情報処理装置、識別情報設定プログラム、識別情報設定方法
【課題】 カード交換前後にカードが識別情報として保持していた識別子を引き継ぐ場合に生じ得る誤動作の防止、および周辺装置の設定変更の工数増加を回避する情報処理装置を提供する。
【解決手段】 予め設定された第1識別子を有するオプションカード200と、ユーザ設定可能な第2識別子を保持するカード情報保持部10と、オプションカード200がシステム内で配置変更されたかを判定する配置変更判定部1と、配置変更されてない場合、システム内で接続されている他のオプションカードの識別情報を取得する識別情報取得部2と、第2識別子が識別情報としてシステム内で使用されていないかを判定する識別情報判定部3と、第2識別子が使用されていない場合、第2識別子を識別情報として設定し、配置変更判定部1によってオプションカード200が配置変更されたと判定された場合、第1識別子を識別情報として設定する識別子設定部4とを備えた。
【解決手段】 予め設定された第1識別子を有するオプションカード200と、ユーザ設定可能な第2識別子を保持するカード情報保持部10と、オプションカード200がシステム内で配置変更されたかを判定する配置変更判定部1と、配置変更されてない場合、システム内で接続されている他のオプションカードの識別情報を取得する識別情報取得部2と、第2識別子が識別情報としてシステム内で使用されていないかを判定する識別情報判定部3と、第2識別子が使用されていない場合、第2識別子を識別情報として設定し、配置変更判定部1によってオプションカード200が配置変更されたと判定された場合、第1識別子を識別情報として設定する識別子設定部4とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
無停止状態で装着されるオプションカードを交換することができる情報処理装置、およびオプションカードを交換する際の識別子を引き継ぐ処理を行う識別情報設定プログラム、識別情報設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模なコンピュータシステムでは、Dynamic Reconfigurationとよばれている無停止状態で活性保守できる機能を有することがキーになっている。サーバシステム上に搭載されるオプションカードなどにおいても、PCI Hot Plugにより活性で保守できることが望まれている。
【0003】
PCI Hot Plug(PCI:Peripheral Component Interconnect)の技術により、サーバシステム上に搭載されたオプションカードを活性で交換可能になった。交換されたカードにつけられたWWN(World Wide Name)、SAS(Serial Attached SCSI)アドレス等の個別の識別子は、通信時にオプションカードを識別するための識別情報として使用される。
【0004】
この識別子を、例えばアクセス認証の設定値として利用している他装置がある場合、運用中にオプションカードが交換された際は他装置の設定変更が必要となる。図20(A)は、サーバ装置、スイッチ、ストレージ装置を有するシステムにおいて、サーバ装置内に備えられるFCカード(FC:Fibre channel)を交換する例を示している。サーバ装置に備えられるFCカードが交換される場合、FCカードの交換により識別子も変更される。
【0005】
このようにFCカードを交換した場合識別子も変更されるため、スイッチ、ストレージ装置もそれぞれカード固有の識別子を用いて設定されたセキュリティ設定の変更が必要となる。また、活性での設定変更に対応していない装置もあり、他装置を含めてマルチベンダで構築されたシステムである場合、保守担当もマルチベンダにわたる可能性があり保守に関する問題点が増加してしまう。
【0006】
一方、カード交換後にカード固有の識別子を引き継ぐことができる装置もある。図20(B)を参照して説明すると、FCカードが交換された後でも、FCカード固有の識別子は交換前の識別子を引き継ぐため、スイッチに対してzone設定の変更が不要となる。またストレージ装置に対してセキュリティ設定の変更が不要となる。
【0007】
また、本発明と関連のある技術として、以下の文献が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−300736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
カード交換後にカード固有の識別子を引き継ぐ場合、保守にかかわる問題は解決されるが、それに付随して以下の問題が発生する。
・同一のシステム内に同じ識別子を持つ装置が複数接続された場合、誤動作、通信不能、データ破壊など重大な問題が発生する可能性がある。
・同一システム内に重複した識別子を設定(操作)した場合、この誤設定を検出する手段が存在しない。
【0010】
図21に、カード固有識別子の重複により問題が発生する例を示す。本例では、サーバ装置Aの識別子Zを有するFCカードを交換した際、FCカードの識別子Zが引き継がれたとする。その後、サーバ装置Bを同一システム内に増設した。このとき、誤ってサーバ装置Bには以前の識別子Zを有するFCカードが搭載されたとする。
【0011】
この場合、同じネットワークの中で、同じ識別子を持つ複数のFCカードが接続されたこととなり、データ送信の一貫性が無くなり、データ破壊を引き起こす可能性がある。ストレージ装置はZの識別子を持つFCカードにデータを送信しようとしても、サーバ装置A、Bのいずれに送信すべきかが不明となる。
【0012】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、カード交換時に交換前のカードが保持していた識別子を引き継ぐ場合、使用可能か確認した上で引継ぐことができる情報処理装置、識別情報設定プログラム、識別情報設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
情報処理装置は、デバイスを識別するための情報である識別情報を使用してシステム内で通信を行う情報処理装置であって、予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスと、ユーザが設定可能な情報である第2識別子を少なくとも保持する保持部と、前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたか否かを判定する配置変更判定部と、前記配置変更判定部によって前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得する識別情報取得部と、前記識別情報取得部によって取得された識別情報と前記保持部によって保持された第2識別子とに基づき、前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定する識別情報判定部と、前記識別情報判定部によって前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する第2識別子設定部と、前記配置変更判定部によって前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する第1識別子設定部と、を備える。
【0014】
また、識別情報設定プログラムは、予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスが、システム内で配置変更されたか否かを判定し、前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得し、ユーザが設定可能な情報である第2識別子が少なくとも保持された保持部から、該第2識別子を取得し、前記第2デバイスの識別情報と前記第2識別子とに基づき前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定し、前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定し、さらに、前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する処理を、コンピュータに実行させる。
【0015】
識別情報設定方法は、予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスが、システム内で配置変更されたか否かを判定し、前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得し、ユーザが設定可能な情報である第2識別子が少なくとも保持された保持部から、該第2識別子を取得し、前記第2デバイスの識別情報と前記第2識別子とに基づき前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定し、前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定し、さらに、前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0016】
デバイス交換時に交換前のデバイスが保持していた識別子を引き継ぐ場合、使用可能か確認した上で引継ぐことで、オペレーションミスによる誤動作の防止、および周辺装置の設定変更による作業工数の増加を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係るサーバ装置の機能ブロックの一例を説明するための図である。
【図2】本実施の形態に係るサーバ装置内で動作するソフトウェアモジュールの一例、およびハードウェア構成の一例を説明するための図である。
【図3】本実施の形態に係るサーバ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態に係るサーバ装置のカード上のNVRAM、およびカード情報保持部に保持されているカード情報の内容を説明するための図である。
