説明

患者に流体を投与する注入器具

【課題】
【解決手段】流体注入器具は、ワンウエイバルブを介してマニホールドに接続された、多様な角度を向いた流体入口ポート、及びマニホールドへの、或いはマニホールドからの流体流れを許す更なるポートを含んでいる。各入口ポートは、シリンジを受け入れるのに適したルアー結合具及び拭取り可能な自己シール性バルブを有する。チューブコネクタは、マニホールドの出口端で嵌合コネクタを受け入れるのに適している。マニホールド上、又は器具のハウジング上の取付けブラケットは、一般的な診療装置支援構成と協働する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に医療器具に関し、特に麻酔用及び救命救急器具に関し、特に多数の医薬品及び他の薬剤を患者に投与するのに用いられる医療器具及び多数の流体を患者により有効に投与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療従事者による医薬品の静脈内投与、例えば麻酔医による麻酔剤の投与は、複雑な手順である。針刺しによるIV薬剤の投与は、健康管理する開業医に重大なリスクをもたらす。更に、注意深く制御しないと、IV薬剤の投与は、院内感染(病院でかかった)の患者にリスクをもたらす。例えば、多数の麻酔薬が次から次に短い間で投与されるので、そのような投与は催眠剤、筋弛緩剤及び麻薬のような一連の異なる薬を注意深く迅速に注入することが要求される。
一連の麻酔薬は、多数のシリンジを別々に操作して投与されるのが一般的であり、静脈のポート内に薬剤を連続して一度に搬送し、好ましくは素早く連続して、患者の痛みを最小にし、ある場合には患者の眠気か無意識を促進する。
従って、これらの3つの薬剤を投与する麻酔専門医は一般に、以下の工程を急速に実行しなければならない:
(1)第1のシリンジを取る。
(2)静脈のカテーテル内にそれを挿入する。
(3)患者注入口側に通じる静脈のカテーテル内へ薬を搬送すべく、シリンジを下へ押す。
(4)シリンジを外す。
(5)患者のベッドのような患者の病室内のどこかにシリンジを置き、第2のシリンジを取り、(1)から(5)の工程を繰り返し、次に第3のシリンジを取って、(1)から(5)の工程を繰り返す。
【0003】
上記のアプローチには多くの欠点がある。
例えば、健康管理する開業医が注入の間に注入ポートを殺菌することは通常ではない。これは、潜在的に無菌のIVシステムの中への細菌を入れることに繋がる場合がある。また、最初の患者から最後の患者まで必要とされていることであるが、投与量が容易に制御され得ない。
シリンジは患者のベッドに置かれて汚染され、或いは緊急手術の際のように床へ実際に強打され得る。また、針を備えたシリンジの素早い挿入と取り外しは、針が患者、医者或いは看護婦を不用意に突き刺すものとして、問題があり、疾病又はウィルスが潜在的に搬送される可能性を劇的に増加させるので、それは特に危険である。
更に、多数のシリンジは無意識を引き起こすために必要であるので、麻酔医の手はシリンジを保持するために不必要に使用され、麻酔医を非効率的にする。
【0004】
止栓及び同様のマニホールドシステムとして、様々な技術が導入されて、これらの欠点を克服してきたが、健康管理する開業医及び患者を有効に保護することに至らなかった。
栓か同様のマニホールドを介在させるために、開業医は、一般にIVラインの流体の流れを中断し、チューブを外し、マニホールドシステムを挿入し、IVチューブを再接続しなければならない。これは、患者の無菌のIVラインの中へのバクテリアを導入する可能性を増す。
【0005】
これらの欠点を克服するための重要な進歩は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,508,791号に記述された注入医療機器の発明および開発によって実現された。
この針がない多数の注入ポートを有する器具は、そのユニークな設計、他の利点故に、患者へ多数の薬剤及び他の薬剤を効率的で調整されて注入することを可能にする。
それは、針刺しのリスクを除去し、IV流路内の破断を回避し、それにより、患者又は医療関係者の何れかが汚染され又は危害が加わるリスク即ち危険を減らす。
【0006】
要旨
