説明

情報処理装置、変換データ表示プログラム、記録媒体及び変換データ表示方法

【課題】 メモリ資源の浪費を避けると共に、計測し直すことなく速やかにユーザが要求するデータを表示することを目的とする。
【解決手段】 計測に係るデータを格納するデータ格納手段と、データ格納手段に格納されている計測に係るデータを変換し、変換データを生成するデータ変換手段と、変換データを表示する表示手段と、を有し、表示手段は、変換データの取得要求をデータ変換手段に送信し、データ変換手段は、表示手段から、変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、データ格納手段に格納されている計測に係るデータを取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することによって上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、変換データ表示プログラム、記録媒体及び変換データ表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計測器等のメモリに保存され得るデータとしては、例えば、計測に係る時間波形(のデータ)、前記時間波形に係る、フーリエスペクトル(のデータ)、パワースペクトル(のデータ)、クロススペクトル(のデータ)、伝達関数(のデータ)、ヒストグラム(のデータ)等がある。また、上述した各データに対して、瞬時値、及び/又は、平均値等が、データとして計測器等のメモリに保存され得る。なお、平均値としては、複数の瞬時値を平均化処理モードに応じて、時間軸において時間平均した結果(以下、時間平均値という)、周波数軸においてフーリエスペクトル平均した結果(以下、フーリエ平均値という)、周波数軸においてパワースペクトル平均した結果(以下、パワー平均値という)等がある。
【0003】
しかしながら、上述した全てのデータをメモリに保持する構成としたのでは、必ずしも必要とされないかも知れないデータを例え一定期間であっても保持することとなり、メモリ資源の浪費であった。また、計測器等の種類によってはメモリの性能上、全てのデータを保持することができないものもあった。
【0004】
したがって、従来の計測器等では、メモリに保存するデータを事前にユーザ等に選択させ、選択されたデータのみをメモリに保存することによって無駄なメモリ資源の浪費を避けると共に、性能以上のデータ量を保存することを避けていた。
【0005】
【特許文献1】特開平8−193875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、予めメモリに保存するデータをユーザ等に選択させる構成では計測器等は、ユーザが保存する旨選択したデータ以外のデータは保存しておらず、例えばユーザが、保存する旨選択したデータ以外のデータを計測器等に表示させたくなった場合は、再び、保存するデータを選択し直した上で、また計測し直さなければならない問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、メモリ資源の浪費を避けると共に、計測し直すことなく速やかにユーザが要求するデータを表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記問題を解決するため、本発明の情報処理装置は、計測に係るデータを格納するデータ格納手段と、前記データ格納手段に格納されている計測に係るデータを変換し、変換データを生成するデータ変換手段と、前記変換データを表示する表示手段と、を有し、前記表示手段は、変換データの取得要求を前記データ変換手段に送信し、前記データ変換手段は、前記表示手段から、前記変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている計測に係るデータを取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することを特徴とする。
【0009】
本発明の情報処理装置によれば、計測に係るデータを格納するデータ格納手段と、前記データ格納手段に格納されている計測に係るデータを変換し、変換データを生成するデータ変換手段と、前記変換データを表示する表示手段と、を有し、前記表示手段は、変換データの取得要求を前記データ変換手段に送信し、前記データ変換手段は、前記表示手段から、前記変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている計測に係るデータを取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することにより、例えば、データ格納手段にはメモリの浪費とデータ変換処理に係る時間との観点から必要なデータだけを格納するよう構成し、他のデータ(ユーザから表示を要求されるデータ)は、要求されたときにデータ変換手段がデータ格納手段に格納されているデータを用いて変換して提供するので、メモリ資源の浪費を避けると共に、計測し直すことなく速やかにユーザが要求するデータを表示することができる。
【0010】
なお、情報処理装置とは、例えば後述するPC1等に対応する。また、データ格納手段とは、例えば後述するデータ格納部21等に対応する。また、データ変換手段とは、例えば後述する計測・変換部22等に対応する。また、表示手段とは、例えば後述する表示部23等に対応する。
【0011】
