説明

情報処理装置、情報処理方法

【課題】 患者の個人情報を構成する各要素のうち、状況に応じたものを参照できるようにするための技術を提供すること。
【解決手段】 画像識別情報で特定される個人情報、画像処理パラメータを検索し(S31)、読み出した個人情報のうち、利用者端末に送信するために読み出し可能な要素を特定する処理を行う(S32)。S31で検索した個人情報を構成する各要素のうち、S32で特定した要素を読み出す(S33)。画像識別情報で特定される医用画像のデータを検索し、検索した医用画像に対して、S31で検索した画像処理パラメータを用いて画像処理を施す(34)。そして、画像処理後の医用画像のデータに対して、S33で読み出した要素を付加し(S35)、利用者端末に対して送信する(S36)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像の管理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来はX線装置で写真を撮影し、フィルムを現像した後、シャウカステンを用いて読影することが行われていた。しかし、ディジタルX線装置が開発され、X線画像はデジタルデータとしてコンピュータに取り込まれるようになった。そのため今日では、コンピュータのディスプレイ上にX線画像を表示し、読影することが行われている。
【0003】
この際、患者名、生年月日、性別、年齢、病名、撮影日時等の付帯情報はディスプレイ上にX線画像とともに表示されている。例えば、この個人情報を、アクセスする操作者に応じて表示させなくする技術は既に開示されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2003−216496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、上記患者の個人情報は保護されなければならなくない。しかし、患者個人の診療時等においては患者の情報は不可欠であり、個人情報を全て隠してしまうというわけにもいかない。
【0005】
そこで、利用目的に応じて、個人情報が分からないようにしなければならないという課題がある。個人情報とは、患者名や生年月日ばかりではなく、非常に珍しい症例なども本人を特定することにつながるため、このようなケースにおいても、個人情報が分からないようにしなければならないという点が、課題となっている。
【0006】
本発明は以上の問題に鑑みて成されたものであり、患者の個人情報を構成する各要素のうち、状況に応じたものを参照できるようにするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の情報処理装置は以下の構成を備える。
【0008】
即ち、患者の医用画像、及び当該患者に係る個人情報のセットが複数セット登録されているデータベースに対してアクセス可能な情報処理装置であって、
前記個人情報に含まれているそれぞれの要素に対する読み出し条件を保持する保持手段と、
前記データベース内の患者の医用画像に対してアクセスするためのアクセス情報が外部から入力されたことを検知すると、当該医用画像とセットで前記データベース内に登録されている個人情報に含まれているそれぞれの要素のうち、読み出し可能な要素を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定した要素、及び前記医用画像を前記データベースから読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段が読み出した要素、及び前記医用画像を外部に出力する出力手段と
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の情報処理方法は以下の構成を備える。
【0010】
即ち、患者の医用画像、及び当該患者に係る個人情報のセットが複数セット登録されているデータベースに対してアクセス可能な情報処理装置が行う情報処理方法であって、
前記個人情報に含まれているそれぞれの要素に対する読み出し条件をメモリに保持する保持工程と、
前記データベース内の患者の医用画像に対してアクセスするためのアクセス情報が外部から入力されたことを検知すると、当該医用画像とセットで前記データベース内に登録されている個人情報に含まれているそれぞれの要素のうち、読み出し可能な要素を特定する特定工程と、
前記特定工程で特定した要素、及び前記医用画像を前記データベースから読み出す読み出し工程と、
前記読み出し工程で読み出した要素、及び前記医用画像を外部に出力する出力工程と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成により、患者の個人情報を構成する各要素のうち、状況に応じたものが参照できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下添付図面を参照して、本発明を好適な実施形態に従って詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、患者の医用画像を、この患者の個人情報と共に取得して管理すると共に、管理しているものを適宜提供することのできるシステムの機能構成を示すブロック図である。
【0014】
本実施形態に係るシステムは同図に示す如く、撮影装置100、サーバ装置12、利用者端末106により構成されている。
