説明

情報処理装置、及び情報処理装置の信号処理方法

【課題】HDMIコネクタを複数個有し、これを介して他の情報処理装置に音声信号を供給する情報処理装置において、音声信号の供給先を選択できるようにする。
【解決手段】音声信号の供給を要求し、ないし要求された先着順で特定の情報処理装置に対して音声信号を供給する。特定の種類の情報処理装置を優先機器として定め、これを優先して選択し音声信号を供給する。また、特定の種類の情報処理装置を優先機器として定め、これから音声信号の供給を要求された場合には、他の情報処理装置に対して音声信号を供給中であっても、これを中断して優先機器へ音声信号を供給する。音声信号の供給先は複数であっても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置、及び情報処理装置の信号処理方法に係り、特に複数のHDMI(High Definition Multimedia Interface)端子のいずれかを選択して外部装置へ音声信号を出力する情報処理装置、及び情報処理装置の信号処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送対応機器の普及に伴い、映像信号や音声信号を扱う機器の間のインタフェースには、HDMIコネクタを使用する機会が増加している。また、複数のHDMIコネクタを設ける機器が存在する。
特許文献1においては、「HDMIレシーバは認証処理後にソース機器から映像信号を受信する状態となるため、出画時間が遅くなる」(特許文献1[0005]参照)ことを課題とし、その解決手段として「複数のデジタル入力端子と、映像信号を受信する信号受信部と、上記複数のデジタル入力端子を上記信号受信部に選択的に接続するスイッチ部とを備え、上記信号受信部は、上記スイッチ部で選択されたデジタル入力端子に伝送路を介して接続された外部機器との間で互いに認証を行った後に、該外部機器から映像信号を受信する受信装置であって、少なくとも、上記複数のデジタル入力端子における上記外部機器の接続情報およびユーザの画像表示のための映像信号の選択情報に基づいて、周期的に、上記複数のデジタル入力端子の優先順位を判断する優先順位判断部と、上記優先順位判断部で最も優先順位が高いと判断されたデジタル入力端子が上記信号受信部に接続されるように上記スイッチ部を制御する制御部とを備えること」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−141642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まず、従来の情報処理装置で構成されるシステムについて、主に音声信号に着目しながら図面を用いて説明する。
図1は、従来の表示システムの一例を示すブロック図である。図1では、主となる情報処理装置は表示装置100である場合を例にとって示している。表示装置100は、放送受信アンテナ101が受信したテレビジョン放送の映像を表示しているとする。
【0005】
オーディオシステム102と再生装置−1(104)も、複数のHDMIコネクタを有する機器であるならば、本発明で言う情報処理装置の例であって、表示装置100の外部機器として機能している。各々は表示装置100に対して別なHDMIコネクタを介して接続されている。すなわち、図中の太い矢印で示した信号ラインは各々別なHDMIコネクタへ接続されており、映像信号や音声信号を外部機器から表示装置100へ供給している。記録装置−1(103)はオーディオシステム102のHDMIコネクタを介して、表示装置100に接続されている。
【0006】
図1の状態では表示装置100は放送受信アンテナ101で受信した放送を表示しているため、この状態では外部機器が供給する信号を表示することはしない。一方、この放送に伴う音声信号をオーディオシステム102において、より良好に聴けるようにするため、図中の細い矢印で示したように、表示装置100からオーディオシステム102へデジタル音声信号を光で送るためのインタフェースが用意されている。しかし、ユーザはこのために光ケーブルを用意してHDMIコネクタ用のケーブルとは別に接続せねばならず、使い勝手が良いとは言えなかった。
また、表示装置100が再生装置−1(104)からの映像信号を表示し、更に音声信号をオーディオシステム102へ送出する場合も同様である。
【0007】
この問題に対処するため、最近のHDMI規格ではHDMIコネクタを用いて音声信号を他の情報処理装置に送るためのARC(Audio Return Channel)の機能を設けている。これについて図2を用いて説明する。
図2は、従来の表示システムの別な一例を示すブロック図である。すなわちHDMIコネクタに、図中でARCと記した音声信号の送出チャンネルを設け、ある情報処理装置から他の情報処理装置へ音声信号を送出できるようにしている。
【0008】
図2のように、表示装置100が放送を受信し表示している時、オーディオシステム102にARCを用いてその音声信号を出力すれば、ユーザはオーディオシステム102が有するスピーカ102Aからの音声を良好な音質で聴くことができる。また例えば記録装置−1(103)が供給する音声信号を、オーディオシステム102や表示装置100を介して他の情報処理装置に供給することもできる。
【0009】
この際一つの懸念事項として、例えば再生装置−1(104)が音声再生機能を有し、供給された音声信号を処理できる場合、ARCによって音声出力するHDMIコネクタ数を制限せずに、再生装置−1(104)からARCによる音声出力を要求されたなら、そのスピーカ104Aも先のスピーカ102Aと同じ音声を発してしまう問題がある。
【0010】
この問題に対処するため、ARCにより音声信号を出力するHDMIコネクタを、複数の内のいずれか一つに決めて固定する方法がある。しかしユーザは音声信号を供給したい機器をその都度、決まったHDMIコネクタに接続し直す必要があり、使い勝手の良いシステムとはならないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明の一実施の態様は、音声信号を含む入力された情報信号を処理する情報処理装置であって、外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタと、該HDMIコネクタから供給された前記情報信号から前記音声信号を分離するための音声分離部と、該音声分離部で分離された前記音声信号が供給され該音声信号を前記複数のHDMIコネクタのうち少なくもいずれか一つを選択して供給、或いはいずれのHDMIコネクタにも前記音声信号を供給しない出力コネクタ選択部と、前記情報処理装置全体の動作を制御する制御部を有し、該制御部は、所定の事項に基づき、前記分離された音声信号を前記複数のHDMIコネクタのうち所定のHDMIコネクタから前記外部の情報処理装置に出力するよう前記出力コネクタ制御部を制御することを特徴としている。
【0012】