【図5】本実施の形態に係るサーバ装置が複数のオプションカードを備えた場合の例を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る実施例1のシステム構成を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る実施例1で使用されるカード情報を説明するための図である。
【図8】本実施の形態に係る実施例1の固有識別子の入手シーケンスを示す図である。
【図9】本実施の形態に係る実施例1で使用されるADISCの要求/応答フレームのデータフォーマットを示す図である。
【図10】本実施の形態に係る実施例1で使用されるPLOGIの要求/応答フレームのフォーマットを示す図である。
【図11】本実施の形態に係る実施例1で獲得された固有識別子情報リストの例を示す図である。
【図12】本実施の形態に係る実施例2のシステム構成を示す図である。
【図13】本実施の形態に係る実施例2で使用されるカード情報を説明するための図である。
【図14】本実施の形態に係る実施例2の固有識別子の入手シーケンスを示す図である。
【図15】本実施の形態に係る実施例2で使用されるFLOGIの要求/応答フレームのフォーマットを示す図である。
【図16】本実施の形態に係る実施例2で使用されるPLOGIの要求/応答フレームのフォーマットを示す図である。
【図17】本実施の形態に係る実施例2で使用されるGPN_PTの要求/応答フレームのフォーマットを示す図である。
【図18】本実施の形態に係る実施例2で獲得された固有識別子情報リストを示す図である。
【図19】本実施の形態に係るコンピュータシステムの一例を示す図である。
【図20】従来のFCカードを交換した際の影響を説明するための図である。
【図21】従来のFCカードを交換した際の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施の形態で示すサーバ装置は、同じ識別子を持つオプションカードが同一ネットワーク上で通信可能な範囲に複数存在する状況を回避するため、オプションカードを交換するとき交換前のオプションカードの識別子を継承しないようにする。これによって、データ破壊、誤動作の発生の防止、オペレーションミスの救済を図る。また、識別子の重複による不具合が発生する可能性を未然に防止するため、現在のネットワークからオプションカードが撤去され、別な環境に設置された場合には、カードが元来持っていた識別子を使用する。
【0019】
本実施の形態に係るサーバ装置の機能ブロックを図1を参照しつつ説明する。サーバ装置100(情報処理装置)は、通信制御部300、オプションカード200(第1デバイス)を備える。
【0020】
オプションカード200は、装置同士が互いに通信可能なネットワークシステム(以下、システムと称す)内で、1つまたは複数の外部装置(第2デバイス)と通信を行うインタフェースカードである。オプションカード200は、製品の製造過程で設定された識別子(第1識別子)(以下、カード固有識別子(original)と表記)が保持され、またユーザが設定可能な識別子(第2識別子)(以下、カード固有識別子(new)と表記)を保持することができるNVRAM(Non Volatile RAM)230を備える。またNVRAM230には、システム内のサーバ装置それぞれ固有に与えられた識別子であるサーバの固有識別子α、およびサーバ装置内でのカードの搭載位置を示す情報であるカード搭載位置情報βも保持されている。さらにNVRAM230には、ファームウェア、およびブートコードが予め記憶されており、後述するドライバ50が動作する前のブート操作を行うこともできる。オプションカード200は、例えばネットワークカード、FCカード、SASカードである。カード固有識別子(original)、カード固有識別子(new)、サーバの固有識別子α、カード搭載位置情報βについては、後にまとめて説明する。
【0021】
通信制御部300は、システム内でオプションカード200を用いた通信を制御するユニットである。通信制御部300は、また、通信する際所定のフラグの値が1に設定されている場合カード固有識別子(new)を使って通信し、またカード固有識別子(new)が設定されていない場合カード固有識別子(original)を使って通信する。
【0022】
通信制御部300は、配置変更判定部1、識別情報取得部2、識別情報判定部3、識別子設定部4(第1識別子設定部、第2識別子設定部)、カード情報保持部10を備える。
【0023】
カード情報保持部10は、サーバ装置100に搭載されているオプションカード200のカード固有識別子(original)、カード固有識別子(new)、および上述のサーバの固有識別子α、カード搭載位置情報βを保持する。
【0024】
配置変更判定部1は、サーバの固有識別子α、カード搭載位置情報βに基づきオプションカード200がシステムで配置変更されたか否かを判定する。識別情報取得部2は、配置変更判定部1によってオプションカード200が配置変更されていないと判定された場合、カード固有識別子(original)を使用することで、システム内で接続されている他の装置から、それぞれの識別子を取得する。尚、取得された識別子は固有識別子情報リストとしてリスト化される。
【0025】
識別情報判定部3は、取得された固有識別子情報リストに、カード情報保持部10(またはNVRAM230)に保持されているカード固有識別子(new)があるかを判定することで、カード固有識別子(new)がオプションカード200を識別する情報としてシステム内で使用されていないかを判定する。
【0026】
識別子設定部4は、識別情報判定部3によってカード固有識別子(new)が使用されていないと判定された場合、カード固有識別子(new)をオプションカード200のシステム内の識別情報として設定する。また識別子設定部4は、配置変更判定部1によってオプションカード200がシステム内で配置変更されたと判定された場合、カード固有識別子(original)をシステム内でのオプションカード200の識別情報として設定する。
【0027】
図2に、上述の各機能部を実現するためのサーバ装置100内のソフトウェア構成およびハードウェア構成を示す。
【0028】
まず、図2(A)を参照しつつサーバ装置100内のソフトウェアについて説明する。サーバ装置100は、ドライバ50、OS(Operating System)51を有する。ドライバ50は、OS51のインタフェースを通じてオプションカード200の制御を行う。OS51は、ドライバ50にオプションカード200にアクセスするインタフェースを提供する。
【0029】
次に、図2(B)を参照しつつ、サーバ装置100内に備えられたハードウェアについて説明する。サーバ装置100は、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)70、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)71を備え、また、内部磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等、電源が切られてもデータの消えない記憶装置である不揮発性記憶装置72を備える。
【0030】
図1で示した各機能部は、不揮発性記憶装置72に予め記憶されたドライバ50がRAM71に展開され、CPU70によって実行されることで実現される。
【0031】
次に、サーバ装置100の動作について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0032】
まず、配置変更判定部1は、ファームウェア、および、ドライバの初期化時(OS51のブート時、または、オプションカード200の活性増設でカード電源の投入時)にNVRAM230、または、カード情報保持部10に記録されているカード情報のなかで、カード固有識別子(new)が設定されているかを調べる(S1)。ここで、図4にオプションカード200で使用されるカード情報を示す。
【0033】
カード固有識別子(original)は、オプションカード200の製造時にカードに付与された固有識別子であり、インタフェースを識別する情報として使用される。カード固有識別子(original)は必ず設定されている。カード固有識別子(new)は、ユーザの設定によりオプションカード200に付与される固有識別子である。カード固有識別子(new)は、初期導入時など未設定な場合もある。サーバの固有識別子αは、サーバ装置100本体に付与されている固有情報を示し、初期導入時などは未設定の場合もある。カード搭載位置情報βは、オプションカード200のサーバ装置100上の搭載スロット位置を示すものであり、初期導入時などは未設定の場合もある。
【0034】
図3のフローチャートの説明に戻る。配置変更判定部1は、カード固有識別子(new)が設定されている場合、サーバの固有識別子αおよび搭載位置情報βを調べ、不揮発性記憶装置72に保持されている現状のサーバ装置100の情報と比較し、システム構成変更の有無をチェックする(S2)。
【0035】
配置変更判定部1が、サーバの固有識別子αが変化した場合や、搭載位置情報βが変化した場合などシステム構成の変更を検知した場合、識別子設定部4は、カード固有識別子(new)の情報を無効にするため情報をクリアし、カード固有識別子(new)が次回の起動時にチェックされないように設定する。このときには、カード固有識別子(original)がインタフェースを識別のための固有情報として使用される(手順終了)。尚、カード固有識別子(new)が設定されており、システム構成の変更がない場合、処理はS3に進む。カード固有識別子(new)が未設定で、かつ、設定したいカード固有識別子(new)がある場合には、ここでユーザによってカード固有識別子(new)が設定され、S3に進む。
【0036】
伝送路がリンクアップしている場合、または、伝送路がリンクアップしている状態でネットワークの構成変更通知があった場合(S3)には、S4へ進む。
【0037】
識別情報取得部2は、カード固有識別子(original)を使用して、システム内に接続された各装置の識別情報を取得する(S4)。ここでは、識別情報はリストの形式すなわち固有識別子情報リストとして取得されるものとするが、装置個別に識別情報を取得し、識別情報取得部2によってリスト化される場合もある。実際の入手方法は以降に説明する実現例に示す。また、識別情報取得部2は、本処理を実行中に伝送路がリンクダウンする、または、伝送路がリンクアップしている状態でネットワークの構成変更通知があった場合には、S4の処理をはじめから行う。
