説明

情報処理装置、情報処理方法、プログラム、記録媒体、及び情報処理システム

【課題】利用予約して用いる車両の保有する電力を電力系統に供給することができる情報処理装置、情報処理方法、プログラム、記録媒体、及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得する取得部と、上記利用予約情報に基づいて、上記供給時間帯において上記車両から上記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、算出された上記供給電力を上記電力系統に通知する通知部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム、記録媒体、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッドカーを始めとして、従来のガソリン車より大容量の蓄電池を搭載する自動車が普及し始めている。これらの大容量の蓄電池を搭載する自動車は、走行時の二酸化炭素の排出がガソリン車よりも少ないことから、地球温暖化への1つの対応策として注目を浴びてきた。また、このような大容量の蓄電池を搭載する自動車に充電された電力を、電力供給源として利用する動きも出てきている。自動車に蓄えられた電力を電力系統に供給することは、V2G(Vehicle to Grid)と呼ばれる。電力使用の多い時間帯にV2Gを活用することによって、発電量のピークカットにつながる。
【0003】
例えば特許文献1には、個人所有の電気自動車の日常必要蓄電量を予め登録しておき、電力需給に応じて日常必要蓄電量を超える分の電力をV2Gに用いることによって電力の安定供給を図る電力供給システムが開示されている。また特許文献2には、ネットワーク制御式電源コンセント(スマートレット)を用いることによって、通信ネットワークを介して電気自動車を制御するネットワーク制御式充電システムが開示されている。
【0004】
ところで一方、近年自動車の維持管理費を節約するために、必要なときに利用予約をして自動車をレンタルする人が増えている。従来のレンタカーのシステムに加えて、近年は複数の会員間で特定の自動車を共同使用するカーシェアリングが普及してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−183086号公報
【特許文献2】特表2011−509648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記事情に鑑みれば、レンタカー及びカーシェアリングなど利用予約して用いる車両の保有する電力を電力系統に供給することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得する取得部と、上記利用予約情報に基づいて、上記供給時間帯において上記車両から上記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、算出された上記供給電力を上記電力系統に通知する通知部と、を有する情報処理装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、利用予約情報に基づいて、要請された供給時間帯に車両が電力系統に供給することのできる供給電力を算出して電力系統に通知することができる。ここで電力系統とは、例えば電力会社、送電会社、配電会社などの、電力需給を管理している装置を含む概念である。ここで用いられる車両は、例えばカーシェアリングやレンタカーなどのサービスを提供する会社の保有する車両であり、利用予約を行い利用される車両である。
【0009】
また、本開示によれば、電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得することと、上記利用予約情報に基づいて、上記供給時間帯において上記車両から上記電力系統に供給する供給電力を算出することと、算出された上記供給電力を上記電力系統に通知することと、を含む情報処理方法が提供される。
【0010】
また、本開示によれば、コンピュータを、電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得する取得部と、上記利用予約情報に基づいて、上記供給時間帯において上記車両から上記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、算出された上記供給電力を上記電力系統に通知する通知部とを有する情報処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0011】
また、本開示によれば、コンピュータを、電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得する取得部と、上記利用予約情報に基づいて、上記供給時間帯において上記車両から上記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、算出された上記供給電力を上記電力系統に通知する通知部とを有する情報処理装置として機能させるためのプログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0012】
