説明

情報処理装置、電子メールの返信文抽出方法、及びそのプログラム

【課題】受信したメール本文に対する最適な検索範囲を設定し、返信文候補の抽出精度を上げることで、メール機能の利便性を高める。
【解決手段】電子メール作成機能を備えた情報処理装置であって、受信したメール本文を分割機能部(8)で複数の部分文字列に分割する。1又は連続する複数の部分文字列の全てに対して、記憶部(12)を参照し、一致し又は最も類似する受信文候補を受信文として選択する。記憶部は、1又は連続する複数の部分文字列に対応する受信文候補と、受信文候補に関連付けた返信文情報を記憶する。そして、分割した全ての部分文字列が連続し、且つ、前記メール本文に対して最も類似する受信文の組み合わせを検索範囲に設定し、この検索範囲に基づいて、記憶部に記憶した受信文に対応する返信文情報を抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールの送受信を行う情報処理装置に関し、返信文の作成に際し、受信した電子メールの内容に応じて、データベース等に記憶された返信文の候補を抽出し、表示する情報処理装置、電子メールの返信文抽出方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等に搭載された電子メール機能を利用したコミュニケーションは必須のものとなっており、受信したメールに対してすぐに返信するべきと考える利用者は多い。また、メールを送信する利用者側でも、受信者側からの迅速な返信を期待することが多い。
【0003】
受信したメールに対する応答を迅速化するには、メールの作成を簡易に行えるようにすることが考えられ、例えば、受信メールの内容に応じて返信メールの文書を自動的に用意し、利用者が文書を入力する手間を減らすものがある。
【0004】
このような返信メールを自動的に作成し、送信するものとして、予めキーワードと返信メッセージを登録しておき、受信したメールにキーワードが含まれている場合に、登録されたメッセージを返信したり、登録された転送先に転送するものがある(例えば、特許文献1)。また、過去の受信メールとその返信メールとを関連させて蓄積しておき、新たにメールを着信した場合、類似した過去のメールの文書を検索キーとして検索する。類似度が高いと判断されれば、検索したメールの全部又は一部を自動返信したり、回答者に提示し、又は検索されたメールの類似度に応じて、回答者がコメントを追加したりするものがある(例えば、特許文献2)。
【0005】
ユーザ名や問い合わせのキーワードを含むメールを受信すると、ユーザ分類テーブルを参照してユーザの特定やキーワードを元に問い合わせ内容を分類し、分類結果に基づいて関連する事例を一括して検索して、回答を自動的に返信するものがある(例えば、特許文献3)。また、製品カタログやWWW等による情報提供内容に関し、受信した質問内容を自動的に解読し、蓄積された回答の中から該当する回答を自動的に返信し、蓄積された回答の中に適した回答がない場合には、回答者に通知して新回答を蓄積させるものがある(例えば、特許文献4)。
【0006】
問い合わせに対する回答情報を蓄積し、問い合わせ内容の解析結果に基づいてキーワードを検索して回答情報を検索する。そして、回答情報の回答精度を測定し、所定値を超える場合は自動的に回答を作成し、所定値以下の場合は回答が正しいか否かの判断の入力を促すものがある(例えば、特許文献5)。また、受信メールに対する構文解析結果から特徴情報を抽出し、この特徴情報を抽出ルールに対照して、返信テンプレートを用いて返信メールを生成する。また、特徴情報に対して文例が複数ある場合に、いずれを選択するかの入力の受け付け機能も有し、疑問文である旨の特徴情報に対しては、その疑問文に対する肯定文と否定文とを生成する返信テンプレートを利用するものがある(例えば、特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−241241号公報
【特許文献2】特開平11−275137号公報
【特許文献3】特開2000−20541号公報
【特許文献4】特開2000−57066号公報
【特許文献5】特開2002−132661号公報
【特許文献6】特開2002−49564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、携帯電話機等では、筐体の小型化等により、例えば、一つの操作ボタンに複数の文字が割当てられ又は操作ボタンの小型化により押し辛い等、文字の入力操作に労力が掛り、応答メール文の作成を迅速に行うのは困難である。
【0009】
また、受信したメール本文に対して、予め記憶した返信文等を提示する場合、例えば、メール本文の文体が口語体等で作成された場合は、返信文候補との参照の仕方により、適切な応答候補が挙げられない場合もある。例えば、メール本文に対し、部分的に単語等が一致していても、文書全体の内容では、異なった意味に捉えられる等の事態が生じる恐れがある。
【0010】
斯かる要求や課題について、特許文献1〜6にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0011】
そこで、本開示の情報処理装置、電子メールの返信文抽出方法、又はそのプログラムの目的は、受信したメール本文に対して、検索範囲設定処理の最適化により、記憶されている返信文候補の抽出精度を上げることを目的とする。
【0012】
また、本開示の情報処理装置、電子メール返信文抽出方法、又はそのプログラムの他の目的は、受信したメール本文に対して適切な返信文候補を提示することで、メール機能の利便性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本開示の情報処理装置は、分割機能部と、記憶部と、受信文選択部と、検索範囲設定部と、返信文抽出部とを備える。分割機能部は、受信したメール本文を複数の部分文字列に分割する。記憶部は、1又は連続する複数の前記部分文字列に対応する受信文候補と、該受信文候補に関連付けた返信文情報を記憶する。受信文選択部は、1又は連続する複数の前記部分文字列の全てに対して、それぞれ一致し又は最も類似する前記受信文候補を受信文として選択する。検索範囲設定部は、分割した全ての前記部分文字列が連続し、且つ、前記メール本文に対して最も類似する前記受信文の組み合わせを検索範囲に設定する。返信文抽出部は、前記検索範囲に基づいて、前記記憶部に記憶した前記受信文に対応する返信文情報を抽出する。斯かる構成により、上記目的が達成される。
【0014】
上記目的を達成するため、本開示の電子メールの返信文抽出方法は、情報処理装置の電子メールの返信文抽出方法であって、分割処理と、記憶処理と、受信文選択処理と、検索範囲設定処理と、返信文情報抽出処理とを含む。分割処理は、受信したメール本文を複数の部分文字列に分割する。記憶処理は、1又は連続する複数の前記部分文字列に対応する受信文候補と、該受信文候補に関連付けた返信文情報を記憶部に記憶する。受信文選択処理は、1又は連続する複数の前記部分文字列の全てに対して、それぞれ一致し又は最も類似する前記受信文候補を受信文として選択する。検索範囲設定処理は、分割した全ての前記部分文字列が連続し、且つ、前記メール本文に対して最も類似する前記受信文の組み合わせを検索範囲に設定する。返信文情報抽出処理は、前記検索範囲に基づいて、前記記憶部に記憶した前記受信文に対応する返信文情報を抽出する。斯かる構成により、上記目的が達成される。
【0015】
上記目的を達成するため、本開示の電子メールの返信文抽出プログラムは、コンピュータに実行させる電子メールの返信文抽出プログラムであって、コンピュータに、分割機能と、記憶機能と、受信文選択機能と、検索範囲設定機能と、返信文情報抽出機能を実行させる。分割機能は、受信したメール本文を複数の部分文字列に分割する。記憶機能は、1又は連続する複数の前記部分文字列に対応する受信文候補と、該受信文候補に関連付けた返信文情報を記憶部に記憶させる。受信文選択機能は、1又は連続する複数の前記部分文字列の全てに対して、それぞれ一致し又は最も類似する前記受信文候補を受信文として選択させる。検索範囲設定機能は、分割した全ての前記部分文字列が連続し、且つ、前記メール本文に対して最も類似する前記受信文の組み合わせを検索範囲に設定する。返信文情報抽出機能は、前記検索範囲に基づいて、前記記憶部に記憶した前記受信文に対応する返信文情報を抽出する。斯かる構成により、上記目的が達成される。
【発明の効果】
【0016】
本開示の情報処理装置、電子メールの返信文抽出方法、又はそのプログラムによれば、以下に示すいずれかの効果が得られる。
【0017】
(1) メール本文と、記憶された受信文候補とが最も近い内容になるように、検索範囲を設定することで、適切な返信文候補を抽出でき、メール本文の内容に沿った応答メールを作成することができる。
【0018】
(2) メール本文の内容に沿った適切な返信文候補が抽出されることで、利用者は、選択操作のみで応答メールを作成でき、文字入力操作の労力を軽減し、且つ迅速な応答メールの作成を行うことができる。
【0019】
(3) メール本文に記載された文面に沿って、その内容に対する返信文候補を抽出して表示させるので、メールの送信者の記載内容に対して漏れなく応答することができる。
【0020】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態に係る情報処理装置の機能構成例を示す図である。
【図2】受信メールに対して最も類似する受信文候補の組み合わせの抽出原理の一例を示す図である。
【図3】設定した検索範囲に基づいて返信文候補を抽出する原理の一例を示す図である。
【図4】返信メール作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態に係る情報処理装置の機能構成例を示す図である。
【図6】携帯電話機の外観構成例を示す図である。
【図7】携帯電話機のハードウェア構成例を示す図である。
【図8】受信メールの分割処理の一例を示す図である。
【図9】受信文候補の抽出処理の一例を示す図である。
【図10】受信文・返信文データベースの一例を示す図である。
【図11】受信文抽出処理の具体例を示す図である。
【図12】類似度算出による部分文字列連続の組み合わせ抽出原理の一例を示す図である。
【図13】部分文字列連続の類似度累計の算出原理の一例を示す図である。
【図14】部分文字列連続の類似度累計を利用した先行部分文字列の抽出原理の一例を示す図である。
【図15】部分文字列連続の類似度累計を利用した先行部分文字列の抽出原理の一例を示す図である。
【図16】部分文字列連続の類似度累計を利用した先行部分文字列の抽出原理の一例を示す図である。
【図17】部分文字列連続の組み合わせの決定処理の一例を示す図である。
【図18】返信文候補の抽出処理の一例を示す図である。
【図19】返信文が選択された状態の一例を示す図である。
【図20】受信メールの表示状態の一例を示す図である。
【図21】分割した受信メール及び抽出した返信文候補の表示状態の一例を示す図である。
【図22】返信メールの作成画面の表示例を示す図である。
【図23】返信メール作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図24】データベース検索処理の一例を示すフローチャートである。
【図25】部分文字列連続の組み合わせ決定処理の一例を示すフローチャートである。
【図26】部分文字列連続の組み合わせ決定処理の一例を示すフローチャートである。
【図27】第3の実施の形態に係る返信メール作成機能構成例を示す図である。
【図28】受信文・返信文データベースの構成例を示す図である。
【図29】返信メール作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図30】第4の実施の形態に係る返信メール作成機能構成例を示す図である。
【図31】作成された返信メールの表示例を示す図である。
【図32】返信メール作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図33】第5の実施の形態に係る返信メール作成機能構成例を示す図である。
【図34】受信文・返信文データベースの構成例を示す図である。
【図35】特定情報の抽出及び置換処理の一例を示す図である。
【図36】返信メール作成処理例を示すフローチャートである。
【図37】返信メール作成処理例を示すフローチャートである。
【図38】第6の実施の形態に係る返信メール作成機能構成例を示す図である。
【図39】表現置換文字列テーブルの構成例を示す図である。
【図40】表現置換処理及びデータベース検索処理の一例を示す図である。
【図41】返信メール作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図42】第7の実施の形態に係る返信メール作成機能構成例を示す図である。
【図43】受信文・返信文データベースの構成例を示す図である。
【図44】返信メール作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図45】他の実施の形態に係るPDAの外観構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1の実施の形態〕
【0023】
第1の実施の形態について、図1、図2及び図3を参照する。図1は、第1の実施の形態に係るメール作成機能構成例を示す図、図2は、受信メールに対して最も類似する受信文候補の組み合わせの抽出原理の一例を示す図、図3は、設定した検索範囲に基づいて返信文候補を抽出する原理の一例を示す図である。図1〜図3に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0024】
情報処理装置2は、本開示の情報処理装置の一例であって、受信した電子メールに対する返信メールの作成において、その電子メール本文の記載内容に対応した返信文の候補を提供するメール作成装置4が構成されている。このメール作成装置4では、受信メール6の記載内容に対し、データベースに記憶された複数の受信文候補から、一致した又は最も類似した受信文を抽出する。そして、抽出した受信文に対して関連付けされた返信文候補の提示を行う。受信メール6の全体の内容に対応した受信文の抽出を行うため、このメール作成装置4では、受信文候補の抽出を行うための最適な検索範囲の設定を行う。
【0025】
