説明

情報処理装置、及び表示装置

【課題】ICが処理する処理負荷に応じてICを省電力化することが可能な情報処理装置、及び表示装置を提供する。
【解決手段】複数のインターフェース又はソース回路と接続し、インターフェース又はソース回路から供給されたデーターを信号処理するICを備える情報処理装置において、ICが駆動するための駆動電圧を供給するとともに、外部端子を介して入力される調整電圧の値に応じて駆動電圧の値を調整する機能を備えるレギュレター回路と、複数の抵抗を組み合わせて構成され、外部端子とインターフェース及びソース回路との間に接続される設定抵抗と、インターフェース又はソース回路からデーターの供給を受けた場合に、設定抵抗を構成する抵抗の組合せを変化させて、外部端子に供給する調整電圧の値を変更する切り替え回路と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の信号処理を行なう情報処理装置に関し、特に、信号処理を行なうためのICを備えた情報処理装置、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、HDMI等のインターフェースや、ソース回路を介して供給されるデーターを信号処理するICを実装する情報処理装置が知られている。例えば、情報処理装置と外部機器との間をHDMI規格のインターフェースを介して接続し、授受されるデーターをICを通じて処理する(例えば、特許文献1−3参照)。
【0003】
昨今、限りある資源を有効に活用するために製品に対して省電力化が提唱されている。上記したICを実装する情報処理装置においては、所定時間ICに対してデーターが入力されない場合は、このICを省電力化させるスタンバイモードに変更し、省電力化を実行している(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
また、ICはスイッチング動作を行う半導体素子をその内部に備え、この半導体素子により信号処理を実行する。ここで、ICは、供給される駆動電圧を一定の幅で受け入れることができる。例えば、受け入れる駆動電圧が高い場合は、半導体素子の動作が速くなり、安定的に駆動を行うことができる。一方、駆動電圧の値が低い場合、ICは半導体素子の動作が低速となるため、処理負荷が高い処理は行えないものの、消費電力を低くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−140365号公報
【特許文献2】特開2009−123284号公報
【特許文献3】特開2008−277941号公報
【特許文献4】特開2007−306097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したICを実装する情報処理装置において、ICが処理するデーターの中にはICの駆動速度をそれほど必要としないものがある。しかしながら、このようなデーターが入力された場合でも情報処理装置がスタンバイモードに移行することはないため、省電力化に貢献することはできなかった。
【0007】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、ICが処理する処理負荷に応じてICを省電力化することが可能な情報処理装置、及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、複数のインターフェース又はソース回路と接続し、前記インターフェース又はソース回路から供給されたデーターを信号処理するICを備える情報処理装置において、前記ICが駆動するための駆動電圧を供給するとともに、外部端子を介して入力される調整電圧の値に応じて前記駆動電圧の値を調整する機能を備えるレギュレター回路と、複数の抵抗を組み合わせて構成され、前記外部端子と前記インターフェース及び前記ソース回路との間に接続される設定抵抗と、前記インターフェース又はソース回路からデーターの供給を受けた場合に、前記設定抵抗を構成する抵抗の組合せを変化させて、前記外部端子に供給する調整電圧の値を変更する切り替え回路と、を有する構成としてある。
【0009】
