説明

情報処理装置、画像形成装置、およびプログラム

【課題】画像形成装置に関する情報を可般型端末装置に送信して表示させる場合に、可般型端末装置の位置に応じた情報の表示を簡素な構成で実現する。
【解決手段】複合機10は、撮影機能と表示機能と通信機能とを備えた携帯端末30と通信する通信部と、携帯端末30が複合機10を撮影した撮影画像を携帯端末30から受信し、その撮影画像に基づいて複合機10の撮影箇所を判断し、その撮影箇所に応じた表示情報を携帯端末30に送信する制御部とを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する情報を可搬型端末装置に送信して表示させる情報処理装置、画像形成装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、業務用印刷に使用されるプリンタや複写機は、大幅な高速化とそれに伴う大型化が進んでいる。たとえば、印刷業界では印刷速度が毎分100枚以上の高速機や、装置の一端から他端までの長さが10メートルにも及ぶような大型機も普及し始めている。
【0003】
このように画像形成装置が高速化および大型化すると、印刷処理中に装置内を同時に搬送される記録紙の枚数が非常に多くなり、ジャム(紙詰まり)が発生した場合はその復旧作業が大変になる。
【0004】
たとえば、印刷処理中における記録紙の同時搬送枚数が20枚近くなる機種において、排紙口付近など紙搬送路の下流側でジャムが発生した場合には、装置内に存在するジャム紙(搬送途中の記録紙を含む)が10数枚に及ぶこともある。印刷作業に携わる作業者は、それらの多数のジャム紙を操作パネルに表示されたジャムポジションを確認しながら1枚ずつ取り出すことになり、そのジャム紙の除去作業が大変である。特に、長さが10メートルにも及ぶような大型機で、作業者が操作パネルを見ながら装置内に散在するジャム紙を順番に取り除いていく場合は、外部から見えない場所にジャム紙があったり、操作パネルが作業者から離れた位置にあったりして、非常に煩雑で労力を要する作業となっている。
【0005】
このようなジャム紙の除去作業などを軽減する技術として、たとえば、特許文献1には、印刷処理装置の操作部を装置本体と分離構成にし、操作部に設けた発信機からの発信信号を、装置本体の必要箇所に設けた複数の受信機で受信して操作部の位置を判断し、その操作部の位置に応じた情報(ジャムから復旧するための情報など)を操作部に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−231675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1のように、装置本体と分離した操作部(可般型端末装置)の位置を、発信機と受信機などからなる位置検出手段で検出する構成では、装置本体側に操作部の位置(3次元的な位置)を検出するための多数の位置検出手段(特許文献1の例では複数の受信機)を設ける必要があり、コストが嵩む問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、画像形成装置に関する情報を可般型端末装置に送信して表示させる場合に、可般型端末装置の位置に応じた情報の表示を簡素な構成で実現することができる情報処理装置、画像形成装置、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
[1]撮影機能と表示機能と通信機能とを備えた携帯端末と通信する通信部と、
前記携帯端末が画像形成装置を撮影した撮影画像を前記携帯端末から受信し、その撮影画像に基づいて前記画像形成装置の撮影箇所を判断し、その撮影箇所に応じた表示情報を前記携帯端末に送信する制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【0011】
上記発明では、携帯端末による画像形成装置の撮影画像に基づいて、画像形成装置の撮影箇所を判断し、その撮影箇所に応じた表示情報を携帯端末に送信して表示させる。このように、撮影画像を利用してその撮影箇所に応じた表示情報を携帯端末に表示させる構成であれば、携帯端末の位置を検出するための多数の位置検出手段などは不要であり、簡素な構成で適宜な表示情報(撮影箇所に応じた表示情報)を携帯端末に表示させることができる。
【0012】
[2]前記制御部は、前記撮影画像に基づいてその撮影画像を撮影した前記携帯端末の視点位置を判断し、その視点位置に応じた向きの表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0013】
上記発明では、携帯端末にその視点位置に応じた向きの表示情報が表示されるので、携帯端末を操作する操作者に対し、表示情報をその視点位置から見て分かりやすく表示することができる。
【0014】
[3]前記制御部は、前記表示情報を前記撮影画像に合成して前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の情報処理装置。
【0015】
上記発明では、撮影画像に表示情報が合成されて表示されるので、携帯端末を操作する操作者に対し、撮影画像に写っている実際の撮影箇所(実物)と表示情報の関係を見た目で分かりやすく表示することができる。
【0016】
[4]前記制御部は、前記画像形成装置に生じている前記携帯端末に通知すべき事象と、前記撮影箇所とに応じた表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0017】
上記発明では、携帯端末に通知すべき事象が画像形成装置に生じている場合に、その事象と、携帯端末による画像形成装置の撮影箇所とに応じた表示情報(画像形成装置に生じている事象に関する撮影箇所に応じた表示情報)を携帯端末に表示することができる。
【0018】
[5]前記画像形成装置にて前記携帯端末に通知すべき事象が生じている指定箇所を示す指定箇所情報を入力する入力部を有し、