また、本発明の情報処理装置は、前記データ格納手段は、瞬時値として、少なくとも、計測に係る時間波形の瞬時値と、前記時間波形に係るフーリエスペクトルの瞬時値と、を格納し、前記データ変換手段は、前記表示手段から、瞬時値として、前記時間波形の瞬時値及び前記フーリエスペクトルの瞬時値以外の変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記時間波形の瞬時値又は前記フーリエスペクトルの瞬時値を取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することを特徴とする。
【0012】
本発明の情報処理装置によれば、前記データ格納手段は、瞬時値として、少なくとも、計測に係る時間波形の瞬時値と、前記時間波形に係るフーリエスペクトルの瞬時値と、を格納し、前記データ変換手段は、前記表示手段から、瞬時値として、前記時間波形の瞬時値及び前記フーリエスペクトルの瞬時値以外の変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記時間波形の瞬時値又は前記フーリエスペクトルの瞬時値を取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することにより、例えば、データ格納手段は、瞬時値としては、時間波形の瞬時値と、フーリエスペクトルの瞬時値と、を格納しておけば、他の瞬時値を表示手段に要求された場合は、データ変換手段が、要求に応じて、データ格納手段に格納されている時間波形の瞬時値又はフーリエスペクトルの瞬時値を用いて変換し、変換データ(つまり、要求された他の瞬時値)を生成して、要求元の表示手段に提供するので、メモリ資源の浪費を避けると共に、計測し直すことなく速やかにユーザが要求するデータ(瞬時値)を表示することができる。
【0013】
なお、他の瞬時値とは、例えば後述する、パワースペクトルの瞬時値、クロススペクトルの瞬時値、伝達関数の瞬時値、ヒストグラムの瞬時値等が対応する。
【0014】
また、本発明の情報処理装置は、前記データ格納手段は、時間平均値として、少なくとも、計測に係る時間波形の時間平均値と、前記時間波形に係るフーリエスペクトルの時間平均値と、を格納し、前記データ変換手段は、前記表示手段から、時間平均値として、前記時間波形の時間平均値及び前記フーリエスペクトルの時間平均値以外の変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記時間波形の時間平均値又は前記フーリエスペクトルの時間平均値を取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することを特徴とする。
【0015】
本発明の情報処理装置によれば、前記データ格納手段は、時間平均値として、少なくとも、計測に係る時間波形の時間平均値と、前記時間波形に係るフーリエスペクトルの時間平均値と、を格納し、前記データ変換手段は、前記表示手段から、時間平均値として、前記時間波形の時間平均値及び前記フーリエスペクトルの時間平均値以外の変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記時間波形の時間平均値又は前記フーリエスペクトルの時間平均値を取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することにより、例えば、データ格納手段は、時間平均値としては、時間波形の時間平均値と、フーリエスペクトルの時間平均値と、を格納しておけば、他の時間平均値を表示手段に要求された場合は、データ変換手段が、要求に応じて、データ格納手段に格納されている時間波形の時間平均値又はフーリエスペクトルの時間平均値を用いて変換し、変換データ(つまり、要求された他の時間平均値)を生成して、要求元の表示手段に提供するので、メモリ資源の浪費を避けると共に、計測し直すことなく速やかにユーザが要求するデータ(時間平均値)を表示することができる。
【0016】
なお、時間平均値とは、上述したように、複数の瞬時値を時間軸において時間平均した結果のことである。また、他の時間平均値とは、例えば、後述する、パワースペクトルの時間平均値、クロススペクトルの時間平均値、伝達関数の時間平均値、ヒストグラムの時間平均値等が対応する。
【0017】
また、本発明の情報処理装置は、前記データ格納手段は、パワー平均値として、少なくとも、計測に係る時間波形に関するパワースペクトルのパワー平均値と、計測に係る時間波形に関するクロススペクトルのパワー平均値と、を格納し、前記データ変換手段は、前記表示手段から、計測に係る時間波形に関する伝達関数のパワー平均値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記パワースペクトルのパワー平均値及び前記クロススペクトルのパワー平均値を取得して変換し、生成した伝達関数のパワー平均値を要求元の表示手段に提供することを特徴とする。
【0018】