本発明は、米国特許第6,508,791号に記述された新規で独創的な改良であって、多数のポートを有するタイプの注入器具に関するものである。特に、複数の入口ポートは、特定の角度パターンに配列され、器具の有用性を独自に改善する。更に、個別のポートは器具のマニホールドに接続されて、マニホールドからの流体を導入、又は排出する。
特に設計されたブラケットが提供されて、器具の便利なアクセスと取付けを可能にする。本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、添付の図面に関連した以下の記載から、当業者には容易に明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
好ましい実施例の詳細な記載
以下の記載に於いて、詳細が記載されて、本発明の十分な理解を付与する。しかしながら、当業者は、本発明はそのような特定の詳細が無い状態で実行され得ることが判るだろう。或る従来からの公知の要素は、本発明を不必要に詳細に記載して、不明瞭にしないように概要の形式で示された。2003年1月21日にラモン・ゲレロに発行された米国特許第6,508,791号の主題は、参照を持って本願への記載加入とする。
開示され権利を要求する注入器具の幾つかの要素は、例えば、医学的なグレードの不透明又は透明なプラスチック材によって形成され得る。従って、図面では、要素の幾つかは、或る構成が隠れ線で示されて、要素が透明に形成されていることを示す。明細書と図面の全体にわたって、同様の部分は、同じ符号がつけられる。
【0008】
本発明の器具は、多数の特徴を有し、その全ては一緒になって有益な結果をもたらす。好ましい実施例のこの詳細な記述は、患者及び健康管理従事者への利点を当業者が理解することに繋がるだろう。
【0009】
図1を参照して、本発明に従った注入器具(100)は、自己シール性の受け具を有する複数の略上向きの入口ポート(110)を具え、該受け具は夫々結合具、好ましくはルア嵌合具(113)に取り付けられた拭取り可能なバルブ(200)を具え、ルア嵌合具(113)は夫々ワンウエイ即ち逆止弁(120)と呼ばれるバルブに接続される。
“拭取り可能なバルブ”は、周囲に露出される全面が、バクテリア或いは他の汚染物質を除去するために消毒剤で拭かれるか、拭き取られることができるバルブである。
拭取り可能なバルブ(200)及び逆止弁(120)は、例えばフロリダ州のセントピータースバーグのハークレイ-ロバーツ社から市販されているタイプであり得る。他の販売元からのバルブが使用されてもよい。
逆止弁(120)は、夫々導管(140a)(140b)(140c)を有するマニホールド(140)上に取り付けられ、導管(140a)(140b)(140c)は、互いに鋭角(0゜を越え且つ90゜未満)を持って配備され、共通の出口導管(140d)に接続されるのが好ましい。側部の入口/出口導管(140e)は出口導管(140d)に直交して接続されて延び、導管(140e)は拭取り可能なバルブ(200)に直に接続される。バルブ(200)と導管(140d)の間に逆止弁は介在させない。
各自己シール性の受け具、即ちバルブは、公知の方法でシリンジ(図1に示さず)に結合されるのに適した螺旋カム、即ちネジ(112)タイプのルア接続具を具え、シリンジからシリンジに取り付けられる入口ポート(110)内へ及び入口ポート(110)を通る流体流れを提供する。各自己シール性の受け具、即ち拭取り可能なバルブ(200)は防腐剤で拭き取ることにより、洗浄されて再使用することができる。
受け具、即ちバルブ(200)も、従来の注射器針受け入れ式の自己シール性エラストマーバルブ(図示せず)と取り替えることができる、更になお、ポート(110)は、閉鎖可能な他の形式のバルブを利用し、或いは他の流体調剤装置に接続されてもよい。
【0010】
