情報処理装置、無線基地局、通信制御方法及びプログラム
【課題】2つの装置間で、短時間で効率よく通信路を確立することができる無線基地局を提供する。
【解決手段】無線制御装置101は、複数のラインビットレートの情報を記憶する対応レート記憶部107と、任意の無線装置201のラインビットレートの情報を取得する通信部103と、通信部103によって取得された任意の無線装置201が有するラインビットレートの情報を記憶するスレーブポート情報記憶部108と、スレーブポート情報記憶部108に記憶されたラインビットレートの情報に係る無線装置201との間に通信路を確立する場合に、対応レート記憶部107及びスレーブポート情報記憶部108の中から共通する最大のラインビットレートの情報を読み出す記憶制御部105と、記憶制御部105によって読み出された共通する最大のラインビットレートを通信部103に設定する通信制御部106と、を備える。
【解決手段】無線制御装置101は、複数のラインビットレートの情報を記憶する対応レート記憶部107と、任意の無線装置201のラインビットレートの情報を取得する通信部103と、通信部103によって取得された任意の無線装置201が有するラインビットレートの情報を記憶するスレーブポート情報記憶部108と、スレーブポート情報記憶部108に記憶されたラインビットレートの情報に係る無線装置201との間に通信路を確立する場合に、対応レート記憶部107及びスレーブポート情報記憶部108の中から共通する最大のラインビットレートの情報を読み出す記憶制御部105と、記憶制御部105によって読み出された共通する最大のラインビットレートを通信部103に設定する通信制御部106と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、無線基地局、通信制御方法及びプログラムに関する。より詳しくは、分離された無線制御装置と無線装置との間で通信速度を整合する情報処理装置、無線基地局、通信制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバケーブル等の通信設備の発達により、無線基地局を構成する無線制御装置(REC:Radio Equipment Controller)と無線装置(RE:Radio Equipment)とを分離した無線基地局が普及している。光ファイバケーブルによって無線制御装置と無線装置との間で通信路を確立するための接続インタフェースとして、CPRI(Common Public Radio Interface)規格の通信プロトコルが知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
無線制御装置と無線装置との間のインタフェースをオープンにすることにより、種々の利点が生まれる。例えば、無線基地局内の各部のマルチベンダ(マルチユーザ)化を図ることができる。また、無線装置をアンテナ直下に設置することが可能なため、無線装置とアンテナとを接続する給電線による電力損失が小さくなるので、無線装置の消費電力を低減できる。さらに、光ファイバケーブルによってCPRI接続を構成することにより、無線制御装置から数10km離れたところに小型の無線装置を設置できるため、無線装置の設置環境の自由度が拡がる。この結果、電波が届かない不感地帯を解消することが可能になる。
【0004】
下記の特許文献1には、CPRI規格の通信プロトコルによって上位系の無線制御装置と下位系の無線装置とを接続する際に、上位系向け及び下位系向けを特定することなく、マスタ動作及びスレーブ動作を自動的に切り替えるシステムが開示されている。
【0005】
また、下記の特許文献2には、2つのスレーブポートを備えた無線装置が異なる無線制御装置に接続され、それぞれの伝送遅延時間に基づいて同期タイミングを補正するシステムが開示されている。
【0006】
上記特許文献1及び特許文献2を含む従来の分離型の無線基地局に限らず、一般に、情報処理装置が他機器との間で通信路を確立するためには、お互いの通信速度の整合を取ることが必要である。
【0007】
通信速度の整合を取るためには、通常、最初に最大速度の通信速度を設定する。そして、通信路の確立ができない場合には、一定時間ごとに一段低速の通信速度に変更する。
【0008】
図10及び図11は、CPRI規格の通信プロトコルに準拠した無線制御装置と無線装置との間における、従来の一般的な通信路の確立を行う通信制御方法を示す図である。
【0009】
図10は、一般的な関連技術における無線制御装置及び無線装置の状態遷移図である。スタンバイ(フェーズA)から始まって、L1(レイヤ1)同期の設定(フェーズB)、プロトコルの設定(フェーズC)、C&Mプレーン(Control & Management Plane)の設定(フェーズD)、インタフェース及びベンダ固有の交渉(フェーズE)、データの送受信の動作(フェーズF)へと状態が遷移する。
【0010】
図11は、図10のフェーズEにおける無線制御装置の動作を示すフローチャートである。無線制御装置の制御部は、まず、通信速度であるラインビットレートを最大(例えば、6144.0Mbps)に設定する(ステップS901)。
【0011】
次に、制御部は、設定した通信速度を維持するための一定時間を計測するタイマのスタートを行う(ステップS902)。なお、計測する一定時間は、無線制御装置と無線装置とでは異なる。通常、無線制御装置は、複数の無線装置との間で通信路を確立する必要があるので、無線装置よりも短い時間にタイマを設定する。
【0012】
次に、制御部は、設定したラインビットレートによって通信路が確立したか否かを判別する(ステップS903)。
【0013】
通信路が確立できなかった場合には(ステップS903;NO)、制御部は、タイマが満了したか否かを判別する(ステップS904)。
【0014】
タイマが満了していない場合には(ステップS904;NO)、制御部は、ステップS903に移行して、通信路が確立したか否かを判別する。
【0015】
設定したラインビットレートにおいて通信路が確立したときは(ステップS903;YES)、制御部は、フェーズFへ遷移する。そして、データの送受信の動作を開始する。
【0016】
一方、通信路が確立せず(ステップS903;NO)、タイマが満了したときは(ステップS904;YES)、制御部は、一段低速のラインビットレートに変更する(ステップS905)。
【0017】
次に、制御部は、対応する一段低速のラインビットレートがあるか否かを判別する(ステップS906)。
【0018】
対応するラインビットレートがある場合には(ステップS906;YES)、制御部は、ステップS902に移行して、タイマのスタートを行う。この後は、通信路が確立できず、かつ、一段低速に設定したラインビットレートがある限り、ステップS902からステップS906のループを繰り返す。
【0019】
対応するラインビットレートがない場合(ステップS906;NO)、すなわち、最小のラインビットレートにおいて通信路が確立できなかった場合には、制御部は、フェーズBへ遷移する。
【0020】
この場合には、ラインビットレートを最大から最小に一段ずつ低速に変更しても、通信速度の整合を取れなかったことになる。このため、再構成をするためにフェーズBへ遷移して、再びフェーズBからフェーズEまで各フェーズの処理を実行する。フェーズEに遷移した後は、制御部は、再び図11のフローチャートを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2010−166531号公報
【特許文献2】特開2010−206737号公報
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Common Public Radio Interface (CPRI) specification version 4.1 <http://www. cpri. info/jp/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、上記特許文献1、2を含む従来の通信制御方法においては、通信速度を変更する一定時間が無線制御装置と無線装置とでは異なるため、通信速度の整合を取るタイミングが合わず、通信路を確立するまでに長い時間がかかってしまう。
【0024】
図12は、無線制御装置(REC)及び無線装置(RE)のラインビットレートを変更するタイミングの一例を示す図である。無線制御装置は、一定時間T(例えば、約1秒)ごとに、最大のラインビットレートの6144.0Mbpsから最小のラインビットレートの614.4Mbpsまで、一段ずつ低速に変更する。一方、無線装置は、4T(すなわち、約4秒)ごとに、最大のラインビットレートの1228.8Mbpsと最小のラインビットレートの614.4Mbpsとを交互に変更する。
【0025】
この例の場合には、無線装置が、最大のラインビットレートの1228.8Mbpsに設定したタイミングにおいて、無線制御装置は、同じラインビットレートの1228.8Mbpsに設定できない。その結果、図12に示すように、5T(すなわち、約5秒)の時間が経過した後に、最小のラインビットレートの614.4Mbpsで通信路が確立される。すなわち、無線制御装置及び無線装置に共通する最大のラインビットレートの1228.8Mbpsを使用することができない。この場合において、再構成のために図10のフェーズEからフェーズBに遷移したとしても、図12に示したタイミングでは、図10のフェーズEにおいて再び最小のラインビットレートの614.4Mbpsで通信路が確立されることになる。
【0026】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、2つの装置間に共通する最大の通信速度を使用して、短時間で効率よく通信路を確立することができる情報処理装置、無線基地局、通信制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の第1の観点に係る情報処理装置は、
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の他機器との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の他機器の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の他機器が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る他機器との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする。
【0028】
本発明の第2の観点に係る無線基地局は、
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置を備え、前記無線制御装置は、
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする。
【0029】
本発明の第3に係る通信制御方法は、
少なくとも1つの無線装置と通信を行うと共に、ベースバンド信号を処理する無線制御装置において、
第1の記憶部が、複数の通信速度に関する情報を記憶し、
通信部が、前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得し、
第2の記憶部が、前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶し、
