説明

情報処理装置、パラメータ設定方法、及びプログラム

【課題】より利便性の高い操作体系を実現すること。
【解決手段】画面に接触した操作体の接触位置を検出する位置検出部と、前記画面に接触した操作体の接触面積を検出する面積検出部と、前記画面を押圧する操作体の押圧力を検出する圧力検出部と、前記画面に表示されたパラメータ設定用のオブジェクトに対する前記操作体の接触面積及び当該オブジェクトを押圧する前記操作体の押圧力に応じて、当該オブジェクトに対応付けられたパラメータの大きさを設定するパラメータ設定部と、を備える、情報処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、パラメータ設定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型の電子機器には、情報を入力したり、グラフィカルユーザインターフェース(以下、GUI)の操作を行ったりするための入力デバイスとしてタッチパネルが多く用いられている。タッチパネルを用いることで、キーボードなどの入力手段を別途設ける必要が無くなる分だけ電子機器を小型化することができる。また、タッチパネルは、画像やGUIなどが表示される表示デバイスでもある。そのため、タッチパネルを用いることで、タッチパネル上に表示された画像やGUIなどを直接触って操作するような直感的な操作体系を実現することができる。これらの特徴を有することから、タッチパネルは、例えば、携帯情報端末、携帯電話、カーナビゲーションシステム、ノート型パーソナルコンピュータ、情報家電など、様々な電子機器に搭載されている。
【0003】
上記の通り、タッチパネルは、入力デバイスの機能と、表示デバイスの機能とを有する。表示デバイスの機能は、例えば、液晶表示ディスプレイパネル(以下、LCDパネル)や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイパネル(以下、OELDパネル)などの表示パネルを用いることで実現される。一方、入力デバイスの機能は、表示パネル上に静電容量センサを設けたり、表示パネルの表面に近接又は接触された操作体の位置を光学的に走査する光学センサを設けたりすることで実現される。このようなタッチパネルに関し、例えば、下記の特許文献1には、押圧力の強弱を検出可能なタッチパネル(以下、感圧式タッチパネル)に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−192092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、感圧式タッチパネルは、タッチした操作体の位置及び押圧力を検知することができる。そのため、感圧式タッチパネルを利用することにより、操作体による押し込み操作を検知することが可能になる。その結果、タップ操作やドラッグ操作などの既存の操作方法に加えて、新たに押し込み操作という操作方法が利用できるようになり、より利便性の高い操作体系が実現されるものと考えられる。しかしながら、感圧式タッチパネルの特性を生かした利便性の高い操作体系が実現されているとは言えないのが現状である。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、感圧式タッチパネルの特性を利用した利便性の高い操作体系を実現することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、パラメータ設定方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、画面に接触した操作体の接触位置を検出する位置検出部と、前記画面に接触した操作体の接触面積を検出する面積検出部と、前記画面を押圧する操作体の押圧力を検出する圧力検出部と、前記画面に表示されたパラメータ設定用のオブジェクトに対する前記操作体の接触面積及び当該オブジェクトを押圧する前記操作体の押圧力に応じて、当該オブジェクトに対応付けられたパラメータの大きさを設定するパラメータ設定部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0008】
また、前記パラメータ設定部は、前記パラメータ設定用のオブジェクトに対する操作体の接触面積が大きいほど前記パラメータを大きく設定し、かつ、当該オブジェクトを押圧する操作体の押圧力が大きいほど前記パラメータを大きく設定するように構成されていてもよい。
【0009】
また、前記パラメータ設定部は、前記パラメータ設定用のオブジェクトに接触している時間tについて、当該オブジェクトに対する操作体の接触面積S(t)と当該オブジェクトを押圧する操作体の押圧力P(t)との積S(t)*P(t)を積分して得られる積分値Iに比例する量を前記パラメータに設定するように構成されていてもよい。
【0010】
また、前記パラメータ設定用のオブジェクトは、色毎に設けられていてもよく、前記パラメータは、前記操作体が前記パラメータ設定用のオブジェクトに接触した場合に、当該オブジェクトに接触した操作体に付着したとみなすインクの量であってもよい。
【0011】
また、上記の情報処理装置は、前記画面の描画領域に前記操作体が接触した場合に、当該操作体に付着したとみなされたインクの量に応じた濃さで当該操作体の接触位置に点を描画する描画部をさらに備えていてもよい。この場合、前記パラメータ設定部は、前記描画部により点が描画される度に前記操作体に付着したとみなすインクの量を減少させ、前記描画部は、前記操作体に付着したとみなすインクの量が減少する度に前記描画領域に描画される点の濃さを薄くする。
【0012】
また、前記描画部は、前記操作体の接触面積が大きいほど前記描画領域に描画される点を大きくし、前記操作体の押圧力が大きいほど前記描画領域に描画される点の濃さを濃くし、前記パラメータ設定部は、前記描画領域に描画される点が大きいほど前記操作体に付着したとみなすインクの量を大きく減少させ、前記描画領域に描画される点が濃いほど前記操作体に付着したとみなすインクの量を大きく減少させるように構成されていてもよい。
【0013】
また、前記描画部は、前記操作体の移動する速さが大きいほど前記描画領域に描画される点の濃さを薄くするように構成されていてもよい。
【0014】
また、前記画面には、色毎に設けられたパラメータ設定用のオブジェクトに加え、前記描画領域に描画された点を消去するためのパラメータ設定用のオブジェクトが設けられていてもよく、前記点を消去するためのパラメータ設定用のオブジェクトに前記操作体が接触した後、前記描画領域に描画された点に当該操作体が接触した場合、前記描画部は、当該操作体の押圧力に応じて当該操作体の接触位置にある点の色を薄くするか、当該点を消去するように構成されていてもよい。
