説明

情報処理装置、撮像システム、再生制御方法、録画制御方法、及びプログラム

【課題】画像解析をせずに複数映像を同期再生する情報処理装置を提供すること。
【解決手段】複数の撮像装置により撮影された複数の映像データを取得する映像取得部と、前記各撮像装置の向き及び画角を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報を用いて前記各映像データの投影方向及び画角が前記各撮像装置の向き及び画角に一致するように当該各映像データの再生位置を算出する再生位置算出部と、前記各再生位置に前記各映像データを再生させる再生制御部とを備える、情報処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、撮像システム、再生制御方法、録画制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サッカーやアメリカンフットボール等の広いフィールドで行われるスポーツが撮影される場合、個々の選手の動きを追いかけながらズームレンズで撮影するためのズーム撮影や、フィールド全体を俯瞰的に撮影するための広角撮影が行われる。その中で、複数の選手がどのようなフォーメーションで動いているかを確認したり、フィールド全体で各選手がどのように動いているかを解析したりするには、広角撮影された映像が用いられる。
【0003】
このような広角撮影を行うには、画角が広い広角レンズが用いられる。また、広いフィールド全体を1画面に捉えるために、複数のカメラで捉えた映像を合成してパノラマ映像を生成する手法も考えられる。画像を合成する技術に関して、例えば、下記の特許文献1には、3次元座標で表される非平面画像を2次元平面にマッピングする技術が開示されている。逆に、下記の特許文献2には、パノラマ画像を複数の画面に表示する技術が開示されている。さらに、下記の特許文献3には、1台のカメラを移動しながら複数の画像を撮影し、その移動情報に基づいて複数の画像を合成することによりパノラマ画像を生成する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−141562号公報
【特許文献2】特開2003−209769号公報
【特許文献3】特開平9−322055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの被写体を複数枚の画像として撮影し、これらの被写体像をつなぎ合わせてパノラマ化するには、複数の被写体像を位置合わせしてから合成する必要がある。上記の特許文献3には、複数画像を移動しながら1台のカメラで撮影し、その移動情報に基づいて被写体像の重複領域を予測して検出する技術が記載されている。また、衛星写真の合成等においては、複数画像の重複部分をマップマッチングにより検出し、その重複部分が一致するように複数画像を合成する技術が知られている。
【0006】
しかしながら、マップマッチングを実行するには、非常に強力な演算能力が要求される。そのため、スポーツ中継のように刻々と変化する映像シーンを撮影する際に、1枚1枚の映像をマップマッチングにより合成処理してパノラマ化するのは現実的ではない。また、このような合成処理を行う画像処理装置は非常に高価である。また、1台のカメラを移動させながら撮影された映像を繋ぎ合わせてパノラマ映像を生成すると、動きのある被写体の映像が乱れてしまう。このようなパノラマ化手法は、風景のような静止した被写体を撮影するには適しているが、スポーツ中継には適用できない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、複数のカメラで撮影された動きのある映像を低い演算負荷でパノラマ化することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、撮像システム、再生制御方法、録画制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の撮像装置により撮影された複数の映像データを取得する映像取得部と、前記各撮像装置の向き及び画角を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報を用いて前記各映像データの投影方向及び画角が前記各撮像装置の向き及び画角に一致するように当該各映像データの再生位置を算出する再生位置算出部と、前記各再生位置に前記各映像データを再生させる再生制御部とを備える、情報処理装置が提供される。
【0009】
このように、上記の情報処理装置は、映像取得部により、複数の撮像装置により撮影された複数の映像データを取得する。また、この情報処理装置は、位置情報取得部により、前記各撮像装置の向き及び画角を含む位置情報を取得する。さらに、この情報処理装置は、再生位置算出部により、前記位置情報を用いて前記各映像データの投影方向及び画角が前記各撮像装置の向き及び画角に一致するように当該各映像データの再生位置を算出する。そして、この情報処理装置は、再生制御部により、前記各再生位置に前記各映像データを再生させる。このように構成することにより、高負荷な演算処理を行わずに、複数の映像を合成表示することが可能になる。
【0010】
また、前記映像取得部は、撮像範囲の一部が重なるように前記複数の撮像装置により同時に撮影された複数の映像データを取得するように構成されていてもよい。この場合、前記再生制御部は、前記各映像データの重なり部分に対して、前面に表示される前記映像データを表示し、背面に表示される前記映像データを表示しないように前記複数の映像データを再生させる。
【0011】
また、前記再生位置算出部は、表示画面の奥行き方向を含む仮想的な3次元空間において前記各映像データが投影される面領域を前記再生位置として算出するように構成されていてもよい。この場合、前記再生制御部は、前記再生位置として算出された前記仮想的な3次元空間内の面領域に前記各映像データが投影されているように当該各映像データを再生させる。
【0012】
また、上記の情報処理装置は、撮像範囲の一部が重なるように複数の撮像装置の向きを制御する方向制御部と、前記各撮像装置の画角を調整する画角調整部と、前記方向制御部により制御された前記各撮像装置の向き、及び前記画角調整部により調整された前記各撮像装置の画角を位置情報として記録する位置情報記録部と、前記各撮像装置により撮影された映像データ及び前記位置情報が記録される記憶部とをさらに備えていてもよい。この場合、前記映像取得部は、前記記憶部から前記映像データを取得する。そして、前記位置情報取得部は、前記記憶部から前記位置情報を取得する。