前記通信部により前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、記憶制御部が、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出し、
通信制御部が、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする。
【0030】
本発明によるプログラムは、
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置において、前記無線制御装置が有するコンピュータに、
複数の通信速度に関する情報を第1の記憶部に記憶する第1のステップと、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する第2のステップと、
前記第2のステップによって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を第2の記憶部に記憶する第3のステップと、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す第4のステップと、
前記第4のステップによって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記第2のステップに対して設定する第5のステップと、を実行させる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、データの送受信を行う2つの装置間に共通する最大の通信速度を使用して、短時間で効率よく通信路を確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施の形態1における無線基地局のシステムを示すブロック図である。
【図2】実施の形態1のCPRI接続におけるサブチャネルの構成を示す図である。
【図3】RE−IDとラインビットレートに関する情報との関係を例示的に示す図である。
【図4】図3の各無線装置におけるラインビットレートの具体例を示す図である。
【図5】実施の形態1の無線基地局における通信路確立に移行する状態遷移図である。
【図6】図5のフェーズJにおける無線制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】図5のフェーズHにおける無線制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態2の無線基地局における通信路確立に移行する状態遷移図である。
【図9】実施の形態3における無線基地局の構成の様々なバリエーションを示す図である。
【図10】一般的な関連技術における無線基地局の状態遷移図である。
【図11】図10のフェーズEにおける無線制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】無線制御装置及び無線装置のラインビットレートを変更するタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の無線基地局及びその通信制御方法の実施の形態について、図1乃至図9を参照しながら説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。また、重複する説明は省略する。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1におけるベースバンド信号を処理する無線制御装置(REC)及び無線制御装置と通信を行う無線装置(RE)を備えた無線基地局のシステムを示すブロック図である。
【0035】
図1において、無線制御装置101及び無線装置201は、CPRI規格に準拠した通信プログラムによって接続(通信路が確立)される。無線制御装置101のポート(図では○マークで表示)は、マスターポートであり、無線装置201のポート(図では◇マークで表示)は、スレーブポートである。すなわち、無線制御装置101は、マスターポートを介して無線装置201のスレーブポートにポイント・トゥー・ポイント(1対1)でCRPI接続される。
【0036】
通常、無線制御装置101とCPRI接続される無線装置201は複数である。すなわち、無線制御装置101は、光ファイバケーブル(図示せず)によって任意の無線装置201との間で、CPRI接続を行って通信路を確立する。
【0037】
任意の無線装置201との間でCPRI接続による通信路が確立された後、無線制御装置101は、マスターポートから無線装置201のスレーブポートに下り信号を送信する。一方、無線装置201は、スレーブポートから無線制御装置201のマスターポートに上り信号を送信する。
【0038】
図2は、実施の形態1のCPRI接続におけるサブチャネルの構成を示す図である。サブチャネルには、CPRIのフレーム内のL1(レイヤ1)同期確立のための基準信号やC&Mプレーン等が格納される。本実施の形態においては、サブチャネルのXs=0、Ns=16の領域に、CPRIラインビットレートの情報を格納している。
【0039】
無線制御装置101は、この領域を用いて接続先である無線装置201にラインビットレートの情報を通知することができる。
【0040】
同様に、無線装置201も、この領域を用いて接続先である無線制御装置101にラインビットレートの情報を通知することができる。
【0041】
なお、ラインビットレートの情報を格納する領域としては、Xs=0、Ns=16の領域に限定されない。ベンダが自由に使用できるベンダ固有の領域であれば、ラインビットレートの情報を格納することができる。
【0042】
次に、無線制御装置101の内部構成について説明する。図1に示すように、無線制御装置101は、制御部102、通信部103、及び記憶部104を備えている。さらに、制御部102は、記憶制御部105及び通信制御部106を有する。また、記憶部104は、対応レート記憶部107及びスレーブポート情報記憶部108を有する。
【0043】
対応レート記憶部107は、無線制御装置101自身がサポートする複数のラインビットレート(6144.0Mbpsから614.4Mbpsまでの6種類の通信速度)に関する情報を記憶する。
【0044】
通信制御部106は、対応レート記憶部107に記憶された複数のラインビットレートのうち、1つのラインビットレートを通信部103に設定する。
【0045】
通信部103は、通信制御部106によって設定された1つのラインビットレートに基づいて任意の無線装置201との間に通信路を確立する。さらに、通信部103は、その確立された通信路を介して接続した無線装置201の通信機能が有する少なくとも1つのラインビットレートの情報、すなわち図2に示したサブチャネルの領域の16(h)に格納されたラインビットレートの情報をスレーブポートから取得する。
【0046】
スレーブポート情報記憶部108は、通信部103によって取得された無線装置201がサポートするラインビットレートの情報を記憶する。
【0047】
記憶制御部105は、対応レート記憶部107及びスレーブポート情報記憶部108に対する情報の書き込み及び読み出しを制御する。記憶制御部105は、スレーブポート情報記憶部108に記憶されたラインビットレートの情報に関係する無線装置201との間に通信路を確立する場合に、対応レート記憶部107及びスレーブポート情報記憶部108にそれぞれ記憶されている情報の中から、共通する最大のラインビットレートの情報を読み出す。
【0048】
通信制御部106は、記憶制御部105によって読み出された共通する最大のラインビットレートを通信部103に設定する。
【0049】
次に、無線装置201の内部構成について説明する。図1に示すように、無線装置201は、制御部202、通信部203、及び記憶部204を有する。さらに、制御部202は、記憶制御部205、通信制御部206、及びRE−ID記憶部208を有する。また、記憶部204は、対応レート記憶部207を有する。
【0050】
対応レート記憶部207は、無線装置201自身がサポートする1つ又は複数のラインビットレートに関する情報を記憶する。
【0051】
通信制御部206は、対応レート記憶部207に記憶された1つ又は複数のラインビットレートのうち、1つのラインビットレートを通信部203に設定する。
【0052】
通信部203は、通信制御部206によって設定された1つのラインビットレートに基づいて、光ファイバケーブルで接続されている無線制御装置101との間に通信路を確立する。
【0053】
記憶制御部205は、対応レート記憶部207及びRE−ID記憶部208に対する情報の書き込み及び読み出しを制御する。
【0054】
上記したように、通常、無線制御装置101に接続されている無線装置201は複数ある。このため各無線装置201は、RE−ID記憶部208の固有の識別情報であるRE−IDによって識別される。通信部203は、通信路が確立された無線制御装置101に対してRE−ID記憶部208に記憶されているRE−IDを提示する。
【0055】
次に、RE−ID記憶部208に記憶されているRE−IDと、対応レート記憶部207に記憶されているラインビットレートに関する情報との関係について説明する。図3は、RE−IDとラインビットレートに関する情報との関係を例示的に示す図である。図4は、図3の各無線装置におけるラインビットレートの具体例を示す図である。
【0056】
無線制御装置101及び無線装置201において、ラインビットレートに関する情報はb0乃至b7の8ビットで表される。有効なラインビットレートのビットは「1」で表され、無効なラインビットレートは「0」で表される。なお、b6及びb7の2ビットは予備であり、将来のラインビットレートの拡張に備えるようになっている。b0、b1、b2、b3、b4、b5の各ビットに対応するラインビットレート(Mbps)は、614.4;1228.8;2457.6;3072.0;4915.2;6144.0となっている。
【0057】
例えば、図3及び図4に示す例においては、RE−IDが0001、0002、0003の3つの無線装置201のラインビットレートは、それぞれb0及びb1が1、b0乃至b3が1、b0乃至b5が1になっている。すなわち、図4に示すように、各無線装置201に有効なラインビットレートが設定されている。
【0058】
次に、無線制御装置101及び任意の無線装置201を備えた無線基地局におけるCPRIのプロトコルに準拠した通信路の確立について説明する。
【0059】
図5は、無線基地局における通信路確立に移行する状態遷移図である。無線基地局は、様々な要因によって状態遷移するが、本実施の形態においては、基本的な状態遷移について説明する。
【0060】
無線制御装置101と無線装置201との間で通信路が遮断して、無線制御装置101から無線装置201にリセット信号が送られると、無線基地局は、スタンバイ状態のフェーズAになる。フェーズAの間は、CPRIでの送信も受信も存在しない。フェーズAにおいて、例えば運用オペレータが、ラインビットレート及びC&Mリンク特性等を含めて適切なスタートアップを指示する。
【0061】
スタートアップの指示がされたときは、無線制御装置101及び無線装置201は、L1(物理レイヤ)同期及びラインビットレート交渉のフェーズBに遷移する。
【0062】
L1同期とラインビットレートの交渉とがうまく完了すると、次のスタートアップはプロトコルの設定のフェーズCに遷移する。このフェーズCにおいて、CPRIの共通プロトコルバージョンが判断される。無線制御装置101及び無線装置201の一方又は両方が、CPRIインタフェースの複数の改定版を利用できる場合、伝えられたC&Mリンクを読み出そうとする前に、共通の改定版を見つけることになる。
