情報処理装置、キー入力方法及びプログラム
【課題】操作に不慣れな者であっても、キー入力をキーを見ずに行うことが容易になるように支援する。
【解決手段】携帯電話機は、テンキーを含むキーパッドを覆うようにタッチセンサが設けられている。タッチセンサは接触操作を検出し、キーパッドは押下操作を検出する。携帯電話機は、接触操作を検出すると(S1)、接触位置に対応するキーを案内表示する(S2)。その後、携帯電話機は、押下操作を検出すると、案内表示したキーによって入力を確定させ、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する(S4)。
【解決手段】携帯電話機は、テンキーを含むキーパッドを覆うようにタッチセンサが設けられている。タッチセンサは接触操作を検出し、キーパッドは押下操作を検出する。携帯電話機は、接触操作を検出すると(S1)、接触位置に対応するキーを案内表示する(S2)。その後、携帯電話機は、押下操作を検出すると、案内表示したキーによって入力を確定させ、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する(S4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UI(User Interface)に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの情報処理装置において、キー入力を行う場合に、操作を案内する技術が知られている。例えば、特許文献1には、タッチパネル式の入力装置において、指先の移動を一定の時間停止させると、希望するボタン表示領域に指先が触れているか否かを音声案内する技術が記載されている。特許文献1に記載された技術は、視覚障害者の利便性を向上させるためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−233465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、晴眼者(視覚に障害がない者)においては、キー入力に際し、入力すべきキーを確認するためにキーパッド(又はキーボード)を見て、その後、入力内容を確認するためにディスプレイを見る、といった視点の移動が行われることがある。特に、いわゆるブラインドタッチができないような、キーの操作に不慣れな者は、このような視点移動を頻繁に行う必要がある。
そこで、本発明は、操作に不慣れな者であっても、キー入力をキーを見ずに行うことが容易になるように支援するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部と、前記キー部及び前記タッチセンサ部による検出結果に応じた処理を実行する処理実行部とを備え、前記処理実行部は、前記タッチセンサ部が前記位置を検出すると、当該位置に対応する前記キーを前記表示部に案内表示させ、前記キー部が当該案内表示後に当該キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する構成を有する。
【0006】
好ましい態様において、前記処理実行部は、前記タッチセンサ部により複数の前記キー上において接触が検出された場合に、接触している面積又はその割合がより多いキーを案内表示させる。
別の好ましい態様において、前記処理実行部は、前記タッチセンサ部により複数の前記キーにまたがる範囲で接触が検出された場合に、当該範囲の重心に相当する位置にあるキーを案内表示させる。
さらに別の好ましい態様において、前記処理実行部は、前記案内表示後に当該案内表示されたキーと異なるキーの押下が検出された場合に、当該案内表示されたキーに割り当てられた前記文字情報を出力する。
さらに別の好ましい態様において、前記処理実行部は、前記案内表示後のあらかじめ決められた時間内に複数の前記キーの押下が検出された場合において、当該案内表示されたキーと異なるキーの押下が検出されたとき、当該キーに割り当てられた前記文字情報を出力しない。
さらに別の好ましい態様において、前記複数のキーは、一のキーに複数の前記文字情報が割り当てられ、前記処理実行部は、前記タッチセンサ部が前記位置を検出すると、当該位置に対応する前記キーに割り当てられた前記複数の文字情報を切り替えながら案内表示させ、前記キー部が当該案内表示後に当該キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた前記複数の文字情報のうち、押下時に案内表示されていたものを出力する。
この場合において、前記処理実行部は、前記タッチセンサ部により検出された位置の移動に応じて、案内表示する前記文字情報を切り替えることも可能である。
【0007】
本発明の他の態様に係るキー入力方法は、押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部とを有する情報処理装置において、前記タッチセンサ部が接触を検出すると、接触した位置に対応する前記キーを前記表示部が案内表示する第1のステップと、前記キー部が前記第1のステップによる案内表示後に当該案内表示された前記キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する第2のステップとを有する。
【0008】
本発明の他の態様に係るプログラムは、押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部とを有する情報処理装置のコンピュータに、前記タッチセンサ部により検出された位置を表す座標情報を取得する第1のステップと、前記第1のステップにおいて取得された座標情報が表す位置に対応する前記キーを前記表示部に案内表示させる第2のステップと、前記第2のステップにおける案内表示後に、前記キー部により押下が検出されたキーを表すキー情報を取得する第3のステップと、前記第3のステップにおいて取得されたキー情報が表すキーが前記第2のステップにおいて案内表示されたキーである場合に、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する第4のステップとを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作に不慣れな者であっても、キー入力をキーを見ずに行うことが容易になるように支援することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】携帯電話機の外観上の構成を示す図
【図2】キーパッドを正面から示す図
【図3】キーパッドを側面から示す図
【図4】携帯電話機のハードウェア構成を示すブロック図
【図5】携帯電話機の案内表示に係る機能的構成を示す機能ブロック図
【図6】携帯電話機によって案内表示時に実行される処理を示すフローチャート
【図7】案内表示処理を示すフローチャート
【図8】接触面積を説明するための図
【図9】確定処理を示すフローチャート
【図10】案内表示を例示する図
【図11】案内表示処理を示すフローチャート
【図12】案内表示の切り替え例を示す図
【図13】案内表示を例示する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である携帯電話機100の外観上の構成を示す図である。携帯電話機100は、日本語の入力が行えるように構成され、ユーザが指で操作することができる電話機である。携帯電話機100は、同図に示すように、キーパッド101と、表示面102とを備える。キーパッド101は、ユーザの操作を受け付ける部分であり、複数のキーを有する。表示面102は、画像を表示する部分である。表示面102は、携帯電話機100が実行するアプリケーションプログラム(以下単に「アプリケーション」という。)に応じた画像や、ユーザの操作に係るキーを表示する。なお、携帯電話機100は、キーパッド101以外のキーをさらに備えていてもよい。また、以下においては、携帯電話機100の図1に示した面のことを「正面」とする。
【0012】
図2は、キーパッド101をより詳細に示す図である。キーパッド101は、キーK1、K2、K3、K4、K5、K6、K7、K8、K9、K0、Ka、Kb、Kc、Kd、Keを有する。キーK1〜K0は、それぞれ、1〜0の数字に対応するキーである。キーKd、Keは、それぞれ、番号記号(井桁などともいう。)とアスタリスク(星印などともいう。)に対応するキーである。キーKa、Kcは、それぞれ、通話の開始、終了を指示するためのキーである。キーKbは、入力を確定させた文字を消去するためのキーである。以下においては、キーK1〜K0のことを、各々が対応している数字を用いて、「1キー」、「2キー」、…、「0キー」と表記し、これらを総称して「テンキー」という。
【0013】
テンキーには、数字に加え、ひらがな、ローマ字及び記号(カンマ、ピリオドなど)の少なくともいずれかが割り当てられている。例えば、2キーには、「2」、「A」、「B」、「C」、「a」、「b」、「c」、「か」、「き」、「く」、「け」、「こ」の12種類の文字が割り当てられており、3キーには、「3」、「D」、「E」、「F」、「d」、「e」、「f」、「さ」、「し」、「す」、「せ」、「そ」の12種類の文字が割り当てられている。各々のキーには、割り当てられている文字の少なくともいずれかが印字又は刻印されている。なお、本発明において、文字とは、キーパッド101により入力可能なものであって、数字や記号(絵文字を含む。)を含むものである。
