説明

患者の活動を計測する神経刺激システム

植え込まれた組織刺激システムを介して電気エネルギーを所与の期間にわたり患者の組織中に送る。電気的パラメータデータ(例えば、インピーダンスデータ及び(又は)外界電位データ)を患者の組織中に送られた電気エネルギーに基づいて測定し、電気的パラメータデータを患者の身体活動に応答して調整して時間変化信号(例えば、振動性信号)を発生させる。時間変化信号を分析し、分析した時間変化信号に基づいて患者の身体活動(例えば、患者の身体活動レベル又は患者により行われた身体的出来事)を上述の期間中追跡する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織刺激システムに関し、特に、組織刺激システムが植え込まれた患者の身体活動を計測するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
植え込み型神経刺激システムは、多種多様な病気及び障害において治療効果があることが判明している。ペースメーカ及び植え込み型除細動器(ICD)は、多くの心臓病態(例えば、不整脈)の治療において非常に効果的であることが判明している。脊髄電気刺激(SCS)システムは、慢性疼痛症候群の治療に関して治療様式として長く認められており、組織刺激の利用分野は、追加の利用分野、例えば狭心症や失禁まで広がり始めた。深部脳刺激(DBS)も又、10年間を優に超える期間にわたり不応性慢性疼痛症候群の治療にとって治療効果があるように利用されており、DBSは又、最近、追加の領域、例えば癲癇にも利用されている。さらに、最近の研究では、末梢神経刺激(PNS)システムは、慢性疼痛症候群及び失禁の治療にあたって効果的であることを実証しており、多くの追加の利用分野が、現在研究中である。さらに、機能的電気刺激(FES)システム、例えばニューロコントロール(NeuroControl)社(オハイオ州クリーブランド所在)製のフリーハンド(Freehand)システムが、脊髄損傷患者の麻痺体肢に幾分かの機能性を回復させるよう利用されている。
【0003】
これら植え込み型神経刺激システムの各々は、典型的には、所望の刺激部位のところに植え込まれる電極リードと、刺激部位から見て遠くのところに植え込まれるが、電極リードに直接的か或いはリード延長部を介して電極リードに間接的にかのいずれかの状態で結合される植え込み型パルス発生器(IPG)とを有する。かくして、電気パルスをIPGから電極リードに送って組織を刺激し、患者に所望の効果的な治療を施すことができる。
【0004】
或る特定のシナリオでは、植え込み型神経刺激システムを受け入れた患者の身体活動(例えば、活動レベル又は体の操作具合)を追跡することが望ましい場合があり、それにより、刺激システムにより提供される治療の効果又は有効度の指標が提供され、即ち、治療が効果的であればあるほど、患者の昼行性活動がそれだけ一層活発になる。かくして、治療用刺激を患者に施す期間にわたる患者の身体活動についての知識は、外科医又は臨床医によって用いられ、それにより薬剤を処方し、IPGを再プログラムし又はアップグレードし、或いは他の治療方式(例えば、物理療法又は作業療法)を実施し又は変更することができる。患者の身体活動についての知識は又、刺激システムにより提供された治療をリアルタイムで適合させるために使用でき、その結果、刺激が有効レベル及び(又は)快適なレベルで患者に終始一貫して提供されるようになる。
【0005】
かくして、神経刺激システムが植え込まれた患者の身体活動を判定する改良型システムが要望され続けている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、本発明を一層良く理解する目的で、治療を患者に施す方法が提供される。この方法は、植え込まれた組織刺激システムからの電気エネルギーを所与の期間にわたり患者の組織中に送るステップを有する。組織刺激装置から送られた電気エネルギーは、治療を患者に施すことができ又は治療とは関係のない電気エネルギーとなることができる。この方法は、患者の組織中に送られた電気エネルギーに基づいて電気的パラメータデータ(例えば、インピーダンスデータ及び(又は)外界電位データ)を測定するステップを更に有し、電気的パラメータデータを患者の身体活動に応答して調整して時間変化信号(例えば、振動性信号)を発生させる。
【0007】
この方法は、時間変化信号を分析するステップを更に有する。オプションとしての一方法では、時間変化信号の分析は、例えば時間変化信号の最高最低振幅値を検出し又は時間変化信号のエネルギーを検出することによって時間変化信号の振幅を測定することを含む。オプションとしての別の方法では、時間変化信号の分析は、例えは時間変化信号の包絡線を検出することによって時間変化信号の形態学的特徴を決定することを含む。この方法は、分析したノイズに基づいて患者の身体活動(例えば患者の身体活動レベル又は患者により行われた身体的出来事)を所与の期間中追跡するステップを更に有する。オプションとしての方法は、追跡した身体活動に基づいて刺激装置により患者に施された治療を変更するステップを有する。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、組織刺激システムが提供される。組織刺激システムは、植え込み型電極リードと、電極リードに結合されるよう構成された植え込み型電気刺激装置とを有する。電気刺激装置は、電極リードからの電気エネルギーを所与の期間にわたり患者の組織中に送るよう構成されている。電極リードから送られた電気エネルギーは、治療を患者に提供することができ又は電気エネルギーを治療とは無関係に送ることができる。電気刺激装置は又、患者の組織中に送られた電気エネルギーに基づいて電気的パラメータデータを測定するよう構成され、電気的パラメータデータは、患者の身体活動に応答して調整されて時間変化信号が生じる。
【0009】