各逆止弁(120)は、各ポート(110)と流体流れが可能であり、流体をポート(110)からマニホールド(140)内へ、そしてマニホールド(140)を通る流体の流れを可能にするが、その逆方向の流れはできない。各ポート(110)は一般に短い導管部(130)を介して、関連する逆止弁(120)と流体が流通可能であるが、所望ならば逆止弁(120)は直にポート(110)に連結される。自己シール性受け具(200)は、各導管部(130)に固定され、又は直に一方向バルブ(120)に固定される。上記の如く、入口ポート(115)は、逆止弁(120)に対してマニホールド(140)を通る流体の流れ方向の下流にある導管(140e)を介してマニホールド(140)に接続される。ポート(115)は、例えばマニホールド(140)内に捉えられた空気を排出する出口ポートでもあり得る。ポート(115)は、ルアコネクタ(113)を介してマニホールド(140)に接続される拭取り可能なバルブ(200)を有し、バルブ(200)とマニホールドの間に逆止弁を含まない。所望ならば、マニホールド(140)に対して異なる方向を向いて、ポート(110)(115)に類似した更なるポートが配備されてもよい。
しかし、ポート(110)の向きは、夫々のポートに接続されたシリンジの操作の容易さに関して重要であり、各個々のシリンジは操作され、そうでなければ、他のシリンジのどれにも邪魔をせずに、操作される。
また更に、各ポート(110)の各導管部(140a)(140b)(140c)及び接続導管部(130)の全長は、最短に維持されつつ、逆止弁(120)及び自己シール性受け具、即ち拭取り可能なバルブ(200)を含む構造の要素が配備されることを許す。また更に、導管部(130)(140a)(140b)(140c)(140e)(140d)により形成された通路の内径はまた、最小である。他の利点の中で、この最短長さ及び最小の内径は通路内の“デッドスペース”を無くし、薬剤及び他の薬剤の搬送を制御することを向上させることができる。例えば、これら導管部の各々の中の通路の好ましい直径は、約1.0mmである。
【0011】
ポート(110)は、針無しシリンジ及び針付きシリンジ(図1に図示せず)の何れにも接続されるように、構成されるのが好ましい。従来の針がないシリンジは例えば、スタブ端部であって、夫々自己シール性受け具(200)の拭取り可能なバルブに嵌合し且つバルブを開く雄ルア嵌合を有しており、自己シール性受け具、即ち拭取り可能なバルブ(200)のルアねじ、即ちカム(112)に取り外し可能に接続される接続部(図示せず)を有して、そこにシリンダを固定する。図11に示すように、ポート(110)は、ルアタイプの雄コネクタ(171)をポート(110)の端部上のねじ、即ちカム(112)に結合させることによって、各ポートにチューブ(170)が繋がるように修正変更することができる。
【0012】
注入装置(100)は、図1及び図5の静脈導管(160)に作動可能に接続される従来のY字形のポート、即ち注入部(155)に接続されるように特に且つ有利に構成される。注入部(155)は所謂ルアコネクタ、即ち嵌合の雌側を有し、雄側は嵌合、即ちコネクタ部(150)を具え、該接続部は出口導管(140d)によってマニホールド(140)に接続される導管部(151)を有する。
図5に示すように、コネクタ(155)は静脈導管、即ちチューブ(160)に取り付けられ、チューブは一端部の静脈溶液バッグ(161)から他端部のカテーテル針(180)のような患者(173)の患者入力点に繋がる。前記の如く、コネクタ(150)は雄ルアータイプが好ましく、要素(155)のように、従来の静脈注入側コネクタが雌ルアータイプであった点を考えると有利である。
更に、装置(100)の出力導管部(151)及びコネクタ部(150)は、従来の鋭利なスパイクタイプの器具を用いて静脈ライン即ちチューブ(160)へ突き刺して、引き込み線を繋いでいたものに置き換わり、有利である。チューブコネクタ、即ち注入側構造(155)はまた、静脈チューブ(160)と一体であり、静脈チューブ(160)に対して鋭角を成すように向く。従って、本発明の注入装置の構成は、静脈への流体注入システムの所謂無菌領域に割れ目を作る必要がない。
【0013】
図2Aは、図1に示す注入装置(100)の平面図であり、シェル状のハウジング(190)の前側(189)及び対向する後側(191)が配備される。ハウジング(190)は、装置(100)の保護と取り扱いを容易にし、装置取付けブラケット(195)を支持すべく配備される。ハウジング(190)の後側(191)は、その上に一体化され、略長方形のブロック状の支持スタブ(196)を具えた取付けブラケット(195)を有し、取付けブラケットは略矩形のブロック状の支持スタブ(196)を有しており、該支持スタブは反対向きに離れて延び、且つハウジングの後側(191)の壁面(191a)から離れた一対の対向した略楔形の翼(193a)(193b)を支持している。
