説明

情報入力装置、オブジェクト表示方法、およびコンピュータが実行可能なプログラム

【課題】操作者がいかなる指示体を使用して情報入力を行う場合でもその操作性を向上させることが可能な情報入力装置、情報入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】指サイズ判定部42は、指紋読み取り装置18で読み取った指の指紋画像に基づいて、指のサイズを検出し、拡大率決定部43は、検出した指のサイズに基づいて、表示画面上の拡大対象オブジェクトの拡大率を決定し、拡大オブジェクト生成部45は、決定した拡大率で、拡大対象オブジェクトを拡大して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報入力装置、情報入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関し、詳細には、タッチパネルで指示体により情報入力を行う場合に、その操作性を向上させた情報入力装置、情報入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画面上のオブジェクト(ボタン、アイコンなど)に指で触れることで、文字入力やメニュー選択などの各種命令(コマンド)を実行できるタッチパネルは、操作者がキーボードに不慣れであったり、キーボードを設置する物理的スペースがなかったりする場合の入力手段として、パーソナル・コンピュータのほかPDA、ATM、カーナビゲーションシステムなどに広く利用されている。
【0003】
かかるタッチパネルについては、従来から、入力を容易化するためのさまざまな方法が提案されている。例えば、タッチパネルで拡大領域を指定して、指定した拡大領域内のオブジェクトを拡大表示する技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
しかしながら、ユーザによって指のサイズが異なるが、特許文献1〜3では、オブジェクトを拡大する場合にその拡大率が一定であるため、指の大きい人にとっては、当該オブジェクトを操作する場合に拡大が足りなく操作しにくい場合があり、また、指の小さい人にとっては、拡大が過多となり、逆に、オブジェクトの拡大により画面で隠れてしまう部分がでてくるため、操作しにくくなるという問題がある。
【0005】
他方、タッチパネルでの指示体は、指に限られず、ペンやスタイラスを使用する場合があるが、タッチパネルでペンやスタイラスを使用する場合は、指の大きさは関係なく、ペンやスタイラスのペン先のサイズが操作性と関係する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−250681号公報
【特許文献2】特開2005−044026号公報
【特許文献3】特開平09−44330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操作者がいかなる指示体を使用して情報入力を行う場合でもその操作性を向上させることが可能な情報入力装置、情報入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示画面上に設けられたタッチパネルに指示体をタッチすることによって情報を入力する情報入力装置において、前記指示体のサイズを検出する指示体サイズ検出手段と、前記指示体サイズ検出手段で検出した指示体のサイズに基づいて、前記表示画面上の拡大対象オブジェクトの拡大率を決定する拡大率決定手段と、前記拡大率決定手段で決定した拡大率で、前記拡大対象オブジェクトを拡大して表示する拡大オブジェクト生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記指示体は指であり、前記指示体サイズ検出手段は、指紋読み取り手段で読み取った指の指紋画像に基づいて、前記指示体のサイズを検出することが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記指示体サイズ検出手段は、前記指示体が前記タッチパネルにタッチしたときのタッチ面の座標情報に基づいて、前記指示体のサイズを検出することが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記表示画面上に1又は複数のオブジェクトが表示されている状態で、前記指示体で表示画面にタッチされた場合には、当該タッチ点を中心として所定範囲内にオブジェクトが存在する場合は、当該存在するオブジェクトを前記拡大対象オブジェクトとして決定する一方、当該タッチ点を中心として所定範囲内にオブジェクトが存在しない場合は、前記表示画面上に表示されている全オブジェクトを拡大対象オブジェクトとして決定する拡大対象オブジェクト判定手段を備えることが望ましい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示画面上に設けられたタッチパネルに指示体をタッチすることによって情報を入力する情報入力装置のオブジェクト表示方法において、前記指示体のサイズを検出する指示体サイズ検出工程と、前記指示体サイズ検出工程で検出した指示体のサイズに基づいて、前記表示画面上の拡大対象オブジェクトの拡大率を決定する拡大率決定工程と、前記拡大率決定工程で決定した拡大率で、前記拡大対象オブジェクトを拡大して表示する拡大オブジェクト生成工程と、を含むことを特徴とする情報入力装置のオブジェクト表示方法。