【0015】
先ず、撮影装置100について説明する。撮影装置100は、患者の医用画像を撮像し、撮像した医用画像のデータと共に、この医用画像に関する情報(患者名、生年月日、性別、年齢、病名、撮影日時等)をサーバ装置12に送信する。なお、医用画像に関する情報には、患者の個人情報(患者名、生年月日、性別、年齢、病名等)や、画像処理パラメータが含まれている。
【0016】
次に、利用者端末106について説明する。利用者端末106は、所望の医用画像、及びこの医用画像に係る情報を取得すべく、サーバ装置12に対してアクセスするために用いられるものである。
【0017】
次に、サーバ装置12について説明する。サーバ装置12は、受信部101、情報抽出部102、情報登録部103、画像蓄積部104、データベース105、外部入力部107、外部出力部112、抽出ルール決定部108、ルール記憶部113、画像処理部111、転送個人情報抽出部110、情報検索部109により構成されている。
【0018】
受信部101は、撮影装置100から送信される医用画像のデータ、及びこの医用画像に関する情報を受信し、後段の情報抽出部102に出力する。
【0019】
情報抽出部102は、受信部101から医用画像のデータを受けると、これを画像蓄積部104に出力する。また、受信部101からこの医用画像に関する情報を受けると、この医用画像に関する情報から、個人情報と画像処理パラメータとを取り出し、後段の情報登録部103に出力する。
【0020】
情報登録部103は、情報抽出部102から受けた個人情報、画像処理パラメータをデータベース105に出力する。なお、データベース105に登録された個人情報、画像処理パラメータは、画像蓄積部104に登録された医用画像に関連付けて登録される。
【0021】
なお、同図で10は、医用画像、及びこの医用画像に関する情報をそれぞれ画像蓄積部104、データベース105に登録するための部分である。
【0022】
外部入力部107には、アクセス対象の医用画像を識別するための情報、即ち、利用者端末106側で閲覧したい所望の画像を識別するための情報、が利用者端末106から入力されるので、外部入力部107はこの情報に基づいて、画像蓄積部104に格納されている複数の医用画像のうち、入力された情報が示す医用画像を検索し、検索した画像を画像処理部111に出力する。
【0023】
また、外部入力部107は、アクセス対象の医用画像を識別するための情報、即ち、利用者端末106側で閲覧したい所望の画像を識別するための情報に基づいて(例えば「医師」の場合に限る等)、診断後の病名・症状等の個人情報の追加・変更・削除、患者名等の誤りがあった場合や記入漏れがあった場合等のための個人情報の追加・変更・削除を行うことが可能である。上記個人情報は外部入力部107を通りデータベース105に反映される。
【0024】
抽出ルール決定部108には、利用者端末106がサーバ装置12にアクセスする目的を示す情報、利用者端末106の操作者を識別するための情報が利用者端末106から入力されるので、抽出ルール決定部108は、受けたこれらの情報、及びルール記憶部113に格納されている後述のテーブルを用いて、利用者端末106によるアクセス対象の医用画像に関連付けられている個人情報のうち、読み出し可能な要素を特定する処理を行う。
【0025】
情報検索部109は、データベース105に登録されている個人情報、画像処理パラメータのうち、外部入力部107が画像蓄積部104から読み出した医用画像に対応する個人情報、画像処理パラメータを読み出し、後段の転送個人情報抽出部110に出力する。
【0026】
転送個人情報抽出部110は、情報検索部109から受けた個人情報を構成するそれぞれの要素のうち、抽出ルール決定部108が特定した要素のみを抽出し、抽出した要素を、情報検索部109から受けた画像処理パラメータと共に画像処理部111に出力する。 画像処理部111は、外部入力部107により検索された医用画像に対して、転送個人情報抽出部110から受けた画像処理パラメータを用いて画像処理を行い、画像処理後の医用画像を、転送個人情報抽出部110から受けた要素と共に、外部出力部112に出力する。外部出力部112は、画像処理部111から受けた画像処理後の医用画像と、要素とを利用者端末106に送信する。
【0027】
なお、同図で11は、サーバ装置12と利用者端末106とのデータ通信を示す部分である。
【0028】
図6は、上記サーバ装置12に適用可能なコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。本実施形態では同図に示す構成を有するコンピュータをサーバ装置12に適用するが、サーバ装置12に適用可能な構成は同図に示した構成に限定するものではない。
【0029】
601はCPUで、RAM602やROM603に格納されているプログラムやデータを用いてサーバ装置12全体の制御を行うと共に、サーバ装置12が行う後述の各処理を行う。なお、図1に示したサーバ装置12を構成する各部において、画像蓄積部104、データベース105、ルール記憶部113以外については、CPU601が有する機能の一部として動作するものである。
【0030】
602はRAMで、外部記憶装置606からロードされたプログラムやデータを一時的に記憶するためのエリア、I/F607、NIC608を介して外部から受信したデータを一時的に記憶するためのエリア、CPU601が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアなど、各種のエリアを適宜提供することができる。