前記制御部は、前記入力部より入力された指定箇所情報によって示される指定箇所が、前記撮影箇所に含まれている場合は、その指定箇所に対応する第1の表示情報を前記携帯端末に送信し、前記撮影箇所に含まれていない場合は、その指定箇所に対応する第2の表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする[4]に記載の情報処理装置。
【0019】
上記発明では、携帯端末が画像形成装置の指定箇所を撮影しているか否かに応じて、携帯端末に表示する表示情報を異ならせる。たとえば、指定箇所を撮影している場合は、その指定箇所に関する直接的な表示情報を表示させ、指定箇所を撮影していない場合は、その指定箇所に関する間接的な表示情報を表示させるなどの、表示情報の使い分けが可能となる。このように、多様な表示情報を携帯端末に表示させて、携帯端末の操作者に提供することができる。
【0020】
[6]前記第2の表示情報は、前記指定箇所への案内情報である
ことを特徴とする[5]に記載の情報処理装置。
【0021】
上記発明では、携帯端末による撮影箇所が指定箇所から外れている場合には、その指定箇所への案内情報が表示されるので、携帯端末の操作者を指定箇所に到達しやすくできる。
【0022】
[7]前記表示情報は、前記画像形成装置の所定箇所の位置を示す位置情報と、前記画像形成装置の透視画像と、前記画像形成装置の操作情報とのうちの少なくとも1つである
ことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0023】
上記発明では、携帯端末には、画像形成装置の撮影箇所に応じた表示情報として、画像形成装置の所定箇所の位置を示す位置情報と、画像形成装置の透視画像と、画像形成装置の操作情報とのうちの少なくとも1つが表示される。携帯端末の操作者は、位置情報から画像形成装置の所定箇所の位置を容易に把握することができる。また、透視画像から画像形成装置の内部状態を把握することができる。また、操作情報から画像形成装置の操作内容を容易に把握することができる。
【0024】
[8]前記表示情報は、前記画像形成装置におけるエラー発生箇所と、メンテナンス箇所と、操作必要箇所とのうちの少なくとも1つに関連する情報である
ことを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0025】
上記発明では、画像形成装置におけるエラー発生箇所と、部品交換箇所と、操作必要箇所のうちの少なくとも1つに関連する情報(表示情報)を携帯端末に表示させる。携帯端末の操作者は、携帯端末に表示されたそれらの情報から、画像形成装置におけるエラーの発生、部品の交換、必要となる操作に容易に対処・対応することができる。
【0026】
[9]前記画像形成装置の外表面には、前記画像形成装置を撮影する前記携帯端末の視点位置を判断するための所定のマークが設けられており、
前記制御部は、前記撮影画像に含まれている前記所定のマークの変形に基づいて前記携帯端末の視点位置を判断する
ことを特徴とする[2]に記載の情報処理装置。
【0027】
上記発明では、画像形成装置の外表面に設けた所定のマークを利用して(所定のマークの変形に基づいて)、携帯端末の視点位置を的確に判断することができる。
【0028】
[10]前記制御部は、前記撮影画像に替えて、前記携帯端末が前記撮影画像に基づいて求めた前記画像形成装置の撮影箇所を示す撮影箇所情報を受信し、その撮影箇所情報によって示される前記画像形成装置の撮影箇所に応じた表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0029】
上記発明では、携帯端末が撮影画像に基づいて画像形成装置の撮影箇所を求める。この撮影箇所を示す撮影箇所情報を携帯端末から得ることで、その撮影箇所情報によって示される画像形成装置の撮影箇所に応じた表示情報を携帯端末に送信することができる。
【0030】
[11]前記制御部は、前記携帯端末が前記撮影画像に基づいて求めた、その撮影画像を撮影した前記携帯端末の視点位置を示す視点位置情報を受信し、その視点位置情報によって示される視点位置に応じた向きの表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする[10]に記載の情報処理装置。
【0031】
上記発明では、携帯端末が撮影画像に基づいて、その撮影画像を撮影した携帯端末の視点位置を求める。この視点位置を示す視点位置情報を携帯端末から得ることで、その視点位置情報によって示される視点位置に応じた向きの表示情報を携帯端末に送信することができる。
【0032】
[12][1]〜[3]のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
自装置における前記携帯端末に通知すべき事象の発生を検出する検出部と
を有し、
前記制御部は、前記検出部が検出した事象と、前記撮影箇所とに応じた表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする画像形成装置。
【0033】
上記発明では、画像形成装置が携帯端末に通知すべき事象の発生を検出し、その検出した事象と、携帯端末による撮影箇所とに応じた表示情報を携帯端末に送信し表示させて、携帯端末の操作者に提供することができる。
【0034】
[13]情報処理装置に、
撮影機能と表示機能と通信機能とを備えた携帯端末と通信する機能と、
前記携帯端末が前記画像形成装置を撮影した撮影画像を前記携帯端末から受信し、その撮影画像に基づいて前記画像形成装置の撮影箇所を判断し、その撮影箇所に応じた表示情報を前記携帯端末に送信する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【0035】
[14]撮影機能と表示機能と通信機能とを備えた携帯端末に、