上記のように構成された発明では、レギュレター回路は、ICが駆動するための駆動電圧を供給するとともに、外部端子を介して入力される調整電圧の値に応じて駆動電圧の値を調整する機能を備えており、設定抵抗は、複数の抵抗を組み合わせて構成され、外部端子と、インターフェース及びソース回路との間に接続され、切り替え回路は、インターフェース又はソース回路からデーターの供給を受けた場合に、設定抵抗を構成する抵抗の組合せを変化させて、外部端子に供給する調整電圧の値を変更する切り替え回路と、を有する。
そのため、インターフェース又はソース回路からデーターの供給を受けた場合に、設定抵抗の抵抗値を変化させてレギュレター回路から供給される駆動電圧を変更するため、情報処理装置が選択したモードに応じてICの消費電力を変化させることが可能となる。
【0010】
また、切り替え回路が実行する処理の一例として、前記切り替え回路は、前記インターフェース、又はソース回路から情報量の多いデーターが供給された場合に、前記レギュレター回路が前記ICに高い駆動電圧を供給するよう、前記抵抗を組み合わせる。
上記のように構成された発明では、ICが情報量の多いデーターを処理する際にICの動作量を増やして処理を適切に実行させる。
【0011】
そして、切り替え回路の具体的な構成の一例として、前記切り替え回路は、前記設定抵抗を構成する各抵抗に接続されたスイッチ素子を備え、前記インターフェース又はソース回路が選択出力されたことを示す信号に応じてオン/オフを切り替えることで、前記抵抗の組合せを変化させる構成としてもよい。
上記のように構成された発明では、スイッチ素子を用いた簡易な構成により切り替え回路を実現することが可能となる。
【0012】
更に、切り替え回路が実行する他の一例として、前記切り替え回路は、当該情報処理装置がスタンバイ状態に移行した場合に、前記レギュレター回路が前記ICに低い駆動電圧を供給して、同ICを停止させるよう、前記抵抗を組み合わせる構成としてもよい。
スタンバイ状態においては、ICは、外部からの信号の入力の監視等しか処理を実行しないため、処理負荷が少ない状態である。そのため、上記のように構成された発明では、本発明にかかる省電力化を処理負荷が少ないスタンバイ状態と組み合わせることで、より省電力化を達成することが可能となる。
【0013】
また、前記ICの動作状況を判断する判断手段を備え、前記切り替え回路は、前記判断手段が前記ICが誤作動していると判断した場合に、前記レギュレター回路が前記ICに高い駆動電圧を供給するよう、前記抵抗を組み合わせる構成としてもよい。
上記のように構成された発明では、実際のICの動作状況に応じて供給する駆動電圧を変化することが可能となる。
【0014】
そして、本発明にかかるインターフェースの一例として、前記インターフェースはHDMIインターフェースである構成としてもよい。
上記のように構成された発明では、入力モードとしてHDMI入力を含む製品に対して本発明を適用することができる。
【0015】
さらに、本発明にかかるソース回路の一例として、前記ソース回路は、ハイビジョン放送を受信して出力する受信手段である構成としてもよい。
上記のように構成された発明では、入力モードとしてハイビジョン放送に対応した製品に対して本発明を適用することができる。
【0016】
そして、本発明の他の一例として、複数のインターフェース又はソース回路と接続し、前記インターフェース又はソース回路から供給されたデーターを信号処理するICを備える表示装置において、前記インターフェースはHDMIインターフェースであって、前記ソース回路は、ハイビジョン放送を受信して出力する受信手段であって、前記ICが駆動するための駆動電圧を供給するとともに、外部端子を介して入力される調整電圧の値に応じて前記駆動電圧の値を調整する機能を備えるレギュレター回路と、複数の抵抗を組み合わせて構成され、前記外部端子と、前記インターフェース及びソース回路との間に接続される設定抵抗と、前記インターフェース又は前記ソース回路からデーターの供給を受けた場合に、前記レギュレター回路が前記ICに高い駆動電圧を供給するよう、前記抵抗を組み合わせを変化させ、又当該情報処理装置がスタンバイ状態に移行した場合に、前記レギュレター回路が前記ICに低い駆動電圧を供給して同ICを停止させるよう、前記抵抗を組み合わせを変化させ、前記外部端子に供給する調整電圧の値を変更する切り替え回路と、を有する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、ICが処理する処理負荷(モード)に応じてICを省電力化することができる。
また請求項2にかかる発明によれば、ICが情報量の多いデーターを処理する際にICの動作量を増やして処理を適切に実行させる。