【0014】
図3は、キーパッド101の構造を側面から示した図である。キーパッド101は、各キーの正面側の面(すなわちユーザが触れる側の面)にタッチセンサ121を備える。タッチセンサ121は、キーパッド101の各キーを覆うように設けられ、ユーザによる接触を検出するマトリクス状のセンサである。タッチセンサ121は、タッチスクリーンのように光を透過し、各キーを視認できるようになっていることが望ましいが、その表面に文字等を形成することによって各キーを識別できるように構成されていれば、必ずしも透明である必要はない。また、各キーは、メタルドームスイッチなどの周知の構成により、外力により押下が検出され、押下後に元の位置に戻るように構成されている。なお、各キーは、圧力を検出する圧力センサによって、接触時よりも大きい外力が検出されるように構成されていてもよい。
【0015】
図4は、携帯電話機100の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。携帯電話機100は、キー部110と、タッチセンサ部120と、制御部130と、表示部140と、記憶部150とを少なくとも備える。なお、携帯電話機100は、図4に示す構成のほかに、データを送受信する通信手段や、音声の入出力手段を備えるが、これらは本発明に必要な構成要素ではないため、図示が省略されている。
【0016】
キー部110及びタッチセンサ部120は、ユーザの操作を検出する手段である。キー部110は、キーパッド101を有し、複数のキーの押下をそれぞれ検出する。キー部110は、ユーザによる押下を検出したキーを表すキー情報を制御部130に供給する。タッチセンサ部120は、タッチセンサ121を有し、ユーザが接触した位置を検出する。タッチセンサ部120は、ユーザによる接触を検出した位置(以下「接触位置」という。)を表す座標情報を制御部130に供給する。座標情報は、タッチセンサ121の所定の位置を原点とした2次元直交座標系によって位置を表す。なお、タッチセンサ部120は、ユーザが複数の接触位置に同時に接触した場合には、当該複数の接触位置のそれぞれを表す座標情報を制御部130に供給することができる。
【0017】
以下においては、キー部110により検出される操作のことを「接触操作」といい、タッチセンサ部120により検出される操作のことを「押下操作」ということで、これらの2種類の操作を区別するものとする。ユーザが押下操作(すなわちキーの押下)を行うときには、それ以前に接触操作が必ず行われる。なぜならば、タッチセンサ121にまったく触れることなくキーを押下することはできないからである。
【0018】
制御部130は、携帯電話機100の動作を制御する手段である。制御部130は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置とメモリ(主記憶装置)とを備え、プログラムを実行することによって各種機能を実現する。例えば、制御部130は、Webページを閲覧するためのWebブラウザや、アドレス帳の表示及び編集といった機能を実現可能である。また、制御部130は、キー部110からはキー情報を、タッチセンサ部120からは座標情報をそれぞれ取得し、取得したこれらの情報に応じた処理を実行する。
【0019】
制御部130が実行する処理には、ユーザの操作に係るキーを案内表示するための処理が少なくとも含まれる。ここにおいて、ユーザの操作に係るキーとは、ユーザが入力しようとしているキーのことをいい、必ずしも入力されるキーではない。また、案内表示とは、ユーザに教え知らせるための表示をいう。
【0020】
表示部140は、表示面102に画像を表示する手段である。表示部140は、液晶素子や有機EL(electroluminescence)素子により画像を表示する表示パネルと、この表示パネルを駆動する駆動回路などを備え、制御部130から供給される表示データに応じた画像を表示面102に表示させる。表示部140による表示には、案内表示とその他の表示とが含まれる。ここでいう「その他の表示」とは、例えば、電子メールの作成時にあて先や本文などを表示したり、WebブラウザによってWebページを表示したりするものである。
【0021】
記憶部150は、データを記憶する手段である。記憶部150は、ハードディスクやフラッシュメモリによって構成される記憶媒体を備え、制御部130により読み書きされるデータを記憶する。記憶部150が記憶するデータは、例えば、制御部130により実行されるプログラムや、制御部130により生成又は取得されたデータである。
【0022】
携帯電話機100のハードウェア構成は、以上のとおりである。この構成のもと、携帯電話機100は、文字入力を伴うアプリケーションを実行することができる。かかるアプリケーションは、例えば、Webブラウザ、電子メールクライアント(いわゆるメーラ)、テキストエディタである。
【0023】
携帯電話機100は、このようなアプリケーションを実行するときに、ユーザの操作に係るキーを案内表示する。具体的には、携帯電話機100は、ユーザが文字等を入力しようとしてキーパッド101に接触すると、その接触位置に対応するキー(すなわち接触位置の直下にあるキー)がどのキーであるかを表示面102に表示する。このような案内表示は、表示面102の一部(例えば、上端部や下端部)において行われ、その他の表示を妨げないことが望ましい。
【0024】
なお、本実施形態においては、文字の入力モードとして、「数字入力モード」、「かな入力モード」、「ローマ字入力モード」の3種類のモードが存在し、これらが所定の操作によって切り替えられるものとする。ここにおいて、数字入力モードとは、テンキーによって数字を入力することができるモードであり、例えば、1キーを押下すれば「1」、2キーを押下すれば「2」を入力することができるモードである。つまり、数字入力モードにおいては、1個のキーに1個の文字が割り当てられている。
【0025】
これに対し、かな入力モード及びローマ字入力モードにおいては、1個のキーに複数の文字が割り当てられている。例えば、かな入力モードにおいては、1キーに「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」の5文字が割り当てられており、ローマ字入力モードにおいては、2キーに「A」、「B」、「C」、「a」、「b」、「c」の6文字が割り当てられている。本実施形態においては、「あ」を入力するためには1キーを1回、「い」を入力するためには1キーを2回、…「お」を入力するためには1キーを5回、というように、あるキーを所定の回数連続して押下することによって所望の文字(かな又はローマ字)が入力可能であるとする。
【0026】
図5は、携帯電話機100の案内表示に係る機能的構成を示す機能ブロック図である。携帯電話機100の制御部130は、所定のプログラムを実行することにより、同図に示すキー情報取得部131、座標情報取得部132及び処理実行部133に相当する機能を実現する。なお、図5に示す機能は、OS(Operating System)とアプリケーションのいずれによって実現されてもよい。
【0027】
キー情報取得部131は、キー部110からキー情報を取得する。座標情報取得部132は、タッチセンサ部120から座標情報を取得する。キー情報取得部131及び座標情報取得部132は、それぞれ、互いの影響を受けることなく、独立に情報を取得することが可能である。処理実行部133は、キー情報取得部131及び座標情報取得部132により取得された情報に応じた処理を実行する。処理実行部133は、より詳細には、案内表示制御部134、文字判定部135及び文字情報出力部136に機能的に分類可能である。
【0028】
案内表示制御部134は、案内表示を制御する。案内表示制御部134は、具体的には、座標情報取得部132により取得された座標情報に基づいて、ユーザの操作に係るキーを案内表示するように表示部140を制御する。文字判定部135は、ユーザが入力しようとしている文字を判定する。文字判定部135は、具体的には、案内表示制御部134により表示部140に案内表示された文字と、キー情報取得部131により取得されたキー情報とに基づいて、そのときユーザが入力しようとしている文字を判定する。文字情報出力部136は、文字判定部135による判定結果を文字情報として出力する。文字情報出力部136は、例えば、上述した文字入力を伴うアプリケーションに文字情報を出力する。あるいは、文字情報出力部136は、文字判定部135による判定結果を表示部140に表示させるようにしてもよい。つまり、文字情報出力部136による「出力」とは、他のアプリケーションに値を引き渡すことであってもよいし、ユーザに報知することであってもよい。
【0029】
なお、文字情報とは、ユーザが入力しようとしている文字を表す情報である。一方、キー情報は、キーを表す情報であり、文字情報とは必ずしも同一ではない。例えば、1個のキーに複数の文字が割り当てられている場合、あるキー情報は、当該複数の文字を表す文字情報のいずれにも対応する。ゆえに、1個のキーに複数の文字が割り当てられている場合には、文字情報がキー情報のみからは一意的に特定され得ない。
【0030】
図6は、携帯電話機100によって案内表示時に実行される処理を示すフローチャートである。同図に示すように、携帯電話機100の制御部130は、まず、接触操作が検出されたか否かを判断する(ステップS1)。この判断は、具体的には、座標情報を取得できたか否かによって行われる。制御部130は、座標情報を取得するまで、ステップS1の判断を繰り返す。
