまたは複数のナビゲーションアレイを使用することにより、システムは、そのような蛍光透視画像を、C字形状アームの位置および向きや患者の解剖学的部位の位置および向きに対して、リアルタイムでもって相関させることができる。これら軸線および構成物および/または画像および/またはプローブを使用することにより、外科医は、タッチスクリーン上においては通常前方/後方および側方図面といったような直交図面としてに表示された図の中から、大腿骨ヘッドの中心と足首の中心とを選択してコンピュータ内に登録することができる。外科医は、プローブを使用することにより、膝の手術サイトにおいてあるいは皮膚の手術サイトにおいてあるいは皮膚上の手術範囲においてあるいは足首上の手術サイトにおいて、任意の所望の解剖学的目標物または参照物を選択することができる。これらポイントは、システムによって三次元空間内において登録することができ、手術時に好ましくは配置される患者の解剖学的要素上のナビゲーションアレイに対して、追跡することができる。実際の骨構造を使用してポイントを登録することが、軸線を確立するための1つの好ましい方法であるけれども、生体部位を移動させて上で示したように回転中心を確立しつつ移動を追跡する際には、プローブを使用して骨構造表面上の複数のポイントを指定するというでクラウドオブポイントアプローチを使用することができる。大腿骨ヘッドおよび顆構成部材の回転中心が登録された後に、コンピュータは、大腿骨の機械的軸線を計算したり格納したり提供したり、あるいは、大腿骨の機械的軸線に
関するデータを使用したり、することができる。
【0030】
一例においては、脛骨の機械的軸線を、複数のポイントを指定して患者の脛骨の基端および先端の中心を決定することにより、確立することができる。これにより、機械的軸線を、計算したり、格納したり、あるいは、その後にコンピュータによって使用したり、することができる。所望によっては、後方顆の軸線を、また、複数のポイントを指定することによって、決定することができる。コンピュータによって生成された幾何学的画像が、蛍光透視画像と重ね合わせてあるいは組み合わせて表示された場合には、それらのすべてが、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムに関連しつつセンサによってで追跡される1つまたは複数のナビゲーションアレイにとっての手がかりとなる。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態において、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムを使用する場合に、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサの使用方法200を示すフローチャートである。
【0032】
方法200は、ブロック202から始まる。ブロック202においては、ナビゲーションセンサは、患者の生体部位に対して取り付けられる。図2に示す実施形態においては、ナビゲーションセンサは、図1に示す患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ100と同様のものとすることができる。例えば、ナビゲーションセンサは、外科手術参照物を検出するためにセンサと、患者の生体部位に対して取り付けられ得るよう構成された取付部材と、を備えることができる。一実施形態においては、センサは、例えば赤外線検出器といったような光学的追跡カメラとすることができる、あるいは、ナビゲーションアレイ上における対象物の存在を検出し得るよう構成された他の任意のセンサとすることができる。他の実施形態におけるナビゲーションセンサは、外科手術参照物と、患者の骨に対して取り付けられ得るよう構成された取付部材と、を検出し得るよう、少なくとも2つのセンサを備えることができる。この実施形態においては、それら少なくとも2つのセンサは、例えば、光学的追跡カメラまたは赤外線検出器とすることができ、あるいは、例えば、外科手術参照物の存在を検出し得るよう構成された他の任意のセンサとすることができる。
【0033】
ブロック202の後に、ブロック204を行う。ブロック204においては、少なくとも1つの外科手術参照物を、対象物に隣接させて取り付ける。例えば図1に示すナビゲーションアレイ104といったようなナビゲーションアレイに関連する取付部材を使用することにより、例えば患者の生体部位といったような対象物に隣接させて少なくとも1つの外科手術参照物を支持することができる。例えばこの実施形態においては、対象物は、以下のうちの少なくとも1つを備えることができる。すなわち、骨、組織、外科手術道具、外科手術参照物、外科手術試験的インプラント、インプラント、カッティングブロック、リーマー、ドリル、のこぎり、延髄外ロッド、脊髄ロッド。
【0034】
ブロック204の後に、ブロック206を行う。ブロック206においては、少なくとも1つの外科手術参照物を、ナビゲーションセンサによって検出する。上述したように、少なくとも1つの外科手術参照物は、図1に示すナビゲーションアレイ104とすることができる。例えば、一実施形態においては、ナビゲーションセンサ100は、受動的なタイプの外科手術参照物の存在を視覚的に検出することができる。他の実施形態の例においては、ナビゲーションセンサ100は、能動的なタイプの外科手術参照物によって提供される能動的な信号を受領することができる。ナビゲーションセンサは、他の適切な外科手術参照物を検出したりあるいは位置決めしたりすることができる。
【0035】
ブロック206の後に、ブロック208を行う。ブロック208においては、対象物に関連する位置を、少なくとも部分的には、外科手術参照物の検出に基づいて、決定される。上述したように、例えば図1におけるコンピュータ機能108といったような、関連するコンピュータ機能は、ナビゲーションセンサから受領した信号を処理することができ、これにより、対象物に関連する位置を決定することができる。その後、コンピュータ機能108は、外科手術参照物の位置や向き情報を、生体部位に関連した様々なタイプの画像に対して相関させることができ、関連した生体部位と比較しつつ、外科手術参照物を容易に表示することができる。
【0036】
