情報処理装置、プログラム及び情報処理システム
【課題】保管場所を利用可能な利用者と、その保管場所に配置される情報要素を利用可能な利用者と、の不一致を抑制することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、記憶装置21に仮想的に設けられた各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持するフォルダアクセス権管理部22aと、各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持するファイルアクセス権管理部22bと、情報要素が配置される保管場所の変更の命令を受付ける受付部24aと、変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせるアクセス権比較部23と、を備える。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、記憶装置21に仮想的に設けられた各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持するフォルダアクセス権管理部22aと、各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持するファイルアクセス権管理部22bと、情報要素が配置される保管場所の変更の命令を受付ける受付部24aと、変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせるアクセス権比較部23と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
記憶装置には、文書ファイル等の情報要素が配置されるフォルダ等と呼ばれる保管場所が仮想的に設けられる。こうした情報要素と保管場所とのそれぞれに利用権限を設定可能な技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、入力される画像情報が既に格納された画像情報と同じ場合に、既に格納された画像情報のセキュリティ要件を流用する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−20620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、保管場所を利用可能な利用者と、その保管場所に配置される情報要素を利用可能な利用者と、の不一致を抑制することが可能な情報処理装置、プログラム及び情報処理システムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、記憶装置に仮想的に設けられた各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせる問い合わせ手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置である。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記問い合わせ手段が、前記情報要素の利用権限を変更不能な利用者によって前記命令が行われた場合に、前記情報要素の利用権限を変更可能な利用者に問い合わせる、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、記憶装置に仮想的に設けられた各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせる問い合わせ手段と、としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、複数の保管場所が仮想的に設けられた記憶装置と、前記各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせるための表示情報を出力する出力手段と、前記表示情報を表示する端末と、を備えることを特徴とする情報処理システムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1,3,4に記載の発明によると、保管場所を利用可能な利用者と、その保管場所に配置される情報要素を利用可能な利用者と、の不一致を抑制することが可能である。
【0011】
請求項2に記載の発明によると、情報要素の利用権限を変更不能な利用者によって変更の命令が行われても、上記不一致を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】情報処理システムの構成例を表すブロック図である。
【図2】情報処理装置の機能構成例を表すブロック図である。
【図3】フォルダアクセス権管理テーブルの内容例を表す図である。
【図4】ファイルアクセス権管理テーブルの内容例を表す図である。
【図5】変更要求の処理前におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。
【図6A】変更要求の処理前における文書ファイルのアクセス権を表す図である。
【図6B】変更要求の処理前におけるフォルダBのアクセス権を表す図である。
【図7】変更要求の処理後におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。
【図8】問い合わせ画面の表示例を表す図である。
【図9】変更要求の処理後における文書ファイルのアクセス権を表す図である。
【図10】変更要求の処理後におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。
【図11】問い合わせ画面の表示例を表す図である。
【図12】変更要求の処理後における文書ファイルのアクセス権を表す図である。
【図13A】変更要求の処理前における文書ファイルのアクセス権を表す図である。
【図13B】変更要求の処理前におけるフォルダBのアクセス権を表す図である。
【図14】問い合わせ画面の表示例を表す図である。
【図15】変更要求の処理後における文書ファイルのアクセス権を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の情報処理装置、プログラム及び情報処理システムの実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、情報処理システム1の構成例を表すブロック図である。情報処理システム1は、サーバとして構成された情報処理装置2と、ユーザが利用する1または複数の端末3と、を含んでいる。これら情報処理装置2及び端末3は、インターネット等の通信線を介して相互にデータ通信する。
【0015】