【0031】
制御部130は、接触操作を検出すると、後述する案内表示処理を実行し、ユーザの操作に係るキーを表示部140に案内表示させる(ステップS2)。続いて、制御部130は、ステップS2の案内表示後に押下操作が検出されたか否かを判断する(ステップS3)。この判断は、具体的には、キー情報を取得できたか否かによって行われる。制御部130は、押下操作を検出すると、後述する確定処理を実行し、ユーザが入力しようとしている文字を確定させる(ステップS4)。制御部130は、ユーザが入力しようとしている文字を確定させたら、案内表示を終了する(ステップS5)。
【0032】
また、制御部130は、押下操作が検出されない場合には、接触操作が続行されているか否かを判断することにより、ユーザの指が離間したか否かを判断する(ステップS6)。そして、制御部130は、座標情報の供給が途絶え、ユーザの指が離間したと判断した場合には、案内表示をいったん終了する(ステップS5)。一方、座標情報の供給が続けられ、ユーザの指が接触したままであると判断した場合には、制御部130は、ステップS2以降の処理を再度実行する。
【0033】
図7は、ステップS2の案内表示処理を示すフローチャートである。この案内表示処理において、制御部130は、まず、接触位置に対応するキーを特定する(ステップS21)。接触位置に対応するキーとは、基本的には、接触位置の真下にあるキーのことである。ただし、タッチセンサ121は、ユーザが指の腹のような比較的柔軟な部位で操作する場合や、複数の指で同時に触れられる場合のように、複数の接触位置を同時に検出する場合がある。このような場合、案内表示されるべきキーとして、複数のキーが考えられることがある。そこで、制御部130は、接触位置に対応するキーが単数であるか複数であるかを判断し(ステップS22)、その判断結果に応じて異なる処理を実行する。
【0034】
接触位置に対応するキーが単数である場合、制御部130は、ステップS21において特定されたキーをそのまま案内表示させる(ステップS24)。一方、接触位置に対応するキーが複数ある場合、制御部130は、各々のキーにおける接触位置の面積(以下「接触面積」という。)を算出して接触面積を比較し、接触面積がより多いキーを特定する(ステップS23)。そして、制御部130は、ステップS23において特定されたキー、すなわち接触面積がより多いキーを案内表示させる(ステップS24)。
【0035】
図8は、接触面積を例示する図である。この例は、ユーザの指が隣り合う4個のキーにまたがって接触した場合を示すものであり、A1、A2、A4、A5が、1キー、2キー、4キー、5キーの接触面積をそれぞれ表している。
なお、各キーの面積が同一でない場合、制御部130は、キーの表面(ユーザが触れる面)の面積に対する接触面積の割合を算出し、その割合がより多いキーを案内表示させてもよい。
【0036】
次に、図9は、確定処理を示すフローチャートである。この確定処理において、制御部130は、ステップS3において押下操作が検出されたキーが複数あるか否かを判断する(ステップS41)。なぜならば、図8においても例示したように、ユーザは複数のキーに同時に触れる場合があり、この場合に複数のキーをほぼ同時に押下する可能性があるからである。ステップS41において、制御部130は、あらかじめ決められた時間(例えば、1秒)内に複数の押下操作が検出されるか否かを判断することにより、複数のキーがほぼ同時に押下されたか否かを判断する。
【0037】
押下操作が検出されたキーが1個である場合、制御部130は、当該キーが案内表示処理において案内表示されたキーと同一であるか否かを判断する(ステップS45)。制御部130は、これらのキーが同一であれば、押下操作が検出されたキーの文字情報を出力する(ステップS46)。一方、これらのキーが同一でない場合、制御部130は、押下操作が検出されたキーではなく、案内表示されたキーの文字情報を出力する(ステップS47)。
【0038】
また、押下操作が検出されたキーが複数個である場合、制御部130は、当該複数個のキーの中に案内表示処理において案内表示されたキーと同一のキーがあるか否かを判断する(ステップS42)。そして、制御部130は、案内表示したキーと同一のキーが押下されていた場合には、当該キーの文字情報を出力する一方、押下された他のキーの文字情報は出力しないように制御する(ステップS43)。また、制御部130は、案内表示したキーと同一のキーが押下されていない場合には、押下された複数個のキーに代えて、案内表示処理において案内表示されたキーの文字情報のみを出力する(ステップS44)。
【0039】
このように、制御部130は、ユーザが実際に押下したキーの如何によらず、1又は複数のキーのいずれかの押下が検出された場合には、その押下操作時に案内表示されていたキーの文字情報を出力し、ユーザが入力しようとした文字を確定させるようにしている。また、制御部130は、ユーザが押下したキーと案内表示されたキーとが異なる場合には、ユーザが押下したキーに割り当てられた文字情報を出力しないようにしている。
【0040】
図10は、本実施形態における案内表示を例示する図である。図10(a)は、ユーザが2キーに触れ、「2」が案内表示されている場合を示し、図10(b)は、ユーザが図10(a)に示す状態で2キーを押下し、「2」の入力が確定した場合を示している。なお、図10の場合において、携帯電話機100は、かな入力モードであれば「か」と案内表示し、ローマ字入力モードであれば「A」と案内表示してもよい。しかし、ユーザがどのキーに触れているかを知ることができれば十分な場合であれば、これらの入力モードにおいても「2」と案内表示されても差し支えはない(ただし、この場合には、ユーザはテンキーの各キーとかな又はローマ字との対応付けを暗記しているものとする。)。
【0041】
なお、案内表示の位置は、図10の例に限らない。案内表示の位置は、例えばカーソルの位置(すなわち、これから文字を入力しようとしている位置)の近傍のような、視点の移動がより少なくなるような位置であってもよい。
【0042】
以上のように、本実施形態の携帯電話機100によれば、ユーザは、どのキーを押下しようとしているかがキーパッド101を見なくてもわかるようになり、いわゆるブラインドタッチを容易に行うことが可能になる。このとき、ユーザは、視点を表示面102からキーパッド101へと移動させる必要がなくなるため、視点の移動を少なくすることが可能であり、疲労の軽減や入力作業の効率化を期待することができる。
【0043】
[第2実施形態]
本実施形態は、上述した第1実施形態の動作の一部を変更したものであり、具体的には、一のキーに複数の文字(及び文字情報)が割り当てられている場合の案内表示処理が第1実施形態と異なるものである。なお、本実施形態の携帯電話機の構成については、第1実施形態の携帯電話機100と同様であるため、第1実施形態と同一の符号を用いて説明することとし、その詳細な説明を省略する。また、本実施形態は、1個のキーに複数の文字が割り当てられている場合、すなわちかな入力モードやローマ字入力モードで文字が入力される場合を想定したものである。
【0044】
図11は、本実施形態の案内表示処理を示すフローチャートである。図11に示すフローチャートは、第1実施形態の案内表示処理(図7参照)に対して、ステップS25及びS26の処理を追加したものである。なお、ステップS25以前のステップS21〜S24の処理は、第1実施形態において説明したとおりのものである。
【0045】
ステップS25において、制御部130は、接触位置が案内表示後にあらかじめ決められた閾値以上移動したか否かを判断する。接触位置の移動量は、接触位置の輪郭のある1点の移動量であってもよいし、接触位置の重心に相当する位置の移動量であってもよい。ここにおいて、重心とは、接触位置が占める一定の範囲を質量分布が一様な平板状の物体であるとみなした場合の質量中心の位置である。
【0046】
ステップS26において、制御部130は、接触位置の移動に応じて案内表示を切り替える。具体的には、制御部130は、接触位置の移動量や移動方向に応じて案内表示する文字を切り替える。
図12は、案内表示の切り替え例を示す図であり、1キーに触れた場合の案内表示を例示するものである。なお、この例において、案内表示開始直後の最初の接触位置をP1とする。
【0047】
図12(a)は、案内表示される文字が接触位置の移動量によって変化する場合を示したものである。この場合、携帯電話機100は、最初に「あ」を案内表示し、ユーザが指を少しずつ右に移動させると、ある時点を境にして案内表示を「あ」から「い」に切り替え、さらに右に移動させると、案内表示を「い」から「う」、「う」から「え」、「え」から「お」、というように切り替える。なお、この場合における最大の移動量(すなわち案内表示を「あ」から「お」に切り替えるために必要な移動量)は、キー1個分のサイズを超えていてもよい。なぜならば、携帯電話機100は、押下されたキーが案内表示されたキーと異なっていた場合であっても、案内表示されたキーの文字情報を出力することができるからである。
【0048】
図12(b)は、案内表示される文字が接触位置の移動方向によって変化する場合を示したものである。この場合、携帯電話機100は、最初に「あ」を案内表示し、ユーザが指を上方向に移動させると「い」、左方向に移動させると「う」、右方向に移動させると「え」、下方向に移動させると「お」をそれぞれ案内表示する。
