説明

情報処理装置、設定用GUI表示方法、撮像装置

【課題】設定の確認や変更の操作性を改善すること。
【解決手段】画面において互いに直交する2方向のうち一方の方向が信号の流れの方向として割り当てられ、情報処理のための複数の処理系統が前記一方の方向に沿った複数のラインとして表現され、少なくとも1つのライン上に、このラインに対応する処理系統の1以上の設定項目の名前および設定値が表示された1以上のブロックが配置されたGUIデータを生成するGUI生成部と、生成されたGUIデータを画面に表示する表示処理部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、GUIを使って各種設定項目の値の確認および設定を行うことのできる情報処理装置、GUI表示方法、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局用のビデオカメラやカメラ一体型ビデオテープレコーダなどのカメラは、多機能化によって設定項目の種類が相当な数となってきている。従来、これらの設定やステータスの確認は、カメラに設けられたモニターやビューファインダーに表示される画面を通して行われる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載される撮像システムでは、ニー処理,オートアイリス等の諸機能のパラメータを設定するためにパラメータ設定用ウインドウを採用している。このパラメータ設定用ウインドウでは、機能的に類似した項目や利用頻度の高い項目などが1つのウインドウ内にまとめて表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−126673号公報(段落[0220]、図17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既存の設定用GUIでは、1画面に互いに何らの関係性を有する複数の設定項目が同時に表示されるとは言え、それらの設定項目の関係性の中身までは一見しただけでは分かりにくいなど、設定確認時や設定変更時の操作性を向上させるためのさらなる改善が望まれていた。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、設定の確認や変更の操作性を、より改善することのできる情報処理装置、設定用GUI表示方法、撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本技術の情報処理装置は、画面において互いに直交する2方向のうち一方の方向が情報の流れの方向として割り当てられ、情報処理のための複数の処理系統が前記一方の方向に沿った複数のラインとして表現され、少なくとも1つのライン上に、このラインに対応する前記処理系統の1以上の設定項目の名前および設定値が表示された1以上のブロックが配置されたGUIデータを生成するGUI生成部と、前記生成されたGUIデータを前記画面に表示する表示処理部とを具備する。
【0008】
本技術では、処理系統と設定項目との関係を俯瞰することができ、設定の確認や変更の操作性をより改善することができる。
【0009】
前記GUI生成部は、共通の情報が複数の前記処理系統の処理対象となることを前記ラインの分岐により表現したGUIデータを生成するものであってよい。
【0010】
前記GUI生成部は、分岐した複数の処理系統間で共通の設定値が与えられる必要のある設定項目のブロックを、当該処理系統毎のラインに分岐される直前のライン上に配置するようにしてもよい。これにより、共通の設定値が設定される必要のある設定項目を、その設定項目のブロックがどのライン上に配置されているかによってユーザが簡単に知ることができる。
【0011】
前記GUI生成部は、複数の前記処理系統間で共通の前記設定項目のブロックを、前記複数の処理系統にそれぞれ対応する複数のラインの上を跨るように配置するようにしてもよい。これにより、複数の処理系統間で共通の設定項目の設定値を一目で対比しつつ確認することができる。
【0012】
前記GUI生成部は、複数の前記処理系統間で共通の前記設定項目のブロックに当該処理系統毎の設定値を表示するようにしてもよい。
【0013】
本技術の別の側面に基づく設定用GUI表示方法は、GUI生成部が、画面において互いに直交する2方向のうち一方の方向が情報の流れの方向として割り当てられ、情報処理のための複数の処理系統が前記一方の方向に沿った複数のラインとして表現され、少なくとも1つのライン上に、このラインに対応する前記処理系統の1以上の設定項目の名前および設定値が表示された1以上のブロックが配置されたGUIデータを生成し、表示処理部が、前記生成されたGUIデータを前記画面に表示することを特徴とする。
