情報アクセス・システムおよびアクティブ型非接触情報記憶装置
【課題】複数のアクティブ型非接触情報記憶装置が互いに直接交信できるようにする。
【解決手段】情報アクセスシステムにおいて、アクティブ型非接触情報記憶装置(204)は、スレーブモードにおいて第1周波数のRF信号をキャリアセンスして検知するよう動作し、マスタモードにおいてその第1周波数と異なる第2周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる受信部(250)と、スレーブモードにおいて情報要求信号を受信したときにその第2周波数の応答信号を送信し、マスタモードにおいて、第1の制御部の制御の下で送信期間においてその第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる送信部(230)と、を具える。受信部が複数の或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、制御部は、第1送信部および第1受信部をマスタ・モードに移行させる(図22,条件5)。
【解決手段】情報アクセスシステムにおいて、アクティブ型非接触情報記憶装置(204)は、スレーブモードにおいて第1周波数のRF信号をキャリアセンスして検知するよう動作し、マスタモードにおいてその第1周波数と異なる第2周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる受信部(250)と、スレーブモードにおいて情報要求信号を受信したときにその第2周波数の応答信号を送信し、マスタモードにおいて、第1の制御部の制御の下で送信期間においてその第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる送信部(230)と、を具える。受信部が複数の或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、制御部は、第1送信部および第1受信部をマスタ・モードに移行させる(図22,条件5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で情報の読み取り書き込みが可能なアクティブ型の非接触情報記憶装置の読取りおよび書込みに関し、特に、マスタ・モードにおいて他のアクティブ型のRFIDを読み取ることができるアクティブ型のRFIDに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ給電型すなわちアクティブ・タイプのRFIDタグは、商品等に取り付けられまたは人によって携帯され、それら商品および人に関するIDおよび情報を搬送する所定の周波数のRF信号を送信し、そのRF信号はリーダ装置によって読み取られる。その読み取られた情報はコンピュータ等によってさらに処理され、商品の流通および人の行動を監視および管理できる。バッテリ給電によるアクティブ・タイプのRFIDタグは、電力をリーダ/ライタ装置から非接触で受け取るパッシブ・タイプのRFIDタグに比べて、通信可能距離が比較的長く、実用的である。しかし、アクティブ・タイプのRFIDタグは、一定周期でRF信号を送信するので、第三者によって追跡される危険性があり、セキュリティに問題がある。そのセキュリティ対策として、リーダ/ライタ装置からのタグIDの要求に対してのみ応答する改良型のアクティブRFIDタグがある。
【0003】
特表2000−509536号公報(A)には、高周波識別装置が記載されている。その高周波識別装置は、レシーバと、トランスミッタと、マイクロプロセッサとを備える集積回路を有する。レシーバとトランスミッタとは、共に、アクティブ・トランスポンダを構成する。その集積回路は、好ましくは、レシーバ、トランスミッタ及びマイクロプロセッサを含むモノリシックな単一ダイ集積回路である。その装置は、電力供給を磁気結合に依存するトランスポンダの代わりにアクティブ・トランスポンダを有するので、この装置は遥かに大きな有効範囲を有する。
【特許文献1】特表2000−509536号公報
【0004】
2000年4月21日付けで公開された特開2000−113130号公報(A)には、低消費電力のICタグ検知システムが記載されている。そのシステムは、通信回路と制御部と、これらに電池から電力を供給する電源部と、計時手段と、を備え、所定の設定時刻ごとに送信を行うICタグであって互いに設定時刻の異なるものを複数個備えるとともに、これらとの通信に基づいてそれぞれの有無を検知する検知機も備えていて、検知機が、通信回路を有し、その受信の有無をICタグそれぞれの設定時刻ごとに逐次判別して検知を行う。検知機からの問い合わせが無いので、ICタグは無駄な反応や電池消耗を回避できる。
【特許文献2】特開2000−113130号公報
【0005】
2001年9月14付けで公開された特開2001−251210号公報(A)には、二重リンクにおいて、両ノードの送信機に、それぞれ独立した基準発振器を必要としない周波数ロックの実現方法が記載されている。全二重リンクにおいて、受信周波数の情報を利用して、送信機の搬送周波数を同調させることによって、リンクにおける両ノードの送信周波数を同時にロックする。第一の送信機の搬送周波数におけるオフセットは、対応する第二の受信機におけるオフセットとして検出される。第二の受信機は、検出したオフセットに応じて当該送信機の搬送周波数を偏移させ、第一の送信機に検出されたオフセットを知らせる。第一の受信機において検出されたオフセットによって、当該送信機の搬送周波数が補正される。
【特許文献3】特開2001−251210号公報
【0006】
特開平10−187898号公報(A)には、ICカードが記載されている。そのICカードは、ICカードが装着される情報処理装置またはこの情報処理装置を介して他のICカードとの間でデータの授受をする。ICカードは、データの授受を行う相手に対して自己をマスタ及びスレーブのいずれの処理状態にも設定しかつ予め選択されたいずれか一方の処理状態に設定する状態設定手段と、相手をマスタ及びスレーブのいずれか他方に設定する状態情報を送信情報に加えて相手に送信する送信手段とを有する。それによって、ICカードを主体としてデータの伝送を行うことができ、ICカードに種々の処理機能付けができる。
【特許文献4】特開平10−187898号公報
【0007】
国際公開WO2004/036482(特表2006−503376号公報(A))には、パッシブRFIDタグの交渉を最小化するためのシステムが記載されている。そのシステムにおいて、それぞれのパッシブRFIDタグは、読み取り器によって準備がされた後、確認応答フラッグを記憶し、休止状態へ遷移する。読み取り器はすべてのRFIDタグまたは読み込まれてないRFIDタグをアドレスできる。それぞれのRFIDタグは、信号が読み取り器によって受信される場合、その確認応答フラッグを消去し得る。確認応答しなかったRFIDタグは読み取り器と通信し続ける。
【特許文献5】国際公開WO2004/036482
【0008】
特開2006−23962号公報(A)には、非接触ICタグ・システムが記載されている。そのシステムにおいて、複数のICタグをマスタICタグとスレーブICタグに区分けするとともに、マスタICタグのメモリのメモリ構成管理領域において自ICタグおよび各スレーブICタグのメモリ構成情報(各ICタグの識別情報、メモリ先頭アドレスおよびメモリバイト数)を格納しておき、リーダ/ライタは、マスタICタグを特定してこれらのICタグを統合して取り扱う。それによって、大量生産される安価でメモリ容量の少ない非接触ICタグを利用しつつ大きなデータを効率良く取り扱うことができる。
【特許文献6】特開2006−23962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
リーダ/ライタ装置からのID要求に対してのみ応答する上述の改良型の複数のアクティブRFIDタグは、リーダ/ライタ装置を介して交信し、例えば、情報を交換し、または互いに関連づけることができる。しかし、リーダ/ライタ装置がいなくなると、複数のアクティブRFIDタグは、互いに交信することができず、情報を交換したり、互いに関連づけることができなくなる。
【0010】
発明者たちは、リーダ/ライタ装置が付近に位置する場合にはスレーブ・モードで動作し、リーダ/ライタ装置が付近に位置しない場合にはマスタ・モードで動作するように或るアクティブRFIDタグを構成し、或るアクティブRFIDタグがマスタ・モードにおいて他のアクティブRFIDタグに対してリーダ/ライタ装置であるかのように動作させれば、他のアクティブRFIDタグとの間で情報を交換しまたは互いに関連づけることができる、と認識した。
【0011】
本発明の目的は、複数のアクティブ型非接触情報記憶装置が互いに直接交信できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の特徴によれば、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムは、第1のメモリと、第1の制御部と、スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいてその第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる第1の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときにその第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、その第1の制御部の制御の下で送信期間においてその第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第1の送信部と、を具える第1のアクティブ型非接触情報記憶装置と、第2のメモリと、第2の制御部と、その第2の制御部の制御の下で送信期間においてその第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第2の送信部と、その第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとるよう構成された第2の受信部と、を具えるマスタとして動作する読み取り書込み装置と、第3のメモリと、第3の制御部と、スレーブ・モードにおいてその第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作する第3の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときにその第2の周波数の応答信号を送信する第3の送信部と、を具える第2のアクティブ型非接触情報記憶装置と、を含んでいる。その第1のアクティブ型非接触情報記憶装置のその第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、その第1の受信部を、その送信期間およびその休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間にその第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、その第1の受信部が或る所定期間にその第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、その第1の受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、その情報要求信号に応答して、その第1の送信部を、その第1のメモリに格納された情報を含むその第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させる。その第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、キャリア・センスのとき、その或る所定期間においてその第1の受信部を動作状態にし、かつ、その第1の送信部を不動作状態にし、その第1の受信部がその或る所定期間にその第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、そのキャリア・センスのその或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべきその所定期間との間の非キャリア・センス期間において、その第1の受信部およびその第1の送信部を不動作状態を維持するよう制御し、その第1の受信部が複数のその或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、その第1の送信部およびその第1の受信部をマスタ・モードに移行させる。
【0013】
本発明は、さらに、上述の情報アクセス・システムを実現するためのアクティブ型非接触情報記憶装置に関する。
本発明は、さらに、そのようなアクティブ型非接触情報記憶装置を有する電子機器および物品に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リーダ/ライタ装置を介さずに複数のアクティブ型非接触情報記憶装置が互いに直接交信できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0016】
図1は、従来の改良型のアクティブRFIDタグを読み取るためのリーダ/ライタ装置(R/W)とRFIDタグのタイムチャートを示している。リーダ/ライタ装置は、コマンド(CMD)の送信とRFIDからの受信を同じ周波数チャネルで時分割的に行う。リーダ/ライタ装置は、例えば2秒といった一定の周期で例えば100msの持続時間でタグID要求コマンドを送信し、残りの時間は受信待ち状態となる。
【0017】
1つのリーダ/ライタ装置によって複数のRFIDタグに対応できるようにするために、各RFIDタグは、一般的には、リーダ/ライタ装置による1回のID要求に対して、衝突回避のためにリーダ/ライタ装置へ応答送信するタイミング(時間期間)をランダムにずらすように構成されている。各RFIDタグは、コマンド受信後の所定時間内のランダムに選択されたタイムスロットでリーダ/ライタ装置へ応答送信し、従って応答の衝突の確率が低減される。そのためにはリーダ/ライタ装置は受信待ちの持続時間を長くする必要がある。例えば、各RFIDタグからのランダムなタイミングにおける応答送信のための持続時間が0〜1.5秒程度の場合、リーダ/ライタ装置は1.5秒以上の受信待ち持続時間を確保する必要がある。従って、リーダ/ライタ装置の応答送信の周期が長くなる。RFIDタグは、リーダ/ライタ装置から送信されたタグID要求コマンドを検出するために、一定周期でキャリア・センスを行い、即ち受信RF信号の強度の検知を行い、キャリアを検知した時のみ受信処理および送信動作に移行するよう構成されている。リーダ/ライタ装置による送信の周期が2秒である場合、それを確実に検知するためには、キャリア・センス持続時間も少なくとも約2秒確保する必要がある。
【0018】
通常、RFIDタグは、キャリア・センスから次のキャリア・センスまでの間の期間は、リーダ・ライタ装置の要求が未検出のときはパワーダウン・モードへ移行し、できるだけ消費電力を削減し、バッテリ稼動時間を長くする必要がある。しかし、キャリア・センス持続時間を少なくとも約2秒確保しようとすると、パワーダウン時間をほとんど確保できなくなり、消費電力の削減も困難である。
【0019】
従って、図1のアクティブRFIDタグは、リーダ/ライタ装置からの長い周期のタグID要求コマンドに対して応答する必要があるので、キャリア・センス持続時間が長くなり、消費電力が多くなり、バッテリ稼動時間も短くなる。
【0020】
図2は、さらに改良されたアクティブ型非接触情報記憶装置としてのスレーブのアクティブRFIDタグ200とマスタのリーダ/ライタ装置(R/W)300の構成を示している。アクティブ型非接触情報記憶装置として、アクティブRFIDタグ200の代わりに、アクティブRFIDタグ200と同様の構成を有する非接触ICカードを用いてもよい。
【0021】
アクティブRFIDタグ200は、制御部210と、メモリ214と、メモリ214に格納されているタグID(ID_tag)等のデータを所定の符号化方式に従って符号化して符号化データを生成するデータ生成部220と、データ生成部220から受け取ったベースバンドの符号化データでキャリアを変調して、周波数f2または相異なる周波数f2i(n=1、2、...n)のRF信号を送信する送信部(TX)230と、周波数f1のRF信号を受信して復調してベースバンド符号化データを生成し、受信RF信号のキャリア強度を表すデータを生成する受信部(RX)250と、受信部250から受け取った符号化データを所定の符号化方式に従って復号して復号データを生成するデータ復号部240と、上述のキャリア強度を表すデータに基づいて受信RF信号のキャリアの有無を判定するキャリア判定部246と、予め設定された時間制御シーケンスでウェイクアップ信号を生成するウェイクアップ部270と、送信部230に結合された送信アンテナ(ANT)282と、受信部250に結合された受信アンテナ(ANT)284と、各構成要素210〜270に電力を供給するバッテリ290と、を具えている。周波数f1およびf2は、例えばそれぞれ300MHzおよび301MHzである。周波数f2iは、例えば301MHz、302MHz、....305MHzである。送信部(TX)230の送信出力は、例えば1mWである。代替構成として、アンテナ282と284は1つのアンテナであってもよい。
【0022】
制御部210は、送信タイムスロットをランダムに選択するための乱数を発生する乱数発生部211と、送信周波数f2iを切り換える周波数切り換え部212と、送信タイミングを調整するためのタイミング調整部213とを含んでいる。
【0023】
制御部210は、電源投入後は常に活動状態になっていて、メモリ214と、データ生成部220と、送信部230と、受信部250と、データ復号部240と、キャリア判定部246と、ウェイクアップ部270とに、それぞれメモリ制御信号CTRL_M、データ生成制御信号CTRL_ENC、送信制御信号CTRL_TX、受信制御信号CTRL_RX、データ復号制御信号CTRL_DEC、キャリア判定制御信号CTRL_CSおよびウェイクアップ部制御信号を供給する。制御部210は、プログラムに従って動作するマイクロプロセッサまたはマイクロコンピュータであってもよい。
【0024】
メモリ214は、RFIDタグ200のタグID(ID_tag)、現在の時刻T、リーダ/ライタ装置300によるアクセスの記録、ウェイクアップ部270の制御スケジュールおよび時間制御シーケンス、バッテリ290の現在の電力残量、キャリア・センスの周期Tcs、受信処理持続時間、送信周期、送信持続時間、等の情報を格納している。これらの情報は、制御部210の制御の下で格納され、更新される。制御部210は、定期的にまたは周期的にバッテリ290の供給電圧Vdの値を検知することによってその現在の電力残量Pを判定して、バッテリ290の電力残量Pを表す情報をメモリ214に格納する。
【0025】
ウェイクアップ部270は、時間を測定し時刻を生成するタイマ274を含み、RFIDタグ200の電源投入後は常に活動状態になっていて、タイマ274の時刻およびメモリ214から読み出した予め設定された制御スケジュールおよび時間制御シーケンスに従って例えば2秒といった所定のキャリア・センス周期Tcsでウェイクアップ信号(Wakeup)を制御部210に供給する。制御部210は、リーダ/ライタ装置300から、制御スケジュールおよび時間制御シーケンスを修正または更新する命令と、現在の時刻Tと、制御スケジュールおよび時間制御シーケンスとを受信データとして受信したとき、メモリ214中の時刻T、制御スケジュールおよび時間制御シーケンスを修正し更新する。制御部210は、メモリ214中の時刻Tに基づいてタイマ274の時刻を修正し、タイマ274によって生成された現在の時刻Tをメモリ214に書き込み更新する。
【0026】
データ生成部220は、メモリ214に格納されているタグID(ID_tag)等を含む所定のフォーマットのデータを生成して所定の符号化方式に従ってそれを符号化して送信部230に供給する。そのデータはバッテリ残量およびアクセス記録を含むことがある。データ復号部240は、受信した符号化データを所定の符号化方式に従って復号して復号データをデータ生成部220および制御部210に供給する。キャリア判定部246は、受信部250から受信RF信号キャリアの電力の強度を表すデータを受け取って受信キャリアの有無を判定してその判定結果を制御部210に供給する。
【0027】
リーダ/ライタ装置300は、ホスト・コンピュータ(図示せず)との間でデータを送受信する制御部310と、メモリ314と、制御部310から受け取ったタグID要求コマンド(CMD)等を含む所定のフォーマットのデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化して符号化データを生成するデータ生成部320と、データ生成部320から受け取ったベースバンド符号化データでキャリアを変調して周波数f1のRF信号を送信する送信部(TX)330と、周波数f2またはf21〜f2nのRF信号を受信するよう構成された受信部(RX)350と、受信部350から受け取った受信データを所定の符号化方式に従って復号してベースバンド符号化データを生成し、その生成した復号データを制御部310に供給するデータ復号部340と、時間を測定し時刻を生成するタイマ374と、送信部330に結合された送信アンテナ(ANT)382と、受信部350に結合された受信アンテナ(ANT)384と、を具えている。送信部(TX)330の送信出力は例えば100mWである。代替構成として、アンテナ382と384は1つのアンテナであってもよい。
【0028】
制御部310は、ホスト・コンピュータからのタグIDまたはタグ情報の要求コマンド(以下、単にタグID要求コマンドという)等のコマンドを受け取ったとき、そのようなコマンドを含むデータをデータ生成部320に供給する。そのデータは、RFIDタグ200の使用すべき送信周波数f2またはf2i、基準の現在の時刻T、新しいまたは更新された制御スケジュールおよび時間制御シーケンス等を含んでいてもよい。そのようなコマンドには、現在の時刻Tとともにタイマ274の時刻を修正または更新するよう命令するコマンドが含まれていてもよい。そのようなコマンドには、新しいまたは更新された制御スケジュールまたは時間制御シーケンスとともにメモリ214に格納されているスケジュールまたはシーケンスを修正または更新するよう命令するコマンドが含まれていてもよい。
【0029】
図3Aは、リーダ/ライタ装置300のコマンド等のデータを搬送するRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図3Bは、リーダ/ライタ装置300の受信待ち状態46および受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。図3Cは、アクティブRFIDタグ200のキャリア・センス50および52、受信RF信号の受信処理54、および応答を搬送するRF信号の送信処理56のタイミングを示している。
【0030】
図3Aを参照すると、リーダ/ライタ装置300のデータ生成部320は、制御部310から受け取ったRFIDタグに対するタグID要求コマンドを含むデータを生成しそれを所定の符号化方式に従って符号化して、符号化データを生成する。送信部330は、送信処理42の連続する各タイムスロットにおいて、そのコマンド等のデータを搬送するRF信号を充分短い間隔で繰り返し送信する。
【0031】
図3Cを参照すると、アクティブRFIDタグ200において、受信部250およびキャリア判定部246は、ウェイクアップ部274のウェイクアップ信号に従って例えば2秒といった一定の周期Tcsで例えば約1ms〜10msの所定の持続時間で発生するキャリア・センス50および52のタイミングで制御部210によってイネーブル(活動化、enable)される。それによって、受信部250は受信待ち状態になり、キャリア判定部246は受信部250からの受信RF信号キャリア電力の強度を表すデータに従って受信キャリアの有無の判定を行う。RFIDタグ200がリーダ/ライタ装置300に接近していないときは、キャリア判定部246はキャリアを検知せず(ND)、キャリアが存在しないと判定する。キャリア・センス50相互間の期間51において、RFIDタグ200は休止モードに入って、制御部210およびウェイクアップ部270だけがイネーブルまたはパワー・オン(付勢)されており、その他の構成要素214〜250はディセーブル(非活動化、disable)またはパワー・ダウン(消勢)されている。休止期間51の時間長は、キャリア・センス期間50の終了時点と次のキャリア・センス期間50の開始時点との間の時間長より短くてもよい。
【0032】
RFIDタグ200がリーダ/ライタ装置300に接近してRFIDタグ200の受信部250がRF信号を受信したときに、キャリア・センス52のタイミングでキャリア判定部246は、RF信号のキャリアを検知し(DT)、キャリアが存在すると判定する。そのキャリアが存在するという判定に応答して、受信部250およびデータ復号部240は直後の受信処理54のタイミングで例えば100msといった所定の持続時間においてイネーブルされ、受信部250はそのRF信号を受信し復調してコマンドを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しコマンドを取り出して制御部210に供給する。そのコマンドに応答して、制御部210は、所定期間内のランダムに選択された送信処理56のタイミングで例えば100msといった所定の持続時間において、データ生成部220および送信部230をイネーブルし、データ生成部220はメモリ214から取り出したタグID(ID_tag)およびその他の所要の情報を含むデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化する。その他の所要の情報には、例えば、パッケージ内の商品の内容および個数、発送者、移動、経由地および宛先、等に関する情報が含まれていてもよい。送信部230はそのタグIDを含む応答データでキャリアを変調してRF信号を送信する。
【0033】
図3Bを参照すると、リーダ/ライタ装置300の受信部350は、常に受信待ち状態46にあり、RFIDタグ200が接近してRF信号を受信したときに、受信処理48のタイミングにおいて受信RF信号を復調して符号化データを生成し、データ復号部350は符号化データを所定の符号化方式に従って復号してタグIDを含む応答データを再生し、その再生されたタグIDを制御部310に供給する。制御部310は、そのタグIDをホスト・コンピュータに供給する。ホスト・コンピュータは、タグIDを処理して、商品の流通または人を監視し管理するのに用いる。
【0034】
通常、リーダ/ライタ装置300にRFIDタグ200が接近していない時間ははるかに長いので、アクティブRFIDタグ200は大部分の時間期間は休止モードになる。従って、アクティブRFIDタグ200の消費電力は大幅に低減され、バッテリ290の稼動時間は大幅に長くなる。
【0035】
図4は、リーダ/ライタ装置300によって実行される処理のフローチャートを示している。図5Aおよび5Bは、アクティブRFIDタグ200によって実行される処理のフローチャートを示している。
【0036】
図4を参照すると、ステップ402において、リーダ/ライタ装置300の制御部310は、ホスト・コンピュータから受け取ったタグID要求があるかどうかを判定する。タグIDの要求があるまでステップ402は繰り返される。タグIDの要求があると判定された場合、手順は送信処理のステップ412および受信処理のステップ422に進む。
【0037】
ステップ412において、制御部310はタグID要求コマンドおよび関連するデータをデータ生成部320に供給し、データ生成部320はタグID要求コマンドを含むデータを生成してその生成データを、例えばNRZ(Non Return to Zero)符号化法またはマンチェスタ符号化法等の所定の符号化方式に従って符号化し、送信部330は、図3Aの送信処理42のタイミングでその符号化データでキャリアを変調して周波数f1のRF信号を送信する。制御部310は、タグID要求コマンド中にそのタグID要求コマンドに対する応答の送信周波数f2または可変送信周波数f2iを指定するデータ、その可変送信周波数f2iを使用すべき時刻またはタイムスロットを表すデータ、現在の時刻Tを表すデータ、制御スケジュールおよび時間制御シーケンスを含ませてもよい。
【0038】
リーダ/ライタ装置300はその周波数f2iを時分割で複数の送信周期tRW-CYにおける複数コマンド毎に(例えば、少なくとも1つのキャリア・センス周期分の数の送信周期tRW-CYにおける複数コマンド毎に)変更するようにしてもよい。それによって、複数のRFIDタグが同時に存在する場合でも、RFIDタグからの応答送信が衝突する確率が減り、リーダ/ライタ装置300で同時に識別できるRFIDタグの数を増大させることができる。
【0039】
ステップ418において制御部210はデータ送信を終了すべきかどうかを判定する。終了すると判定された場合は、手順はこのルーチンを出る。データ送信を継続すると判定された場合は、手順はステップ412に戻る。図3Aでは、データ送信は繰り返し継続される。
【0040】
図5Aを参照すると、ステップ502において、RFIDタグ200が起動されたとき、制御部210およびウェイクアップ部270がイネーブルされる。RFIDタグ200がいったん起動されると、制御部210およびウェイクアップ部270は常にイネーブルされて活動状態にある。ウェイクアップ部270は、タイマ274および時間制御シーケンスに従って、所定の周期Tcsで受信RF信号のキャリア・センスを行うタイミングを表すウェイクアップ信号を制御部210に供給する。ステップ504において、制御部210は、ウェイクアップ部270から受け取ったウェイクアップ信号がオン状態(ON)を示しているかどうかを判定する。制御部210は、ウェイクアップ信号がオン状態になるまでステップ504を繰り返す。
【0041】
ステップ504においてウェイクアップ信号がオン状態(ON)を示していると判定された場合、ステップ506において、制御部210は、例えば約1ms〜10msのような短い持続時間の期間だけ受信部250およびキャリア判定部246をイネーブルする。受信部250はRF信号の受信待ち状態となり、キャリア判定部246は受信部250から受け取った受信キャリア電力を表すデータに基づいて受信RF信号のキャリアの存在を判定して、その判定結果を制御部210に供給する。ステップ508において、制御部210は、その判定結果に従ってキャリアが検知されたかどうかを判定する。キャリアが検知されなかったと判定された場合は、ステップ509において制御部210は受信部250およびキャリア判定部246をディセーブル(非可動化)する。その後、手順はステップ530に進む。