図2Bは、図1に示す注入器具の正面図であり、ハウジング(190)の前側(189)及び後側(191)が所定位置にある。図2Cは、注入装置(100)の斜視図であり、取付けブラケット(195)及び4番目のポート(115)を示し、ハウジング(190)の前側(189)及び後側(191)が所定位置にあるが、図2Bにあっては、ハウジングは透明体として表していない。
【0014】
取付けブラケット(195)の一方又は両方の翼(193a)(193b)は略弾性的に撓み可能であり、受入れブラケット上の装置(100)の取り付けを容易にする。図2Cにて、翼(193a)(193b)は内部に形成された各スロット(198)を有して、受入れブラケット上の爪又は突起を受け入れるように作動可能であり、図13−図15に関して更に詳細に記載される。
【0015】
図3A及び図3Bについて、注入装置(100a)の他の実施例は、ハウジング前側(189)及び3つの上側自己シール性受け具(200)を省いて示している。注入装置(100a)はまた、逆止弁(120)、マニホールド(140)、第4のポート(115)及びルアー嵌合(113)に取り付けられて図示しない流体源に接続し、又はマニホールド(140)から捕捉した空気を含む流体を排出する自己シール性の拭取り可能なバルブ(200)を具える。出力導管(151)は、注入側コネクタ(155)に接続するルアー嵌合部(150)を有して、注入側コネクタ(155)は患者入力点に繋がるチューブ(160)に接続される。ポート(110a)は夫々図示しない流体供給装置に接続する比較的短い円筒状チューブタイプの受け具(200a)を特徴とする。
【0016】
図4について、注入装置(100)が、自己シール性受け具、即ち拭取り可能なバルブ(200)を省いた状態で、中央部を破断して示される。このようにして、所望ならば、装置(100)は例えばルアー嵌合(113)を介して他の流体供給装置及び流体排出装置に夫々接続される。図4は、各導管(140a)(140b)(140c)(140d)(140e)(151)の内部通路を示す。これらの通路は、前記の如く、最小直径が全て1.0mmであることが好ましい。
【0017】
図5について、斜視図は静脈ライン(160)に接続される注入装置(100)の一般的な配置を示し、静脈ライン(160)は、患者の腕内に挿入されるカテーテル針(180)として示される患者(173)上の入力点に薬剤を搬送するのに用いられる。シリンジ(205)は、適切な治療用流体を注入する各ポート(110)にて装置(100)に接続される。チューブ、即ちライン(160)は移動可能なポール(163)に支持された流体受け具(161)に接続される。装置は更にここに記載される改善された取付け構成によってポール(163)上に取り付けられる。
【0018】
例えば、また図12に示すように、複数のシリンジ(205)がマニホールド(140)の各ポート(110)に組合わさって、上向きに傾き、好ましくは30度から45度だけ互いに離れている。従って導管(140a)(140b)(140c)の長い中心軸は、夫々互いに同じ角度で広がる。
傾いた入口ポート(110)を具えたマニホールド(140)の利点の1つは、図12に示すように、シリンジ(205)が入口の自己シール性受け具、即ちバルブ(200)に取り付けられたとき、シリンジ(205)間に適切な隙間が残るように、シリンジ(205)は多少離れて広げられることである。各シリンジ(205)のプランジャー親指端が離れて広げられ、操作することが容易なので、シリンジからの流体の注入が容易になる。
図12では、ポート(110)は、ルアーコネクタカム、即ちネジ要素(112)を含まないように修正されている。従って、図示し記載するように、導管部(140a)(140b)(140c)を向けることにより、シリンジ又は装置(100)又は(100a)に繋がる他の流体導管構造の操作が一層容易になる。導管部(140d)に対する各導管部(140a)(140b)(140c)間の前記角度は、可成りな程度に変えられてもよい。しかし、ここに記述された角度の範囲が好ましい。
【0019】
使用に際し、患者の血管システム内に多数の流体を注入する必要がある医師は、以下の手順を採る。防腐剤を用いて、コネクタ、即ち注入側(155)は、装置(100)又は(100a)の静脈導管、即ちライン(160)への接続点を殺菌するために拭き取られる。装置(100)又は(100a)を含む無菌パッケージが開封され、装置が取り出される。