【0038】
識別情報判定部3は、取得された固有識別子情報リストをカード固有識別子(new)の値で検索することで、カード固有識別子(new)がネットワーク上で使用されていないかを確認する(S5)。システム内ですでに使用されている場合には、識別情報判定部3はユーザにメッセージを通知し、識別子設定部4は、カード固有識別子(new)の情報を無効にするためクリアして、カード固有識別子(new)が次回の起動時にチェックされないように設定する。この場合、カード固有識別子(original)がインタフェース識別のための固有情報として使用される(手順終了)。また、システム上で使用されていない場合、処理はS6に進む。
【0039】
カード固有識別子(new)が既に使用されている場合のメッセージ例として、本実施の形態では「設定されたカード固有識別子(new)”X“は、ネットワーク上で他のカードによって使用済のため、無効となりました。カード固有識別子(original)“Y”を使用します。」とする。
【0040】
また、S5の処理が実行されている間に伝送路がリンクダウンする、または、伝送路がリンクアップしている状態でネットワークの構成変更通知があった場合には、処理はS4に戻る。
【0041】
同一システム内で、カード固有識別子(new)を使用しているインタフェースが存在しないことが確認された場合、識別子設定部4によってカード固有識別子(new)がオプションカード200を識別するための固有情報として設定されることとで、カード固有識別子(new)を使用した通信が可能となる(S6)。識別子設定部4は、所定のフラグに1を設定する。通信制御部300はこのフラグに1が設定されている場合、カード固有識別子(new)を使用した通信を行う。
【0042】
サーバの固有識別子αと搭載位置情報βが設定されていなければ(初期状態である場合)、ここで設定される。S6を実行中に伝送路がリンクダウンした場合、または伝送路がリンクアップしている状態でシステム内の構成変更通知があった場合、処理はS4に戻る。
【0043】
尚、図5に示すように、サーバ装置100内でオプションカードが複数存在した場合(オプションカード200A、200B)であっても、同様の処理が行われる。また図5で上述の各ステップの番号をドライバ50内に記すことで、ドライバ50が図2(B)で示したハードウェアと協働して上述の各ステップを実行しているように示したが、オプションカード200A、200B内のファームウェアによって実現されてもよい。
【0044】
以下、本実施の形態の具体的な実施例を2つ示す。
【0045】
(実施例1)
FCカードがFC_AL接続(FC_AL:Fibre channel Arbitrated Loop)されている場合のWWNの引継ぎ方法を実施例1として説明する。図6に実施例1のシステムを示す。実施例1のシステムは、FCカードをそれぞれ有する4台のサーバ装置201、202、203、204、および2台のストレージ装置501、502がHUB600を介してそれぞれ接続されている構成であるとする。尚、サーバ装置201、202、203、204は、上述の配置変更判定部1、識別情報取得部2、識別情報判定部3、識別子設定部4、カード情報保持部10をそれぞれ備えている。
【0046】
ここでは、FCカードの固有識別子を誤ってシステム上に存在する他のカードと同じものに設定してしまった場合について説明する。例えばサーバ装置201のFCカードにサーバ装置204に搭載されたFCカードと同じ識別子を設定してしまったケースである。以下、実施例1におけるサーバ装置の動作を示す。
【0047】
(1−1)配置変更判定部1が、初期化時にカード上のNVRAMまたはカード情報保持部10などに記録されているカード情報のなかで、カード固有識別子(new)が設定されているかを調べる。実施例1のカード情報を図7に示す。尚、カード固有識別子(original)にはWWPN(World Wide Port Name)が使用され、カード固有識別子(new)にはWWPNに準拠した書式の識別子が使用される。またサーバの固有識別子αはサーバのMACアドレスが使用され、カード搭載位置情報βは、物理デバイス名が使用される。サーバの固有識別子α、カード搭載位置情報βは、カード新規搭載時は未設定である。
【0048】
(1−2)カードの固有識別子(new)が設定されている場合、配置変更判定部1はサーバの固有識別子αおよび搭載位置情報βを調べ、現状のサーバの情報と比較する。尚、実施例1では新規設定とし、新しくカード個別識別子(new)を設定した場合とする。
【0049】
(1−3)伝送路がリンクアップした場合、処理は次に進む。
【0050】
(1−4)識別情報取得部2がカード固有識別子(original)を使用して、システム上に接続された各装置の固有識別子のリスト(固有識別子情報リスト)を取得する。尚、本処理を実行中にリンクダウンが発生した場合には、本処理をはじめからやり直す。
【0051】
図8に固有識別子のリストを取得するまでのシーケンスを示し、図9、図10に要求/応答フレームのフォーマットを示す。尚、要求/応答フレームにはビックエイディアンが採用されている。FC_ALの環境では、ADISC(Address discover) Extended Link Serviceがループ上に存在する可能性のあるすべての装置に対して送信される(最大126台分送信される)。
【0052】
ADISCに対する応答フレームを正常に返信した装置に関しては、装置のWWPN情報を得ることができる。尚、図8(A)に正常に応答があった場合のシーケンス図を示し、図9(A)に、サーバ装置201から送信されるADISC要求フレームのフォーマット、図9(B)に送信された要求フレームに対するADISC応答フレームのフォーマットを示す。尚、カード固有識別子(new)が未だ通信に使用できるかが不明であるため、要求フレームにはカード固有識別子(original)が使用されていることに留意する(図9(A)参照)。
【0053】
ADISCに対し、タイムアウト、または、リジェクトによる応答をした装置に対し、識別情報取得部2は、PLOGIを送信しログイン処理を行った後、接続装置の情報を入手する。識別情報取得部2は、接続装置の情報を正常に入手できた場合、接続装置にLOGOを送信する。PLOGIが正常終了しない場合、識別情報取得部2はその装置の情報採取を中止する。尚、図8(B)にタイムアウト、または、リジェクトによる応答があった場合のシーケンス図を示し、図10(A)に、サーバ装置から送信されるPLOGI要求フレームのフォーマット、図10(B)に要求フレームに対するPLOGI応答フレームのフォーマットを示す。また、図11に獲得された固有識別子情報リストの一例を示す。
【0054】
(1−5)識別情報判定部3は、獲得された固有識別子情報リスト(最大126台分)の中にカード固有識別子(new)があるかを検索することで、カード固有識別子(new)がシステム内で使用されていないかを確認する。システム内ですでに使用されている場合には、ユーザにメッセージが通知され、識別子設定部4はカード固有識別子(new)の情報を無効にするためクリアする。この場合、カード固有識別子(original)がインタフェース識別のための固有情報として使用される(手順終了)。システム上でカード固有識別子(new)が使用されていない場合には、(1−6)に進む。本処理を実行中にリンクダウンが発生した場合、処理は(1−4)に戻る。
【0055】
(1−6)同一システム内で、カード固有識別子(new)を使用しているインタフェースが存在しないことが確認されたため、識別子設定部4が設定処理を行ったあとに、カード固有識別子(new)を使用した通信が可能となる。初期導入時などでサーバの固有識別子αと搭載位置情報βが設定されていなければ、ここで設定がなされる。
【0056】
(実施例2)
FCカードがスイッチ接続されている場合のWWNの引継ぎ方法を実施例2として説明する。
【0057】
図12に、実施例2のシステム構成を示す。実施例2のシステムは、FCカードをそれぞれ有する4台のサーバ装置211、212、213、214、および2台のストレージ装置511、512がスイッチ610を介してそれぞれ接続されている構成であるとする。尚、サーバ装置211、212、213、214は、上述の配置変更判定部1、識別情報取得部2、識別情報判定部3、識別子設定部4、カード情報保持部10をそれぞれ備えている。
【0058】
実施例2も、実施例1と同様FCカードの固有識別子を誤ってシステム上に存在する他のFCカードと同じものに設定してしまったときの例であり、例えばサーバ装置211のFCカードにサーバ装置214に搭載されたFCカードと同じ識別子を設定してしまったケースである。以下、実施例2におけるサーバ装置の動作について説明する。
【0059】
(2−1)配置変更判定部1が、初期化時にカード上のNVRAM、または、カード情報保持部10などに記録されているカード情報のなかで、カード固有識別子(new)が設定されているかを調べる。実施例2のカード情報を図13に示す。尚、カード固有識別子(original)にはWWNが使用され、カード固有識別子(new)にはWWNに準拠した書式の識別子が使用される。またサーバの固有識別子αはサーバのMACアドレスが使用され、カード搭載位置情報βは、物理デバイス名が使用される。サーバの固有識別子α、カード搭載位置情報βは、カード新規搭載時は未設定である。
【0060】
(2−2)カードの固有識別子(new)が設定されている場合、配置変更判定部1はサーバの固有識別子αおよび搭載位置情報βを調べ、現状のサーバの情報と比較する。実施例2では新規設定とするため、ここでの比較は行われない。
【0061】
(2−3)伝送路がリンクアップした場合、または、リンクアップ状態で構成変更通知を受信した場合、次の処理に進む。
【0062】