また本発明の一実施の態様は、映像信号と音声信号を含む入力された情報信号を処理する情報処理装置であって、外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタと、該HDMIコネクタから供給された前記情報信号から第1の映像信号と該第1の映像信号に伴う第1の音声信号を分離するための第1の映像音声分離部と、テレビジョン放送の放送信号を受信する放送受信部と、該放送受信部で受信された前記放送信号から第2の映像信号と該第2の映像信号に伴う第2の音声信号を分離するための第2の映像音声分離部と、前記第1の映像音声分離部で分離された第1の映像信号と前記第2の映像音声分離部で分離された第2の映像信号が供給されていずれか一方を選択し、前記第1の映像音声分離部で分離された第1の音声信号と前記第2の映像音声分離部で分離された第2の音声信号が供給されて、前記映像信号と同期していずれか一方を選択する入力切替部と、該入力切替部で選択された映像信号が供給され該映像信号が有する映像情報を表示する表示部と、前記入力切替部で選択された音声信号が供給され該音声信号が有する音声情報を発生するスピーカと、前記入力切替部で選択された音声信号が供給され該音声信号を前記複数のHDMIコネクタのうち少なくもいずれか一つを選択して供給、或いはいずれのHDMIコネクタにも前記音声信号を供給しない出力コネクタ選択部と、前記情報処理装置全体の動作を制御する制御部を有し、該制御部は、所定の事項に基づき、前記分離された音声信号を前記複数のHDMIコネクタのうち所定のHDMIコネクタから前記外部の情報処理装置に出力するよう前記出力コネクタ制御部を制御することを特徴としている。
【0013】
また本発明の一実施の態様は、音声信号を含む入力された情報信号を処理し、外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタを有する情報処理装置の信号処理方法であって、前記HDMIコネクタに接続された外部の情報処理装置に特定の種類の機器が存在するか否かを判定するための接続機器判定ステップと、該接続機器判定ステップでの判定の結果、前記特定の種類の機器が接続されていると判定された場合には、既に任意の機器数の前記外部の情報処理装置に対し前記入力された音声信号を出力しているか否かを判定する信号出力判定ステップを有し、該信号出力判定ステップでの判定の結果、任意の機器数の前記外部の情報処理装置に対しても前記音声信号を出力していないと判定された場合には、前記特定の種類の機器である外部の情報処理装置に対して、前記音声信号を出力することを特徴としている。
【0014】
また本発明の一実施の態様は、音声信号を含む入力された情報信号を処理し、外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタを有する情報処理装置の信号処理方法であって、前記複数のHDMIコネクタに接続された外部の情報処理装置に前記入力された音声信号を優先的に供給する優先機器が存在するか否かを判定するための接続機器判定ステップと、該接続機器判定ステップでの判定の結果、前記優先機器が接続されていると判定された場合には、既に任意の機器数の他の外部の情報処理装置に対し前記入力された音声信号を出力しているか否かを判定する信号出力判定ステップを有し、該信号出力判定ステップでの判定の結果、任意の機器数の他の外部の情報処理装置に対し前記入力された音声信号を出力していないと判定された場合には、前記優先機器である外部の情報処理装置に対して前記音声信号を出力し、任意の機器数の他の外部の情報処理装置に対し前記入力された音声信号を出力していると判定された場合には、前記任意の機器数の他の外部の情報処理装置に対する音声信号の出力を中止して前記優先機器である外部の情報処理装置に対して前記音声信号を出力することを特徴としている。
【0015】
また本発明の一実施の態様は、音声信号を含む入力された情報信号を処理し、外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタを有する情報処理装置の信号処理方法であって、前記入力された音声信号を出力するよう前記外部の情報処理装置が送信した要求を受信する受信ステップと、該受信ステップで前記要求を受信した場合には、既に任意の機器数の他の情報処理装置に前記音声信号を出力しているか否かを判定する出力判定ステップを有し、該出力判定ステップでの判定の結果、既に任意の機器数の情報処理装置に前記音声信号を出力していると判定された場合には、前記外部の情報処理装置が送信した要求を拒否することを特徴としている。
【0016】
また本発明の一実施の態様は、音声信号を含む入力された情報信号を処理し、外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタを有する情報処理装置の信号処理方法であって、前記外部の情報処理装置には前記情報処理装置が前記入力された音声信号を優先的に供給する優先機器が定められており、前記入力された音声信号を出力するよう前記外部の情報処理装置が送信した要求を受信する受信ステップと、該受信ステップで前記要求を受信した場合には、既に任意の機器数の他の情報処理装置に前記音声信号を出力しているか否かを判定する出力判定ステップと、該出力判定ステップでの判定の結果、既に任意の機器数の他の情報処理装置に前記音声信号を出力している場合には、前記要求は前記優先機器から受信したか否かを判定する要求判定ステップを有し、該要求判定ステップでの判定の結果、前記要求は前記優先機器から受信したと判定された場合には、前記任意の機器数の他の情報処理装置への前記音声信号の供給を中止し、前記優先機器である情報処理装置に対して前記音声信号の供給することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数のHDMIコネクタから任意の機器数を選択して外部装置へ音声信号を出力する情報処理装置、及び情報処理装置の信号処理方法を提供でき、ユーザの使い勝手を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来の表示システムの一例を示すブロック図である。
【図2】従来の表示システムの別な一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例における表示システムのブロック図である。
【図4】本発明の一実施例における情報処理装置のブロック図である。
【図5】本発明の一実施例における表示装置のOSD表示を示す図である。
【図6】本発明の一実施例における表示装置の別なOSD表示を示す図である。
【図7】本発明の実施例における音声出力処理の第1のフローチャートである。
【図8】本発明の実施例における音声出力処理の第2のフローチャートである。
【図9】本発明の実施例における音声出力処理の第3のフローチャートである。
【図10】本発明の一実施例におけるOSD表示処理のフローチャートである。
【図11】本発明の実施例における音声出力処理の第4のフローチャートである。
【図12】本発明の実施例における音声出力処理の第5のフローチャートである。
【図13】本発明の実施例における音声出力処理の第6のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について図を参照しながら説明する。
図3は、本発明の一実施例における表示システムのブロック図である。前記した従来の場合と比較して本発明の実施例においては、ARCにより音声信号を出力するHDMIコネクタを固定することなく選択できるようにする。もちろん音声信号が不要な場合は、全てのHDMIコネクタから出力しないようにすることもできる。音声信号が必要な一つないし複数のHDMIコネクタから出力することもできる。これにより、図3に示すように前記したような場合においても、スピーカ102Aのみが音声を発生し、スピーカ104Aは音声を発生しないようにすることができる。
【0020】