そこで、このメール本文に対する検索範囲の設定、最適な受信文候補の抽出及び返信文候補の抽出等の機能を備えるメール作成装置4は、受信メール6を分割機能部8で部分文字列に分割する。そして、受信文選択部10は、1又は連続する複数の部分文字列に対し、記憶部12にある受信文候補から一致し又は類似する受信文を選択する。検索範囲設定部14では、メール本文全体に対して、一致し又は類似する、1又は連続する複数の部分文字列の組み合わせを検索範囲に設定し、返信文抽出部16において、返信文候補の抽出を行う。
【0026】
分割機能部8は、受信メール6を取り込み、メール本文について所定の単位毎に構成した部分文字列に分割する手段の一例である。メール本文は、例えば、メール本文中に含まれる句読点や絵文字、顔文字等を基準にしてもよく、又は、単語毎、文節毎等、所定の文字数や長さを単位として部分文字列に分割する。このメール分割処理は、例えば、図2のAに示すように、所定の長さの文字列で構成されたメール本文に対し、所定の単位を基準に、図2のBに示すように、例えば、部分文字列S0〜S3に分割する。ここで、図2のAに示すメール本文は、例えば、所定の長さを持つ一段落の場合を示しているが、これに限られない。例えば、メールの内容等に基づいて短文毎に段落を下げた複数の段落からなるメールでも同様に分割処理を行えばよく、又は、段落毎に部分文字列を設定してもよい
【0027】
受信文選択部10は、1又は連続する複数の部分文字列について、記憶部12に記憶した受信文候補から最も類似する受信文を選択し、抽出する検索機能の一例である。この受信文選択部10は、図2のCに示すように、分割された部分文字列S0〜S3について、単独又は連続する複数の部分文字列で構成された様々な長さの部分文字列連続を検索範囲に設定して、データベースから最も類似する受信文を検索する。そして、この検索の結果、それぞれの検索範囲における受信文について、例えば、記憶部12に記憶させておく。この場合、例えば、それぞれの検索において類似か否かを判断した算出値や類似情報等も併せて記憶させてもよい。
【0028】
記憶部12は、受信文とそれに対応付けられた1個以上の返信文情報とが記憶された記憶手段の一例であって、例えば、データベースで構成されている。この記憶部12には、1又は連続する複数の部分文字列に対応して様々な内容の受信文候補が記憶されている。この記憶部12に記憶される受信文候補は、1又は連続する複数の部分文字列の内容に対して、一つの返信文が期待される文字列であり、1文で構成される場合に限られず、複数の文から構成されていてもよい。また、文節等の1フレーズで構成されてもよい。
【0029】
検索範囲設定部14は、分割した全ての部分文字列が連続し、且つ、メール本文の内容に対して最も類似する受信文の組み合わせを検索範囲として設定する手段の一例である。この検索範囲の設定では、例えば、図2のCに示すように、様々な長さの部分文字列連続に対する検索結果に基づき、メール本文全体に対して類似する部分文字列の組み合わせを決定する。部分文字列の組み合わせ決定処理では、各部分文字列連続の類似度を参照するとともに、メール本文に対して、分割した部分文字列が連続している組み合わせを選択する。図3のDに示すように、選択された組み合わせについて、部分文字列S0〜S3が連続するように部分文字列連続を決定する。そして、設定した検索範囲に基づいて、部分文字列連続毎に最も類似する受信文を抽出し、本メールの検索結果として設定する。
【0030】
返信文抽出部16は、設定した検索範囲に基づいて、記憶部12に記憶した受信文に対応する返信文情報を抽出する手段の一例であり、図3のEに示すように、抽出された返信文候補をユーザに提示する。複数の返信文候補がある場合には、その一覧を提示して、その中から1文を選択するように促す。提示する返信文候補は、記憶部12に記憶された順序で提示すればよい。また、例えば、使用頻度やメール本文の送信者等に応じて、提示順序や提示数を変更させてもよい。
【0031】
次に、返信メール作成処理について、図4を参照する。図4は、返信メール作成処理の一例を示すフローチャートである。図4に示す処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。
【0032】
この返信メール作成処理は、本開示の電子メールの返信文抽出方法、及びそのプログラムの一例であって、受信メールに対して、最適な内容の返信文を抽出する検索範囲を設定する処理を含む。
【0033】
そこで、返信メール作成処理では、受信メール6を所定の単位毎の部分文字列に分割する(ステップS11)。そして、分割した部分文字列について、1又は連続する複数を組み合わせた部分文字列連続毎に記憶部12の受信文候補を検索し、それぞれ最も類似する受信文を選択する(ステップS12)。
【0034】
様々な長さの部分文字列連続に対して選択した受信文について、メール本文全体に対して類似する部分文字列連続の組み合わせを決定し、この組み合わせを記憶部12に対する検索範囲として設定する(ステップS13)。設定した検索範囲に基づいて記憶部12から返信文候補を抽出して表示させる(ステップS14)。
【0035】
斯かる構成によれば、メール本文と、記憶された受信文候補とが最も近い内容になるように検索範囲を設定することで、適切な返信文候補を抽出でき、メール本文の内容に沿った応答メールを作成することができる。また、メール本文の内容に沿った適切な返信文候補が抽出されることで、利用者は、選択操作のみで応答メールを作成できるので、文字入力操作の労力を軽減でき、且つ迅速な応答メールの作成を行うことができる。また、メール本文に記載された文面に沿って、その内容に対する返信文候補を抽出して表示させるので、メールの送信者の記載内容に対して漏れなく応答することができる。
【0036】
〔第2の実施の形態〕
【0037】
次に、第2の実施の形態について、図5を参照する。図5は、第2の実施の形態に係る情報処理装置の機能構成例を示す図である。図5に示す構成は一例であって、これに限定されない。また、図5において、図1と同等な構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
この情報処理装置2は、本開示の情報処理装置の一例であって、既述のメール作成装置4を備えており、記憶部に記憶された受信文候補に対する最適な検索範囲を設定し、この検索範囲に基づいて抽出した返信文候補を利用者に提示する。そして、全ての検索範囲に対して、提示した返信文候補の中から特定の返信文が選択されることで、受信メール6に対する返信メールを自動的に作成することができる。
【0039】
そこで、このメール作成装置4は、例えばメール分割部20、検索部22、受信文・返信文データベース24、返信文結合部26とともに、既述の返信文抽出部16等により、検索範囲設定機能や返信文の抽出機能等を実現することができる。また、情報処理装置2は、このメール作成装置4とともに、返信文候補表示部28や選択入力部30等が構成されている。
【0040】
メール分割部20は、メール本文を所定の単位毎の部分文字列に分割する手段の一例であって、既述の分割機能部8を構成する。受信メール6に含まれる文字列に対し、例えば、句読点毎や単語毎、文節毎等に基づいて、分割処理を行う。
【0041】
検索部22は、分割された部分文字列に対して、単独の場合から複数の部分文字列の連続まで、様々な長さで、データベースから類似する受信文を検索する手段の一例である。また、この検索部22は、例えば、既述の受信文選択部10及び検索範囲設定部14を構成しており、受信文・返信文データベース24に対する最適な検索範囲を設定する。受信文選択部10は、例えば、受信メール6を分割した部分文字列と、受信文・返信文データベース24にある受信文候補に含まれる文字列との類似度を算出する類似度算出部23を備えている。
【0042】
受信文・返信文データベース24は、分割した1又は連続する複数の部分文字列に対して検索される受信文候補やその受信文候補に関連付けられた返信文候補が格納されており、既述の記憶部12を構成する。
【0043】
返信文結合部26は、提示された返信文候補に対し、利用者が選択した返信文を連結して返信メールを作成する手段の一例である。
【0044】
また、返信文候補表示部28は、例えば、情報処理装置2の表示画面等に抽出された返信文候補の一覧を提示して、利用者に選択を促す手段の一例である。この返信文候補の提示は、表示画面を利用する場合に限られず、例えば、音声による提示等を行ってもよい。
【0045】
選択入力部30は、提示された返信文候補の一覧に対し、利用者が選択した返信文候補の決定入力操作を行う手段の一例であって、例えば、情報処理装置2のカーソルキーや決定キー、又は操作部と表示部とを一体的に構成したタッチパネル表示手段で構成してもよい。そして、選択操作を行った結果に基づいて、返信文結合部26において返信メール31が作成される。
【0046】
次に、情報処理装置の構成例について、図6及び図7を参照する。図6は、携帯電話機の外観構成例を示す図、図7は、携帯電話機のハードウェア構成例を示す図である。図6、図7に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0047】
この携帯電話機40は、本開示の情報処理装置の一例であって、既述の電子メール送受信機能や返信メール作成機能等を備える電子メール装置を構成する。この携帯電話機40は、例えば、操作側筐体部42と表示側筐体部44とをヒンジ部46によって開閉可能に連結している。
【0048】
操作側筐体部42には、例えば、操作入力部48が構成され、カーソルキーや決定キー、文字や数字等が割当てられたキーボードを備えており、既述の選択入力部30として機能すればよい。
【0049】
表示側筐体部44は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成した表示部50を備えており、受信メールの表示機能や既述の返信文候補表示部28として機能すればよい。
【0050】
なお、本開示の情報処理装置の一例として、携帯電話機40を示したが、図6に示す構成に限られず、例えば、操作側筐体部42と表示側筐体部44とが一体で構成されるものや、上下に積層しスライド動作可能に構成するものでもよい。また、操作側筐体部42と表示側筐体部44とが分離する構成でもよい。
【0051】
また、この携帯電話機40のハードウェア構成は、図7に示すように、例えば、プロセッサ52、無線通信部54、RAM(Random Access Memory)56、記憶部58、表示制御部66、音声入出力部68とともに、操作入力部48等で構成すればよい。
【0052】
プロセッサ52は、記憶部58に記憶されているOS(Operating System)やメール作成プログラム等の制御プログラムの演算処理を行う手段の一例であって、情報処理装置である携帯電話機40の制御部の一部として機能する。このプロセッサ52は、例えば、CPU(Central Processing Unit) で構成すればよい。そして、メール作成プログラム等の演算実行により、既述のように、メール分割処理や類似する受信文の抽出処理、適切な検索範囲の設定処理、返信文候補の抽出処理等を実行可能にする。
【0053】
無線通信部54は、電子メール機能の他、音声通話通信や、Web(World Wide Web)ページ等のデータ通信を行う通信手段であって、アンテナ55を備えて基地局との無線通信を行う。即ち、この無線通信部54を備えることにより、携帯電話機40は、電話機能や通信機能を実行可能にする。
【0054】
RAM56は、記憶部58に記憶したメール作成プログラム等を実行させるためのワークエリアを構成しており、プロセッサ52により制御プログラムの演算処理を行うことで、既述のメール分割部20、検索部22、返信文抽出部16、返信文結合部26等として機能する。
【0055】
記憶部58は、携帯電話機40の記憶手段又は記録手段の一例であって、例えば、制御プログラムを記憶するためのプログラム記憶部60や、取得したデータやデータベースを格納するデータ記憶部62で構成されている。
【0056】
プログラム記憶部60は、携帯電話機40のOSやメール作成プログラム等の制御プログラムを記憶する手段の一例であって、例えば、ROM(Read Only Memory )で構成すればよい。
【0057】
データ記憶部62は、例えば、受信文・返信文データベース24を格納している。その他、例えば、1又は連続する複数の部分文字列毎について、受信文・返信文データベース24から抽出した受信文候補情報やその類似度情報等、また、ユーザによって選択された返信文情報等を記憶しておく抽出情報バッファ64等を備えている。このデータ記憶部62は、例えば、ROMやフラッシュメモリ等で構成すればよい。
【0058】
なお、このプログラム記憶部60やデータ記録部62は、例えば、電気的に内容を書き換えることができるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )等で構成されてもよい。
【0059】
また、上記のメール作成プログラムは、プログラム記憶部60やデータ記憶部62等に記憶されたものに限られない。例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク光磁気ディスク等のコンピュータで読出し可能な記録媒体に記憶されているものを利用してもよい。さらに、ネットワーク上にあるサーバやデータベース等からプログラム等を読み込んで利用してもよい。
【0060】
操作入力部48は、携帯電話機40に対する入力操作を検出し、その検出結果をプロセッサ52に通知して文字入力等を行う手段の一例であって、既述の選択入力部30を構成する。この操作入力部48は、例えば、キーボードや操作ボタン等で構成すればよい。
【0061】
表示制御部66は、LCD等で構成された表示部50に受信メールや返信文候補の一覧、選択した返信文、作成した返信メール等を表示させる手段の一例であって、例えば、既述の返信文候補表示部28を構成する。また、例えば、表示制御部66と操作入力部48とを一体で構成し、表示部50に対して接触することで操作を行う、所謂タッチパネルを利用してもよい。
【0062】
音声入出力部68は電話音声等を入力し又は出力する手段の一例であって、マイクロフォン70を通して音声信号が入力され、無線通信部54で受信した無線信号から音声信号をレシーバ72から出力する。
【0063】