図2は、情報処理装置2の機能構成例を表すブロック図である。情報処理装置2は、データベースを記憶する記憶装置21と、データベース管理部22と、アクセス権比較部23と、インターフェース部24と、を備えている。データベース管理部22は、第1の保持手段の例としてのフォルダアクセス権管理部22aと、第2の保持手段の例としてのファイルアクセス権管理部22bと、を備えている。インターフェース部24は、受付部24aと、問い合わせ手段の例としての出力部24bと、を備えている。
【0016】
各部の機能は、CPU等の演算部、メモリ等の記憶部、データの入出力を担う入出力部などを備えるコンピュータが、プログラムを読み取り、実行することによって実現される。プログラムは、CD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な情報記録媒体からコンピュータに提供されてもよいし、インターネット等の通信線を介してコンピュータに提供されてもよい。
【0017】
データベース管理部22は、記憶装置21に仮想的な保存場所(以下、「フォルダ」という。)を設ける。具体的には、データベース管理部22は、端末3から送信された文書ファイルと保存要求とを受付部24aから受け取ると、その文書ファイルを指定されたフォルダと対応付けて記憶装置21に格納する。文書ファイルは、情報要素の一例である。データベース管理部22は、文書ファイルとフォルダとの対応関係が記述されたテーブルを保持している。また、各々のフォルダには、上位のフォルダも対応付けられており、これによってネットワーク構造のデータベースが実現する。
【0018】
また、データベース管理部22は、端末3から送信された文書ファイルの保存フォルダの変更要求を受付部24aから受け取ると、その変更要求に従って文書ファイルが保存されるフォルダを変更する。このとき、テーブルに記述された文書ファイルとフォルダとの対応関係が変更される。なお、以下の第1および第3の動作例では、文書ファイルの保存フォルダの変更要求に伴い、当該文書ファイルは保存元のフォルダから削除されるわけではなく、新たな保存先にコピーされる例を示しており、変更要求に伴う処理が行われた後に、文書ファイルは保存元、保存先の両方のフォルダに対応付けられることになる。また、第2の動作例では、文書ファイルの保存フォルダの変更要求に伴い、当該文書ファイルは保存元のフォルダから削除される例を示しており、変更要求に伴う処理が行われた後に、文書ファイルは保存先のフォルダにのみ対応付けられることになる。すなわち、文書ファイルの保存フォルダの変更要求を受け取った場合は、保存元のフォルダから当該文書ファイルを削除するか否かに関しての指示を併せて受け取るようにしてもよい。
【0019】
また、データベース管理部22は、端末3から送信された文書ファイルの閲覧要求を受付部24aから受け取ると、文書ファイルを記憶装置21から読み出し、出力部24bを介して端末3へ送信する。
【0020】
また、データベース管理部22は、端末3から送信された文書ファイルの修正要求を受付部24aから受け取ると、その修正要求に従って、記憶装置21に格納された文書ファイルを修正する。なお、修正要求には、文書ファイルの更新要求や文書ファイルへの書込要求、文書ファイルの保存先の変更要求、といった要求の何れかが含まれる。
【0021】
また、データベース管理部22は、端末3から送信されたフォルダの移動要求を受付部24aから受け取ると、その移動要求に従ってフォルダを移動する。このとき、テーブルに記述されたフォルダの上下関係が変更される。この場合のフォルダは、情報要素の一例として扱われる。また、データベース管理部22は、端末3を利用するユーザからユーザ自身を識別するためのユーザ識別子やユーザが所属するグループを識別するためのグループ識別子を受付部24aから受け取り、記憶装置21に格納することによって、端末3から送信される各種要求を行うユーザやユーザの所属するグループを確認する。
【0022】
フォルダアクセス権管理部22aは、各々のフォルダを利用可能なユーザを管理する。具体的には、フォルダアクセス権管理部22aは、図3に示されるように、フォルダと、そのフォルダに格納された文書ファイルを利用可能なユーザとの対応関係が記述されたフォルダアクセス権管理テーブルを保持している。フォルダアクセス権管理テーブルには、各々のフォルダに格納された文書ファイルに対し、ユーザが閲覧(R)、書込(W)、管理(M)の何れを実行可能かが記述されている。なお、書込(W)に対応する処理としては、フォルダ内の文書ファイルの修正、更新、書込の各処理、保存先の変更処理等が、管理(M)に対応する処理としては、フォルダ内の文書ファイルの削除処理、フォルダの移動処理、文書ファイルへのアクセス権の更新処理等が含まれる。
【0023】
このフォルダアクセス権管理部22aは、端末からの要求を受け取ったときに、フォルダアクセス権管理テーブルを参照して、端末3を利用するユーザが対応するアクセス権を有しているか否かを判定する。端末3を利用するユーザがアクセス権を有する場合、フォルダアクセス権管理部22aは、当該要求の実行を許可する。
【0024】
また、フォルダアクセス権管理部22aは、端末3から送信された、フォルダのアクセス権の更新要求を受付部24aから受け取ると、フォルダアクセス権管理テーブルの内容を更新する。
【0025】
ファイルアクセス権管理部22bは、各々の文書ファイルを利用可能なユーザを管理する。具体的には、ファイルアクセス権管理部22bは、図4に示されるように、文書ファイルと、その文書ファイルを利用可能なユーザとの対応関係が記述されたファイルアクセス権管理テーブルを保持している。ファイルアクセス権管理テーブルには、各々の文書ファイルに対し、ユーザが閲覧(R)、書込(W)、管理(M)の何れを実行可能かが記述されている。なお、書込(W)に対応する処理としては、文書ファイルの修正、更新、書込の各処理、保存先の変更処理等が、管理(M)に対応する処理としては、文書ファイルの削除処理、文書ファイルへのアクセス権の更新処理等が含まれる。
【0026】
このファイルアクセス権管理部22bは、端末3からの要求を受け取ったときに、ファイルアクセス権管理テーブルを参照して、端末3を利用するユーザが対応するアクセス権を有しているか否かを判定する。端末3を利用するユーザがアクセス権を有する場合、ファイルアクセス権管理部22bは、当該要求の実行を許可する。
【0027】
また、ファイルアクセス権管理部22bは、端末3から送信された、ファイルのアクセス権の更新要求を受付部24aから受け取ると、ファイルアクセス権管理テーブルの内容を更新する。
【0028】
アクセス権比較部23は、端末3から送信された文書ファイルの保存先の変更要求を受付部24aから受け取ると、対象の文書ファイルを利用可能なユーザと、当該文書ファイルの新たな保存先となるフォルダを利用可能なユーザとを比較する。対象の文書ファイルを利用可能なユーザは、ファイルアクセス権管理テーブルから読み出され、当該文書ファイルの新たな保存先となるフォルダを利用可能なユーザは、フォルダアクセス権管理テーブルから読み出される。