そして請求項3にかかる発明によれば、スイッチ素子を用いた簡易な構成により切り替え回路を実現することが可能となる。
さらに請求項4にかかる発明によれば、ICの処理負荷が少ないスタンバイ状態と組み合わせることで、より省電力化を達成することが可能となる。
また請求項5にかかる発明によれば、実際のICの動作状況に応じて供給する駆動電圧を変化することが可能となる。
そして請求項6にかかる発明によれば、入力モードとしてHDMI入力を含む製品に対して本発明を適用することができる。
また請求項7にかかる発明によれば、入力モードとしてハイビジョン放送に対応した製品に対して本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】表示装置100を説明するブロック図である。
【図2】表示装置100の機能を説明するための図である。
【図3】IC用電源供給回路80の構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態にかかるIC用電源供給回路80の構成を説明する図である。
【図5】第3の実施形態にかかるバックエンド部98の動作状態を確認するための処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図を参照しつつ下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)第1の実施形態:
(2)第2の実施形態:
(3)第3の実施形態:
(4)その他の実施形態:
【0020】
(1)第1の実施形態:
以下、図を参照して、この発明に係る情報処理装置を具体化した第1の実施形態について表示装置100を例に説明を行う。
図1は、表示装置100を説明するブロック図である。表示装置100は、以下の要部を備えて構成されている。符号99はフロントエンド部(ソース回路)であり、図示しない各種アンテナが受信した放送信号を復調する。符号98は、バックエンド部であり、復調されたデーターのスクランブル解除や、圧縮された映像・音声データーの復号処理を行なう。符号97はディスプレイであり、復号された映像データーをもとに映像を表示する。符号96は、メインコントローラーであり、表示装置100の駆動を制御する。符号95は、HDMIインターフェースであり、HDMIに対応した外部機器から映像信号や音声信号をHDMIケーブル70を通じて受信する。符号94は、電源回路であり、表示装置100を駆動するための電源を供給する。符号93は、選択回路であり、図示しないリモコン装置からの切り替えコマンドに応じて、フロントエンド部99からの入力、又はHDMIインターフェース95からの入力を切り替える。
【0021】
フロントエンド部99は、各種アンテナが搬送波を受信すると、この搬送波に重畳した放送信号を変調して抽出する。ここで、フロントエンド部99が変調するデーターとしては、ハイビジョン放送に対応する放送信号や、NTSC方式の放送信号であり、選択回路93により選択されてバックエンド部98へ出力される。なお、ハイビジョン放送に対応する放送信号はNTSC方式の放送信号に比べてデーター量が多くなる。なお上記構成により、フロントエンド部99は、本発明の受信手段を実現する。
【0022】
バックエンド部98は、CMOS半導体により構成されたICにより形成される。また、バックエンド部98は、フロントエンド部99で復調されたデーターのスクランブル解除を行うとともに、MPEG方式で圧縮された映像・音声データーの復号処理を行なう多重分離部を備えている。さらに、バックエンド部98は、復号処理された映像データーを信号処理する映像信号処理部を備えている。
【0023】
ディスプレイ97は、バックエンド部98で復号された映像データー、又はHDMIインターフェース95を通じて入力された映像データーをもとに映像を表示する。本実施形態では、ディスプレイ97は液晶ディスプレイであり、図示しないバックライトからの光を透過させて映像を出力する。
【0024】
メインコントローラー96は、CPUや、ROM、及びRAMを備えて構成され、ROMに記憶された各種プログラムにより表示装置100の駆動を制御する。また、メインコントローラー96は、リモコン装置等から出力されるコマンド信号に応じて、入力モードの切り替えを行うモード切替信号や、表示装置100をスタンバイモードに移行させるスタンバイ信号を出力する。ここで、スタンバイモードとは、表示装置100の消費電力を低減させるモードである。