次に、受信メールに対する検索範囲の設定処理について、図8、図9、図10、図11、図12、図13、図14、図15、図16及び図17を参照する。図8は、受信メールの分割処理の一例を示す図、図9は、受信文候補の抽出処理の一例を示す図、図10は、受信文・返信文データベースの一例を示す図、図11は、受信文抽出処理の具体例を示す図である。また、図12は、類似度算出による部分文字列連続の組み合わせ抽出原理の一例を示す図、図13は、部分文字列連続の類似度累計の算出原理の一例を示す図、図14、図15、図16は、部分文字列連続の類似度累計を利用した先行部分文字列の抽出原理の一例を示す図である。また、図17は、部分文字列連続の組み合わせの決定処理の一例を示す図である。図8〜図17に示す処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。
【0064】
まず、設定された検索範囲に基づいてデータベースから受信文候補及び返信文候補を抽出する処理の一例について示す。
【0065】
(a) 受信メール分割処理
【0066】
受信メール6に対する分割処理では、図8のAに示すように、例えば、複数の文で構成された受信メール6に対し、文程度の長さの部分文字列に分割する。この分割処理では、例えば、句点「。」、感嘆符「!」、疑問符「?」や、絵文字や顔文字等の配置位置を手掛かりに実行する。これらの記号や文字は、文末に表記される場合が多いものであり、例えば、受信メールを所定の意味毎に分割するのに適している。その他、文末に表記される文字、記号等を設定してもよい。
【0067】
そして、係る分割基準に基づいて分割処理を行うと、図8のBに示すように、受信メール6は、例えば、0番〜4番までの5個の部分文字列に分割される。
【0068】
なお、受信メール6の分割方法は、この基準に限定されず、メール本文の内容を正確に分割させることができるものであれば、受信メールの任意の位置や一文字ずつ分割してもよい。
【0069】
(b) 受信文候補の選択処理
【0070】
次に、設定された検索範囲に基づいて、受信文・返信文データベース24から類似する受信文を検索する。ここでは、検索を行う部分文字列連続として、例えば、部分文字列1番と2番をまとめて一つの検索範囲(部分文字列連続)に設定し、部分文字列0番、3番、4番は、単独で検索範囲とした場合を示す。
【0071】
この受信文・返信文データベース24は、図9に示すように、例えば、1文毎や文節毎、又は単語毎に設定された受信文候補を格納した受信文欄80や、各受信文に対して、対応付けられた複数種類の返信文を格納した返信文候補欄82で構成されている。そして、メール作成処理では、利用者に対して返信文候補を提示するため、検索範囲として設定された部分文字列連続毎の受信メールの内容に適合した受信文候補を選択し、抽出する。
【0072】
この受信文候補の抽出では、部分文字列連続に含まれる文字と受信文候補に含まれる文字の類似度を算出する。この類似度は、検索範囲設定部14の類似度算出部23で算出すればよい。この算出方法には様々なものがあるが、例えば、山下達雄等『翻訳支援に有効な訳例検索の類似度計算方式と検索結果提示方式』(言語処理学会第9回年次大会予稿集)に示すものを利用してもよい。この方法では、類似度の一例として、一致率の算出を行う。この一致率は、以下に示すように、
一致率=(A×2)/(B+C) ・・・(1)
となる。この式(1) において、Aは、2つの文で一致した文字数を表し、Bは、検索キーとなる文の文字数を表し、Cは、データベース中の文の文字数を表す。なお、類似度の計算方法はこれに限定されるものではない。
【0073】
この式(1) によって求められる類似度(一致率)を利用することで、図9に示すように各部分文字列連続に対して、最も類似した受信文を抽出することができる。
【0074】
ここで、部分文字列連続に含まれる文字に対する受信文・返信文データベースの検索処理の一例について示す。
【0075】
この受信文・返信文データベース24は、例えば、図10に示すように、インデックス部24Aとデータ部24Bとで構成されている。インデックス部24Aは、検索対象の見出し文字を含む見出し欄84と、この見出し文字が含まれるデータ番号を示すデータ番号欄86とで構成されている。また、データ部24Bは、既述の受信文欄80、返信文候補欄82とともに、そのデータ番号を表すデータ番号欄88が構成されている。インデックス部24Aのデータ番号欄86に提示されたデータ番号は、データ部24Bのデータ番号欄88に対応している。
【0076】
そこで、検索対象に、例えば、「映」という文字が含まれる場合、インデックス部24Aを参照すると、斯かる文字が含まれるデータは、データ部24Bのデータ番号「00501」や「00502」であることが示されている。
【0077】
検索対象の部分文字列に対し、例えば、含まれる全ての文字について受信文・返信文データベース24のインデックス部24Aを調べ、そこに記載されたデータ番号のデータを抽出して、検索対象の部分文字列との類似度を計算する。例えば、図11に示すように、検索対象の部分文字列(S1+S2)が「映画見たいのがあるんだ。明日どう?」である場合、先頭文字「映」を含むデータ番号「00501」、「00502」をインデックス部24Aから獲得し、そのデータをデータ部24Bから獲得して類似度を計算する。
【0078】
そして、例えば、データ番号「00501」の受信文候補は、類似度が32〔%〕であり、データ番号「00502」の受信文候補は、類似度が47〔%〕である。同様に、文字「画」に対しても同様に、インデックス部24Aを調べてその文字を含むデータを求める。ここで、既に類似度計算を行ったデータに関しては再度計算を行うことはせずにスキップする。このようにして、検索対象の部分文字列の全ての文字に対してインデックス部24Aを調べ、その文字を含むデータを獲得し、類似度計算を行う。
【0079】
そして、獲得した全てのデータにおいて、類似度が最大となったデータを検索結果として決定する。ここでは、データ番号「00502」の場合に、類似度が47〔%〕で検索結果として決定されている。ここで算出した類似度のデータは、例えば、抽出情報バッファ64に記憶させて、比較処理を行ってもよい。
【0080】
なお、図10に示す例では、1文字を見出しとする場合を示したが、複数文字からなる文字列を見出しとしてもよい。見出しの文字列を長くすると、一つの見出しに対するデータ数が絞られるため、検索が高速になる一方で、インデックスのサイズが大きくなるという特徴がある。
【0081】
(c) 検索範囲設定処理
【0082】
上記の受信文候補の抽出処理では、分割した部分文字列に対し、例えば、1番と2番とを組み合わせて検索範囲に設定することで、最適な受信文を抽出している。部分文字列への分割は、特定の記号を手がかりにしており、必ずしも、一つの返信文を必要とするような意味的な切れ目で分割されているとは限らない。そこで、1個以上の部分文字列を組み合わせた可変長の文字列でデータベースを検索することにより、より適切な単位で返信文を抽出することを目的としている。
【0083】
例えば、受信メール6中の「おつかれさ〜ん(^^)/」と、受信文・返信文データベース24中の「おつかれさま。」のように、1個の部分文字列に対してデータベースの1個の受信文が対応している場合もある。また、例えば、部分文字列S1の「映画見たいのがあるんだ。」と、部分文字列S2の「明日どう?」の2個の部分文字列に対して、データベース24中の「明日、映画見に行かない?」が対応している場合もある。
【0084】
そこで、この検索範囲の設定処理では、1個以上の連続する部分文字列(部分文字列連続)に対して類似度が最大になる受信文を受信文・返信文データベース24から求め、その類似度の合計が最大になるような組み合わせの設定を行う。
【0085】
受信メール6を部分文字列S0〜S3に分割した場合は、例えば、図12のAに示すように、1個以上の部分文字列からなる部分文字列連続Tnの組み合わせは、n=0〜9までの10パターンがある。このnは、受信メール6の文頭から部分文字列Sを並べた部分文字列連続Tの組み合わせパターンのカウンタを示している。
【0086】
図12のBに示すように、カウンタn=0〜9までの部分文字列連続Tnの各パターンについて、それぞれデータベース24の検索を行い、抽出した類似度最大の受信文データに対する類似度C(Tn) を算出する。この類似度が最大となる受信文データの抽出は、既述の受信文候補の抽出処理を利用して行えばよい。
【0087】
ここで、式(1) の一致率を利用した類似度の算出では、それぞれの類似度C(Tn)が最大100〔%〕となる。部分文字列連続Tnとデータベース24との検索処理では、例えば、より長い文字列で検索する方がより正確に受信文の抽出が行える。例えば、短い単語等を基準にデータベースを検索すれば類似度は高くなるが、受信メール6に含まれる内容に対して適切な受信文が抽出されるとは限らない。そこで、より多くの部分文字列Sを含む部分文字列連続Tが優先されるように、複数の部分文字列からなる部分文字列連続の場合には、例えば、含まれる部分文字列の数を乗じて重み付けをする。
【0088】
そして、全ての部分文字列連続Tnについて類似度C(Tn)を求める。
【0089】
算出した各部分文字列連続Tnに対する類似度に対し、受信メール6の全体について類似度の合計として、類似度の累積値Ctotal(Tn)が最大となる部分文字列連続Tの組み合わせを決定する。即ち、この組み合わせが、受信メール6の本文に対して最も類似する受信文の組み合わせを抽出可能な検索範囲である。また、類似度の合計が最大となる部分文字列Tの組み合わせの決定では、全ての部分文字列連続Tに対し、先行することが可能な部分文字列連続Tか否かの判断を行う。この判断では、受信メール6に対して、全ての部分文字列Sが連続しており、且つ重複して選択されないように、部分文字列連続Tが組み合わせられていることを条件としている。
【0090】
類似度の合計が最大になる部分文字列連続の組み合わせを求めるには、例えば、ビタビアルゴリズム(Viterbi algorithm )を利用した決定方法を使用してもよい。
【0091】
この類似度の累計値Ctotal(Tn)の算出では、例えば、全ての部分文字列連続について、先行することが可能な部分文字列連続に対し、その部分文字列の類似度の累計値Ctotalに自身の類似度C(n)を累積する。
【0092】
ここでは、部分文字列S0、部分文字列S1+S2、部分文字列S3の組み合わせの場合に、部分文字列連続Tの類似度の合計が最大になったという場合を示す。
【0093】
部分文字列連続T0〜T3は、図13に示すように、受信メール6の先頭の部分文字列S0を含むため、その以前の部分文字列連続がない。この場合は、先行部分文字列連続を設定せず、それぞれの部分文字列連続Tnの類似度C(Tn)×部分文字列数を類似度累積値 Ctotal(Tn) とする。つまり、T0、T1、T2、T3の類似度累積値Ctotal(T0)、 Ctotal(T1) 、 Ctotal(T2) 、Ctotal(T3)は、以下のように算出される。
Ctotal(T0) = C(T0)
Ctotal(T1) = C(T1)×2
Ctotal(T2) = C(T2)×3
Ctotal(T3) = C(T3)×4
【0094】
次に、図14に示すように、部分文字列連続T4〜T6には、先頭部分に部分文字列S1が含まれるので、末尾部分に部分文字列S0が含まれる部分文字列連続T0のみを先行させることができる。先行できる部分文字列連続であるか否かは、例えば、一方の部分文字列連続の末尾の部分文字列がSiのとき、他方の部分文字列連続の先頭の部分文字列がS(i+1)であることを判断すればよい。このiは、分割した部分文字列の分割順序を示すカウンタであって、この例では、i=0〜3の4つに分割した場合を示している。
【0095】
そして、先行する部分文字列連続が決定したら、検索対象としている部分文字列連続について類似度累計値Ctoal を算出する。この場合の類似度累計値Ctoal の算出は、先行部分文字列連続の類似度累計値+各部分文字列連続の類似度×部分文字列数となる。部分文字列連続T4、T5、T6の先行部分文字列連続はT0であり、それぞれの類似度累積値Ctotal(T4), Ctotal(T5), Ctotal(T6)は、以下のようになる。
Ctotal(T4) = Ctotal(T0) + C(T4)
Ctotal(T5) = Ctotal(T0) + C(T5) ×2
Ctotal(T6) = Ctotal(T0) + C(T6) ×3
【0096】
同様に、図15では、部分文字列連続T7、T8について、先行部分文字列連続の特定を行う。部分文字列連続T7、T8に対する先行部分文字列は、既述のように、含まれる部分文字列Sが受信メール6に対して連続となっているかで判断すればよく、部分文字列連続T1とT4が先行可能な対象となる。そして、この部分文字列連続T1とT4について、類似度累積値Ctotal(T1)と Ctotal(T4) とを比較し、大きい値の方を部分文字列連続T7、T8の先行部分文字列連続とする。この例では、例えば、Ctotal(T1) > Ctotal(T4) であり、部分文字列連続T1が先行部分文字列連続となる。ここで、類似度累積値Ctotal(T7), Ctotal(T8)は、以下のように算出される。
Ctotal(T7) = Ctotal(T1) + C(T7)
Ctotal(T8) = Ctotal(T1) + C(T8) ×2
【0097】
また、部分文字列連続T9に先行する部分文字列連続は、図16に示すように、同様に、例えば、部分文字列連続T2、T5、T7であり、それらの類似度累積値Ctotal(T2)、 Ctotal(T5) 、 Ctotal(T7) の内、最大のものを部分文字列連続T9の先行部分文字列連続とする。この例では、例えば、部分文字列連続T5が設定されている。この場合、部分文字列連続T9の類似度の累計値は、以下のようになる。
Ctotal(T9) = Ctotal(T5) + C(T9)
【0098】
なお、各部分文字列連続Tnについて算出された類似度の累計値情報は、例えば、記憶部58の抽出情報バッファ64に記憶しておき、後述の検索範囲の設定処理等に利用する。
【0099】
次に、受信メール6の全体に対して、最も類似する検索範囲を決定する。この場合、例えば、類似度の累積値(合計値)Ctotalが最大となる部分文字列連続の組み合わせを選出する。
【0100】
この部分文字列連続の組み合わせ選出では、例えば、受信メール6の文末を構成する部分文字列S3を含む部分文字列連続Tn側から選出する。そこで、メールの末尾を含む部分文字列連続T3、T6、T8、T9の内、類似度累積値Ctotal(Tn)が最大となるものを選択する。この例では、例えば、Ctotal(T9)が最大であった場合を示す。この場合、図17のAに示すように、部分文字列連続T9から先行する部分文字列連続を辿ることで、最も類似度の高い部分文字列連続の組み合わせを設定することができる。