【0031】
603はROMで、ブートプログラムやサーバ装置12の設定データなどを格納する。
【0032】
604は操作部で、キーボードやマウスなどにより構成されており、サーバ装置12の操作者が操作することで、各種の指示をCPU601に対して入力することができる。
【0033】
605は表示部で、CRTや液晶画面などにより構成されており、CPU601による処理結果を画像や文字などでもって表示することができる。
【0034】
606は外部記憶装置で、ハードディスクドライブ装置に代表される大容量情報記憶装置であって、ここにOS(オペレーティングシステム)や、CPU601にサーバ装置1が行う各種の処理を実行させるためのプログラムやデータが保存されており、これらはCPU601による制御に従って、適宜RAM602にロードされるものである。なお、図1に示した画像蓄積部104、データベース105、ルール記憶部113は全てこの外部記憶装置606内に設けられているものである。また、RAM602内に設けられるものとして説明した上記各エリアの一部若しくは全部をこの外部記憶装置606内に設けるようにしても良い。
【0035】
607はI/Fで、ここには上記撮影装置100が接続され、撮影装置100から出力された医用画像のデータ、この医用画像に係る情報はこのI/F607を介してRAM602、若しくは外部記憶装置606に対して入力される。
【0036】
608はNIC(ネットワークインターフェース)で、サーバ装置12をLANやインターネットなどのネットワークに接続するためのものである。このネットワークには利用者端末106も接続されている。従って、サーバ装置12は、このNIC608を介してネットワークに接続されている利用者端末106とのデータ通信を行うことができる。
【0037】
609は上述の各部を繋ぐバスである。
【0038】
次に、撮影装置100から送出される医用画像のデータ、及びこの医用画像に係る情報を外部記憶装置606内に登録するための処理について、同処理のフローチャートを示す図2を用いて以下説明する。なお、同図のフローチャートに従った処理をCPU601に実行させるためのプログラムやデータは外部記憶装置606に保存されており、これはCPU601による制御に従ってRAM602にロードされ、CPU601がこれを用いて処理を実行することで、サーバ装置12は以下説明する各処理を実行する。
【0039】
先ず、撮影装置100からは、医用画像のデータと共に、この医用画像に係る情報(付帯情報)がI/F607を介してサーバ装置12内に入力されるので、CPU601は受信部101として機能し、これをRAM602、若しくは外部記憶装置606に格納する(ステップS20)。
【0040】
次に、CPU601は情報抽出部102として機能し、撮影装置100から受信した医用画像のデータを外部記憶装置606内に設けられた画像蓄積部104に登録する(ステップS21)。なお、医用画像のデータを登録する際には、ファイル名など、それぞれの医用画像のデータを識別するための情報がCPU601によって付けられる。
【0041】
また、CPU601は、情報登録部103として機能し、撮影装置100から受信した医用画像に係る情報から、個人情報、画像処理パラメータを抽出し、これらを外部記憶装置606内に設けられたデータベース105に登録する(ステップS22)。なお、個人情報、画像処理パラメータを登録する際には、ステップS21で登録した医用画像のデータを識別するための情報と共に登録される。即ち、ステップS21で登録される医用画像のデータと、ステップS22で登録される個人情報、画像処理パラメータとは関連付けられて登録されるものとする。また、本実施形態では、医用画像のデータの登録先と、個人情報、画像処理パラメータを登録する登録先とは別個のものとしているが、同じデータベース内に、それぞれを関連付けて登録するようにしても良い。
【0042】
図2に戻って、次に、未だ登録する対象が撮影装置100内に残っている場合には処理をステップS20に戻すのであるが、登録する対象が残っていない場合には本処理を終了する。
【0043】
次に、利用者端末106から、所望の医用画像、及びこの医用画像に関する情報の送信を要求する旨を受けた場合に、サーバ装置12が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図3を用いて以下説明する。
【0044】
利用者端末106の操作者は、外部記憶装置606内に登録されている医用画像のデータを閲覧したい場合には、閲覧したい医用画像のデータを識別するための情報(画像識別情報)、例えばファイル名をサーバ装置12に送信する必要がある。
【0045】
また、医用画像のデータを閲覧(使用)するには、その目的、例えば、患者の診察を行うためにこの患者の医用画像のデータが必要な場合、学会の発表などで資料の一例として適当な1つの医用画像のデータが必要な場合等、何れかの目的を示す情報(目的)をサーバ装置12に送信する必要がある。
【0046】
また、利用者端末106を操作している操作者を識別するための情報(識別情報)をサーバ装置12に送信する必要がある。
【0047】
そこで、利用者端末106側では、これらの情報を例えばGUIなどでもって設定し、設定したこれらの情報をサーバ装置12に送信する。