【0029】
対象の文書ファイルを利用可能なユーザと、当該文書ファイルの新たな保存先となるフォルダを利用可能なユーザとが異なる場合、アクセス権比較部23は、両者の差分を表す差分情報を出力部24bに送信する。
【0030】
受付部24aは、閲覧要求、書込要求または管理要求を端末3から受付けると、当該要求をデータベース管理部22に出力する。また、受付部24aは、文書ファイルの保存フォルダの変更要求を端末3から受付けると、当該要求をデータベース管理部22とアクセス権比較部23に出力する。
【0031】
出力部24bは、端末3から送信された要求の処理結果をデータベース管理部22から受け取ると、処理結果を表す画面情報を生成し、端末3に送信する。
【0032】
また、出力部24bは、アクセス権比較部23から差分情報を受け取ると、対象の文書ファイルを利用可能なユーザを、当該文書ファイルの新たな保存先となるフォルダを利用可能なユーザに応じて変更するか否かを問い合わせるための画面情報を生成し、端末3に送信する。これにより、端末3には、問い合わせ画面が表示される。なお、こうした態様に限られず、音声による問い合わせ等であってもよい。
【0033】
なお、出力部24bは、端末3で文書ファイルの保存先の変更要求を送信する操作を行ったユーザが文書ファイルのアクセス権限を更新する権限を有していない場合、問い合わせ画面の画面情報を、当該文書ファイルの所有者など、当該文書ファイルのアクセス権限を更新する権限を有しているユーザの利用する端末3に送信する。
【0034】
以下、情報処理装置2の具体的な動作例について説明する。
【0035】
[第1の動作例]
図5は、文書ファイルの保存先の変更要求の処理前におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。フォルダと文書ファイルの間の実線は、そのフォルダに文書ファイルが格納されていることを意味する。図6A及び図6Bは、このときの文書ファイル及びフォルダBのアクセス権を表す図である。変更要求の処理前において、文書ファイルはフォルダAに格納されている。文書ファイルの閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権は、グループA及びCに属するユーザに与えられている。フォルダAのアクセス権もこれと同じである。これに対し、フォルダBの閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権は、グループB及びCに属するユーザに与えられている。
【0036】
図7は、文書ファイルの保存先の変更要求の処理後におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。文書ファイルの保存先の変更要求が処理された結果、文書ファイルはフォルダBにも格納される。すなわち、文書ファイルはフォルダBにコピーされる。このとき、文書ファイルのアクセス権と、フォルダBのアクセス権とに差異が発生するので、アクセス権を更新する権限を有しているユーザの利用する端末3の画面には、図8に示されるような、アクセス権の変更を問い合わせる問い合わせ画面が表示される。ここでは、グループBのユーザに閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権を追加するか否かが問い合わされる。このアクセス権の変更が許可されることによって、図9に示されるように、グループBのユーザに文書ファイルのアクセス権が付与される。
【0037】
具体的には、アクセス権比較部23は、対象の文書ファイルを利用可能なユーザと、当該文書ファイルの新たな保存先となるフォルダBを利用可能なユーザとを比較し、差分情報を出力部24bに送信する。本例における差分は、グループA及びBに属するユーザのアクセス権の有無である。出力部24bは、差分情報に基づいて問い合わせ画面の画面情報を生成し、端末3に送信する。文書ファイルをフォルダBへコピーする変更要求の場合、文書ファイルがフォルダAに格納されているという状況は変わらないので、問い合わせ画面は、グループBに属するユーザにアクセス権を追加するか否かを問い合わせる内容とされる。
【0038】
その後、端末3においてアクセス権の追加を許可する入力が為され、端末3から文書ファイルのアクセス権の更新要求が送信されると、ファイルアクセス権管理部22bは、グループBのユーザに文書ファイルのアクセス権を付与するように、ファイルアクセス権管理テーブルの内容を更新する。
【0039】
なお、問い合わせ画面では、アクセス権の追加を許可しない入力をすることも可能であるし、閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権を個別に設定することも可能である。また、ユーザ毎にアクセス権を設定可能としてもよい。
【0040】
以上により、グループBのユーザがフォルダBのアクセス権を有しているのに、フォルダBに格納された文書ファイルのアクセス権を有していないという事態が解消される。
【0041】
[第2の動作例]
本例では、文書ファイルの保存先の変更要求の処理前におけるフォルダと文書ファイルの関係及び各々のアクセス権は、上記第1の動作例と同じである(上記図5〜図6Bを参照)。図10は、文書ファイルの保存先の変更要求の処理後におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。本例では、文書ファイルの保存先の変更要求が処理された結果、文書ファイルはフォルダAから削除され、フォルダBに格納される。すなわち、文書ファイルはフォルダAからフォルダBに移動される。このとき、文書ファイルのアクセス権と、フォルダBのアクセス権とに差異が発生するので、アクセス権を更新する権限を有しているユーザの利用する端末3の画面には、図11に示されるような、アクセス権の変更を問い合わせる問い合わせ画面が表示される。ここでは、グループAのユーザから閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権を削除するか否か、グループBのユーザに閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権を追加するか否かが問い合わされる。このアクセス権の変更が許可されることによって、図12に示されるように、グループAのユーザから文書ファイルのアクセス権が剥奪され、グループBのユーザに文書ファイルのアクセス権が付与される。
【0042】