【0014】
本技術のさらに別の側面に基づく撮像装置は、被写体の撮像を行う撮像部と、画面において互いに直交する2方向のうち一方の方向が、前記撮像部で得られた映像信号の流れの方向として割り当てられ、信号処理のための複数の処理系統が前記一方の方向に沿った複数のラインとして表現され、少なくとも1つのライン上に、このラインに対応する前記処理系統の1以上の設定項目の名前および設定値が表示された1以上のブロックが配置されたGUIデータを生成するGUI生成部と、前記生成されたGUIデータを前記画面に表示する表示処理部とを具備する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本技術によれば、設定の確認や変更の操作性がより改善される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本技術に係る第1の実施形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の撮像装置で採用された設定用GUIの一部を示す図である。
【図3】Detailの詳細なパラメータの値の設定画面の例を示す図である。
【図4】Markerの詳細なパラメータの値の設定画面の例を示す図である。
【図5】変形例1の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図6】変形例1の設定用GUIを示す図である。
【図7】変形例2のシネモード時の設定用GUIを示す図である。
【図8】変形例2のカスタムモード時の設定用GUIを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
本実施形態は、本技術に係る情報処理装置を撮像装置に適用したものである。
図1は第1の実施形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、この撮像装置100はCHU(Camera Head Unit)10から構成される。
【0018】
CHU10は、レンズ11、撮像素子12、アナログ信号処理回路13、A/D変換部14、信号処理回路15、表示処理部16、モニター17、ビューファインダー18、操作部19、コントローラ20(GUI生成部)などを有する。その他、図示は省略したが、CHU10は、マイクロフォン、音声系のA/D変換部、音声系の信号処理回路などを有する。
【0019】
レンズ11は、被写体光をCHU10内に取り込む。撮像素子12は、レンズ11を通して取り込んだ被写体光を光電変換して映像信号を得る。撮像素子12は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)等よりなる。
【0020】
アナログ信号処理回路13は、撮像素子12から出力された映像信号に含まれるリセットノイズを除去するCDS(Correlated Double Sampling)回路や、ゲインの調整を行うAGC(Automatic Gain Control)回路等を有する。
【0021】
A/D変換部14は、アナログ信号処理回路13で処理が行われた映像信号をデジタルの映像信号に変換して出力する。信号処理回路15は、デジタルに変換された映像信号に、ガンマ補正やニー補正、マトリクス処理等を施す。
【0022】
なお、本例では撮像素子12をCCDで構成した場合を想定しているが、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)で構成してもよく、この場合は、A/D変換部14までの処理が撮像素子12内で行われる。
【0023】
信号処理回路15で処理された映像信号は、例えば外部のストレージ装置に出力されるとともに、表示処理部16に出力される。表示処理部16はコントローラ20による制御によって、映像信号に対してモニタリングに適した処理を個別に施してモニター17およびビューファインダー18に出力する。これにより、ユーザはモニター17およびビューファインダー18を通して撮影中の画をモニタリングに適した形式で見ることができる。
【0024】
操作部19は、CHU10の操作や各種の設定のためのユーザからの指令を受け付けてコントローラ20に供給する。コントローラ20はCHU10の全体的な制御を行うとともに、CHU10における各種の設定項目の値を確認したり変更したりするために用いられるGUI画面の表示データを生成して、撮影中の映像信号に代えて表示処理部16に出力することができる。
