説明

患者毎に特有の補綴装置、それを含むシステム、その製造方法及び関節修復システム

【課題】患者の生来の膝関節解剖面に非常によく類似した表面を与えることによって関節修復処置の解剖学的結果を高める患者毎に特有の補綴装置、それを含むシステム及びその製造方法を提供する
【解決手段】上面及び下面を有する、患者膝関節の大腿骨顆補綴用の補綴装置であって、上面は、大腿骨顆の表面の少なくとも一部と対面し、前記大腿骨顆のカットされた骨の少なくとも一つの平面を有し、下面は、脛骨面の重量負担部分の少なくとも一部と対面し、患者の膝関節の大腿骨顆の突出した形状に一致することを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者毎に特有の補綴装置、それを含むシステム、その製造方法及び関節修復システムに係り、より詳しくは、膝の関節面の整形外科的再生のための患者毎に特有の補綴装置、それを含むシステム、その製造方法及び関節修復システムに関する。
【背景技術】
【0002】
軟骨には、例えば、硝子軟骨、線維軟骨等の様々なタイプが存在する。硝子軟骨は、例えば、関節内の骨の関節面に見られるものであり、可動関節に滑らかなすべり運動特性を提供する要因となっている。関節軟骨は、下部にある骨に堅く付着しており、関節及び関節内の部位によりかなりの変化は見られるものの、人間の関節では通常5mm未満の厚みを有している。
【0003】
成人の軟骨では、その治癒能力は限られたものになっている。したがって、リウマチ及び/又は変形性関節症等の病気、又は、傷害による軟骨への損傷のために、重大な肉体的奇形及び衰弱が惹起されることになりかねない。さらに、人の関節軟骨の老化にともない、その張力特性も変化する。膝関節軟骨の皮相域は、30歳代までは張力は増加を示し、その後、関節表面でタイプIIコラーゲンに対する検出可能な損傷が起こる年齢になると、その張力は著しく減少してしまう。また、深層域の軟骨も、コラーゲン量が減少するようには見えないものの、年齢を経るにつれ張力が徐々に衰える。これらの観察は、軟骨の機械的な、従って構造的な組織が加齢と共に変化することを示すものであり、この老化が十分進行すると、外傷性損傷に対して軟骨を罹患しやすくする場合もある。
【0004】
いったん損傷が発生すると、関節修復は多くのアプローチを通して対処可能である。1つのアプローチは、基質、組織担体、又は細胞(例えば、軟骨細胞、軟骨始原細胞、間質細胞、間葉幹細胞等)で導入される他のキャリヤーの使用を含む。これらの解決策は、軟骨及び半月板の修復又は交換のための潜在的処理として記述されている。また、以下の文献も参照のこと。
1999年10月14日に公開されたフォフォノフ(Fofonoff)に対する特許文献1、
2001年6月12日に公開された、サイモン(Simon)他に対する特許文献2、及び、
2001年3月15日に公開された、マンズマン(Mannsmann)に対する特許文献3。
2001年9月4日にビベー・ハンセン(Vibe−Hansen)他に対して発行された特許文献4、
1998年12月1日にノートン(Naughton)に対して発行された特許文献5、
1998年6月23日にシュワルツ(Schwartz)他に対して発行された特許文献6、
1986年9月2日にキャプラン(Caplan)他に対して発行された特許文献7、
1991年8月29日にバカンティ(Vacanti)他に対して発行された特許文献8、
1993年3月30日にキャプラン(Caplan)他に対して発行された特許文献9、
1993年7月13日にキャプラン(Caplan)他に対して発行された特許文献10、
2001年12月11日にハードウイック(Hardwick)他に対して発行された特許文献11、
2001年8月28日にルーガー(Rueger)他に対して発行された特許文献12、及び、
1989年7月11日にグランデ(Grande)に対して発行された特許文献13。
しかしながら、同種移植及び自家移植システム、及び、組織担体等の生物学的置換材料による臨床結果は、これらの材料の大部分が、交換が意図されている正常及び健全な人体組織の配置又は構造と、同様又は同一の形態学的な配置又は構造を達成することができないので、不確実なものとなっている。さらに、これらの生物学的置換材料の、機械的な耐久性も不確実なままである。
【0005】
通常、軟骨の重度の損傷又は欠損は、例をあげると、例えば表面修復のためのシリコン又は合金等の補綴材料による関節の交換により治療される。以下の文献を参照のこと。
2002年5月7日にシュモツァー(Schmotzer)に対して発行された特許文献14、
2001年3月20日にアフリアト(Afriat)他に対して発行された特許文献15、及び、
2000年10月3日にアテシアン(Ateshian)他に対して発行された特許文献16。
通常、これらの補綴装置の移植では、下部組織及び骨の欠損に伴い、元の軟骨で可能だった機能は完全には回復されることはなく、さらに、若干の装置では、かなりの量の組織と骨の欠損に伴う、重度の長期にわたる合併症により、感染、骨溶解、及び移植片の弛みが含まれる場合がある。
【0006】
さらに、関節形成は非常に侵襲的であり、1つ又は複数の骨の関節面の全体又は大部分を、外科的に切除する必要がある。これらの手順により、骨髄空間は、補綴のステムに合うように拡孔される。拡孔は、患者の骨ストックの欠損を引き起こす。1997年1月14日にスコット(Scott)他に対して発行された特許文献17は、楕円半球形に形成された膝蓋補綴を開示している。補綴は、関節表面としての2つの関節丘を含む、大腿骨要素を有している。2つの関節丘は、第2の滑車神経溝を形成し、大腿骨要素に対して関節をなす脛骨要素上に乗るようになっている。膝蓋要素は、滑車神経溝を噛合わせるために提供されている。2000年7月18日にレトット(Letot)他に対して発行された特許文献18は、脛骨要素、及び、非対称噛み合いにより脛骨要素と噛み合うように適合した半月板要素を含む膝補綴を開示している。
【0007】
関節を補綴に交換する場合には様々な材料が使用可能であり、例をあげると、例えば表面修復のためのシリコン、又は適当な合金等が適切である。例えば、以下の文献を参照のこと。
2002年9月3日にラニング(Running)に対して発行された特許文献19、
2002年5月14日にミールク(Miehlke)他に対して発行された特許文献20、
2002年5月7日にシュモツァー(Schmotzer)に対して発行された特許文献14、
2002年2月5日にクラコビッツ(Krakovits)他に対して発行された特許文献21、
2001年3月20日にアフリアト(Afriat)他に対して発行された特許文献15、
2000年10月3日にアテシアン(Ateshian)他に対して発行された特許文献16、及び、
2000年1月11日にカウフマン(Kaufman)他に対して発行された特許文献22。
通常、これらの補綴装置の移植では、下部組織及び骨の欠損に伴い、元の軟骨で可能だった機能は完全には回復されることはなく、さらに、若干の装置では、かなりの量の組織と骨の欠損に伴う、重度の長期にわたる合併症により、移植片の弛みが引き起こされる場合がある。こうした合併症の1つに骨溶解がある。原因の如何にかかわらず、いったん補綴(装置)が関節から弛んでしまうと、その補綴は、交換する必要が生じることになる。患者の骨ストックが限られているので、関節形成のための交換外科手術の可能な回数も制限される。
【0008】
理解されるように、関節形成は非常に侵襲的であり、修復にかかわる1つ又は複数の骨の関節面の全体又は大部分を、外科的に切除する必要がある。通常これらの手順により、骨髄空間は、骨内部の補綴のステムに合うようにかなり拡孔される。拡孔は、患者の骨ストックの欠損を引き起こし、やがて、その後の骨溶解は、補綴を頻繁に弛ませることになる。さらに、移植片と骨が合わさる領域は、時間がたつにつれて劣化し、結局は補綴の交換が必要となる。患者の骨ストックが限られているので、関節形成のための交換外科手術の可能な回数も制限される。要するに、15〜20年で、及び、若干の場合にはさらに短い期間で、最終的に患者は治療法のオプションを使い果たし、苦痛を与える機能しない関節がもたらされることになってしまう。
【0009】
2001年3月27日にフェル(Fell)他に対して発行された特許文献23、及び、2003年5月6日にフェル(Fell)他に対して発行された特許文献24は、骨の切除を必要とせず、外科的に移植可能な膝補綴を開示している。この補綴は、1つ又は複数の真っ直ぐな縁を有する、実質的に楕円形状のものとして記述されている。したがって、これらの装置は、実質的に、生体内に残っている軟骨及び/又は下部にある骨の実際の形状(輪郭)に合致するように設計されているわけではない。したがって、移植片の統合は、患者の周囲軟骨及び/又は下部の軟骨下骨と補綴との間の厚みと曲率度の違いにより、著しく困難となる場合がある。2003年4月29日にエイカー(Aicher)他に対して発行された特許文献25は、膝関節補綴を記載している。
【0010】
脛骨及び大腿骨の双方に取り付けられていない、介在膝装置が説明(開示)されている。例えば、非特許文献1では、脛骨に強固には付着されていない凸状下面を有する、半関節形成を説明している。また、骨に付着される装置についての説明もある。一般に、2つの付着設計が使用される。
マッキーバー(McKeever)の設計は、装置の骨合わせ面から伸びる、上面斜視図から「t」字状に見える横部材であり、「t」字が伸長する周囲表面は骨表面に隣接しているが、この「t」字部分は骨表面に貫入する形となっている。非特許文献2を参照のこと。
代替的な付着設計は、マッキントッシュ(MacIntosh)の設計であり、その設計は、「t」字型に形成されたフィンに代わって、一連の複数の平坦な鋸歯又は歯が存在するものである。非特許文献3を参照のこと。
【0011】
1985年3月5日にウォール(Wall)に対して発行された特許文献26は、ステンレススチール又はナイロンストランドの補強材料を伴う、シリコーンゴム又はテフロン(登録商標)等の材料から組み立てられる補綴半月板について説明している。1978年3月25日にグッドフェロー(Goodfellow)他に対して発行された特許文献27は、プラスチック材料から製造される半月板要素を説明している。また、炭素繊維ポリウレタン−ポリ(L−ラクチド)を用いた半月障害の復元も試みられている(非特許文献4)。また、半月障害の復元も、生体再吸収可能な材料と組織担体により可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第WO 99/51719号公報
【特許文献2】国際公開第WO 01/91672号公報
【特許文献3】国際公開第WO 01/17463号公報
【特許文献4】米国特許第6,283,980 B1号
【特許文献5】米国特許第5,842,477号
【特許文献6】米国特許第5,769,899号
【特許文献7】米国特許第4,609,551号
【特許文献8】米国特許第5,041,138号
【特許文献9】米国特許第5,197,985号
【特許文献10】米国特許第5,226,914号
【特許文献11】米国特許第6,328,765号
【特許文献12】米国特許第6,281,195号
【特許文献13】米国特許第4,846,835号
【特許文献14】米国特許第6,383,228号
【特許文献15】米国特許第6,203,576号
【特許文献16】米国特許第6,126,690号
【特許文献17】米国特許第5,593,450号
【特許文献18】米国特許第6,090,144号
【特許文献19】米国特許第6,443,991 B1号
【特許文献20】米国特許第6,387,131 B1号
【特許文献21】米国特許第6,344,059 B1号
【特許文献22】米国特許第6,013,103号
【特許文献23】米国特許第6,206,927号
【特許文献24】米国特許第6,558,421号
【特許文献25】米国特許第6,554,866号
【特許文献26】米国特許第4,502,161号
【特許文献27】米国特許第4,085,466号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】プラット(Platt)他(1969)「膝のモールド関節形成」(Mould Arthroplasty of the Knee)、骨と関節手術ジャーナル(Journal of Bone and Joint Surgery)51B(1):76−87
【非特許文献2】マッキーバー(McKeever)「脛骨プラトー補綴」(Tibial Plateau Prosthesis)、第7章、86頁
【非特許文献3】ポッター(Potter)、「マッキーバー(McKeever)とマッキントッシュ(MacIntosh)の設計による脛骨の金属移植を伴う膝関節形成」(Arthroplasty of the Knee with Tibial Metallic Implants of the McKeever and MacIntosh Design)、Surg.Clins Of North Am.49(4):903−915(1969)
【非特許文献4】リースラグ(Leeslag)他、生体材料の生物学的及び生体力学的特性」(Biological and Biomechanical Performance of Biomaterials)、(クリステル(Christel)他編)、エルゼビア・サイエンス出版社(Elsevier Science Publishers)B.V.、アムステルダム、1986、347−352頁
【0014】
しかしながら、現在利用可能な装置は、関節面及び結果として得られる関節適合に対して、常に理想的な整合を提供するというわけではない。不十分な整合及び不十分な関節適合により、例えば、関節の不安定性が引き起こされる場合もある。さらに、これらの解決策(現在利用可能な補綴装置を使った外科手術)は、いずれも、膝手術を受ける患者のほぼ80%が健康な外側筋区画(lateral compartment)を有しており、内顆及び膝蓋骨を修復する必要があるだけであることを考慮に入れていない。さらに残りの20%のうち10%は、外顆だけに損傷を受けている。結局、患者の90%は顆表面の全体を修復される必要がない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記の諸問題を解決するためになされた本発明の目的は、修復すべき実際の損傷を考慮した関節修復のための構成と、患者の生来の膝関節解剖面に非常によく類似した表面を与えることによって関節修復(correct)処置の解剖学的結果を高める患者毎に特有の補綴装置及びそれを含むシステムを提供する。
また、本発明の他の目的とするところは、患者毎に特有の補綴装置の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的とするところは、関節修復システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するためになされた本発明の患者毎に特有の補綴装置は、上面(304、402、502)及び下面(302、404、504)を有する、患者膝関節の大腿骨顆補綴用の補綴装置(300、400、500)であって、前記上面(304,402、502)は、大腿骨顆の表面の少なくとも一部と対面し、前記大腿骨顆のカットされた骨の少なくとも一つの平面を有し、前記下面(302、404、504)は、脛骨面の重量負担部分の少なくとも一部と対面し、患者の膝関節の前記大腿骨顆の突出した形状に一致する三次元形状を有することを特徴とする。
本発明の患者毎に特有の補綴システムは、請求項1に記載の患者毎に特有の補綴装置(300、400、500)と、脛大腿関節面の脛骨表面の代わりとなる脛骨コンポーネントから成ることを特徴とする。
本発明の患者毎に特有の補綴装置の製造方法は、患部膝関節の解剖学上の画像を撮る段階、前記解剖学上の画像から患部関節の関節面の設計形状を誘導する段階、及び、骨対向面と患部関節の関節面設計形状を摸した関節対向面が設計または選択される段階、を含むことを特徴とする。
本発明の関節修復システムは、患者毎に特有の補綴装置と一つまたは二つの外科ツールを備えたことを特徴とする
【発明の効果】
【0017】
本発明は、1つ又は複数の移植片を用いて、膝関節(例えば、軟骨、半月板、及び/又は骨)の一部(例えば、罹患領域、及び/又は、罹患領域よりわずかに広い領域)を移植材料と交換し、移植片(複数可)が周囲構造及び組織と解剖学的又は概ねの解剖学的適合をなす、新規装置を提供する。装置が、下部にある関節の骨に関連する要素を含んでいる場合は、本発明は、その骨に関連する要素が軟骨下骨と概ねの解剖学的整合を達成することを可能にしている。また、本発明は、一回の切断、又は数回の比較的小さな切断によって、移植部位を準備することも可能にしている。生来の膝関節解剖学的構造によく類似した状況を提供することによって、修復された関節の解剖学的機能性を高めるために、非対称なコンポーネントが提供されることもできる。解剖学的成果が高まることより、修復された関節の機能性が高まることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】選択された移植片を受け入れる前の、既存の関節面が改変されていないか又はほぼ改変されていない、本発明による修復の必要な関節にアクセスするための方法のブロック図である。
【図2】修復を達成するのに適した移植片を設計する前の、既存の関節面が改変されていないか又はほぼ改変されていない、本発明による修復の必要な関節にアクセスするための方法のブロック図である。
【図3】移植片を作成するとともに補綴装置として患者に使用する方法のブロック図である。
【図4】膝関節の脛骨プラトーの移植に適した本発明の関節移植片の斜視図である。