装置(100)又は(100a)は、例えば、シリンジ又は他の流体源に接続されて、夫々の入口ポートをフラッシュすべく注入され、装置の流路から空気を除去する。
捕捉された空気も、装置を逆さにし軽く叩くことによりマニホールド(140)から取り除くことができる。その後、装置(100)又は(100a)は、安定した表面に置かれ、流れ出口導管部(151)を覆うキャップが外される。その後、装置(100)又は(100a)は、装置の通路から更に空気を除いた後に、注入側、即ちコネクタ(155)に接続される。逆止弁(120)を配備した故に、受け具、即ちバルブ(200)が作動するときは、流体流れは一方向となる。排出されるべき空気又は他の流体がマニホールド(140)の通路に残っていると、そのような空気又は他の流体は、シリンジをポート(115)に接続し、又は他の適切な排出装置をポート(115)に接続することにより、ポート(115)を通って排出される。一旦、全ての多数の薬剤注入手順が終了すると、装置(100)は注入側コネクタ(155)から外されて、制度上のガイドラインに基づいて廃棄される。
【0020】
図11に示されるように、流体供給チューブ(170)は、1又は2以上の自動測定ポンプ(図示せず)に接続され、自己シール性受け具(200)に取り付けられ、ルアーカム即ちネジ(112)に係合した適切なルアー嵌合(171)によって自己シール性受け具(200)に固定される。そのような構成に於いて、測定ポンプ(図示せず)は測定された量の各流体を1又は2以上のチューブ(170)を介して夫々の入口ポートに導入し、その一方、他のチューブ(170)は夫々のポートに取り付けられたままであり、流体は最終的にはチューブ(160)を通って患者に搬送される。各入力ポート(110)が逆止弁(120)と流体が往来可能に繋がっているから、1つのチューブ(170)からの流体は、他のチューブ(170)に戻るようには流れない。
【0021】
図6に関して、3つの入口ポート(110)を有する注入装置(100b)の実施例が示され、各入口ポートは修正されたマニホールド(140g)に接続された逆止弁(120)を有して、4番目の入口ポート(115)が省略されている。勿論、マニホールド(140)又は(140g)はまた、2つの入口ポート(110)、又は仮想的に任意の数の入口ポート(110)を有する。図7は、1つの自己シール性受け具、即ちバルブ(200)の端面図であり、閉じ可能なスリット(202a)を具えた自己シール性バルブヘッド(202)を、バルブが閉じた状態で示す。
【0022】
図8は、ルアー嵌合(113)に取り付けられた自己シール性受け具即ちバルブ(200)の断面図であり、シート(121)、ポート(123)、撓み可能なストリップ即ちディスク状の封鎖部材(125)を有する逆止弁(120)の一実施例を示す。各拭取り可能なバルブ(200)は、既知の方法で消毒剤で拭き取ることにより、示されるように位置した弾性を有する撓み可能なエラストマーヘッド(202)を含んでいる。図9は、自己シール性受け具、即ちバルブ(200)及び逆止弁(120)の断面図であり、バルブ(200)を開位置にて示し、シリンジ針(206)はスリット(202a)を通ってバルブヘッド(202)に挿入され、バルブ閉じ部材(125)は開位置にある。
【0023】
図10はまた、ハウジング前側(189)と後側(191)を省いた注入装置(100)を示し、ルアー嵌合(113)、逆止弁(120)、マニホールド(140)、4番目のポート(115)及びその上にコネクタ(150)を有する導管(151)に取り付けられた3つの自己シール性受け具(200)を示す。
【0024】
図12に於いて、装置(100)は針(206)を有するシリンジ(205)とともに示され、シリンジは図9に示すように、針を拭取り可能なバルブヘッド(202)を通って押すことにより、各々の上入口ポート(110)に取り付けられる。しかし、図示しない従来の針受け入れエラストマーバルブは、所望ならば、バルブ(200)の代わりに配備される。ポート(115)に於ける拭取り可能なバルブ(200)はまた、他の適切なバルブ手段に置き換えられる。チューブ(182)は例えば示すように、雄ルアコネクタ(181)によってポート(115)に取り付けられる。