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像範囲の一部が重なるように複数の撮像装置の向きを制御する方向制御部と、前記各撮像装置の画角を調整する画角調整部と、前記方向制御部により制御された前記各撮像装置の向き、及び前記画角調整部により調整された前記各撮像装置の画角を位置情報として記録する位置情報記録部と、前記各撮像装置により撮影された映像データ及び前記位置情報が記録される記憶部とを備える、情報処理装置が提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、個々の撮影方向及び画角を変更することが可能な複数の撮像部と、撮像範囲の一部が重なるように前記各撮像部の向きを制御する方向制御部と、前記各撮像部の画角を調整する画角調整部と、前記方向制御部により制御された前記各撮像部の向き、及び前記画角調整部により調整された前記各撮像部の画角を位置情報として記録する位置情報記録部と、前記各撮像部により撮影された映像データ及び前記位置情報が記録される記憶部とを備える、撮像システムが提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の撮像装置により撮影された複数の映像データが取得される映像取得工程と、前記各撮像装置の向き及び画角を含む位置情報が取得される位置情報取得工程と、前記位置情報を用いて前記各映像データの投影方向及び画角が前記各撮像装置の向き及び画角に一致するように当該各映像データの再生位置が算出される再生位置算出工程と、前記各再生位置に前記各映像データが再生されるように制御される再生制御工程とを含む、再生制御方法が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像範囲の一部が重なるように複数の撮像装置の向きが制御される方向制御工程と、前記各撮像装置の画角が調整される画角調整工程と、前記方向制御工程で制御された前記各撮像装置の向き、及び前記画角調整工程で調整された前記各撮像装置の画角が位置情報として記録される位置情報記録工程と、前記各撮像装置により撮影された映像データが記録される記録工程とを含む、録画制御方法が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の撮像装置により撮影された複数の映像データが取得される映像取得工程と、前記各撮像装置の向き及び画角を含む位置情報が取得される位置情報取得工程と、前記位置情報を用いて前記各映像データの投影方向及び画角が前記各撮像装置の向き及び画角に一致するように当該各映像データの再生位置が算出される再生位置算出工程と、前記各再生位置に前記各映像データが再生されるように制御される再生制御工程とを含む、再生制御方法をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像範囲の一部が重なるように複数の撮像装置の向きが制御される方向制御工程と、前記各撮像装置の画角が調整される画角調整工程と、前記方向制御工程で制御された前記各撮像装置の向き、及び前記画角調整工程で調整された前記各撮像装置の画角が位置情報として記録される位置情報記録工程と、前記各撮像装置により撮影された映像データが記録される記録工程とを含む、録画制御方法をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、複数のカメラで撮影された動きのある映像を低い演算負荷でパノラマ化することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
[本稿の構成]
本稿の構成は次の通りである。まず、本発明に係る実施形態が目的とするところについて説明した上で、その目的を実現するための装置、及び方法について詳細に説明する。はじめに、本実施形態に係る撮像システムのシステム構成について説明する。次いで、この撮像システムに含まれる撮像装置の機能構成について説明する。さらに、その撮像装置に接続された情報処理装置の機能構成について説明する。その後、本実施形態に係る再生制御方法の原理を説明し、この再生制御方法に係る一連の処理の流れについて説明する。さらに、本実施形態に係る撮像システムの変形例について述べる。最後に、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。
【0022】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0023】
[目的]
まず、本実施形態が目的とするところについて、図1を参照しながら説明する。図1には、2台のカメラ(カメラA、カメラB)により撮影された2つの映像と、これらの2つの映像が合成された合成映像とが示されている。本実施形態は、映像の合成処理において高い演算量を要求せずに、2つの映像をパノラマ化することを目的としている。なお、以下の説明においては、説明の都合上、映像が2つの場合について述べるが、本実施形態に係る技術は、3つ以上の映像を合成する場合にも適用することができる。
【0024】
本実施形態が適用対象とする映像は、複数のカメラにより同期して撮影された映像である。但し、この映像は、被写体が動き回る映像であってもよいが、図1に示すように、被写体像の一部が重複するように撮影されている。既に述べた通り、これまでの技術では、この重複部分を特定するためにマップマッチングと呼ばれる画像処理技術が用いられていた。しかし、このような画像処理技術を用いると、映像を合成する際に大きな演算能力が必要になり、高価な装置を用いなければ映像をパノラマ化することが困難であった。そこで、本実施形態は、このような困難を解消し、安価な装置を用いて上記のような複数の映像をパノラマ化する技術を提供することを目的としている。
【0025】
[撮像システム10のシステム構成]
上記の目的を達成するために、本件発明者は、図2に示すような撮像システム10を考案した。まず、図2を参照しながら、本実施形態に係る撮像システム10のシステム構成について説明する。なお、「撮像システム」と表現しているが、後述するように、撮影された映像を再生する機能も有している。そのため、実質的には「録画再生システム」である。また、録画機能と再生機能とを独立の装置として構成することも可能である。以下、「撮像システム」として説明するが、このような変形についても、本実施形態の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0026】
図2に示すように、撮像システム10は、主に、撮像ユニット100と、情報処理装置200とにより構成されている。撮像ユニット100と情報処理装置200とは、所定の接続手段を用いて接続されている。
【0027】
所定の接続手段としては、例えば、USBやIEEE1394等の接続ケーブル、又はBluetooth(登録商標)やWLAN等の無線通信手段が用いられる。ここで、USBとはUniversal Serial Busのことであり、WLANとはWireless Local Area Networkのことである。もちろん、他の接続手段が用いられてもよい。場合によっては、撮像ユニット100で撮影された映像データをリムーバブル記録媒体に記録しておき、情報処理装置200から読み出すような構成にしてもよい。
【0028】
撮像ユニット100は、例えば、複数の撮像装置102、104と、架台108と、駆動制御部152とにより構成される。以下の説明では、撮像装置を2台に限定して述べるが、本実施形態の技術は、3台以上の撮像装置を備えた撮像ユニット100に対しても拡張できる。また、架台108の形状、駆動制御部152の有無についても、本実施形態に係る技術の本質的な部分とは関係が薄いため、適宜変更可能である。また、以下の説明の中で、撮像装置102をカメラBと呼び、撮像装置104をカメラAと呼ぶ場合がある。