【図5】図4の移植片の上面図である。
【図6】図5に示す線C−Cに沿った、図5の移植片の断面図である。
【図7】図5に示す線D−Dに沿った断面図である。
【図8】図5に示す線E−Eに沿った断面図である。
【図9】図4の移植片の側面図である。
【図10】矢状面に対して平行な平面に沿った、移植されている状態を示す、図4の移植片の断面である。
【図11】冠状面に対して平行な平面に沿った、移植されている状態を示す、図4の移植片の断面図である。
【図12】軸方向面に対して平行な平面に沿った、移植されている状態を示す、図4の移植片の断面図である。
【図13】骨の内側のより近くに(脛骨プラトーの縁の方に)延びるとともに前後に延びるにようにわずかに大きくなっている移植片を示す図である。
【図14】キールの形態のアンカーを示す、図4の関節移植片の代替的な一実施形態の側面図である。
【図15】アンカーを示す、図4の関節移植片の代替的な一実施形態の底面図である。
【図16】横部材の形態のアンカーを示す図である。
【図17】クロスバーを嵌め入れる窪み(trough)を有する下面を示す、移植片の代替的な実施形態である。
【図18】クロスバーを嵌め入れる窪み(trough)を有する下面を示す、移植片の代替的な実施形態である。
【図19】広範の種々のクロスバーを示す図である。
【図20】膝関節内に移植されている装置を示す図である。
【図21】膝関節内に移植されている装置を示す図である。
【図22】1つの縁に沿った面取りカットをさらに有する、脛骨プラトーに適した別の移植片を示す図である。
【図23】1つの縁に沿った面取りカットをさらに有する、脛骨プラトーに適した別の移植片を示す図である。
【図24】1つの縁に沿った面取りカットをさらに有する、脛骨プラトーに適した別の移植片を示す図である。
【図25】1つの縁に沿った面取りカットをさらに有する、脛骨プラトーに適した別の移植片を示す図である。
【図26】1つの縁に沿った面取りカットをさらに有する、脛骨プラトーに適した別の移植片を示す図である。
【図27】1つの縁に沿った面取りカットをさらに有する、脛骨プラトーに適した別の移植片を示す図である。
【図28】1つの縁に沿った面取りカットをさらに有する、脛骨プラトーに適した別の移植片を示す図である。
【図29】1つの縁に沿った面取りカットをさらに有する、脛骨プラトーに適した別の移植片を示す図である。
【図30】1つの縁に沿った面取りカット部をさらに有する、脛骨プラトーに適した別の移植片を示す図である。
【図31】関節面が改変されて、脛骨移植片が嵌合するための平坦面又は傾斜面を形成している、脛骨移植片の代替的な一実施形態を示す図である。
【図32】関節面が改変されて、脛骨移植片が嵌合するための平坦面又は傾斜面を形成している、脛骨移植片の代替的な一実施形態を示す図である。
【図33】関節面が改変されて、脛骨移植片が嵌合するための平坦面又は傾斜面を形成している、脛骨移植片の代替的な一実施形態を示す図である。
【図34】関節面が改変されて、脛骨移植片が嵌合するための平坦面又は傾斜面を形成している、脛骨移植片の代替的な一実施形態を示す図である。
【図35】関節面が改変されて、脛骨移植片が嵌合するための平坦面又は傾斜面を形成している、脛骨移植片の代替的な一実施形態を示す図である。
【図36】関節面が改変されて、脛骨移植片が嵌合するための平坦面又は傾斜面を形成している、脛骨移植片の代替的な一実施形態を示す図である。
【図37】関節面が改変されて、脛骨移植片が嵌合するための平坦面又は傾斜面を形成している、脛骨移植片の代替的な一実施形態を示す図である。
【図38】関節面が改変されて、脛骨移植片が嵌合するための平坦面又は傾斜面を形成している、脛骨移植片の代替的な一実施形態を示す図である。
【図39】下面から見た、大腿骨顆での使用に適した関節移植片の斜視図である。
【図40】上面から見た、大腿骨顆での使用に適した関節移植片の斜視図である。
【図41】図39の移植片の側面図である。
【図42】移植片の下面の図である。
【図43】移植片の上面の図である。
【図44】移植片の断面図である。
【図45】移植片が設置されている大腿骨の軸方向図である。
【図46】移植片が大腿骨顆に設置されている、膝蓋骨のない、膝関節の前部図である。
【図47】図4〜38に示す移植片のような脛骨プラトーに適した移植片とともに図39の移植片が大腿骨顆に移植されている膝関節の前部図である。
【図48】少なくとも1つの面取りカット部をさらに有する、大腿骨顆で使用する関節移植片の代替的な一実施形態を示す図である。
【図49】少なくとも1つの面取りカット部をさらに有する、大腿骨顆で使用する関節移植片の代替的な一実施形態を示す図である。
【図50】従来技術による、大腿骨顆に適した移植片を示す図である。
【図51】大腿骨顆での配置に適した別の移植片を示し、移植片を若干斜視方向に上面から見た図である。
【図52】大腿骨顆での配置に適した別の移植片を示し、図51の移植片の側面図である。
【図53】大腿骨顆での配置に適した別の移植片を示し、移植片の下面を上から見た図である。
【図54】大腿骨顆での配置に適した別の移植片を示し、移植片の側面斜視図である。
【図55】大腿骨顆での配置に適した別の移植片を示し、移植片の側面斜視図である。
【図56】大腿骨顆での配置に適した別の移植片を示し、移植片が設置されている大腿骨の軸方向図である。
【図57】大腿骨顆での配置に適した別の移植片を示し、移植片が大腿骨顆に設置されている、膝蓋骨のない、膝関節の前部図である。
【図58】大腿骨顆での配置に適した別の移植片を示し、図4〜38に示す移植片のような脛骨プラトーに適した移植片とともに図51の移植片が大腿骨顆に移植されている膝関節の前部図である。
【図59】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、面取りカット部を示す、移植片の表面の上面図である。
【図60】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、移植片の上面の若干斜視方向の図である。
【図61】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、移植片を第1の方向から見た側面斜視図である。
【図62】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、移植片を第2の方向から見た若干斜視方向の側面図である。
【図63】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、負荷支持を示す、移植片の側面図である。
【図64】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、負荷支持を示す、移植片の側面図である。
【図65】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、移植片が外側レールを有する、代替的な一実施形態を示す図である。
【図66】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、移植片が外側レールを有する、代替的な一実施形態を示す図である。
【図67】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、移植片がアンカー固定用キールを有する、別の実施形態を示す図である。
【図68】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、移植片が大腿骨顆に設置されている大腿骨の軸方向図である。
【図69】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、移植片が大腿骨顆に設置されている、膝蓋骨のない、膝関節の前部図である。
【図70】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、図4〜38に示す移植片のような脛骨プラトーに適した移植片とともに図5Aの移植片が大腿骨顆に移植されている膝関節の前部図である。
【図71】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、膝関節内に移植されている装置を示す図である。
【図72】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、膝関節内に移植されている装置を示す図である。
【図73】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、顆の部分的な切除に対応する装置の代替的な一実施形態を示す図である。
【図74】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、1つ又は複数の面取りカット部を有する移植片の代替的な実施形態を示す図である。
【図75】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、1つ又は複数の面取りカット部を有する移植片の代替的な実施形態を示す図である。
【図76】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、1つ又は複数の面取りカット部を有する移植片の代替的な実施形態を示す図である。
【図77】大腿骨顆での配置に適した別の移植片の図であり、1つ又は複数の面取りカット部を有する移植片の代替的な実施形態を示す図である。
【図78】表面マップを含む断面データ点のグラフィック表現とともに、図5に示す装置を示す図である。
【図79】表面マップを含む断面データ点のグラフィック表現とともに、図5に示す装置を示す図である。
【図80】表面マップを含む断面データ点のグラフィック表現とともに、図5に示す装置を示す図である。
【図81】表面マップを含む断面データ点のグラフィック表現とともに、図5に示す装置を示す図である。
【図82】表面マップを含む断面データ点のグラフィック表現とともに、図5に示す装置を示す図である。
【図83】表面マップを含む断面データ点のグラフィック表現とともに、図5に示す装置を示す図である。
【図84】表面マップを含む断面データ点のグラフィック表現とともに、図5に示す装置を示す図である。
【図85】2つの部片構成を有する、大腿骨顆の一部に適した装置の代替的な一設計を示す図である。
【図86】2つの部片構成を有する、大腿骨顆の一部に適した装置の代替的な一設計を示す図である。
【図87】2つの部片構成を有する、大腿骨顆の一部に適した装置の代替的な一設計を示す図である。
【図88】膝蓋骨全体を示す図である。
【図89】移植片を設置するためにカットされている膝蓋骨を示す図である。
【図90】適した膝蓋骨移植片の上面図であり、膝蓋骨の隆起に対する移植片のドームの位置を示すために膝蓋骨全体の上に重ね合わせた状態の移植片を示す。
【図91】適した膝蓋骨移植片の側面図であり、膝蓋骨の隆起に対する移植片のドームの位置を示すために膝蓋骨全体の上に重ね合わせた状態の移植片を示す。
【図92】膝蓋骨の上に重ね合わせた状態の移植片を示す図である。
【図93】膝蓋骨の上に重ね合わせた状態の移植片を示す図である。
【図94】ブランクとしての膝蓋骨移植片用の代替的な設計を示す図である。
【図95】膝蓋骨移植片用の代替的な設計を示す図である。
【図96】膝蓋骨移植片用の代替的な設計を示す図である。
【図97】膝蓋骨移植片用の代替的な設計を示す図である。
【図98】開示した装置のいずれかが内部に設置されている膝関節の代表的な側面図を示し、顆移植片及び膝蓋骨移植片を有する膝を示す。
【図99】開示した装置のいずれかが内部に設置されている膝関節の代表的な側面図を示し、顆移植片が後部方向の顆の表面のより大きな部分を覆っている、顆移植片及び膝蓋骨移植片を有する膝の代替的な図である。
【図100】開示した装置のいずれかが内部に設置されている膝関節の代表的な側面図を示し、移植片が顆、膝蓋骨、脛骨プラトーに設けられている膝関節を示す図である。
【図101】開示した装置のいずれかが内部に設置されている膝関節の前面図を示し、脛骨移植片を有する膝を示す図である。
【図102】開示した装置のいずれかが内部に設置されている膝関節の前面図を示し、顆移植片を有する膝を示す図である。
【図103】開示した装置のいずれかが内部に設置されている膝関節の前面図を示し、脛骨移植片及び顆移植片を有する膝を示す図である。
【図104】開示した装置のいずれかが内部に設置されている膝関節の前面図を示し、二重区画の顆移植片及び脛骨移植片を有する膝を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明は、当業者が本発明を作成して使用できるよう、提示するものである。説明される実施形態への様々な変更は、当業者には容易に明白なものとなるであろうし、さらに、本明細書中に定義された一般的な原理は、添付の特許請求項により定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び用途に適用可能なものである。したがって、本発明は、示された実施形態に限定されることを意図したものではなく、本明細書において開示された原理及び特徴と矛盾しない、最も広い範囲に一致するものである。開示された本発明を完全に理解するために必要な範囲で、本願中で引用した全ての発行特許、特許公報、及び特許出願は、参照により本明細書に援用される。
当業者には理解されるように、本明細書中に記載の方法は、論理上可能な限り記載事例の任意の順で、及び記載事例の記載順で行われ得る。さらに、或る範囲の値が与えられる場合、その範囲の上限及び下限間全ての間にある値、及び、その範囲内の任意の他に示された又はそれらの間にある値が本発明の範囲内に含まれることが理解される。また、(本明細書に)記載された発明的な変更に見られる選択的な特徴はいずれも、個別に請求項として設定されてもよく、又は、本明細書中に記載の特徴のいずれか1つ又は複数と組み合わされてもよいことが意図される。
【0020】
本発明の実施に際しては、他の方法が示されていない限り、当技術分野内のX線撮像並びに処理、X線断層合成、Aスキャン、Bスキャン及びCスキャンを含む超音波、コンピュータ断層撮影(CTスキャン)、磁気共鳴撮像(MRI)、光コヒーレンス断層撮影、単光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)、及び陽電子射出断層撮影(PET)という従来のデジタル方法が使用できる。こうした技術は、文献に完全に説明されており、本明細書において説明する必要はない。例えば、以下を参照のこと。
スタウト(Stout)及びジェンセン(Jensen)編「X線構造測定:実用的案内」(X−Ray Structure Determination:A Practical Guide)第2版、1989、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)出版。
スローン(Slone)編「ボディーCT:実践的手法」(Body CT:A Practical Approach)、1999、マックグロー・ヒル(McGraw−Hill)出版。
ラム(Lam)編「X線診断:外科医の手法」(X−ray Diagnosis:A Physician‘s Approach)、1998、シュプリンガー・フェアラーク(Springer−Verlag)出版。及び、
ラエティティア・ブロックルバンク(Laetitia Brocklebank)編「歯の放射線学:X線画像の理解」(Dental Radiology:Understanding the X−Ray Image)、1997、オクスフォード・ユニバーシティ・プレス(Oxford University Press)出版。さらに、以下を参照のこと。
ジェロルド・ティー・ブッシュバーグ(Jerrold T. Bushberg)他「医療撮影の基礎物理学」(The Essential Physics of Medical Imaging)第2版。
【0021】
本発明は、関節を修復する、特に関節軟骨を修復する方法及び構成を提供し、特に、広範にわたる様々な軟骨修復材料の被験者への一体化を容易にするものである。とりわけ、本明細書に説明される技術は、例えば、サイズ、軟骨の厚み、及び/又は、曲率に関して、特定の被験者に適した軟骨修復材料のカスタマイズを可能にするものである。関節軟骨表面の形状(例えば、サイズ、厚み、及び/又は、曲率)が、欠損のない軟骨、又は被験者の生来の軟骨と、厳密な又は概ねの解剖学的適合をなすときは、修復の成功は高められる。修復材料は、移植に先立って形成可能であり、さらに、こうした形成は、例えば、欠損の周囲にある「正常な」軟骨の曲率、又は厚みに関する情報を提供する電子画像、及び/又は、欠損の下部の骨の曲率に基づくことが可能である。したがって、本発明は、とりわけ、部分的関節交換のための最少限の侵襲的方法を提供するものである。本方法によると、最小限の骨ストックを必要とするのみであり、若干の事例では、骨ストックは全く失われることがない。加えて、現行技術と異なり、本明細書に説明されている方法は、移植片と、周囲にある、又は隣接している軟骨及び/又は軟骨下骨との間で、厳密な又は概ねの解剖学的適合をなすことにより、関節面の完全性の回復を補助することになる。
【0022】