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示画面上に設けられたタッチパネルに指示体をタッチすることによって情報を入力する情報入力装置に搭載されるプログラムにおいて、前記指示体のサイズを検出する指示体サイズ検出工程と、前記指示体サイズ検出工程で検出した指示体のサイズに基づいて、前記表示画面上の拡大対象オブジェクトの拡大率を決定する拡大率決定工程と、前記拡大率決定工程で決定した拡大率で、前記拡大対象オブジェクトを拡大して表示する拡大オブジェクト生成工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示画面上に設けられたタッチパネルに指示体をタッチすることによって情報を入力する情報入力装置において、前記指示体のサイズを検出する指示体サイズ検出手段と、前記指示体サイズ検出手段で検出した指示体のサイズに基づいて、前記表示画面上の拡大対象オブジェクトの拡大率を決定する拡大率決定手段と、前記拡大率決定手段で決定した拡大率で、前記拡大対象オブジェクトを拡大して表示する拡大オブジェクト生成手段と、を備えているので、操作者がいかなる指示体を使用して情報入力を行う場合でもその操作性を向上させることが可能な情報入力装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施の形態1に係るノート型PC1の概略のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】図2は、オブジェクト拡大用アプリの機能構成図である。
【図3】図3は、指紋画像に基づいて指サイズを算出する方法を説明するための図である。
【図4】図4は、オブジェクト拡大用アプリによる拡大表示を説明するための図である。
【図5】図5は、オブジェクト拡大用アプリによるオブジェクト拡大処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、実施の形態2に係る指示体サイズ検出方法を説明するための図である。
【図7】図7は、実施の形態2に係るオブジェクト拡大用アプリの機能構成図である。
【図8】図8は、実施の形態2に係るオブジェクト拡大用アプリによるオブジェクト拡大処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、この発明にかかる情報入力装置、情報入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムの好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。以下、本発明に係る情報入力装置、情報入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムをノート型PCに適用した形態を例示して説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係るノート型PC1の概略のハードウェア構成例を示す図である。ノート型PC1は、同図に示すように、CPU11、ROM12、メモリ13、HDD(ハードディスク)14、表示デバイス15と、タッチパネル16と、入力部17と、指紋読み取り装置(FPR)18と、電源回路19とを備えており、各部はバスを介して直接または間接的に接続されている。
【0018】
CPU11は、バスを介して接続されたHDD14に格納されたOS31によりノート型PC1全体の制御を行うとともに、HDD14に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を司る。ROM12は、BIOS(Basic Input/Output System:基本入出力システム)12aやデータ等を格納している。
【0019】
メモリ13は、キャッシュメモリやRAMで構成されており、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。
【0020】
HDD(ハードディスク)14は、例えば、Windows(登録商標)等のノート型PC1全体の制御を行うためのOS31、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ(表示ドライバ32a、タッチパネルドライバ32b、マウスドライバ等)32、表示デバイス15の画面上のオブジェクトを拡大表示するためのオブジェクト拡大用アプリ33と、特定の業務を目的とした他のアプリ34等を記憶する機能を有する。