【0049】
図12(c)は、案内表示される文字が接触位置の移動量と移動方向とによって変化する場合を示したものである。この場合、携帯電話機100は、最初に「あ」を案内表示し、ユーザが指を右に移動させると、ある時点を境にして案内表示を「あ」から「い」に切り替え、さらに右に移動させると、案内表示を「い」から「う」に切り替える。また、携帯電話機100は、ユーザが指を左に移動させると、ある時点を境にして案内表示を「あ」から「え」に切り替え、さらに左に移動させると、案内表示を「え」から「お」に切り替える。
【0050】
図13は、本実施形態における案内表示を例示する図である。携帯電話機100は、図13(a)に示すように、そのときキーを押下すると文字情報が出力される(すなわち入力が確定する)文字のみを表示面102に表示させてもよいし、図13(b)に示すように、キーを押下することによって確定させることができる文字をすべて表示させるとともに、そのときキーを押下すると入力が確定する文字のみを他の文字と区別できる態様で強調表示させてもよい。ここでいう強調表示は、例えば、下線を付したり、太字で表示したり、文字を点滅させたり、文字の色を変えたりするものである。
【0051】
以上のように、本実施形態の案内表示処理によれば、ユーザは、これまで複数回の押下操作を要した文字を1回の押下操作で入力できるようになる。例えば、第1実施形態において、「お」を入力しようとした場合には、1キーを5回押下する必要があるが、本実施形態においては1回の押下で「お」を入力することが可能である。
【0052】
また、本実施形態のように携帯電話機100が動作する場合、ユーザは、キーパッド101に指を触れさせた後、その指を離間させることなく文字入力を続けることが可能である。つまり、ユーザは、キーパッド101上で指をなぞるように移動させていき、必要な位置で押下する、といった動作を繰り返すことで、複数の文字を入力することが可能である。
【0053】
[変形例]
本発明は、上述した各実施形態の態様に限らず、他の態様でも実施することができる。本発明は、例えば、以下の変形例に示す態様によっても実施可能である。なお、本発明は、これら複数の変形例を組み合わせた態様で実施されてもよい。
【0054】
(1)制御部130は、接触位置に対応するキーが複数ある場合において、案内表示するキーを特定するとき、ユーザが接触した範囲の面積(すなわち接触面積)に代えて、当該範囲の重心の位置に基づいて案内表示するキーを特定してもよい。すなわち、制御部130は、ステップS23(図7参照)に代えて、ユーザが接触した範囲の重心の位置を算出し、ステップS24に代えて、重心に相当する位置にあるキー(重心と重なる位置にあるキー)を案内表示させるようにしてもよい。
【0055】
(2)本発明は、携帯電話機に限らず、さまざまな情報処理装置において適用可能である。また、本発明のキー部は、テンキーに限らず、いわゆるQWERTY配列のキーボードに対しても適用可能である。本発明が適用可能な情報処理装置は、例えば、パーソナルコンピュータ、電子辞書、電子書籍リーダ、ゲーム機などである。
【0056】
(3)上述した実施形態において、タッチセンサ121は、キーパッド101の全面を覆うように設けられた1枚のシート状のセンサであった。しかし、本発明のタッチセンサ部は、キー毎に独立に設けられたセンサであってもよいし、必ずしもユーザが触れる側の面の全体にセンサが設けられていなくてもよい。
【0057】
(4)本発明において、案内表示の切り替えは、接触位置の移動(すなわち変位)以外のパラメータに基づいて行われてもよい。例えば、制御部130は、接触位置の変化によらずに、所定の時間(例えば、1秒程度)が経過する毎に案内表示を切り替えてもよい。この場合、ユーザは、自身が入力しようとしている文字が案内表示されたタイミングで押下操作を行えばよい。
【0058】
(5)本発明において、ユーザの操作は、必ずしも指によって行われなくてもよい。本発明は、例えば、スタイラスなどの器具を用いた操作や、指以外の身体の部位を用いた操作に対しても適用可能である。
【0059】
(6)本発明は、携帯電話機100をはじめとした情報処理装置としてだけではなく、情報処理装置におけるキー入力方法や、本発明の案内表示を伴うキー入力を情報処理装置に実現させるためのプログラムとしても提供され得るものである。また、本発明は、かかるキー入力を情報処理装置に実現させるためのプログラムを記録した記録媒体の形態でも提供され得る。かかるプログラムは、サーバ装置からネットワークを介してダウンロードされて情報処理装置にインストールされてもよい。
【符号の説明】
【0060】
100…携帯電話機、101…キーパッド、102…表示面、K1、K2、K3、K4、K5、K6、K7、K8、K9、K0、Ka、Kb、Kc、Kd、Ke…キー、110…キー部、120…タッチセンサ部、121…タッチセンサ、130…制御部、131…キー情報取得部、132…座標情報取得部、133…処理実行部、134…案内表示制御部、135…文字判定部、136…文字情報出力部、140…表示部、150…記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、UI(User Interface)に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの情報処理装置において、キー入力を行う場合に、操作を案内する技術が知られている。例えば、特許文献1には、タッチパネル式の入力装置において、指先の移動を一定の時間停止させると、希望するボタン表示領域に指先が触れているか否かを音声案内する技術が記載されている。特許文献1に記載された技術は、視覚障害者の利便性を向上させるためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−233465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、晴眼者(視覚に障害がない者)においては、キー入力に際し、入力すべきキーを確認するためにキーパッド(又はキーボード)を見て、その後、入力内容を確認するためにディスプレイを見る、といった視点の移動が行われることがある。特に、いわゆるブラインドタッチができないような、キーの操作に不慣れな者は、このような視点移動を頻繁に行う必要がある。
そこで、本発明は、操作に不慣れな者であっても、キー入力をキーを見ずに行うことが容易になるように支援するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部と、前記キー部及び前記タッチセンサ部による検出結果に応じた処理を実行する処理実行部とを備え、前記処理実行部は、前記タッチセンサ部が前記位置を検出すると、当該位置に対応する前記キーを前記表示部に案内表示させ、前記キー部が当該案内表示後に当該キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する構成を有する。
【0006】
好ましい態様において、前記処理実行部は、前記タッチセンサ部により複数の前記キー上において接触が検出された場合に、接触している面積又はその割合がより多いキーを案内表示させる。
別の好ましい態様において、前記処理実行部は、前記タッチセンサ部により複数の前記キーにまたがる範囲で接触が検出された場合に、当該範囲の重心に相当する位置にあるキーを案内表示させる。
さらに別の好ましい態様において、前記処理実行部は、前記案内表示後に当該案内表示されたキーと異なるキーの押下が検出された場合に、当該案内表示されたキーに割り当てられた前記文字情報を出力する。
さらに別の好ましい態様において、前記処理実行部は、前記案内表示後のあらかじめ決められた時間内に複数の前記キーの押下が検出された場合において、当該案内表示されたキーと異なるキーの押下が検出されたとき、当該キーに割り当てられた前記文字情報を出力しない。
さらに別の好ましい態様において、前記複数のキーは、一のキーに複数の前記文字情報が割り当てられ、前記処理実行部は、前記タッチセンサ部が前記位置を検出すると、当該位置に対応する前記キーに割り当てられた前記複数の文字情報を切り替えながら案内表示させ、前記キー部が当該案内表示後に当該キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた前記複数の文字情報のうち、押下時に案内表示されていたものを出力する。
この場合において、前記処理実行部は、前記タッチセンサ部により検出された位置の移動に応じて、案内表示する前記文字情報を切り替えることも可能である。
【0007】
本発明の他の態様に係るキー入力方法は、押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部とを有する情報処理装置において、前記タッチセンサ部が接触を検出すると、接触した位置に対応する前記キーを前記表示部が案内表示する第1のステップと、前記キー部が前記第1のステップによる案内表示後に当該案内表示された前記キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する第2のステップとを有する。
【0008】