本発明の情報処理装置によれば、前記データ格納手段は、パワー平均値として、少なくとも、計測に係る時間波形に関するパワースペクトルのパワー平均値と、計測に係る時間波形に関するクロススペクトルのパワー平均値と、を格納し、前記データ変換手段は、前記表示手段から、計測に係る時間波形に関する伝達関数のパワー平均値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記パワースペクトルのパワー平均値及び前記クロススペクトルのパワー平均値を取得して変換し、生成した伝達関数のパワー平均値を要求元の表示手段に提供することにより、例えば、データ格納手段は、パワー平均値としては、パワースペクトルのパワー平均値と、クロススペクトルのパワー平均値と、を格納しておけば、伝達関数のパワー平均値を表示手段に要求された場合は、データ変換手段が、要求に応じて、データ格納手段に格納されているパワースペクトルのパワー平均値と、クロススペクトルのパワー平均値と、を用いて変換し、伝達関数のパワー平均値を生成して、要求元の表示手段に提供するので、メモリ資源の浪費を避けると共に、計測し直すことなく速やかにユーザが要求するデータ(伝達関数のパワー平均値)を表示することができる。
【0019】
なお、パワー平均値とは、上述したように、複数の瞬時値を周波数軸においてパワースペクトル平均した結果のことである。
【0020】
また、本発明の情報処理装置は、前記データ格納手段は、フーリエ平均値として、少なくとも、計測に係る時間波形に関するフーリエスペクトルのフーリエ平均値を格納し、前記データ変換手段は、前記表示手段から、フーリエ平均値として、前記フーリエスペクトルのフーリエ平均値以外の変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記フーリエスペクトルのフーリエ平均値を取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することを特徴とする。
【0021】
本発明の情報処理装置によれば、前記データ格納手段は、フーリエ平均値として、少なくとも、計測に係る時間波形に関するフーリエスペクトルのフーリエ平均値を格納し、前記データ変換手段は、前記表示手段から、フーリエ平均値として、前記フーリエスペクトルのフーリエ平均値以外の変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記フーリエスペクトルのフーリエ平均値を取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することにより、例えば、データ格納手段は、フーリエ平均値としては、フーリエスペクトルのフーリエ平均値を格納しておけば、他のフーリエ平均値を表示手段に要求された場合は、データ変換手段が、要求に応じて、データ格納手段に格納されているフーリエスペクトルのフーリエ平均値を用いて変換し、変換データ(つまり、要求された他のフーリエ平均値)を生成して、要求元の表示手段に提供するので、メモリ資源の浪費を避けると共に、計測し直すことなく速やかにユーザが要求するデータ(フーリエ平均値)を表示することができる。
【0022】
なお、フーリエ平均値とは、上述したように、複数の瞬時値を周波数軸においてフーリエスペクトル平均した結果のことである。また、他のフーリエ平均値とは、例えば、後述する、パワースペクトルのフーリエ平均値、クロススペクトルのフーリエ平均値、伝達関数のフーリエ平均値等が対応する。
【0023】
また、上記問題を解決するため、本発明は、変換データ表示プログラム、記録媒体及び変換データ表示方法としてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、メモリ資源の浪費を避けると共に、計測し直すことなく速やかにユーザが要求するデータを表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。始めに、本発明に係る計測・変換システムの一例を図1に示す。図1は、本発明に係る計測・変換システムの一例を示す図である。
【0026】
図1に示されるように、計測・変換システムは、PC(Personal Computer)1と、計測器(計測ユニット)2と、がネットワークを介して接続されている。計測器2は、例えば複数のチャンネル(図1の例では、ch.1、ch.2、ch.3)を有し、入力された計測に係るアナログデータ(例えば、自動車等のエンジンの振動や、自動車等の風切り音等のアナログデータ)をデジタルデータに変換し、PC1に送信する。
【0027】
PC1では、少なくとも、計測器2より受け取ったデジタルデータ(計測に係る時間波形)を後述するデータ格納部21に格納し、後述する表示部23からの変換データの取得要求に応じて、後述する計測・変換部22が、データ格納部21に格納されているデータを取得し、変換して、表示部23に提供し、表示部23が取得した変換データを表示する。
【0028】
次に、PC1のハードウェア構成の一例を図2に示す。図2は、PCの一例のハードウェア構成図である。図2に示されるように、PC1は、ハードウェア構成として、入力装置11と、表示装置12と、記録媒体ドライブ装置13と、ROM(Read Only Memory)15と、RAM(Random Access Memory)16と、CPU(Central Processing Unit)17と、インターフェース装置18と、HD(Hard Disk)19と、を含む。
【0029】
入力装置11は、PC1のユーザ(又は操作者)が操作するキーボード及びマウス等で構成され、例えばユーザがPC1に各種情報(データ)等を入力するのに用いられる。表示装置12は、PC1のユーザが利用するディスプレイ等で構成され、各種情報(表示部)等を表示するのに用いられる。
【0030】