【0025】
外科的な手順中、患者の周りにはしばしば、医師、看護師、及び他の健康上の専門家の可成りの移動量がある。そのような人達は、不意に装置に接続されたシリンジ及びチューブを含む注入装置と接することがある。そのような動作により、シリンジ及び/又はチューブが外れる可能性がある。不意に外れる虞れを少なくすべく、注入装置(100)は取付けブラケット(195)を有して、マニホールド(140)又はハウジング(190)の後側部材(191)と一体に成形される。
【0026】
図13及び図14について、取付けブラケットの翼(193a)(193b)は、スライドして協働する受入れブラケット(201)に嵌合し、該受入れブラケットは一対の互いに離れた平行壁(207)を有し、各壁は保持リップ、即ちフランジ(209)を有する。翼(193a)(193b)は、平行壁(207)間を下向きに動くように作動可能であり、少なくとも1つの翼が受入れブラケット(201)のストッパ(211)に達するまで、保持リップ(209)の下方に動く。同じ位置にて、受入れブラケット(201)上の突起(213)は突出して、即ちブラケット(195)のスロット(198)に引掛かり、装置(100)を固定する。注入装置(100)はその後、受入れブラケット(201)上の位置に保持され、シリンジ、チューブ、又は他の部品が外れるような不用意にぶつかる傾向を少なくする。受入れブラケット(201)は典型的な病院設備の支持ブラケットであり、例えば棒(163)上に取り付け可能である。図15は、他の受入れブラケット(201a)上に取り付けられる取付けブラケット(195)を示す。受入れブラケット(201a)は、支持壁(207)及び前記した協働する多数の組の突起を有する。
【0027】
ブラケット(195)は、別の受入れブラケットに接続されるのに適している。受入れブラケットの他の例は、図16及び図17に記載されている。平板状の受入れブラケット(201b)が用いられ、該ブラケットはその中に1又は2以上の略上向きの開口スロット(221)を形成している。少なくとも1つの開口スロット(221)は、ブラケット支持スタブ(196)の幅よりも広く、翼(193a)(193b)の対向する端部間の距離よりも短い。このようにして、ブラケット(195)がブラケット(201b)のスロット(221)に挿入されたときは、装置(100)は図17に示すようにブラケットとの接続が維持される。
【0028】
或る好ましい実施例を参照して、本発明が記載されてきたが、開示された実施例は事実上限定するよりも説明のためであり、変形、修正、変更及び代替の範囲が考えられ、幾つかの例に於いて、本発明の幾つかの特徴は他の特徴の対応する特徴なくして用いることができる。添付の請求の範囲は広く、且つ本発明の範囲と一致する方法で解釈されることが判るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に従った注入器具の実施例の正面図であり、ハウジングの前側を省いている。
【図2A】図1に示す注入器具の平面図であり、ハウジングの前側及び後側が所定位置にある。
【図2B】図1に示す注入器具の正面図であり、ハウジングの前側及び後側が所定位置にある。
【図2C】図1に示す注入器具の斜視図であり、更に独自の取付けブラケットを示す。
【図3A】本発明の注入器具の他の実施例の正面図であり、ハウジングの前側を省いている。
【図3B】図3Aに示す注入器具を前から見た斜視図である。
【図4】本発明に従った注入器具の中央断面図である。
【図5】本発明に従った注入器具の実施例の一般的な構成の斜視図であり、示される静脈ラインの注入側に接続されて、患者に流体を搬送するのに用いられる
【図6】注入器具の実施例の正面図であり、ハウジングの前側及び後側を省いており、チューブリーディングを患者の入力点に接続するチューブ接続を具えた出口導管を有する。
【図7】図6を線7−7で破断した図である。
【図8】図7を線8−8で破断した図であり、ルアー結合具に取り付けられる拭取り可能な自己シール性バルブを示し、本発明の注入器具用の逆止弁を示す。
【図9】図8に近似した図であり、拭取り可能なバルブに挿入されるシリンジ針を示す。
【図10】本発明の注入器具の実施例の正面図であり、ハウジングの前側及び後側を省いている。