【0021】
表示デバイス15は、例えば、液晶表示デバイスであり、CPU11の制御に従って、各種情報を表示する機能を有しており、CPU11の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号に応じた各種情報を表示画面(LCDパネル)に表示する。
【0022】
タッチパネル16は、表示デバイス15の表示画面上に設けられており、操作者が指示体をタッチして情報入力を行うためのものであり、赤外遮光式、静電容量式、電磁誘導式、画像認識式、抵抗膜式、音響パルス式、および表面弾性波式等の各種方式を使用することができる。
【0023】
入力部17は、ユーザが入力操作を行うためのユーザインターフェースであり、文字、コマンド等を入力する各種キーより構成されるキーボードや、画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するトラックスポインタ等を備えている。
【0024】
指紋読み取り装置18(FPR:Finger Print Reader)は、操作者の指(例えば、親指)の指紋を光学的に読み取り、読み取った情報を電気信号に変換して、指紋画像として出力する。
【0025】
電源回路19は、ACアダプタ、インテリジェント電池、インテリジェント電池を充電するための充電器、およびDC/DCコンバータ等を備えており、CPU11の制御に従って、各デバイスに電力を供給する。
【0026】
上記CPU11は、オブジェクト拡大用アプリ33を実行することにより、タッチパネル15に対する指示体である操作者の指のサイズに応じた拡大率でオブジェクトを拡大表示して、操作者が指でタッチパネル16を操作する場合の操作性を向上させる。以下、CPU11がプログラムを実行して実現する機能を、プログラムを動作主体として説明する。
【0027】
図2〜図5を参照して、オブジェクト拡大用アプリ33の構成および動作を詳細に説明する。図2は、オブジェクト拡大用アプリ33の機能構成図を示している。図3は、指紋画像に基づいて指サイズを算出する方法を説明するための図である。オブジェクト拡大用アプリ33は、図2に示すように、指紋読み取り装置18で読み取られた指紋画像を保存する指紋画像格納部41と、指紋画像に基づいて、指サイズ(Wf/Ws)を計算する指サイズ判定部42(指示体サイズ検出手段として機能する)と、指サイズ判定部42で計算した指サイズ(Wf/Ws)に基づいて、表示デバイス15の表示画面のオブジェクトの拡大率を決定する拡大率決定部43(拡大率決定手段として機能する)と、タッチパネルドライバ32bから入力される座標情報に基づいて、拡大対象オブジェクトを決定する拡大対象オブジェクト判定部44(拡大対象オブジェクト判定手段として機能する)と、拡大対象オブジェクト判定部44で決定された拡大対象オブジェクトを、拡大率決定部43で決定した拡大率で拡大して拡大オブジェクトを生成して、表示ドライバ32aを介して、表示デバイス15に表示させる拡大オブジェクト生成部45(拡大オブジェクト生成手段として機能する)と、を備えている。
【0028】
上記構成のノート型PC1では、操作者が指(ここでは、親指を使用することにする)を指紋読み取り装置18のセンサ面面に接触させると、指紋読み取り装置18は、指の指紋を読み取り、指紋画像をオブジェクト拡大用アプリ33に出力する。
【0029】
オブジェクト拡大用アプリ3では、指紋画像格納部41に指紋画像が格納される。指サイズ判定部42は、指紋画像格納部51に格納された指紋画像に基づいて、指サイズ(Wf/Ws)を計算する。ここで、図3に示す指紋読み取り装置18において、Wsはセンサ全幅、Wfは指幅を示しており、指サイズ(指の幅)を指幅Wf/センサ全幅Wsで規定する。ここでは、指サイズを指幅Wf/センサ全幅Wsで規定しているが、指サイズの規定方法はこれに限られるものではなく、例えば、指紋画像の面積等を使用することにしてもよい。また、指紋読み取り装置18がビットマップデータを出力する場合に、図3の横方向ドット数を指サイズとしてもよい。また、指部分が黒又は暗く、その他の部分が白又は明るいとした場合に、指紋画像の黒部分比率や指紋画像の平均明度を測ることで、相対的に指サイズを判定することにしてもよい。これは、指が大きければ黒部分比率は高くなって平均明度は低くなり、指が小さければこの逆となるからである。
【0030】
拡大率決定部43は、指サイズ判定部42で計算した指サイズ(Wf/Ws)に基づいて、オブジェクトの拡大率を決定する。例えば、Wf/Ws>0.8の場合は、拡大率を「大(例えば、2倍)」、0.6≦Wf/Ws≦0.8の場合は拡大率を「中(例えば、1.5倍)」、Wf/Ws<0.6の場合は拡大率を「小(例えば、1.2倍)」に決定する。
【0031】