画像形成装置を撮影した撮影画像に基づいて前記画像形成装置の撮影箇所を求め、その撮影箇所を示す撮影箇所情報を情報処理装置に送信する機能と、
前記情報処理装置から、前記撮影箇所情報によって示される前記画像形成装置の撮影箇所に応じた表示情報を受信する機能と、
前記情報処理装置から受信した表示情報を表示する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【0036】
[15]前記撮影画像に基づいてその撮影画像を撮影した前記携帯端末の視点位置を求め、その視点位置を示す視点位置情報を情報処理装置に送信する機能と、
前記情報処理装置から、前記視点位置情報によって示される前記携帯端末の視点位置に応じた向きの表示情報を受信する機能と、
を前記携帯端末に実現させることを特徴とする請求項14に記載のプログラム。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る情報処理装置、画像形成装置、およびプログラムによれば、画像形成装置に関する情報を可般型端末装置に送信して表示させる場合に、可般型端末装置の位置に応じた情報の表示を簡素な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る複合機(画像形成装置)の概略構成を示すブロック図である。
【図2】携帯端末による複合機の撮影とその撮影画像の表示例を示す図である。
【図3】携帯端末による複合機の撮影画像にジャムポジションの位置を示す情報を合成して表示した状態を示す図である。
【図4】携帯端末による複合機の撮影画像にジャムの位置と状況を仮想的に示すスケルトン画像を合成して表示した状態を示す図である。
【図5】携帯端末による複合機の撮影画像にジャムポジションの方向を示す情報を合成して表示した状態を示す図である。
【図6】複合機を撮影する携帯端末の視点位置を複合機に設けた4つのマークで特定する方法の一例を説明する図である。
【図7】複合機を正面側の斜め上方から見た場合の図6の4つのマークの見え方を模式的に示した図である。
【図8】図6における2つのマークを距離と角度を変えて撮影した場合に各撮影画像に写るその2つのマークの状態を模式的に示した図である。
【図9】撮影画像に写った4つのマークの配置間隔および距離に基づいて携帯端末の角度を求める方法の一例を説明する図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る複合機と携帯端末の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る複合機と携帯端末の処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0040】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置としての複合機10の概略構成を示している。複合機10は、原稿の画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したりパーソナルコンピュータなどの外部端末やサーバへ送信したりするスキャン機能、外部端末から受信した印刷データに基づく画像や当該複合機10に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、ファクシミリ機能などを備えている。
【0041】
複合機10は、当該複合機10の動作を統括制御するCPU(Central Processing Unit)11と、CPU11に接続されたROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、不揮発メモリ14と、ハードディスク装置15と、表示部16と、操作部17と、ファクシミリ通信部18と、ネットワーク通信部19と、スキャナ部20と、画像処理部21と、プリンタ部22と、後処理部23とを備えている。
【0042】
CPU11ではOSプログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどが実行される。ROM12には各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU11が処理を実行することでジョブの実行など複合機10の各機能が実現される。RAM13はCPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。なお、その他の必要なプログラムはハードディスク装置15からRAM13にロードされて実行される。
【0043】
不揮発メモリ14は、電源がオフにされても記憶が保持される書き換え可能なメモリ(フラッシュメモリ)である。不揮発メモリ14には、装置固有の情報(装置ID(IDentification)、IP(Internet Protocol)アドレスなど)、各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置15は、大容量不揮発の記憶装置であり、プログラムのほか、たとえば、印刷データや画像データの保存などに使用される。
【0044】
複合機10の操作パネルは表示部16と操作部17を備えて構成される。表示部16は、液晶ディスプレイなどで構成され、メイン画面、メニュー画面、操作画面、設定画面、情報表示画面などの各種の画面を表示する。操作部17は、ユーザから各種の操作を受け付ける。操作部17は、表示部16の画面上に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルのほか、テンキーや文字入力キー、スタートキーなどを備えて構成される。
【0045】
ファクシミリ通信部18は、ファクシミリ送信および受信に係る動作を制御する。ネットワーク通信部19は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを通じた通信に係る動作を制御する。