【0025】
[設定用GUI]
撮像装置100の多機能化により撮像装置100における設定項目の数は非常に多くなってきている。既存の設定用GUI(Graphical User Interface)では、このような多数の設定項目について、例えば、1画面に互いに何らの関連性を有する複数の設定項目を同時に表示するなどの対応をとっていることが多い。しかし、1図面に設けられた複数の設定項目に何らの関連性を有することをユーザが認識できたとしても、その関係性の意味までをユーザが把握することは困難である。
【0026】
そこで、本実施形態の撮像装置100では、各種の設定項目の設定および確認のための設定用GUIを次のように構成した。以下、映像出力系を例に本実施形態で採用した設定用GUIについて説明する。
【0027】
図2は本実施形態の撮像装置100で採用された設定用GUIの一部として、映像出力系の設定用GUIを示す図である。
設定用GUI30は、主に出力端子割当領域31と設定項目表示領域32とで構成される。
【0028】
出力端子割当領域31には、VF(ビューファインダー)出力端子割当部33、SDI(Serial Digital Interface)出力端子割当部34、RM(リモートコントロールユニット)出力端子割当部35が配置されている。
VF出力端子割当部33は、"VF出力"と表記されている端子に対して、予め決められた複数の出力端子の1つをユーザが割り当てることのできる選択メニューである。なお、本例ではVF(ビューファインダー)出力端子が割り当てられている。
SDI出力端子割当部34は、"SDI出力"と表記されている端子に対して、予め決められた複数の出力端子の1つをユーザが割り当てることのできる選択メニューである。本例ではMON(モニター)出力端子が割り当てられている。
RM出力端子割当部35は、"RM出力"と表記されている端子に対して、予め決められた複数の出力端子の中の1つをユーザが割り当てることのできる選択メニューである。本例ではVBS(Video Burst Signal)出力端子が割り当てられている。VBS(Video Burst Signal)は同期信号である。
出力端子割当領域31には、これらの出力端子割当部33−35の他、伝送レートの情報、撮像レートの情報も表示される。
【0029】
次に、設定項目表示領域32について説明する。
設定項目表示領域32内の表記において、"REC"は外部のストレージ装置に対する映像信号の処理系統(以下「本線処理系統」と呼ぶ。)を意味する。"VF"はビューファインダー18に対する映像信号の処理系統(以下「VF処理系統」と呼ぶ。)を意味する。"MON"はモニター17に対する映像信号の処理系統(以下「MON処理系統」と呼ぶ。)を意味する。"RET"は外部のCDU(Color Development Unit)またはストレージ装置からモニター17およびビューファインダー18への映像信号の処理系統(以下「RET処理系統」と呼ぶ。)を意味する。CDUについては後で説明する。
【0030】
設定項目表示領域32内の左側部分はカメラ撮像条件表示領域36となっている。カメラ撮像条件表示領域36には、例えば、ホワイトバランス、NDフィルター、ゲイン、カラースペース、シャッターなどの設定値が表示される。
【0031】
設定用GUI30では、原則的に、画面において互いに直交する例えば縦横などの2軸方向のうち一方の軸方向(例えば横軸方向)が信号の流れの方向として割り当てられている。それぞれの処理系統は、画面において信号の流れの方向として割り当てられた一方の軸方向(例えば横軸方向)に沿って互いに平行に描かれたそれぞれのライン51、52,53,54として表現されている。ここで「処理系統」とは、信号などの情報から最終的若しくは中間的な出力を得るまでに当該情報に対して行われる1以上の処理のことである。この1以上の処理は必ずしも処理の手順が決められている必要はない。それぞれの処理系統に対応するライン51,52,53,54は互いに他方の軸方向(例えば縦軸方向)における位置をずらして配置される。
以降、本線処理系統を表現するライン51を「本線ライン51」、VF処理系統を表現するライン52を「VFライン52」、MON処理系統を表現するライン53を「MONライン53」とそれぞれ呼ぶことにする。
【0032】
共通の信号が複数の処理系統の処理対象となる場合がある。この場合には、ラインの分岐の表記によって信号と各処理系統との関係性、各処理系統どうしの関係性が表現される。例えば、本線処理系統、VF処理系統およびMON処理系統が対象とする元々の映像信号は共通であるから、本線ライン51から縦のライン51aが分岐され、さらにこの縦のライン51aからVFライン52およびMONライン53がそれぞれ分岐される。