インターフェース装置18は、PC1をネットワーク等に接続するインターフェースである。PC1は、インターフェース装置18を介して、例えば計測器2等と接続されている。後述するフローチャート等に係るプログラム(以下、変換データ表示プログラムという)は、例えば、CD−ROM等の記録媒体14によってPC1に提供されるか、ネットワーク等を通じてダウンロードされる。記録媒体14は、記録媒体ドライブ装置13にセットされ、変換データ表示プログラムが記録媒体14から記録媒体ドライブ装置13を介してHD19にインストールされる。
【0031】
ROM15は、PC1の電源投入時に最初に読み込まれるプログラム等を記録する。RAM16は、PC1のメインメモリである。CPU17は、必要に応じて、HD19より変換データ表示プログラムを読み出して、RAM16に格納し、変換データ表示プログラムを実行することで、後述するフローチャート等を実行する。
【0032】
以下、CPU17、RAM16、HD19及び解析データ表示プログラム等から構成される、PC1の機能構成の一例を図3に示す。図3は、PCの一例の機能構成図である。図3に示されるように、PC1は、機能構成として、データ格納部21と、計測・変換部22と、表示部21と、を含む。
【0033】
データ格納部21は、少なくとも計測に係る時間波形を格納する。なお、より具体的には、データ格納部21は、瞬時値として、時間波形の瞬時値と、フーリエスペクトルの瞬時値と、を格納する。また、データ格納部21は、時間平均値として、時間波形の時間平均値と、フーリエスペクトルの時間平均値と、を格納する。また、データ格納部21は、パワー平均値として、パワースペクトルのパワー平均値と、クロススペクトルのパワー平均値と、を格納する。また、データ格納部21は、フーリエ平均値として、フーリエスペクトルのフーリエ平均値を格納する。
【0034】
計測・変換部22は、計測器2から受け取った計測に係る時間波形をデータ格納部21に格納すると共に、必要な変換をしてデータ格納部21に格納する。つまり、計測・変換部22は、計測器2から時間波形の瞬時値を受け取るとフーリエスペクトルの瞬時値に変換してデータ格納部21に格納する。また、計測・変換部22は、複数の時間波形の瞬時値(時間波形)に基づいて、時間波形の時間平均値を算出し、データ格納部21に格納すると共に、複数のフーリエスペクトルの瞬時値(フーリエスペクトル)に基づいて、フーリエスペクトルの時間平均値を算出し、データ格納部21に格納する。また、計測・変換部22は、時間波形(又はフーリエスペクトル)に基づいて、まずパワースペクトルを算出し、算出したパワースペクトルからパワースペクトルのパワー平均値を算出し、データ格納部21に格納する。また計測・変換部22は、計測器2から受け取った2つの時間波形に基づいて、クロススペクトルを算出し、算出したクロススペクトルからクロススペクトルのパワー平均値を算出し、データ格納部21に格納する。また、計測・変換部22は、フーリエスペクトルに基づいて、フーリエ平均値を算出し、データ格納部21に格納する。
【0035】
つまり、計測・変換部22は、計測器2から計測データとして計測に係る時間波形を受け取ると、瞬時値として、時間波形の瞬時値と、フーリエスペクトルの瞬時値と、をデータ格納部21に格納し、時間平均値として、時間波形の時間平均値と、フーリエスペクトルの時間平均値と、をデータ格納部21に格納し、パワー平均値として、パワースペクトルのパワー平均値と、フーリエスペクトルのパワー平均値と、をデータ格納部21に格納し、フーリエ平均値として、フーリエスペクトルのフーリエ平均値を格納する。
【0036】
また、計測・変換部22は、表示部23から受け取った変換データの取得要求に応じて、データ格納部21に格納されている上述したような計測に係るデータを取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示部23に提供する。
【0037】
例えば計測・変換部22は、表示部23からパワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数の瞬時値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、データ格納部21よりフーリエスペクトルの瞬時値を取得し、パワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数の瞬時値に変換し、生成したパワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数の瞬時値を要求元の表示部23に提供する。また、計測・変換部22は、表示部23からヒストグラムの瞬時値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、データ格納部21より時間波形の瞬時値を取得し、ヒストグラムの瞬時値に変換し、生成したヒストグラムの瞬時値を要求元の表示部23に提供する。
【0038】
また、計測・変換部22は、表示部23からパワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数の時間平均値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、データ格納部21よりフーリエスペクトルの時間平均値を取得し、パワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数の時間平均値に変換し、生成したパワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数の時間平均値を要求元の表示部23に提供する。また、計測・変換部22は、表示部23からヒストグラムの時間平均値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、データ格納部21より時間波形の時間平均値を取得し、ヒストグラムの時間平均値に変換し、生成したヒストグラムの時間平均値を要求元の表示部23に提供する。