また、本開示によれば、電力の需要が供給を上回ると予測される時間帯に電力の供給を要請する電力供給要請情報を送信する電力系統と、車両の利用予約情報を送信するユーザ装置と、上記電力供給要請情報、及び複数の上記車両に関する上記利用予約情報を取得する取得部と、上記利用予約情報に基づいて、上記電力供給要請情報に含まれる供給時間帯において上記車両から上記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、算出された上記供給電力を上記電力系統に通知する通知部とを有する情報処理装置と、を有する情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本開示によれば、利用予約して用いる車両の保有する電力を電力系統に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の一実施形態に係る電力供給システムの概略構成図である。
【図2】同実施形態に係る車両予約管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態に係る電力供給システムの動作を示すシーケンス図である。
【図4】同実施形態に係る車両予約管理装置の供給電力算出処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態に係る車両予約管理装置の、選択された1台の車両が供給することのできる最大電力を算出する算出処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】同実施形態に係る車両予約管理装置の供給電力算出処理について説明するための説明図である。
【図7】同実施形態に係る車両予約管理装置の供給開始までに満充電となる場合の供給電力算出処理について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.構成
1−1.システム構成
1−2.車両予約管理装置の構成
2.動作
2−1.システム動作
2−2.供給電力の算出動作
【0017】
<1.構成>
〔1−1.システム構成〕
まず、図1を参照しながら本開示の一実施形態に係る電力供給システムの構成について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る電力供給システムの概略構成図である。
【0018】
なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後にハイフンを介して異なる番号を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じてユーザ装置400−1、ユーザ装置400−2のように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、ユーザ装置400−1、ユーザ装置400−2などを特に区別する必要が無い場合には、単にユーザ装置400と称する。
【0019】
本実施形態に係る電力供給システムは、カーシェアリングサービスを提供する会社の車両予約管理装置100と、カーシェアリングサービスにおける各ステーションSTと、ステーションSTに属する複数の電気自動車EVと、電力を各家庭又はビルなどに供給する電力網300と、電力網300に対する電力の需要と供給のバランスを管理する電力需給管理装置200と、カーシェアリングサービスを利用するために、車両の利用予約を行うユーザ装置400とを主に有する。
【0020】
カーシェアリングサービスは、登録した会員間で特定の自動車を共同使用するためのサービスである。レンタカーが比較的長期間の利用を想定したサービスであることが多く、不特定多数の利用者に自動車を貸し出すサービスであるのに対し、カーシェアリングは、比較的短期間の利用を想定したサービスであることが多く、予め登録した特定の利用者で自動車を共同使用するサービスである。レンタカーとカーシェアリングは、共に、予め利用予約をして自動車を利用するサービスである。以下、利用予約の対象車両、利用時間帯を含む情報を利用予約情報という。本実施形態においてはカーシェアリングサービスに適用する場合について説明するが、本技術はかかる例に限定されない。レンタカーについて本技術を適用してもよい。
【0021】
車両予約管理装置100は、カーシェアリングサービス会社が保有する電気自動車EVの利用予約を管理する機能と、電気自動車EVから電力系統に供給する供給電力を算出して電力系統に通知する電力供給制御機能を有する情報処理装置の一例である。なお、ここでは電気自動車EVの利用予約を管理する機能と、電気自動車EVから電力系統に供給する電力を制御する電力供給制御機能とが1つの車両予約管理装置100により実現されているが、本技術はかかる例に限定されない。これらの機能は別体の装置によりそれぞれ実現されてもよい。
【0022】
カーシェアリングサービス会社の保有する電気自動車EVの蓄電池に蓄えた電力を電力網300(スマートグリッド)に送るV2Gを行うことによって、例えば電気料金の安い夜間に充電した電位自動車EVが昼間に電力網300に接続して電力を供給(売電)することによって、カーシェアリングサービス会社は、電気料金の差額を売り上げることができる。また、電力系統は、電気自動車EVから供給される電力を用いることによって、需要のピーク時の発電量を減らすことができ、需給バランスを平準化することができるという利点がある。つまり、電気自動車EVの蓄電池が電力需要と供給の緩衝材の役割を担うことができる。特に、近年注目されている再生可能エネルギーは、枯渇することがなく、自然界への負荷が少ないという利点がある一方、供給の安定性に不安が残るため、需給バランスの緩衝材への注目度が上がっている。また、カーシェアリングサービスやレンタカーは、予約を入れて利用するという利用形態が既に出来上がっているため、供給電力の算出に用いる車両の利用に関する情報を入手することが容易であるという利点がある。