【図11】本発明の注入器具の実施例の正面図であり、拭取り可能なバルブの各ルアー結合具に螺合して取り付けられる入口チューブを示す。
【図12】本発明の注入器具の実施例の正面図であり、選択された拭取り可能な自己シール性バルブに取り付けられるシリンジを示す。
【図13】本発明の注入器具の実施例を示す図であり、器具ハウジングの後側の取付けブラケットを示し、協働する受入れブラケットに取り付けられるのに待機している。
【図14】本発明の注入器具の実施例を示す図であり、受入れブラケット内に設置される器具取付けブラケットを示す。
【図15】本発明の注入器具の実施例を示す図であり、受入れブラケット上に取り付けられる器具を示す。
【図16】平板状の受入れブラケット上に取り付けられる器具を示す斜視図である。
【図17】図16に示す平板状の受入れブラケット上に取り付けられる器具を示す他の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の源から流体を受け取り、静脈導管へ流体を導く流体注入器具であって、
一定のパターンで配列された複数の入口ポートを含むマニホールドであって、各入口ポートは該入口ポートの他の少なくとも1つに対して、鋭角を成して向いているマニホールドと、
その上に嵌合部を有して、静脈導管に繋がる協働する嵌合部に接続するマニホールド出口導管と、
各入口ポートにて、マニホールドを多数の流体源に接続するコネクタを具えた流体注入器具。
【請求項2】
各入口ポートは、ワンウェイバルブを含む入口導管に接続されて、入口ポートからマニホールドの出口導管への流体流れのみが許される、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
ワンウェイバルブとマニホールド出口導管間のマニホールドに接続されて、夫々流体をマニホールドに導入し、或いはマニホールドから流体を排出する更なるポートを具えた、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
マニホールドの入口導管に夫々接続され、夫々流体注入器具に接続すべく作動可能であり、マニホールドを通り、マニホールド出口導管への流体流れを許す自己シール性受け具を具えた、請求項2に記載の器具。
【請求項5】
自己シール性受け具は、拭取り可能なバルブを具える、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
器具を受入れブラケット上に取り付ける取付けブラケットを有する、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
取付けブラケットは、支持スタブ及び一対の翼を具え、翼は受入れブラケットに形成された1又は2以上のスロットによって、該取付けブラケットを受入れブラケットに接続するのに十分な距離を開けて立っている、請求項6に記載の器具。
【請求項8】
取付けブラケットは、支持スタブ及び一対の翼を具え、翼は受入れブラケット上の一対のフランジ間に翼が挿入されるように離れて立っている、請求項6に記載の器具。
【請求項9】
翼は、受入れブラケット上に、協働する爪突起を受け入れるスロットを含む、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
取付けブラケットは、器具のハウジングに接続され、ハウジングはマニホールドの一部に接続されて、且つ該マニホールドの一部を囲む、請求項6に記載の器具。
【請求項11】
マニホールドの出口導管に配備された嵌合部は、静脈流体の源から静脈導管を外すことなく、静脈導管に繋がる協働する嵌合部に接続する手段を有する、請求項1に記載の器具。
【請求項12】
各入口ポートは、出口導管に接続された入口導管に接続され、両導管の長さ及び通路直径は、器具内に含まれる流体量を最小にする長さ及び通路直径である、請求項1に記載の器具。
【請求項13】
多数の源から流体を受け取り、静脈導管に流体を導く流体注入器具であって、
一定のパターンで配列された複数の入口ポートを含むマニホールドであって、各入口ポートは該入口ポートの他の少なくとも1つに対して、鋭角を成して向いているマニホールドと、
その上に嵌合部を配備して、静脈導管に繋がる協働する嵌合部に接続するマニホールド出口導管とを具え、
各入口ポートは、入口ポートからマニホールド出口導管への流体流れのみを許すワンウエイバルブを含む入口導管に接続され、