【0039】
また、計測・変換部22は、表示部23からパワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数のフーリエ平均値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、データ格納部21よりフーリエスペクトルのフーリエ平均値を取得し、パワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数のフーリエ平均値に変換し、生成したパワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数のフーリエ平均値を要求元の表示部23に提供する。
【0040】
また、計測・変換部22は、表示部23から伝達関数のパワー平均値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、データ格納部21よりパワースペクトルのパワー平均値と、クロススペクトルのパワー平均値と、を取得し、伝達関数のパワー平均値に変換し、生成した伝達関数のパワー平均値を要求元の表示部23に提供する。
【0041】
表示部23は、ユーザ等からの要求に応じて、例えば変換データの取得要求を計測・変換部22に渡し、計測・変換部22から、前記取得要求に対応する変換データを受け取ると、受け取った変換データを表示する。
【0042】
上述したように、計測器2から計測データを受け取ると、計測・変換部22が、必要なデータ(上述した例では、瞬時値としては、時間波形の瞬時値とフーリエスペクトルの瞬時値、また時間平均値としては、時間波形の時間平均値とフーリエスペクトルの時間平均値、またフーリエ平均値としては、フーリエスペクトルのフーリエ平均値、またパワー平均値としては、パワースペクトルのパワー平均値とクロススペクトルのパワー平均値)を(例えば、生成等した上で)データ格納部21に格納し、他のデータ(上述した例では、瞬時値としては、パワースペクトルの瞬時値、クロススペクトルの瞬時値、伝達関数の瞬時値、ヒストグラムの瞬時値、また、時間平均値としては、パワースペクトルの時間平均値、クロススペクトルの時間平均値、伝達関数の時間平均値、ヒストグラムの時間平均値、また、フーリエ平均値としては、パワースペクトルのフーリエ平均値、クロススペクトルのフーリエ平均値、伝達関数のフーリエ平均値、また、パワー平均値としては、伝達関数のパワー平均値)は、表示部23からの要求に応じて、データ格納部21に格納されているデータを用いて、変換、生成し、要求元の表示部23に提供する構成とすることにより、メモリ資源の浪費を避けると共に、計測し直すことなく速やかにユーザが要求するデータを表示することができる。
【0043】
以下、本発明に係る変換データ表示処理の一例を、図4に示す。図4は、変換データ表示処理の一例を示すフローチャートである。ステップS10において、計測・変換部22は、計測器2から計測データとして計測に係る時間波形(の瞬時値)を受け取る。
【0044】
ステップS10に続いてステップS11に進み、計測・変換部22は、ステップS10において受け取った時間波形の瞬時値をフーリエスペクトルの瞬時値に変換する。また、計測・変換部22は、複数の時間波形の瞬時値(時間波形)に基づいて、時間波形の時間平均値を算出する。また、計測・変換部22は、時間波形(瞬時値)からまずフーリエスペクトルを算出し、算出したフーリエスペクトルに基づいて、パワースペクトルを算出し、算出したパワースペクトルからパワースペクトルのパワー平均値を算出する。また計測・変換部22は、算出したフーリエスペクトルの内の所定の2つのフーリエスペクトルからクロススペクトルを算出し、算出したクロススペクトルからクロススペクトルのパワー平均値を算出する。また、計測・変換部22は、フーリエスペクトルに基づいて、フーリエ平均値を算出する。
【0045】
ステップS11に続いてステップS12に進み、計測・変換部22は、ステップS10において取得した計測データ及びステップS11において変換(又は算出)した変換データをデータ格納部21に格納する。
【0046】
つまり、本実施例においては、データ格納部21には、瞬時値として、時間波形の瞬時値と、フーリエスペクトルの瞬時値と、が、また、時間平均値として、時間波形の時間平均値と、フーリエスペクトルの時間平均値と、が、また、パワー平均値として、パワースペクトルのパワー平均値と、クロススペクトルのパワー平均値と、が、また、フーリエ平均値として、フーリエスペクトルのフーリエ平均値が格納される。
【0047】
ステップS12に続いてステップS13に進み、計測・変換部22は、表示部23から変換データの取得要求を受け取ったか否かを判定する。計測・変換部22は、表示部23から変換データの取得要求を受け取ったと判定すると(ステップS13においてYES)、ステップS14に進み、表示部23から変換データの取得要求を受け取っていないと判定すると(ステップS13においてNO)、ステップS16に進む。