【0046】
スキャナ部20は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナ部20は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学系と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0047】
画像処理部21は、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を行う。
【0048】
プリンタ部22は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。プリンタ部22は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0049】
後処理部23は、プリンタ部22から印刷出力された記録紙に、ステープル、パンチ、折り、製本などの後処理(フィニッシング処理)を施す。
【0050】
また、複合機10は、予め決められている各種の事象の発生を検出する機能と、その事象の発生箇所を検出する機能と、その事象および検出箇所を自動でまたは操作部17に対する手動操作を受けて表示部16に表示する機能を備えている。各種の事象は、ジャム(紙詰まり)や故障などのエラー、点検や消耗部品の交換などのメンテナンスの必要性、エラーやメンテナンスに伴うパネルやレバーなどの手動操作の必要性などである。これらの事象の発生箇所を検出するに当たり、検出対象となる箇所、すなわち、エラー発生検出箇所、メンテナンス必要性検出箇所(メンテナンス箇所)、エラーやメンテナンスに伴う手動操作必要性検出箇所(手動操作箇所)も、予め決められている。また、エラーの発生とメンテナンスの必要性(メンテナンスタイミング)については、センサやプログラムなどで検出する。
【0051】
また、複合機10は、自機と通信するための専用のアプリケーションプログラムをインストールしたカメラ付きの携帯端末(可般型端末装置)とネットワークを通じて通信する機能と、その携帯端末が撮影した自機の撮影画像を携帯端末から受信し、その撮影画像に基づいて特定した自機の撮影箇所に応じた表示情報を携帯端末に送信して表示させる機能を備えている。
【0052】
表示情報は、上記の事象(エラー、メンテナンスの必要性、エラーやメンテナンスに伴う手動操作の必要性)の発生を検出した箇所に関する情報である。予め決められている複数の検出対象箇所のうち、検出対象の事象が発生して実際に検出が行われた箇所は、携帯端末に表示情報を送信すべき指定箇所(所定箇所)となる。表示情報は、この指定箇所に関する情報である。具体的には、指定箇所の位置を示す情報(位置情報)、指定箇所を透視状(骨組み状)にして示した画像情報(スケルトン画像)、指定箇所へ案内する情報(案内情報)、指定箇所の操作内容を示した情報(操作情報)などである。
【0053】
表示情報の画像データは、ハードディスク装置15(または不揮発メモリ14)に格納したデータベースに記憶されている。位置情報と、案内情報と、操作情報は、たとえば、文字、記号、図形、マークなどを使用して予め作成し、記憶しておく。スケルトン画像は、複合機10の設計時に3次元CAD(Computer Aided Design)で作成された、必要箇所(複数の検出対象箇所)のスケルトン画像(透視画像/骨組み画像)の3次元CADデータを利用し、その3次元CADデータを記憶しておく。
【0054】
また、案内情報を除いた各種の表示情報(位置情報/スケルトン画像/操作情報)は、検出対象箇所に対応付けられてデータベースに記憶されている。たとえば、複合機10の内部空間に3次元座標系を設定し、その3次元座標系における検出対象箇所の3次元座標位置(X,Y,Z)に、その検出対象箇所に対応する各種の表示情報を対応付けてデータベースに記憶しておく。検出対象箇所の3次元座標位置(中心位置)は、検出対象箇所の重心位置にしてもよいし、任意に設定した基準位置などにしてもよい。
【0055】
図2は、携帯端末30による複合機10の撮影とその撮影画像の表示例を示している。詳細には、ユーザが携帯端末30を操作して、携帯端末30のカメラ機能で複合機10を撮影し、その撮影画像が携帯端末30の表示部31に表示されている状態を示している。
【0056】
携帯端末30は、本実施形態では、携帯電話機と携帯情報端末(PDA;Personal Digital Assistants)を融合させたスマートフォンなどの汎用の機器で構成されている。この携帯端末30には、撮影機能(カメラ機能)と、表示機能と、通信機能とを備えた汎用の携帯電話機や携帯情報端末を使用するようにしてもよいし、それらの機能を備えた専用の携帯端末を複合機10に付属させ、その専用の携帯端末を使用するようにしてもよい。また、専用の携帯端末においては、無線通信または有線通信のいずれの構成としてもよい。
【0057】
汎用の携帯端末30には、複合機10と通信を行う専用のアプリケーションプログラムをインストールしておく。携帯端末30は、このアプリケーションプログラムを起動して複合機10と通信を行い、カメラ部で撮影した複合機10の撮影画像を複合機10に送信し、複合機10から受信した表示情報を表示部31に表示する。
【0058】
続いて、携帯端末30による複合機10の撮影と情報の表示について説明する。ここでは、複合機10でジャムが発生し、そのジャム発生箇所に関する表示情報を携帯端末30に表示する場合を例に説明する。また、以下では、(1)各種表示情報の表示例、(2)撮影箇所の特定方法例、(3)撮影箇所に応じた表示情報の決定方法例、(4)携帯端末と撮影箇所の位置関係に応じた表示情報の作成方法例を順番に説明する。
【0059】
(1)各種表示情報の表示例