【0063】
L1の同期とプロトコルバージョンの一致に続いて、スタートアップは、共通のC&Mリンクビットレートを判断するため、C&Mプレーン(L2+)の設定を行うフェーズDに遷移する。フェーズDにおける交渉は、高速C&Mリンクと低速C&Mリンクとについて並行して進行する。
【0064】
フェーズDにおいて、一致する高速及び低速のC&Mリンク速度がない場合には、受動リンクのフェーズGに遷移する。フェーズGにおいては、新たな高速C&Mリンクと低速C&Mリンクが提案されて、フェーズDに遷移する。
【0065】
高速及び低速のC&Mリンク速度が一致すると、スタートアップはベンダ固有交渉のフェーズJに遷移する。このフェーズJにおいて、無線制御装置101及び無線装置201の中のより高いレベルのアプリケーションがCPRIの利用について交渉する。
【0066】
図6は、図5のフェーズJにおける無線制御装置101の動作を示すフローチャートである。無線制御装置101は、接続先の無線装置201がサポートするCPRIラインビットレートの情報を取得する(ステップS101)。
【0067】
次に、無線制御装置101は、取得したラインビットレートの中から、最大ラインビットレートの検出を行う(ステップS102)。すなわち、無線制御装置101は、図3に示したRE−ID及びラインビットレートの情報において、「1」に設定されている最上位ビットを検出する。
【0068】
次に、無線制御装置101は、接続先の無線装置201と自身との間でサポートする最大ラインビットレートで動作しているか確認を行う(ステップS103)。すなわち、現在動作中のラインビットレートが最大ラインビットレートであるか否かを判別する(ステップS104)。
【0069】
現在動作中のラインビットレートが最大ラインビットレートである場合には(ステップS104;YES)、固有情報の交換によって、ベンダ固有要件に基づいたCPRIの好適構成がもたらされるので、無線制御装置201は、図5のフェーズFへ遷移する。フェーズFにおいてスタートアップは完了し、通常の動作が始まる。
【0070】
一方、現在動作中のラインビットレートが最大ラインビットレートでない場合には(ステップS104;NO)、無線制御装置201は、通信路の確立を再構成するために、図5のフェーズHに遷移する。
【0071】
図7は、図5のフェーズHにおける無線制御装置101の動作を示すフローチャートである。無線制御装置101は、接続先の無線装置201がサポートするラインビットレートの情報の有無を確認する(ステップS201)。すなわち、無線制御装置101は、接続先の無線装置201がサポートするラインビットレートの情報があるか否かを判別する(ステップS202)。
【0072】
接続先の無線装置201がサポートするラインビットレートの情報がある場合には(ステップS202;YES)、無線制御装置101は、タイマのスタートを行う(ステップS203)。
【0073】
次に、無線制御装置101は、接続先の無線装置201と無線制御装置101自身とでサポートする最大ラインビットレートを設定する(ステップS204)。
【0074】
次に、無線制御装置101は、タイマが満了したか否かを判別する(ステップS205)。
【0075】
タイマが満了していない場合には(ステップS205;NO)、無線制御装置101は、接続先の無線装置201との間で接続が確立したか否かを判別する(ステップS206)。
【0076】
接続先の無線装置201との間で通信路が確立していない場合には(ステップS206;NO)、無線制御装置101は、ステップS205に移行して、タイマが満了したか否かを判別する。
【0077】
ステップS205においてタイマが満了せず、かつ、ステップS206において接続先の無線装置201との間で通信路が確立していない限り、無線制御装置101は、ステップS205及びステップS206のループを繰り返す。
【0078】
接続先の無線装置201との間で通信路が確立したときは(ステップS206;YES)、無線制御装置101は、タイマの停止を行う(ステップS207)。この後は、無線制御装置101は、図5のフェーズCへ遷移する。この後は、フェーズD、フェーズJ、フェーズFへと遷移して、最大ラインビットレートで通信を実行する。
【0079】
一方、接続先の無線装置201との間で通信路が確立していない場合に(ステップS206;NO)、タイマが満了したときは(ステップS205;YES)、無線制御装置101は、図5のフェーズBへ遷移する。また、接続先の無線装置201がサポートするラインビットレートの情報がない場合には(ステップS202;NO)、無線制御装置101は、図5のフェーズBへ遷移する。
【0080】
無線制御装置101は、フェーズBにおいては、図10乃至図11に示した一般的な通信制御方法によって、接続先の無線装置201との間で通信路を確立する。
【0081】
以上のように、実施の形態1の無線基地局は、ベースバンド信号を処理する無線制御装置101及びその無線制御装置101と通信を行う少なくとも1つの無線装置201を備えている。無線制御装置101は、複数のラインビットレート(通信速度)に関する情報を記憶する対応レート記憶部107(第1の記憶部)と、対応レート記憶部107に記憶された複数のラインビットレートのうち、設定された1つのラインビットレートに基づいて任意の無線装置201との間に通信路を確立すると共に、その確立された通信路を介して任意の無線装置201の通信機能が有する少なくとも1つのラインビットレートの情報を取得する通信部103と、通信部103によって取得された任意の無線装置201が有するラインビットレートの情報を記憶するスレーブポート情報記憶部108(第2の記憶部)と、スレーブポート情報記憶部108に記憶されたラインビットレートの情報に係る無線装置201との間に通信路を確立する場合に、対応レート記憶部107及びスレーブポート情報記憶部108にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大のラインビットレートの情報を読み出す記憶制御部105と、記憶制御部105によって読み出された共通する最大のラインビットレートを通信部103に設定する通信制御部106と、を備える。
【0082】
したがって、データの送受信を行う無線制御装置101及び無線装置201間に共通する最大のラインビットレートを使用して、短時間で効率よく通信路を確立することができる。
【0083】
この場合において、スレーブポート情報記憶部108は、通信部103が無線装置201との間に通信路を確立するごとに、その無線装置201との通信に関する履歴情報を更新して記憶し、記憶制御部105は、通信部103が任意の無線装置201との間に通信路を確立する場合に、スレーブポート情報記憶部108に記憶されているその任意の無線装置201の履歴情報及び対応レート記憶部107に記憶されている情報の中から共通する最大のラインビットレートの情報を読み出す構成にしてもよい。
【0084】
この構成によれば、無線装置201がサポートする最大のラインビットレートが何らかの要因で機能しなかった場合でも、過去の履歴情報を検索して、無線装置201がサポートする最大のラインビットレートでの通信路の確立が可能になる。
【0085】
実施の形態1において、図5乃至図7に示したように、無線制御装置101の通信制御部106は、無線装置201との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行うフェーズJの中で、記憶制御部105によって読み出された共通する最大のラインビットレートを通信部103に設定する。
【0086】
したがって、無線基地局を構成する無線制御装置101及び無線装置201間で、CPRI規格に準拠した最大のラインビットレートを使用して、よりいっそう短時間で効率よく通信路を確立することができる。
【0087】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2の無線制御装置101及び任意の無線装置201を備えた無線基地局におけるCPRIのプロトコルに準拠した通信路の確立について説明する。
【0088】
図8は、実施の形態2の無線基地局における通信路確立に移行する状態遷移図である。図8において、図5と共通する部分の説明は省略する。
【0089】
図8に示す実施の形態2の状態遷移図においては、フェーズCのプロトコルの設定とフェーズDのC&Mプレーンの設定との間に、L1の最適化を行うフェーズIが追加されている。実施の形態2においては、図5に示した実施の形態1の状態遷移図におけるフェーズJで行っていたラインビットレートの交渉をフェーズIで行う。
【0090】
すなわち、実施の形態2においては、無線制御装置101の通信制御部106は、CPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う前に、記憶制御部105によって読み出された共通する最大のラインビットレートを通信部103に設定する。
【0091】
したがって、無線基地局を構成する無線制御装置101及び無線装置201間で、長い時間を要するフェーズD及びフェーズGの処理を行う前に、CPRI規格に準拠した最大のラインビットレートを設定するので、通信路を確立する時間をさらにいっそう短縮することができる。
【0092】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3の無線基地局について図9を参照して説明する。実施の形態1及び2においては、無線基地局を構成する1つの無線制御装置101及び1つの無線装置201との間において、ポイント・トゥー・ポイントの通信路を確立する場合について説明したが、無線基地局を構成する態様には様々なバリエーションがある。
【0093】
図9は、実施の形態3における無線基地局の構成の様々なバリエーションを示す図である。図9において、無線制御装置(REC)101のマスターポート(○記号)に無線装置201(1)のスレーブポート(◇記号)が接続されたポイント・トゥー・ポイントの接続、すなわち、実施の形態1及び2に示した接続がある。さらに、無線装置201(1)にパーソナル・コンピュータ301が無線接続される。
【0094】
また、無線制御装置101のマスターポートに無線装置201(2)のスレーブポートが接続され、さらに無線装置201(2)のマスターポートに無線装置201(3)のスレーブポートが接続されたチェイン接続がある。
【0095】
また、無線制御装置101のマスターポートに無線装置201(4)のスレーブポートが接続され、無線装置201(4)の2つのマスターポートに無線装置201(5)及び無線装置201(6)の各スレーブポートが接続されたツリー接続がある。さらに、無線装置201(6)に携帯電話機401が無線接続される。
【0096】
また、無線制御装置101のマスターポートに無線装置201(7)のスレーブポートが接続され、無線装置201(7)のマスターポートに無線装置201(8)のスレーブポートが接続され、無線装置201(8)のマスターポートに無線制御装置101のスレーブポートが接続されたリング接続がある。さらに、無線装置201(8)に携帯情報端末501が無線接続される。
【0097】
図9に示すように、無線制御装置101は、無線装置201、パーソナル・コンピュータ301、携帯電話機401、携帯情報端末501等の他機器との間で通信路を確立する場合に、その他機器と共通する最大の通信速度を設定する。
【0098】