このシステムは、時間変化信号を分析し、分析した時間変化信号に基づいて所与の期間中、患者の身体活動(例えば患者の身体活動レベル又は患者により行われた身体的出来事)を追跡するよう構成された処理装置を更に有する。一実施形態では、処理装置は、刺激装置である。別の実施形態では、処理装置は、刺激装置と通信可能に構成された外部プログラマである。電極リードから送られた電気エネルギーは、治療を患者に施すことができ又はかかる電気エネルギーを治療とは無関係に送ることができる。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、患者の体内に植え込み可能な電気刺激装置が提供される。刺激装置は、1つ又は2つ以上の電極に結合可能に構成された1つ又は2つ以上の電気接点と、電気エネルギーを所与の期間にわたり1つ又は2つ以上の電気接点に送るよう構成された制御回路とを有する。刺激装置は、患者の組織中に送られた電気エネルギーに基づいて電気的パラメータデータを測定するよう構成されたモニタ回路を更に有し、電気的パラメータデータは、患者の身体活動に応答して調整されて時間変化信号が発生する。電極接点に送られた電気エネルギーは、治療を患者に施すことができ又はかかる電気エネルギーを、電気エネルギーを提供する治療とは無関係に送ることができる。刺激装置は、時間変化信号を分析し、分析したノイズに基づいて患者の身体活動(例えば患者の身体活動レベル又は患者により行われた身体的出来事)を所与の期間中追跡するよう構成された処理回路を有する。時間変化信号の分析を上述したのと同一の仕方で行うことができる。
【0011】
図面は、本発明の実施形態の設計及び有用性を示しており、図中、同一の要素は、共通の参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に従って構成された脊髄電気刺激(SCS)システムの一実施形態の平面図である。
【図2】図1のSCSシステムで用いられる植え込み型パルス発生器(IPG)の外形図である。
【図3】患者に使用されている状態の図1のSCSシステムの平面図である。
【図4】図2のIPGの内部コンポーネントのブロック図である。
【図5】小さな量の患者の活動に応答して組織に対して小さな量動いている状態で示された図1のSCSシステムの電極の平面図である。
【図6】大きな量の患者の活動に応答して組織に対して大きな量動いている状態で示された図1のSCSシステムの電極の平面図である。
【図7】患者の行った種々の身体活動に応答して図1のSCSシステムにより測定された経時的な電気的パラメータデータのプロット図である。
【図8】患者の概日性の昼行性/夜行性パターンに応答して図1のSCSシステムにより測定された経時的な電気的パラメータデータのプロット図である。
【図9】患者の迷走性の昼行性/夜行性パターンに応答して図1のSCSシステムにより測定された経時的な電気的パラメータデータのプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
先ず最初に、本発明は、植え込み型パルス発生器(IPG)、高周波(RF)伝送器又は多種多様な刺激システムのコンポーネントとして使用できる類似の電気刺激器と共に利用できることが注目される。以下の説明は、脊髄電気刺激(SCS)システムに関する。しかしながら、本発明は、SCSにおける分野に向いているが、本発明は、その最も広い観点では、これに限定されることはないことは注目されるべきである。さらに適切に言えば、本発明は、組織を刺激するために用いられる任意形式の植え込み型電気回路と共に利用できる。例えば、本発明は、ペースメーカ、除細動器、蝸牛刺激器、網膜刺激器、調和体肢運動を生じさせるよう構成された刺激器、大脳皮質及び深部脳刺激器、末梢神経刺激器又は尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼等を治療するよう構成された任意他の神経刺激器の一部として利用できる。
【0014】
先ず最初に図1及び図2を参照すると、例示のSCSシステム10は、主要構成要素として、図1及び図2の植え込み型神経刺激リード12,14、植え込み型パルス発生器(IPG)16及び外部(植え込まれることはない)プログラマ18を有している。図示の実施形態では、リード12,14は、経皮リードであり、この目的のため、リードの両方は、可撓性本体22上に支持された複数個の直列の電極20を有している。変形例として、リード12,14に代えて、単一のパドル電極リードを用いても良い。図示の実施形態では、第1のリード12は、8つの電極20(E1〜E8と表示されている)を有し、第2のリード14は、8つの電極20(E9〜E16と表示されている)を有する。リード及び電極の実際の数は、当然のことながら、意図した用途に応じて様々であろう。
【0015】
IPG16は、電気刺激エネルギーを電極20の各々に差し向けることができる。この目的のため、第1のリード12の電極20は、それぞれの信号線24(これらのうちの幾つかは示されていない)によりIPG16に電気的に接続されており、これら信号線は、関連の可撓性リード本体22を貫通し又はこの中に埋め込まれている。同様に、第2のリード14の電極20は、それぞれの線26(これらのうちの幾つかは示されていない)によりIPG16に電気的に接続されている。信号線24,26は、インタフェース28を介してIPG16に接続されている。インタフェース28は、リード12,14を取り外し可能に又は永続的にIPG16に電気的に接続することができる任意適当な装置であって良い。かかるインタフェースは、例えば、IPG16内に設けられたリードコネクタ30a,30bを含む電気機械的コネクタ装置であるのが良く、かかるリードコネクタは、対応のリード12,14に設けられている対応のコネクタ(コネクタ32aだけが示されている)と嵌合するよう構成されている。変形例として、リード12,14は、IPG16に設けられた対応のコネクタと嵌合する単一のコネクタを共有しても良い。例示のコネクタ装置は、米国特許第6,609,029号明細書及び同第6,741,892号明細書に開示されている。IPG16は、導電性且つ生体適合性材料、例えばチタンで作られた外側ケース34を有し、場合によっては、電極として機能する。ケース34は、気密封止コンパートメントを形成し、かかるコンパートメント内において、電子コンポーネント又は部品及び他のコンポーネント又は部品(以下に更に詳細に説明する)が体液及び流体から保護される。