本発明の他の態様に係るプログラムは、押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部とを有する情報処理装置のコンピュータに、前記タッチセンサ部により検出された位置を表す座標情報を取得する第1のステップと、前記第1のステップにおいて取得された座標情報が表す位置に対応する前記キーを前記表示部に案内表示させる第2のステップと、前記第2のステップにおける案内表示後に、前記キー部により押下が検出されたキーを表すキー情報を取得する第3のステップと、前記第3のステップにおいて取得されたキー情報が表すキーが前記第2のステップにおいて案内表示されたキーである場合に、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する第4のステップとを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作に不慣れな者であっても、キー入力をキーを見ずに行うことが容易になるように支援することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】携帯電話機の外観上の構成を示す図
【図2】キーパッドを正面から示す図
【図3】キーパッドを側面から示す図
【図4】携帯電話機のハードウェア構成を示すブロック図
【図5】携帯電話機の案内表示に係る機能的構成を示す機能ブロック図
【図6】携帯電話機によって案内表示時に実行される処理を示すフローチャート
【図7】案内表示処理を示すフローチャート
【図8】接触面積を説明するための図
【図9】確定処理を示すフローチャート
【図10】案内表示を例示する図
【図11】案内表示処理を示すフローチャート
【図12】案内表示の切り替え例を示す図
【図13】案内表示を例示する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である携帯電話機100の外観上の構成を示す図である。携帯電話機100は、日本語の入力が行えるように構成され、ユーザが指で操作することができる電話機である。携帯電話機100は、同図に示すように、キーパッド101と、表示面102とを備える。キーパッド101は、ユーザの操作を受け付ける部分であり、複数のキーを有する。表示面102は、画像を表示する部分である。表示面102は、携帯電話機100が実行するアプリケーションプログラム(以下単に「アプリケーション」という。)に応じた画像や、ユーザの操作に係るキーを表示する。なお、携帯電話機100は、キーパッド101以外のキーをさらに備えていてもよい。また、以下においては、携帯電話機100の図1に示した面のことを「正面」とする。
【0012】
図2は、キーパッド101をより詳細に示す図である。キーパッド101は、キーK1、K2、K3、K4、K5、K6、K7、K8、K9、K0、Ka、Kb、Kc、Kd、Keを有する。キーK1〜K0は、それぞれ、1〜0の数字に対応するキーである。キーKd、Keは、それぞれ、番号記号(井桁などともいう。)とアスタリスク(星印などともいう。)に対応するキーである。キーKa、Kcは、それぞれ、通話の開始、終了を指示するためのキーである。キーKbは、入力を確定させた文字を消去するためのキーである。以下においては、キーK1〜K0のことを、各々が対応している数字を用いて、「1キー」、「2キー」、…、「0キー」と表記し、これらを総称して「テンキー」という。
【0013】
テンキーには、数字に加え、ひらがな、ローマ字及び記号(カンマ、ピリオドなど)の少なくともいずれかが割り当てられている。例えば、2キーには、「2」、「A」、「B」、「C」、「a」、「b」、「c」、「か」、「き」、「く」、「け」、「こ」の12種類の文字が割り当てられており、3キーには、「3」、「D」、「E」、「F」、「d」、「e」、「f」、「さ」、「し」、「す」、「せ」、「そ」の12種類の文字が割り当てられている。各々のキーには、割り当てられている文字の少なくともいずれかが印字又は刻印されている。なお、本発明において、文字とは、キーパッド101により入力可能なものであって、数字や記号(絵文字を含む。)を含むものである。
【0014】
図3は、キーパッド101の構造を側面から示した図である。キーパッド101は、各キーの正面側の面(すなわちユーザが触れる側の面)にタッチセンサ121を備える。タッチセンサ121は、キーパッド101の各キーを覆うように設けられ、ユーザによる接触を検出するマトリクス状のセンサである。タッチセンサ121は、タッチスクリーンのように光を透過し、各キーを視認できるようになっていることが望ましいが、その表面に文字等を形成することによって各キーを識別できるように構成されていれば、必ずしも透明である必要はない。また、各キーは、メタルドームスイッチなどの周知の構成により、外力により押下が検出され、押下後に元の位置に戻るように構成されている。なお、各キーは、圧力を検出する圧力センサによって、接触時よりも大きい外力が検出されるように構成されていてもよい。
【0015】
図4は、携帯電話機100の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。携帯電話機100は、キー部110と、タッチセンサ部120と、制御部130と、表示部140と、記憶部150とを少なくとも備える。なお、携帯電話機100は、図4に示す構成のほかに、データを送受信する通信手段や、音声の入出力手段を備えるが、これらは本発明に必要な構成要素ではないため、図示が省略されている。
【0016】
キー部110及びタッチセンサ部120は、ユーザの操作を検出する手段である。キー部110は、キーパッド101を有し、複数のキーの押下をそれぞれ検出する。キー部110は、ユーザによる押下を検出したキーを表すキー情報を制御部130に供給する。タッチセンサ部120は、タッチセンサ121を有し、ユーザが接触した位置を検出する。タッチセンサ部120は、ユーザによる接触を検出した位置(以下「接触位置」という。)を表す座標情報を制御部130に供給する。座標情報は、タッチセンサ121の所定の位置を原点とした2次元直交座標系によって位置を表す。なお、タッチセンサ部120は、ユーザが複数の接触位置に同時に接触した場合には、当該複数の接触位置のそれぞれを表す座標情報を制御部130に供給することができる。
【0017】
以下においては、キー部110により検出される操作のことを「接触操作」といい、タッチセンサ部120により検出される操作のことを「押下操作」ということで、これらの2種類の操作を区別するものとする。ユーザが押下操作(すなわちキーの押下)を行うときには、それ以前に接触操作が必ず行われる。なぜならば、タッチセンサ121にまったく触れることなくキーを押下することはできないからである。
【0018】
制御部130は、携帯電話機100の動作を制御する手段である。制御部130は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置とメモリ(主記憶装置)とを備え、プログラムを実行することによって各種機能を実現する。例えば、制御部130は、Webページを閲覧するためのWebブラウザや、アドレス帳の表示及び編集といった機能を実現可能である。また、制御部130は、キー部110からはキー情報を、タッチセンサ部120からは座標情報をそれぞれ取得し、取得したこれらの情報に応じた処理を実行する。
【0019】
制御部130が実行する処理には、ユーザの操作に係るキーを案内表示するための処理が少なくとも含まれる。ここにおいて、ユーザの操作に係るキーとは、ユーザが入力しようとしているキーのことをいい、必ずしも入力されるキーではない。また、案内表示とは、ユーザに教え知らせるための表示をいう。
【0020】
表示部140は、表示面102に画像を表示する手段である。表示部140は、液晶素子や有機EL(electroluminescence)素子により画像を表示する表示パネルと、この表示パネルを駆動する駆動回路などを備え、制御部130から供給される表示データに応じた画像を表示面102に表示させる。表示部140による表示には、案内表示とその他の表示とが含まれる。ここでいう「その他の表示」とは、例えば、電子メールの作成時にあて先や本文などを表示したり、WebブラウザによってWebページを表示したりするものである。
【0021】
記憶部150は、データを記憶する手段である。記憶部150は、ハードディスクやフラッシュメモリによって構成される記憶媒体を備え、制御部130により読み書きされるデータを記憶する。記憶部150が記憶するデータは、例えば、制御部130により実行されるプログラムや、制御部130により生成又は取得されたデータである。
【0022】
携帯電話機100のハードウェア構成は、以上のとおりである。この構成のもと、携帯電話機100は、文字入力を伴うアプリケーションを実行することができる。かかるアプリケーションは、例えば、Webブラウザ、電子メールクライアント(いわゆるメーラ)、テキストエディタである。
【0023】
携帯電話機100は、このようなアプリケーションを実行するときに、ユーザの操作に係るキーを案内表示する。具体的には、携帯電話機100は、ユーザが文字等を入力しようとしてキーパッド101に接触すると、その接触位置に対応するキー(すなわち接触位置の直下にあるキー)がどのキーであるかを表示面102に表示する。このような案内表示は、表示面102の一部(例えば、上端部や下端部)において行われ、その他の表示を妨げないことが望ましい。
【0024】