【0023】
電力需給管理装置200は、電力系統の需要と供給のバランスを管理する機能を有する装置である。電力需給管理装置200は、例えば電力需要を予測し、電力需要が供給を上回る可能性があるときには、電力系統以外からの電力供給を管理する機能を有する装置、例えば車両予約管理装置100に電力の供給を要請することができる。例えば電力需給管理装置200は、電力需要が供給を上回ると予測される時間帯の情報を含む電力供給要請情報を送信することができる。
【0024】
電力網300は、各家庭、オフィスビル、又は工場など電力を必要とする場所に電力を供給する電力系統の一部である。電力網300は、各ステーションSTに電力を供給することができる。また電力網300は、各ステーションSTから電気自動車EVに搭載される蓄電池に蓄えられた電力の供給を受けることもできる。
【0025】
ユーザ装置400は、車両予約管理装置100の提供する車両予約画面を介してカーシェアリングサービスの利用予約を行う情報処理端末の一例である。ユーザ装置400は、カーシェアリングサービスに登録した会員の端末装置である。例えばユーザ装置400は、図1中にユーザ装置400−1として示されたように携帯電話であってもよい。またユーザ装置400は、図1中にユーザ装置400−2として示されたようにPC(Personal Computer)であってもよい。
【0026】
ステーションSTは、カーシェアリングサービスに用いられる電気自動車EVの受渡しや充電を行う場所である。ステーションSTは、電気自動車EVを充電するための充電設備を備えている。なお、ここではステーションSTは、電力網300から供給される電力を電気自動車に充電することとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えばステーションSTは、自家発電設備を有しており、発電した電力を電気自動車EVに充電してもよい。なお、図1においてはステーションST1からステーションST3までの3つのステーションSTが示されたが、電力供給システムは、当然さらに多くのステーションSTを含んでもよい。また、ここでは各ステーションSTにそれぞれ複数の電気自動車EVを駐車することとしたが、1台の電気自動車EVだけが駐車されるステーションSTがあってもよい。また、ここではステーションSTに駐車される車両は全て電気自動車EVであることとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えばステーションSTに駐車される車両は、ガソリン車やハイブリッド車など様々な種類の車両が含まれてよい。ただし、この場合には、供給電力の算出対象とする車両は、電気自動車EVやハイブリッド車など比較的大容量の蓄電池を有する車両とし、ガソリン車は含まない。
【0027】
〔1−2.車両予約管理装置の構成〕
次に、図2を参照しながら、本開示の一実施形態に係る車両予約管理装置の構成について説明する。図2は、同実施形態に係る車両予約管理装置の構成を示すブロック図である。
【0028】
車両予約管理装置100は、車両予約管理部110と、電力供給制御部120とを主に有する。電力供給制御部120は、情報取得部121と、供給電力算出部123と、通知部125との機能をさらに有する。
【0029】
車両予約管理部110は、ユーザ装置400に対して車両の利用予約を受付ける予約受付画面を提供すると共に、この予約受付画面を介して入力された情報に基づいて車両の利用予約情報を生成する機能を有する。また、車両予約管理部110は、生成された利用予約情報に基づいて、車両の利用予約に関する様々な処理を実行することができる。
【0030】
電力供給制御部120は、電力系統からの要請に応じて、各電気自動車EVの蓄電池に蓄えられた電力の電力系統への供給を制御する機能を有する。
【0031】
情報取得部121は、電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報と、車両の利用予約情報とを取得する機能を有する取得部の一例である。電力供給要請情報は、例えば電力需給管理装置200から受信される。情報取得部121は、電力供給要請情報の受信に応じて、上記供給時間帯の前後にかかる車両の利用予約情報を取得し、電力供給要請情報と車両の利用予約情報を供給電力算出部123に入力することができる。
【0032】
供給電力算出部123は、要請された供給時間帯に、電力系統に供給することのできる供給電力を車両の利用予約情報に基づいて算出する算出部の一例である。供給電力算出部123は、カーシェアリングサービス会社が保有する車両のうち、比較的大容量の蓄電池を搭載する車両から電力供給の対象車両を選択し、選択された車両のそれぞれが供給時間帯において供給することのできる最大電力を累積することによって、カーシェアリングサービス会社全体が供給することのできる供給電力を算出することができる。このとき供給電力算出部123は、供給時間帯に利用予約されていない車両を対象車両として選択することができる。また、供給電力算出部123は、急な予約に対応するために、各ステーション毎に1台の、あるいは全てではない一部の車両を、またあるいは例えば過去の利用・予約実績や天気予報などの情報などから予測した台数の車両を、対象車両から除外してもよい。