【0016】
IPG16は、典型的には、外部プログラマ18の使用によりプログラムされ又は制御される。外部プログラマ18は、適当な通信リンク(矢印36で表されている)によりIPG16に結合され、この通信リンクは、患者の皮膚38を貫通している。適当なリンクとしては、高周波(RF)リンク、誘導性リンク、光リンク及び磁気リンクが挙げられるが、これらには限定されない。プログラム18又は他の外部装置は又、IPG16を作動させ又はIPG16内に設けられている電力、例えば充電式電池を補給する目的で、電力をIPG16中に結合するのにも使用できる。IPG16をいったんプログラムし、その電源を充電し又は違ったやり方で補充すると、IPG16は、外部プログラマ18が存在していない場合でもプログラムされたままの状態で機能することができる。
【0017】
SCSシステム10の作動中に提供される刺激パターンに関し、刺激エネルギーを送り又は受け取るよう選択された電極を本明細書では「アクティブな状態にある」と称し、刺激エネルギーを送り又は受け取るようには選択されていない電極を本明細書では「非アクティブな状態にある」と称する。電気刺激は、2つ(又は3つ以上)の電極相互間で生じ、これら電極のうちの一方は、IPGケース34であるのが良く、その結果、刺激と関連した電流は、IPGケース34内に納められたエネルギー源から組織への経路を有すると共に組織からケース34内に納められたエネルギー源への戻り経路を有する。刺激エネルギーを単極又は多極(例えば、二極、三極等)方式で組織に送ることができる。
【0018】
単極刺激は、リード電極20のうちの選択された1つがケース34と共にアクティブな状態になったときに生じ、その結果、刺激エネルギーが選択された電極20とケース34との間で送られるようになる。二極刺激は、リード電極20のうちの2つがアノード及びカソードとしてアクティブな状態になったときに生じ、その結果、刺激エネルギーが選択された電極20相互間で送られるようになる。例えば第1のリード12上の電極E3をアノードとしてアクティブな状態にすることができ、それと同時に、第2のリード14上の電極E11をカソードとしてアクティブな状態にする。三極刺激は、リード電極20のうちの3つをアクティブな状態にしたときに生じ、2つの電極がアノードとして、残りの1つがカソードとしてアクティブな状態にされ、又は、2つの電極がカソードとして、残りの1つがアノードとしてアクティブな状態にされる。例えば、第1のリード12上の電極E4,E5をアノードとしてアクティブな状態にすることができ、それと同時に、第2のリード14上の電極E12をカソードとしてアクティブな状態にする。
【0019】
図3に示されているように、神経刺激リード12,14(リード12しか示されていない)は、脊髄42に密接して位置するよう経皮針又は他の従来技術の利用により患者の脊髄硬膜外腔40内に植え込まれている。電極20をいったん定位置に配置するとこれら電極を用いて刺激エネルギーを脊髄42又は神経根に供給することができる。リード12,14の好ましい配置は、電極20が刺激されるべき神経野に隣接し、即ち、この上に載るようなものである。リード12,14が脊髄硬膜外腔40を出る場所の近くにはスペースがないので、IPG16は、腹部内か臀部の上方かのいずれかに外科的に作られたポケット内に植え込まれる。IPG16は、当然のことながら、患者の体の他の場所にも植え込み可能である。リード延長部44が、IPG16をリード12,14の出口箇所から遠くに位置決めするのを容易にすることができる。
【0020】
次に図4を参照して以下においてIPG16の主要な内部コンポーネントについて説明する。IPG16は、データバス54による制御論理52の制御下で指定された振幅の電気刺激パルスを電極20(E1〜E16)のところのキャパシタC1〜C16を介して個々に発生させることができるアナログ出力回路50を有している。電気刺激の持続時間(即ち、刺激パルスの幅)は、タイマ論理回路56により制御される。アナログ出力回路50は、指定され且つ既知のアンペア数の刺激パルスを電極20に又は電極20から提供する独立制御型電流源か、指定され且つ既知の電圧の刺激パルスを電極20のところに提供する独立制御型電圧源かのいずれかを有するのが良い。規定された振幅及び幅の刺激パルスを発生させる同一機能を実行する適当な出力回路の変形実施形態を含むこのアナログ出力回路の動作原理は、米国特許第6,516,227号明細書及び同第6,993,384号明細書に十分に記載されている。
【0021】
IPG16は、IPG16全体にわたる種々のノード又は他の箇所60、例えば電源電圧、温度、電池電圧等の状態をモニタするモニタ回路58を更に有する。モニタ回路58は又、電気的パラメータデータ(例えば、電極インピーダンス及び(又は)電極外界電位)を測定するよう構成されている。
【0022】
電極インピーダンスの測定は、植え込まれた電気刺激システムが既知のエネルギーの電気刺激パルスを励起されるべき標的組織に送ることができる装置の安定性に依存しているので重要である。標的組織は、刺激パルスと関連した電気エネルギーが送られるべき既知の電気負荷を表している。インピーダンスが高すぎる場合、このことは、電極20と接続状態にあるコネクタ32a及び(又は)リード12,14が開路し又は開切されているということ示唆している。インピーダンスが低すぎる場合、このことは、コネクタ32a及び(又は)リード12,14中のどこかに短絡があることを示唆している。いずれの場合(インピーダンスが高すぎる場合又は低すぎる場合)においても、IPG16は、その意図した機能を実行することができない場合がある。