図4は、本発明の一実施例における情報処理装置のブロック図である。図4を用いて、情報処理装置が表示装置40である場合を例にとって、全体の動作を説明する。
先の図3の放送受信アンテナ101で受信された放送電波信号は放送受信部402に供給され、ユーザが希望するチャンネルの放送信号が抽出されて所定の周波数帯域に周波数変換されたうえ、信号処理部403に供給される。
【0021】
信号処理部403において、まず放送信号は放送局側で伝送のために施された変調処理を解除するべく復調される。デジタル放送の場合は一つの放送チャンネルに複数のコンテンツが時分割多重されることが多いが、信号処理部403はさらに、ユーザが希望する一つのコンテンツを選択するデマルチプレクサ処理等、所定の処理を行う。信号処理部403の出力信号は映像・音声分離部404に供給され、映像信号と音声信号に分離されたうえで入力切替部407に供給される。なお図4では、映像・音声分離部404と入力切替部407の間は、図面の煩雑化を避けるために一つの矢印で示しているが、実際には映像信号と音声信号が分離された状態で伝送されている。
【0022】
次に外部機器との信号の授受に関して説明する。
表示装置40は複数個(N個)のHDMIコネクタ1〜N(4011〜401N)を有しており、各コネクタは各々情報処理装置である外部機器1〜N(41〜4N)が有するHDMIコネクタ(図示せず)とHDMIケーブルを介して接続されている。外部機器1〜Nとは前記したようにDVDレコーダのような記録装置であっても良く、DVDプレイヤのような再生装置であっても良く、スピーカを駆動するオーディオシステムであっても良い。もちろんこれらが混在しても良いし、いずれかのHDMIコネクタには外部機器が接続されていないような使い方であっても良い。図3でも示したようにいずれかの外部機器を介して、さらに別な外部機器が接続されていても良い。表示装置40が有するHDMIコネクタは複数であれば良く、例えば図3のように2個であっても良い。
【0023】
CEC(Consumer Electronics Control)制御部416は、HDMIコネクタ1〜N(4011〜401N)を介して、外部機器1〜N(41〜4N)に対し、HDMI規格に基づく外部機器に対する双方向制御を行う。
CEC制御部416は、例えば制御部414からの指示に従いHDMIコネクタ1〜N(4011〜401N)を介して、外部装置1〜N(41〜4N)のARC認証を行い、HDMI規格に準拠したARC対応外部装置であるかを判定する。ARCによって音声出力を行う場合は、ARC認証を規格上必ず行うことが義務付けられている。なおARC認証そのものについては本発明の主眼でないので、詳しい説明を省略する。
【0024】
ユーザが、記録装置や再生装置のような外部機器から供給される映像コンテンツを鑑賞する場合には、まずユーザが何れの外部機器から供給される信号を希望するかを、例えばリモコン(図示せず)から制御部414に対し指示を行う。制御部414はHDMI_SW415へ送信する。HDMI_SW415は前記の指示に基づき、HDMIコネクタ4011〜401Nから、ユーザが希望する外部機器から供給された情報信号をHDMI受信部405へ供給するようにする。
【0025】
外部機器1〜N(4011〜401N)のいずれかから入力され、HDMI受信部405に供給された情報信号は所定の処理が行われ、さらに映像・音声分離部406に入力され、映像信号と音声信号が分離されて入力切替部407に供給される。なお、ここでも映像・音声分離部406と入力切替部407との間は一つの矢印で示しているが、実際には映像信号と音声信号が分離された状態で伝送されている。
【0026】
制御部414は、前記と同様にユーザの例えばリモコンからの指示に基づき、入力切替部407を制御する。入力切替部407は、映像・音声分離部404または406から供給され信号のうち、ユーザが希望する方の信号を選択する。選択された映像信号(図中のV)は、映像処理部408で所定の映像処理を行い、表示装置40が有する表示部409に映像を表示する。
【0027】
入力切替部407で選択された音声信号(図中のA)は、音声処理部410で所定の音声処理を行い、表示装置40が有するスピーカ411から音声を発生する。
また、入力切替部407で選択された音声信号(図中のA)は出力コネクタ選択部(ARC制御部とも呼ぶ)413にも供給される。出力コネクタ選択部413は制御部407からの指示に基づき、HDMIコネクタ4011〜401Nのうちの一つ、ないし複数、ないし全てに対して前記の音声信号を供給し、先に図3で示したようにARCにより外部機器へ音声信号を出力する。或いは、出力コネクタ選択部413は制御部407からの指示に基づき、いずれのHDMIコネクタ4011〜401Nにも前記の音声信号を供給しない。
【0028】
制御部414は、出力コネクタ選択部413に対してARCによる音声信号の出力先を指示する際、次のようにして出力先を定める。まず、ある外部機器に対してARCによる音声信号の出力を既に行っていれば、これを維持する方法がある。また、制御部414が例えばオーディオシステムを出力先として優先的に定めるようにする方法がある。
さらには、ユーザが出力先となる外部機器の種類を、例えばリモコンから制御部414に対して指定する方法がある。一方、表示装置40に対して音声信号を供給した外部機器や、DVDプレイヤのように再生機能に特化した外部装置に音声信号を戻すのは意味が乏しい。また前記したように複数の音声再生機能を有する機器のスピーカが音声を発するのは、多くの場合望ましくない。前記したユーザからの指定に加え、これらの事項を考慮して、制御部414は出力コネクタ選択部413に対する制御を行うと良い。
【0029】
さらに制御部414は、OSD(On Screen Display)回路412を制御して表示部409に対して、例えば外部機器の接続状況をユーザに知らせるためのOSD表示を行う。これについては、次に具体的な表示画像の例を示して詳しく説明する。
制御部414、CEC制御部416と出力コネクタ選択部413に関しては、別なブロックとして示したが、これに限定するものではない。いずれも他のブロックを制御する点では共通しているので、例えば同じブロックとし半導体デバイス上で同じ半導体チップに組入れられて良い。また、このほかの信号処理ブロックも含め、最近のDSP(Digital Signal Processor)のようなデバイス上で1チップ化されていても良い。
【0030】
次に図5と図6を用いて、OSD回路412が表示部409に表示するOSD表示の例を説明する。周知のとおりOSD表示には、画面の一部を使って音声出力量や受信中の放送チャンネルを表示し、また画面の全体を使ってEPG(Electronic Program Guide)による各チャンネルの放送予定表を表示する例がある。これらのOSD画面もOSD回路412で生成される。ここでは、本発明の実施例におけるHDMIコネクタのARC機能に関わるOSD表示について説明する。
【0031】
図5は、本発明の一実施例における表示装置40のOSD表示を示す図である。表示部501(図4の409に相当する)には、放送ないし外部機器からの映像コンテンツが表示されている。また例えば図面の右上部分には、いずれかのHDMIコネクタに対してARCによる音声信号の出力が行われていることを示すOSD表示502が表示されている。