【0042】
ステップ508においてキャリアが検知されたと判定された場合は、ステップ510において、制御部210は、キャリア判定部246をディセーブルし、さらに例えば100ms〜200msといった所定の持続時間において受信部250をイネーブルしたまま、リーダ/ライタ装置300からコマンド等のデータを搬送する周波数f1のRF信号を受信して(図3C、受信54)、受信RF信号を復調する。ステップ512において、制御部210は、受信部250によるRF信号の受信が完了したかどうかを判定する。ステップ512はRF信号の受信が完了するまで繰り返される。
【0043】
ステップ512においてRF信号の受信が完了したと判定された場合は、ステップ514において、制御部210はデータ復号部240をイネーブルし、データ復号部240は制御部210の制御の下で受信部250から受信データを受け取ってそれを所定の符号化方式に従って復号する。ステップ515において、制御部210は受信部250をディセーブルする。
【0044】
図5Bを参照すると、ステップ522において、制御部210は、データ復号部240からタグID要求コマンドを含む復号データを受け取り、復号データに含まれている受信コマンドを処理し、リーダ/ライタ装置300によるアクセスの記録をメモリ214に格納する。受信データ中に時刻修正コマンドおよび現在の時刻Tが含まれていた場合は、制御部210は、ウェイクアップ部270のタイマ274の時刻をその時刻Tに修正または更新する。
【0045】
ステップ524において、制御部210は復号部240をディセーブルし、そのタグID要求コマンドに従って、所定の期間(例えば500ms)内の所定数のタイムスロット(例えば100msの幅の5つのタイムスロット)の中の乱数に従って選択された1つのタイムスロットにおいてデータ生成部220および送信部230をイネーブルする。その乱数は、乱数発生部211によって発生される。その選択されたタイムスロットが図3Cの送信処理56のタイミングである。データ生成部220は、メモリ214から読み出したRFIDタグ200のタグID(ID_tag)を含むデータを所定の符号化方式に従って符号化して送信部230に供給する。送信部230は、タグIDを含むデータでキャリアを変調して、所定のまたは指定された周波数f2またはf2iのRF信号をアンテナ284を介して送信する。周波数f2iの切り換えは、制御部210の周波数切り換え部212によって行われる。タイミング調整部213は、複数のタイムスロットの周期を所定周期になるように調整する。
【0046】
ステップ529において、制御部210は、データ生成部220および送信部230をディセーブルする。ステップ530において、制御部210は、RFIDタグ200を休止モードにする。休止モードにおいて、基本的に制御部210およびウェイクアップ部270だけがイネーブルされた状態を維持し、その他の構成要素214〜250はディセーブルされた状態になる。
【0047】
再び図4を参照すると、ステップ422において、制御部310は受信部350をイネーブルして受信待ち状態にする。受信部350は周波数f2のRF信号の受信を待って(受信待ち46)、RF信号を受信する(受信処理48)。ステップ424において、制御部310は受信部350がRF信号の受信を完了したかどうかを判定する。受信が完了するまでステップ424は繰り返される。受信が完了したと判定された場合は、ステップ426において、受信部350は受信データをデータ復号部340に供給する。データ復号部340は受信データを所定の符号化方式に従って復号して応答データを再生し、データを受信したことおよびその応答データを制御部310に供給する。
【0048】
ステップ432において、制御部310はその復号データをホスト・コンピュータに送出する。ステップ436において制御部310はデータ受信待ちを終了するかどうかを判定する。終了すると判定された場合は、手順はこのルーチンを出る。データ受信待ちを継続すると判定された場合は、手順はステップ422に戻る。図3Bでは、データ受信待ちは繰り返し継続される。
【0049】
このように、リーダ/ライタ装置300は送信を充分短い間隔で繰り返し行い常に受信待ち状態にあるので、RFIDタグ200のキャリア・センス時間を大幅に減らすことができる。例えば入出管理などにおけるように1日に数回しか送受信を行わず、動作時間のほとんどがキャリア・センスである場合は、RFIDタグ200全体の消費電力は、全体の消費電力を大幅に削減できる。
【0050】
メモリ214に格納される制御スケジュールとして、休日および平日の夜間(例えば、6:00pm〜6:00am)の所定の時刻と所定の時刻の間の時間期間を指定し、平日の昼間(例えば、6:00am〜6:00pm)の所定の時刻と所定の時刻の間の時間期間を指定してもよい。この場合、ウェイクアップ部270は、その休日および夜間においてウェイクアップ信号を発生せず、従ってRFIDタグ200は休止モードになってキャリア・センスを全く行わず、一方、その平日の昼間において所定の周期(例えば1秒)で、キャリア・センスを行う。
【0051】
ウェイクアップ部270は、制御部210の制御の下で、メモリ214に格納されたバッテリ290の電力の残量Pに従ってウェイクアップ信号を発生させてもよい。この場合、バッテリ残量が充分であるときは、比較的短い周期で(例えば1秒)キャリア・センスを行い、残量Pが閾値Pthより低くなったときは、比較的長い周期で(例えば2秒)キャリア・センスを行うようにしてもよい。RFIDタグ200の応答データ中にバッテリ残量を含ませ、リーダ/ライタ装置300経由でホスト・コンピュータへ通知し、ホスト・コンピュータによってユーザに対するバッテリ切れの警告を表示するよう構成してもよい。
【0052】
上述のようにリーダ/ライタ装置によるアクセスの記録をメモリ214に格納するようにしたことによって、リーダ/ライタ300以外の別のリーダ/ライタによって不正にアクセスされた場合にも、ログが記録されるので、リーダ/ライタ300によってそのアクセス記録を読み取り、ホスト・コンピュータによって解析することによって不正なアクセスを発見することができる。
【0053】
図6は、図2の構成を変形したより安全なスレーブのアクティブRFIDタグ202とマスタのリーダ/ライタ装置302の構成を示している。この実施形態においては、RFIDタグ202とリーダ/ライタ装置302の間で送信データは暗号化され、受信データは暗号解読されて認証に用いられる。
【0054】
RFIDタグ202は、図2のRFIDタグ200におけるデータ生成部220の代わりにデータ生成部222を具え、図2のデータ復号部240の代わりにデータ復号部242を具えている。RFIDタグ202のメモリ214は、タグID(ID_tag)に加えて、認証用の現在の時刻T、認証用のシステムID(ID_system)および暗号鍵/復号鍵Keを格納しており、データ生成部222およびデータ復号部242にそれらの情報を供給する。その認証用の現在の時刻T、認証用のシステムIDおよび暗号鍵/復号鍵Keは、リーダ/ライタ装置302によって予めRFIDタグ202に送信され、制御部210によってメモリ214に予め書き込まれる。データ生成部222は、メモリ214に格納されている暗号鍵Keを用いて所定の暗号方式に従って送信データを暗号化する暗号化部224を含んでいる。データ復号部242は、受信データを所定の暗号方式に従って暗号鍵/復号鍵Keを用いて解読する解読部244を含んでいる。RFIDタグ202のその他の構成はRFIDタグ200と同様であり、再び説明することはしない。システムIDは、リーダ/ライタ装置302とRFIDタグ202等の複数のRFIDタグで構成される同じグループによって共有される共通のIDを表している。ここでは、所定の暗号方式を共通鍵暗号方式として説明するが、公開鍵暗号方式であってもよい。
【0055】
リーダ/ライタ装置302は、図2のリーダ/ライタ装置300におけるデータ生成部320の代わりにデータ生成部322を具え、図2のデータ復号部340の代わりにデータ復号部342を具えている。リーダ/ライタ装置302のメモリ314は、認証用の現在の時刻T、認証用のシステムID(ID_system)および暗号鍵/復号鍵Keを格納している。データ生成部324は、メモリ314に格納されている所定の暗号方式に従って暗号鍵Keを用いて送信データを暗号化する暗号化部322を含んでいる。データ復号部342は、所定の暗号方式に従って暗号鍵/復号鍵Keを用いて受信データを解読する解読部344を含んでいる。リーダ/ライタ装置302のその他の構成はリーダ/ライタ装置300と同様であり、再び説明することはしない。
【0056】
図7Aは、リーダ/ライタ装置302のタグID要求コマンド(CMD)を含むデータを搬送するRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図7Bは、リーダ/ライタ装置302の受信待ち状態46および受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。図7Cは、アクティブRFIDタグ202のキャリア・センス50、52および53、受信RF信号の受信処理54および55、および認証成功の場合における応答を搬送するRF信号の送信処理56のタイミングを示している。
【0057】
図7Aを参照すると、リーダ/ライタ装置302のデータ生成部322は、制御部310から受け取ったRFIDタグに対するタグID要求コマンドを含むデータを生成しそれを所定の符号化方式に従って符号化して、符号化された暗号データを生成する。リーダ/ライタ装置302のその他の送信の動作は図3Aの場合と同様である。
【0058】
図7Cを参照すると、アクティブRFIDタグ202において、受信部250およびキャリア判定部246の動作は、図3Cの場合と同様であり、受信部250およびキャリア判定部246は、ウェイクアップ部274のウェイクアップ信号に従って一定の周期で所定の持続時間で発生するキャリア・センス50、52および53のタイミングで制御部210によってイネーブルされて、受信部250は受信待ち受け状態になる。
【0059】
キャリア判定部246によるキャリアが存在するという判定(DT)に応答して、受信部250およびデータ復号部242は直後の受信処理54および55のタイミングで所定の持続時間においてイネーブルされ、受信部250はそのRF信号を受信し復調してコマンドを含む符号化された暗号データを生成し、データ復号部242はそのデータを所定の符号化方式に従って復号し暗号データを所定の暗号方式に従って暗号鍵/復号鍵Keを用いて解読してコマンドを取り出して制御部210に供給する。そのコマンドの受信に応答して、制御部210は、そのコマンドに含まれている時刻TおよびシステムIDを用いてリーダ/ライタ装置302を認証する。
【0060】
認証が成功した場合は、所定期間内のランダムに選択された送信処理56のタイミングで所定の持続時間において、データ生成部222および送信部230をイネーブルし、データ生成部222は、メモリ214から取り出したタグID(ID_tag)、時刻TおよびシステムID(ID_system)を含むデータを、所定の暗号方式に従って暗号鍵Keを用いて暗号化し、その暗号データを所定の符号化方式に従って符号化する。送信部230はその暗号化されたタグIDを含む応答データでキャリアを変調してRF信号を送信する。認証が失敗した場合は、データを生成および送信することなく処理を終了する。
【0061】
図7Bを参照すると、リーダ/ライタ装置302の受信部350は、常に受信待ち状態46にあり、RFIDタグ202が接近してRF信号を受信したときに、受信処理48のタイミングにおいて受信RF信号を復調して符号化された暗号データを生成し、データ復号部342は符号化された暗号データを所定の符号化方式に従って復号し、その復号された暗号データを、所定の暗号方式に従って暗号鍵/復号鍵Keを用いて解読してタグIDを含む応答データを再生し、その再生された応答を制御部310に供給する。その受信再生された応答に応答して、制御部310は、その応答に含まれている時刻TおよびシステムIDを用いてRFIDタグ202を認証し、そのタグIDおよびその他の情報をホスト・コンピュータに供給する。
【0062】
このように、通常、リーダ/ライタ装置302およびRFIDタグ202が送信データを暗号化し、時刻TおよびシステムIDを用いて相互認証を行うことによって、リーダ/ライタ装置302およびRFIDタグ202によって送信されるデータが、第三者に傍受されても、そのデータを不正に使用される危険性がなくなる。従って、リーダ/ライタ装置302およびRFIDタグ202の安全性が高くなる。
【0063】
図8は、リーダ/ライタ装置302によって実行される処理のフローチャートを示している。図9Aおよび9Bは、アクティブRFIDタグ202によって実行される処理のフローチャートを示している。
【0064】
図8を参照すると、ステップ402は図4のものと同じであり、再び説明することはしない。ステップ414において、制御部310はタグID要求コマンドをデータ生成部322に供給する。データ生成部322は、制御部310から受け取ったタグID要求コマンド、およびメモリ314から取り出した現在の時刻TおよびシステムID(ID_system)を含むデータを、例えばDES(Data Description Standard)、トリプルDESまたはAES(Advanced Encryption Standard)等の所定の暗号方式に従って、メモリ314から取り出した暗号鍵Keを用いて暗号化し、その暗号化データを符号化して符号化データを生成する。送信部332は、その暗号化データでキャリアを変調して周波数f1のRF信号を送信する(図7A、送信処理42)。ステップ418は図4と同じであり、再び説明することはしない。
【0065】
図9Aを参照すると、ステップ502〜515は図5のものと同様であり、再び説明することはしない。
【0066】
図9Bを参照すると、ステップ516において、制御部210の制御の下で、データ復号部242は、メモリ214から取り出した暗号鍵/復号鍵Keを用いて復号データを所定の暗号方式に従って解読し、解読されたコマンド、タグID(ID_tag)、時刻T、システムID(ID_system)を含むデータを制御部210に供給する。そのデータは、制御スケジュールおよび時間制御シーケンスを含んでいてもよい。制御部210は、そのデータを受け取った後、暗号解読された時刻TおよびシステムIDとメモリ214に格納されている時刻TおよびシステムIDとを比較することによって、両者が一致するかどうかを判定し、それによってリーダ/ライタ装置302の認証を行う。
【0067】
ステップ518において、制御部210は認証が成功したかどうかを判定する。認証が失敗したと判定された場合は、ステップ520において、制御部210はデータ復号部242をディセーブルする。その後、手順は図9Bのステップ530に進む。
【0068】
ステップ518において認証が成功したと判定された場合は、ステップ522において、制御部210は、データ復号部242からタグID要求コマンドを含む暗号解読されたデータを受け取り、その解読データに含まれている解読された受信コマンドを処理し、リーダ/ライタ装置302によるアクセス記録をメモリ214に格納する。
【0069】
ステップ526において、制御部210は、そのタグID要求コマンドに従って、所定の期間内の所定数のタイムスロットの中の乱数に従ってランダムに選択された1つのタイムスロットにおいてデータ生成部222および送信部230をイネーブルする。その選択されたタイムスロットが図7Cの送信処理56のタイミングである。データ生成部222は、メモリ214から読み出したRFIDタグ202のタグID(ID_tag)、時刻TおよびシステムID(ID_system)を含むデータを、所定の暗号方式に従って暗号鍵Keを用いて暗号化し、その暗号データを所定の符号化方式に従って符号化して送信部230に供給する。送信部230は、その符号化暗号データでキャリアを変調して、周波数f2のRF信号をアンテナ284を介して送信する(図7C、送信56)。ステップ528および530は、図5のものと同様であり、再び説明することはしない。
【0070】
再び図8を参照すると、ステップ422〜424は図4のものと同様であり、再び説明することはしない。ステップ428において、受信部350は受信データをデータ復号部342に供給する。データ復号部342は受信データを所定の符号化方式に従って復号し、その復号データを所定の暗号方式に従って暗号解読して、そのデータを受信したことおよびその解読データを制御部310に供給する。制御部310は、暗号解読された時刻TおよびシステムIDとメモリ314に格納されている時刻TおよびシステムIDとを比較することによって、一致するかどうかを判定し、それによってRFIDタグ202の認証を行う。RFIDタグ202の制御部210およびリーダ/ライタ装置302の制御部310において、受信した時刻Tと格納されていた時刻Tとの間に所定の範囲内の誤差(例えば±0.5秒)があった場合にも、両者は一致すると判定してもよい。
【0071】
ステップ430において、制御部310は認証が成功したかどうかを判定する。認証が失敗したと判定された場合は、手順はステップ422に戻る。認証が成功したと判定された場合は、手順はステップ432に進む。ステップ436は、図4のものと同様であり、再び説明することはしない。
【0072】
上述のアクティブRFIDタグ200および202はスレーブ・デバイスとしてのみ動作し、上述のリーダ/ライタ装置300および302はマスタ・デバイスとしてのみ動作する。従って、リーダ/ライタ装置300または302が離れた場合には、アクティブRFIDタグ200および202は、リーダ/ライタ装置300および302の付近に位置していた他のスレーブのアクティブRFIDタグと交信することができない。
【0073】
リーダ/ライタ装置300または302が付近に位置する場合にはスレーブ・モードで動作し、リーダ/ライタ装置300または302が付近に位置しない場合にはマスタ・モードで動作するように或るアクティブRFIDタグ200または202を構成し、或るアクティブRFIDタグ200または202がマスタ・モードにおいて他のアクティブRFIDタグに対してリーダ/ライタ装置であるかのように動作させれば、他のアクティブRFIDタグとの間で情報を交換しまたは互いに関連づけることができる。
【0074】
図10は、図6のスレーブ・アクティブRFIDタグ202を変形したものであり、本発明の実施形態による、スレーブまたはマスタとして動作するスレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグ204を含むスレーブ/マスタ・デバイス20の構成を示している。スレーブ/マスタ・デバイス20は、例えば携帯電話機およびPDAのような電子機器、またはネーム・タグ、バッジおよび荷札のような物品であってもよい。図11は、図6のマスタ・リーダ/ライタ装置302を変形したものであり、本発明の実施形態による、マスタ・リーダ/ライタ装置(R/W)304を含むマスタ・デバイス30の構成を示している。マスタ・デバイス30は、例えばパーソナル・コンピュータ(PC)のような電子機器であってもよい。スレーブ・アクティブRFIDタグ202を含むスレーブ・デバイス(図示せず)も用いてよい。
【0075】
スレーブ/マスタRFIDタグ204は、図6のRFIDタグ202の構成要素に加えて、LEDのような表示器、ビープ音発生器のような音響発生器またはスピーカを含むアラーム部276を含み、制御部210内にマスタ/スレーブ(M/S)切換部215を含んでいる。メモリ214は、前述の情報に加えて、マスタ/スレーブ切換時間と、マスタ/スレーブ・デバイス20またはRFIDタグ204の優先度レベル(例えば、1〜9)を格納している。制御部210は、マスタ/スレーブ切換部215からの制御信号に従ってマスタ・モードMとスレーブ・モードSの間で機能を切り換える。RFIDタグ204は、スレーブ・モードSでは、図6のRFIDタグ202と同様の形態で動作する。RFIDタグ204は、マスタ・モードMでは、図6のリーダ/ライタ装置302と同様の形態で動作する。RFIDタグ204は、システムIDの代わりにタグIDを送信する。送信部(TX)230は、周波数切換部212の制御信号に従って、マスタ・モードMでは送信周波数f1で送信し、スレーブ・モードSでは送信周波数f2またはf2iで送信する。受信部(RX)250は、周波数切換部212の制御信号に従って、マスタ・モードMでは受信周波数f2またはf2i(以下、単にf2という)で受信し、スレーブ・モードSでは受信周波数f1で受信する。
【0076】
リーダ/ライタ装置304のメモリ314は、前述の情報に加えて、マスタ/スレーブ切換時間と、マスタ・デバイス30またはリーダ/ライタ装置304の優先度レベル(マスタ・レベル0)を格納している。リーダ/ライタ装置304は、リーダ/ライタ装置302と同様の形態で動作する。
【0077】
図12Aは、本発明の実施形態による、マスタ・デバイスとしてのパーソナル・コンピュータ30の通信可能範囲の領域における、パーソナル・コンピュータ30と、スレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12、携帯電話機14およびバッジ16、およびスレーブ・デバイスとしての荷札18との間の交信状態の例を示している。図12Bは、図12Aの配置においてマスタ・デバイスとしてのパーソナル・コンピュータ30がいなくなった場合の、スレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12と、スレーブ/マスタ・デバイスとしての携帯電話機14およびバッジ16、およびスレーブ・デバイスとしての荷札18との間の交信状態の例を示している。
【0078】
パーソナル・コンピュータ30は、マスタ・リーダ/ライタ装置304を含んでいる。ネーム・タグ12は、スレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグ204aを含んでいる。携帯電話機14は、スレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグ204bを含んでいる。バッジ16は、スレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグ204cを含んでいる。荷札18は、図6のRFIDタグ202と同様の形態で動作するスレーブ・アクティブRFIDタグ204dを含んでいる。
【0079】
図12Aにおいて、パーソナル・コンピュータ30のマスタ・リーダ/ライタ装置304は、通常の形態で、ネーム・タグ12、携帯電話機14、バッジ16および荷札18に、送信周波数f1でID要求信号を送信し、それらから受信周波数f2で応答信号を受信する。ネーム・タグ12、携帯電話機14、バッジ16および荷札18の各々は、パーソナル・コンピュータ30から受信周波数f1でID要求信号を受信し、パーソナル・コンピュータ30に送信周波数f2で応答信号を送信する。
【0080】
図12Bにおいて、パーソナル・コンピュータ30がその位置から遠くに離れると、ネーム・タグ12、携帯電話機14、バッジ16および荷札18の中で優先度レベルが最も高いネーム・タグ12が、マスタ・モードMでの動作を開始し、携帯電話機14、バッジ16および荷札18に、送信周波数f1でID要求信号を送信し、それらから受信周波数f2で応答信号を受信する。携帯電話機14、バッジ16および荷札18の各々は、ネーム・タグ12から受信周波数f1でID要求信号を受信し、ネーム・タグ12に送信周波数f2で応答信号を送信する。それによって、パーソナル・コンピュータ30がなくても、ネーム・タグ12と、携帯電話機14、バッジ16および荷札18とは、交信し、情報を交換することができる。
【0081】
図13Aおよび13Bは、ユーザが図10におけるスイッチ278を押下することによってスレーブ/マスタ・デバイス20が一時的にスレーブ・モードSからマスタ・モードMへ移行する変化を示すタイムチャートを示している。図13Bにおいて、スレーブ/マスタ・デバイス20は、通常、スレーブ・モードSで動作する。図13Aにおいて、ユーザが図10のスイッチ278を押下してターンオンすると、そのターンオン期間において、図13Bに示されているようにマスタ/スレーブ切換部215は上述のようにスレーブ/マスタ・デバイス20をマスタ・モードMで動作させ、アラームを発生させるようアラーム部276を動作させるよう制御する。アラームは、音響的な聴覚的なものであっても、発光ダイオード等による視覚的なものであってもよい。ユーザがスイッチ278を押下するのをやめてターンオフすると、マスタ/スレーブ切換部215は上述のようにスレーブ/マスタ・デバイス20を元のスレーブ・モードSで動作するよう制御する。
【0082】
図14Aおよび14Bは、ユーザが図10のスイッチ278を押下することによってスレーブ/マスタ・デバイス20が一定時間期間Tmmだけスレーブ・モードSからマスタ・モードMへの移行する変化を示す別のタイムチャートを示している。図14Bにおいて、スレーブ/マスタ・デバイス20は、通常、スレーブ・モードSで動作する。図14Aにおいて、ユーザが図10のスイッチ278を押下してターンオンすると、そのターンオンから一定時間期間Tmmにおいて、図14Bに示されているようにマスタ/スレーブ切換部215は上述のようにスレーブ/マスタ・デバイス20をマスタ・モードMで動作させ、アラームを発生させるようアラーム部276を動作させるよう制御する。一定期間Tmm経過後、マスタ/スレーブ切換部215は上述のようにスレーブ/マスタ・デバイス20を元のスレーブ・モードSで動作するよう制御する。その一定期間は、ウェイクアップ部270のタイマ274によってメモリ214に格納されているマスタ/スレーブ切換時間に従って時間測定(カウント)され、タイマ274が一定期間Tmmの経過を測定すると、一定期間Tmmの経過を示す信号をマスタ/スレーブ切換部215に供給する。
【0083】
図15は、各デバイスのマスタ/スレーブ(M/S)の優先度レベルを示す表の例を示している。ここで、優先度レベルの値が小さいほどマスタとなる優先度が高く、優先度レベルの値が大きいほどマスタとなる優先度が低い。最も高い優先度レベル0を有するデバイスであるPCは常にマスタである。最も低い優先度レベル10を有するその他のデバイスKは常にスレーブである。優先度レベル1〜9を有するデバイスは、スレーブ・モードS1〜S9およびマスタ・モードS1〜S9で動作する。図10において、パーソナル・コンピュータ30(マスタ・リーダ/ライタ304)は例えば優先度レベル0を有する。ネーム・タグ12(スレーブ/マスタRFIDタグ204a)は例えば優先度レベル1を有する。携帯電話機14(スレーブ/マスタRFIDタグ204b)は例えば優先度レベル2を有する。バッジ16(スレーブ/マスタRFIDタグ204c)は例えば優先度レベル3を有する。荷札18(スレーブRFIDタグ204d)は例えば優先度レベル10を有する。
【0084】
図16は、初期状態として各デバイスが互いの通信可能範囲内に存在していた後、いずれかのデバイスが移動して消失した場合の残りのデバイスの動作を示している。
【0085】
図16の項目1−1において、初期状態において、優先度レベル0のマスタM0のパーソナル・コンピュータ30、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在し、その後もいずれもが存在し続けている。従って、これら3つのデバイス30、12および14は初期状態の動作モードを維持する。
【0086】
項目1−2において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30が消失し、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在する。その後、ネーム・タグ12(S1)は、他のデバイスより高いその優先度レベル1に従って、マスタ・モードM1とスレーブ・モードS1の間で周期的に切り換わりながら交番モード(M1,S1)で動作する。
【0087】
項目1−3において、初期状態において、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12が消失し、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在する。その後も、パーソナル・コンピュータ30(M0)は、他のデバイス(S1、S2)より高いその優先度レベル0に従って、マスタ・モードM0で動作し続ける。従って、パーソナル・コンピュータ30(M0)および携帯電話機14(S1)は初期状態の動作モードを維持する。
【0088】
項目1−4において、初期状態において、優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が消失し、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12が、互いの通信可能範囲内に存在する。その後も、パーソナル・コンピュータ30(M0)は、他のデバイス(S1、S2)より高いその優先度レベル0に従って、マスタ・モードM0で動作し続ける。従って、パーソナル・コンピュータ30(M0)および携帯電話機14(S2)は初期状態の動作モードを維持する。
【0089】
項目1−5において、初期状態において、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が消失し、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30だけが存在する。その後も、パーソナル・コンピュータ30(M0)は、最も高いその優先度レベル0に従って、マスタ・モードM0で動作し続け、初期状態の動作モードを維持する。
【0090】
項目1−6において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が消失し、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12だけが存在する。その後、ネーム・タグ12(S1)は、付近にそれより高いその優先度レベルのデバイスが存在しないので、マスタ・モードM1とスレーブ・モードS1の間で周期的に切り換わりながら交番モード(M1,S1)で動作する。
【0091】
項目1−7において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12が消失し、優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14だけが存在する。その後、動作する携帯電話機14(S2)は、付近にそれより高いその優先度レベルのデバイスが存在しないので、マスタ・モードM2とスレーブ・モードS2の間で周期的に切り換わりながら交番モード(S2,M1)で動作する。