【0023】
電気的パラメータデータの測定は又、米国特許第6,993,384号明細書に記載されているようにリードの移動の検出を容易にする。以下に詳細に説明するように、電気的パラメータデータ測定は、患者の身体活動の追跡を容易にする。この目的のため、モニタ回路58は、電気的パラメータデータ測定から結果として得られる信号の種々の観点を隔離する追加の濾波回路、例えばピーク検出器、包絡線検出器、積分器等を有するのが良く、これについては以下に詳細に説明する。
【0024】
種々の手段のうちの任意の1つを用いて電気的パラメータデータを測定することができる。例えば、米国特許出願第10/364,436号明細書(発明の名称:Neural Stimulation System Providing Auto Adjustment of Stimulus Output as a Function of Sensed Impedance)において説明されているように、電気刺激パルスを組織に与えている時間の一部分の間又は刺激のすぐ後でサンプル採取方式にて電気的パラメータデータ測定を実施するのが良く、かかる米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。変形例として、例えば米国特許第6,516,227号明細書及び同第6,993,384号明細書に記載されているように、電気刺激パルスとは無関係に電気的パラメータデータ測定を実施しても良く、これら米国特許を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0025】
IPG16は、データバス64により制御論理を制御し、データバス66を介してモニタ回路58から状態データを得るマイクロコントローラ(μC)62の形態をした処理回路を更に有している。IPG16は、更に、タイマ論理56を制御する。IPG16は、μC62に結合されたメモリ68及び発信・クロック回路70を更に有している。かくして、μC62は、メモリ68及び発信・クロック回路70と組み合わさって、マイクロプロセッサシステムを構成し、このマイクロプロセッサシステムは、メモリ68に記憶されている適当なプログラムに従ってプログラム機能を実行する。変形例として、或る用途の場合、マイクロプロセッサシステムにより提供される機能を適当な状態機械によって行っても良い。
【0026】
かくして、μC62は、必要な制御及び状態信号を発生し、これら信号により、μC62は、選択された動作プログラム及び刺激パラメータに従ってIPG16の作動を制御することができる。IPG16の動作を制御する際、μC62は、制御論理52及びタイマ論理56と組み合わさってアナログ出力回路62を用いて電極20のところで刺激パルスを個々に発生させることができ、それにより、各電極20を、単極ケース電極を含む他の電極20と対にし又はグループ化して極性、振幅、レート、パルス幅及び電流刺激パルスを提供するチャネルを制御することができる。μC62は、メモリ68内のモニタ回路58により測定された電気的パラメータデータの記憶を容易にし、更に、かかる電気的パラメータデータを分析すると共に(或いは)患者の活動に関する情報を発生させるのに必要なコンピュータ処理能力を提供する。
【0027】
IPG16は、外部プログラマ34からプログラミングデータ(例えば、動作プログラム及び(又は)刺激パラメータ)を適当な被変調搬送信号で受け取る交流(AC)受け取りコイル72と、AC受け取りコイル72を介して受け取った搬送信号を復調してプログラミングデータを回復するためのチャージング・フォアード遠隔計測回路(charging and forward telemetry circuitry)74とを更に有し、プログラミングデータは次に、メモリ68内に又はIPG16全体を通じて分散して設けられている他のメモリ要素(図示せず)内に記憶させる。
【0028】
IPG16は、逆遠隔計測回路(back telemetry circuitry)76と、モニタ回路58を介して検出された情報データを外部プログラマ34に送る交流(AC)伝送コイル78とを更に有する。また、IPGの遠隔計測特徴により、その状態をチェックすることができる。例えば、外部プログラマ34がIPG16とのプログラミングセッションを開始させると、電池の容量を遠隔計測し、その結果、外部プログラマが推定充電時間を計算することができるようになる。電流刺激パラメータに対して行われる変更は、逆遠隔計測方式により確認し、それによりかかる変化がインプラントシステム内に正確に受け入れられて実行されたことを確かめる。さらに、外部プログラマ16による問い合わせ時に、IPG16内に記憶されている全てのプログラム可能設定値を外部プログラマ34にアップロードすることができる。重要なこととして、逆遠隔計測方式特徴により、メモリ68内にあらかじめ記憶されている生の又は処理済み電気的パラメータデータ及び(又は)患者の活動に関する情報をIPG16から外部プログラマ34にダウンロードすることができ、かかる情報を用いると、患者の身体活動を追跡することができる。
【0029】