本発明の利点は、以下の、(i)関節修復をカスタマイズすることであって、これにより、修復手順に従う患者に対して、効力及び快適レベルを向上させる、カスタマイズすること、(ii)いくつかの実施形態では、手術中に、外科医が修復すべき欠損を測定する必要性を排除すること、(iii)移植手順中に、外科医が材料を成形する必要性を排除すること、(iv)骨又は組織画像に基づき、又は手術中のプローブ技術に基づき、修復材料の曲率を評価する方法を提供すること、(v)最少限の骨ストックのみ、又は、いくつかの事例では、骨ストックを全く失うことがない、関節修復方法を提供すること、(vi)手術後の関節適合を向上させること、(vii)いくつかの実施形態では、手術後の患者の回復を高めること、及び(viii)動きの範囲等の、手術後の活動を高めること、を含み得るが、これらに限られるものではない。
【0023】
したがって、本明細書に説明されている方法により、欠損(例えば、移植部位)又は関節表面(複数可)に、より正確に適合する設計及び関節修復材料の使用が可能になり、したがって、改良された関節修復が提供されることになる。
【0024】
[I. 関節及び整合の評価]
本明細書に説明されている方法及び構成は、軟骨の疾病(例えば、骨関節炎(変形性関節炎))、骨損傷、軟骨損傷、外傷、及び/又は、過用又は老化に起因する劣化から生じる欠損を治療するために使用可能である。本発明により、とりわけ、保健医療従事者は、こうした欠損を評価し、且つ治療することが可能となる。対象となる領域のサイズ、体積及び形状は、欠損を有する軟骨領域のみを含むことも可能であるが、好適には、欠損軟骨を囲んでいる軟骨の隣接部分も含んでいる方がよい。
【0025】
当業者には理解されるように、サイズ、曲率、及び/又は、厚みの測定値は、任意の適当な技術を用いて取得可能である。例えば、一次元、二次元、及び/又は、三次元の測定値は、適当な機械的手段、レーザ装置、電磁又は光学追跡システム、型、関節面に適用される、硬化して「表面輪郭を記憶する」材料、及び/又は、当技術分野で既知の1つ又は複数の撮像技術を用いて取得可能である。測定値は、非侵襲的に、及び/又は、手術中に(例えば、プローブ又は他の外科装置を用いて)取得可能である。当業者には理解されるように、修復装置の厚みは、与えられた位置がどこであろうと、患者の解剖学的構造、及び/又は、関節面上の任意の特定位置にある軟骨、及び/又は、修復すべき骨に対する損傷の深さによって変化し得る。
【0026】
図1は、関節を評価する際に、医療従事者がとるステップを示すフローチャートである。第1に、医療従事者は、対象関節の測定値を得る(10)。測定値を得るステップは、関節を撮像することによって達成することができる。このステップは、必要に応じて、関節評価プロセスをさらに精緻にするために、複数の画像を得るように繰り返される(11)。医療従事者は、必要な測定値を得ると、その情報を用いて、評価される対象のモデル表現を作成する(30)。このモデル表現は、局部解剖(topographical:組織分布)マップ又は画像の形態とすることができる。関節のモデル表現は、一次元、二次元、及び/又は、三次元とすることができる。関節のモデル表現には、物理モデルも含まれ得る。所望であれば、2つ以上のモデルを作成する(31)ことができる。元のモデル、又は、その後に続いて形成されたモデル、又はそれら双方を用いることができる。関節のモデル表現が作成された(30)後、医療従事者は、例えば関節表面の既存の軟骨から、対面する関節表面の鏡像、又はその組み合わせを与えることによって、修正状態の対象関節の投影モデル表現を任意に作成する(40)ことができる。ここでもまた、必要に応じて又は所望に応じて、このステップを繰り返す(41)ことができる。次に、関節の局部解剖状況と関節の投影画像との差異を用いて、医療従事者は、修正された関節解剖学的構造に達するのに適した関節移植片を選択する(50)ことができる。当業者には理解されるように、選択プロセス50を、所望の結果を達成するのに所望なだけ繰り返すことができる(51)。さらに、医療従事者は、例えばX線を得ることによって対象関節の測定値を得て(10)、次に、適した関節置換移植片を選択する(50)ことができることが意図される。
【0027】
当業者には理解されるように、医療従事者は、対象関節のモデル表現を作成するステップ30から、矢印32によって示される適切な関節置換移植片を選択するステップ50へ、直接進むことができる。さらに、適切な関節置換移植片の選択50に続いて、対象関節の測定値を得るステップ10、対象関節のモデル表現を作成するステップ30、及び投影モデルを作成するステップ40を、フロー24、25、26が示すように連続して又は同時に繰り返すことができる。
【0028】
図2は、関節を評価する際に医療従事者がとるステップを示す代替的なフローチャートを示す。まず、医療従事者は、対象関節の測定値を得る(10)。測定値を得るステップは、関節を撮像することによって達成されることができる。このステップは、必要に応じて、関節評価プロセスをさらに精緻にするために、複数の画像を得るように繰り返される(11)ことができる。開業者が必要な測定値を得ると、その情報を用いて、評価される対象のモデル表現を作成する(30)。このモデル表現は、局部解剖マップ又は画像の形態とすることができる。関節のモデル表現は、一次元、二次元、及び/又は、三次元とすることができる。このプロセスは、必要に応じて又は所望に応じて繰り返す(31)ことができる。関節のモデル表現には、物理モデルも含まれ得る。関節のモデル表現を評価した(30)後、医療従事者は、修正状態の対象関節の投影モデル表現を任意に作成する(40)ことができる。必要に応じて又は所望に応じて、このステップを繰り返す(41)ことができる。関節の局部解剖状況と関節の投影画像との差異を用いて、医療従事者は、修正された関節解剖学的構造に達するのに適した関節移植片を設計する(52)ことができ、設計プロセス53を、所望の移植片設計を達成するのに所望なだけ繰り返すことができる。医療従事者は、レール、キール、リップ、ペグ、十字ステム、又はアンカー、クロスバー等、さらなる機構を設けることにより、対象関節における移植片の性能が向上するかどうかを評価することもできる。
【0029】
当業者には理解されるように、医療従事者は、対象関節のモデル表現を作成するステップ30から、矢印38によって示される適切な関節置換移植片を設計するステップ52へ、直接進むことができる。上記に示したフローと同様に、適切な関節置換移植片の設計52に続いて、対象関節の測定値を得るステップ10、対象関節のモデル表現を作成するステップ30、及び投影モデルを作成するステップ40を、フロー42、43、44が示すように連続して又は同時に繰り返すことができる。
【0030】
図3は、患者に対して補綴装置を選択するプロセスを示すフローチャートである。まず、上述の技術、又は、適した、発明の実施の時点で当業者に既知の技術を用いて、軟骨損傷又は軟骨欠損の領域のサイズを測定する(100)。このステップを、所望に応じて複数回繰り返すことができる(101)。軟骨欠損のサイズが測定されると、隣接する軟骨の厚みを任意に測定することができる(110)。このプロセスもまた、所望に応じて繰り返される。軟骨欠損を測定した後、又は隣接する軟骨の厚みを測定した後、次に、関節面の曲率を測定する(120)。代替的に、軟骨下骨を測定することができる。理解されるように、測定値は、移植面に対して最良の設計を得やすくするために、修復される関節の表面又は嵌合面からとることができる。
【0031】
表面が測定されると、ユーザは、移植片のライブラリに収容されている最も合う移植片を選択する(130)か、又は、患者に固有の移植片が生成される(132)。これらのステップは、患者にとって最も合う移植片を達成するために、所望に応じて又は必要に応じて繰り返すことができる(131、133)。当業者には理解されるように、移植片を選択又は設計するプロセスは、装置の表面が患者の関節表面に対して良好な適合を保証するように、患者のMRI又はX線に含まれる情報に対して試験されることができる。例えば、試験は、患者の関節についての画像の上に移植片画像を重ねることによって達成されることができる。適した移植片が選択又は設計されたことが判明すると、移植片部位は、例えば、関節表面から軟骨又は骨を切除することによって準備される(140)か、又は移植片に関節を配置することができる(150)。
【0032】
選択又は設計された関節移植片は、既存の関節面との解剖学的適合又は概ねの解剖学的適合を達成するとともに、生来の関節解剖学的構造が複製されている対面する関節面に対して嵌合面を提供する。この例では、既存の関節面は、結果として得られる所望のされる関節面とともに評価されることができる。この技術は、骨にアンカー固定されない移植片に特に有用である。
【0033】
当業者には理解されるように、外科医、又は本発明を実施する他の者は、対象関節の測定値を得て(10)、適した関節置換移植片を設計(52)又は選択(50)することができる。
【0034】
[II. 修復材料]
本発明の実施では、プラスチック、金属、結晶フリーの金属、セラミック、又は生体物質(例えば、コラーゲン又は他の細胞外マトリックス材)、ヒドロキシ・アパタイト、細胞(例えば、幹細胞、軟骨細胞等)、又はその組み合わせを含む、多種多様な使用材料が見出されるが、これらに限定されない。欠損及び関節面及び/又は軟骨下骨に関して取得された情報(例えば、測定値)に基づいて、修復材料が形成され、又は選択される。さらに、本明細書に説明されている1つ又は複数の技術を用いることにより、特定の軟骨欠損へ適合する曲率を有する軟骨置換又は再生物質は、関節面の輪郭及び形状に従い、さらに、周囲の軟骨の厚みに適合することになる。修復材料は、材料の任意の組み合わせを含み、さらに、通常、例えば、容易に曲がったり変化したりしない、少なくとも1つの柔軟性のない材料を含むことが可能である。
【0035】
[A. 金属及びポリマーの修復材料]
今日では、関節修復システムは、多くの場合、例えば、下部の骨(例えば、膝補綴の場合の大腿骨)へアンカー固定される補綴を含む、金属材料及び/又はポリマー材料を使用している。例えば、2001年3月20日にアフリアト(Afriat)他に対して発行された米国特許第6,203,576号、及び、2001年11月27日にオグル(Ogle)他に対して発行された米国特許第6,322,588号、及び、そこに引用された参照文献を参照されたい。多種多様な金属は、本発明の実施にとり有効であり、いかなる評価基準に基づいても選択可能である。例えば、材料選択は、所望される程度の剛性を付与する弾性に基づくものであってもよい。適当な金属の例には、銀、金、プラチナ、パラジウム、イリジウム、銅、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、亜鉛、チタニウム、コバルト、ステンレス鋼、ニッケル、鉄合金、Elgiloy(登録商標)等のコバルト合金、コバルト・クロム・ニッケル合金、及びMP35N、ニッケル・コバルト・クロム・モリブデン合金、及びニチノール(TM、商標)、ニッケルチタン合金、アルミニウム、マンガン、鉄、タンタル、Liquidmetal(登録商標)合金(リキッド・メタル・テクノロジーズ(Liquid Metal Technologies)、www.liquidmetal.comから市販)のような非晶質金属、例えば患者の体液又は組織、及びその組み合わせと接触して移植された基材の石灰化を阻止するために多価金属イオンをゆっくり形成可能な他の金属が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
適当な合成ポリマーには、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ビニルポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン及びポリ塩化ビニル)、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン、エチレン酢酸ビニル、ポリスルホン、ニトロセルロース、同様のコポリマー及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。また、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、ゼラチン派生物、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ[N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(イプシロン−カプロラクトン)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(ジメチルグリコール酸)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)、及び同様のコポリマー等の生体再吸収可能な合成ポリマーが使用可能である。
【0037】
また、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK(TM、商標))として知られている、ポリケトン等の、他の材料も適当であろう。これは、英国、ランカシャーのビクトレックス(Victrex)(ビクトレックス(Victrex)は、www.matweb.com、又は、Boedeker www.boedeker.comにある)から市販されている、医療移植用に認可されている、無充填PEEKである、材料PEEK450Gを含んでいる。この材料の他のソースは、インド、パノリに位置するガルダ(Gharda)を含んでいる(www.ghardapolymers.com)。
【0038】
また、選択材料は充填可能であることに留意するべきである。例えば、30%がガラスで充填された、又は30%が炭素で充填された、他のグレードのPEEKも、移植可能装置内での使用のために、こうした材料が、FDA又は他の取締機関により認可されるならば、利用可能であり考慮されるものである。ガラス充填PEEKは、その無充填部分に比例して、膨張率を低下させ、PEEKの曲げ弾性率を増加させる。結果として生成される製品は、改良された強度、剛性、又は安定性において理想的であることが知られている。炭素充填PEEKは、圧縮強度、及びPEEKの剛性を高め、その膨張率を低下させることが知られている。炭素充填PEEKは、耐摩耗性、及び負荷容量を提供する。
【0039】
理解されるように、耐疲労性を有する、他の適当な、類似した生体適合熱可塑性、又は熱可塑重縮合材料は、良好な記憶を有し、フレキシブル及び/又は屈折可能で、非常に低い吸湿性、及び良好な耐摩耗性及び/又は耐摩耗性を有しており、本発明の範囲から逸脱することなく使用可能である。また、移植片はポリエーテルケトンケトン(PEKK)から成っていてもよい。
【0040】
使用可能な他の材料は、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、及びポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、及び概して、ポリアリールエーテルエーテルケトンを含んでいる。さらに、他の熱可塑性樹脂と同様に、他のポリケトンが使用可能である。
【0041】
移植片に使用できる適当なポリマーは、以下の文献を参照可能であり、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。これらの文献には以下が含まれる。
2002年1月10日付けの「バイオ・コンパチブル・ポリマー材料」(Bio−Compatible Polymeric Materials)と題されたPCT公開第WO 02/02158 A1号公報、
2002年1月3日付けの「バイオ・コンパチブル・ポリマー材料」(Bio−Compatible Polymeric Materials)と題された国際公開公報第WO 02/00275 A1号、及び、
2002年1月3日付けの「バイオ・コンパチブル・ポリマー材料」(Bio−Compatible Polymeric Materials)と題された国際公開公報第WO 02/00270 A1号。
【0042】
ポリマーは、従来のポリマー処理方法を含む、様々なアプローチのいずれによっても作成可能である。好適なアプローチは、例えば、重要な構造上の特徴を有するポリマー成分の生産に適した射出成形、及び、RIM成形(反応射出成形)及びステレオリソグラフィのような、ラピッドプロトタイプアプローチを含んでいる。基材は、金属被覆の取込みを容易にするよう、物理的研摩又は化学変性のいずれかにより、型押しし、又は多孔質化することができる。また、押出し、注入、圧縮成形及び/又は機械加工技術等の他の処理も適切である。通常、ポリマーは、その物理的及び機械的特性ゆえに選択され、物理的負荷を関節面間へ運び、分散するのに適当である。
【0043】
互いに組み合わせて、1つ又は複数の金属及び/又はポリマーが使用可能である。例えば、1つ又は複数の金属含有基材が、1つ又は複数の領域において、ポリマーで被覆可能であり、又は、1つ又は複数のポリマー含有基材が、1つ又は複数の領域において、1つ又は複数の金属で被覆可能である。
【0044】
システム又は補綴は、多孔性であってもよいし、又は多孔性被覆が施されていてもよい。多孔性の表面成分は、金属、セラミック及びポリマーを含む様々な材料で作成可能である。これらの表面成分は、順に、様々な金属から形成された多数の構造的コアに対して、様々な手段によって固定されている。適当な多孔性被覆には、金属、セラミック、ポリマー(例えば、シリコーンゴム、ポリエチレンテレフタレート、及び/又は、その組み合わせ等の生物学的に中性のエラストマー)、又は、その組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。例えば、以下を参照のこと。
1971年9月20日にハーン(Hahn)に対して発行された米国特許第3,605,123号、
1974年5月7日にトロンゾ(Tronzo)に対して発行された米国特許第3,808,606号、及び、