【0029】
図2に示すように、撮像装置102、104は、架台108に載置されている。撮像装置102、104と架台108とは駆動機構(非図示)を介して機械的に接続されている。そのため、撮像装置102、104は、架台108上で、それぞれの向きを変えることができる。また、架台108に設けられた駆動機構は、手動又は駆動制御部152により駆動制御される。例えば、駆動制御部152は、2つの撮像装置102、104の撮像範囲が図1の例のように互いに重複部分を含むように、撮像装置102、104の撮像方向を制御することができる。
【0030】
さらに、駆動制御部152は、撮像装置102、104に対して電気的に接続されていてもよい。この場合、駆動制御部152は、撮像装置102、104の光学系等を制御し、撮像装置102、104の焦点距離等を制御する。後述するように、撮像装置102、104の画角は、撮像装置102、104が搭載する撮像素子の寸法と焦点距離とにより決定される。そのため、駆動制御部152は、2つの撮像装置102、104の相対的な向きを制御すると共に画角を調整することで、撮像装置102、104により撮影される2つの映像が重複部分を含むように制御することが可能になるのである。
【0031】
なお、図2の例では、2つの撮像装置102、104が互いに外側を向くように配置されているが、手動又は駆動制御部152により、互いに内側に向くように配置されることもある。
【0032】
以上、撮像システム10のシステム構成の一例について説明した。このような構成にすることで、撮像システム10は、複数の撮像装置102、104を備えた撮像ユニット100により、互いに重複部分を含む複数の被写体像を撮影することができる。そして、撮像ユニット100により撮影された映像は、情報処理装置200に伝送される。以下、撮像装置102、104、及び情報処理装置200の機能構成について詳細に説明する。
【0033】
[撮像装置102、104の機能構成]
まず、図3を参照しながら、本実施形態に係る撮像装置102、104の機能構成について説明する。図3は、本実施形態に係る撮像装置102、104の機能構成例を示す説明図である。
【0034】
図3に示すように、撮像装置102、104は、主に、イメージセンサ112と、画像処理ブロック114と、制御部116と、操作部118と、表示パネル120と、記録メディア122とにより構成される。
【0035】
(イメージセンサ112)
イメージセンサ112は、例えば、CCDやCMOS等の光電変換素子により形成されている。イメージセンサ112は、光学系を介して入力された光信号を光電変換して電気信号を出力する。イメージセンサ112から出力された電気信号は、画像処理ブロック114(画像処理部130)に入力される。なお、動画像が撮影される場合には、被写体像が連続してイメージセンサ112に入力され、ページ単位の画像信号が画像処理部130に逐次的に入力される。
【0036】
(制御部116、操作部118)
制御部116は、操作部118によるユーザ操作に応じて画像処理ブロック114の動作を制御する手段である。操作部118としては、例えば、キーボード、マウス、リモートコントローラ、ボタン、タッチパネル、タッチパッド、光学センサ、又はカーソル等の操作手段が用いられる。但し、タッチパネルの場合、操作部118の機能は、後述する表示パネル120との組み合わせで実現される。
【0037】
また、制御部116は、撮像装置102、104の向き及び画角等を含む位置情報を取得して記録メディア122に記録したり、情報処理装置200に伝送するように構成されていてもよい。例えば、制御部116は、駆動制御部152から伝送される制御情報を参照したり、架台108上の基準位置からの相対的な位置関係を検出して、撮像装置102、104の位置情報を取得する。また、制御部116は、撮像装置102、104に搭載された光学系の設定情報から画角等の位置情報を取得してもよい。なお、制御部116は、後述する画像出力制御部136を制御して、映像信号と共に位置情報を情報処理装置200に伝送するように制御してもよい。
【0038】
(表示パネル120)
表示パネル120としては、撮像装置102、104に搭載されている表示モニタやファインダであってもよいし、撮像装置102、104に外部機器として接続されている表示モニタであってもよい。また、表示パネル120は、タッチパネル等の入力機能を備えたものであってもよい。さらに、表示パネル120は、ユーザが画面を押圧した押圧力を検知する機能を備えた圧力検知機能付きのタッチパネルであってもよい。そして、表示パネル120は、画面に直接触れずとも、ユーザが接触又は近接した画面上の位置を3次元的に検知する機能を有していてもよい。
【0039】
(記録メディア122)
記録メディア122は、例えば、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、又は半導体記録媒体等により構成される。記録メディア122には、映像データが記録される。また、記録メディア122には、各種の設定情報や映像内容に関するメタ情報等が記録されてもよい。記録メディア122は、後述する画像処理ブロック114のメディア制御回路142により読み出し又は書き込み処理が制御される。
【0040】
(画像処理ブロック114)
画像処理ブロック114は、主に、画像処理部130と、画像出力制御部136と、エンコーダ138と、バッファメモリ140と、メディア制御回路142とにより構成される。また、画像処理部130は、前処理回路132と、カメラ信号処理回路134とにより構成される。
【0041】
(前処理回路132)
前処理回路132には、例えば、CDS(Correlated Double Sampling)回路、AGC(Automatic Gain Control)回路、A/D(Analog to Digital)コンバータ等が含まれる。CDS回路は、イメージセンサ112から入力された電気信号に含まれるリセットノイズを除去する回路である。AGC回路は、その電気信号を所定レベルまで増幅制御する回路である。A/Dコンバータは、アナログの電気信号をデジタルの映像信号に変換する回路である。これらの回路により生成された映像信号は、カメラ信号処理回路134に入力される。
【0042】
(カメラ信号処理回路134)
カメラ信号処理回路134には、例えば、フィーダバッククランプ回路、ホワイトクリップ回路、ベースクリップ回路、ホワイトバランス回路、γ補正回路等が含まれる。
【0043】
フィーダバッククランプ回路は、デジタル画像信号の黒レベルOB(オプティカルブラック)を一定基準値に固定するための回路である。ホワイトクリップ回路は、画像信号の過変調を防ぐために所定振幅以上の変調が掛からないようにするリミッタ回路である。ベースクリップ回路は、低レベルノイズをクリップするための回路である。ホワイトバランス回路は、ホワイトバランスを調整するための回路である。γ補正回路は、画像信号に所定のγ補正を施すための回路である。これらの回路により処理された映像信号は、エンコーダ138、及び画像出力制御部136に入力される。
【0044】
(エンコーダ138)