具体的には、アクセス権比較部23は、変更対象の文書ファイルを利用可能なユーザと、変更先のフォルダBを利用可能なユーザとを比較し、差分情報を出力部24bに送信する。本例における差分は、グループA及びBに属するユーザのアクセス権の有無である。出力部24bは、差分情報に基づいて問い合わせ画面の画面情報を生成し、アクセス権を更新する権限を有しているユーザの利用する端末3に送信する。文書ファイルの保存先の変更要求に伴い保存元のフォルダAから当該文書ファイルを削除する場合、問い合わせ画面は、グループAに属するユーザからアクセス権を削除するか否か、グループBに属するユーザにアクセス権を追加するか否かを問い合わせる内容とされる。その後、端末3においてアクセス権の削除・追加を許可する入力が為され、端末3から文書ファイルのアクセス権の更新要求が送信されると、ファイルアクセス権管理部22bは、グループAのユーザから文書ファイルのアクセス権を剥奪し、グループBのユーザに文書ファイルのアクセス権を付与するように、ファイルアクセス権管理テーブルの内容を更新する。なお、第1の動作例同様に、本動作例においても問い合わせ画面では、アクセス権の追加を許可しない入力をすることも可能であるし、閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権を個別に設定することも可能である。また、ユーザ毎にアクセス権を設定可能としてもよい。
【0043】
以上により、文書ファイルがフォルダBに移動されたのに、フォルダBのアクセス権を有していないグループAのユーザが文書ファイルのアクセス権を有しているという事態も解消される。
【0044】
[第3の動作例]
本例では、文書ファイルの保存先の変更要求の処理前におけるフォルダと文書ファイルの関係は、上記第1の動作例と同じである(上記図5を参照)。図13A及び図13Bは、このときの文書ファイル及びフォルダBのアクセス権を表す図である。文書ファイルの閲覧(R)に係るアクセス権は、グループA、B及びCに属するユーザに与えられており、文書ファイルの書込(W)に係るアクセス権は、グループA及びBに属するユーザに与えられており、文書ファイルの管理(M)に係るアクセス権は、グループAに属するユーザに与えられている。フォルダAのアクセス権もこれと同じである。これに対し、フォルダBの閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権は、グループA、B及びCに属するユーザに与えられている。
【0045】
また、本例では、変更要求の処理後におけるフォルダと文書ファイルの関係も、上記第1の動作例と同じである(上記図7を参照)。変更要求が処理された結果、文書ファイルはフォルダBにコピーされる。このとき、文書ファイルのアクセス権と、フォルダBのアクセス権とに差異が発生するので、アクセス権を更新する権限を有しているユーザの利用する端末3の画面には、図14に示されるような、一部のアクセス権の変更を問い合わせる問い合わせ画面が表示される。ここでは、グループAのユーザから管理(M)に係るアクセス権を削除するか否か、グループCのユーザに書込(W)に係るアクセス権を追加するか否かが問い合わされる。このうち、前者が拒否され、後者が許可されることによって、図15に示されるように、グループAのユーザに管理(M)に係るアクセス権が残され、グループCのユーザに書込(W)に係るアクセス権が付与される。
【0046】
具体的には、アクセス権比較部23は、変更対象の文書ファイルを利用可能なユーザと、変更先のフォルダBを利用可能なユーザとを比較し、差分情報を出力部24bに送信する。本例における差分は、グループAに属するユーザの管理(M)に係るアクセス権の有無と、グループCに属するユーザの書込(W)に係るアクセス権の有無である。出力部24bは、差分情報に基づいて問い合わせ画面の画面情報を生成し、端末3に送信する。その後、端末3においてアクセス権の削除・追加を許可する入力が為され、端末3から文書ファイルのアクセス権の更新要求が送信されると、ファイルアクセス権管理部22bは、グループCのユーザに書込(W)に係るアクセス権を付与するように、ファイルアクセス権管理テーブルの内容を更新する。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。
【0048】
上記実施形態では、文書ファイルが保存される保存場所を変更する場合を例として説明したが、こうした態様に限られず、フォルダが配置される保存場所を変更する場合にも、同様の処理を適用できる。すなわち、例えばフォルダAをフォルダBの中に配置する場合、両者のアクセス権に差異が発生する場合があるので、フォルダAのアクセス権をフォルダBのアクセス権に揃えるか否かを問い合わせる画面が表示されてもよい。なお、フォルダAの中には下位のフォルダが存在する場合があるので、この場合、下位のフォルダのアクセス権まで変更するか否かを問い合わせる画面が表示されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 情報処理システム、2 情報処理装置、3 端末、21 記憶装置、22 データベース管理部、22a フォルダアクセス権管理部、22b ファイルアクセス権管理部、23 アクセス権比較部、24 インターフェース部、24a 受付部、24b 出力部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
記憶装置には、文書ファイル等の情報要素が配置されるフォルダ等と呼ばれる保管場所が仮想的に設けられる。こうした情報要素と保管場所とのそれぞれに利用権限を設定可能な技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、入力される画像情報が既に格納された画像情報と同じ場合に、既に格納された画像情報のセキュリティ要件を流用する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−20620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、保管場所を利用可能な利用者と、その保管場所に配置される情報要素を利用可能な利用者と、の不一致を抑制することが可能な情報処理装置、プログラム及び情報処理システムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、記憶装置に仮想的に設けられた各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせる問い合わせ手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置である。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記問い合わせ手段が、前記情報要素の利用権限を変更不能な利用者によって前記命令が行われた場合に、前記情報要素の利用権限を変更可能な利用者に問い合わせる、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、記憶装置に仮想的に設けられた各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせる問い合わせ手段と、としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、複数の保管場所が仮想的に設けられた記憶装置と、前記各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせるための表示情報を出力する出力手段と、前記表示情報を表示する端末と、を備えることを特徴とする情報処理システムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1,3,4に記載の発明によると、保管場所を利用可能な利用者と、その保管場所に配置される情報要素を利用可能な利用者と、の不一致を抑制することが可能である。