【0092】
図17は、初期状態としていずれかのデバイスが互いの通信可能範囲内に存在していたとき、他のデバイスが出現して通信に参加した場合の各デバイスの動作を示している。
【0093】
図17の項目2−1は項目1−1と同様である。
【0094】
項目2−2において、初期状態において、他のデバイス(S2)より高い優先度レベル1を有しマスタ・モードM1とスレーブ・モードS1の間の交番モード(M1,S1)で動作するネーム・タグ12、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在する。その後、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30がその通信可能範囲内に出現しその通信に参加する。その後、ネーム・タグ12(S1)は、それより高いその優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30の存在を検出して、スレーブ・モードS1に移行する。
【0095】
項目2−3において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在する。優先度レベル1のスレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12がその通信可能範囲内に出現する。その後、ネーム・タグ12は、最初スレーブ・モードS1で動作し、それより高いその優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30の存在を検出して、スレーブ・モードS1で動作し続ける。パーソナル・コンピュータ30(M0)および携帯電話機14(S1)は初期状態の動作モードを維持する。
【0096】
項目2−4において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12が、互いの通信可能範囲内に存在する。優先度レベル2のスレーブ/マスタ・デバイスとしての携帯電話機14がその通信可能範囲内に出現する。その後、携帯電話機14は、最初スレーブスレーブ・モードS2で動作し、それより高いその優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30の存在をそのシステムID(ID_system)によって検出して、スレーブ・モードS2で動作し続ける。パーソナル・コンピュータ30(M)および携帯電話機14(S1)は初期状態の動作モードを維持する。
【0097】
項目2−5において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30だけが存在する。優先度レベル1のスレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12および優先度レベル2のスレーブ/マスタとして動作する携帯電話機14がパーソナル・コンピュータ30の通信可能範囲内に出現する。その後、ネーム・タグ12はスレーブ(S1)として動作し続け、携帯電話機14は、スレーブ(S2)として動作し続ける。パーソナル・コンピュータ30(M)は、マスタ・モードM0で動作し続ける。
【0098】
項目2−6において、初期状態において、優先度レベル1のスレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12だけが存在する。優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル2のスレーブ/マスタ・デバイスとしての携帯電話機14がネーム・タグ12の通信可能範囲内に出現する。その後、ネーム・タグ12は、それより高いその優先度レベル0のパーソナル・コンピュータ30存在を検出して、スレーブ・モードS1に移行する。
【0099】
項目2−7において、初期状態において、優先度レベル2のスレーブ/マスタ・デバイスとしての携帯電話機14だけが存在する。優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル1のスレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12が携帯電話機14の通信可能範囲内に出現する。その後、携帯電話機14は、それより高いその優先度レベル0のパーソナル・コンピュータ30または優先度レベル1のネーム・タグ12の存在をそのタグID(ID_tag)によって検出して、スレーブ・モードS2に移行する。
【0100】
図18は、初期状態として各デバイスが互いの通信可能範囲内に存在していたとき、いずれかのデバイスが消失した場合の残りのデバイスの別の動作を示している。この場合、携帯電話機14は常にスレーブ・モードの優先度レベル10を有する。
【0101】
図18の項目3−1において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12、および優先度レベル10のスレーブ・モードS10で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在し、その後もいずれもが存在し続けている。従って、これら3つのデバイスは初期状態の動作モードを維持する。
【0102】
項目3−2〜3−6におけるパーソナル・コンピュータ30、ネーム・タグ12および携帯電話機14は、項目1−2〜1−6の場合と同様に動作する。
【0103】
項目3−7において、初期状態において、優先度レベル10のスレーブ(S10)の携帯電話機14だけが存在する。優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル1のスレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12が携帯電話機14の通信可能範囲内に出現する。その後も、携帯電話機14は、スレーブ・モードS10を維持する。
【0104】
図19A〜19Fは、互いに通信可能範囲にあり異なる優先度レベルを有する2つのスレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2(図16の項目1−2)の動作のタイムチャートを示している。
【0105】
図19Aは、より高い優先度レベル(例えば、1)の第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の動作モード(M1,S1)のタイムチャートを示している。図19Bは、最も高い優先度レベル(0)のマスタ・デバイスが付近に存在せずかつより低い優先度(例えば2)の第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2が通信可能範囲内に位置するときの、第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の応答を搬送する送信周波数f2のRF信号の送信処理56、タグIDまたは情報要求コマンド等の情報を含むデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図19Cは、第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の受信周波数f1のキャリア・センス50および52、受信周波数f1の受信RF信号の受信処理54、受信周波数f2の受信待ち状態46および受信周波数f2の受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。
【0106】
図19Dは、より低い優先度レベル(例えば2)の第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の動作モード(M2,S2)のタイムチャートを示している。図19Eは、最も高い優先度レベル(0)のマスタ・デバイスが付近に存在せずかつより高い優先度レベル(例えば1)の第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1が通信可能範囲内に位置するときの、第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の応答を搬送する送信周波数f2のRF信号の送信処理56、タグID要求コマンド等のデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図19Fは、第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の受信周波数f1のキャリア・センス50および52、受信周波数f1の受信RF信号の受信処理54、受信周波数f2の受信待ち状態46および受信周波数f2の受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。
【0107】
動作を説明すると、図19Aおよび19Dに示されているように、スレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2は、それぞれ初期状態においてスレーブ・モード(S1およびS2)で動作し、その各受信部(RX)250は周期Tcsでキャリア・センス50を行う。送信周波数f1のキャリアが検出できない、即ちマスタ・モードMで動作する別のデバイスがそれぞれの所定の時間期間Td1およびTd2を経過しても検出できないとき、スレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2の各々は、一時的に時間期間Tmだけマスタ・モード(M1またはM2)に移行する。この場合、スレーブ/マスタ・デバイスD2が、時間期間Td2経過後、先にマスタ・モードM2に移行する。
【0108】
マスタ・モードM2の時間期間Tmにおいて、デバイスD2の送信部230は、図19Eに示されているように周波数f1のRF信号の送信処理42を行う。送信処理42において、所定の期間Tt(例えば2秒)における連続する各タイムスロットにおいて、前述したように、タグID要求コマンド、デバイスD2のタグIDおよび優先度レベル等の情報を搬送するRF信号が充分短い間隔で繰り返し送信される。デバイスD2の受信部250は、図19Fに示されているように周波数f2で連続的に受信待ち状態46となる。所定の期間Ttの送信処理42は、所定期間Tbの休止を挟んで複数の所定期間Tmにおいて繰り返し行われる。その休止期間Tbにおいて送信部230は制御部210によってディセーブルされる。この場合、より高い優先度1のデバイスD1の存在をそのタグIDによって検出したことに応答して、最初の所定の期間Ttにおける送信処理42の後の所定の期間Tbの休止中に、デバイスD2はマスタ・モードM2からスレーブ・モードS2に切り換えられる。代替構成として、所定期間Tmの経過後に、デバイスD2はマスタ・モードM2からスレーブ・モードS2に切り換えられてもよい。
【0109】
デバイスD1の受信部250は、最初のスレーブ・モードS1において、キャリア・センス52の期間において周波数f1のRF信号を受信し、キャリア判定部246はデバイスD2からの周波数f1のRF信号のキャリアを検知する(DT)。続いて、受信処理54において、デバイスD1の受信部250はそのRF信号を受信し復調してタグID要求コマンド等のデータを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しタグID要求コマンド、タグIDおよび優先度レベル等の情報を含むデータを取り出して制御部210に供給する。それによって、デバイスD1の制御部210は、デバイスD1より低い優先度レベル2のデバイスD2の存在をそのタグIDによって検知する。最初のスレーブ・モードS1において、デバイスD1は、他のデバイスD2がマスタ・モードで動作していることを検出して、時間期間Td1の経過後もスレーブ・モードS1を維持する。
【0110】
そのコマンドの受信に応答して、デバイスD1において、制御部210は、所定期間内のランダムに選択されたタイミングで送信処理56を行い、データ生成部220はメモリ214から取り出したタグIDおよび優先度レベル等の情報を含むデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化し、送信部230はそのタグID等の情報を含む応答データでキャリアを変調して周波数f2のRF信号を送信する。
【0111】
デバイスD2において、受信部250は、マスタ・モードM2の期間に周波数f2の受信RF信号の受信処理48を行う。受信処理48は、そのRF信号を受信し復調してタグID要求コマンド等のデータを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しコマンド、タグIDおよび優先度レベル等のデータを取り出して制御部210に供給する。それによって、デバイスD2の制御部210は、デバイスD2より高い優先度レベル1のデバイスD1の存在を検出知し、制御部210のマスタ/スレーブ切換部215は、所定時間(例えば1つのキャリア・センス周期Tcsの時間)後、デバイスD2の動作モードをスレーブ・モードS2に移行させる。代替構成として、デバイスD2のマスタ/スレーブ切換部215は、マスタ・モードの時間期間Tmの経過後にスレーブ・モードS2に移行してもよい。
【0112】
デバイスD2がマスタ・モードM2から2回目のスレーブ・モードS2に移行した後、デバイスD1は、デバイスD1より高い優先度レベルのデバイスの存在を検知しなかったことに応答して、その後の時間期間Td1の経過後、デバイスD1はマスタ・モードM1に移行する。代替構成として、最初のスレーブ・モードS1において、マスタ・モードM2で動作しているデバイスD2の優先度レベルと自己の優先度レベルの比較に従って、制御部210のマスタ/スレーブ切換部215は、所定時間(例えば1つのキャリア・センス周期Tcsの時間)後、デバイスD1の動作モードをマスタ・モードM1に移行させてもよい。
【0113】
最初のマスタ・モードM1の時間期間Tmにおいて、デバイスD1の送信部230は、図19Bに示されているように周波数f1のRF信号の送信処理42を行う。デバイスD1の受信部250は、図19Cに示されているように周波数f2で連続的に受信待ち状態46となる。所定の期間Ttの送信処理42は、所定の期間Tbの休止を挟んで複数回繰り返される。その休止期間Tbにおいて送信部230は制御部210によってディセーブルされ、それによって、可能性ある他のマスタ・モードMのデバイスの周波数f1のRF信号の送信を許容する。
【0114】
2回目のスレーブ・モードS2において、デバイスD2の受信部(RX)250は一定周期でキャリア・センス50、52を行い、キャリア・センス52において周波数f1のRF信号を受信し、キャリア判定部246はデバイスD1からの周波数f1のRF信号のキャリアを検知する(DT)。続いて、デバイスD2の受信処理54において、受信部250はそのRF信号を受信し復調してコマンド等のデータを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しコマンド、タグIDおよび優先度レベル等のデータを取り出して制御部210に供給する。それによって、デバイスD2の制御部210は、デバイスD2のほうがデバイスD1より優先度レベルが低いことを検知する。そのコマンドに応答して、デバイスD2において、制御部210は、所定期間内のランダムに選択されたタイミングで送信処理56を行い、データ生成部220はメモリ214から取り出したタグIDおよび優先度レベル等の情報を含むデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化し、送信部230はそのタグID等の情報を含む応答データでキャリアを変調して周波数f2のRF信号を送信する。
【0115】
最初のマスタ・モードM1の時間期間Tmにおいて、デバイスD1の受信部250は、周波数f2の受信RF信号の受信処理48を行う。その後、デバイスD1は、次の所定の時間期間Tsにおいてスレーブ・モードS1に移行し、それによって可能性あるより高い優先度レベルの他のデバイスからデバイスD1が周波数f1のRF信号を受信できるようにする。このようにして、デバイスD1は、デバイスD1より高い優先度レベルのデバイスが検出されるまで、マスタ・モードM1とスレーブ・モードS1を交互に繰り返す。
【0116】
図20A〜20Iは、互いに通信可能範囲にあり異なる優先度レベルを有する2つのスレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2、および後でそのデバイスD1およびD2の通信可能範囲に出現する最も高い優先度のマスタ・デバイスD0(図17の項目2−2)の動作のタイムチャートを示している。
【0117】
図20Aは、第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の動作モードS1、M1のタイムチャートを示している。図20Bは、より低い優先度レベル(例えば2)の第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2が通信可能範囲内に位置するときの、より高い優先度レベル(例えば1)の第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の応答を搬送する送信周波数f2のRF信号の送信処理56、およびコマンド等のデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図20Cは、第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の受信周波数f1のキャリア・センス50および52、受信周波数f1の受信RF信号の受信処理54、受信周波数f2の受信待ち状態46、および受信周波数f2の受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。
【0118】
図20Dは、第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の動作モードS2、M2のタイムチャートを示している。図20Eは、より高い優先度レベル(例えば1)の第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1が通信可能範囲内に位置するときの、より低い優先度レベル(例えば2)の第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の応答を搬送する送信周波数f2のRF信号の送信処理56、コマンド等のデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図20Fは、第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の受信周波数f1のキャリア・センス50および52、受信周波数f1の受信RF信号の受信処理54、受信周波数f2の受信待ち状態46および受信周波数f2の受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。
【0119】
図20Gは、マスタ・デバイスD0の動作モードM0のタイムチャートを示している。図20Hは、コマンド等のデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図20Iは、受信周波数f2の受信待ち状態46および受信周波数f2の受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。
【0120】
図20A〜20Cにおいて、最初、デバイスD1は、図19A〜19Cの最後の部分における時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作している。図20D〜20Fにおいて、最初、デバイスD2は、図19D〜19Fの最後の部分におけるスレーブ・モードS2で動作している。時間期間Ttにおける送信処理42の後の休止の時間期間Tbにおいて、デバイスD1の送信部230は制御部210によってディセーブルされる。その休止期間Tbにおいて、マスタ・デバイスD0がデバイスD1およびD2の通信可能範囲に出現し、デバイスD0の送信部(TX)330は、図20Hに示されているように周波数f1のRF信号の送信処理42を行う。所定の期間Ttの送信処理42は、時間期間Tbの休止を挟んで繰り返される。
【0121】
スレーブ・モードS2において、デバイスD2の受信部(RX)250はキャリア・センス52の期間においてマスタ・デバイスD0からの周波数f1のRF信号を受信し、キャリア判定部246はデバイスD0からの周波数f1のRF信号のキャリアを検知する(DT)。続いて、受信部250は、受信処理54において、そのRF信号を受信し復調してコマンド等のデータを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しコマンド、タグIDおよび優先度レベル等のデータを取り出して制御部210に供給する。それによって、デバイスD2の制御部210は、デバイスD2のほうがデバイスD0より優先度レベルが低いことを検知する。そのコマンドに応答して、デバイスD2において、制御部210は所定期間内のランダムに選択されたタイミングで送信処理56を行い、データ生成部220はメモリ214から取り出したタグIDおよび優先度レベル等のデータを含むデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化し、送信部230はそのタグID等の情報を含む応答データでキャリアを変調して周波数f2のRF信号を送信する。デバイスD0の受信部250は、周波数f2の受信RF信号の受信処理48を行う。
【0122】
デバイスD1において、送信部230は、休止期間Tbの後の送信処理42の時間期間Ttにおいて、制御部210によってイネーブルされて、コマンド等のデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42を行う。デバイスD2の受信部250は、キャリア・センス52におけるキャリア検出に応答して、デバイスD0からの周波数f1のRF信号の受信処理54を行い、周波数f2のRF信号の送信処理56を行う。デバイスD1の受信部250は、デバイスD2からの周波数f2の受信RF信号の受信処理48を行う。その後、デバイスD1は、予定された時間期間Tsだけスレーブ・モードS1に移行する。
【0123】
スレーブ・モードS1の時間期間Tsにおいて、デバイスD1の受信部250は、キャリア・センス52の期間においてキャリアを検出し、受信処理54の期間においてマスタ・デバイスD0からの周波数f1のRF信号を受信する。受信処理54において、受信部250はそのRF信号を受信し復調してコマンド等のデータを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しコマンド、タグIDおよび優先度レベル等のデータを取り出して制御部210に供給する。それによって、デバイスD1の制御部210は、デバイスD1のほうがマスタ・デバイスD0より優先度レベルが低いことを検知する。そのコマンドに応答して、デバイスD2において、制御部210は、所定期間内のランダムに選択されたタイミングで送信処理56を行い、データ生成部220はメモリ214から取り出したタグIDおよび優先度レベル等のデータを含むデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化し、送信部230はそのタグID等の情報を含む応答データでキャリアを変調して周波数f2のRF信号を送信する。デバイスD1およびD2の各々は、マスタ・デバイスD0の存在(システムID)が所定時間期間Tdより長く検出できなくなるまで、スレーブ・モードS1、S2で動作する。
【0124】
図21Aはマスタ・デバイスD0の状態遷移図を示している。マスタ・デバイスD0は、常にマスタ・モードM0で動作する。
【0125】
図21Bはスレーブ・デバイスD10の状態遷移図を示している。スレーブ・デバイスD10は、常にスレーブ・モードSで動作する。
【0126】
図22は、スレーブ/マスタ・デバイスD2〜D9の各々の状態遷移図を示している。図23は、図22における各状態ST0〜ST3の定義を示している。スレーブ/マスタ・デバイスD1〜D9は、異なる3つのスレーブ・モードS状態と、1つのマスタ・モードM状態とをとる。
【0127】
図22において、状態ST0(Si)は、デバイスD2〜D9の各々の初期状態のスレーブ・モードSi(i=1〜9)であり、付近に自己より高い優先度レベルj(j<i)のマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在する場合の状態を表す。状態ST1(Si)は、付近に自己より高い優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在しなくなった場合に生じる時間期間Tdの一時的な中間状態を表す。時間期間Tdは、複数のキャリア・センス周期Tcsの長さより長く、例えば5〜10秒の或る値であってもよい。Tdは、典型的には、固定値Td0とランダム値Rndの和(Td0+Rnd)の値である(Rndは例えば0.1〜1秒のランダムな可変値である)。このランダム値Rndの導入によってデバイス間の衝突の可能性を減らすことができる。
【0128】
状態ST2(Mi)は、付近に自己より高い優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在しない場合に時間期間Tmにおいてマスタ・モードMjで動作する状態を表す。時間期間Tmは、複数のキャリア・センス周期Tcsの長さより長く、好ましくは時間期間Td以下の長さであり、例えば1〜5秒の或る値であってもよい。Tmは、典型的には、固定値Tm0とランダム値Rndの和(Tm0+Rnd)の値である(Rndは例えば0.1〜1秒のランダムな可変値である)。状態ST3(Si)は、時間期間Tm経過後の時間期間Tsにおいて付近に自己より高い優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在しない場合にスレーブ・モードSiで動作する状態を表す。時間期間Tsは、複数のキャリア・センス周期Tcsの長さより長く、好ましくは時間期間Td以下の長さであり、例えば1〜5秒の或る値であってもよい。Tsは、典型的には、固定値Td0とランダム値Rndの和(Ts0+Rnd)の値である。キャリア・センス周期Tcsは、時間期間TmおよびTsの各々より短く、例えば0.5秒である。時間期間Tmは時間期間Tsより短いのが好ましい。時間期間Tdは、時間期間TmおよびTsの各々と等しいかまたはそれより長い。
【0129】
状態ST0(Si)において、条件1「付近に自己より高い優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在すること」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST0を継続する。状態ST0(Si)において、条件2「条件1が成立しない」という条件を満たす場合には、それは状態ST1(Si)に移行する。このとき、デバイスD2〜D9の各々は、付近にマスタ・モードMjで動作するデバイスがいなくなったことを表す音響的なアラーム1をアラーム部276によって発生してもよい。
【0130】
状態ST1(Si)において、条件3「条件1が成立した後の時間期間Td内である」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST1を継続する。状態ST1(Si)において、条件4a「付近により高い優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在することを検出した」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST0(Si)に戻る。状態ST1(Si)において、条件4b「付近に同じ優先度レベルiのマスタ・モードMiで動作するデバイスDjが存在することを検出した」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は時間期間Tdを所定時間Td’(Td’<Td)だけ延長して状態ST1を継続する。状態ST1(Si)において、条件5「条件2が成立した後時間期間Tdが経過し、より高いまたは同じ優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作する他のデバイスを検出しなかった」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST2(Si)に移行する。状態ST1(Si)において、付近に自己より低い優先度のマスタ・モードMjで動作する他のデバイスを検出しても条件5が満たされるのを待てばよい。この場合、他のデバイスは、状態ST2において図23の条件8を満たし、状態ST0のスレーブ・モードに移行するであろう。
【0131】
状態ST2(Mi)において、条件6「条件5が成立した後の時間期間Tm内である」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST2を継続する。状態ST2(Mi)において、条件7「条件5が成立した後の時間期間Tmが経過した」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST3(Si)に移行する。状態ST2(Si)において、条件8「自己より高いまたは同じ優先度レベルのスレーブ・モードSjで動作するデバイスDjを検出した」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST0(Si)に移行する。
【0132】
状態ST3(Si)において、条件9「条件7が成立した後の時間期間Ts内である」を満たす場合は、デバイス2〜9の各々は状態ST3を継続する。状態ST3(Si)において、条件10「時間期間Tsが経過するまでに、自己より高いまたは同じ優先度レベルjを有しマスタ・モードMjで動作する他のデバイスDjを検出しなかった」を満たす場合は、デバイス2〜9の各々は状態ST2(Si)に戻る。状態ST3(Si)において、条件11「時間期間Tsが経過するまでに、自己より高いまたは同じ優先度レベルjを有しマスタ・モードMjで動作する他のデバイスDjを検出した」を満たす場合は、デバイス2〜9の各々は所期の状態ST0(Si)に戻る。このとき、D2〜D9は、付近にマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在することを表す音響的なアラーム3をアラーム部276によって発生してもよい。
【0133】