1974年10月29日にトロンゾ(Tronzo)に対して発行された米国特許第3,843,975号、
1967年4月18日にスミス(Smith)に対して発行された米国特許第3,314,420号、
1976年10月26日にシャーバック(Scharbach)に対して発行された米国特許第3,987,499号、及び、
ドイツ特許公開公報第2,306,552号。
1つ又は複数の被覆層があってもよく、その層は、同一の、又は異なる空隙率を有することができる。例えば、
1976年2月17日にカーン(Kahn)他に対して発行された米国特許第3,938,198号、を参照のこと。
【0045】
被覆は、粉状にしたポリマーでコアを取り巻き、さらに、相互接続された細孔の内部ネットワークによって被覆が形成されるよう、硬化するまで加熱することにより、適用される。細孔のねじれ(例えば、細孔を通る経路の直径に対する長さの指標)は、補綴装置上で使用されるこうした被覆の予想される成功の評価において、重要となる場合がある。
1980年7月22日にモリス(Morris)に対して発行された米国特許第4,213,816号、を参照のこと。
多孔性被覆は、粉末の形で、さらに、その全体を、その粉末を基材へ接着する高温にさらすことで適用可能となる。適当なポリマー、及び/又は、粉体の被覆の選択は、例えば、それぞれのメルトインデックスに基づく等、本明細書での教示及び参照文献を考慮して決定可能である。
【0046】
[B. 生体修復材料]
修復材料は、単独の、又は非生体材料と組み合わされた、1つ又は複数の生体材料を含んでいてもよい。例えば、いかなる基材も設計又は形成可能であり、さらに、基材となるように、胎児軟骨細胞等の適当な軟骨置換材料、又は再生材料(複数可)を適用することも可能である。その後、細胞は、軟骨欠損を囲む軟骨の厚み(及び/又は、曲率)に達するまで、基材と共に成長する。培養液中の種々の基材で細胞(例えば、軟骨細胞)を成長させる条件は、例えば、以下のものに、生体外及び生体内についての説明がある。
1995年12月26日にシルブカ(Slivka)他に対して発行された米国特許第5,478,739号、
1998年12月1日にナウトン(Naughton)他に対して発行された米国特許第5,842,477号、
2001年9月4日にビベーハンセン(Vibe−Hansen)他に対して発行された米国特許第6,283,980号、及び、
2002年4月2日にサルツマン(Salzmann)他に対して発行された米国特許第6,365,405号。
適当な基材の例には、プラスチック、組織担体、骨置換材料(例えば、ヒドロキシアパタイト、生体再吸収可能材料)、又は、軟骨置換又は再生材料をその上で成長させるのに適当な、いかなる他の材料も含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
生体ポリマーは、発酵等により、生体外で自然に産出又は形成可能である。適当な生体ポリマーには、コラーゲン、エラスチン、絹、ケラチン、ゼラチン、ポリアミノ酸、腸線縫合糸及び多糖類(例えば、セルロース及び澱粉)、及びその混合物が含まれるが、これらに限定されない。生体ポリマーは、生体再吸収可能であってもよい。
【0048】
本明細書に説明されている方法で使用される生体物質は、(同一被験者からの)自家移植片、(同種の別の個人からの)同種移植片、及び/又は、(別の種からの)異種移植片であってもよい。また、以下も参照のこと。
2002年3月21日に公開された、アレキサンダー(Alexander)他に対する国際公開公報第WO 02/22014号、及び、
1997年8月7日に公開されたリー(Lee)に対する国際公開公報第WO 97/27885号。
ある実施形態では、自己材料は、材料の再吸収、移植部位を囲む組織の炎症及び/又は瘢痕化を含む、ホストに対する免疫学的合併症の危険を減少させるので、好適である。
【0049】
本発明の一実施形態では、プローブは、ドナー部位から組織を取り入れ、被移植部を準備するのに使用される。ドナー部位は、異種移植片、同種移植片、又は自家移植片内にあってもよい。プローブは、ドナー組織標本と被移植部の間で、良好な解剖学的適合を実現するのに使用される。プローブは、ドナー組織標本と被移植部の間で、継目のない、又はほとんど継目のない適合を実現するよう、特に設計される。例えば、プローブは、円筒状であってもよい。プローブの遠位端は、通常、組織侵入を容易にするために鋭くなっている。加えて、プローブの遠位端は、通常、組織を受けるために空洞である。プローブは、例えば遠位端から1cm等、その遠位端から規定された距離に縁部を有することができ、その縁部は、取り入れのために規定された深度で組織へ侵入する形で、使用可能である。縁部は、プローブの空洞部分の外部にあってもよく、又は内部にあってもよい。例えば、膝関節等の関節の場合には、整形外科医は、プローブを取り、物理的な圧力により、それを軟骨、軟骨下骨、及び下部にある骨髄内へ前進させてもよい。外科医は、外部又は内部の縁部が軟骨表面に達するまで、プローブを前進させることができる。その時点で、縁部は、さらなる組織侵入を防ぐことになり、その結果、一定の、再現可能な組織侵入が達成される。プローブの遠位端は、1枚以上の刃、鋸状構造、又は組織切断機構を含むことが可能である。例えば、プローブの遠位端は、数個の小さな刃から成る、虹彩様の機構を含んでいてもよい。刃又は複数の刃は、手動、動力化機構又は電気機構を用いて駆動され、その結果、組織を貫いて切断し、下部にある組織から組織標本を分離できる。通常、これは、ドナー及びレシピエントにおいて繰り返されることになる。虹彩形状の刃機構の場合、虹彩を閉じる形で個々の刃を動かすことが可能であり、それにより、ドナー部位から組織標本を分離できる。
【0050】
本発明の他の実施形態では、プローブの遠位端内部に、レーザ装置又は高周波装置を統合することが可能である。このレーザ装置又は高周波装置は、組織を貫いて切断し、下部にある組織から組織標本を分離するために使用可能である。
【0051】
本発明の一実施形態では、ドナー及びレシピエントにおいて、同一のプローブが使用可能である。他の実施形態では、物理的寸法がわずかに異なる、同様に形成されたプローブが使用可能である。例えば、レシピエントで使用されるプローブは、ドナーで使用されるプローブよりわずかに小さくてもよく、その結果、組織標本、又は組織移植片と、被移植部との間に、ぴったり嵌まることが実現可能となる。さらに、レシピエントで使用されるプローブは、ドナーで使用されるプローブよりわずかに短くてもよく、その結果、ドナー材料内の、下部にある組織からの組織標本の分離又は切断中に起こる、いかなる組織欠失も修復されることになる。
【0052】
細菌、ウイルス、酵母、糸状菌、マイコプラズマ及び寄生体等の生物学的汚染物質を不活化するために、いかなる生体修復材料も殺菌できる。殺菌は、例えばガンマ放射線といった放射線等、任意の適当な技術を使用して実行可能である。
【0053】
本明細書に説明されている生体物質のいずれも、ロボット装置の使用により取り入れ可能である。このロボット装置は、組織取り入れにおいて、電子画像からの情報を使用可能である。
【0054】
ある実施形態では、軟骨置換材料は、特定の生化学組成を有している。例えば、欠損を囲む軟骨の生化学組成は、組織標本を取り、さらに化学分析を行うことによるか、又は撮像技術により、評価可能である。例えば、
アレキサンダー(Alexander)に対する国際公開公報第WO 02/22014号は、軟骨内部のグリコサミノグリカン含有量をモニターするために、関節軟骨撮像用のガドリニウムを使用することを説明している。
その後、移植部位を囲む軟骨の生化学組成と同様の生化学組成を達成するために、軟骨置換又は再生材料を作成可能、又は、いわば培養可能となる。所望される生化学組成を得るために用いられる培養条件には、例えば、濃度の変更が含まれていてもよい。軟骨置換又は再生材料の生化学組成は、例えば、ある栄養物及び生長因子の濃度及び暴露時間の制御により影響を受ける場合がある。
【0055】
[III. 装置設計]
[A. 軟骨モデル]
軟骨の厚み及び曲率に関する情報を用いて、関節軟骨及び下部の骨の表面の物理モデルが作成可能である。この物理モデルは、関節内の限定領域を表す場合もあり、又は関節全体を取り囲む場合もある。例えば、膝関節では、物理モデルは、前部又は後部の大腿骨顆のみ、大腿骨顆及びノッチ領域の双方、内側脛骨プラトー、外側脛骨プラトー、脛骨プラトー全体、内側膝蓋骨、外側膝蓋骨、膝蓋骨全体、又は関節全体を取り囲んでいてもよい。また、このモデルでは、半月板の有無、並びにいくつかの又は全ての軟骨の有無を考慮に入れてもよい。軟骨の罹患領域の位置は、例えば、国際公開公報第WO 02/22014号で説明されるように、三次元座標系、又は三次元ユークリッド距離を用いて決定できる。
【0056】
このようにして、修復される欠損のサイズが決定可能となる。このプロセスでは、例えば患者のほぼ80%が健康な外側筋区画を有するということを考慮する。明白なことだが、若干の欠損(全部ではない)は、軟骨全体よりも小さい部分を含んでいる。したがって、本発明の一実施形態では、1つ又は複数の軟骨欠損を囲む、正常な、又は罹患度がごく小さな軟骨の厚みが測定される。この厚み測定は、単一点、又は、好適には、2点、4〜6個の点、7〜10個の点、10個の点以上、又は残余軟骨の全長にわたる、複数点において取得することが可能である。さらに、欠損のサイズが決定されると、健全な、周囲の組織を可能な限り多く保存するような、適切な療法(例えば、関節修復システム)が選択できる。
【0057】
他の実施形態では、修復材料を設計及び/又は形成するために、関節面の曲率を測定することが可能である。さらに、修復材料を設計及び/又は形成するために、残余軟骨の厚みと関節面の曲率の両方を測定することが可能である。その代わりに、軟骨下骨の曲率を測定してもよく、その結果的な測定値(複数可)は、軟骨置換材料の選択又は形成に使用可能である。例えば、軟骨下骨の輪郭は、仮想軟骨表面の再現に用いることができる。罹患軟骨の領域の縁は特定可能である。罹患領域内の軟骨下骨の形状は測定可能である。その後、軟骨下骨表面を軟骨表面へコピーすることにより、仮想輪郭を作成し得ることになり、この軟骨下骨表面のコピーが罹患軟骨の領域の縁を結合させることになる。装置の形成において、輪郭は、既存の軟骨と嵌合するか、又は、いくつかの若しくは全ての軟骨の切除を考慮するように構成されてもよい。
【0058】
図4は、膝関節の脛骨プラトーでの移植に適した本発明の関節移植片200を若干斜視方向で上から見た図を示す。図4に示すように、この移植片は、例えば、図1及び図2に関して上述したように二重表面評価(dual surface assessment)を用いて生成されることができる。
【0059】
移植片200は、上面202、下面204、及び周縁206を有する。上面202は、対面する関節面を受け入れる嵌合面を形成するように形成され、この例では、大腿骨を受け入れるために部分的にへこんでいる。この凹面は、対面する関節面に対する表面、例えば、凹面が連通する大腿骨の嵌合面とは逆形状(凸形状)の表面(negative surface)を呈するように様々にへこみ得る。当業者には理解されるように、逆形状のインプレッション(negative impression)は完全なインプレッションである必要はない。
【0060】
移植片200の上面202は、広範な種々の手段のいずれかによって成形されることができる。例えば、上面202は、大腿骨顆と係合する際の移植片の相補面を最適にするために、脛骨プラトーの既存の軟骨及び/又は骨の表面から表面を投影させることによって成形されることができるか、又は、大腿骨顆を鏡像するように成形されることができる。或いは、上面202は、対面する大腿骨顆用に構成される移植片の内面と嵌合するように構成されることができる。
【0061】
下面204は、脛骨プラトーとの解剖学的又は概ねの解剖学的適合をなすように関節の脛骨プラトーと一致又はほぼ一致する凸面を有する。脛骨プラトーの形状に応じて、下面は、部分的に凹みを有することもできる。したがって、下面204は、既存の表面内に適合する脛骨プラトーに対する表面を呈する。下面204は、既存の表面に一致するように、又は関節を再表面化した後の表面に一致するように形成されることができる。
【0062】
当業者には理解されるように、下面204の凸面は全くの凸状である必要はない。むしろ、下面204は、脛骨プラトー又は再表面化プラトーの既存の表面内に適合する凸部と凹部とから成る可能性が高い。したがって、表面は本質的に凹凸様々である。
【0063】
図5は、図4の関節移植片の上面図を示す。図5に示すように、この移植片の外形208は細長いものであり得る。細長い形状は、楕円、擬似楕円、レーストラック等を含めた広範の種々の形状をとることができる。しかしながら、理解されるように、通常、外寸はまばらであるため、真の幾何学的形状、例えば楕円をなさない。当業者には理解されるように、移植片の実際の外形は、修復すべき関節欠損の性質に応じて様々であり得る。したがって、幅Wに対する長さLの比は、例えば0.25〜2.0、より具体的には0.5〜1.5の間で様々であり得る。図5にさらに示すように、移植片200の軸にわたる長さは、移植片の幅に沿った複数の地点で測られる場合、様々である。例えば、図5に示すように、L1≠L2≠L3である。
【0064】
次に、図6〜図8を参照すると、図5に示す移植片の断面がC−C、D−D、及びE−Eの線に沿って示される。移植片は、それぞれt1、t2、及びt3の厚みを有する。断面で示すように、移植片の厚みは、移植片の長さL及び幅Wの双方に沿って様々である。移植片200の特定位置での実際の厚みは、置換すべき軟骨及び/又は骨の厚み、並びに複製すべき関節嵌合面の厚みに応じて決まる。さらに、移植片の長さL又は幅Wに沿った任意の位置での移植片200のプロファイル(断面)は、置換すべき軟骨及び/又は骨に応じて決まる。
【0065】
図9は、図4の移植片200の側面図である。この例では、第1の端h1での移植片200の高さは、第2の端h2での移植片の高さとは異なる。さらに、上縁208が全体的に下方に傾斜をなし得る。しかしながら、示すように、上縁208の実際の傾斜は、上縁の長さに沿って変わり、いくつかの例では正の傾斜であり得る。さらに、下縁210が全体的に下方に傾斜をなし得る。示すように、下縁210の実際の傾斜は、下縁の長さに沿って変わり、いくつかの例では正の傾斜であり得る。当業者には理解されるように、個々の患者の解剖学的構造に応じて移植片を作成することができるが、その場合、本発明の範囲から逸脱することなくh1及びh2は等しいか又はほぼ等しい。
【0066】
図10は、移植片200の下面204が脛骨プラトー1022上にあるとともに大腿骨1024が移植片200の上面202に載るように膝関節1020内に移植されている移植片200を示す、本体の矢状面に沿った断面図である。図11は、膝関節1020内に移植されている移植片200を示す、本体の冠状面に沿った断面図である。この図から明らかなように、移植片200は、関節上面224内に適合するように位置付けされる。当業者には理解されるように、関節面は、必要に応じて内側面又は外側面とすることができる。
【0067】
図12は、空中すなわち上から見て示した、膝関節1020内に移植されている移植片200を示す、本体の軸面に沿った図である。図13は、移植片が、骨の内側のより近くにすなわち脛骨プラトーの縁1023の方に延びるとともに前後に延びるにようにわずかに大きくなっている、代替的な一実施形態の図である。
【0068】
図14は、代替的な一実施形態による本発明の移植片200の断面である。この実施形態では、下面204は、関節アンカー(joint anchor)212をさらに含む。示すように、この実施形態では、関節アンカー212は、突起、キール、又は移植片200の下面204から延びるとともに例えば関節の骨に突出する垂直部材を形成する。当業者には理解されるように、キールは、本体の平面に対して垂直であるか、又は本体の平面内にあるものとすることができる。
【0069】
さらに、図15に示すように、関節アンカー212は、底面から斜視方向に見ると関節アンカー212が十字すなわち「X」を呈するように横部材214を有することができる。当業者には理解されるように、関節アンカー212は、関節内での移植片200の安定性を高めるという同じ目的を依然として達成しつつ、広範の種々の他の形態をとることができる。これらの形態としては、ピン、バルブ、ボール、歯等が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、所望に応じて、1つ又は複数の関節アンカー212を設けることができる。図16及び図17(a)(b)は、それぞれ側面及び前面から見た、二重コンポーネント移植片の代替的な実施形態の断面図を示す。
【0070】
図16に示す代替的な一実施形態では、大腿骨の表面に対する移植片すなわち大腿骨移植片のわずかな並進移動を行わせるために、下面204に1つ又は複数の横部材220を設けることが望ましいであろう。その場合では、横部材は、移植片の表面に一体形成されることができるか、又は移植片200の下面204の溝222内に適合する1つ又は複数の別個の部片とすることができる。溝は、図17(a)に示すように一本の溝路を形成し得るか、又は図17(b)に示すように2本以上の溝路を有し得る。いずれの場合も、図17(a)及び図17(b)に示すようにクロスバーが溝路内に嵌まる。クロスバー部材220は、図19に示すように中実又は中空管又はパイプ構造を形成し得る。2つ以上の管220が並進を行うように連通している場合、溝221を、横部材のうちの一方又は双方の表面に沿って設けて、管をクロスバー部材にかみ合わせて、移植片200に対するクロスバーの移動をさらに安定させるようにすることができる。当業者には理解されるように、クロスバー部材220は、本発明の範囲から逸脱することなく移植片と一体形成されることができる。