図6は、本発明の一実施例における表示装置の別なOSD表示を示す図である。表示部601(図4の409に相当する)には、放送ないし外部機器からの映像コンテンツが表示されている。また例えば図面の左下部分には、CECリンクメニューと称して外部機器との接続状況を示すOSD表示602が表示されている。
【0032】
図示した例では、HDMIコネクタ1(4011)には例えばDVDプレイヤのような再生装置−1が、HDMIコネクタ2(4012)にはオーディオアンプやスピーカを備えるオーディオシステムが、直接接続されていることを示す。さらに前記オーディオシステムのHDMIコネクタを経由して、例えばDVDレコーダのような記録装置−1が接続されていることを示す。すなわち、記録装置−1は、図4の表示装置40のHDMIコネクタ1〜N(4011〜401N)に直接接続されたものではないが、前記オーディオシステムのHDMIコネクタを介して信号の授受ができるようになっている。さらに、HDMIコネクタ2(4012)に接続されたオーディオシステムに対して、ARCによる音声信号の出力が行われていることを表示している。
なお前記したARC認証は、情報処理装置のHDMIコネクタに直接接続された外部機器に対してのみ行う決まりになっている。前記した記録装置−1に対しては、HDMIコネクタ2(4012)に直接接続されたオーディオシステムがARC認証を行う。
【0033】
なお、図5と図6を用いてOSD回路412が表示部409に表示するOSD表示の例を説明したが、情報処理装置が表示部を持たない場合には、OSD情報を映像信号に重畳させてもよい。
【0034】
次に、図7〜図9に基づき、情報処理装置がARCにより音声信号を出力する際の出力先である外部機器を選択する方法について説明する。以下では一例として、ARCにより音声信号を出力する機器が、表示装置40である場合を例にとって説明する。もちろん他の情報処理装置であっても同様の動作を行うことができ、本発明の範疇にある。
【0035】
図7は、本発明の実施例における音声出力処理の第1のフローチャートである。図7はARCによる音声信号の出力先を、先着順で決める場合を示している。
ステップS701で、表示装置40のCEC制御部416は、接続された外部装置のなかに特定の機器が存在するか否かを判定する。
【0036】
図中のL.Aとは論理アドレスを指し、具体的には情報処理装置の種類を示している。前記したようなオーディオシステム、記録装置などの種類に応じて固有のコードが規定されている。図中の特定の機器とは、ユーザが指定するいずれか一つの種類の情報処理装置を意味している。前記したようにARCにより音声信号を供給する意味のない外部機器は、指定できないようにしても良い。または、製造者が予め一つの種類の情報処理装置を固定しても良い。図中のP.Aとは物理アドレスを指し、HDMIコネクタに対して接続された状況に応じて決められるものである。例えばHDMIコネクタ1(4011)に直接接続された外部機器には、[1,0,0,0]の物理アドレスが与えられ、さらにこれを介して接続された外部機器には、[1,1,0,0]などの物理アドレスが与えられる。
【0037】
ステップS701での判定の結果、該当する情報処理装置が接続された外部装置のなかに存在しないと判定された場合には(図中のN)、ユーザが期待するARCによる音声の出力はできないので、そのままフローを終了する。該当する情報処理装置が接続された外部装置のなかに存在すると判定された場合には(図中のY)、ステップS702で制御部414は、表示装置40が既にいずれかの情報処理装置に対してARCにより音声信号を出力しているか否かを判定する。
【0038】
ステップS702での判定の結果、表示装置40が既にいずれかの情報処理装置に対してARCにより音声信号を出力していると判定された場合には(図中のY)、そのままフローを終了する。すなわち、図7のフローチャートにおいては、音声信号の出力先は先着順で決定される。
ステップS702での判定の結果、表示装置40がいずれの情報処理装置に対してもARCによる音声信号を出力していないと判定された場合には(図中のN)、ステップS703でCEC制御部416は、前記した論理アドレスに該当する情報処理装置が接続されたHDMIコネクタm(1≦m≦N)を介して、表示装置40に直接接続された情報処理装置、すなわち物理アドレス[m,0,0,0]に対して、ARCを始めることを提案する第1のコマンド(図示のRequest ARC Initiation)を送る。該当する情報処理装置が前記したように表示装置40に直接接続された情報処理装置を介して接続されている場合にも、表示装置40に直接接続された情報処理装置、すなわち物理アドレス[m,0,0,0]に対して、ARCを始めることを提案する第1のコマンド(図示のRequest ARC Initiation)を送る。
【0039】
ARCの規定では、前記第1のコマンドを受信した情報処理装置は、表示装置40による前記提案を受入れる場合には、音声信号の送出を始めるよう指示する第2のコマンド(ステップS704内のInitiate ARC)を表示装置40に送ることになっている。ステップS704でCEC制御部416は、表示装置40が物理アドレス[m,0,0,0]の情報処理装置から前記第2のコマンドを受信したか否かを判定する。
【0040】
ステップS704での判定の結果、前記第2のコマンドを受信しない場合には(図中のN)、ユーザが期待するARCによる音声の出力はできないので、そのままフローを終了する。
ステップS704での判定の結果、前記第2のコマンドを受信した場合には(図中のY)、ステップS705でCEC制御部416は、表示装置40が物理アドレス[m,0,0,0]の情報処理装置に対して、ARCによる音声信号の出力を開始することを知らせる第3のコマンド(図示のReport ARC Initiated)を送る。
【0041】
次いでステップS706では、出力コネクタ選択部413は、入力切替部407から供給された音声信号をHDMIコネクタ1〜N(4011〜401N)のうち、m番目のHDMIコネクタに供給してARCによる音声信号の送出を行い、フローを終了する。
なお、ステップS706の後ろ(図中のσ)において前記したOSD表示のステップを置いても良い。これは以下に説明する他のフローチャートでも同様である。これについて図10を用いて説明する。
【0042】
図10は、本発明の一実施例におけるOSD表示処理のフローチャートである。先のステップS706においてARCによる音声信号の送出を開始した後、ステップS1001ではOSD回路412は制御部414の指示に基づき、先に図5や図6で示したようなOSD表示を表示部409に表示する。これによりユーザは、表示装置40の動作状況を確認することができる。
なお、先の図7において、ステップS701とS702は逆の順番であっても良いし、ステップS702を、例えば2台以上の機器にARC出力しているか、といった判定条件にすることで、任意の機器数までARCによる音声出力をすることもできる。
【0043】
次に前記した動作フローとは別な例を説明する。
図8は、本発明の実施例における音声出力処理の第2のフローチャートである。図8では図7とは異なり、ARCによる音声信号の出力先として、特定の種類の機器を優先する場合、例えばオーディオシステムを優先機器とする場合を示している。優先機器については、表示装置40の制御部414に装置の製造者が特定の情報処理装置を優先機器としてプリセットしても良いし、またユーザが指定できるようにしても良い。ユーザが優先機器を指定する場合には、前記したようにARCにより音声信号を供給する意味のない外部機器は、指定できないようにしても良い。