IPG16は、動作電力をIPG16に提供する充電式電源80及び電源回路82を更に有している。充電式電源80は、例えば、リチウム‐イオン又はリチウム‐イオンポリマー電池から成るのが良い。充電式電池80は、無調整電圧を電源回路82に提供する。電源回路82は、種々の電圧84を発生し、IPG16内に設けられている種々の回路の必要性に応じて、これら電圧のうちの幾つかは、調整され、これら電圧のうちの幾つかは、調整されない。従来式電源80は、AC受け取りコイル72により受け取られた整流済みAC電力(他の手段、例えば高効率AC‐DC変換器回路(これは、「インバータ回路」とも呼ばれている)を介してAC電力から変換されたDC電力)を用いて充電される。電源80を充電するため、AC磁界を発生させる外部充電器(図示せず)が、植え込まれたIPG16の上で患者の皮膚に当てて配置され又は違ったやり方でこれに隣接して配置される。外部充電器により放出されたAC磁界は、AC電流をAC受け取りコイル72中に誘導して生じさせる。チャージング・フォアード遠隔計測回路74は、AC電流を整流してDC電流を生じさせ、かかるDC電流は、電源80を充電するために用いられる。AC受け取りコイル72を通信(例えば、プログラミング及び制御データ)のワイヤレス受け取りと外部装置からのエネルギーの要求の両方を行うために用いられるものとして説明したが、理解されるべきこととして、AC受け取りコイル72を専用充電コイルとして構成することができ、別のコイル、例えばコイル78を双方向遠隔計測に用いることができる。
【0030】
図4に示されているように、IPG10内に設けられている回路の大部分を単一の特定用途向け集積回路(ASIC)86で実現することができる。これにより、IPG16のサイズ全体を極めて小さくすることができ、それにより適当な気密封止ケース内に容易に収容することができる。変形例として、IPG16内に設けられている回路の大部分を2005年7月8日に出願された米国特許出願第11/177,503号明細書に記載されているように多数のディジタル及びアナログダイ上に配置しても良く、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。例えば、内臓ソフトウェアにより処理機能を実行するためにプロセッサチップ、例えば用途向け集積回路(ASIC)を設けるのが良い。IPG16の機能発揮に必要な幾つかの仕事を実行するためにアナログIC(AIC)を設けるのが良く、かかる機能としては、電力調整を行うこと、刺激出力を提供すること、インピーダンス測定及びモニタを提供することが挙げられる。プロセッサICにより入力要求された時にアナログIC内の刺激回路により出力された電流の刺激レベル及びシーケンスを制御したり変更したりすることによりプロセッサICとアナログICとの間の主要インタフェースとして機能するディジタルIC(DigIC)を設けるのが良い。
【0031】
図4の線図は、機能図に過ぎず、本発明を限定するものではないことは注目されるべきである。本明細書に説明が提供された場合、当業者であれば、支持すると共に説明した機能を実行する多くの形式のIPG回路又は均等回路を容易に構成することができるはずであり、かかる機能は、電極の選択されたグループに刺激電流又は電圧を生じさせるだけでなくアクティブな状態又は非アクティブな状態の電極のところの電気的パラメータデータを測定する能力を提供することが挙げられる。以下に詳細に説明するように、かかる測定により、インピーダンスを測定することができ(本発明の第1の実施形態と共に用いられる)又は外界電位を測定することができる(本発明の第2の実施形態と共に用いられる)。
【0032】
上述のIPG及び他のIPGに対する追加の詳細は、米国特許第6,516,227号明細書、米国特許出願公開第2003/0139781号明細書及び米国特許出願第11/138,632号明細書(発明の名称:Low Power Loss Current Digital-to-Analog Converter Used in an Implantable Pulse Generator)に見いだされ、これら特許文献を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。注目されるべきこととして、SCSシステム10は、IPGではなく、変形例として、リード12,14に接続された植え込み型受信器型刺激器(図示せず)を利用することができる。この場合、植え込まれた受信器に電力供給する電源、例えば電池並びに受信器型刺激器に指令を出す制御回路は、電磁リンクを介して受信器型刺激器に誘導結合された外部コントローラ内に納められる。データ/電力信号は、植え込まれた受信器型刺激器上に配置されているケーブル接続状態の伝送コイルから経皮的に結合される。植え込まれた受信器型刺激器は、信号を受け取り、制御信号に従って刺激を発生させる。
【0033】
上述したように、電極20のところの測定された電気的パラメータデータ、図示の実施形態では測定された電極間インピーダンス及び(又は)測定された外界電位に基づいて患者の身体活動をシステム10により追跡することができる。好ましくは、リード12,14を組織内に正しく位置決めした後(「正しい」位置決めは、患者によって様々である)であれば、患者の身体活動は、いつでも追跡される。好ましくは、電極間インピーダンス及び(又は)外界電位は、連続方式で(アナログ手段かディジタル手段かのいずれかにより適当なサンプリングレート(例えば20〜1000Hz)で測定される。電気的パラメータデータを測定する電極20は、好ましくは、患者の動きに最も敏感な電極20、即ち電気的パラメータデータが評価されるべき活動タイプについて最も大きい変化(勾配)を示す電極20である。
【0034】
以下に詳細に説明するように、測定された電気的パラメータデータ(例えば、電極間インピーダンス及び(又は)測定された外界電位)の変化を身体運動に相関させることができる。特に、患者の体内における運動中、患者の組織と密な接触状態にある電極20の接触面は、組織及び他の電極20に対して動き、それにより測定された電気的パラメータデータは、全体として身体運動に相関した仕方で瞬時に変化する。例えば、図5に示されているように、電極20は、患者が例えば横臥している場合、組織に対して非常に僅かな運動(小さな矢印で表されている)しか示すことができず、これに対し、図6に示されているように、電極20は、患者が例えば歩いている場合、組織に対して大きな運動(大きな矢印で表されている)を示すことができる。したがって、電極20のところで測定された電気的パラメータデータは、電極20と組織の相対運動につれて変化し、それにより、患者の身体活動の指標が提供される。注目されるべきこととして、インピーダンス又は外界電位測定を容易にするために2つの電極20相互間で生じる電気エネルギーは、組織を治療的に刺激するために用いられるエネルギーと同一であっても良く、或いは、かかる電気エネルギーを電気刺激エネルギーとは無関係に発生させても良く、例えば、かかる電気エネルギーは、刺激を生じさせない又はIPG電池を実質的に消耗させないサブスレッショルド電気エネルギーであっても良い。