図2に示すように、ユーザは携帯端末30を手で持ち、携帯端末30のカメラ機能(カメラ部)で複合機10の周囲(図2の例では複合機10の正面側)から複合機10の任意の箇所を撮影する。携帯端末30は、カメラ部の視点位置から撮影した複合機10の任意の箇所の撮影画像を表示部31に表示する。
【0060】
図3は、携帯端末30による複合機10の特定の箇所の撮影画像に、ジャムの発生箇所を示す表示情報であるジャムポジション画像50が重ね合わせられて表示されている状態を示している。本例では、ジャムポジション画像50は番号(数字)で構成されている。
【0061】
図4は、携帯端末30による複合機10の特定の箇所の撮影画像に、ジャムの発生箇所の内部状態とジャム紙を透視状にして仮想的に示したスケルトン画像60と、ジャムポジション画像50とが重ね合わせられて表示されている状態を示している。
【0062】
図5は、携帯端末30による複合機10のジャム発生箇所以外の箇所の撮影画像に、ジャム発生箇所の方向(ジャム紙が存在する方向)を示す表示情報であるジャム方向画像70が重ね合わせられて表示されている状態を示している。本例では、ジャム方向画像70は、ジャム発生箇所の方向を示す矢印マークと、文字(「This Direction」)で構成されている。
【0063】
(2)撮影箇所の特定方法例
携帯端末30による複合機10の撮影箇所は、撮影画像に基づいて特定する。この撮影画像に基づく撮影箇所の特定(判断)には、周知の画像照合・判定技術を利用する。
【0064】
たとえば、複合機10のハードディスク装置15(または不揮発メモリ14)に照合用情報のデータベースを格納し、そのデータベースに、照合用となる複合機10の特徴部の画像(画像データ)と、その特徴部の3次元座標位置とを対応付けて記憶しておく。特徴部は、輪郭や色彩などによって周辺との境界を認識できる各種の形状部や輪郭自体を利用してもよいし、複合機10の外表面に設けた所定のマークなどを使用するようにしてもよい。
【0065】
画像照合では、携帯端末30による複合機10の撮影画像から特徴部の画像を抽出し、その特徴部の画像をデータベース内の照合用の特徴部の画像と照合して、一致するものを特定する。このデータベース内から照合一致した特徴部の画像に対応付けられている3次元座標位置と、撮影画像内での特徴部(抽出した特徴部)の位置および大きさから、撮影画像に写っている複合機10の撮影箇所を3次元座標の範囲によって特定する。
【0066】
(3)撮影箇所に応じた表示情報の決定方法例
前述したように、複合機10における検出対象の事象(エラー、メンテナンスの必要性、エラーやメンテナンスに伴う手動操作の必要性)の検出対象箇所(3次元座標位置)には、案内情報を除いた各種の表示情報(位置情報/スケルトン画像/操作情報)が対応付けられてデータベースに記憶されている。検出対象の事象が発生した箇所が、携帯端末30に表示情報を送信すべき指定箇所(所定箇所)となり、この指定箇所に対応する表示情報を選び出して携帯端末30に送信することになる。
【0067】
ここでは、特定した撮影箇所(3次元座標の範囲)に、指定箇所(3次元座標位置)が含まれている場合には、位置情報(ジャムポジション画像50)、スケルトン画像(スケルトン画像60)、操作情報などを、携帯端末30に送信する表示情報として決定する。特定した撮影箇所に指定箇所が含まれていない場合には、その撮影箇所に応じた、指定箇所への案内情報(撮影箇所から指定箇所の方向を指す矢印マークなど)を、携帯端末30に送信する表示情報として決定する。
【0068】
なお、指定箇所が複数存在する場合には、最近の指定箇所に対応する案内情報のみを送信対象に決定するようにしてもよいし、全ての指定箇所に対応する各々の案内情報を送信対象に決定するようにしてもよい。
【0069】
(4)携帯端末と撮影箇所の位置関係に応じた表示情報の作成方法例
表示情報がスケルトン画像の場合には、携帯端末30のカメラ部の視点位置に応じた向き(視点位置から見える向き)のスケルトン画像を生成する。この視点位置も、携帯端末30による複合機10の撮影画像に基づいて特定する。詳細には、撮影画像に含まれている特徴部を抽出し、その特徴部に基づいて視点位置を特定する。特徴部は、上述した各種の形状部や輪郭などを利用してもよいし、複合機10の外表面に設けた所定のマークを使用するようにしてもよい。
【0070】
図6〜図9に、マークを使用した視点位置の特定方法を例示する。図6、図7に示すように、複合機10の外表面(図の例では前面)に、特徴部となる複数の黒いマーク80を設ける。これらのマーク80の大きさ(形状を含む)、配置間隔(D1)などの情報は予め不揮発メモリ14などに登録しておく。
【0071】
複合機10の正面側からマーク80を含む箇所を携帯端末30で撮影すると、その撮影画像にはマーク80の画像が現れる。たとえば、図8や図9に示すようなマーク80の画像が現れる。このマーク80の画像を特徴部として抽出し、抽出したマーク80の画像の大きさ、形状(歪み角度)、配置間隔と、予め登録されている情報に基づき、撮影箇所から携帯端末30のカメラ部までの距離と角度(上下左右方向の角度)を計算し、カメラ部の視点位置を求める。すなわち、抽出したマーク80の画像の大きさ、形状(歪み角度)、配置間隔などが、複合機10に設けられている実際のマーク80に対してどのように変形しているかに基づいて撮影箇所から携帯端末30のカメラ部までの距離と角度(上下左右方向の角度)を計算し、カメラ部の視点位置を求める。
【0072】
たとえば、撮影画像に図9に例示した4つのマーク80の画像が現れた場合は、登録情報による横方向の配置間隔(D1)と撮影画像上の配置間隔(D1´)の比と、左側の2つの画像の縦方向の距離d1と右側の2つの画像の縦方向の距離d2の比とから、複合機10に設けられている実際の4つのマーク80と携帯端末30のカメラ部の角度を求めることができる。
【0073】
上記例のようにして、携帯端末30のカメラ部の視点位置を特定し、その視点位置から見える向きのスケルトン画像を、データベースに記憶されている3次元CADデータから生成する。