【0044】
ステップS801では、論理アドレスとしては前記優先機器に与えられた固有のコードが指定されている。すなわちCEC制御部416は、論理アドレスで指定される優先機器が、接続された外部装置のなかに存在するか否かを判定する。
ステップS801での判定の結果、該当する情報処理装置が接続された外部装置のなかに存在しないと判定された場合には(図中のN)、期待するARCによる音声の出力はできないので、そのままフローを終了する。該当する情報処理装置が接続された外部装置のなかに存在すると判定された場合には(図中のY)、ステップS802でCEC制御部416は、表示装置40が既に前記優先機器に対してARCにより音声信号を出力しているか否かを判定する。
【0045】
ステップS802での判定の結果、表示装置40が既に前記優先機器に対してARCによる音声信号を出力していると判定された場合には(図中のY)、音声信号の出力先を変更する必要はないので、そのままフローを終了する。
ステップS802での判定の結果、表示装置40が前記優先機器に対してARCによる音声信号を出力していないと判定された場合には(図中のN)、ステップS803に到る。ここで前記した優先機器は物理アドレスが[m,0,0,0]であるか、或いは物理アドレス[m,0,0,0]の情報処理装置を介して表示装置40に接続されているものとする。ステップS803でCEC制御部416は、HDMIコネクタm(1≦m≦N)を介して、表示装置40に直接接続された情報処理装置、すなわち物理アドレス[m,0,0,0]に対して、ARCを始めることを提案する第1のコマンド(図示のRequest ARC Initiation)を送る。優先機器が前記したように表示装置40に直接接続された情報処理装置を介して接続されている場合にも、表示装置40に直接接続された情報処理装置、すなわち物理アドレス[m,0,0,0]に対して、ARCを始めることを提案する第1のコマンド(図示のRequest ARC Initiation)を送る。
【0046】
ARCの規定では、前記第1のコマンドを受信した優先機器は、表示装置40による前記提案を受入れる場合には、音声信号の送出を始めるよう指示する第2のコマンド(ステップS804内のInitiate ARC)を表示装置40に送ることになっている。ステップS804でCEC制御部416は、表示装置40が物理アドレス[m,0,0,0]の情報処理装置から前記第2のコマンドを受信したか否かを判定する。
【0047】
ステップS804での判定の結果、前記第2のコマンドを受信しない場合には(図中のN)、期待するARCによる音声の出力はできないので、そのままフローを終了する。
ステップS804での判定の結果、前記第2のコマンドを受信した場合には(図中のY)、ステップS805でCEC制御部416は、表示装置40がいずれかの情報処理装置に対してARCにより音声信号を既に出力しているか否かを判定する。
【0048】
ステップS805での判定の結果、表示装置40がいずれの情報処理装置に対してもARCにより音声信号出力していないと判定された場合には(図中のN)、ステップS812でCEC制御部416は、物理アドレス[m,0,0,0]の情報処理装置に対して、ARCによる音声信号の出力を開始することを知らせる第3のコマンド(図示のReport ARC Initiated)を送る。
【0049】
先のステップS805での判定の結果、表示装置40がいずれかの情報処理装置に対してARCにより音声信号を出力していると判定された場合には(図中のY)、以下のようにその音声出力の供給を中止するステップを実行したうえで、前記情報処理装置に対して音声出力を開始するステップを実行する。
まずステップS806でCEC制御部416は、物理アドレス[m,0,0,0]の情報処理装置に対して、拒否コマンド(図示のFeature Abort)を送る。
【0050】
次にステップS807でCEC制御部416は、ARCによる音声信号の出力先である情報処理装置に対して、ARCを止めることを提案する第4のコマンド(図示のRequest ARC Termination)を送る。
ARCの規定では、前記第4のコマンドを受信した情報処理装置は、表示装置40による前記提案を受入れる場合には、音声信号の送出を止めるよう指示する第5のコマンド(ステップS808内のTerminate ARC)を表示装置40に送ることになっている。ステップS808でCEC制御部416は、表示装置40が前記情報処理装置から前記第5のコマンドを受信したか否かを判定する。
【0051】
ステップS808での判定の結果、前記第5のコマンドを受信しない場合には(図中のN)、期待するARCによる音声の出力はできないので、そのままフローを終了する。
ステップS808での判定の結果、前記第5のコマンドを受信した場合には(図中のY)、ステップS809でCEC制御部416は、前記情報処理装置に対してARCによる音声信号の出力を終了することを知らせる第6のコマンド(図示のReport ARC Terminated)を送り、前記情報処理装置への音声信号の出力を終了する。
【0052】
さらにステップS810でCEC制御部416は、先のステップS803と同様に、HDMIコネクタm(1≦m≦N)を介して、表示装置40に直接接続された情報処理装置、すなわち物理アドレス[m,0,0,0]に対して、ARCを始めることを提案する第1のコマンド(図示のRequest ARC Initiation)を送る。優先機器が前記したように表示装置40に直接接続された情報処理装置を介して接続されている場合にも、表示装置40に直接接続された情報処理装置、すなわち物理アドレス[m,0,0,0]に対して、ARCを始めることを提案する第1のコマンド(図示のRequest ARC Initiation)を送る。
【0053】
次に、ステップS811でCEC制御部416は、先のステップS804と同様に、表示装置40が物理アドレス[m,0,0,0]の情報処理装置から前記第2のコマンド(図示のInitiate ARC)を受信したか否かを判定する。
ステップS811での判定の結果、前記第2のコマンドを受信しない場合には(図中のN)、期待するARCによる音声の出力はできないので、そのままフローを終了する。
【0054】
ステップS811での判定の結果、前記第2のコマンドを受信した場合には(図中のY)、ステップS812でCEC制御部416は、表示装置40が物理アドレス[m,0,0,0]の情報処理装置に対して、ARCによる音声信号の出力を開始することを知らせる第3のコマンド(図示のReport ARC Initiated)を送る。
【0055】
先にステップS805で、表示装置40がいずれの情報処理装置に対してもARCによる音声信号を出力していない(図示のN)と判定されて、ステップS812に到った場合も含め、次にステップS813では、出力コネクタ選択部413は、入力切替部407から供給された音声信号をHDMIコネクタ1〜N(4011〜401N)のうち、m番目のHDMIコネクタに供給してARCによる音声信号の送出を行い、フローを終了する。
なお、図8においては、ステップS808での判定の結果、前記第5のコマンドを受信しない場合に、強制的にARCによる音声信号の出力を止め、ステップS810へ進むフローチャートとしても良いし、ステップS805を、例えば2台以上の機器にARC出力しているか、といった判定条件にし、ステップS807〜S809におけるARCによる音声出力を停止する外部機器を選択する処理を挿入することで、任意の機器数までARCによる音声出力をすることもできる。