なお、上記各実施の形態においては、無線基地局を構成する無線制御装置及び無線装置を例に採って本発明を説明したが、本発明は、無線制御装置及び無線装置を備えた無線基地局に限定されるものではない。マスターポートを有する情報処理装置と、スレーブポートを有する複数の他機器との間で、通信路を確立する様々な装置やシステムにも本発明を適用することができる。
【0099】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0100】
(付記1)
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の他機器との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の他機器の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の他機器が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る他機器との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【0101】
(付記2)
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置を備え、前記無線制御装置は、
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする無線基地局。
【0102】
(付記3)
前記第2の記憶部は、前記通信部が無線装置との間に通信路を確立するごとに、当該無線装置との通信に関する履歴情報を更新して記憶し、
前記記憶制御部は、前記通信部が任意の無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第2の記憶部に記憶されている当該任意の無線装置の履歴情報及び前記第1の記憶部に記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す、
ことを特徴とする付記2に記載の無線基地局。
【0103】
(付記4)
前記通信制御部は、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う中で、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の無線基地局。
【0104】
(付記5)
前記通信制御部は、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う前に、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の無線基地局。
【0105】
(付記6)
少なくとも1つの無線装置と通信を行うと共に、ベースバンド信号を処理する無線制御装置において、
第1の記憶部が、複数の通信速度に関する情報を記憶し、
通信部が、前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得し、
第2の記憶部が、前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶し、
前記通信部により前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、記憶制御部が、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出し、
通信制御部が、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする通信制御方法。
【0106】
(付記7)
前記第2の記憶部が、前記通信部が任意の無線装置との間に通信路を確立するごとに、当該任意の無線装置との通信に関する履歴情報を更新して記憶し、
前記通信部により任意の無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記記憶制御部が、前記第2の記憶部に記憶されている当該任意の無線装置の履歴情報及び前記第1の記憶部に記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す、
ことを特徴とする付記6に記載の通信制御方法。
【0107】
(付記8)
前記通信制御部が、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う中で、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする付記6又は7に記載の通信制御方法。
【0108】
(付記9)
前記通信制御部が、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う前に、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする付記6又は7に記載の通信制御方法。
【0109】
(付記10)
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置において、前記無線制御装置が有するコンピュータに、
複数の通信速度に関する情報を第1の記憶部に記憶する第1のステップと、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する第2のステップと、
前記第2のステップによって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を第2の記憶部に記憶する第3のステップと、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す第4のステップと、
前記第4のステップによって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記第2のステップに対して設定する第5のステップと、を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の情報処理装置は、光ファイバケーブル等によって接続された他機器との間で通信速度を整合するシステムに適している。また、本発明の無線基地局、通信制御方法及びプログラムは、無線基地局を構成する無線制御装置と無線装置とを分離して、光ファイバケーブル等によって両者の通信速度を整合するシステムに適している。
【符号の説明】
【0111】
101 無線制御装置
102、202 制御部
103、203 通信部
104、204 記憶部
105、205 記憶制御部
106、206 通信制御部
107、207 対応レート記憶部
108 スレーブポート情報記憶部
201 無線装置
208 RE−ID記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、無線基地局、通信制御方法及びプログラムに関する。より詳しくは、分離された無線制御装置と無線装置との間で通信速度を整合する情報処理装置、無線基地局、通信制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバケーブル等の通信設備の発達により、無線基地局を構成する無線制御装置(REC:Radio Equipment Controller)と無線装置(RE:Radio Equipment)とを分離した無線基地局が普及している。光ファイバケーブルによって無線制御装置と無線装置との間で通信路を確立するための接続インタフェースとして、CPRI(Common Public Radio Interface)規格の通信プロトコルが知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
無線制御装置と無線装置との間のインタフェースをオープンにすることにより、種々の利点が生まれる。例えば、無線基地局内の各部のマルチベンダ(マルチユーザ)化を図ることができる。また、無線装置をアンテナ直下に設置することが可能なため、無線装置とアンテナとを接続する給電線による電力損失が小さくなるので、無線装置の消費電力を低減できる。さらに、光ファイバケーブルによってCPRI接続を構成することにより、無線制御装置から数10km離れたところに小型の無線装置を設置できるため、無線装置の設置環境の自由度が拡がる。この結果、電波が届かない不感地帯を解消することが可能になる。
【0004】
下記の特許文献1には、CPRI規格の通信プロトコルによって上位系の無線制御装置と下位系の無線装置とを接続する際に、上位系向け及び下位系向けを特定することなく、マスタ動作及びスレーブ動作を自動的に切り替えるシステムが開示されている。
【0005】
また、下記の特許文献2には、2つのスレーブポートを備えた無線装置が異なる無線制御装置に接続され、それぞれの伝送遅延時間に基づいて同期タイミングを補正するシステムが開示されている。
【0006】
上記特許文献1及び特許文献2を含む従来の分離型の無線基地局に限らず、一般に、情報処理装置が他機器との間で通信路を確立するためには、お互いの通信速度の整合を取ることが必要である。
【0007】
通信速度の整合を取るためには、通常、最初に最大速度の通信速度を設定する。そして、通信路の確立ができない場合には、一定時間ごとに一段低速の通信速度に変更する。
【0008】
図10及び図11は、CPRI規格の通信プロトコルに準拠した無線制御装置と無線装置との間における、従来の一般的な通信路の確立を行う通信制御方法を示す図である。
【0009】
図10は、一般的な関連技術における無線制御装置及び無線装置の状態遷移図である。スタンバイ(フェーズA)から始まって、L1(レイヤ1)同期の設定(フェーズB)、プロトコルの設定(フェーズC)、C&Mプレーン(Control & Management Plane)の設定(フェーズD)、インタフェース及びベンダ固有の交渉(フェーズE)、データの送受信の動作(フェーズF)へと状態が遷移する。
【0010】
図11は、図10のフェーズEにおける無線制御装置の動作を示すフローチャートである。無線制御装置の制御部は、まず、通信速度であるラインビットレートを最大(例えば、6144.0Mbps)に設定する(ステップS901)。
【0011】
次に、制御部は、設定した通信速度を維持するための一定時間を計測するタイマのスタートを行う(ステップS902)。なお、計測する一定時間は、無線制御装置と無線装置とでは異なる。通常、無線制御装置は、複数の無線装置との間で通信路を確立する必要があるので、無線装置よりも短い時間にタイマを設定する。
【0012】
次に、制御部は、設定したラインビットレートによって通信路が確立したか否かを判別する(ステップS903)。
【0013】
通信路が確立できなかった場合には(ステップS903;NO)、制御部は、タイマが満了したか否かを判別する(ステップS904)。
【0014】
タイマが満了していない場合には(ステップS904;NO)、制御部は、ステップS903に移行して、通信路が確立したか否かを判別する。
【0015】
設定したラインビットレートにおいて通信路が確立したときは(ステップS903;YES)、制御部は、フェーズFへ遷移する。そして、データの送受信の動作を開始する。
【0016】
一方、通信路が確立せず(ステップS903;NO)、タイマが満了したときは(ステップS904;YES)、制御部は、一段低速のラインビットレートに変更する(ステップS905)。
【0017】
次に、制御部は、対応する一段低速のラインビットレートがあるか否かを判別する(ステップS906)。
【0018】