方法200は、ブロック208において終了する。本発明の様々な実施形態においては、他のステップを行うことができる。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態において、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサを使用した場合の、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムの使用方法を示すフローチャートである。
【0038】
方法300は、ブロック302から始まる。ブロック302においては、外科手術の実施対象をなす患者の生体部位を、撮影する。撮影機は、生体部位に関連する位置を検出することができる撮影機とすることができる。上述したように、撮影機は、所望の生体部位の蛍光透視画像を撮影し得るC字形状アームとすることができる。撮影機および生体部位に対しては、外科手術参照物を取り付けておくことができる。これにより、センサは、撮影機の位置を『見ながら』追跡するとともに、生体部位の位置および向きを『見ながら』追跡する。システムが、構成部材の向きおよび配置を適切なものとするのに有効であるような、また、手術時にナビゲーションを行うに際して有効であるような、例えば本明細書中で言及したような機械的軸線や参照平面や参照軸線やナビゲーションのための他の軸線といったような、関連するナビゲーション情報を生成して表示し得る場合には、撮影機は、不要である。ブロック302の後に、ブロック304を行う。ブロック304においては、生体部位に関する少なくとも1つの画像を、例えばコンピュータといったようなコンピュータ機能内に格納する。
【0039】
ブロック304の後に、ブロック306を行う。ブロック306においては、センサを、患者に対して取り付ける。センサは、対象物と関連する少なくとも1つの外科手術参照物を検出し得るよう構成されている。センサは、少なくとも1つの外科手術参照物に関連する位置を検出し得るよう構成されている。センサは、以下のうちの少なくとも1つを検出し得るよう構成することができる。すなわち、電気的な信号、磁界、電磁界、音、物理的ボディ、ラジオ周波数、X線、光、能動的な信号、あるいは、受動的な信号。いくつかの実施形態においては、センサは、図1に示すナビゲーションセンサ100とすることができる。センサは、2つの光学的追跡カメラと、患者の生体部位に対してセンサを取り付けるための取付部材と、を備えている。
【0040】
ブロック306の後に、ブロック308を行う。ブロック308においては、センサによって追跡され得る少なくとも1つの外科手術参照物を、対象物に対して取り付ける。例えば上述したような図1における外科手術参照物104といったような外科手術参照物を、使用することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、対象物は、対象物は、以下のうちの少なくとも1つを備えることができる。すなわち、骨、組織、外科手術道具、外科手術参照物、外科手術試験的インプラント、インプラント、カッティングブロック、リーマー、ドリル、のこぎり、延髄外ロッド、脊髄ロッド。
【0041】
ブロック308の後に、ブロック310を行う。ブロック310においては、センサから、生体部位に対しての、少なくとも1つの外科手術参照物の位置および向きに関する情報を、受領する。上述したように、例えば図1におけるコンピュータ機能108といったような、関連するコンピュータ機能は、センサから受領した信号を処理することができ、これにより、対象物に関連する位置を決定することができる。その後、コンピュータ機能108は、外科手術参照物の位置や向き情報を、例えば撮影機によって取得されたものといったような生体部位に関連した様々なタイプの画像に対して相関させることができ、表示することができる。これに代えて、コンピュータ機能108は、外科手術参照物の位置や向き情報を、構成部材の向きおよび配置を適切なものとするのに有効であるような、また、手術時にナビゲーションを行うに際して有効であるような、例えば本明細書中で言及したような機械的軸線や参照平面や参照軸線やナビゲーションのための他の軸線といったような、ナビゲーション情報に対して相関させることができ、表示することができる。これに代えて、コンピュータ機能108は、外科手術参照物の位置や向き情報を、それら画像およびそれらナビゲーション情報に対して相関させることができ、表示することができる。
【0042】
ブロック310の後に、ブロック312を行う。ブロック312においては、生体部位に対しての、少なくとも1つの外科手術参照物の位置および向きを表示する。図1で図示されているようなまた上述したようなモニタ114を使用することにより、生体部位に対しての少なくとも1つの外科手術参照物の位置および向きを表示することができる;あるいは、生体部位に対しての少なくとも1つの外科手術参照物の位置および向きと、生体部位に関する画像およびナビゲーション情報のうちの一方と、の組合せを表示することができる;あるいは、生体部位に対しての少なくとも1つの外科手術参照物の位置および向きと、生体部位に関する画像およびナビゲーション情報の双方と、の組合せを表示することができる。
【0043】
上記の方法および技術は、例示のためのものに過ぎない。本発明の他の実施形態においては、他の外科手術的な位置決めや準備のための技術および方法を使用することができる。
【0044】
特許請求の範囲によって規定された本発明の精神および範囲を逸脱することなく、上述したおよび図示した上記構造や方法に対して、変更や修正や追加や削除を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態による、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサに関しての、システムの特定の一実施形態を概略的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態による、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサに関しての、一使用方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態による、患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサを使用した場合の、コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムに関しての、一使用方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
