説明

情報コード読取装置及び情報コード読取方法

【課題】複数の情報コードの読み取り時間を短縮できる情報コード読取方法を提供する。
【解決手段】複数個の情報コードに対して、M行N列のマトリクス状の仮想グリッド線g内に整列して配置されたものとして認識する。そして、M行N列のマトリクス状の仮想グリッド線g内の情報コードを行に沿って読み取り順序を決定する。この後、情報コードを決定された読取順序に従い読取る。このため、読み取ったデコードデータの並び替え処理が生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のデータが部分データに分割された状態で各部分データ毎に表現された複数個の情報コードを光学的に読取るための情報コード読取方法およびその方法を用いた情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より光学的情報読取装置は、POSシステム,OAシステムおよびFAシステム等に広く利用されており、例えば紙面等に印刷表示されたバーコードや二次元コード等の情報コードを光学的に読取るための装置として一般に普及している。このような情報コードを例えば紙面などに印刷表示するためには所定の表示スペースを確保する必要があり、その必要不可欠な表示スペースは情報コードの情報量に応じて規定されている。
【0003】
一般に、情報コードで表現する所定のデータの情報量が多くなればなるほど表示スペースは大きくなる。そこで、このような表示スペースに制限が存在する場合に備えて、所定のデータを部分データに分割し各部分データ毎に部分情報コードで表現し、所定のデータを複数個の部分情報コードで表現することが実施されている。特許文献1及び特許文献2には、複数個の部分情報コードを読み取る読取方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−18579号公報
【特許文献2】特開平10−269332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数個の部分情報コードを読み取る場合には、それぞれの部分情報コードに読み取りの順番が書き込まれているため、読み取った情報コードをデコードした後に、決められた順番にデコードデータを並び替える必要があり、読み取り時間が長くなるという課題があった。特許文献2には、複数の情報コードを読み取る方法が開示されている。情報コードをなぞりながら撮像し逐次デコードを行って行くため、デコードデータを並び替える必要は無いが、複数個の情報コードを一括して撮像して処理することができず、複数個の部分情報コードを一個ずつ読取るため読み取り、デコードの時間が長くなる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数の情報コードの読み取り時間を短縮できる情報コード読取装置及び情報コード読取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、読取領域に入るM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列して配置された複数の情報コードを一括して読取可能な情報コード読取装置10であって、
前記読取領域における複数の情報コードを含む画像データを取り込む取込手段(S14)と、
前記画像データにおける前記M行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列して配置された情報コードの位置を認識する位置認識手段(S22、S24)と、
認識した位置に基づき、前記複数の情報コードの読取順序を決定する読取順序決定手段(S29)と、
前記整列して配置された情報コードを決定された読取順序に従い読取る読取手段(S30)と、を有することを技術的特徴とする。
【0007】
また、請求項6の発明は、読取領域に入る判読可能な情報に沿って配置された複数の情報コードを一括して読取可能な情報コード読取装置10であって、
前記読取領域における複数の情報コードを含む画像データを取り込む取込手段(S14)と、
前記画像データにおける情報コードの位置を認識する位置認識手段(S20)と、
認識した情報コードの位置から前記判読可能な情報を判読する判読手段(S50)と、 判読された判読可能な情報の書き順に従い、前記複数の情報コードの読取順序を決定する読取順序決定手段(S54)と、
前記複数の情報コードを決定された読取順序に従い読取る読取手段(S30)と、を有することを技術的特徴とする。
【0008】
請求項11の発明は、目視により判読可能な情報に沿って配置された複数の情報コードを一括して読取可能な情報コード読取方法であって、
前記読取領域における複数の情報コードを含む画像データを取り込む取込ステップ(S14)と、
前記画像データにおける情報コードの位置を認識する位置認識ステップ(S20)と、
認識した情報コードの位置から前記判読可能な情報を判読する判読ステップ(S50)と、
判読された判読可能な情報の書き順に従い、前記複数の情報コードの読取順序を決定する読取順序決定ステップ(S54)と、