対応するラインビットレートがある場合には(ステップS906;YES)、制御部は、ステップS902に移行して、タイマのスタートを行う。この後は、通信路が確立できず、かつ、一段低速に設定したラインビットレートがある限り、ステップS902からステップS906のループを繰り返す。
【0019】
対応するラインビットレートがない場合(ステップS906;NO)、すなわち、最小のラインビットレートにおいて通信路が確立できなかった場合には、制御部は、フェーズBへ遷移する。
【0020】
この場合には、ラインビットレートを最大から最小に一段ずつ低速に変更しても、通信速度の整合を取れなかったことになる。このため、再構成をするためにフェーズBへ遷移して、再びフェーズBからフェーズEまで各フェーズの処理を実行する。フェーズEに遷移した後は、制御部は、再び図11のフローチャートを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2010−166531号公報
【特許文献2】特開2010−206737号公報
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Common Public Radio Interface (CPRI) specification version 4.1 <http://www. cpri. info/jp/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、上記特許文献1、2を含む従来の通信制御方法においては、通信速度を変更する一定時間が無線制御装置と無線装置とでは異なるため、通信速度の整合を取るタイミングが合わず、通信路を確立するまでに長い時間がかかってしまう。
【0024】
図12は、無線制御装置(REC)及び無線装置(RE)のラインビットレートを変更するタイミングの一例を示す図である。無線制御装置は、一定時間T(例えば、約1秒)ごとに、最大のラインビットレートの6144.0Mbpsから最小のラインビットレートの614.4Mbpsまで、一段ずつ低速に変更する。一方、無線装置は、4T(すなわち、約4秒)ごとに、最大のラインビットレートの1228.8Mbpsと最小のラインビットレートの614.4Mbpsとを交互に変更する。
【0025】
この例の場合には、無線装置が、最大のラインビットレートの1228.8Mbpsに設定したタイミングにおいて、無線制御装置は、同じラインビットレートの1228.8Mbpsに設定できない。その結果、図12に示すように、5T(すなわち、約5秒)の時間が経過した後に、最小のラインビットレートの614.4Mbpsで通信路が確立される。すなわち、無線制御装置及び無線装置に共通する最大のラインビットレートの1228.8Mbpsを使用することができない。この場合において、再構成のために図10のフェーズEからフェーズBに遷移したとしても、図12に示したタイミングでは、図10のフェーズEにおいて再び最小のラインビットレートの614.4Mbpsで通信路が確立されることになる。
【0026】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、2つの装置間に共通する最大の通信速度を使用して、短時間で効率よく通信路を確立することができる情報処理装置、無線基地局、通信制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の第1の観点に係る情報処理装置は、
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の他機器との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の他機器の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の他機器が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る他機器との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする。
【0028】
本発明の第2の観点に係る無線基地局は、
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置を備え、前記無線制御装置は、
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする。
【0029】
本発明の第3に係る通信制御方法は、
少なくとも1つの無線装置と通信を行うと共に、ベースバンド信号を処理する無線制御装置において、
第1の記憶部が、複数の通信速度に関する情報を記憶し、
通信部が、前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得し、
第2の記憶部が、前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶し、
前記通信部により前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、記憶制御部が、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出し、
通信制御部が、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする。
【0030】
本発明によるプログラムは、
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置において、前記無線制御装置が有するコンピュータに、
複数の通信速度に関する情報を第1の記憶部に記憶する第1のステップと、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する第2のステップと、
前記第2のステップによって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を第2の記憶部に記憶する第3のステップと、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す第4のステップと、
前記第4のステップによって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記第2のステップに対して設定する第5のステップと、を実行させる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、データの送受信を行う2つの装置間に共通する最大の通信速度を使用して、短時間で効率よく通信路を確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施の形態1における無線基地局のシステムを示すブロック図である。
【図2】実施の形態1のCPRI接続におけるサブチャネルの構成を示す図である。
【図3】RE−IDとラインビットレートに関する情報との関係を例示的に示す図である。
【図4】図3の各無線装置におけるラインビットレートの具体例を示す図である。
【図5】実施の形態1の無線基地局における通信路確立に移行する状態遷移図である。
【図6】図5のフェーズJにおける無線制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】図5のフェーズHにおける無線制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態2の無線基地局における通信路確立に移行する状態遷移図である。
【図9】実施の形態3における無線基地局の構成の様々なバリエーションを示す図である。
【図10】一般的な関連技術における無線基地局の状態遷移図である。
【図11】図10のフェーズEにおける無線制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】無線制御装置及び無線装置のラインビットレートを変更するタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の無線基地局及びその通信制御方法の実施の形態について、図1乃至図9を参照しながら説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。また、重複する説明は省略する。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1におけるベースバンド信号を処理する無線制御装置(REC)及び無線制御装置と通信を行う無線装置(RE)を備えた無線基地局のシステムを示すブロック図である。
【0035】
図1において、無線制御装置101及び無線装置201は、CPRI規格に準拠した通信プログラムによって接続(通信路が確立)される。無線制御装置101のポート(図では○マークで表示)は、マスターポートであり、無線装置201のポート(図では◇マークで表示)は、スレーブポートである。すなわち、無線制御装置101は、マスターポートを介して無線装置201のスレーブポートにポイント・トゥー・ポイント(1対1)でCRPI接続される。
【0036】
通常、無線制御装置101とCPRI接続される無線装置201は複数である。すなわち、無線制御装置101は、光ファイバケーブル(図示せず)によって任意の無線装置201との間で、CPRI接続を行って通信路を確立する。
【0037】
任意の無線装置201との間でCPRI接続による通信路が確立された後、無線制御装置101は、マスターポートから無線装置201のスレーブポートに下り信号を送信する。一方、無線装置201は、スレーブポートから無線制御装置201のマスターポートに上り信号を送信する。
【0038】
図2は、実施の形態1のCPRI接続におけるサブチャネルの構成を示す図である。サブチャネルには、CPRIのフレーム内のL1(レイヤ1)同期確立のための基準信号やC&Mプレーン等が格納される。本実施の形態においては、サブチャネルのXs=0、Ns=16の領域に、CPRIラインビットレートの情報を格納している。
【0039】
無線制御装置101は、この領域を用いて接続先である無線装置201にラインビットレートの情報を通知することができる。
【0040】
同様に、無線装置201も、この領域を用いて接続先である無線制御装置101にラインビットレートの情報を通知することができる。
【0041】
なお、ラインビットレートの情報を格納する領域としては、Xs=0、Ns=16の領域に限定されない。ベンダが自由に使用できるベンダ固有の領域であれば、ラインビットレートの情報を格納することができる。
【0042】
次に、無線制御装置101の内部構成について説明する。図1に示すように、無線制御装置101は、制御部102、通信部103、及び記憶部104を備えている。さらに、制御部102は、記憶制御部105及び通信制御部106を有する。また、記憶部104は、対応レート記憶部107及びスレーブポート情報記憶部108を有する。
【0043】
対応レート記憶部107は、無線制御装置101自身がサポートする複数のラインビットレート(6144.0Mbpsから614.4Mbpsまでの6種類の通信速度)に関する情報を記憶する。
【0044】
通信制御部106は、対応レート記憶部107に記憶された複数のラインビットレートのうち、1つのラインビットレートを通信部103に設定する。
【0045】