【0033】
なお、この供給電力算出部123は、供給時間帯の後に入れられている利用予約により消費される電力量が利用予約の開始時点までに予約された車両の蓄電池に充電されるように、供給電力を算出することができる。すなわち、供給電力算出部は、供給時間帯の終わる時点から利用予約の開始時点までの間に、供給時間帯の後に入れられた利用予約による車両の利用に用いられる充電量まで充電されるように、当該車両から供給する電力を算出することができる。なお、供給電力算出部123による供給電力算出の詳細については、後に詳述される。
【0034】
通知部125は、供給電力算出部123により算出された供給電力を電力系統に通知する機能を有する。通知部125は、供給電力算出部123が電力系統に供給する電力を算出すると、算出した供給電力の値を電力需給管理装置200に通知することができる。また、通知部125は、それぞれの車両が供給する電力の値を各ステーションSTに通知することもできる。
【0035】
以上、本実施形態に係る車両予約管理装置100の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0036】
なお、上述のような本実施形態に係る車両予約管理装置100の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作成し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0037】
<2.動作>
〔2−1.システム動作〕
まず、図3を参照しながら本開示の一実施形態に係る電力供給システムの動作の一例について説明する。図3は、同実施形態に係る電力供給システムの動作を示すシーケンス図である。
【0038】
まず、電力需給管理装置200は、電力需要が供給を超過することを予測する(S101)。すると、電力需給管理装置200は、車両予約管理装置100に電力の供給を要請する供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報を送信する(S103)。すると、車両予約管理装置100は、要請された時間帯において電力系統に供給することのできる供給電力を算出する(S105)。ここで算出される電力は、サービスの維持のために必要なバッファを設けた上で取りうる最大の値であってよい。
【0039】
車両予約管理装置100は、供給電力を算出すると、算出した供給電力を電力需給管理装置200に送信することができる(S107)。そして、車両予約管理装置100は、ステップS105において算出した供給電力に基づいて電力供給が可能であるか否かを判断し(S109)、電力供給が可能である場合には各ステーションに対して電力供給を指示することができる(S111)。ここでステップS111において車両予約管理装置100は、各ステーションに接続される電気自動車EVのそれぞれが、供給時間帯において、供給電力算出部123により算出された電力を供給するように指示することができる。
【0040】
なお、ここでは電力供給要請情報には供給時間帯の情報が含まれ、車両予約管理装置100はこの供給時間帯において供給することのできる電力の値を電力需給管理装置200に通知することとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、電力需給管理装置200は、供給を要請する電力値を含む電力供給要請情報を車両予約管理装置100に送信してもよい。このとき車両予約管理装置100は、例えば要請された電力値を供給することができるとき、電力系統に電力の供給をおこなってもよい。また、電力需給管理装置200は、車両予約管理装置100から受信した供給電力に基づいて、車両予約管理装置100の管理する車両からの電力供給を受けるか否かを判断し、車両予約管理装置100に電力供給の要請、又は電力供給が不要である旨の通知を送信してもよい。
【0041】
〔2−2.供給電力の算出動作〕
次に、図4から図7を参照しながら供給電力の算出動作について説明する。なお、ここで説明する供給電力の算出動作は、図3のステップS105の詳細を示す。図4は、同実施形態に係る車両予約管理装置の供給電力算出処理の動作を示すフローチャートである。図5は、同実施形態に係る車両予約管理装置の、選択された1台の車両が供給することのできる最大電力を算出する算出処理の動作を示すフローチャートである。図6は、同実施形態に係る車両予約管理装置の供給電力算出処理について説明するための説明図である。図7は、同実施形態に係る車両予約管理装置の供給開始までに満充電となる場合の供給電力算出処理について説明するための説明図である。
【0042】
まず図4を参照すると、供給電力算出部123は、まずPtotalの値を初期化して0に設定する(S201)。このPtotalは、カーシェアリングサービス会社が保有する車両が電力系統に供給することのできる電力の総量である。次に、供給電力算出部123は、未処理の電気自動車EVがあるか否かを判断する(S203)。ここで、未処理の電気自動車EVがないと判断されると、処理は終了する。
【0043】