(2−4)識別情報取得部2がカード固有識別子(original)を使用して、システム内に接続された装置の固有識別子のリスト(固有識別子情報リスト)を取得する。ファイバチャネルスイッチ接続の環境では、識別情報取得部2は接続装置の情報を管理しているスイッチ610に対して問い合わせを行う。正常に応答があった場合に、識別情報取得部2は接続装置が使用している識別情報を得る。尚、本処理を実行中に伝送路がリンクダウンした場合、または、リンクアップ状態で構成変更通知を受信した場合には、処理は(2−4)の最初に戻る。
【0063】
図14に、固有識別子のリストを取得するまでのシーケンスを示す。実施例2では、固有識別子のリストを取得する際、以下の処理が行われる。
・スイッチ610にログインする(FLOGI)
・スイッチ内610に存在するネームサーバにログインする(PLOGI)。
・ネームサーバに接続装置の問い合わせを行う(GPN_PT)。
【0064】
尚、FLOGI、GPN_PTに対し、スイッチ610がタイムアウト、リジェクトした場合にはリトライとなる。正常に応答があった場合には、接続装置の固有識別子情報が取得される。
【0065】
図15から図17に、実施例2の要求/応答フレームのフォーマットを示し、図18に、取得された固有識別子情報リストの一覧の例を示す。図15(A)は、サーバ装置211から送信されるFLOGI要求フレームのフォーマットであり、図15(B)はサーバ装置210が受信するFLOGI応答フレームのフォーマットである。また、図16(A)は、サーバ装置211から送信されるPLOGI要求フレームのフォーマットであり、図16(B)は、サーバ装置211で受信されるPLOGI応答フレームのフォーマットである。図17(A)は、サーバ装置211から送信されるGPN_PT要求フレームのフォーマットであり、図17(B)は、サーバ装置211で受信されるGPN_PT応答フレームのフォーマットである。
【0066】
尚、カード固有識別子(new)を持つカードでしかアクセスできないような制限がかかっている場合、以下の処理となる。スイッチ610でゾーン設定などアクセス制限をかけていなければ、以下の処理は行う必要はない。
(2−4−1)識別情報取得部2は、一旦スイッチ610との接続を切るため、リンクダウンを発生させる。
(2−4−2)識別情報取得部2は、カードの固有識別子情報(original)から固有識別子情報(new)に変更して、FLOGIの要求フレームを送信する。
(2−4−3)識別情報取得部2は、スイッチ610内に存在しているネームサーバにログインする(PLOGI)。
(2−4−4)識別情報取得部2は、GPN_FTを送信し、接続装置の情報を入手する。
【0067】
(2−4−1)から(2−4−4)の手順でエラー終了した場合、カード固有識別子(new)を使用している装置がネットワーク上に存在する可能性があると判断することができる。よってこの場合、識別情報取得部2は、ユーザにメッセージを通知し、識別子設定部4はカード固有識別子(new)の情報をクリアして、次回の起動時にチェックしないようにする(手順終了)。
【0068】
(2−5)識別情報判定部3は、獲得された固有識別子情報リストの中をカード固有識別子(new)で検索することで、カード固有識別子(new)が使用されていないかを確認する。既にカード固有識別子(new)が使用されている場合、ユーザにメッセージが通知され、識別子設定部4はカード固有識別子(new)の情報をクリアして、次回の起動時にチェックしないようにする。この場合、カード固有識別子(original)がインタフェース識別のための固有情報として使用される(手順終了)。カード固有識別子(new)が使用されていない場合には、次の処理に進む。
【0069】
(2−6)同一システム内で、固有識別子(new)を使用しているインタフェースが存在しないことが確認されたので、識別子設定部4による設定の後、固有識別子(new)を使用して通信が可能となる。尚、サーバの固有識別子αと搭載位置情報βが設定されていなければ(初期状態)、ここで設定される。
【0070】
尚、保持部は、本実施の形態のカード情報保持部10およびNVRAM230のいずれに対応していてもよい。
【0071】
なお、本発明は以下に示すようなコンピュータシステムにおいて適用可能である。図19は、本発明が適用されるコンピュータシステムの一例を示す図である。この図に示すコンピュータシステム900は、CPUやディスクドライブ等を内蔵した本体部901、本体部901からの指示により画像を表示するディスプレイ902、コンピュータシステム900に種々の情報を入力するためのキーボード903、ディスプレイ902の表示画面902a上の任意の位置を指定するマウス904及び外部のデータベース等にアクセスして他のコンピュータシステムに記憶されているプログラム等をダウンロードする通信装置905を有する。通信装置905は、ネットワーク通信カード、モデムなどが考えられる。
【0072】
上述したような、情報処理装置を構成するコンピュータシステムにおいて上述した各ステップを実行させるプログラムを、識別情報設定プログラムとして提供することができる。このプログラムは、コンピュータシステムにより読み取り可能な記録媒体に記憶させることによって、情報処理装置を構成するコンピュータシステムに実行させることが可能となる。上述した各ステップを実行するプログラムは、ディスク910等の可搬型記録媒体に格納されるか、通信装置905により他のコンピュータシステムの記録媒体906からダウンロードされる。また、コンピュータシステム900に少なくとも識別情報設定機能を持たせる識別情報設定プログラムは、コンピュータシステム900に入力されてコンパイルされる。このプログラムは、コンピュータシステム900を、識別情報設定機能を有する情報処理システムとして動作させる。また、このプログラムは、例えばディスク910等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されていても良い。ここで、コンピュータシステム900により読み取り可能な記録媒体としては、ROMやRAM等のコンピュータに内部実装される内部記憶装置、ディスク910やフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体や、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータシステム並びにそのデータベースや、通信装置905のような通信手段を介して接続されるコンピュータシステムでアクセス可能な各種記録媒体を含む。
【符号の説明】
【0073】
1 配置変更判定部、2 識別情報取得部、3 識別情報判定部、4 識別子設定部、10 カード情報保持部、100 サーバ装置、200 オプションカード、230 NVRAM、300 通信制御部。
【技術分野】
【0001】
無停止状態で装着されるオプションカードを交換することができる情報処理装置、およびオプションカードを交換する際の識別子を引き継ぐ処理を行う識別情報設定プログラム、識別情報設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模なコンピュータシステムでは、Dynamic Reconfigurationとよばれている無停止状態で活性保守できる機能を有することがキーになっている。サーバシステム上に搭載されるオプションカードなどにおいても、PCI Hot Plugにより活性で保守できることが望まれている。
【0003】
PCI Hot Plug(PCI:Peripheral Component Interconnect)の技術により、サーバシステム上に搭載されたオプションカードを活性で交換可能になった。交換されたカードにつけられたWWN(World Wide Name)、SAS(Serial Attached SCSI)アドレス等の個別の識別子は、通信時にオプションカードを識別するための識別情報として使用される。
【0004】
この識別子を、例えばアクセス認証の設定値として利用している他装置がある場合、運用中にオプションカードが交換された際は他装置の設定変更が必要となる。図20(A)は、サーバ装置、スイッチ、ストレージ装置を有するシステムにおいて、サーバ装置内に備えられるFCカード(FC:Fibre channel)を交換する例を示している。サーバ装置に備えられるFCカードが交換される場合、FCカードの交換により識別子も変更される。
【0005】
このようにFCカードを交換した場合識別子も変更されるため、スイッチ、ストレージ装置もそれぞれカード固有の識別子を用いて設定されたセキュリティ設定の変更が必要となる。また、活性での設定変更に対応していない装置もあり、他装置を含めてマルチベンダで構築されたシステムである場合、保守担当もマルチベンダにわたる可能性があり保守に関する問題点が増加してしまう。
【0006】
一方、カード交換後にカード固有の識別子を引き継ぐことができる装置もある。図20(B)を参照して説明すると、FCカードが交換された後でも、FCカード固有の識別子は交換前の識別子を引き継ぐため、スイッチに対してzone設定の変更が不要となる。またストレージ装置に対してセキュリティ設定の変更が不要となる。
【0007】
また、本発明と関連のある技術として、以下の文献が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−300736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
カード交換後にカード固有の識別子を引き継ぐ場合、保守にかかわる問題は解決されるが、それに付随して以下の問題が発生する。
・同一のシステム内に同じ識別子を持つ装置が複数接続された場合、誤動作、通信不能、データ破壊など重大な問題が発生する可能性がある。
・同一システム内に重複した識別子を設定(操作)した場合、この誤設定を検出する手段が存在しない。
【0010】
図21に、カード固有識別子の重複により問題が発生する例を示す。本例では、サーバ装置Aの識別子Zを有するFCカードを交換した際、FCカードの識別子Zが引き継がれたとする。その後、サーバ装置Bを同一システム内に増設した。このとき、誤ってサーバ装置Bには以前の識別子Zを有するFCカードが搭載されたとする。