エンコーダ138は、カメラ信号処理回路134から入力された映像信号に対して所定のエンコード方式でエンコード処理を施す。なお、所定のエンコード方式としては、例えば、MPEG−2、MPEG−4、H.264/AVC等で規格化された方式が用いられる。なお、エンコーダ138は、動き補償フレーム間差分符号化等の処理を実行する際にバッファメモリ140をフレームメモリとして利用する。エンコーダ138によりエンコードされた映像信号は、メディア制御回路142を介して記録メディア122に記録される。また、エンコーダ138は、エンコード後の映像信号を画像出力制御部136に入力する。
【0045】
(画像出力制御部136)
画像出力制御部136は、カメラ信号処理回路134から入力された映像信号をスルー映像として表示パネル120に表示する。また、画像出力制御部136は、エンコーダ138によりエンコードされた映像信号を情報処理装置200に伝送する。
【0046】
以上、本実施形態に係る撮像装置102、104の機能構成について説明した。上記のように、撮像装置102、104は、イメージセンサ112を介して撮像された映像信号を記録メディア122に記録したり、表示パネル120にスルー映像として表示したりする。さらに、撮像装置102、104は、エンコード後の映像信号を情報処理装置200に伝送する。但し、撮像装置102、104と情報処理装置200とが高速な伝送経路で接続されている場合や、映像信号を伝送可能な接続ケーブル等で接続されている場合、エンコード前の映像信号が情報処理装置200に直接伝送されてもよい。
【0047】
[情報処理装置200の機能構成]
次に、図4を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置200の機能構成について説明する。図4は、本実施形態に係る情報処理装置200の機能構成例を示す説明図である。なお、図4には、説明の都合上、情報処理装置200に加えて撮像ユニット100の構成も示している。
【0048】
図4に示すように、情報処理装置200は、映像取得部202と、記憶部204と、位置情報取得部206と、再生位置算出部208と、再生制御部210とにより構成される。さらに、情報処理装置200は、表示部300に接続されている。但し、表示部300は、情報処理装置200に内蔵されていてもよい。
【0049】
(映像取得部202、記憶部204)
映像取得部202は、情報処理装置200に接続された複数の撮像装置102、104から複数の映像データを取得する。映像取得部202により取得された個々の映像データは、記憶部204に記録される。記憶部204に記録される映像は、図1に示した「カメラAの映像」「カメラBの映像」に相当する個別の映像である。記憶部204に記録された個別の映像は、後述する再生制御部210により読み出される。
【0050】
(位置情報取得部206)
位置情報取得部206は、情報処理装置200に接続された撮像ユニット100から複数の撮像装置102、104の位置情報を取得する。この位置情報には、撮像装置102、104のそれぞれに対応する撮影時の画角、及び撮像装置102、104の撮影方向が含まれる。また、この位置情報には、例えば、架台108に水平な面上における撮像装置102、104の個々の位置や、架台108に垂直な方向も含めた3次元的な位置が含まれていてもよい。位置情報取得部206により取得された位置情報は、再生位置算出部208に入力される。
【0051】
(再生位置算出部208)
再生位置算出部208は、位置情報取得部206により取得された位置情報に基づいて撮像装置102、104のそれぞれが撮影した映像の再生位置を算出する。つまり、再生位置算出部208は、個々の映像を投影する方向や向き等を算出する。このとき、再生位置算出部208は、撮像装置102により撮影された映像が投影される方向及び画角を撮像装置102の撮影方向及び画角に一致させる。同様に、再生位置算出部208は、撮像装置104により撮影された映像が投影される方向及び画角を撮像装置104の撮影方向及び画角に一致させる。このような条件で再生位置を決定することにより、2つの映像の重複部分が正しく重ねて表示され、図1の合成画像のように表示される。
【0052】
ここで、再生位置算出部208による再生位置の算出方法について説明を加える。まず、図5を参照しながら、画角の定義について説明する。図5は、画角の定義を示す説明図である。なお、画角αは、フレームの寸法をD、実効的な焦点距離をfとすると、下記の式(1)のように表現される。但し、ここで言うフレームの寸法とは、図5に示す投影面又は撮影面の寸法である。また、寸法とは、縦/横/奥行き方向等の幅である。
【0053】
【数1】

【0054】
図5、及び上記の式(1)から分かるように、フレームの寸法Dが変化しても、焦点距離fを変化させることで、同じ画角αを維持することができる。逆に、同じ画角αに対し、焦点距離fを調整することでフレームの寸法Dを変化させることができる。このような関係から次の事が言える。図5に示すように、画角αの撮像装置102、104を焦点距離L1に設定して被写体を撮影した場合、寸法がD1の撮影面で映像を撮影することができる。逆に、この映像を寸法D2の投影面に画角αの映写機で投影する場合、焦点距離をL2に設定することで正しく表示される。
【0055】
このような関係を念頭に置き、図6、及び図7を参照しながら、2台の撮像装置102、104で撮影された映像を合成表示する場合について考える。ここでは、撮像装置102をカメラB、撮像装置104をカメラAと呼ぶ。図6は、カメラA、カメラBにより被写体Xを撮影した場合の位置情報を模式的に示したものである。図7は、カメラA、カメラBにより撮影された2つの映像を合成表示するために各映像が再生される再生位置の配置関係を模式的に示したものである。
【0056】
まず、図6を参照する。カメラAの撮影方向はdaである。撮影方向daは、基準面に対して垂直な正面方向から角度θaだけ傾いた方向を向いている。また、カメラAの画角はφaである。同様に、カメラBの撮影方向はdbである。撮影方向dbは、基準面に対して垂直な正面方向から角度θbだけ傾いた方向を向いている。また、カメラBの画角はφbである。なお、説明の都合上、カメラAの撮影方向daを示す線と、カメラBの撮影方向dbを示す線とが基準面上で交わるように表記し、その交点を基準点Pとした。
【0057】
上記の通り、被写体Xを含む広い範囲の映像を撮影する場合には、互いに視野が重なるようにカメラA、及びカメラBの撮像方向da、dbを設定する必要がある。そのため、手動又は駆動制御部152により、角度θa及び角度θbの一方又は両方が調整される。また、被写体Xに焦点が合うようにカメラA、及びカメラBの焦点距離が調整される。このように、焦点距離は、カメラA、及びカメラBと、被写体Xとの間の距離に基づいて決められる。あとは、撮像面の寸法に応じて画角φa、及び画角φbを調整すればよい。このとき、撮像面の寸法には、被写体Xを含むように所望の撮像範囲が設定される。例えば、フィールド全体が含まれるように撮像範囲が設定される。
【0058】
このようにして設定されたカメラAの撮像方向da及び画角φaと、カメラBの撮像方向db及び画角φbとは位置情報として保持される。例えば、この位置情報は、カメラA及びカメラBから情報処理装置200に伝送されて情報処理装置200に保持される。