通信部103は、通信制御部106によって設定された1つのラインビットレートに基づいて任意の無線装置201との間に通信路を確立する。さらに、通信部103は、その確立された通信路を介して接続した無線装置201の通信機能が有する少なくとも1つのラインビットレートの情報、すなわち図2に示したサブチャネルの領域の16(h)に格納されたラインビットレートの情報をスレーブポートから取得する。
【0046】
スレーブポート情報記憶部108は、通信部103によって取得された無線装置201がサポートするラインビットレートの情報を記憶する。
【0047】
記憶制御部105は、対応レート記憶部107及びスレーブポート情報記憶部108に対する情報の書き込み及び読み出しを制御する。記憶制御部105は、スレーブポート情報記憶部108に記憶されたラインビットレートの情報に関係する無線装置201との間に通信路を確立する場合に、対応レート記憶部107及びスレーブポート情報記憶部108にそれぞれ記憶されている情報の中から、共通する最大のラインビットレートの情報を読み出す。
【0048】
通信制御部106は、記憶制御部105によって読み出された共通する最大のラインビットレートを通信部103に設定する。
【0049】
次に、無線装置201の内部構成について説明する。図1に示すように、無線装置201は、制御部202、通信部203、及び記憶部204を有する。さらに、制御部202は、記憶制御部205、通信制御部206、及びRE−ID記憶部208を有する。また、記憶部204は、対応レート記憶部207を有する。
【0050】
対応レート記憶部207は、無線装置201自身がサポートする1つ又は複数のラインビットレートに関する情報を記憶する。
【0051】
通信制御部206は、対応レート記憶部207に記憶された1つ又は複数のラインビットレートのうち、1つのラインビットレートを通信部203に設定する。
【0052】
通信部203は、通信制御部206によって設定された1つのラインビットレートに基づいて、光ファイバケーブルで接続されている無線制御装置101との間に通信路を確立する。
【0053】
記憶制御部205は、対応レート記憶部207及びRE−ID記憶部208に対する情報の書き込み及び読み出しを制御する。
【0054】
上記したように、通常、無線制御装置101に接続されている無線装置201は複数ある。このため各無線装置201は、RE−ID記憶部208の固有の識別情報であるRE−IDによって識別される。通信部203は、通信路が確立された無線制御装置101に対してRE−ID記憶部208に記憶されているRE−IDを提示する。
【0055】
次に、RE−ID記憶部208に記憶されているRE−IDと、対応レート記憶部207に記憶されているラインビットレートに関する情報との関係について説明する。図3は、RE−IDとラインビットレートに関する情報との関係を例示的に示す図である。図4は、図3の各無線装置におけるラインビットレートの具体例を示す図である。
【0056】
無線制御装置101及び無線装置201において、ラインビットレートに関する情報はb0乃至b7の8ビットで表される。有効なラインビットレートのビットは「1」で表され、無効なラインビットレートは「0」で表される。なお、b6及びb7の2ビットは予備であり、将来のラインビットレートの拡張に備えるようになっている。b0、b1、b2、b3、b4、b5の各ビットに対応するラインビットレート(Mbps)は、614.4;1228.8;2457.6;3072.0;4915.2;6144.0となっている。
【0057】
例えば、図3及び図4に示す例においては、RE−IDが0001、0002、0003の3つの無線装置201のラインビットレートは、それぞれb0及びb1が1、b0乃至b3が1、b0乃至b5が1になっている。すなわち、図4に示すように、各無線装置201に有効なラインビットレートが設定されている。
【0058】
次に、無線制御装置101及び任意の無線装置201を備えた無線基地局におけるCPRIのプロトコルに準拠した通信路の確立について説明する。
【0059】
図5は、無線基地局における通信路確立に移行する状態遷移図である。無線基地局は、様々な要因によって状態遷移するが、本実施の形態においては、基本的な状態遷移について説明する。
【0060】
無線制御装置101と無線装置201との間で通信路が遮断して、無線制御装置101から無線装置201にリセット信号が送られると、無線基地局は、スタンバイ状態のフェーズAになる。フェーズAの間は、CPRIでの送信も受信も存在しない。フェーズAにおいて、例えば運用オペレータが、ラインビットレート及びC&Mリンク特性等を含めて適切なスタートアップを指示する。
【0061】
スタートアップの指示がされたときは、無線制御装置101及び無線装置201は、L1(物理レイヤ)同期及びラインビットレート交渉のフェーズBに遷移する。
【0062】
L1同期とラインビットレートの交渉とがうまく完了すると、次のスタートアップはプロトコルの設定のフェーズCに遷移する。このフェーズCにおいて、CPRIの共通プロトコルバージョンが判断される。無線制御装置101及び無線装置201の一方又は両方が、CPRIインタフェースの複数の改定版を利用できる場合、伝えられたC&Mリンクを読み出そうとする前に、共通の改定版を見つけることになる。
【0063】
L1の同期とプロトコルバージョンの一致に続いて、スタートアップは、共通のC&Mリンクビットレートを判断するため、C&Mプレーン(L2+)の設定を行うフェーズDに遷移する。フェーズDにおける交渉は、高速C&Mリンクと低速C&Mリンクとについて並行して進行する。
【0064】
フェーズDにおいて、一致する高速及び低速のC&Mリンク速度がない場合には、受動リンクのフェーズGに遷移する。フェーズGにおいては、新たな高速C&Mリンクと低速C&Mリンクが提案されて、フェーズDに遷移する。
【0065】
高速及び低速のC&Mリンク速度が一致すると、スタートアップはベンダ固有交渉のフェーズJに遷移する。このフェーズJにおいて、無線制御装置101及び無線装置201の中のより高いレベルのアプリケーションがCPRIの利用について交渉する。
【0066】
図6は、図5のフェーズJにおける無線制御装置101の動作を示すフローチャートである。無線制御装置101は、接続先の無線装置201がサポートするCPRIラインビットレートの情報を取得する(ステップS101)。
【0067】
次に、無線制御装置101は、取得したラインビットレートの中から、最大ラインビットレートの検出を行う(ステップS102)。すなわち、無線制御装置101は、図3に示したRE−ID及びラインビットレートの情報において、「1」に設定されている最上位ビットを検出する。
【0068】
次に、無線制御装置101は、接続先の無線装置201と自身との間でサポートする最大ラインビットレートで動作しているか確認を行う(ステップS103)。すなわち、現在動作中のラインビットレートが最大ラインビットレートであるか否かを判別する(ステップS104)。
【0069】
現在動作中のラインビットレートが最大ラインビットレートである場合には(ステップS104;YES)、固有情報の交換によって、ベンダ固有要件に基づいたCPRIの好適構成がもたらされるので、無線制御装置201は、図5のフェーズFへ遷移する。フェーズFにおいてスタートアップは完了し、通常の動作が始まる。
【0070】
一方、現在動作中のラインビットレートが最大ラインビットレートでない場合には(ステップS104;NO)、無線制御装置201は、通信路の確立を再構成するために、図5のフェーズHに遷移する。
【0071】
図7は、図5のフェーズHにおける無線制御装置101の動作を示すフローチャートである。無線制御装置101は、接続先の無線装置201がサポートするラインビットレートの情報の有無を確認する(ステップS201)。すなわち、無線制御装置101は、接続先の無線装置201がサポートするラインビットレートの情報があるか否かを判別する(ステップS202)。
【0072】
接続先の無線装置201がサポートするラインビットレートの情報がある場合には(ステップS202;YES)、無線制御装置101は、タイマのスタートを行う(ステップS203)。
【0073】
次に、無線制御装置101は、接続先の無線装置201と無線制御装置101自身とでサポートする最大ラインビットレートを設定する(ステップS204)。
【0074】
次に、無線制御装置101は、タイマが満了したか否かを判別する(ステップS205)。
【0075】
タイマが満了していない場合には(ステップS205;NO)、無線制御装置101は、接続先の無線装置201との間で接続が確立したか否かを判別する(ステップS206)。
【0076】
接続先の無線装置201との間で通信路が確立していない場合には(ステップS206;NO)、無線制御装置101は、ステップS205に移行して、タイマが満了したか否かを判別する。
【0077】
ステップS205においてタイマが満了せず、かつ、ステップS206において接続先の無線装置201との間で通信路が確立していない限り、無線制御装置101は、ステップS205及びステップS206のループを繰り返す。
【0078】
接続先の無線装置201との間で通信路が確立したときは(ステップS206;YES)、無線制御装置101は、タイマの停止を行う(ステップS207)。この後は、無線制御装置101は、図5のフェーズCへ遷移する。この後は、フェーズD、フェーズJ、フェーズFへと遷移して、最大ラインビットレートで通信を実行する。
【0079】
一方、接続先の無線装置201との間で通信路が確立していない場合に(ステップS206;NO)、タイマが満了したときは(ステップS205;YES)、無線制御装置101は、図5のフェーズBへ遷移する。また、接続先の無線装置201がサポートするラインビットレートの情報がない場合には(ステップS202;NO)、無線制御装置101は、図5のフェーズBへ遷移する。
【0080】
無線制御装置101は、フェーズBにおいては、図10乃至図11に示した一般的な通信制御方法によって、接続先の無線装置201との間で通信路を確立する。
【0081】
以上のように、実施の形態1の無線基地局は、ベースバンド信号を処理する無線制御装置101及びその無線制御装置101と通信を行う少なくとも1つの無線装置201を備えている。無線制御装置101は、複数のラインビットレート(通信速度)に関する情報を記憶する対応レート記憶部107(第1の記憶部)と、対応レート記憶部107に記憶された複数のラインビットレートのうち、設定された1つのラインビットレートに基づいて任意の無線装置201との間に通信路を確立すると共に、その確立された通信路を介して任意の無線装置201の通信機能が有する少なくとも1つのラインビットレートの情報を取得する通信部103と、通信部103によって取得された任意の無線装置201が有するラインビットレートの情報を記憶するスレーブポート情報記憶部108(第2の記憶部)と、スレーブポート情報記憶部108に記憶されたラインビットレートの情報に係る無線装置201との間に通信路を確立する場合に、対応レート記憶部107及びスレーブポート情報記憶部108にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大のラインビットレートの情報を読み出す記憶制御部105と、記憶制御部105によって読み出された共通する最大のラインビットレートを通信部103に設定する通信制御部106と、を備える。
【0082】
したがって、データの送受信を行う無線制御装置101及び無線装置201間に共通する最大のラインビットレートを使用して、短時間で効率よく通信路を確立することができる。
【0083】