【0011】
この場合、同じネットワークの中で、同じ識別子を持つ複数のFCカードが接続されたこととなり、データ送信の一貫性が無くなり、データ破壊を引き起こす可能性がある。ストレージ装置はZの識別子を持つFCカードにデータを送信しようとしても、サーバ装置A、Bのいずれに送信すべきかが不明となる。
【0012】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、カード交換時に交換前のカードが保持していた識別子を引き継ぐ場合、使用可能か確認した上で引継ぐことができる情報処理装置、識別情報設定プログラム、識別情報設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
情報処理装置は、デバイスを識別するための情報である識別情報を使用してシステム内で通信を行う情報処理装置であって、予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスと、ユーザが設定可能な情報である第2識別子を少なくとも保持する保持部と、前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたか否かを判定する配置変更判定部と、前記配置変更判定部によって前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得する識別情報取得部と、前記識別情報取得部によって取得された識別情報と前記保持部によって保持された第2識別子とに基づき、前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定する識別情報判定部と、前記識別情報判定部によって前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する第2識別子設定部と、前記配置変更判定部によって前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する第1識別子設定部と、を備える。
【0014】
また、識別情報設定プログラムは、予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスが、システム内で配置変更されたか否かを判定し、前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得し、ユーザが設定可能な情報である第2識別子が少なくとも保持された保持部から、該第2識別子を取得し、前記第2デバイスの識別情報と前記第2識別子とに基づき前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定し、前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定し、さらに、前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する処理を、コンピュータに実行させる。
【0015】
識別情報設定方法は、予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスが、システム内で配置変更されたか否かを判定し、前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得し、ユーザが設定可能な情報である第2識別子が少なくとも保持された保持部から、該第2識別子を取得し、前記第2デバイスの識別情報と前記第2識別子とに基づき前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定し、前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定し、さらに、前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0016】
デバイス交換時に交換前のデバイスが保持していた識別子を引き継ぐ場合、使用可能か確認した上で引継ぐことで、オペレーションミスによる誤動作の防止、および周辺装置の設定変更による作業工数の増加を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係るサーバ装置の機能ブロックの一例を説明するための図である。
【図2】本実施の形態に係るサーバ装置内で動作するソフトウェアモジュールの一例、およびハードウェア構成の一例を説明するための図である。
【図3】本実施の形態に係るサーバ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態に係るサーバ装置のカード上のNVRAM、およびカード情報保持部に保持されているカード情報の内容を説明するための図である。
【図5】本実施の形態に係るサーバ装置が複数のオプションカードを備えた場合の例を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る実施例1のシステム構成を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る実施例1で使用されるカード情報を説明するための図である。
【図8】本実施の形態に係る実施例1の固有識別子の入手シーケンスを示す図である。
【図9】本実施の形態に係る実施例1で使用されるADISCの要求/応答フレームのデータフォーマットを示す図である。
【図10】本実施の形態に係る実施例1で使用されるPLOGIの要求/応答フレームのフォーマットを示す図である。
【図11】本実施の形態に係る実施例1で獲得された固有識別子情報リストの例を示す図である。
【図12】本実施の形態に係る実施例2のシステム構成を示す図である。
【図13】本実施の形態に係る実施例2で使用されるカード情報を説明するための図である。
【図14】本実施の形態に係る実施例2の固有識別子の入手シーケンスを示す図である。
【図15】本実施の形態に係る実施例2で使用されるFLOGIの要求/応答フレームのフォーマットを示す図である。
【図16】本実施の形態に係る実施例2で使用されるPLOGIの要求/応答フレームのフォーマットを示す図である。
【図17】本実施の形態に係る実施例2で使用されるGPN_PTの要求/応答フレームのフォーマットを示す図である。
【図18】本実施の形態に係る実施例2で獲得された固有識別子情報リストを示す図である。
【図19】本実施の形態に係るコンピュータシステムの一例を示す図である。
【図20】従来のFCカードを交換した際の影響を説明するための図である。
【図21】従来のFCカードを交換した際の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施の形態で示すサーバ装置は、同じ識別子を持つオプションカードが同一ネットワーク上で通信可能な範囲に複数存在する状況を回避するため、オプションカードを交換するとき交換前のオプションカードの識別子を継承しないようにする。これによって、データ破壊、誤動作の発生の防止、オペレーションミスの救済を図る。また、識別子の重複による不具合が発生する可能性を未然に防止するため、現在のネットワークからオプションカードが撤去され、別な環境に設置された場合には、カードが元来持っていた識別子を使用する。
【0019】
本実施の形態に係るサーバ装置の機能ブロックを図1を参照しつつ説明する。サーバ装置100(情報処理装置)は、通信制御部300、オプションカード200(第1デバイス)を備える。
【0020】
オプションカード200は、装置同士が互いに通信可能なネットワークシステム(以下、システムと称す)内で、1つまたは複数の外部装置(第2デバイス)と通信を行うインタフェースカードである。オプションカード200は、製品の製造過程で設定された識別子(第1識別子)(以下、カード固有識別子(original)と表記)が保持され、またユーザが設定可能な識別子(第2識別子)(以下、カード固有識別子(new)と表記)を保持することができるNVRAM(Non Volatile RAM)230を備える。またNVRAM230には、システム内のサーバ装置それぞれ固有に与えられた識別子であるサーバの固有識別子α、およびサーバ装置内でのカードの搭載位置を示す情報であるカード搭載位置情報βも保持されている。さらにNVRAM230には、ファームウェア、およびブートコードが予め記憶されており、後述するドライバ50が動作する前のブート操作を行うこともできる。オプションカード200は、例えばネットワークカード、FCカード、SASカードである。カード固有識別子(original)、カード固有識別子(new)、サーバの固有識別子α、カード搭載位置情報βについては、後にまとめて説明する。
【0021】
通信制御部300は、システム内でオプションカード200を用いた通信を制御するユニットである。通信制御部300は、また、通信する際所定のフラグの値が1に設定されている場合カード固有識別子(new)を使って通信し、またカード固有識別子(new)が設定されていない場合カード固有識別子(original)を使って通信する。
【0022】
通信制御部300は、配置変更判定部1、識別情報取得部2、識別情報判定部3、識別子設定部4(第1識別子設定部、第2識別子設定部)、カード情報保持部10を備える。
【0023】
カード情報保持部10は、サーバ装置100に搭載されているオプションカード200のカード固有識別子(original)、カード固有識別子(new)、および上述のサーバの固有識別子α、カード搭載位置情報βを保持する。
【0024】
配置変更判定部1は、サーバの固有識別子α、カード搭載位置情報βに基づきオプションカード200がシステムで配置変更されたか否かを判定する。識別情報取得部2は、配置変更判定部1によってオプションカード200が配置変更されていないと判定された場合、カード固有識別子(original)を使用することで、システム内で接続されている他の装置から、それぞれの識別子を取得する。尚、取得された識別子は固有識別子情報リストとしてリスト化される。
【0025】