【0059】
次に、図7を参照する。図6のカメラ配置で撮影された被写体Xの映像は、図7に示すように互いに重複する部分を含むものとなる。そこで、再生位置算出部208は、この重複部分が正しく一致するようにカメラAの映像とカメラBの映像とが配置される再生位置を算出する。このとき、再生位置算出部208は、撮影時の位置情報として、カメラAの撮影方向da及び画角φaと、カメラBの撮影方向db及び画角φbとを用いる。
【0060】
図5及び上記の式(1)を用いて説明した通り、画角が同じであれば、撮影面の寸法と投影面の寸法とが異なっていても、焦点距離を調整することで正しく映像を投影することができる。また、カメラA及びカメラBの撮影方向と同じ向きに映像が投影されることにより、正しく被写体像が再現される。そこで、再生位置算出部208は、映写機が設置される基準面上の点Pを基点にして、カメラAの映像が投影される投影方向Daを撮像方向daに一致させ、その画角をφaに設定する。但し、基点Pから投影面Saまでの距離は、カメラAから被写体Xまでの距離と異なるため、投影時には焦点距離が調整される。
【0061】
同様に、再生位置算出部208は、映写機が設置される基準面上の点Pを基点にして、カメラBの映像が投影される投影方向Dbを撮像方向dbに一致させ、その画角をφbに設定する。但し、基点Pから投影面Sbまでの距離は、カメラBから被写体Xまでの距離と異なるため、投影時には焦点距離が調整される。このようにしてカメラAの映像、及びカメラBの映像が投影される方向が調整されることにより、各映像の重複部分が正しく一致するように所望の投影面Sa、Sbに対して各映像が表示される。再生位置算出部208は、このような投影面Sa、Sbの位置を再生位置として算出するのである。
【0062】
再び図4を参照する。再生位置算出部208により算出された再生位置は、再生制御部210に入力される。但し、この再生位置の情報は、3次元空間上の座標情報として入力されるか、或いは、投影面Sa、Sbを2次元平面に射影変換して得られる2次元座標の情報として入力される。
【0063】
(再生制御部210)
再生制御部210は、再生位置算出部208により算出された再生位置の情報に基づいて撮像装置102、104(カメラB、A)により撮影された映像を表示部300に表示させる。例えば、図1に示すような2つの映像が撮影された場合、再生制御部210は、図8に示すように、カメラA、Bの撮影方向及び画角に対応する各再生位置に各映像を投影する。実際には、表示部300が持つ表示画面上の2次元平面に奥行き方向の座標を加えた仮想的な3次元空間内に投影面Sa、Sbを配置して各映像を投影しているように表示される。
【0064】
このとき、重複部分の位置検出や画像の合成処理を行っていない点が重要である。つまり、単に独立した2つの映像を並べて表示しているという点が重要である。このことは、2つの映像の対応点を算出して合成する手法とは基本的に異なっており、本実施形態の技術は、2つの映像の対応点を算出すること無しに、独立した2つの映像を並べて表示しているだけなのである。従って、映像の合成処理にこれまで要していた高負荷演算を行わなくても済むため、比較的安価な装置で合成映像の表示が可能になるのである。
【0065】
なお、重複部分については、例えば、奥行き方向に向かって前面に位置する映像の重複部分だけを表示するように制御してもよい。また、図8に示すように、再生制御部210により表示部300に表示される合成映像は、正面方向からの撮影方向の傾きに起因して外枠が台形に歪んでいる。そこで、再生制御部210は、合成映像が矩形の外形を有するように上下の一部分をカットして表示してもよい。このような処理が施された合成映像は、例えば、図9に示すようなインターフェースでユーザに提示される。
【0066】
上記の通り、カメラAの映像とカメラBの映像とは、画像処理により合成されておらず、それぞれが独立したまま表示されている。そのため、各映像に対する表示制御を独立に行うことができる。つまり、片方の映像のみを画面上で移動させたり、ズームイン/ズームアウトさせたり、回転させたりすることが容易にできる。そこで、図9に示すように、インターフェースとして、各映像を個々に指定するためのラジオボタンやチェックボックスを設けたり、個々の映像を指定して再生/一時停止/再生終了等の操作ボタンを設けたりすることで、ユーザ操作の自由度を高めることができる。
【0067】
以上、本実施形態に係る情報処理装置200の機能構成について説明した。上記の通り、情報処理装置200は、複数の撮像装置102、104で撮影された映像を適切に配置することで各映像に画像処理を施さずに合成表示を実現している。特に、本実施形態は、各映像の配置方法として、撮像装置102、104のそれぞれに対応する撮像方向及び画角と、各映像の投影方向及び画角とを一致させる手法を提案している。この手法により、マップマッチングのような高負荷処理を行わずとも映像の重複部分を正しく合わせることが可能になり、独立した映像のまま、映像のパノラマ化を実現しているのである。
【0068】
[録画処理の流れについて]
次に、図10を参照しながら、本実施形態に係る撮像システム10による録画処理の流れについて説明する。図10は、本実施形態に係る録画処理の流れを示す説明図である。なお、ここに示す一連の処理は、主に、情報処理装置200により実行される。
【0069】
図10に示すように、まず、情報処理装置200により、カメラAの位置情報が取得される(S102)。次いで、カメラAに対して録画開始が指示される(S104)。次いで、録画処理のループが開始される(S106)。
【0070】
この録画処理ループの中で、まず、カメラAにより映像フレームが取得される(S108)。次いで、モニタ用に映像フレームがディスプレイに表示される(S110)。このとき、映像フレームは、カメラAの表示パネル120に表示されるように構成されていてもよいし、情報処理装置200に伝送されて表示部300に表示されるように構成されていてもよい。次いで、映像フレームがエンコードされる(S112)。次いで、エンコード後の映像フレームが外部記憶装置に保存される(S114)。このとき、外部記憶装置としては、例えば、記録メディア122、又は記憶部204等が用いられる。
【0071】
次いで、録画処理ループを終了するか否かが判断され、継続する場合、ステップS108から始まる一連の処理が繰り返される(S116)。録画処理ループの継続/終了は、ユーザの録画停止指示の有無により判断される。ユーザにより録画停止の指示がある場合、ステップS116で録画処理ループが終了される。一方、ユーザにより録画停止の指示が無い場合、ステップS108〜S116の録画処理ループが繰り返される。ステップS116において録画処理ループが終了されると、録画処理に係る一連の処理が終了する。
【0072】
上記のステップS102〜S116までの一連の処理は、カメラBについても同様に実行される。このように、カメラA、カメラBについて並行して録画処理が実行される。その結果、情報処理装置200の記憶部204には、カメラA、カメラBにより撮影された個々の映像が記録される。なお、カメラA、カメラBの記録メディア122に映像データが記録された場合、記録処理の終了後に、各記録メディア122に記録された映像データが情報処理装置200により読み出されて記憶部204に記録される。