【0074】
次に、複合機10と携帯端末30の動作について説明する。
【0075】
図10は、複合機10と携帯端末30の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0076】
携帯端末30は、ユーザから操作を受けて、複合機10と通信を行う専用のアプリケーションプログラムを起動する(P101)。アプリケーションプログラムを起動すると、複合機10のIPアドレスを指定して、通信相手の複合機10を特定する。
【0077】
携帯端末30(専用のアプリケーションプログラム)は、通信相手の複合機10が現在通信を受付可能か否かを複合機10に問い合わせる(P102)。このとき、携帯端末30に登録されている認証情報などを同時に送信し、複合機10側でユーザ認証データとして記憶するようにしてもよい。
【0078】
複合機10は、携帯端末30から問い合わせを受けると、自機が現在通信可能な状態か否かを判断する(P103)。たとえば、自機に致命的なエラーが発生していて、通信の受付が不可能な場合などには、受付不可と判断する。ここでは、そのような致命的なエラーが発生しておらず、通信の受付が可能と判断した場合で説明する。
【0079】
複合機10は、通信可能(OK)の判断結果を携帯端末30に通知する(P104)。携帯端末30は、複合機10から通信可能の通知を受けると、複合機10に関する情報を表示するに当たっての表示モード(ジャムポジション表示、スケルトン表示、メンテナンス部品の表示、その他など)の選択をユーザから受け付けて決定し、通信開始を指示する(P105)。そして、決定して表示モードと通信開始を複合機10に通知する(P106)。
【0080】
複合機10は、携帯端末30から通知された表示モードを設定し、携帯端末30からの画像データの受信の準備を行う(P107)。表示モードの設定と画像データの受信の準備を完了すると、携帯端末30に表示モードの設定完了と画像データの受信準備完了を通知する(P108)。
【0081】
携帯端末30は、この通知以降、ユーザによるカメラ撮影操作を受けて、カメラ部により複合機10を撮影し、そのカメラ画像(撮影画像)を入力する(P109)。入力した複合機10のカメラ画像は複合機10に送信する(P110)。
【0082】
複合機10は、携帯端末30から受信したカメラ画像をRAM13(または不揮発メモリ14)に格納する(P111)。複合機10は、受信したカメラ画像を解析し、このカメラ画像からの特徴抽出などの処理を行い、携帯端末30による複合機10の撮影箇所を特定する。さらに、携帯端末30のカメラ部と複合機10の撮影箇所の距離、角度を計算し、カメラ部の視点位置を求め、カメラ部と複合機10の撮影箇所の3次元的な位置関係を求める(P112)。
【0083】
複合機10は、P107で設定した表示モードより、自機の撮影箇所に対応する表示情報を決定する。また、表示モードがスケルトン表示の場合には、カメラ部の視点位置に応じた向き(視点位置から見える向き)のスケルトン画像を生成し、そのスケルトン画像を表示情報に決定する(P113)。
【0084】
複合機10は、画像合成処理を行って、表示情報をカメラ画像に重ね合わせ(P114)、この合成画像を携帯端末30に送信する(P115)。携帯端末30は、複合機10から受信した画像(合成画像)を表示部31に表示する(P116)。
【0085】
携帯端末30は、ユーザから動作終了の指示を受けない場合は、P109〜P116による撮影から表示までの動作を繰り返し行う(P117)。ユーザから動作終了の指示を受けた場合は、カメラ部による撮影と複合機10へのカメラ画像の送信を停止し(P118)、複合機10に動作終了を通知する(P119)。
【0086】
複合機10は、携帯端末30から動作終了の通知を受けると、携帯端末30との通信の終了処理を行う(P120)。複合機10は、終了処理が完了したことを携帯端末30に通知する(P121)。携帯端末30は、専用のアプリケーションプログラムを終了し、全ての処理を完了する(P122)。
【0087】
このように、本実施形態に係る複合機10では、携帯端末30による自機の撮影情報に基づいて、自機の撮影箇所を判断し、その撮影箇所に応じた表示情報を携帯端末30に送信して表示させるので、携帯端末30の位置を検出するための多数の位置検出手段などを設けることなく、簡素な構成で適宜な表示情報(撮影箇所に応じた表示情報)を携帯端末30に表示させることができる。
【0088】
また、撮影情報に表示情報を重ね合わせて表示することで、複合機10のベースとなる画像の作成を省略することができ、表示情報の作成が簡単になる。さらに、撮影画像に写っている実際の撮影箇所(実物)と表示情報の関係を見た目で分かりやすく表示することができる。
【0089】
具体的には、図3に示したように、撮影画像にジャムポジション画像50を重ね合わせて表示した場合には、撮影画像に写っている実際の撮影箇所におけるジャム発生箇所が見た目で分かりやすく表示され、ユーザは複合機10におけるジャム発生箇所を容易に把握できる。また、図4に示したように、撮影画像にジャム発生箇所のスケルトン画像60を見た目の向きを合わせて合成し表示した場合には、ユーザはジャム発生箇所の内部状態やジャム紙の位置を容易に把握でき(ジャム発生箇所の状態がイメージしやすくなり)、ジャム紙の除去作業を円滑に行うことができる。また、図5に示したように、ジャムの発生箇所を撮影していない場合には、その撮影箇所からジャム発生箇所の方向を示すジャム方向画像70が撮影画像に重ね合わせて表示されることで、ユーザは複合機10のジャム発生箇所を容易に探すことができる。
【0090】
これにより、特に業務用印刷に使用される大型の画像形成装置においては、装置内に散在して見つけ難い多数のジャム紙でも、簡単に見つけ出して迅速に除去できるようになり、ジャムの除去作業に要する時間を短縮することができる。また、このジャム処理時間の短縮によって、印刷の生産性を向上することができる。