【0048】
利用者端末106からこのような情報群、即ち、画像識別情報、識別情報、目的情報がサーバ装置12に送信されると、これらの情報はNIC608を介してサーバ装置12内に入力される。サーバ装置12のCPU601はこれらの情報の入力を検知すると、これらの情報をRAM602、若しくは外部記憶装置606内に格納する(ステップS30)。
【0049】
次に、外部記憶装置606内のデータベース105に登録されている個人情報、画像処理パラメータのうち、画像識別情報で特定される個人情報、画像処理パラメータを検索する(ステップS31)。即ち、データベース105内には上述の通り、個人情報と画像処理パラメータのセットが、医用画像毎に登録されており、更に、それぞれのセットは、画像識別情報でもって対応する医用画像と関連付けられている。従って、画像識別情報を指定すると、医用画像のデータ、個人情報、画像処理パラメータを一意に検索することができる。
【0050】
次に、ステップS31で読み出した個人情報のうち、利用者端末106に送信するために読み出し可能な要素を特定する処理を行う(ステップS32)。以下に本ステップにおける処理の詳細について説明する。
【0051】
図5は、外部記憶装置606内のルール記憶部113内に保持されているテーブルの構成例を示す図である。同図のテーブルは、識別情報、目的情報、患者の病気の種類、患者承諾の有無に応じて、個人情報のうち、読み出し可能な要素を示すものである。即ち、換言すれば、個人情報を構成する各要素に対する読み出し条件を示すものである。
【0052】
ここで、「特殊な病気」とは、一般的に難病と呼ばれるものを本実施形態では指すが、このシステムの設置されている病院において症例の少ない、例えば、データベース内に数件しかない病名、又は、割合的に数パーセントしかない病名なども指す。
【0053】
例えば、識別情報が「医師」で、目的情報が「発表・資料・研究・勉強」であって、患者の病気の種類が「一般的な病気」であって、患者承諾が「なし」である場合、ステップS31で検索した個人情報を構成する各要素のうち、読み出し可能なものは「病名のみ」となる。
【0054】
また、識別情報が「医師」で、目的情報が「本人の診察」であって、患者の病気の種類が「一般的な病気」である場合、ステップS31で検索した個人情報を構成する全ての要素が読み出し可能となる。
【0055】
また、識別情報が「医師」で、目的情報が「発表・資料・研究・勉強」であって、患者の病気の種類が「特殊な病気」である場合、患者が特定されてしまう危険性があることから、患者承諾が「なし」である場合、ステップS31で検索した個人情報を構成する全ての要素は読み出し不可能となるし、患者承諾が「あり」である場合、ステップS31で検索した個人情報を構成する各要素のうち、読み出し可能なものは「性別、年齢、病名」となる。
【0056】
このように、同図のテーブルを参照すれば、各種の条件に応じて、読み出し可能な要素を特定することができる。なお、本実施形態では、「病気の種類」、「患者承諾の有無」を示す情報はサーバ装置12には入力されていないが、必要であれば、利用者端末106側で適宜設定し、適宜サーバ装置12に送信すればよい。また、読み出し可能な要素を特定するための条件は同図のテーブルに示したものに限定するものではなく、適宜変更は可能である。
【0057】
要するに、読み出し可能な要素は、様々な条件によって変化するし、この「条件」についても、様々なものが考えられるので、どのような情報に基づいて読み出し可能な要素を特定するのかについては特に限定するものではない。
【0058】
図3に戻って、次に、ステップS31で検索した個人情報を構成する各要素のうち、ステップS32で特定した要素を読み出す(ステップS33)。
【0059】
次に、外部記憶装置606内の画像蓄積部104内に登録されている医用画像群のうち、ステップS30で受信した画像識別情報で特定される医用画像のデータを検索し、検索した医用画像に対して、ステップS31で検索した画像処理パラメータを用いて画像処理を施す(ステップS34)。この画像処理は階調処理や鮮鋭化処理を含み、階調特性を最適にする画像処理である。
【0060】
そして、画像処理後の医用画像のデータに対して、ステップS33で読み出した(取り出した)要素(部分的な個人情報)を付加し(ステップS35)、利用者端末106に対して送信する(ステップS36)。
【0061】
次に、まだ利用者端末106に対して送信すべき医用画像があるかを判断し(ステップS37)、ある場合には処理をステップS30に戻すのであるが、無い場合には本処理を終了する。
【0062】
以上の説明により、本実施形態によれば、患者のプライバシーを侵害することなく、医用に必要な情報は使用可能となるので、様々なケースに応じた個人情報のスムーズな使い分けが可能となる。そのため、個人情報を表示したり、非表示にしたりという余計な手間が省くことが可能となり、医者にとって有用である。
【0063】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、個人情報を構成する各要素のうち、利用者端末106に送信可能な要素を決定する処理はサーバ装置12側で行っていた。本実施形態では、利用者端末106側で決定する。
【0064】
図4は、利用者端末106が、閲覧要求する個人情報のうち、読み出し可能な要素を決定する処理のフローチャートである。また、説明上、個人情報を構成する要素は、「患者名、生年月日、性別、年齢、病名、撮影日時」であるとする。