識別情報判定部3は、取得された固有識別子情報リストに、カード情報保持部10(またはNVRAM230)に保持されているカード固有識別子(new)があるかを判定することで、カード固有識別子(new)がオプションカード200を識別する情報としてシステム内で使用されていないかを判定する。
【0026】
識別子設定部4は、識別情報判定部3によってカード固有識別子(new)が使用されていないと判定された場合、カード固有識別子(new)をオプションカード200のシステム内の識別情報として設定する。また識別子設定部4は、配置変更判定部1によってオプションカード200がシステム内で配置変更されたと判定された場合、カード固有識別子(original)をシステム内でのオプションカード200の識別情報として設定する。
【0027】
図2に、上述の各機能部を実現するためのサーバ装置100内のソフトウェア構成およびハードウェア構成を示す。
【0028】
まず、図2(A)を参照しつつサーバ装置100内のソフトウェアについて説明する。サーバ装置100は、ドライバ50、OS(Operating System)51を有する。ドライバ50は、OS51のインタフェースを通じてオプションカード200の制御を行う。OS51は、ドライバ50にオプションカード200にアクセスするインタフェースを提供する。
【0029】
次に、図2(B)を参照しつつ、サーバ装置100内に備えられたハードウェアについて説明する。サーバ装置100は、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)70、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)71を備え、また、内部磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等、電源が切られてもデータの消えない記憶装置である不揮発性記憶装置72を備える。
【0030】
図1で示した各機能部は、不揮発性記憶装置72に予め記憶されたドライバ50がRAM71に展開され、CPU70によって実行されることで実現される。
【0031】
次に、サーバ装置100の動作について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0032】
まず、配置変更判定部1は、ファームウェア、および、ドライバの初期化時(OS51のブート時、または、オプションカード200の活性増設でカード電源の投入時)にNVRAM230、または、カード情報保持部10に記録されているカード情報のなかで、カード固有識別子(new)が設定されているかを調べる(S1)。ここで、図4にオプションカード200で使用されるカード情報を示す。
【0033】
カード固有識別子(original)は、オプションカード200の製造時にカードに付与された固有識別子であり、インタフェースを識別する情報として使用される。カード固有識別子(original)は必ず設定されている。カード固有識別子(new)は、ユーザの設定によりオプションカード200に付与される固有識別子である。カード固有識別子(new)は、初期導入時など未設定な場合もある。サーバの固有識別子αは、サーバ装置100本体に付与されている固有情報を示し、初期導入時などは未設定の場合もある。カード搭載位置情報βは、オプションカード200のサーバ装置100上の搭載スロット位置を示すものであり、初期導入時などは未設定の場合もある。
【0034】
図3のフローチャートの説明に戻る。配置変更判定部1は、カード固有識別子(new)が設定されている場合、サーバの固有識別子αおよび搭載位置情報βを調べ、不揮発性記憶装置72に保持されている現状のサーバ装置100の情報と比較し、システム構成変更の有無をチェックする(S2)。
【0035】
配置変更判定部1が、サーバの固有識別子αが変化した場合や、搭載位置情報βが変化した場合などシステム構成の変更を検知した場合、識別子設定部4は、カード固有識別子(new)の情報を無効にするため情報をクリアし、カード固有識別子(new)が次回の起動時にチェックされないように設定する。このときには、カード固有識別子(original)がインタフェースを識別のための固有情報として使用される(手順終了)。尚、カード固有識別子(new)が設定されており、システム構成の変更がない場合、処理はS3に進む。カード固有識別子(new)が未設定で、かつ、設定したいカード固有識別子(new)がある場合には、ここでユーザによってカード固有識別子(new)が設定され、S3に進む。
【0036】
伝送路がリンクアップしている場合、または、伝送路がリンクアップしている状態でネットワークの構成変更通知があった場合(S3)には、S4へ進む。
【0037】
識別情報取得部2は、カード固有識別子(original)を使用して、システム内に接続された各装置の識別情報を取得する(S4)。ここでは、識別情報はリストの形式すなわち固有識別子情報リストとして取得されるものとするが、装置個別に識別情報を取得し、識別情報取得部2によってリスト化される場合もある。実際の入手方法は以降に説明する実現例に示す。また、識別情報取得部2は、本処理を実行中に伝送路がリンクダウンする、または、伝送路がリンクアップしている状態でネットワークの構成変更通知があった場合には、S4の処理をはじめから行う。
【0038】
識別情報判定部3は、取得された固有識別子情報リストをカード固有識別子(new)の値で検索することで、カード固有識別子(new)がネットワーク上で使用されていないかを確認する(S5)。システム内ですでに使用されている場合には、識別情報判定部3はユーザにメッセージを通知し、識別子設定部4は、カード固有識別子(new)の情報を無効にするためクリアして、カード固有識別子(new)が次回の起動時にチェックされないように設定する。この場合、カード固有識別子(original)がインタフェース識別のための固有情報として使用される(手順終了)。また、システム上で使用されていない場合、処理はS6に進む。
【0039】
カード固有識別子(new)が既に使用されている場合のメッセージ例として、本実施の形態では「設定されたカード固有識別子(new)”X“は、ネットワーク上で他のカードによって使用済のため、無効となりました。カード固有識別子(original)“Y”を使用します。」とする。
【0040】
また、S5の処理が実行されている間に伝送路がリンクダウンする、または、伝送路がリンクアップしている状態でネットワークの構成変更通知があった場合には、処理はS4に戻る。
【0041】
同一システム内で、カード固有識別子(new)を使用しているインタフェースが存在しないことが確認された場合、識別子設定部4によってカード固有識別子(new)がオプションカード200を識別するための固有情報として設定されることとで、カード固有識別子(new)を使用した通信が可能となる(S6)。識別子設定部4は、所定のフラグに1を設定する。通信制御部300はこのフラグに1が設定されている場合、カード固有識別子(new)を使用した通信を行う。
【0042】
サーバの固有識別子αと搭載位置情報βが設定されていなければ(初期状態である場合)、ここで設定される。S6を実行中に伝送路がリンクダウンした場合、または伝送路がリンクアップしている状態でシステム内の構成変更通知があった場合、処理はS4に戻る。
【0043】
尚、図5に示すように、サーバ装置100内でオプションカードが複数存在した場合(オプションカード200A、200B)であっても、同様の処理が行われる。また図5で上述の各ステップの番号をドライバ50内に記すことで、ドライバ50が図2(B)で示したハードウェアと協働して上述の各ステップを実行しているように示したが、オプションカード200A、200B内のファームウェアによって実現されてもよい。
【0044】
以下、本実施の形態の具体的な実施例を2つ示す。
【0045】
(実施例1)
FCカードがFC_AL接続(FC_AL:Fibre channel Arbitrated Loop)されている場合のWWNの引継ぎ方法を実施例1として説明する。図6に実施例1のシステムを示す。実施例1のシステムは、FCカードをそれぞれ有する4台のサーバ装置201、202、203、204、および2台のストレージ装置501、502がHUB600を介してそれぞれ接続されている構成であるとする。尚、サーバ装置201、202、203、204は、上述の配置変更判定部1、識別情報取得部2、識別情報判定部3、識別子設定部4、カード情報保持部10をそれぞれ備えている。
【0046】
ここでは、FCカードの固有識別子を誤ってシステム上に存在する他のカードと同じものに設定してしまった場合について説明する。例えばサーバ装置201のFCカードにサーバ装置204に搭載されたFCカードと同じ識別子を設定してしまったケースである。以下、実施例1におけるサーバ装置の動作を示す。
【0047】
(1−1)配置変更判定部1が、初期化時にカード上のNVRAMまたはカード情報保持部10などに記録されているカード情報のなかで、カード固有識別子(new)が設定されているかを調べる。実施例1のカード情報を図7に示す。尚、カード固有識別子(original)にはWWPN(World Wide Port Name)が使用され、カード固有識別子(new)にはWWPNに準拠した書式の識別子が使用される。またサーバの固有識別子αはサーバのMACアドレスが使用され、カード搭載位置情報βは、物理デバイス名が使用される。サーバの固有識別子α、カード搭載位置情報βは、カード新規搭載時は未設定である。
【0048】
(1−2)カードの固有識別子(new)が設定されている場合、配置変更判定部1はサーバの固有識別子αおよび搭載位置情報βを調べ、現状のサーバの情報と比較する。尚、実施例1では新規設定とし、新しくカード個別識別子(new)を設定した場合とする。
【0049】
(1−3)伝送路がリンクアップした場合、処理は次に進む。
【0050】
(1−4)識別情報取得部2がカード固有識別子(original)を使用して、システム上に接続された各装置の固有識別子のリスト(固有識別子情報リスト)を取得する。尚、本処理を実行中にリンクダウンが発生した場合には、本処理をはじめからやり直す。