図24A〜24Dは、互いの通信可能範囲に同じ優先度レベル1の2つのスレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2を含む複数のデバイスD0〜D3が存在する場合の動作モードのタイムチャートを示している。
【0134】
図24A〜24Dにおいて、最初、マスタ・デバイスD0およびスレーブ/マスタ・デバイスD1〜D3が互いの通信可能範囲に位置し、マスタ・デバイスD0はマスタ・モードM0で動作し、スレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2はスレーブ・モードS1で動作し、スレーブ/マスタ・デバイスD3はスレーブ・モードS3で動作する。マスタ・デバイスD0は優先度レベル0を有する。スレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2は共に優先度レベル1を有する。デバイスD3は、優先度レベル2を有し、デバイスD0、D1およびD2より優先度レベルが低い。
【0135】
タイミングtdにおいてマスタ・デバイスD0がいなくなったとき、デバイスD3において時間期間Td(=Td0+Rnd)が経過してデバイスD3が先にマスタ・モードM2に移行する。デバイスD3は時間期間Tmにおいてマスタ・モードM2で動作し、より高い優先度の他のデバイスD1およびD2の存在を検出する。そのデバイスD1およびD2の存在を検出した場合、デバイスD3はスレーブ・モードS2へ移行してもよい。他のデバイスD1およびD2は、タイミングtdからそれぞれの時間期間Td経過後は、時間期間Tmにおいてマスタ・モードM2で動作する優先度レベルの低いデバイスD3が存在するので、マスタ・モードに移行可能である。代替構成として、他のデバイスD1およびD2は、タイミングtdからそれぞれの時間期間Td経過後、マスタ・モードM2で動作する優先度レベルの低いデバイスD3が存在する場合にも、マスタ・モードへ移行するのを遅延させてもよい。
【0136】
その後、デバイスD3は、時間期間Tmの後で状態ST3(Si)のスレーブ・モードS2に移行する。デバイスD2は、デバイスD3がスレーブ・モードS2に移行した後で時間期間Tdが経過して、より高いまたは同じ優先度レベルのマスタ・モードMで動作する他のデバイスが存在しないので、マスタ・モードM1に移行する。デバイスD3は、状態ST3(Si)において時間期間Tx経過後に状態ST0のスレーブ・モードS2に移行する。ここで、時間期間Txは、図22の状態ST3(Si)において図23の条件11「時間期間Tsが経過するまでに自己より高いまたは同じ優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作する他のデバイスDjを検出した」ときの経過時間を表す。デバイスD2は次の時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作し、同じ優先度の他のデバイスD1の存在を検出する。他のデバイスD1は、状態ST1において、時間期間Td経過後も、時間期間Tmにおいて同じ優先度レベルのマスタ・モードM1で動作するデバイスD2が存在するので、マスタ・モードM1に移行しない。
【0137】
その後、デバイスD2は、時間期間Tmの後で状態ST3のスレーブ・モードS1に移行する。デバイスD2は、時間期間Tsが経過するまでスレーブ・モードを維持し、即ち他のデバイスD1からタグID要求信号を搬送する周波数f1のRF信号を受信するのをスレーブ・モードS1で待つ。デバイスD1は、状態ST1において条件5「より高いまたは同じ優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作する他のデバイスを検出しない」を満たすようになるのでマスタ・モードM1に移行する。そのデバイスD1のマスタ・モードM1への移行は、デバイスD2がスレーブ・モードS1に移行してから例えば時間期間Tx経過後である(Tx<Ts)。デバイスD1は次の時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作し、デバイスD1と同じ優先度の他のデバイスD2の存在を検出する。他のデバイスD2およびD3は、その時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作するデバイスD1が存在するので、スレーブ・モードで動作し続ける。
【0138】
その後、デバイスD1は、時間期間Tmの後で状態ST3のスレーブ・モードS1に移行する。デバイスD1は、時間期間Tsが経過するまでスレーブ・モードを維持し、即ち他のデバイスD2からタグID要求信号を搬送する周波数f1のRF信号を受信するのをスレーブ・モードS1で待つ。デバイスD2は、状態ST1において条件5「より高いまたは同じ優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作する他のデバイスを検出しない」を満たすようになるのでマスタ・モードM1に移行する。そのデバイスD2のマスタ・モードM1への移行は、デバイスD1がスレーブ・モードS1に移行してから例えば時間期間Tx経過後である(Tx<Ts)。デバイスD2は次の時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作し、デバイスD2と同じ優先度の他のデバイスD1の存在を検出する。他のデバイスD1およびD3は、その時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作するデバイスD2が存在するので、スレーブ・モードで動作し続ける。このようにして、同じ優先度レベルのデバイスD1およびD2は、交互にマスタ・モードM1で動作する。
【0139】
このように、上述の実施形態によれば、マスタ・デバイスが付近に存在しなくても、複数のデバイスの間で互いに交信して情報を交換することができる。
【0140】
以上の説明では、本発明をRFIDタグに関連して説明したが、これに限定されることなく、本発明が非接触ICカードにも適用できることは、この分野の専門家には理解されるであろう。
【0141】
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素を組み合わせること、その変形およびバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理および請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく上述の実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。
【0142】
以上の実施例を含む実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 第1のメモリと、第1の制御部と、スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる第1の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第1の送信部と、を具える第1のアクティブ型非接触情報記憶装置と、
第2のメモリと、第2の制御部と、前記第2の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第2の送信部と、前記第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとるよう構成された第2の受信部と、を具えるマスタとして動作する読み取り書込み装置と、
第3のメモリと、第3の制御部と、スレーブ・モードにおいて前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作する第3の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信する第3の送信部と、を具える第2のアクティブ型非接触情報記憶装置と、
を含む、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムであって、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記第1の受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記第1の受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記第1の受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記第1の送信部を、前記第1のメモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記第1の受信部を動作状態にし、かつ、前記第1の送信部を不動作状態にし、
前記第1の受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記第1の受信部および前記第1の送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記第1の受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記第1の送信部および前記第1の受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、
情報アクセス・システム。
(付記2) 前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置において、前記第3の受信部は、さらに、マスタ・モードにおいて前記第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとり、前記第3の送信部は、さらに、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、休止期間において不動作状態となるよう動作するものであること、を特徴とする付記1に記載の情報アクセス・システム。
(付記3) 前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードにおいて、前記休止期間を挟んで複数の前記送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、マスタ・モードにおいて第2の時間期間が経過したとき前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードに移行させること、を特徴とする付記1または2に記載の情報アクセス・システム。
(付記4) 前記第1のメモリは前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第2のメモリは前記読み取り書込み装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第3のメモリは前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードからスレーブ・モードに移行し後、前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度より高い優先度を有する他の装置から情報要求信号を第3の時間期間において受信しなかったときは前記第1の送信部および前記第1の受信部を再びマスタ・モードに移行させ、前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度より高い優先度を有する他の装置から情報要求信号を前記第3の時間期間において受信したときは前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードのまま維持すること、を特徴とする付記3に記載の情報アクセス・システム。
(付記5) 前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置において、前記第3の受信部は、さらに、マスタ・モードにおいて前記第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとり、前記第3の送信部は、さらに、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、休止期間において不動作状態となるよう動作するものであり、
前記第1のメモリは前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第2のメモリは前記読み取り書込み装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第3のメモリは前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードにおいて、前記休止期間を挟んで複数の前記送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、マスタ・モードにおいて前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度より高い優先度を表す情報を含む応答信号を受信したとき前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードに移行させること、を特徴とする付記1に記載の情報アクセス・システム。
(付記6) 前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置において、前記第3の受信部は、さらに、マスタ・モードにおいて前記第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとり、前記第3の送信部は、さらに、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、休止期間において不動作状態となるよう動作するものであり、
前記第1のメモリは前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第2のメモリは前記読み取り書込み装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第3のメモリは前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードにおいて、前記休止期間を挟んで複数の前記送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度と同じ優先度を表す情報を含む応答信号を受信した場合、マスタ・モードからスレーブ・モードに移行した後で、前記同じ優先度を表す情報を含む情報要求信号を受信し得る少なくとも所定の時間期間が経過するまでは前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードのまま維持すること、を特徴とする付記1に記載の情報アクセス・システム。
(付記7) 読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信可能なアクティブ型非接触情報記憶装置であって、
メモリと、
制御部と、
スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる受信部と、
スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる送信部と、
を具え、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記送信部および前記受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、
アクティブ型非接触情報記憶装置。
(付記8) 読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信可能なアクティブ型非接触情報記憶装置であって、
メモリと、
制御部と、
前記制御部に結合されたスイッチと、
スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる受信部と、
スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる送信部と、
を具え、
前記制御部は、ユーザによって前記手動スイッチが付勢されたときに、前記送信部および前記受信部を一時的にマスタ・モードに移行させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御することを特徴とする、
アクティブ型非接触情報記憶装置。
(付記9) アクティブ型非接触情報記憶装置において、読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信する通信方法であって、
前記アクティブ型非接触情報記憶装置は、メモリ、制御部、送信部および受信部を具えるものであり、
前記制御部を用いて、スレーブ・モードにおいて、第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう前記受信部を動作させ、情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信するよう前記送信部を動作させ、
前記制御部を用いて、マスタ・モードにおいて、前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとるよう前記受信部を動作させ、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となるよう前記送信部を動作させ、
スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記送信部および前記受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、通信方法。
(付記10) 読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信するためのアクティブ型非接触情報記憶装置用のプログラムであって、
前記アクティブ型非接触情報記憶装置は、メモリ、制御部、送信部および受信部を具えるものであり、
スレーブ・モードにおいて、第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう前記受信部を動作させ、情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信するよう前記送信部を動作させるステップと、
マスタ・モードにおいて、前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとるよう前記受信部を動作させ、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となるよう前記送信部を動作させるステップと、
を実行させるよう動作可能であり、
スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記送信部および前記受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、プログラム。
(付記11) 付記7または8に記載のアクティブ型非接触情報記憶装置を有する電子機器。
(付記12) 付記7または8に記載のアクティブ型非接触情報記憶装置を有する物品。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】図1は、従来の改良型のアクティブRFIDタグを読み取るためのリーダ/ライタ装置とRFIDタグのタイムチャートを示している。
【図2】図2は、さらに改良されたアクティブRFIDタグとリーダ/ライタ装置300の構成を示している。
【図3】図3Aは、リーダ/ライタ装置のタグID要求コマンド等の情報を含むデータを搬送するRF信号の送信処理のタイミングを示している。図3Bは、リーダ/ライタ装置の受信待ち状態および受信RF信号の受信処理のタイミングを示している。図3Cは、アクティブRFIDタグのキャリア・センス、受信RF信号の受信処理、および応答を搬送するRF信号の送信処理のタイミングを示している。
【図4】図4は、リーダ/ライタ装置によって実行される処理のフローチャートを示している。
【図5A】図5Aおよび5Bは、アクティブRFIDタグによって実行される処理のフローチャートを示している。
【図5B】(図5Aで説明)
【図6】図6は、図2の構成を変形したより安全なアクティブRFIDタグとリーダ/ライタ装置の構成を示している。
【図7】図7Aは、リーダ/ライタ装置のID要求コマンド等のデータを搬送するRF信号の送信処理のタイミングを示している。図7Bは、リーダ/ライタ装置の受信待ち状態および受信RF信号の受信処理のタイミングを示している。図7Cは、アクティブRFIDタグのキャリア・センス、受信RF信号の受信処理、および認証成功の場合における応答を搬送するRF信号の送信処理のタイミングを示している。
【図8】図8は、リーダ/ライタ装置によって実行される処理のフローチャートを示している。
【図9A】図9Aおよび9Bは、アクティブRFIDタグによって実行される処理のフローチャートを示している。
【図9B】(図9Aで説明)
【図10】図10は、本発明の実施形態による、スレーブまたはマスタとして動作するスレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグを含むスレーブ/マスタ・デバイスの構成を示している。
【図11】図11は、本発明の実施形態による、マスタ・リーダ/ライタ装置(R/W)を含むマスタ・デバイスの構成を示している。
【図12】図12Aは、本発明の実施形態による、マスタ・デバイスとしてのパーソナル・コンピュータの通信可能範囲の領域における、パーソナル・コンピュータと、スレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ、携帯電話機およびバッジ、およびスレーブ・デバイスとしての荷札との間の交信状態の例を示している。図12Bは、図12Aの配置においてマスタ・デバイスとしてのパーソナル・コンピュータがいなくなった場合の、スレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグと、スレーブ/マスタ・デバイスとしての携帯電話機およびバッジ、およびスレーブ・デバイスとしての荷札との間の交信状態の例を示している。
【図13】図13Aおよび13Bは、ユーザが図10におけるスイッチを押下することによってスレーブ/マスタ・デバイスが一時的にスレーブ・モードSからマスタ・モードMへ移行する変化を示すタイムチャートを示している。
【図14】図14Aおよび14Bは、ユーザが図10のスイッチを押下することによってスレーブ/マスタ・デバイスが一定時間期間だけスレーブ・モードSからマスタ・モードMへの移行する変化を示す別のタイムチャートを示している。
【図15】図15は、各デバイスのマスタ/スレーブ(M/S)の優先度レベルを示す表の例を示している。
【図16】図16は、初期状態として各デバイスが互いの通信可能範囲内に存在していた後、いずれかのデバイスが移動して消失した場合の残りのデバイスの動作を示している。
【図17】図17は、初期状態としていずれかのデバイスが互いの通信可能範囲内に存在していたとき、他のデバイスが出現して通信に参加した場合の各デバイスの動作を示している。
【図18】図18は、初期状態として各デバイスが互いの通信可能範囲内に存在していたとき、いずれかのデバイスが消失した場合の残りのデバイスの別の動作を示している。
【図19】図19A〜19Fは、互いに通信可能範囲にあり異なる優先度レベルを有する2つのスレーブ/マスタ・デバイスの動作のタイムチャートを示している。
【図20】図20は、A〜20Iは、互いに通信可能範囲にあり異なる優先度レベルを有する2つのスレーブ/マスタ・デバイス、および後でそのデバイスの通信可能範囲に出現する最も高い優先度のマスタ・デバイスの動作のタイムチャートを示している。
【図21】図21Aはマスタ・デバイスの状態遷移図を示している。図21Bはスレーブ・デバイスの状態遷移図を示している。
【図22】図22は、スレーブ/マスタ・デバイスの各々の状態遷移図を示している。
【図23】図23は、図22における各状態の定義を示している。
【図24】図24A〜24Dは、互いの通信可能範囲に同じ優先度レベルの2つのスレーブ/マスタ・デバイスを含む複数のデバイスが存在する場合の動作モードのタイムチャートを示している。
【符号の説明】
【0144】
20 スレーブ/マスタ・デバイス
204 スレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグ
210 制御部
214 メモリ
215 マスタ/スレーブ切換部
222 データ生成部
230 送信部
244 データ復号部
250 受信部
278 スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で情報の読み取り書き込みが可能なアクティブ型の非接触情報記憶装置の読取りおよび書込みに関し、特に、マスタ・モードにおいて他のアクティブ型のRFIDを読み取ることができるアクティブ型のRFIDに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ給電型すなわちアクティブ・タイプのRFIDタグは、商品等に取り付けられまたは人によって携帯され、それら商品および人に関するIDおよび情報を搬送する所定の周波数のRF信号を送信し、そのRF信号はリーダ装置によって読み取られる。その読み取られた情報はコンピュータ等によってさらに処理され、商品の流通および人の行動を監視および管理できる。バッテリ給電によるアクティブ・タイプのRFIDタグは、電力をリーダ/ライタ装置から非接触で受け取るパッシブ・タイプのRFIDタグに比べて、通信可能距離が比較的長く、実用的である。しかし、アクティブ・タイプのRFIDタグは、一定周期でRF信号を送信するので、第三者によって追跡される危険性があり、セキュリティに問題がある。そのセキュリティ対策として、リーダ/ライタ装置からのタグIDの要求に対してのみ応答する改良型のアクティブRFIDタグがある。
【0003】
特表2000−509536号公報(A)には、高周波識別装置が記載されている。その高周波識別装置は、レシーバと、トランスミッタと、マイクロプロセッサとを備える集積回路を有する。レシーバとトランスミッタとは、共に、アクティブ・トランスポンダを構成する。その集積回路は、好ましくは、レシーバ、トランスミッタ及びマイクロプロセッサを含むモノリシックな単一ダイ集積回路である。その装置は、電力供給を磁気結合に依存するトランスポンダの代わりにアクティブ・トランスポンダを有するので、この装置は遥かに大きな有効範囲を有する。
【特許文献1】特表2000−509536号公報
【0004】
2000年4月21日付けで公開された特開2000−113130号公報(A)には、低消費電力のICタグ検知システムが記載されている。そのシステムは、通信回路と制御部と、これらに電池から電力を供給する電源部と、計時手段と、を備え、所定の設定時刻ごとに送信を行うICタグであって互いに設定時刻の異なるものを複数個備えるとともに、これらとの通信に基づいてそれぞれの有無を検知する検知機も備えていて、検知機が、通信回路を有し、その受信の有無をICタグそれぞれの設定時刻ごとに逐次判別して検知を行う。検知機からの問い合わせが無いので、ICタグは無駄な反応や電池消耗を回避できる。
【特許文献2】特開2000−113130号公報
【0005】
2001年9月14付けで公開された特開2001−251210号公報(A)には、二重リンクにおいて、両ノードの送信機に、それぞれ独立した基準発振器を必要としない周波数ロックの実現方法が記載されている。全二重リンクにおいて、受信周波数の情報を利用して、送信機の搬送周波数を同調させることによって、リンクにおける両ノードの送信周波数を同時にロックする。第一の送信機の搬送周波数におけるオフセットは、対応する第二の受信機におけるオフセットとして検出される。第二の受信機は、検出したオフセットに応じて当該送信機の搬送周波数を偏移させ、第一の送信機に検出されたオフセットを知らせる。第一の受信機において検出されたオフセットによって、当該送信機の搬送周波数が補正される。
【特許文献3】特開2001−251210号公報
【0006】
特開平10−187898号公報(A)には、ICカードが記載されている。そのICカードは、ICカードが装着される情報処理装置またはこの情報処理装置を介して他のICカードとの間でデータの授受をする。ICカードは、データの授受を行う相手に対して自己をマスタ及びスレーブのいずれの処理状態にも設定しかつ予め選択されたいずれか一方の処理状態に設定する状態設定手段と、相手をマスタ及びスレーブのいずれか他方に設定する状態情報を送信情報に加えて相手に送信する送信手段とを有する。それによって、ICカードを主体としてデータの伝送を行うことができ、ICカードに種々の処理機能付けができる。
【特許文献4】特開平10−187898号公報
【0007】
国際公開WO2004/036482(特表2006−503376号公報(A))には、パッシブRFIDタグの交渉を最小化するためのシステムが記載されている。そのシステムにおいて、それぞれのパッシブRFIDタグは、読み取り器によって準備がされた後、確認応答フラッグを記憶し、休止状態へ遷移する。読み取り器はすべてのRFIDタグまたは読み込まれてないRFIDタグをアドレスできる。それぞれのRFIDタグは、信号が読み取り器によって受信される場合、その確認応答フラッグを消去し得る。確認応答しなかったRFIDタグは読み取り器と通信し続ける。
【特許文献5】国際公開WO2004/036482
【0008】
特開2006−23962号公報(A)には、非接触ICタグ・システムが記載されている。そのシステムにおいて、複数のICタグをマスタICタグとスレーブICタグに区分けするとともに、マスタICタグのメモリのメモリ構成管理領域において自ICタグおよび各スレーブICタグのメモリ構成情報(各ICタグの識別情報、メモリ先頭アドレスおよびメモリバイト数)を格納しておき、リーダ/ライタは、マスタICタグを特定してこれらのICタグを統合して取り扱う。それによって、大量生産される安価でメモリ容量の少ない非接触ICタグを利用しつつ大きなデータを効率良く取り扱うことができる。
【特許文献6】特開2006−23962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