【0071】
図20及び図21に示すように、脛骨プラトーの表面は、当該表面に溝路を形成することでクロスバー部材を嵌め入れる準備がなされる。したがって、膝関節が動く際に軸を中心に枢動が依然として行われつつ、関節内に移植片をしっかり据え付けることが容易になる。
【0072】
図22〜30は、移植片200の代替的な一実施形態を示す。図22〜30に示すように、縁は面取り(bevel)されて鋭角が緩和されている。図22は、1つのフィレット(fillet)又はベベル(bevel)230を有する移植片を示す。フィレットは、脛骨骨棘の後部に対して、移植片の前部に位置する。図23に示すように、2つのフィレット230、231が設けられ、後部面取り(chamfer)に用いられる。図24では、第3のフィレット234が設けられて、後部面取り(chamfer)用の2つのカット面を形成する。
【0073】
次に、図25を参照すると、移植片の接線が3つの後部曲線を残して除かれている。図26は接線の拡張(tangent propagation)の結果を示す。図27は、接線を拡張することなく底部曲線が選択されたときの設計への影響を示す。接線の拡張及び選択の結果を図28に示す。図29及び30に見られるように、結果として得られる角部は、関節空間の0.5mm未満しか占めない緩やかな縁を有する。当業者には理解されるように、本発明の範囲を逸脱することなくさらなるカット面を加えることができる。
【0074】
図31〜38は、脛骨プラトー250の表面が移植片に対応するように改変される、移植片200の代替的な一実施形態を示す。図31及び32に示すように、脛骨プラトーは、関節面251の半分のみ又は表面全体252に対して改変されることができる。図33及び34に示すように、後部及び前部間の面は、平坦260又は傾斜262であり得る。傾斜は、前部面に対して正又は負であり得る。また、傾斜は図31〜38の移植片に対して用いることができ、その場合、傾斜は平面又は本体内にあるか又は本体の平面に対して傾斜する。さらに、取り付け機構を設けて、移植片を改変面にアンカー固定することができる。図35〜37に示すように、キール264を設けることができる。キール264は、平面内、例えば矢状面又は冠面内にあるものとすることができるか、又は(図37に示すように)平面内にはないものとすることができる。図38は、脛骨プラトー全体を覆う移植片を示す。これらの移植片の上面は、図1〜3に関して説明したステップにより定められる関節の投影形状に合致するように設計されるとともに、下面は、関節の改変面に対応するように平坦又はほぼ平坦になるように設計される。
【0075】
次に、図39〜図47を参照すると、図4の移植片に対面する関節面を与えるのに適した移植片が示されている。この移植片は、大腿骨1024の下面(例えば、脛骨プラトーと嵌合する大腿骨顆)の欠損を修復し、単独に、すなわち大腿骨1024に直に、又は別の関節装置と組み合わせて用いることができる。装置の表面の形成は、図4〜38の移植片に関して上述した技術を用いて達成することができる。
【0076】
図39は、湾曲状嵌合面302及び凸状関節当接面304を有する移植片300の斜視図を示す。関節当接面304は、骨との移植片の接続を容易にするためにアンカー306が設けられていることにより、大腿骨と解剖学的適合又は概ねの解剖学的適合をなす必要はない。この例では、アンカー306は、ノッチ付きヘッドを有するペグとして示されている。ノッチにより、骨内へのアンカー固定プロセスが容易となる。しかしながら、ノッチを有さないペグ、及びアンカー固定プロセスを容易にする他の構成を有するペグ、又は十字ステムを用いることもできる。移植片のペグ及び他の部分は、多孔質被覆(porous coated:ポーラスコーティング)されることができる。移植片は、骨セメントなしで又は骨セメントを用いて挿入されることができる。移植片は、軟骨下骨に当接するように設計されることができる、すなわち、軟骨下骨の輪郭にほぼ沿うことができる。このことは、ペグ穴を設けるため以外に骨を切除する必要がなく、そのため、骨ストックを有意に節約するという利点を有する。
【0077】
アンカー306は、関節内での移植片300の安定性を高めるという同じ目的を依然として達成しつつ、本発明の範囲から逸脱することなく広範の種々の他の形態をとることができる。これらの形態としては、ピン、バルブ、ボール、歯等が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、所望に応じて、1つ又は複数の関節アンカー306を設けることができる。図39〜47に示すように、3つのピンを用いて移植片300をアンカー固定する。しかしながら、それよりも多い又は少ない関節アンカー、十字ステム、又はピンを本発明の範囲から逸脱せずに用いることができる。
【0078】
図40は、移植片を骨にアンカー固定するのに3つのアンカー306を用いることをさらに示す、骨嵌合面304を若干斜視方向で上から見た図を示す。各アンカー306は、頂部にヘッド312のあるステム310を有する。図41に示すように、ステム310は、骨嵌合面304から延びる管又は円筒を形成するように平行な壁を有する。ステムの一部はヘッド312に近接した幅狭の首部314を形成する。当業者には理解されるように、壁は平行である必要はなく、むしろ円錐のような形状となるように傾斜することもできる。さらに、首部314はある必要はなく、ヘッド312もある必要はない。上述したように、アンカー固定するのに適した他の構成も本発明の範囲を逸脱することなく用いることができる。
【0079】
次に図42を参照すると、移植片300の脛骨プラトー嵌合面302の図が示されている。この図から明らかなように、表面は、脛骨プラトーの凹面と嵌合するために凸状又はほぼ凸状であるように湾曲している。図43は、移植片300を骨にアンカー固定するのに3つのペグ306を用いることをさらに示す、移植片300の上面304を示す。示すように、3つのペグ306は三角形状をなすように位置付けされている。しかしながら、当業者には理解されるように、1つ又は複数のペグを用いることができ、互いに対するペグ306の向きは図示のようにすることができるか、又は所望のアンカー固定を可能にする任意の他の適した向きとすることができる。図44は、図43に示す線F−Fに沿った移植片300の断面図を示す。通常、ペグは、移植片の表面上で、大腿骨顆に対して垂直になるような向きにされるため、ペグは移植片の表面に対して垂直にならない場合がある。
【0080】
図45は、外側顆1002及び内側顆1004を有する大腿骨1000の軸方向から見た図を示す。外側上顆1008及び内側上顆1010とともに顆間窩1006も示されている。また、大腿骨の膝蓋面1012も示されている。図39に示す移植片300は、外側顆の一部を覆う状態で示されている。また、外側顆への移植片300のアンカー固定を容易にするペグ306も示されている。
【0081】
図46は、後部から斜視方向に見た膝関節1020を示す。移植片300は、1つの顆を覆うように移植される。図47に示すように、移植片300は、脛骨プラトーの欠損を修復するように設計された(図4〜38に示すような)移植片200と連通するように位置付けされる。
【0082】
図48及び図49は、顆に配置するための移植片300を示す。この実施形態では、関節の準備の際に、顆の表面に形成されたカット部と嵌合するように少なくとも1つの平坦面又は面取りカット部360が設けられる。平坦な面360は通常、移植片300の近位面304全体を含まない。
【0083】
図50は、人工膝関節置換術(「TKA」)の根本的な膝499の設計を示す。後部カット部498、前部カット部497、及び遠位カット部496、並びに面取りカット部495が設けられている。
【0084】
図51及び図52は、別の移植片400を示す。図51に示すように、移植片400は、大腿骨の膝蓋面1012とともに大腿骨外側顆及び大腿骨内側顆の双方を覆うように構成される。移植片400は、外側顆コンポーネント410及び内側顆コンポーネント420、並びにブリッジ430を有し、このブリッジ430は、外側顆コンポーネント410を内側顆コンポーネント420に接続するとともに、大腿骨の膝蓋面1012の少なくとも一部を覆う。移植片400は、所望であれば、任意に(図4〜38に示すような)1つ又は複数の移植片に対面することができる。図52は、図51の移植片の側面図を示す。図52に示すように、移植片400の上面402は、大腿骨顆の曲率に対応するように湾曲している。この曲率は、既存の大腿骨顆の一方又は双方の実際の曲率、又は関節の再表面化後の大腿骨顆の一方又は双方の曲率に対応するように構成されることができる。1つ又は複数のペグ430を設けて、移植片を骨にアンカー固定するのに役立たせることができる。当業者には理解されるように、移植片は、第1の顆に接触する上面が既存の顆(condule)と嵌合するように構成されるとともに、第2の顆に接触する表面が、改変されている顆面と嵌合する1つ又は複数の平坦な表面を有するように構成される。
【0085】
図53は、図51に示す移植片400の上面図である。この図から理解すべきように、移植片400の下面404は、大腿骨顆の形状に合致するように構成され、例えば、損傷のない関節の脛骨面に対しては生来の大腿骨顆の形状を呈することになる。
【0086】
図54及び図55は、移植片の下面(すなわち脛骨プラトー嵌合面)の斜視図を示す。
【0087】
図56は、外側顆1002及び内側顆1004を有する大腿骨1000を軸方向から見た図を示す。外側上顆1008とともに顆間窩1006も示されている。図51に示す移植片400は、大腿骨の双方の顆及び膝蓋面1012を覆う状態で示されている。また、顆への移植片400のアンカー固定を容易にするペグ430も示されている。
【0088】
図57は、前部から斜視方向に見た膝関節1050を示す。移植片400は、双方の顆を覆うように移植される。図58に示すように、移植片400は、脛骨プラトーの欠損を修復するように設計された(図4〜38に示すような)移植片200と連通するように位置付けされる。
【0089】
当業者には理解されるように、移植片400は、移植片が顆を覆うようにスナップ嵌めするように構成されることができるような形状記憶を有する材料から製造される。代替的に、移植片400は、スナップ嵌めを必要とすることなく表面に合致するような形状にすることができる。
【0090】
図59及び図60は、損傷した顆を修復するのに適したさらに別の移植片500を示す。図59に示すように、移植片500は、大腿骨外側顆又は大腿骨内側顆510のうち一方のみを覆うように構成される。この移植片500は、大腿骨512の膝蓋面の少なくとも一部も覆うという点が図39〜49の移植片とは異なる。
【0091】
図50〜58の移植片と同様に、この移植片は、図4〜38に示すような1つ又は複数の移植片に任意に対面するか、又は複数の関節面に対面することができ、図39〜49の移植片のような他の移植片と組み合わせることもできる。図61は、図59の移植片の側面斜視図である。図61に示すように、移植片500の上面502は、当該上面502が嵌合する大腿骨顆及び当該上面502が覆う大腿骨の膝蓋面の一部の曲率に対応するように湾曲している。1つ又は複数のペグ530を設けて、移植片を骨にアンカー固定するのに役立たせることができる。さらに、移植片が嵌合する関節面の表面に形成される任意に設けられるカット部と合致する顆コンポーネントの内面502に角をなして曲がった(angled)面503を設けることができる。
【0092】
図62は、図59に示す移植片500の斜視上面図を示す。この図から理解すべきように、移植片500の下面504は、大腿骨顆の投影形状に合致するように構成され、例えば、損傷のない関節の脛骨面に対しては生来の大腿骨顆の形状を呈することになる。
【0093】
図63は、上部513からライン(平面17)、及びライン(平面18)から底部515にわたる、ハッチング線で示された3点負荷支持領域を示す、移植片500の図である。また、上面から延びるペグ530も示されている。図64は、ペグ530が延びている、移植片500の上面を示す。図64はまた、ライン(平面18)から移植片の上部513に延びる、ハッチング線で示された片持ち負荷支持領域も示す。各支持状態の負荷力及び向きは、生起しうる生理学的負荷(physiological load)に基づく。表1は、Seth−Greenwaldによる試験からの生理学的負荷(Physiological loadings)を示す。
【0094】
【表1】

【0095】
本願に記載の移植片500を用いて、3点負荷が設定1(2900N)で行われる。最も低い場合の負荷シナリオを複製するには、75/25負荷分配(2900Nの75%=2175N)が用いられることになる。負荷は、負担面のペグ(ped)の真下且つペグに対して垂直に位置する6mm直径の円形領域に集中することになる。
【0096】
図64に示す片持ち負荷を参照すると、負荷は、設定3、すなわち90°で、75/25負荷分布(3625Nの75%=2719N)で行われる。上記の例の場合のように、負荷は、後顆の平坦カット面に対して垂直な内側顆の最も後ろの部分の中央に位置する、6mm直径の円形領域に集中することになる。
【0097】
図65及び図66は、移植片500の内側及び/又は外側に沿って1つ又は複数のレール521を設けるレール設計を有する移植片500の代替的な実施形態を示す。レール521は、内側517及び/又は外側519の一部に沿って延び、角をなして曲がった(angled)面503と連通するように位置付けされる。理解されるように、片側レール521を本発明の範囲から逸脱することなく設けることができる。
【0098】
図67は、キール設計を有する移植片500の別の実施形態を示す。キール523(すなわち中央に形成されたレール)が移植片の上面に設けられる。この実施形態では、キール523は、移植片の側部ではなく表面に位置する。理解されるように、キールは図示のように中心に、ほぼ中心に、又は中心からずれて位置付けされることができる。代替的に、関節面が摩耗しているか又は改変されている場合、カット部503を摩耗又は改変面と嵌合するように構成することができる。
【0099】
図68は、外側顆1002及び内側顆1004を有する大腿骨1000を軸方向から見た図を示す。外側上顆1008及び内側上顆1010とともに顆間窩1006も示されている。また、大腿骨の膝蓋面1012も示されている。図59に示す移植片500が、外側顆及び大腿骨の膝蓋面1012の一部を覆う状態で示されている。また、外側顆及び膝蓋面への移植片500のアンカー固定を容易にするペグ530も示されている。
【0100】
図69は、後部から斜視方向に見た膝関節1020を示す。移植片500は、外側顆を覆うように移植される。図70は、移植片500が内側顆1004を覆っている膝関節1020を示す。図69及び図70に示すように、膝蓋面に対応する移植片500の形状は、本発明の範囲から逸脱することなく広範の種々の曲率をとることができる。
【0101】
次に図71及び図72を参照すると、移植片500は、脛骨プラトーの欠損を修復するように設計された(図4〜38に示すような)移植片200と連通するように位置付けされている。
【0102】
本発明の別の実施形態では、移植片500は、顆の表面にほぼ合致する上面502を有することができるが、ただし、図73に示すような骨の斜めカット部に対応する1つの平坦部分を有する。
【0103】
次に、図74及び図75を参照すると、前部カット部及び後部カット部間の差が7°である、側方から見た移植片500が示されている。
【0104】
図76及び図77は、関節面と嵌合する輪郭面560、前部カット部561、及び後部カット部562を有する移植片500を示す。図77は、角度が若干異なっている以外は同じ移植片500を示す。図5Tは、関節面と嵌合する輪郭面560、後部カット部562、遠位カット部563、及び面取りカット部564を有する別の移植片500を示す。この実施形態では、前部カット部は設けられていない。図5Uは、側面から斜視方向に見た、図5Tの移植片500を示す。カット部は通常、TKAに必要とされるカット部よりも小さい、すなわち通常は10mm未満である。このような移植片のためのカット部の設計により、後に必要とされる場合は、膝に対して修正外科手術が必要である。
【0105】
図78〜図84は、断面610、620のグラフィック表現を有する、図5の移植片500を示しており、このグラフィック表現から移植片の表面形状が得られる。図78は、求められた表面形状600の上にある移植片500の上面図を示す。移植片500のこの図は、移植片のブリッジ部512と関連したノッチ514を示し、ブリッジ部は、大腿骨の膝蓋面(又は滑車領域)を覆って、軟骨面に類似した嵌合面を与える。当業者には理解されるように、内側顆用に設計された移植片の形状は、解剖学的構造が異なるため、必ずしも外側顆用に設計された移植片の鏡像であることはない。したがって、例えば、ノッチ514は、大腿骨の内側顆及び膝蓋面用に設計された移植片にはないであろう。よって、移植片は、滑車領域の全て又は一部を含むように、若しくは滑車領域全体を除外するように設計することができる。
【0106】
図79は、得られた別の表面形状601の上に重ねられた移植片500の底面図を示す。図80は、図78に示す求められた表面形状600にわたって延びる移植片500を示す底面図である。図81は、求められた表面600を覆う移植片の顆突起(condylar wing)を示す図80の拡大図である。図82は、表面形状600のグラフィック表現の上に置かれた移植片500の上部を後ろから見た図を示す。図83は前部図であり、図84は後部底面図である。