一方、ステップS203において未処理の電気自動車EVがあると判断されると、供給電力算出部123は、未処理の電気自動車EVのうち1つを処理対象の車両として選択する(S205)。そして、選択された電気自動車EVがサービス中であるか否かを判断する(S207)。ここで、サービス中であるか否かは、例えば電気自動車EVがステーションに駐車されているか否かに基づいて判断されてよい。そして、選択された電気自動車EVがサービス中である場合には、電力供給対象としないため再びステップS203に戻る。一方、選択された電気自動車EVがサービス中でない場合、次に供給電力算出部123は、選択された電気自動車EVの予約時間が、電力の供給を要請された供給時間帯と重なるか否かを判断する(S209)。ここで、選択された電気自動車EVの予約時間が供給時間帯と重なる場合も、当該電気自動車EVは電力供給対象としないため、再びステップS203に戻る。
【0044】
一方、ステップS209において予約時間帯が供給時間帯と重ならないと判断された場合には、供給電力算出部123は、当該電気自動車EVを電力供給対象の車両として確保し、供給時間帯の予約受付を停止する(S211)。そして、供給電力算出部123は、選択された電気自動車EVについて供給可能な最大電力を算出する(S213)。ここで、ステップS213の詳細については図5を参照しながら後述される。選択された電気自動車EVが電力系統に供給することのできる電力を算出すると、供給電力算出部123は、再びステップS203の処理に戻る。そして、かかる動作がステップS203において未処理の電気自動車EVがなくなるまで繰り返される。
【0045】
ここで、選択された1台の電気自動車EVが供給する電力の算出処理の詳細について図5〜図7を参照しながら説明する。供給電力算出部123は、まず供給時間帯の開始までに、対象の電気自動車EVの蓄電池が満充電状態となるか否かを判断する(S301)。ここで時刻tにおける充電量をC(t)とし、供給電力を算出する時点における時刻をt=0とする。また充電電力をPcとし、供給時間帯の開始時点の時刻をt1とし、満充電状態の充電量をCmaxとする。すると、供給電力算出部123は、現時点において、多選択された電気自動車EVの蓄電池に充電されている第1の電力量C(0)と、充電電力Pcと充電する時間長t1との積Pct1との和を算出し、「C(0)+Pct1」が満充電状態の充電量Cmax(すなわち充電容量)を超えるか否かを判断する(S301)。ここで、「C(0)+Pct1」が充電容量Cmaxを超えない例が図6に示され、「C(0)+Pct1」が充電容量Cmaxを超える例が図7に示される。ここで、充電容量Cmaxは、充電することのできる最大の値であってもよいし、電池の長寿命化を図るために最大値より少し小さい値が予め設定されていてもよい。
【0046】
次に、供給電力算出部123は、供給時間帯において当該電気自動車EVが電力供給するための放電電力Psの最大値を算出する。供給電力算出部123は、供給時間帯の終わる時点t2から利用予約の開始時点Trまでの間に、電気自動車EVの利用予約において用いるために必要な充電量まで電気自動車EVの蓄電池が充電されるように、この放電電力Psを算出することができる。ここで、放電電力Psを算出するための算出式は、上述の「C(0)+Pct1」が充電容量Cmaxを超えるか否か(すなわち、供給時間帯の開始時点t1までに満充電状態となるか否か)により異なる。
【0047】
供給電力算出部123は、現時点(t=0)において蓄電池に充電されている第1の電力量C(0)、現時点(t=0)から供給時間帯の開始時点t1までに充電される第2の電力量、供給時間帯の終了時点t2から利用予約の開始時点Trまでに充電される第3の電力量を加算した値から、利用予約による車両の利用に用いられる第4の電力量Crを減算した値を算出し、単位時間当たりの値に換算することによって、放電電力Psを算出することができる。
【0048】
このとき、第2の電力量の値は、「C(0)+Pct1」が充電容量Cmaxを超えない場合、すなわち時刻t1までに満充電状態とならない場合には、Pct1である。しかし、「C(0)+Pct1」が充電容量Cmaxを超える場合、すなわち時刻t1までに満充電状態となる場合には、第2の電力量の値は、Pct1より小さい値となる。この場合には、第1の電力量と第2の電力量との和がCmaxとなる。放電電力Psは、第1の電力と第2の電力と第3の電力との和から第4の電力を減算した値を供給時間帯の時間長(t2−t1)で除算した値である。
【0049】
したがって、ここで算出される放電電力Psは、「C(0)+Pct1」が充電容量Cmaxを超えない場合、すなわち時刻t1までに満充電状態とならない場合には、以下の数式(1)で表される(S303)。
【0050】

【0051】
また、ここで算出される放電電力Psは、「C(0)+Pct1」が充電容量Cmaxを超える場合、すなわち時刻t1までに満充電状態となる場合には、以下の数式(2)で表される(S305)。
【0052】

【0053】
なお、第4の電力量Crは、利用予約による使用に必要な電力量であり、利用予約時に設定される移動時間、移動距離と、利用予約時に予想される道路状況、天候などから推定されてよい。当然ながら、Crの値は、電気自動車EVごとに異なる。
【0054】
次に、供給電力算出部123は、算出した放電電力Psが蓄電池の最大放電電力の仕様値Pmaxを超えるか否かを判断する(S307)。仕様により蓄電池の放電できる電力は最大値が決められている。従って、ステップS303又はステップS305において算出された放電電力PsがPmaxを超える場合には、放電電力Psに仕様による最大放電電力Pmaxを設定する。そして、供給電力算出部123は、供給電力Ptotalに、ここで処理対象とした電気自動車EVが供給することのできる放電電力Psを加える(S311)。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0056】