【0101】
その結果、図17のBに示すように、部分文字列連続T0、T5、T9であって、部分文字列S0、S1+S2、S3のような組み合わせによる検索範囲を設定することができる。
【0102】
(d) 返信文候補の抽出、表示処理
【0103】
次に、設定した検索範囲に基づく返信文候補の抽出処理及び表示処理について、図18、図19、図20、図21及び図22を参照する。図18は、返信文候補の抽出処理の一例を示す図、図19は、返信文が選択された状態の一例を示す図、図20は、受信メールの表示状態の一例を示す図、図21は、分割した受信メール及び抽出した返信文候補の表示状態の一例を示す図、図22は、返信メールの作成画面の表示例を示す図である。図18〜図22に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0104】
設定された検索範囲である部分文字列連続に基づいて、データベース24から返信文候補の抽出を行う。この返信文候補の抽出では、例えば、図18に示すように、検索範囲として設定した、類似度が最大となる部分文字列連続T毎に返信文候補を提示している。ここでは、カウンタRは、設定された部分文字列連続Tのカウンタであり、また、カウンタiはこの部分文字列連続Tに組み合わされた部分文字列Sのカウンタである。例えば、図17に示す検索範囲の設定では、部分文字列Sのカウンタiはi=0〜3が設定される。また、カウンタRは、設定された部分文字列連続Tの組み合わせに対し、文頭側からR=0〜2に設定すればよい。
【0105】
抽出した返信文候補の一覧は、抽出情報バッファ64に一時的に記憶させておけばよい。抽出された返信文候補は、例えば、「|」記号によって区切って記憶させている。そして、抽出した結果を携帯電話機40の表示部50等に対して、適切なインタフェースを用いて表示する。
【0106】
携帯電話機40のユーザは、提示された返信文候補に対して、選択操作を行い、例えば、図19のAに示すように、1文ずつを選択していく。そして、選択された返信文情報を一つに結合して、図19のBに示すように、返信文90が作成される。
【0107】
表示部50によるメール画面表示について示す。受信メール6の表示では、図20に示すように、表示部50にメール画面92を表示させる。このメール画面92には、GUI(Graphical User Interface)として、例えば、3段の表示領域が設けられており、上段には、受信日、又は現在時刻情報や送信者情報、メールのタイトル情報等の情報表示領域94を構成している。また、中段には、受信メール6のメール本文の表示領域96を構成している。また、下段側には、「メニュー」キーや「返信」キー、「選択」キー等が操作入力部48に割当てられた機能表示領域98を構成している。そして、この機能表示領域98のうち、「返信」キー100に対して入力操作が行われると、返信メール作成機能が起動する。
【0108】
返信メール作成機能が起動すると、図21のAに示すように、返信メール作成画面102に切り替わる。この返信メール作成画面102は、例えば、上段側から、本文表示領域104、受信メール領域106、選択候補領域108に分割表示される。本文表示領域104は、利用者が選択した、又は直接入力した返信文を表示する領域の一例であって、確定したテキストを表示する。受信メール領域106は、受信メールの一部分を参照する領域であって、例えば、既述の原則により分割された受信メール6の分割文字列連続毎に表示する。この受信メール領域106には、例えば、図8のBに示すように、部分文字列S0の「おつかれさ〜ん」を表示している。選択候補領域108は、返信文候補の一覧を表示する領域であって、受信メール領域106に表示された部分文字列に基づいて抽出された返信文の候補を表示する。この選択候補領域108には、表示した候補に対して、ユーザが選択するための選択カーソル表示110が表示されており、例えば、操作入力部48の上下操作ボタンの操作に応じて、返信文候補の選択対象を切り替えることができる。そして、選択する返信文候補に対して選択カーソル表示110が合せられ、例えば、決定ボタン等が操作されることで、その返信文候補が選択され、図21のBに示すように、本文表示領域104にその返信文を表示させる。
【0109】
受信メール領域106に表示した分割したメールに対する返信文が確定すると、次の分割メールの表示に切替えられる。この受信メール領域106の表示切り替えに連動して、選択候補領域108は、その分割メールに対する返信文候補に切り替わる。図21のC、Dに示すように、返信文の選択操作、受信メールの切替えは、全ての分割メールに対する返信文選択が行われるまで繰り返し行われる。
【0110】
また、この返信文候補の選択では、例えば、適切な返信文が無い場合や、返信したくない場合には、選択候補領域108に表示された「次の文章へ」の選択肢112を選択することで、その文をスキップしたメールを作成することができる。この選択肢112が選択された場合には、例えば、次の受信メール6が表示される。また、ユーザが「入力終了」の選択肢114を選択することで、例えば、入力画面に戻り、自由にテキストを編集するようにしてもよい。
【0111】
全ての受信メールについて、返信文の選択処理が終了すると、例えば、図22のAに示すように、本文表示領域104と機能表示領域98のメール画面に切替えられ、本文表示領域104には、選択した返信文が表示される。そして、機能表示領域98の「確定」キー116が操作されると、メール送信画面117に切り替わる。このメール送信画面117には、例えば、送信先情報やタイトル情報を表示する情報表示領域118、確定した返信文を表示する本文表示領域104、機能表示領域98で構成されている。機能表示領域98の「送信」キー120が操作されることで、返信メールの送信が行われる。
【0112】
次に、返信メール作成処理について、図23、図24、図25及び図26を参照する。図23は、返信メール作成処理の一例を示すフローチャート、図24は、データベース検索処理の一例を示すフローチャート、図25、図26は、部分文字列連続の組み合わせ決定処理の一例を示すフローチャートである。図23〜図26に示す処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。なお、図25、図26において、Aはフローチャート間の連結子を示す。
【0113】
この返信メール作成処理は、本開示の電子メールの返信文抽出方法、及びそのプログラムの一例であって、データベースに対する検索処理において、類似度の合計が最大となるように検索範囲を設定し、係る検索範囲に基づいて返信文の候補を抽出する。
【0114】
そこで、受信メール6に対し、例えば、句読点や顔文字、絵文字等を基準に、所定の長さの部分文字列Sに分割する(ステップS21)。1個以上の部分文字列からなる部分文字列連続について、それぞれ類似度が最大の受信文を受信文・返信文データベース24から検索し(ステップS22)、類似度合計が最大になる部分文字列連続の組み合わせを求める(ステップS23)。この部分文字列連続の組み合わせは、図17に示すように、分割した部分文字列Sについて、1又は連続する複数の部分文字列で構成され、この部分文字列連続が適切な返信文を検索する検索範囲となる。
【0115】
決定した類似度合計が最大となる部分文字列連続Tの個数をMに設定し(ステップS24)、この部分文字列連続Tに対するカウンタRをR=0に設定して返信文バッファを初期化する(ステップS25)。そして、データベース24から部分文字列連続T(R) 毎に返信文候補の抽出処理を行う。
【0116】
そこで、カウンタRが部分文字列連続Tの個数Mより小さい場合(ステップS26のYES)、返信文出力が未処理の部分文字列連続Tがあるとして、カウンタRが指定する部分文字列連続T(R) について、データベース24から返信文候補を抽出し、返信メール作成画面102に表示する(ステップS27)。ユーザが選択した返信文を返信文バッファに追加する(ステップS28)。この返信文バッファは、例えば、作成中の返信メール情報を保持するものであり、例えば、抽出情報バッファ64を利用してもよい。そして、カウンタRをインクリメントしながら(ステップS29)、R<Mの間、この処理を繰り返す。全ての部分文字列連続Tに対して返信文を確定したら(ステップS26のNO)、返信文バッファに格納された返信文の文字列を出力して返信メールを完成させる(ステップS30)。
【0117】
次に、ステップS22の部分文字列連続に対するデータベース検索の処理は、例えば、図24に示す処理を実行する。
【0118】
このデータベース検索処理では、例えば、図12に示すように、1又は連続する複数の部分文字列Sからなる多数の部分文字列連続Tについて、それぞれ類似度が最大となる受信文を受信文・返信文データベース24から検索する。そこで、図24に示すように、分割した部分文字列Sの個数をNとし(ステップS51)、例えば、受信メールに対する分割順序に基づいて設定した部分文字列Sのカウンタをiとすると、i=0に設定して、カウンタを初期化する(ステップS52)。
【0119】
次に、1又は連続複数の部分文字列Sの組み合わせにより設定された多数の部分文字列連続Tの全てについて、データベースを検索するため、カウンタiが分割した部分文字列Sの個数Nに達するまで、iをインクリメントする(ステップS53のYES)。この場合、このカウンタiに対し、全ての部分文字列Sに対して組み合わせを設定するためのカウンタjを設定し、カウンタj=i+1に設定する(ステップS54)。即ち、部分文字列Sの分割順を示すカウンタiはi=0から1ずつインクリメントさせ、カウンタjは、j=1から1ずつインクリメントさせる。
【0120】
データベース検索処理及び類似度算出処理は、カウンタj<(N+1)の間、カウンタj=1から順に繰り返し行う(ステップS55のYES)。そこで、部分文字列Siから部分文字列Sj−1まで連続した部分文字列連続について、データベースを検索し、類似度最大となるデータとその類似度Cを求める(ステップS56)。具体的には、まずカウンタi=0の場合は、図12を参照すると、部分文字列S0が含まれる部分文字列連続Tの検出処理が行われることを示す。即ち、i=0でj=1の場合、部分文字列S0のみで構成された部分文字列連続T0を示す。さらに、カウンタjをインクリメントしていくと(ステップS57)、j=3の場合は、S0+S1+S2で構成された部分文字列連続T3となる。そして、各部分文字列連続に対して、類似度Cを算出する。そして、カウンタiをインクリメントし(ステップS58)、i=1となると、jはj=2からカウントされ、jがインクリメントされることで、S1、S1+S2、・・・の部分文字列連続Tが表される。
【0121】
そして、分割された部分文字列Sについて、全ての組み合わせに対するデータベース検索処理及び類似度算出処理が行われると(ステップS53のNO)、この処理を終了する。
【0122】
次に、ステップS23(図23)の類似度合計が最大となる部分文字列連続の組み合わせ決定処理は、例えば、図25に示す処理を実行すればよい。
【0123】
この部分文字列連続の組み合わせ決定処理は、例えば、ビタビアルゴリズムに基づいて行っている。この処理では、各部分文字列連続に対して、類似度の累計が最大になるような先行部分文字列連続を求める処理(処理F1)を含む。また、末尾の部分文字列連続から類似度累計が高くなるように先行部分文字列連続を辿ることによって、最適な(類似度合計が最大になる)部分文字列連続の組み合わせを得る処理(処理F2)を含む。
【0124】
そこで、処理F1では、部分文字列連続Tの個数をXに設定する(ステップS61)。この個数Xは、図12に示すように、例えば、受信メールを分割した部分文字列Sの組み合わせから算出してもよい。
【0125】
部分文字列連続Tの組み合わせ順を示すカウンタをIとして設定し、このカウンタIをI=0として初期化する(ステップS62)。このカウンタIは、例えば、図12に示す部分文字列連続Tのカウンタnと同様に設定すればよく、既述の図24のステップS56で設定される部分文字列Siから部分文字列Sj−1の抽出順序に従って設定してもよい。このカウンタIについて、部分文字列連続Tの個数Xまで繰り返しインクリメントする(ステップS63のYES)。
【0126】
ここで、部分文字列連続T(I) の類似度累積値Ctotal(T(I) ) を0に設定する(ステップS64)。また、検査対象であるカウンタIの部分文字列連続T(I) に対して先行部分文字列連続となる部分文字列連続を検出するためのカウンタJを設定し、このカウンタJをJ=0で初期化する(ステップS65)。このカウンタJは、カウンタIと同内容の部分文字列連続Tをカウントさせる。そして、このカウンタJについても部分文字列連続Tの個数Xまで繰り返しインクリメントする(ステップS66のYES)。
【0127】
部分文字列連続T(J) は、部分文字列連続T(I) に先行することができるかを判断し(ステップS67)、先行することができる場合(ステップS67のYES)には、類似度累積値Ctotal(T(J) ) がCtotal(T(I) ) より大きいか否かを判断する(ステップS68)。Ctotal(T(J) ) >Ctotal(T(I))の場合(ステップS68のYES)、Ctotal(T(I) ) にCtotal(T(J) ) を代入するとともに、部分文字列連続T(I) の先行部分文字列連続をT(J) に設定する(ステップS69)。
【0128】
ここで、先行するか否かは、例えば、部分文字列連続T(J) が部分文字列連続T(I) に含まれる部分文字列Sよりも前の部分文字列を含むとともに、部分文字列連続T(J) と部分文字列連続T(I) とが連続することを判断すればよい。例えば、図14に基づいて説明する。カウンタnと同様に設定したカウンタI及びJにおいて、まず、I=0の場合、即ち、T(0) が検索対象である場合、カウンタJをインクリメントしても、T(I) に先行する部分文字列連続T(J) は無い(ステップS67のNO)。また、I=1〜3の場合も同様に先行する部分文字列T(J) はない。
【0129】
そして、例えば、I=4となった場合、対象となる部分文字列T(4) に対して先行可能な部分文字列T(J) はT(0) を示している(ステップS67のYES)。そして、この場合、Ctotal(T(I) ) =0(ステップS64)となっているので、Ctotal(T(J) ) がCtotal(T(I) ) より大きいと判断される(ステップS68のYES)。このステップS68及びステップS69の処理は、既述のように、先行可能な部分文字列連続T(J) のうち、最も類似度累積値が大きいものを選択する処理であり、カウンタJをインクリメントしていくことで、設定されたI毎に類似度累計値が大きい先行部分文字列連続を抽出することができる。