【0107】
図85〜図87は、上記の移植片500と同様の、関節を修復するための移植片700を示す。しかしながら、移植片700は2つのコンポーネントから成る。第1のコンポーネント710は、設計に応じて内側顆又は外側顆である大腿骨顆と係合する。第2のコンポーネント720は大腿骨膝蓋面と係合する。前述の実施形態で説明したのと同様に、移植片700の表面は、遠位面722(例えば、脛骨プラトーに面する表面)が大腿骨の生来の形状の投影に基づいて整形されて大腿骨の表面の外反又は内反の奇形及び/又は偏平のために設計を補うように構成されることができる。或いは、遠位面が脛骨プラトーの形状に基づいて整形されて、脛骨プラトーと最適に嵌合するように設計された表面を呈することができる。近位面724(例えば大腿骨顆と係合する表面)は、損傷した状態にあるか又は改変された状態にある大腿骨の表面を鏡像するように構成されることができる。同様に、近位面は、例えば面取りカット部を形成する1つ又は複数の平坦化部726を有することができる。さらに、この面は、例えばキール、歯、十字ステム等の、大腿骨への取り付けを容易にする機構728を有することができる。顆移植片の内向き部分はテーパ面730を有し、膝蓋骨コンポーネントの外向き部分もテーパ面を有することで、各コンポーネントが他方のコンポーネントに対してテーパ面730を呈するようにする。
【0108】
図85〜87に示すように、内側区画及び外側区画の表面を独立した関節面に分割することによって、移植片は、軟骨下骨との合致する表面の適合を高める。さらに、大腿骨の外側前部部分は、骨の損失を引き起こしかねない応力から保護される。また、移植片の各コンポーネントのサイズがより小さいことにより、より小さな切開で関節内に移植片を載置することが可能となる。最後に、膝蓋骨コンポーネントの摩耗が改善される。
【0109】
図88〜図93は、移植片810を有する膝蓋骨800を示す。移植片810は、所望であれば、1つ又は複数のペグ、十字ステム、又は他のアンカー機構を有することができる。当業者には理解されるように、本発明の範囲を逸脱することなく本開示の教示を用いて他の設計に至ることができる。図88は、無傷の膝蓋骨800の斜視図を示す。図89は、移植片と嵌合する平滑面802を形成するように一表面がカットされている膝蓋骨800を示す。図90は、移植片810が平滑面802に位置付けされている膝蓋骨800を示す。移植片810は、膝蓋骨の平滑面802と当接するプレート構造812を有し、このプレート812には、膝蓋骨の隆起の位置に一致するようにその場で位置付けされるようにドーム814が位置している。移植片810は、示すように、プレートの縁が膝蓋骨の実際の縁から1mmずれるように構成される。当業者には理解されるように、プレート812及びドーム814は、単一ユニットとして形成されることができ、又は複数のコンポーネントから形成されることができる。図91は、膝蓋骨800に位置付けされる移植片810の側面図である。図示のように、ドームは、中心からずれるように移植片に位置付けされている。ドームの最適な位置付けは、膝蓋骨の隆起の位置によって決まることになる。
【0110】
次に図92及び図93を参照すると、移植片810は、当該移植片のドーム814の位置が膝蓋骨の隆起の位置に対応することを示すために、改変されていない膝蓋骨800の上に重ね合わせた状態で示されている。
【0111】
図94〜図97は、膝蓋骨の移植片用の代替的な設計を示す。図94は、膝蓋骨にアンカー固定するようにペグ854が延びている平坦な下面852を有する、ブランクとしての初期段階の移植片850を示す。関節面すなわち上面860は、円形ドーム856、及び骨カット部に一致するように加工されることができる円形プレート部858を有する。関節面860は、縁の付いたドームを有する「縁のある帽子」すなわちソンブレロの外観を呈する。ドーム856の中央は負担面の中央でもある。縁858は、特定の患者の必要性に合わせるようにカットされる。図97は、図94〜図96に示すブランクから形成されていた移植片を示す。図96は、例示のために、複数の可能なカットライン862、862’を示す。
【0112】
図98〜図100は、移植される移植片の組み合わせを有する膝1020の側面図を示す。図98には、顆を覆う移植片900が示されている。適した移植片は、例えば、図39〜図97の移植片とすることができ、理解されるように、前部から後部を覆っている顆の一部は、重量負担面全体、その一部、又は重量負担面よりも大きい面を含むことができる。したがって、例えば、移植片は、分界溝(例えば、関節面の負荷負担面が終端している領域と一致する大腿骨の溝)の手前又は分界溝の後で終端するように構成されることができる。図98及び図99に示すように、膝蓋骨移植片900も設けることができる。図100は、顆移植片900、膝蓋骨移植片800、及び脛骨プラトー用の移植片200を有する膝を示す。
【0113】
図101〜図104は、移植される上述した1つ又は複数の移植片を有する膝関節の冠状面の代替的な図を示す。図101は、内部に脛骨移植片200が配置されている膝を示す。図102は、内部に顆移植片300が配置されている膝を示す。上述のように、本明細書において教示した複数の移植片は、関節の動きを回復させるために関節内に設けることができる。図103は、内部に2つの移植片を有する膝関節を示す。まず、脛骨移植片200が脛骨プラトーに設けられ、第2の移植片300が対面する顆に設けられる。当業者には理解されるように。移植片は、(図示されるような)互いに嵌合する面を提供する又は提供しないように設置されることができる。例えば、脛骨移植片200は膝の内側区画に配置され、顆移植片300は外側区画に配置される。他の組み合わせも当業者には理解されるであろう。次に、図104を参照すると、脛骨移植片200が、二重区画(bicompartmental)の顆移植片500とともに設けられている。上述したように、これらの移植片は、膝関節の同じ区画と関連することもできるが、そうである必要はない。
【0114】
関節形成術システムは、脛骨形状、大腿骨形状、及び/又は膝蓋骨形状の側面を反映するように設計されることができる。脛骨形状及び大腿骨形状は、軟骨、骨、又はその両方を含むことができる。さらに、移植片の形状もまた、半月板のような他の関節構造のいくつかの部分又は全ての構成要素を有することができる。半月板は、特に歩行(gait)又は負荷の際に圧縮可能である。この理由から、移植片は、負荷又は物理的作用の際に半月板の圧縮を考慮した半月形状の側面を組み込むように設計されることができる。例えば、移植片200の下面204は、軟骨又は骨若しくはその両方を含む脛骨プラトーの形状に一致するように設計されることができる。移植片200の上面202は、(特に、半月板で覆われていない領域における)脛骨の関節面と半月板とが合わさったものとすることができる。したがって、装置の外側側面は、半月板の高さの反映であり得る。圧縮を考慮すると、この側面は、例えば、非圧縮状態の半月板の高さの20%、40%、60%、又は、80%であり得る。
【0115】
同様に、移植片300の上面304は、軟骨又は骨若しくは両者を含む大腿骨顆の形状に一致するように設計されることができる。移植片300の下面302は、(特に、半月板で覆われていない領域の)脛骨プラトーの表面と半月板とが合わさったものとすることができる。したがって、装置の外側側面の少なくとも一部は、半月板の高さの反映であり得る。圧縮を考慮すると、この側面の少なくとも一部は、例えば、非圧縮状態の半月板の20%、40%、60%、又は80%であり得る。これらの同じ割合は、図50〜図97に示される移植片にも同様に適用することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、半月板形状を反映する装置の外側側面は、別の、好ましくは圧縮性の材料から成ることができる。圧縮材料が選択される場合、半月板の圧縮性及び生体力学的挙動にほぼ一致するように設計されることが好ましい。装置全体は概して、そのような材料又は非金属材料から成ることができる。
【0117】
修復すべきいずれの関節面に対する半月板の高さ及び形状も、画像形成試験で直接測定されることができる。半月板のいくつかの部分又は全てが裂かれる場合、半月板の高さ及び形状は、対側関節の測定から、又は半月板の寸法に関して評価を行うことができる他の関節構造の測定を用いて得られることができる。
【0118】
別の実施形態では、移植片300、400、又は500の上面は、大腿骨に従った形状とすることができる。この形状は、大腿骨顆が撓み、延び、回転し、並進し、且つ脛骨及び半月板上を滑動する際に、大腿骨形状及び脛大腿骨接触領域の変化を考慮することで、脛骨プラトーに対する大腿骨の動きパターンから得られることが好ましい。
【0119】
動きパターンは、フルオロスコピー、MRI、歩行分析、及びこれらの組み合わせ等の、当該技術分野において知られている現在又は今後の試験のいずれかを用いて測定することができる。
【0120】
関節形成術は、1つが脛骨面とほぼ嵌合し、もう1つが大腿骨コンポーネントとほぼ関節接合する、2つ以上のコンポーネントを有することができる。2つのコンポーネントは、平坦な対向する面を有することができる。或いは、対向する面は湾曲されることができる。この曲率は、脛骨形状、関節が動く際に伴う大腿骨形状、及び半月板形状、並びにそれらの組み合わせの反映であることができる。
【0121】
単一要素システムの例には、プラスチック、ポリマー、金属、合金、非晶質金属、生体物質、又はその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、下部の骨に面する修復システムの表面は滑らかであってもよい。他の実施形態では、下部の骨に面する修復システムの表面は、多孔性であっても、又は多孔性被覆されていてもよい。他の態様では、下部の骨に面する修復システムの表面は、例えば、周囲の組織の内成長を促進するよう、1つ又は複数の溝を伴って設計されている。装置の外部表面は、生体力学的ストレスの変更に有利となり得る、階段状の設計を有していてもよい。また、任意に、(例えば、修復システムが回転するのを防止するために、トグルを制御し、及び/又は、骨髄空洞内に定位してしまうのを防止するために)装置上の1つ又は複数の位置にフランジを追加可能である。このフランジは、円錐又は筒状の設計の一部となっていてもよい。また、移植片の深さの制御、トグルの防止を補助し得るよう、下部に位置している骨に面する修復システムの、一部分又は全部は、平坦となっていてもよい。
【0122】
複数要素システムの例には、金属、プラスチック、合金、非晶質金属、及び1つ又は複数の生体物質の組み合わせが含まれているが、これらに限定されない。関節面修復システムの1つ又は複数の要素は、生体物質(例えば、単独の、又は、生体再吸収可能材料又は組織担体、同種移植片、自家移植片又はその組み合わせ等の基材内部に植え付けられた、軟骨細胞又は幹細胞等の細胞を伴う組織担体)、及び/又は、非生体物質(例えば、ポリエチレン、又は、クロムコバルト等のクロム合金)で構成されていてもよい。
【0123】
したがって、例えば、関節面修復システムが、第1及び第2の要素を有し得る等、この修復システムは、単一材料、又は材料の組み合わせの1つ又は複数の領域を含むことが可能である。第1の要素は、通常、失われた軟骨組織のものと同様のサイズ、及び厚み、及び曲率を有するように設計され、一方、第2の要素は、通常、軟骨下骨のものと同様の曲率を有するように設計される。加えて、第1の要素は、関節軟骨と同様の生体力学的特性(同様の弾性、及び軸負荷又は剪断力に対する抵抗を含むが、これらに限定されない)を有することが可能である。第1及び第2の要素は、2つの異なる金属又は合金から構成できる。このシステムの1つ又は複数の要素(例えば、第2の部分)は、骨を含むがこれに限られない生体物質、又は、ヒドロキシアパタイト、タンタル、クロム合金、クロムコバルト、又は他の合金を含むがこれらに限定されない非生体物質により構成可能である。
【0124】
関節面修復システムの1つ又は複数の領域(例えば、第1の部分及び/又は第2の部分の外部縁)は、例えば、関節面修復システムと患者の正常な軟骨との間の界面が、時間が経つと、ガラス質又は線維軟骨で満たされることが可能となるように、生体再吸収可能となっていてもよい。同様に、1つ又は複数の領域(例えば、関節面修復システムの第1の部分、及び/又は、第2の部分の外側のマージン)が多孔性であってもよい。間隙率は、直線的に又は非直線的に、多孔性領域全体にわたって変化可能であり、間隙率は、通常関節面修復システムの中央に向かって減少することになる。細孔は、軟骨細胞、軟骨基質、及び結合組織の内成長のために設計されており、それにより、関節面修復システムと周囲の軟骨との間の滑らかな界面が得られることになる。
【0125】
修復システム(例えば、複数要素システム内の第2の要素)は、メチルメタクリレート、注入可能なヒドロキシアパタイト材料又はカルシウムアパタイト材料等のセメント様の材料を用いて、患者の骨に付着可能である。
【0126】
ある実施形態では、移植時点で、関節面修復システムの1つ又は複数の部分が、柔軟、又は、液状、又は、変形可能であり、後に硬化可能であってもよい。硬化は、例えば、1秒から2時間(又は、その間の任意の時間)で、好ましくは1秒から30分(又は、その間の任意の時間)で、より好ましくは1秒から10分(又は、その間の任意の時間)で達成されてもよい。
【0127】
関節面修復システムの1つ又は複数の要素は、注入を受けるように適合させることができる。例えば、関節面修復システムの外部表面には、1つ又は複数の開口部が存在していてもよい。この開口部は、例えば関節面修復システムを通して、骨髄空間内部へ所望の深さだけ挿入し、進めることができるねじ、管材、針又は他の装置を受けるよう、そのサイズを決定できる。その後、メチルメタクリレート、注入可能ヒドロキシアパタイト材料又はカルシウムアパタイト材料等の導入可能物質が、この開口部(又は、この開口部を通して挿入された管材)を通して、骨髄空間へ導入可能となり、これにより、関節面修復システムを骨髄空間と接着させる。同様に、ねじ、ピン又は他のアンカー固定機構を開口部に挿入し、さらに、関節面修復システムを骨へ固定させるために、下部の軟骨下骨、及び、骨髄又は骨端へ進めることができる。ねじ又はピンの一部分又は要素は、生体再吸収可能な場合があり、例えば、骨髄空間内へ突出するねじの遠位部分等は、生体再吸収可能であってもよい。手術後、最初のうちは、このねじにより、関節面修復システムが予備固定され得ることになる。続いて、関節軟骨修復システムの下面に沿った多孔性被覆領域への骨の内殖が、骨に対して関節面修復システムを安定させる、予備的な装置としての役割を引き継ぐことになる。
【0128】
関節面修復システムは、ピン、ねじ又は他の取り付け機構を用いて、患者の骨にアンカー固定可能である。この取り付け機構は、生体再吸収可能であってもよい。ねじ、ピン又は取り付け機構は、骨の非軟骨皮膜部分から、又は関節の非体重負担面から、関節面修復システムに向かって、挿入し、又は前進させることが可能である。
【0129】
関節面修復システムと周囲の正常な軟骨との間の界面は、例えば、下に位置する軟骨下骨に対して90度をなす等の角度をなしていてもよい。適当な角度は、本明細書の教示の見地から決定可能であり、ある場合には、90度でない角度が、関節面修復システムと周囲の正常な軟骨との界面に沿う負荷分配にとり有利なものとなり得る。
【0130】
関節面修復システムと、周囲の正常な軟骨及び/又は骨との間の界面は、例えば、修復システムの正常な軟骨及び/又は骨との生体融合を促進する物質等の薬剤又は生体活性剤で覆われていてもよい。例えば、界面の表面は、薬剤又は生体活性剤に対する界面の暴露を増加させるよう、不規則にすることもできる。
【0131】
[E. 前から存在する修復システム]
本明細書に説明されているように、様々なサイズ、曲率、及び厚みの修復システムが得られる。これらの修復システムは、個々の患者に適切なシステムを選択可能なライブラリシステムを創設するために、目録化して記憶させておくことができる。換言するならば、欠損又は関節面は、特定の被験者ごとに評価され、そして適当な形状及びサイズを有する、前から存在する修復システムが、ライブラリから選択され、さらなる操作(例えば、形成)及び移植のために利用される。
【0132】
[F. ミニ補綴]
上述のように、本明細書に説明されている方法及び構成は、例えば、関節面の罹患軟骨又は欠損軟骨等の関節面の一部分だけを交換するのに使用可能である。これらのシステムでは、関節面修復システムは、罹患又は欠損軟骨の領域のみを交換するように設計可能であり、又は、罹患又は欠損軟骨の領域を越えて隣接する正常な軟骨へ例えば3mm又は5mmほど広げることも可能である。ある実施形態では、補綴が交換するのは、関節面(例えば、単一大腿骨顆のような、与えられた任意の関節面等)のほぼ70%から80%未満(又はこの範囲内の任意の値)、好ましくは、ほぼ50%から70%未満(又はこの範囲内の任意の値)、さらに好ましくは、ほぼ30%から50%未満(又はこの範囲内の任意の値)、さらに好ましくはほぼ20%から30%未満(又はこの範囲内の任意の値)、さらに好ましくは、関節面のほぼ20%未満である。
【0133】
補綴は、例えば、骨にオーバーレイする軟骨の欠損を覆うように形成されている要素に付着して、骨内部に移植される要素(例えば、金属装置)等の複数の要素を含んでいてもよい。例えば、中間プレート、半月板修復システム等の、追加要素が含まれていてもよい。各要素は、対応する関節面の全体未満を交換するよう考慮されている。しかしながら、各要素は、関節面の同一部分を交換する必要はない。換言すれば、補綴は、骨の30%未満を交換する骨移植要素と、軟骨の60%を交換する軟骨要素とを有していてもよい。補綴は、各要素が関節面の全体未満を交換するのであれば、いかなる組み合わせであってもよい。