例えば、上記実施形態では、車両の利用予約を優先することとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、場合によっては、キャンセル料を利用予約した会員に支払うコストや、キャンセルによる評判の悪化に伴う将来の収益の低下を考慮しても、電力供給の要請を優先させることもあってよい。この場合には、車両予約管理装置100は、電力供給要請情報に基づいて利用予約のキャンセル処理を行い、キャンセルされた電気自動車EVを電力供給に用いる車両に加えてもよい。このとき、車両予約管理装置100は、利用予約のキャンセルに伴うコストが最も安い電気自動車EVから順に利用予約をキャンセルすることが望ましい。
【0057】
また上記実施形態では、1つの供給時間帯t1〜t2についての電力供給の要請について説明したが、本技術はかかる例に限定されない。同様の処理を複数の時間帯について行うことによって、複数の時間帯についての電力供給要請に応じることもできる。
【0058】
尚、本明細書において、シーケンス図及びフローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【0059】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得する取得部と、
前記利用予約情報に基づいて、前記供給時間帯において前記車両から前記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、
算出された前記供給電力を前記電力系統に通知する通知部と、
を備える、情報処理装置。
(2)
前記算出部は、前記供給時間帯に利用予約されていない前記車両のそれぞれが供給する電力を累積することによって前記供給電力を算出する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記算出部は、前記供給時間帯の終わる時点から前記利用予約の開始時点までの間に前記利用予約による前記車両の利用に用いられる充電量まで充電されるように、前記車両のそれぞれが供給する電力を算出する、前記(1)又は(2)のいずれかに記載の情報処理装置。
(4)
前記算出部は、現時点において前記蓄電池に充電されている第1の電力量、現時点から前記供給時間帯の開始時点までに充電される第2の電力量、及び前記供給時間帯の終了時点から前記利用予約の開始時点までに充電される第3の電力量を加算した値から、前記利用予約による前記車両の利用に用いられる第4の電力量を減算した値を算出し、単位時間当たりの値に換算することによって、前記車両のそれぞれが供給する電力を算出する、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(5)
前記算出部は、現時点から前記供給時間帯の開始時点までの時間長及び充電電力の積と、前記第1の電力量との和が充電容量を超えるとき、前記第1の電力量と前記第2の電力量との和を前記充電容量の値として前記供給電力を算出する、前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)
前記算出部は、現時点から前記供給時間帯の開始時点までの時間長及び充電電力の積と、前記第1の電力量との和が充電容量を超えないとき、現時点から前記供給時間帯の開始時点までの前記時間長及び前記充電電力の積を前記第2の電力量として前記供給電力を算出する、前記(5)に記載の情報処理装置。
(7)
電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得することと、
前記利用予約情報に基づいて、前記供給時間帯において前記車両から前記電力系統に供給する供給電力を算出することと、
算出された前記供給電力を前記電力系統に通知することと、
を含む、情報処理方法。
(8)
コンピュータを、
電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得する取得部と、
前記利用予約情報に基づいて、前記供給時間帯において前記車両から前記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、
算出された前記供給電力を前記電力系統に通知する通知部と、
を備える情報処理装置として機能させるためのプログラム。
(9)
コンピュータを、
電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得する取得部と、
前記利用予約情報に基づいて、前記供給時間帯において前記車両から前記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、
算出された前記供給電力を前記電力系統に通知する通知部と、
を備える情報処理装置として機能させるためのプログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体。
(10)
電力の需要が供給を上回ると予測される時間帯に電力の供給を要請する電力供給要請情報を送信する電力系統と、
車両の利用予約情報を送信するユーザ装置と、