リーダ/ライタ装置からのID要求に対してのみ応答する上述の改良型の複数のアクティブRFIDタグは、リーダ/ライタ装置を介して交信し、例えば、情報を交換し、または互いに関連づけることができる。しかし、リーダ/ライタ装置がいなくなると、複数のアクティブRFIDタグは、互いに交信することができず、情報を交換したり、互いに関連づけることができなくなる。
【0010】
発明者たちは、リーダ/ライタ装置が付近に位置する場合にはスレーブ・モードで動作し、リーダ/ライタ装置が付近に位置しない場合にはマスタ・モードで動作するように或るアクティブRFIDタグを構成し、或るアクティブRFIDタグがマスタ・モードにおいて他のアクティブRFIDタグに対してリーダ/ライタ装置であるかのように動作させれば、他のアクティブRFIDタグとの間で情報を交換しまたは互いに関連づけることができる、と認識した。
【0011】
本発明の目的は、複数のアクティブ型非接触情報記憶装置が互いに直接交信できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の特徴によれば、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムは、第1のメモリと、第1の制御部と、スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいてその第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる第1の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときにその第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、その第1の制御部の制御の下で送信期間においてその第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第1の送信部と、を具える第1のアクティブ型非接触情報記憶装置と、第2のメモリと、第2の制御部と、その第2の制御部の制御の下で送信期間においてその第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第2の送信部と、その第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとるよう構成された第2の受信部と、を具えるマスタとして動作する読み取り書込み装置と、第3のメモリと、第3の制御部と、スレーブ・モードにおいてその第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作する第3の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときにその第2の周波数の応答信号を送信する第3の送信部と、を具える第2のアクティブ型非接触情報記憶装置と、を含んでいる。その第1のアクティブ型非接触情報記憶装置のその第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、その第1の受信部を、その送信期間およびその休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間にその第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、その第1の受信部が或る所定期間にその第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、その第1の受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、その情報要求信号に応答して、その第1の送信部を、その第1のメモリに格納された情報を含むその第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させる。その第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、キャリア・センスのとき、その或る所定期間においてその第1の受信部を動作状態にし、かつ、その第1の送信部を不動作状態にし、その第1の受信部がその或る所定期間にその第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、そのキャリア・センスのその或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべきその所定期間との間の非キャリア・センス期間において、その第1の受信部およびその第1の送信部を不動作状態を維持するよう制御し、その第1の受信部が複数のその或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、その第1の送信部およびその第1の受信部をマスタ・モードに移行させる。
【0013】
本発明は、さらに、上述の情報アクセス・システムを実現するためのアクティブ型非接触情報記憶装置に関する。
本発明は、さらに、そのようなアクティブ型非接触情報記憶装置を有する電子機器および物品に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リーダ/ライタ装置を介さずに複数のアクティブ型非接触情報記憶装置が互いに直接交信できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0016】
図1は、従来の改良型のアクティブRFIDタグを読み取るためのリーダ/ライタ装置(R/W)とRFIDタグのタイムチャートを示している。リーダ/ライタ装置は、コマンド(CMD)の送信とRFIDからの受信を同じ周波数チャネルで時分割的に行う。リーダ/ライタ装置は、例えば2秒といった一定の周期で例えば100msの持続時間でタグID要求コマンドを送信し、残りの時間は受信待ち状態となる。
【0017】
1つのリーダ/ライタ装置によって複数のRFIDタグに対応できるようにするために、各RFIDタグは、一般的には、リーダ/ライタ装置による1回のID要求に対して、衝突回避のためにリーダ/ライタ装置へ応答送信するタイミング(時間期間)をランダムにずらすように構成されている。各RFIDタグは、コマンド受信後の所定時間内のランダムに選択されたタイムスロットでリーダ/ライタ装置へ応答送信し、従って応答の衝突の確率が低減される。そのためにはリーダ/ライタ装置は受信待ちの持続時間を長くする必要がある。例えば、各RFIDタグからのランダムなタイミングにおける応答送信のための持続時間が0〜1.5秒程度の場合、リーダ/ライタ装置は1.5秒以上の受信待ち持続時間を確保する必要がある。従って、リーダ/ライタ装置の応答送信の周期が長くなる。RFIDタグは、リーダ/ライタ装置から送信されたタグID要求コマンドを検出するために、一定周期でキャリア・センスを行い、即ち受信RF信号の強度の検知を行い、キャリアを検知した時のみ受信処理および送信動作に移行するよう構成されている。リーダ/ライタ装置による送信の周期が2秒である場合、それを確実に検知するためには、キャリア・センス持続時間も少なくとも約2秒確保する必要がある。
【0018】
通常、RFIDタグは、キャリア・センスから次のキャリア・センスまでの間の期間は、リーダ・ライタ装置の要求が未検出のときはパワーダウン・モードへ移行し、できるだけ消費電力を削減し、バッテリ稼動時間を長くする必要がある。しかし、キャリア・センス持続時間を少なくとも約2秒確保しようとすると、パワーダウン時間をほとんど確保できなくなり、消費電力の削減も困難である。
【0019】
従って、図1のアクティブRFIDタグは、リーダ/ライタ装置からの長い周期のタグID要求コマンドに対して応答する必要があるので、キャリア・センス持続時間が長くなり、消費電力が多くなり、バッテリ稼動時間も短くなる。
【0020】
図2は、さらに改良されたアクティブ型非接触情報記憶装置としてのスレーブのアクティブRFIDタグ200とマスタのリーダ/ライタ装置(R/W)300の構成を示している。アクティブ型非接触情報記憶装置として、アクティブRFIDタグ200の代わりに、アクティブRFIDタグ200と同様の構成を有する非接触ICカードを用いてもよい。
【0021】
アクティブRFIDタグ200は、制御部210と、メモリ214と、メモリ214に格納されているタグID(ID_tag)等のデータを所定の符号化方式に従って符号化して符号化データを生成するデータ生成部220と、データ生成部220から受け取ったベースバンドの符号化データでキャリアを変調して、周波数f2または相異なる周波数f2i(n=1、2、...n)のRF信号を送信する送信部(TX)230と、周波数f1のRF信号を受信して復調してベースバンド符号化データを生成し、受信RF信号のキャリア強度を表すデータを生成する受信部(RX)250と、受信部250から受け取った符号化データを所定の符号化方式に従って復号して復号データを生成するデータ復号部240と、上述のキャリア強度を表すデータに基づいて受信RF信号のキャリアの有無を判定するキャリア判定部246と、予め設定された時間制御シーケンスでウェイクアップ信号を生成するウェイクアップ部270と、送信部230に結合された送信アンテナ(ANT)282と、受信部250に結合された受信アンテナ(ANT)284と、各構成要素210〜270に電力を供給するバッテリ290と、を具えている。周波数f1およびf2は、例えばそれぞれ300MHzおよび301MHzである。周波数f2iは、例えば301MHz、302MHz、....305MHzである。送信部(TX)230の送信出力は、例えば1mWである。代替構成として、アンテナ282と284は1つのアンテナであってもよい。
【0022】
制御部210は、送信タイムスロットをランダムに選択するための乱数を発生する乱数発生部211と、送信周波数f2iを切り換える周波数切り換え部212と、送信タイミングを調整するためのタイミング調整部213とを含んでいる。
【0023】
制御部210は、電源投入後は常に活動状態になっていて、メモリ214と、データ生成部220と、送信部230と、受信部250と、データ復号部240と、キャリア判定部246と、ウェイクアップ部270とに、それぞれメモリ制御信号CTRL_M、データ生成制御信号CTRL_ENC、送信制御信号CTRL_TX、受信制御信号CTRL_RX、データ復号制御信号CTRL_DEC、キャリア判定制御信号CTRL_CSおよびウェイクアップ部制御信号を供給する。制御部210は、プログラムに従って動作するマイクロプロセッサまたはマイクロコンピュータであってもよい。
【0024】
メモリ214は、RFIDタグ200のタグID(ID_tag)、現在の時刻T、リーダ/ライタ装置300によるアクセスの記録、ウェイクアップ部270の制御スケジュールおよび時間制御シーケンス、バッテリ290の現在の電力残量、キャリア・センスの周期Tcs、受信処理持続時間、送信周期、送信持続時間、等の情報を格納している。これらの情報は、制御部210の制御の下で格納され、更新される。制御部210は、定期的にまたは周期的にバッテリ290の供給電圧Vdの値を検知することによってその現在の電力残量Pを判定して、バッテリ290の電力残量Pを表す情報をメモリ214に格納する。
【0025】
ウェイクアップ部270は、時間を測定し時刻を生成するタイマ274を含み、RFIDタグ200の電源投入後は常に活動状態になっていて、タイマ274の時刻およびメモリ214から読み出した予め設定された制御スケジュールおよび時間制御シーケンスに従って例えば2秒といった所定のキャリア・センス周期Tcsでウェイクアップ信号(Wakeup)を制御部210に供給する。制御部210は、リーダ/ライタ装置300から、制御スケジュールおよび時間制御シーケンスを修正または更新する命令と、現在の時刻Tと、制御スケジュールおよび時間制御シーケンスとを受信データとして受信したとき、メモリ214中の時刻T、制御スケジュールおよび時間制御シーケンスを修正し更新する。制御部210は、メモリ214中の時刻Tに基づいてタイマ274の時刻を修正し、タイマ274によって生成された現在の時刻Tをメモリ214に書き込み更新する。
【0026】
データ生成部220は、メモリ214に格納されているタグID(ID_tag)等を含む所定のフォーマットのデータを生成して所定の符号化方式に従ってそれを符号化して送信部230に供給する。そのデータはバッテリ残量およびアクセス記録を含むことがある。データ復号部240は、受信した符号化データを所定の符号化方式に従って復号して復号データをデータ生成部220および制御部210に供給する。キャリア判定部246は、受信部250から受信RF信号キャリアの電力の強度を表すデータを受け取って受信キャリアの有無を判定してその判定結果を制御部210に供給する。
【0027】
リーダ/ライタ装置300は、ホスト・コンピュータ(図示せず)との間でデータを送受信する制御部310と、メモリ314と、制御部310から受け取ったタグID要求コマンド(CMD)等を含む所定のフォーマットのデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化して符号化データを生成するデータ生成部320と、データ生成部320から受け取ったベースバンド符号化データでキャリアを変調して周波数f1のRF信号を送信する送信部(TX)330と、周波数f2またはf21〜f2nのRF信号を受信するよう構成された受信部(RX)350と、受信部350から受け取った受信データを所定の符号化方式に従って復号してベースバンド符号化データを生成し、その生成した復号データを制御部310に供給するデータ復号部340と、時間を測定し時刻を生成するタイマ374と、送信部330に結合された送信アンテナ(ANT)382と、受信部350に結合された受信アンテナ(ANT)384と、を具えている。送信部(TX)330の送信出力は例えば100mWである。代替構成として、アンテナ382と384は1つのアンテナであってもよい。
【0028】
制御部310は、ホスト・コンピュータからのタグIDまたはタグ情報の要求コマンド(以下、単にタグID要求コマンドという)等のコマンドを受け取ったとき、そのようなコマンドを含むデータをデータ生成部320に供給する。そのデータは、RFIDタグ200の使用すべき送信周波数f2またはf2i、基準の現在の時刻T、新しいまたは更新された制御スケジュールおよび時間制御シーケンス等を含んでいてもよい。そのようなコマンドには、現在の時刻Tとともにタイマ274の時刻を修正または更新するよう命令するコマンドが含まれていてもよい。そのようなコマンドには、新しいまたは更新された制御スケジュールまたは時間制御シーケンスとともにメモリ214に格納されているスケジュールまたはシーケンスを修正または更新するよう命令するコマンドが含まれていてもよい。
【0029】
図3Aは、リーダ/ライタ装置300のコマンド等のデータを搬送するRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図3Bは、リーダ/ライタ装置300の受信待ち状態46および受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。図3Cは、アクティブRFIDタグ200のキャリア・センス50および52、受信RF信号の受信処理54、および応答を搬送するRF信号の送信処理56のタイミングを示している。
【0030】
図3Aを参照すると、リーダ/ライタ装置300のデータ生成部320は、制御部310から受け取ったRFIDタグに対するタグID要求コマンドを含むデータを生成しそれを所定の符号化方式に従って符号化して、符号化データを生成する。送信部330は、送信処理42の連続する各タイムスロットにおいて、そのコマンド等のデータを搬送するRF信号を充分短い間隔で繰り返し送信する。
【0031】
図3Cを参照すると、アクティブRFIDタグ200において、受信部250およびキャリア判定部246は、ウェイクアップ部274のウェイクアップ信号に従って例えば2秒といった一定の周期Tcsで例えば約1ms〜10msの所定の持続時間で発生するキャリア・センス50および52のタイミングで制御部210によってイネーブル(活動化、enable)される。それによって、受信部250は受信待ち状態になり、キャリア判定部246は受信部250からの受信RF信号キャリア電力の強度を表すデータに従って受信キャリアの有無の判定を行う。RFIDタグ200がリーダ/ライタ装置300に接近していないときは、キャリア判定部246はキャリアを検知せず(ND)、キャリアが存在しないと判定する。キャリア・センス50相互間の期間51において、RFIDタグ200は休止モードに入って、制御部210およびウェイクアップ部270だけがイネーブルまたはパワー・オン(付勢)されており、その他の構成要素214〜250はディセーブル(非活動化、disable)またはパワー・ダウン(消勢)されている。休止期間51の時間長は、キャリア・センス期間50の終了時点と次のキャリア・センス期間50の開始時点との間の時間長より短くてもよい。
【0032】
RFIDタグ200がリーダ/ライタ装置300に接近してRFIDタグ200の受信部250がRF信号を受信したときに、キャリア・センス52のタイミングでキャリア判定部246は、RF信号のキャリアを検知し(DT)、キャリアが存在すると判定する。そのキャリアが存在するという判定に応答して、受信部250およびデータ復号部240は直後の受信処理54のタイミングで例えば100msといった所定の持続時間においてイネーブルされ、受信部250はそのRF信号を受信し復調してコマンドを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しコマンドを取り出して制御部210に供給する。そのコマンドに応答して、制御部210は、所定期間内のランダムに選択された送信処理56のタイミングで例えば100msといった所定の持続時間において、データ生成部220および送信部230をイネーブルし、データ生成部220はメモリ214から取り出したタグID(ID_tag)およびその他の所要の情報を含むデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化する。その他の所要の情報には、例えば、パッケージ内の商品の内容および個数、発送者、移動、経由地および宛先、等に関する情報が含まれていてもよい。送信部230はそのタグIDを含む応答データでキャリアを変調してRF信号を送信する。
【0033】
図3Bを参照すると、リーダ/ライタ装置300の受信部350は、常に受信待ち状態46にあり、RFIDタグ200が接近してRF信号を受信したときに、受信処理48のタイミングにおいて受信RF信号を復調して符号化データを生成し、データ復号部350は符号化データを所定の符号化方式に従って復号してタグIDを含む応答データを再生し、その再生されたタグIDを制御部310に供給する。制御部310は、そのタグIDをホスト・コンピュータに供給する。ホスト・コンピュータは、タグIDを処理して、商品の流通または人を監視し管理するのに用いる。
【0034】
通常、リーダ/ライタ装置300にRFIDタグ200が接近していない時間ははるかに長いので、アクティブRFIDタグ200は大部分の時間期間は休止モードになる。従って、アクティブRFIDタグ200の消費電力は大幅に低減され、バッテリ290の稼動時間は大幅に長くなる。
【0035】
図4は、リーダ/ライタ装置300によって実行される処理のフローチャートを示している。図5Aおよび5Bは、アクティブRFIDタグ200によって実行される処理のフローチャートを示している。
【0036】
図4を参照すると、ステップ402において、リーダ/ライタ装置300の制御部310は、ホスト・コンピュータから受け取ったタグID要求があるかどうかを判定する。タグIDの要求があるまでステップ402は繰り返される。タグIDの要求があると判定された場合、手順は送信処理のステップ412および受信処理のステップ422に進む。
【0037】
ステップ412において、制御部310はタグID要求コマンドおよび関連するデータをデータ生成部320に供給し、データ生成部320はタグID要求コマンドを含むデータを生成してその生成データを、例えばNRZ(Non Return to Zero)符号化法またはマンチェスタ符号化法等の所定の符号化方式に従って符号化し、送信部330は、図3Aの送信処理42のタイミングでその符号化データでキャリアを変調して周波数f1のRF信号を送信する。制御部310は、タグID要求コマンド中にそのタグID要求コマンドに対する応答の送信周波数f2または可変送信周波数f2iを指定するデータ、その可変送信周波数f2iを使用すべき時刻またはタイムスロットを表すデータ、現在の時刻Tを表すデータ、制御スケジュールおよび時間制御シーケンスを含ませてもよい。
【0038】
リーダ/ライタ装置300はその周波数f2iを時分割で複数の送信周期tRW-CYにおける複数コマンド毎に(例えば、少なくとも1つのキャリア・センス周期分の数の送信周期tRW-CYにおける複数コマンド毎に)変更するようにしてもよい。それによって、複数のRFIDタグが同時に存在する場合でも、RFIDタグからの応答送信が衝突する確率が減り、リーダ/ライタ装置300で同時に識別できるRFIDタグの数を増大させることができる。
【0039】
ステップ418において制御部210はデータ送信を終了すべきかどうかを判定する。終了すると判定された場合は、手順はこのルーチンを出る。データ送信を継続すると判定された場合は、手順はステップ412に戻る。図3Aでは、データ送信は繰り返し継続される。
【0040】
図5Aを参照すると、ステップ502において、RFIDタグ200が起動されたとき、制御部210およびウェイクアップ部270がイネーブルされる。RFIDタグ200がいったん起動されると、制御部210およびウェイクアップ部270は常にイネーブルされて活動状態にある。ウェイクアップ部270は、タイマ274および時間制御シーケンスに従って、所定の周期Tcsで受信RF信号のキャリア・センスを行うタイミングを表すウェイクアップ信号を制御部210に供給する。ステップ504において、制御部210は、ウェイクアップ部270から受け取ったウェイクアップ信号がオン状態(ON)を示しているかどうかを判定する。制御部210は、ウェイクアップ信号がオン状態になるまでステップ504を繰り返す。
【0041】
ステップ504においてウェイクアップ信号がオン状態(ON)を示していると判定された場合、ステップ506において、制御部210は、例えば約1ms〜10msのような短い持続時間の期間だけ受信部250およびキャリア判定部246をイネーブルする。受信部250はRF信号の受信待ち状態となり、キャリア判定部246は受信部250から受け取った受信キャリア電力を表すデータに基づいて受信RF信号のキャリアの存在を判定して、その判定結果を制御部210に供給する。ステップ508において、制御部210は、その判定結果に従ってキャリアが検知されたかどうかを判定する。キャリアが検知されなかったと判定された場合は、ステップ509において制御部210は受信部250およびキャリア判定部246をディセーブル(非可動化)する。その後、手順はステップ530に進む。
【0042】
ステップ508においてキャリアが検知されたと判定された場合は、ステップ510において、制御部210は、キャリア判定部246をディセーブルし、さらに例えば100ms〜200msといった所定の持続時間において受信部250をイネーブルしたまま、リーダ/ライタ装置300からコマンド等のデータを搬送する周波数f1のRF信号を受信して(図3C、受信54)、受信RF信号を復調する。ステップ512において、制御部210は、受信部250によるRF信号の受信が完了したかどうかを判定する。ステップ512はRF信号の受信が完了するまで繰り返される。
【0043】
ステップ512においてRF信号の受信が完了したと判定された場合は、ステップ514において、制御部210はデータ復号部240をイネーブルし、データ復号部240は制御部210の制御の下で受信部250から受信データを受け取ってそれを所定の符号化方式に従って復号する。ステップ515において、制御部210は受信部250をディセーブルする。
【0044】
図5Bを参照すると、ステップ522において、制御部210は、データ復号部240からタグID要求コマンドを含む復号データを受け取り、復号データに含まれている受信コマンドを処理し、リーダ/ライタ装置300によるアクセスの記録をメモリ214に格納する。受信データ中に時刻修正コマンドおよび現在の時刻Tが含まれていた場合は、制御部210は、ウェイクアップ部270のタイマ274の時刻をその時刻Tに修正または更新する。
【0045】
ステップ524において、制御部210は復号部240をディセーブルし、そのタグID要求コマンドに従って、所定の期間(例えば500ms)内の所定数のタイムスロット(例えば100msの幅の5つのタイムスロット)の中の乱数に従って選択された1つのタイムスロットにおいてデータ生成部220および送信部230をイネーブルする。その乱数は、乱数発生部211によって発生される。その選択されたタイムスロットが図3Cの送信処理56のタイミングである。データ生成部220は、メモリ214から読み出したRFIDタグ200のタグID(ID_tag)を含むデータを所定の符号化方式に従って符号化して送信部230に供給する。送信部230は、タグIDを含むデータでキャリアを変調して、所定のまたは指定された周波数f2またはf2iのRF信号をアンテナ284を介して送信する。周波数f2iの切り換えは、制御部210の周波数切り換え部212によって行われる。タイミング調整部213は、複数のタイムスロットの周期を所定周期になるように調整する。
【0046】
ステップ529において、制御部210は、データ生成部220および送信部230をディセーブルする。ステップ530において、制御部210は、RFIDタグ200を休止モードにする。休止モードにおいて、基本的に制御部210およびウェイクアップ部270だけがイネーブルされた状態を維持し、その他の構成要素214〜250はディセーブルされた状態になる。
【0047】
再び図4を参照すると、ステップ422において、制御部310は受信部350をイネーブルして受信待ち状態にする。受信部350は周波数f2のRF信号の受信を待って(受信待ち46)、RF信号を受信する(受信処理48)。ステップ424において、制御部310は受信部350がRF信号の受信を完了したかどうかを判定する。受信が完了するまでステップ424は繰り返される。受信が完了したと判定された場合は、ステップ426において、受信部350は受信データをデータ復号部340に供給する。データ復号部340は受信データを所定の符号化方式に従って復号して応答データを再生し、データを受信したことおよびその応答データを制御部310に供給する。
【0048】
ステップ432において、制御部310はその復号データをホスト・コンピュータに送出する。ステップ436において制御部310はデータ受信待ちを終了するかどうかを判定する。終了すると判定された場合は、手順はこのルーチンを出る。データ受信待ちを継続すると判定された場合は、手順はステップ422に戻る。図3Bでは、データ受信待ちは繰り返し継続される。
【0049】
このように、リーダ/ライタ装置300は送信を充分短い間隔で繰り返し行い常に受信待ち状態にあるので、RFIDタグ200のキャリア・センス時間を大幅に減らすことができる。例えば入出管理などにおけるように1日に数回しか送受信を行わず、動作時間のほとんどがキャリア・センスである場合は、RFIDタグ200全体の消費電力は、全体の消費電力を大幅に削減できる。
【0050】
メモリ214に格納される制御スケジュールとして、休日および平日の夜間(例えば、6:00pm〜6:00am)の所定の時刻と所定の時刻の間の時間期間を指定し、平日の昼間(例えば、6:00am〜6:00pm)の所定の時刻と所定の時刻の間の時間期間を指定してもよい。この場合、ウェイクアップ部270は、その休日および夜間においてウェイクアップ信号を発生せず、従ってRFIDタグ200は休止モードになってキャリア・センスを全く行わず、一方、その平日の昼間において所定の周期(例えば1秒)で、キャリア・センスを行う。
【0051】
ウェイクアップ部270は、制御部210の制御の下で、メモリ214に格納されたバッテリ290の電力の残量Pに従ってウェイクアップ信号を発生させてもよい。この場合、バッテリ残量が充分であるときは、比較的短い周期で(例えば1秒)キャリア・センスを行い、残量Pが閾値Pthより低くなったときは、比較的長い周期で(例えば2秒)キャリア・センスを行うようにしてもよい。RFIDタグ200の応答データ中にバッテリ残量を含ませ、リーダ/ライタ装置300経由でホスト・コンピュータへ通知し、ホスト・コンピュータによってユーザに対するバッテリ切れの警告を表示するよう構成してもよい。
【0052】
上述のようにリーダ/ライタ装置によるアクセスの記録をメモリ214に格納するようにしたことによって、リーダ/ライタ300以外の別のリーダ/ライタによって不正にアクセスされた場合にも、ログが記録されるので、リーダ/ライタ300によってそのアクセス記録を読み取り、ホスト・コンピュータによって解析することによって不正なアクセスを発見することができる。
【0053】
図6は、図2の構成を変形したより安全なスレーブのアクティブRFIDタグ202とマスタのリーダ/ライタ装置302の構成を示している。この実施形態においては、RFIDタグ202とリーダ/ライタ装置302の間で送信データは暗号化され、受信データは暗号解読されて認証に用いられる。
【0054】
RFIDタグ202は、図2のRFIDタグ200におけるデータ生成部220の代わりにデータ生成部222を具え、図2のデータ復号部240の代わりにデータ復号部242を具えている。RFIDタグ202のメモリ214は、タグID(ID_tag)に加えて、認証用の現在の時刻T、認証用のシステムID(ID_system)および暗号鍵/復号鍵Keを格納しており、データ生成部222およびデータ復号部242にそれらの情報を供給する。その認証用の現在の時刻T、認証用のシステムIDおよび暗号鍵/復号鍵Keは、リーダ/ライタ装置302によって予めRFIDタグ202に送信され、制御部210によってメモリ214に予め書き込まれる。データ生成部222は、メモリ214に格納されている暗号鍵Keを用いて所定の暗号方式に従って送信データを暗号化する暗号化部224を含んでいる。データ復号部242は、受信データを所定の暗号方式に従って暗号鍵/復号鍵Keを用いて解読する解読部244を含んでいる。RFIDタグ202のその他の構成はRFIDタグ200と同様であり、再び説明することはしない。システムIDは、リーダ/ライタ装置302とRFIDタグ202等の複数のRFIDタグで構成される同じグループによって共有される共通のIDを表している。ここでは、所定の暗号方式を共通鍵暗号方式として説明するが、公開鍵暗号方式であってもよい。
【0055】