前記複数の情報コードを決定された読取順序に従い読取る読取ステップ(S30)と、を有することを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の情報コード読取装置では、複数の情報コードを含む画像データを一括して取り込み、画像データにおけるM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列して配置された情報コードの位置を認識し、認識した位置に基づき複数の情報コードの読取順序を決定する。そして、情報コードを決定された読取順序に従い読取る。このため、読み取った情報コードのデコードデータの並び替え処理が生じないので、複数の情報コードを一括して取り込み短時間で読み取ることができる。また、情報コードに順番のデータが含まれないため、順番を求める処理時間分、デコード時間を短縮することができる。
【0010】
請求項2の情報コード読取装置では、画像データにおけるM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列して配置された情報コードの位置を認識し、行単位、又は、列単位に情報コードの読取順序を決定する。そして、情報コードを決定された読取順序に従い読取る。このため、読み取った情報コードのデコードデータの並び替え処理が生じないので、複数の情報コードを短時間で読み取ることができる。
【0011】
請求項3の情報コード読取装置では、情報コードの位置決めマークに基づき、一括読取の対象とする複数の情報コードの天地方向を求める。このため、画像データにおけるM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列して配置された情報コードの位置を適正に認識することができる。
【0012】
請求項4の情報コード読取装置では、読取領域内の複数の情報コードにおいて、最も外側に位置する情報コードの外縁に所定のマージンがある場合に、読取領域内に一括読取の対象とする全ての情報コードが入っていると判断する。このため、複数の情報コードの一部のみをデコードし、誤ったデータを出力することが無い。
【0013】
請求項5の情報コード読取装置では、情報コードの読み取りが不可能な際に、認識した情報コードの位置から判読可能な情報を判読し、判読された判読可能な情報の書き順に従い複数の情報コードの読取順序を決定し、複数の情報コードを決定された読取順序に従い読取る。このため、画像データにおけるM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に情報コードの位置を認識できない、判読可能な情報(例えば文字状)に情報コードが配置されている場合にも、該情報コードをデコードすることが可能になる。
【0014】
請求項6の情報コード読取装置では、複数の情報コードを含む画像データを一括して取り込み、画像データにおける情報コードの位置を認識し、認識した情報コードの位置から判読可能な情報を判読し、判読された判読可能な情報の書き順に従い、複数の情報コードの読取順序を決定する。そして、情報コードを決定された読取順序に従い読取る。このため、読み取った情報コードのデコードデータの並び替え処理が生じないので、複数の情報コードを一括して取り込み短時間で読み取ることができる。また、情報コードに順番のデータが含まれないため、順番を求める処理時間分、デコード時間を短縮することができる。情報コードが人間に判読可能な情報からなるので、見た目に強い印象を与え視覚的効果の高い情報コードを情報コード読取装置で読み取ることができる。情報を判読する処理を行うので、情報コードの天地を求める処理が不要になる分、処理時間を短縮することが可能となる。
【0015】
請求項7の情報コード読取装置では、判読可能な情報が、数字、カタカナ、アルファベット、平仮名、漢字、記号であるため、見た目に強い印象を与え視覚的効果の高い情報コードを情報コード読取装置で読み取ることができる。
【0016】
請求項8の情報コード読取装置では、判読可能な情報と該判読可能な情報の書き順とを記憶しておき、情報コードの位置と記憶した判読可能な情報とを照らし合わせることで、判読可能な情報を判読し、記憶した判読可能な情報の書き順に従い、複数の情報コードの読取順序を決定する。このため、一括して取り込んだ情報コードの読取順序を適正に決定することができる。
【0017】
請求項9の情報コード読取装置では、情報コードの位置決めマークに基づき、一括読取の対象とする複数の情報コードの天地方向を求める。このため、画像データにおける情報コードの位置を適正に認識することができる。
【0018】
請求項10の情報コード読取装置では、読取領域内の複数の情報コードにおいて、最も外側に位置する情報コードの外縁に所定のマージンがある場合に、読取領域内に一括読取の対象とする全ての情報コードが入っていると判断する。このため、複数の情報コードの一部のみをデコードし、誤ったデータを出力することが無い。
【0019】