【0073】
[再生処理の流れについて]
次に、図11を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置200による再生処理の流れについて説明する。図11は、本実施形態に係る再生処理の流れを示す説明図である。
【0074】
図11に示すように、まず、情報処理装置200によりカメラAの位置情報が読み込まれる(S202)。次いで、外部記憶装置からカメラAの映像ファイルが読み出される(S204)。ここでは外部記憶装置と表現しているが、これは、上記の録画処理に対応するように表現されたものである。従って、このステップにおいては、カメラAの記録メディア122又は記憶部204等に記録された映像ファイルが読み出される。
【0075】
次いで、再描画処理ループが開始される(S206)。まず、カメラAの位置情報と視点情報とに基づいてポリゴンの頂点座標が計算される(S208)。この処理は、主に、再生位置算出部208により実行される。また、視点情報は、どのような視点で映像を観るかという情報であり、ユーザにより指定される。なお、ここで言うポリゴン(polygon)とは、3次元コンピュータグラフィックスにおいて、三角形や四角形等の多角形の組み合わせにより物体を表現する際の各要素のことである。つまり、映像が投影される投影面をコンピュータグラフィックス上の仮想的な3次元空間における位置で表現しようとするものである。
【0076】
次いで、情報処理装置200により、映像ファイルから1フレーム分の映像データが読み込まれる(S210)。次いで、読み込まれたフレームがテクスチャとしてポリゴンに貼り付けられる(S212)。テクスチャとは、通常、3次元コンピュータグラフィックスにおいて、物体の表面の質感を表現するために貼り付ける画像のことを言う。ここでは、映像フレームをテクスチャとしてポリゴンに貼り付ける処理が行われているのである。次いで、映像フレームが貼り付けられたポリゴンが画面上に描画される(S214)。さらに、ユーザ操作に応じて視点情報が更新される(S216)。
【0077】
次いで、再描画処理ループを終了するか否かが判断され、継続する場合、ステップS208から始まる一連の処理が繰り返される(S218)。再描画処理ループの継続/終了は、ユーザの再生停止指示の有無により判断される。ユーザにより再生停止の指示がある場合、ステップS218で再描画処理ループが終了される。一方、ユーザにより再生停止の指示が無い場合、ステップS208〜S218の再描画処理ループが繰り返される。ステップS218において再描画処理ループが終了されると、再生処理に係る一連の処理が終了する。
【0078】
上記のステップS202〜S218までの一連の処理は、カメラBの映像についても同様に実行される。このように、カメラAの映像、及びカメラBの映像について並行して再生処理が実行される。その結果、表示部300には、カメラA、カメラBにより撮影された映像が同期して再生される。このとき、再生制御部210は、映像フレームの時刻がカメラAの映像とカメラBの映像とで撮影時刻が同期するように再生時刻を調整する。その結果、表示部300には、2つの映像が同期して再生される。但し、タイムフレームのズレが補償されるように構成されていてもよい。
【0079】
以上、本実施形態に係る録画処理及び再生処理の流れについて説明した。上記の通り、カメラA及びカメラBによる撮影時の撮影方向及び画角とが保持されている。そのため、個々の撮影方向及び画角に一致するように各映像の投影方向及び画角が調整されることで、仮想的な3次元空間上で容易に複数の映像を合成表示することができるようになる。
【0080】
[変形例:撮像システム10の構成]
次に、図12を参照しながら、本実施形態の一変形例に係る撮像システム10のシステム構成について説明する。図12は、本実施形態の一変形例に係る撮像システム10のシステム構成を示す説明図である。当該変形例は、撮像装置102、104の撮像方向や画角を情報処理装置200により制御するように変形したものである。そこで、この制御手段に係る構成要素についてのみ説明し、図4に示した情報処理装置200と実質的に同一の機能構成については同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。
【0081】
[撮像ユニット100の変形部分]
図12に示すように、本変形例に係る撮像ユニット100は、複数の撮像装置102、104の他に、駆動制御部152を備えている。駆動制御部152は、複数の撮像装置102、104に対して機械的及び電気的に接続されており、撮像装置102、104の撮影方向及び画角を制御することができる。また、駆動制御部152は、情報処理装置200から制御情報を取得し、この制御情報に応じて撮像装置102、104の撮影方向及び画角を制御する。
【0082】
[情報処理装置200の変形部分]
本変形例に係る情報処理装置200は、図4に示した位置情報取得部206に代えて、方向制御部252、及び画角調整部254が設けられている。方向制御部252は、撮像ユニット100の駆動制御部152を制御して撮像装置102、104の撮影方向を制御する。一方、画角調整部254は、撮像ユニット100の駆動制御部152を制御して撮像装置102、104の画角を調整する。このように、本変形例に係る情報処理装置200は、撮像ユニット100に係る位置情報を制御する制御装置としての機能を備える。
【0083】
そのため、方向制御部252は、撮像装置102、104の撮影方向に関する情報を保持しており、撮像ユニット100に制御情報を伝送する際に撮影方向の情報を再生位置算出部208に入力する。同様に、画角調整部254は、撮像装置102、104の画角に関する情報を保持しており、撮像ユニット100に制御情報を伝送する際に画角の情報を再生位置算出部208に入力する。このような構成にすることで、図4に示した情報処理装置200の場合と同様に、再生位置算出部208は、撮像装置102、104で撮影された映像の再生位置を算出することができる。
【0084】
以上、本実施形態に係る一変形例について説明した。このように、撮像装置102、104を駆動制御する構成等については様々な変形が可能である。特に、位置情報をどの構成要素により保持しておくか、或いは、どの構成要素から取得するか等については、自由に変形することができる。最後に、情報処理装置200のハードウェア構成の一例について説明する。同ハードウェア構成と上記の機能構成との間の対応関係は次の通りである。
【0085】
(対応関係)
映像取得部202、位置情報取得部206、再生位置算出部208、再生制御部210の機能は、ROM904、RAM906、記憶部920、又はリムーバブル記録媒体928に記録されたプログラムに基づいてCPU902により実現される。また、方向制御部252、画角調整部254の機能についても、ROM904、RAM906、記憶部920、又はリムーバブル記録媒体928に記録されたプログラムに基づいてCPU902により実現される。さらに、記憶部204の機能は、RAM906、記憶部920、又はリムーバブル記録媒体928により実現される。そして、表示部300の機能は、出力部918により実現される。但し、表示部300がタッチパネル等の入力手段としての機能を有する場合、表示部300は入力部916にも対応する。