【0091】
また、ジャムの他にも、故障などのエラーの発生やメンテナンスの必要性、あるいは、エラーやメンテナンスに伴う手動操作の必要性といった各種の事象に対し、その事象の発生箇所に応じた各種の表示情報(位置情報/スケルトン画像/案内情報/操作情報)を携帯端末30に表示させることができる。エラーの処置やメンテナンスの対応をサービスマンが行う場合にも、携帯端末30に表示された各種の表示情報から、該当箇所の位置、内部状態、操作内容を容易に把握することができ、作業の迅速化を図ることができる(サービス性の向上)。
【0092】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、携帯端末30が撮影した撮影画像(カメラ画像)と、複合機10に関する表示情報の合成を、複合機10が行う場合を説明したが、第2の実施形態では、携帯端末30が行う場合を説明する。
【0093】
本実施形態では、携帯端末用のアプリケーションプログラムに、携帯端末30による複合機10の撮影画像に基づいて、複合機10の撮影箇所と携帯端末30(カメラ部)の位置を求める機能、図10のP114で説明した画像合成処理を行う機能が組み込まれている。撮影画像に基づく撮影箇所の特定方法は、第1の実施形態で説明した複合機10が行う方法と同じである。この機能を携帯端末30に搭載するために、携帯端末30には、複合機10の撮影箇所を特定するための照合用情報(複合機10の特徴部の画像(画像データ)および3次元座標位置)が記憶されたデータベースが格納されている。このデータベースは、第1の実施形態に係る複合機10に格納されていたデータベースと同じものである。
【0094】
図11は、第2の実施形態に係る複合機10と携帯端末30の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0095】
図11におけるP201〜P209は、第1の実施形態で説明した図10におけるP101〜P109と同じ動作である。また、図11におけるP218〜P221は、図10におけるP119〜P122と同じ動作である。第1の実施形態と同じ動作については、ここでは説明を省略する。
【0096】
携帯端末30は、ユーザによるカメラ撮影操作を受けて複合機10を撮影したカメラ画像(撮影画像)を解析し、このカメラ画像からの特徴抽出および照合用情報との照合などの処理を行い、撮影画像に写っている複合機10の撮影箇所を3次元座標の範囲によって特定する。詳細は、第1の実施形態における複合機10の処理と同じである。また、カメラ画像を解析して自機のカメラ部と複合機10の撮影箇所の距離、角度を計算し、カメラ部の視点位置を求め、カメラ部と複合機10の撮影箇所の3次元的な位置関係を求める(P210)。
【0097】
携帯端末30は、複合機10の撮影箇所を示す撮影箇所情報(複合機10に予め設定されている3次元座標系に対応する座標で撮影箇所を示した情報)と、カメラ部の視点位置と撮影箇所との3次元的な位置関係を示す位置関係情報とを生成し、複合機10に送信する(P211)。
【0098】
複合機10は、携帯端末30から受信した撮影箇所情報より、携帯端末30による自機の撮影箇所を特定する。また、携帯端末30から受信した位置関係情報より、携帯端末30のカメラ部と自機の撮影箇所の3次元的な位置関係(距離、角度)を認識する。
【0099】
複合機10は、P207で設定した表示モードより、自機の撮影箇所に対応する表示情報を決定する。また、表示モードがスケルトン表示の場合には、カメラ部の視点位置に応じた向き(視点位置から見える向き)のスケルトン画像を生成し、そのスケルトン画像を表示情報に決定する(P212)。複合機10は、この表示情報を携帯端末30に送信する(P213)。
【0100】
携帯端末30は、複合機10から表示情報を受信すると、画像合成処理を行って、表示情報をカメラ画像に重ね合わせ(P214)、その合成画像を表示部31に表示する(P215)。また、ユーザから動作終了の指示を受けない場合は、P209〜P215による撮影から表示までの動作を繰り返し行う(P216)。ユーザから動作終了の指示を受けた場合は、カメラ部による撮影と複合機10への情報の送信を停止し(P217)、P218以降を行う。
【0101】
このように、携帯端末30が撮影画像に基づいて複合機10の撮影箇所を求め、複合機10は、この撮影箇所を示す撮影箇所情報を携帯端末30から得ることで、その撮影箇所情報によって示される自機の撮影箇所に応じた表示情報を携帯端末30に送信して表示させることができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0103】
たとえば、実施形態では複合機10にジャムなどの事象が発生した場合に、その事象に関連する表示情報(事象の発生箇所に関連する表示情報)を携帯端末30に送信して表示させる例を説明したが、このような事象の発生にかかわらず、撮影画像に基づいて判断した撮影箇所に応じた表示情報(所定箇所の名称、位置、透視画像、操作内容などの情報)を携帯端末30に送信して表示させるようにしてもよい。
【0104】
また、画像形成装置は複合機に限らず、プリンタや複写機などでもかまわない。また、実施形態では複合機が備えた各種のデータベースを、パーソナルコンピュータやサーバなどの情報処理装置が備え、その情報処理装置が携帯端末から画像形成装置の撮影画像を受信し、その撮影画像に基づいて画像形成装置の撮影箇所を判断し、その撮影箇所に応じた表示情報を携帯端末に送信して表示させる構成としてもよい。また、その情報処理装置が画像形成装置から、携帯端末に通知すべき事象が生じている指定箇所を示す指定箇所情報の入力を受けて、その指定箇所に係る表示情報を携帯端末に送信して表示させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0105】