【0011】
請求項2に記載の発明によると、情報要素の利用権限を変更不能な利用者によって変更の命令が行われても、上記不一致を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】情報処理システムの構成例を表すブロック図である。
【図2】情報処理装置の機能構成例を表すブロック図である。
【図3】フォルダアクセス権管理テーブルの内容例を表す図である。
【図4】ファイルアクセス権管理テーブルの内容例を表す図である。
【図5】変更要求の処理前におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。
【図6A】変更要求の処理前における文書ファイルのアクセス権を表す図である。
【図6B】変更要求の処理前におけるフォルダBのアクセス権を表す図である。
【図7】変更要求の処理後におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。
【図8】問い合わせ画面の表示例を表す図である。
【図9】変更要求の処理後における文書ファイルのアクセス権を表す図である。
【図10】変更要求の処理後におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。
【図11】問い合わせ画面の表示例を表す図である。
【図12】変更要求の処理後における文書ファイルのアクセス権を表す図である。
【図13A】変更要求の処理前における文書ファイルのアクセス権を表す図である。
【図13B】変更要求の処理前におけるフォルダBのアクセス権を表す図である。
【図14】問い合わせ画面の表示例を表す図である。
【図15】変更要求の処理後における文書ファイルのアクセス権を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の情報処理装置、プログラム及び情報処理システムの実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、情報処理システム1の構成例を表すブロック図である。情報処理システム1は、サーバとして構成された情報処理装置2と、ユーザが利用する1または複数の端末3と、を含んでいる。これら情報処理装置2及び端末3は、インターネット等の通信線を介して相互にデータ通信する。
【0015】
図2は、情報処理装置2の機能構成例を表すブロック図である。情報処理装置2は、データベースを記憶する記憶装置21と、データベース管理部22と、アクセス権比較部23と、インターフェース部24と、を備えている。データベース管理部22は、第1の保持手段の例としてのフォルダアクセス権管理部22aと、第2の保持手段の例としてのファイルアクセス権管理部22bと、を備えている。インターフェース部24は、受付部24aと、問い合わせ手段の例としての出力部24bと、を備えている。
【0016】
各部の機能は、CPU等の演算部、メモリ等の記憶部、データの入出力を担う入出力部などを備えるコンピュータが、プログラムを読み取り、実行することによって実現される。プログラムは、CD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な情報記録媒体からコンピュータに提供されてもよいし、インターネット等の通信線を介してコンピュータに提供されてもよい。
【0017】
データベース管理部22は、記憶装置21に仮想的な保存場所(以下、「フォルダ」という。)を設ける。具体的には、データベース管理部22は、端末3から送信された文書ファイルと保存要求とを受付部24aから受け取ると、その文書ファイルを指定されたフォルダと対応付けて記憶装置21に格納する。文書ファイルは、情報要素の一例である。データベース管理部22は、文書ファイルとフォルダとの対応関係が記述されたテーブルを保持している。また、各々のフォルダには、上位のフォルダも対応付けられており、これによってネットワーク構造のデータベースが実現する。
【0018】
また、データベース管理部22は、端末3から送信された文書ファイルの保存フォルダの変更要求を受付部24aから受け取ると、その変更要求に従って文書ファイルが保存されるフォルダを変更する。このとき、テーブルに記述された文書ファイルとフォルダとの対応関係が変更される。なお、以下の第1および第3の動作例では、文書ファイルの保存フォルダの変更要求に伴い、当該文書ファイルは保存元のフォルダから削除されるわけではなく、新たな保存先にコピーされる例を示しており、変更要求に伴う処理が行われた後に、文書ファイルは保存元、保存先の両方のフォルダに対応付けられることになる。また、第2の動作例では、文書ファイルの保存フォルダの変更要求に伴い、当該文書ファイルは保存元のフォルダから削除される例を示しており、変更要求に伴う処理が行われた後に、文書ファイルは保存先のフォルダにのみ対応付けられることになる。すなわち、文書ファイルの保存フォルダの変更要求を受け取った場合は、保存元のフォルダから当該文書ファイルを削除するか否かに関しての指示を併せて受け取るようにしてもよい。
【0019】
また、データベース管理部22は、端末3から送信された文書ファイルの閲覧要求を受付部24aから受け取ると、文書ファイルを記憶装置21から読み出し、出力部24bを介して端末3へ送信する。
【0020】
また、データベース管理部22は、端末3から送信された文書ファイルの修正要求を受付部24aから受け取ると、その修正要求に従って、記憶装置21に格納された文書ファイルを修正する。なお、修正要求には、文書ファイルの更新要求や文書ファイルへの書込要求、文書ファイルの保存先の変更要求、といった要求の何れかが含まれる。
【0021】