請求項11の情報コード読取方法では、複数の情報コードを含む画像データを一括して取り込み、画像データにおける情報コードの位置を認識し、認識した情報コードの位置から判読可能な情報を判読し、判読された判読可能な情報の書き順に従い、複数の情報コードの読取順序を決定する。そして、情報コードを決定された読取順序に従い読取る。このため、読み取った情報コードのデコードデータの並び替え処理が生じないので、複数の情報コードを一括して取り込み短時間で読み取ることができる。また、情報コードに順番のデータが含まれないため、順番を求める処理時間分、デコード時間を短縮することができる。更に、順番のデータが含まれないため、情報コードに含ませる情報量を増やすことができる。情報コードが人間に判読可能な情報からなるので、見た目に強い印象を与え視覚的効果の高い情報コードを用いることができる。
【0020】
請求項12の情報コード読取方法では、情報コード内の情報が判読可能な情報に関連するものである。例えば、住宅情報を[家]の形に配置した情報コードに書き込むことで、見た目に強い印象を与え視覚的効果を更に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報コード読取方法及び該方法を用いる情報コード読取装置の実施形態について図を参照して説明する。まず、第1実施形態に係る情報コード読取装置の回路構成を図1のブロック図を参照して説明する。
情報コード読取装置10には、回路部20が設けられている。回路部20は、主に、発光ダイオード21、集光レンズ24、受光センサ23、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、キースイッチ50、トリガースイッチ22、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0022】
まず、光学系から説明する。発光ダイオード21は、照明光Lfを照射可能な光照射器として機能するもので、拡散レンズと凸レンズとを組み合わせた集光レンズ24により集光させる。受光センサ23は、読取対象物RやQRコードQに照射されて反射した反射光Lrを結像レンズ27を介して受光可能に構成されるイメージセンサから成る。結像レンズ27は、外部から入射する入射光を集光して受光センサ23の受光面23aに像を結像可能な結像光学系として機能するもので、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとにより構成されている。
【0023】
次に、マイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、キースイッチ50、トリガースイッチ22、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35を中心に構成されるもので、前述した光学系によって撮像された画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該情報コード読取装置10の全体システムに関する制御も行っている。
【0024】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データは、メモリ35に入力されて蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0025】
制御回路40は、情報コード読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、キースイッチ50、トリガースイッチ22、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等が接続されている。制御回路40は、二次元コードを読み取った結果を、通信インタフェース48を介して図示しないコンピュータ側へ出力するよう構成されている。なお、本発明の記憶手段を構成するメモリ35には、文字認識を行うための判読可能な文字のデータを含むOCRのプログラムと、判読可能な文字の書き順のデータとが保持されている。
【0026】
引き続き、第1実施形態の情報コード読取方法、及び、当該読み取り方法に係る情報コード読取装置10による複数個のQRコードの一括読み取り処理について説明する。この説明に先立ち、QRコードの構造に関して簡単に説明する。
図3(A)はQRコードQの構成を示す。QRコードにはQRコードの位置を検出して外形を切り出すための位置検出パターン(ファインダーパターン)Pが、4角の内の3カ所に置かれている。図3(B)に示すように、位置決めマークPの明暗配置は、黒部からなる正方形Pc内の中心に白部からなる縮小した正方形Pbが形成され、その内の中心に黒部からなる更に縮小した正方形Paが形成されているパターンである。情報コード読取装置10は、QRコードをデコードする際に、先ず、位置検出パターンPを検出し、位置検出パターンが2個存在する側を「天」、位置検出パターンが左方に1個存在する側を「地」と認識し、QRコードの切り出しを行う。
【0027】
第1実施形態の情報コード読取装置10によるQRコードの一括読み取り処理の概略について図4及び図5を参照して説明する。