10…複合機(画像形成装置)
11…CPU
12…ROM
13…RAM
14…不揮発メモリ
15…ハードディスク装置
16…表示部
17…操作部
18…ファクシミリ通信部
19…ネットワーク通信部
20…スキャナ部
21…画像処理部
22…プリンタ部
23…後処理部
30…携帯端末
31…表示部
50…ジャムポジション画像
60…スケルトン画像
70…ジャム方向画像
80…マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影機能と表示機能と通信機能とを備えた携帯端末と通信する通信部と、
前記携帯端末が画像形成装置を撮影した撮影画像を前記携帯端末から受信し、その撮影画像に基づいて前記画像形成装置の撮影箇所を判断し、その撮影箇所に応じた表示情報を前記携帯端末に送信する制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮影画像に基づいてその撮影画像を撮影した前記携帯端末の視点位置を判断し、その視点位置に応じた向きの表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示情報を前記撮影画像に合成して前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像形成装置に生じている前記携帯端末に通知すべき事象と、前記撮影箇所とに応じた表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画像形成装置にて前記携帯端末に通知すべき事象が生じている指定箇所を示す指定箇所情報を入力する入力部を有し、
前記制御部は、前記入力部より入力された指定箇所情報によって示される指定箇所が、前記撮影箇所に含まれている場合は、その指定箇所に対応する第1の表示情報を前記携帯端末に送信し、前記撮影箇所に含まれていない場合は、その指定箇所に対応する第2の表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2の表示情報は、前記指定箇所への案内情報である
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示情報は、前記画像形成装置の所定箇所の位置を示す位置情報と、前記画像形成装置の透視画像と、前記画像形成装置の操作情報とのうちの少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示情報は、前記画像形成装置におけるエラー発生箇所と、メンテナンス箇所と、操作必要箇所とのうちの少なくとも1つに関連する情報である
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記画像形成装置の外表面には、前記画像形成装置を撮影する前記携帯端末の視点位置を判断するための所定のマークが設けられており、
前記制御部は、前記撮影画像に含まれている前記所定のマークの変形に基づいて前記携帯端末の視点位置を判断する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記撮影画像に替えて、前記携帯端末が前記撮影画像に基づいて求めた前記画像形成装置の撮影箇所を示す撮影箇所情報を受信し、その撮影箇所情報によって示される前記画像形成装置の撮影箇所に応じた表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記携帯端末が前記撮影画像に基づいて求めた、その撮影画像を撮影した前記携帯端末の視点位置を示す視点位置情報を受信し、その視点位置情報によって示される視点位置に応じた向きの表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
自装置における前記携帯端末に通知すべき事象の発生を検出する検出部と、
を有し、
前記制御部は、前記検出部が検出した事象と、前記撮影箇所とに応じた表示情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
情報処理装置に、
撮影機能と表示機能と通信機能とを備えた携帯端末と通信する機能と、
前記携帯端末が前記画像形成装置を撮影した撮影画像を前記携帯端末から受信し、その撮影画像に基づいて前記画像形成装置の撮影箇所を判断し、その撮影箇所に応じた表示情報を前記携帯端末に送信する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項14】
撮影機能と表示機能と通信機能とを備えた携帯端末に、
画像形成装置を撮影した撮影画像に基づいて前記画像形成装置の撮影箇所を求め、その撮影箇所を示す撮影箇所情報を情報処理装置に送信する機能と、
前記情報処理装置から、前記撮影箇所情報によって示される前記画像形成装置の撮影箇所に応じた表示情報を受信する機能と、
前記情報処理装置から受信した表示情報を表示する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項15】
前記撮影画像に基づいてその撮影画像を撮影した前記携帯端末の視点位置を求め、その視点位置を示す視点位置情報を情報処理装置に送信する機能と、
前記情報処理装置から、前記視点位置情報によって示される前記携帯端末の視点位置に応じた向きの表示情報を受信する機能と、
を前記携帯端末に実現させることを特徴とする請求項14に記載のプログラム。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−156872(P2012−156872A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15435(P2011−15435)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】