なお、本実施形態においては、文字の入力モードとして、「数字入力モード」、「かな入力モード」、「ローマ字入力モード」の3種類のモードが存在し、これらが所定の操作によって切り替えられるものとする。ここにおいて、数字入力モードとは、テンキーによって数字を入力することができるモードであり、例えば、1キーを押下すれば「1」、2キーを押下すれば「2」を入力することができるモードである。つまり、数字入力モードにおいては、1個のキーに1個の文字が割り当てられている。
【0025】
これに対し、かな入力モード及びローマ字入力モードにおいては、1個のキーに複数の文字が割り当てられている。例えば、かな入力モードにおいては、1キーに「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」の5文字が割り当てられており、ローマ字入力モードにおいては、2キーに「A」、「B」、「C」、「a」、「b」、「c」の6文字が割り当てられている。本実施形態においては、「あ」を入力するためには1キーを1回、「い」を入力するためには1キーを2回、…「お」を入力するためには1キーを5回、というように、あるキーを所定の回数連続して押下することによって所望の文字(かな又はローマ字)が入力可能であるとする。
【0026】
図5は、携帯電話機100の案内表示に係る機能的構成を示す機能ブロック図である。携帯電話機100の制御部130は、所定のプログラムを実行することにより、同図に示すキー情報取得部131、座標情報取得部132及び処理実行部133に相当する機能を実現する。なお、図5に示す機能は、OS(Operating System)とアプリケーションのいずれによって実現されてもよい。
【0027】
キー情報取得部131は、キー部110からキー情報を取得する。座標情報取得部132は、タッチセンサ部120から座標情報を取得する。キー情報取得部131及び座標情報取得部132は、それぞれ、互いの影響を受けることなく、独立に情報を取得することが可能である。処理実行部133は、キー情報取得部131及び座標情報取得部132により取得された情報に応じた処理を実行する。処理実行部133は、より詳細には、案内表示制御部134、文字判定部135及び文字情報出力部136に機能的に分類可能である。
【0028】
案内表示制御部134は、案内表示を制御する。案内表示制御部134は、具体的には、座標情報取得部132により取得された座標情報に基づいて、ユーザの操作に係るキーを案内表示するように表示部140を制御する。文字判定部135は、ユーザが入力しようとしている文字を判定する。文字判定部135は、具体的には、案内表示制御部134により表示部140に案内表示された文字と、キー情報取得部131により取得されたキー情報とに基づいて、そのときユーザが入力しようとしている文字を判定する。文字情報出力部136は、文字判定部135による判定結果を文字情報として出力する。文字情報出力部136は、例えば、上述した文字入力を伴うアプリケーションに文字情報を出力する。あるいは、文字情報出力部136は、文字判定部135による判定結果を表示部140に表示させるようにしてもよい。つまり、文字情報出力部136による「出力」とは、他のアプリケーションに値を引き渡すことであってもよいし、ユーザに報知することであってもよい。
【0029】
なお、文字情報とは、ユーザが入力しようとしている文字を表す情報である。一方、キー情報は、キーを表す情報であり、文字情報とは必ずしも同一ではない。例えば、1個のキーに複数の文字が割り当てられている場合、あるキー情報は、当該複数の文字を表す文字情報のいずれにも対応する。ゆえに、1個のキーに複数の文字が割り当てられている場合には、文字情報がキー情報のみからは一意的に特定され得ない。
【0030】
図6は、携帯電話機100によって案内表示時に実行される処理を示すフローチャートである。同図に示すように、携帯電話機100の制御部130は、まず、接触操作が検出されたか否かを判断する(ステップS1)。この判断は、具体的には、座標情報を取得できたか否かによって行われる。制御部130は、座標情報を取得するまで、ステップS1の判断を繰り返す。
【0031】
制御部130は、接触操作を検出すると、後述する案内表示処理を実行し、ユーザの操作に係るキーを表示部140に案内表示させる(ステップS2)。続いて、制御部130は、ステップS2の案内表示後に押下操作が検出されたか否かを判断する(ステップS3)。この判断は、具体的には、キー情報を取得できたか否かによって行われる。制御部130は、押下操作を検出すると、後述する確定処理を実行し、ユーザが入力しようとしている文字を確定させる(ステップS4)。制御部130は、ユーザが入力しようとしている文字を確定させたら、案内表示を終了する(ステップS5)。
【0032】
また、制御部130は、押下操作が検出されない場合には、接触操作が続行されているか否かを判断することにより、ユーザの指が離間したか否かを判断する(ステップS6)。そして、制御部130は、座標情報の供給が途絶え、ユーザの指が離間したと判断した場合には、案内表示をいったん終了する(ステップS5)。一方、座標情報の供給が続けられ、ユーザの指が接触したままであると判断した場合には、制御部130は、ステップS2以降の処理を再度実行する。
【0033】
図7は、ステップS2の案内表示処理を示すフローチャートである。この案内表示処理において、制御部130は、まず、接触位置に対応するキーを特定する(ステップS21)。接触位置に対応するキーとは、基本的には、接触位置の真下にあるキーのことである。ただし、タッチセンサ121は、ユーザが指の腹のような比較的柔軟な部位で操作する場合や、複数の指で同時に触れられる場合のように、複数の接触位置を同時に検出する場合がある。このような場合、案内表示されるべきキーとして、複数のキーが考えられることがある。そこで、制御部130は、接触位置に対応するキーが単数であるか複数であるかを判断し(ステップS22)、その判断結果に応じて異なる処理を実行する。
【0034】
接触位置に対応するキーが単数である場合、制御部130は、ステップS21において特定されたキーをそのまま案内表示させる(ステップS24)。一方、接触位置に対応するキーが複数ある場合、制御部130は、各々のキーにおける接触位置の面積(以下「接触面積」という。)を算出して接触面積を比較し、接触面積がより多いキーを特定する(ステップS23)。そして、制御部130は、ステップS23において特定されたキー、すなわち接触面積がより多いキーを案内表示させる(ステップS24)。
【0035】
図8は、接触面積を例示する図である。この例は、ユーザの指が隣り合う4個のキーにまたがって接触した場合を示すものであり、A1、A2、A4、A5が、1キー、2キー、4キー、5キーの接触面積をそれぞれ表している。
なお、各キーの面積が同一でない場合、制御部130は、キーの表面(ユーザが触れる面)の面積に対する接触面積の割合を算出し、その割合がより多いキーを案内表示させてもよい。
【0036】
次に、図9は、確定処理を示すフローチャートである。この確定処理において、制御部130は、ステップS3において押下操作が検出されたキーが複数あるか否かを判断する(ステップS41)。なぜならば、図8においても例示したように、ユーザは複数のキーに同時に触れる場合があり、この場合に複数のキーをほぼ同時に押下する可能性があるからである。ステップS41において、制御部130は、あらかじめ決められた時間(例えば、1秒)内に複数の押下操作が検出されるか否かを判断することにより、複数のキーがほぼ同時に押下されたか否かを判断する。
【0037】
押下操作が検出されたキーが1個である場合、制御部130は、当該キーが案内表示処理において案内表示されたキーと同一であるか否かを判断する(ステップS45)。制御部130は、これらのキーが同一であれば、押下操作が検出されたキーの文字情報を出力する(ステップS46)。一方、これらのキーが同一でない場合、制御部130は、押下操作が検出されたキーではなく、案内表示されたキーの文字情報を出力する(ステップS47)。
【0038】
また、押下操作が検出されたキーが複数個である場合、制御部130は、当該複数個のキーの中に案内表示処理において案内表示されたキーと同一のキーがあるか否かを判断する(ステップS42)。そして、制御部130は、案内表示したキーと同一のキーが押下されていた場合には、当該キーの文字情報を出力する一方、押下された他のキーの文字情報は出力しないように制御する(ステップS43)。また、制御部130は、案内表示したキーと同一のキーが押下されていない場合には、押下された複数個のキーに代えて、案内表示処理において案内表示されたキーの文字情報のみを出力する(ステップS44)。
【0039】
このように、制御部130は、ユーザが実際に押下したキーの如何によらず、1又は複数のキーのいずれかの押下が検出された場合には、その押下操作時に案内表示されていたキーの文字情報を出力し、ユーザが入力しようとした文字を確定させるようにしている。また、制御部130は、ユーザが押下したキーと案内表示されたキーとが異なる場合には、ユーザが押下したキーに割り当てられた文字情報を出力しないようにしている。
【0040】