【0035】
電極間インピーダンス法は、電極20の選択された対相互間で測定されたインピーダンス値として定義される場合のあるインピーダンスベクトルを測定することにより実施される。特に、電極20は、脊柱の脊髄硬膜外腔内にぴったりと嵌まり込み、組織が導電性等ので、脊髄硬膜外腔と関連していて、これを通って電流がどれほど容易に流れるかを指示するインピーダンスが存在する。電極間インピーダンスを種々の仕方で求めることができる。例えば、既知の電流(アナログ出力回路50がソーシング電流である場合)を一対の電極20相互間に流し、電極20相互間の電圧を測定し、そして電極20相互間のインピーダンスを測定された電圧と既知の電流の比として計算することができる。また、既知の電圧(アナログ出力回路50がソーシング電圧である場合)を一対の電極20相互間に印加し、電流20相互間の電流を測定し、そして電極20相互間のインピーダンスを既知の電圧と測定された電流の比として計算することができる。
【0036】
外界電位法は、電極20のうちの選択された電極のところに電界を発生させ、リード電極20のうちの選択された他の電極のところで電界を記録することによって実施される。これは、種々のやり方のうちの1つで達成できる。例えば、電極20のうちの選択された電極に電気エネルギーを運び、この電気エネルギーをIPGケース34に戻す電界を発生させるのが良い。変形例として、多極形態(例えば、二極又は三極)をリード電極20相互間で生じさせても良い。また、患者の体上のどこかに縫合され又は違ったやり方で永続的若しくは一時的に取り付けられた電極(例えば、接着剤を利用し又はゲルを利用した電極)をIPG外側ケース34又はリード電極20に代えて用いても良い。いずれの場合においても、電極20のうちの選択された電極が電界を発生させるようアクティブな状態になっている間、電極20のうちの選択された電極(アクティブな状態にある電極とは異なる)が、電界の電圧を記録するよう作動される。
【0037】
図7に示されているように、電気的パラメータデータ測定値を患者の身体活動により調整して、本来振動性電気ノイズとして説明できる時間変化電気信号を発生させる。というのは、どの組織又はどの電極が変化しているか又はこれらが変化している態様は、厳密に明確であることは滅多にないからである(即ち、逆の問題は、任意特定の患者において解決するのは困難であり又は不可能である)。
【0038】
「振動性(oscillating )」又は「オシレータ(oscillator)」という用語は、平均値を中心とした(これよりも上又は下の)ばらつきを意味し、これは、必ずしも、方形波又は正弦波には限定されない。本明細書において「ノイズ」という用語は、単に説明的な用語であり、信号パラメータのばらつきを特徴付けることを意図している。事実、この信号のばらつきは、実際には、患者の活動を推定する所望の情報を含み、かくして、望ましくない情報又は「情報なし」それ自体としての「ノイズ」の定義には合わない。測定された電気的パラメータデータが電気ノイズを発生させるよう調整されることにもかかわらず、電気ノイズの或る特定の特徴を依然として分析すると、患者の身体活動がウォーキング/ランニング(即ち、足取り)を構成するにせよ或いは姿勢の変化(例えば、胴のひねり、曲げ等)を構成するにせよ、いずれにせよ、かかる身体活動を追跡することができる。
【0039】
治療用刺激を患者に加えてかかる刺激の効能の指標が得られる期間にわたりかかる分析を実施するのが良い。本発明の目的上、治療用刺激を患者に加える期間は、刺激がかかる期間中、連続的に加えられることを必ずしも意味せず、そうではなく、治療用刺激が必要に応じて又は所望に応じてかかる期間中患者に加えられることを意味する。測定された電気的パラメータデータの分析をIPG16の内部で(即ち、μC62により)又は測定された電気的パラメータデータをIPG16からダウンロードした後、IPG16によって実行されるコンピュータ処理又は分析機能と組み合わせて外部プログラマ12により若しくは他の外部処理装置により実施することができる。
【0040】
本発明をより良く理解する目的で、一方法では、患者の身体活動の追跡は、患者の身体活動レベル(エネルギーの消費)の程度を推定することを含む。治療用刺激が加えられる期間の間(即ち、目覚めている時間の間)患者が身体的に活動していればしている程、治療用刺激が有効であるとそれだけ一層推測することができ、これに対し、かかる期間中、患者の身体的活動レベルが低ければ低いほど、治療用刺激が効果的でないことがそれだけ一層推測される。当然のことながら、身体活動レベルと治療用刺激の効能との間の相関は、患者の行う通常の身体活動に強く依存する。したがって、身体活動レベルと治療用刺激の効能との間の相関は、各患者について標準化される必要があろう。
【0041】
身体活動レベルの程度を推定するために検出できる測定電気的パラメータデータの特徴のうちの1つは、測定される電気的パラメータデータの振幅である。かかる振幅を種々の手法のうちの1つで測定することができる。例えば、測定された電気的パラメータデータの最高最低振幅を検出すると、その大きさを求めることができ、かくして、患者の身体活動レベルの程度を推定することができる。即ち、患者の身体活動レベルが高ければ高いほど、測定電気的パラメータデータの最高最低振幅がそれだけ一層高くなる。かくして、図7に示されているように、最高最低振幅が比較的低いと、患者が横臥しており又は違ったやり方で消費している身体エネルギーが少ないことが分かり、これに対して、最高最低振幅が比較的高いと、患者が歩いており、走っており、又は違ったやり方で多量の身体エネルギーを消費しているということが分かる。