また、データベース管理部22は、端末3から送信されたフォルダの移動要求を受付部24aから受け取ると、その移動要求に従ってフォルダを移動する。このとき、テーブルに記述されたフォルダの上下関係が変更される。この場合のフォルダは、情報要素の一例として扱われる。また、データベース管理部22は、端末3を利用するユーザからユーザ自身を識別するためのユーザ識別子やユーザが所属するグループを識別するためのグループ識別子を受付部24aから受け取り、記憶装置21に格納することによって、端末3から送信される各種要求を行うユーザやユーザの所属するグループを確認する。
【0022】
フォルダアクセス権管理部22aは、各々のフォルダを利用可能なユーザを管理する。具体的には、フォルダアクセス権管理部22aは、図3に示されるように、フォルダと、そのフォルダに格納された文書ファイルを利用可能なユーザとの対応関係が記述されたフォルダアクセス権管理テーブルを保持している。フォルダアクセス権管理テーブルには、各々のフォルダに格納された文書ファイルに対し、ユーザが閲覧(R)、書込(W)、管理(M)の何れを実行可能かが記述されている。なお、書込(W)に対応する処理としては、フォルダ内の文書ファイルの修正、更新、書込の各処理、保存先の変更処理等が、管理(M)に対応する処理としては、フォルダ内の文書ファイルの削除処理、フォルダの移動処理、文書ファイルへのアクセス権の更新処理等が含まれる。
【0023】
このフォルダアクセス権管理部22aは、端末からの要求を受け取ったときに、フォルダアクセス権管理テーブルを参照して、端末3を利用するユーザが対応するアクセス権を有しているか否かを判定する。端末3を利用するユーザがアクセス権を有する場合、フォルダアクセス権管理部22aは、当該要求の実行を許可する。
【0024】
また、フォルダアクセス権管理部22aは、端末3から送信された、フォルダのアクセス権の更新要求を受付部24aから受け取ると、フォルダアクセス権管理テーブルの内容を更新する。
【0025】
ファイルアクセス権管理部22bは、各々の文書ファイルを利用可能なユーザを管理する。具体的には、ファイルアクセス権管理部22bは、図4に示されるように、文書ファイルと、その文書ファイルを利用可能なユーザとの対応関係が記述されたファイルアクセス権管理テーブルを保持している。ファイルアクセス権管理テーブルには、各々の文書ファイルに対し、ユーザが閲覧(R)、書込(W)、管理(M)の何れを実行可能かが記述されている。なお、書込(W)に対応する処理としては、文書ファイルの修正、更新、書込の各処理、保存先の変更処理等が、管理(M)に対応する処理としては、文書ファイルの削除処理、文書ファイルへのアクセス権の更新処理等が含まれる。
【0026】
このファイルアクセス権管理部22bは、端末3からの要求を受け取ったときに、ファイルアクセス権管理テーブルを参照して、端末3を利用するユーザが対応するアクセス権を有しているか否かを判定する。端末3を利用するユーザがアクセス権を有する場合、ファイルアクセス権管理部22bは、当該要求の実行を許可する。
【0027】
また、ファイルアクセス権管理部22bは、端末3から送信された、ファイルのアクセス権の更新要求を受付部24aから受け取ると、ファイルアクセス権管理テーブルの内容を更新する。
【0028】
アクセス権比較部23は、端末3から送信された文書ファイルの保存先の変更要求を受付部24aから受け取ると、対象の文書ファイルを利用可能なユーザと、当該文書ファイルの新たな保存先となるフォルダを利用可能なユーザとを比較する。対象の文書ファイルを利用可能なユーザは、ファイルアクセス権管理テーブルから読み出され、当該文書ファイルの新たな保存先となるフォルダを利用可能なユーザは、フォルダアクセス権管理テーブルから読み出される。
【0029】
対象の文書ファイルを利用可能なユーザと、当該文書ファイルの新たな保存先となるフォルダを利用可能なユーザとが異なる場合、アクセス権比較部23は、両者の差分を表す差分情報を出力部24bに送信する。
【0030】
受付部24aは、閲覧要求、書込要求または管理要求を端末3から受付けると、当該要求をデータベース管理部22に出力する。また、受付部24aは、文書ファイルの保存フォルダの変更要求を端末3から受付けると、当該要求をデータベース管理部22とアクセス権比較部23に出力する。
【0031】
出力部24bは、端末3から送信された要求の処理結果をデータベース管理部22から受け取ると、処理結果を表す画面情報を生成し、端末3に送信する。
【0032】
また、出力部24bは、アクセス権比較部23から差分情報を受け取ると、対象の文書ファイルを利用可能なユーザを、当該文書ファイルの新たな保存先となるフォルダを利用可能なユーザに応じて変更するか否かを問い合わせるための画面情報を生成し、端末3に送信する。これにより、端末3には、問い合わせ画面が表示される。なお、こうした態様に限られず、音声による問い合わせ等であってもよい。
【0033】
なお、出力部24bは、端末3で文書ファイルの保存先の変更要求を送信する操作を行ったユーザが文書ファイルのアクセス権限を更新する権限を有していない場合、問い合わせ画面の画面情報を、当該文書ファイルの所有者など、当該文書ファイルのアクセス権限を更新する権限を有しているユーザの利用する端末3に送信する。
【0034】
以下、情報処理装置2の具体的な動作例について説明する。
【0035】
[第1の動作例]
図5は、文書ファイルの保存先の変更要求の処理前におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。フォルダと文書ファイルの間の実線は、そのフォルダに文書ファイルが格納されていることを意味する。図6A及び図6Bは、このときの文書ファイル及びフォルダBのアクセス権を表す図である。変更要求の処理前において、文書ファイルはフォルダAに格納されている。文書ファイルの閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権は、グループA及びCに属するユーザに与えられている。フォルダAのアクセス権もこれと同じである。これに対し、フォルダBの閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権は、グループB及びCに属するユーザに与えられている。
【0036】
図7は、文書ファイルの保存先の変更要求の処理後におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。文書ファイルの保存先の変更要求が処理された結果、文書ファイルはフォルダBにも格納される。すなわち、文書ファイルはフォルダBにコピーされる。このとき、文書ファイルのアクセス権と、フォルダBのアクセス権とに差異が発生するので、アクセス権を更新する権限を有しているユーザの利用する端末3の画面には、図8に示されるような、アクセス権の変更を問い合わせる問い合わせ画面が表示される。ここでは、グループBのユーザに閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権を追加するか否かが問い合わされる。このアクセス権の変更が許可されることによって、図9に示されるように、グループBのユーザに文書ファイルのアクセス権が付与される。
