説明

情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】省電力状態下でのRTCへ電力供給が不十分な場合でも、従来の省電力性能をほぼ維持したまま、ネットワーク接続がなくとも単体で時刻測定を可能にすること。
【解決手段】省電力状態で電力供給が遮断されるメインCPU201は、起動時にRTC210から取得した基点時刻に基づいシステム時刻を管理する。また、メインCPU201は、省電力状態へ移行する際に現在のシステム時刻T1をメモリ203に保存しておく(S416)。省電力状態では、省電力状態でも電力供給されるLAN I/F300内のNIC CPU301が、省電力状態での経過時間T2をカウントする(S418〜S421)。その後、省電力状態から復帰した際に、メインCPU201が、メモリ203に保存された時刻値T1とNIC CPU301のカウント値T2とを用いて(T1+T2)、現在のシステム時刻を調整する(S423〜S425)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置における時刻管理に関する。
【背景技術】
【0002】
システムの時刻情報を厳密に計測し管理することは、システムを正常に動作させる上で欠かせない処理である。これを行うことにより、指定時刻でのジョブの自動実行など、時刻に依存した処理を正確に実行することが可能となる。
【0003】
一般的な情報処理装置では、時間計測の手段として、CPU及びRTC(リアルタイムクロック;Real Time Clock)が用いられている。一般的にRTCは、システムへの電力供給が限定された状況下での時間計測を担当しており、そのような状況下でも駆動するために、一次電池などの予備電源が付随した構成となっている。
【0004】
特許文献1では、複写機をネットワークに接続し、ネットワーク上にある他のサーバ等から時刻情報を取得することで、複写機の時刻情報の調整を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−156579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、ネットワーク接続ができず、RTCしかシステムの時刻管理を行うことができない状況下において、RTCへの電力供給が充分になされない場合、時刻計測を行うことができなくなってしまう。その為、時刻計測が不可能であった時間だけシステムの時刻情報に誤差が生じるなど、時刻管理が不充分になるという課題があった。このような状況は、省電力状態中においてRTC付随の電池が電池切れの場合などに発生する。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、省電力状態下においてRTCへ電力供給が行われない場合であっても、従来の省電力性能をほぼ維持したまま、ネットワーク接続がなくとも単体で自身の時間の計測及び時刻情報の管理を行うことが可能な仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、情報処理装置であって、時刻の測定を行う時刻測定手段と、特定のタイミングで前記時刻測定手段から取得された時刻情報を基点時刻情報として記憶する記憶手段と、前記基点時刻情報の示す時刻からの経過時間をカウントし、該カウント値と前記基点時刻情報から前記情報処理装置のシステム時刻を算出する第1処理手段と、前記情報処理装置が省電力状態に移行した場合の経過時間をカウントする第2処理手段と、前記時刻測定手段、前記第1処理手段、前記第2処理手段、及び前記記憶手段に対して電力供給を行うものであり、前記省電力状態では前記時刻測定手段、前記第1処理手段に対する電力供給を遮断する電力供給手段とを有し、前記第1処理手段は、前記省電力状態へ移行する際に、前記第1処理手段が算出したシステム時刻を省電力状態移行時刻情報として前記記憶手段に保存し、前記省電力状態から復帰した際に、前記記憶手段に保存された前記省電力状態移行時刻情報と前記第2処理手段のカウント値とを用いて前記情報処理装置のシステム時刻を調整する調整処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、省電力状態下においてRTC等の時刻測定手段へ電力供給が行われない場合であっても、従来の省電力性能をほぼ維持したまま、ネットワーク接続がなくとも単体で自身の時間の計測及び時刻情報の管理を行うことができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る情報処理装置の一実施形態としての画像形成装置を含むシステムのブロック図である。
【図2】コントローラ3の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図2のLAN I/F300及びコントローラ3の関係を示す図である。
【図4】本発明のシステム時刻管理動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明に係る情報処理装置の一実施形態としての画像形成装置について説明する。