【0051】
図8に固有識別子のリストを取得するまでのシーケンスを示し、図9、図10に要求/応答フレームのフォーマットを示す。尚、要求/応答フレームにはビックエイディアンが採用されている。FC_ALの環境では、ADISC(Address discover) Extended Link Serviceがループ上に存在する可能性のあるすべての装置に対して送信される(最大126台分送信される)。
【0052】
ADISCに対する応答フレームを正常に返信した装置に関しては、装置のWWPN情報を得ることができる。尚、図8(A)に正常に応答があった場合のシーケンス図を示し、図9(A)に、サーバ装置201から送信されるADISC要求フレームのフォーマット、図9(B)に送信された要求フレームに対するADISC応答フレームのフォーマットを示す。尚、カード固有識別子(new)が未だ通信に使用できるかが不明であるため、要求フレームにはカード固有識別子(original)が使用されていることに留意する(図9(A)参照)。
【0053】
ADISCに対し、タイムアウト、または、リジェクトによる応答をした装置に対し、識別情報取得部2は、PLOGIを送信しログイン処理を行った後、接続装置の情報を入手する。識別情報取得部2は、接続装置の情報を正常に入手できた場合、接続装置にLOGOを送信する。PLOGIが正常終了しない場合、識別情報取得部2はその装置の情報採取を中止する。尚、図8(B)にタイムアウト、または、リジェクトによる応答があった場合のシーケンス図を示し、図10(A)に、サーバ装置から送信されるPLOGI要求フレームのフォーマット、図10(B)に要求フレームに対するPLOGI応答フレームのフォーマットを示す。また、図11に獲得された固有識別子情報リストの一例を示す。
【0054】
(1−5)識別情報判定部3は、獲得された固有識別子情報リスト(最大126台分)の中にカード固有識別子(new)があるかを検索することで、カード固有識別子(new)がシステム内で使用されていないかを確認する。システム内ですでに使用されている場合には、ユーザにメッセージが通知され、識別子設定部4はカード固有識別子(new)の情報を無効にするためクリアする。この場合、カード固有識別子(original)がインタフェース識別のための固有情報として使用される(手順終了)。システム上でカード固有識別子(new)が使用されていない場合には、(1−6)に進む。本処理を実行中にリンクダウンが発生した場合、処理は(1−4)に戻る。
【0055】
(1−6)同一システム内で、カード固有識別子(new)を使用しているインタフェースが存在しないことが確認されたため、識別子設定部4が設定処理を行ったあとに、カード固有識別子(new)を使用した通信が可能となる。初期導入時などでサーバの固有識別子αと搭載位置情報βが設定されていなければ、ここで設定がなされる。
【0056】
(実施例2)
FCカードがスイッチ接続されている場合のWWNの引継ぎ方法を実施例2として説明する。
【0057】
図12に、実施例2のシステム構成を示す。実施例2のシステムは、FCカードをそれぞれ有する4台のサーバ装置211、212、213、214、および2台のストレージ装置511、512がスイッチ610を介してそれぞれ接続されている構成であるとする。尚、サーバ装置211、212、213、214は、上述の配置変更判定部1、識別情報取得部2、識別情報判定部3、識別子設定部4、カード情報保持部10をそれぞれ備えている。
【0058】
実施例2も、実施例1と同様FCカードの固有識別子を誤ってシステム上に存在する他のFCカードと同じものに設定してしまったときの例であり、例えばサーバ装置211のFCカードにサーバ装置214に搭載されたFCカードと同じ識別子を設定してしまったケースである。以下、実施例2におけるサーバ装置の動作について説明する。
【0059】
(2−1)配置変更判定部1が、初期化時にカード上のNVRAM、または、カード情報保持部10などに記録されているカード情報のなかで、カード固有識別子(new)が設定されているかを調べる。実施例2のカード情報を図13に示す。尚、カード固有識別子(original)にはWWNが使用され、カード固有識別子(new)にはWWNに準拠した書式の識別子が使用される。またサーバの固有識別子αはサーバのMACアドレスが使用され、カード搭載位置情報βは、物理デバイス名が使用される。サーバの固有識別子α、カード搭載位置情報βは、カード新規搭載時は未設定である。
【0060】
(2−2)カードの固有識別子(new)が設定されている場合、配置変更判定部1はサーバの固有識別子αおよび搭載位置情報βを調べ、現状のサーバの情報と比較する。実施例2では新規設定とするため、ここでの比較は行われない。
【0061】
(2−3)伝送路がリンクアップした場合、または、リンクアップ状態で構成変更通知を受信した場合、次の処理に進む。
【0062】
(2−4)識別情報取得部2がカード固有識別子(original)を使用して、システム内に接続された装置の固有識別子のリスト(固有識別子情報リスト)を取得する。ファイバチャネルスイッチ接続の環境では、識別情報取得部2は接続装置の情報を管理しているスイッチ610に対して問い合わせを行う。正常に応答があった場合に、識別情報取得部2は接続装置が使用している識別情報を得る。尚、本処理を実行中に伝送路がリンクダウンした場合、または、リンクアップ状態で構成変更通知を受信した場合には、処理は(2−4)の最初に戻る。
【0063】
図14に、固有識別子のリストを取得するまでのシーケンスを示す。実施例2では、固有識別子のリストを取得する際、以下の処理が行われる。
・スイッチ610にログインする(FLOGI)
・スイッチ内610に存在するネームサーバにログインする(PLOGI)。
・ネームサーバに接続装置の問い合わせを行う(GPN_PT)。
【0064】
尚、FLOGI、GPN_PTに対し、スイッチ610がタイムアウト、リジェクトした場合にはリトライとなる。正常に応答があった場合には、接続装置の固有識別子情報が取得される。
【0065】
図15から図17に、実施例2の要求/応答フレームのフォーマットを示し、図18に、取得された固有識別子情報リストの一覧の例を示す。図15(A)は、サーバ装置211から送信されるFLOGI要求フレームのフォーマットであり、図15(B)はサーバ装置210が受信するFLOGI応答フレームのフォーマットである。また、図16(A)は、サーバ装置211から送信されるPLOGI要求フレームのフォーマットであり、図16(B)は、サーバ装置211で受信されるPLOGI応答フレームのフォーマットである。図17(A)は、サーバ装置211から送信されるGPN_PT要求フレームのフォーマットであり、図17(B)は、サーバ装置211で受信されるGPN_PT応答フレームのフォーマットである。
【0066】
尚、カード固有識別子(new)を持つカードでしかアクセスできないような制限がかかっている場合、以下の処理となる。スイッチ610でゾーン設定などアクセス制限をかけていなければ、以下の処理は行う必要はない。
(2−4−1)識別情報取得部2は、一旦スイッチ610との接続を切るため、リンクダウンを発生させる。
(2−4−2)識別情報取得部2は、カードの固有識別子情報(original)から固有識別子情報(new)に変更して、FLOGIの要求フレームを送信する。
(2−4−3)識別情報取得部2は、スイッチ610内に存在しているネームサーバにログインする(PLOGI)。
(2−4−4)識別情報取得部2は、GPN_FTを送信し、接続装置の情報を入手する。
【0067】
(2−4−1)から(2−4−4)の手順でエラー終了した場合、カード固有識別子(new)を使用している装置がネットワーク上に存在する可能性があると判断することができる。よってこの場合、識別情報取得部2は、ユーザにメッセージを通知し、識別子設定部4はカード固有識別子(new)の情報をクリアして、次回の起動時にチェックしないようにする(手順終了)。
【0068】
(2−5)識別情報判定部3は、獲得された固有識別子情報リストの中をカード固有識別子(new)で検索することで、カード固有識別子(new)が使用されていないかを確認する。既にカード固有識別子(new)が使用されている場合、ユーザにメッセージが通知され、識別子設定部4はカード固有識別子(new)の情報をクリアして、次回の起動時にチェックしないようにする。この場合、カード固有識別子(original)がインタフェース識別のための固有情報として使用される(手順終了)。カード固有識別子(new)が使用されていない場合には、次の処理に進む。
【0069】
(2−6)同一システム内で、固有識別子(new)を使用しているインタフェースが存在しないことが確認されたので、識別子設定部4による設定の後、固有識別子(new)を使用して通信が可能となる。尚、サーバの固有識別子αと搭載位置情報βが設定されていなければ(初期状態)、ここで設定される。
【0070】
尚、保持部は、本実施の形態のカード情報保持部10およびNVRAM230のいずれに対応していてもよい。
【0071】
なお、本発明は以下に示すようなコンピュータシステムにおいて適用可能である。図19は、本発明が適用されるコンピュータシステムの一例を示す図である。この図に示すコンピュータシステム900は、CPUやディスクドライブ等を内蔵した本体部901、本体部901からの指示により画像を表示するディスプレイ902、コンピュータシステム900に種々の情報を入力するためのキーボード903、ディスプレイ902の表示画面902a上の任意の位置を指定するマウス904及び外部のデータベース等にアクセスして他のコンピュータシステムに記憶されているプログラム等をダウンロードする通信装置905を有する。通信装置905は、ネットワーク通信カード、モデムなどが考えられる。
【0072】