【0130】
類似度最大の先行部分文字列連続T(J) が決定した場合には、その類似度累積値Ctotal(T(I))に、カウンタIの部分文字列連続T(I) の類似度C(T(I)) を加算して、部分文字列連続T(I) の類似度累積値Ctotal(T(I))とする(ステップS71)。ここで、ステップS71に示す「Ctotal(T(I))+=C(T(I)) 」は、「Ctotal(T(I))=Ctotal(T(I))+C(T(I)) 」を表す。そして、カウンタIをインクリメントして全てのIについて類似度累積値Ctotal(T(I))を算出する(ステップS72)。
【0131】
次に、カウンタI≧Xとなると(ステップS63のNO)、処理F2として、最適な部分文字列連続の組み合わせの決定処理に移行する。即ち、処理F1において、全てのIについて、類似度累積値が最大となる部分文字列連続T(I) の算出結果を参照する(ステップS73)。この組み合わせ決定処理では、既述のように、受信メール6の文末側から類似度が最大となる部分文字列連続Tを決定していく。そこで、部分文字列連続T(I) の検索結果を出力していき(ステップS74)、その部分文字列連続T(I) が受信メール6の文頭の部分文字列S0を含むまで先行部分文字列連続Tを辿って抽出し、抽出した部分文字列連続T(I) を検索結果として出力する(ステップS75、S76)。そして、先行する部分文字列連続がなくなるまでこの処理を継続する。
【0132】
斯かる処理により、類似度が最大となる部分文字列連続の組み合わせを検索範囲として設定することができ、この検索範囲に基づいて、ステップS27(図23)の検出処理を行えばよい。
【0133】
なお、この実施の形態では、ビタビアルゴリズムを用いて部分文字列連続の組み合わせ決定の方法を示したが、他の方法により類似度合計が最大になる部分文字列連続の組み合わせを決定してもよい。
【0134】
斯かる構成によれば、受信メールに対して最適な単位でデータベースを検索して、その返信文候補を得ることが可能となる。そして、抽出された返信文候補からユーザが返信文を選択し、それらを連結して返信メールを作成するので、ユーザに対する負担を軽減することができる。また、メール本文と、記憶された受信文候補とが最も近い内容になるように、検索範囲を設定することで、適切な返信文候補を抽出でき、メール本文の内容に沿った応答メールを作成することができる。
【0135】
〔第3の実施の形態〕
【0136】
次に、第3の実施の形態について、図27及び図28を参照する。図27は、第3の実施の形態に係る返信メール作成機能構成例を示す図、図28は、受信文・返信文データベースの構成例を示す図である。図27、図28に示す構成は一例であって、これに限定されない。なお、図27及び図28において、図5等と同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0137】
この情報処理装置2は、本開示の情報処理装置の一例であって、受信メール6に対して、適切な検索範囲を設定し、この検索範囲に基づく返信文候補の抽出機能とともに、自動的に返信文を決定する自動返信機能を備えるメール作成装置131が構成されている。このメール作成装置131は、既述のメール作成装置4に対応する。このメール作成装置131の自動返信機能は、設定した検索範囲において、受信メール6中に含まれる内容に対し、例えば、挨拶文に対する返信等、ユーザの判断が必ずしも必要ではないものに対して、設定した返信文を自動的に決定する。この情報処理装置2は、例えば、自動返信可否情報132を記憶した受信文・返信文データベース130や、自動選択・ユーザ選択切替部134、返信文自動選択部136等を備える。その他、既述のように、メール分割部20、受信文選択部10、検索範囲設定部14を備える検索部22、返信文抽出部16、返信文結合部26、返信文候補表示部28、選択入力部30等を備えればよい。
【0138】
受信文・返信文データベース130は、検索範囲として設定された1又は連続する複数の部分文字列に対して、検索される受信文候補や、その受信文候補に関連付けられた返信文候補が格納された記憶手段の一例であって、既述の受信文・返信文データベース24に対応する。この受信文・返信文データベース130には、例えば、図28に示すように、受信文欄80に対応付けられて返信文候補を記憶した返信文候補欄82が設定されるとともに、自動返信可否情報132を含む自動返信可否欄138が設定されている。
【0139】
この自動返信可否情報132は、例えば、受信文の内容等に応じて自動返信が可能か否かを設定する情報である。自動返信可否欄138の設定内容は、例えば、ユーザによって設定可能にしてもよい。自動返信を可能にする受信文は、例えば、文頭に配置される可能性が高い「おつかれ!」のような挨拶文や、「返事はいらないからね」のように返信を求めない可能性が高いものが設定されればよい。このように返信文の作成において、ユーザの判断が不要となる可能性が高い受信文が検出される場合には、返信文候補による自動返信を可にする。また、例えば、「映画見に行こう!」「明日暇?」のように、ユーザによる判断を必要とする受信文が検索される場合には、自動返信を不可に設定する。
【0140】
その他、例えば、受信メールの送信者等に対応して自動返信可否の切替えを可能にしてもよい。
【0141】
自動選択・ユーザ選択切替部134は、設定された自動返信可否情報132を参照し、データベース130の返信文候補から自動的に返信文を選択するか、ユーザに返信文候補を提示して選択を促すかを切り替える手段の一例である。既述のように、受信メール6に対し、検索部22において、類似度が最も高い部分文字列連続Tを組み合わせた検索範囲が設定される。そして、この検索範囲に基づいて検索された受信文、又は返信文候補に自動返信可否情報132が設定されているか否かを参照する。自動返信不可が設定されている場合には、既述のように、返信文候補表示部28に受信文・返信文データベース130にある返信文候補を表示させる。また、自動返信可能が設定されている場合には、返信文自動選択部136に対して返信文の自動選択に切替える指示を出力する。この自動選択・ユーザ選択切替機能は、例えば、プログラム記憶部60に格納されたメール作成プログラムにより実現される。
【0142】
返信文自動選択部136は、受信文・返信部データベース130の返信文候補欄82から自動で1又は複数の返信文を選定する手段の一例である。自動選択・ユーザ選択切替部134から自動選択への切替指示を受けると、例えば、乱数等を利用し、検索された受信文に対応付けられた返信文候補欄82から返信文を選択する。そして、選択した返信文について、返信文結合部26側に通知し、返信メール31が作成される。
【0143】
なお、この返信文自動選択部136は、乱数を利用する場合に限られず、例えば、返信文候補の格納順序に選択する候補を切替えてもよく、また、予めユーザがメールの受信相手等に関連付けて返信文候補を設定してもよい。
【0144】
そして、検索範囲毎に、自動選択又はユーザ選択により選択された返信文について、返信文結合部26で結合され、返信メール31が作成される。
【0145】
次に、返信メール作成処理について、図29を参照する。図29は、返信メール作成処理の一例を示すフローチャートである。図29に示す処理内容又は処理手順は一例であって、これに限定されない。
【0146】
この返信メール作成処理は、本開示の電子メールの返信文抽出方法、及びそのプログラムの一例であって、既述のように、受信メールに対して最適な検索範囲を設定して、対応する返信文候補を抽出する。また、この返信メール作成処理では、設定された検索範囲毎に対し、返信文の自動選択処理を含む。
【0147】
そこで、受信メールに対する検索範囲の設定として、受信メール分割(ステップS91)、部分文字列連続のデータベース検索(ステップS92)、類似度合計が最大となる部分文字列連続の組み合わせ決定(ステップS93)、部分文字列連続の個数をMに設定(ステップS94)は、既述の図23に示すステップS21〜ステップS24と同様に行えばよい。
【0148】
次に、設定された部分文字列連続の組み合わせによる検索範囲毎の、返信文候補の選択処理に移行する。この場合、検索範囲に設定された部分文字列連続TのカウンタRについて初期化し(ステップS95)、このRをインクリメントすることで(ステップS102)、検索範囲毎の返信文の選択が行われる。そこで、検索された返信文候補についてユーザの判断が必要な返信かを判定する(ステップS97)。ユーザの判断が必要ではない場合(ステップS97のNO)、即ち、自動返信可能が設定されている場合には、返信文候補から1文を自動選択して(ステップS98)、選択した返信文を返信文バッファに追加する(ステップS99)、また、ユーザ判断が必要な場合(ステップS97のYES)には、既述のように、返信文候補をユーザに提示し(ステップS100)、ユーザが選択した返信文を返信文バッファに追加する(ステップS101)。
【0149】
ステップS95、ステップS96、ステップS100〜ステップS103は、例えば、図23のステップS25〜ステップS30と同様の処理を行えばよい。
【0150】
斯かる構成によれば、ユーザが返信文を選択しなければならない検索対象を減らすことができ、返信メールの作成労力を軽減でき、利便性を高められる。また、このように返信文を自動選択する構成においても、メール本文と、記憶された受信文候補とが最も近い内容になるように検索範囲が設定されるので、適切な返信文候補を抽出でき、適切な応答メールを作成することができる。
【0151】
〔第4の実施の形態〕
【0152】
次に、第4の実施の形態について、図30及び図31を参照する。図30は、第4の実施の形態に係る返信メール作成機能構成例を示す図、図31は、作成された返信メールの表示例を示す図である。図30及び図31に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0153】
この情報処理装置2は、本開示の情報処理装置の一例であって、既述のように、受信メールに対して適切な検索範囲を設定し、係る検索範囲に基づいて返信文候補の抽出を行うメール作成装置141を備える。また、この情報処理装置2は、作成される返信メールにおいて、検索範囲に応じて抽出した返信文候補と、その検索範囲に対応した受信文とを表示する構成である。即ち、この情報処理装置2は、用意された返信文が受信メール中のどの部分に対するものであるかを明示する機能を備えている。
【0154】
このメール作成装置141は、例えば、図30に示すように、表示制御部140、返信文生成部142等を備えればよい。その他、既述のように、メール分割部20、受信文選択部10や検索範囲設定部14を備える検索部22、返信文抽出部16等を備えればよい。また、このメール作成装置141に対し、返信文候補表示部28や選択入力部30等が接続されている。
【0155】
表示制御部140は、設定された検索範囲に基づいて検索された返信文候補と、検索対象である受信メール6の部分文字列連続Tとを関連付けて返信文候補表示部28側に表示させる手段の一例である。検索部22は、所定の部分文字列Sに分割された受信メール6について、最も類似度の高い部分文字列連続Tの組み合わせを決定し、これを検索範囲として設定する。そして、表示制御部140は、この検索範囲に基づいて受信文・返信文データベース24から抽出された返信文候補やその受信文等を返信文抽出部16から受け取り、返信文候補表示部28側に対して送信する。
【0156】
また、返信文生成部142は、検索対象の分割メールに対して、受信文であることを識別するための識別記号を付し、検索部22から受領した分割メールと返信文情報とを関連付けて返信メールを作成する手段の一例である。
【0157】
この識別記号は、抽出した返信文に対応した受信メール6の一部であることを視認させる手段の一例であって、図31に示すように、返信メール画面144において、分割メールに対して、例えば文頭側に「>」の識別記号146を付す。また、この分割メールの次の段落には、この分割メールに対して検索され、選択された返信文欄148が設定されている。この返信文欄148には識別記号を付していない。そして、識別記号146を付した分割メールとそれに対する返信文とを、例えば、一つずつ表示していき返信メールを作成する。
【0158】
なお、識別情報は、分割メールに対して付加する場合に限られず、例えば、返信文候補側に識別記号を付加してもよい。また、この実施の形態では、表示制御部140により、ユーザ側に返信候補の検索対象となった分割した受信メール6も合せて提示しているが、これに限られず、返信文候補の提示においては、分割した受信メール6を表示しなくてもよい。そして、返信文の生成が行われたら、識別記号を付した分割メールと選出した返信文とを付した返信メールを表示すればよい。
【0159】
次に、返信メール作成処理について、図32を参照する。図32は、返信メール作成処理の一例を示すフローチャートである。図32に示す処理内容又は処理手順は一例であって、これに限定されない。
【0160】
この返信メール作成処理は、本開示の電子メールの返信文抽出方法、及びそのプログラムの一例であって、既述のように、受信メールに対して最適な検索範囲を設定して、対応する返信文候補を抽出する。また、設定された検索範囲毎に対し、識別記号を付した分割メールと、その返信文とを合せて表示する。
【0161】
そこで、受信メールに対する検索範囲の設定として、受信メール分割(ステップS111)、部分文字列連続のデータベース検索(ステップS112)、類似度合計が最大となる部分文字列連続の組み合わせ決定(ステップS113)、部分文字列連続の個数をMに設定(ステップS114)、カウンタRの初期化(ステップS115)は、既述の図23に示すステップS21〜ステップS25と同様に行えばよい。
【0162】
そして、返信文の選択において、部分文字列連続T(R) を受信メール6に引用して、返信文バッファに追加する(ステップS118)。その他、ステップS116〜ステップS117及びステップS119〜ステップS121は、図23のステップS26〜ステップS30と同様の処理を行えばよく、その説明を省略する。
【0163】