拡大対象オブジェクト判定部44には、操作者のタッチパネル16のタッチ操作に応じた座標情報がタッチパネルドライバ32bから入力され、当該座標情報に基づいて、拡大対象オブジェクトを決定する。例えば、タッチ位置を中心として所定範囲内(周辺)にオブジェクトがある場合は、当該オブジェクトを拡大対象オブジェクトに決定し、タッチ位置から所定範囲内(周辺)にオブジェクトがない場合は、全画面内のオブジェクトを拡大対象オブジェクトに決定することができる。ここで、所定範囲とは、例えば、タッチ位置を中心として、L×Lの正方形の範囲としたり、タッチ位置を中心として半径Lの円の範囲とすることができる。
【0032】
拡大オブジェクト生成部45は、拡大対象オブジェクト判定部44で決定された拡大対象オブジェクトを拡大率決定部43で決定した拡大率で拡大して、拡大オブジェクトを生成して、表示ドライバ32aを介して、表示デバイス15に表示させる。
【0033】
図4は、オブジェクト拡大用アプリ33による拡大表示を説明するための図である。表示デバイス15には、(A)に示すように、ボタン50(最小化ボタン、元に戻すボタン、閉じるボタン)、スクロールバー51、フォルダ52等のオブジェクトが表示されているものとする。ここで、操作者がオブジェクトを操作する場合に、その操作を指で行うには、オブジェクトの表示が小さ過ぎるとする。この場合、その操作したいオブジェクトを拡大表示することができる。
【0034】
同図(B)に示すように、操作者が、ボタン50を拡大して表示したい場合に、ボタン50の周辺を指でタッチすると、オブジェクト拡大用アプリ33は、ボタン50を拡大対象オブジェクトに決定し、同図(D)に示すように、ボタン50を拡大して表示する。他方、操作者が、画面内の全オブジェクトを拡大して表示したい場合に、同図(C)に示すように、周辺にオブジェクトがない位置をタッチすると、オブジェクト拡大用アプリ33は、画面内の全オブジェクト(ボタン50、スクロールバー51、フォルダ52等)を拡大対象オブジェクトに決定し、同図(E)に示すように、全オブジェクトを拡大して表示する。ここで、拡大オブジェクトの表示状態は保持されるが、拡大オブジェクトを表示後、例えば、タイマで時間をカウントして所定時間経過後に元の大きさの表示に戻したり、拡大取り消しボタンを表示して、当該拡大取り消しボタンが押された場合に元の表示に戻すことにしてもよい。このように、操作者はオブジェクトを拡大表示することで、タッチパネルの指入力の操作性を向上させることが可能となる。
【0035】
図5はオブジェクト拡大用アプリ33によるオブジェクト拡大処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図において、オブジェクト拡大用アプリ33が起動されると、オブジェクト拡大用アプリ33は、親指を指紋読み取り装置18のセンサ面に置くように指示するガイダンスを表示デバイス15の画面に表示する。これに応じて、操作者が親指を指紋読み取り装置18のセンサ面に接触させると、指紋読み取り装置18は親指の指紋を読み取り(ステップS1)、読み取った指紋画像をオブジェクト拡大用アプリ33に出力する。
【0036】
オブジェクト拡大用アプリ33では、指サイズ判定部42は、指紋画像に基づいて、指サイズ(Wf/Ws)を計算する(ステップS2)。拡大率決定部43は、指サイズ(Wf/Ws)に基づいて、拡大率を決定する(ステップS3)。
【0037】
タッチパネル16でタッチ操作が行われると(ステップS4)、タッチパネルドライバ32bは、その座標位置を拡大対象オブジェクト判定部44に出力する。拡大対象オブジェクト判定部44は、オブジェクトの周辺がタッチされたか否かを判断し(ステップS5)、オブジェクトの周辺がタッチされた場合には(ステップS5の「Yes」)、拡大対象オブジェクト判定部44は、そのオブジェクトを拡大対象オブジェクトと決定し、拡大オブジェクト生成部45は、決定された拡大対象オブジェクトを拡大率決定部53で決定した拡大率で拡大して拡大オブジェクトを生成し、表示ドライバ32aを介して、表示デバイス15に表示(図4(B)、(D)参照)する(ステップS6)。
【0038】
他方、オブジェクトの周辺がタッチされなかった場合には(ステップS5の「No」)、拡大対象オブジェクト判定部44は、画面内の全オブジェクトを拡大対象オブジェクトと決定し、拡大オブジェクト生成部45は、決定された拡大対象オブジェクトを拡大率決定部53で決定した拡大率で拡大して拡大オブジェクトを生成し、表示ドライバ32aを介して、表示デバイス15に表示(図4(C)、(E)参照)する(ステップS7)。ここで、拡大オブジェクトの表示は所定期間保持され、所定期間経過後、元の大きさのオブジェクトの表示に戻る。なお、上述したように、所定期間経過後に元の大きさに戻す構成に代えて、拡大取り消しボタンを画面に設けて、ユーザが当該拡大取り消しボタンを押した場合に、元の大きさの表示に戻すことにしてもよい。