【0015】
また、上記の情報処理装置は、複数のページで構成される電子書籍を前記画面に表示させる書籍表示部と、前記操作体により前記ページをめくる動作が行われた際、前記パラメータ設定部により設定されたパラメータの大きさに応じたページ数のページをめくるページめくり部と、をさらに備えていてもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画面に接触した操作体の接触位置を検出する位置検出部と、前記画面に接触した操作体の接触面積を検出する面積検出部と、前記画面を押圧する操作体の押圧力を検出する圧力検出部と、を有する情報処理装置が、前記画面に表示されたパラメータ設定用のオブジェクトに対する前記操作体の接触面積及び当該オブジェクトを押圧する前記操作体の押圧力に応じて、当該オブジェクトに対応付けられたパラメータの大きさを設定するパラメータ設定ステップを含む、パラメータ設定方法が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画面に接触した操作体の接触位置を検出する位置検出機能と、前記画面に接触した操作体の接触面積を検出する面積検出機能と、前記画面を押圧する操作体の押圧力を検出する圧力検出機能と、前記画面に表示されたパラメータ設定用のオブジェクトに対する前記操作体の接触面積及び当該オブジェクトを押圧する前記操作体の押圧力に応じて、当該オブジェクトに対応付けられたパラメータの大きさを設定するパラメータ設定機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記のプログラムが記録された、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、感圧式タッチパネルの特性を利用した利便性の高い操作体系を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の機能構成について説明するための説明図である。
【図2】同実施形態に係る描画アプリケーションの実行画面の構成について説明するための説明図である。
【図3】同実施形態に係るインクの絡め取り操作について説明するための説明図である。
【図4】同実施形態に係るインクの絡め取り操作について説明するための説明図である。
【図5】同実施形態に係るインクの絡め取り操作について説明するための説明図である。
【図6】同実施形態に係るインクの絡め取り操作について説明するための説明図である。
【図7】同実施形態に係るインクの絡め取り操作について説明するための説明図である。
【図8】同実施形態に係るインクの絡め取り操作について説明するための説明図である。
【図9】同実施形態に係る描画操作について説明するための説明図である。
【図10】同実施形態に係る描画操作について説明するための説明図である。
【図11】同実施形態に係る描画操作について説明するための説明図である。
【図12】同実施形態に係る描画操作について説明するための説明図である。
【図13】同実施形態に係る描画操作について説明するための説明図である。
【図14】同実施形態に係る描画操作について説明するための説明図である。
【図15】同実施形態に係る描画操作について説明するための説明図である。
【図16】同実施形態に係る描画操作について説明するための説明図である。
【図17】同実施形態に係る描画操作について説明するための説明図である。
【図18】同実施形態に係る消去操作について説明するための説明図である。
【図19】同実施形態の一応用例に係るページめくり操作について説明するための説明図である。
【図20】同実施形態に係る情報処理装置の機能を実現することが可能なハードウェア構成について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
[説明の流れについて]
ここで、以下に記載する本発明の実施形態に関する説明の流れについて簡単に述べる。まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置100の機能構成について説明する。次いで、図2を参照しながら、本実施形態に係る描画アプリケーションの実行画面の構成について説明する。次いで、図3〜図8を参照しながら、本実施形態に係るインクの絡め取り操作について説明する。
【0023】
次いで、図9〜図18を参照しながら、本実施形態に係る描画操作について説明する。次いで、図19を参照しながら、本実施形態の一応用例に係るページめくり操作について説明する。次いで、図20を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置100の機能を実現することが可能なハードウェア構成について説明する。最後に、本実施形態の技術的思想について纏め、当該技術的思想から得られる作用効果について簡単に説明する。
【0024】
(説明項目)
1:実施形態
1−1:情報処理装置100の機能構成
1−2:描画アプリケーションの実行画面の構成
1−3:インクの絡め取り操作について
1−4:描画操作について
1−5:消去操作について
2:応用例
3:ハードウェア構成
4:まとめ
【0025】
<1:実施形態>
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、感圧式タッチパネルを利用して利便性の高い操作体系を実現するための技術に関する。以下では、描画アプリケーションを例に挙げて説明を進める。
【0026】
[1−1:情報処理装置100の機能構成]
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置100の機能構成について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理装置100の機能構成について説明するための説明図である。
【0027】
図1に示すように、情報処理装置100は、主に、表示部101と、位置検出部102と、面積検出部103と、圧力検出部104と、パラメータ計算部105と、記憶部106と、表示制御部107と、により構成される。また、表示部101、位置検出部102、面積検出部103、及び圧力検出部104は、感圧式タッチパネルを構成する。例えば、この感圧式タッチパネルの機能は、静電容量センサや光学式センサが設けられたタッチパネルにより実現される。さらに、パラメータ計算部105、記憶部106、及び表示制御部107は、描画処理部を構成する。
【0028】