図1は、本発明に係る情報処理装置の一実施形態としての画像形成装置を含むシステムのブロック図である。
図1において、1は画像形成装置である。画像形成装置1は、スキャナ装置2、プリンタ装置4、操作部5、補助記憶装置6、FAX装置7、及びコントローラ3を有する。
スキャナ装置2は、原稿から光学的に画像を読み取りデジタル画像に変換する。プリンタ装置4は、デジタル画像をプリント用紙などの印刷対象に出力する。操作部5は、画像形成装置1の操作を行うためのものである。補助記憶装置6は、デジタル画像や制御プログラム等を記憶するためのものである。FAX装置7は、電話回線等にデジタル画像を送信するためのものである。コントローラ(制御装置)3は、上記各モジュール2、4〜7に接続され、上記各モジュールに指示を出すことにより、画像形成装置1上でジョブを実行制御する。
【0013】
画像形成装置1は、LAN8経由でコンピュータ9からデジタル画像の入出力、ジョブの発行や機器の指示等も実施することが可能である。
スキャナ装置2は、原稿束を自動的に逐次入れ替えることが可能な原稿給紙ユニット(DFユニット)21、原稿を光学スキャンしデジタル画像データに変換することが可能なスキャナユニット22を有する。なお、スキャナユニット22により、デジタル変換された画像データはコントローラ3に送信される。
【0014】
プリンタ装置4は、給紙した紙に画像データ(コントローラ3から受信)を印刷するためのマーキングユニットS41、紙束から一枚づつ逐次給紙可能な給紙ユニット42、印刷後の紙を排紙するための排紙ユニット43を有する。
なお、画像形成装置1は、複写機能、画像送信機能、画像保存機能、画像印刷機能等の多彩な機能を有し、これらの機能に対応するジョブを実行可能である。以下、各機能について説明する。
【0015】
複写機能は、スキャナ装置2から読み込んだ画像を補助記憶装置6に記録し、同時にプリンタ装置4を使用して印刷を実施する機能である。
画像送信機能は、スキャナ装置2から読み込んだ画像をコンピュータ9へLAN8を介して送信する機能である。
画像保存機能は、スキャナ装置2から読み込んだ画像を補助記憶装置6に記録する。必要に応じて画像送信や画像印刷を実施する機能である。
画像印刷機能は、コンピュータ9から送信された例えばページ記述言語を解析し、プリンタ装置4で印刷する機能である。
【0016】
以下、図2を用いて、本発明を具体的に適用するモジュールであるコントローラ3について説明する。
図2は、コントローラ3の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、コントローラ3は、メインボード200と、サブボード220を有する。
メインボード200は、いわゆる汎用的なCPUシステムである。
メインボード200は、CPU201、ブートROM202、メモリ203、バスコントローラ204、不揮発性メモリ205、ディスクコントローラ206、フラッシュディスク207、USBコントローラ208、RTC210等を有する。
【0017】
CPU201(以下、メインCPU201)は、メインボード全体を制御する。ブートROM(Boot Rom)202は、ブートプログラムが記録されている。メモリ(Memory)203は、CPU201がワークメモリとして使用するメモリである。バスコントローラ(Bus Controller)204は、外部バスとのブリッジ機能を持つ。不揮発性メモリ(Non Volatile Memory)205は、電源断された場合でもデータを保持し続けることができる記憶装置である。
【0018】
ディスクコントローラ(Disk Controller)206は、ストレージ装置(例えば、補助記憶装置6)を制御する。フラッシュディスク(Flash Disk)207は、SSD等の半導体デバイスで構成された比較的小容量なストレージ装置である。USBコントローラ(USB controller)208は、USB機器(例えば、USBメモリ209)を制御するためのものである。RTC210は、システムの時刻の測定(時刻測定)及び管理を行う時刻測定装置ものである。
【0019】
メインボード200には外部に、USBメモリ(USB Memory)209、操作部5、LAN I/F300、補助記憶装置6等が接続される。LAN I/F(LANインタフェース)300は、LAN8との接続を制御を制御し、LAN8介したコンピュータ9との通信を可能とする。
【0020】
サブボード220は、比較的小さな汎用CPUシステムと、画像処理ハードウェアを有する。汎用CPUシステムには、CPU221、メモリ223、バスコントローラ224、不揮発性メモリ225が含まれる。また、画像処理ハードウェアには、スキャンした画像に対する、回転処理、変倍処理、色空間変換処理等のリアルタイムデジタル画像処理を実施する画像処理プロセッサ227と、デバイスコントローラ226(226a,226b)が含まれる。
【0021】