【0039】
つづいて、オブジェクトが拡大表示された後、タッチパネル16で拡大オブジェクトに対する正常なタッチ動作を検出すると(ステップS8の「Yes」)、当該フローを終了する。OS31等では、タッチ動作に従った処理が行われる。
【0040】
他方、タッチパネル16で拡大オブジェクトに対する正常でないタッチ動作(例えば、拡大オブジェクト以外へのタッチや同時に2つのボタンが操作された場合等のタッチミス)を検出すると(ステップS8の「No」)、指紋画像が正しく読み取れなかったこと等を原因とするオブジェクトの拡大率の計算ミスの可能性があるので、再度、親指を指紋読み取り装置に置く旨を指示する表示を行う(ステップS9)。これに応じて、操作者が親指を指紋読み取り装置18に置くと、指紋読み取り装置18は親指の指紋を読み取り(ステップS10)、指サイズ判定部42は、指紋画像に基づいて、指サイズ(Wf/Ws)を計算し(ステップS11)。拡大率決定部43は、指サイズ(Wf/Ws)に基づいて、拡大率を決定し(ステップS12)、前回のタッチ操作がオブジェクトの周辺であったか否かを判断し(ステップS5)、再計算した拡大率で拡大対象オブジェクトを拡大して再表示する(ステップS6、7)。このようにして、タッチミスを回復することが可能となる。
【0041】
以上説明したように、実施の形態1によれば、指サイズ判定部42は、指紋読み取り装置18で読み取った指の指紋画像に基づいて、指のサイズを検出し、拡大率決定部43は、検出した指のサイズに基づいて、表示画面上の拡大対象オブジェクトの拡大率を決定し、拡大オブジェクト生成部45は、決定した拡大率で、拡大対象オブジェクトを拡大して表示することとしたので、操作者の指のサイズに応じた拡大率でオブジェクトを拡大表示することができ、操作者の指のサイズに応じてタッチパネルの操作性を向上させることが可能となる。
【0042】
また、拡大対象オブジェクト判定部44は、指のタッチ点を中心として所定範囲内にオブジェクトが存在する場合は、当該存在するオブジェクトを拡大対象オブジェクトとして決定する一方、当該タッチ点を中心として所定範囲内にオブジェクトが存在しない場合は、表示画面上に表示されている全オブジェクトを拡大対象オブジェクトとして決定することとしたので、操作者は簡単に所望の拡大対象オブジェクトを選択することが可能となる。
【0043】
なお、拡大対象となるオブジェクトは、上述したボタン、バー、およびフォルダに限られず、他のオブジェクト(例えば、アイコン(登録商標)、スイッチ、ソフトウェアキーボード等)でもよい。また、指のサイズに基づいて、ソフトウエアCarved Keyboardの曲率を変更することにしてもよい。
【0044】
また、指紋認証を行うシステムの場合は、指紋画像と当該指紋画像に基づいて算出した指サイズ(Wf/Ws)およびその拡大率を予め記憶しておき、オブジェクト拡大処理の場合に認証した指紋画像に対応する拡大率を読み出して使用することにしてもよい。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態1では、指紋読み取り装置18で読み取った指紋画像に基づいて指示体である指の指サイズを計算して、計算した指サイズに応じた拡大率で拡大対象オブジェクトを拡大することにしたが、指示体は、指のみに限られるものではなく、ペンやスタイラスも使用することにしてもよい。また、指示体(指)のサイズを計算する場合に、指紋読み取り装置18を使用することにしたが、他の検出手段を使用してもよい。
【0046】
実施の形態2では、指示体として、指やペン等が使用される場合を想定して、タッチパネル16に指示体がタッチしたタッチ面の座標情報に基づいて、指示体サイズを計算し、計算した指示体サイズに基づいて、オブジェクトの拡大率を決定する構成である。実施の形態2では、タッチパネル16として、赤外遮光式や画像認識式を使用するのが望ましい。
【0047】
図6は、実施の形態2の指示体サイズ検出方法を説明するための図である。同図(A)、(B)に示すように、指示体として指やペンを使用する場合に、タッチパネル16に対するタッチ面に応じた座標情報(少なくともタッチ面の幅Wtを計算するためのタッチ面の情報)に基づいて、タッチ面の幅Wtを指示体サイズとして計算し、計算した指示体サイズに基づいて、オブジェクトの拡大率を決定する。実施の形態2によれば、指示体として指を使用する場合は、拡大率が大きく設定される一方、指示体としてペン等が使用される場合は、拡大率が小さく設定される。これは、ペンを使用して操作入力を行う場合には、指の大きい操作者でも小さいオブジェクトを操作可能となることに基づいている。
【0048】
図7は、実施の形態2に係るオブジェクト拡大用アプリ33の機能構成図を示している。図7において、図2と同等機能を有する部位には同一符号を付してある。
【0049】