【0056】
次に図8とは若干異なる動作フローの例を説明する。
図9は、本発明の実施例における音声出力処理の第3のフローチャートである。図9では図8と同様に、ARCによる音声信号の出力先として、例えばオーディオシステムを優先機器として指定する場合を示している。しかし、図8のステップS806が存在せず、代わりにステップS901が追加されている点が異なる。
【0057】
先の図8ではステップS803とS810は同様のステップであり、ステップS804とS811も同様のステップである。図8のステップS805において、表示装置40がいずれかの情報処理装置に対してARCにより音声信号を出力していると判定された場合には(図中のY)、同様のステップが二度行われることとなる。
【0058】
CEC規格において情報処理装置は、コマンドの応答について、特定の場合を除き1秒以内に応答することが求められている。そこで図9では図8とは異なりステップS901を設け、ステップS809で他の情報処理装置への音声信号の送出を止めた後、前記第2のコマンドを受信してから1秒以上経過しているか否かを、CEC制御部416が判定している。ステップS901での判定の結果、1秒以上経過している場合には(図中のY)、図8と同様にステップS810で第1のコマンドの送信を行う。1秒以上経過していない場合には(図中のN)、直ちにステップS812に進んで前記第3のコマンドの送信を行い、処理ステップを低減して動作速度を速めるようにする。
なお、図9においてもステップS808での判定の結果、前記第5のコマンドを受信しない場合に、強制的にARCによる音声信号の出力を止め、ステップS901へ進むフローチャートとしても良いし、ステップS805を、例えば2台以上の機器にARC出力しているか、といった判定条件にし、ステップS807〜S809におけるARCによる音声出力を停止する外部機器を選択する処理を挿入することで、任意の機器数までARCによる音声出力をすることもできる。
【0059】
次に、図11〜図13に基づき、情報処理装置が外部装置からARCにより音声信号を供給するように要求された際の動作について説明する。以下では一例として、ARCによる音声信号を供給するように要求された側の情報処理装置が表示装置40である場合を例にとって説明する。もちろん、他の情報処理装置であっても同様の動作を行うことができ、本発明の範疇にある。
【0060】
図11は、本発明の実施例における音声出力処理の第4のフローチャートである。図11はARCによる音声信号の供給先を、先着順で決める場合を示している。
ステップS1101で制御部414は、表示装置40が既にいずれかの情報処理装置に対してARCにより音声信号を出力しているか否かを判定する。
【0061】
ステップS1101での判定の結果、表示装置40が既にいずれかの情報処理装置に対してARCにより音声信号の出力をしていると判定された場合には(図中のY)、ステップS1104で、先の図8のステップS806と同様に、拒否コマンド(図示のFeature Abort)を音声信号の供給を要求した情報処理装置に対して送り、そのままフローを終了する。すなわち、図11のフローチャートにおいては、ARCによる音声信号の供給先は先着順で決定される。
【0062】
ステップS1101での判定の結果、表示装置40がいずれの情報処理装置に対してもARCによる音声信号の出力をしていないと判定された場合には(図中のN)、ステップS1102でCEC制御部416は、音声信号の供給を要求した情報処理装置に対して、ARCによる音声信号の出力を開始することを知らせる第3のコマンド(図示のReport ARC Initiated)を送る。なお図7や図8の場合とは異なり、図11では前記第3のコマンドに先行する第1及び第2のコマンドは示されない。前記したとおり図11は、情報処理装置が外部装置からARCにより音声信号を供給するように要求された場合を示しており、前記第1のコマンドは存在しない。また前記要求が表示装置40に対する前記第2のコマンドである。
【0063】
次いでステップS1103では、出力コネクタ選択部413は、入力切替部407から供給された音声信号をHDMIコネクタ1〜N(4011〜401N)のうち、音声信号の供給を要求した情報処理装置が接続されたHDMIコネクタに供給してARCによる音声信号の送出を行い、フローを終了する。
なお、先の図11において、ステップS1101を、例えば2台以上の機器にARC出力しているか、といった判定条件にすることで、任意の機器数までARCによる音声出力をすることもできる。
【0064】
次に前記した動作フローとは別な例を説明する。
図12は、本発明の実施例における音声出力処理の第5のフローチャートである。図12では図11とは異なり、ARCによる音声信号の出力先として、特定の種類の機器を優先する場合、例えばオーディオシステムを優先機器とする場合を示している。優先機器については、表示装置40の制御部414に装置の製造者が特定の情報処理装置をプリセットしても良いし、またユーザが指定できるようにしても良い。ユーザが優先機器を指定する場合には、前記したようにARCにより音声信号を供給する意味のない外部機器は、指定できないようにしても良い。
【0065】
ステップS1201で制御部414は、表示装置40が既にいずれかの情報処理装置に対してARCにより音声信号を出力しているか否かを判定する。
ステップS1201での判定の結果、表示装置40がいずれの情報処理装置に対してもARCによる音声信号を出力していないと判定された場合には(図中のN)、前記した音声信号の供給に対応できるので、ステップS1201でCEC制御部416は、音声信号の供給を要求した情報処理装置に対して、ARCによる音声信号の出力を開始することを知らせる第3のコマンド(図示のReport ARC Initiated)を送る。
【0066】
ステップS1201での判定の結果、表示装置40が既にいずれかの情報処理装置に対してARCにより音声信号を出力していると判定された場合には(図中のY)、ステップS1202でCEC制御部416は、前記した第2のコマンド(図示のInitiate ARC)は優先機器の接続されたルート、即ち優先機器が直接接続されたHDMIコネクタ、ないし優先機器が他の情報処理装置を介して接続されたHDMIコネクタから受信されたかを判定する。
ステップS1202での判定の結果、第2のコマンドは優先機器の接続されたルートから受信されていないと判定された場合には(図中のN)、次のようにする。すなわち、他の情報処理装置にARCにより音声信号を出力している際には、優先機器以外の情報処理装置に切替えて音声信号を出力することはしないので、ステップS1209でCEC制御部416は、音声信号の供給を要求した情報処理装置に対して、拒否コマンド(図示のFeature Abort)を送り、そのままフローを終了する。
【0067】
ステップS1202での判定の結果、第2のコマンドは優先機器の接続されたルートから受信されたと判定された場合には(図中のY)、ステップS1203でCEC制御部416は、拒否コマンド(図示のFeature Abort)を送る。
【0068】
次にステップS1204でCEC制御部416は、これまでARCにより音声信号を供給していた情報処理装置に対して、ARCを止めることを提案する第4のコマンド(図示のRequest ARC Termination)を送る。