【0086】
[ハードウェア構成(情報処理装置200)]
上記装置が有する各構成要素の機能は、例えば、図13に示すハードウェア構成を有する情報処理装置により、上記の機能を実現するためのコンピュータプログラムを用いて実現することが可能である。図13は、上記装置の各構成要素が有する機能を実現することが可能な情報処理装置のハードウェア構成を示す説明図である。この情報処理装置の形態は任意であり、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯情報端末、ゲーム機、又は各種の情報家電等の形態がこれに含まれる。
【0087】
図13に示すように、前記の情報処理装置は、主に、CPU(Central Processing Unit)902と、ROM(Read Only Memory)904と、RAM(Random Access Memory)906と、ホストバス908と、ブリッジ910と、外部バス912と、インターフェース914と、入力部916と、出力部918と、記憶部920と、ドライブ922と、接続ポート924と、通信部926とにより構成される。
【0088】
CPU902は、例えば、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM904、RAM906、記憶部920、又はリムーバブル記録媒体928に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。ROM904は、例えば、CPU902に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータ等を格納する。RAM906は、例えば、CPU902に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータ等を一時的又は永続的に格納する。これらの構成要素は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス908によって相互に接続されている。また、ホストバス908は、例えば、ブリッジ910を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス912に接続されている。
【0089】
入力部916は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及びレバー等の操作手段である。また、入力部916は、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントロール手段(所謂、リモコン)であってもよい。なお、入力部916は、上記の操作手段を用いて入力された情報を入力信号としてCPU902に伝送するための入力制御回路等により構成されている。
【0090】
出力部918は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma DisplayPanel)、又はELD(Electro−Luminescence Display)等のディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホン等のオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、又はファクシミリ等、取得した情報を利用者に対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置である。
【0091】
記憶部920は、各種のデータを格納するための装置であり、例えば、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disk Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等により構成される。
【0092】
ドライブ922は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体928に記録された情報を読み出し、又はリムーバブル記録媒体928に情報を書き込む装置である。リムーバブル記録媒体928は、例えば、DVDメディア、Blu−rayメディア、HD DVDメディア、コンパクトフラッシュ(CF;CompactFlash)(登録商標)、メモリースティック、又はSDメモリカード(Secure Digital memory card)等である。もちろん、リムーバブル記録媒体928は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit Card)、又は電子機器等であってもよい。
【0093】
接続ポート924は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)、RS−232Cポート、又は光オーディオ端子等のような外部接続機器930を接続するためのポートである。外部接続機器930は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、又はICレコーダ等である。
【0094】
通信部926は、ネットワーク932に接続するための通信デバイスであり、例えば、有線又は無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は各種通信用のモデム等である。また、通信部926に接続されるネットワーク932は、有線又は無線により接続されたネットワークにより構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、可視光通信、放送、又は衛星通信等である。
【0095】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0096】
上記の説明においては、2台のカメラで撮影された映像の再生位置を仮想的な3次元空間に配置してソフトウェア的に表示処理を行う構成例を示したが、本実施形態は、これに限定されない。例えば、再生位置算出部208により算出された3次元的な再生位置の情報に基づき、複数の映写機を駆動制御して実際のスクリーンに投影してもよい。また、記憶部204には、位置情報が記録されるように構成されていてもよい。
【0097】
なお、上記の情報処理装置200の機能は、テレビジョン受像機、録画再生装置、ゲーム機、携帯情報端末、携帯電話、情報家電等の任意の電子機器により実現されうる。また、上記の方向制御部252、画角調整部254は、位置情報記録部の一例である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】2台のカメラで撮影された映像及びそれらの合成映像を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る撮像システムの構成を示す説明図である。