【0037】
具体的には、アクセス権比較部23は、対象の文書ファイルを利用可能なユーザと、当該文書ファイルの新たな保存先となるフォルダBを利用可能なユーザとを比較し、差分情報を出力部24bに送信する。本例における差分は、グループA及びBに属するユーザのアクセス権の有無である。出力部24bは、差分情報に基づいて問い合わせ画面の画面情報を生成し、端末3に送信する。文書ファイルをフォルダBへコピーする変更要求の場合、文書ファイルがフォルダAに格納されているという状況は変わらないので、問い合わせ画面は、グループBに属するユーザにアクセス権を追加するか否かを問い合わせる内容とされる。
【0038】
その後、端末3においてアクセス権の追加を許可する入力が為され、端末3から文書ファイルのアクセス権の更新要求が送信されると、ファイルアクセス権管理部22bは、グループBのユーザに文書ファイルのアクセス権を付与するように、ファイルアクセス権管理テーブルの内容を更新する。
【0039】
なお、問い合わせ画面では、アクセス権の追加を許可しない入力をすることも可能であるし、閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権を個別に設定することも可能である。また、ユーザ毎にアクセス権を設定可能としてもよい。
【0040】
以上により、グループBのユーザがフォルダBのアクセス権を有しているのに、フォルダBに格納された文書ファイルのアクセス権を有していないという事態が解消される。
【0041】
[第2の動作例]
本例では、文書ファイルの保存先の変更要求の処理前におけるフォルダと文書ファイルの関係及び各々のアクセス権は、上記第1の動作例と同じである(上記図5〜図6Bを参照)。図10は、文書ファイルの保存先の変更要求の処理後におけるフォルダと文書ファイルの関係を表す図である。本例では、文書ファイルの保存先の変更要求が処理された結果、文書ファイルはフォルダAから削除され、フォルダBに格納される。すなわち、文書ファイルはフォルダAからフォルダBに移動される。このとき、文書ファイルのアクセス権と、フォルダBのアクセス権とに差異が発生するので、アクセス権を更新する権限を有しているユーザの利用する端末3の画面には、図11に示されるような、アクセス権の変更を問い合わせる問い合わせ画面が表示される。ここでは、グループAのユーザから閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権を削除するか否か、グループBのユーザに閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権を追加するか否かが問い合わされる。このアクセス権の変更が許可されることによって、図12に示されるように、グループAのユーザから文書ファイルのアクセス権が剥奪され、グループBのユーザに文書ファイルのアクセス権が付与される。
【0042】
具体的には、アクセス権比較部23は、変更対象の文書ファイルを利用可能なユーザと、変更先のフォルダBを利用可能なユーザとを比較し、差分情報を出力部24bに送信する。本例における差分は、グループA及びBに属するユーザのアクセス権の有無である。出力部24bは、差分情報に基づいて問い合わせ画面の画面情報を生成し、アクセス権を更新する権限を有しているユーザの利用する端末3に送信する。文書ファイルの保存先の変更要求に伴い保存元のフォルダAから当該文書ファイルを削除する場合、問い合わせ画面は、グループAに属するユーザからアクセス権を削除するか否か、グループBに属するユーザにアクセス権を追加するか否かを問い合わせる内容とされる。その後、端末3においてアクセス権の削除・追加を許可する入力が為され、端末3から文書ファイルのアクセス権の更新要求が送信されると、ファイルアクセス権管理部22bは、グループAのユーザから文書ファイルのアクセス権を剥奪し、グループBのユーザに文書ファイルのアクセス権を付与するように、ファイルアクセス権管理テーブルの内容を更新する。なお、第1の動作例同様に、本動作例においても問い合わせ画面では、アクセス権の追加を許可しない入力をすることも可能であるし、閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権を個別に設定することも可能である。また、ユーザ毎にアクセス権を設定可能としてもよい。
【0043】
以上により、文書ファイルがフォルダBに移動されたのに、フォルダBのアクセス権を有していないグループAのユーザが文書ファイルのアクセス権を有しているという事態も解消される。
【0044】
[第3の動作例]
本例では、文書ファイルの保存先の変更要求の処理前におけるフォルダと文書ファイルの関係は、上記第1の動作例と同じである(上記図5を参照)。図13A及び図13Bは、このときの文書ファイル及びフォルダBのアクセス権を表す図である。文書ファイルの閲覧(R)に係るアクセス権は、グループA、B及びCに属するユーザに与えられており、文書ファイルの書込(W)に係るアクセス権は、グループA及びBに属するユーザに与えられており、文書ファイルの管理(M)に係るアクセス権は、グループAに属するユーザに与えられている。フォルダAのアクセス権もこれと同じである。これに対し、フォルダBの閲覧(R)及び書込(W)に係るアクセス権は、グループA、B及びCに属するユーザに与えられている。
【0045】
また、本例では、変更要求の処理後におけるフォルダと文書ファイルの関係も、上記第1の動作例と同じである(上記図7を参照)。変更要求が処理された結果、文書ファイルはフォルダBにコピーされる。このとき、文書ファイルのアクセス権と、フォルダBのアクセス権とに差異が発生するので、アクセス権を更新する権限を有しているユーザの利用する端末3の画面には、図14に示されるような、一部のアクセス権の変更を問い合わせる問い合わせ画面が表示される。ここでは、グループAのユーザから管理(M)に係るアクセス権を削除するか否か、グループCのユーザに書込(W)に係るアクセス権を追加するか否かが問い合わされる。このうち、前者が拒否され、後者が許可されることによって、図15に示されるように、グループAのユーザに管理(M)に係るアクセス権が残され、グループCのユーザに書込(W)に係るアクセス権が付与される。
【0046】