表示部101は、画像を表示する表示手段である。例えば、表示部101は、表示制御部107による制御を受けて背景画像、操作用のオブジェクト、描画された画像などを表示する(例えば、図2を参照)。位置検出部102は、感圧式タッチパネルに近接又は接触した操作体Fの位置を検出する手段である。位置検出部102により検出された位置の情報は、パラメータ計算部105及び表示制御部107に入力される。
【0029】
面積検出部103は、感圧式タッチパネルに接触した操作体Fの接触面積を検出する手段である。面積検出部103により検出された接触面積の情報は、パラメータ計算部105に入力される。圧力検出部104は、感圧式タッチパネルを押圧する操作体Fの押圧力を検出する手段である。圧力検出部104により検出された押圧力の情報は、パラメータ計算部105に入力される。
【0030】
上記のように、パラメータ計算部105には、操作体Fの位置を示す位置情報、操作体Fの接触面積を示す面積情報、操作体Fの押圧力を示す圧力情報が入力される。これらの情報が入力されると、パラメータ計算部105は、位置情報に基づいて、計算すべきパラメータの種類を選択したり、操作体Fの移動速度を計算したりする。また、パラメータ計算部105は、操作体Fの移動速度、面積情報、及び圧力情報に基づいてパラメータを計算する。
【0031】
パラメータ計算部105により計算されたパラメータは、記憶部106に記録される。また、パラメータ計算部105により計算された操作体Fの移動速度を示す速度情報及びパラメータは、表示制御部107に入力される。パラメータが入力されると、表示制御部107は、入力されたパラメータに基づいて表示部101に画像を表示させる。例えば、描画アプリケーションの場合、表示制御部107は、位置検出部102により入力された位置情報が示す位置に、パラメータ計算部105から入力されたパラメータに応じた色彩及び直径を持つ点を表示させる。
【0032】
以上、情報処理装置100の機能構成について説明した。なお、後述する描画アプリケーション上の各操作結果は、情報処理装置100の機能により実現される。
【0033】
[1−2:描画アプリケーションの実行画面の構成]
次に、図2を参照しながら、本実施形態に係る描画アプリケーションの実行画面の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る描画アプリケーションの実行画面の構成について説明するための説明図である。なお、図2の画面構成は一例であり、本実施形態はこれに限定されない。例えば、オブジェクトの配置や形状などは自由に変形してもよい。但し、ここでは図2に例示した画面構成を有する描画アプリケーションを想定して説明を進めることにする。
【0034】
図2に示すように、この描画アプリケーションの実行画面は、パレット領域PA、描画領域DA、消去モードボタンB1、及びインククリアボタンB2を有する。また、パレット領域PAには、複数のインクオブジェクトIO、及び混色領域MAが設けられている。
【0035】
パレット領域PAは、操作体Fにインクを付着させるための領域である。例えば、インクオブジェクトIOに操作体Fが触れると、触れたインクオブジェクトIOに対応する色彩のインクが操作体Fに付着したものとみなされる。また、描画領域DAは、操作体Fに付着したインクを利用して絵を描くための領域である。描画領域DAに操作体Fが触れると、操作体Fに付着しているインクに応じた色彩で操作体Fの位置に点が描画される。そのため、描画領域DAに触れた状態で操作体Fを動かすと、操作体Fの軌跡に線が描画される。
【0036】
また、描画領域DAに描画した絵を消去したい場合は、消去モードボタンB1を押下して消去モードに移行し、操作体Fにより描画領域DAに描画された絵を擦ればよい。消去モードで操作体Fにより絵を擦ると、操作体Fにより擦られた部分の色彩が薄くなるか、完全に消去される。また、操作体Fに付着したインクを拭い去りたい場合は、インククリアボタンB2を押下することにより、操作体Fにインクが付着していない状態に戻る。また、インクを混色したい場合は、操作体Fに付着させたインクを混色領域MAにのせ、他のインクを操作体Fに付着させて混色領域MAで混合することにより、インクを混色することができる。
【0037】
以上、本実施形態に係る描画アプリケーションの実行画面の構成について説明した。但し、ここでは操作体Fにインクを付着させる際に情報処理装置100が実行する処理の内容、操作体Fに付着するインク量の算出方法などについては説明を省略した。また、描画する際に情報処理装置100が実行する処理の内容、操作体Fに付着するインク量の変化、インク量の変化に応じた点や線の濃度変化などについては説明を省略した。以下では、これらの点について、より詳細に説明する。
【0038】
[1−3:インクの絡め取り操作について]
まず、図3〜図8を参照しながら、操作体Fによるインクの絡め取り操作について説明する。上記の通り、本実施形態に係る描画アプリケーションにおいては、操作体Fにインクを付着させて描画領域DAに絵を描く操作方法が採用されている。特に、本実施形態に係る描画アプリケーションは、インクオブジェクトIOからインクを絡め取るようにして操作体Fにインクを付着させる操作方法に1つの特徴がある。そこで、以下では、操作体Fによるインクの絡め取り操作について詳細に説明する。
【0039】
まず、図3を参照する。図3に示すように、操作体Fにインクを付着させる際、ユーザは、インクオブジェクトIOをなぞるように操作体Fを移動させる。このとき、操作体Fの位置は、位置検出部102により検出される。そして、位置検出部102により検出された操作体Fの位置情報は、パラメータ計算部105に入力される。操作体Fの位置情報が入力されると、パラメータ計算部105は、色毎に設けられたインクオブジェクトIOの位置と操作体Fとの位置関係から、操作体Fに付着させるインクの色を選択する。
【0040】
また、インクオブジェクトIOを操作体Fでなぞると、面積検出部103は、操作体FとインクオブジェクトIOとが接触している面積を検出する。そして、面積検出部103により検出された面積を示す面積情報は、逐次、パラメータ計算部105に入力される。同様に、インクオブジェクトIOを操作体Fでなぞると、圧力検出部104は、感圧式タッチパネルを押圧する操作体Fの押圧力を検出する。そして、圧力検出部104により検出された押圧力を示す圧力情報は、逐次、パラメータ計算部105に入力される。
【0041】
インクを絡め取るように操作した場合、インクオブジェクトIOと操作体Fとが接触する面積Sは、図4に示すように変化する。例えば、インクオブジェクトIOと操作体Fとが接触する面積Sは、絡め取り操作を開始した直後(時刻t=t1、面積S=S1)では小さく、インクオブジェクトIOの中央付近(t=t2、面積S=S2)に近づくにつれて増加し、インクオブジェクトIOの端(t=t3、面積S=S3)に近づくにつれて減少する(S1<S2、S2>S3)。つまり、操作体FとインクオブジェクトIOとの接触面積Sは、図5に示すように変化する。