100 患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサ
101 脛骨
102 大腿骨
104 外科手術参照物
105 光学的な追跡カメラまたは赤外線センサ
107 光学的な追跡カメラまたは赤外線センサ
108 コンピュータ機能
114 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援外科手術ナビゲーションシステムであって、
(a)患者の生体部位の位置および向きに関するナビゲーション参照情報を生成し得るコンピュータプログラムと;
(b)患者に対して取り付けられたセンサであるとともに、少なくとも1つの外科手術参照物に関連する位置を検出し得るものとされ、さらに、前記少なくとも1つの外科手術参照物の位置を追跡し得るものとされた、センサと;
(c)前記センサによって追跡される前記少なくとも1つの外科手術参照物と;
(d)前記ナビゲーション参照情報のいくつかを格納し得るとともに、前記センサから情報を受領し得るものとされこれにより生体部位に対しての前記少なくとも1つの外科手術参照物の位置および向きを追跡し得るものとされた、コンピュータと;
(e)前記コンピュータから情報を受領し得るものとされ、これにより、前記ナビゲーション参照情報のいくつかと、前記少なくとも1つの外科手術参照物と、を表示し得るものとされた、モニタと;
を具備していることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、
前記センサが、電気的な信号と、磁界と、電磁界と、音と、物理的ボディと、ラジオ周波数と、X線と、光と、能動的な信号と、受動的な信号と、のうちの少なくとも1つを検出し得るものとされていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2記載のシステムにおいて、
前記センサが、
(a)患者の生体部位に関連する少なくとも1つの外科手術参照物を検出するための少なくとも2つの光学的追跡カメラと、
(b)患者の生体部位に対して関連づけら得るよう構成された取付部材と、
を備え、
前記センサが、前記少なくとも1つの外科手術参照物に関連する位置を検出し得るものとされていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
生体部位が、骨と、組織と、患者の大腿骨と、患者の頭と、の中の少なくとも1つとされていることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
さらに、患者の生体部位の画像を撮影するための撮影機を具備し、
前記コンピュータが、前記ナビゲーション参照情報の少なくともいくつかに加えて、前記画像を格納することができ、
前記モニタが、前記画像と前記ナビゲーション参照情報の少なくともいくつかとを表示し得るものとされていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記ナビゲーション参照情報が、大腿骨の機械的軸線と生体部位の機械的軸線とのうちの少なくとも一方を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記ナビゲーション参照情報が、前記センサが取り付けられている骨に関するものであることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記ナビゲーション参照情報が、前記センサが取り付けられる骨とは異なる骨に関するものであることを特徴とするシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの外科手術参照物に関する位置を検出し得るよう構成されかつ患者に対して取り付けられたナビゲーションセンサを使用してコンピュータ支援外科手術を実行するための方法であって、
(a)患者の生体部位に対して前記ナビゲーションセンサを取り付けるとともに、前記ナビゲーションセンサを、
(i)患者の生体部位に関連する少なくとも1つの外科手術参照物を検出するためのセンサであるとともに、前記少なくとも1つの外科手術参照物に関連する位置を検出し得るよう構成されたセンサと、
(ii)患者の骨に対して取り付けられ得るよう構成された取付部材と、
を備えたものとし;
(b)対象物に隣接させて外科手術参照物を取り付け;
(c)前記ナビゲーションセンサによって前記外科手術参照物を検出し;
(d)前記外科手術参照物の検出結果に少なくとも部分的に基づいて、前記対象物に関連する位置を決定し;
(e)コンピュータ内において、患者の生体部位に対してのナビゲーション参照情報を生成するとともに、前記ナビゲーション参照情報を、少なくとも1つの軸線を備えたものとし;
(f)前記外科手術参照物の検出結果と前記ナビゲーション参照情報の少なくともいくつかとの組合せに少なくとも部分的に基づいて、前記対象物に関連する位置を表示する;
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、
前記対象物を、患者の生体の一部とすることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、
前記対象物を、患者の骨と、患者の組織と、患者の頭と、外科手術道具と、外科手術参照物と、外科手術試験的インプラントと、インプラントと、カッティングブロックと、リーマーと、ドリルと、のこぎりと、延髄外ロッドと、脊髄ロッドと、の中の少なくとも1つとすることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9記載の方法において、
前記センサを、少なくとも2つの光学的追跡カメラを備えたものとすることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−518540(P2007−518540A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551366(P2006−551366)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/002185
【国際公開番号】WO2005/070319
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(397071355)スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド (186)
【Fターム(参考)】