【0033】
また、処理系統を表現するラインの上には、その処理系統における設定項目毎にその設定項目の名前と設定値をそれぞれ表記した1以上のブロックが配置される。画面スペースの制約から、あるいは見た目の複雑さを押さえるために、設定用GUI30の設定項目表示領域32には、上記4つの処理系統のうちの一部の処理系統における設定項目に対応するブロック41−46のみが表示される。例えば、図示された設定用GUI30には、VF処理系統とMON処理系統における複数の設定項目それぞれに対応する複数のブロック41−46のみが表示されている。設定用GUI30の中の設定項目表示領域32は、CHU10に設けられた操作部19の操作によって例えば上下方向にスクロールされる。この設定用GUI30のスクロールによってブロックが表示される処理系統が切り替えられる。
【0034】
VF処理系統とMON処理系統の設定項目には例えば以下がある。
EI(Exposure Index):露光指数、
Meta:CHU10で生成されるメタデータをモニタリング映像に表示させるかどうか、
Detail:輪郭の強調のON/OFF、
Status:設定値をモニタリング映像に表示させるかどうか、
Marker:センターマーカー、記録映像の表示範囲を示すマーカーなどをモニタリング映像に表示させるかどうか、
Zebra:ユーザが指定した輝度範囲の領域にゼブラ模様をつけるかどうか。
但し、これらは一例にすぎない。
【0035】
また、複数の処理系統間で共通の設定項目が存在する場合がある。この場合には、その共通の設定項目のブロックが、それら複数の処理系統にそれぞれ対応する複数のラインの上を跨るように配置される。例えば、図2において、Status、Marker、Zebraの3つの設定項目はVF処理系統とMON処理系統の両方に存在する。この場合、VFライン52とMONライン53の両方を跨るようにして、Statusの設定項目に対応するブロック44、Markerの設定項目に対応するブロック45、およびZebraの設定項目に対応するブロック46が表示される。これら複数の処理系統間で共通の設定項目に対応するブロック44、45,46には処理系統毎の設定値が表記される。これにより、複数の処理系統間で共通の設定項目の設定値を一目で対比しつつ確認することができる。
【0036】
さらに、ラインの分岐がある場合には分岐した複数の処理系統間で共通の設定値が与えられる必要のある設定項目が存在することがある。例えば、図2において、VF処理系統とMON処理系統とでは、EIとMetaの各設定項目に設定される値は共通である必要がある。このような設定項目のブロック41,42は、処理系統毎のライン52、53に分岐される直前のライン、つまり図2においては本線ライン51とVFライン52およびMONライン53とを接続する縦のライン51a上に配置される。これにより、共通の設定値が設定される必要のある設定項目を、その設定項目のブロックがどのライン上に配置されているかによってユーザが簡単に知ることができる。
【0037】
次に、設定項目の値を設定したり変更したりするときの操作方法について説明する。
CHU10の操作部19には、画面のスクロール、フォーカス24をあてるブロックの切り替え、設定値の設定などの操作を行うための手段として、例えば第1のロータリースイッチ22、第2のロータリースイッチ23などが設けられている(図1参照)。第1のロータリースイッチ22を例えば時計回り方向に回すと画面が上にスクロールし、逆に反時計回り方向に回すと画面が下にスクロールする。これにより設定項目のブロックを表示させる処理系統を切り替えることができる。また、第2のロータリースイッチ23を例えば時計回り方向に回すとフォーカス24のあたるブロックが一定順序にシフトし、逆に反時計回り方向に回すと反対の順序でシフトする。そして、第2のロータリースイッチ23を例えばプッシュすることなどによってフォーカス24があてられた設定項目の設定値が切り替えられる。
【0038】
ここで、Meta、Detail、Status、Marker、Zebraなどの設定項目の値はONとOFFとの間で切り替えられる。ONの状態での設定項目の詳細な値は別画面にて予め設定される。図3はDetailの詳細なパラメータの値の設定画面の例を示す図である。このDetailの詳細なパラメータの値の設定画面は、例えば、Detailの設定項目にフォーカスがあたっている状態で第2のロータリースイッチ23を2度押しあるいは長押しするなどの操作によって呼び出される。Detailの詳細なパラメータにはLevelとCrispがある。Level、Crispそれぞれのパラメータの値はゲージの操作によって行われる。それぞれのゲージの選択、操作は、例えば第2のロータリースイッチ23の回転操作とプッシュ操作によって行われる。