【0042】
また、インクを絡め取るように操作した場合、インクオブジェクトIOを押圧する操作体Fの押圧力Pは、図6に示すように変化する。例えば、インクオブジェクトIOを押圧する操作体Fの押圧力Pは、絡め取り操作を開始した直後(時刻t=t1、圧力P=P1)では小さく、インクオブジェクトIOの中央付近(t=t2、圧力P=P2)に近づくにつれて増加し、インクオブジェクトIOの端(t=t3、圧力P=P3)に近づくにつれて減少する(P1<P2、P2>P3)。つまり、インクオブジェクトIOを押圧する操作体Fの押圧力Pは、図7に示すように変化する。
【0043】
インクの絡め取り操作が行われると、面積検出部103により、図5のように変化する面積Sが検出される。さらに、インクの絡め取り操作が行われると、圧力検出部104により、図7のように変化する圧力Pが検出される。面積検出部103により検出された面積Sを示す面積情報、及び圧力検出部104により検出された圧力Pを示す圧力情報は、逐次、パラメータ計算部105に入力される。面積情報及び圧力情報が入力されると、パラメータ計算部105は、入力された面積情報及び圧力情報に基づいて操作体Fに付着したとみなすインクの量を算出する。このインクの量は、パラメータの一例である。
【0044】
例えば、単位時間当たりに操作体Fに付着するインクの量Aが面積S及び圧力Pに比例すると仮定し、パラメータ計算部105は、下記の式(1)に基づいて絡め取られて操作体Fに付着したとみなすインクの量Aを算出する。但し、インクオブジェクトIOに操作体Fが接触した時刻をt=0とし、インクオブジェクトIOから操作体Fが離れた時刻をt=Tとする。また、絡め取り操作により最終的に操作体Fに付着したとみなすインクの量をA0と表記する。なお、時刻tまでに操作体Fに付着したとみなされるインクの量A(t)は、図8のように変化する。このようにしてパラメータ計算部105により算出されたインクの量A0は、記憶部106に記録される。
【0045】
【数1】

【0046】
以上、本実施形態に係るインクの絡め取り操作について説明した。上記のように、操作体Fの接触面積及び操作体Fの押圧力に基づいて絡め取られるインクの量を決めることにより、実際に指でインクを絡め取るのと同じ感覚で仮想的にインクを操作体Fに付着させることができるようになる。また、操作体Fに付着させるインクの量が操作体Fによる絡め取り操作だけで決められるため、1回の操作でインクの絡め取りが完了する。つまり、直感的な操作により1工程でインク量というパラメータを指定することが可能になる。
【0047】
[1−4:描画操作について]
次に、図9〜図17を参照しながら、インクが付着した操作体Fによる描画操作について説明する。上記の通り、本実施形態に係る描画アプリケーションにおいては、操作体Fにインクを付着させて描画領域DAに絵を描く操作方法が採用されている。特に、本実施形態に係る描画アプリケーションは、仮想的にインクを付着させた操作体Fで描画領域DAに絵を描く操作方法に1つの特徴がある。そこで、以下では、インクを付着させた操作体Fで描画領域DAに絵を描く描画操作について詳細に説明する。
【0048】
(インク量に応じた濃度変化)
まず、図9を参照する。本実施形態に係る描画アプリケーションにおいては、インクの付着した操作体Fにより描画領域DAをなぞることにより線を描くことができる(例えば、図2を参照)。但し、本実施形態の場合、操作体Fに付着したインクの量は、操作体Fにより描かれた線の長さに応じて減少する。そして、操作体Fに付着したインクの量が少なくなると、図9に示すように、描画領域DAに描かれる線の濃度が薄く変化する。なお、以下では説明の都合上、線を描く操作を例に挙げて説明する。
【0049】
操作体Fにより線を描く操作が開始されると、面積検出部103により、描画領域DAと操作体Fとが接触している面積が検出される。そして、面積検出部103により検出された面積を示す面積情報は、パラメータ計算部105に入力される。また、操作体Fにより線を描く操作が開始されると、圧力検出部104は、描画領域DAを押圧する操作体Fの押圧力を検出する。そして、圧力検出部104により検出された押圧力を示す圧力情報は、パラメータ計算部105に入力される。また、位置検出部102により操作体Fの位置が検出されると、その位置を示す位置情報はパラメータ計算部105に入力される。
【0050】
操作体Fによる描画操作が開始されると、パラメータ計算部105は、記憶部106に記録しておいたインクの量A0を読み出す。次いで、パラメータ計算部105は、インクの量A0に応じた濃度C0を算出する。例えば、インクの量Aと濃度Cとの関係は、図10に示すように設定される。図10に示すように、インクの量Aが大きいほど、濃度Cは大きくなる。但し、図10の例ではインクの量Aと濃度Cとが線形の関係となるように設定されているが、インクの量Aと濃度Cとが非線形の関係となるように設定されていてもよい。このようにしてパラメータ計算部105により算出された濃度C0は、表示制御部107に入力される。
【0051】
操作体Fが移動した場合、表示制御部107は、パラメータ計算部105により入力された濃度C0で表示部101に線を表示させる。また、操作体Fが移動した場合、パラメータ計算部105は、位置検出部102により入力された位置情報に基づいて操作体Fの移動距離xを算出する。移動距離xを算出すると、パラメータ計算部105は、算出した移動距離xに基づいてインクの量Aを算出する。例えば、図11、図12に示すように、パラメータ計算部105は、移動距離xが大きくなるにつれてインクの量Aを減少させる。このとき、パラメータ計算部105は、面積検出部103により入力された面積情報及び圧力検出部104により入力された圧力情報を考慮してインクの量Aを算出する。
【0052】
例えば、面積検出部103により検出された面積が一定の場合、パラメータ計算部105は、図11に示すように、圧力検出部104により検出された圧力が大きいほどインクの量Aを大きく減少させる。また、圧力検出部104により検出された圧力が一定の場合、パラメータ計算部105は、図12に示すように、面積検出部103により検出された面積が大きいほどインクの量Aを大きく減少させる。つまり、圧力検出部104により検出された圧力が大きいほどインクの減少量ΔAが大きく、面積検出部103により検出された面積が大きいほどインクの減少量ΔAが大きくなるように設定される。
【0053】