CPU221(以下、サブCPU221)は、サブボード全体を制御する。メモリ(Memory)223は、CPU221がワークメモリとして使用するメモリである。バスコントローラ(Bus Controller)224は、外部バスとのブリッジ機能を持つ。不揮発性メモリ(Non Volatile Memory)225は、電源断された場合でもデータを保持し続けることができる記憶装置である。
【0022】
画像処理プロセッサ(Image Processor)227は、スキャナ装置2によりスキャンされた画像データに対する、回転処理、変倍処理、色空間変換処理等のリアルタイムデジタル画像処理を実施する。画像処理プロセッサ227は、デバイスコントローラ(Device Controller)226aを介して、スキャナ装置2からデジタル画像データを受け取る。また、画像処理プロセッサ227は、デバイスコントローラ(Device Controller)226bを介して、プリンタ装置4にデジタル画像データを送信する。FAX装置7は、CPU221が直接制御する。
【0023】
コントローラ3には、電源230が接続されている。電源230は、コントローラ3を構成する各要素に必要な電力を供給する。
なお、本図は簡略化されたブロック図である。例えば、CPU201、CPU221等にはチップセット、バスブリッジ、クロックジェネレータ等のCPU周辺ハードウェアが多数含まれているが、本図では簡略記載しており、このブロック構成が本発明を制限するものではない。
【0024】
以下、コントローラ3の動作について、画像複写を例に説明する。
ユーザが操作部5から画像複写を指示すると、CPU201がCPU221を介してスキャナ装置2に画像読み取り命令を送る。スキャナ装置2は、紙原稿を光学スキャンしてデジタル画像データに変換して、デバイスコントローラ226aを介して画像処理プロセッサ227に入力する。画像処理プロセッサ227は、CPU221を介してメモリ223にDMA転送を行い、デジタル画像データを一時保存する。
【0025】
CPU201は、デジタル画像データがメモリ223に一定量若しくは全て入ったことが確認できると、CPU221を介してプリンタ装置4に画像出力指示を出す。CPU221は、画像処理プロセッサ227にメモリ223の画像データの位置を教える。プリンタ装置4からの同期信号に従ってメモリ223上の画像データは、画像処理プロセッサとデバイスコントローラ226bを介してプリンタ装置4に送信される。プリンタ装置4は、デバイスコントローラ226bを介して受信した画像デーを印刷対象(印刷媒体)に印刷する。複数部印刷を行う場合、CPU201は、メモリ223の画像データを補助記憶装置6に保存し、2部目以降は、スキャナ装置2から画像データを転送することなく、補助記憶装置6から画像データを、プリンタ装置4に画像データを送ることが可能である。
【0026】
RTC210は、基準時刻からの経過時間を刻む回路であり、電源230からの電力供給が不充分である場合における動作保障のため、補助電力供給部として一次電池などの補助電源(本実施例では一次電池400(以下、電池400))が付随している。即ち、電源230から電力供給が不十分又は遮断された場合には、電池400からRTC210に電力が供給されるように構成されている。
【0027】
コントローラ3は、「通常状態」と「省電力状態」の二つの状態を持ち、それぞれの状態において、電力供給される回路群が異なる。通常状態においては、電源230はコントローラ3を構成する全要素に電力を供給する。一方、省電力状態においては、通常状態において電力供給対象となっている回路のうち、一部の回路のみに電力供給を行う。具体的には、図2において二重枠となっている箇所(メモリ203及びLAN I/F300)のみに電力供給を行う。このように、省電力状態では、電力供給対象回路数を減らすことにより、消費電力の低減を図っている。即ち、省電力状態においては、電池400からRTC210に電力が供給されることになる。
【0028】
図3は、図2のLAN I/F300及びコントローラ3の関係を示す図である。なお、図2と同様に、本図でも、省電力状態下においても電力供給される回路を二重枠で示す。また、本図も、簡略化されたブロック図であり、このブロック構成が本発明を制限するものではない。
【0029】
コントローラ3は、メインCPU201と、メモリ203と、RTC210と、LAN I/F300を備え、LAN I/F300は、NIC CPU301と、NICメモリ(NIC RAM)302と、ネットワークI/F303を備えている。なお、NICは、Network Interface Cardの略である。
【0030】
通常状態においては、ネットワークI/F303で受信されたパケットは、メインCPU201へ送信され、メインCPU201により解析される。
一方、省電力状態においては、省電力のため、メインCPU201は電力供給されておらず、パケットの処理をNIC CPU301が行う。なお、NIC CPU301で処理しきれないパケットがネットワークI/F303において受信された場合、NIC CPU301は、受信パケットをNICメモリ302に保存した後、通常状態への移行処理を行う。通常状態に復帰したメインCPU201は、NICメモリ302に保存されたパケットの解析を行う。