【0039】
図4はMarkerの詳細なパラメータの値の設定画面の例を示す図である。このMarkerの詳細なパラメータには、センターマーカーのON/OFF、マーカータイプ、SafetyのON/OFF、EffectiveのON/OFFなどがある。これらの詳細なパラメータの値の選択も例えば第2のロータリースイッチ23の回転操作とプッシュ操作によって行われる。
【0040】
以上のように、本実施形態の設定用GUI30では、それぞれの処理系統が、画面において信号の流れの方向として割り当てられた一方の軸方向に沿って互いに平行に描かれたそれぞれのラインとして表現されるとともに、処理系統のライン上に、この処理系統の設定項目の名前および設定値を表記した1以上のブロックが並べて配置される。これによって、処理系統と設定項目との関係を俯瞰することができ、設定の確認や変更の操作性をより改善することができる。
【0041】
また、本実施形態の設定用GUI30では、複数の処理系統間で共通の設定項目が存在する場合、その共通の設定項目のブロックが、それら複数の処理系統にそれぞれ対応する複数のラインの上を跨るように配置される。これにより、複数の処理系統間で共通の設定項目の設定値を一目で対比しつつ確認することができる。
【0042】
また、本実施形態の設定用GUI30では、分岐した複数の処理系統間で共通の設定値が与えられる必要のある設定項目が存在する場合、その設定項目のブロックが処理系統毎のラインに分岐される直前のライン上に配置される。これにより、共通の設定値が設定される必要のある設定項目を、その設定項目のブロックがどのライン上に配置されているかによってユーザが簡単に知ることができる。
【0043】
<変形例1>
次に、第1の実施形態の変形例1を説明する。
この変形例1は、図5に示すように、CHU10Aに、CHU10Aから出力される映像信号のRAW現像処理などを行うことが可能なCDU(Color Development Unit)21Aが接続されている場合を想定したものである。CDU21Aは、RAWデータの発色現像の他、ダウンコンバート、色変換、その他様々な画像処理を高品質に行うことのできるユニットである。
【0044】
図6はロータリースイッチを操作して画面をスクロールさせることによってCDU処理系統の設定項目に対応するブロックを設定項目表示領域32Aに表示させた状態を示す図である。
【0045】
この設定項目表示領域32A内の表記において、"CHU"はCHU10Aを意味する。"4K"は4K解像度の映像信号を出力するための処理系統を意味する(以下「4K解像度処理系統」と呼ぶ。)。"2K"は2K解像度の映像信号を出力するための処理系統を意味する(以下「2K解像度処理系統」と呼ぶ。)。"VF"はVF処理系統を意味する。"MON"はMON処理系統を意味する。
【0046】
設定用GUI30Aには、4K解像度処理系統を表現する4K解像度ライン55A、2K解像度処理系統を表現する2K解像度ライン56A、VFライン52A、およびMONライン53Aが、画面において信号の流れの方向として割り当てられた一方の軸方向(例えば横軸方向)に沿って互いに平行に描かれている。また、これらの4本のライン55A、56A、52A、53Aの処理系統で処理される元々の映像信号はCHU10Aの出力である。したがって、これらの4本のライン55A、56A、52A、53AはCHU10Aの出力を示すライン57Aから分岐したものとして描かれている。
【0047】
CDU処理系統の設定項目としてはダウンコンバータおよび色管理などがある。ここで、ダウンコンバータは、2K解像度ライン56A、VFライン52A、MONライン53Aの3つの処理系統で用いられる。したがって、ダウンコンバータの設定項目のブロック47Aは、2K解像度ライン56A、VFライン52A、MONライン53Aに分岐される直前の縦の分岐ライン58A上に配置される。色管理は、この例では、4本のライン55A、56A、52A、53Aの処理系統において共通の値が設定される必要のある設定項目としている。そこで、この色管理の設定項目のブロック48Aは4本のライン55A、56A、52A、53Aを跨ぐようにして配置されている。
【0048】
以下、ダウンコンバータおよび色管理の各設定項目の値について説明する。