このようにしてインクの量Aを算出したパラメータ計算部105は、濃度C0を算出したときと同様に、算出したインクの量Aに基づいて濃度Cを算出する。パラメータ計算部105により算出された濃度Cは、表示制御部107に入力される。操作体Fがさらに移動した場合、表示制御部107は、パラメータ計算部105により入力された濃度Cで表示部101に線を表示させる。このように、操作体Fの移動に伴って、パラメータ計算部105による濃度Cの算出と、表示制御部107による線の表示制御とが繰り返し実行され、図9に示すような線が描画される。
【0054】
このように、操作体Fによる線の描画に伴って操作体Fに付着したインクの量Aが減少し、インクの量Aの減少に伴って線の濃度Cが減少するように表示することで、実際に筆などを用いて線を描くのと同じ感覚で線の濃淡を表現することが可能になる。
【0055】
(移動速度に応じた濃度変化)
次に、図13を参照する。これまでは操作体Fの移動速度Vについて考慮してこなかった。しかし、実際に線を描く際、素早く筆を動かせば線は薄い色となり、ゆっくりと筆を動かせば線は濃い色となる。そこで、本実施形態においては、図13に示すように、操作体Fの移動速度Vに応じて線の濃淡が変化するような操作体系を採用する。
【0056】
上記のように、操作体Fが移動すると、位置検出部102により操作体Fの位置が検出され、操作体Fの位置を示す位置情報がパラメータ計算部105に入力される。位置情報が入力されると、パラメータ計算部105は、入力された位置情報に基づいて操作体Fの移動速度Vを算出する。なお、ここでは移動速度と表現するが、実際には移動の速さ(移動速度の大きさ)だけを算出すればよい。移動速度Vを算出したパラメータ計算部105は、算出した移動速度Vに基づいて濃度Cを算出する。例えば、パラメータ計算部105は、図14に示すような移動速度Vと濃度Cとの関係に基づいて濃度Cを算出する。
【0057】
図14の例では、移動速度Vが所定の閾値Vthを越えるまでは濃度Cを一定にしておき、移動速度Vが所定の閾値Vthを越えた場合に濃度Cが減少するように設定されている。なお、図14の例は、面積検出部103により検出された面積S及び圧力検出部104により検出された圧力Pが一定の場合を示したものである。実際には、面積S、圧力P、移動速度Vがそれぞれ考慮され、面積S、圧力P、移動速度Vに応じた濃度Cがパラメータ計算部105により算出される。このようにしてパラメータ計算部105により算出された濃度Cは、表示制御部107に入力される。濃度Cが入力されると、表示制御部107は、入力された濃度Cで表示部101に線を表示させる。
【0058】
ここで、面積S、圧力P、移動速度V、インクの量A、濃度Cの関係について整理しておきたい。先に述べた通り、移動速度Vが一定の場合、圧力Pが大きいほど、濃度Cが大きくなり、インクの減少量ΔAが大きくなる。また、移動速度Vが一定の場合、面積Sが大きいほど、インクの減少量ΔAが大きくなる。さらに、移動速度Vが大きい場合、濃度Cが小さくなり、その分だけインクの減少量ΔAが小さくなる。つまり、濃度Cは、C=C(P,V,A)と表現することができる。また、インクの減少量ΔAは、ΔA=ΔA(C,S)と表現することができる。
【0059】
このように、操作体Fによる線の描画に伴って操作体Fに付着したインクの量Aが減少し、インクの量Aの減少に伴って線の濃度Cが減少するように表示することで、実際に筆などを用いて線を描くのと同じ感覚で線の濃淡を表現することが可能になる。さらに、移動速度に応じて描画される線の濃度Cが変化することにより、実際に筆などを用いて線を描く感覚により近づけることが可能になる。
【0060】
(接触面積に応じた太さ変化)
次に、図15を参照する。本実施形態に係る描画アプリケーションにおいては、操作体Fの接触面積に応じて描画される線の太さが変化する。例えば、図15に示すように、描画領域DAに接触した操作体Fの面積Sが大きい場合(S=S0)、描画領域DAに描画される線は太くなる。一方、描画領域DAに接触した操作体Fの面積Sが小さい場合(S=S1、S1<S0)、描画領域DAに描画される線は細くなる。従って、図15に示すように、徐々に面積Sを小さくしていくことにより、徐々に細くなる線を描くこともできる。
【0061】
さて、操作体Fが移動すると、パラメータ計算部105には、位置検出部102により操作体Fの位置が入力される。また、パラメータ計算部105には、逐次、面積検出部103により検出された面積Sを示す面積情報が入力される。さらに、パラメータ計算部105には、逐次、圧力検出部104により検出された圧力Pを示す圧力情報が入力される。そのため、描画領域DAに接触している操作体Fの面積Sが変化すると、パラメータ計算部105は、面積検出部103により入力された面積情報に基づいて面積Sの変化を検知することができる。
【0062】
そこで、パラメータ計算部105は、面積Sが変化した場合に、面積Sに応じた線の太さを算出する。例えば、パラメータ計算部105は、操作体Fと描画領域DAとが接触している面の形状が円形であると仮定し、面積Sから円の直径を算出する。そして、パラメータ計算部105は、算出した円の直径を線の太さに設定する。このようにしてパラメータ計算部105により算出された線の太さは、表示制御部107に入力される。線の太さが入力されると、表示制御部107は、入力された線の太さで表示部101に線を表示させる。なお、線の太さはパラメータの一例である。
【0063】
(押圧力に応じた濃度変化)
次に、図16を参照する。本実施形態に係る描画アプリケーションにおいては、操作体Fによる押圧力に応じて描画される線の濃度が変化する。例えば、図16に示すように、描画領域DAを押圧する操作体Fの圧力Pが大きい場合(P=P0)、描画領域DAに描画される線の色は濃くなる。一方、描画領域DAを押圧する操作体Fの圧力Pが小さい場合(P=P1、P1<P0)、描画領域DAに描画される線の色は薄くなる。従って、図16に示すように、徐々に圧力Pを小さくしていくことにより、徐々に色が薄くなる線を描くこともできる。十分に圧力Pを小さくすれば、かすれた線を描くこともできる。
【0064】
さて、操作体Fが移動すると、パラメータ計算部105には、位置検出部102により操作体Fの位置が入力される。また、パラメータ計算部105には、逐次、面積検出部103により検出された面積Sを示す面積情報が入力される。さらに、パラメータ計算部105には、逐次、圧力検出部104により検出された圧力Pを示す圧力情報が入力される。そのため、描画領域DAに接触している操作体Fの圧力Pが変化すると、パラメータ計算部105は、圧力検出部104により入力された圧力情報に基づいて圧力Pの変化を検知することができる。
【0065】