【0134】
関節面修復システムは、周囲の又は隣接する軟骨若しくは骨と、概ねの解剖学的適合又は合致をなすよう形成可能又は選択可能である。通常、関節面修復システムは、外部表面に位置する、システムの外部縁が、周囲の又は隣接する軟骨と整合するよう、形成され、及び/又は選択される。
【0135】
したがって、関節修復システムは、例えば大腿骨顆等の関節面の体重負荷部分(又は、より大きいか、又はより小さい)を交換するように設計可能である。この体重負荷面は、普通の日常生活活動(例えば、正常歩行等)での、対面する2つの関節面間の接触域を指す。この方法によって、例えば大腿骨顆及び脛骨上の、少なくとも1つ又は複数の体重負荷部分が交換可能である。
【0136】
他の実施形態では、罹患軟骨領域又は軟骨欠損領域は、体重負荷部分内で特定することが可能であり、体重負荷部分のみが、具体的には、罹患軟骨を含む部分又は軟骨欠損領域が、関節面修復システムと交換可能となっている。
【0137】
他の実施形態では、関節修復システムは、例えば顆等の、実質的に関節面全体を交換するように設計又は選択可能である。
【0138】
他の実施形態では、例えば、散在性の軟骨欠損を有する患者に対し、関節修復システムは、体重負荷面よりわずかに広い領域を交換するように設計可能である。
【0139】
ある態様では、修復すべき欠損は、1つの関節面、通常最も罹患した表面にのみ位置している。例えば、大腿骨内側顆に重度の軟骨欠損があるにもかかわらず、脛骨はそれほど重度に罹患しているわけではない患者においては、関節面修復システムは、大腿骨内側顆へのみ適用可能である。好ましくは、本明細書に説明されている、いかなる方法によるものであれ、関節面修復システムは、隣接する正常な軟骨と、厳密に、又は概ねの解剖学的適合をなすように設計される。
【0140】
他の実施形態では、1つ又は複数の関節面が修復可能である。修復領域(複数可)は、通常、罹患軟骨又は軟骨欠損の領域、又は、体重負荷面内部(複数可)の罹患軟骨又は軟骨欠損の領域よりわずかに大きな領域に限定されることになる。
【0141】
他の実施形態では、関節面修復の1つ又は複数の要素(例えば、下部に位置する骨又は骨髄へ向かうシステムの表面)が、多孔性であっても、又は多孔性被覆がされていてもよい。骨組織の内殖による金属補綴の固定を向上させるために、様々な異なる多孔性金属被覆が提案されている。したがって、例えば、1974年12月24日にピリアー(Pilliar)に対して発行された米国特許第3,855,638号は、骨の補綴として使用可能で、固体金物基材、及び、同一の固体金属材料が、基材表面の少なくとも一部に付着し、且つ広がる多孔性被覆から成る複合構造を含む、外科補綴装置を開示している。多孔性被覆は、接触点で互いに1つに接着して、被覆内に多くの間隙性細孔を形作っている、多くの小さな金属分離粒子から成っている。多くの単層内に分布可能な粒子のサイズと間隔は、平均間質の孔径がおよそ200ミクロン以下であり得る。加えて、孔径分布は、基材被覆界面から被覆表面まで実質的に一定であってもよい。他の実施形態では、修復システムは、薬物又は薬物の配送に使用可能な他の薬理学的治療を含む治療薬を積載し、且つ放出可能な、1つ又は複数の高分子材料を含むことができる。この高分子材料は、例えば、多孔性被覆の領域内に配置可能である。ポリマー材料は、例えば骨又は軟骨の成長を刺激する薬物等の、治療薬物の放出に使用できる。この実施形態は、関節面修復システムの一部が生体再吸収可能であってもよい場合、他の実施形態と組み合わせることができる。例えば、関節面修復システムの第1の層、又は第1の層の部分は、生体再吸収可能であってもよい。第1の層が再吸収されるにつれ、軟骨の成長を刺激する薬物を局所的に放出することは、軟骨細胞及び基質構成の内殖を促進可能である。
【0142】
本明細書に説明されている方法又は構成のいずれであれ、関節面修復システムは、様々なサイズ、曲率、及び厚みで先行製造が可能である。その代わりに、関節面修復システムは、個々の患者に対して注文生産が可能である。
【0143】
[IV. 製造]
[A. 形成]
ある例では、修復材料の形成は、例えば、必要な軟骨材料の厚みが一定でない場合(例えば、異なる複数のセクションの軟骨置換、又は異なる厚みを必要とする再生材料の場合)等、形成(例えば、所望される厚みへの成長)の前又は後に必要とされる場合もある。
【0144】
置換材料は、キャスティング技術、機械研摩、レーザ研摩又は切除、高周波処理、冷凍切除、栄養物、酵素、又は生長因子の暴露時間並びに濃度の変化、及び軟骨の厚みに影響を及ぼし、又は変化させるのに適当な任意の他の手段を含むが、これらに限定されない、任意の適当な技術によって形成可能である。例えば、2000年3月23日に発行された、マンズマン(Mansmann)に対する国際公開公報第WO 00/15153号を参照されたい。酵素による消化が用いられる場合は、材料の異なるセクションにおける軟骨置換又は再生材料の、異なる厚み及び曲率を得る手段として、軟骨置換又は再生材料の特定セクションは、より高い酵素投与量、又は、より長い間酵素に曝され得る。
【0145】
材料は、手動で、及び/又は、例えば前もって選択された厚み及び/又は曲率が入力され、その後、所望される形状を得るために、その装置を入力情報を用いてプログラムするといった装置を用いて、自動的に形成可能である
【0146】
軟骨修復材料の形成に加えて、又は、それに代えて、修復材料の統合を促進するために、任意の適当な技術を用いて移植部位(例えば、なんらかの軟骨材料が残存している骨表面等)を形成できる。
【0147】
[B. サイジング(形状確定)]
関節修復システムは、周囲の、又は隣接する軟骨又は軟骨下骨又は半月板又は他の組織と、概ねの解剖学的適合又は組み合わせをなすよう、形成又は選択できる。修復システムの形状は、電子画像(例えば、MRI、CT、デジタル断層合成、光コヒーレンス断層撮影等)の分析に基づくことができる。関節修復システムが罹患軟骨又は欠損軟骨の領域の置換を意図している場合は、電子画像による健康な軟骨の形状の仮想再構成を提供する方法を用いて、概ねの解剖学的適合が達成可能である。
【0148】
本発明の一実施形態では、軟骨欠損位置での正常に近い軟骨表面は、軟骨欠損領域又は罹患軟骨領域にわたって健康な軟骨表面を補間することにより、復元可能である。これは、例えば、パラメトリック曲面(例えば、Bスプライン曲面)により健康な軟骨を表現することによって達成可能である。この場合、パラメトリック曲面が健康な軟骨の輪郭に従って、罹患軟骨又は軟骨欠損領域を橋渡しする形で、制御点がパラメトリック曲面に配置されることになる。パラメトリック曲面の連続特性は、周囲の健康な軟骨の輪郭と、罹患軟骨又は軟骨欠損領域を橋渡しする部分に、滑らかな統合を提供することになる。軟骨欠損領域、又は罹患軟骨領域上のパラメトリック曲面の部分を用いて、周囲の軟骨に合わせるように関節修復システムの形状又は形状の一部を確定することができる。
【0149】
他の実施形態では、軟骨欠損の位置又は罹患軟骨領域にある、正常に近い軟骨表面は、形態学的画像処理を用いて復元可能である。第1のステップでは、電子画像から、手動の、半自動の、及び/又は自動の分割技術(例えば、手動トレーシング、領域拡張、ライブワイヤ、モデルベースの分割等)を用いて、軟骨を抽出することができ、結果的に2値画像が得られる。軟骨における欠損は、2次元又は3次元において実行される形態学的な閉じ操作(closing operation)により、適切に選択された構造要素で満たすことができる凹みに見える。この閉じ操作は、通常、切除があとに続く拡張と定義される。拡張演算子は、ソース画像領域内に構造要素の少なくとも1画素が存在しているなら、出力画像内の現在の画素を1にセットする。切除演算子は、ソース画像領域内に構造要素の全体が存在しているなら、出力画像内の現在の画素を1にセットする。軟骨欠損又は罹患軟骨領域の充填により、新しい表面が軟骨欠損領域又は罹患軟骨領域上に作成され、これが、関節修復システムの形状又は形状の一部を周囲の軟骨又は軟骨下骨に合わせるよう確定するのに使用可能となる。
【0150】
上述したように、関節修復システムは、様々なサイズ、曲率及び厚みのシステムのライブラリ又はデータベースから形成又は選択することが可能であり、それにより、周囲の、又は、隣接する軟骨及び/又は軟骨下骨との、概ねの解剖学的適合又は組み合わせを達成することになる。これらのシステムは、あらかじめ作られ、又は、個々の患者のために注文できる。手術前に、関節修復システムの、周囲又は隣接する軟骨、軟骨下骨、又は半月板、及び他の組織との、適合又は組み合わせを制御するために、関節修復システムをそれが移植される組織位置上に映し出す、ソフトウェアプログラムが使用可能である。適当なソフトウェアは市販され、及び/又は、熟練したプログラマにより容易に変更、又は、設計可能である。
【0151】
さらに他の実施形態では、関節面修復システムは、1つ又は複数の三次元画像を用いて移植部位上に投影できる。軟骨及び/又は軟骨下骨、及び他の解剖学的構造は、MRI、CT等の三次元電子画像から、手動の、半自動化された、及び/又は自動化された分割技術を用いて抽出される。関節修復システムと同様に、軟骨及び/又は軟骨下骨、及び他の解剖学的構造の三次元表現は、例えば、多角形、又はNURBS表面、又は他のパラメトリック曲面表現を用いて生成される。(様々なパラメトリック曲面表現の説明については、例えば、フォーリー・ジェイ・ディー(Foley,J.D.)他「コンピュータグラフィックス:Cにおける原則と実践」(Principles and Practice in C)、アディソン−ウェズレイ(Addison−Wesley)、第2版、1995年、を参照のこと)。
【0152】
軟骨及び/又は軟骨下骨、及び他の解剖学的構造、及び関節修復システムの三次元表現は、共通の座標系にマージ可能である。その後、関節修復システムは、所望の移植部位に配置可能となる。軟骨、軟骨下骨、半月板及び他の解剖学的構造、及び、関節修復システムの表現は、三次元画像に表される。例えば、アプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)のOpenGL(登録商標)(エスジーアイ社(SGI, Inc.)によって開発された、高度な三次元グラフィックス機能の標準のライブラリ。PCベースのビデオカードのためのドライバーの一部として利用可能であり、例えば、エヌビデイア(NVIDIA)ビデオカード用にwww.nvidia.comから、又はスリーディーラボズ(3Dlabs)の製品用にwww.3Dlabs.comから、又はUnix(登録商標)ワークステーション用のシステムソフトの一部として利用可能)、又は、DirectX(登録商標)(Microsoft Windows(登録商標)ベースのPCシステムのためのマルチメディアAPI:www.microsoft.comから利用可能)。三次元画像は、軟骨、軟骨下骨、半月板、又は他の解剖対象物を示すようにレンダリング可能であり、さらに、関節修復システムは、例えばインタラクティブに、又は非インタラクティブに、それらを回転させ、又は移動させることにより、リアルタイム又は非リアルタイムに、異なる角度からレンダリング可能である。
【0153】
このソフトウェアは、外科ツール及び器具、型、その場の修復システム等を含み、軟骨及び/又は軟骨下骨に対して最良の適合をなす関節修復システムが、例えば、上述された技術のいくつかを用いて自動的に選択されるよう、設計されることができる。その代わりに、オペレータは、外科ツール及び器具及び型を含む関節修復システムを選択し、適当なツールと技術を用いて、それを移植位置へ投影し、又はそれを移植部位へドラッグできる。オペレータは、三次元の関節修復システムを移植部位に対して移動させ、及び回転させることが可能で、さらに、関節修復システムと移植部位との間の適合の目視検査を実行できる。目視検査は、コンピュータ支援であってもよい。この手順は、満足できる適合が達成されるまで繰り返すことができる。この手順は、オペレータにより手動で実行可能であり、又は、それは、全部又は一部分がコンピュータ支援であってもよい。例えば、ソフトウェアは、オペレータがテスト可能な第1の試行移植片を選択可能である。オペレータは、その適合を評価可能である。ソフトウェアは、移植片と、周囲の軟骨、又は軟骨下骨、又は半月板、又は他の組織との間の、不十分な整合領域を強調するよう、設計可能且つ使用可能である。この情報に基づき、ソフトウェア又はオペレータは、その後、他の移植片を選択して、その整合をテストできる。当業者であるならば、本明細書に説明されている目的のために、容易に選択し、修正し、及び/又は、適当なコンピュータプログラムを作成できるであろう。
【0154】
他の実施形態では、移植部位が、1つ又は複数の断面二次元画像を用いて、視覚化可能である。通常、一連の二次元断面画像が用いられる。この二次元画像は、当業者に知られている方法及びツールを使用する、CT、MRI、デジタル断層合成、超音波又は光コヒーレンス断層撮影等の撮像テストで生成可能である。その後、関節修復システムを、1つ又は複数のこれらの二次元画像の上に重ねることができる。二次元断面画像は、他の平面において、例えば矢状から冠状へ、等、復元されることができる。また、等方性データセット(例えば、スライス厚みが面内の分解能と同じであるか、又はほとんど同じであるデータセット)、又はほぼ等方性データセットが使用可能である。例えば、分割スクリーン表示を用いて、同時に複数平面を表示できる。また、オペレータは、リアルタイムで、又はほぼリアルタイムで、任意の所望される方向に、二次元画像内をスクロール可能である。これをしながら、オペレータは、撮像された組織を回転させることができる。関節修復システムは、通常、軟骨、軟骨下骨、半月板、又は他の組織を明示する、これらの二次元画像と一致する、例えば矢状、冠状、又は軸等、異なる表示画面を利用して、断面内に表示可能である。その代わりに、関節修復システム用に三次元表示を使用できる。二次元電子画像、及び関節修復システムの二次元又は三次元表示は、共通の座標系にマージ可能である。その後、関節修復システムは、所望される移植部位に配置可能である。解剖学的構造、移植部位、及び関節修復システムの一連の二次元断面は、インタラクティブに(例えば、オペレータは一連のスライス内をスクロールできる)、又は非インタラクティブに(例えば一連のスライス内を動くアニメーションとして)、リアルタイム又は非リアルタイムに表示できる。
【0155】
[C. ラピッド・プロトタイピング]
ラピッド・プロトタイピングは、対象物のコンピュータモデルから三次元対象物を作る技術である。複数の二次元層からプロトタイプを作るために、特別なプリンタが使用される。コンピュータソフトウェアは、対象物の表現を複数の明確な二次元層に分け、その後、三次元プリンタは、ソフトウェアにより区分された、各層に対する材料の層を作る。様々な作成された層を1つにして、所望されるプロトタイプを形成する。ラピッド・プロトライピング技術に関する追加の情報は、2002年6月27日に公開された、ラッセル(Russell)他に対する米国特許公開公報第2002/0079601A1号で利用可能である。ラピッド・プロトタイピングを用いる利点は、この方法が、有毒な、又は、強力な化合物を安全に使用する、自由形式製作技術の使用を可能にしているからである。これらの化合物は、賦形剤包装材料へ安全に取り入れられ、作業者がそのような化合物に曝露されるのを抑えることになる。
【0156】
粉末ピストン及びビルドベッドが提供されている。粉末は、粉末に作成可能、又は液体と結合可能な、任意の材料(金属、プラスチック等)を含んでいる。スプレッダーにより、パワーは、フィーダーソースからベッドの表面にロールされる。層の厚みは、コンピュータにより制御される。その後、印字ヘッドは、バインダー流体を、粉が結合するのが所望される位置にある粉末層に堆積させる。粉末は、再びビルドベッドにロールされ、処理が繰り返され、装置構成の三次元位置に一致するよう、接着流体蒸着が各層で制御される。この処理のさらなる議論に関しては、例えば、2003年9月18日に発行されたモンクハウス(Monkhouse)他に対する米国特許公開公報第2003/017365A1号を参照のこと。
【0157】
ラピッド・プロトタイピングは、上のセクションIで説明したように、プロトタイピングマシンの各層に対する各二次元形状を決定するよう、取得された二次元画像を使用できる。このシナリオでは、各二次元画像スライスは、二次元プロトタイプスライドに一致している。その代わりに、欠損の三次元形状は、上述したように決定可能であり、その後、ラピッド・プロトタイピングのために、二次元スライスに分解される。三次元モデルを使用する利点は、プロトタイピングマシン用に使用する二次元スライスが、取得された二次元画像として同一平面に沿っているか、又は全く異なる平面に沿っている場合があるからである。
【0158】
ラピッド・プロトタイピングは、キャスティング技術と組み合わせたり、関連して使用できる。例えば、内部の寸法が、関節修復システムに一致する、シェル又は容器が、ラピッド・プロトタイピングを用いて作成可能である。通常この目的には、プラスチック、ワックス等の材料が使用される。容器の内部は、その後のキャスティングのために、例えばセラミックで、その後に被覆が可能である。この処理を使用することで、個別のキャストが生成可能である。
【0159】