【0042】
変形例として、最高最低振幅を分析しないで、測定電気的パラメータデータのエネルギー(電気ノイズを積分することにより求められるエネルギー)を検出すると、その大きさを求めることができ、かくして患者の身体活動レベルの程度を推定することができる。かくして、積分されたエネルギーレベルが比較的低いと、患者の消費エネルギーが少ないことが分かり、これに対し、積分されたエネルギーレベルが比較的高いと、患者が消費している身体エネルギーが多量であることが分かる。別の変形例として、測定された電気的パラメータデータの包絡線を検出して患者の活動レベルの程度を推定しても良い。かくしてエンベロープの振幅が比較的低いと、患者の消費エネルギーが少ないことが分かり、これに対し、包絡線の振幅が比較的高いと、患者の放出エネルギーが多量であることが分かる。
【0043】
また、測定電気的パラメータデータを分析して、患者の身体活動レベルの推定に加えて又はこれに代えて、患者の行った身体的出来事を判定することができる。判定した身体的出来事を用いると、患者に加えられた治療用刺激の効能を判定することができる。例えば、治療用刺激を加えられた期間中、患者が歩いており又は走っていることが判定された場合、治療用刺激が効果的であると見なすことができ、これに対し、患者がかかる期間中、連続して仰臥位置にあることが判定されると、治療用刺激が効果的ではないと見なすことができる。
【0044】
また、判定した身体的出来事を用いると、患者の行った身体活動が昼行性であるか夜行性であるかを判定することができる。即ち、昼行性身体活動が患者に加えられた治療用刺激の効能と相関していると見なすことができ、他方、夜行性身体活動は、患者に加えられた治療用刺激の効能と逆相関している場合がある。例えば、気まぐれで時々の体の回転は、ベッド内で「寝返りを打ったり向きを変えたり」していることが分かり、その結果、治療用刺激が効果的でないと考えられる。かくして、患者が長期間にわたり仰臥位置にあることが判定された場合、その期間中に行われた身体活動が夜行性であると見なすことができる。
【0045】
患者の行った身体的出来事を判定するには、種々の手法のうちの任意の1つで測定された電気的パラメータデータを分析するのが良い。例えば、包絡線の形態学的特徴を分析すると身体的出来事を判定することができる。図7に示されているように、足取りに対応した包絡線のピークを用いると、患者が歩行している時期及び患者がどれほど長く歩行しているかを求めることができる。別の例として、患者の行った或る特定の身体的出来事を測定電気的パラメータデータの大きさに相関させることができる。このリンクを具体化する特定の方法は、相関表(「ルックアップ」テーブル)を発生させることであり、かかる相関表は、例えば互いに異なる身体運動について作成することができる。相関表に含まれる場合のある身体的出来事のタイプは、日中に、例えば、横臥している間、ウォーキング、ジョギング、跳んでいるとき、座っているとき、ひねっているとき等に通常行われる運動である。これら出来事の各々は、患者個人個人について実験室で特徴付けることができ、それにより、身体的出来事を測定電気的パラメータデータに相関させる個人的ルックアップテーブルが得られる。ルックアップテーブルを生じさせたあと、これをIPG16のメモリ68中にダウンロードするのが良い。次に、このルックアップテーブルをIPG16内のμC62によって呼び戻して患者が治療的に刺激を受けている期間にわたり患者の行った身体的出来事のヒストグラムを作ることができる。
【0046】
また、測定電気的パラメータデータの分析以外の手段を用いて患者の行った身体的出来事を判定することができる。例えば、追加のセンサ(インピーダンスセンサ、活動センサ、加速度センサ等)を用いると、患者の身体的出来事を別個独立に検出することができ、その結果、測定電気的パラメータデータの大きさを互いに異なる身体の扱いに相関させることができるようになる。オプションとして、電気的パラメータデータを時間方式で測定することができ、その結果、データをIPG16に内蔵されているクロック(図示せず)との関係で分析することができ、かかるクロックは、グリニッジ標準時(GMT)に基づくクロック(「リアルタイム」クロック)に同期化されるのが良い。上述の例の場合と同様、クロックにより夜間であることが分かり、しかも気まぐれで時々の体の回転が測定された場合、この場合も又、これら身体的出来事は、ベッド内における「寝返り及び体の向き変え」によるものとされる場合がある。
【0047】
また、数日間にわたって測定電気的パラメータデータを分析すると、患者の行った身体活動が昼行性であり、かくして健康的であるか或いは夜間性であり、かくして不健康であるかどうかを判定することができる。例えば、図8は、数時間にわたって取られた例示の電気的パラメータデータ測定値を示している。図示のように、測定電気的パラメータデータのパターンが性質上、概日性であり、即ち、電気的パラメータデータの大きさは、一日の或る特定の期間にわたり(この場合、ほぼ午前8時から午後11時までの間)一貫して増大し、一日の別の期間の間(この場合、ほぼ午後11時から午前8時までの間)一貫して減少しており、このことにより患者が日中は身体的に活動状態にあり、夜間は安らかな睡眠状態にあることが分かる。これとは対照的に、図9は、数日間にわたって取られた別の例示の電気的パラメータデータ測定値を示している。図示のように、測定電気的パラメータデータのパターンは、気まぐれであって首尾一貫しておらず、このことにより、患者の眠りの質が不足していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経刺激システムであって、