そこで、パラメータ計算部105は、圧力Pが変化した場合に、圧力Pに応じた濃度Cを算出する。パラメータ計算部105により算出された濃度Cは、表示制御部107に入力される。濃度Cが入力されると、表示制御部107は、入力された濃度Cで表示部101に線を表示させる。なお、濃度Cはパラメータの一例である。
【0066】
(にじみ表現)
次に、図17を参照する。本実施形態に係る描画アプリケーションにおいては、静止した操作体Fによる押し込み操作により、にじみを表現することができる。にじみを表現するための操作方法は、図17に示すように、操作体Fを静止したまま描画領域DAを押圧するだけである(Step.1)。描画領域DAが押圧されると、操作体Fを基準にしてインクがにじみ出す(Step.2)。なお、インクのにじみ出し方としては、例えば、操作体Fの位置を中心とした略円形ににじみ出すようにしてもよいし、ランダムな形状でにじみ出すようにしてもよい。
【0067】
さて、操作体Fの静止状態は、位置検出部102により検出される操作体Fの位置に基づいて検知することができる。例えば、パラメータ計算部105は、位置検出部102により入力される位置情報に基づき、操作体Fの位置が変化していない場合、操作体Fが静止しているものと判断する。静止状態にある操作体Fにより押し込み操作が行われると、パラメータ計算部105は、圧力検出部104により入力される圧力情報に基づいて押し込み操作を検知する。このように、静止した操作体Fにより押し込み操作が行われた場合、パラメータ計算部105は、にじみを表現するための操作が行われたと判断し、インクをにじませる範囲を決定する。なお、にじませる範囲の形状は、円形であってもよいし、ランダムな形状であってもよい。
【0068】
まず、パラメータ計算部105は、圧力Pに応じて、にじませる範囲の面積を算出する。もちろん、圧力Pが大きいほど、にじませる範囲の面積は大きい。次いで、パラメータ計算部105は、算出した面積に基づいて、にじませる範囲を決定する。例えば、にじませる範囲の形状が円形の場合、パラメータ計算部105は、面積に基づいて円の半径を算出する。この場合、パラメータ計算部105により算出された円の半径が、表示制御部107に入力される。にじませる範囲の情報として円の半径が入力されると、表示制御部107は、入力された半径を有し、操作体Fの位置を中心とする円で囲まれた領域にインクをにじませるように表示部101に絵を表示させる。このとき、表示制御部107は、にじませる範囲の境界付近に近づくにつれて色が薄くなるように、インクのにじみを表現してもよい。
【0069】
以上、インクが付着した操作体Fによる描画操作について説明した。上記のように、インクが付着した操作体Fの移動速度、押圧力、接触面積に応じて描かれる線の太さや濃度が変化することにより、実際に筆などで絵を描くような感覚で描画することが可能になる。また、線の太さや濃度を変更するためにメニュー画面を表示したりする操作工程がないため、少ない操作工程でストレスなく絵を描くことが可能になる。
【0070】
[1−5:消去操作について]
次に、図18を参照しながら、操作体Fによる絵の消去操作について説明する。図18は、操作体Fによる絵の消去操作について説明するための説明図である。
【0071】
絵の消去操作は、消去モードボタンB1(図2を参照)を押下した後に行われる。操作体Fにより消去モードボタンB1を押下すると、消去モードに遷移する。消去モードに遷移した後は、操作体Fにより絵を擦ることにより、擦られた部分の絵が消去される。但し、図18に示すように、描画領域DAを強く押し込んだ状態で擦ると色が完全に消去されるが、弱く押し込んだ状態で擦ると色が薄くなる。つまり、完全に消去したい部分は強く擦ればよく、一方で、色を薄くしたい部分は弱い力で擦ればよい。このような構成にすることにより、操作体Fの押圧力を制御することで、グラデーションを付けたい場合や部分的に色を落としたい場合など、様々な表現を実現することが可能になる。
【0072】
以上、操作体Fによる絵の消去操作について説明した。
【0073】
<2:応用例>
次に、本実施形態の応用例について説明する。
【0074】
これまでは描画アプリケーションに特化して説明を行ってきた。しかし、操作体Fにより表示物を絡め取る操作は、他のアプリケーションにも応用することができる。例えば、図19に示すように、電子書籍などのページめくり操作に応用することができる。このアプリケーションの場合、ページの隅を絡め取るように操作体Fを動かすことによりページをめくることができる(Step.1)。但し、強く絡め取るように操作すると多くのページがめくられ、弱く絡め取るように操作すると少ないページだけがめくられるように動作する(Step.2)。このように、ページめくり操作に絡め取り操作を応用すると、一枚一枚ページをめくる手間が省かれたり、一度にめくるページ数を指定する操作工程が省かれたりするため、より直感的で操作工程の少ないページめくり操作が実現される。
【0075】
その他にも、ファイルをカット&ペーストする操作に応用することができる。例えば、カットしたいファイルを操作体Fで絡め取り(カット操作)、ペーストしたい位置で擦ることにより(ペースト操作)、カット&ペーストに係る新たな操作体系を実現することができる。キーボードのような入力手段を搭載せず、タッチパネルのみで入力を行う必要のある電子機器の場合、キーボードのショートカットキーを利用できない分だけ、カット&ペースト操作が煩雑になるという問題が指摘されている。例えば、ユーザは、カット&ペーストの操作を行うために新たにメニュー画面を表示したり、特殊なジェスチャーを覚えたりする必要がある。しかし、絡め取り操作を応用したカット&ペースト操作を導入することで、操作が直感的になり、操作工程も減らすことが可能になる。
【0076】
以上、本実施形態の応用例について説明した。上記の他にも、絡め取り操作を様々なアプリケーションに応用することができる。
【0077】
<3:ハードウェア構成>
上記の情報処理装置100が有する各構成要素の機能は、例えば、図20に示す情報処理装置のハードウェア構成を用いて実現することが可能である。つまり、当該各構成要素の機能は、コンピュータプログラムを用いて図20に示すハードウェアを制御することにより実現される。なお、このハードウェアの形態は任意であり、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PHS、PDA等の携帯情報端末、ゲーム機、又は種々の情報家電がこれに含まれる。但し、上記のPHSは、Personal Handy−phone Systemの略である。また、上記のPDAは、Personal Digital Assistantの略である。
【0078】