【0031】
次に、画像形成装置1内の時刻情報(以下、システム時刻と呼ぶ)の管理方法について説明する。
第1処理部としてのメインCPU201は、起動時等の特定のタイミングにおいてRTC210から時刻情報を取得し、これをシステム時刻の基点とする。なお、RTC210から時刻情報を取得できない場合、メインCPU201は、操作部5より入力された値をシステム時刻の基点とする。基点となる時刻が決定された後、メインCPU201は、上記基点となる時刻(基点時刻情報)をメモリ203に保存する。その後は、メインCPU201は、メインCPU201内のタイマのカウンタ値(上記基点時刻情報の示す時刻からの経過時間をカウントしたカウント値)と上記基点時刻情報とによってシステム時刻を算出し適宜更新することで、システム時刻を経過させる。即ち、起動時等の特定のタイミングにRTC210から時刻情報を読み出した後は、メインCPU201は、基本的にはRTC210から時刻情報を読み出さず、メインCPU201内のタイマを用いて時刻を更新することにより、システム時刻を管理する。これは、一般的にRTCよりCPU内のタイマのほうが高精度であるためであり、より正確な時刻管理ができるためである。また、CPU内のタイマへのアクセスは、RTCへのアクセスより高速に行えるため、時刻情報の読み出し時間を短縮できるからである。
【0032】
なお、省電力状態下においては、メインCPU201には電力供給されないため、第2処理部としてのNIC CPU301がNIC CPU301内のタイマを用いて、省電力状態中の経過時間の測定と保存を行う。NIC CPU301が時刻更新を行う際には、NICメモリ302が使用され、通常状態に遷移する際に、メインCPU201は、NICメモリ302の値を用いてメモリ203のシステム時刻を較正する。
【0033】
以下、図4のフローチャートを用いて、本発明のシステム時刻管理動作について説明する。
図4は、本発明のシステム時刻管理動作の一例を示すフローチャートである。なお、図4中のS411〜S417及びS423〜S425はメインCPU201がブートROM202、USBメモリ209又は補助記憶装置6に記録されたプログラムに基づいて実行する処理を示し、S418〜S422はNIC CPU301がブートROM202、USBメモリ209又は補助記憶装置6に記録されたプログラムに基づいて実行する処理を示す。
【0034】
メインCPU201は、通常電力状態では、省電力状態移行要求を受信するまで(S412でNoの間)、タスク処理や時刻測定(S411)など通常の処理を行う。
なお、ユーザからの省電力要求を受け付けた操作部5は、ハードウェア割り込みによって、省電力移行要求信号をメインCPU201に通知する。省電力移行要求信号を発生させる手段としては、一定時間、操作部5からの操作が無い、一定時間、LAN インタフェース8での特定のパケットの受信が無い、又はFAX装置7でのファクシミリ受信が無い場合にタイマ割り込みによって発生させる手段など、他の手段であっても良い。なお、特定のパケットとは、画像形成装置1を省電力状態から通常電力状態へ復帰させなければ実行できないような指示を示すパケットであり、例えば、プリント要求や、補助記憶装置6内に記憶されている画像データの取得要求等を指示するパケット等である。どのようなパケットの受信により通常電力状態へ復帰させるかは設計事項であり、本発明は、上記パケットの例に限定されるものではない。
【0035】
メインCPU201は、省電力移行要求信号を受信した場合(S412でYes)、RTC210に付随の電池400の残量が不足している(補助電源からの電力供給が不十分)か否かを判定する(S413)。
【0036】
そして、RTC210に付随の電池400の残量が不足している(補助電源からの電力供給が不十分)と判定した場合(S414でYes)、メインCPU201は、S415に処理を進める。S415では、メインCPU201は、電池切れフラグをメモリ203に立て(メモリ203に保持されている電池切れフラグをOn状態にし)、S416に処理を進める。S416では、メインCPU201は、現在のシステム時刻(メモリ203に保持されている基点時刻情報とメインCPU201内のタイマの値から算出される)を省電力状態移行時刻情報T1としてメモリ203に保存し、S417に処理を進める。
【0037】
一方、RTC210に付随の電池400の残量が不足していない(電池残量が十分(補助電源からの電力供給が十分))と判定した場合(S414でNo)、メインCPU201は、そのままS417に処理を進める。
【0038】
S417では、メインCPU201は、省電力状態移行処理を行う。省電力状態移行処理では、メインCPU201は、NIC CPU301に対して省電力状態移行要求を通知する。さらに、メインCPU201は外部からの通常電力状態への移行要求を受け付けるようにNIC CPU301を設定したり、通常電力状態へ復帰した際の処理をメインCPU201自身に設定する。そして、メインCPU201は電源230からメインCPU201等への電力供給を遮断する指示を行う。このような省電力状態用の電力供給設定を行う。これにより、画像形成装置1は省電力状態に移行し、電源230からのメインCPU201等への電力供給が遮断(電力遮断)される。