【0065】
先ず、利用者端末106の操作者は、利用者端末106を用いて患者の医用画像、及びこの医用画像に係る情報をサーバ装置12から取得するために、自身の識別情報や、医用画像を取得するための目的、患者の承諾があるのか否か、この患者の病気の種類(特殊度)等をGUIを用いて設定する。図4のフローチャートに従った処理は、この設定処理が成された後に行われるものである。
【0066】
先ず、GUIを用いて設定した識別情報を参照し、この操作者が医師であるのか否かをチェックする(ステップS51)。チェックの結果、識別情報が医師を示すものではない場合には、これから閲覧しようとする患者の個人情報を構成する各要素のうち全てを読み出し不可と判断する。
【0067】
一方、識別情報が医師を示すものである場合には処理をステップS52に進め、GUIを用いて設定した目的情報を参照し、個人情報を閲覧する目的が、この個人情報を有する患者本人の診察であるか、発表・資料・研究・勉強であるのか、その他であるのかをチェックする(ステップS52)。チェックの結果、患者本人の診察である場合には、個人情報を構成する各要素のうち全てを読み出し可能と判断する。また、その他である場合には、これから閲覧しようとする患者の個人情報を構成する各要素のうち全てを読み出し不可と判断する。
【0068】
また、発表・資料・研究・勉強である場合には処理をステップS53に進め、患者の承諾はあるのか否かをチェックする(ステップS53)。チェックの結果、承諾があれば、個人情報を構成する各要素のうち「性別、年齢、病名」を読み出し可能と判断する。
【0069】
一方、患者の承諾がないのであれば処理をステップS54に進め、この患者の病気の特殊度をチェックする(ステップS54)。チェックの結果、特殊度が閾値よりも低い、即ち一般の病気である場合には、個人情報を構成する各要素のうち「病名」のみを読み出し可能と判断する。
【0070】
一方、特殊度が閾値よりも高い場合、若しくは、特殊病例データベース120に登録されているものは、個人情報を構成する各要素のうち全てを読み出し不可と判断する。
【0071】
そして、患者の医用画像、及びこの患者の個人情報を構成する各要素のうち以上の処理により読み出し可能と判断された要素、をサーバ装置12に対して要求する。
【0072】
[第3の実施形態]
上記各実施形態では、サーバ装置12とデータ通信が可能な利用者端末は1台としているが、複数台としても良い。即ち、サーバ装置12が接続しているネットワークに複数台の利用者端末を接続し、それぞれの利用者端末からサーバ装置12に対して医用画像、及びこの医用画像に係る情報を要求するようにしても良い。
【0073】
その場合、サーバ装置12は、それぞれの利用者端末との間で第1の実施形態で説明した様な処理を行うことになる。もちろん、それぞれの利用者端末が第2の実施形態で説明したような動作を行うようにしても良い。
【0074】
[第4の実施形態]
利用者端末は、患者が操作するようにしても良い。即ち、患者が自信の医用画像や自身の個人情報を利用者端末でもって閲覧するようにしても良い。その場合、患者は先ず、利用者端末に自身に対して事前に発行された識別情報(例えば診察券に記載された自身の番号)を利用者端末に入力する。すると、利用者端末は、この患者の最も最近の医用画像(もちろん患者自身がいつの医用画像を閲覧するのかを指定しても良い)と共に、この患者の個人情報を構成する各要素のうち全ての要素の送信要求をサーバ装置12に対して送信する。これにより、サーバ装置12は、要求された医用画像、及びこの患者の個人情報を利用者端末に送信するので、この患者は利用者端末でもって、要求した医用画像、及び自身の個人情報を閲覧することができる。
【0075】
[その他の実施形態]
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体(または記憶媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0076】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0077】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0078】
本発明を上記記録媒体に適用する場合、その記録媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0079】
ここで、上記各実施形態における、保存時や通信時のデータ形式について記載する。
【0080】
撮影装置100から送出される医用画像のデータ、及びこの医用画像に係る情報はDICOM(Digital and Communication in Medicine)と呼ばれる規格(医療におけるデジタル画像と通信の規格)に準拠して送信される。
【0081】
次に、上記データから医用画像に係る情報が情報抽出部102によって抽出された後、RAWデータ形式画像へのパスと共にデータベース105に保存され、画像蓄積部には、RAWデータ形式(画像データのみ。ヘッダーなし画像)として画像が保存される。
【0082】
利用者端末106によって画像が呼び出された場合、データベース105を参照し、データベース105に記載されているパスにある上記RAWデータ形式画像にアクセスする。そして、上記RAWデータ形式画像と抽出ルールに従って抽出された個人情報等のこの医用画像に係る情報は、DICOM規格に準拠し、利用者端末へ送信される。