斯かる構成によれば、受信したメール本文の内容と、そのメールに対して選択した返信文を併記させることで、返信相手に対し、より分かり易い返信メールを生成することができる。また、メール本文と、記憶された受信文候補とが最も近い内容になるように、検索範囲を設定することで、適切な返信文候補を抽出でき、メール本文の内容に沿った応答メールを作成することができる。メール本文の内容に沿った適切な返信文候補が抽出されることで、利用者は、選択操作のみで応答メールを作成でき、文字入力操作の労力を軽減でき、且つ迅速な応答メールの作成を行うことができる。さらに、メール本文に記載された文面に沿って、その内容に対する返信文候補を抽出して表示させるので、メールの送信者の記載内容に対して漏れなく応答することができる。
【0164】
〔第5の実施の形態〕
【0165】
次に、第5の実施の形態について、図33、図34及び図35を参照する。図33は、第5の実施の形態に係る返信メール作成機能構成例を示す図、図34は、受信文・返信文データベースの構成例を示す図、図35は、特定情報の抽出及び置換処理の一例を示す図である。図33〜図35に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0166】
この情報処理装置2は、本開示の情報処理装置の一例であって、受信メールに対する適切な検索範囲の設定機能や、受信メールに含まれる特定情報を抽出し、選択された返信文候補に、抽出した特定情報を取り込んだ返信メールを作成する機能を含むメール作成装置151を備える。この特定情報は、例えば、受信メール6に含まれる日時情報や地名、場所名の情報等である。これらの特定情報は、例えば、日時や場所等のように内容は変動するがその記載対象は同一であり、且つ、受信メールの文書及び返信メールの文書において、記載される位置が特定可能な情報である。
【0167】
そこで、受信メール6に含まれている日時や場所等の特定情報を検出するルールを設定し、この特定情報を抽出する。受信文・返信文データベース24には、この特定情報を挿入する位置を特定した返信文候補を格納しておく。そして、返信メールの作成では、選択された返信文ついて、抽出した特定情報を特定位置に置換する。この特定情報の置換位置には、例えば、挿入可能な特定情報の種類を識別できる置換タグを設定すればよい。
【0168】
このメール作成装置151は、例えば、特定情報抽出部150、特定情報格納部152、特定情報置換処理部154、返信文生成部156等を備える。また、既述のように、適切な検索範囲を設定するため、メール分割部20、受信文・返信文データベース24、返信文抽出部16等を備える。また、メール作成装置151に対し、返信文候補表示部28及び選択入力部30が接続されている。
【0169】
特定情報抽出部150は、受信メール6を分割した部分文字列毎に、特定情報を抽出する手段の一例であって、例えば、予め設定された抽出ルールに従って、「日時」、「場所」、「地名」情報等を抽出する。そして、抽出した特定情報を特定情報格納部152に送信する。この抽出ルールは、例えば、日時検出ルールとして、「今日」「明日」「明後日」「今夜」「来週」「来月」「月曜」〜「金曜」等の日時を表す文字列をテーブルとして用意して照合すればよい。また、1〜12の数字の後に「月」が続く文字列や、1〜31の数字の後に「日」が続く文字列を検出したりすることで実現できる。また、場所検出ルールは、例えば、主要な駅名やランドマークをテーブルとして用意して照合すればよい。この抽出処理は、例えば、抽出ルールを利用して対象となる言葉の品詞等を解析する形態素解析法を利用してもよい。
【0170】
特定情報格納部152は、抽出した特定情報を記憶する手段の一例であって、例えばデータ記憶部62(図7)に構成すればよい。また、特定情報格納部152は、返信文の作成において、返信文に含まれるタグに対応した特定情報を提供する。
【0171】
特定情報置換処理部154は、部分文字列に含まれる特定情報を、その種類に応じたタグに置換し、また、選択された返信文に対し、タグが含まれている場合には、そのタグを特定情報格納部152に格納された特定情報に置換する手段の一例である。既述のように、検索部22で適正な検索範囲として、設定された部分文字列連続に基づきデータベース24からタグを含む返信文候補が抽出されると、このタグに対して、対応する特定情報を置換する。この特定情報置換処理機能は、例えば、プログラム記憶部60(図7)に格納されたメール作成プログラムにより実現される。
【0172】
返信文生成部156は、タグに対し、特定情報置換処理部154で日時や地名等に置換した返信文により返信メールを作成する手段の一例である。
【0173】
検索部22では、既述のように、特定情報を置換した後の部分文字列と、データベース中の受信文候補との検索を行い、最も類似度が高い部分文字列連続の組み合わせを設定することで、検索範囲を設定する。
【0174】
受信文・返信文データベース24は、例えば、図34に示すように、受信文や返信文候補に、予めメール中の日時や場所等の特定情報を挿入する位置にタグ158が設定されている。従って、受信文の類似度算出処理では、特定情報をタグに置換した部分文字列と、タグが設定された受信文との類似度を算出する。また、返信文候補の抽出においても、タグが設定された返信文が抽出される。
【0175】
この部分文字列に対する特定情報の抽出処理、タグの置換処理、データベース検索処理、返信文候補の抽出処理の処理は、例えば、図35に示すように実行される。
【0176】
ここでは、例えば、受信メール6を分割したときに部分文字列が1個のみ生成され、この部分文字列Sが検索範囲となる場合を例示する。
【0177】
図8のA及び図8のBに示すように、受信メール6を分割した結果、例えば、「土曜日に渋谷あたりで飲まない?」という1個の部分文字列S0が得られる(図35のA)。この部分文字列S0に対し、特定情報の抽出ルールに従って、例えば、図35のBに示すように、日時の特定情報として「土曜日」の表示160、場所の特定情報として「渋谷」の表示162を抽出し、それぞれ日時タグ164、場所タグ166に置換する。その結果、部分文字列S0は、図35のCに示すように、「<日時>に<場所>あたりで飲まない?」となる。そして、これをデータベース24で検索すると、「<日時>に<場所>で飲みましょうよ。」という受信文が、類似度が高い受信文として検索される。
【0178】
検索された受信文に対して関係付けられた返信文候補は、例えば、図35のDに示すように、「ごめん、<日時>は都合悪いんだ。」のように、タグ158等を含むものがある。そして、抽出された返信文候補に、タグ158が含まれている場合には、図35のEに示すように、抽出した特定情報として「土曜日」の表示160を置換し、例えば、「ごめん、土曜日は都合悪いんだ。」という返信文候補を生成する。
【0179】
そして、図35のFに示すように、ユーザは特定情報を置換した返信文を選択し、図35のGに示すように、返信メールを作成する。
【0180】
次に、特定情報を含む受信メールに対する返信メールの作成処理について、図36及び図37を参照する。図36及び図37は、返信メール作成処理例を示すフローチャートである。図36及び図37に示す処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。また、図36及び図37において、Bはフローチャート間の連結子を示す。
【0181】
この返信メール作成処理は、本開示の電子メールの返信文抽出方法、及びそのプログラムの一例であって、受信メールに含まれる特定情報を抽出し、その特定情報部分を内容を共通化したタグに置換して、検索範囲の設定や返信文候補の抽出処理を行う。
【0182】
受信メール6を所定の単位毎の部分文字列に分割し(ステップS131)、この部分文字列に日時等の特定情報に該当する文字列を検出する。そして、その文字列について、日時情報を示すタグに置換する(ステップS132)。また、部分文字列中に場所等の特定情報に該当する文字列を検出し、この文字列について、場所情報を示すタグに置換する(ステップS133)。
【0183】
特定情報に対して各種のタグに置換した部分文字列について、既述のように、データベース検索処理(ステップS134)、及び類似度合計が最大になる部分文字列連続の組み合わせの設定処理(ステップS135)を行って、検索範囲を設定する。図36のステップS134〜ステップS138の処理は、例えば、図23のステップS22〜ステップS26と同様に処理を行えばよい。
【0184】
設定した部分文字列連続を計数するカウンタRに従って部分文字列連続T(R) 毎に抽出した返信文候補中に、日時を示すタグがある場合(ステップS139のYES)、例えば、特定情報格納部152の日時の特定情報をこのタグと置換する(ステップS140)。また、抽出した返信文候補中に、場所を示すタグがある場合(ステップS141のYES)、特定情報格納部152の場所の特定情報をこのタグと置換する(ステップS142)。そして、置換処理が行われた返信文候補について、ユーザに対して提示し(ステップS143)、返信文の選択処理を行う。ステップS143〜ステップS146の処理は、図23のステップS27〜ステップS30に対応した処理を行えばよい。
【0185】
なお、この実施の形態では、特定情報として、日時情報及び場所情報を例示したが、これに限られない。例えば、人名等、その他の特定情報、又はユーザが設定した特定の言葉等を特定情報に設定し、タグによる置換処理を行うようにしてもよい。また、置換タグに対して特定情報を戻す処理について、受信メールから抽出した特定情報を利用する場合に限られず、例えば、特定情報格納部152に置換用のデータを予め設定しておいてもよく、また、ユーザがタグの部分について直接入力するようにしてもよい。
【0186】
斯かる構成によれば、日時や場所が異なるだけの類似した内容のメールをデータベースから検索することが可能になり、より多様なメールに対して適切な返信文候補を抽出することが可能になる。そして、検索範囲の設定処理において、例えば、日時や場所等の特定情報が異なるが、受信文の内容は一致している受信文候補に対し、類似度の算出値が低くなるのを防止することができる。また、受信メールに対し、受信文候補に含まれる文字、単語、符号等の一致する個数が多い場合であっても、文書の内容が一致しない受信文候補が選択されるのを防止するので、検出範囲の設定精度を上げることができる。
【0187】
〔第6の実施の形態〕
【0188】
次に、第6の実施の形態について、図38、図39及び図40を参照する。図38は、第6の実施の形態に係る返信メール作成機能構成例を示す図、図39は、表現置換文字列テーブルの構成例を示す図、図40は、表現置換処理及びデータベース検索処理の一例を示す図である。図38〜図40に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0189】
この情報処理装置2は、本開示の情報処理装置の一例であって、受信メール6に含まれる言葉が受信文・返信文データベース24に格納されている受信文候補と同義である場合には、その言葉を置換して、検索処理を行うメール作成装置171を備える。受信メール6中の含まれる多様な表現について、例えば、データベース24により検索し易い表現、用語に置き換えることで、検索精度が向上し、適切な検索範囲が設定でき、受信メール6の内容に則した返信文候補の抽出を可能にする。この表現や用語の置換は、例えば、同一内容を指す言葉等に対し、略語や特定分野で使用される用語等に対して、表現を正規化、又は統一化させるものであればよい。
【0190】
このメール作成装置171は、例えば、表現置換部170、表現置換文字列テーブル172等を備えればよい。また、既述のように、メール分割部20や検索部22、返信文抽出部16や返信文結合部26等で構成すればよい。
【0191】
表現置換部170は、分割された受信メール6の部分文字列中に、受信文候補としてデータベースに格納されている言葉や表現と同義であって異なる表現の言葉、単語等を抽出し、データベースに格納されている言葉や表現に置換する手段の一例である。この部分文字列に含まれる言葉の抽出では、例えば、表現置換文字列テーブル172を利用し、ここに含まれる言葉と同一である場合には、置換すべき言葉として抽出する。そして、表現置換文字列テーブル172に対応した言葉、表現に置換して、部分文字列に挿入する。この表現置換部170は、例えば、プログラム記憶部60(図7)に格納されたメール作成プログラムによって実行される。
【0192】
表現置換文字列テーブル172は、受信文・返信文データベース24の受信文候補に含まれる言葉、表現、単語に対し、同義であって、異なる表示がされた言葉等を対応付けて格納した格納手段の一例である。この表現置換文字列テーブル172は、例えば、図39に示すように、変換元欄174に対応付けた変換先欄175で構成されている。この変換先欄175に含まれる言葉は、受信文・返信文データベース24に格納された受信文候補に含まれる言葉が設定されている。また、変換元欄174は、変換先欄175に設定された言葉に対して、同義の表現や言葉であって、例えば、メール等でよく使われる表現形式の言葉が設定されている。この表現置換文字列テーブル172は、例えば、記憶部58のデータ記憶部62(図7)に格納されている。
【0193】
その他、このメール作成装置171では、既述のように、表現を置換した部分文字列に対して、検索部22で適切な検索範囲が設定され、返信文抽出部16において、検索範囲に基づいた返信文候補を抽出し、返信文候補表示部28で提示する。そして、選択された返信文候補を結合して、返信メール31を作成する。
【0194】
部分文字列に対する表現置換処理、及びその置換処理を行った部分文字列に対するデータベースへの検索処理は、例えば、図40に示すように実行される。
【0195】
この処理例では、例えば、受信メール6について、分割された部分文字列が一つの場合を示す。受信メール6を分割した結果、部分文字列S0として、例えば、「今度BBQ一緒にどう?」が得られる。そして、この部分文字列に対し、図39に示す表現置換文字列テーブル172を利用した検索処理を行うと、図40のAに示すように、例えば、「BBQ」の表示176と、「どう?」の表示178が抽出される。
【0196】
そして、表現置換部170では、図40のBに示すように、表現置換文字列テーブル172に基づき、「BBQ」の表示176を「バーベキュー」の表示180に置換し、「どう?」の表示178を「どうですか?」の表示182に置換する。
【0197】
そして、図40のCに示すように、置換処理を行った部分文字列S0に基づいて受信文・返信文データベース24に対する検索処理を実行する。この受信文・返信文データベース24の受信文欄80の言葉は、表現置換文字列テーブル172の変換先に設定された言葉に対応させている。この検索処理の結果、図40のDに示すように、返信文候補が抽出され、この返信文候補に対してユーザが選択した返信文に基づいて、返信メールが作成される。