図10は、本実施形態における案内表示を例示する図である。図10(a)は、ユーザが2キーに触れ、「2」が案内表示されている場合を示し、図10(b)は、ユーザが図10(a)に示す状態で2キーを押下し、「2」の入力が確定した場合を示している。なお、図10の場合において、携帯電話機100は、かな入力モードであれば「か」と案内表示し、ローマ字入力モードであれば「A」と案内表示してもよい。しかし、ユーザがどのキーに触れているかを知ることができれば十分な場合であれば、これらの入力モードにおいても「2」と案内表示されても差し支えはない(ただし、この場合には、ユーザはテンキーの各キーとかな又はローマ字との対応付けを暗記しているものとする。)。
【0041】
なお、案内表示の位置は、図10の例に限らない。案内表示の位置は、例えばカーソルの位置(すなわち、これから文字を入力しようとしている位置)の近傍のような、視点の移動がより少なくなるような位置であってもよい。
【0042】
以上のように、本実施形態の携帯電話機100によれば、ユーザは、どのキーを押下しようとしているかがキーパッド101を見なくてもわかるようになり、いわゆるブラインドタッチを容易に行うことが可能になる。このとき、ユーザは、視点を表示面102からキーパッド101へと移動させる必要がなくなるため、視点の移動を少なくすることが可能であり、疲労の軽減や入力作業の効率化を期待することができる。
【0043】
[第2実施形態]
本実施形態は、上述した第1実施形態の動作の一部を変更したものであり、具体的には、一のキーに複数の文字(及び文字情報)が割り当てられている場合の案内表示処理が第1実施形態と異なるものである。なお、本実施形態の携帯電話機の構成については、第1実施形態の携帯電話機100と同様であるため、第1実施形態と同一の符号を用いて説明することとし、その詳細な説明を省略する。また、本実施形態は、1個のキーに複数の文字が割り当てられている場合、すなわちかな入力モードやローマ字入力モードで文字が入力される場合を想定したものである。
【0044】
図11は、本実施形態の案内表示処理を示すフローチャートである。図11に示すフローチャートは、第1実施形態の案内表示処理(図7参照)に対して、ステップS25及びS26の処理を追加したものである。なお、ステップS25以前のステップS21〜S24の処理は、第1実施形態において説明したとおりのものである。
【0045】
ステップS25において、制御部130は、接触位置が案内表示後にあらかじめ決められた閾値以上移動したか否かを判断する。接触位置の移動量は、接触位置の輪郭のある1点の移動量であってもよいし、接触位置の重心に相当する位置の移動量であってもよい。ここにおいて、重心とは、接触位置が占める一定の範囲を質量分布が一様な平板状の物体であるとみなした場合の質量中心の位置である。
【0046】
ステップS26において、制御部130は、接触位置の移動に応じて案内表示を切り替える。具体的には、制御部130は、接触位置の移動量や移動方向に応じて案内表示する文字を切り替える。
図12は、案内表示の切り替え例を示す図であり、1キーに触れた場合の案内表示を例示するものである。なお、この例において、案内表示開始直後の最初の接触位置をP1とする。
【0047】
図12(a)は、案内表示される文字が接触位置の移動量によって変化する場合を示したものである。この場合、携帯電話機100は、最初に「あ」を案内表示し、ユーザが指を少しずつ右に移動させると、ある時点を境にして案内表示を「あ」から「い」に切り替え、さらに右に移動させると、案内表示を「い」から「う」、「う」から「え」、「え」から「お」、というように切り替える。なお、この場合における最大の移動量(すなわち案内表示を「あ」から「お」に切り替えるために必要な移動量)は、キー1個分のサイズを超えていてもよい。なぜならば、携帯電話機100は、押下されたキーが案内表示されたキーと異なっていた場合であっても、案内表示されたキーの文字情報を出力することができるからである。
【0048】
図12(b)は、案内表示される文字が接触位置の移動方向によって変化する場合を示したものである。この場合、携帯電話機100は、最初に「あ」を案内表示し、ユーザが指を上方向に移動させると「い」、左方向に移動させると「う」、右方向に移動させると「え」、下方向に移動させると「お」をそれぞれ案内表示する。
【0049】
図12(c)は、案内表示される文字が接触位置の移動量と移動方向とによって変化する場合を示したものである。この場合、携帯電話機100は、最初に「あ」を案内表示し、ユーザが指を右に移動させると、ある時点を境にして案内表示を「あ」から「い」に切り替え、さらに右に移動させると、案内表示を「い」から「う」に切り替える。また、携帯電話機100は、ユーザが指を左に移動させると、ある時点を境にして案内表示を「あ」から「え」に切り替え、さらに左に移動させると、案内表示を「え」から「お」に切り替える。
【0050】
図13は、本実施形態における案内表示を例示する図である。携帯電話機100は、図13(a)に示すように、そのときキーを押下すると文字情報が出力される(すなわち入力が確定する)文字のみを表示面102に表示させてもよいし、図13(b)に示すように、キーを押下することによって確定させることができる文字をすべて表示させるとともに、そのときキーを押下すると入力が確定する文字のみを他の文字と区別できる態様で強調表示させてもよい。ここでいう強調表示は、例えば、下線を付したり、太字で表示したり、文字を点滅させたり、文字の色を変えたりするものである。
【0051】
以上のように、本実施形態の案内表示処理によれば、ユーザは、これまで複数回の押下操作を要した文字を1回の押下操作で入力できるようになる。例えば、第1実施形態において、「お」を入力しようとした場合には、1キーを5回押下する必要があるが、本実施形態においては1回の押下で「お」を入力することが可能である。
【0052】
また、本実施形態のように携帯電話機100が動作する場合、ユーザは、キーパッド101に指を触れさせた後、その指を離間させることなく文字入力を続けることが可能である。つまり、ユーザは、キーパッド101上で指をなぞるように移動させていき、必要な位置で押下する、といった動作を繰り返すことで、複数の文字を入力することが可能である。
【0053】
[変形例]
本発明は、上述した各実施形態の態様に限らず、他の態様でも実施することができる。本発明は、例えば、以下の変形例に示す態様によっても実施可能である。なお、本発明は、これら複数の変形例を組み合わせた態様で実施されてもよい。
【0054】
(1)制御部130は、接触位置に対応するキーが複数ある場合において、案内表示するキーを特定するとき、ユーザが接触した範囲の面積(すなわち接触面積)に代えて、当該範囲の重心の位置に基づいて案内表示するキーを特定してもよい。すなわち、制御部130は、ステップS23(図7参照)に代えて、ユーザが接触した範囲の重心の位置を算出し、ステップS24に代えて、重心に相当する位置にあるキー(重心と重なる位置にあるキー)を案内表示させるようにしてもよい。
【0055】
(2)本発明は、携帯電話機に限らず、さまざまな情報処理装置において適用可能である。また、本発明のキー部は、テンキーに限らず、いわゆるQWERTY配列のキーボードに対しても適用可能である。本発明が適用可能な情報処理装置は、例えば、パーソナルコンピュータ、電子辞書、電子書籍リーダ、ゲーム機などである。
【0056】
(3)上述した実施形態において、タッチセンサ121は、キーパッド101の全面を覆うように設けられた1枚のシート状のセンサであった。しかし、本発明のタッチセンサ部は、キー毎に独立に設けられたセンサであってもよいし、必ずしもユーザが触れる側の面の全体にセンサが設けられていなくてもよい。
【0057】
(4)本発明において、案内表示の切り替えは、接触位置の移動(すなわち変位)以外のパラメータに基づいて行われてもよい。例えば、制御部130は、接触位置の変化によらずに、所定の時間(例えば、1秒程度)が経過する毎に案内表示を切り替えてもよい。この場合、ユーザは、自身が入力しようとしている文字が案内表示されたタイミングで押下操作を行えばよい。
【0058】
(5)本発明において、ユーザの操作は、必ずしも指によって行われなくてもよい。本発明は、例えば、スタイラスなどの器具を用いた操作や、指以外の身体の部位を用いた操作に対しても適用可能である。
【0059】
(6)本発明は、携帯電話機100をはじめとした情報処理装置としてだけではなく、情報処理装置におけるキー入力方法や、本発明の案内表示を伴うキー入力を情報処理装置に実現させるためのプログラムとしても提供され得るものである。また、本発明は、かかるキー入力を情報処理装置に実現させるためのプログラムを記録した記録媒体の形態でも提供され得る。かかるプログラムは、サーバ装置からネットワークを介してダウンロードされて情報処理装置にインストールされてもよい。
【符号の説明】
【0060】
100…携帯電話機、101…キーパッド、102…表示面、K1、K2、K3、K4、K5、K6、K7、K8、K9、K0、Ka、Kb、Kc、Kd、Ke…キー、110…キー部、120…タッチセンサ部、121…タッチセンサ、130…制御部、131…キー情報取得部、132…座標情報取得部、133…処理実行部、134…案内表示制御部、135…文字判定部、136…文字情報出力部、140…表示部、150…記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、
前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、
ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部と、
前記キー部及び前記タッチセンサ部による検出結果に応じた処理を実行する処理実行部とを備え、
前記処理実行部は、
前記タッチセンサ部が前記位置を検出すると、当該位置に対応する前記キーを前記表示部に案内表示させ、前記キー部が当該案内表示後に当該キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記処理実行部は、
前記タッチセンサ部により複数の前記キー上において接触が検出された場合に、接触している面積又はその割合がより多いキーを案内表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理実行部は、
前記タッチセンサ部により複数の前記キーにまたがる範囲で接触が検出された場合に、当該範囲の重心に相当する位置にあるキーを案内表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理実行部は、
前記案内表示後に当該案内表示されたキーと異なるキーの押下が検出された場合に、当該案内表示されたキーに割り当てられた前記文字情報を出力する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理実行部は、
前記案内表示後のあらかじめ決められた時間内に複数の前記キーの押下が検出された場合において、当該案内表示されたキーと異なるキーの押下が検出されたとき、当該キーに割り当てられた前記文字情報を出力しない
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記複数のキーは、一のキーに複数の前記文字情報が割り当てられ、
前記処理実行部は、
前記タッチセンサ部が前記位置を検出すると、当該位置に対応する前記キーに割り当てられた前記複数の文字情報を切り替えながら案内表示させ、
前記キー部が当該案内表示後に当該キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた前記複数の文字情報のうち、押下時に案内表示されていたものを出力する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理実行部は、
前記タッチセンサ部により検出された位置の移動に応じて、案内表示する前記文字情報を切り替える
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、
前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、
ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部とを有する情報処理装置において、
前記タッチセンサ部が接触を検出すると、接触した位置に対応する前記キーを前記表示部が案内表示する第1のステップと、
前記キー部が前記第1のステップによる案内表示後に当該案内表示された前記キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する第2のステップと
を有することを特徴とするキー入力方法。
【請求項9】
押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、
前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、
ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部とを有する情報処理装置のコンピュータに、
前記タッチセンサ部により検出された位置を表す座標情報を取得する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて取得された座標情報が表す位置に対応する前記キーを前記表示部に案内表示させる第2のステップと、
前記第2のステップにおける案内表示後に、前記キー部により押下が検出されたキーを表すキー情報を取得する第3のステップと、
前記第3のステップにおいて取得されたキー情報が表すキーが前記第2のステップにおいて案内表示されたキーである場合に、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する第4のステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、
前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、
ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部と、
前記キー部及び前記タッチセンサ部による検出結果に応じた処理を実行する処理実行部とを備え、
前記処理実行部は、
前記タッチセンサ部が前記位置を検出すると、当該位置に対応する前記キーを前記表示部に案内表示させ、前記キー部が当該案内表示後に当該キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記処理実行部は、
前記タッチセンサ部により複数の前記キー上において接触が検出された場合に、接触している面積又はその割合がより多いキーを案内表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理実行部は、
前記タッチセンサ部により複数の前記キーにまたがる範囲で接触が検出された場合に、当該範囲の重心に相当する位置にあるキーを案内表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理実行部は、
前記案内表示後に当該案内表示されたキーと異なるキーの押下が検出された場合に、当該案内表示されたキーに割り当てられた前記文字情報を出力する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理実行部は、
前記案内表示後のあらかじめ決められた時間内に複数の前記キーの押下が検出された場合において、当該案内表示されたキーと異なるキーの押下が検出されたとき、当該キーに割り当てられた前記文字情報を出力しない
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記複数のキーは、一のキーに複数の前記文字情報が割り当てられ、
前記処理実行部は、
前記タッチセンサ部が前記位置を検出すると、当該位置に対応する前記キーに割り当てられた前記複数の文字情報を切り替えながら案内表示させ、
前記キー部が当該案内表示後に当該キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた前記複数の文字情報のうち、押下時に案内表示されていたものを出力する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理実行部は、
前記タッチセンサ部により検出された位置の移動に応じて、案内表示する前記文字情報を切り替える
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、
前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、
ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部とを有する情報処理装置において、
前記タッチセンサ部が接触を検出すると、接触した位置に対応する前記キーを前記表示部が案内表示する第1のステップと、
前記キー部が前記第1のステップによる案内表示後に当該案内表示された前記キーの押下を検出すると、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する第2のステップと
を有することを特徴とするキー入力方法。
【請求項9】
押下される複数のキーを有し、当該複数のキーの押下をそれぞれ検出するキー部と、
前記複数のキーのユーザが触れる側の面に設けられ、ユーザが接触した位置を検出するタッチセンサ部と、
ユーザの操作に係るキーを案内表示する表示部とを有する情報処理装置のコンピュータに、
前記タッチセンサ部により検出された位置を表す座標情報を取得する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて取得された座標情報が表す位置に対応する前記キーを前記表示部に案内表示させる第2のステップと、
前記第2のステップにおける案内表示後に、前記キー部により押下が検出されたキーを表すキー情報を取得する第3のステップと、
前記第3のステップにおいて取得されたキー情報が表すキーが前記第2のステップにおいて案内表示されたキーである場合に、当該キーに割り当てられた文字を表す文字情報を出力する第4のステップと
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−248061(P2012−248061A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120298(P2011−120298)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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