リーダ/ライタ装置302は、図2のリーダ/ライタ装置300におけるデータ生成部320の代わりにデータ生成部322を具え、図2のデータ復号部340の代わりにデータ復号部342を具えている。リーダ/ライタ装置302のメモリ314は、認証用の現在の時刻T、認証用のシステムID(ID_system)および暗号鍵/復号鍵Keを格納している。データ生成部324は、メモリ314に格納されている所定の暗号方式に従って暗号鍵Keを用いて送信データを暗号化する暗号化部322を含んでいる。データ復号部342は、所定の暗号方式に従って暗号鍵/復号鍵Keを用いて受信データを解読する解読部344を含んでいる。リーダ/ライタ装置302のその他の構成はリーダ/ライタ装置300と同様であり、再び説明することはしない。
【0056】
図7Aは、リーダ/ライタ装置302のタグID要求コマンド(CMD)を含むデータを搬送するRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図7Bは、リーダ/ライタ装置302の受信待ち状態46および受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。図7Cは、アクティブRFIDタグ202のキャリア・センス50、52および53、受信RF信号の受信処理54および55、および認証成功の場合における応答を搬送するRF信号の送信処理56のタイミングを示している。
【0057】
図7Aを参照すると、リーダ/ライタ装置302のデータ生成部322は、制御部310から受け取ったRFIDタグに対するタグID要求コマンドを含むデータを生成しそれを所定の符号化方式に従って符号化して、符号化された暗号データを生成する。リーダ/ライタ装置302のその他の送信の動作は図3Aの場合と同様である。
【0058】
図7Cを参照すると、アクティブRFIDタグ202において、受信部250およびキャリア判定部246の動作は、図3Cの場合と同様であり、受信部250およびキャリア判定部246は、ウェイクアップ部274のウェイクアップ信号に従って一定の周期で所定の持続時間で発生するキャリア・センス50、52および53のタイミングで制御部210によってイネーブルされて、受信部250は受信待ち受け状態になる。
【0059】
キャリア判定部246によるキャリアが存在するという判定(DT)に応答して、受信部250およびデータ復号部242は直後の受信処理54および55のタイミングで所定の持続時間においてイネーブルされ、受信部250はそのRF信号を受信し復調してコマンドを含む符号化された暗号データを生成し、データ復号部242はそのデータを所定の符号化方式に従って復号し暗号データを所定の暗号方式に従って暗号鍵/復号鍵Keを用いて解読してコマンドを取り出して制御部210に供給する。そのコマンドの受信に応答して、制御部210は、そのコマンドに含まれている時刻TおよびシステムIDを用いてリーダ/ライタ装置302を認証する。
【0060】
認証が成功した場合は、所定期間内のランダムに選択された送信処理56のタイミングで所定の持続時間において、データ生成部222および送信部230をイネーブルし、データ生成部222は、メモリ214から取り出したタグID(ID_tag)、時刻TおよびシステムID(ID_system)を含むデータを、所定の暗号方式に従って暗号鍵Keを用いて暗号化し、その暗号データを所定の符号化方式に従って符号化する。送信部230はその暗号化されたタグIDを含む応答データでキャリアを変調してRF信号を送信する。認証が失敗した場合は、データを生成および送信することなく処理を終了する。
【0061】
図7Bを参照すると、リーダ/ライタ装置302の受信部350は、常に受信待ち状態46にあり、RFIDタグ202が接近してRF信号を受信したときに、受信処理48のタイミングにおいて受信RF信号を復調して符号化された暗号データを生成し、データ復号部342は符号化された暗号データを所定の符号化方式に従って復号し、その復号された暗号データを、所定の暗号方式に従って暗号鍵/復号鍵Keを用いて解読してタグIDを含む応答データを再生し、その再生された応答を制御部310に供給する。その受信再生された応答に応答して、制御部310は、その応答に含まれている時刻TおよびシステムIDを用いてRFIDタグ202を認証し、そのタグIDおよびその他の情報をホスト・コンピュータに供給する。
【0062】
このように、通常、リーダ/ライタ装置302およびRFIDタグ202が送信データを暗号化し、時刻TおよびシステムIDを用いて相互認証を行うことによって、リーダ/ライタ装置302およびRFIDタグ202によって送信されるデータが、第三者に傍受されても、そのデータを不正に使用される危険性がなくなる。従って、リーダ/ライタ装置302およびRFIDタグ202の安全性が高くなる。
【0063】
図8は、リーダ/ライタ装置302によって実行される処理のフローチャートを示している。図9Aおよび9Bは、アクティブRFIDタグ202によって実行される処理のフローチャートを示している。
【0064】
図8を参照すると、ステップ402は図4のものと同じであり、再び説明することはしない。ステップ414において、制御部310はタグID要求コマンドをデータ生成部322に供給する。データ生成部322は、制御部310から受け取ったタグID要求コマンド、およびメモリ314から取り出した現在の時刻TおよびシステムID(ID_system)を含むデータを、例えばDES(Data Description Standard)、トリプルDESまたはAES(Advanced Encryption Standard)等の所定の暗号方式に従って、メモリ314から取り出した暗号鍵Keを用いて暗号化し、その暗号化データを符号化して符号化データを生成する。送信部332は、その暗号化データでキャリアを変調して周波数f1のRF信号を送信する(図7A、送信処理42)。ステップ418は図4と同じであり、再び説明することはしない。
【0065】
図9Aを参照すると、ステップ502〜515は図5のものと同様であり、再び説明することはしない。
【0066】
図9Bを参照すると、ステップ516において、制御部210の制御の下で、データ復号部242は、メモリ214から取り出した暗号鍵/復号鍵Keを用いて復号データを所定の暗号方式に従って解読し、解読されたコマンド、タグID(ID_tag)、時刻T、システムID(ID_system)を含むデータを制御部210に供給する。そのデータは、制御スケジュールおよび時間制御シーケンスを含んでいてもよい。制御部210は、そのデータを受け取った後、暗号解読された時刻TおよびシステムIDとメモリ214に格納されている時刻TおよびシステムIDとを比較することによって、両者が一致するかどうかを判定し、それによってリーダ/ライタ装置302の認証を行う。
【0067】
ステップ518において、制御部210は認証が成功したかどうかを判定する。認証が失敗したと判定された場合は、ステップ520において、制御部210はデータ復号部242をディセーブルする。その後、手順は図9Bのステップ530に進む。
【0068】
ステップ518において認証が成功したと判定された場合は、ステップ522において、制御部210は、データ復号部242からタグID要求コマンドを含む暗号解読されたデータを受け取り、その解読データに含まれている解読された受信コマンドを処理し、リーダ/ライタ装置302によるアクセス記録をメモリ214に格納する。
【0069】
ステップ526において、制御部210は、そのタグID要求コマンドに従って、所定の期間内の所定数のタイムスロットの中の乱数に従ってランダムに選択された1つのタイムスロットにおいてデータ生成部222および送信部230をイネーブルする。その選択されたタイムスロットが図7Cの送信処理56のタイミングである。データ生成部222は、メモリ214から読み出したRFIDタグ202のタグID(ID_tag)、時刻TおよびシステムID(ID_system)を含むデータを、所定の暗号方式に従って暗号鍵Keを用いて暗号化し、その暗号データを所定の符号化方式に従って符号化して送信部230に供給する。送信部230は、その符号化暗号データでキャリアを変調して、周波数f2のRF信号をアンテナ284を介して送信する(図7C、送信56)。ステップ528および530は、図5のものと同様であり、再び説明することはしない。
【0070】
再び図8を参照すると、ステップ422〜424は図4のものと同様であり、再び説明することはしない。ステップ428において、受信部350は受信データをデータ復号部342に供給する。データ復号部342は受信データを所定の符号化方式に従って復号し、その復号データを所定の暗号方式に従って暗号解読して、そのデータを受信したことおよびその解読データを制御部310に供給する。制御部310は、暗号解読された時刻TおよびシステムIDとメモリ314に格納されている時刻TおよびシステムIDとを比較することによって、一致するかどうかを判定し、それによってRFIDタグ202の認証を行う。RFIDタグ202の制御部210およびリーダ/ライタ装置302の制御部310において、受信した時刻Tと格納されていた時刻Tとの間に所定の範囲内の誤差(例えば±0.5秒)があった場合にも、両者は一致すると判定してもよい。
【0071】
ステップ430において、制御部310は認証が成功したかどうかを判定する。認証が失敗したと判定された場合は、手順はステップ422に戻る。認証が成功したと判定された場合は、手順はステップ432に進む。ステップ436は、図4のものと同様であり、再び説明することはしない。
【0072】
上述のアクティブRFIDタグ200および202はスレーブ・デバイスとしてのみ動作し、上述のリーダ/ライタ装置300および302はマスタ・デバイスとしてのみ動作する。従って、リーダ/ライタ装置300または302が離れた場合には、アクティブRFIDタグ200および202は、リーダ/ライタ装置300および302の付近に位置していた他のスレーブのアクティブRFIDタグと交信することができない。
【0073】
リーダ/ライタ装置300または302が付近に位置する場合にはスレーブ・モードで動作し、リーダ/ライタ装置300または302が付近に位置しない場合にはマスタ・モードで動作するように或るアクティブRFIDタグ200または202を構成し、或るアクティブRFIDタグ200または202がマスタ・モードにおいて他のアクティブRFIDタグに対してリーダ/ライタ装置であるかのように動作させれば、他のアクティブRFIDタグとの間で情報を交換しまたは互いに関連づけることができる。
【0074】
図10は、図6のスレーブ・アクティブRFIDタグ202を変形したものであり、本発明の実施形態による、スレーブまたはマスタとして動作するスレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグ204を含むスレーブ/マスタ・デバイス20の構成を示している。スレーブ/マスタ・デバイス20は、例えば携帯電話機およびPDAのような電子機器、またはネーム・タグ、バッジおよび荷札のような物品であってもよい。図11は、図6のマスタ・リーダ/ライタ装置302を変形したものであり、本発明の実施形態による、マスタ・リーダ/ライタ装置(R/W)304を含むマスタ・デバイス30の構成を示している。マスタ・デバイス30は、例えばパーソナル・コンピュータ(PC)のような電子機器であってもよい。スレーブ・アクティブRFIDタグ202を含むスレーブ・デバイス(図示せず)も用いてよい。
【0075】
スレーブ/マスタRFIDタグ204は、図6のRFIDタグ202の構成要素に加えて、LEDのような表示器、ビープ音発生器のような音響発生器またはスピーカを含むアラーム部276を含み、制御部210内にマスタ/スレーブ(M/S)切換部215を含んでいる。メモリ214は、前述の情報に加えて、マスタ/スレーブ切換時間と、マスタ/スレーブ・デバイス20またはRFIDタグ204の優先度レベル(例えば、1〜9)を格納している。制御部210は、マスタ/スレーブ切換部215からの制御信号に従ってマスタ・モードMとスレーブ・モードSの間で機能を切り換える。RFIDタグ204は、スレーブ・モードSでは、図6のRFIDタグ202と同様の形態で動作する。RFIDタグ204は、マスタ・モードMでは、図6のリーダ/ライタ装置302と同様の形態で動作する。RFIDタグ204は、システムIDの代わりにタグIDを送信する。送信部(TX)230は、周波数切換部212の制御信号に従って、マスタ・モードMでは送信周波数f1で送信し、スレーブ・モードSでは送信周波数f2またはf2iで送信する。受信部(RX)250は、周波数切換部212の制御信号に従って、マスタ・モードMでは受信周波数f2またはf2i(以下、単にf2という)で受信し、スレーブ・モードSでは受信周波数f1で受信する。
【0076】
リーダ/ライタ装置304のメモリ314は、前述の情報に加えて、マスタ/スレーブ切換時間と、マスタ・デバイス30またはリーダ/ライタ装置304の優先度レベル(マスタ・レベル0)を格納している。リーダ/ライタ装置304は、リーダ/ライタ装置302と同様の形態で動作する。
【0077】
図12Aは、本発明の実施形態による、マスタ・デバイスとしてのパーソナル・コンピュータ30の通信可能範囲の領域における、パーソナル・コンピュータ30と、スレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12、携帯電話機14およびバッジ16、およびスレーブ・デバイスとしての荷札18との間の交信状態の例を示している。図12Bは、図12Aの配置においてマスタ・デバイスとしてのパーソナル・コンピュータ30がいなくなった場合の、スレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12と、スレーブ/マスタ・デバイスとしての携帯電話機14およびバッジ16、およびスレーブ・デバイスとしての荷札18との間の交信状態の例を示している。
【0078】
パーソナル・コンピュータ30は、マスタ・リーダ/ライタ装置304を含んでいる。ネーム・タグ12は、スレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグ204aを含んでいる。携帯電話機14は、スレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグ204bを含んでいる。バッジ16は、スレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグ204cを含んでいる。荷札18は、図6のRFIDタグ202と同様の形態で動作するスレーブ・アクティブRFIDタグ204dを含んでいる。
【0079】
図12Aにおいて、パーソナル・コンピュータ30のマスタ・リーダ/ライタ装置304は、通常の形態で、ネーム・タグ12、携帯電話機14、バッジ16および荷札18に、送信周波数f1でID要求信号を送信し、それらから受信周波数f2で応答信号を受信する。ネーム・タグ12、携帯電話機14、バッジ16および荷札18の各々は、パーソナル・コンピュータ30から受信周波数f1でID要求信号を受信し、パーソナル・コンピュータ30に送信周波数f2で応答信号を送信する。
【0080】
図12Bにおいて、パーソナル・コンピュータ30がその位置から遠くに離れると、ネーム・タグ12、携帯電話機14、バッジ16および荷札18の中で優先度レベルが最も高いネーム・タグ12が、マスタ・モードMでの動作を開始し、携帯電話機14、バッジ16および荷札18に、送信周波数f1でID要求信号を送信し、それらから受信周波数f2で応答信号を受信する。携帯電話機14、バッジ16および荷札18の各々は、ネーム・タグ12から受信周波数f1でID要求信号を受信し、ネーム・タグ12に送信周波数f2で応答信号を送信する。それによって、パーソナル・コンピュータ30がなくても、ネーム・タグ12と、携帯電話機14、バッジ16および荷札18とは、交信し、情報を交換することができる。
【0081】
図13Aおよび13Bは、ユーザが図10におけるスイッチ278を押下することによってスレーブ/マスタ・デバイス20が一時的にスレーブ・モードSからマスタ・モードMへ移行する変化を示すタイムチャートを示している。図13Bにおいて、スレーブ/マスタ・デバイス20は、通常、スレーブ・モードSで動作する。図13Aにおいて、ユーザが図10のスイッチ278を押下してターンオンすると、そのターンオン期間において、図13Bに示されているようにマスタ/スレーブ切換部215は上述のようにスレーブ/マスタ・デバイス20をマスタ・モードMで動作させ、アラームを発生させるようアラーム部276を動作させるよう制御する。アラームは、音響的な聴覚的なものであっても、発光ダイオード等による視覚的なものであってもよい。ユーザがスイッチ278を押下するのをやめてターンオフすると、マスタ/スレーブ切換部215は上述のようにスレーブ/マスタ・デバイス20を元のスレーブ・モードSで動作するよう制御する。
【0082】
図14Aおよび14Bは、ユーザが図10のスイッチ278を押下することによってスレーブ/マスタ・デバイス20が一定時間期間Tmmだけスレーブ・モードSからマスタ・モードMへの移行する変化を示す別のタイムチャートを示している。図14Bにおいて、スレーブ/マスタ・デバイス20は、通常、スレーブ・モードSで動作する。図14Aにおいて、ユーザが図10のスイッチ278を押下してターンオンすると、そのターンオンから一定時間期間Tmmにおいて、図14Bに示されているようにマスタ/スレーブ切換部215は上述のようにスレーブ/マスタ・デバイス20をマスタ・モードMで動作させ、アラームを発生させるようアラーム部276を動作させるよう制御する。一定期間Tmm経過後、マスタ/スレーブ切換部215は上述のようにスレーブ/マスタ・デバイス20を元のスレーブ・モードSで動作するよう制御する。その一定期間は、ウェイクアップ部270のタイマ274によってメモリ214に格納されているマスタ/スレーブ切換時間に従って時間測定(カウント)され、タイマ274が一定期間Tmmの経過を測定すると、一定期間Tmmの経過を示す信号をマスタ/スレーブ切換部215に供給する。
【0083】
図15は、各デバイスのマスタ/スレーブ(M/S)の優先度レベルを示す表の例を示している。ここで、優先度レベルの値が小さいほどマスタとなる優先度が高く、優先度レベルの値が大きいほどマスタとなる優先度が低い。最も高い優先度レベル0を有するデバイスであるPCは常にマスタである。最も低い優先度レベル10を有するその他のデバイスKは常にスレーブである。優先度レベル1〜9を有するデバイスは、スレーブ・モードS1〜S9およびマスタ・モードS1〜S9で動作する。図10において、パーソナル・コンピュータ30(マスタ・リーダ/ライタ304)は例えば優先度レベル0を有する。ネーム・タグ12(スレーブ/マスタRFIDタグ204a)は例えば優先度レベル1を有する。携帯電話機14(スレーブ/マスタRFIDタグ204b)は例えば優先度レベル2を有する。バッジ16(スレーブ/マスタRFIDタグ204c)は例えば優先度レベル3を有する。荷札18(スレーブRFIDタグ204d)は例えば優先度レベル10を有する。
【0084】
図16は、初期状態として各デバイスが互いの通信可能範囲内に存在していた後、いずれかのデバイスが移動して消失した場合の残りのデバイスの動作を示している。
【0085】
図16の項目1−1において、初期状態において、優先度レベル0のマスタM0のパーソナル・コンピュータ30、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在し、その後もいずれもが存在し続けている。従って、これら3つのデバイス30、12および14は初期状態の動作モードを維持する。
【0086】
項目1−2において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30が消失し、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在する。その後、ネーム・タグ12(S1)は、他のデバイスより高いその優先度レベル1に従って、マスタ・モードM1とスレーブ・モードS1の間で周期的に切り換わりながら交番モード(M1,S1)で動作する。
【0087】
項目1−3において、初期状態において、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12が消失し、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在する。その後も、パーソナル・コンピュータ30(M0)は、他のデバイス(S1、S2)より高いその優先度レベル0に従って、マスタ・モードM0で動作し続ける。従って、パーソナル・コンピュータ30(M0)および携帯電話機14(S1)は初期状態の動作モードを維持する。
【0088】
項目1−4において、初期状態において、優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が消失し、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12が、互いの通信可能範囲内に存在する。その後も、パーソナル・コンピュータ30(M0)は、他のデバイス(S1、S2)より高いその優先度レベル0に従って、マスタ・モードM0で動作し続ける。従って、パーソナル・コンピュータ30(M0)および携帯電話機14(S2)は初期状態の動作モードを維持する。
【0089】
項目1−5において、初期状態において、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が消失し、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30だけが存在する。その後も、パーソナル・コンピュータ30(M0)は、最も高いその優先度レベル0に従って、マスタ・モードM0で動作し続け、初期状態の動作モードを維持する。
【0090】
項目1−6において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が消失し、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12だけが存在する。その後、ネーム・タグ12(S1)は、付近にそれより高いその優先度レベルのデバイスが存在しないので、マスタ・モードM1とスレーブ・モードS1の間で周期的に切り換わりながら交番モード(M1,S1)で動作する。
【0091】
項目1−7において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12が消失し、優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14だけが存在する。その後、動作する携帯電話機14(S2)は、付近にそれより高いその優先度レベルのデバイスが存在しないので、マスタ・モードM2とスレーブ・モードS2の間で周期的に切り換わりながら交番モード(S2,M1)で動作する。
【0092】
図17は、初期状態としていずれかのデバイスが互いの通信可能範囲内に存在していたとき、他のデバイスが出現して通信に参加した場合の各デバイスの動作を示している。
【0093】
図17の項目2−1は項目1−1と同様である。
【0094】
項目2−2において、初期状態において、他のデバイス(S2)より高い優先度レベル1を有しマスタ・モードM1とスレーブ・モードS1の間の交番モード(M1,S1)で動作するネーム・タグ12、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在する。その後、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30がその通信可能範囲内に出現しその通信に参加する。その後、ネーム・タグ12(S1)は、それより高いその優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30の存在を検出して、スレーブ・モードS1に移行する。
【0095】
項目2−3において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル2のスレーブ・モードS2で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在する。優先度レベル1のスレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12がその通信可能範囲内に出現する。その後、ネーム・タグ12は、最初スレーブ・モードS1で動作し、それより高いその優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30の存在を検出して、スレーブ・モードS1で動作し続ける。パーソナル・コンピュータ30(M0)および携帯電話機14(S1)は初期状態の動作モードを維持する。
【0096】
項目2−4において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12が、互いの通信可能範囲内に存在する。優先度レベル2のスレーブ/マスタ・デバイスとしての携帯電話機14がその通信可能範囲内に出現する。その後、携帯電話機14は、最初スレーブスレーブ・モードS2で動作し、それより高いその優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30の存在をそのシステムID(ID_system)によって検出して、スレーブ・モードS2で動作し続ける。パーソナル・コンピュータ30(M)および携帯電話機14(S1)は初期状態の動作モードを維持する。
【0097】
項目2−5において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30だけが存在する。優先度レベル1のスレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12および優先度レベル2のスレーブ/マスタとして動作する携帯電話機14がパーソナル・コンピュータ30の通信可能範囲内に出現する。その後、ネーム・タグ12はスレーブ(S1)として動作し続け、携帯電話機14は、スレーブ(S2)として動作し続ける。パーソナル・コンピュータ30(M)は、マスタ・モードM0で動作し続ける。
【0098】
項目2−6において、初期状態において、優先度レベル1のスレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12だけが存在する。優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル2のスレーブ/マスタ・デバイスとしての携帯電話機14がネーム・タグ12の通信可能範囲内に出現する。その後、ネーム・タグ12は、それより高いその優先度レベル0のパーソナル・コンピュータ30存在を検出して、スレーブ・モードS1に移行する。
【0099】
項目2−7において、初期状態において、優先度レベル2のスレーブ/マスタ・デバイスとしての携帯電話機14だけが存在する。優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル1のスレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12が携帯電話機14の通信可能範囲内に出現する。その後、携帯電話機14は、それより高いその優先度レベル0のパーソナル・コンピュータ30または優先度レベル1のネーム・タグ12の存在をそのタグID(ID_tag)によって検出して、スレーブ・モードS2に移行する。
【0100】
図18は、初期状態として各デバイスが互いの通信可能範囲内に存在していたとき、いずれかのデバイスが消失した場合の残りのデバイスの別の動作を示している。この場合、携帯電話機14は常にスレーブ・モードの優先度レベル10を有する。
【0101】
図18の項目3−1において、初期状態において、優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、優先度レベル1のスレーブ・モードS1で動作するネーム・タグ12、および優先度レベル10のスレーブ・モードS10で動作する携帯電話機14が、互いの通信可能範囲内に存在し、その後もいずれもが存在し続けている。従って、これら3つのデバイスは初期状態の動作モードを維持する。
【0102】
項目3−2〜3−6におけるパーソナル・コンピュータ30、ネーム・タグ12および携帯電話機14は、項目1−2〜1−6の場合と同様に動作する。
【0103】
項目3−7において、初期状態において、優先度レベル10のスレーブ(S10)の携帯電話機14だけが存在する。優先度レベル0のマスタ(M0)のパーソナル・コンピュータ30、および優先度レベル1のスレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ12が携帯電話機14の通信可能範囲内に出現する。その後も、携帯電話機14は、スレーブ・モードS10を維持する。
【0104】
図19A〜19Fは、互いに通信可能範囲にあり異なる優先度レベルを有する2つのスレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2(図16の項目1−2)の動作のタイムチャートを示している。
【0105】
図19Aは、より高い優先度レベル(例えば、1)の第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の動作モード(M1,S1)のタイムチャートを示している。図19Bは、最も高い優先度レベル(0)のマスタ・デバイスが付近に存在せずかつより低い優先度(例えば2)の第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2が通信可能範囲内に位置するときの、第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の応答を搬送する送信周波数f2のRF信号の送信処理56、タグIDまたは情報要求コマンド等の情報を含むデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図19Cは、第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の受信周波数f1のキャリア・センス50および52、受信周波数f1の受信RF信号の受信処理54、受信周波数f2の受信待ち状態46および受信周波数f2の受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。
【0106】