【0025】
電源回路94は、表示装置100を構成する各部に電源を供給する。更に、電源回路94は、バックエンド部98を駆動するためのIC用電源供給回路80を備えており、このIC用電源供給回路80により生成した駆動電圧により、バックエンド部98を駆動する。
【0026】
選択回路93は、メインコントローラー96からのモード切替信号に応じて、入力モードを切り替える。即ち、選択回路93は、モード切替信号に応じてフロントエンド部99が受信する各種放送(ハイビジョン放送、NTSC)に対応したデーター又は、HDMIインターフェース95を通じて入力されたデーターのいずれかをバックエンド部98に出力する。
【0027】
以上の構成により、表示装置100は、選択回路93により選択された入力モードに応じた映像をディスプレイ97に出力する。このとき、表示装置100は、選択された入力モードに応じてバックエンド部98を省電力化する。図2は、表示装置100の機能を説明するための図である。図2に示すように、入力モードとしてHDMI入力、又はフロントエンド部99におけるハイビジョン放送以外が選択された場合は、IC用電源供給回路80は、バックエンド部98に供給する駆動電圧を低くする(Vout1)。一方、入力モードとしてHDMI入力、又はハイビジョン放送が選択された場合は、IC用電源供給回路80は、バックエンド部98に供給する駆動電圧を高くする(Vout2)。ここで、IC用電源供給回路80が供給する駆動電圧の変動幅は、バックエンド部98としてのICが駆動可能な範囲で予め設定される。
【0028】
===IC用電源供給回路80の構成===
以下、IC用電源供給回路80の構成を説明する。図3は、IC用電源供給回路80の構成を示すブロック図である。IC用電源供給回路80は、以下の要部を備えて構成されている。符号81は、レギュレター回路であり、電源回路94が備える図示しない整流回路により供給された入力電圧Vinを調整電圧ADJの値に応じて変化させて駆動電圧として出力する。符号82は、設定抵抗であり、調整電圧ADJの値を設定する。符号83は、切り替え回路であり、入力モードに応じて設定抵抗の合成抵抗値を変化させる。
【0029】
レギュレター回路81は、設定端子81aに供給される調整電圧ADJの電圧値に応じて、出力電圧である駆動電圧の値を調整して出力する。一例として、調整電圧ADJの値が小さい場合は、バックエンド部98が駆動できる範囲で駆動電圧を低くし(図2に示すVout1)、調整電圧ADJの値が大きい場合は、バックエンド部98が駆動できる範囲で駆動電圧を高くする(図2に示すVout2)。
【0030】
設定抵抗82は、調整電圧ADJの値を設定する抵抗R1〜R4を組み合わせて構成される。抵抗R1〜R4は、切り替え回路83の切り替え動作に応じて合成抵抗値が変化するよう、切り替え回路83に接続されている。また、抵抗R2は、レギュレター回路81の出力側に接続されており、レギュレター回路81から出力される駆動電圧を電源として利用する。
【0031】
切り替え回路83は、抵抗R4に接続されたトランジスターQ1を備えて構成されている。また、トランジスターQ1のベースは、抵抗R5を介して、選択回路93のHDMI入力端子94aと、選択回路93の選択出力部94bにそれぞれ並列に接続されている。ここで、HDMI入力端子93aは、HDMIケーブル70を通じて供給される5ボルトの電源をHDMIインターフェース95に供給する端子であり、選択出力部93bは、選択回路93がメインコントローラー96に対してハイビジョン放送が選択されたことを伝えるために選択信号が出力される部位である。そのため、入力モードの選択に応じてとしてHDMI入力が選択されると、トランジスターQ1のベースには、このHDMIケーブル70を通じて供給される5ボルトの信号によりベース電流が供給される。同様に、選択回路93が入力モードとしてハイビジョン放送を選択した場合は、選択出力部93bから出力される信号により、トランジスターQ1のベースにベース電流が供給される。
【0032】
===IC用電源供給回路80の作用===
上記構成によるIC用電源供給回路80の作用を説明する。なお、以下の表示装置100では、HDMIインターフェース95にHDMIケーブル70を通じて外部装置が選択された状態であるものとする。リモコン装置を介して入力モードとしてHDMI入力及びハイビジョン放送のいずれもが選択されない状態では、切り替え回路83のトランジスターQ1はオフしており、設定抵抗82の抵抗は、抵抗R1とR2の分圧比により設定される。