実施の形態2に係るオブジェクト拡大用アプリ33では、図2に示すように、タッチパネルドライバ32bから入力されるタッチパネル16の指示体のタッチ面に応じた座標情報に基づいて、指示体サイズ(Wt)を計算する指示体サイズ判定部42(指示体サイズ検出手段として機能する)と、指示体サイズ判定部42で計算した指示体サイズ(Wt)に基づいて、表示デバイス15の表示画面のオブジェクトの拡大率を決定する拡大率決定部43(拡大率決定手段として機能する)と、タッチパネルドライバ32bから入力される座標情報に基づいて、拡大対象オブジェクトを決定する拡大対象オブジェクト判定部44(拡大対象オブジェクト判定手段として機能する)と、拡大対象オブジェクト判定部44で決定された拡大対象オブジェクトを拡大率決定部43で決定した拡大率で拡大して拡大オブジェクトを生成して、表示ドライバ32aを介して、表示デバイス15に表示させる拡大オブジェクト生成部45(拡大オブジェクト生成手段として機能する)と、を備えている。
【0050】
図8は、実施の形態2に係るオブジェクト拡大用アプリ33によるオブジェクト拡大処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図において、図5と同様な処理を行うステップには同一のステップ番号を付している。
【0051】
図8において、オブジェクト拡大用アプリ33が起動されると、オブジェクト拡大用アプリ33は、親指を指紋読み取り装置18のセンサ面に置くように指示するガイダンスを表示デバイス15の画面に表示する。これに応じて、操作者が指示体(指、ペン、スタイラス等)をタッチパネル16にタッチすると、タッチパネルドライバ32bは、指示体のタッチを検出し(ステップS21)、タッチ面に応じた座標情報をオブジェクト拡大用アプリ33に出力する。
【0052】
オブジェクト拡大用アプリ33では、指示体サイズ判定部61は、タッチ点に応じた座標情報に基づいて、指示体サイズ(Wt)を計算する(ステップS22)。拡大率決定部43は、指示体サイズ(Wt)に基づいて、拡大率を決定する(ステップS23)。
【0053】
タッチパネル16でタッチ操作が行われると(ステップS4)、タッチパネルドライバ32bは、その座標位置を拡大対象オブジェクト判定部44に出力する。拡大対象オブジェクト判定部44は、オブジェクトの周辺がタッチされたか否かを判断し(ステップS5)、オブジェクトの周辺がタッチされた場合には(ステップS5の「Yes」)、拡大対象オブジェクト判定部44は、そのオブジェクトを拡大対象オブジェクトと決定し、拡大オブジェクト生成部45は、決定された拡大対象オブジェクトを拡大率決定部43で決定した拡大率で拡大して拡大オブジェクトを生成し、表示ドライバ32aを介して、表示デバイス15に表示(図4(B)、(D)参照)する(ステップS6)。
【0054】
他方、オブジェクトの周辺がタッチされなかった場合には(ステップS5の「No」)、拡大対象オブジェクト判定部44は、画面内の全オブジェクトを拡大対象オブジェクトと決定し、拡大オブジェクト生成部45は、決定された拡大対象オブジェクトを拡大率決定部53で決定した拡大率で拡大して拡大オブジェクトを生成し、表示ドライバ32aを介して、表示デバイス15に表示(図4(C)、(E)参照)する(ステップS7)。
【0055】
つづいて、オブジェクトが拡大表示された後、タッチパネル16で拡大オブジェクトに対する正常なタッチ動作を検出すると(ステップS8の「Yes」)、当該フローを終了する。OS31等では、タッチ動作に従った処理が行われる。
【0056】
他方、タッチパネル16で拡大オブジェクトに対する正常でないタッチ動作(例えば、拡大オブジェクト以外へのタッチや同時に2つのボタンが操作された場合等のタッチミス)を検出すると(ステップS8の「No」)、指示体サイズの検出ミス等に起因するオブジェクトの拡大率の計算ミスの可能性があるので、再度、指示体をタッチパネルにタッチさせる旨を指示する表示を行う(ステップS24)。これに応じて、操作者が指示体をタッチパネル16にタッチさせると、タッチパネルドライバ32bは、タッチを検出して(ステップS25)、指示体のタッチ面に応じた座標情報を出力し、指示体サイズ判定部61は、指示体のタッチ点に基づく座標情報に基づいて、指示体サイズ(Wt)を計算し(ステップS26)。拡大率決定部43は、指示体サイズ(Wt)に基づいて、拡大率を決定し(ステップS27)、前回のタッチ操作がオブジェクトの周辺であったか否かを判断し(ステップS5)、再計算した拡大率で拡大対象オブジェクトを拡大して再表示する(ステップS6、7)。このようにして、タッチミスを回復することが可能となる。
【0057】
以上説明したように、上記実施の形態2によれば、指示体サイズ判定部61は、指示体がタッチパネル16にタッチしたときのタッチ面の座標情報に基づいて、指示体のサイズを検出し、拡大率決定部43は、検出した指示体のサイズに基づいて、表示画面上の拡大対象オブジェクトの拡大率を決定し、拡大オブジェクト生成部45は、決定した拡大率で、拡大対象オブジェクトを拡大して表示することしたので、操作者が使用する指示体のサイズ(指のサイズを含む)に応じた拡大率でオブジェクトを拡大表示することができ、操作者の使用する指示体のサイズに応じてタッチパネルの操作性を向上させることが可能となる。