ダウンコンバータの設定項目の値には、CDU21Aでの高品位なダウンコンバートを指定する値と、CHU10Aでの簡易的なダウンコンバートを指定する値とがある。
【0049】
色管理の設定項目は、さらにカラースペース、ASC CDL、フィルムエミュレーション、ビューイングLUTなどの設定項目に分類される。
カラースペースの設定項目の値には、"イメージセンサーの色域の歪みのみをとり、カメラ本来の広い色域に設定する。"、"既存のソニー製カメラ"、"DCIリファレンスプロジェクター"、"Rec709のモニター"などがある。
ASC CDL(The American Society of Cinematographers Color Decision List)は、ASCが定めるプライマリカラーグレーディングの情報を機器やソフトウェア間でやり取りするためのフォーマットである。ASC CDLは、画の基本的なトーンや色合いをSlope, Offset,Lift,Power,Saturationのパラメータで調整する。これらのパラメータは機器やソフトウェア間で互換性があり、そのパラメータを適用することで他の機器やソフトウェアで同じ画を再現することができる。
フィルムエミュレーションは、映画撮影用のフィルムの色合いを再現するための画像処理機能である。
ビューイングLUT(Look Up Table)は、映像のモニター17やビューファインダー18に最終映像のイメージに近い色合いやトーンの映像を表示するために用いられるテーブルである。
【0050】
このように本技術は、様々な処理系統の設定項目の表示に応用し得るものである。
【0051】
<変形例2>
次に、変形例2を説明する。
本変形例2は、同じ処理系統であっても、撮影モードに応じて必要とされる設定項目は変化することに対応させたものである。
【0052】
例えば、撮像装置の撮像モードにはシネモード、カスタムモードなどがある。シネモードは、ポストプロダクション作業を前提としており、フィルムカメラのオペレーションに相当する撮影ができるモードである。一方、カスタムモードは、現場での画作りが可能なモードであり、ペイント機能を操作して現場での自由な映像調整が可能なモードである。したがって、カスタムモードにおいては、設定項目としてペイント機能が必要となってくる。
【0053】
図7はシネモードが選択されているときの設定用GUI30B、図8はカスタムモードが選択されているときの設定用GUI30Bを示す図である。本変形例2では、カスタムモードが選択されているとき設定用GUI30Bの設定項目表示領域32Bに、シネモードが選択されているときには表示されないペイントの設定項目のブロック61Bが本線ライン51B上に現れるようにした。このように本変形例2では、同じ処理系統であっても、撮影モードに応じて必要な設定項目のブロックを表示できるので、設定漏れの発生を効果的に回避できる。
【0054】
なお、変形例2では、撮影モードの切り替えに応じて必要な設定項目のブロックを表示したり消したりする場合について説明したが、本技術は、撮影モード以外の様々な種類のモードの切り替えに応じて、必要な設定項目のブロックを表示したり消したりする場合にも応用できることはいうまでもない。また、互いに依存関係を有する複数の設定項目間、例えば、ある設定項目の設定値に応じて別の設定項目の設定値を変更できない状態や、逆に設定しなければならない場合に、そのことを設定用GUI上でユーザに認識させるような表示をしたり、設定値の変更を禁止したりするようにしてもよい。
【0055】
また、処理系統を画面の横軸方向に沿ったラインで表現することとしたが、縦軸方向に沿ったラインで表現してもよい。さらに、ラインの向きは必ずしも画面の横軸や縦軸に沿っている必要はなく、画面において傾けてもよい。
【0056】
また、本技術を撮像装置に採用した場合の実施形態を説明したが、本技術は、信号などの情報に対する複数の処理系統を有し、かつ処理系統毎に設定項目を有するものであれば、撮像装置以外の情報処理装置にも採用することができるものである。例えば、録画装置、ゲーム機、携帯電話、プレーヤ機器、テレビジョンなどの情報処理装置に本技術は有益に利用され得る。
【0057】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)画面において互いに直交する2方向のうち一方の方向が信号の流れの方向として割り当てられ、情報処理のための複数の処理系統が前記一方の方向に沿った複数のラインとして表現され、少なくとも1つのライン上に、このラインに対応する前記処理系統の1以上の設定項目の名前および設定値が表示された1以上のブロックが配置されたGUIデータを生成するGUI生成部と、