【0048】
ステップS14では、計測・変換部22が、表示部23からの取得要求に応じて、データ格納部21からデータを取得し、変換する。
【0049】
例えば、計測・変換部22は、上述したように、表示部23からパワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数の瞬時値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、データ格納部21よりフーリエスペクトルの瞬時値を取得し、パワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数の瞬時値に変換する。また、上述したように、計測・変換部22は、表示部23からパワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数の時間平均値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、データ格納部21よりフーリエスペクトルの時間平均値を取得し、パワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数の時間平均値に変換する。また、上述したように、計測・変換部22は、表示部23からパワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数のフーリエ平均値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、データ格納部21よりフーリエスペクトルのフーリエ平均値を取得し、パワースペクトル又はクロススペクトル又は伝達関数のフーリエ平均値に変換する。また、上述したように、計測・変換部22は、表示部23から伝達関数のパワー平均値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、データ格納部21よりパワースペクトルのパワー平均値と、クロススペクトルのパワー平均値と、を取得し、伝達関数のパワー平均値に変換する。
【0050】
ステップS14に続いてステップS15に進み、計測・変換部22は、ステップS14において表示部23からの要求に応じて変換した結果である変換データを要求元の表示部23に提供する。表示部23は、計測・変換部22から受け取った変換データを表示する。
【0051】
ステップS15に続いてステップS16に進み、CPU17(又は変換データ表示プログラム)等が、変換データ表示処理を終了するか否かを判定し、終了すると判定すると(ステップS16においてYES)、変換データ表示処理を終了し、終了しないと判定すると(ステップS16においてNO)、ステップS13の処理に戻る。
【0052】
上述したように、ステップS11及びステップS12において、計測・変換部22が予め定められた最小限の変換を時間波形等に対して行い、時間波形や、変換データをデータ格納部21に格納し、後は、ステップS13及びステップS14において表示部23等からの要求に応じてデータ格納部21に格納されているデータを用いて、データを変換し、要求されているデータを生成して要求元の表示部23に提供することにより、メモリ資源の浪費を避けると共に、計測し直すことなく速やかにユーザが要求するデータを表示することができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0054】
例えば、上述した実施例では、計測・変換部22は、ステップS11等において予め定められた最小限の変換を時間波形等に対して行うよう説明を行ったが、例えば、計測・変換部22は、HD19等に格納されている設定情報等を参照し、この設定情報に書かれている変換を最小限の変換としてステップS11で行うようにしてもよい。このような構成とすることで、例えばユーザ等が適宜設定情報を変更することによって、ステップS11において計測・変換部22が行う変換を調整することができる。
【0055】
例えば、ユーザが設定情報に、ステップS11における変換は必要ない旨のデータをセットすると、計測・変換部22は、ステップS11において時間波形の変換は行わず、ステップS12では、データ格納部21には時間波形だけが格納される。このような構成において、例えば、表示部23からパワースペクトルの瞬時値の取得要求を受け取ると、計測・変換部22は、データ格納部21に格納されている時間波形の瞬時値から、フーリエスペクトルの瞬時値に変換し、生成したフーリエスペクトルの瞬時値からパワースペクトルの瞬時値に変換して、パワースペクトルの瞬時値を求める。
【0056】
このような構成では、上述した実施例に比べて、表示部23等からの要求に応じて、計測・変換部22が、データ格納部21に格納されているデータを用いて要求されているデータに変換する時間はかかるが、メモリ資源の浪費は少なくてすむ。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明に係る計測・変換システムの一例を示す図である。
【図2】図2は、PCの一例のハードウェア構成図である。
【図3】図3は、PCの一例の機能構成図である。
【図4】図4は、変換データ表示処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 PC
2 計測器
11 入力装置
12 表示装置
13 記録媒体ドライブ装置
14 記録媒体