図4(A)は、一括読み取り対象のQRコードを示す説明図である。QRコードは、後述するようにM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列して配置されると共に、アルファベットの[A]字状に配置されている。図4(B)は、図4(A)中のQRコードを切り出し処理を行った説明図である。図3を参照して上述したように、3個の位置検出パターンにより個々のQRコードの切り出しが行われる。
【0028】
図5(A)は、図4(B)に示す切り出しが行われたQRコードに対して、M行N列のマトリクス状の仮想グリッド線g内に整列して配置されたものとして認識する処理を示している。このように、各QRコードをM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線g内に認識する。図5(B)は、M行N列のマトリクス状の仮想グリッド線g内のQRコードの読み取り順序決定処理の説明図である。第1実施形態では、行に沿ってQRコードの読み取り順序を決定し、1行の順番を決定すると、次の行のQRコードの順番を決定する。この処理により、16個のQRコードの読み取り順序を決定する。即ち、図4(A)に示す16個のQRコードは、図15(B)に示す順序に従いデコードされるように規則付けられており、第1実施形態の情報コード読取装置10は、この規則に従いデコードを行う。なお、上述した例では、行に沿ってデコードの順番を決定したが、列に沿ってデコードの順番を決定することもできる。
【0029】
第1実施形態の情報コード読取装置10では、全てのQRコードに対して、M行N列のマトリクス状の仮想グリッド線g内に整列して配置されたものとして位置を決定した。しかし、図6に示すように何れかのQRコードがM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線g内に整列して配置されいない場合(図6中では、(3)のQRコードが仮想グリッド線gと交差している)、該複数個のQRコードの配置が文字として認識できるかを判断する。そして、文字として認識できる場合、即ち、図6に示す例では、当該複数個のQRコードを[イ]の字と認識し、イの字の書き順に従い、図中の7個のQRコードをデコードする(1)〜(7)の順番を決定する。ここで、文字とは、数字、カタカナ、アルファベット、平仮名、漢字、記号等の認識可能な情報を意味する。なお、記号の書き順に関しては、情報コード読取装置の製造メーカにより予め決められているものとする。
【0030】
第1実施形態の情報コード読取装置10によるQRコードの一括読み取り処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。
先ず、露光条件の初期設定を行い(S12)、画像データの一括取り込みを行う(S14)。ここでは、図4(A)に示す[A]字状の複数個のQRコードを取り込んだものとする。次に、各QRコードの位置決めパターンを検出し(S16)、図3を参照して上述したように少なくとも1個のQRコードに基づき複数個のQRコードの天地を決定する(S18)。引き続き、各QRコードの位置決めパターンに基づきそれぞれのQRコードを検出(QRコードの切り出し)し(S20)、図5(A)に示すように全体のQRコードの領域を確認(全てのQRコードの含まれる外縁の決定)する(S22)。更に、図5(A)に示すように、各QRコードに沿ってM行(ここでは5行)N列(ここでは6列)のマトリクス状の仮想グリッド線gを生成する(S24)。そして、複数個のQRコードにおいて、最も外側に位置する情報コードの外縁(即ち、上端のQRコードに対しては上側、右端のQRコードに対しては右側)にQRコード2個分のマージンが有るか否かを判断する(S26)。ここで、2個分のマージンが無い場合には(S26:No)、取り込み漏れのQRコードが存在している可能性があるので、S12に戻り、画像データの取り込みを再度行う。
【0031】
一方、外縁にQRコード2個分のマージンが有る場合には(S26:Yes)、一括読み取り対象の全てのQRコードが画像データに含まれているとして、次に、QRコードがM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列しているかを判断する(S29)。ここで、図5(A)に示すようにマトリクス状の仮想グリッド線内に整列している場合には(S28:Yes)、図5(B)を参照して上述したように、行列に従いデコード順序を決定する(S29)。そして、決定された順序に従い逐一QRコードのデコードを行う(S30)。そして、デコードが成功したか判断し(S32)、デコードに失敗した場合には(S32:No)、露光条件を再設定し(S42)、画像データを再度取り込みデコードを行う(S44)。そして、デコードが成功するまで(S46:No)、露光条件を再設定し(S42)、画像データを再度取り込みデコードを行う(S44)。デコードが成功すると(S46:Yes)、全てのQRコードのデコードデータが揃ったかを判断し(S34)、全て揃うまでは(S34:No)、S30に戻り各QRコードのデコードを続ける。そして、全て揃うと(S34:Yes)、全てのデコードデータを合成し、結果を出力する(S36)。