【0033】
この状態での設定抵抗82の抵抗値によって設定される調整電圧ADJにより、レギュレター回路81は駆動電圧(Vout1)を出力する。この駆動電圧(Vout1)は、バックエンド部98が駆動可能な最低限での電圧値として設定されている。そのため、バックエンド部98は、この駆動電圧で駆動するため、バックエンド部98の省電力化が達成される。
【0034】
一方、入力モードとしてHDMI入力、又はハイビジョン放送が選択されると、選択回路93は切り替え回路83に信号を供給する。そのため、切り替え回路83のトランジスターQ1はオンし、抵抗R4がオープン状態が接地状態に切り替わる。そのため、設定抵抗82の抵抗値は抵抗R1,R2、R4により設定され、調整電圧ADJの値が変化する。
【0035】
この状態での設定抵抗82の抵抗値によって設定される調整電圧ADJにより、レギュレター回路81は、駆動電圧(Vout2)を出力する。この駆動電圧(Vout2)は、バックエンド部98が最適に駆動可能な電圧値として設定されている。そのため、バックエンド部98は、この駆動電圧で駆動するため、省電力化が解除される。即ち、バックエンド部98は駆動電圧(Vout2)により高速に駆動し、HDMI入力、又はハイビジョン放送といったデーター量の多い入力データーを処理する。
【0036】
以上説明したように、第1の実施形態では、選択された入力モードに応じて、バックエンド部(IC)98の省電力化が切り替えられるため、入力モードに応じて最適な省電力化を達成することが可能となる。
【0037】
(2)第2の実施形態:
以下、第2の実施形態にかかる表示装置100を説明する。この第2の実施形態では、第1の実施形態にかかる機能に加えて、以下の構成が異なる。即ち、表示装置100は、スタンバイモードに移行可能であり、このスタンバイモードと第1の実施形態にかかる省電力モードとを組み合わせて表示装置100の省電力化を実現する。
【0038】
ここで、スタンバイモードとは、メインコントローラー96に対して、所定期間データーが入力されないといった場合に、表示装置100を構成する主要部位の駆動を停止させて省電力化を実現するものである。また、このスタンバイモードでは、バックエンド部98は入力信号の監視のみしか実行しない。
【0039】
図4は、第2の実施形態にかかるIC用電源供給回路80の構成を説明する図である。図4に示す、IC用電源供給回路80では、第1の実施形態の構成に加えて、設定抵抗82が抵抗R6を備え、切り替え回路83がトランジスターQ2を備えて構成されている。抵抗R6は、抵抗R1〜R4に接続されるとともに、トランジスターQ2のコレクターに接続されている。また、トランジスターQ2のベースは抵抗R7を介してメインコントローラー96に接続され、メインコントローラー96から表示装置100をスタンバイモードに移行させるためのP−ON−H信号を受信する。
【0040】
以下、第2の実施形態にかかるIC用電源供給回路80の作用を説明する。第1の実施形態同様、入力モードとしてHDMI入力、又はハイビジョン放送が選択された場合は、切り替え回路83の切り替え動作に応じて設定抵抗82の抵抗R1,R2,R4により調整電圧ADJの値が設定される。そのため、レギュレター回路81からは、この調整電圧ADJに応じた駆動電圧(Vout2)がバックエンド部98に供給される。
【0041】
一方、入力モードとしてHDMI入力、又はハイビジョン放送が選択されず、且つ表示装置100がスタンバイ状態に移行しない場合は、切り替え回路83の切り替え動作に応じて設定抵抗82の抵抗R1及びR2により設定された抵抗値により調整電圧ADJの値が設定される。そのため、レギュレター回路81からは、この調整電圧ADJに応じた駆動電圧(Vout1)がバックエンド部98に供給される。
【0042】
さらに、一定条件によりメインコントローラー96がスタンバイモードの移行を選択した場合は、メインコントローラー96からはP−ON−H信号が出力されるため、トランジスターQ2がオンし、抵抗R6を接地する。そのため、設定抵抗82の抵抗値は抵抗R1−R4及びR6の組合せにより設定され、この抵抗値に応じた調整電圧ADJがレギュレター回路81に入力する。レギュレター回路81に上記状態で設定された調整電圧ADJが入力されると、レギュレター回路81は駆動電圧をより低電圧化する。上記したように、スタンバイモード時においては、バックエンド部98の処理負荷は低い状態であるため、駆動電圧(いわゆる待機電力)を低電圧化してもバックエンド部98の駆動に問題は生じない。