ラピッド・プロトタイピングは、関節修復システムを作成するために使用可能である。ラピッド・プロトタイピングは、製造施設で実行可能である。その代わりに、ラピッド・プロトタイピングは、手術中の測定が実行された後、手術室で実行可能である。
【0160】
[V. 手術テクニック]
患者に手術を行う前に、外科医は、例えば直立方向(erect)AP X線を用いて、手術前に膝の位置合わせを確定することができる。手術前評価を行う際に、存在するいずれの側棘及び膝蓋骨棘も確定することができる。
【0161】
標準的な手術テクニックを用いて、修復すべき膝関節の一部分又はいくつかの部分にアクセスするために患者を麻酔して切開を行う。内側入口(medial portal)を用いて、最初に関節鏡検査を可能にすることができる。その後、内側入口を手術切開部に組み入れることができ、且つ/又は標準的な内側入口を用いることができる。
【0162】
適切な切開がなされると、靭帯構造の無傷性を含め、晒された区画の無傷性が検査される。必要であれば、半月板のいくつかの部分を切除することができ、同様に、AP X線で確定されるか、又は関節内に存在し得るいずれの棘すなわち骨棘も切除することができる。骨棘の切除を容易にするために、外科医は、膝を曲げて内側及び内側後部の骨棘をさらに晒すようにしてもよい。さらに、このプロセス中に骨棘を膝蓋骨から切除することができる。必要であれば、内側及び/又は外側半月板を、この時点で、所望に応じて半月板の縁とともに切除することもできる。
【0163】
当業者には理解されるように、脛骨棘の切除を容易にするために内側十字靭帯の評価が必要とされ得る。
【0164】
関節面が準備されると、所望の移植片を関節に挿入することができる。
【0165】
[A. 脛骨プラトー]
図4〜38の装置200を内側区画に挿入するために、内側から膝蓋腱にかけて小さな関節切開を行う。切開が行われると、内側顆を晒し、適したメス及び湾曲骨切カッター(curved osteotome)を用いて関節線よりも約1cm下に内側スリーブを作成する。内側スリーブの作成後、内側脛骨プラトーの周りにZ−リトラクタを配置し、脛骨及び大腿骨に沿って半月板及び骨棘の前部部分を切除する。この時点で、膝は約60°以上曲がるものとする。Z−リトラクタを移動させ、大腿骨の最も遠位の側面に対して、脛骨プラトーの縁を覆うように移植片を配置する。移植片は真直ぐに押す。いくつかの例では、外反ストレスを加えると移植片の挿入が容易になり得る。
【0166】
図4〜38の装置を外側区画に挿入するために、外側から膝蓋腱にかけて小さな関節切開を行う。切開が行われると、外側顆を晒し、適したメス及び湾曲骨切カッターを用いて関節線よりも約1cm下に外側スリーブを作成する。外側スリーブの作成後、外側脛骨プラトーの周りにZ−リトラクタを配置し、脛骨及び大腿骨に沿って半月板及び骨棘の前部部分を切除する。Z−リトラクタを移動させ、大腿骨の遠位の側面に対して、脛骨プラトーの縁を覆うように移植片を配置する。移植片は45°の角度に保持し、側棘の方へ外側から内側に押すことで外側顆に対して移植片を回転させる。いくつかの例では、内反ストレスを加えると移植片の挿入が容易になり得る。
【0167】
図4〜38に示すいずれかの移植片が移植されると、装置は、脛骨プラトーのAP境界面の0〜2mm以内に位置付けされ、その境界面を覆うように重ね置かれる。次に、移植片の最小限の並進がなされることを確かめるために、動きの範囲の確認が行われる。位置が確かめられると、当該技術分野において既知のテクニックを用いて創傷の閉鎖が行われる。
【0168】
当業者には理解されるように、脛骨プラトーの表面のさらなる処理が、移植片200の構成に応じて望ましいであろう。例えば、1つ又は複数の溝路又は溝を脛骨プラトーの表面に形成して、図14に示すキール212又は図16及び図17に示す並進移動横部材222、221等のアンカー機構に対応するようにすることができる。
【0169】
[B. 顆修復システム]
図39〜49に示す装置300を挿入するために、修復すべき顆に応じて、前部から内側にかけての又は前部から外側にかけての皮膚の切開を行い、この切開は、膝蓋骨の上縁の約1cm近くから始まる。この切開は通常、例えば膝蓋骨の縁に沿って6〜10cmの範囲とすることができる。当業者には理解されるように、状況下によっては、範囲のより長い切開が必要とされ得る。
【0170】
関節へのアクセスを高めるために、余分に深く滑膜を取り除くことが必要とされ得る。さらに、対向する関節区画の検査を可能にするために、脂肪体の全て又は一部もまた免除され得る。
【0171】
通常、骨棘を大腿骨及び脛骨の内側縁及び/又は外側縁から切除し、膝蓋骨の縁のいかなる骨棘(著しいものである可能性がある)も同様に切除される。
【0172】
通常、装置300は、当該装置を移植する前に遠位大腿骨の切除が可能であるが、そのような切除を必要としない。しかしながら、所望であれば、骨のカットを行って、移植用の表面を設けるようにすることができる。
【0173】
この接続時点では、患者の脚は、90°屈曲した姿勢に置かれる。この場合、遠位の大腿軟骨を覆うI字状ガイドを顆に配置することができる。このガイドにより、移植片300を顆に正確に配置することを可能にする孔を外科医が設定することが可能となる。ガイドを適所で用いて、穴を顆にドリル穿孔して深さ1〜3mmの孔を形成する。孔が形成されると、ガイドは取り外され、移植片300が顆の表面に設置される。セメントを用いて、顆への移植片300の固着を容易にすることができる。
【0174】
例えば図39〜49の2つの移植片300又は図50〜58の移植片400を用いて、2つ以上の顆を修復すべき場合、若しくは、例えば、図5の移植片500を用いて、1つの顆又は膝蓋面の一部を修復すべき場合、本明細書に記載の手術テクニックは、例えば、関節にアクセスするためのより大きな切開を行うように、移植片のペグを受け入れるさらなる孔を設けるように、といったように変更されるであろう。
【0175】
[C. 膝蓋骨修復システム]
図85〜87に示す装置を挿入するために、膝蓋腱に対して外側又は内側になされる、図4〜38に関して上述した切開を用いることが適し得る。まず、膝蓋骨を外側にめくり返し、脂肪体及び滑膜を膝蓋骨の周縁から裏返す。所望であれば、骨棘を切除することができる。生来の膝蓋骨620を再表面化する前に、亜脱臼があるかどうかを判定するために膝にいくつかの動きの範囲の手作を行うものとする。亜脱臼がある場合、移植片600を中間に置く(medialized)必要があるであろう。次に、生来の膝蓋骨を平面すなわち平坦になるようにカットして、平坦面が移植片に呈示されるようにすることができる。次に、通常、膝蓋骨620の幾何学的中心が移植片600の幾何学的中心に位置合わせされる。移植片600を膝蓋骨620にアンカー固定するために、1つ又は複数の穴又は孔612を膝蓋面に形成して、移植片600のペグ610を受け入れるようにすることができる。
【0176】
[VI. キット]
上述した移植片のうちの1つ又は複数をキットになるように組み合わせて、外科医が手術の際に用いるべき1つ又は複数の移植片を選択することができるようにする。
【0177】
以上の、本発明の実施形態の説明は、図示及び説明を目的として提供されている。説明は、完全性(網羅的であること)を意図するものではなく、また、本発明を開示されている形状に正確な形に限定することを意図するものではない。多くの変更と変化は、当技術に熟練した医療従事者にとり明白なものであろう。実施形態は、本発明の原理とその実用化を最もよく説明するために選択され、且つ記載されているので、当技術に熟練した他者が検討中の特定の使用目的に適した様々な変更を含めて、本発明及び様々な実施形態を理解することが可能である。本発明の範囲は、別紙の請求項及びその均等物によって定義されることが意図されている。
【符号の説明】
【0178】
200 移植片
202 上面
204 下面
206 周縁
208 移植片の外形(上縁)
210 下縁
212 関節アンカー
214 横部材
220 クロスバー部材
221 溝
222 溝
224 関節上面
230、231、234 フィレット
250 脛骨プラトー
251 関節面
252 (関節面の)表面全体
260 平坦な、後部及び前部間の面
262 傾斜した、後部及び前部間の面
264 キール
300 移植片
302 脛骨プラトー嵌合面(湾曲状嵌合面)、下面
304 凸状関節当接面、骨嵌合面、近位面、上面
306 アンカー(ペグ)
310 ステム
312 ヘッド
314 首部
360 平坦面又は面取りカット部
400 移植片
402 移植片の上面
404 移植片の下面
410 外側顆コンポーネント
420 内側顆コンポーネント
430 ブリッジ(ペグ)
495 面取りカット部
496 遠位カット部
497 前部カット部
498 後部カット部
499 人工膝関節置換術(「TKA」)の根本的な膝
500 移植片
502 上面(内面)
503 角をなして曲がった(angled)面
504 下面
510 大腿骨外側顆又は大腿骨内側顆(の内の一方)
512 大腿骨(移植片のブリッジ部)
513 上部
514 ノッチ
515 底部
517 内側
519 外側
521 レール
523 キール
530 ペグ
560 輪郭面
561 前部カット部
562 後部カット部
563 遠位カット部
564 面取りカット部
600、601 表面形状
610、620 断面
700 移植片
710 第1のコンポーネント
720 第2のコンポーネント
722 遠位面
724 近位面
726 平坦化部
728 大腿骨への取り付けを容易にする機構
730 テーパ面
800 膝蓋骨
810 移植片
802 平滑面
812 プレート(構造)
814 ドーム
850 (ブランクとしての初期段階の)移植片
852 下面
854 ペグ
856 円形ドーム
858 円形プレート部(縁)
860 上面(関節面)
862、862’ カットライン
900 移植片
1000 大腿骨
1002 外側顆
1004 内側顆
1006 顆間窩
1008 外側上顆
1010 内側上顆
1012 膝蓋面
1020 膝(関節)
1022 脛骨プラトー
1023 脛骨プラトーの縁
1024 大腿骨
1050 膝関節

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面(304、402、502)及び下面(302、404、504)を有する、患者膝関節の大腿骨顆補綴用の補綴装置(300、400、500)であって、
前記上面(304,402、502)は、大腿骨顆の表面の少なくとも一部と対面し、前記大腿骨顆のカットされた骨の少なくとも一つの平面を有し、
前記下面(302、404、504)は、脛骨面の重量負担部分の少なくとも一部と対面し、患者の膝関節の前記大腿骨顆の突出した形状に一致する三次元形状を有することを特徴とする患者毎に特有の補綴装置
【請求項2】
前記補綴装置は、患者の膝関節の膝蓋骨面の少なくとも一部を覆うよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の患者毎に特有の補綴装置
【請求項3】
前記補綴装置は、患者の第2の大腿骨顆の少なくとも一部を覆うよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の患者毎に特有の補綴装置
【請求項4】
前記大腿骨顆面は、骨を切除することで準備がなされることを特徴とする請求項1に記載の患者毎に特有の補綴装置
【請求項5】
前記大腿骨顆面は、軟骨を切除することで準備がなされたことを特徴とする請求項1に記載の患者毎に特有の補綴装置
【請求項6】
前記大腿骨顆面は、前記患者毎に特有の補綴装置の前記上面(304,402、502)の少なくとも一つの平面を有する片方に、少なくとも一つの平面が形成されることにより準備されることを特徴とする請求項1に記載の患者毎に特有の補綴装置
【請求項7】
前記膝関節の動きの範囲は、正常な膝関節の動きの80%〜99.9%まで回復することを特徴とする請求項1に記載の患者の膝関節用の患者毎に特有の補綴装置
【請求項8】
前記膝関節の動き範囲は、正常な膝関節の動きの90%〜99.9%まで回復することを特徴とする請求項1に記載の患者の膝関節用の患者毎に特有の補綴装置
【請求項9】
前記膝関節の動きの範囲は、正常の膝関節の動きの95%〜99.9%まで回復することを特徴とする請求項1に記載の患者の膝関節用の患者毎に特有の補綴装置
【請求項10】
前記補綴装置(300、400、500)は、前記大腿骨の第2の顆の少なくとも一部と対面するよう形成されたことを特徴とする請求項1に記載の患者の膝関節用の患者毎に特有の補綴装置
【請求項11】
前記補綴装置(300、400、500)は、前記上面(402、502)の内側または外側の一方のから延びるレールをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の患者の膝関節用の患者毎に特有の補綴装置
【請求項12】
前記下面(302、404、504)は、健康な関節の解剖学的構造(anatomy)を模したことを特徴とする請求項1に記載の患者の膝関節用の患者毎に特有の補綴装置
【請求項13】
前記下面(302、404、504)は、手術前の関節の解剖学的構造(anatomy)を模したことを特徴とする請求項1に記載の患者の膝関節用の患者毎に特有の補綴装置
【請求項14】
前記上面及び前記下面を有する、膝関節の大腿骨遠位部(distal femur)に適した補綴装置(300、400、500)であって、前記上面は、脛大腿関節面の大腿骨面と連通するように構成され、前記下面は、該脛大腿関節面の脛骨面と連通するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の患者の膝関節用の患者毎に特有の補綴装置
【請求項15】
請求項1に記載の患者毎に特有の補綴装置(300、400、500)と、脛大腿関節面の脛骨面の代わりとなる脛骨コンポーネントから成ることを特徴とする患者毎に特有の補綴システム
【請求項16】
前記膝蓋大腿関節面の前記膝蓋面の代わりとなるように設計された膝蓋骨コンポーネントをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の患者毎に特有の補綴システム
【請求項17】
前記脛骨コンポーネントが、前記脛大腿関節面の脛骨面の代わりとなることを特徴とする請求項15に記載の患者毎に特有の補綴システム
【請求項18】
前記脛骨コンポーネント及前記患者毎に特有の補綴装置の少なくとも一つは非対称であることを特徴とする請求項15に記載の患者毎に特有の補綴システム
【請求項19】
前記脛骨コンポーネント、大腿骨コンポーネント、及び膝蓋骨コンポーネント少なくとも一つは非対称であることを特徴とする請求項16に記載の患者毎に特有の補綴システム
【請求項20】
請求項1に記載の患者毎に特有の補綴装置(300、400、500)を製造することを特徴とする患者毎に特有の補綴装置の製造方法。
【請求項21】
患者の患部関節の関節面を修復するための患者毎に特有の補綴装置(300、400、500)の製造方法であって、
患部膝関節の解剖学上の画像を撮る段階、
前記解剖学上の画像から患部関節の関節面の設計形状を誘導する段階、及び、
骨対向面と患部関節の関節面設計形状を摸した関節対向面が設計または選択される段階、を含むことを特徴とする患者毎に特有の補綴装置の製造方法
【請求項22】
前記選択された補綴装置は、患部関節の関節面の設計形状を摸した形状にさらに導かれることを特徴とする請求項21に記載の患者毎に特有の補綴装置の製造方法
【請求項23】
前記設計または選択するための外科ツールをさらに備えることを特徴とする請求項21に記載の患者毎に特有の補綴装置の製造方法
【請求項24】
請求項1に記載の患者毎に特有の補綴装置と一つまたは二つの外科ツールを備えたことを特徴とする関節修復システム



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97】
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【図98】
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【図99】
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【図100】
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【図101】
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【図102】
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【図103】
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【図104】
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【公開番号】特開2012−176318(P2012−176318A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140234(P2012−140234)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2006−541457(P2006−541457)の分割
【原出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(504317835)コンフォーミス・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】ConforMIS, Inc.
【Fターム(参考)】