【0032】
ここで、図6を参照して上述したように、何れかのQRコードがM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列していない場合には(S28:No)、一括読み取りのQRコードの文字認識を行う(S50)。そして、文字認識可能であるか判断し(S52)、文字認識可能な場合には(S52:Yes)、図6(A)中に示すように認識した当該文字の書き順に従いデコード順序を決定し(S54)、S30の処理へ移行する。
【0033】
第1実施形態の情報コード読取装置10では、複数のQRコードを含む画像データを一括して取り込み、画像データにおけるM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列して配置されたQRコードの位置を認識し、認識した位置に基づき複数のQRコードの読取順序を決定する。そして、QRコードを決定された読取順序に従い読取る。このため、読み取ったQRコードのデコードデータの並び替え処理が生じないので、複数のQRコードを一括して取り込み短時間で読み取ることができる。また、QRコードに順番のデータが含まれないため、順番を求める処理時間分、デコード時間を短縮することができる。
【0034】
また、第1実施形態の情報コード読取装置10では、QRコードの位置決めマークに基づき、一括読取の対象とする複数のQRコードの天地方向を求める。このため、画像データにおけるM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列して配置されたQRコードの位置を適正に認識することができる。
【0035】
更に、第1実施形態の情報コード読取装置10では、読取領域内の複数のQRコードにおいて、最も外側に位置するQRコードの外縁にQRコード2個分のマージンがある場合に、読取領域内に一括読取の対象とする全てのQRコードが入っていると判断する。このため、複数のQRコードの一部のみをデコードし、誤ったデータを出力することが無い。
【0036】
図7は、第1実施形態の情報コード読取装置10によって読み取り可能な複数のQRコードを示している。即ち、QRコードとして、情報量の相対的に少ないQRコードQAと、相対的に多いQRコードQBとが含まれている。第1実施形態の情報コード読取方法では、情報量の相対的に少ないQRコードQAと、相対的に多いQRコードQBとが混在する場合、情報量の相対的に多いQRコードQBのパターンを縮小してQRコードQAと同サイズとすることとで、共にM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列して配置する。これにより、第1実施形態の情報コード読取装置10によって適正にデコードを行うことができる。
【0037】
図8は、第1実施形態の情報コード読取装置10により読み取り可能な複数のQRコードの説明図である。図8の例では、QRコードが[家]の字状に配置されると共に、QRコードに住宅情報が書き込まれている。この例では、QRコード内の情報がQRコードの配置から読み取れる文字に関連するものである。これにより、見た目に強い印象を与え視覚的効果を更に高めることができる。また、図示しないが、家の図柄を表すようにQRコードを配置し、QRコード内の情報がQRコードの配置から読み取れる図柄に関連するものとすることも可能である。
【0038】
図9は、図2を参照して上述した情報コード読取装置10によるQRコードの一括読み取り処理の別例を示すフローチャートである。図2を参照して上述した処理では、一括読み取りのQRコードがM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内整列していない場合に(S28:No)、QRコードの配列に対して文字認識を開始した。これに対して、図9に示す別例では、デコードに失敗した場合(S46:No)、文字認識を開始する(S50)。この別例においても、同様にして複数個のQRコードのデコードを行うことができる。
【0039】
第1実施形態の別例に係る情報コード読取装置では、QRコードの読み取りが不可能な際に、認識したQRコードの位置から判読可能な情報を判読し、判読された判読可能な情報の書き順に従い複数のQRコードの読取順序を決定し、複数のQRコードを決定された読取順序に従い読取る。このため、画像データにおけるM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内にQRコードの位置を認識できない、判読可能な情報(例えば文字状)にQRコードが配置されている場合にも、該QRコードをデコードすることが可能になる。
【0040】
[第2実施形態]
引き続き、第2実施形態に係る情報コード読取方法、当該方法を用いる情報コード読取装置について、図10及び図11を参照して説明する。なお、情報コード読取装置のハードウエアーの構成は、図1を参照して上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