図20に示すように、このハードウェアは、主に、CPU902と、ROM904と、RAM906と、ホストバス908と、ブリッジ910と、を有する。さらに、このハードウェアは、外部バス912と、インターフェース914と、入力部916と、出力部918と、記憶部920と、ドライブ922と、接続ポート924と、通信部926と、を有する。但し、上記のCPUは、Central Processing Unitの略である。また、上記のROMは、Read Only Memoryの略である。そして、上記のRAMは、Random Access Memoryの略である。
【0079】
CPU902は、例えば、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM904、RAM906、記憶部920、又はリムーバブル記録媒体928に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。ROM904は、CPU902に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータ等を格納する手段である。RAM906には、例えば、CPU902に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータ等が一時的又は永続的に格納される。
【0080】
これらの構成要素は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス908を介して相互に接続される。一方、ホストバス908は、例えば、ブリッジ910を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス912に接続される。また、入力部916としては、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及びレバー等が用いられる。さらに、入力部916としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。
【0081】
出力部918としては、例えば、CRT、LCD、PDP、又はELD等のディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホン等のオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、又はファクシミリ等、取得した情報を利用者に対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置である。但し、上記のCRTは、Cathode Ray Tubeの略である。また、上記のLCDは、Liquid Crystal Displayの略である。そして、上記のPDPは、Plasma DisplayPanelの略である。さらに、上記のELDは、Electro−Luminescence Displayの略である。
【0082】
記憶部920は、各種のデータを格納するための装置である。記憶部920としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等が用いられる。但し、上記のHDDは、Hard Disk Driveの略である。
【0083】
ドライブ922は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体928に記録された情報を読み出し、又はリムーバブル記録媒体928に情報を書き込む装置である。リムーバブル記録媒体928は、例えば、DVDメディア、Blu−rayメディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディア等である。もちろん、リムーバブル記録媒体928は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、又は電子機器等であってもよい。但し、上記のICは、Integrated Circuitの略である。
【0084】
接続ポート924は、例えば、USBポート、IEEE1394ポート、SCSI、RS−232Cポート、又は光オーディオ端子等のような外部接続機器930を接続するためのポートである。外部接続機器930は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、又はICレコーダ等である。但し、上記のUSBは、Universal Serial Busの略である。また、上記のSCSIは、Small Computer System Interfaceの略である。
【0085】
通信部926は、ネットワーク932に接続するための通信デバイスであり、例えば、有線又は無線LAN、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL用のルータ、又は各種通信用のモデム等である。また、通信部926に接続されるネットワーク932は、有線又は無線により接続されたネットワークにより構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、可視光通信、放送、又は衛星通信等である。但し、上記のLANは、Local Area Networkの略である。また、上記のWUSBは、Wireless USBの略である。そして、上記のADSLは、Asymmetric Digital Subscriber Lineの略である。
【0086】
<4:まとめ>
最後に、本発明の実施形態に係る技術内容について簡単に纏める。ここで述べる技術内容は、例えば、PC、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯情報端末、情報家電、カーナビゲーションシステム等、種々の情報処理装置に対して適用することができる。
【0087】
上記の情報処理装置の機能構成は次のように表現することができる。当該情報処理装置は、次のような位置検出部、面積検出部、圧力検出部、及びパラメータ設定部を有する。当該位置検出部は、画面に接触した操作体の接触位置を検出する手段である。上記の面積検出部は、前記画面に接触した操作体の接触面積を検出する手段である。上記の圧力検出部は、前記画面を押圧する操作体の押圧力を検出する手段である。上記のパラメータ設定部は、前記画面に表示されたパラメータ設定用のオブジェクトに対する前記操作体の接触面積及び当該オブジェクトを押圧する前記操作体の押圧力に応じて、当該オブジェクトに対応付けられたパラメータの大きさを設定する手段である。
【0088】