【0039】
以下、S418〜S422を用いて、NIC CPU301の処理について説明する。
メインCPU201からの省電力状態移行要求信号を受信したNIC CPU301は、時刻測定を開始する(S418)。この後、NIC CPU301は、時刻測定など省電力状態における処理(S419)を、通常状態移行要求信号を受信するまで(S420でNoの間)続ける。即ち、NIC CPU301は、省電力状態移行要求を受信した時点から通常状態移行要求を受信するまでの時間(即ち、省電力状態となっている時間)を、NIC CPU301内のタイマによりカウントする。この際、NIC CPU301は、必要に応じてNIC RAM302を用いる。
なお、ネットワークI/F303は、LAN I/F300にて、特定のパケットを受信した場合、通常状態移行要求信号をNIC CPU301に送信する。
NIC CPU301は、ネットワークI/F303から通常状態移行要求信号を受信したと判定した場合(S420でYes)、S421に処理を進める。
【0040】
S421では、NIC CPU301は、自身が省電力状態移行要求を受信した時点から通常状態移行要求を受信した時点までの時間(上述の時刻測定によりNIC CPU301内のタイマでカウントした時間(時刻値T2))をNICメモリ302に保存する。また、NIC CPU301は、電源230からメインCPU201等への電力供給を再開する指示を行う。これにより、電源230からのメインCPU201等への電力供給が再開され、メインCPU201が起動し、画像形成装置1は省電力状態から通常電力状態に移行(復帰)することになる。
【0041】
次に、NIC CPU301は、メインCPU201に対し通常状態移行要求信号を通知し、NIC CPU301自身を外部からの省電力状態への移行要求を受け付けるように設定するなどの通常状態移行処理を行う。なお、S421とS422の実行順序は逆であってもよい。
【0042】
以下、S423〜S426を用いて、復帰後のメインCPU201の処理について説明する。
NIC CPU301からの通常電力状態移行要求信号を受信したメインCPU201は、操作部5等からの省電力移行要求信号により省電力状態へ移行するなどの設定(通常状態用の電力供給設定)を行う。
【0043】
そして、S423において、メインCPU201は、電池切れフラグが立っている(メモリ203に保持されている電池切れフラグがOn状態である)か否かを判定する。そして、電池切れフラグが立っている(メモリ203に保持されている電池切れフラグがOn状態である)と判定した場合(S423でYes)、メインCPU201は、S424に処理を進める。
【0044】
S424では、メインCPU201は、メモリ203からメインCPU201が測定して上記S416で保存した時刻値T1、NICメモリ302からNIC CPU301が測定して上記S421で保存した時刻値T2をそれぞれ取得する。そして、メインCPU201は、それぞれ得た時刻値の和(T1+T2)を導出し、現在のシステム時刻T3として設定する。即ち、メインCPU201は、T1+T2=T3を新たなシステム時刻の基点(基点時刻情報)としてメモリ203に保存する(時刻調整処理)。そして、S425において、メインCPU201は、時刻測定やタスク処理などの通常の処理を再開する。即ち、上述したS411の状態に戻る。なお、上記S424における、現在のシステム時刻T3の導出方法は、T3=T1+T2に限定されるものではなく、補正処理を加えるなど、他の方法で行っても構わない。なお、S424で、時刻調整を行った場合に、メインCPU201は、RTC210の時刻調整も行うようにしてもよい。
【0045】
一方、電池切れフラグが立っていない(不揮発性メモリ205に保存されている電池切れフラグがOn状態でない(Off状態である))と判定した場合(S423でNo)、メインCPU201は、S426に処理を進める。
【0046】
S425では、メインCPU201は、RTC210から時刻情報を読み出し、該読み出した時刻情報を現在のシステム時刻に設定する。即ち、メインCPU201は、RTC210から読み出した時刻情報を新たなシステム時刻の基点としてメモリ203に保存する。そして、S425において、メインCPU201は、時刻測定やタスク処理などの通常の処理を再開する。即ち、上述したS411の状態に戻る。
【0047】
なお、本実施例では、NIC CPU301はNICメモリ302を用いる構成であったが、省電力状態においても、NIC CPU301からメモリ203にアクセス可能な構成の場合、NIC CPU301がメモリ203を用いるようにしてもよい。例えば、図4のS421で時刻値T2をメモリ203に保存するようにしてもよい。
【0048】
以上説明したように、省電力状態下においてRTC210へ電力供給が十分に行われない場合であっても、従来の省電力性能をほぼ維持したまま、ネットワーク接続がなくとも単体で、画像形成装置自身の時間の計測及び時刻情報の管理を行うことができる。