第1実施形態では、M行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列したQRコードの読み取りを行った。これに対して、第2実施形態では、図11に示すように、文字状に配置されたQRコードを配置(この例ではイの字)の文字認識を行い、認識した文字の書き順に従いQRコードのデコード順序を決定する。
【0042】
第2実施形態の情報コード読取装置10によるQRコードの一括読み取り処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。
先ず、露光条件の初期設定を行い(S12)、画像データの一括取り込みを行う(S14)。次に、各QRコードの位置決めパターンを検出し(S16)、QRコードの領域を確認(QRコードの切り出し)する(S20)。そして、全てのQRコードの領域を確認する(S22)。そして、複数個のQRコードにおいて、最も外側に位置する情報コードの外縁にQRコード2個分のマージンが有るか否かを判断する(S26)。ここで、外縁にQRコード2個分のマージンが有る場合には(S26:Yes)、一括読み取り対象の全てのQRコードが画像データに含まれているとして、次に、QRコードの文字認識を行う(S50)。そして、文字認識可能であるか判断し(S52)、文字認識可能な場合には(S52:Yes)、図11を参照して上述したように認識した当該文字の書き順に従いデコード順序を決定し(S54)、デコードを開始する(S30)。以降の処理は、図2を参照して上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、第2実施形態では、QRコードの配置を文字認識したが、文字認識が不可能な場合に、更に、第1実施形態と同様にM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内にQRコードを認識して読み取り順序を決定することも可能である。
【0043】
第2実施形態の情報コード読取装置10では、複数のQRコードを含む画像データを一括して取り込み、画像データにおけるQRコードの位置を認識し、認識したQRコードの位置から文字を判読し、判読された文字の書き順に従い、複数のQRコードの読取順序を決定する。そして、QRコードを決定された読取順序に従い読取る。このため、読み取ったQRコードのデコードデータの並び替え処理が生じないので、複数のQRコードを一括して取り込み短時間で読み取ることができる。また、QRコードに順番のデータが含まれないため、順番を求める処理時間分、デコード時間を短縮することができる。QRコードが人間に認識可能な情報(文字)からなるので、見た目に強い印象を与え視覚的効果の高いQRコードに書かれた情報をQRコード読取装置で読み取ることができる。文字を判読する処理を行うので、QRコードの天地を求める処理が不要になる分、処理時間を短縮することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
上述した実施形態では、情報コード読取装置がQRコードを読み取る場合を例示したが、本発明の情報コード読取装置は、バーコード等の一次元コード、Data Matrixコード等種々の二次元コードの読み取りに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報コード読取装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の情報コード読取装置によるQRコードの一括読み取り処理のフローチャートである。
【図3】図3(A)はQRコードの構成を示し、図3(B)はQRコードの位置検出パターンの構成を示している。
【図4】図4(A)は、読み取り対象のQRコードを示す説明図であり、図4(B)は、図4(A)中のQRコードを切り出し処理を行った説明図である。
【図5】図5(A)は、切り出しが行われたQRコードに対して、M行N列のマトリクス状の仮想グリッド線g内に認識する処理の説明であり、図5(B)は、M行N列のマトリクス状の仮想グリッド線g内のQRコードの読み取り順序決定処理の説明図である。
【図6】第1実施形態に係るイの字状に配列されたQRコードを示す説明図である。
【図7】第1実施形態の情報コード読取装置で読み取り対象となり得るQRコードを示す説明図である。
【図8】第1実施形態の情報コード読取装置によって読み取り可能な複数のQRコードの説明図である。
【図9】第1実施形態の改変例に係る情報コード読取装置によるQRコードの一括読み取り処理のフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係るイの字状に配列されたQRコードを示す説明図である。
【図11】第2実施形態の情報コード読取装置によるQRコードの一括読み取り処理の説明図である。
【符号の説明】
【0046】
10 情報コード読取装置
35 メモリ(記憶手段)
40 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取領域に入るM行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列して配置された複数の情報コードを一括して読取可能な情報コード読取装置であって、