上記のように、接触面積の大きさと押圧力の大きさを同時に考慮してパラメータを設定できるようにすることにより、画面上の表示物を絡め取るような動作に応じて、仮想的に絡め取られる表示物の量に応じたパラメータの設定が可能になる。このように、本実施形態に係る技術を適用することで、これまで電子機器では考えられてこなかった「絡め取る」という動作を操作体系に組み込むことが可能になり、より直感的な操作体系を実現することができるようになる。また、「絡め取る」動作の他にも、「擦る」動作や「拭う」動作など、自然な動作の違いを処理結果に反映させることが可能になる。
【0089】
(備考)
上記のパラメータ計算部105は、パラメータ設定部の一例である。上記の表示制御部107は、描画部、書籍表示部の一例である。
【0090】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0091】
100 情報処理装置
101 表示部
102 位置検出部
103 面積検出部
104 圧力検出部
105 パラメータ計算部
106 記憶部
107 表示制御部
PA パレット領域
DA 描画領域
IO インクオブジェクト
MA 混色領域
B1 消去モードボタン
B2 インククリアボタン
F 操作体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に接触した操作体の接触位置を検出する位置検出部と、
前記画面に接触した操作体の接触面積を検出する面積検出部と、
前記画面を押圧する操作体の押圧力を検出する圧力検出部と、
前記画面に表示されたパラメータ設定用のオブジェクトに対する前記操作体の接触面積及び当該オブジェクトを押圧する前記操作体の押圧力に応じて、当該オブジェクトに対応付けられたパラメータの大きさを設定するパラメータ設定部と、
を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記パラメータ設定部は、前記パラメータ設定用のオブジェクトに対する操作体の接触面積が大きいほど前記パラメータを大きく設定し、かつ、当該オブジェクトを押圧する操作体の押圧力が大きいほど前記パラメータを大きく設定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記パラメータ設定部は、前記パラメータ設定用のオブジェクトに接触している時間tについて、当該オブジェクトに対する操作体の接触面積S(t)と当該オブジェクトを押圧する操作体の押圧力P(t)との積S(t)*P(t)を積分して得られる積分値Iに比例する量を前記パラメータに設定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記パラメータ設定用のオブジェクトは、色毎に設けられており、
前記パラメータは、前記操作体が前記パラメータ設定用のオブジェクトに接触した場合に、当該オブジェクトに接触した操作体に付着したとみなすインクの量である、
請求項1又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画面の描画領域に前記操作体が接触した場合に、当該操作体に付着したとみなされたインクの量に応じた濃さで当該操作体の接触位置に点を描画する描画部をさらに備え、
前記パラメータ設定部は、前記描画部により点が描画される度に前記操作体に付着したとみなすインクの量を減少させ、
前記描画部は、前記操作体に付着したとみなすインクの量が減少する度に前記描画領域に描画される点の濃さを薄くする、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記描画部は、前記操作体の接触面積が大きいほど前記描画領域に描画される点を大きくし、前記操作体の押圧力が大きいほど前記描画領域に描画される点の濃さを濃くし、
前記パラメータ設定部は、前記描画領域に描画される点が大きいほど前記操作体に付着したとみなすインクの量を大きく減少させ、前記描画領域に描画される点が濃いほど前記操作体に付着したとみなすインクの量を大きく減少させる、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記描画部は、前記操作体の移動する速さが大きいほど前記描画領域に描画される点の濃さを薄くする、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記画面には、色毎に設けられたパラメータ設定用のオブジェクトに加え、前記描画領域に描画された点を消去するためのパラメータ設定用のオブジェクトが設けられており、
前記点を消去するためのパラメータ設定用のオブジェクトに前記操作体が接触した後、前記描画領域に描画された点に当該操作体が接触した場合、前記描画部は、当該操作体の押圧力に応じて当該操作体の接触位置にある点の色を薄くするか、当該点を消去する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
複数のページで構成される電子書籍を前記画面に表示させる書籍表示部と、
前記操作体により前記ページをめくる動作が行われた際、前記パラメータ設定部により設定されたパラメータの大きさに応じたページ数のページをめくるページめくり部と、
をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
画面に接触した操作体の接触位置を検出する位置検出部と、前記画面に接触した操作体の接触面積を検出する面積検出部と、前記画面を押圧する操作体の押圧力を検出する圧力検出部と、を有する情報処理装置が、
前記画面に表示されたパラメータ設定用のオブジェクトに対する前記操作体の接触面積及び当該オブジェクトを押圧する前記操作体の押圧力に応じて、当該オブジェクトに対応付けられたパラメータの大きさを設定するパラメータ設定ステップを含む、
パラメータ設定方法。
【請求項11】
画面に接触した操作体の接触位置を検出する位置検出機能と、
前記画面に接触した操作体の接触面積を検出する面積検出機能と、
前記画面を押圧する操作体の押圧力を検出する圧力検出機能と、
前記画面に表示されたパラメータ設定用のオブジェクトに対する前記操作体の接触面積及び当該オブジェクトを押圧する前記操作体の押圧力に応じて、当該オブジェクトに対応付けられたパラメータの大きさを設定するパラメータ設定機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−48623(P2012−48623A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192249(P2010−192249)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】