この場合において、スレーブポート情報記憶部108は、通信部103が無線装置201との間に通信路を確立するごとに、その無線装置201との通信に関する履歴情報を更新して記憶し、記憶制御部105は、通信部103が任意の無線装置201との間に通信路を確立する場合に、スレーブポート情報記憶部108に記憶されているその任意の無線装置201の履歴情報及び対応レート記憶部107に記憶されている情報の中から共通する最大のラインビットレートの情報を読み出す構成にしてもよい。
【0084】
この構成によれば、無線装置201がサポートする最大のラインビットレートが何らかの要因で機能しなかった場合でも、過去の履歴情報を検索して、無線装置201がサポートする最大のラインビットレートでの通信路の確立が可能になる。
【0085】
実施の形態1において、図5乃至図7に示したように、無線制御装置101の通信制御部106は、無線装置201との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行うフェーズJの中で、記憶制御部105によって読み出された共通する最大のラインビットレートを通信部103に設定する。
【0086】
したがって、無線基地局を構成する無線制御装置101及び無線装置201間で、CPRI規格に準拠した最大のラインビットレートを使用して、よりいっそう短時間で効率よく通信路を確立することができる。
【0087】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2の無線制御装置101及び任意の無線装置201を備えた無線基地局におけるCPRIのプロトコルに準拠した通信路の確立について説明する。
【0088】
図8は、実施の形態2の無線基地局における通信路確立に移行する状態遷移図である。図8において、図5と共通する部分の説明は省略する。
【0089】
図8に示す実施の形態2の状態遷移図においては、フェーズCのプロトコルの設定とフェーズDのC&Mプレーンの設定との間に、L1の最適化を行うフェーズIが追加されている。実施の形態2においては、図5に示した実施の形態1の状態遷移図におけるフェーズJで行っていたラインビットレートの交渉をフェーズIで行う。
【0090】
すなわち、実施の形態2においては、無線制御装置101の通信制御部106は、CPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う前に、記憶制御部105によって読み出された共通する最大のラインビットレートを通信部103に設定する。
【0091】
したがって、無線基地局を構成する無線制御装置101及び無線装置201間で、長い時間を要するフェーズD及びフェーズGの処理を行う前に、CPRI規格に準拠した最大のラインビットレートを設定するので、通信路を確立する時間をさらにいっそう短縮することができる。
【0092】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3の無線基地局について図9を参照して説明する。実施の形態1及び2においては、無線基地局を構成する1つの無線制御装置101及び1つの無線装置201との間において、ポイント・トゥー・ポイントの通信路を確立する場合について説明したが、無線基地局を構成する態様には様々なバリエーションがある。
【0093】
図9は、実施の形態3における無線基地局の構成の様々なバリエーションを示す図である。図9において、無線制御装置(REC)101のマスターポート(○記号)に無線装置201(1)のスレーブポート(◇記号)が接続されたポイント・トゥー・ポイントの接続、すなわち、実施の形態1及び2に示した接続がある。さらに、無線装置201(1)にパーソナル・コンピュータ301が無線接続される。
【0094】
また、無線制御装置101のマスターポートに無線装置201(2)のスレーブポートが接続され、さらに無線装置201(2)のマスターポートに無線装置201(3)のスレーブポートが接続されたチェイン接続がある。
【0095】
また、無線制御装置101のマスターポートに無線装置201(4)のスレーブポートが接続され、無線装置201(4)の2つのマスターポートに無線装置201(5)及び無線装置201(6)の各スレーブポートが接続されたツリー接続がある。さらに、無線装置201(6)に携帯電話機401が無線接続される。
【0096】
また、無線制御装置101のマスターポートに無線装置201(7)のスレーブポートが接続され、無線装置201(7)のマスターポートに無線装置201(8)のスレーブポートが接続され、無線装置201(8)のマスターポートに無線制御装置101のスレーブポートが接続されたリング接続がある。さらに、無線装置201(8)に携帯情報端末501が無線接続される。
【0097】
図9に示すように、無線制御装置101は、無線装置201、パーソナル・コンピュータ301、携帯電話機401、携帯情報端末501等の他機器との間で通信路を確立する場合に、その他機器と共通する最大の通信速度を設定する。
【0098】
なお、上記各実施の形態においては、無線基地局を構成する無線制御装置及び無線装置を例に採って本発明を説明したが、本発明は、無線制御装置及び無線装置を備えた無線基地局に限定されるものではない。マスターポートを有する情報処理装置と、スレーブポートを有する複数の他機器との間で、通信路を確立する様々な装置やシステムにも本発明を適用することができる。
【0099】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0100】
(付記1)
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の他機器との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の他機器の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の他機器が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る他機器との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【0101】
(付記2)
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置を備え、前記無線制御装置は、
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする無線基地局。
【0102】
(付記3)
前記第2の記憶部は、前記通信部が無線装置との間に通信路を確立するごとに、当該無線装置との通信に関する履歴情報を更新して記憶し、
前記記憶制御部は、前記通信部が任意の無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第2の記憶部に記憶されている当該任意の無線装置の履歴情報及び前記第1の記憶部に記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す、
ことを特徴とする付記2に記載の無線基地局。
【0103】
(付記4)
前記通信制御部は、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う中で、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の無線基地局。
【0104】
(付記5)
前記通信制御部は、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う前に、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の無線基地局。
【0105】
(付記6)
少なくとも1つの無線装置と通信を行うと共に、ベースバンド信号を処理する無線制御装置において、
第1の記憶部が、複数の通信速度に関する情報を記憶し、
通信部が、前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得し、
第2の記憶部が、前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶し、
前記通信部により前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、記憶制御部が、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出し、
通信制御部が、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする通信制御方法。
【0106】
(付記7)
前記第2の記憶部が、前記通信部が任意の無線装置との間に通信路を確立するごとに、当該任意の無線装置との通信に関する履歴情報を更新して記憶し、
前記通信部により任意の無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記記憶制御部が、前記第2の記憶部に記憶されている当該任意の無線装置の履歴情報及び前記第1の記憶部に記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す、
ことを特徴とする付記6に記載の通信制御方法。
【0107】
(付記8)
前記通信制御部が、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う中で、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする付記6又は7に記載の通信制御方法。
【0108】
(付記9)
前記通信制御部が、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う前に、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする付記6又は7に記載の通信制御方法。
【0109】
(付記10)
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置において、前記無線制御装置が有するコンピュータに、
複数の通信速度に関する情報を第1の記憶部に記憶する第1のステップと、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する第2のステップと、
前記第2のステップによって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を第2の記憶部に記憶する第3のステップと、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す第4のステップと、
前記第4のステップによって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記第2のステップに対して設定する第5のステップと、を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の情報処理装置は、光ファイバケーブル等によって接続された他機器との間で通信速度を整合するシステムに適している。また、本発明の無線基地局、通信制御方法及びプログラムは、無線基地局を構成する無線制御装置と無線装置とを分離して、光ファイバケーブル等によって両者の通信速度を整合するシステムに適している。
【符号の説明】
【0111】
101 無線制御装置
102、202 制御部