【0043】
以上説明したように、第2の実施形態では、バックエンド部98の省電力化を表示装置100のスタンバイモードと組み合わせることで、待機電力を低減することができ、より省電力化を達成することが可能となる。
【0044】
(3)第3の実施形態:
上記、第1及び第2の実施形態では、バックエンド部98(IC)を省電力化する駆動電圧の値は、予め設定された値を使用している。しかし、バックエンド部98の使用状態に応じては、設定された駆動電圧では適切に駆動しない場合も起こりうる。そのため、第3の実施形態では、表示装置100は、一定周期毎にバックエンド部98の動作状況を判断する機能を備える構成としてもよい。上記構成とすることで、実際の使用状況に応じてICの省電力化と動作状況とのバランスを取ることができる。
【0045】
図5は、第3の実施形態にかかるバックエンド部98の動作状態を確認するための処理を説明するフローチャートである。ここで、図5に示す処理は、メインコントローラー96により実行される処理であり、図示しないROMに記憶されたプログラム及びデーターをもとに実行される。そのため、メインコントローラー96が本発明の判断手段を実現する。
【0046】
まず、ステップS1において、バックエンド部98の省電力化が選択されると、メインコントローラー96は入力モード等からこの省電力化を判断する。ステップS2では、メインコントローラー96は、バックエンド部98の動作状態を確認するエラー検出データーをバックエンド部98に出力する。ここで、エラー検出データーは、例えば、バックエンド部98に対して所定の処理を実行させるためのデーターである。
【0047】
ステップS3では、メインコントローラー96は、バックエンド部98がエラー検出データーをもとに処理した出力データーを受信し、そのエラーレートを判断する。例えば、メインコントローラー96は、エラー検出データーに備わるチェックサム等により出力データーのエラーレートを検出する。
【0048】
ステップS4では、メインコントローラー96は、検出したエラーレートに応じてバックエンド部98の駆動状態を判断する。即ち、エラーレートが所定の閾値Tより高い場合は(ステップS4:YES)、メインコントローラー96はレギュレター回路81から出力される駆動電圧(Vout2)が最適ではないと判断し、設定抵抗82の抵抗値を変更させるよう切り替え回路83を制御する(ステップS5)。その一例として、メインコントローラー96は、切り替え回路83のトランジスターQ1に供給される信号をオフするよう制御を行う。一方、エラーレートが所定の閾値Tより低い場合は(ステップS4:NO)、メインコントローラー96はレギュレター回路81から出力される駆動電圧(Vout2)が最適であると判断し、処理を終了する。以上、第3の実施形態を説明した。
【0049】
(4)その他の実施形態:
本発明は、様々な変形例が存在する。
情報処理装置としては、表示装置に限定されず、ICをもとにデーターを処理するものであれば、どのような装置にも応用することができる。
【0050】
本発明にかかる省電力化を行うICとしては、バックエンド部98に限定されない。例えば、入力モードに応じて処理負荷が変動する部位であれば、どの部位にでも本発明を適応することができる。例えば、省電力化を行うICとしてメインコントローラー96であってもよい。また、メインコントローラー96とバックエンド部98とが一つのICにより構成されている場合は、メインコントローラー96及びバックエンド部98の両方を省電力化する構成としてもよい。
【0051】
第2の実施形態において、P−ON−H信号をもとにスタンバイモードの判断を行うことは一例であり、これに限定されない。例えば、スタンバイモードにおいて、駆動が停止する回路の電圧状態を用いて、切り替え回路のトランジスターを切り替える構成としてもよい。
【0052】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0053】