前記読取領域における複数の情報コードを含む画像データを取り込む取込手段と、
前記画像データにおける前記M行N列のマトリクス状の仮想グリッド線内に整列して配置された情報コードの位置を認識する位置認識手段と、
認識した位置に基づき、前記複数の情報コードの読取順序を決定する読取順序決定手段と、
前記整列して配置された情報コードを決定された読取順序に従い読取る読取手段と、を有することを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
前記読取順序決定手段は、行単位、又は、列単位に情報コードの読取順序を決定することを特徴とする請求項1の情報コード読取装置。
【請求項3】
少なくとも1つの情報コードの位置決めマークに基づき、一括読取の対象とする複数の情報コードの天地方向を求める天地方向決定手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2の情報コード読取装置。
【請求項4】
前記読取領域内の複数の情報コードにおいて、最も外側に位置する情報コードの外縁に所定のマージンがある場合に、読取領域内に一括読取の対象とする全ての情報コードが入っていると判断し、情報コードの読み取りを開始させる読取開始手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の情報コード読取装置。
【請求項5】
前記情報コードの読み取りが不可能な場合に、認識した情報コードの位置から判読可能な情報を判読し、判読された判読可能な情報の書き順に従い、前記複数の情報コードの読取順序を決定する第2読取順序決定手段を備え、
前記読取手段が、複数の情報コードを前記第2読取順序決定手段により決定された読取順序に従い読取ることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1の情報コード読取装置。
【請求項6】
読取領域に入る判読可能な情報に沿って配置された複数の情報コードを一括して読取可能な情報コード読取装置であって、
前記読取領域における複数の情報コードを含む画像データを取り込む取込手段と、
前記画像データにおける情報コードの位置を認識する位置認識手段と、
認識した情報コードの位置から前記判読可能な情報を判読する判読手段と、
判読された判読可能な情報の書き順に従い、前記複数の情報コードの読取順序を決定する読取順序決定手段と、
前記複数の情報コードを決定された読取順序に従い読取る読取手段と、を有することを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項7】
前記判読可能な情報が、数字、カタカナ、アルファベット、平仮名、漢字、記号であることを特徴とする請求項5又は請求項6の情報コード読取装置。
【請求項8】
判読可能な情報と該判読可能な情報の書き順とを記憶する記憶手段を備え、
前記判読手段が、情報コードの位置と記憶手段に記憶された判読可能な情報とを照らし合わせることで、判読可能な情報を判読し、
前記読取順序決定手段が、記憶手段に記憶された判読可能な情報の書き順に従い、前記複数の情報コードの読取順序を決定することを特徴とする請求項6の情報コード読取装置。
【請求項9】
少なくとも1つの情報コードの位置決めマークに基づき、一括読取の対象とする複数の情報コードの天地方向を求める天地方向決定手段を備えることを特徴とする請求項6の情報コード読取装置。
【請求項10】
前記読取領域内の複数の情報コードにおいて、最も外側に位置する情報コードの外縁に所定のマージンがある場合に、読取領域内に一括読取の対象とする全ての情報コードが入っていると判断し、情報コードの読み取りを開始させる読取開始手段を備えることを特徴とする請求項6の情報コード読取装置。
【請求項11】
目視により判読可能な情報に沿って配置された複数の情報コードを一括して読取可能な情報コード読取方法であって、
前記読取領域における複数の情報コードを含む画像データを取り込む取込ステップと、 前記画像データにおける情報コードの位置を認識する位置認識ステップと、
認識した情報コードの位置から前記判読可能な情報を判読する判読ステップと、
判読された判読可能な情報の書き順に従い、前記複数の情報コードの読取順序を決定する読取順序決定ステップと、
前記複数の情報コードを決定された読取順序に従い読取る読取ステップと、を有することを特徴とする情報コード読取方法。
【請求項12】
前記情報コード内の情報が前記判読可能な情報に関連するものであることを特徴とする請求項11の情報コード読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−295108(P2009−295108A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150788(P2008−150788)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】