103、203 通信部
104、204 記憶部
105、205 記憶制御部
106、206 通信制御部
107、207 対応レート記憶部
108 スレーブポート情報記憶部
201 無線装置
208 RE−ID記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の他機器との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の他機器の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の他機器が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る他機器との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置を備え、前記無線制御装置は、
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする無線基地局。
【請求項3】
前記第2の記憶部は、前記通信部が無線装置との間に通信路を確立するごとに、当該無線装置との通信に関する履歴情報を更新して記憶し、
前記記憶制御部は、前記通信部が任意の無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第2の記憶部に記憶されている当該任意の無線装置の履歴情報及び前記第1の記憶部に記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記通信制御部は、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う中で、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の無線基地局。
【請求項5】
前記通信制御部は、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う前に、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の無線基地局。
【請求項6】
少なくとも1つの無線装置と通信を行うと共に、ベースバンド信号を処理する無線制御装置において、
第1の記憶部が、複数の通信速度に関する情報を記憶し、
通信部が、前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得し、
第2の記憶部が、前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶し、
前記通信部により前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、記憶制御部が、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出し、
通信制御部が、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項7】
前記第2の記憶部が、前記通信部が任意の無線装置との間に通信路を確立するごとに、当該任意の無線装置との通信に関する履歴情報を更新して記憶し、
前記通信部により任意の無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記記憶制御部が、前記第2の記憶部に記憶されている当該任意の無線装置の履歴情報及び前記第1の記憶部に記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す、
ことを特徴とする請求項6に記載の通信制御方法。
【請求項8】
前記通信制御部が、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う中で、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の通信制御方法。
【請求項9】
前記通信制御部が、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う前に、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の通信制御方法。
【請求項10】
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置において、前記無線制御装置が有するコンピュータに、
複数の通信速度に関する情報を第1の記憶部に記憶する第1のステップと、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する第2のステップと、
前記第2のステップによって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を第2の記憶部に記憶する第3のステップと、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す第4のステップと、
前記第4のステップによって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記第2のステップに対して設定する第5のステップと、を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項1】
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の他機器との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の他機器の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の他機器が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る他機器との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置を備え、前記無線制御装置は、
複数の通信速度に関する情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す記憶制御部と、
前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する通信制御部と、を備える、
ことを特徴とする無線基地局。
【請求項3】
前記第2の記憶部は、前記通信部が無線装置との間に通信路を確立するごとに、当該無線装置との通信に関する履歴情報を更新して記憶し、
前記記憶制御部は、前記通信部が任意の無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第2の記憶部に記憶されている当該任意の無線装置の履歴情報及び前記第1の記憶部に記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記通信制御部は、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う中で、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の無線基地局。
【請求項5】
前記通信制御部は、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う前に、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の無線基地局。
【請求項6】
少なくとも1つの無線装置と通信を行うと共に、ベースバンド信号を処理する無線制御装置において、
第1の記憶部が、複数の通信速度に関する情報を記憶し、
通信部が、前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得し、
第2の記憶部が、前記通信部によって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を記憶し、
前記通信部により前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、記憶制御部が、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出し、
通信制御部が、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項7】
前記第2の記憶部が、前記通信部が任意の無線装置との間に通信路を確立するごとに、当該任意の無線装置との通信に関する履歴情報を更新して記憶し、
前記通信部により任意の無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記記憶制御部が、前記第2の記憶部に記憶されている当該任意の無線装置の履歴情報及び前記第1の記憶部に記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す、
ことを特徴とする請求項6に記載の通信制御方法。
【請求項8】
前記通信制御部が、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う中で、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の通信制御方法。
【請求項9】
前記通信制御部が、無線装置との間でCPRI規格におけるインタフェース及びベンダ固有の交渉を行う前に、前記記憶制御部によって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記通信部に設定する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の通信制御方法。
【請求項10】
ベースバンド信号を処理する無線制御装置及び当該無線制御装置と通信を行う少なくとも1つの無線装置において、前記無線制御装置が有するコンピュータに、
複数の通信速度に関する情報を第1の記憶部に記憶する第1のステップと、
前記第1の記憶部に記憶された前記複数の通信速度のうち、設定された1つの通信速度に基づいて任意の無線装置との間に通信路を確立すると共に、当該確立された通信路を介して前記任意の無線装置の通信機能が有する少なくとも1つの通信速度の情報を取得する第2のステップと、
前記第2のステップによって取得された前記任意の無線装置が有する通信速度の情報を第2の記憶部に記憶する第3のステップと、
前記第2の記憶部に記憶された通信速度の情報に係る無線装置との間に通信路を確立する場合に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部にそれぞれ記憶されている情報の中から共通する最大の通信速度の情報を読み出す第4のステップと、
前記第4のステップによって読み出された前記共通する最大の通信速度を前記第2のステップに対して設定する第5のステップと、を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−209859(P2012−209859A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75488(P2011−75488)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
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