【0058】
なお、上記実施の形態1、2では、本発明に係る情報入力装置として、ノート型PCを例示して説明したが、本発明に係る情報入力装置は、ノート型PCに限られるものではなく、例えば、ディスクトップ型PC、携帯電話、PDA、デジタルカメラ等の各種の情報入力装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明にかかる情報入力装置、情報入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムは、タッチパネルを備えた情報入力装置に広く有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 ノート型PC
11 CPU
12 ROM
13 メモリ
14 HDD(ハードディスク)
15 表示デバイス
16 タッチパネル
17 入力部
18 指紋読み取り装置(FPR)
19 電源回路
32a 表示ドライバ
32b タッチパネルドライバ
33 オブジェクト拡大用アプリ
41 指紋画像格納部
42 指サイズ判定部
43 拡大率決定部
44 拡大対象オブジェクト判定部
45 拡大オブジェクト生成部
61 指示体サイズ決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上に設けられたタッチパネルに指示体をタッチすることによって情報を入力する情報入力装置において、
前記指示体のサイズを検出する指示体サイズ検出手段と、
前記指示体サイズ検出手段で検出した指示体のサイズに基づいて、前記表示画面上の拡大対象オブジェクトの拡大率を決定する拡大率決定手段と、
前記拡大率決定手段で決定した拡大率で、前記拡大対象オブジェクトを拡大して表示する拡大オブジェクト生成手段と、
を備えたことを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】
前記指示体は指であり、
前記指示体サイズ検出手段は、指紋読み取り手段で読み取った指の指紋画像に基づいて、前記指示体のサイズを検出することを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項3】
前記指示体サイズ検出手段は、前記指示体が前記タッチパネルにタッチしたときのタッチ面の座標情報に基づいて、前記指示体のサイズを検出することを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項4】
さらに、前記表示画面上に1又は複数のオブジェクトが表示されている状態で、前記指示体で表示画面にタッチされた場合には、当該タッチ点を中心として所定範囲内にオブジェクトが存在する場合は、当該存在するオブジェクトを前記拡大対象オブジェクトとして決定する一方、当該タッチ点を中心として所定範囲内にオブジェクトが存在しない場合は、前記表示画面上に表示されている全オブジェクトを拡大対象オブジェクトとして決定する拡大対象オブジェクト判定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の情報入力装置。
【請求項5】
表示画面上に設けられたタッチパネルに指示体をタッチすることによって情報を入力する情報入力装置のオブジェクト表示方法において、
前記指示体のサイズを検出する指示体サイズ検出工程と、
前記指示体サイズ検出工程で検出した指示体のサイズに基づいて、前記表示画面上の拡大対象オブジェクトの拡大率を決定する拡大率決定工程と、
前記拡大率決定工程で決定した拡大率で、前記拡大対象オブジェクトを拡大して表示する拡大オブジェクト生成工程と、
を含むことを特徴とする情報入力装置のオブジェクト表示方法。
【請求項6】
表示画面上に設けられたタッチパネルに指示体をタッチすることによって情報を入力する情報入力装置に搭載されるプログラムにおいて、
前記指示体のサイズを検出する指示体サイズ検出工程と、
前記指示体サイズ検出工程で検出した指示体のサイズに基づいて、前記表示画面上の拡大対象オブジェクトの拡大率を決定する拡大率決定工程と、
前記拡大率決定工程で決定した拡大率で、前記拡大対象オブジェクトを拡大して表示する拡大オブジェクト生成工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−218122(P2010−218122A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62997(P2009−62997)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】