【0049】
なお、本実施例では、本発明の情報処理装置の一実施例として、画像形成装置について説明したが、RTCを備え、省電力状態へ移行可能な情報処理装置であればどのような装置であっても本発明を適用可能である。
【0050】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0051】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等のプロセッサ)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0052】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成装置
3 コントローラ(制御装置)
200 メインボード
201 CPU(メインCPU)
203 メモリ
300 LAN I/F
301 NIC CPU
302 NICメモリ
230 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
時刻の測定を行う時刻測定手段と、
特定のタイミングで前記時刻測定手段から取得された時刻情報を基点時刻情報として記憶する記憶手段と、
前記基点時刻情報の示す時刻からの経過時間をカウントし、該カウント値と前記基点時刻情報から前記情報処理装置のシステム時刻を算出する第1処理手段と、
前記情報処理装置が省電力状態に移行した場合の経過時間をカウントする第2処理手段と、
前記時刻測定手段、前記第1処理手段、前記第2処理手段、及び前記記憶手段に対して電力供給を行うものであり、前記省電力状態では前記時刻測定手段、前記第1処理手段に対する電力供給を遮断する電力供給手段とを有し、
前記第1処理手段は、前記省電力状態へ移行する際に、前記第1処理手段が算出したシステム時刻を省電力状態移行時刻情報として前記記憶手段に保存し、前記省電力状態から復帰した際に、前記記憶手段に保存された前記省電力状態移行時刻情報と前記第2処理手段のカウント値とを用いて前記情報処理装置のシステム時刻を調整する調整処理を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1処理手段は、前記調整処理で調整された前記システム時刻により、前記時刻測定手段の時刻情報の調整も行うことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記省電力状態において前記時刻測定手段に電力供給を行う補助電力供給手段を有し、
前記第1処理手段は、前記省電力状態へ移行する際に、前記補助電力供給手段からの電力供給が不十分であると判定した場合、前記補助電力供給手段からの電力供給が不十分である旨の情報を前記記憶手段に記憶しておき、前記省電力状態から復帰した際に、前記記憶手段に前記補助電力供給手段からの電力供給が不十分である旨の情報が記憶されている場合に、前記記憶手段に保存された前記省電力状態移行時刻情報と前記第2処理手段のカウント値とを用いて前記情報処理装置のシステム時刻を調整する調整処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置の制御方法であって、
第1処理手段が、特定のタイミングで時刻測定手段から取得された時刻情報を基点時刻情報として記憶手段に保存するステップと、
第1処理手段が、前記基点時刻情報の示す時刻からの経過時間をカウントし、該カウント値と前記基点時刻情報から前記情報処理装置のシステム時刻を算出する時刻測定ステップと、
第2処理手段が、前記情報処理装置が省電力状態に移行した場合の経過時間をカウントするカウントステップと、
電力供給手段が、前記時刻測定手段、前記第1処理手段、前記第2処理手段、及び前記記憶手段に対して電力供給を行う電力供給ステップと、
前記第1処理手段が、前記省電力状態へ移行する際に、前記第1処理手段が算出したシステム時刻を省電力状態移行時刻情報として前記記憶手段に保存する保存ステップと、
電力供給手段が、前記省電力状態では前記時刻測定手段、前記第1処理手段に対する電力供給を遮断する電力遮断ステップと、
前記第1処理手段が、前記省電力状態から復帰した際に、前記保存ステップで前記記憶手段に保存された前記省電力状態移行時刻情報と前記カウントステップでのカウント値とを用いて前記情報処理装置のシステム時刻を調整する調整ステップと、
を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1乃至3のいずれか1項に記載された情報処理装置の手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−56152(P2012−56152A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200572(P2010−200572)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】