ワンウエイバルブとマニホールド出口導管との間のマニホールドに接続されて、夫々流体をマニホールドに導入し、或いはマニホールドから流体を排出する更なるポートを有し、
マニホールドを多数の流体導管に接続する各ポートでのコネクタを有する流体注入器具。
【請求項14】
マニホールドの入口導管に夫々接続され、夫々流体注入器具に接続すべく作動可能であり、マニホールドを通り、マニホールド出口導管への流体流れを許す自己シール性受け具を具えた、請求項13に記載の器具。
【請求項15】
自己シール性受け具は、拭取り可能なバルブを具える、請求項14に記載の器具。
【請求項16】
多数の源から流体を受け取り、静脈導管に流体を導く流体注入器具であって、
一定のパターンで配列された複数の入口ポートを含むマニホールドであって、各入口ポートは該入口ポートの他の少なくとも1つに対して、鋭角を成して向いているマニホールドと、
その上に嵌合部を配備して、静脈導管に繋がる協働する嵌合部に接続するマニホールド出口導管と、
マニホールドを多数の流体導管に接続する各入口ポートでのコネクタと、
器具を病院の構造物の受入れブラケットに接続する取付けブラケットを具えた流体注入器具。
【請求項17】
取付けブラケットは、支持スタブ及び一対の翼を具え、翼は受入れブラケットに形成された1又は2以上のスロットによって、該取付けブラケットを受入れブラケットに接続するのに十分な距離を開けて立っている、請求項16に記載の器具。
【請求項18】
取付けブラケットは、支持スタブ及び一対の翼を具え、翼は受入れブラケット上の一対のフランジ間に翼が挿入されるように離れて立っている、請求項16に記載の器具。
【請求項19】
翼は、受入れブラケット上に、協働する爪突起を受け入れるスロットを含む、請求項18に記載の器具。
【請求項20】
取付けブラケットは、器具のハウジングに接続され、ハウジングはマニホールドの一部に接続されて、且つ該マニホールドの一部を囲む、請求項16に記載の器具。
【請求項21】
多数の源から流体を受け取り、静脈導管に流体を導く流体注入器具であって、
一定のパターンで配列された3つの入口ポートを含むマニホールドであって、各入口ポートは該入口ポートの他の少なくとも1つに対して、鋭角を成して向いているマニホールドと、
その上に嵌合部を配備して、静脈導管に繋がる協働する嵌合部に接続するマニホールド出口導管とを具え、
各入口ポートは、入口ポートからマニホールド出口導管への流体流れのみを許すワンウエイバルブを含む入口導管に接続され、
ワンウエイバルブとマニホールド出口導管との間のマニホールドに接続されて、マニホールドから流体を排出する更なるポートと、
マニホールドの入口導管に夫々接続され、夫々流体注入器具に接続すべく作動可能であり、マニホールドを通り、マニホールド出口導管への流体流れを許す自己シール性受け具と、
各入口ポートにて、マニホールドを流体注入装置に接続するコネクタと、
器具を器具受入れブラケットに接続する取付けブラケットとを具える流体注入器具。
【請求項22】
自己シール性受け具は、拭取り可能なバルブを具える、請求項21に記載の器具。
【請求項23】
取付けブラケットは、支持スタブ及び一対の翼を具え、翼は受入れブラケット及び受入れブラケット上の一対のフランジに形成された1のスロットによって、該取付けブラケットを受入れブラケットに接続するのに十分な距離を開けて立っている、請求項21に記載の器具。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−518670(P2008−518670A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539182(P2007−539182)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/038994
【国際公開番号】WO2006/047749
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(507137025)イントラセーフ メディカル,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】INTRASAFE MEDICAL,INC.
【Fターム(参考)】