前記生成されたGUIデータを前記画面に表示する表示処理部とを具備する情報処理装置。
(2)前記(1)に記載の情報処理装置であって、
前記GUI生成部は、共通の情報が複数の前記処理系統の処理対象となることを前記ラインの分岐により表現したGUIデータを生成する情報処理装置。
(3)前記(2)に記載の情報処理装置であって、
前記GUI生成部は、分岐した複数の処理系統間で共通の設定値が与えられる必要のある設定項目のブロックを、当該処理系統毎のラインに分岐される直前のライン上に配置する情報処理装置。
(4)前記(1)から(3)のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記GUI生成部は、複数の前記処理系統間で共通の前記設定項目のブロックを、前記複数の処理系統にそれぞれ対応する複数のラインの上を跨るように配置する情報処理装置。
【符号の説明】
【0058】
10…CHU
11…レンズ
12…撮像素子
13…アナログ信号処理回路
14…A/D変換部
15…信号処理回路
16…表示処理部
17…モニター
18…ビューファインダー
19…操作部
20…コントローラ
30…設定用GUI
41−46…ブロック
51…本線ライン
52…VFライン
53…MONライン
100…撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面において互いに直交する2方向のうち一方の方向が情報の流れの方向として割り当てられ、情報処理のための複数の処理系統が前記一方の方向に沿った複数のラインとして表現され、少なくとも1つのライン上に、このラインに対応する前記処理系統の1以上の設定項目の名前および設定値が表示された1以上のブロックが配置されたGUIデータを生成するGUI生成部と、
前記生成されたGUIデータを前記画面に表示する表示処理部と
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記GUI生成部は、共通の情報が複数の前記処理系統の処理対象となることを前記ラインの分岐により表現したGUIデータを生成する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記GUI生成部は、分岐した複数の処理系統間で共通の設定値が与えられる必要のある設定項目のブロックを、当該処理系統毎のラインに分岐される直前のライン上に配置する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記GUI生成部は、複数の前記処理系統間で共通の前記設定項目のブロックを、前記複数の処理系統にそれぞれ対応する複数のラインの上を跨るように配置する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記GUI生成部は、複数の前記処理系統間で共通の前記設定項目のブロックに当該処理系統毎の設定値を表示する
情報処理装置。
【請求項6】
GUI生成部が、画面において互いに直交する2方向のうち一方の方向が情報の流れの方向として割り当てられ、情報処理のための複数の処理系統が前記一方の方向に沿った複数のラインとして表現され、少なくとも1つのライン上に、このラインに対応する前記処理系統の1以上の設定項目の名前および設定値が表示された1以上のブロックが配置されたGUIデータを生成し、
表示処理部が、前記生成されたGUIデータを前記画面に表示する
設定用GUI表示方法。
【請求項7】
被写体の撮像を行う撮像部と、
画面において互いに直交する2方向のうち一方の方向が、前記撮像部で得られた映像信号の流れの方向として割り当てられ、信号処理のための複数の処理系統が前記一方の方向に沿った複数のラインとして表現され、少なくとも1つのライン上に、このラインに対応する前記処理系統の1以上の設定項目の名前および設定値が表示された1以上のブロックが配置されたGUIデータを生成するGUI生成部と、
前記生成されたGUIデータを前記画面に表示する表示処理部と
を具備する撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−221238(P2012−221238A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86601(P2011−86601)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】