前記電力供給要請情報、及び複数の前記車両に関する前記利用予約情報を取得する取得部と、前記利用予約情報に基づいて、前記電力供給要請情報に含まれる供給時間帯において前記車両から前記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、算出された前記供給電力を前記電力系統に通知する通知部と、
を有する情報処理装置と、
を備える、情報処理システム。
【符号の説明】
【0060】
100 車両予約管理装置(情報処理装置)
110 車両予約管理部
120 電力供給制御部
121 情報取得部(取得部)
123 供給電力算出部(算出部)
125 通知部
200 電力需給管理装置(電力系統)
300 電力網(電力系統)
400 ユーザ装置
ST ステーション
EV 電気自動車(車両)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得する取得部と、
前記利用予約情報に基づいて、前記供給時間帯において前記車両から前記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、
算出された前記供給電力を前記電力系統に通知する通知部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記供給時間帯に利用予約されていない前記車両のそれぞれが供給する電力を累積することによって前記供給電力を算出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記供給時間帯の終わる時点から前記利用予約の開始時点までの間に前記利用予約による前記車両の利用に用いられる充電量まで充電されるように、前記車両のそれぞれが供給する電力を算出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記算出部は、現時点において前記蓄電池に充電されている第1の電力量、現時点から前記供給時間帯の開始時点までに充電される第2の電力量、及び前記供給時間帯の終了時点から前記利用予約の開始時点までに充電される第3の電力量を加算した値から、前記利用予約による前記車両の利用に用いられる第4の電力量を減算した値を算出し、単位時間当たりの値に換算することによって、前記車両のそれぞれが供給する電力を算出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、現時点から前記供給時間帯の開始時点までの時間長及び充電電力の積と、前記第1の電力量との和が充電容量を超えるとき、前記第1の電力量と前記第2の電力量との和を前記充電容量の値として前記供給電力を算出する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記算出部は、現時点から前記供給時間帯の開始時点までの時間長及び充電電力の積と、前記第1の電力量との和が充電容量を超えないとき、現時点から前記供給時間帯の開始時点までの前記時間長及び前記充電電力の積を前記第2の電力量として前記供給電力を算出する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得することと、
前記利用予約情報に基づいて、前記供給時間帯において前記車両から前記電力系統に供給する供給電力を算出することと、
算出された前記供給電力を前記電力系統に通知することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得する取得部と、
前記利用予約情報に基づいて、前記供給時間帯において前記車両から前記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、
算出された前記供給電力を前記電力系統に通知する通知部と、
を備える情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
電力系統が電力の供給を要請している供給時間帯の情報を含む電力供給要請情報、及び車両の利用予約情報を取得する取得部と、
前記利用予約情報に基づいて、前記供給時間帯において前記車両から前記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、
算出された前記供給電力を前記電力系統に通知する通知部と、
を備える情報処理装置として機能させるためのプログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
電力の需要が供給を上回ると予測される時間帯に電力の供給を要請する電力供給要請情報を送信する電力系統と、
車両の利用予約情報を送信するユーザ装置と、
前記電力供給要請情報、及び複数の前記車両に関する前記利用予約情報を取得する取得部と、前記利用予約情報に基づいて、前記電力供給要請情報に含まれる供給時間帯において前記車両から前記電力系統に供給する供給電力を算出する算出部と、算出された前記供給電力を前記電力系統に通知する通知部と、
を有する情報処理装置と、
を備える、情報処理システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−27154(P2013−27154A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159725(P2011−159725)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】