植え込み型電極リードを有し、
前記電極リードに結合されるよう構成された植え込み型電気刺激装置を有し、前記電気刺激装置は、前記電極リードからの電気エネルギーを所与の期間にわたり患者の組織中に送り、前記患者の前記組織中に送られた前記電気エネルギーに基づいて電気的パラメータデータを測定するよう構成され、前記電気的パラメータデータは、前記患者の身体活動に応答して調整されて時間変化信号が発生し、
前記時間変化信号を分析し、分析した前記時間変化信号に基づいて前記期間中、前記患者の前記身体活動を追跡するよう構成された処理装置を有する、システム。
【請求項2】
前記電極リードから送られた前記電気エネルギーは、前記患者に治療を施す、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記電気的パラメータデータは、電気インピーダンスデータ又は外界電位データのうちの一方又はこれら両方である、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記処理装置は、前記刺激装置である、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記処理装置は、前記刺激装置と通信可能に構成された外部プログラマである、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記時間変化信号の分析は、前記時間変化信号の振幅を測定することを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記時間変化信号の振幅測定は、前記時間変化信号の最高最低振幅値を検出し、前記時間変化信号のエネルギーを検出し又は前記時間変化信号の包絡線を検出することを含む、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記時間変化信号の分析は、前記時間変化信号の形態学的特徴を決定することを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記時間変化信号の形態学的特徴の決定は、前記時間変化信号の包絡線を検出することを含む、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記患者の身体活動の追跡は、前記患者の身体活動レベルを追跡することを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記患者の身体活動の追跡は、前記患者により行われた身体的出来事を追跡することを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記時間変化信号は、振動性信号である、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
患者の体内に植え込み可能な電気刺激装置であって、
1つ又は2つ以上の電極に結合可能に構成された1つ又は2つ以上の電気接点を有し、
電気エネルギーを所与の期間にわたり前記1つ又は2つ以上の電気接点に送るよう構成された制御回路を有し、
患者の組織中に送られた前記電気エネルギーに基づいて電気的パラメータデータを測定するよう構成されたモニタ回路を有し、前記電気的パラメータデータは、前記患者の前記身体活動に応答して調整されて時間変化信号が発生し、
前記時間変化信号を分析し、分析したノイズに基づいて前記患者の前記身体活動を前記期間中追跡するよう構成された処理回路を有する、刺激装置。
【請求項14】
前記1つ又は2つ以上の電気接点に送られる前記電気エネルギーは、前記患者に治療を施すようになっている、請求項13記載の刺激装置。
【請求項15】
前記電気的パラメータデータは、電気インピーダンスデータ又は外界電位データのうちの一方又はこれら両方である、請求項13記載のシステム。
【請求項16】
前記時間変化信号の分析は、前記時間変化信号の振幅を測定することを含む、請求項13記載のシステム。
【請求項17】
前記時間変化信号の振幅測定は、前記時間変化信号の最高最低振幅値を検出し、前記時間変化信号のエネルギーを検出し又は前記時間変化信号の包絡線を検出することを含む、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記時間変化信号の分析は、前記時間変化信号の形態学的特徴を決定することを含む、請求項13記載のシステム。
【請求項19】
前記時間変化信号の形態学的特徴の決定は、前記時間変化信号の包絡線を検出することを含む、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記患者の身体活動の追跡は、前記患者の身体活動レベルを追跡することを含む、請求項13記載のシステム。
【請求項21】
前記患者の身体活動の追跡は、前記患者により行われた身体的出来事を追跡することを含む、請求項13記載のシステム。
【請求項22】
前記時間変化信号は、振動性信号である、請求項13記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−517637(P2010−517637A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548482(P2009−548482)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/052851
【国際公開番号】WO2008/095185
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(507213592)ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション (34)
【Fターム(参考)】