【図3】本実施形態に係る撮像装置の機能構成例を示す説明図である。
【図4】本実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示す説明図である。
【図5】画角の定義を示す説明図である。
【図6】本実施形態に係る位置情報の一例を示す説明図である。
【図7】本実施形態に係る再生位置の算出方法を示す説明図である。
【図8】本実施形態に係る再生位置と合成画像との関係を示す説明図である。
【図9】本実施形態に係る再生画面の一例を示す説明図である。
【図10】本実施形態に係る録画処理の流れを示す説明図である。
【図11】本実施形態に係る再生処理の流れを示す説明図である。
【図12】本実施形態に係る撮像システムの変形例を示す説明図である。
【図13】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0099】
10 撮像システム
100 撮像ユニット
102、104 撮像装置
108 架台
112 イメージセンサ
114 画像処理ブロック
116 制御部
118 操作部
120 表示パネル
122 記録メディア
130 画像処理部
132 前処理回路
134 カメラ信号処理回路
136 画像出力制御部
138 エンコーダ
140 バッファメモリ
142 メディア制御回路
152 駆動制御部
200 情報処理装置
202 映像取得部
204 記憶部
206 位置情報取得部
208 再生位置算出部
210 再生制御部
252 方向制御部
254 画角調整部
300 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像装置により撮影された複数の映像データを取得する映像取得部と、
前記各撮像装置の向き及び画角を含む位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を用いて前記各映像データの投影方向及び画角が前記各撮像装置の向き及び画角に一致するように当該各映像データの再生位置を算出する再生位置算出部と、
前記各再生位置に前記各映像データを再生させる再生制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記映像取得部は、撮像範囲の一部が重なるように前記複数の撮像装置により同時に撮影された複数の映像データを取得し、
前記再生制御部は、前記各映像データの重なり部分に対して、前面に表示される前記映像データを表示し、背面に表示される前記映像データを表示しないように前記複数の映像データを再生させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記再生位置算出部は、表示画面の奥行き方向を含む仮想的な3次元空間において前記各映像データが投影される面領域を前記再生位置として算出し、
前記再生制御部は、前記再生位置として算出された前記仮想的な3次元空間内の面領域に前記各映像データが投影されているように当該各映像データを再生させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
撮像範囲の一部が重なるように複数の撮像装置の向きを制御する方向制御部と、
前記各撮像装置の画角を調整する画角調整部と、
前記方向制御部により制御された前記各撮像装置の向き、及び前記画角調整部により調整された前記各撮像装置の画角を位置情報として記録する位置情報記録部と、
前記各撮像装置により撮影された映像データ及び前記位置情報が記録される記憶部と、
をさらに備え、
前記映像取得部は、前記記憶部から前記映像データを取得し、
前記位置情報取得部は、前記記憶部から前記位置情報を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
撮像範囲の一部が重なるように複数の撮像装置の向きを制御する方向制御部と、
前記各撮像装置の画角を調整する画角調整部と、
前記方向制御部により制御された前記各撮像装置の向き、及び前記画角調整部により調整された前記各撮像装置の画角を位置情報として記録する位置情報記録部と、
前記各撮像装置により撮影された映像データ及び前記位置情報が記録される記憶部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項6】
個々の撮影方向及び画角を変更することが可能な複数の撮像部と、
撮像範囲の一部が重なるように前記各撮像部の向きを制御する方向制御部と、
前記各撮像部の画角を調整する画角調整部と、
前記方向制御部により制御された前記各撮像部の向き、及び前記画角調整部により調整された前記各撮像部の画角を位置情報として記録する位置情報記録部と、
前記各撮像部により撮影された映像データ及び前記位置情報が記録される記憶部と、
を備える、撮像システム。
【請求項7】
複数の撮像装置により撮影された複数の映像データが取得される映像取得工程と、
前記各撮像装置の向き及び画角を含む位置情報が取得される位置情報取得工程と、
前記位置情報を用いて前記各映像データの投影方向及び画角が前記各撮像装置の向き及び画角に一致するように当該各映像データの再生位置が算出される再生位置算出工程と、
前記各再生位置に前記各映像データが再生されるように制御される再生制御工程と、
を含む、再生制御方法。
【請求項8】
撮像範囲の一部が重なるように複数の撮像装置の向きが制御される方向制御工程と、
前記各撮像装置の画角が調整される画角調整工程と、
前記方向制御工程で制御された前記各撮像装置の向き、及び前記画角調整工程で調整された前記各撮像装置の画角が位置情報として記録される位置情報記録工程と、
前記各撮像装置により撮影された映像データが記録される記録工程と、
を含む、録画制御方法。
【請求項9】
複数の撮像装置により撮影された複数の映像データが取得される映像取得工程と、
前記各撮像装置の向き及び画角を含む位置情報が取得される位置情報取得工程と、
前記位置情報を用いて前記各映像データの投影方向及び画角が前記各撮像装置の向き及び画角に一致するように当該各映像データの再生位置が算出される再生位置算出工程と、
前記各再生位置に前記各映像データが再生されるように制御される再生制御工程と、
を含む、再生制御方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項10】
撮像範囲の一部が重なるように複数の撮像装置の向きが制御される方向制御工程と、
前記各撮像装置の画角が調整される画角調整工程と、
前記方向制御工程で制御された前記各撮像装置の向き、及び前記画角調整工程で調整された前記各撮像装置の画角が位置情報として記録される位置情報記録工程と、
前記各撮像装置により撮影された映像データが記録される記録工程と、
を含む、録画制御方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−302785(P2009−302785A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153557(P2008−153557)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】