【0083】
ステップS54の特殊度の判断は、抽出ルール決定部によって行われ、図7のようなデータベースの中にある病名を集計し、病名数がある閾値に満たないものを抽出し、特殊度が高いとする。
【0084】
もしくは、図8に示したような難病データベースと図7のようなデータベースの病名を比較し、特殊病例データベース120に登録されているものを特殊度が高いとする。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】患者の医用画像を、この患者の個人情報と共に取得して管理すると共に、管理しているものを適宜提供することのできるシステムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】撮影装置100から送出される医用画像のデータ、及びこの医用画像に係る情報を外部記憶装置606内に登録するための処理のフローチャートである。
【図3】利用者端末106から、所望の医用画像、及びこの医用画像に関する情報の送信を要求する旨を受けた場合に、サーバ装置12が行う処理のフローチャートである。
【図4】利用者端末106が、閲覧要求する個人情報のうち、読み出し可能な要素を決定する処理のフローチャートである。
【図5】外部記憶装置606内のルール記憶部113内に保持されているテーブルの構成例を示す図である。
【図6】サーバ装置12に適用可能なコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図7】データベース105の一例を示す図である。
【図8】特殊病例データベース120の一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の医用画像、及び当該患者に係る個人情報のセットが複数セット登録されているデータベースに対してアクセス可能な情報処理装置であって、
前記個人情報に含まれているそれぞれの要素に対する読み出し条件を保持する保持手段と、
前記データベース内の患者の医用画像に対してアクセスするためのアクセス情報が外部から入力されたことを検知すると、当該医用画像とセットで前記データベース内に登録されている個人情報に含まれているそれぞれの要素のうち、読み出し可能な要素を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定した要素、及び前記医用画像を前記データベースから読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段が読み出した要素、及び前記医用画像を外部に出力する出力手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記個人情報に含まれているそれぞれの要素には、患者名、患者の病名、患者の生年月日、患者の年齢、患者の性別が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記アクセス情報には、前記データベース内の患者の医用画像に対してアクセスするために操作する端末の操作者を識別するための識別情報、当該アクセスの目的を示す目的情報、当該医用画像を識別する為の画像識別情報が含まれており、
前記特定手段は、前記読み出し条件を参照することで、前記個人情報に含まれているそれぞれの要素のうち、外部から入力された識別情報、目的情報、画像識別情報の組み合わせに応じて読み出し可能な要素を特定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記読み出し条件は、データベースに記憶されている病名に基づき決定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
患者の医用画像、及び当該患者に係る個人情報のセットが複数セット登録されているデータベースに対してアクセス可能な情報処理装置が行う情報処理方法であって、
前記個人情報に含まれているそれぞれの要素に対する読み出し条件をメモリに保持する保持工程と、
前記データベース内の患者の医用画像に対してアクセスするためのアクセス情報が外部から入力されたことを検知すると、当該医用画像とセットで前記データベース内に登録されている個人情報に含まれているそれぞれの要素のうち、読み出し可能な要素を特定する特定工程と、
前記特定工程で特定した要素、及び前記医用画像を前記データベースから読み出す読み出し工程と、
前記読み出し工程で読み出した要素、及び前記医用画像を外部に出力する出力工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに請求項5に記載の情報処理方法を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを格納したことを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−350998(P2006−350998A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48975(P2006−48975)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】