【0198】
この例において、変換前の部分文字列S0に示す「今度BBQ一緒にどう?」の表現では、受信文・返信データベース24に設定された「一緒にバーベキューどうですか?」に対して、同等の内容を表すにもかかわらず、文字列の類似度が低くなり、検索されないおそれがある。そこで、表現の変換処理を行うことにより、データベース中の文に対して類似度が高くなり、検索される可能性を高めることができる。
【0199】
次に、表現置換処理を含む返信メールの作成処理について、図41を参照する。図41は、返信メール作成処理の一例を示すフローチャートである。図41に示す処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。
【0200】
この返信メール作成処理は、本開示の電子メールの返信文抽出方法、及びそのプログラムの一例であって、部分文字列中に表現置換文字列テーブル172に一致する文字列に対する変換処理を含む。
【0201】
そこで、既述のように受信メール6を所定の単位毎の部分文字列に分割し(ステップS151)、この部分文字列に表現置換文字列テーブル172に一致する文字列が含まれていれば、置換処理を行う(ステップS152)。そして、この置換処理を施した部分文字列に対して、データベース検索や部分文字列連続の設定処理を行って、検索範囲を設定し、返信文候補を抽出する。ステップS153〜ステップS161の処理は、図23のステップS22〜ステップS30に対応している。
【0202】
なお、表現置換文字列テーブル172には、同じ意味であるのに様々な表記が可能な単語や文末表現等の様々な文字列を設定することが可能である。しかし、例えば、単純な文字列の一致により置換を行う場合や、短かすぎる文字列や類似する文字列が他に考えられる場合には、不適切な置換を回避する必要がある。そこで、例えば、形態素解析を行って部分文字列を構成する単語を特定した後、単語単位での置換を設定するような構成を取ってもよい。
【0203】
斯かる構成によれば、受信メールに含まれる多様な表現に対して統一化等を施すことで、同じ意味を持つが表現の異なるメールをデータベースから検索できる可能性が高まり、より多様なメールに対して適切な返信文候補を抽出できるようになる。
【0204】
〔第7の実施の形態〕
【0205】
次に、第7の実施の形態ついて、図42及び図43を参照する。図42は、第7の実施の形態に係る返信メール作成機能構成例を示す図、図43は、受信文・返信文データベースの構成例を示す図である。図42、図43に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0206】
この情報処理装置2は、本開示の情報処理装置の一例であって、既述のように、受信メールに対する検索範囲の設定機能の他、直前に選択した返信文に応じて、返信文候補の表示順を変更する機能を含むメール作成装置191を備える。このメール作成機能では、設定された検索範囲に基づいて抽出された返信文候補の一覧について、ユーザが選択する可能性が高い返信文をより上位に表示させる。そこで、この返信文候補を格納するデータベースにおいて、各返信文に対し属性情報に基づく分類を行い、ユーザが選択する可能性が高い分類情報に基づいて返信文候補を表示させる。
【0207】
このメール作成装置191は、例えば、受信文・返信文データベース190や返信文候補表示調整部193等を備える。また、既述のように、メール分割部20、検索範囲を設定する検索部22、返信文抽出部16、返信文結合部26を備える。その他、この情報処理装置2は、返信文候補表示部28や選択入力部30を備えており、メール作成装置191と接続している。
【0208】
受信文・返信文データベース190は、受信メール6を分割した部分文字列に対応する受信文候補や、その受信文候補に対応付けられた返信文候補を記憶する手段の一例であって、既述の受信文・返信文データベース24に対応する。受信文・返信文データベース190は、例えば、返信文情報を分類する属性情報を記憶した属性情報記憶部192を備えている。
【0209】
この受信文・返信文データベース190は、図43に示すように、各返信文候補に対して、例えば、属性欄194が設定されており、この属性情報に基づいて分類している。この属性欄194は、属性情報記憶部192の一例である。この属性情報として、例えば、「承諾」欄196、「拒否」欄198、「保留」欄200、「属性無し」欄202が設定されており、各欄毎に返信文候補が分類されている。この属性情報は、例えば、承諾か拒否かの回答を求める内容である受信文に対し、返信内容に応じて、「承諾」、「拒否」、「保留」の属性を設定している。また、回答を求める内容ではない受信文に対する返信文の属性として、「属性無し」を設定している。
【0210】
なお、ここで示した属性の種類は一例であって、これに限定されるものではない。
【0211】
返信文候補表示調整部193は、既述のように、適正な検索範囲に基づいて抽出した返信文候補に対し、過去に選択された返信文の属性情報に基づいて、同一の属性に分類される返信文候補を優先的に、返信文候補表示部28で表示させる手段である。この返信文候補表示調整部193は、例えば、選択入力部30に接続しており、ユーザが返信文候補の中から返信文を選択した場合、その選択した返信文の属性情報を記憶しておき、次回の返信文候補の表示において、この属性情報に基づいて表示する順番を入れ替える。
【0212】
次に、属性情報に基づく返信文候補の表示調整を含む返信メール作成処理について、図44を参照する。図44は、返信メール作成処理の一例を示すフローチャートである。図44に示す処理内容、処理手順等は一例であって、これに限定されない。
【0213】
この返信メール作成処理は、本開示の電子メールの返信文抽出方法、及びそのプログラムの一例であって、最適な検索範囲の設定処理とともに、属性情報に基づく返信文候補の表示調整処理を含む。
【0214】
そこで、受信メール6を所定の部分文字列に分割し(ステップS191)、この部分文字列に対するデータベース検索や類似度最大となる部分文字列連続の組み合わせ設定処理を行う。図44のステップS191〜ステップS195は、図23のステップS21〜ステップS25に示す処理に対応する。
【0215】
返信文候補の提示順優先情報を「属性無し」に初期化する(ステップS196)。この提示順優先情報は、データベース190から抽出した返信文候補の提示順序の設定情報であり、「属性無し」の場合はデータベース190に格納されている順番に従って提示すればよい。そして、設定された部分文字列連続T(R) に基づき、返信文候補の抽出処理を繰り返し行う際に、設定されている提示順優先情報に従って、返信文候補の順番を入れ替えてユーザに提示する(ステップS198)。
【0216】
ユーザが選択した返信文を返信文バッファに追加することにより(ステップS199)、選択した返信文に属性情報が設定されている場合には、その属性情報を提示順優先情報に設定する(ステップS200)。そして、次の部分文字列連続T(R) に対する返信文の抽出処理では、ここで設定された提示順優先情報に基づいて、返信文候補の提示順序の入れ替えを行う。
【0217】
図43の受信文・返信文データベース190を参照する。例えば、受信文「明日、映画見に行かない?」の返信文として「明日ちょっと忙しいんだ」を選択した場合、その属性である「拒否」欄198が提示順優先情報に設定される。次の部分文字列連続T(R) に対する返信文候補の抽出処理では、この提示順優先情報に基づき、「拒否」欄198にある返信文候補を優先的に先頭に提示し、それ以外の返信文を続けて提示すればよい。例えば、次の受信文が「この前のCD貸してくれない?」であれば、その返信文候補の提示においては、「拒否」欄198の返信文「また今度貸すね〜」を先頭に表示する。
【0218】
このような表示調整は、例えば、複数の話題で構成されるメールでは、話題の間に繋がりがある場合が多く、全体に渡って同じ趣旨の返答をする可能性も高いと考えられることに基づいて行われる。
【0219】
なお、属性情報に基づく返信文候補の提示順の設定は、これに限られず、例えば、ユーザが予め返信する属性を設定してもよく、また、メールの返信相手等に応じて選択する属性を設定してもよい。
【0220】
斯かる構成によれば、直前に選択した返信文に応じて後続の返信文候補の表示順を変更することができ、ユーザが選択する可能性が高い返信文をより上位に表示させることが可能になる。ユーザが返信文を選択するために行うカーソル操作の数を減らすことができ、ユーザの負担をさらに軽減することができる。
【0221】
〔第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の実施の形態の利点、特徴事項及び他の実施の形態〕
【0222】
(1) この情報処理装置は、受信文とそれに対する1個以上の返信文を組にして格納する受信文・返信文データベース格納手段や受信メールを予め定めた方法で部分文字列に分割するメール分割手段を備える。メール分割手段で分割した1個以上の部分文字列の連続について、上記受信文・返信文データベース格納手段に格納された受信文・返信文データベースから、類似する受信文を検索する検索手段を備える。検索された受信文に対して設定されている1個以上の返信文を返信文候補として抽出する返信文候補抽出手段を備える。返信文候補をユーザに提示して、返信文の選択を促す返信文候補表示手段や、ユーザの選択を入力する選択入力手段、選択された返信文を連結して返信メールを生成する返信文結合手段等を備える。
【0223】
(2) 受信文・返信文データベースは、受信文とそれに対する1個以上の返信文を組にし、さらに各組に対して装置が自動的に返信文を選択することができるか否かを示す自動返信可否情報を格納する。自動選択・ユーザ選択切替部は、返信文候補について自動返信可否情報を参照し、装置が自動的に返信文を選択するか、返信文候補をユーザに提示して返信文の選択を促すかを切り替える。返信文自動選択部は、自動的に選択すると判定された返信文候補について、返信文を自動的に選択する。返信文候補表示部は、ユーザが選択すると判定された返信文候補について、返信文候補をユーザに提示して、返信文の選択を促す。返信文結合部は、自動的に選択した返信文と、ユーザによって選択された返信文を連結して、返信メールを生成する構成である。
【0224】
(3) 返信文結合部は、選択された返信文とそれに対応する受信メールの部分文字列を使用して、返信メールを生成する構成である。
【0225】
(4) 特定情報格納部は、メール中に含まれる日時や場所を格納する。受信文・返信文データベース格納部は、受信文とそれに対する1個以上の返信文を組にし、さらに受信文や返信文の中に含まれる日時や場所を表す文字列を日時や場所であることを示すタグに置換して格納する。特定情報抽出部は。部分文字列に含まれる日時や場所を、日時・場所検出ルールに基づいて抽出する。また、特定情報置換処理部は、検索された受信文に対して設定されている1個以上の返信文を返信文候補として抽出し、返信文に日時や場所を示すタグが含まれている場合には、受信メールにおいて置換される前の日時や場所に戻す構成である。
【0226】
(5) 表現置換部は、メール中に含まれる特定の文字列を他の文字列に置換する構成である。
【0227】
(6) 受信文・返信文データベースは、受信文とそれに対する1個以上の返信文を組にし、さらに各返信文についてその内容に応じた属性を記憶する。返信部候補表示調整部は、ユーザが過去に選択した返信文の属性に応じて、新たに提示する返信文候補の返信文の提示順序を変更する構成である。
【0228】
(7) 情報処理装置は、受信メールに含まれている多様な文(受信文)の内容に応じて、返信文候補を自動的にユーザに提示し、ユーザがこれを選択していくインタフェースを用意する。これにより、複数の話題が含まれる口語文で書かれた電子メールに対する返信メールを、ユーザの負担少なく生成することができる。
【0229】
(8) この情報処理装置は、文程度の単位で受信文と返信文の組をデータベースに格納している。受信メールを適切な位置で文程度の長さの部分文字列に分割し、各部分文字列に対して単独の場合から複数の部分文字列の連続まで、様々な長さでデータベースから類似する受信文を検索し、その返信文候補をユーザに表示して選択させる。選択された返信文を繋ぎ合わせて返信メールを作成することで、複数の話題が含まれる口語文で書かれた電子メールに対する返信メールを生成する。
【0230】
(9) 上記実施の形態では、返信メールの作成機能を実行する情報処理装置の一例として、携帯電話機40を示したが、これに限られない。例えば、電子メール機能を備えた情報処理装置として、例えば、図45に示すように、携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)300を利用してもよい。このPDA300は、例えば、表示部302や操作入力部304を備えている。その他、電子メール機能を備えた情報処理装置であればどのようなものでもよい。
【0231】
(10)上記実施の形態では、各実施の形態において、自動返信機能(図27)、返信メール表示機能(図30)、特定情報置換機能(図33)、表現置換機能(図38)、返信文表示入替機能(図42)等を個別に説明したが、これに限られない。即ち、これらの機能の複数を組み合わせて返信メールの作成を行ってもよい。
【0232】
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0233】
(付記1) 受信したメール本文を複数の部分文字列に分割する分割機能部と、
1又は連続する複数の前記部分文字列に対応する受信文候補と、該受信文候補に関連付けた返信文情報を記憶する記憶部と、
1又は連続する複数の前記部分文字列の全てに対して、それぞれ一致し又は最も類似する前記受信文候補を受信文として選択する受信文選択部と、
分割した全ての前記部分文字列が連続し、且つ、前記メール本文に対して最も類似する前記受信文の組み合わせを検索範囲に設定する検索範囲設定部と、
前記検索範囲に基づいて、前記記憶部に記憶した前記受信文に対応する返信文情報を抽出する返信文抽出部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【0234】
(付記2) 前記受信文選択部は、1又は連続する複数の前記部分文字列と前記記憶部に記憶した前記受信文候補との類似度を算出し、算出した該類似度に基づいて、前記部分文字列に対する前記受信文を選択する類似度算出部を備え、