15 ROM
16 RAM
17 CPU
18 インターフェース装置
19 HD
21 データ格納部
22 計測・変換部
23 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測に係るデータを格納するデータ格納手段と、
前記データ格納手段に格納されている計測に係るデータを変換し、変換データを生成するデータ変換手段と、
前記変換データを表示する表示手段と、
を有し、
前記表示手段は、変換データの取得要求を前記データ変換手段に送信し、
前記データ変換手段は、前記表示手段から、前記変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている計測に係るデータを取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記データ格納手段は、瞬時値として、少なくとも、計測に係る時間波形の瞬時値と、前記時間波形に係るフーリエスペクトルの瞬時値と、を格納し、
前記データ変換手段は、前記表示手段から、瞬時値として、前記時間波形の瞬時値及び前記フーリエスペクトルの瞬時値以外の変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記時間波形の瞬時値又は前記フーリエスペクトルの瞬時値を取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データ格納手段は、時間平均値として、少なくとも、計測に係る時間波形の時間平均値と、前記時間波形に係るフーリエスペクトルの時間平均値と、を格納し、
前記データ変換手段は、前記表示手段から、時間平均値として、前記時間波形の時間平均値及び前記フーリエスペクトルの時間平均値以外の変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記時間波形の時間平均値又は前記フーリエスペクトルの時間平均値を取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データ格納手段は、パワー平均値として、少なくとも、計測に係る時間波形に関するパワースペクトルのパワー平均値と、計測に係る時間波形に関するクロススペクトルのパワー平均値と、を格納し、
前記データ変換手段は、前記表示手段から、計測に係る時間波形に関する伝達関数のパワー平均値の取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記パワースペクトルのパワー平均値及び前記クロススペクトルのパワー平均値を取得して変換し、生成した伝達関数のパワー平均値を要求元の表示手段に提供することを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データ格納手段は、フーリエ平均値として、少なくとも、計測に係る時間波形に関するフーリエスペクトルのフーリエ平均値を格納し、
前記データ変換手段は、前記表示手段から、フーリエ平均値として、前記フーリエスペクトルのフーリエ平均値以外の変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている前記フーリエスペクトルのフーリエ平均値を取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
計測に係るデータを格納するデータ格納手段に格納されている計測に係るデータを変換し、変換データを生成するデータ変換手段と、
前記変換データを表示する表示手段と、
して実行させる変換データ表示プログラムであって、
前記表示手段は、変換データの取得要求を前記データ変換手段に送信し、
前記データ変換手段は、前記表示手段から、前記変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている計測に係るデータを取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供することを特徴とする変換データ表示プログラム。
【請求項7】
請求項6記載の変換データ表示プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
計測に係るデータを格納するデータ格納手段と、前記データ格納手段に格納されている計測に係るデータを変換し、変換データを生成するデータ変換手段と、前記変換データを表示する表示手段と、を有する情報処理装置における変換データ表示方法であって、
前記表示手段が、変換データの取得要求を前記データ変換手段に送信する変換データ取得要求送信段階と、
前記データ変換手段が、前記表示手段から、前記変換データの取得要求を受け取ると、受け取った取得要求に応じて、前記データ格納手段に格納されている計測に係るデータを取得して変換し、生成した変換データを要求元の表示手段に提供する変換データ提供段階と、
を含むことを特徴とする変換データ表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−24587(P2007−24587A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204609(P2005−204609)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000145806)株式会社小野測器 (230)
【Fターム(参考)】