図19Dは、より低い優先度レベル(例えば2)の第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の動作モード(M2,S2)のタイムチャートを示している。図19Eは、最も高い優先度レベル(0)のマスタ・デバイスが付近に存在せずかつより高い優先度レベル(例えば1)の第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1が通信可能範囲内に位置するときの、第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の応答を搬送する送信周波数f2のRF信号の送信処理56、タグID要求コマンド等のデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図19Fは、第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の受信周波数f1のキャリア・センス50および52、受信周波数f1の受信RF信号の受信処理54、受信周波数f2の受信待ち状態46および受信周波数f2の受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。
【0107】
動作を説明すると、図19Aおよび19Dに示されているように、スレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2は、それぞれ初期状態においてスレーブ・モード(S1およびS2)で動作し、その各受信部(RX)250は周期Tcsでキャリア・センス50を行う。送信周波数f1のキャリアが検出できない、即ちマスタ・モードMで動作する別のデバイスがそれぞれの所定の時間期間Td1およびTd2を経過しても検出できないとき、スレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2の各々は、一時的に時間期間Tmだけマスタ・モード(M1またはM2)に移行する。この場合、スレーブ/マスタ・デバイスD2が、時間期間Td2経過後、先にマスタ・モードM2に移行する。
【0108】
マスタ・モードM2の時間期間Tmにおいて、デバイスD2の送信部230は、図19Eに示されているように周波数f1のRF信号の送信処理42を行う。送信処理42において、所定の期間Tt(例えば2秒)における連続する各タイムスロットにおいて、前述したように、タグID要求コマンド、デバイスD2のタグIDおよび優先度レベル等の情報を搬送するRF信号が充分短い間隔で繰り返し送信される。デバイスD2の受信部250は、図19Fに示されているように周波数f2で連続的に受信待ち状態46となる。所定の期間Ttの送信処理42は、所定期間Tbの休止を挟んで複数の所定期間Tmにおいて繰り返し行われる。その休止期間Tbにおいて送信部230は制御部210によってディセーブルされる。この場合、より高い優先度1のデバイスD1の存在をそのタグIDによって検出したことに応答して、最初の所定の期間Ttにおける送信処理42の後の所定の期間Tbの休止中に、デバイスD2はマスタ・モードM2からスレーブ・モードS2に切り換えられる。代替構成として、所定期間Tmの経過後に、デバイスD2はマスタ・モードM2からスレーブ・モードS2に切り換えられてもよい。
【0109】
デバイスD1の受信部250は、最初のスレーブ・モードS1において、キャリア・センス52の期間において周波数f1のRF信号を受信し、キャリア判定部246はデバイスD2からの周波数f1のRF信号のキャリアを検知する(DT)。続いて、受信処理54において、デバイスD1の受信部250はそのRF信号を受信し復調してタグID要求コマンド等のデータを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しタグID要求コマンド、タグIDおよび優先度レベル等の情報を含むデータを取り出して制御部210に供給する。それによって、デバイスD1の制御部210は、デバイスD1より低い優先度レベル2のデバイスD2の存在をそのタグIDによって検知する。最初のスレーブ・モードS1において、デバイスD1は、他のデバイスD2がマスタ・モードで動作していることを検出して、時間期間Td1の経過後もスレーブ・モードS1を維持する。
【0110】
そのコマンドの受信に応答して、デバイスD1において、制御部210は、所定期間内のランダムに選択されたタイミングで送信処理56を行い、データ生成部220はメモリ214から取り出したタグIDおよび優先度レベル等の情報を含むデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化し、送信部230はそのタグID等の情報を含む応答データでキャリアを変調して周波数f2のRF信号を送信する。
【0111】
デバイスD2において、受信部250は、マスタ・モードM2の期間に周波数f2の受信RF信号の受信処理48を行う。受信処理48は、そのRF信号を受信し復調してタグID要求コマンド等のデータを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しコマンド、タグIDおよび優先度レベル等のデータを取り出して制御部210に供給する。それによって、デバイスD2の制御部210は、デバイスD2より高い優先度レベル1のデバイスD1の存在を検出知し、制御部210のマスタ/スレーブ切換部215は、所定時間(例えば1つのキャリア・センス周期Tcsの時間)後、デバイスD2の動作モードをスレーブ・モードS2に移行させる。代替構成として、デバイスD2のマスタ/スレーブ切換部215は、マスタ・モードの時間期間Tmの経過後にスレーブ・モードS2に移行してもよい。
【0112】
デバイスD2がマスタ・モードM2から2回目のスレーブ・モードS2に移行した後、デバイスD1は、デバイスD1より高い優先度レベルのデバイスの存在を検知しなかったことに応答して、その後の時間期間Td1の経過後、デバイスD1はマスタ・モードM1に移行する。代替構成として、最初のスレーブ・モードS1において、マスタ・モードM2で動作しているデバイスD2の優先度レベルと自己の優先度レベルの比較に従って、制御部210のマスタ/スレーブ切換部215は、所定時間(例えば1つのキャリア・センス周期Tcsの時間)後、デバイスD1の動作モードをマスタ・モードM1に移行させてもよい。
【0113】
最初のマスタ・モードM1の時間期間Tmにおいて、デバイスD1の送信部230は、図19Bに示されているように周波数f1のRF信号の送信処理42を行う。デバイスD1の受信部250は、図19Cに示されているように周波数f2で連続的に受信待ち状態46となる。所定の期間Ttの送信処理42は、所定の期間Tbの休止を挟んで複数回繰り返される。その休止期間Tbにおいて送信部230は制御部210によってディセーブルされ、それによって、可能性ある他のマスタ・モードMのデバイスの周波数f1のRF信号の送信を許容する。
【0114】
2回目のスレーブ・モードS2において、デバイスD2の受信部(RX)250は一定周期でキャリア・センス50、52を行い、キャリア・センス52において周波数f1のRF信号を受信し、キャリア判定部246はデバイスD1からの周波数f1のRF信号のキャリアを検知する(DT)。続いて、デバイスD2の受信処理54において、受信部250はそのRF信号を受信し復調してコマンド等のデータを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しコマンド、タグIDおよび優先度レベル等のデータを取り出して制御部210に供給する。それによって、デバイスD2の制御部210は、デバイスD2のほうがデバイスD1より優先度レベルが低いことを検知する。そのコマンドに応答して、デバイスD2において、制御部210は、所定期間内のランダムに選択されたタイミングで送信処理56を行い、データ生成部220はメモリ214から取り出したタグIDおよび優先度レベル等の情報を含むデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化し、送信部230はそのタグID等の情報を含む応答データでキャリアを変調して周波数f2のRF信号を送信する。
【0115】
最初のマスタ・モードM1の時間期間Tmにおいて、デバイスD1の受信部250は、周波数f2の受信RF信号の受信処理48を行う。その後、デバイスD1は、次の所定の時間期間Tsにおいてスレーブ・モードS1に移行し、それによって可能性あるより高い優先度レベルの他のデバイスからデバイスD1が周波数f1のRF信号を受信できるようにする。このようにして、デバイスD1は、デバイスD1より高い優先度レベルのデバイスが検出されるまで、マスタ・モードM1とスレーブ・モードS1を交互に繰り返す。
【0116】
図20A〜20Iは、互いに通信可能範囲にあり異なる優先度レベルを有する2つのスレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2、および後でそのデバイスD1およびD2の通信可能範囲に出現する最も高い優先度のマスタ・デバイスD0(図17の項目2−2)の動作のタイムチャートを示している。
【0117】
図20Aは、第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の動作モードS1、M1のタイムチャートを示している。図20Bは、より低い優先度レベル(例えば2)の第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2が通信可能範囲内に位置するときの、より高い優先度レベル(例えば1)の第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の応答を搬送する送信周波数f2のRF信号の送信処理56、およびコマンド等のデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図20Cは、第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1の受信周波数f1のキャリア・センス50および52、受信周波数f1の受信RF信号の受信処理54、受信周波数f2の受信待ち状態46、および受信周波数f2の受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。
【0118】
図20Dは、第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の動作モードS2、M2のタイムチャートを示している。図20Eは、より高い優先度レベル(例えば1)の第1のスレーブ/マスタ・デバイスD1が通信可能範囲内に位置するときの、より低い優先度レベル(例えば2)の第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の応答を搬送する送信周波数f2のRF信号の送信処理56、コマンド等のデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図20Fは、第2のスレーブ/マスタ・デバイスD2の受信周波数f1のキャリア・センス50および52、受信周波数f1の受信RF信号の受信処理54、受信周波数f2の受信待ち状態46および受信周波数f2の受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。
【0119】
図20Gは、マスタ・デバイスD0の動作モードM0のタイムチャートを示している。図20Hは、コマンド等のデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42のタイミングを示している。図20Iは、受信周波数f2の受信待ち状態46および受信周波数f2の受信RF信号の受信処理48のタイミングを示している。
【0120】
図20A〜20Cにおいて、最初、デバイスD1は、図19A〜19Cの最後の部分における時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作している。図20D〜20Fにおいて、最初、デバイスD2は、図19D〜19Fの最後の部分におけるスレーブ・モードS2で動作している。時間期間Ttにおける送信処理42の後の休止の時間期間Tbにおいて、デバイスD1の送信部230は制御部210によってディセーブルされる。その休止期間Tbにおいて、マスタ・デバイスD0がデバイスD1およびD2の通信可能範囲に出現し、デバイスD0の送信部(TX)330は、図20Hに示されているように周波数f1のRF信号の送信処理42を行う。所定の期間Ttの送信処理42は、時間期間Tbの休止を挟んで繰り返される。
【0121】
スレーブ・モードS2において、デバイスD2の受信部(RX)250はキャリア・センス52の期間においてマスタ・デバイスD0からの周波数f1のRF信号を受信し、キャリア判定部246はデバイスD0からの周波数f1のRF信号のキャリアを検知する(DT)。続いて、受信部250は、受信処理54において、そのRF信号を受信し復調してコマンド等のデータを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しコマンド、タグIDおよび優先度レベル等のデータを取り出して制御部210に供給する。それによって、デバイスD2の制御部210は、デバイスD2のほうがデバイスD0より優先度レベルが低いことを検知する。そのコマンドに応答して、デバイスD2において、制御部210は所定期間内のランダムに選択されたタイミングで送信処理56を行い、データ生成部220はメモリ214から取り出したタグIDおよび優先度レベル等のデータを含むデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化し、送信部230はそのタグID等の情報を含む応答データでキャリアを変調して周波数f2のRF信号を送信する。デバイスD0の受信部250は、周波数f2の受信RF信号の受信処理48を行う。
【0122】
デバイスD1において、送信部230は、休止期間Tbの後の送信処理42の時間期間Ttにおいて、制御部210によってイネーブルされて、コマンド等のデータを搬送する送信周波数f1のRF信号の送信処理42を行う。デバイスD2の受信部250は、キャリア・センス52におけるキャリア検出に応答して、デバイスD0からの周波数f1のRF信号の受信処理54を行い、周波数f2のRF信号の送信処理56を行う。デバイスD1の受信部250は、デバイスD2からの周波数f2の受信RF信号の受信処理48を行う。その後、デバイスD1は、予定された時間期間Tsだけスレーブ・モードS1に移行する。
【0123】
スレーブ・モードS1の時間期間Tsにおいて、デバイスD1の受信部250は、キャリア・センス52の期間においてキャリアを検出し、受信処理54の期間においてマスタ・デバイスD0からの周波数f1のRF信号を受信する。受信処理54において、受信部250はそのRF信号を受信し復調してコマンド等のデータを含む符号化データを生成し、データ復号部240はそのデータを所定の符号化方式に従って復号しコマンド、タグIDおよび優先度レベル等のデータを取り出して制御部210に供給する。それによって、デバイスD1の制御部210は、デバイスD1のほうがマスタ・デバイスD0より優先度レベルが低いことを検知する。そのコマンドに応答して、デバイスD2において、制御部210は、所定期間内のランダムに選択されたタイミングで送信処理56を行い、データ生成部220はメモリ214から取り出したタグIDおよび優先度レベル等のデータを含むデータを生成して所定の符号化方式に従って符号化し、送信部230はそのタグID等の情報を含む応答データでキャリアを変調して周波数f2のRF信号を送信する。デバイスD1およびD2の各々は、マスタ・デバイスD0の存在(システムID)が所定時間期間Tdより長く検出できなくなるまで、スレーブ・モードS1、S2で動作する。
【0124】
図21Aはマスタ・デバイスD0の状態遷移図を示している。マスタ・デバイスD0は、常にマスタ・モードM0で動作する。
【0125】
図21Bはスレーブ・デバイスD10の状態遷移図を示している。スレーブ・デバイスD10は、常にスレーブ・モードSで動作する。
【0126】
図22は、スレーブ/マスタ・デバイスD2〜D9の各々の状態遷移図を示している。図23は、図22における各状態ST0〜ST3の定義を示している。スレーブ/マスタ・デバイスD1〜D9は、異なる3つのスレーブ・モードS状態と、1つのマスタ・モードM状態とをとる。
【0127】
図22において、状態ST0(Si)は、デバイスD2〜D9の各々の初期状態のスレーブ・モードSi(i=1〜9)であり、付近に自己より高い優先度レベルj(j<i)のマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在する場合の状態を表す。状態ST1(Si)は、付近に自己より高い優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在しなくなった場合に生じる時間期間Tdの一時的な中間状態を表す。時間期間Tdは、複数のキャリア・センス周期Tcsの長さより長く、例えば5〜10秒の或る値であってもよい。Tdは、典型的には、固定値Td0とランダム値Rndの和(Td0+Rnd)の値である(Rndは例えば0.1〜1秒のランダムな可変値である)。このランダム値Rndの導入によってデバイス間の衝突の可能性を減らすことができる。
【0128】
状態ST2(Mi)は、付近に自己より高い優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在しない場合に時間期間Tmにおいてマスタ・モードMjで動作する状態を表す。時間期間Tmは、複数のキャリア・センス周期Tcsの長さより長く、好ましくは時間期間Td以下の長さであり、例えば1〜5秒の或る値であってもよい。Tmは、典型的には、固定値Tm0とランダム値Rndの和(Tm0+Rnd)の値である(Rndは例えば0.1〜1秒のランダムな可変値である)。状態ST3(Si)は、時間期間Tm経過後の時間期間Tsにおいて付近に自己より高い優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在しない場合にスレーブ・モードSiで動作する状態を表す。時間期間Tsは、複数のキャリア・センス周期Tcsの長さより長く、好ましくは時間期間Td以下の長さであり、例えば1〜5秒の或る値であってもよい。Tsは、典型的には、固定値Td0とランダム値Rndの和(Ts0+Rnd)の値である。キャリア・センス周期Tcsは、時間期間TmおよびTsの各々より短く、例えば0.5秒である。時間期間Tmは時間期間Tsより短いのが好ましい。時間期間Tdは、時間期間TmおよびTsの各々と等しいかまたはそれより長い。
【0129】
状態ST0(Si)において、条件1「付近に自己より高い優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在すること」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST0を継続する。状態ST0(Si)において、条件2「条件1が成立しない」という条件を満たす場合には、それは状態ST1(Si)に移行する。このとき、デバイスD2〜D9の各々は、付近にマスタ・モードMjで動作するデバイスがいなくなったことを表す音響的なアラーム1をアラーム部276によって発生してもよい。
【0130】
状態ST1(Si)において、条件3「条件1が成立した後の時間期間Td内である」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST1を継続する。状態ST1(Si)において、条件4a「付近により高い優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在することを検出した」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST0(Si)に戻る。状態ST1(Si)において、条件4b「付近に同じ優先度レベルiのマスタ・モードMiで動作するデバイスDjが存在することを検出した」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は時間期間Tdを所定時間Td’(Td’<Td)だけ延長して状態ST1を継続する。状態ST1(Si)において、条件5「条件2が成立した後時間期間Tdが経過し、より高いまたは同じ優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作する他のデバイスを検出しなかった」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST2(Si)に移行する。状態ST1(Si)において、付近に自己より低い優先度のマスタ・モードMjで動作する他のデバイスを検出しても条件5が満たされるのを待てばよい。この場合、他のデバイスは、状態ST2において図23の条件8を満たし、状態ST0のスレーブ・モードに移行するであろう。
【0131】
状態ST2(Mi)において、条件6「条件5が成立した後の時間期間Tm内である」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST2を継続する。状態ST2(Mi)において、条件7「条件5が成立した後の時間期間Tmが経過した」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST3(Si)に移行する。状態ST2(Si)において、条件8「自己より高いまたは同じ優先度レベルのスレーブ・モードSjで動作するデバイスDjを検出した」を満たす場合は、デバイスD2〜D9の各々は状態ST0(Si)に移行する。
【0132】
状態ST3(Si)において、条件9「条件7が成立した後の時間期間Ts内である」を満たす場合は、デバイス2〜9の各々は状態ST3を継続する。状態ST3(Si)において、条件10「時間期間Tsが経過するまでに、自己より高いまたは同じ優先度レベルjを有しマスタ・モードMjで動作する他のデバイスDjを検出しなかった」を満たす場合は、デバイス2〜9の各々は状態ST2(Si)に戻る。状態ST3(Si)において、条件11「時間期間Tsが経過するまでに、自己より高いまたは同じ優先度レベルjを有しマスタ・モードMjで動作する他のデバイスDjを検出した」を満たす場合は、デバイス2〜9の各々は所期の状態ST0(Si)に戻る。このとき、D2〜D9は、付近にマスタ・モードMjで動作するデバイスDjが存在することを表す音響的なアラーム3をアラーム部276によって発生してもよい。
【0133】
図24A〜24Dは、互いの通信可能範囲に同じ優先度レベル1の2つのスレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2を含む複数のデバイスD0〜D3が存在する場合の動作モードのタイムチャートを示している。
【0134】
図24A〜24Dにおいて、最初、マスタ・デバイスD0およびスレーブ/マスタ・デバイスD1〜D3が互いの通信可能範囲に位置し、マスタ・デバイスD0はマスタ・モードM0で動作し、スレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2はスレーブ・モードS1で動作し、スレーブ/マスタ・デバイスD3はスレーブ・モードS3で動作する。マスタ・デバイスD0は優先度レベル0を有する。スレーブ/マスタ・デバイスD1およびD2は共に優先度レベル1を有する。デバイスD3は、優先度レベル2を有し、デバイスD0、D1およびD2より優先度レベルが低い。
【0135】
タイミングtdにおいてマスタ・デバイスD0がいなくなったとき、デバイスD3において時間期間Td(=Td0+Rnd)が経過してデバイスD3が先にマスタ・モードM2に移行する。デバイスD3は時間期間Tmにおいてマスタ・モードM2で動作し、より高い優先度の他のデバイスD1およびD2の存在を検出する。そのデバイスD1およびD2の存在を検出した場合、デバイスD3はスレーブ・モードS2へ移行してもよい。他のデバイスD1およびD2は、タイミングtdからそれぞれの時間期間Td経過後は、時間期間Tmにおいてマスタ・モードM2で動作する優先度レベルの低いデバイスD3が存在するので、マスタ・モードに移行可能である。代替構成として、他のデバイスD1およびD2は、タイミングtdからそれぞれの時間期間Td経過後、マスタ・モードM2で動作する優先度レベルの低いデバイスD3が存在する場合にも、マスタ・モードへ移行するのを遅延させてもよい。
【0136】
その後、デバイスD3は、時間期間Tmの後で状態ST3(Si)のスレーブ・モードS2に移行する。デバイスD2は、デバイスD3がスレーブ・モードS2に移行した後で時間期間Tdが経過して、より高いまたは同じ優先度レベルのマスタ・モードMで動作する他のデバイスが存在しないので、マスタ・モードM1に移行する。デバイスD3は、状態ST3(Si)において時間期間Tx経過後に状態ST0のスレーブ・モードS2に移行する。ここで、時間期間Txは、図22の状態ST3(Si)において図23の条件11「時間期間Tsが経過するまでに自己より高いまたは同じ優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作する他のデバイスDjを検出した」ときの経過時間を表す。デバイスD2は次の時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作し、同じ優先度の他のデバイスD1の存在を検出する。他のデバイスD1は、状態ST1において、時間期間Td経過後も、時間期間Tmにおいて同じ優先度レベルのマスタ・モードM1で動作するデバイスD2が存在するので、マスタ・モードM1に移行しない。
【0137】
その後、デバイスD2は、時間期間Tmの後で状態ST3のスレーブ・モードS1に移行する。デバイスD2は、時間期間Tsが経過するまでスレーブ・モードを維持し、即ち他のデバイスD1からタグID要求信号を搬送する周波数f1のRF信号を受信するのをスレーブ・モードS1で待つ。デバイスD1は、状態ST1において条件5「より高いまたは同じ優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作する他のデバイスを検出しない」を満たすようになるのでマスタ・モードM1に移行する。そのデバイスD1のマスタ・モードM1への移行は、デバイスD2がスレーブ・モードS1に移行してから例えば時間期間Tx経過後である(Tx<Ts)。デバイスD1は次の時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作し、デバイスD1と同じ優先度の他のデバイスD2の存在を検出する。他のデバイスD2およびD3は、その時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作するデバイスD1が存在するので、スレーブ・モードで動作し続ける。
【0138】
その後、デバイスD1は、時間期間Tmの後で状態ST3のスレーブ・モードS1に移行する。デバイスD1は、時間期間Tsが経過するまでスレーブ・モードを維持し、即ち他のデバイスD2からタグID要求信号を搬送する周波数f1のRF信号を受信するのをスレーブ・モードS1で待つ。デバイスD2は、状態ST1において条件5「より高いまたは同じ優先度レベルjのマスタ・モードMjで動作する他のデバイスを検出しない」を満たすようになるのでマスタ・モードM1に移行する。そのデバイスD2のマスタ・モードM1への移行は、デバイスD1がスレーブ・モードS1に移行してから例えば時間期間Tx経過後である(Tx<Ts)。デバイスD2は次の時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作し、デバイスD2と同じ優先度の他のデバイスD1の存在を検出する。他のデバイスD1およびD3は、その時間期間Tmにおいてマスタ・モードM1で動作するデバイスD2が存在するので、スレーブ・モードで動作し続ける。このようにして、同じ優先度レベルのデバイスD1およびD2は、交互にマスタ・モードM1で動作する。
【0139】
このように、上述の実施形態によれば、マスタ・デバイスが付近に存在しなくても、複数のデバイスの間で互いに交信して情報を交換することができる。
【0140】
以上の説明では、本発明をRFIDタグに関連して説明したが、これに限定されることなく、本発明が非接触ICカードにも適用できることは、この分野の専門家には理解されるであろう。
【0141】
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素を組み合わせること、その変形およびバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理および請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく上述の実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。
【0142】
以上の実施例を含む実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 第1のメモリと、第1の制御部と、スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる第1の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第1の送信部と、を具える第1のアクティブ型非接触情報記憶装置と、
第2のメモリと、第2の制御部と、前記第2の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第2の送信部と、前記第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとるよう構成された第2の受信部と、を具えるマスタとして動作する読み取り書込み装置と、
第3のメモリと、第3の制御部と、スレーブ・モードにおいて前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作する第3の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信する第3の送信部と、を具える第2のアクティブ型非接触情報記憶装置と、
を含む、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムであって、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記第1の受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記第1の受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記第1の受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記第1の送信部を、前記第1のメモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記第1の受信部を動作状態にし、かつ、前記第1の送信部を不動作状態にし、