上述したような、情報処理装置を構成するコンピュータシステムにおいて上述した各ステップを実行させるプログラムを、識別情報設定プログラムとして提供することができる。このプログラムは、コンピュータシステムにより読み取り可能な記録媒体に記憶させることによって、情報処理装置を構成するコンピュータシステムに実行させることが可能となる。上述した各ステップを実行するプログラムは、ディスク910等の可搬型記録媒体に格納されるか、通信装置905により他のコンピュータシステムの記録媒体906からダウンロードされる。また、コンピュータシステム900に少なくとも識別情報設定機能を持たせる識別情報設定プログラムは、コンピュータシステム900に入力されてコンパイルされる。このプログラムは、コンピュータシステム900を、識別情報設定機能を有する情報処理システムとして動作させる。また、このプログラムは、例えばディスク910等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されていても良い。ここで、コンピュータシステム900により読み取り可能な記録媒体としては、ROMやRAM等のコンピュータに内部実装される内部記憶装置、ディスク910やフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体や、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータシステム並びにそのデータベースや、通信装置905のような通信手段を介して接続されるコンピュータシステムでアクセス可能な各種記録媒体を含む。
【符号の説明】
【0073】
1 配置変更判定部、2 識別情報取得部、3 識別情報判定部、4 識別子設定部、10 カード情報保持部、100 サーバ装置、200 オプションカード、230 NVRAM、300 通信制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを識別するための情報である識別情報を使用してシステム内で通信を行う情報処理装置であって、
予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスと、
ユーザが設定可能な情報である第2識別子を少なくとも保持する保持部と、
前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたか否かを判定する配置変更判定部と、
前記配置変更判定部によって前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部によって取得された識別情報と前記保持部によって保持された第2識別子とに基づき、前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定する識別情報判定部と、
前記識別情報判定部によって前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する第2識別子設定部と、
前記配置変更判定部によって前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する第1識別子設定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記保持部は、さらに、前記情報処理装置の識別情報と、前記情報処理装置内での前記第1デバイスの搭載位置に関する情報である搭載位置情報とを保持し、
前記配置変更判定部は、前記情報処理装置の固有情報と前記搭載位置情報とに基づき前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたか否かを判定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記識別情報取得部は、前記第2デバイスの識別情報を取得している最中に前記第1デバイスと前記第2デバイスとの間の伝送路がリンクダウンした場合、前記識別情報の取得を再度行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスが、システム内で配置変更されたか否かを判定し、
前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得し、
ユーザが設定可能な情報である第2識別子が少なくとも保持された保持部から、該第2識別子を取得し、前記第2デバイスの識別情報と前記第2識別子とに基づき前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定し、
前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定し、
さらに、前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する処理を、コンピュータに実行させる識別情報設定プログラム。
【請求項5】
予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスが、システム内で配置変更されたか否かを判定し、
前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得し、
ユーザが設定可能な情報である第2識別子が少なくとも保持された保持部から、該第2識別子を取得し、前記第2デバイスの識別情報と前記第2識別子とに基づき前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定し、
前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定し、
さらに、前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する処理をコンピュータが実行する識別情報設定方法。
【請求項1】
デバイスを識別するための情報である識別情報を使用してシステム内で通信を行う情報処理装置であって、
予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスと、
ユーザが設定可能な情報である第2識別子を少なくとも保持する保持部と、
前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたか否かを判定する配置変更判定部と、
前記配置変更判定部によって前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部によって取得された識別情報と前記保持部によって保持された第2識別子とに基づき、前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定する識別情報判定部と、
前記識別情報判定部によって前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する第2識別子設定部と、
前記配置変更判定部によって前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する第1識別子設定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記保持部は、さらに、前記情報処理装置の識別情報と、前記情報処理装置内での前記第1デバイスの搭載位置に関する情報である搭載位置情報とを保持し、
前記配置変更判定部は、前記情報処理装置の固有情報と前記搭載位置情報とに基づき前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたか否かを判定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記識別情報取得部は、前記第2デバイスの識別情報を取得している最中に前記第1デバイスと前記第2デバイスとの間の伝送路がリンクダウンした場合、前記識別情報の取得を再度行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスが、システム内で配置変更されたか否かを判定し、
前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得し、
ユーザが設定可能な情報である第2識別子が少なくとも保持された保持部から、該第2識別子を取得し、前記第2デバイスの識別情報と前記第2識別子とに基づき前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定し、
前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定し、
さらに、前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する処理を、コンピュータに実行させる識別情報設定プログラム。
【請求項5】
予め設定された情報である第1識別子が少なくとも保持されたデバイスである第1デバイスが、システム内で配置変更されたか否かを判定し、
前記第1デバイスが配置変更されていないと判定された場合、前記システム内で接続されているデバイスであって前記第1デバイスとは異なる1つまたは複数のデバイスである第2デバイスの識別情報を取得し、
ユーザが設定可能な情報である第2識別子が少なくとも保持された保持部から、該第2識別子を取得し、前記第2デバイスの識別情報と前記第2識別子とに基づき前記第2識別子が識別情報として前記システム内で使用されていないかを判定し、
前記第2識別子が使用されていないと判定された場合、前記第2識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定し、
さらに、前記第1デバイスが前記システム内で配置変更されたと判定された場合、前記第1識別子を前記第1デバイスの識別情報として設定する処理をコンピュータが実行する識別情報設定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−205217(P2010−205217A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52974(P2009−52974)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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