70…HDMIケーブル、80…IC用電源供給回路、81…レギュレター回路、81a…設定端子、82…設定抵抗、83…切り替え回路、93…選択回路、94…電源回路、94a…HDMI入力端子、94b…選択出力部、95…HDMIインターフェース、96…メインコントローラー、97…ディスプレイ、98…バックエンド部、99…フロントエンド部、100…表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインターフェース又はソース回路と接続し、前記インターフェース又はソース回路から供給されたデーターを信号処理するICを備える情報処理装置において、
前記ICが駆動するための駆動電圧を供給するとともに、外部端子を介して入力される調整電圧の値に応じて前記駆動電圧の値を調整する機能を備えるレギュレター回路と、
複数の抵抗を組み合わせて構成され、前記外部端子と、前記インターフェース及びソース回路との間に接続される設定抵抗と、
前記インターフェース又は前記ソース回路からデーターの供給を受けた場合に、前記設定抵抗を構成する抵抗の組合せを変化させて、前記外部端子に供給する調整電圧の値を変更する切り替え回路と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記切り替え回路は、前記インターフェース、又はソース回路から情報量の多いデーターが供給された場合に、前記レギュレター回路が前記ICに高い駆動電圧を供給するよう、前記抵抗を組み合わせることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記切り替え回路は、前記設定抵抗を構成する各抵抗に接続されたスイッチ素子を備え、前記インターフェース又はソース回路が選択されたことを示す信号に応じてオン/オフを切り替えることで、前記抵抗の組合せを変化させることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記切り替え回路は、当該情報処理装置がスタンバイ状態に移行した場合に、前記レギュレター回路が前記ICに低い駆動電圧を供給して同ICを停止させるよう、前記抵抗を組み合わせることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ICの動作状況を判断する判断手段を備え、
前記切り替え回路は、前記判断手段が前記ICが誤作動していると判断した場合に、前記レギュレター回路が前記ICに高い駆動電圧を供給するよう、前記抵抗を組み合わせることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記インターフェースはHDMIインターフェースであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ソース回路は、ハイビジョン放送を受信して出力する受信手段であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数のインターフェース又はソース回路と接続し、前記インターフェース又はソース回路から供給されたデーターを信号処理するICを備える表示装置において、
前記インターフェースはHDMIインターフェースであって、
前記ソース回路は、ハイビジョン放送を受信して出力する受信手段であって、
前記ICが駆動するための駆動電圧を供給するとともに、外部端子を介して入力される調整電圧の値に応じて前記駆動電圧の値を調整する機能を備えるレギュレター回路と、
複数の抵抗を組み合わせて構成され、前記外部端子と、前記インターフェース及びソース回路との間に接続される設定抵抗と、
前記インターフェース又は前記ソース回路からデーターの供給を受けた場合に、前記レギュレター回路が前記ICに高い駆動電圧を供給するよう、前記抵抗を組み合わせを変化させ、又当該情報処理装置がスタンバイ状態に移行した場合に、前記レギュレター回路が前記ICに低い駆動電圧を供給して同ICを停止させるよう、前記抵抗を組み合わせを変化させ、前記外部端子に供給する調整電圧の値を変更する切り替え回路と、を有することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−103164(P2011−103164A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258418(P2009−258418)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】