ARCの規定では、前記第4のコマンドを受信した情報処理装置は、表示装置40による前記提案を受入れる場合には、音声信号の送出を止めるよう指示する第5のコマンド(ステップS1205内のTerminate ARC)を表示装置40に送ることになっている。ステップS1205でCEC制御部416は、表示装置40が前記情報処理装置から前記第5のコマンドを受信したか否かを判定する。
【0069】
ステップS1205での判定の結果、前記第5のコマンドを受信しない場合には(図中のN)、期待するARCによる音声の出力はできないので、そのままフローを終了する。
ステップS1205での判定の結果、前記第5のコマンドを受信した場合には(図中のY)、ステップS1206でCEC制御部416は、前記情報処理装置に対してARCによる音声信号の出力を終了することを知らせる第6のコマンド(図示のReport ARC Terminated)を送り、前記情報処理装置への音声信号の出力を終了する。
【0070】
さらにステップS1207でCEC制御部416は、前記したARCによる音声信号の供給を要求した優先機器が接続されたルート、即ち優先機器が接続されたルートで表示装置40と直接接続されている情報処理装置に対して、ARCを始めることを提案する第1のコマンド(図示のRequest ARC Initiation)を送る。
【0071】
次に、ステップS1208でCEC制御部416は、前記したARCによる音声信号の供給を要求した優先機器が接続されたルートから前記第2のコマンド(図示のInitiate ARC)を受信したか否かを判定する。
ステップS1208での判定の結果、前記第2のコマンドを受信しない場合には(図中のN)、期待するARCによる音声の出力はできないので、そのままフローを終了する。
【0072】
ステップS1208での判定の結果、前記第2のコマンドを受信した場合には(図中のY)、ステップS1210でCEC制御部416は、音声信号の供給を要求した優先機器ルートに対して、ARCによる音声信号の出力を開始することを知らせる第3のコマンド(図示のReport ARC Initiated)を送る。
【0073】
先にステップS1201で、表示装置40がいずれの情報処理装置に対してもARCによる音声信号を出力していない(図中のN)と判定され、ステップS1210に到った場合も含め、次にステップS1211では、出力コネクタ選択部413は入力切替部407から供給された音声信号を、前記した優先機器ルートが接続されたHDMIコネクタに供給してARCによる音声信号の送出を行い、フローを終了する。
【0074】
すなわち、図12のフローチャートにおいては、他の情報処理装置に対してARCにより音声信号を出力している際には(ステップS1201のY)、優先機器である情報処理装置から要求があった場合のみ、出力コネクタ選択部413は優先機器ルートに出力先を切替えて音声信号を供給する。
【0075】
なお、図12においてステップS1205での判定の結果、前記第5のコマンドを受信しない場合に、強制的にARCによる音声信号の出力を止め、ステップS1207へ進むフローチャートとしても良いし、ステップS1201を、例えば2台以上の機器にARC出力しているか、といった判定条件にし、ステップS1204〜S1206におけるARCによる音声出力を停止する外部機器を選択する処理を挿入することで、任意の機器数までARCによる音声出力をすることもできる。
【0076】
次に図12とは若干異なる動作フローの例を説明する。
図13は、本発明の実施例における音声出力処理の第6のフローチャートである。図13では図12と同様に、ARCによる音声信号の出力先として、例えばオーディオシステムを優先機器として指定する場合を示している。しかし、図12のステップS1203が存在せず、代わりにステップS1301が追加されている点が異なる。即ち、前記した図8と図9の違いと同様な違いがある。
【0077】
図13では図12とは異なりステップS1301を設け、ステップS1206で他の情報処理装置への音声信号の送出を止めた後、前記第2のコマンドを受信してから1秒以上経過しているか否かを、CEC制御部416が判定している。ステップS1301での判定の結果、1秒以上経過している場合には(図中のY)、図12と同様にステップS1207で第1のコマンドの送信を行う。1秒以上経過していない場合には(図中のN)、直ちにステップS1210に進んで前記第3のコマンドの送信を行い、処理ステップを低減して動作速度を速めるようにする。
なお、図13においてもステップS1205での判定の結果、前記第5のコマンドを受信しない場合に、強制的にARCによる音声信号の出力を止め、ステップS1301へ進むフローチャートとしても良いし、ステップS1201を、例えば2台以上の機器にARC出力しているか、といった判定条件にし、ステップS1204〜S1206におけるARCによる音声出力を停止する外部機器を選択する処理を挿入することで、任意の機器数までARCによる音声出力をすることもできる。
【0078】
ここまで示した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。例えば図4に示した表示装置40のブロック図は一例であって、いくつかの変形例が考えられる。また表示装置以外の情報処理装置では、異なるブロック図となることは言うまでもない。このほかにも本発明の趣旨に基づきながら異なる実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0079】
40,100:表示装置、101:放送受信アンテナ、102,201:オーディオシステム、41〜4N:外部機器、401:通信部、4011〜401N:HDMIコネクタ、407:入力切替部、409,501,601:表示部、412:OSD回路、413:出力コネクタ選択部、414:制御部、416:CEC制御部、502,602:OSD表示。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号を含む入力された情報信号を処理する情報処理装置であって、
外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタと、
該HDMIコネクタから供給された前記情報信号から前記音声信号を分離するための音声分離部と、
該音声分離部で分離された前記音声信号が供給され該音声信号を前記複数のHDMIコネクタのうち少なくもいずれか一つを選択して供給、或いはいずれのHDMIコネクタにも前記音声信号を供給しない出力コネクタ選択部と、
前記情報処理装置全体の動作を制御する制御部を有し、
該制御部は、
所定の事項に基づき、前記分離された音声信号を前記複数のHDMIコネクタのうち所定のHDMIコネクタから前記外部の情報処理装置に出力するよう前記出力コネクタ制御部を制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
映像信号と音声信号を含む入力された情報信号を処理する情報処理装置であって、
外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタと、
該HDMIコネクタから供給された前記情報信号から第1の映像信号と該第1の映像信号に伴う第1の音声信号を分離するための第1の映像音声分離部と、
テレビジョン放送の放送信号を受信する放送受信部と、
該放送受信部で受信された前記放送信号から第2の映像信号と該第2の映像信号に伴う第2の音声信号を分離するための第2の映像音声分離部と、