前記検索範囲設定部は、前記部分文字列が連続し、且つ、算出した前記類似度の累計値が最大となる前記受信文の組み合わせ選択することを特徴とする、付記1に記載の情報処理装置。
【0235】
(付記3) 前記受信文選択部は、前記メール本文の文字列順に従って、1又は複数の連続する前記部分文字列の全てに対して前記受信文を選択し、
前記検索範囲設定部は、前記メール本文の文字列順に従って、前記受信文を組み合わせることを特徴とする、付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0236】
(付記4) 前記記憶部は、各受信文候補に対して設定された返信文情報を自動的に抽出させる自動応答可否情報を格納する自動応答情報格納部と、
前記返信文抽出部は、設定された前記検索範囲に基づいて抽出した前記返信文情報に対応した前記自動応答格可否情報を参照して自動応答に切替える自動応答切替部と、
を備え、前記受信文候補に自動応答が設定されている場合は、前記記憶部にある前記返信文情報を自動で抽出して表示することを特徴とする、付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0237】
(付記5) 前記検索範囲に設定された1又は連続する複数の前記部分文字列と、抽出された前記返信文情報とを対応させて表示させる表示制御部を備え、
前記部分文字列又は前記返信文情報の少なくとも一方に、前記部分文字列又は前記返信文情報を識別する識別記号を付して表示させることを特徴とする、付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0238】
(付記6) 前記部分文字列に含まれる特定情報を抽出する特定情報抽出部と、
抽出した前記特定情報を格納する特定情報格納部と、
前記部分文字列に含まれる前記特定情報を変換タグに置換するとともに、前記記憶部から抽出された前記返信文情報に含まれる変換タグを前記特定情報に置換する特定情報置換処理部と、
を備え、前記記憶部は、前記特定情報に対応する部分に前記変換タグが設定された前記返信文情報を記憶し、
前記特定情報置換処理部は、抽出した前記返信文情報に前記変換タグが設定されている場合には、該変換タグを前記特定情報に置換することを特徴とする、付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0239】
(付記7) 特定の文字列と同義又は類義の他の文字列とを関連させて記憶した置換文字列記憶部と、
前記部分文字列に含まれる前記特定の文字列を前記置換文字列記憶部の前記他の文字列に置換する置換部と、
を備え、前記受信文選択部は、該他の文字列に置換した前記部分文字列に基づいて前記受信文候補を選択することを特徴とする、付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0240】
(付記8) 前記記憶部は、前記返信文情報を分類する属性情報を記憶した属性情報記憶部を備え、
過去に選択された前記返信文の前記属性情報に基づき、同一の属性に分類される前記返信文候補を優先的に表示させる返信文候補表示調整部と、
を備えることを特徴とする、付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0241】
(付記9) 前記記憶部は、少なくとも1又は連続する複数の前記部分文字列に対応する受信文候補と、前記返信文情報とを関連付けたデータベースを備えることを特徴とする、付記1、2、6、7、又は8に記載の情報処理装置。
【0242】
(付記10) 前記記憶部は、少なくとも、各受信文候補と、前記自動応答可否情報とを関連付けたデータベースを備えることを特徴とする、付記4に記載の情報処理装置。
【0243】
(付記11) 前記置換文字列記憶部は、少なくとも、前記特定の文字列と、前記他の文字列とを関連させたデータベースを備えることを特徴とする、付記7に記載の情報処理装置。
【0244】
(付記12) 情報処理装置の電子メールの返信文抽出方法であって、
受信したメール本文を複数の部分文字列に分割し、
1又は連続する複数の前記部分文字列に対応する受信文候補と、該受信文候補に関連付けた返信文情報を記憶部に記憶し、
1又は連続する複数の前記部分文字列の全てに対して、それぞれ一致し又は最も類似する前記受信文候補を受信文として選択し、
分割した全ての前記部分文字列が連続し、且つ、前記メール本文に対して最も類似する前記受信文の組み合わせを検索範囲に設定し、
前記検索範囲に基づいて、前記記憶部に記憶した前記受信文に対応する返信文情報を抽出することを特徴とする電子メールの返信文抽出方法。
【0245】
(付記13) 更に、1又は連続する複数の前記部分文字列と前記記憶部に記憶した前記受信文候補との類似度を算出し、算出した該類似度に基づいて、前記部分文字列に対する前記受信文を選択し、
前記部分文字列が連続し、且つ、算出した前記類似度の累計値が最大となる前記受信文の組み合わせ選択することを特徴とする、付記12に記載の電子メールの返信文抽出方法。
【0246】
(付記14) 更に、前記メール本文の文字列順に従って、1又は複数の連続する前記部分文字列の全てに対して前記受信文を選択し、
前記メール本文の文字列順に従って、前記受信文を組み合わせることを特徴とする、付記12又は13に記載の電子メールの返信文抽出方法。
【0247】
(付記15) 更に、各受信文候補に対して設定された返信文情報を自動的に抽出させる自動応答可否情報を前記記憶部に格納し、
設定された前記検索範囲に基づいて抽出した前記返信文情報に対応した前記自動応答格可否情報を参照して自動応答に切替え、
前記受信文候補に自動応答が設定されている場合は、前記記憶部にある前記返信文情報を自動で抽出して表示することを特徴とする、付記12又は13に記載の電子メールの返信文抽出方法。
【0248】
(付記16) 前記検索範囲に設定された1又は連続する複数の前記部分文字列と、抽出された前記返信文情報とを対応させて表示させ、
前記部分文字列又は前記返信文情報の少なくとも一方に、前記部分文字列又は前記返信文情報を識別する識別記号を付して表示させることを特徴とする、付記12又は13に記載の電子メールの返信文抽出方法。
【0249】
(付記17) 前記部分文字列に含まれる特定情報を抽出し、
抽出した前記特定情報を特定情報格納部に格納し、
前記部分文字列に含まれる前記特定情報を変換タグに置換するとともに、前記記憶部から抽出された前記返信文情報に含まれる変換タグを前記特定情報に置換し、
前記特定情報に対応する部分に前記変換タグが設定された前記返信文情報を前記記憶部に記憶させ、
抽出した前記返信文情報に前記変換タグが設定されている場合には、該変換タグを前記特定情報に置換することを特徴とする、付記12又は13に記載の電子メールの返信文抽出方法。
【0250】
(付記18) 特定の文字列と同義又は類義の他の文字列とを関連させて置換文字列記憶部に記憶し、
前記部分文字列に含まれる前記特定の文字列を前記置換文字列記憶部の前記他の文字列に置換し、
該他の文字列に置換した前記部分文字列に基づいて前記受信文候補を選択することを特徴とする、付記12又は13に記載の電子メールの返信文抽出方法。
【0251】
(付記19) 前記返信文情報を分類する属性情報を前記記憶部に記憶させ、
過去に選択された前記返信文の前記属性情報に基づき、同一の属性に分類される前記返信文候補を優先的に表示させることを特徴とする、付記12又は13に記載の電子メールの返信文抽出方法。
【0252】
(付記20) 情報処理装置のコンピュータに実行させる電子メールの返信文抽出プログラムであって、コンピュータに、
受信したメール本文を複数の部分文字列に分割し、
1又は連続する複数の前記部分文字列に対応する受信文候補と、該受信文候補に関連付けた返信文情報を記憶部に記憶し、
1又は連続する複数の前記部分文字列の全てに対して、それぞれ一致し又は最も類似する前記受信文候補を受信文として選択し、
分割した全ての前記部分文字列が連続し、且つ、前記メール本文に対して最も類似する前記受信文の組み合わせを検索範囲に設定し、
前記検索範囲に基づいて、前記記憶部に記憶した前記受信文に対応する返信文情報を抽出することを特徴とする電子メールの返信文抽出プログラム。
【0253】
以上説明したように、本開示の情報処理装置、電子メールの返信文抽出方法、及びそのプログラムの好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0254】
2 情報処理装置
4、131、141、151、171、191 メール作成装置
6 受信メール
8 分割機能部
10 受信文選択部
12、58 記憶部
14 検索範囲設定部
16 返信文抽出部
20 メール分割部
22 検索部
24、130、190 受信文・返信文データベース
26 返信文結合部
28 返信文候補表示部
30 選択入力部
40 携帯電話機
48 操作入力部
50 表示部
64 抽出情報バッファ
66、140 表示制御部
80 受信文欄
82 返信文候補欄
84 見出し欄
86 データ番号欄
88 データ番号欄
90 返信文
92 メール画面
106 受信メール領域
108 選択候補領域
132 自動返信可否情報
134 自動選択・ユーザ選択切替部
136 返信文自動選択部
138 自動返信可否欄
142、156 返信文生成部
150 特定情報抽出部
152 特定情報格納部
154 特定情報置換処理部
158、164、166 タグ
170 表現置換部
172 表現置換文字列テーブル
192 属性情報記憶部
193 返信文候補表示調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信したメール本文を複数の部分文字列に分割する分割機能部と、
1又は連続する複数の前記部分文字列に対応する受信文候補と、該受信文候補に関連付けた返信文情報を記憶する記憶部と、
1又は連続する複数の前記部分文字列の全てに対して、それぞれ一致し又は最も類似する前記受信文候補を受信文として選択する受信文選択部と、
分割した全ての前記部分文字列が連続し、且つ、前記メール本文に対して最も類似する前記受信文の組み合わせを検索範囲に設定する検索範囲設定部と、
前記検索範囲に基づいて、前記記憶部に記憶した前記受信文に対応する返信文情報を抽出する返信文抽出部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、各受信文候補に対して設定された返信文情報を自動的に抽出させる自動応答可否情報を格納する自動応答情報格納部と、
前記返信文抽出部は、設定された前記検索範囲に基づいて抽出した前記返信文情報に対応した前記自動応答格可否情報を参照して自動応答に切替える自動応答切替部と、
を備え、前記受信文候補に自動応答が設定されている場合は、前記記憶部にある前記返信文情報を自動で抽出して表示することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検索範囲に設定された1又は連続する複数の前記部分文字列と、抽出された前記返信文情報とを対応させて表示させる表示制御部を備え、
前記部分文字列又は前記返信文情報の少なくとも一方に、前記部分文字列又は前記返信文情報を識別する識別記号を付して表示させることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記部分文字列に含まれる特定情報を抽出する特定情報抽出部と、
抽出した前記特定情報を格納する特定情報格納部と、
前記部分文字列に含まれる前記特定情報を変換タグに置換するとともに、前記記憶部から抽出された前記返信文情報に含まれる変換タグを前記特定情報に置換する特定情報置換処理部と、
を備え、前記記憶部は、前記特定情報に対応する部分に前記変換タグが設定された前記返信文情報を記憶し、
前記特定情報置換処理部は、抽出した前記返信文情報に前記変換タグが設定されている場合には、該変換タグを前記特定情報に置換することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
特定の文字列と同義又は類義の他の文字列とを関連させて記憶した置換文字列記憶部と、
前記部分文字列に含まれる前記特定の文字列を前記置換文字列記憶部の前記他の文字列に置換する置換部と、
を備え、前記受信文選択部は、該他の文字列に置換した前記部分文字列に基づいて前記受信文候補を選択することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記返信文情報を分類する属性情報を記憶した属性情報記憶部を備え、
過去に選択された前記返信文の前記属性情報に基づき、同一の属性に分類される前記返信文候補を優先的に表示させる返信文候補表示調整部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置の電子メールの返信文抽出方法であって、
受信したメール本文を複数の部分文字列に分割し、
1又は連続する複数の前記部分文字列に対応する受信文候補と、該受信文候補に関連付けた返信文情報を記憶部に記憶し、
1又は連続する複数の前記部分文字列の全てに対して、それぞれ一致し又は最も類似する前記受信文候補を受信文として選択し、
分割した全ての前記部分文字列が連続し、且つ、前記メール本文に対して最も類似する前記受信文の組み合わせを検索範囲に設定し、
前記検索範囲に基づいて、前記記憶部に記憶した前記受信文に対応する返信文情報を抽出することを特徴とする電子メールの返信文抽出方法。
【請求項8】
情報処理装置のコンピュータに実行させる電子メールの返信文抽出プログラムであって、コンピュータに、
受信したメール本文を複数の部分文字列に分割し、
1又は連続する複数の前記部分文字列に対応する受信文候補と、該受信文候補に関連付けた返信文情報を記憶部に記憶し、
1又は連続する複数の前記部分文字列の全てに対して、それぞれ一致し又は最も類似する前記受信文候補を受信文として選択し、
分割した全ての前記部分文字列が連続し、且つ、前記メール本文に対して最も類似する前記受信文の組み合わせを検索範囲に設定し、
前記検索範囲に基づいて、前記記憶部に記憶した前記受信文に対応する返信文情報を抽出することを特徴とする電子メールの返信文抽出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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