前記第1の受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記第1の受信部および前記第1の送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記第1の受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記第1の送信部および前記第1の受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、
情報アクセス・システム。
(付記2) 前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置において、前記第3の受信部は、さらに、マスタ・モードにおいて前記第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとり、前記第3の送信部は、さらに、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、休止期間において不動作状態となるよう動作するものであること、を特徴とする付記1に記載の情報アクセス・システム。
(付記3) 前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードにおいて、前記休止期間を挟んで複数の前記送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、マスタ・モードにおいて第2の時間期間が経過したとき前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードに移行させること、を特徴とする付記1または2に記載の情報アクセス・システム。
(付記4) 前記第1のメモリは前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第2のメモリは前記読み取り書込み装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第3のメモリは前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードからスレーブ・モードに移行し後、前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度より高い優先度を有する他の装置から情報要求信号を第3の時間期間において受信しなかったときは前記第1の送信部および前記第1の受信部を再びマスタ・モードに移行させ、前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度より高い優先度を有する他の装置から情報要求信号を前記第3の時間期間において受信したときは前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードのまま維持すること、を特徴とする付記3に記載の情報アクセス・システム。
(付記5) 前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置において、前記第3の受信部は、さらに、マスタ・モードにおいて前記第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとり、前記第3の送信部は、さらに、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、休止期間において不動作状態となるよう動作するものであり、
前記第1のメモリは前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第2のメモリは前記読み取り書込み装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第3のメモリは前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードにおいて、前記休止期間を挟んで複数の前記送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、マスタ・モードにおいて前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度より高い優先度を表す情報を含む応答信号を受信したとき前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードに移行させること、を特徴とする付記1に記載の情報アクセス・システム。
(付記6) 前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置において、前記第3の受信部は、さらに、マスタ・モードにおいて前記第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとり、前記第3の送信部は、さらに、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、休止期間において不動作状態となるよう動作するものであり、
前記第1のメモリは前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第2のメモリは前記読み取り書込み装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第3のメモリは前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードにおいて、前記休止期間を挟んで複数の前記送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度と同じ優先度を表す情報を含む応答信号を受信した場合、マスタ・モードからスレーブ・モードに移行した後で、前記同じ優先度を表す情報を含む情報要求信号を受信し得る少なくとも所定の時間期間が経過するまでは前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードのまま維持すること、を特徴とする付記1に記載の情報アクセス・システム。
(付記7) 読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信可能なアクティブ型非接触情報記憶装置であって、
メモリと、
制御部と、
スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる受信部と、
スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる送信部と、
を具え、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記送信部および前記受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、
アクティブ型非接触情報記憶装置。
(付記8) 読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信可能なアクティブ型非接触情報記憶装置であって、
メモリと、
制御部と、
前記制御部に結合されたスイッチと、
スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる受信部と、
スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる送信部と、
を具え、
前記制御部は、ユーザによって前記手動スイッチが付勢されたときに、前記送信部および前記受信部を一時的にマスタ・モードに移行させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御することを特徴とする、
アクティブ型非接触情報記憶装置。
(付記9) アクティブ型非接触情報記憶装置において、読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信する通信方法であって、
前記アクティブ型非接触情報記憶装置は、メモリ、制御部、送信部および受信部を具えるものであり、
前記制御部を用いて、スレーブ・モードにおいて、第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう前記受信部を動作させ、情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信するよう前記送信部を動作させ、
前記制御部を用いて、マスタ・モードにおいて、前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとるよう前記受信部を動作させ、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となるよう前記送信部を動作させ、
スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記送信部および前記受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、通信方法。
(付記10) 読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信するためのアクティブ型非接触情報記憶装置用のプログラムであって、
前記アクティブ型非接触情報記憶装置は、メモリ、制御部、送信部および受信部を具えるものであり、
スレーブ・モードにおいて、第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう前記受信部を動作させ、情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信するよう前記送信部を動作させるステップと、
マスタ・モードにおいて、前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとるよう前記受信部を動作させ、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となるよう前記送信部を動作させるステップと、
を実行させるよう動作可能であり、
スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記送信部および前記受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、プログラム。
(付記11) 付記7または8に記載のアクティブ型非接触情報記憶装置を有する電子機器。
(付記12) 付記7または8に記載のアクティブ型非接触情報記憶装置を有する物品。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】図1は、従来の改良型のアクティブRFIDタグを読み取るためのリーダ/ライタ装置とRFIDタグのタイムチャートを示している。
【図2】図2は、さらに改良されたアクティブRFIDタグとリーダ/ライタ装置300の構成を示している。
【図3】図3Aは、リーダ/ライタ装置のタグID要求コマンド等の情報を含むデータを搬送するRF信号の送信処理のタイミングを示している。図3Bは、リーダ/ライタ装置の受信待ち状態および受信RF信号の受信処理のタイミングを示している。図3Cは、アクティブRFIDタグのキャリア・センス、受信RF信号の受信処理、および応答を搬送するRF信号の送信処理のタイミングを示している。
【図4】図4は、リーダ/ライタ装置によって実行される処理のフローチャートを示している。
【図5A】図5Aおよび5Bは、アクティブRFIDタグによって実行される処理のフローチャートを示している。
【図5B】(図5Aで説明)
【図6】図6は、図2の構成を変形したより安全なアクティブRFIDタグとリーダ/ライタ装置の構成を示している。
【図7】図7Aは、リーダ/ライタ装置のID要求コマンド等のデータを搬送するRF信号の送信処理のタイミングを示している。図7Bは、リーダ/ライタ装置の受信待ち状態および受信RF信号の受信処理のタイミングを示している。図7Cは、アクティブRFIDタグのキャリア・センス、受信RF信号の受信処理、および認証成功の場合における応答を搬送するRF信号の送信処理のタイミングを示している。
【図8】図8は、リーダ/ライタ装置によって実行される処理のフローチャートを示している。
【図9A】図9Aおよび9Bは、アクティブRFIDタグによって実行される処理のフローチャートを示している。
【図9B】(図9Aで説明)
【図10】図10は、本発明の実施形態による、スレーブまたはマスタとして動作するスレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグを含むスレーブ/マスタ・デバイスの構成を示している。
【図11】図11は、本発明の実施形態による、マスタ・リーダ/ライタ装置(R/W)を含むマスタ・デバイスの構成を示している。
【図12】図12Aは、本発明の実施形態による、マスタ・デバイスとしてのパーソナル・コンピュータの通信可能範囲の領域における、パーソナル・コンピュータと、スレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグ、携帯電話機およびバッジ、およびスレーブ・デバイスとしての荷札との間の交信状態の例を示している。図12Bは、図12Aの配置においてマスタ・デバイスとしてのパーソナル・コンピュータがいなくなった場合の、スレーブ/マスタ・デバイスとしてのネーム・タグと、スレーブ/マスタ・デバイスとしての携帯電話機およびバッジ、およびスレーブ・デバイスとしての荷札との間の交信状態の例を示している。
【図13】図13Aおよび13Bは、ユーザが図10におけるスイッチを押下することによってスレーブ/マスタ・デバイスが一時的にスレーブ・モードSからマスタ・モードMへ移行する変化を示すタイムチャートを示している。
【図14】図14Aおよび14Bは、ユーザが図10のスイッチを押下することによってスレーブ/マスタ・デバイスが一定時間期間だけスレーブ・モードSからマスタ・モードMへの移行する変化を示す別のタイムチャートを示している。
【図15】図15は、各デバイスのマスタ/スレーブ(M/S)の優先度レベルを示す表の例を示している。
【図16】図16は、初期状態として各デバイスが互いの通信可能範囲内に存在していた後、いずれかのデバイスが移動して消失した場合の残りのデバイスの動作を示している。
【図17】図17は、初期状態としていずれかのデバイスが互いの通信可能範囲内に存在していたとき、他のデバイスが出現して通信に参加した場合の各デバイスの動作を示している。
【図18】図18は、初期状態として各デバイスが互いの通信可能範囲内に存在していたとき、いずれかのデバイスが消失した場合の残りのデバイスの別の動作を示している。
【図19】図19A〜19Fは、互いに通信可能範囲にあり異なる優先度レベルを有する2つのスレーブ/マスタ・デバイスの動作のタイムチャートを示している。
【図20】図20は、A〜20Iは、互いに通信可能範囲にあり異なる優先度レベルを有する2つのスレーブ/マスタ・デバイス、および後でそのデバイスの通信可能範囲に出現する最も高い優先度のマスタ・デバイスの動作のタイムチャートを示している。
【図21】図21Aはマスタ・デバイスの状態遷移図を示している。図21Bはスレーブ・デバイスの状態遷移図を示している。
【図22】図22は、スレーブ/マスタ・デバイスの各々の状態遷移図を示している。
【図23】図23は、図22における各状態の定義を示している。
【図24】図24A〜24Dは、互いの通信可能範囲に同じ優先度レベルの2つのスレーブ/マスタ・デバイスを含む複数のデバイスが存在する場合の動作モードのタイムチャートを示している。
【符号の説明】
【0144】
20 スレーブ/マスタ・デバイス
204 スレーブ/マスタ・アクティブRFIDタグ
210 制御部
214 メモリ
215 マスタ/スレーブ切換部
222 データ生成部
230 送信部
244 データ復号部
250 受信部
278 スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のメモリと、第1の制御部と、スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる第1の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第1の送信部と、を具える第1のアクティブ型非接触情報記憶装置と、
第2のメモリと、第2の制御部と、前記第2の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第2の送信部と、前記第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとるよう構成された第2の受信部と、を具えるマスタとして動作する読み取り書込み装置と、
第3のメモリと、第3の制御部と、スレーブ・モードにおいて前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作する第3の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信する第3の送信部と、を具える第2のアクティブ型非接触情報記憶装置と、
を含む、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムであって、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記第1の受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記第1の受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記第1の受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記第1の送信部を、前記第1のメモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記第1の受信部を動作状態にし、かつ、前記第1の送信部を不動作状態にし、
前記第1の受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記第1の受信部および前記第1の送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記第1の受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記第1の送信部および前記第1の受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、
情報アクセス・システム。
【請求項2】
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードにおいて、前記休止期間を挟んで複数の前記送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、マスタ・モードにおいて第2の時間期間が経過したとき前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードに移行させること、を特徴とする請求項1に記載の情報アクセス・システム。
【請求項3】
前記第1のメモリは前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第2のメモリは前記読み取り書込み装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第3のメモリは前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードからスレーブ・モードに移行し後、前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度より高い優先度を有する他の装置から情報要求信号を第3の時間期間において受信しなかったときは前記第1の送信部および前記第1の受信部を再びマスタ・モードに移行させ、前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度より高い優先度を有する他の装置から情報要求信号を前記第3の時間期間において受信したときは前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードのまま維持すること、を特徴とする請求項2に記載の情報アクセス・システム。
【請求項4】
読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信可能なアクティブ型非接触情報記憶装置であって、
メモリと、
制御部と、
スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる受信部と、
スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる送信部と、
を具え、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記送信部および前記受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、
アクティブ型非接触情報記憶装置。
【請求項5】
読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信可能なアクティブ型非接触情報記憶装置であって、
メモリと、
制御部と、
前記制御部に結合されたスイッチと、
スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる受信部と、
スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる送信部と、
を具え、
前記制御部は、ユーザによって前記手動スイッチが付勢されたときに、前記送信部および前記受信部を一時的にマスタ・モードに移行させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御することを特徴とする、
アクティブ型非接触情報記憶装置。
【請求項1】
第1のメモリと、第1の制御部と、スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる第1の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第1の送信部と、を具える第1のアクティブ型非接触情報記憶装置と、
第2のメモリと、第2の制御部と、前記第2の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる第2の送信部と、前記第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとるよう構成された第2の受信部と、を具えるマスタとして動作する読み取り書込み装置と、
第3のメモリと、第3の制御部と、スレーブ・モードにおいて前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作する第3の受信部と、スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信する第3の送信部と、を具える第2のアクティブ型非接触情報記憶装置と、
を含む、非接触情報記憶装置内の情報にアクセスするための情報アクセス・システムであって、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記第1の受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記第1の受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記第1の受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記第1の送信部を、前記第1のメモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記第1の制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記第1の受信部を動作状態にし、かつ、前記第1の送信部を不動作状態にし、
前記第1の受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記第1の受信部および前記第1の送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記第1の受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記第1の送信部および前記第1の受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、
情報アクセス・システム。
【請求項2】
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードにおいて、前記休止期間を挟んで複数の前記送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、マスタ・モードにおいて第2の時間期間が経過したとき前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードに移行させること、を特徴とする請求項1に記載の情報アクセス・システム。
【請求項3】
前記第1のメモリは前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第2のメモリは前記読み取り書込み装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、前記第3のメモリは前記第2のアクティブ型非接触情報記憶装置の識別情報および優先度を表す情報を格納しており、
前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の前記第1の制御部は、マスタ・モードからスレーブ・モードに移行し後、前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度より高い優先度を有する他の装置から情報要求信号を第3の時間期間において受信しなかったときは前記第1の送信部および前記第1の受信部を再びマスタ・モードに移行させ、前記第1のアクティブ型非接触情報記憶装置の優先度より高い優先度を有する他の装置から情報要求信号を前記第3の時間期間において受信したときは前記第1の送信部および前記第1の受信部をスレーブ・モードのまま維持すること、を特徴とする請求項2に記載の情報アクセス・システム。
【請求項4】
読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信可能なアクティブ型非接触情報記憶装置であって、
メモリと、
制御部と、
スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる受信部と、
スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる送信部と、
を具え、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御し、
前記受信部が複数の前記或る所定期間より長い第1の時間期間において情報要求信号を受信しなかったとき、前記送信部および前記受信部をマスタ・モードに移行させることを特徴とする、
アクティブ型非接触情報記憶装置。
【請求項5】
読み取り書込み装置および/または別の非接触情報記憶装置と通信可能なアクティブ型非接触情報記憶装置であって、
メモリと、
制御部と、
前記制御部に結合されたスイッチと、
スレーブ・モードにおいて第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知するよう動作し、マスタ・モードにおいて前記第1の周波数と異なる第2の周波数のRF信号をいつでも受信可能な連続的な受信待ち状態をとる受信部と、
スレーブ・モードにおいて情報要求信号を受信したときに前記第2の周波数の応答信号を送信し、マスタ・モードにおいて、前記第1の制御部の制御の下で送信期間において前記第1の周波数の情報要求信号を周期的に繰り返し送信し、その後の休止期間において不動作状態となる送信部と、
を具え、
前記制御部は、ユーザによって前記手動スイッチが付勢されたときに、前記送信部および前記受信部を一時的にマスタ・モードに移行させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
前記受信部を、前記送信期間および前記休止期間の各々よりも短い所定の周期で所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスするよう制御し、
前記受信部が或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスして検知したとき、前記受信部をさらに情報要求信号を受信するよう動作させ、
前記情報要求信号に応答して、前記送信部を、前記メモリに格納された情報を含む前記第2の周波数の応答信号を送信するよう動作させ、
前記制御部は、スレーブ・モードにおいて、
キャリア・センスのとき、前記或る所定期間において前記受信部を動作状態にし、かつ、前記送信部を不動作状態にし、
前記受信部が前記或る所定期間に前記第1の周波数のRF信号をキャリア・センスしても検知されなかったとき、前記キャリア・センスの前記或る所定期間と次にキャリア・センスを行うべき前記所定期間との間の非キャリア・センス期間において、前記受信部および前記送信部を不動作状態を維持するよう制御することを特徴とする、
アクティブ型非接触情報記憶装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2008−83871(P2008−83871A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261557(P2006−261557)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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