前記第1の映像音声分離部で分離された第1の映像信号と前記第2の映像音声分離部で分離された第2の映像信号が供給されていずれか一方を選択し、前記第1の映像音声分離部で分離された第1の音声信号と前記第2の映像音声分離部で分離された第2の音声信号が供給されて、前記映像信号と同期していずれか一方を選択する入力切替部と、
該入力切替部で選択された映像信号が供給され該映像信号が有する映像情報を表示する表示部と、
前記入力切替部で選択された音声信号が供給され該音声信号が有する音声情報を発生するスピーカと、
前記入力切替部で選択された音声信号が供給され該音声信号を前記複数のHDMIコネクタのうち少なくもいずれか一つを選択して供給、或いはいずれのHDMIコネクタにも前記音声信号を供給しない出力コネクタ選択部と、
前記情報処理装置全体の動作を制御する制御部を有し、
該制御部は、
所定の事項に基づき、前記分離された音声信号を前記複数のHDMIコネクタのうち所定のHDMIコネクタから前記外部の情報処理装置に出力するよう前記出力コネクタ制御部を制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置において、
前記所定の事項とは、
前記情報処理装置が前記外部の情報処理装置に対して前記外部の情報処理装置のうち特定の情報処理装置へ前記音声信号を出力する指令、ないし前記特定の外部の情報処理装置が前記情報処理装置に対して前記特定の外部の情報処理装置へ前記音声信号を出力するよう要求する指令の発行順であり、
前記制御部は、
前記指令の発行順で前記指令に基づき、前記分離された音声信号を前記複数のHDMIコネクタのうち前記特定の情報処理装置が接続されたHDMIコネクタから、前記外部の情報処理装置に出力するよう前記出力コネクタ制御部を制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置において、
前記所定の事項とは、
前記外部の情報処理装置のうちから指定された優先機器であり、
前記制御部は、
前記優先機器が前記HDMIコネクタに接続されている場合には、前記分離された音声信号を前記複数のHDMIコネクタのうち前記優先機器である情報処理装置が接続されたHDMIコネクタから、前記外部の情報処理装置に出力するよう前記出力コネクタ制御部を制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記分離された音声信号が前記外部の情報処理装置に出力されることをユーザに知らせるためのOSD表示を前記分離された映像信号に重畳するためのOSD回路を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記分離された音声信号が前記外部の情報処理装置に出力されることをユーザに知らせるためのOSD表示を前記表示部に表示するためのOSD回路を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
音声信号を含む入力された情報信号を処理し、外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタを有する情報処理装置の信号処理方法であって、
前記HDMIコネクタに接続された外部の情報処理装置に特定の種類の機器が存在するか否かを判定するための接続機器判定ステップと、
該接続機器判定ステップでの判定の結果、前記特定の種類の機器が接続されていると判定された場合には、既に任意の機器数の前記外部の情報処理装置に対し前記入力された音声信号を出力しているか否かを判定する信号出力判定ステップを有し、
該信号出力判定ステップでの判定の結果、任意の機器数の前記外部の情報処理装置に対して前記音声信号を出力していないと判定された場合には、前記特定の種類の機器である外部の情報処理装置に対して、前記音声信号を出力することを特徴とする情報処理装置の信号処理方法。
【請求項8】
音声信号を含む入力された情報信号を処理し、外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタを有する情報処理装置の信号処理方法であって、
前記複数のHDMIコネクタに接続された外部の情報処理装置に前記入力された音声信号を優先的に供給する優先機器が存在するか否かを判定するための接続機器判定ステップと、
該接続機器判定ステップでの判定の結果、前記優先機器が接続されていると判定された場合には、既に任意の機器数の他の外部の情報処理装置に対し前記入力された音声信号を出力しているか否かを判定する信号出力判定ステップを有し、
該信号出力判定ステップでの判定の結果、任意の機器数の他の外部の情報処理装置に対し前記入力された音声信号を出力していないと判定された場合には、前記優先機器である外部の情報処理装置に対して前記音声信号を出力し、任意の機器数の他の外部の情報処理装置に対し前記入力された音声信号を出力していると判定された場合には、前記任意の機器数の他の外部の情報処理装置に対する音声信号の出力を中止して前記優先機器である外部の情報処理装置に対して前記音声信号を出力することを特徴とする情報処理装置の信号処理方法。
【請求項9】
音声信号を含む入力された情報信号を処理し、外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタを有する情報処理装置の信号処理方法であって、
前記入力された音声信号を出力するよう前記外部の情報処理装置が送信した要求を受信する受信ステップと、
該受信ステップで前記要求を受信した場合には、既に任意の機器数の他の情報処理装置に前記音声信号を出力しているか否かを判定する出力判定ステップを有し、
該出力判定ステップでの判定の結果、既に任意の機器数の情報処理装置に前記音声信号を出力していると判定された場合には、前記外部の情報処理装置が送信した要求を拒否することを特徴とする情報処理装置の信号処理方法。
【請求項10】
音声信号を含む入力された情報信号を処理し、外部の情報処理装置と前記情報信号を授受するための複数のHDMIコネクタを有する情報処理装置の信号処理方法であって、
前記外部の情報処理装置には前記情報処理装置が前記入力された音声信号を優先的に供給する優先機器が定められており、
前記入力された音声信号を出力するよう前記外部の情報処理装置が送信した要求を受信する受信ステップと、
該受信ステップで前記要求を受信した場合には、既に任意の機器数の他の情報処理装置に前記音声信号を出力しているか否かを判定する出力判定ステップと、
該出力判定ステップでの判定の結果、既に任意の機器数の他の情報処理装置に前記音声信号を出力している場合には、前記要求は前記優先機器から受信したか否かを判定する要求判定ステップを有し、
該要求判定ステップでの判定の結果、前記要求は前記優先機器から受信したと判定された場合には、前記任意の機器数の他の情報処理装置への前記音声信号の供給を中止し、前記優先機器である情報処理装置に対して前記音声信号の供給することを特徴とする情報処理装置の信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−151537(P2011−151537A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10024(P2010−10024)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】