具体的には、アクセス権比較部23は、変更対象の文書ファイルを利用可能なユーザと、変更先のフォルダBを利用可能なユーザとを比較し、差分情報を出力部24bに送信する。本例における差分は、グループAに属するユーザの管理(M)に係るアクセス権の有無と、グループCに属するユーザの書込(W)に係るアクセス権の有無である。出力部24bは、差分情報に基づいて問い合わせ画面の画面情報を生成し、端末3に送信する。その後、端末3においてアクセス権の削除・追加を許可する入力が為され、端末3から文書ファイルのアクセス権の更新要求が送信されると、ファイルアクセス権管理部22bは、グループCのユーザに書込(W)に係るアクセス権を付与するように、ファイルアクセス権管理テーブルの内容を更新する。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。
【0048】
上記実施形態では、文書ファイルが保存される保存場所を変更する場合を例として説明したが、こうした態様に限られず、フォルダが配置される保存場所を変更する場合にも、同様の処理を適用できる。すなわち、例えばフォルダAをフォルダBの中に配置する場合、両者のアクセス権に差異が発生する場合があるので、フォルダAのアクセス権をフォルダBのアクセス権に揃えるか否かを問い合わせる画面が表示されてもよい。なお、フォルダAの中には下位のフォルダが存在する場合があるので、この場合、下位のフォルダのアクセス権まで変更するか否かを問い合わせる画面が表示されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 情報処理システム、2 情報処理装置、3 端末、21 記憶装置、22 データベース管理部、22a フォルダアクセス権管理部、22b ファイルアクセス権管理部、23 アクセス権比較部、24 インターフェース部、24a 受付部、24b 出力部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置に仮想的に設けられた各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、
各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、
前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、
前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせる問い合わせ手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記問い合わせ手段は、前記情報要素の利用権限を変更不能な利用者によって前記命令が行われた場合に、前記情報要素の利用権限を変更可能な利用者に問い合わせる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
記憶装置に仮想的に設けられた各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、
各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、
前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、
前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせる問い合わせ手段と、
としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項4】
複数の保管場所が仮想的に設けられた記憶装置と、
前記各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、
各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、
前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、
前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせるための表示情報を出力する出力手段と、
前記表示情報を表示する端末と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項1】
記憶装置に仮想的に設けられた各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、
各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、
前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、
前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせる問い合わせ手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記問い合わせ手段は、前記情報要素の利用権限を変更不能な利用者によって前記命令が行われた場合に、前記情報要素の利用権限を変更可能な利用者に問い合わせる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
記憶装置に仮想的に設けられた各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、
各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、
前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、
前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせる問い合わせ手段と、
としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項4】
複数の保管場所が仮想的に設けられた記憶装置と、
前記各々の保管場所を利用可能な利用者の情報を保持する第1の保持手段と、
各々の情報要素を利用可能な利用者の情報を保持する第2の保持手段と、
前記情報要素が配置される前記保管場所の変更の命令を受付ける受付手段と、
前記変更対象の情報要素を利用可能な利用者を、前記変更先の保管場所を利用可能な利用者に応じて変更するか否かを問い合わせるための表示情報を出力する出力手段と、
前記表示情報を表示する端末と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−59109(P2012−59109A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202918(P2010−202918)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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